ディスク装置
【課題】搬出時におけるディスクの落下を確実に防止し、ディスクの搬入及び搬出を円滑に行うことができるディスク装置を提供する。
【解決手段】ディスクを搬出した場合に、移動片4aaを保持部材4bに接近させて、ディスクを強固に保持し、ディスクの落下を確実に防止することができる。またディスクを搬入している途中又は搬出している途中に、移動片4aaを保持部材4bから離反させて、移動片4aa及び保持部材4bとディスクとの摩擦力を軽減し、第1駆動ローラ及び第2駆動ローラとディスクとが滑ることを防止することができる。
【解決手段】ディスクを搬出した場合に、移動片4aaを保持部材4bに接近させて、ディスクを強固に保持し、ディスクの落下を確実に防止することができる。またディスクを搬入している途中又は搬出している途中に、移動片4aaを保持部材4bから離反させて、移動片4aa及び保持部材4bとディスクとの摩擦力を軽減し、第1駆動ローラ及び第2駆動ローラとディスクとが滑ることを防止することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクを保持する保持部材を挿入口に設けたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)、DVD(Digital Yersatile Disc)及びBD(Blu-ray Disc)などの記録媒体(ディスク)は、データを記録する記録密度が従来のテープなどの記録媒体に比べて高く、小型であってもデータ量の大きな音声データ及び映像データを高精細に記録することができる。そのためディスクに対して音声データ、映像データの記録及び再生を行うディスク装置は一般に広く普及している。
【0003】
ディスク装置は、搬入されたディスクに対してデータの記録又は再生を行い、またデータの記録又は再生を終了して、ディスクを搬出する。以前より、ディスクを搬入及び搬出するためのトレイを備えたディスク装置が提案されている。ユーザは、データを記録又は再生するためにトレイを搬出させて、ディスクをトレイに載置する。またユーザは、ディスクを回収するためにトレイを搬出させて、ディスクを取り出す。一般にピックアップなどの記録部及び読取部は、ディスク装置内において、トレイを挟んでディスクと反対側に配置されている。このためユーザは、ディスクの記録面側をトレイに載置する必要があるが、ユーザの取り扱いによっては、トレイに載置する場合にディスクの記録面が損傷することがある。
【0004】
特許文献1には、いわゆるスロットイン方式のディスク装置が開示されている。該ディスク装置は、ディスクを搬送する搬送部を備えており、ディスク装置の前面に設けたスロットにディスクを直接挿入することで、ディスクが搬送部によって自動的に搬送される。搬送部はローラを備えており、該ローラがディスクの外周部分に当接して回転することで、ディスクの搬入及び搬出が行われる。互いに対向するスロットの両縁部には、ディスクを保持する柔軟な保持部材が設けてあり、ディスクの搬入及び搬出時における記録面の損傷を防止している。またディスクの搬出時には、該保持部材によってディスクを保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−21618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スロットイン方式のディスク装置において、ディスクの落下を確実に防止するためには、スロットの各縁部に設けた保持部材同士を近接させて、ディスクを強固に挟持することが望ましい。しかし、保持部材にてディスクを強固に挟持した場合、ディスクの外周部分に当接する搬送部のローラが滑り、ディスクの搬入及び搬出に支障をきたすおそれがある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、搬出時におけるディスクの落下を確実に防止し、ディスクの搬入及び搬出を円滑に行うことができるディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るディスク装置は、ディスクを収容する筐体と、該筐体に設けた挿入口と、前記筐体内に配置してあり、ディスクへの情報の読出し又は書込みを行う記録/再生部と、該記録/再生部と前記挿入口との間でディスクを搬送する搬送部と、前記挿入口の縁部に設けてあり、ディスクを保持する保持部材とを備えるディスク装置において、前記縁部の一部に移動可能に設けた保持部材の移動を行う移動手段と、前記筐体に収容されたディスクが前記記録/再生部から前記挿入口へ搬出されたことを検出する搬出検出手段と、前記搬出検出手段にてディスクの搬出が検出された場合に、前記移動手段を駆動して、前記保持部材を前記縁部の一部に対向する前記縁部の他部に接近させる手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、ディスクを搬出した場合に、挿入口の縁部の一部に設けた保持部材を前記挿入口の縁部の他部に接近させて、ディスクを強固に保持し、ディスクの落下を確実に防止し、ディスクの搬入及び搬出を円滑に行う。
【0010】
本発明に係るディスク装置は、前記挿入口にディスクが挿入されたことを検出する挿入検出手段と、該挿入検出手段にてディスクの挿入が検出された場合に、前記移動手段を駆動して、前記保持部材を前記縁部の他部から離反させる手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、ディスクを挿入する場合に、前記縁部の一部に設けた保持部材を前記縁部の他部から離反させて、保持部材とディスクとの摩擦力を低減し、搬送部への負荷を軽減する。
【0012】
本発明に係るディスク装置は、前記移動手段は、前記縁部の一部と前記縁部の他部との間にて前記保持部材を移動させるようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、前記挿入口に挿入されたディスクに対する保持部材の接近及び離反を容易に行うことができる。
【0014】
本発明に係るディスク装置は、前記移動手段は、前記縁部の一部に沿う軸回りに前記保持部材を回動させるようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、前記縁部の一部に設けた保持部材と前記縁部の他部との距離を微調整し、ディスクを挟持する挟持力を精度良く調整することができる。
【0016】
本発明に係るディスク装置は、前記挿入口はスロットであり、前記移動手段は、前記挿入口の両端部にて前記保持部材を移動させるようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、搬出時にディスクの両側を保持部材にて保持することで、搬出されたディスクが安定する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るディスク装置にあっては、ディスクを搬出する場合に、挿入口の縁部の一部に設けた保持部材を前記挿入口の縁部の他部に接近させて、ディスクを強固に保持し、ディスクの落下を確実に防止することができる。またディスクの搬入及び搬出を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1に係るディスク装置の概要を示す斜視図である。
【図2】ディスク装置の記録再生部及び搬送機構の概要を示す平面図である。
【図3】記録再生部及びフロントアームの概要を示す平面図である。
【図4】搬入途中のディスクとフロントアームの配置を示す説明図である。
【図5】ディスク、第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチの配置を示す説明図である。
【図6】スロット付近の構成を示す拡大模式図である。
【図7】制御部付近の構成を示すブロック図である。
【図8】ディスクの搬入時における移動片の移動処理を説明するフローチャートである。
【図9】ディスクの搬出時における移動片の移動処理を説明するフローチャートである。
【図10】実施の形態1に係るディスク装置の変形例を説明する説明図である。
【図11】実施の形態2に係るディスク装置のスロット付近の構成を示す拡大模式図である。
【図12】ディスクの搬出時における移動片の移動処理を説明するフローチャートである。
【図13】実施の形態2に係るディスク装置の変形例を説明する説明図である。
【図14】実施の形態3に係るディスク装置のスロット付近の構成を示す拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係るディスク装置を示す図面に基づいて詳述する。図1は、実施の形態1に係るディスク装置の概要を示す斜視図である。
ディスク装置1は、略直方体の筐体3を有する。該筐体3は扁平状をなし、対向する二つの大面部と、大面部の縁部分に連なる四つの小面部とを備える。小面部の一つに、大面部の縁に平行なスロット(挿入口)4が設けてある(以下スロット4を設けた小面部を前面部という)。該スロット4は、筐体3の前面部の長縁部と略平行である。スロット4は、長手方向の寸法がディスク2の直径よりも若干長く、また長手方向に垂直な方向の寸法(幅寸法)がディスク2の厚さよりも若干長い。スロット4の両長縁部には、ディスク2を保持する保持部材4a、4bがそれぞれ設けてあり、保持部材4a、4bは互いに対向している。保持部材4a、4bは、接触時にディスク2の記録面に傷をつけない程度の柔軟性を備える素材(例えばフェルトなどの布素材)から構成されている。保持部材4a、4bの対向間距離は、ディスク2の厚さよりも短い。
【0021】
ディスク2の両側面は、情報を記録する記録面と情報を記録しない非記録面とになっている。ディスク2は、側面に垂直な方向がスロット4の長手方向に直交するように、スロット4に挿入されるか又はスロット4から搬出される。ディスク2は、記録面が保持部材4bに対向するようにスロット4に挿脱される。保持部材4a、4bは、記録再生部5から搬出されたディスク2を後述する取り出し位置で保持する。保持部材4bは、挿脱されるディスク2の記録面をディスク2の挿脱のたびに清掃する。
【0022】
筐体3の内部には、ディスク2に対する情報の記録及び再生を行う記録再生部5(記録/再生部)と、ディスク2を搬送する搬送機構6(搬送部)とが設けられている。搬送機構6は、スロット4と記録再生部5との間に配置されている。搬送機構6は、搬入開始位置と記録再生部5との間、又は取り出し位置と記録再生部5との間でディスク2を搬送する。
【0023】
搬入開始位置は、スロット4にディスク2の一部が差し込まれた状態で、搬入が開始されるディスク2の位置である。取り出し位置は、スロット4からディスク2の一部が突出した状態で、停止したディスク2の位置である。以下、ディスク2が搬入開始位置から記録再生部5へ搬送される方向を搬入方向といい、その反対方向を搬出方向という。
【0024】
図2は、ディスク装置1の記録再生部5及び搬送機構6の概要を示す平面図、図3は記録再生部5及びフロントアーム62L、62Rの概要を示す平面図である。
【0025】
記録再生部5は、搬送機構6よりも筐体3の内奥に位置している。記録再生部5は、回転駆動部51、光ピックアップ52及び光ピックアップ駆動モータ53を備えている。
【0026】
回転駆動部51は、図示しないスピンドルモータ及びスピンドルモータと一体的に取り付けられたターンテーブル51aを有する。ターンテーブル51aは、ディスク2のセンタ孔2aに嵌合するセンタリング部51bを有する。ターンテーブル51aは、センタリング部51bに嵌合したディスク2を、図示しないクランパと共に挟持する。そして、ターンテーブル51aは、スピンドルモータの回転駆動によりディスク2を回転させる。
【0027】
光ピックアップ52は、回転駆動部51の隣に位置している。光ピックアップ52は、回転しているディスク2に対して光ビームを照射し、ディスク2で反射された光ビームを検出する。光ピックアップ52により検出された光ビームは、光電変換され、電気信号として出力される。
【0028】
光ピックアップ駆動モータ53は、回転駆動部51及び光ピックアップ52よりも、筐体3の内奥側に離隔した位置にある。光ピックアップ駆動モータ53は、図示しない案内軸を介して光ピックアップ52をトラバース移動(ディスク2の径方向へ移動)させる。
【0029】
搬送機構6は、板状のブラケット61を備えている。ブラケット61は図示しないフレームに支持されている。ブラケット61とフレームとの間にローラ駆動モータ15が配設してあり、ローラ駆動モータ15は、伝動部材を介して後述する第1ギア62R3に連結してある。
ブラケット61の左右部分には、開口部615L、615Rがそれぞれ設けてある。またブラケット61の左部分に、後述する軸62LAを中心とする略円弧状のガイド孔616が開設してある。
【0030】
ブラケット61の左右に、扇形の板状をなすフロントアーム62L、62Rがそれぞれ設けてある。フロントアーム62L、62Rは、扇形の要部分が互いに対向するように配してある。フロントアーム62L、62Rは、ブラケット61に対面しており、ブラケット61よりもローラ駆動モータ15側に位置している。
【0031】
フロントアーム62L、62Rの円弧状の縁部分の内、スリット4側の部分に、軸62LA、62RAが連結している。軸62LA、62RAは、フロントアーム62L、62Rに直角であり、フロントアーム62L、62Rは、軸62LA、62RAを中心にして、搬入方向及び搬出方向に回動することができる。なおフロントアーム62L、62Rは、図示しない弾性部材によって、スリット4側(搬出方向)に付勢されている。
【0032】
扇形のフロントアーム62Lの円弧状の縁部分に、第1固定ローラ62L4及び第2固定ローラ62L5が、記録再生部5へ向けて順に並設してある。第1固定ローラ62L4は、前記開口部615Lから突出している。第2固定ローラ62L5は、ブラケット61の縁部分よりも外側に位置しており、第1固定ローラ62L4と同方向に突出している。第1固定ローラ62L4及び第2固定ローラ62L5は、フロントアーム62Lに垂直な方向を軸方向として回転することができる。第1固定ローラ62L4及び第2固定ローラ62L5は、ディスク2が挿入された場合に、ディスク2の外周部分が第1固定ローラ62L4及び第2固定ローラ62L5に当接するように配置してある。
【0033】
フロントアーム62Lの中央部分に、円弧状のガイド孔62L2が開設してある。該ガイド孔62L2は、ブラケット61のガイド孔616に対応している。ガイド孔62L2及びガイド孔616には、検知レバー642が挿通しており、検知レバー642はガイド孔616から突出している。押圧を受けた検知レバー642は、ガイド孔62L2及びガイド孔616に案内されて移動する。なお前記弾性部材によって、検知レバー642は、スリット4側(搬出方向)に付勢されている。
【0034】
扇形のフロントアーム62Rの円弧状の縁部分に、第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7が、記録再生部5へ向けて順に並設してある。第1駆動ローラ62R6は、前記開口部615Rから突出している。第2駆動ローラ62R7は、ブラケット61の縁部分よりも外側に位置しており、第1駆動ローラ62R6と同方向に突出している。
【0035】
第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7は、ディスク2が挿入された場合に、ディスク2の外周部分が第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7に当接するように配置してある。なお第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7は、その周面に図示しないギア部を備えている。
【0036】
フロントアーム62Rの中央部分には、フロントアーム62Rに垂直な三つの支軸(図示せず)が内奥へ向けて並設してある。該支軸に、第1ギア62R3、第2ギア62R4及び第3ギア62R5が、それぞれ回転可能に支持されている。第1ギア62R3は、第1駆動ローラ62R6のギア部に噛合しており、第3ギア62R5は第2駆動ローラ62R7のギア部に噛合している。第2ギア62R4は、第1ギア62R3及び第3ギア62R5に噛合している。
【0037】
前記ローラ駆動モータ15の駆動によって、第1ギア62R3が回転し、第2ギア62R4が回転する。第2ギア62R4は、第3ギア62R5を回転させる。第1ギア62R3及び第3ギア62R5の回転方向は、同一方向である。そのため第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7は、同方向に回転する。
なお、第1ギア62R3及び第3ギア62R5の単位時間当たりの回転数は同じになるように、第1ギア62R3、第2ギア62R4及び第3ギア62R5の径寸法と歯数とは設定されている。
【0038】
図4は、搬入途中のディスク2とフロントアーム62L、62Rの配置を示す説明図である。
ディスク2がスロット4に挿入され、ディスク2の外周部分が第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7に接触して、ローラ駆動モータ15が正回転した場合に、ディスク2は、記録再生部5に向けて搬送される。このとき図4に示すように、フロントアーム62L、62Rは軸62LA、62RAを中心にして、記録再生部5側に回動する。検知レバー642は、ディスク2の押圧及び弾性部材の付勢力によってガイド孔62L2及びガイド孔616に案内されて移動する。
【0039】
一方ディスク2の外周部分が第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7に接触した状態で、ローラ駆動モータ15が逆回転した場合に、ディスク2は、記録再生部5から搬出される。このとき図3に示すように、フロントアーム62L、62Rは軸62LA、62RAを中心にして、記録再生部5と反対側(スロット4側)に回動する。検知レバー642は、ディスク2の押圧及び弾性部材の付勢力によってガイド孔62L2及びガイド孔616に案内されて移動する。
【0040】
図5は、ディスク2、第1スイッチ16、第2スイッチ17及び第3スイッチ18の配置を示す説明図である。
フロントアーム62Lを挟んで、ブラケット61の反対側に、第1スイッチ16、第2スイッチ17及び第3スイッチ18が設けてある。第1スイッチ1はスロット4に近い位置に、第2スイッチ17はスロット4から遠い位置に配置されている。また、第3スイッチ18は、第1スイッチ16と第2スイッチ17の間に配置されている。第1スイッチ16〜第3スイッチ18は検知レバー642の移動経路上に配置されている。各スイッチのオン/オフ状態は、検知レバー642に押圧されて切り替わる。
【0041】
スロット4からディスク2を差し込んだ場合、ディスク2は第1固定ローラ62L4、第2固定ローラ62L5、第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7と当接する(図5の実線位置)。また、ディスク2は、検知レバー642と当接する。ディスク2が更に挿入された場合、検知レバー642がディスク2の外周部分に押圧される。検知レバー642は、第1スイッチ16を押圧し、オン状態にする(図5の一点鎖線位置)。
【0042】
その後、ディスク2が図5の一点鎖線位置よりわずかに搬入方向へ搬入された場合、検知レバー642は、第3スイッチ18を押下し、第3スイッチ18をオン状態にする。
【0043】
更にディスク2の搬入が継続し、ディスク2が図5の点線位置に達した場合、検知レバー642は第2スイッチ17を押圧し、オン状態にする。
【0044】
記録再生部5にてクランパに挟持されたディスク2の搬出が開始された場合、検知レバー642はディスク2の外周部分に押される。ディスク2の押圧によって、検知レバー642が第2スイッチ17を押圧した場合、第2スイッチ17は、オフ状態に切り替わる。
【0045】
ディスク2の搬出が更に進行し、検知レバー642が第3スイッチ18を押圧した場合、第3スイッチ18はオフ状態となる。このときディスク2は取り出し位置に搬出されている(図5の二点鎖線位置)。取り出し位置にあるディスク2をユーザが取り出した場合、検知レバー642は第1スイッチ16を押圧し、第1スイッチ16はオフ状態となる。
【0046】
次にスロット4付近の構成を説明する。図6はスロット4付近の構成を示す拡大模式図である。
保持部材4aは、その両端部に移動可能な移動片4aa、4aaを備えている。移動片4aa、4aaと、移動片4aa、4aa以外の保持部材4aの部分とは分離している。筐体3の前面部には、移動片4aaに隣接する部分にて、凹形の収容室30が形成してある。該収容室30の底部に、弾性部材71が設けてある。収容室30には、柱状の脚部70が収容してあり、弾性部材71によってスロット4へ向けて付勢されている。脚部70と移動片4aaとは連結されている。
【0047】
筐体3内にモータ72が配設してある。該モータ72の回転軸72aには、円形の偏心カム73が連結しており、該偏心カム73の側面は、スロット4を設けた筐体3の前面部に対向している。回転軸72aと偏心カム73との連結位置は、偏心カム73の中心からスロット4に直交する方向に偏倚した位置である。
【0048】
偏心カム73の周面には、係合溝73aが設けてある。該係合溝73aには、スロット4側において、従動輪74が係合している。該従動輪74と前記脚部70とは連結杆75によって連結されている。
連結杆75の中央部は、筐体3の前面部に垂直な枢軸76によって回動可能に支持されている。連結杆75の両端部には、筐体3の前面部に垂直な枢軸77、78がそれぞれ設けてあり、各枢軸77、78には従動輪74と脚部70とが回動可能に連結している。
【0049】
図6の矢印で示すように、モータ72の駆動によって、偏心カム73は回転し、スロット4に直交する方向に往復移動する。
偏心カム73がスロット4から離反した場合、弾性部材71の付勢力によって脚部70はスロット4へ接近し、図6の矢印で示すように移動片4aaは保持部材4bに近接する。このとき連結杆75は、枢軸76を中心にして回転し、従動輪74はスロット4から離反し、偏心カム73に当接する。なお移動片4aaが保持部材4bに近接した場合、移動片4aaと保持部材4bとの間はディスク2の厚みに対して充分に小さい。
【0050】
一方偏心カム73がスロット4に接近した場合、偏心カム73は従動輪74を押圧する。従動輪74への押圧によって、連結杆75は、枢軸76を中心にして回転し、脚部70は弾性部材71の付勢力に抗してスロット4から離反する方向へ移動する。そのため図6の矢印で示すように、移動片4aaは保持部材4bから離反する。なお各移動片4aa、4aaに、上述したモータ72などからなる機構が連結してある。
【0051】
前述したモータ72の駆動は制御部によって制御される。図7は、制御部付近の構成を示すブロック図である。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を備えており、後述する制御プログラムに基づいて処理を実行する。制御部11には、第1スイッチ16〜第3スイッチ18からオン又はオフ信号が入力され、信号入力部12から制御信号(例えばディスクを排出することを示すイジェクト信号)が入力される。
【0052】
制御部11からローラ駆動モータ15及びモータ72に駆動信号が出力され、ローラ駆動モータ15及びモータ72は正逆回転する。
制御部11は、記憶部13及び記録再生部5と接続してあり、記憶部13及び記録再生部5との間で信号を送受信して、データの送受信、駆動信号の送信などを行う。なお記憶部13は、制御部11が実行する処理に係る制御プログラムを記憶してあるROM(Read Only Memory)、制御プログラムの実行中に生じる作業変数等を記憶するRAM(Random Access Memory)を備えている。
【0053】
次に制御部11による移動片の移動処理について説明する。図8は、ディスクの搬入時における移動片の移動処理を説明するフローチャートである。なお初期状態において、偏心カム73はスロット4に接近しており、移動片4aaは保持部材4bに近接しているものとする。
【0054】
制御部11は、第1スイッチ16からオン信号が入力されたか否かを判定し(ステップS1)、第1スイッチ16からオン信号が入力されるまで待機する(ステップS1:NO)。第1スイッチ16からオン信号が入力された場合(ステップS1:YES)、スロット4にディスク2が挿入されており、制御部11は、モータ72に正回転信号を出力する(ステップS2)。このときローラ駆動モータ15が回転し、ディスク2が記録再生部5へ搬入されている。モータ72は所定数正回転し、移動片4aaは保持部材4bから離反する。スロット4に垂直な方向において、移動片4aaの位置は他の保持部材4aと略同じ位置となり、搬入時における移動片4aaとディスク2との摩擦力は低減する。
【0055】
次に制御部11は、第2スイッチ17からオン信号が入力されたか否かを判定し(ステップS3)、第2スイッチ17からオン信号が入力されるまで待機する(ステップS3:NO)。第2スイッチ17からオン信号が入力された場合(ステップS3:YES)、ローラ駆動モータ15は停止し、ディスク2の記録再生部5への搬入は終了している。制御部11は、モータ72に逆回転信号を出力する(ステップS4)。このときモータ72は所定数逆回転し、移動片4aaは保持部材4bに近接する。
【0056】
信号入力部12から制御部11に、イジェクト信号が入力された場合、制御部11はディスク2の搬出を行う。図9はディスクの搬出時における移動片の移動処理を説明するフローチャートである。
制御部11は、信号入力部12からイジェクト信号が入力されたか否か判定し(ステップS11)、信号入力部12からイジェクト信号が入力されるまで待機する(ステップS11:NO)。信号入力部12からイジェクト信号が入力された場合(ステップS11:YES)、制御部11は、第2スイッチ17からオフ信号が入力されたか否かを判定し(ステップS12)、第2スイッチ17からオフ信号が入力されるまで待機する(ステップS12:NO)。
【0057】
第2スイッチ17からオフ信号が入力された場合(ステップS12:YES)、ディスク2の搬出が開始しており、制御部11は、モータ72に正回転信号を出力する(ステップS13)。このときローラ駆動モータ15が回転し、ディスク2は記録再生部5から搬出されている。モータ72は所定数正回転し、移動片4aaは保持部材4bから離反する。スロット4に垂直な方向において、移動片4aaの位置は他の保持部材4aと略同じ位置となり、搬出時における移動片4aaとディスク2との摩擦力は低減する。
【0058】
次に制御部11は、第3スイッチ18からオフ信号が入力されたか否かを判定し(ステップS14)、第3スイッチ18からオフ信号が入力されるまで待機する(ステップS14:NO)。第3スイッチ18からオフ信号が入力された場合(ステップS14:YES)、ローラ駆動モータ15は停止し、ディスク2は取り出し位置に搬出されている。制御部11は、逆回転信号を出力する(ステップS15)。このときモータ72は所定数逆回転し、移動片4aaは保持部材4bに近接するので、取り出し位置に搬出されたディスク2は、移動片4aaと保持部材4bとの間で挟持されている。
【0059】
実施の形態1に係るディスク装置にあっては、ディスク2を搬出した場合に、移動片4aaを保持部材4bに接近させて、ディスク2を強固に保持し、ディスク2の落下を確実に防止することができる。
【0060】
またディスク2を搬入している途中又は搬出している途中に、移動片4aaを保持部材4bから離反させているので、移動片4aa及び保持部材4bとディスク2との摩擦力が軽減される。そのため第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7とディスク2とが滑ることを防止し、ディスク2の搬入及び搬出を円滑に行うことができる。またディスク2の搬出時における搬送機構6への負担を軽減することができる。
【0061】
また前記スロット4に挿入されたディスク2に対する移動片4aaの接近及び離反を容易に行うことができる。
【0062】
またディスク2の両側を移動片4aa、4aaと保持部材4bとによって保持するので、搬出されたディスク2が安定し、ディスク2の落下を確実に防止することができる。
【0063】
なお実施の形態1に係るディスク装置1は、縦置き型ディスク装置であっても良いし、横置き型ディスク装置であっても良い。また実施の形態1に係るディスク装置1は、移動片4aaを移動させるために偏心カム73を使用しているが、これに限るものではない。例えば脚部70を磁性体にて構成し、図10に示すように、脚部70の周囲にソレノイド80を設けて、制御部11からの出力信号によって、ソレノイド80に流す電流の向き及び電流値を調整して移動片4aaの移動を制御しても良い。この場合、制御部11は移動片4aaの移動方向及び移動距離を調整することができるので、ディスク装置1は移動片4aaと保持部材4bとの距離を微調整し、ディスク2を挟持する挟持力を精度良く調整することができる。
【0064】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係るディスク装置を示す図面に基づいて詳述する。図11は、実施の形態2に係るディスク装置のスロット付近の構成を示す拡大模式図である。前記収容室30の底部に、弾性部材79、79が設けてある。収容室30に柱状の脚部70が収容してあり、脚部70は弾性部材79、79に連結してある。脚部70は、弾性部材79、79によってスロット4から離反する方向に付勢されている。前記係合溝73aには、スロット4と反対側において、従動輪74が係合している。
【0065】
図11の矢印にて示すように、モータ72の駆動によって偏心カム73は回転し、スロット4に直交する方向に往復移動する。
偏心カム73が回転し、スロット4に接近した場合、弾性部材79、79の付勢力によって、脚部70はスロット4から離反し、図11の矢印にて示すように、移動片4aaは保持部材4bから離反する。このとき連結杆75は、枢軸76を中心にして回転し、従動輪74は偏心カム73に接近し、偏心カム73に当接する。
【0066】
一方偏心カム73がスロット4から離反した場合、従動輪74は偏心カム73から押圧される。従動輪74は、スロット4から離反する。連結杆75は、枢軸76を中心にして回転し、弾性部材79、79の付勢力に抗して、脚部70はスロット4へ接近する。図11の矢印にて示すように、移動片4aaは保持部材4bに近接する。移動片4aaが保持部材4bに近接した場合、移動片4aaと保持部材4bとの間はディスク2の厚みに対して充分に小さい。
【0067】
次に制御部11による移動片の移動処理について説明する。図12は、ディスクの搬出時における移動片の移動処理を説明するフローチャートである。なお初期状態(ディスク2の搬入時)において、偏心カム73はスロット4に接近しており、移動片4aaは保持部材4bから離反しているものとする。
【0068】
制御部11は、信号入力部12からイジェクト信号が入力されたか否か判定し(ステップS21)、信号入力部12からイジェクト信号が入力されるまで待機する(ステップS21:NO)。信号入力部12からイジェクト信号が入力された場合(ステップS21:YES)、制御部11は、第3スイッチ18からオフ信号が入力されたか否かを判定し(ステップS22)、第3スイッチ18からオフ信号が入力されるまで待機する(ステップS22:NO)。
【0069】
第3スイッチ18からオフ信号が入力された場合(ステップS22:YES)、ディスク2は取り出し位置に搬出されており、制御部11は、モータ72に正回転信号を出力する(ステップS23)。このときモータ72は所定数正回転し、移動片4aaは保持部材4bに接近する。取り出し位置に搬出されたディスク2は、移動片4aaと保持部材4bとによって挟持される。
【0070】
次に制御部11は、第1スイッチ16からオフ信号が入力されたか否かを判定し(ステップS24)、第1スイッチ16からオフ信号が入力されるまで待機する(ステップS24:NO)。第1スイッチ16からオフ信号が入力された場合(ステップS24:YES)、ディスク2はユーザによって取り出されていると考えられる。制御部11は、逆回転信号を出力する(ステップS25)。このときモータ72は所定数逆回転し、移動片4aaは保持部材4bから離反する。
【0071】
なおディスク2の搬入時において移動片4aaは保持部材4bから離反しているため、ディスク2の搬入は円滑に行われる。
【0072】
実施の形態2に係るディスク装置にあっては、ディスク2を搬出した場合に、移動片4aaを保持部材4bに接近させて、ディスク2を強固に保持し、ディスク2の落下を確実に防止することができる。また前記スロット4に挿入されたディスク2に対する移動片4aaの接近及び離反を容易に行うことができる。またディスク2の両側を移動片4aaと保持部材4bとにて保持するので、搬出されたディスク2が安定し、ディスク2の落下を確実に防止することができる。
【0073】
なお実施の形態2に係るディスク装置1は、移動片4aaを移動させるために偏心カム73を使用しているが、これに限るものではない。例えば脚部70を磁性体にて構成し、図13に示すように、脚部70の周囲にソレノイド80を設けて、制御部11からの出力信号によって、ソレノイド80に流す電流の向き及び電流値を調整して移動片4aaの移動を制御しても良い。この場合、制御部11は移動片4aaの移動方向及び移動距離を調整することができるので、ディスク装置1は移動片4aaと保持部材4bとの距離を微調整し、ディスク2を挟持する挟持力を精度良く調整することができる。
【0074】
実施の形態2に係るディスク装置1の構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0075】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係るディスク装置を示す図面に基づいて詳述する。図14は実施の形態3に係るディスク装置のスロット付近の構成を示す拡大模式図である。
移動片4aaは、他の保持部材4aよりも保持部材4b側へ突出している。筐体3の前面部に、収容室30に連なる伝動機構収容室31が設けてある。該伝動機構収容室31には、ギヤボックス90及び伝動軸91を収容してある。伝動軸91は、収容室30に収容された脚部70に接続してあり、スロット4と平行である。
【0076】
ギヤボックス90にはベベルギアなどが収容してある。ギヤボックス90を介して、モータ72の回転軸72aと伝動軸91とが互いに直交するように接続してある。モータ72の駆動は、ギヤボックス90及び伝動軸91を介して脚部70に伝達する。そして図14の矢印にて示すように、移動片4aaはスロット4と平行な軸周りを揺動する。
【0077】
制御部11は、モータ72の駆動を制御し、スロット4と平行な軸の周りにおける移動片4aaの位置を調整する。そのため、前記軸回りにおける移動片4aaの位相を調整することで、移動片4aaと保持部材4bとの距離を微調整し、ディスク2を挟持する挟持力を精度良く調整することができる。
【0078】
実施の形態3に係るディスク装置1の構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0079】
実施の形態1〜3に係るディスク装置1は、移動片4aa及び該移動片4aaを移動させる機構を二つ備えているが、一つ備える構成でも良いし、三つ以上備える構成であっても良い。また実施の形態1〜3に係るディスク装置1は、移動片4aaをスロット4の端部に設けているが、スロット4の中央部に設ける構成であっても良い。また実施の形態1〜3に係るディスク装置1は、第1スイッチ16〜第3スイッチ18への押圧によって、ディスク2の搬入及び搬出を検出しているが、他の検出器を使用してディスク2の搬入及び搬出を検出する構成であっても良い。例えば第1スイッチ16〜第3スイッチ18に代えて光センサを搭載した検出器を使用し、ディスク2の搬入及び搬出を検出してもよい。
【0080】
また実施の形態1〜3に係るディスク装置1は、ディスク2に対してデータの記録及び再生を行うが、ディスク装置1は再生専用装置又は記録専用装置であって良い。また実施の形態1〜3に係るディスク装置1は移動片4aaを移動させているが、保持部材4a全体を移動させる構成であっても良い。また保持部材4bの一部又は全部を移動させて、保持部材4aと保持部材4bとの間の距離を調整する構成であっても良い。
【0081】
なお実施の形態1〜3に係るディスク装置は本発明の例示であって、本発明は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内において種々変更した形態にて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
2 ディスク
3 筐体
4 スロット(挿入口)
4a、4b 保持部材
4aa 移動片
5 記録再生部(記録/再生部)
6 搬送機構(搬送部)
16〜18 第1スイッチ〜第3スイッチ(搬出検出手段、挿入検出手段)
72 モータ
73 偏心カム
90 ギアボックス
91 伝動軸
71、79 弾性部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスクを保持する保持部材を挿入口に設けたディスク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CD(Compact Disc)、DVD(Digital Yersatile Disc)及びBD(Blu-ray Disc)などの記録媒体(ディスク)は、データを記録する記録密度が従来のテープなどの記録媒体に比べて高く、小型であってもデータ量の大きな音声データ及び映像データを高精細に記録することができる。そのためディスクに対して音声データ、映像データの記録及び再生を行うディスク装置は一般に広く普及している。
【0003】
ディスク装置は、搬入されたディスクに対してデータの記録又は再生を行い、またデータの記録又は再生を終了して、ディスクを搬出する。以前より、ディスクを搬入及び搬出するためのトレイを備えたディスク装置が提案されている。ユーザは、データを記録又は再生するためにトレイを搬出させて、ディスクをトレイに載置する。またユーザは、ディスクを回収するためにトレイを搬出させて、ディスクを取り出す。一般にピックアップなどの記録部及び読取部は、ディスク装置内において、トレイを挟んでディスクと反対側に配置されている。このためユーザは、ディスクの記録面側をトレイに載置する必要があるが、ユーザの取り扱いによっては、トレイに載置する場合にディスクの記録面が損傷することがある。
【0004】
特許文献1には、いわゆるスロットイン方式のディスク装置が開示されている。該ディスク装置は、ディスクを搬送する搬送部を備えており、ディスク装置の前面に設けたスロットにディスクを直接挿入することで、ディスクが搬送部によって自動的に搬送される。搬送部はローラを備えており、該ローラがディスクの外周部分に当接して回転することで、ディスクの搬入及び搬出が行われる。互いに対向するスロットの両縁部には、ディスクを保持する柔軟な保持部材が設けてあり、ディスクの搬入及び搬出時における記録面の損傷を防止している。またディスクの搬出時には、該保持部材によってディスクを保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−21618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スロットイン方式のディスク装置において、ディスクの落下を確実に防止するためには、スロットの各縁部に設けた保持部材同士を近接させて、ディスクを強固に挟持することが望ましい。しかし、保持部材にてディスクを強固に挟持した場合、ディスクの外周部分に当接する搬送部のローラが滑り、ディスクの搬入及び搬出に支障をきたすおそれがある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、搬出時におけるディスクの落下を確実に防止し、ディスクの搬入及び搬出を円滑に行うことができるディスク装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るディスク装置は、ディスクを収容する筐体と、該筐体に設けた挿入口と、前記筐体内に配置してあり、ディスクへの情報の読出し又は書込みを行う記録/再生部と、該記録/再生部と前記挿入口との間でディスクを搬送する搬送部と、前記挿入口の縁部に設けてあり、ディスクを保持する保持部材とを備えるディスク装置において、前記縁部の一部に移動可能に設けた保持部材の移動を行う移動手段と、前記筐体に収容されたディスクが前記記録/再生部から前記挿入口へ搬出されたことを検出する搬出検出手段と、前記搬出検出手段にてディスクの搬出が検出された場合に、前記移動手段を駆動して、前記保持部材を前記縁部の一部に対向する前記縁部の他部に接近させる手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、ディスクを搬出した場合に、挿入口の縁部の一部に設けた保持部材を前記挿入口の縁部の他部に接近させて、ディスクを強固に保持し、ディスクの落下を確実に防止し、ディスクの搬入及び搬出を円滑に行う。
【0010】
本発明に係るディスク装置は、前記挿入口にディスクが挿入されたことを検出する挿入検出手段と、該挿入検出手段にてディスクの挿入が検出された場合に、前記移動手段を駆動して、前記保持部材を前記縁部の他部から離反させる手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
本発明においては、ディスクを挿入する場合に、前記縁部の一部に設けた保持部材を前記縁部の他部から離反させて、保持部材とディスクとの摩擦力を低減し、搬送部への負荷を軽減する。
【0012】
本発明に係るディスク装置は、前記移動手段は、前記縁部の一部と前記縁部の他部との間にて前記保持部材を移動させるようにしてあることを特徴とする。
【0013】
本発明においては、前記挿入口に挿入されたディスクに対する保持部材の接近及び離反を容易に行うことができる。
【0014】
本発明に係るディスク装置は、前記移動手段は、前記縁部の一部に沿う軸回りに前記保持部材を回動させるようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明においては、前記縁部の一部に設けた保持部材と前記縁部の他部との距離を微調整し、ディスクを挟持する挟持力を精度良く調整することができる。
【0016】
本発明に係るディスク装置は、前記挿入口はスロットであり、前記移動手段は、前記挿入口の両端部にて前記保持部材を移動させるようにしてあることを特徴とする。
【0017】
本発明においては、搬出時にディスクの両側を保持部材にて保持することで、搬出されたディスクが安定する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るディスク装置にあっては、ディスクを搬出する場合に、挿入口の縁部の一部に設けた保持部材を前記挿入口の縁部の他部に接近させて、ディスクを強固に保持し、ディスクの落下を確実に防止することができる。またディスクの搬入及び搬出を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1に係るディスク装置の概要を示す斜視図である。
【図2】ディスク装置の記録再生部及び搬送機構の概要を示す平面図である。
【図3】記録再生部及びフロントアームの概要を示す平面図である。
【図4】搬入途中のディスクとフロントアームの配置を示す説明図である。
【図5】ディスク、第1スイッチ、第2スイッチ及び第3スイッチの配置を示す説明図である。
【図6】スロット付近の構成を示す拡大模式図である。
【図7】制御部付近の構成を示すブロック図である。
【図8】ディスクの搬入時における移動片の移動処理を説明するフローチャートである。
【図9】ディスクの搬出時における移動片の移動処理を説明するフローチャートである。
【図10】実施の形態1に係るディスク装置の変形例を説明する説明図である。
【図11】実施の形態2に係るディスク装置のスロット付近の構成を示す拡大模式図である。
【図12】ディスクの搬出時における移動片の移動処理を説明するフローチャートである。
【図13】実施の形態2に係るディスク装置の変形例を説明する説明図である。
【図14】実施の形態3に係るディスク装置のスロット付近の構成を示す拡大模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係るディスク装置を示す図面に基づいて詳述する。図1は、実施の形態1に係るディスク装置の概要を示す斜視図である。
ディスク装置1は、略直方体の筐体3を有する。該筐体3は扁平状をなし、対向する二つの大面部と、大面部の縁部分に連なる四つの小面部とを備える。小面部の一つに、大面部の縁に平行なスロット(挿入口)4が設けてある(以下スロット4を設けた小面部を前面部という)。該スロット4は、筐体3の前面部の長縁部と略平行である。スロット4は、長手方向の寸法がディスク2の直径よりも若干長く、また長手方向に垂直な方向の寸法(幅寸法)がディスク2の厚さよりも若干長い。スロット4の両長縁部には、ディスク2を保持する保持部材4a、4bがそれぞれ設けてあり、保持部材4a、4bは互いに対向している。保持部材4a、4bは、接触時にディスク2の記録面に傷をつけない程度の柔軟性を備える素材(例えばフェルトなどの布素材)から構成されている。保持部材4a、4bの対向間距離は、ディスク2の厚さよりも短い。
【0021】
ディスク2の両側面は、情報を記録する記録面と情報を記録しない非記録面とになっている。ディスク2は、側面に垂直な方向がスロット4の長手方向に直交するように、スロット4に挿入されるか又はスロット4から搬出される。ディスク2は、記録面が保持部材4bに対向するようにスロット4に挿脱される。保持部材4a、4bは、記録再生部5から搬出されたディスク2を後述する取り出し位置で保持する。保持部材4bは、挿脱されるディスク2の記録面をディスク2の挿脱のたびに清掃する。
【0022】
筐体3の内部には、ディスク2に対する情報の記録及び再生を行う記録再生部5(記録/再生部)と、ディスク2を搬送する搬送機構6(搬送部)とが設けられている。搬送機構6は、スロット4と記録再生部5との間に配置されている。搬送機構6は、搬入開始位置と記録再生部5との間、又は取り出し位置と記録再生部5との間でディスク2を搬送する。
【0023】
搬入開始位置は、スロット4にディスク2の一部が差し込まれた状態で、搬入が開始されるディスク2の位置である。取り出し位置は、スロット4からディスク2の一部が突出した状態で、停止したディスク2の位置である。以下、ディスク2が搬入開始位置から記録再生部5へ搬送される方向を搬入方向といい、その反対方向を搬出方向という。
【0024】
図2は、ディスク装置1の記録再生部5及び搬送機構6の概要を示す平面図、図3は記録再生部5及びフロントアーム62L、62Rの概要を示す平面図である。
【0025】
記録再生部5は、搬送機構6よりも筐体3の内奥に位置している。記録再生部5は、回転駆動部51、光ピックアップ52及び光ピックアップ駆動モータ53を備えている。
【0026】
回転駆動部51は、図示しないスピンドルモータ及びスピンドルモータと一体的に取り付けられたターンテーブル51aを有する。ターンテーブル51aは、ディスク2のセンタ孔2aに嵌合するセンタリング部51bを有する。ターンテーブル51aは、センタリング部51bに嵌合したディスク2を、図示しないクランパと共に挟持する。そして、ターンテーブル51aは、スピンドルモータの回転駆動によりディスク2を回転させる。
【0027】
光ピックアップ52は、回転駆動部51の隣に位置している。光ピックアップ52は、回転しているディスク2に対して光ビームを照射し、ディスク2で反射された光ビームを検出する。光ピックアップ52により検出された光ビームは、光電変換され、電気信号として出力される。
【0028】
光ピックアップ駆動モータ53は、回転駆動部51及び光ピックアップ52よりも、筐体3の内奥側に離隔した位置にある。光ピックアップ駆動モータ53は、図示しない案内軸を介して光ピックアップ52をトラバース移動(ディスク2の径方向へ移動)させる。
【0029】
搬送機構6は、板状のブラケット61を備えている。ブラケット61は図示しないフレームに支持されている。ブラケット61とフレームとの間にローラ駆動モータ15が配設してあり、ローラ駆動モータ15は、伝動部材を介して後述する第1ギア62R3に連結してある。
ブラケット61の左右部分には、開口部615L、615Rがそれぞれ設けてある。またブラケット61の左部分に、後述する軸62LAを中心とする略円弧状のガイド孔616が開設してある。
【0030】
ブラケット61の左右に、扇形の板状をなすフロントアーム62L、62Rがそれぞれ設けてある。フロントアーム62L、62Rは、扇形の要部分が互いに対向するように配してある。フロントアーム62L、62Rは、ブラケット61に対面しており、ブラケット61よりもローラ駆動モータ15側に位置している。
【0031】
フロントアーム62L、62Rの円弧状の縁部分の内、スリット4側の部分に、軸62LA、62RAが連結している。軸62LA、62RAは、フロントアーム62L、62Rに直角であり、フロントアーム62L、62Rは、軸62LA、62RAを中心にして、搬入方向及び搬出方向に回動することができる。なおフロントアーム62L、62Rは、図示しない弾性部材によって、スリット4側(搬出方向)に付勢されている。
【0032】
扇形のフロントアーム62Lの円弧状の縁部分に、第1固定ローラ62L4及び第2固定ローラ62L5が、記録再生部5へ向けて順に並設してある。第1固定ローラ62L4は、前記開口部615Lから突出している。第2固定ローラ62L5は、ブラケット61の縁部分よりも外側に位置しており、第1固定ローラ62L4と同方向に突出している。第1固定ローラ62L4及び第2固定ローラ62L5は、フロントアーム62Lに垂直な方向を軸方向として回転することができる。第1固定ローラ62L4及び第2固定ローラ62L5は、ディスク2が挿入された場合に、ディスク2の外周部分が第1固定ローラ62L4及び第2固定ローラ62L5に当接するように配置してある。
【0033】
フロントアーム62Lの中央部分に、円弧状のガイド孔62L2が開設してある。該ガイド孔62L2は、ブラケット61のガイド孔616に対応している。ガイド孔62L2及びガイド孔616には、検知レバー642が挿通しており、検知レバー642はガイド孔616から突出している。押圧を受けた検知レバー642は、ガイド孔62L2及びガイド孔616に案内されて移動する。なお前記弾性部材によって、検知レバー642は、スリット4側(搬出方向)に付勢されている。
【0034】
扇形のフロントアーム62Rの円弧状の縁部分に、第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7が、記録再生部5へ向けて順に並設してある。第1駆動ローラ62R6は、前記開口部615Rから突出している。第2駆動ローラ62R7は、ブラケット61の縁部分よりも外側に位置しており、第1駆動ローラ62R6と同方向に突出している。
【0035】
第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7は、ディスク2が挿入された場合に、ディスク2の外周部分が第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7に当接するように配置してある。なお第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7は、その周面に図示しないギア部を備えている。
【0036】
フロントアーム62Rの中央部分には、フロントアーム62Rに垂直な三つの支軸(図示せず)が内奥へ向けて並設してある。該支軸に、第1ギア62R3、第2ギア62R4及び第3ギア62R5が、それぞれ回転可能に支持されている。第1ギア62R3は、第1駆動ローラ62R6のギア部に噛合しており、第3ギア62R5は第2駆動ローラ62R7のギア部に噛合している。第2ギア62R4は、第1ギア62R3及び第3ギア62R5に噛合している。
【0037】
前記ローラ駆動モータ15の駆動によって、第1ギア62R3が回転し、第2ギア62R4が回転する。第2ギア62R4は、第3ギア62R5を回転させる。第1ギア62R3及び第3ギア62R5の回転方向は、同一方向である。そのため第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7は、同方向に回転する。
なお、第1ギア62R3及び第3ギア62R5の単位時間当たりの回転数は同じになるように、第1ギア62R3、第2ギア62R4及び第3ギア62R5の径寸法と歯数とは設定されている。
【0038】
図4は、搬入途中のディスク2とフロントアーム62L、62Rの配置を示す説明図である。
ディスク2がスロット4に挿入され、ディスク2の外周部分が第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7に接触して、ローラ駆動モータ15が正回転した場合に、ディスク2は、記録再生部5に向けて搬送される。このとき図4に示すように、フロントアーム62L、62Rは軸62LA、62RAを中心にして、記録再生部5側に回動する。検知レバー642は、ディスク2の押圧及び弾性部材の付勢力によってガイド孔62L2及びガイド孔616に案内されて移動する。
【0039】
一方ディスク2の外周部分が第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7に接触した状態で、ローラ駆動モータ15が逆回転した場合に、ディスク2は、記録再生部5から搬出される。このとき図3に示すように、フロントアーム62L、62Rは軸62LA、62RAを中心にして、記録再生部5と反対側(スロット4側)に回動する。検知レバー642は、ディスク2の押圧及び弾性部材の付勢力によってガイド孔62L2及びガイド孔616に案内されて移動する。
【0040】
図5は、ディスク2、第1スイッチ16、第2スイッチ17及び第3スイッチ18の配置を示す説明図である。
フロントアーム62Lを挟んで、ブラケット61の反対側に、第1スイッチ16、第2スイッチ17及び第3スイッチ18が設けてある。第1スイッチ1はスロット4に近い位置に、第2スイッチ17はスロット4から遠い位置に配置されている。また、第3スイッチ18は、第1スイッチ16と第2スイッチ17の間に配置されている。第1スイッチ16〜第3スイッチ18は検知レバー642の移動経路上に配置されている。各スイッチのオン/オフ状態は、検知レバー642に押圧されて切り替わる。
【0041】
スロット4からディスク2を差し込んだ場合、ディスク2は第1固定ローラ62L4、第2固定ローラ62L5、第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7と当接する(図5の実線位置)。また、ディスク2は、検知レバー642と当接する。ディスク2が更に挿入された場合、検知レバー642がディスク2の外周部分に押圧される。検知レバー642は、第1スイッチ16を押圧し、オン状態にする(図5の一点鎖線位置)。
【0042】
その後、ディスク2が図5の一点鎖線位置よりわずかに搬入方向へ搬入された場合、検知レバー642は、第3スイッチ18を押下し、第3スイッチ18をオン状態にする。
【0043】
更にディスク2の搬入が継続し、ディスク2が図5の点線位置に達した場合、検知レバー642は第2スイッチ17を押圧し、オン状態にする。
【0044】
記録再生部5にてクランパに挟持されたディスク2の搬出が開始された場合、検知レバー642はディスク2の外周部分に押される。ディスク2の押圧によって、検知レバー642が第2スイッチ17を押圧した場合、第2スイッチ17は、オフ状態に切り替わる。
【0045】
ディスク2の搬出が更に進行し、検知レバー642が第3スイッチ18を押圧した場合、第3スイッチ18はオフ状態となる。このときディスク2は取り出し位置に搬出されている(図5の二点鎖線位置)。取り出し位置にあるディスク2をユーザが取り出した場合、検知レバー642は第1スイッチ16を押圧し、第1スイッチ16はオフ状態となる。
【0046】
次にスロット4付近の構成を説明する。図6はスロット4付近の構成を示す拡大模式図である。
保持部材4aは、その両端部に移動可能な移動片4aa、4aaを備えている。移動片4aa、4aaと、移動片4aa、4aa以外の保持部材4aの部分とは分離している。筐体3の前面部には、移動片4aaに隣接する部分にて、凹形の収容室30が形成してある。該収容室30の底部に、弾性部材71が設けてある。収容室30には、柱状の脚部70が収容してあり、弾性部材71によってスロット4へ向けて付勢されている。脚部70と移動片4aaとは連結されている。
【0047】
筐体3内にモータ72が配設してある。該モータ72の回転軸72aには、円形の偏心カム73が連結しており、該偏心カム73の側面は、スロット4を設けた筐体3の前面部に対向している。回転軸72aと偏心カム73との連結位置は、偏心カム73の中心からスロット4に直交する方向に偏倚した位置である。
【0048】
偏心カム73の周面には、係合溝73aが設けてある。該係合溝73aには、スロット4側において、従動輪74が係合している。該従動輪74と前記脚部70とは連結杆75によって連結されている。
連結杆75の中央部は、筐体3の前面部に垂直な枢軸76によって回動可能に支持されている。連結杆75の両端部には、筐体3の前面部に垂直な枢軸77、78がそれぞれ設けてあり、各枢軸77、78には従動輪74と脚部70とが回動可能に連結している。
【0049】
図6の矢印で示すように、モータ72の駆動によって、偏心カム73は回転し、スロット4に直交する方向に往復移動する。
偏心カム73がスロット4から離反した場合、弾性部材71の付勢力によって脚部70はスロット4へ接近し、図6の矢印で示すように移動片4aaは保持部材4bに近接する。このとき連結杆75は、枢軸76を中心にして回転し、従動輪74はスロット4から離反し、偏心カム73に当接する。なお移動片4aaが保持部材4bに近接した場合、移動片4aaと保持部材4bとの間はディスク2の厚みに対して充分に小さい。
【0050】
一方偏心カム73がスロット4に接近した場合、偏心カム73は従動輪74を押圧する。従動輪74への押圧によって、連結杆75は、枢軸76を中心にして回転し、脚部70は弾性部材71の付勢力に抗してスロット4から離反する方向へ移動する。そのため図6の矢印で示すように、移動片4aaは保持部材4bから離反する。なお各移動片4aa、4aaに、上述したモータ72などからなる機構が連結してある。
【0051】
前述したモータ72の駆動は制御部によって制御される。図7は、制御部付近の構成を示すブロック図である。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)を備えており、後述する制御プログラムに基づいて処理を実行する。制御部11には、第1スイッチ16〜第3スイッチ18からオン又はオフ信号が入力され、信号入力部12から制御信号(例えばディスクを排出することを示すイジェクト信号)が入力される。
【0052】
制御部11からローラ駆動モータ15及びモータ72に駆動信号が出力され、ローラ駆動モータ15及びモータ72は正逆回転する。
制御部11は、記憶部13及び記録再生部5と接続してあり、記憶部13及び記録再生部5との間で信号を送受信して、データの送受信、駆動信号の送信などを行う。なお記憶部13は、制御部11が実行する処理に係る制御プログラムを記憶してあるROM(Read Only Memory)、制御プログラムの実行中に生じる作業変数等を記憶するRAM(Random Access Memory)を備えている。
【0053】
次に制御部11による移動片の移動処理について説明する。図8は、ディスクの搬入時における移動片の移動処理を説明するフローチャートである。なお初期状態において、偏心カム73はスロット4に接近しており、移動片4aaは保持部材4bに近接しているものとする。
【0054】
制御部11は、第1スイッチ16からオン信号が入力されたか否かを判定し(ステップS1)、第1スイッチ16からオン信号が入力されるまで待機する(ステップS1:NO)。第1スイッチ16からオン信号が入力された場合(ステップS1:YES)、スロット4にディスク2が挿入されており、制御部11は、モータ72に正回転信号を出力する(ステップS2)。このときローラ駆動モータ15が回転し、ディスク2が記録再生部5へ搬入されている。モータ72は所定数正回転し、移動片4aaは保持部材4bから離反する。スロット4に垂直な方向において、移動片4aaの位置は他の保持部材4aと略同じ位置となり、搬入時における移動片4aaとディスク2との摩擦力は低減する。
【0055】
次に制御部11は、第2スイッチ17からオン信号が入力されたか否かを判定し(ステップS3)、第2スイッチ17からオン信号が入力されるまで待機する(ステップS3:NO)。第2スイッチ17からオン信号が入力された場合(ステップS3:YES)、ローラ駆動モータ15は停止し、ディスク2の記録再生部5への搬入は終了している。制御部11は、モータ72に逆回転信号を出力する(ステップS4)。このときモータ72は所定数逆回転し、移動片4aaは保持部材4bに近接する。
【0056】
信号入力部12から制御部11に、イジェクト信号が入力された場合、制御部11はディスク2の搬出を行う。図9はディスクの搬出時における移動片の移動処理を説明するフローチャートである。
制御部11は、信号入力部12からイジェクト信号が入力されたか否か判定し(ステップS11)、信号入力部12からイジェクト信号が入力されるまで待機する(ステップS11:NO)。信号入力部12からイジェクト信号が入力された場合(ステップS11:YES)、制御部11は、第2スイッチ17からオフ信号が入力されたか否かを判定し(ステップS12)、第2スイッチ17からオフ信号が入力されるまで待機する(ステップS12:NO)。
【0057】
第2スイッチ17からオフ信号が入力された場合(ステップS12:YES)、ディスク2の搬出が開始しており、制御部11は、モータ72に正回転信号を出力する(ステップS13)。このときローラ駆動モータ15が回転し、ディスク2は記録再生部5から搬出されている。モータ72は所定数正回転し、移動片4aaは保持部材4bから離反する。スロット4に垂直な方向において、移動片4aaの位置は他の保持部材4aと略同じ位置となり、搬出時における移動片4aaとディスク2との摩擦力は低減する。
【0058】
次に制御部11は、第3スイッチ18からオフ信号が入力されたか否かを判定し(ステップS14)、第3スイッチ18からオフ信号が入力されるまで待機する(ステップS14:NO)。第3スイッチ18からオフ信号が入力された場合(ステップS14:YES)、ローラ駆動モータ15は停止し、ディスク2は取り出し位置に搬出されている。制御部11は、逆回転信号を出力する(ステップS15)。このときモータ72は所定数逆回転し、移動片4aaは保持部材4bに近接するので、取り出し位置に搬出されたディスク2は、移動片4aaと保持部材4bとの間で挟持されている。
【0059】
実施の形態1に係るディスク装置にあっては、ディスク2を搬出した場合に、移動片4aaを保持部材4bに接近させて、ディスク2を強固に保持し、ディスク2の落下を確実に防止することができる。
【0060】
またディスク2を搬入している途中又は搬出している途中に、移動片4aaを保持部材4bから離反させているので、移動片4aa及び保持部材4bとディスク2との摩擦力が軽減される。そのため第1駆動ローラ62R6及び第2駆動ローラ62R7とディスク2とが滑ることを防止し、ディスク2の搬入及び搬出を円滑に行うことができる。またディスク2の搬出時における搬送機構6への負担を軽減することができる。
【0061】
また前記スロット4に挿入されたディスク2に対する移動片4aaの接近及び離反を容易に行うことができる。
【0062】
またディスク2の両側を移動片4aa、4aaと保持部材4bとによって保持するので、搬出されたディスク2が安定し、ディスク2の落下を確実に防止することができる。
【0063】
なお実施の形態1に係るディスク装置1は、縦置き型ディスク装置であっても良いし、横置き型ディスク装置であっても良い。また実施の形態1に係るディスク装置1は、移動片4aaを移動させるために偏心カム73を使用しているが、これに限るものではない。例えば脚部70を磁性体にて構成し、図10に示すように、脚部70の周囲にソレノイド80を設けて、制御部11からの出力信号によって、ソレノイド80に流す電流の向き及び電流値を調整して移動片4aaの移動を制御しても良い。この場合、制御部11は移動片4aaの移動方向及び移動距離を調整することができるので、ディスク装置1は移動片4aaと保持部材4bとの距離を微調整し、ディスク2を挟持する挟持力を精度良く調整することができる。
【0064】
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係るディスク装置を示す図面に基づいて詳述する。図11は、実施の形態2に係るディスク装置のスロット付近の構成を示す拡大模式図である。前記収容室30の底部に、弾性部材79、79が設けてある。収容室30に柱状の脚部70が収容してあり、脚部70は弾性部材79、79に連結してある。脚部70は、弾性部材79、79によってスロット4から離反する方向に付勢されている。前記係合溝73aには、スロット4と反対側において、従動輪74が係合している。
【0065】
図11の矢印にて示すように、モータ72の駆動によって偏心カム73は回転し、スロット4に直交する方向に往復移動する。
偏心カム73が回転し、スロット4に接近した場合、弾性部材79、79の付勢力によって、脚部70はスロット4から離反し、図11の矢印にて示すように、移動片4aaは保持部材4bから離反する。このとき連結杆75は、枢軸76を中心にして回転し、従動輪74は偏心カム73に接近し、偏心カム73に当接する。
【0066】
一方偏心カム73がスロット4から離反した場合、従動輪74は偏心カム73から押圧される。従動輪74は、スロット4から離反する。連結杆75は、枢軸76を中心にして回転し、弾性部材79、79の付勢力に抗して、脚部70はスロット4へ接近する。図11の矢印にて示すように、移動片4aaは保持部材4bに近接する。移動片4aaが保持部材4bに近接した場合、移動片4aaと保持部材4bとの間はディスク2の厚みに対して充分に小さい。
【0067】
次に制御部11による移動片の移動処理について説明する。図12は、ディスクの搬出時における移動片の移動処理を説明するフローチャートである。なお初期状態(ディスク2の搬入時)において、偏心カム73はスロット4に接近しており、移動片4aaは保持部材4bから離反しているものとする。
【0068】
制御部11は、信号入力部12からイジェクト信号が入力されたか否か判定し(ステップS21)、信号入力部12からイジェクト信号が入力されるまで待機する(ステップS21:NO)。信号入力部12からイジェクト信号が入力された場合(ステップS21:YES)、制御部11は、第3スイッチ18からオフ信号が入力されたか否かを判定し(ステップS22)、第3スイッチ18からオフ信号が入力されるまで待機する(ステップS22:NO)。
【0069】
第3スイッチ18からオフ信号が入力された場合(ステップS22:YES)、ディスク2は取り出し位置に搬出されており、制御部11は、モータ72に正回転信号を出力する(ステップS23)。このときモータ72は所定数正回転し、移動片4aaは保持部材4bに接近する。取り出し位置に搬出されたディスク2は、移動片4aaと保持部材4bとによって挟持される。
【0070】
次に制御部11は、第1スイッチ16からオフ信号が入力されたか否かを判定し(ステップS24)、第1スイッチ16からオフ信号が入力されるまで待機する(ステップS24:NO)。第1スイッチ16からオフ信号が入力された場合(ステップS24:YES)、ディスク2はユーザによって取り出されていると考えられる。制御部11は、逆回転信号を出力する(ステップS25)。このときモータ72は所定数逆回転し、移動片4aaは保持部材4bから離反する。
【0071】
なおディスク2の搬入時において移動片4aaは保持部材4bから離反しているため、ディスク2の搬入は円滑に行われる。
【0072】
実施の形態2に係るディスク装置にあっては、ディスク2を搬出した場合に、移動片4aaを保持部材4bに接近させて、ディスク2を強固に保持し、ディスク2の落下を確実に防止することができる。また前記スロット4に挿入されたディスク2に対する移動片4aaの接近及び離反を容易に行うことができる。またディスク2の両側を移動片4aaと保持部材4bとにて保持するので、搬出されたディスク2が安定し、ディスク2の落下を確実に防止することができる。
【0073】
なお実施の形態2に係るディスク装置1は、移動片4aaを移動させるために偏心カム73を使用しているが、これに限るものではない。例えば脚部70を磁性体にて構成し、図13に示すように、脚部70の周囲にソレノイド80を設けて、制御部11からの出力信号によって、ソレノイド80に流す電流の向き及び電流値を調整して移動片4aaの移動を制御しても良い。この場合、制御部11は移動片4aaの移動方向及び移動距離を調整することができるので、ディスク装置1は移動片4aaと保持部材4bとの距離を微調整し、ディスク2を挟持する挟持力を精度良く調整することができる。
【0074】
実施の形態2に係るディスク装置1の構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0075】
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係るディスク装置を示す図面に基づいて詳述する。図14は実施の形態3に係るディスク装置のスロット付近の構成を示す拡大模式図である。
移動片4aaは、他の保持部材4aよりも保持部材4b側へ突出している。筐体3の前面部に、収容室30に連なる伝動機構収容室31が設けてある。該伝動機構収容室31には、ギヤボックス90及び伝動軸91を収容してある。伝動軸91は、収容室30に収容された脚部70に接続してあり、スロット4と平行である。
【0076】
ギヤボックス90にはベベルギアなどが収容してある。ギヤボックス90を介して、モータ72の回転軸72aと伝動軸91とが互いに直交するように接続してある。モータ72の駆動は、ギヤボックス90及び伝動軸91を介して脚部70に伝達する。そして図14の矢印にて示すように、移動片4aaはスロット4と平行な軸周りを揺動する。
【0077】
制御部11は、モータ72の駆動を制御し、スロット4と平行な軸の周りにおける移動片4aaの位置を調整する。そのため、前記軸回りにおける移動片4aaの位相を調整することで、移動片4aaと保持部材4bとの距離を微調整し、ディスク2を挟持する挟持力を精度良く調整することができる。
【0078】
実施の形態3に係るディスク装置1の構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0079】
実施の形態1〜3に係るディスク装置1は、移動片4aa及び該移動片4aaを移動させる機構を二つ備えているが、一つ備える構成でも良いし、三つ以上備える構成であっても良い。また実施の形態1〜3に係るディスク装置1は、移動片4aaをスロット4の端部に設けているが、スロット4の中央部に設ける構成であっても良い。また実施の形態1〜3に係るディスク装置1は、第1スイッチ16〜第3スイッチ18への押圧によって、ディスク2の搬入及び搬出を検出しているが、他の検出器を使用してディスク2の搬入及び搬出を検出する構成であっても良い。例えば第1スイッチ16〜第3スイッチ18に代えて光センサを搭載した検出器を使用し、ディスク2の搬入及び搬出を検出してもよい。
【0080】
また実施の形態1〜3に係るディスク装置1は、ディスク2に対してデータの記録及び再生を行うが、ディスク装置1は再生専用装置又は記録専用装置であって良い。また実施の形態1〜3に係るディスク装置1は移動片4aaを移動させているが、保持部材4a全体を移動させる構成であっても良い。また保持部材4bの一部又は全部を移動させて、保持部材4aと保持部材4bとの間の距離を調整する構成であっても良い。
【0081】
なお実施の形態1〜3に係るディスク装置は本発明の例示であって、本発明は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内において種々変更した形態にて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0082】
2 ディスク
3 筐体
4 スロット(挿入口)
4a、4b 保持部材
4aa 移動片
5 記録再生部(記録/再生部)
6 搬送機構(搬送部)
16〜18 第1スイッチ〜第3スイッチ(搬出検出手段、挿入検出手段)
72 モータ
73 偏心カム
90 ギアボックス
91 伝動軸
71、79 弾性部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスクを収容する筐体と、該筐体に設けた挿入口と、前記筐体内に配置してあり、ディスクへの情報の読出し又は書込みを行う記録/再生部と、該記録/再生部と前記挿入口との間でディスクを搬送する搬送部と、前記挿入口の縁部に設けてあり、ディスクを保持する保持部材とを備えるディスク装置において、
前記縁部の一部に移動可能に設けた保持部材の移動を行う移動手段と、
前記筐体に収容されたディスクが前記記録/再生部から前記挿入口へ搬出されたことを検出する搬出検出手段と、
前記搬出検出手段にてディスクの搬出が検出された場合に、前記移動手段を駆動して、前記保持部材を前記縁部の一部に対向する前記縁部の他部に接近させる手段と
を備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記挿入口にディスクが挿入されたことを検出する挿入検出手段と、
該挿入検出手段にてディスクの挿入が検出された場合に、前記移動手段を駆動して、前記保持部材を前記縁部の他部から離反させる手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記縁部の一部と前記縁部の他部との間にて前記保持部材を移動させるようにしてあること
を特徴とする請求項1又は2に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記移動手段は、前記縁部の一部に沿う軸回りに前記保持部材を回動させるようにしてあること
を特徴とする請求項1又は2に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記挿入口はスロットであり、
前記移動手段は、前記挿入口の両端部にて前記保持部材を移動させるようにしてあることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のディスク装置。
【請求項1】
ディスクを収容する筐体と、該筐体に設けた挿入口と、前記筐体内に配置してあり、ディスクへの情報の読出し又は書込みを行う記録/再生部と、該記録/再生部と前記挿入口との間でディスクを搬送する搬送部と、前記挿入口の縁部に設けてあり、ディスクを保持する保持部材とを備えるディスク装置において、
前記縁部の一部に移動可能に設けた保持部材の移動を行う移動手段と、
前記筐体に収容されたディスクが前記記録/再生部から前記挿入口へ搬出されたことを検出する搬出検出手段と、
前記搬出検出手段にてディスクの搬出が検出された場合に、前記移動手段を駆動して、前記保持部材を前記縁部の一部に対向する前記縁部の他部に接近させる手段と
を備えることを特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記挿入口にディスクが挿入されたことを検出する挿入検出手段と、
該挿入検出手段にてディスクの挿入が検出された場合に、前記移動手段を駆動して、前記保持部材を前記縁部の他部から離反させる手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記縁部の一部と前記縁部の他部との間にて前記保持部材を移動させるようにしてあること
を特徴とする請求項1又は2に記載のディスク装置。
【請求項4】
前記移動手段は、前記縁部の一部に沿う軸回りに前記保持部材を回動させるようにしてあること
を特徴とする請求項1又は2に記載のディスク装置。
【請求項5】
前記挿入口はスロットであり、
前記移動手段は、前記挿入口の両端部にて前記保持部材を移動させるようにしてあることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載のディスク装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−100509(P2011−100509A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254184(P2009−254184)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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