説明

ディスク駆動装置

【課題】ディスク挿入検知時間に影響を与えることなく、ディスク挿入の誤検出を回避可能なディスク駆動装置を提供する。
【解決手段】ディスク挿入検知後、挿入されたディスク20を所定の位置まで搬送して保持し、記録、もしくは再生を行うディスク駆動装置10であって、光センサ(発光部13と受光部14により構成される)によるディスクの挿入検知を契機に、ディスク挿入時とディスク搬送期間中とで光センサの発光もしくは受光のタイミングを可変制御する制御部11を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク挿入検知後、挿入されたディスクを所定の位置まで搬送して保持し、記録、もしくは再生を行うディスク駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスク記録再生装置等のディスク駆動装置機構部は、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)等のディスクがスロット内に挿入されることで、ローディング機構により所定の位置まで搬送し、クランパに保持する。
そして、電気部品によりピックアップユニットのトラッキングおよびフォーカス制御を行い、このことにより、ディスクの所定の位置に情報が書き込まれ、あるいはディスクに記録された情報が読み出され、所望の記録再生を行うことができる。
【0003】
ところで、ディスク駆動装置機構部には、ディスクが挿入されたことを検知するために、ディスク駆動装置筐体の基板内に、発光部と受光部とからなる光センサが実装される。
この光センサによりディスク挿入を検知する技術は、従来、多数出願されており、例えば、ディスク挿入検出を正しく行うことを目的に、部品能力による定常的な出力差に対して補正を行い、センサの発光部や受光部の感度調整を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、省電力化を目的とし、節電時、所定時間経過ごとにLED(Light Emitted Diode)の発光間隔を長くする技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−202442号公報
【特許文献2】特開2007−141413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ディスクのピンホールや8cmアダプタのスリットによる光の透過、あるいは電気部品に対する静電気等の影響により、誤検出が行われることが多々ある。この誤検出は、短期間に発生する過渡的な出力変化により発生し、これらは、ディスク搬送中、あるいはディスクとディスク搬送機構との間の摩擦により瞬時に発生する現象である。
この過渡的な出力変化に対し、上記した特許文献1、2に開示された技術で対策することは困難と考えられ、このため、ディスクの搬送を正しく行えない場合がある。
【0006】
また、特許文献2に開示された技術によれば、節電時、所定時間経過ごとにLED発光間隔が長くなるため、ディスク挿入検知の時間が遅れ、このため、ディスクの搬入開始までに時間がかかり、ユーザに不快感を与え、使い勝手が悪い。
【0007】
本発明は上記した課題を解決するためになされたものであり、ディスク挿入検知時間に影響を与えることなくディスク挿入の誤検出を回避可能な、ディスク駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために本発明のディスク駆動装置は、ディスク挿入検知後、前記挿入されたディスクを所定の位置まで搬送して保持し、記録、もしくは再生を行うディスク駆動装置であって、光センサによるディスクの挿入検知を契機に、ディスク挿入時とディスク搬送期間中とで前記光センサの発光もしくは受光のタイミングを可変制御する制御部、を備えたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ディスク挿入検知時間に影響を与えることなく、ディスク挿入の誤検出を回避可能なディスク駆動装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1に係るディスク駆動装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るディスク駆動装置のディスク装填時におけるディスクの状態遷移を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るディスク駆動装置のディスク検知動作を示すタイミング図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るディスク駆動装置のディスク検知動作を示すタイミング図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係るディスク駆動装置のディスク検知動作を示すタイミング図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係るディスク駆動装置の制御部によるディスク検知動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態2に係るディスク駆動装置のディスク検知動作を示すタイミング図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係るディスク駆動装置の制御部によるディスク検知動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係るディスク駆動装置10の構成を示すブロック図である。図1に示されるように、本実施の形態1に係るディスク駆動装置10は、制御部11と、発光部回路12と、発光部13と、受光部14と、受光部回路15と、搬送完了検知回路16と、により構成される。
【0012】
制御部11には、例えばCPU(Central Processing Unit)が実装され、CPUは、発光部13と受光部14からなる光センサにより、CD等のディスク挿入が検知されたことを契機に、ディスク挿入時とディスク搬送期間中とで光センサの発光もしくは受光のタイミングを可変制御する機能を有する。ここでは、制御部11は、ディスク搬送期間中における光センサの発光時間間隔の設定を変更し、また、ディスクの搬送完了を契機に設定された光センサの発光時間間隔を初期化する。
【0013】
このため、CPUの入出力ポートには、発光部回路12、受光部回路15、搬送完了検知回路16のそれぞれが接続される。
【0014】
光センサを構成する発光部13は、例えば、LEDであり、受光部14は、フォトトランジスタである。発光部回路12は、制御部11からの発光制御信号を受けてLEDを駆動し、受光部回路15は、フォトトランジスタの出力電流を電圧に変換し、不図示の出力ポート経由で制御部11へ出力する。搬送完了検知回路16は、例えば、マイクロスイッチ等により構成され、マイクロスイッチで検出された搬送完了検知信号は不図示の入力ポート経由で制御部11に取り込まれる。
なお、発光部13と受光部14からなる光センサは複数実装してもよい。
【0015】
図2(a)、(b)、(c)は、本発明の実施の形態1に係るディスク駆動装置10のディスク未挿入状態からディスク搬送完了状態に至るディスク装填時におけるディスク20の状態遷移を示す平面図と矢印X方向から見た側面図である。なお、ディスク駆動装置機構部21内部に固定された電子基板に実装される発光部13および受光部14からなる光センサも透過して示してある。
【0016】
図2(a)はディスク未挿入状態、図2(b)はディスク搬送中、図2(c)はディスク搬送完了状態の、3つの状態遷移における略図が示されており、この3つの状態遷移を経てディスク20の搬送が完了する。
【0017】
図3、図4、図5は、本発明の実施の形態1に係るディスク駆動装置のディスク検知動作を説明するために示したタイミング図であり、図2に示すディスク装填時における、発光部13、受光部14、搬送完了検知回路16のそれぞれの動作が示されている。
以下、図3、図4、図5のタイミング図を参照しながら、本実施の形態1に係るディスク駆動装置10のディスク検知動作について詳細に説明する。
【0018】
図3は、ディスク未挿入状態からディスク搬送完了状態に至る遷移が正常に行われた場合のディスク駆動装置10の動作を示している。
図3に示す例では、制御部11は、発光部回路12を制御することにより発光部13を一定の発光時間間隔t秒で駆動している。受光部14は、発光部13による発光をうけて動作し、受光部回路15は、受光部14による受光または非受光に相当する信号を受信して制御部11へ出力する。制御部11は、受光部回路15から出力される信号を取り込んで監視し、予め決められたm個(mは整数)のパルスを検知することで受光または非受光を確定する。
【0019】
具体的に、図3において、区間Aで示されるように、ディスク20がディスク駆動装置機構部21に未挿入の状態(図2(a)の状態)では、発光部13により発光される光は透過し、これをうけた受光部14では受光による受光信号の出力が継続する。このため、制御部11ではその信号を監視してm個(mは整数)のパルスを計測することにより受光が確定したと判定する。
続いて、区間Bで示されるように、ディスク挿入状態に遷移すると(図2(b)の状態)、発光部13により発光される光はディスク20で遮光され、このため、受光部14では非受光状態が継続する。したがって、制御部11による判定は、受光から非受光に変化する。このように判定が非受光に変化すると、区間Aで示されるディスク未挿入状態から区間Bで示されるディスク搬送中状態に遷移して非受光が確定する。
【0020】
一方、制御部11は、搬送完了検知回路16からディスク搬送完了検知信号を受信すると発光部回路12を制御して発光部13を消灯する。そして、区間Bで示すディスク搬送中状態から区間Cで示すディスク搬送完了状態に遷移して終了する。
【0021】
次に、区間Bで示すディスク搬送中、ディスク20のピンホールまたは8cmアダプタのスリットによる光の透過や電気部品の静電気等により受光と誤検知した場合の動作について図4のタイミング図を参照しながら説明する。
このケースでは、受光が回数mを超えるため、制御部11は、タイミングpで異常と判定してディスク20の搬送を中止し、ディスク20をディスク駆動装置機構部21から排出する。
【0022】
これに対し、本実施の形態1に係るディスク駆動装置10では、図5のタイミング図に示されるように、制御部11が、タイミングoで示すディスク挿入検知を契機に、発光部13の発光時間間隔をt秒からs秒(s>t)に動的に変更する。この変更は、制御部11(CPU)が内蔵するレジスタに割り付けられた出力ポート制御用の発光時間間隔設定用レジスタに値を設定することで実現される。
このように、発光時間間隔をディスク未挿入状態に比べて長めに設定することで、パルス検出回数がn回(n<m)となり、このとき制御部11は非受光確定と判定し、ディスク20の搬送が完了する。
【0023】
なお、タイミングqの時点で搬送完了検知回路16がディスク搬送完了を検知すると、制御部11は、先に変更した発光部13の発光時間間隔を、ディスク未挿入状態のt秒に戻すか初期化する。このように、発光時間間隔を長くする期間をディスク搬送中にのみ制限することで、ディスク挿入検知の時間遅れを回避することができる。
【0024】
次に、上述した本発明の実施の形態1に係るディスク駆動装置10の制御部11の動作について、図6に示したフローチャートを参照しながら説明する。
図6のフローチャートにおいて、制御部11は、まず、発光部13と受光部14とにより構成される光センサによるディスク挿入検知を行う(ステップST41)。このディスク挿入検知を契機に(ステップST41“YES”)、制御部11は、発光部13の発光時間間隔を長めに変更し、出力ポート経由で発光部回路12を制御する(ステップST42)。
【0025】
なお、ディスク挿入を検知すると、制御部11は、ディスク駆動装置機構部21に搬送指令を発光することによりディスク20の搬送が開始され(ステップST43)、ディスク20がクランプ位置まで搬送されると搬送完了検知回路16が作動し、制御部11は、搬送完了検知回路16からの検知信号を入力ポート経由で取り込むことでディスク搬送完了を認識する(ステップST44“YES”)。
続いて制御部11は、先に変更した発光部13の発光時間間隔を初期化し(ステップST45)、一連のディスク検知制御を終了する。ここで、初期化とは、発光時間間隔をディスク未挿入状態における発光時間間隔tに戻すことをいう。
【0026】
上記したように本実施の形態1に係るディスク駆動装置10によれば、制御部11が、ディスク搬送期間中における光センサの発光時間間隔の設定を変更することにより、ディスク搬送中、ディスク20のピンホールまたは8cmアダプタのスリットによる光の透過や電気部品の静電気等に起因して発生するディスク挿入の誤検出を回避できる。
また、発光時間間隔の変更設定は、ディスク搬送期間中にのみに限定することでディスク未挿入状態からディスク搬送状態へ変化するまでの発光時間間隔は変更されないため、ディスク挿入検知の時間遅れを回避することができる。
【0027】
実施の形態2.
図7は、本発明の実施の形態2に係るディスク駆動装置10のディスク検知動作を示すタイミング図であり、図8は、そのときの制御部11の動作を示すフローチャートである。なお、以下に説明する本実施の形態2に係るディスク駆動装置10においても実施の形態1同様、図1に示す構成を用いるものとする。
以下、図7、図8を参照しながら、本実施の形態2に係るディスク駆動装置10のディスク検知動作について説明する。
【0028】
上述した実施の形態1では、図5に示されるように、ディスク搬送期間中における発光部13の発光時間間隔を制御してディスク20の誤検出を回避することとしたが、以下に説明する実施の形態2では、ディスク搬送期間中における受光部14の受光または非受光に相当する信号の受光検知回数を変更することとしている。
具体的に、図7のタイミングチャートに示されるように、制御部11は、タイミングoで示されるディスク挿入検知直後から、受光あるいは非受光確定と判定するための受光検知回数(パルス数)をk回(但し、k>m)に動的に設定することとしている。この変更は、制御部11(CPU)が内蔵するレジスタに割り付けられた出力ポート制御用の受光検知回数設定用レジスタに値kを設定することで実現される。
【0029】
上記のように、受光、非受光確定と判定するための受光検知回数を増やしたことにより、この間、制御部11は非受光確定と判定し、ディスク20の搬送が完了する。
なお、タイミングqで搬送完了検知回路16がディスク搬送完了を検知すると、制御部11は、先に変更した受光部14の受光検知回数を初期化する。ここで、初期化とは、受光検知回数をディスク未挿入状態における受光検知回数mに戻すことをいう。このように、受光、非受光確定と判定するための検知回数を多くする期間をディスク搬送中にのみ制限することでディスク挿入検知の時間遅れを回避することができる。
【0030】
また、図8のフローチャートにおいて、制御部11は、光センサによるディスク挿入検知を契機に(ステップST61“YES”)、受光検知回数を変更する(ステップST62)。次に、ディスク搬送を開始し(ステップST63)、ディスク搬送完了検知を契機に(ステップST64“YES”)、先に変更した受光検知回数の初期化を行い(ステップST65)、一連の制御を終了する。
【0031】
上記したように本実施の形態2に係るディスク駆動装置10によれば、制御部11が、ディスク搬送期間中における光センサの受光または非受光に相当する信号の受光検知回数の設定を変更するディスク搬送中、ディスク20のピンホールまたは8cmアダプタのスリットによる光の透過や電気部品の静電気等に起因して発生するディスク挿入の誤検出を回避できる。
また、上記した受光検知回数の変更設定は、ディスク搬送期間中にのみに限定することで、ディスク未挿入状態からディスク搬送状態へ変化するまでの検知回数は変更されないため、ディスク挿入検知の時間遅れを回避することができる。
【符号の説明】
【0032】
10 ディスク駆動装置、11 制御部、12 発光部回路、13 発光部、14 受光部、15 受光部回路、16 搬送完了検知回路、20 ディスク、21 ディスク駆動装置機構部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク挿入検知後、前記挿入されたディスクを所定の位置まで搬送して保持し、記録、もしくは再生を行うディスク駆動装置であって、
光センサによるディスクの挿入検知を契機に、ディスク挿入時とディスク搬送期間中とで前記光センサの発光もしくは受光のタイミングを可変制御する制御部、
を備えたことを特徴とするディスク駆動装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記ディスク搬送期間中における前記光センサの発光時間間隔の設定を変更することを特徴とする請求項1記載のディスク駆動装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記ディスク搬送期間中における前記光センサの受光または非受光に相当する信号の検知回数の設定を変更することを特徴とする請求項1記載のディスク駆動装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記ディスクの搬送完了検知を契機に、前記設定された前記光センサの発光時間間隔、もしくは前記光センサの受光または非受光に相当する信号の検知回数を初期化することを特徴とする請求項2または請求項3記載のディスク駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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