説明

ディスク記録媒体、ディスクドライブ装置、再生方法

【課題】 高密度ディスクに好適なウォブリング方式の提供。
【解決手段】 ディスク上にトラックを形成するためのグルーブがスパイラル状に形成されており、グルーブのウォブリングによってアドレス情報が記録されると共に、当該グルーブによって形成されるトラックが相変化マーク情報の記録再生に用いられる記録再生領域と、グルーブのウォブリングによってプリレコーデッド情報が記録される再生専用領域とを有する。記録再生領域に記録マークで記録されるデータの所定数の単位に相当する区間におけるグルーブのウォブリングによるアドレス情報は、シンクパートとデータパートから成る複数のアドレスブロックから成り、データパートは、15個のADIPブロックで構成され、ADIPブロックは4ビットのADIPデータを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク等のディスク記録媒体、およびディスク記録媒体に対するディスクドライブ装置、再生方法に関し、特に、プリグルーブとしてトラックがウォブリングされたディスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルデータを記録・再生するための技術として、例えば、CD(Compact Disk),MD(Mini-Disk),DVD(Digital Versatile Disk)などの、光ディスク(光磁気ディスクを含む)を記録メディアに用いたデータ記録技術がある。光ディスクとは、金属薄板をプラスチックで保護した円盤に、レーザ光を照射し、その反射光の変化で信号を読み取る記録メディアの総称である。
光ディスクには、例えばCD、CD−ROM、DVD−ROMなどとして知られているように再生専用タイプのものと、MD、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMなどで知られているようにユーザーデータが記録可能なタイプがある。記録可能タイプのものは、光磁気記録方式、相変化記録方式、色素膜変化記録方式などが利用されることで、データが記録可能とされる。色素膜変化記録方式はライトワンス記録方式とも呼ばれ、一度だけデータ記録が可能で書換不能であるため、データ保存用途などに好適とされる。一方、光磁気記録方式や相変化記録方式は、データの書換が可能であり音楽、映像、ゲーム、アプリケーションプログラム等の各種コンテンツデータの記録を始めとして各種用途に利用される。
【0003】
光磁気記録方式、色素膜変化記録方式、相変化記録方式などの記録可能なディスクに対してデータを記録するには、データトラックに対するトラッキングを行うための案内手段が必要になり、このために、プリグルーブとして予め溝(グルーブ)を形成し、そのグルーブもしくはランド(グルーブとグルーブに挟まれる断面台地状の部位)をデータトラックとすることが行われている。
またデータトラック上の所定の位置にデータを記録することができるようにアドレス情報を記録する必要もあるが、このアドレス情報は、グルーブをウォブリング(蛇行)させることで記録される場合がある。
【0004】
すなわち、データを記録するトラックが例えばプリグループとして予め形成されるが、このプリグループの側壁をアドレス情報に対応してウォブリングさせる。
このようにすると、記録時や再生時に、反射光情報として得られるウォブリング情報からアドレスを読み取ることができ、例えばアドレスを示すピットデータ等を予めトラック上に形成しておかなくても、所望の位置にデータを記録再生することができる。
このようにウォブリンググルーブとしてアドレス情報を付加することで、例えばトラック上に離散的にアドレスエリアを設けて例えばピットデータとしてアドレスを記録することが不要となり、そのアドレスエリアが不要となる分、実データの記録容量を増大させることができる。
なお、このようなウォブリングされたグルーブにより表現される絶対時間(アドレス)情報は、ATIP(Absolute Time In Pregroove)又はADIP(Adress In Pregroove)と呼ばれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、アドレス情報やユーザーが記録再生する情報以外に、アドレス情報と同様、あらかじめ、ディスク上に、各種の情報を記録することが必要になってきた。
即ち予めディスクに記録されるプリレコーデッド情報として、ディスクへの記録条件、例えば記録線速度やレーザパワー推奨値などを示すディスク情報や、ハックされた機器を排除するためなどのコピープロテクト情報を記録したい。とりわけコピープロテクト用の情報は重要とされている。
【0006】
各種情報をディスクにプリレコードする方法としては、エンボスピットをディスク上に形成することが知られている。
ところが光ディスクに高密度に記録再生することを考えると、エンボスピットによるプリレコード方法は不都合が生ずる。
【0007】
光ディスクに高密度に記録再生する場合、グルーブの深さを浅くすることが必要とされている。そしてスタンパによってグルーブとエンボスピットを同時に生産するディスクにおいては、グルーブとエンボスピットの深さを異なる深さとすることは非常に困難である。このため、エンボスピットの深さはグルーブの深さと同じにならざるを得ない。
ところが、エンボスピットの深さが浅くなると、エンボスピットから品質のよい信号が得られないという問題がある。
【0008】
例えば、光学系として405nmの波長のレーザダイオードと、NA=0.85の対物レンズを用い、カバー(サブストレート)厚み0.1mmのディスク上に、トラックピッチ0.32μm、線密度0.12μm/bitにて、フェーズチェンジマーク(相変化マーク)を記録再生することで、直径12cmの光ディスクに23GB(ギガバイト)の容量を記録再生することができる。
この場合、フェーズチェンジマークは、ディスク上にスパイラル状に形成されたグルーブ上に記録再生されるが、高密度化のためにメディアノイズをおさえるためには、グルーブの深さは、約20nm、つまり波長λに対してλ/13〜λ/12がのぞましい。
一方、品質のよいエンボスピットからの信号を得るには、エンボスピットの深さは、λ/8〜λ/4がのぞましく、結局グルーブ及びエンボスピットとしての共通の深さとして、いい解が得られないでいた。
このような事情から、エンボスピットにかわる、情報をプリレコードする方法が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明はこれらの事情に鑑みて、ディスク記録媒体としての大容量化や記録再生性能の向上に好適なプリレコード方式を用いる新規な光記録媒体、及びディスクドライブ装置。再生方法を提供することを目的とする。
【0010】
このために本発明のディスク記録媒体は、ディスク上にトラックを形成するためのグルーブがスパイラル状に形成されており、上記グルーブのウォブリングによってアドレス情報が記録されると共に、当該グルーブによって形成されるトラックが記録マークの記録再生に用いられる記録再生領域と、上記グルーブのウォブリングによってプリレコーデッド情報が記録される再生専用領域とを有し、上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータは、先頭に配置されたフレーム同期信号と、ロングディスタンスコードでエラー訂正符号化された38バイトごとに区切られているユーザデータと、該38バイトごとに区切られたユーザデータごとに挿入されるバーストエラー検出コードとからなる所定数の単位から構成され、上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータの単位は、4つの上記ユーザデータの間に3つのバーストエラー検出コードが挿入されて構成され、上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータの前記所定数の単位に相当する区間における上記グルーブのウォブリングによるアドレス情報は、シンクパートとデータパートから成る複数のアドレスブロックから成り、上記データパートは、15個のADIPブロックで構成され、上記ADIPブロックは4ビットのADIPデータを有する。
【0011】
本発明のディスクドライブ装置は、ディスク上にトラックを形成するためのグルーブがスパイラル状に形成されており、上記グルーブのウォブリングによってアドレス情報が記録されると共に、当該グルーブによって形成されるトラックが記録マークの記録再生に用いられる記録再生領域と、上記グルーブのウォブリングによってプリレコーデッド情報が記録される再生専用領域と、を有し、上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータは、先頭に配置されたフレーム同期信号と、ロングディスタンスコードでエラー訂正符号化された38バイトごとに区切られているユーザデータと、該38バイトごとに区切られたユーザデータごとに挿入されるバーストエラー検出コードとからなる所定数の単位から構成され、上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータの単位は、4つの上記ユーザデータの間に3つのバーストエラー検出コードが挿入されて構成され、上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータの前記所定数の単位に相当する区間における上記グルーブのウォブリングによるアドレス情報は、シンクパートとデータパートから成る複数のアドレスブロックから成り、上記データパートは、15個のADIPブロックで構成され、上記ADIPブロックは4ビットのADIPデータを有するディスク記録媒体に対して、データの記録又は再生を行うディスクドライブ装置であって、上記トラックに対してレーザ照射を行い反射光信号を得るヘッド手段と、上記反射光信号からトラックのウォブリングに係る信号を抽出するウォブリング抽出手段と、上記反射光信号から記録マーク情報に係る信号を抽出する記録マーク抽出手段と、上記記録再生領域の再生時において、上記ウォブリング抽出手段によって抽出された上記ウォブリングに係る信号についてMSK復調を行い、上記アドレス情報をデコードするアドレスデコード手段と、上記記録再生領域の再生時において、上記記録マーク抽出手段によって抽出された上記記録マークに係る信号についてデコード処理を行い、記録マークとして記録された情報を得る相変化マークデコード手段と、上記再生専用領域の再生時において、上記ウォブリング抽出手段によって抽出された上記ウォブリングに係る信号についてデコードを行い、上記プリレコーデッド情報を得るプリレコーデッド情報デコード手段とを備える。
【0012】
本発明の再生方法は、ディスク上にトラックを形成するためのグルーブがスパイラル状に形成されており、上記グルーブのウォブリングによってアドレス情報が記録されると共に、当該グルーブによって形成されるトラックが記録マークの記録再生に用いられる記録再生領域と、上記グルーブのウォブリングによってプリレコーデッド情報が記録される再生専用領域と、を有し、上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータは、先頭に配置されたフレーム同期信号と、ロングディスタンスコードでエラー訂正符号化された38バイトごとに区切られているユーザデータと、該38バイトごとに区切られたユーザデータごとに挿入されるバーストエラー検出コードとからなる所定数の単位から構成され、上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータの単位は、4つの上記ユーザデータの間に3つのバーストエラー検出コードが挿入されて構成され、上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータの前記所定数の単位に相当する区間における上記グルーブのウォブリングによるアドレス情報は、シンクパートとデータパートから成る複数のアドレスブロックから成り、上記データパートは、15個のADIPブロックで構成され、上記ADIPブロックは4ビットのADIPデータを有するディスク記録媒体に対する再生方法として、上記記録再生領域の再生時には、トラックに対してレーザ照射を行った際の反射光信号から、トラックのウォブリングに係る信号、及び記録マークに係る信号を抽出し、抽出された上記ウォブリングに係る信号についてMSK復調を行って上記アドレス情報をデコードするとともに、抽出された上記記録マークに係る信号についてデコード処理を行って記録マークとして記録された情報を得、上記再生専用領域の再生時には、トラックに対してレーザ照射を行った際の反射光信号から、トラックのウォブリングに係る信号を抽出し、抽出された上記ウォブリングに係る信号についてデコードを行い、上記プリレコーデッド情報を得る。
【発明の効果】
【0013】
本発明のディスク記録媒体は、トラッキングを行うトラックを形成するためにディスク上にスパイラル状に形成されたグルーブをウォブリングすることによって、記録再生領域と再生専用領域を形成する。そして記録再生領域は、グルーブのウォブリングによりアドレス情報を記録し、アドレス情報を記録したグルーブによって形成されるトラックに、フェーズチェンジマークにより情報を記録再生する領域とし、また再生専用領域は、グルーブのウォブリングによってプリレコーデッド情報を記録した領域としている。
このため、エンボスピットによりプリレコーデッド情報を記録する必要が無くなる。そしてエンボスピットを形成する必要がないため、グルーブの深さを浅くすることができる。つまりエンボスピットの再生特性を考慮せずに、グルーブの深さを高密度記録にとって最適な状態に設定できる。従って、例えば直径12cmのディスクに23GBなどの容量を実現するような高密度記録が可能となる。
またディスクドライブ装置側では、プリレコーデッド情報をアドレス情報(ADIP)と同じウォブルチャンネルの再生系で再生(ウォブル情報の抽出)することができる。
【0014】
また再生専用領域はフェーズチェンジマークによる情報を記録しない領域としている。フェイズチェンジマークは、高反射率の記録層を低反射率に変換するマークといえるものであるため、フェイズチェンジマークが記録されたトラックは平均的に反射率は下がる。つまり戻り光が少なくなるが、これはグルーブのウォブリング成分の抽出にとってはSNR(Signal Noise Ratio)の点で不利となる。本発明では再生専用領域においてフェイズチェンジマークが記録されないことは、プリレコーデッド情報のSNRの劣化を防ぐことができ、品質のよいウォブリング信号を得ることができるものである。
【0015】
そして以上のことから、本発明は大容量のディスク記録媒体として好適であるとともに、ディスクドライブ装置の記録再生動作性能も向上され、さらにウォブル処理回路系は簡易なものでよいという大きな効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態のディスクのグルーブの説明図である。
【図2】実施の形態のディスクのエリア構造の説明図である。
【図3】実施の形態のディスクのグルーブのウォブリング方式の説明図である。
【図4】実施の形態のプリレコーデッド情報の変調方式の説明図である。
【図5】実施の形態のフェイズチェンジマークのECC構造の説明図である。
【図6】実施の形態のプリレコーデッド情報のECC構造の説明図である。
【図7】実施の形態のフェイズチェンジマーク及びプリレコーデッド情報のフレーム構造の説明図である。
【図8】実施の形態のプリレコーデッド情報のフレームシンクの説明図である。
【図9】実施の形態のプリレコーデッド情報のフレームシンク配置の説明図である。
【図10】実施の形態のプリレコーデッド情報のBIS構造の説明図である。
【図11】実施の形態のプリレコーデッド情報のBIS構造の説明図である。
【図12】実施の形態のプリレコーデッド情報のBIS構造の説明図である。
【図13】実施の形態のプリレコーデッド情報のBIS構造の説明図である。
【図14】実施の形態のプリレコーデッド情報のアドレスユニットの説明図である。
【図15】実施の形態のADIP情報の変調方式の説明図である。
【図16】実施の形態のRUBに対するアドレスブロックの説明図である。
【図17】実施の形態のディスクのシンクパートの説明図である。
【図18】実施の形態のディスクのシンクビットパターンの説明図である。
【図19】実施の形態のディスクのデータパートの説明図である。
【図20】実施の形態のディスクのADIPビットパターンの説明図である。
【図21】実施の形態のADIP情報のECC構造の説明図である。
【図22】実施の形態のディスクドライブ装置のブロック図である。
【図23】実施の形態のディスクドライブ装置のMSK復調部のブロック図である。
【図24】実施の形態のディスクドライブ装置のMSK復調処理の説明図である。
【図25】実施の形態のディスクを製造するカッティング装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態としての光ディスクを説明するとともに、その光ディスクに対応するディスクドライブ装置(記録再生装置)及び製造方法について、次の順序で説明する。

1.ディスク
1−1.光ディスクの物理特性
1−2.プリレコーデッド情報
1−3.ADIPアドレス
2.ディスクドライブ装置
3.ディスク製造方法

【0018】
1.ディスク
1−1.光ディスクの物理特性
まず実施の形態となるディスクにおける物理的な特性及びウォブリングトラックについて説明する。
【0019】
本例の光ディスクは、例えばDVR(Data&Video Recording)と呼ばれて近年開発されているディスクの範疇に属するものであり、特にDVR方式として新規なウォブリング方式を有するものである。
本例の光ディスクは、相変化方式でデータの記録を行う光ディスクであり、ディスクサイズとしては、直径が120mmとされる。また、ディスク厚は1.2mmとなる。即ちこれらの点では外形的に見ればCD(Compact Disc)方式のディスクや、DVD(Digital Versatile Disc)方式のディスクと同様となる。
【0020】
記録/再生のためのレーザ波長は405nmとされ、いわゆる青色レーザが用いられるものとなる。光学系のNAは0.85とされる。
相変化マーク(フェイズチェンジマーク)が記録されるトラックのトラックピッチは0.32μm、線密度0.12μmとされる。
そしてユーザーデータ容量としては約23Gバイトを実現している。
【0021】
データ記録はグルーブ記録方式である。つまりディスク上には予めグルーブ(溝)によるトラックが形成され、このグルーブに対して記録が行われる。
図1(a)に模式的に示すように、ディスク上は、最内周側から最外周側までグルーブGVがスパイラル状に形成される。なお別例として、グルーブGVを同心円状に形成することも可能である。
また、ディスクはCLV(線速度一定)方式で回転駆動されてデータの記録再生が行われるものとしているが、グルーブGVについてもCLVとされる。従って、トラック1周回のグルーブのウォブリング波数はディスク外周側に行くほど多くなる。
【0022】
このようなグルーブGVは、図1(b)に示すようにウォブリング(蛇行)されて形成されることにより物理アドレスが表現される。
つまりグルーブGVの左右の側壁は、アドレス等に基づいて生成された信号に対応して蛇行している。
グルーブGVとその隣のグルーブGVの間はランドLとされ、上述のようにデータの記録はグルーブGVに行われる。つまりグルーブGVがデータトラックとなる。なお、ランドLをデータトラックとしてデータの記録をランドLに行うようにすることや、グルーブGVとランドLの両方をデータトラックとして用いることも考えられる。
【0023】
図2は、ディスク全体のレイアウト(領域構成)を示す。
ディスク上の領域としては、内周側からリードインゾーン、データゾーン、リードアウトゾーンが配される。
また、記録・再生に関する領域構成としてみれば。リードインゾーンの内周側がPBゾーン(再生専用領域)、リードインゾーンの外周側からリードアウトゾーンまでがRWゾーン(記録再生領域)とされる。
【0024】
リードインゾーンは、半径24mmより内側に位置する。そして半径22.3〜23.1mmがプリレコーデッドデータゾーンとされる。
プリレコーデッドデータゾーンは、あらかじめコピープロテクションにつかう情報等(プリレコーデッド情報)を、ディスク上にスパイラル状に形成されたグルーブをウォブリングすることによって記録してある。これは書換不能な再生専用の情報であり、つまりプリレコーデッドデータゾーンが上記PBゾーン(再生専用領域)となる。
【0025】
プリレコーデッドデータゾーンにおいてプリレコーデッド情報として例えばコピープロテクション情報が記録されるが、このコピープロテクション情報を用いて、例えば次のようなことが行われる。
本例にかかる光ディスクシステムでは、登録されたドライブ装置メーカー、ディスクメーカーがビジネスを行うことができ、その登録されたことを示す、メディアキー、あるいは、ドライブキーを有している。
ハックされた場合、そのドライブキー或いはメディアキーがコピープロテクション情報として記録される。このメディアキー、ドライブキーを有した、メディア或いはドライブは、この情報により、記録再生をすることをできなくすることができる。
【0026】
リードインゾーンにおいて半径23.1〜24mmにはテストライトエリア及びディフェクトマネジメントエリアが設けられる。
テストライトエリアは記録/再生時のレーザパワー等、フェーズチェンジマークの記録再生条件を設定する際の試し書きなどにつかわれる。
ディフェクトマネジメントエリアはディスク上のディフェクト情報を管理する情報を記録再生する。
【0027】
半径24.0〜58.0mmがデータゾーンとされる。データゾーンは、実際にユーザーデータがフェイズチェンジマークにより記録再生される領域である。
半径58.0〜58.5mmはリードアウトゾーンとされる。リードアウトゾーンは、リードインゾーンと同様のディフェクトマネジメントエリアが設けられたり、また、シークの際、オーバーランしてもよいようにバッファエリアとしてつかわれる。
半径23.1mm、つまりテストライトエリアから、リードアウトゾーンまでが、フェイズチェンジマークが記録再生されるRWゾーン(記録再生領域)とされる。
【0028】
図3にRWゾーンとPBゾーンのトラックの様子を示す。図3(a)はRWゾーンにおけるグルーブのウォブリングを、図3(b)はPBゾーンにおけるグルーブのウォブリングを、それぞれ示している。
【0029】
RWゾーンでは、あらかじめアドレス情報(ADIP)を、トラッキングを行うために、ディスク上にスパイラル状に形成されたグルーブをウォブリングすることによって、形成してある。
アドレス情報を形成したグルーブには、フェーズチェンジマークにより情報を記録再生する。
図3(a)に示すように、RWゾーンにおけるグルーブ、つまりADIPアドレス情報を形成したグルーブトラックは、トラックピッチTP=0.32μmとされている。
このトラック上にはフェイズチェンジマークによるレコーディングマークが記録されるが、フェーズチェンジマークはRLL(1,7)PP変調方式(RLL;Run Length Limited、PP:Parity preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))等により、線密度0.12μm/bit、0.08μm/ch bitで記録される。
1chビットを1Tとすると、マーク長は2Tから8Tで最短マーク長は2Tである。
アドレス情報は、ウォブリング周期を69Tとし、ウォブリング振幅WAはおよそ20nm(p-p)である。
【0030】
アドレス情報と、フェーズチェンジマークは、その周波数帯域が重ならないようにしており、これによってそれぞれの検出に影響を与えないようにしてある。
アドレス情報のウォブリングのCNR(carrier noise ratio)はバンド幅30KHzのとき、記録後30dBであり、アドレスエラーレートは節動(ディスクのスキュー,デフォーカス、外乱等)による影響を含めて1×10-3以下である。
【0031】
一方、図3(b)のPBゾーンにおけるグルーブによるトラックは、上記図3(a)のRWゾーンのグルーブによるトラックより、トラックピッチが広く、ウォブリング振幅が大きいものとされている。
即ちトラックピッチTP=0.35μmであり、ウォブリング周期は36T、ウォブリング振幅WAはおよそ40nm(p-p)とされている。ウォブリング周期が36Tとされることはプリレコーデット情報の記録線密度はADIP情報の記録線密度より高くなっていることを意味する。また、フェーズチェンジマークは最短2Tであるから、プリレコーデッド情報の記録線密度はフェーズチェンジマークの記録線密度より低い。
このPBゾーンのトラックにはフェーズチェンジマークを記録しない。
【0032】
ウォブリング波形は、RWゾーンでは正弦波状に形成するが、PBゾーンでは、正弦波状か或いは矩形波状で記録することができる。
【0033】
フェーズチェンジマークは、バンド幅30KHzのときCNR50dB程度の信号品質であれば、データにECC(エラー訂正コード)をつけて記録再生することで、エラー訂正後のシンボルエラーレートを1×10-16以下を達成でき、データの記録再生として使えることが知られている。
ADIPアドレス情報についてのウォブルのCNRはバンド幅30KHzのとき、フェイズチェンジマークの未記録状態で35dBである。
アドレス情報としては、いわゆる連続性判別に基づく内挿保護を行うことなどによりこの程度の信号品質で十分であるが、PBゾーンに記録するプリレコーデッド情報については、フェイズチェンジマークと同等のCNR50dB以上の信号品質は確保したい。このため、図3(b)に示したようにPBゾーンでは、RWゾーンにおけるグルーブとは物理的に異なるグルーブを形成するものである。
【0034】
まず、トラックピッチを広くすることにより、となりのトラックからのクロストークをおさえることができ、ウォブル振幅を2倍にすることにより、CNRを+6dB改善できる。
さらにウォブル波形として矩形波をつかうことによって、CNRを+2dB改善できる。
あわせてCNRは43dBである。
フェーズチェンジマークとプリレコーデッドデータゾーンのウォブルの記録帯域の違いは、ウォブル18T(18Tは36Tの半分);フェイズチェンジマーク2Tで、この点で9.5dB得られる。
従ってプリレコーデッド情報としてのCNRは52.5dB相当であり、となりのトラックからのクロストークとして−2dBを見積もっても、CNR50.5dB相当である。つまり、ほぼフェーズチェンジマークと同程度の信号品質となり、ウォブリング信号をプリレコーデッド情報の記録再生に用いることが十分に適切となる。
【0035】
1−2.プリレコーデッド情報
図4に、プリレコーデッドデータゾーンにおけるウォブリンググルーブを形成するための、プリレコーデッド情報の変調方法を示す。
変調はFMコードをつかう。
図4(a)にデータビット、図4(b)にチャンネルクロック、図4(c)にFMコード、図4(d)にウォブル波形を縦に並べて示している。
データの1bitは2ch(2チャンネルクロック)であり、ビット情報が「1」のとき、FMコードはチャンネルクロックの1.2の周波数とされる。
またビット情報が「0」のとき、FMコードはビット情報「1」の1/2の周波数であらわされる。
ウォブル波形としては、FMコードを矩形波を直接記録することもあるが、図4(d)に示すように正弦波状の波形で記録することもある。
【0036】
なお、FMコード及びウォブル波形は図4(c)(d)とは逆極性のパターンとして、図4(e)(f)に示すパターンとしても良い。
【0037】
上記のようなFMコード変調のルールにおいて、図4(g)のようにデータビットストリームが「10110010」とされているときのFMコード波形、およびウォブル波形(正弦波状波形)は図4(h)(i)に示すようになる。
なお、図4(e)(f)に示すパターンに対応した場合は、図4(j)(k)に示すようになる。
【0038】
図5,図6,図7により、フェイズチェンジマーク及びプリレコーデッド情報についてのECCフォーマットを説明する。
まず図5には、フェーズチェンジマークで記録再生するメインデータ(ユーザーデータ)についてのECCフォーマットを示している。
【0039】
ECC(エラー訂正コード)としては、メインデータ64KB(=1セクターの2048バイト×32セクター)に対するLDC(long distance code)と、BIS(Burst indicator subcode)の2つがある。
【0040】
図5(a)に示すメインデータ64KBについては、図5(b)のようにECCエンコードされる。即ちメインデータは1セクタ2048Bについて4BのEDC(error detection code)を付加し、32セクタに対し、LDCを符号化する。LDCはRS(248,216,33)、符号長248、データ216、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。304の符号語がある。
【0041】
一方、BISは、図5(c)に示す720Bのデータに対して、図5(d)のようにECCエンコードされる。即ちRS(62,30,33)、符号長62、データ30、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。24の符号語がある。
【0042】
図7(a)にRWゾーンにおけるメインデータについてのフレーム構造を示している。
上記LDCのデータと、BISは図示するフレーム構造を構成する。即ち1フレームにつき、データ(38B)、BIS(1B)、データ(38B)、BIS(1B)、データ(38B)が配されて155Bの構造となる。つまり1フレームは38B×4の152Bのデータと、38BごとにBISが1B挿入されて構成される。
フレームシンクFS(フレーム同期信号)は、1フレーム155Bの先頭に配される。1つのブロックには496のフレームがある。
LDCデータは、0,2,・・・の偶数番目の符号語が、0,2,・・・の偶数番目のフレームに位置し、1,3,・・・の奇数番目の符号語が、1,3,・・・の奇数番目のフレームに位置する。
【0043】
BISはLDCの符号より訂正能力が非常に優れた符号をもちいており、ほぼ、すべて訂正される。つまり符号長62に対してディスタンスが33という符号を用いている。
このため、エラーが検出されたBISのシンボルは次のように使うことができる。
ECCのデコードの際、BISを先にデコードする。図7(a)のフレーム構造において隣接したBISあるいはフレームシンクFSの2つがエラーの場合、両者のあいだにはさまれたデータ38Bはバーストエラーとみなされる。このデータ38Bにはそれぞれエラーポインタが付加される。LDCではこのエラーポインタをつかって、ポインターイレージャ訂正をおこなう。
これによりLDCだけの訂正より、訂正能力を上げることができる。
BISにはアドレス情報等が含まれている。このアドレスは、ROMタイプディスク等で、ウォブリンググルーブによるアドレス情報がない場合等につかわれる。
【0044】
次に図6にプリレコーデッド情報についてのECCフォーマットを示す。
この場合ECCには、メインデータ4KB(1セクタ2048B×2セクタ)に対するLDC(long distance code)とBIS(Burst indicator subcode)の2つがある。
【0045】
図6(a)に示すプリレコーデッド情報としてのデータ4KBについては、図6(b)のようにECCエンコードされる。即ちメインデータは1セクタ2048Bについて4BのEDC(error detection code)を付加し、2セクタに対し、LDCを符号化する。LDCはRS(248,216,33)、符号長248、データ216、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。19の符号語がある。
【0046】
一方、BISは、図6(c)に示す120Bのデータに対して、図6(d)のようにECCエンコードされる。即ちRS(62,30,33)、符号長62、データ30、ディスタンス33のRS(reed solomon)コードである。4つの符号語がある。
【0047】
図7(b)にPBゾーンにおけるプリレコーデッド情報についてのフレーム構造を示している。
上記LDCのデータと、BISは図示するフレーム構造を構成する。即ち1フレームにつき、フレームシンクFS(1B)、データ(10B)、BIS(1B)、データ(9B)が配されて21Bの構造となる。つまり1フレームは19Bのデータと、BISが1B挿入されて構成される。
フレームシンクFS(フレーム同期信号)は、1フレームの先頭に配される。1つのブロックには248のフレームがある。
【0048】
この場合もBISはLDCの符号より訂正能力が非常に優れた符号をもちいており、ほぼ、すべて訂正される。このため、エラーが検出されたBISのシンボルは次のように使うことができる。
ECCのデコードの際、BISを先にデコードする。隣接したBIS或いはフレームシンクFSの2つがエラーの場合、両者のあいだにはさまれたデータ10B、あるいは9Bはバーストエラーとみなされる。このデータ10B、あるいは9Bにはそれぞれエラーポインタが付加される。LDCではこのエラーポインタをつかって、ポインターイレージャ訂正をおこなう。
これによりLDCだけの訂正より、訂正能力をあげることができる。
【0049】
BISにはアドレス情報等が含まれている。プリレコーデッドデータゾーンではプリレコーデッド情報がウォブリンググルーブによって記録され、従ってウォブリンググルーブによるアドレス情報は無いため、このBISにあるアドレスがアクセスのために使われる。
【0050】
図5,図6からわかるように、フェイズチェンジマークによるデータとプリレコーデッド情報は、ECCフォーマットとしては、同一の符号及び構造が採用される。
これは、プリレコーデッド情報のECCデコード処理は、フェイズチェンジマークによるデータ再生時のECCデコード処理を行う回路系で実行でき、ディスクドライブ装置としてはハードウエア構成の効率化を図ることができることを意味する。
【0051】
図8はプリレコーデッドデータゾーンのフレームシンクを示す。
フレームシンクFSとしては7種類のフレームシンクFS0〜FS6がある。各フレームシンクFS0〜FS6はFMコード変調のアウトオブルールとしてのパターンを用いた、シンクボディ「11001001」の8チャンネルビットと、7種類のフレームシンクFS0〜FS6のそれぞれについてのシンクIDの8チャンネルビットの合計16チャンネルビットより構成される。
【0052】
シンクIDはデータビットであらわすと、たとえば、フレームシンクFS0は「000」の3bitとパリティ1bit(ここでは0)よりあらわされ、これがFMコード変調され「10101010」となる。
他のシンクIDも同様に、3bitのデータビットとパリティ1bitによりあらわされ、FMコード変調される。
フレームシンクFSは記録の際に、NRZI変換されて記録される。
【0053】
図9にフレームシンクのマッピングを示す。
上記図7(b)に示したプリレコーデッド情報の1ECCブロックの248フレームは、8つの31フレームづつのアドレスフレームに分割される。
各アドレスフレームとも、0から30のフレームナンバをもつ。フレームナンバ「0」には、他のフレームシンクには使われない特別のフレームシンクとしてFS0を用いる。このフレームシンクFS0により、アドレスフレームの先頭を見出すことができ、アドレス同期を行うことができる。
フレームナンバ「1」から「30」には、図9に示す順番でフレームシンク(FS1〜FS6)を配置する。このフレームシンクの並ぶ順番により、先頭のフレームシンクFS0が特定できなくとも、アドレスフレームの先頭を特定することもできる。
【0054】
ところで、プリレコーデッドデータゾーンではBISに含まれるアドレスがアクセスのために使われると述べた。
図10にプリレコーデッドデータゾーンのECCブロックにおいてBISに入れる情報を示している。
BIS情報は、アドレスとユーザーコントロールデータより構成される。
【0055】
BISにおけるアドレスフィールドを図10(a)に示す。アドレスとしては、1ECCブロックの中に、8アドレスフィールド(#0〜#7)ある。
1つのアドレスフィールドは9byteより構成される。例えばアドレスフィールド#0は、A0-0〜A0-8の9バイトで構成される。
各アドレスフィールドのMSB4ByteにはAUN(address unit number)というECCブロックアドレスを示すアドレス値が配される。
また各アドレスフィールドの5バイト目には、その下位3bit(3Lsbit)には、アドレスフィールドナンバが配される。
さらに各アドレスフィールドの下位4Byteには各アドレスフィールドに対するパリティが配される。
【0056】
一方、BISにおけるユーザーコントロールデータは、図10(b)のように1ECCブロック内に2ユニット(#0,#1)ある。
ユーザーコントロールデータの1ユニットは24byteより構成される。例えばユニット#0は、UC0-0〜UC0-23の24バイトで構成される。
このユーザーコントロールデータは将来のシステムに使われるようにリザーブしてある。
【0057】
図11にプリレコーデッドデータゾーンのECCブロックのBIS、つまりBISクラスタのBIS情報の構成を示す。
BISクラスタは、4訂正符号より構成される。ここではパリティを除いた情報のみを示す。符号は、図のカラム(column)方向に構成される。BISクラスタは4カラムで構成される。
1カラムの情報は、アドレスが18row、ユーザーコントロールデータ12rowのトータル30rowより構成される。
【0058】
各アドレスフィールド#0〜#7のアドレスは、図示するように4カラムにインタリーブされて配置される。ここではアドレスフィールド#0、#1、#2までを示しているのみであるが、例えばアドレスフィールド#0を構成するA0-0〜A0-8の9バイトは、図中斜線部として示す位置に配置されることになる。
また、ユーザーコントロールデータも図のように12rowの範囲にユニット#0,#1がそれぞれ配置される。
記録する際は、たとえば、図に示すアドレスフィールド#0が順次配置されるように、BISクラスタのななめ方向に記録される。
【0059】
図12にパリティを含めたBISクラスタ全体を示す。
BISのエラー訂正符号は上述したようにRS(62,30,33)である。BISクラスタには符号長62シンボルの符号が4符号あり、1符号は図中矢印で示すように縦方向にエンコードされる。
【0060】
図13はパリティを含めたBISクラスタの248シンボルの記録する順番を示している。
BISクラスタは記録の際、8アドレスユニットとして記録される。
1つのアドレスユニットは図14に示すように31シンボルより構成される。
各アドレスユニットの先頭9byteには、各アドレスユニット番号に対応した番号の、アドレスフィールド#nとしての9byte(An-0〜An-8)が配置される。例えばアドレスユニット0にはアドレスフィールド#0(A0-0〜A0-8)が配置される。
例えばこのようなアドレスユニット0としての31シンボルは、図13において斜線部として示すように配置されることになる。
【0061】
1アドレスユニットの31シンボルは、上述した31アドレスフレームに対応し、図9のフレームナンバーとフレームシンクパターン(FS0〜FS6)により、フレームシンクFS0のタイミングから、1アドレスユニットのタイミングを検出することができ、これにより、各アドレスフィールド(#0〜#7)のアドレスを再生することができる。
【0062】
1−3.ADIPアドレス
続いて、RWゾーンにおけるウォブリンググルーブとして記録されるADIPアドレスについて説明する。
図15は、グルーブをウォブリングしたADIPアドレスの変調方法として、FSK変調の一つであるMSK(minimum shift keying)変調を用いたものを示している。
【0063】
データの検出長は2ウォブル区間を単位とする。なお、1ウォブル区間とはキャリア周波数によるウォブルの1周期区間である。
アドレス等のデータは、図15(a)(b)に示すように、記録前に、1ウォブルを単位として、差動符号化する。
つまり、記録前の差動符号化後のプリコードデータにおいて、データが“1”のエッジの立ち上がりと立ち下がりの1ウォブル期間が、“1”になる。
このようなプリコードデータをMSK変調したMSKストリームでは、図15(c)のように、プリコードデータが“0”のとき、キャリアであるcosωtあるいは−cosωtとなり、プリコードデータが“1”のとき、キャリアの周波数の1.5倍のcos1.5ωtあるいは−cos1.5ωtとなる。
キャリアの周期は図に示すように、記録再生するフェーズチェンジデータの1チャンネルビット長を1chとすると、69chである。
【0064】
本例の場合、データの記録単位である1つのRUB(recording unit block:記録再生クラスタ)に対しては、ADIPアドレスとして3つのアドレスが入るものとされる。
図16にその様子を示す。RUB(記録再生クラスタ)は、図7(a)に示したデータのECCブロックの496フレームに、その前後に2フレームのPLL等のためのリンクエリアを付加した498フレームとして記録再生の単位である。
そして図16(a)のように1つのRUBに相当する区間において、ADIPとしては3つのアドレスブロックが含まれることになる。
1つのアドレスブロックは83ビットから形成される。
【0065】
図16(b)に1つのアドレスブロックの構成を示している。83ビットのアドレスブロックは、8ビットのシンクパート(同期信号パート)と、75ビットのデータパートからなる。
シンクパートの8ビットでは、モノトーンビット(1ビット)とシンクビット(1ビット)によるシンクブロックが4単位形成される。
データパートの75ビットでは、モノトーンビット(1ビット)とADIPビット(4ビット)によるADIPブロックが15単位形成される。
モノトーンビット、シンクビット、及びADIPビットは、それぞれ56ウォブル期間のウォブルで形成される。これらのビットの先頭にはビットシンクの為のMSKマークが配される。
そしてモノトーンビットはMSKマークに続いて、キャリア周波数によるウォブルが連続して形成される。シンクビット及びADIPビットは後述するが、MSKマークに続いて、MSK変調波形によるウォブルを有して形成される。
【0066】
まずシンクパートの構成を図17で説明する。
図17(a)(b)からわかるように、8ビットのシンクパートは、4つのシンクブロック(sync block“0”“1”“2”“3”)から形成される。各シンクブロックは2ビットである。
【0067】
sync block“0”は、モノトーンビットとシンク“0”ビットで形成される。
sync block“1”は、モノトーンビットとシンク“1”ビットで形成される。
sync block“2”は、モノトーンビットとシンク“2”ビットで形成される。
sync block“3”は、モノトーンビットとシンク“3”ビットで形成される。
【0068】
各シンクブロックにおいて、モノトーンビットは上述したようにキャリアをあらわす単一周波数のウォブルが連続する波形であり、これを図18(a)に示す。即ち56ウォブル期間に、先頭にビットシンクbsとしてのMSKマークが付され、それに続いて単一周波数のウォブルが連続する。
なお図18(a)〜(e)において、それぞれウォブル振幅の下段にMSKマークパターンを示している。
【0069】
シンクビットとしては、上記のようにシンク“0”ビット〜シンク“3”ビットまでの4種類がある。
これら4種類の各シンクビットは、それぞれ図18(b)(c)(d)(e)に示すようなウォブルパターンとされる。
【0070】
図18(b)のシンク“0”ビットは、ビットシンクbsとしてのMSKマークに続いて、16ウォブル区間後にMSKマークがあり、さらに10ウォブル区間後にMSKマークがあるパターンとなる。
シンク“1”ビット〜シンク“3”ビットは、それぞれMSKマークの位置を2ウォブル区間後方にずらしたパターンである。
即ち図18(c)のシンク“1”ビットは、ビットシンクbsとしてのMSKマークに続いて、18ウォブル区間後にMSKマークがあり、さらにその10ウォブル区間後にMSKマークがあるパターンとなる。
図18(d)のシンク“2”ビットは、ビットシンクbsとしてのMSKマークに続いて、20ウォブル区間後にMSKマークがあり、さらにその10ウォブル区間後にMSKマークがあるパターンとなる。
図18(e)のシンク“3”ビットは、ビットシンクbsとしてのMSKマークに続いて、22ウォブル区間後にMSKマークがあり、さらにその10ウォブル区間後にMSKマークがあるパターンとなる。
【0071】
各シンクパターンは、モノトーンビット及び次に説明するADIPビットに対してユニークなパターンとなっている。このように4つのパターンのシンクビットが、各シンクブロックに配されることになり、ディスクドライブ装置側では、シンクパート区間からこの4つのパターンのシンクユニットのいずれかを検出できれば、同期をとることができるようにされている。
【0072】
次にアドレスブロックにおけるデータパートの構成を図19で説明する。
図19(a)(b)からわかるように、データパートは、15個のADIPブロック(ADIP block“0”〜“14”)から形成される。各ADIPブロックは5ビットである。
【0073】
5ビットの各ADIPブロックは、モノトーンビットが1ビットとADIPビットが4ビットで構成される。
各ADIPブロックにおいて、シンクブロックの場合と同様に、モノトーンビットは56ウォブル期間において先頭にビットシンクbsとしてのMSKマークが配され、続いてキャリア周波数のウォブルが連続する波形であり、これを図20(a)に示している。
【0074】
1つのADIPブロックに4ビットのADIPビットが含まれるため、15個のADIPブロックにより60ADIPビットでアドレス情報が形成される。
ADIPビットとしての「1」及び「0」のパターンを図20(b)(c)に示す。
ADIPビットとしての値が「1」の場合のウォブル波形パターンは、図20(b)に示すように、先頭に配されるビットシンクbsとしてのMSKマークに続いて、12ウォブル区間後方にMSKマークが配される。
ADIPビットとしての値が「0」の場合のウォブル波形パターンは、図20(c)に示すように、先頭に配されるビットシンクbsとしてのMSKマークに続いて、14ウォブル区間後方にMSKマークが配される。
【0075】
以上のようにして、ウォブリンググルーブにはMSK変調データが記録されることになるが、このように記録されるADIP情報としてのアドレスフォーマットは図21のようになる。
【0076】
図21によりADIPアドレス情報に対するエラー訂正の方法を示す。
ADIPアドレス情報は36ビットあり、これに対してパリティ24ビットが付加される。
36ビットのADIPアドレス情報は、多層記録用にレイヤナンバ3bit(layer no.bit 0〜layer no.bit2)、RUB(recording unit block)用に19bit(RUB no.bit 0〜layer no.bit 18)、1RUBに対する3つのアドレスブロック用に2bit(address no.bit 0、address no.bit1)とされる。
また、記録再生レーザパワー等の記録条件を記録したdisc ID等、AUXデータとして12bitが用意されている。
【0077】
アドレスデータとしてのECC単位は、このように合計60ビットの単位とされ、図示するようにNibble0〜Nibble14の15ニブル(1ニブル=4ビット)で構成される。
エラー訂正方式としては4ビットを1シンボルとした、nibbleベースのリードソロモン符号RS(15,9,7)である。つまり、符号長15ニブル、データ9ニブル、パリティ6ニブルである。
【0078】
2.ディスクドライブ装置
次に、上記のようなディスクに対応して記録/再生を行うことのできるディスクドライブ装置を説明していく。
図22はディスクドライブ装置の構成を示す。
図22において、ディスク100は上述した本例のディスクである。
【0079】
ディスク100は、図示しないターンテーブルに積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ2によって一定線速度(CLV)で回転駆動される。
そして光学ピックアップ1によってディスク100上のRWゾーンにおけるグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報の読み出しがおこなわれる。またPBゾーンにおけるグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたプリレコーデッド情報の読み出しがおこなわれる。
また記録時には光学ピックアップによってRWゾーンにおけるトラックにユーザーデータがフェイズチェンジマークとして記録され、再生時には光学ピックアップによって記録されたフェイズチェンジマークの読出が行われる。
【0080】
ピックアップ1内には、レーザ光源となるレーザダイオードや、反射光を検出するためのフォトディテクタ、レーザ光の出力端となる対物レンズ、レーザ光を対物レンズを介してディスク記録面に照射し、またその反射光をフォトディテクタに導く光学系(図示せず)が形成される。
レーザダイオードは、波長405nmのいわゆる青色レーザを出力する。また光学系によるNAは0.85である。
【0081】
ピックアップ1内において対物レンズは二軸機構によってトラッキング方向及びフォーカス方向に移動可能に保持されている。
またピックアップ1全体はスレッド機構3によりディスク半径方向に移動可能とされている。
またピックアップ1におけるレーザダイオードはレーザドライバ13からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
【0082】
ディスク100からの反射光情報はフォトディテクタによって検出され、受光光量に応じた電気信号とされてマトリクス回路4に供給される。
マトリクス回路4には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する高周波信号(再生データ信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
【0083】
マトリクス回路4から出力される再生データ信号はリーダ/ライタ回路5へ、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号はサーボ回路11へ、プッシュプル信号はウォブル回路8へ、それぞれ供給される。
【0084】
リーダ/ライタ回路5は、再生データ信号に対して2値化処理、PLLによる再生クロック生成処理等を行い、フェイズチェンジマークとして読み出されたデータを再生して、変復調回路6に供給する。
変復調回路6は、再生時のデコーダとしての機能部位と、記録時のエンコーダとしての機能部位を備える。
再生時にはデコード処理として、再生クロックに基づいてランレングスリミテッドコードの復調処理を行う。
またECCエンコーダ/デコーダ7は、記録時にエラー訂正コードを付加するECCエンコード処理と、再生時にエラー訂正を行うECCデコード処理を行う。
再生時には、変復調回路6で復調されたデータを内部メモリに取り込んで、エラー検出/訂正処理及びデインターリーブ等の処理を行い、再生データを得る。
ECCエンコーダ/デコーダ7で再生データにまでデコードされたデータは、システムコントローラ10の指示に基づいて、読み出され、AV(Audio-Visual)システム20に転送される。
【0085】
グルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路4から出力されるプッシュプル信号は、ウォブル回路8において処理される。ADIP情報としてのプッシュプル信号は、ウォブル回路8においてMSK復調され、ADIPアドレスを構成するデータストリームに復調されてアドレスデコーダ9に供給される。
アドレスデコーダ9は、供給されるデータについてのデコードを行い、アドレス値を得て、システムコントローラ10に供給する。
またアドレスデコーダ9はウォブル回路8から供給されるウォブル信号を用いたPLL処理でクロックを生成し、例えば記録時のエンコードクロックとして各部に供給する。
【0086】
また、グルーブのウォブリングに係る信号としてマトリクス回路4から出力されるプッシュプル信号として、PBゾーンからのプリレコーデッド情報としてのプッシュプル信号は、ウォブル回路8においてバンドパスフィルタ処理が行われてリーダ/ライタ回路5に供給される。そしてフェイズチェンジマークの場合と同様に2値化され、データビットストリームとされた後、ECCエンコーダ/デコーダ7でECCデコード、デインターリーブされて、プリレコーデッド情報としてのデータが抽出される。抽出されたプリレコーデッド情報はシステムコントローラ10に供給される。
システムコントローラ10は、読み出されたプリレコーデッド情報に基づいて、各種設定処理やコピープロテクト処理等を行うことができる。
【0087】
記録時には、AVシステム20から記録データが転送されてくるが、その記録データはECCエンコーダ/デコーダ7におけるメモリに送られてバッファリングされる。
この場合ECCエンコーダ/デコーダ7は、バファリングされた記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加やインターリーブ、サブコード等の付加を行う。
またECCエンコードされたデータは、変復調回路6においてRLL(1−7)PP方式の変調が施され、リーダ/ライタ回路5に供給される。
記録時においてこれらのエンコード処理のための基準クロックとなるエンコードクロックは上述したようにウォブル信号から生成したクロックを用いる。
【0088】
エンコード処理により生成された記録データは、リーダ/ライタ回路5で記録補償処理として、記録層の特性、レーザー光のスポット形状、記録線速度等に対する最適記録パワーの微調整やレーザドライブパルス波形の調整などが行われた後、レーザドライブパルスとしてレーザードライバ13に送られる。
レーザドライバ13では供給されたレーザドライブパルスをピックアップ1内のレーザダイオードに与え、レーザ発光駆動を行う。これによりディスク100に記録データに応じたピット(フェイズチェンジマーク)が形成されることになる。
【0089】
なお、レーザドライバ13は、いわゆるAPC回路(Auto Power Control)を備え、ピックアップ1内に設けられたレーザパワーのモニタ用ディテクタの出力によりレーザ出力パワーをモニターしながらレーザーの出力が温度などによらず一定になるように制御する。記録時及び再生時のレーザー出力の目標値はシステムコントローラ10から与えられ、記録時及び再生時にはそれぞれレーザ出力レベルが、その目標値になるように制御する。
【0090】
サーボ回路11は、マトリクス回路4からのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号から、フォーカス、トラッキング、スレッドの各種サーボドライブ信号を生成しサーボ動作を実行させる。
即ちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、ピックアップ1内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップ1、マトリクス回路4、サーボ回路11、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
【0091】
またサーボ回路11は、システムコントローラ10からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
【0092】
またサーボ回路11は、トラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ10からのアクセス実行制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッド機構3を駆動する。スレッド機構3には、図示しないが、ピックアップ1を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライブ信号に応じてスレッドモータを駆動することで、ピックアップ1の所要のスライド移動が行なわれる。
【0093】
スピンドルサーボ回路12はスピンドルモータ2をCLV回転させる制御を行う。
スピンドルサーボ回路12は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ2の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、リーダ/ライタ回路5内のPLLによって生成される再生クロック(デコード処理の基準となるクロック)が、現在のスピンドルモータ2の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路12は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルモータ2のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路12は、システムコントローラ10からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ2の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
【0094】
以上のようなサーボ系及び記録再生系の各種動作はマイクロコンピュータによって形成されたシステムコントローラ10により制御される。
システムコントローラ10は、AVシステム20からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
【0095】
例えばAVシステム20から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ10は、まず書き込むべきアドレスにピックアップ1を移動させる。そしてECCエンコーダ/デコーダ7、変復調回路6により、AVシステム20から転送されてきたデータ(例えばMPEG2などの各種方式のビデオデータや、オーディオデータ等)について上述したようにエンコード処理を実行させる。そして上記のようにリーダ/ライタ回路5からのレーザドライブパルスがレーザドライバ13に供給されることで、記録が実行される。
【0096】
また例えばAVシステム20から、ディスク100に記録されている或るデータ(MPEG2ビデオデータ等)の転送を求めるリードコマンドが供給された場合は、まず指示されたアドレスを目的としてシーク動作制御を行う。即ちサーボ回路11に指令を出し、シークコマンドにより指定されたアドレスをターゲットとするピックアップ1のアクセス動作を実行させる。
その後、その指示されたデータ区間のデータをAVシステム20に転送するために必要な動作制御を行う。即ちディスク100からのデータ読出を行い、リーダ/ライタ回路5、変復調回路6、ECCエンコーダ/デコーダ7におけるデコード/バファリング等を実行させ、要求されたデータを転送する。
【0097】
なお、これらのフェイズチェンジマークによるデータの記録再生時には、システムコントローラ10は、ウォブル回路8及びアドレスデコーダ9によって検出されるADIPアドレスを用いてアクセスや記録再生動作の制御を行う。
【0098】
また、ディスク100が装填された際など所定の時点で、システムコントローラ10は、ディスク100のPBゾーンにウォブリンググルーブとして記録されているプリレコーデッド情報の読出を実行させる。
その場合、まずPBゾーンを目的としてシーク動作制御を行う。即ちサーボ回路11に指令を出し、ディスク最内周側へのピックアップ1のアクセス動作を実行させる。
その後、ピックアップ1による再生トレースを実行させ、反射光情報としてのプッシュプル信号を得、ウォブル回路8、リーダ/ライタ回路5、ECCエンコーダ/デコーダ7によるデコード処理を実行させ、プリレコーデッド情報としての再生データを得る。
システムコントローラ10はこのようにして読み出されたプリレコーデッド情報に基づいて、レーザパワー設定やコピープロテクト処理等を行う。
【0099】
なお、PBゾーンのプリレコーデッド情報の再生時には、システムコントローラ10は、読み出されたプリレコーデッド情報としてのBISクラスタに含まれるアドレス情報を用いて、アクセスや再生動作の制御を行う。
【0100】
ところで、この図22の例は、AVシステム20に接続されるディスクドライブ装置30としたが、本発明のディスクドライブ装置としては例えばパーソナルコンピュータ等と接続されるものとしてもよい。
さらには他の機器に接続されない形態もあり得る。その場合は、操作部や表示部が設けられたり、データ入出力のインターフェース部位の構成が、図22とは異なるものとなる。つまり、ユーザーの操作に応じて記録や再生が行われるとともに、各種データの入出力のための端子部が形成されればよい。
もちろん構成例としては他にも多様に考えられ、例えば記録専用装置、再生専用装置としての例も考えられる。
【0101】
ウォブル回路8におけるADIP情報としてのプッシュプル信号にかかるMSK復調方式を図23,図24で説明する。
MSK復調のための構成としてウォブル回路8には図23に示すように、バンドパスフィルタ51,52、乗算器53、ローパスフィルタ54、スライサ55が設けられる。
【0102】
上述したように、例えば図24(a)のようなADIP情報としてのアドレスデータは、図24(b)のように差動符号化されたプリコードデータとされ、図24(c)のようにMSK変調される。そしてこのMSK変調信号に基づいてディスク上でグルーブがウォブリングされたものとなっている。
従ってディスク100のRWゾーンの記録再生時には、プッシュプル信号として得られる情報は、図24(c)のMSK変調波形に対応した信号となる。
【0103】
図22のマトリクス回路9からウォブリングに係る信号として供給されるプッシュプル信号P/Pは、図23のバンドパスフィルタ51,52のそれぞれに供給される。
バンドパスフィルタ51は、キャリア周波数及びキャリア周波数の1.5倍の周波数に相当する帯域を通過させる特性とされ、このバンドパスフィルタ51によってウォブル成分、即ち図24(c)のMSK変調波が抽出される。
またバンドパスフィルタ52は、キャリア周波数成分のみを通過させるより狭帯域の特性とされ、図24(d)のキャリア成分が抽出される。
【0104】
乗算器53は、バンドパスフィルタ51,52の出力を乗算する。つまり、MSK変調されたウォブル信号と、キャリアを乗算することにより、同期検波することができ、図24(e)の復調信号demod outが得られる。
この復調信号demod outを次のLPF54を通過させることにより、図24(f)のLPF out信号が得られる。
LPF54は例えば27タップのFIRフィルタとされ、係数は以下のとおりである。
【0105】
-0.000640711
-0.000865006
0.001989255
0.009348803
0.020221675
0.03125
0.040826474
0.050034929
0.05852149
0.065960023
0.072064669
0.076600831
0.079394185
0.080337385 ;Center
0.079394185
0.076600831
0.072064669
0.065960023
0.05852149
0.050034929
0.040826474
0.03125
0.020221675
0.009348803
0.001989255
-0.000865006
-0.000640711
【0106】
このようなLPF54から得られたLPF out信号をコンパレータとして形成されるスライサ55で2値化することで、図24(g)の復調データ(demod data)が得られる。
この2値化された出力である復調データ(demod data)はアドレス情報を形成するチャンネルビットデータとなり、図22に示したアドレスデコーダ9に供給されて、ADIPアドレスがデコードされるものとなる。
【0107】
3.ディスク製造方法
続いて、上述した本例のディスクの製造方法を説明する。
ディスクの製造プロセスは、大別すると、いわゆる原盤工程(マスタリングプロセス)と、ディスク化工程(レプリケーションプロセス)に分けられる。原盤工程はディスク化工程で用いる金属原盤(スタンパー)を完成するまでのプロセスであり、ディスク化工程はスタンパーを用いて、その複製である光ディスクを大量生産するプロセスである。
【0108】
具体的には、原盤工程は、研磨した硝子基板にフォトレジストを塗布し、この感光膜にレーザビームによる露光によってピットやグルーブを形成する、いわゆるカッティングを行なう。
本例の場合、ディスクの最内周側のPBゾーンに相当する部分でプリレコーデッド情報に基づいたウォブリングによるグルーブのカッティングが行われ、またRWゾーンに相当する部分で、ADIPアドレスに基づいたウォブリングによるグルーブのカッティングが行われる。
【0109】
記録するプリレコーデッド情報はプリマスタリングと呼ばれる準備工程で用意される。
そしてカッティングが終了すると、現像等の所定の処理を行なった後、例えば電鋳によって金属表面上への情報の転送を行ない、ディスクの複製を行なう際に必要なスタンパーを作成する。
次に、このスタンパーを用いて例えばインジェクション法等によって、樹脂基板上に情報を転写し、その上に反射膜を生成した後、必要なディスク形態に加工する等の処理を行なって、最終製品を完成する。
【0110】
カッティング装置は、例えば図25に示すように、プリレコーデッド情報発生部71,アドレス発生部72、切換部73、カッティング部74、コントローラ70を備える。
プリレコーデッド情報発生部71は、プリマスタリング工程で用意されたプリレコーデッド情報を出力する。
アドレス発生部72は、絶対アドレスとしての値を順次出力する。
【0111】
カッティング部74は、フォトレジストされた硝子基板101にレーザービームを照射してカッティングを行なう光学部(82,83,84)と、硝子基板101を回転駆動及びスライド移送する基板回転/移送部85と、入力データを記録データに変換して光学部に供給する信号処理部81と、基板回転/移送部85の位置から、カッティング位置がPBゾーンとRWゾーンのいずれであるかを判別できるようにしたセンサ86を有する。
【0112】
上記光学部としては、例えばHe−Cdレーザからなるレーザ光源82と、このレーザ光源82からの出射光を記録データに基づいて変調する変調部83と、変調部83からの変調ビームを集光して硝子基板101のフォトレジスト面に照射するカッティングヘッド部84が設けられている。
変調部83としてはレーザ光源82からの出射光をオン/オフする音響光学型の光変調器(AOM)と、さらにレーザ光源82からの出射光をウォブル生成信号に基づいて偏向する音響光学型の光偏向器(AOD)が設けられる。
【0113】
また、基板回転/移送部85は、硝子基板101を回転駆動する回転モータと、回転モータの回転速度を検出する検出部(FG)と、硝子基板101をその半径方向にスライドさせるためのスライドモータと、回転モータ、スライドモータの回転速度や、カッティングヘッド部84のトラッキング等を制御するサーボコントローラなどを有して構成される。
【0114】
信号処理部81は、例えば切換部73を介して供給されるプリレコーデッド情報やアドレス情報に対して、例えばエラー訂正符号等を付加して入力データを形成するフォーマティング処理や、フォーマティング処理データに所定の演算処理を施して変調信号を形成する変調信号生成処理を行う。
そして変調信号に基づいて変調部83の光変調器及び光偏向器を駆動する駆動処理も行う。
【0115】
カッティング部74では、カッティングの際、基板回転/移送部85が硝子基板101を一定線速度で回転駆動するとともに、硝子基板71を回転させたまま、所定のトラックピッチでらせん状のトラックが形成されていくようにスライドさせる。
同時に、レーザ光源82からの出射光は変調部83を介して、信号処理部81からの変調信号に基づく変調ビームとされてカッティングヘッド部84から硝子基板71のフォトレジスト面に照射されていき、その結果、フォトレジストがデータやグルーブに基づいて感光される。
【0116】
コントローラ70は、このようなカッティング部74のカッティング時の動作を実行制御するとともに、センサ86からの信号を監視しながらプリレコーデッド情報発生部71、アドレス発生部72、切換部73を制御する。
コントローラ70は、カッティング開始時には、カッティング部74に対してカッティングヘッド部84が最内周側からレーザ照射を開始するように、基板回転/移送部85のスライド位置を初期位置とさせる。そして硝子基板101のCLV回転駆動と、トラックピッチ0.35μmのグルーブを形成するためのスライド移送を開始させる。
この状態で、プリレコーデッド情報発生部71からプリレコーデッド情報を出力させ、切換部73を介して信号処理部81に供給させる。また、レーザ光源82からのレーザ出力を開始させ、変調部83は信号処理部81からの変調信号、即ちプリレコーデッド情報のFMコード変調信号に基づいてレーザ光を変調させ、硝子基板101へのグルーブカッティングを実行させる。
これにより、PBゾーンに相当する領域に、上述した図3(b)のようなグルーブのカッティングが行われていく。
【0117】
その後、コントローラ70はセンサ86の信号から、カッティング動作がPBゾーンに相当する位置まで進んだことを検出したら、切換部73をアドレス発生部72側に切り換えると共に、アドレス発生部72からアドレス値を順次発生させるように指示する。
また基板回転/移送部85には、トラックピッチ0.32μmのグルーブを形成するようにスライド移送速度を低下させる。
【0118】
これによりアドレス発生部72からアドレス情報が切換部73を介して信号処理部81に供給される。そして、レーザ光源82からのレーザ光は変調部83において信号処理部81からの変調信号、即ちアドレス情報のMSK変調信号に基づいて変調され、その変調レーザ光により硝子基板101へのグルーブカッティングが実行される。
これにより、RWゾーンに相当する領域に、上述した図3(a)のようなグルーブのカッティングが行われていく。
コントローラ70はセンサ86の信号から、当該カッティング動作がリードアウトゾーンの終端に達したことを検出したら、カッティング動作を終了させる。
【0119】
このような動作により、硝子基板101上にPBゾーン及びRWゾーンとしてのウォブリンググルーブに対応する露光部が形成されていく。
その後、現像、電鋳等を行ないスタンパーが生成され、スタンパーを用いて上述のディスクが生産される。
【0120】
以上、実施の形態のディスク及びそれに対応するディスクドライブ装置、ディスク製造方法について説明してきたが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、要旨の範囲内で各種変形例が考えられるものである。
【符号の説明】
【0121】
1 ピックアップ、2 スピンドルモータ、3 スレッド機構、4 マトリクス回路、5 リーダ/ライタ回路、6 変復調回路、7 ECCエンコーダ/デコーダ、8 ウォブル回路、9 アドレスデコーダ、10 システムコントローラ、11 サーボ回路、12 スピンドルサーボ回路、13 レーザドライバ、20 AVシステム、51,52 バンドパスフィルタ、53 乗算器、54 ローパスフィルタ、55 スライサ、70 コントローラ、71 プリレコーデッド情報発生部、72 アドレス発生部、73 切換部、74 カッティング部、100 ディスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク上にトラックを形成するためのグルーブがスパイラル状に形成されており、
上記グルーブのウォブリングによってアドレス情報が記録されると共に、当該グルーブによって形成されるトラックが記録マークの記録再生に用いられる記録再生領域と、
上記グルーブのウォブリングによってプリレコーデッド情報が記録される再生専用領域と、
を有し、
上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータは、先頭に配置されたフレーム同期信号と、ロングディスタンスコードでエラー訂正符号化された38バイトごとに区切られているユーザデータと、該38バイトごとに区切られたユーザデータごとに挿入されるバーストエラー検出コードとからなる所定数の単位から構成され、
上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータの単位は、4つの上記ユーザデータの間に3つのバーストエラー検出コードが挿入されて構成され、
上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータの前記所定数の単位に相当する区間における上記グルーブのウォブリングによるアドレス情報は、シンクパートとデータパートから成る複数のアドレスブロックから成り、上記データパートは、15個のADIPブロックで構成され、上記ADIPブロックは4ビットのADIPデータを有する
ディスク記録媒体。
【請求項2】
ディスク上にトラックを形成するためのグルーブがスパイラル状に形成されており、上記グルーブのウォブリングによってアドレス情報が記録されると共に、当該グルーブによって形成されるトラックが記録マークの記録再生に用いられる記録再生領域と、上記グルーブのウォブリングによってプリレコーデッド情報が記録される再生専用領域と、を有し、上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータは、先頭に配置されたフレーム同期信号と、ロングディスタンスコードでエラー訂正符号化された38バイトごとに区切られているユーザデータと、該38バイトごとに区切られたユーザデータごとに挿入されるバーストエラー検出コードとからなる所定数の単位から構成され、上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータの単位は、4つの上記ユーザデータの間に3つのバーストエラー検出コードが挿入されて構成され、上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータの前記所定数の単位に相当する区間における上記グルーブのウォブリングによるアドレス情報は、シンクパートとデータパートから成る複数のアドレスブロックから成り、上記データパートは、15個のADIPブロックで構成され、上記ADIPブロックは4ビットのADIPデータを有するディスク記録媒体に対して、データの記録又は再生を行うディスクドライブ装置であって、
上記トラックに対してレーザ照射を行い反射光信号を得るヘッド手段と、
上記反射光信号からトラックのウォブリングに係る信号を抽出するウォブリング抽出手段と、
上記反射光信号から記録マーク情報に係る信号を抽出する記録マーク抽出手段と、
上記記録再生領域の再生時において、上記ウォブリング抽出手段によって抽出された上記ウォブリングに係る信号についてMSK復調を行い、上記アドレス情報をデコードするアドレスデコード手段と、
上記記録再生領域の再生時において、上記記録マーク抽出手段によって抽出された上記記録マークに係る信号についてデコード処理を行い、記録マークとして記録された情報を得る相変化マークデコード手段と、
上記再生専用領域の再生時において、上記ウォブリング抽出手段によって抽出された上記ウォブリングに係る信号についてデコードを行い、上記プリレコーデッド情報を得るプリレコーデッド情報デコード手段と、
を備えたディスクドライブ装置。
【請求項3】
ディスク上にトラックを形成するためのグルーブがスパイラル状に形成されており、上記グルーブのウォブリングによってアドレス情報が記録されると共に、当該グルーブによって形成されるトラックが記録マークの記録再生に用いられる記録再生領域と、上記グルーブのウォブリングによってプリレコーデッド情報が記録される再生専用領域と、を有し、上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータは、先頭に配置されたフレーム同期信号と、ロングディスタンスコードでエラー訂正符号化された38バイトごとに区切られているユーザデータと、該38バイトごとに区切られたユーザデータごとに挿入されるバーストエラー検出コードとからなる所定数の単位から構成され、上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータの単位は、4つの上記ユーザデータの間に3つのバーストエラー検出コードが挿入されて構成され、上記記録再生領域に記録マークで記録されるデータの前記所定数の単位に相当する区間における上記グルーブのウォブリングによるアドレス情報は、シンクパートとデータパートから成る複数のアドレスブロックから成り、上記データパートは、15個のADIPブロックで構成され、上記ADIPブロックは4ビットのADIPデータを有するディスク記録媒体に対する再生方法として、
上記記録再生領域の再生時には、
トラックに対してレーザ照射を行った際の反射光信号から、トラックのウォブリングに係る信号、及び記録マークに係る信号を抽出し、抽出された上記ウォブリングに係る信号についてMSK復調を行って上記アドレス情報をデコードするとともに、抽出された上記記録マークに係る信号についてデコード処理を行って記録マークとして記録された情報を得、
上記再生専用領域の再生時には、
トラックに対してレーザ照射を行った際の反射光信号から、トラックのウォブリングに係る信号を抽出し、抽出された上記ウォブリングに係る信号についてデコードを行い、上記プリレコーデッド情報を得る
再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−77373(P2013−77373A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−276779(P2012−276779)
【出願日】平成24年12月19日(2012.12.19)
【分割の表示】特願2010−113044(P2010−113044)の分割
【原出願日】平成13年10月9日(2001.10.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】