説明

ディスク装置

【課題】ディスクの挿入スペースを充分な広さに確保するとともに、簡単な構造でターンテーブルユニットを移動する。
【解決手段】昇降フレーム11は、スロット側の軸9を支点にして昇降動する。昇降フレーム11の先端側には、揺動可能な保持部材が取り付けられている。この保持部材には、ディスクが装着されるターンテーブルユニット13が取り付けられている。従動スライダには、昇降用カム溝が形成され、これに昇降フレーム11の昇降ピンが嵌合している。ローディングスライダには、揺動用カム溝が形成され、これに保持部材の揺動ピンが嵌合し、保持部材を昇降させる。昇降フレーム11が記録/再生位置から下降位置に揺動するときに、保持部材が昇降フレーム11に対して傾きターンテーブルユニット13がディスク搬送方向にほぼ平行となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットインタイプのディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディスクに対してデータを高密度に記録したり、ディスクに記録されたデータを読み取ったりするディスク装置が知られている。このディスク装置には、スロットを通してディスクを出し入れするスロットインタイプがあり、薄型化が可能であるため、ノートパソコン等に広く用いられている。
【0003】
スロットインタイプのディスク装置は、本体ケースの前面にベゼルが取り付けられ、このベゼルにスロットが形成されている。ディスクを装填するには、ディスクの過半をベゼルのスロットに差し込む。ディスクによってディスク搬送機構が少し動かされると、ローディングモータが始動する。このローディングモータによってディスク搬送機構が駆動され、ディスクが本体ケース内に引き込まれる。次に、ローディングスライダが移動して昇降フレームを上昇させる。昇降フレームは、下降位置から装着位置まで上昇して、ターンテーブルユニットのチャッキングヘッドにディスクを装着する。次に、昇降フレームが少し下降して記録/再生位置に位置決めされると、ターンテーブルユニットがディスクを回転させ、ピックアップヘッドによりデータの記録/再生が行われる。イジェクトボタンを操作すると、ディスク搬送機構が作動してスロットを介してディスクを本体ケースから搬出する。
【0004】
昇降フレームは、ターンテーブルユニットが設けられた先端部が、本体ケースのほぼ中央部に配され、フロントベゼル側の後端部に設けられた軸を中心にして回転することにより昇降する。昇降フレームは、ディスクが挿入されていない状態では、下降位置に保持されている。また、ピックアップヘッドは、昇降フレームに取り付けられたガイド軸に支持されており、ガイド軸に沿ってディスクの半径方向に移動する。
【0005】
最近は、スロットインタイプのディスク装置を更に薄型化することが要請されている。例えば、特許文献1では、ディスクの排出時に、昇降フレームを水平状態に保ったままで、ターンテーブルユニットだけを下降させることで、昇降フレームが水平状態から下降位置に移動するのに必要なスペースを節約している。このターンテーブルユニットを移動させるために、ディスク搬送機構に連動して直交する2方向にスライドする2個のスライダが設けられている。各スライダには、複数のカム溝が形成され、各カム溝にターンテーブルユニットに設けたピンが嵌合し、ターンテーブルユニットを水平状態で上下動させている。
【特許文献1】特許第3822621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、ディスクの搬送時には、昇降フレームが水平状態のままであり、この位置は記録/再生位置と同じであるため、ディスクの挿入スペースが狭くて、ディスクの挿入がしにくいという問題がある。また、ターンテーブルユニットを水平状態で移動するために、カム溝とピンの個数が多くなり、そのために部品点数が増加してコスト高になるという問題もある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ディスクの挿入スペースを充分な広さに確保することができ、また簡単な構造でターンテーブルユニットを移動することができるようにしたディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のディスク装置は、ディスクを回転させるターンテーブルユニットと、前記ディスクの回転中にデータを記録/再生するピックアップヘッドとを備えたディスク装置において、前記ディスクの装填時に本体ケースのスロットから挿入された前記ディスクを保持して前記ターンテーブルユニット上に搬入し、前記ディスクの排出時に前記ターンテーブルユニット上のディスクを保持して前記スロットから搬出するディスク搬送機構と、前記ピックアップヘッドを移動可能に保持し、前記スロット側にある後端側を支点にして先端側が揺動して昇降動する昇降フレームと、前記ターンテーブルユニットを保持し、前記昇降フレームの前記先端側に移動自在に取り付けられたターンテーブルユニット保持部材と、前記ディスク搬送機構に連動しており、前記ディスクにデータを記録/再生する記録/再生位置よりも上方で、前記ターンテーブルユニットに前記ディスクを装着する装着位置と、前記記録/再生位置よりも下方で、前記ディスクの搬送を可能とする下降位置との間で前記昇降フレームを昇降動させる昇降フレーム移動機構と、前記ディスク搬送機構に連動しており、前記昇降フレームが前記記録/再生位置から前記下降位置へ下降するときに、前記ターンテーブルユニットが前記昇降フレームとほぼ平行となる平行位置から、前記ターンテーブルユニットの前記スロット側部分が前記昇降フレームから下降して傾いた退避位置へ移動するように、前記ターンテーブルユニット保持部材を揺動させるターンテーブルユニット移動機構と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、前記ディスク搬送機構は、前記ディスクの搬送時にスライドするローディングスライダと、前記ローディングスライダに連動してスライドする従動スライダと、前記ローディングスライダまたは前記従動スライダに連動して、前記ディスクを両側から保持して揺動する複数のアームとを備えていることが好ましい。
【0010】
さらに、前記昇降フレーム移動機構は、前記昇降フレームに取り付けられた昇降ピンと、前記従動スライダまたは前記ローディングスライダに形成され、前記昇降ピンが挿入される昇降用カム溝とを備えていることが好ましい。
【0011】
また、前記ターンテーブルユニット移動機構は、前記ターンテーブルユニット保持部材に取り付けられた揺動ピンと、前記ローディングスライダに形成され、前記揺動ピンが挿入される揺動用カム溝とを備えていることが好ましい。
【0012】
さらに、前記ターンテーブルユニット保持部材は、前記昇降フレームに取り付けられた複数の支持軸に移動可能に嵌合され、前記支持軸に装着したコイルバネで前記昇降フレームに向けて付勢されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ターンテーブルユニット保持部材を昇降フレームに移動自在に取り付け、昇降フレームが記録/再生位置から下降位置へ下降するときに、ターンテーブルユニットが昇降フレームに対して傾くように、ターンテーブルユニット保持部材を揺動するから、昇降フレームにターンテーブルユニットを固定した場合に比べて、昇降フレームの記録/再生位置から下降位置までの下降量を小さくすることができる。これにより、ディスク装置を薄型化することができる。また、ディスク挿入時に、昇降フレームは記録/再生位置よりも下方の下降位置に位置するから、ディスクを容易に挿入することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1において、ディスク装置1は、シールド状態に構成された本体ケース2を備えている。この本体ケース2の前面に、ベゼル3が取り付けられている。このベゼル3には、ディスクDを挿入するスロット3aと、ディスクDのイジェクトを指示するための押しボタン4と、ディスク装置1の動作状態を表示するためのインジケータ5とが設けられている。
【0015】
本体ケース2には、天板6が取り付けられている。この天板6のほぼ中央には、ディスクDのチャッキング時にチャッキングヘッド16(図2参照)が僅か入り込むための開口6aが形成されている。また、開口6aの周囲には、本体ケース2の内壁に突出部を形成するための凹部6bが設けられている。この本体ケース2の突出部は、チャッキングヘッド16がディスクDの中心孔Daに挿入するときに、ディスクDを受け止める。
【0016】
天板6を取り外した図2及び図3において、本体ケース2を上下に仕切るように、ベースパネル10が本体ケース2に固定されている。このベースパネル10には、中央から斜め方向に延びた開口10aが形成されている。この開口10a内には、昇降フレーム11が配置されている。この昇降フレーム11には、中央から斜め方向に延びた開口11aが形成されている。
【0017】
前記昇降フレーム11は、ディスクDを本体ケース2に搬入または搬出するときに、スロット3a側の軸9(図4参照)を支点にして、本体ケース2のほぼ中央に位置する先端側が上下方向に揺動する。この昇降動中の衝撃を緩和するために、昇降フレーム11は、公知の衝撃支持構造12により複数箇所でベースパネル10に取り付けられている。
【0018】
昇降フレーム11の先端部には、保持部材17を介してターンテーブルユニット13が設けられ、昇降フレーム11に対してターンテーブルユニット13が揺動可能になっている。このターンテーブルユニット13は、スピンドルモータ14、ターンテーブル15、チャッキングヘッド16を備えている。スピンドルモータ14は、保持部材17に固定されている。スピンドルモータ14の駆動軸には、ターンテーブル15が固定されている。このターンテーブル15に、チャッキングヘッド16が一体に形成されている。このチャッキングヘッド16は、昇降フレーム11が上昇したときに、チャッキング位置にセットされたディスクDをチャッキングする。更に、チャッキングヘッド16には、バネで付勢された複数のチャッキング爪16aが設けられており、ディスクDを着脱可能に係止する。
【0019】
また、昇降フレーム11にはビックアップヘッド18が移動自在に取り付けられている。このビックアップヘッド18は、昇降フレーム11の開口11aの下方に配置されたキャリッジ19と、これに保持されたピックアップ20とから構成されている。データの記録/再生時には、キャリッジ19が開口11aに沿って、ディスクDの半径方向に移動する。昇降フレーム11の先端面には、昇降フレーム11を昇降動させるための昇降ピン29が取り付けられている。
【0020】
昇降フレーム11には、ディスクDの下面をガイドするためのディスクガイド片21が取り付けられている。このディスクガイド片21は、ディスクDの搬入方向に沿って、先端部がターンテーブル15の脇まで延びている。また、ディスクガイド片21には、先端部に向けて徐々に高くなったスロープが形成されており、ディスクDを上に持ち上げることで、チャッキングヘッド16に衝突することなく、本体ケース2内に搬入されるようにしている。
【0021】
ディスクガイド片21の先端部の下方に、チャッキング解除ピン22が配置されている。昇降フレーム11が下降するときに、ディスクガイド片21がチャッキング解除ピン22に当たって停止されるから、ディスクガイド片21によって、ディスクDがチャッキングヘッド16から抜き出される。
【0022】
ベースパネル10上には、ディスクDの搬入および搬出を行うためのディスク支持アーム24と、スロット3aから挿入されたディスクDを本体ケース2内へ搬入するための誘引アーム25とが揺動可能に配置されている。このディスク支持アーム24は、ホルダー24aでディスクDの先端縁を保持し、軸23を中心にして揺動する。誘引アーム25は、フランジ付ローラ25aでディスクDの後端縁を保持し、軸26を中心にして揺動する。この誘引アーム25を揺動させるために、リンクレバー27が連結されている。このリンクレバー27は、カムピン27aがガイドスリット28に沿って移動する。
【0023】
なお、図3には、ディスクDがイジェクト位置にある場合、自動搬入の開始位置にある場合、チャッキング位置にある場合がそれぞれ示されている。
【0024】
図4において、ピックアップ20を保持したキャリッジ19は、ガイドシャフト32、33に支持されている。これらのガイドシャフト32、33は、その両端が昇降フレーム11の背面に固定されている。スレッドモータ34の回転は、ギヤトレイン35を介して、スクリューシャフト36に伝達される。このスクリューシャフト36の回転により、キャリッジ19が前進/後退する。
【0025】
ベースパネル10の背面には、ローディングモータ38が配置され、このローディングモータ38の回転が、ギヤトレイン39を介してディスク搬送機構40に伝達され、ディスクDの搬入又は搬出が行われる。このディスク搬送機構40の主要部は、ローディングスライダ41、ディスク支持アーム24、誘引アーム25である。
【0026】
前記ローディングスライダ41は、端部に形成したラックギヤ42がギヤトレイン39の最終段のギヤに噛合しており、ローディングモータ38の回転により、本体ケース2の側壁に沿って前進/後退する。ローディングスライダ41がベゼル3から離れる方向に移動(前進)するときに、ディスクDが本体ケース2内に搬入され、後退するときに本体ケース2から搬出される。
【0027】
また、ローディングスライダ41には、カム溝43、44が形成されている。このカム溝43は、ガイドスリット28と重なっており、これらにリンクレバー27のカムピン27aが嵌合している(図5参照)。ローディングスライダ41の前進/後退により、カム溝43とガイドスリット28とが共働して、リンクレバー27を移動させる。また、カム溝44には、リンクレバー45のカムピン45aと、リンクレバー46のカムピン46aとが嵌合しており、ローディングスライダ41が前進/後退するときに、リンクレバー45、46は、軸47、48を中心にして回転する。
【0028】
前記リンクレバー45には、カムピン45bが形成されている。このカムピン45bは、従動スライダ52の長孔52aに嵌合している。この従動スライダ52は、ガイド孔52bにピン54が嵌合しており、またベースバネル10に固定したガイド板53が背面をガイドしている。
【0029】
前記リンクレバー46は、ピン56を介してリンクアーム57に連結されている。このリンクアーム57は、ピン58を介してベース部24bに連結されている。このベース部24bは、ベースパネル10の表面に配置されたディスク支持アーム24と軸23で一体的に連結されている。ベース部24bの周囲に、スイッチ59が配置されており、ディスクDの押し込みでディスク支持アーム24が所定量揺動されたときにONする。このスイッチ59からの信号で、制御回路(図示せず)はローディングモータ38を回転させ、ディスク搬送機構40によるディスクDの自動搬入を開始する。
【0030】
前記リンクアーム57は、第1アーム57aと、この第1アーム57aに対してスライド可能に連結された第2アーム57bと、リンクアーム57を最短状態に保つためのバネ57cとから構成されている。この伸縮可能なリンクアーム57により、ディスクDがユーザーによって本体ケース2内に押し込まれている間、すなわちディスク搬送機構40による自動搬入が開始されるまで、リンクレバー46を作動させることなく、ディスク支持アーム24の揺動を可能にする。
【0031】
図5に示すように、ローディングスライダ41は柱状をしており、ガイドプレート62と、本体ケース2の底板2aとの間で摺動する。このガイドプレート62はガイドスリット28を備え、ベースパネル10に固定されている。ローディングスライダ41は、前述したように、ラックギヤ42、カム溝43、44が形成されている。
【0032】
前記カム溝44は、横溝部44a、縦溝部44b、傾斜部44c、縦溝部44d、横溝部44eが連続して形成されている。ディスクDの装填前には、リンクレバー46のカムピン46aが横溝部44aに入っており、リンクレバー45のカムピン45aが縦溝部44dに入っている。
【0033】
従動スライダ52には、昇降フレーム11の昇降ピン29が嵌合し、昇降フレーム11を昇降させるための昇降用カム溝65が形成されている。この昇降用カム溝65は、昇降フレーム11を下降位置に保つための低位部65a、昇降フレーム11を上昇または下降させるための傾斜部65b、昇降フレーム11を記録/再生位置に保つための高位部65cが連続して形成されている。なお、従動スライダ52は、その前後がベースパネル10の折り曲げ部10bとガイド板53とでガイドされている(図7参照)。
【0034】
図6及び図7に示すように、保持部材17は、コイルバネ71a〜71c及び支持軸72a〜72cにより、昇降フレーム11の先端部に揺動可能に取り付けられている。保持部材17は、スピンドルモータ14が取り付けられる円形をした底板部17aと、この底板部17aから上方に曲げ加工された円弧形の折り曲げ部17bと、この折り曲げ部17bから側方に延びる取付部17cとを備える。この取付部17cには、先端にネジを形成した支持軸72a〜72cが挿通される挿通孔74a〜74cが形成されている。支持軸72a〜72cは、コイルバネ71a〜71cに挿通された状態で挿通孔74a〜74cを介して、昇降フレーム11のネジ孔75a〜75cに螺合している。保持部材17は、図7(C)に示す記録/再生位置(平行位置)では、コイルバネ71a〜71cにより、昇降フレーム11に密着するように付勢され、図7(A)に示す下降位置(退避位置)では、コイルバネ71a〜71cに抗して昇降フレーム11に対して傾いている。なお、コイルバネ71a〜71cの代わりに板バネを用いてもよい。
【0035】
保持部材17には、昇降フレーム11の側面から突出するように突出部材76が取り付けられている。この突出部材76には、保持部材17を揺動するための揺動ピン77が設けられている。突出部材76は、昇降フレーム11の側面に形成された切欠き78を通って昇降フレーム11の側面から突出する。さらに、揺動ピン77は、ローディングスライダ41に向かって突出している。この揺動ピン77は、支持軸72aと支持軸72bとを結ぶ線よりもスロット3a側に設けられているため、揺動ピン77がローディングスライダ41に形成された揺動用カム溝63(図5参照)に沿って揺動すると、保持部材17は支持軸72cに沿って下降し、保持部材17が、図7(A)に示すように、挿通孔74a,74bを結ぶ線を支点にして、昇降フレーム11に対して傾く。
【0036】
図5に示すように、ローディングスライダ41には、保持部材17の揺動ピン77が嵌合する揺動用カム溝63が形成されている。この揺動用カム溝63は、昇降フレーム11の昇降時に昇降フレーム11と一緒に保持部材17を昇降させるとともに、昇降フレーム11が記録/再生位置及び下降位置に位置するときに、ターンテーブルユニット13がディスク搬送方向に平行となるように保持部材17を揺動させる。この揺動用カム溝63は、保持部材17を下降位置に保つための低位部63a、保持部材17を昇降及び揺動させるための傾斜部63b、保持部材17を記録/再生位置に保つための高位部63cが連続して形成されている。
【0037】
次に、図7及び図8を参照して上記実施形態の作用について説明する。ディスクDの挿入前には、図7(A)に示すように、昇降フレーム11が下降位置にセットされている。このときには、昇降フレーム11の昇降ピン29は、従動スライダ52の昇降用カム溝65の低位部65aに位置し、そして保持部材17の揺動ピン77は、ローディングスライダ41の揺動用カム溝63の低位部63aに位置している。揺動ピン77が低位部63aに位置しているときには、図8に示すように、保持部材17はコイルバネ71a〜71cに抗して、挿通孔74a,74bを結ぶ線を支点にして、昇降フレーム11に対してスロット3a側が下降しているから、ターンテーブルユニット13は、ディスク搬送方向に平行となっている。これにより、ディスク装置1の小型化のために、昇降フレーム11の下降位置と記録/再生位置との距離を短くした場合でも、ディスクDがチャッキングヘッド16に当たらないようにしている。
【0038】
図3及び図4に示すように、ディスクDがベゼル3のスロット3aから本体ケース2内に挿入されると、ディスクDの先端縁がディスク支持アーム24のホルダー24aに支持される。このディスクDの押込みに応じて、リンクアーム57を伸長しながら、ディスク支持アーム24がベース部24bとともに、軸26を中心にして図3において反時計方向に回転する。この際に、ディスクDの先端縁は、下向きにならにようにディスクガイド片21にガイドされる。
【0039】
ディスク支持アーム24のホルダー24aが昇降フレーム11を通過する位置までディスクDが押し込まれると、ベース部24bがスイッチ59をONにする。このスイッチ59の信号に基づいてローディングモータ38が回転するから、ディスク搬送機構40が作動してディスクDの自動搬入が開始される。
【0040】
前記ローディングモータ38の回転は、ギヤトレイン39を介してローディングスライダ41に伝達される。ローディングスライダ41は、ベゼル3から離れる方向(前進方向)に移動する。ローディングスライダ41が前進すると、カム溝43によってリンクレバー27のカムピン27aが押されるため、このカムピン27aが固定のガイドスリット28に沿って移動する。これにより、リンクレバー27が移動するため、誘引アーム25が軸26を支点にして図3において時計方向に揺動する。この誘引アーム25は、その先端に取り付けたフランジ付ローラ25aがディスクDの後端縁を押す。
【0041】
また、ローディングスライダ41は、カム溝44の横溝部44aによってリンクレバー46を図4において時計方向に回転する。このリンクレバー46の回転は、リンクアーム57を介してベース部24bに伝達され、ディスク支持アーム24を図3において反時計方向に回転させる。これにより、ディスクDは、ディスク支持アーム24と誘引アーム25とで保持されて、本体ケース2内に搬入される。
【0042】
図3に示すように、ディスクDがチャッキング位置に搬入されると、ディスクDの中心孔Daがチャッキングヘッド16と一致する。このチャッキング位置に到達すると、リンクレバー27のカムピン27aが、カム溝43及びガイドスリット28の縦溝部に位置しているため、ローディングスライダ41が前進しても、誘引アーム25は停止している。同様に、リンクレバー46のカムピン46aも縦溝部44bに位置しているため、ディスク支持アーム24も停止している。
【0043】
他方、リンクレバー45のカムピン45aは横溝部44eに位置しているため、ローディングスライダ41が前進すると、カムピン45bと長孔52aとにより、従動スライダ52が図4において左方向に向かって摺動を開始する。この従動スライダ52は、ベースパネル10の折り曲げ部10bとガイド板53とで前後がガイドされ、底板2a上を摺動する。
【0044】
上記のように、ディスクDがチャッキング位置に到達した時点では、昇降フレーム11の昇降ピン29が従動スライダ52の昇降用カム溝65の傾斜部65bに、そして保持部材17の揺動ピン77がローディングスライダ41の揺動用カム溝63の傾斜部63bにそれぞれ到達する。その後は、ディスク支持アーム24と誘引アーム25とが停止した状態で、ローディングスライダ41に連動して従動スライダ52の摺動が開始する。これにより、昇降ピン29が傾斜部65bに沿って移動し、また揺動ピン77が傾斜部63bに沿って移動するから、昇降フレーム11及び保持部材17が下降位置から装着位置に向かって上昇を開始する。
【0045】
昇降フレーム11及び保持部材17が記録/再生位置に上昇すると、チャッキングヘッド16がディスクDの中心孔Daに入り込み、チャッキング爪16aに引っ掛かった状態となる。また、保持部材17は、揺動用カム溝63によって揺動され、図8に示すようにターンテーブルユニット13が昇降フレーム11とほぼ平行になっている。
【0046】
昇降フレーム11及び保持部材17が更に上昇すると、ディスクDが天板6の凹部6bによって形成された凸部で受け止められる。この状態で昇降フレーム11及び保持部材17が少し上昇すると、図7(B)に示すように、ディスクDの中心孔Daにチャッキングヘッド16が嵌まり、チャッキング爪16aで係止される。このチャッキングが完了した時点では、昇降ピン29が昇降用カム溝65の最上部に位置し、揺動ピン77が揺動用カム溝63の最上部に位置しており、昇降フレーム11及び保持部材17は装着位置にある。保持部材17は、記録/再生位置と装着位置との間では、昇降フレーム11に密着してほぼ平行を保ったまま、昇降フレーム11ととともに揺動する。
【0047】
チャッキングの完了後に、ローディングスライダ41と従動スライダ52とが移動すると、昇降ピン29が昇降用カム溝65の最上部から傾斜部を経て水平な高位部65cに入り、揺動ピン77も揺動用カム溝63の最上部から傾斜部を経て水平な高位部63cに入る。これにより、図7(C)に示すように、昇降フレーム11及び保持部材17が装着位置から僅か下がった記録/再生位置に位置決めされる。この記録/再生位置のときには、昇降フレーム11は、ディスク搬送方向に平行となっている。また、保持部材17はコイルバネ71a〜71cの付勢により、昇降フレーム11に密着した状態となり、ターンテーブルユニット13は、ディスク搬送方向に平行となっている。
【0048】
昇降フレーム11及び保持部材17が装着位置から記録/再生位置に移動する間に、カムピン27aがカム溝43で押されて、ガイドスリット28の横溝部28a内を移動する。これにより、誘引アーム25は、図3において、軸26を中心にして反時計方向に少し回転するから、フランジ付ローラ25aがディスクDの後端縁から離れる。また、リンクレバー46のカムピン46aは、カム溝44の傾斜部44cで押されるから、リンクレバー46が図4において時計方向に少し回転する。これにより、ディスク支持アーム24は、図3において、反時計方向に少し回転し、ホルダー24aがディスクDの先端縁から離れる。
【0049】
昇降フレーム11及び保持部材17が記録/再生位置にセットされた後に、ローディングモータ38が停止する。その後、スピンドルモータ14が回転して、ディスクDを高速回転する。この状態で、スレッドモータ34が回転してキャリッジ19をガイドシャフト32、33に沿って移動する。キャリッジ19上のピックアップ20は、ディスクDの半径方向に移動して、ディスクDの記録/再生を行なう。
【0050】
ディスクの記録/再生を終了する場合には押しボタン4を押す。この押しボタン4が押されると、スピンドルモータ14が停止し、またスレッドモータ34が逆転して、キャリッジ19を初期位置に復帰させる。次に、ローディングモータ38が逆転を開始する。このローディングモータ38により、ディスク搬送機構40が作動し、前述したディスクDの搬入と逆の動作が行われる。
【0051】
まず、ローディングスライダ41がベゼル3に向かって後退を開始し、同時に従動スライダ52を図4において右方向に摺動させる。このローディングスライダ41の後退により、ディスク支持アーム24と誘引アーム25とが少し揺動して、ディスクDの周縁を保持する。次に、ローディングスライダ41と従動スライダ52とにより、昇降フレーム11及び保持部材17が図7(B)に示す装着位置にいったん移動した後、図7(C)に示す記録/再生位置を通過して、図7(A)に示す下降位置に向かう。
【0052】
昇降フレーム11及び保持部材17の下降中に、ディスクガイド片21がチャッキング解除ピン22に受け止められる。この状態で昇降フレーム11及び保持部材17が下降すると、ディスクガイド片21がディスクDの下面を受け止めてその下降を阻止する。ディスクDが停止した状態で、昇降フレーム11とともにチャッキングヘッド16が下降すると、チャッキング爪16aを押し込みながら、ディスクDがチャッキングヘッド16から抜け出る。
【0053】
昇降フレーム11及び保持部材17が下降位置に到達すると、従動スライダ52の摺動が停止し、ローディングスライダ41だけが後退する。このローディングスライダ41は、ディスク支持アーム24と誘引アーム25とを揺動させ、ディスクDを保持しながら図4に示すイジェクト位置に搬出する。ディスクDが搬出されると、スイッチ59がOFFしてローディングモータ38が停止するため、ディスク搬送機構40の搬出動作が終了する。
【0054】
昇降フレーム11及び保持部材17が下降位置にあるときには、ターンテーブルユニット13は、昇降フレーム11に対して傾いてディスク搬送方向に平行となっている。昇降フレーム11にターンテーブルユニット13を固定した場合に比べて、ディスクDを搬送可能とするために必要な昇降フレーム11の下降量(記録/再生位置から下降位置までの下降量)を小さくすることができる。これにより、ディスク装置1を薄型化することができる。
【0055】
なお、従動スライダを省略し、ローディングスライダ41により、昇降フレーム11の昇降と、保持部材17の昇降及び揺動とを行ってもよい。
【0056】
また、本発明は、8cmと12cmの2種類のディスクが装填可能なディスク装置に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明のディスク装置とディスクとを示す斜視図である。
【図2】天板を取り外したディスク装置の斜視図である。
【図3】天板を取り外したディスク装置の平面図である。
【図4】底板を省略したディスク装置の底面図である。
【図5】ローディングスライダと、これに連動する従動スライダ及びリンクレバーを示す斜視図である。
【図6】昇降フレームとターンテーブルユニット保持部材とを示す分解斜視図である。
【図7】ディスクのチャッキングの動作を示す断面図である。
【図8】昇降フレームとターンテーブルユニットの動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ディスク装置
11 昇降フレーム
13 ターンテーブルユニット
14 スピンドルモータ
15 ターンテーブル
17 保持部材
29 昇降ピン
40 ディスク搬送機構
41 ローディングスライダ
52 従動スライダ
63 揺動用カム溝
65 昇降用カム溝
77 揺動ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを回転させるターンテーブルユニットと、前記ディスクの回転中にデータを記録/再生するピックアップヘッドとを備えたディスク装置において、
前記ディスクの装填時に本体ケースのスロットから挿入された前記ディスクを保持して前記ターンテーブルユニット上に搬入し、前記ディスクの排出時に前記ターンテーブルユニット上のディスクを保持して前記スロットから搬出するディスク搬送機構と、
前記ピックアップヘッドを移動可能に保持し、前記スロット側にある後端側を支点にして先端側が揺動して昇降動する昇降フレームと、
前記ターンテーブルユニットを保持し、前記昇降フレームの前記先端側に移動自在に取り付けられたターンテーブルユニット保持部材と、
前記ディスク搬送機構に連動しており、前記ディスクにデータを記録/再生する記録/再生位置よりも上方で、前記ターンテーブルユニットに前記ディスクを装着する装着位置と、前記記録/再生位置よりも下方で、前記ディスクの搬送を可能とする下降位置との間で前記昇降フレームを昇降動させる昇降フレーム移動機構と、
前記ディスク搬送機構に連動しており、前記昇降フレームが前記記録/再生位置から前記下降位置へ下降するときに、前記ターンテーブルユニットが前記昇降フレームとほぼ平行となる平行位置から、前記ターンテーブルユニットの前記スロット側部分が前記昇降フレームから下降して傾いた退避位置へ移動するように、前記ターンテーブルユニット保持部材を揺動させるターンテーブルユニット移動機構と、
を備えたことを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記ディスク搬送機構は、前記ディスクの搬送時にスライドするローディングスライダと、前記ローディングスライダに連動してスライドする従動スライダと、前記ローディングスライダまたは前記従動スライダに連動して、前記ディスクを両側から保持して揺動する複数のアームとを備えていることを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
【請求項3】
前記昇降フレーム移動機構は、前記昇降フレームに取り付けられた昇降ピンと、前記従動スライダまたは前記ローディングスライダに形成され、前記昇降ピンが挿入される昇降用カム溝とを備えていることを特徴とする請求項2記載のディスク装置。
【請求項4】
前記ターンテーブルユニット移動機構は、前記ターンテーブルユニット保持部材に取り付けられた揺動ピンと、前記ローディングスライダに形成され、前記揺動ピンが挿入される揺動用カム溝とを備えていることを特徴とする請求項2または3記載のディスク装置。
【請求項5】
前記ターンテーブルユニット保持部材は、前記昇降フレームに取り付けられた複数の支持軸に移動可能に嵌合され、前記支持軸に装着したコイルバネで前記昇降フレームに向けて付勢されていることを特徴とする請求項1ないし4いずれか1つ記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−129132(P2010−129132A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303925(P2008−303925)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000003676)ティアック株式会社 (339)
【Fターム(参考)】