説明

ディスク装置

【課題】 簡単安価な構造で小径ディスクを確実に位置決めできるようにすること。
【解決手段】 トレイオープン状態でトレイ1の小径凹部4に小径ディスクDaを載置す
るかまたは大径凹部5に大径ディスクDbを載置するようにしたディスク装置において、
前記トレイ1の小径凹部4の後部から大径凹部5の後部にかけて一対の凹孔20が貫設さ
れ、該各凹孔20内に回動可能に配置され自重により起立して先端部21aを大径凹部5
の底面5aよりも上方に突出させ該大径凹部5上に載置した大径ディスクDbによりその
大径凹部5の底面5aよりも下方に押し下げるようにした一対の位置決め片21が設けら
れ、該各位置決め片21に一体形成されてトレイ1に当接することによりその各位置決め
片21を起立状態から後方に回動するのを阻止するストッパ24が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばBlu−ray Disc式のレコーダ(またはプレーヤ)などのデ
ィスク装置に関し、特に、簡単安価な構造で小径ディスクをトレイの小径凹部内に確実に
位置決めできるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディスク装置として図6〜図8に示すものがあり、これはBlu−ray Di
sc式のレコーダ(またはプレーヤ)であって、図6は同トレイオープン状態の平面図、
図7は同トレイオープン状態の縦断面図、図8は同トレイイン状態の縦断面図である。
【0003】
図6及び図7に示すように、合成樹脂製トレイ1がローダーシャーシ2に前後進a,b
可能に支持され、該ローダーシャーシ2内にトラバースシャーシ3が配置され、前記トレ
イ1の上面に8cmの小径ディスクDaを収納するための小径凹部4と12cmの大径デ
ィスクDbを収納するための大径凹部5とが同心状に形成され、トレイ1の両凹部4,5
の中心部から該トレイの後部まで開口部6が形成されている。
【0004】
図6及び図7に示すように、前記トラバースシャーシ3は、シャーシ本体3aと、レバ
ーシャーシ3bとを有し、シャーシ本体3aの後部がゴムからなる後側弾性体8を介して
ローダーシャーシ2に上下動c,d可能に連結されると共に、該シャーシ本体3aの前部
がゴムからなる前側弾性体9を介してレバーシャーシ3bに連結され、前記シャーシ本体
3aにターンテーブル10付きスピンドルモータ11とディスクDa,Dbの半径方向に
移動可能な対物レンズOL付き光ピックアップ12とが搭載されている。
【0005】
図6及び図7に示すように、前記ローダーシャーシ2の前部にカムスライダ14が前後
進a,b方向とは直交する左右方向e,fに沿ってスライド可能に配置され、該カムスラ
イダ14に形成したカム溝15aと、レバーシャーシ3bに一体突設されてカム溝15a
に嵌入するカムピン15bとからなるカム機構15によりカムスライダ14とレバーシャ
ーシ3bとが連動連結されている。
【0006】
図6に示すように、カムスライダ14の一端にカムラック14aが形成されると共に、
該カムラック14aに対向して駆動ピニオン16が正逆回転可能に配置されている。なお
、図7中、17はターンテーブル10に対向して一定範囲内昇降可能に配置したクランパ
である。
【0007】
動作原理を説明すると、図6及び図7に示すトレイオープン状態において、トレイ1の
小径凹部4に小径ディスクDa(または大径凹部5に大径ディスクDb)を載置し、エジ
ェクト釦を押すことにより、トレイ1を後進bさせてローダーシャーシ2内に収納し、カ
ムラック14aを駆動ピニオン16に噛合させ、該駆動ピニオン16の回転駆動によりカ
ムスライダ14を矢印e方向にスライドさせることにより、図8に示すように、カム機構
15を介してレバーシャーシ3b及びシャーシ本体3aを上動cさせ、トレイ1の開口部
6を通るターンテーブル10により小径ディスクDa(または大径ディスクDb)を持ち
上げてクランパ17とでチャッキングし、スピンドルモータ11によりターンテーブル1
0を介して高速回転させた小径ディスクDa(または大径ディスクDb)に記録されてい
る情報を光ピックアップ12により読み取る。なお、関連する技術として特許文献1に記
載したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−110874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の構成では、小径ディスクDaを小径凹部4上に載置する場合に、その小径デ
ィスクDaが小型軽量であると共に、小径凹部4が浅底状で該小径凹部4の内周面4aが
上広がり状に傾斜されているので、その小径ディスクDaを小径凹部4から後方にずれた
位置に間違えて載置することがあり、特に、図7に仮想線で示すように、ローダーシャー
シ2をその前側が高くなるように傾斜して配置した場合に、小径ディスクDaが小径凹部
4上から後方に滑って位置ずれされることがある。
【0010】
その位置ずれ状態で、トレイ1を後進bさせてローダーシャーシ2内に収納すると(図
8参照)、その小径ディスクDaがターンテーブル10から偏心して位置ずれされた状態
となり、該ターンテーブル10を上昇させると、そのターンテーブル10により小径ディ
スクDaを確実にチャッキングすることができず、チャッキングミスになる。
【0011】
上記難点を解消する技術の一例として特許文献1に記載のものを利用することが考えら
れる。これは、トレイ1の小径凹部4の内周面4aの近傍に複数の位置決め片を所定間隔
をおいて回動可能に配置したものであって、ローダーシャーシ2を水平の横置き状態から
縦置き状態にしたときに、各位置決め片が自重により回動してその先端部を突出させ、そ
の突出する先端部で小径ディスクDaが落下しないように支える。
【0012】
上記構成では、ローダーシャーシ2をその先端が上向きになるように傾斜させる場合に
(図2仮想線参照)、位置決め片の先端部が起立されず、使用不能である。また、各位置
決め片の先端部を押し下げる機構が設けられており、その機構の構造が複雑であるから、
製作費が高くつく。
【0013】
本発明は、上記従来の欠点に鑑み、簡単安価な構造で小径ディスクをトレイの小径凹部
内に確実に位置決めできるようにしたディスク装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、トレイがローダーシャーシに前後
進可能に支持され、該トレイの上面に小径ディスクを収納するための小径凹部と大径ディ
スクを収納するための大径凹部とが同心状に形成され、トレイの両凹部の中心部から該ト
レイの後部まで開口部が形成され、ターンテーブルと光ピックアップとを搭載したトラバ
ースシャーシがローダーシャーシ内に昇降可能に配置されており、トレイオープン状態で
トレイの小径凹部に小径ディスクを載置するかまたは大径凹部に大径ディスクを載置し、
トレイを後進させてローダーシャーシ内に収納し、トラバースシャーシを上動させ、トレ
イの開口部を通るターンテーブルにより小径ディスクまたは大径ディスクを持ち上げてチ
ャッキングし、該ターンテーブルにより高速回転させた小径ディスクまたは大径ディスク
に記録されている情報を光ピックアップにより読み取るようにしたディスク装置において
、前記トレイの小径凹部の後部から大径凹部の後部にかけて開口部を間に挟んで左右一対
の凹孔が貫設され、該各凹孔内に回動可能に配置され自重により起立して先端部を大径凹
部の底面よりも上方に突出させ該大径凹部上に載置した大径ディスクによりその大径凹部
の底面よりも下方に押し下げるようにした一対の位置決め片が設けられ、該各位置決め片
に一体形成されてトレイに当接することによりその各位置決め片を起立状態から後方に回
動するのを阻止するストッパが設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記各位置決め片の両側面
に一対の支軸が一体突設され、該各支軸に対向して前記各凹孔の両内側面からトレイの上
面にかけて軸受溝が形成され、前記各ストッパが各位置決め片の下端から側方に延ばされ
ており、各位置決め片を各凹孔に挿入することにより、各支軸を各軸受溝に挿入すると共
に、ストッパをトレイの下面に当接させるようにしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明によれば、トイレの小径凹部の後部から大径凹部の後部にかけて
形成した左右一対の凹孔内に配置した位置決め片の先端部が上方に突出されているので、
その先端部をガイドにして小径ディスクを小径凹部上に位置ずれしないように載置するこ
とができ、特に、ローダーシャーシをその前側が高くなるように傾斜して配置した場合で
も、小径ディスクが小径凹部上から後方に滑るのを阻止することができ、ターンテーブル
による小径ディスクのチャッキング作業を確実に行なうことができる。
【0017】
また、一対の位置決め片をトレイの凹孔内に配置しているだけであるから、構造簡単で
製作費が安くつく
【0018】
請求項2に記載の発明によれば、位置決め片を凹孔に挿入するだけで、該位置決め片の
一対の支軸が各軸受溝に挿入されると共に、その位置決め片の下端から側方に延びるスト
ッパがトレイの下面に当接されるようになっており、その位置決め片の取付作業を簡単容
易に行なうことができる。
【0019】
位置決め片の取付け状態では、ストッパがトレイの下面に当接されて引っ掛かっている
ので、ローダーシャーシを大きく傾けたとしても、凹孔から位置決め片が不測に外れるお
それがなく、その位置決め片を凹孔内に確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施の一形態であるディスク装置のトレイオープン状態の平面図である。
【図2】同トレイオープン状態の縦断面図である。
【図3】(a)は同要部の拡大斜視図、(b)は同要部の拡大縦断面図、(c)は同要部の拡大横断面図、(d)は同要部の拡大水平断面図である。
【図4】同要部の拡大分解斜視図である。
【図5】(a)は同小径ディスクの位置決め状態の要部の拡大縦断面図、(b)は同小径ディスクの滑り止め状態の要部の拡大縦断面図、(c)は同大径ディスクにより押し下げられた状態の要部の拡大縦断面図である。
【図6】従来例のトレイオープン状態の平面図である。
【図7】同トレイオープン状態の縦断面図である。
【図8】同トレイイン状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜図5は本発明の実施の一形態であるディスク装置を示すものであり、これはBl
u−ray Disc式のレコーダ(またはプレーヤ)であって、トレイ1の小径凹部4
の後部から大径凹部5の後部にかけて開口部6を間に挟んで左右一対の凹孔20が貫設さ
れ、該各凹孔20に位置決め片21が配置されている。
【0022】
図3及び図4に示すように、前記左右一対の凹孔20は、平面視略長方形状であって、
小径凹部4の底面4bから該小径凹部4の内周面4aを横断して大径凹部5の底面5aま
で延びており、その各凹孔20の内側面から大径凹部5の底面5a(トレイ1の上面)に
かけて一対の軸受溝22が形成されている。
【0023】
図3及び図4に示すように、前記位置決め片21は、合成樹脂により成形されており、
その両側面に一体突設した一対の支軸23を各軸受溝22に挿入して、該各支軸23を各
軸受溝22の底面に当接させることにより、その両支軸23の軸心Oを中心に位置決め片
21が回動可能に形成されている。
【0024】
図3(b)に示すように、位置決め片21の下端から側方にストッパ24が延ばされ、
該位置決め片21の重心Gを軸心Oよりも下方に位置決めしており、これによって、位置
決め片21が自重により起立し、ストッパ24がトレイ1の下面に当接され、位置決め片
21が起立状態から後方に回動されるのを阻止する。
【0025】
図3(b)に示すように、支軸23の軸心Oから位置決め片21の先端部21aの上端
までの高さh1が軸心Oから大径凹部5の底面5aまでの間隔h2よりも大きく設定され
ており(h1>h2)、位置決め片21を起立させたときに、その先端部21aが大径凹
部5の底面5aより上方に突出される。
【0026】
図3(b)に示すように、支軸23の軸心Oから位置決め片21の側面までの横幅kが
前記間隔h2と同一またはわずかに小さく設定されており(k≦h2)、位置決め片21
を押し下げて横倒しにしたときに、その位置決め片21が凹孔20内に没入される〔図5
(c)参照〕。
【0027】
図3(b)に示すように、ターンテーブル10により持ち上げた大径ディスクDb(及
び小径ディスクDa)の下面から大径凹部5の底面5aまでの間隔t1が該大径凹部5の
底面5aから位置決め片21の先端部21aの上端までの間隔t2よりも大きく設定され
ており(t1>t2)、これによって、ターンテーブル10により高速回転させた大径デ
ィスクDbが位置決め片21に接触されないようにしている。
【0028】
位置決め片21の取付手順を説明すると、位置決め片21を凹孔20に挿入することに
より、該位置決め片21の一対の支軸23を各軸受溝22に挿入すると共に、ストッパ2
4をトレイ1の下面に当接させる。
【0029】
上記構成によれば、位置決め片21を凹孔20に挿入するだけで、該位置決め片21を
トレイ1に簡単容易に取り付けることができる。
【0030】
位置決め片21の取付け状態では、ストッパ24がトレイ1の下面に当接されて引っ掛
かっているので、ローダーシャーシ2を大きく傾けたとしても、凹孔20から位置決め片
21が不測に外れるおそれがなく、その位置決め片21を凹孔20内に確実に保持するこ
とができる。
【0031】
更に、一対の位置決め片21をトレイ1の各凹孔20内に配置しているだけであるから
、構造簡単で製作費が安くつく
【0032】
使用手順を説明すると、図1及び図2の実線に示すトレイオープン状態で、図5(a)
に示すように、ローダーシャーシ2を水平に横置きした場合、各位置決め片21の先端部
21aをガイドにして、小径ディスクDaを小径凹部4上に載置する。
【0033】
上記構成によれば、各位置決め片21の先端部21aが上方に突出されているので、そ
の各位置決め片21をガイドにして小径ディスクDaを小径凹部4上に位置ずれしないよ
うに載置することができる。
【0034】
図5(b)に示すように、ローダーシャーシ2をその前側が高くなるように所定角度α
(例えば20°)で傾斜して配置した場合(図2仮想線参照)、各位置決め片21の先端
部21aにより小径ディスクDaが小径凹部4上から後方に滑るのを阻止する。
【0035】
上記構成によれば、傾斜状態の小径凹部4上に小径ディスクDaを滑らないように保持
して、ターンテーブル10による小径ディスクDaのチャッキング作業を確実に行なうこ
とができる。
【0036】
図5(c)に示すように、大径凹部5上に大径ディスクDbを載置した場合、その大径
ディスクDbの重みにより各位置決め片21の先端部21aが押し下げられ、該各位置決
め片21が横倒し状態で各凹孔20内に没入される。従って、大径ディスクDbを大径凹
部5上に安定して載置することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 トレイ
2 ローダーシャーシ
3 トラバースシャーシ
4 小径凹部
5 大径凹部
6 開口部
10 ターンテーブル
12 光ピックアップ
20 凹孔
21 位置決め片
22 軸受溝
23 支軸
24 ストッパ
Da 小径ディスク
Db 大径ディスク
a,b 前後進
c,d 上下動

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイがローダーシャーシに前後進可能に支持され、該トレイの上面に小径ディスクを
収納するための小径凹部と大径ディスクを収納するための大径凹部とが同心状に形成され
、トレイの両凹部の中心部から該トレイの後部まで開口部が形成され、ターンテーブルと
光ピックアップとを搭載したトラバースシャーシがローダーシャーシ内に昇降可能に配置
されており、トレイオープン状態でトレイの小径凹部に小径ディスクを載置するかまたは
大径凹部に大径ディスクを載置し、トレイを後進させてローダーシャーシ内に収納し、ト
ラバースシャーシを上動させ、トレイの開口部を通るターンテーブルにより小径ディスク
または大径ディスクを持ち上げてチャッキングし、該ターンテーブルにより高速回転させ
た小径ディスクまたは大径ディスクに記録されている情報を光ピックアップにより読み取
るようにしたディスク装置において、前記トレイの小径凹部の後部から大径凹部の後部に
かけて開口部を間に挟んで左右一対の凹孔が貫設され、該各凹孔内に回動可能に配置され
自重により起立して先端部を大径凹部の底面よりも上方に突出させ該大径凹部上に載置し
た大径ディスクによりその大径凹部の底面よりも下方に押し下げるようにした一対の位置
決め片が設けられ、該各位置決め片に一体形成されてトレイに当接することによりその各
位置決め片を起立状態から後方に回動するのを阻止するストッパが設けられていることを
特徴とするディスク装置。
【請求項2】
前記各位置決め片の両側面に一対の支軸が一体突設され、該各支軸に対向して前記各凹
孔の両内側面からトレイの上面にかけて軸受溝が形成され、前記各ストッパが各位置決め
片の下端から側方に延ばされており、各位置決め片を各凹孔に挿入することにより、各支
軸を各軸受溝に挿入すると共に、ストッパをトレイの下面に当接させるようにしたことを
特徴とする請求項1に記載のディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−54225(P2011−54225A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200224(P2009−200224)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】