説明

ディスプレイを作動させるための方法および装置

【課題】双安定機構を含み、かつ、削減された電力消費のために低電圧で駆動されることが可能な機械的に作動可能なディスプレイを提供する。
【解決手段】本発明は、MEMSベースのディスプレイ装置に関する。特に、ディスプレイ装置は、2つの機械的にコンプライアントな電極を有するアクチュエータを含んでもよい。さらに、ディスプレイ装置に含まれる、双安定シャッタ組立体と、シャッタ組立体内でシャッタを支持するための手段とが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
一般に、本発明は、ビデオディスプレイの分野に関し、特に、機械的に作動するディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
機械的光変調器から構築されたディスプレイは、液晶技術に基づくディスプレイの、魅力的な代替選択肢である。機械的光変調器は、映像コンテンツを、良好な視野角と、広範なカラーおよびグレースケールとを伴って表示するために十分高速である。機械的光変調器は、投写型ディスプレイの適用例において成功を収めてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
機械的光変調器を使用するバックライト付きディスプレイが、輝度と低電力との十分に魅力的な組み合わせであることはまだ示されていない。高速で、明るく、低電力の、機械的に作動させられるディスプレイが、当業界で必要とされている。特に、双安定機構を含み、かつ、削減された電力消費のために低電圧で駆動されることが可能な、機械的に作動するディスプレイが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本発明は、2つのコンプライアント電極を組み込んだメカニカルアクチュエータから構築されるディスプレイに関する。アクチュエータは、制御可能な電源を、メカニカルアクチュエータの電圧入力に結合する、パッシブまたはアクティブマトリクスアレイによって制御されてもよい。
【0005】
各アクチュエータ内のコンプライアント電極は、電極間への電圧の印加に応じて電極が相互に引き寄せられるように、お互いに隣接して配置される。電極は、直ちに、または徐々に、相互に引き寄せられてもよい。電極のうちの少なくとも1つは、画像の形成に寄与する変調器に結合される。本発明の1つの特徴によれば、電極の全長の少なくとも大部分はコンプライアントである。電極の幅は、約0.5μm〜約5μmであってもよい。一実装では、電極の高さは、電極の幅の少なくとも約1.4倍である。電極は、さらに、好ましくは約1.5以上の誘電率を有する、絶縁体を使用して、少なくとも部分的にコーティングされてもよい。
【0006】
変調器は、例えば、シャッタ、変形可能な反射鏡、カラーフィルタ、または3つのカラーフィルタの組であってもよい。シャッタは、それらが上で支持される表面に実質的に平行な面内で移動する。表面は、表面を通した光の通過を可能にする、1つ以上のアパーチャを有してもよい。アパーチャは、実質的に透明なガラスまたはプラスチック基板上に配置された反射膜を貫通してパターニングされてもよい。表面が2つ以上のアパーチャを有する場合、シャッタは、対応する数のシャッタアパーチャを含む。シャッタを移動させることにより、ディスプレイ装置は、光をブロック、反射、吸収、偏光、回折、および/またはフィルタリングすることによって、表面内のアパーチャを通過する光路内の光と選択的に相互作用してもよい。さまざまな実施形態において、シャッタは、さらに、反射または光吸収膜を使用してコーティングされてもよい。
【0007】
一実施形態では、各電極の一方の端部は、表面に固定され、もう一方の端部は、自由に動くことができる。この実施形態では、変調器は、電極のうちの1つの自由端に結合される。電極の幅は、その全長に沿って一定であってもよく、または変化してもよい。例えば、電極の幅は、変調器により近くなるにつれて、より細くなってもよい。あるいは、電極は、電極の全長に沿った複数の位置において、より細いセクションと、より太いセクションとを有してもよい。変化する太さによって、変化する電極剛性が提供される。この実施形態は、第3のコンプライアント電極を含むという、任意選択の特徴を含んでもよい。変調器に結合されていないコンプライアント電極は、開および閉駆動電極として、独立に働く。駆動電極のうちの1つまたは両方は、その自然な、非アクティブ状態において、湾曲していてもよい。一部の実装では、駆動電極は、一次または二次の湾曲を有する。他の実装では、駆動電極は、二次よりも大きな湾曲を有する。
【0008】
シャッタ組立体の別の実施形態では、シャッタは、変調器の一方の側の、線形中心(linear center)の付近において、アクチュエータのペアに結合される。アクチュエータは、それぞれが、2つのコンプライアント電極を含む。各アクチュエータの第1のコンプライアント電極は、スプリングを使用してシャッタに結合される。第1のコンプライアント電極は、さらに、スプリングを使用してアンカーに結合されてもよい。コンプライアント電極のもう一方の端部はアンカーに結合され、それにより、シャッタを基板上の2つの位置に接続する。電極は、シャッタ上の位置から基板への、支持的接続を提供する、機械的支持として働く。リターンスプリングなどの、別個の弾性部材が、シャッタの反対側に結合されて、シャッタのための追加の支持的接続を提供してもよい。あるいは、リターンスプリングの代わりに、アクチュエータの第2のペアが、シャッタの反対側に結合されてもよい。複数の支持的接続は、シャッタの、意図される移動平面から離れた、回転またはその他の移動を減らすために役立つ。
【0009】
本発明の第2の態様では、ディスプレイ装置は、画像を形成するために、機械的に双安定なシャッタ組立体を含む。機械的に双安定なシャッタ組立体は、シャッタと、作動電位を受け取るための電圧入力と、基板上の2つの機械的に安定な位置の間でシャッタを移動させるアクチュエータとを含む。一実施形態では、シャッタをその第1の機械的に安定な位置からその第2の機械的に安定な位置まで移動させるために必要とされる仕事は、シャッタをその第1の機械的に安定な位置に戻すために必要とされる仕事よりも大きい。別の実施形態では、シャッタをその第1の機械的に安定な位置からその第2の機械的に安定な位置まで移動させるために必要とされる仕事の量は、シャッタをその第1の機械的に安定な位置に戻すために必要とされる仕事と実質的に等しい。
【0010】
本発明の1つの特徴によれば、シャッタの機械的に安定な位置は、機械的にコンプライアントな部材の、位置または形状を含む、状態によって提供される。一実施形態では、機械的にコンプライアントな部材は、アクチュエータの部分である。他の実施形態では、機械的にコンプライアントな部材は、アクチュエータの外部にある。機械的にコンプライアントな部材は、シャッタの機械的に安定な位置のうちの第1における、第1の機械的に安定な状態と、シャッタの機械的に安定な位置のうちの第2における、第2の機械的に安定な状態とを有する。シャッタを、第1の機械的に安定な位置から、第2の機械的に安定な位置まで移動させることは、コンプライアント部材の変形を必要とする。
【0011】
例えば、コンプライアント部材は、湾曲したコンプライアントビームであってもよい。シャッタが第1の安定位置にある場合、ビームは第1の湾曲を有する。シャッタが第2の位置にある場合、ビームは第2の湾曲を有する。湾曲は、概して「S字」形状であってもよく、あるいは、コサイン形状の弓形を形成してもよい。第1のシャッタ位置では、ビームは、1つの方向に弓形に曲がってもよい。第2のシャッタ位置への移行において、ビームは、反対方向に弓形に曲がるように変形される。
【0012】
あるいは、シャッタがその機械的に安定な位置のうちの1つにある間、コンプライアントビームはまっすぐであってもよい。第1の機械的に安定なシャッタ位置において、コンプライアントビームは、シャッタと、第1の角度を作る。第2の位置において、コンプライアントビームは、シャッタと、異なる角度を作る。
【0013】
シャッタ組立体は、さらに、第2のコンプライアント部材を含んでもよい。第1および第2のコンプライアント部材は、一実施形態では、デュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータ内の電極として働く。一方または両方のビームは、2つの機械的に安定な状態を有してもよい。コンプライアント部材間に電圧を印加すると、コンプライアント部材のうちの一方は、1つの位置から第2の位置に変形する。電圧は、コンプライアント部材のうちの1つに、コンプライアント部材の一方または両方の端部に結合された1つ以上のアンカーから印加される、作動電位に起因してもよい。例えば、第1の位置において、第1のコンプライアント電極は、第2のコンプライアント電極から離れるように弓形に曲がる。第2の位置において、第1のコンプライアント電極は、第2のコンプライアント電極と実質的に同様の弓形を有して、第2のコンプライアント電極の方へ弓形に曲がる。他の実装では、第1および第2のコンプライアントビームは、第1および第2の安定位置の間でシャッタを移動させるための、シャッタに結合された熱電アクチュエータの部分を形成する。シャッタを移動させるアクチュエータのタイプにかかわらず、シャッタを移動させるには、第1または第2のコンプライアント部材のいずれかに力が印加されなければならない。
【0014】
一部の実施形態では、第1および第2のコンプライアント部材の形状は、単独で機械的に安定である。
【0015】
シャッタ組立体は、一実装では、シャッタに結合された第2のアクチュエータを含む。2つのアクチュエータは、シャッタ上の異なる位置においてシャッタに結合される。一実装によれば、アクチュエータは、シャッタの反対の側に、それらの側のほぼ中央において結合される。アクチュエータ内のコンプライアント部材は、2つのシャッタ位置から2つの基板位置への、シャッタのための支持的接続を提供する。別の任意選択の特徴によれば、シャッタに結合されたコンプライアント部材のうちの少なくとも1つは、コンプライアント部材のいずれの端部にも1つの、2つのアンカーに結合される。
【0016】
さらに他の実施形態では、コンプライアント部材は、機械的に安定なシャッタ位置のための機械的安定性を提供する、スタビライザ内に組み込まれる。スタビライザ内のコンプライアント部材は、相互に接続されてもよい。そのような実施形態では、スタビライザは、第3の機械的に安定なシャッタ位置を提供してもよい。シャッタは、電圧入力への第2の作動電圧の印加に応えて、第3の機械的に安定なシャッタ位置に駆動される。あるいは、コンプライアントビームは、シャッタの両側上で、シャッタの側に、アンカーを結合することによって、スタビライザを形成してもよい。コンプライアント部材は、コンプライアントな、または剛性のビームを含んでもよい。コンプライアント部材が剛性のビームを含む場合、コンプライアント部材は、ある程度のコンプライアンスを提供するために、剛性ビーム間に、追加のコンプライアント接合を含む。
【0017】
さまざまなディスプレイ装置の追加の特徴は、コンプライアント部材間への作動流体の組み込みを含む。作動流体は、好ましくは、少なくとも約1.5の誘電率を有する。ディスプレイ装置は、さらに、画像を明るくするためのバックライトを含んでもよい。
【0018】
別の態様では、本発明は、ディスプレイ装置を製造するための方法に関する。方法は、光路内の光と選択的に相互作用するための変調器を形成するために、第1の表面をパターニングするステップを含む。次に、変調器とアンカーとを接続する、アクチュエータが、第1の表面内に製造される。アンカーおよびアクチュエータは、第2の表面の上で変調器を物理的に支持する、第1の機械的支持として働く。アクチュエータは、第2の表面に実質的に平行な面内でシャッタを駆動するように構成される。方法は、さらに、変調器と第2のアンカーとを接続する、第2の機械的支持を、第1の表面内に製造するステップを含む。第2の機械的支持は、第2の表面の上で変調器を物理的に支持する。第1のアンカーと第2のアンカーとは、第2の表面上の2つの別個の位置に接続される。
【0019】
別の態様では、本発明は、画像を形成する方法に関する。方法は、シャッタ組立体の電圧入力に、作動電位を選択的に印加するステップを含む。シャッタは、作動電圧の印加に応えて、表面に実質的に平行な面内で移動させられる。シャッタは、第1の機械的に安定な位置から第2の機械的に安定な位置に移動させられ、それにより、光が画像の形成に寄与することを許可する。
【0020】
さらなる態様では、本発明は、ディスプレイ上に画像を形成する方法に関する。方法は、光変調器を選択し、そして、アクチュエータを提供するステップを含む。アクチュエータは、相互に隣接して配置された2つの機械的にコンプライアントな電極を含み、そのうちの少なくとも1つはシャッタに結合される。アクチュエータは、2つの機械的にコンプライアントな電極の間に電圧を生成することによってアクティブにされる。結果として、コンプライアント電極は、それらが相互により近くに引き寄せられるにつれて変形する。さらに、アクチュエータのアクティブ化は、画像内のピクセルの照射に影響を及ぼすための、光路内への、または光路から外へのシャッタの移動をもたらす。
【0021】
本システムおよび方法は、以下の図面を参照することにより、以下の例示的説明から、より良く理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の例示的実施形態による、ディスプレイ装置の概念等角投影図である。
【図2A】本発明の例示的実施形態による、ディスプレイ装置内で使用するための、デュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体の上面図である。
【図2B】本発明の例示的実施形態による、ディスプレイ装置内で使用するための、デュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体の上面図である。
【図3A】デュアルコンプライアント電極アクチュエータベースのシャッタ組立体内に含めるのに適した、さまざまなコンプライアント電極の形状を示す図である。
【図3B】図3Aに示す形状を有する、デュアルコンプライアント電極アクチュエータベースのシャッタ組立体を移動させるために必要とされる、増分エネルギーを示す図である。
【図3C】さまざまな作動段階における、図2Aのコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体の上面図である。
【図3D】さまざまな作動段階における、図2Aのコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体の上面図である。
【図3E】さまざまな作動段階における、図2Aのコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体の上面図である。
【図3F】さまざまな作動段階における、図2Aのコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体の上面図である。
【図4A】本発明の例示的実施形態による、アクティブおよび非アクティブ状態におけるデュアルコンプライアント電極アクチュエータベースの反射鏡ベース光変調器の断面図である。
【図4B】本発明の例示的実施形態による、アクティブおよび非アクティブ状態におけるデュアルコンプライアント電極アクチュエータベースの反射鏡ベース光変調器の断面図である。
【図5】本発明の例示的実施形態による、全長に沿って太さが変化するビームを有する、デュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体の上面図である。
【図6】本発明の例示的実施形態による、デュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体の等角投影図である。
【図7】本発明の例示的実施形態による、リターンスプリングを含むデュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体の上面図である。
【図8】本発明の例示的実施形態による、別個の開および閉アクチュエータを有するデュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体の上面図である。
【図9】本発明の例示的実施形態による、デュアルコンプライアント電極アクチュエータベースの光変調器を制御するための、アクティブマトリクスアレイの概念図である。
【図10】本発明の例示的実施形態による、デュアルコンプライアント電極アクチュエータベースの光変調器を制御するための、第2のアクティブマトリクスアレイの概念図である。
【図11】図8のデュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体の断面図である。
【図12】本発明の例示的実施形態による、さまざまなデュアルコンプライアント電極ベースのシャッタ組立体のエネルギー特性を示す、エネルギー図である。
【図13A】本発明の例示的実施形態による、双安定デュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体の上面図である。
【図13B】双安定シャッタ組立体の、変位に対する力の発展を示す。
【図14】本発明の例示的実施形態による、第2の双安定デュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体の上面図である。
【図15】本発明の例示的実施形態による、デュアルコンプライアント電極アクチュエータを組み込んだ、三安定シャッタ組立体の上面図である。
【図16A】本発明の例示的実施形態による、シャッタ位置が変化する間の、シャッタ組立体の状態を示す、双安定シャッタ組立体の別の実施形態の概念図である。
【図16B】本発明の例示的実施形態による、シャッタ位置が変化する間の、シャッタ組立体の状態を示す、双安定シャッタ組立体の別の実施形態の概念図である。
【図16C】本発明の例示的実施形態による、シャッタ位置が変化する間の、シャッタ組立体の状態を示す、双安定シャッタ組立体の別の実施形態の概念図である。
【図17A】本発明の例示的実施形態による、実質的に剛性のビームを含む、双安定シャッタ組立体の概念図である。
【図17B】回転双安定シャッタ組立体の上面図である。
【図18】本発明の例示的実施形態による、熱電アクチュエータを組み込んだ、双安定シャッタ組立体の概念図である。
【図19】本発明の例示的実施形態による、双安定シャッタ組立体を制御するための、パッシブマトリクスアレイの概念図である。
【図20A】ディスプレイ装置内にシャッタ組立体を配置するための、概念タイリング図である。
【図20B】ディスプレイ装置内にシャッタ組立体を配置するための、概念タイリング図である。
【図21】本発明の例示的実施形態による、ディスプレイ装置の断面図である。
【図22】本発明の例示的実施形態による、別のディスプレイ装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1Aは、本発明の例示的実施形態による、ディスプレイ装置100の等角投影図である。ディスプレイ装置100は、複数の光変調器、特に、行および列内に配置された複数のシャッタ組立体102a〜102d(一般に「シャッタ組立体102」)を含む。一般に、シャッタ組立体102は、開および閉という、2つの状態を有する(ただし、グレースケールを伝えるために、部分的な開きが使用されてもよい)。シャッタ組立体102aおよび102dは、開状態になっており、光の通過を許可している。シャッタ組立体102bおよび102cは、閉状態になっており、光の通過を妨げている。ランプ105によって照射された場合に、シャッタ組立体102a〜102dの状態を選択的に設定することにより、ディスプレイ装置100は、投射型またはバックライト付きディスプレイで画像104を形成するために利用されることが可能である。別の実装では、装置100は、装置の前方からもたらされる環境光の反射によって画像を形成してもよい。ディスプレイ装置100内で、各シャッタ組立体102は、画像104内のピクセル106に対応している。
【0024】
各シャッタ組立体102は、シャッタ112と、アパーチャ114とを含む。画像104内のピクセル106を明るくするためには、シャッタ112は、光が、見る人に向けて、大きな障害は何もなしに、アパーチャ114を通過することを許可するように配置される。ピクセル106を点灯されていないままにするためには、シャッタ112は、アパーチャ114を通した光の通過を妨げるように配置される。アパーチャ114は、各シャッタ組立体102内に、反射性または光吸収性材料を貫通してパターニングされた、開口部によって画定される。
【0025】
代替の実装では、ディスプレイ装置100は、各ピクセル106について、複数のシャッタ組立体102を含む。例えば、ディスプレイ装置100は、3つの色固有シャッタ組立体102を含んでもよい。特定のピクセル106に対応する色固有シャッタ組立体102のうちの1つまたは複数を選択的に開くことによって、ディスプレイ装置100は、画像104内のカラーピクセル106を生成してもよい。別の例では、ディスプレイ装置100は、画像104内のグレースケールを提供するために、ピクセル106につき、2つ以上のシャッタ組立体102を含む。さらに他の実装では、ディスプレイ装置100は、光を変調して画像を形成するために、シャッタ組立体102の代わりに、マイクロミラー、フィルタ、偏光子、干渉装置(interferometric devices)、およびその他の適切な装置などの、その他の形態の光変調器を含んでもよい。
【0026】
ディスプレイ装置100のシャッタ組立体102は、リソグラフィ、エッチング技術(ウェットケミカル、ドライ、およびフォトレジスト除去など)、シリコンの熱酸化、電気めっきおよび無電界めっき、拡散プロセス(ホウ素、リン、ヒ素、およびアンチモンの拡散など)、イオン打ち込み、膜蒸着(蒸発(evaporation)(フィラメント、電子ビーム、フラッシュ、シャドウイング、およびステップカバレージ)、スパッタリング、化学気相蒸着法(CVD)、プラズマ促進CVD、エピタキシ(気相、液層、および分子線)、電気めっき、スクリーン印刷、およびラミネーションなど)を含む、当業界で周知の標準的なマイクロマシニング技術を使用して形成される。概要については、Jaeger著、Introduction to Microelectronic Fabrication(Addison−Wesley Publishing Co.、Reading Mass.1988)と、Runyanら著、Semiconductor Integrated Circuit Processing Technology(Addison−Wesley Publishing Co.、Reading Mass.1990年)と、Proceedings of the IEEE Micro Electro Mechanical Systems Conference 1987〜1998年と、Rai−Choudhury編、Handbook of Microlithography,Micromachining&Microfabrication(SPIE Optical Engineering Press、Bellingham、Wash.1997年)とを参照されたい。
【0027】
より詳細には、(通常は、金属と誘電体とが交互になった)複数の材料層が、基板の上に蒸着されて、スタックを形成する。1つ以上の材料層がスタックに追加された後で、スタックから除去されるべき、またはスタック上に残るべき材料を示すパターンが、スタックの一番上の層に適用される。ウェットまたはドライエッチ、あるいは反応性イオンエッチングを含む、さまざまなエッチング技術が、次に、不要な材料を除去するために、パターン付きスタックに適用される。エッチの化学的性質、スタック内の層、およびエッチが適用される時間の長さに基づいて、エッチプロセスは、スタックの1つ以上の層から材料を除去してもよい。製造プロセスは、層形成、パターニング、およびエッチングの、複数回の繰り返しを含んでもよい。
【0028】
一実装では、シャッタ組立体102は、透明なガラスまたはプラスチック基板上に製造される。この基板は、ランプ105からの照射を、光がアパーチャ114を通して出る前に、均一に分散させるように働くバックライトの一体部分とされてもよい。別法として、および任意選択で、透明基板は、平面光ガイドの上に配置されてもよく、シャッタ組立体102のアレイは、画像の形成における光変調要素として働いてもよい。一実装では、シャッタ組立体102は、同じガラスまたはプラスチック基板上の薄膜トランジスタ(TFT)アレイの製造と組み合わせて、またはそれに続いて製造される。TFTアレイは、シャッタ組立体への電気信号の配布のための切り換えマトリクスを提供する。
【0029】
プロセスは、さらに、解除ステップを含む。結果としてもたらされる装置内で部品が移動するための自由度を提供するために、犠牲材料が、スタック内の、完成した装置内の移動部品を形成する材料に隣接して、間に配置される。エッチによって、犠牲材料のほとんどが除去され、それにより、部品は自由に移動できるようになる。
【0030】
解除の後は、移動部品間で接触時に電荷が移動しないように、シャッタ組立体の1つ以上の表面が絶縁されてもよい。これは、Al、Cr、TiO、TiSiO、HfO、HfSiO、V、Nb、Ta、SiO、またはSiなどの絶縁体の、熱酸化および/またはコンフォーマル化学気相蒸着法によって、あるいは、同様の材料を、原子層蒸着などの技術およびその他を使用して蒸着することによって達成されてもよい。絶縁された表面は、接触している表面間のスティクションなどの問題を防ぐために、絶縁された表面のフッ素化、シラン化、または水素化などの化学転化プロセスによって、化学的に保護される。
【0031】
デュアルコンプライアント電極アクチュエータは、シャッタ組立体102内のシャッタ112を駆動するための、1つの適切なアクチュエータのクラスを構成する。デュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータは、一般に、2つ以上の、少なくとも部分的にコンプライアントなビームから形成される。ビームのうちの少なくとも2つは、電極(本明細書では「ビーム電極」とも呼ばれる)として働く。ビーム電極の両端部への電圧の印加に応じて、ビーム電極は、結果としてもたらされる静電力から、相互に引き寄せられる。デュアルコンプライアントビーム電極の両方のビームは、少なくとも部分的に、コンプライアントである。すなわち、ビームのそれぞれの少なくともいくらかの部分は、ビームが寄せ集められるのを助けるために、屈曲および/または湾曲することが可能である。一部の実装では、コンプライアンスは、屈曲部(flexures)またはピン継手を含めることによって達成される。ビームのいくらかの部分は、実質的に剛性であってもよく、または、所定の位置に固定されてもよい。好ましくは、ビームの全長の少なくとも大部分はコンプライアントである。
【0032】
デュアルコンプライアント電極アクチュエータは、当業界で周知の他のアクチュエータに優る利点を有する。静電コームドライブ(electrostatic comb drives)は、比較的長い距離にわたって作動させるために非常に適しているが、比較的弱い力しか生成できない。平行板または平行ビームアクチュエータは、比較的大きな力を生成できるが、平行板またはビーム間の小さなギャップを必要とし、したがって、比較的小さな距離にわたってのみ作動させられる。R.Legtenbergら(Journal of Microelectromechanical Systems v.6、257頁、1997年)は、湾曲した電極アクチュエータの使用により、どのようにして比較的大きな力が生成され、結果として比較的大きな変位がもたらされることが可能であるかを示した。ただし、Legtenbergでは、作動を開始させるために必要な電圧は、やはりかなり大きい。本明細書で示すように、そのような電圧は、両方の電極の移動または屈曲を許可することによって減らすことが可能である。
【0033】
デュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体では、シャッタは、デュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータの少なくとも1つのビームに結合される。アクチュエータ内のビームのうちの一方が、もう一方の方へ引かれると、引かれたビームは、シャッタも移動させる。それにより、シャッタは、第1の位置から第2の位置に移動させられる。位置のうちの1つにおいて、シャッタは、例えば、以下に限定されるものではないが、ブロック、反射、吸収、フィルタリング、偏光、回折、あるいはその他の、光の特性または経路の変更を行うことによって、光路内の光と相互作用する。シャッタは、その干渉特性を向上するために、反射または光吸収膜を使用してコーティングされてもよい。第2の位置では、シャッタは、比較的遮られないことによる光の通過を許可する。
【0034】
図2Aおよび図2Bは、ディスプレイ装置100などの、ディスプレイ装置内で使用するための、カンチレバーデュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体の2つの実施形態の図である。より詳細には、図2Aは、カンチレバーデュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体200a(「シャッタ組立体200a」)を示す。シャッタ組立体200aは、シャッタ202aを、光の光路に出入りするように、制御可能に移動させることによって、光を変調して画像を形成する。一実施形態では、光路は、シャッタ202aが取り付けられている表面204aの背後から始まる。表面204aは、点線の境界線として示されている。点線は、表面204aが、境界線によって区切られた空間を超えて拡大することを示す。同様の点線境界線は、他の図内で、同じことを示すために使用される。光は、見る人の方へ向けて、または表示画面の方へ向けて、表面204a内のアパーチャ206aを通過する。別の実施形態では、光路は、表面204aの前で始まり、アパーチャ206aの表面から、見る人の方へ反射される。
【0035】
シャッタ組立体200aのシャッタ202aは、硬い、実質的に平面の物体から形成される。シャッタ202aは、閉じられた位置において、表面204a内のアパーチャ206aを通した光路をシャッタ202aが十分に遮るような、規則的な、または不規則な、ほとんどあらゆる形状を取ってもよい。さらに、シャッタ202aは、(図示するような)開位置において、ディスプレイ装置内のピクセルを明るくするための十分な光、またはピクセルを明るくするのに寄与する十分な光が、表面204a内のアパーチャ206aを通過することが可能なように、アパーチャの幅と調和する幅を有さなければならない。
【0036】
シャッタ202aは、ロードビーム208aの一方の端部に結合される。ロードアンカー210aは、ロードビーム208aの反対側の端部で、ロードビーム208aを、表面204aに物理的に接続し、そして、ロードビーム208aを、表面204a内のドライバ回路に電気的に接続する。ロードビーム208aと、ロードアンカー210aとは、合わせて、シャッタ202aを、表面204a上で支持するための、機械的支持として働く。
【0037】
シャッタ組立体200aは、駆動ビーム212aおよび214aのペアを含み、一方は、ロードビーム210aのいずれかの側に沿って配置される。駆動ビーム212aおよび214aと、ロードビーム210aとは、合わせて、アクチュエータを形成する。一方の駆動ビーム212aは、シャッタ開電極として働き、もう一方の駆動ビーム214aは、シャッタ閉電極として働く。駆動ビーム212aおよび214aの、シャッタ202aに最も近い端部に配置された、駆動アンカー216aおよび218aは、各駆動ビーム212aおよび214aを、表面204aに、物理的および電気的に接続する。本実施形態では、駆動ビーム212aおよび214aのもう一方の端部と、全長のほとんどとは、固定されないまま、または自由のままにされる。駆動ビーム212aおよび214aの固定端からロードビーム208aのシャッタ端部までよりも、駆動ビーム212aおよび214aの自由端からロードビーム208aの固定端までの方が近い。
【0038】
ロードビーム208aと、駆動ビーム212aおよび214aとは、コンプライアントである。すなわちそれらは、それらの応力を受けない(「静止」)位置または形状から、少なくともいくらかの有用な程度まで、疲労または破損なしに曲げられることが可能なように、十分な柔軟性と弾力性とを有する。ロードビーム208aと、駆動ビーム212aおよび214aとは、一方の端部においてのみ固定されるため、ビーム208a、212a、および214aの全長の大部分は、印加される力に応じて、自由に動くこと、曲がること、屈曲すること、または変形することができる。カンチレバーデュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体200aの動作は、図3に関連して以下でさらに説明する。
【0039】
図2Bは、カンチレバーデュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体200b(シャッタ組立体200b)の、第2の例示的実施形態である。シャッタ組立体200aと同様に、シャッタ組立体200bは、ロードビーム208bに結合されたシャッタ202bと、2つの駆動ビーム212bおよび214bとを含む。シャッタ202bは、その完全に開かれた位置と、その完全に閉じられた位置との間に配置される。ロードビーム208bと、駆動ビーム212bおよび214bとは、合わせて、アクチュエータを形成する。ビームの各端部に結合された、駆動アンカー210b、216b、および218bは、ビームを表面204bに接続する。シャッタ組立体200aとは対照的に、シャッタ組立体200bのシャッタは、スロットの形態の、複数のシャッタアパーチャ220を含む。表面204bは、1つのアパーチャのみを有するのではなく、各シャッタアパーチャ220に対応して、1つの表面アパーチャ206bを含む。開位置では、シャッタアパーチャ220は、表面204b内のアパーチャ206bと実質的に位置合わせされて、光がシャッタ202bを通過するのを許可する。閉位置では、表面アパーチャ206bは、シャッタ202bの残りの部分によって遮られ、それにより、光の通過を阻止する。
【0040】
複数のシャッタアパーチャを、同数の表面アパーチャとともに含むシャッタ組立体の状態変更に必要とされるシャッタの移動は、連続したシャッタと、1つの表面アパーチャとを組み込んだシャッタ組立体の状態変更に必要とされるよりも少なく、そして、提供されるアパーチャ面積は同じである。必要な動きの減少は、必要な作動電圧がより低いことに対応する。より詳細には、必要な動きが1/3だけ減少すると、アクチュエータの必要な作動電圧は、約1/3だけ減少する。作動電圧の減少は、さらに、消費電力の削減に対応する。両方のシャッタ組立体で、総アパーチャ面積はほぼ同じなので、各シャッタ組立体は、実質的に同じ輝度を提供する。
【0041】
他の実装では、シャッタアパーチャおよび対応する表面アパーチャは、スロット以外の形状を有する。アパーチャは、円形、多角形、または不規則であってもよい。代替の実装では、シャッタは、シャッタ組立体内に存在する表面アパーチャよりも、多くのシャッタアパーチャを含んでもよい。そのような実装では、シャッタアパーチャのうちの1つ以上は、カラーフィルタなどの、フィルタとして働いてもよい。例えば、シャッタ組立体は、各表面アパーチャに対して3つのシャッタアパーチャを有してもよく、各シャッタアパーチャは、赤、青、または緑の色付きのフィルタを含んでもよい。
【0042】
図3Aおよび図3Bは、ロードビームの端部における変位と、駆動ビームのより近くにロードビームを移動させるために必要とされる相対電圧との間の関係を示す図である。任意の所与の電圧において達成されることが可能な変位は、少なくとも部分的に、駆動ビームの湾曲または形状に依存し、あるいは、より詳細には、駆動ビームおよびロードビームに沿った、分離dおよび曲げ応力が、ロードビームに沿った位置xの関数としてどのように変化するかに依存する。図3Aに示す分離関数d(x)は、d=axの形式に一般化されてもよく、ここで、yは、ビーム間の距離である。例えば、n=1の場合、駆動電極とロード電極との間の距離は、ロード電極の全長に沿って直線的に増加する。n=2の場合、距離は放物線的に増加する。一般に、一定の電圧を仮定すると、コンプライアント電極間の距離が減少するにつれて、ビーム上の任意の点における静電力は、1/dに比例して増加する。ただし、同時に、分離距離を減少させる可能性があるロードビームの任意の変形も、結果として、ビーム内のより高い応力状態をもたらしてもよい。最小しきい値電圧未満では、電極のより近い接近によって解放される任意の電気的エネルギーが、ビームの変形エネルギー内に蓄積されるようになるエネルギーによって、正確に均衡させられる、変形の限界に到達する。
【0043】
図3Bに示すように、nが2以下である分離関数を有するアクチュエータでは、最小作動電圧(V)の印加により、結果として、駆動ビームへのロードビームの連鎖的吸引が、より高い電圧の印加を必要とすることなしにもたらされる。そのようなアクチュエータでは、ロードビームが駆動ビームに近付くことに起因する、ビーム上の静電力の増分増加は、ビームのさらなる変位のために必要とされる、ビーム上の応力の増分増加よりも大きい。
【0044】
xが2よりも大きい分離関数を有するアクチュエータの場合、特定の電圧の印加によって、ロード電極の、別個の部分的変位がもたらされる。すなわち、ビーム間の分離の特定の減少に起因する、ビーム上の静電力の増分増加は、ある点において、分離を継続して減少させるためにロードビーム上に伝えられる必要がある増分変形力を超過しない。したがって、2よりも大きなnを有する分離関数を有するアクチュエータでは、第1の電圧レベルの印加によって、ロード電極の、第1の対応する変位がもたらされる。より高い電圧によって、ロード電極の、より大きな対応する変位がもたらされる。細いビーム電極の形状および相対的コンプライアンスが作動電圧をどのように生じさせるかは、以下の引用文献でより詳細に述べられている。R.Legtenbergら著、Journal of Microelectromechanical Systems v.6、257頁(1997)およびJ.Liら著、Transducers ’03,The 12th International Conference on Solid State Sensors,Actuators,and Microsystems、480頁(2003年)。
【0045】
図2Aおよび図2Bを再び参照すると、シャッタ組立体202aおよび202bを組み込んだディスプレイ装置は、制御可能な電源から、駆動ビーム212a、212b、214a、または214bのうちの1つに、その対応する駆動アンカー216a、216b、218a、または218bを経由して電位を印加し(ロードビーム208aまたは208bは接地に電気的に結合されており)、結果として、ビーム208a、208b、212a、212b、214a、214bにわたる電圧をもたらすことによって、シャッタ組立体202aおよび202bを作動させる、すなわち、シャッタ組立体202aおよび202bの位置を変化させる。アクティブマトリクスアレイドライバなどの制御可能な電源は、アクティブマトリクスアレイを経由して、ロードビーム208aまたは208bに電気的に結合される(以下の図9および図10を参照)。ディスプレイ装置は、その代わりに、シャッタ組立体202aまたは202bのロードアンカー210aまたは210bを経由して、ロードビーム208aまたは208bに電位を印加して、電圧を増加させてもよい。駆動ビームとロードビームとの間の電位差は、符号または接地電池に関係なく、ビーム間の静電力を生成する。
【0046】
図3を再び参照すると、図2Aのシャッタ組立体200aは、2次の分離関数を有する(すなわち、n=2)。したがって、シャッタ組立体202aのビーム208aと、212aまたは214aとの間の電圧または電位差が、それらの最小分離の点において、最小作動電圧(V)を超過する場合、ビーム208aと、212aまたは214aとの変形は、ビーム208aと、212aまたは214aとの全長に連鎖的に伝わり、ロードビーム208aのシャッタ端部を、駆動ビーム212aまたは214aの固定端の方へ引く。ロードビーム208aの動きは、ディスプレイ装置が駆動ビーム212aまたは214aのどちらに電位を印加したかによって、シャッタ202aがその位置を、開から閉に、またはその逆に変えるように、シャッタ202aを移動させる。位置の変化を逆にするには、ディスプレイ装置は、付勢された駆動ビーム212aまたは214aへの電位の印加を中止する。ディスプレイ装置が電位の印加を停止すると、変形させられたロードビーム208a上に応力の形態で蓄積されたエネルギーが、ロードビーム208aを、その元の、または静止位置に復元する。復元の速さを増加させるために、かつ、ロードビーム208aの静止位置のまわりでのいかなる振動も減少させるために、ディスプレイ装置は、対向する駆動ビーム212aまたは214aに電位を印加することによって、シャッタ202aをその以前の位置に戻してもよい。
【0047】
このシャッタ組立体200aおよび200b、ならびにシャッタ組立体500(以下の図5を参照)、600(以下の図6を参照)、700(以下の図7を参照)、および800(以下の図8を参照)は、電気的に双安定であるという特性を有する。一般に、これは、以下に限定されるものではないが、開状態と閉状態との間の移動を開始させる電位Vが、シャッタ組立体を安定状態に維持するために必要とされる電位(V)よりも概して大きい装置を包含すると理解される。ロードビーム208aと、駆動ビームのうちの1つとがいったん接触すると、ロードビームを移動または分離させるためには、対向する駆動ビームから、実質的により大きな電気力が印加されるべきであり、そのような電気力は、ロードビーム208aが、中立の、または非接触の位置において開始される場合に必要とされるよりも大きい。本明細書に記載する双安定装置は、200aなどのシャッタ組立体のアレイの動作のために、パッシブマトリクス駆動方式を使用してもよい。パッシブマトリクス駆動シーケンスでは、すべてのシャッタ組立体(状態変更のためにアクティブに駆動されているものを除く)にわたって、安定化電圧Vを維持することによって、画像を保持することが可能である。電力は何も、または実質的に何も必要とされないため、シャッタ組立体をその開または閉状態に維持するためには、ロードビーム208aと、駆動ビーム212aまたは214aとの間での電位Vの維持で十分である。切り換えイベントを生じさせるためには、ロードビーム208aと、以前に影響を及ぼされた駆動ビーム(例えば、212a)との間の電圧が、Vから0に戻ることが許可され、さらに、ロードビーム208aと、対向するビーム(例えば、212b)との間の電圧が、切り換え電圧Vまで引き上げられる。
【0048】
図2Bでは、アクチュエータは、3次の分離関数を有する(すなわち、n=3)。したがって、駆動ビーム212bまたは214bのうちの1つに特定の電位を印加すると、シャッタ202bの増分変位がもたらされる。ディスプレイ装置は、シャッタ202bを増分的に移動させる能力を利用して、グレースケール画像を生成する。例えば、駆動ビーム212または214bへの、第1の電位の印加は、シャッタ202bを、表面アパーチャ206bを光が通過するのを部分的に妨げ、しかし、いくらかの光がシャッタ202bを通過することはやはり許可する、その図示されている位置に移動させる。その他の電位の印加は、完全に開かれた位置と、完全に閉じられた位置と、完全に開かれた位置および完全に閉じられた位置の間のその他の中間位置とを含む、その他のシャッタ202b位置をもたらす。そのような方法においては、アナロググレースケール画像を実現するために、電気的アナログ駆動回路が使用されてもよい。
【0049】
図3C〜図3Fは、図2Aのシャッタ組立体200aの、駆動ビーム208a、シャッタ閉電極214a、およびシャッタ202aの動きの段階を示す。コンプライアントビーム208aと214aとの間の初期の分離は、2次の分離関数に適合する。図3Cは、電圧が印加されていない中立位置におけるロードビーム208aを示す。アパーチャ206aは、シャッタ212aによって半分覆われている。
【0050】
図3Dは、作動の初期ステップを示す。小さな電圧が、ロードビーム208aと、シャッタ閉電極214aとの間に印加される。シャッタ閉電極214aの自由端が、ロードビーム208aと接触するために移動している。
【0051】
図3Eは、シャッタ212が、シャッタ閉電極214aの方へ移動を開始した後の、作動の点におけるシャッタ組立体200aを示す。
【0052】
図3Fは、シャッタ組立体200aの作動の最終状態を示す。電圧は、作動のためのしきい値を超過している。シャッタ組立体200aは、閉位置にある。ロードビーム208aと、シャッタ閉電極214aとの間は、その全長のすべてにわたって接触している。
【0053】
図4Aは、シャッタ組立体102の代わりに、またはシャッタ組立体102に加えて、ディスプレイ装置100などのディスプレイ装置内に含めるための、デュアルコンプライアント電極反射鏡ベースの光変調器400の第1の断面図である。反射鏡ベースの光変調器400は、機械的にコンプライアントな反射プラットフォーム402を含む。反射プラットフォーム402の少なくとも一部は、それ自体が反射性であるか、または反射性材料がコーティングされているか、または反射性材料に接続されている。
【0054】
反射プラットフォーム402は、導電性であってもよく、または導電性でなくてもよい。反射プラットフォーム402が導電性である実装では、反射プラットフォームは、反射鏡ベースの光変調器400のためのロード電極として働く。反射プラットフォーム402は、コンプライアント支持部材406を介して、基板404の上で物理的に支持され、そして、基板404に電気的に接続される。反射プラットフォーム402が、非導電性材料から形成されている場合、反射プラットフォーム402は、コンプライアントな導電性ロードビームまたはその他の形態のコンプライアントなロード電極に結合される。コンプライアント支持部材406は、組み合わせられた反射プラットフォーム402と電極とを、基板404上で物理的に支持する。支持部材406は、さらに、電極から基板404への電気的接続も提供する。
【0055】
反射鏡ベースの光変調器400は、駆動電極408として働く、第2のコンプライアント電極408を含む。駆動電極408は、基板404と、反射プラットフォーム402との間で、実質的に剛性の第2の支持部材410によって支持される。第2の支持部材410は、さらに、第2のコンプライアント電極408を、反射鏡ベースの光変調器400を駆動するための電源に、電気的に接続する。
【0056】
図4Aに示す反射鏡ベースの光変調器400は、電極402または408のいずれも電位を保持しない、静止位置にある。図4Bは、アクティブにされた状態における、反射鏡ベースの光変調器400を示す。駆動電極408とロード電極402(反射プラットフォーム402または取り付けられたロードビームのいずれであっても)との間に電位差が生成された場合、ロード電極402は、駆動電極408の方へ引かれ、それにより、コンプライアント支持ビーム406を曲げて、反射プラットフォーム402の反射部分を、基板404に対して少なく部分的に横方向であるように傾ける。
【0057】
画像を形成するために、光412は、反射鏡ベースの光変調器400のアレイにおいて、特定の角度に向けられる。反射鏡ベースの光変調器400は、それらの静止状態において、光412を、見る人または表示画面から離れるように反射し、アクティブ状態において、光412を、見る人または表示画面の方へ反射するか、あるいはその逆を行う。
【0058】
図5は、別のカンチレバーデュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体500(「シャッタ組立体500」)の図である。シャッタ組立体200aおよび200bと同様に、シャッタ組立体500は、コンプライアントロードビーム504に結合されたシャッタ502を含む。コンプライアントロードビーム504は、その反対側の端部において、ロードアンカー508を介して、表面506に物理的に固定され、接地に電気的に結合される。シャッタ組立体500は、ロードビーム504に実質的に沿って配置された、1つのみのコンプライアント駆動ビーム510を含む。駆動ビーム510は、制御可能な電源からの電位を使用して付勢されることに応えて、シャッタ502を、(ロードビーム504が実質的に応力を受けない)第1の位置から、表面に実質的に平行な面内で、ロードビーム504が応力を受ける第2の位置まで引き寄せる。電位が除去されると、ロードビーム504内の蓄積された応力は、ロードビーム504を、その元の位置に復元する。
【0059】
さらに、シャッタ組立体202aおよび202bと比較して、ロードビーム504は、その全長に沿って変化する幅を有する。ロードビーム504は、そのアンカー508の近くの方が、シャッタ502の近くよりも幅が広い。シャッタ組立体202aおよび202bと比較して、そしてその調整された幅により、ロードビーム504は、通常、全体的により大きな剛性を有する。より堅いビームを組み込んだシャッタ組立体は、通常、より高い電圧を作動のために必要とするが、その代わりに、より高い切り換えレートを可能にする。例えば、シャッタ組立体202aおよび202bは、最大約10kHzで切り換えられてもよいが、これに対して、より堅いシャッタ組立体500は、最大約100kHzで切り換えられてもよい。
【0060】
図6は、本発明の例示的実施形態による、2つのデュアルコンプライアント電極ビームアクチュエータ602(「アクチュエータ602」)を組み込んだシャッタ組立体600の図である。シャッタ組立体600は、シャッタ604を含む。シャッタ604は、連続していてもよく、または図2Bに関連して説明したような、1つ以上のシャッタアパーチャを含んでもよい。シャッタ604は、一方の側が、ビームアクチュエータ602に結合される。アクチュエータ602は、合わせて、シャッタを、実質的に表面に平行な移動平面内で、表面の上を横方向に移動させる。
【0061】
各アクチュエータ602は、シャッタ604をロードアンカー608に接続する、コンプライアントロード部材606を含む。コンプライアントロード部材606は、それぞれが、ロードビーム610と、Lブラケット612とを含む。ロードアンカー608はコンプライアントロード部材606とともに、シャッタ604を表面のすぐ近くに浮遊したままに保つ、機械的支持として働く。ロードアンカー608は、コンプライアントロード部材606とシャッタ604とを表面に物理的に接続し、ロード部材606のロードビーム610を、接地に電気的に接続する。シャッタ組立体600のいずれかの側上の位置における、シャッタ604の一方の側上の2つの位置からの、ロードアンカー608への、シャッタ604の結合は、移動中のシャッタ604の、その中心軸614の周囲での、ねじる動きを減らすのに役立つ。
【0062】
Lブラケット612は、ロードビーム610の面内剛性を減少させる。すなわち、Lブラケット612は、ロードビーム内の軸方向応力を緩和することによって、アクチュエータ602の、表面に平行な面内での移動(「面内移動」615と呼ばれる)への抵抗を減少させる。
【0063】
各アクチュエータ602は、さらに、各ロードビーム610に隣接して配置されたコンプライアント駆動ビーム616を含む。駆動ビーム616は、一方の端部において、駆動ビーム616間で共有される駆動ビームアンカー618に結合される。各駆動ビーム616のもう一方の端部は、自由に動くことができる。各駆動ビーム616は、駆動ビーム616の自由端およびロードビーム610の固定端の近くで、駆動ビーム616がロードビーム610に最も近くなるように、湾曲している。
【0064】
動作時、シャッタ組立体600を組み込んだディスプレイ装置は、駆動ビームアンカー618を介して、駆動ビーム616に、電位を印加する。駆動ビーム616とロードビーム610との間の電位差の結果として、駆動ビーム616の自由端は、ロードビーム610の固定端の方へ引かれ、そして、ロードビーム610のシャッタ端部は、駆動ビーム616の固定端の方へ引かれる。静電力は、シャッタ604を、駆動アンカー618の方へ引き寄せる。コンプライアント部材606はスプリングとして働き、それにより、駆動ビーム616から電位が除去された場合に、ロードビームのコンプライアント部材606は、ロードビーム610内に蓄積された応力を解放しながら、シャッタ604をその初期位置に押し戻す。Lブラケット612も、スプリングとして働き、さらなる復元力をシャッタ604に印加する。
【0065】
シャッタ組立体200〜800、およびシャッタ組立体1300〜1800の製造においては、(ロードビーム610などの)ロードビームおよび(駆動ビーム616などの)駆動ビームの断面について、矩形形状を提供することが好ましい。(表面に平行な方向における)ビーム幅よりも、寸法が1.4倍以上大きな、(表面に垂直な方向における)ビーム厚さを提供することによって、面内の動き615に対する面外の動き617に関して、ロードビーム610の剛性が増加する。そのような寸法差、および、結果として、剛性の差は、アクチュエータ602によって開始されるシャッタ604の動きが、エネルギーの無駄な適用となる面外の動き617とは対照的な、表面に沿った、表面アパーチャを横切る動きに制限されることを確実にするために役立つ。特定の適用例について、(610などの)ロードビームの断面は、湾曲した、または楕円形の形状とは対照的な、矩形であることが好ましい。最も強い作動力は、対向するビーム電極が平坦な面を有し、それにより、作動させられると、それらが可能な最小の分離距離を接近して、相互に接触することが可能な場合に達成される。
【0066】
図7は、本発明の例示的実施形態による、2つのデュアルコンプライアント電極ビームアクチュエータ702を組み込んだ、第2のシャッタ組立体700の図である。シャッタ組立体700は、リターンスプリング704を含むこと以外は、シャッタ組立体600と同じ一般的形態を取る。シャッタ組立体600と同様に、シャッタ組立体700内では、シャッタ706を表面(その表面の上でシャッタは物理的に支持される)に平行な面内で平行移動させるために、シャッタ706の第1の側に、2つのアクチュエータ702が結合される。リターンスプリング704は、シャッタ706の反対の側に結合される。リターンスプリング704は、さらに、スプリングアンカー708において表面に結合され、追加の機械的支持として働く。シャッタ706の反対の側において、表面の上でシャッタ706を物理的に支持することにより、アクチュエータ702と、リターンスプリング704とは、動作中の、意図される移動平面から離れた、シャッタ706の動きを減少させる。さらに、リターンスプリング704は、リターンスプリング704の面内剛性を減少させる、いくつかの湾曲部を組み込んでおり、それにより、面外の動きよりも多い、面内の動きをさらに促進する。作動電位が除去された場合に、シャッタ706がその初期位置により迅速に戻るように、リターンスプリング704は、追加の復元力をシャッタ706に提供する。リターンスプリング704の追加は、アクチュエータ702の作動を開始させるために必要とされる電位を、わずかに増加させるのみである。
【0067】
図8は、本発明の例示的実施形態による、シャッタ開アクチュエータ802および804のペアと、シャッタ閉アクチュエータ806および808のペアとを含む、シャッタ組立体の図である。4つのアクチュエータ802、804、806、および808のそれぞれは、デュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータの形態を取る。各アクチュエータ802、804、806、および808は、一方の側におけるシャッタ812を、もう一方の側におけるロードアンカー814に結合する、コンプライアントロード部材810を含む。各コンプライアントロード部材810は、ロードビーム816と、Lブラケット818とを含む。各アクチュエータ802、804、806、および808は、さらに、一方の端部が駆動アンカー822に結合された、駆動ビーム820を含む。アクチュエータ802/804および806/808の各ペアは、共通の駆動アンカー822を共有する。各駆動ビーム820の非固定端は、対応するコンプライアントロード部材810の固定端に隣接して配置される。各駆動ビーム820の固定端は、対応するロードビーム816のLブラケット端部に隣接して配置される。非アクティブ状態では、ロードビーム816とその対応する駆動ビーム820との間の距離は、ロードビーム816の固定端からLブラケット818まで、徐々に増加する。
【0068】
動作時、シャッタ812を開くには、シャッタ組立体800を組み込んだディスプレイ装置は、シャッタ開アクチュエータ802および804の駆動アンカー822に電位を印加して、シャッタ812を開位置の方へ引き寄せる。シャッタ812を閉じるには、ディスプレイ装置は、シャッタ閉アクチュエータ806および808の駆動アンカー822に電位を印加して、シャッタ812を閉位置の方へ引き寄せる。アクチュエータ802/804または806/808のいずれのペアもアクティブにされていない場合、シャッタ812は、完全に開かれた位置と完全に閉じられた位置との間のどこかの、中間位置に留まる。
【0069】
シャッタ開アクチュエータ802/804およびシャッタ閉アクチュエータ806/808は、シャッタの反対の側において、シャッタ812に結合される。シャッタ開および閉アクチュエータは、それらの独自のロード部材810を有し、それにより、各アクチュエータ802、804、806、および808の作動電圧を減少させる。図3に関連して説明した電気的双安定性の理由により、コンプライアントロード部材810が接触している可能性がある駆動ビーム820から、コンプライアントロード部材810を分離するために、より多くのレバレッジ(力)を使用する作動方法または構造を見いだすことが有利である。開および閉アクチュエータ802/804および806/808を、シャッタ812の反対の側上に配置することによって、作動させられるべきアクチュエータの作動力は、分離されるべきアクチュエータに、シャッタを通して移される。したがって、作動力は、そのレバレッジ(力)がより大きくなる、シャッタに近い点(例えば、ロードビーム816のLブラケット端部の近く)において、分離の仕事に適用される。
【0070】
図8などのシャッタ組立体では、(スロットの方向に沿った)一般的なシャッタ幅は、20〜800ミクロンの範囲内となる。「スロー距離(throw distance)」、または、開および閉位置の間でシャッタが移動する距離は、4〜100ミクロンの範囲内となる。駆動ビームおよびロードビームの幅は、0.2〜40ミクロンの範囲内となる。駆動ビームおよびロードビームの長さは、10〜600ミクロンの範囲内となる。そのようなシャッタ組立体は、解像度が1インチ当たり30〜1000ドットの範囲内であるディスプレイに使用されてもよい。
【0071】
上述の、シャッタ組立体200a、200b、500、600、700、および800のそれぞれと、反射鏡ベースの光変調器400とは、本明細書で「弾性光変調器」と呼ばれる光変調器のクラスに入る。弾性光変調器は、1つの機械的に安定な静止状態を有する。静止状態では、光変調器は、オン(開かれている、または反射している)、オフ(閉じられている、または反射していない)、あるいは中間のどこか(部分的に開かれている、または部分的に反射している)であってもよい。アクチュエータ内のビーム間への電圧の生成が、光変調器がその静止状態を出て、機械的に不安定な状態になることを強制する場合、光変調器がその不安定な状態に留まるためには、あるレベルの電圧がビーム間で維持されなければならない。
【0072】
図9は、ディスプレイ装置内の弾性光変調器902を制御するための、アクティブマトリクスアレイ900の図である。特に、アクティブマトリクスアレイ900は、受動的な復元力のみを含む、反射鏡ベースの光変調器400、またはシャッタベースの光変調器500、600、および700などの、弾性光変調器902を制御するのに適している。すなわち、これらの光変調器902は、機械的に不安定な状態に入るために、アクチュエータの電気的アクティブ化を必要とするが、次に、静止状態に戻るためには、スプリングなどの、機械的機構を利用する。
【0073】
アクティブマトリクスアレイは、弾性光変調器902が上に形成される基板の表面上に、拡散された、または薄膜蒸着された電気回路として製造される。アクティブマトリクスアレイ900は、基板上にグリッド状パターンを形成し、基板を複数のグリッドセグメント908に分割する、一連の行電極904および列電極906を含む。アクティブマトリクスアレイ900は、一組のドライバ910と、グリッドセグメント908内に含まれる1つ以上の弾性光変調器902を制御するために、グリッドセグメント908に選択的に電位を印加する、ダイオードまたはトランジスタのいずれかからなる、非線形な電気的構成要素のアレイとを含む。薄膜トランジスタアレイの技術は、Willem den Boer著、Active Matrix Liquid Crystal Displays: Fundamentals and Applications(Elsevier、Amsterdam、2005年)で説明されている。
【0074】
各グリッドセグメント908は、ピクセルの照射に寄与し、そして、1つ以上の弾性光変調器902を含む。1つの弾性光変調器902のみを含むグリッドセグメントでは、グリッドセグメント908は、弾性光変調器902に加えて、少なくとも1つのダイオードまたはトランジスタ912と、任意選択で、キャパシタ914とを含む。図9に示すキャパシタ914は、回路の設計要素として明示的に追加されてもよく、あるいは、キャパシタ914は、弾性光変調器の等価平行板または寄生静電容量を表すものと理解されてもよい。トランジスタ912のエミッタ916は、弾性光変調器902の駆動電極またはロード電極のいずれかに、電気的に結合される。アクチュエータのもう一方の電極は、接地または共通電位に結合される。トランジスタ912のベース918は、グリッドセグメントの行を制御する行電極904に電気的に結合される。トランジスタのベース918が行電極904を介して電位を受け取ると、対応する列電極906からの電流がトランジスタ912を通り抜けて、キャパシタ914内に電位を生成し、さらに、弾性光変調器902の駆動電極に電位を適用して、アクチュエータを作動させてもよい。
【0075】
アクティブマトリクスアレイ900は、一実装では、ドライバ910のうちの1つから、選択された行電極904に電位を印加して、グリッドセグメント908の対応する行を、一度に1つずつ作動させることによって画像を生成する。特定の行がアクティブにされている間、ディスプレイ装置は、アクティブな行内の、静止状態から切り換えられる必要がある光変調器を含むグリッドセグメントに対応する列電極に、電位を印加する。
【0076】
その後、行が非アクティブにされると、蓄積された電荷は(アクチュエータの等価キャパシタンスによって決定されるとおりに)アクチュエータ902の電極上に留まり、さらに、任意選択で、回路の設計に盛り込まれてもよい平行板キャパシタ914上にも留まって、弾性シャッタ機構902を、それらの機械的に不安定な状態に維持する。弾性シャッタ機構902は、キャパシタ914内に蓄積された電圧が消散するまで、あるいは、後続の行選択またはアクティブ化ステップの間に、電圧が接地電位に意図的にリセットされるまで、機械的に不安定な状態に留まる。
【0077】
図10は、ディスプレイ装置内の弾性光変調器1002を制御するための、アクティブマトリクスアレイ1000の別の実装の図である。特に、アクティブマトリクスアレイ1000は、光変調器を静止状態から機械的に不安定な状態に強制するための1つの組のアクチュエータと、光変調器をリセット状態に、そしてことによると第2の機械的に不安定な状態に駆動して戻すための、第2の組のアクチュエータとを含む、シャッタベースの光変調器200a、200b、および800などの、弾性光変調器を制御するのに適している。アクティブマトリクスアレイ1000は、さらに、図12〜図20に関連してさらに説明する、非弾性光変調器を駆動するために使用されてもよい。
【0078】
アクティブマトリクスアレイ1000は、アクティブマトリクスアレイ1000内の各行についての1つの行電極1004と、アクティブマトリクスアレイ1000内の各列についての2つの列電極1006aおよび1006bとを含む。例えば、シャッタベースの光変調器を含むディスプレイ装置で、各列についての一方の列電極1006aは、列内の光変調器1002のシャッタ開アクチュエータに対応する。もう一方の列電極1006bは、列内の光変調器1002のシャッタ閉アクチュエータに対応する。アクティブマトリクスアレイ1000は、アクティブマトリクスアレイ1000が上に蒸着される基板を、グリッドセクション1008に分割する。各グリッドセクション1008は、1つ以上の光変調器1002と、少なくとも2つのダイオードまたはトランジスタ1010aおよび1010bと、任意選択の2つのキャパシタ1012aおよび1012bとを含む。各トランジスタ1010aおよび1010bのベース1014aおよび1014bは、列電極1006aおよび1006bに電気的に結合される。トランジスタ1010aおよび1010bのエミッタ1016aおよび1016bは、対応するキャパシタ1012aまたは1012bと、グリッドセクション1008内の光変調器1002の駆動電極とに結合される。
【0079】
動作時、ドライバは、選択された行電極1004に電位を印加して、行をアクティブにする。アクティブマトリクスアレイ1000は、グリッドセクション1008内の光変調器1002の状態が変更される必要がある各列の、2つの列電極1006aまたは1006bのうちの1つに、選択的に電位を印加する。あるいは、アクティブマトリクスアレイ1000は、さらに、以前にアクティブ状態にあり、アクティブ状態に留まるべきであるグリッドセクション1008について、列電極1006aまたは1006bに電位を印加してもよい。
【0080】
両方のアクティブマトリクスアレイ900および1000について、列電極に電力を供給するドライバは、一部の実装では、個々の列電極1006aおよび1006bに印加するために、複数の可能な電位から選択する。それらの列内の光変調器1002は、次に、グレースケール画像を作るために、異なる量だけ開かれるか、または閉じられてもよい。
【0081】
図11は、図8のシャッタ組立体800の、A−A’とラベル付けされた線に沿った断面図である。図8、図10、および図11を参照すると、シャッタ組立体800は、シャッタ組立体800を組み込んだディスプレイ装置100などの、ディスプレイ装置の、他のシャッタ組立体と共有される、基板1102上に構築される。シャッタ組立体を作動させるための電圧信号は、シャッタ組立体の下位層内の導体に沿って伝えられる。電圧信号は、アクティブマトリクスアレイ1000などの、アクティブマトリクスアレイによって制御される。基板1102は、最大約2000行および最大約2000列内に配置された、4,000,000ものシャッタ組立体を支持してもよい。
【0082】
シャッタ812と、シャッタ開アクチュエータ802および804と、シャッタ閉アクチュエータ806および808と、ロードアンカー814と、駆動アンカー822とに加えて、シャッタ組立体800は、行電極1104と、シャッタ開電極1106と、シャッタ閉電極1108と、3つの表面アパーチャ1110とを含む。図示されているシャッタ組立体は、行導体層、列導体層、およびシャッタ層と呼ばれてもよい、少なくとも3つの機能層を有する。シャッタ組立体は、好ましくは、ガラスまたはプラスチックなどの、透明基板上に作成される。あるいは、表面アパーチャ1110のそれぞれの位置において、光の透過のための貫通孔が提供される限り、基板は、シリコンなどの不透明材料から作られてもよい。基板の上の第1の金属層は、行導体電極1104および反射面セクション1105にパターニングされる、行導体層である。反射面セクション1105は、表面アパーチャ1110の位置以外において、基板1102を通過する光を反射して、基板1102を通して戻す。一部の実装では、表面アパーチャは、赤、緑、または青のカラーフィルタリング材料を含むか、あるいは、それらのカラーフィルタリング材料によって覆われてもよい。
【0083】
シャッタ開電極1106およびシャッタ閉電極1108は、基板1102上の、行導体層1104の上に蒸着される、列導体層1112内に形成される。列導体層1112は、行導体層1104から、誘電体材料または金属の、1つ以上の間にはさまれた層によって隔てられる。シャッタ組立体800のシャッタ開電極1104およびシャッタ閉電極1106は、ディスプレイ装置の同じ列内の、他のシャッタ組立体と共有される。列導体層1112は、さらに、接地電極1104内のギャップを通過する、表面アパーチャ1110を通過する以外の光を反射する働きをする。行導体層1104および列導体層1112の厚さは、約0.1〜約2ミクロンである。代替の実装では、列導体層1112は、行導体層1104の下に配置されてもよい。別の代替の実装では、列導体層と行導体層の両方が、シャッタ層の上に配置されてもよい。
【0084】
シャッタ812と、シャッタ開アクチュエータ802および804と、シャッタ閉アクチュエータ806および808と、ロードアンカー814と、駆動アンカー822とは、シャッタ層1114と呼ばれる、シャッタ組立体800の第3の機能層から形成される。アクチュエータ802、804、806、および808は、以下に限定されるものではないが、Au、Cr、またはNiなどの、蒸着された金属から、または、以下に限定されるものではないが、多結晶シリコン、またはアモルファスシリコンなどの、蒸着された半導体から、または、埋め込み酸化物の上に形成される場合は、単結晶シリコン(シリコンオンインシュレータとしても知られている)から形成される。アクチュエータ802、804、806、および808のビームは、幅約0.2〜約20ミクロンの寸法にパターニングされる。シャッタの厚さは、通常、0.5ミクロン〜10ミクロンの範囲内である。シャッタの面内移動を促進するには(すなわち、面外剛性とは対照的に、横方向ビーム剛性を減少させるには)、ビーム寸法比を、おおよそ、少なくとも1.4:1(ビームの幅よりも厚さの方が大きい)に維持することが好ましい。
【0085】
金属または半導体ビアが、行電極1104と、列導体層1112のシャッタ開電極1106およびシャッタ閉電極1108とを、シャッタ層1114上の特徴に電気的に接続する。特に、ビア1116は、行電極1104を、シャッタ組立体800のロードアンカー814に結合して、シャッタ開アクチュエータ802および804とシャッタ閉アクチュエータ806および808とのコンプライアントロード部材810と、シャッタ812とを、行導体電位に維持する。追加のビアは、シャッタ開電極1106を、シャッタ開アクチュエータ802および804によって共有される駆動アンカー822を介して、シャッタ開アクチュエータ802および804の駆動ビーム820に電気的に結合する。さらに他のビアは、シャッタ閉電極1108を、シャッタ閉アクチュエータ806および808によって共有される駆動アンカー822を介して、シャッタ閉アクチュエータ806および808の駆動ビーム820に電気的に結合する。
【0086】
シャッタ層1114は、潤滑剤、真空、または空気によって列導体層1112から隔てられ、それにより、シャッタ812に動きの自由度が提供される。シャッタ層1114内の可動部品は、すべての可動部品間から犠牲材料を除去する、化学エッチまたはアッシングプロセスであってもよい解除ステップ内で、隣接する構成要素(それらのアンカー点814を除く)から機械的に分離される。
【0087】
アクティブマトリクスアレイ内で使用されるダイオード、トランジスタ、および/またはキャパシタ(わかりやすくする目的で、図示せず)は、3つの機能層の既存の構造内にパターニングされてもよく、あるいは、それらは、シャッタ組立体と基板との間に、またはシャッタ層の上に配置される、別個の層内に組み込まれてもよい。反射面セクション1105は、行および列導体電極の延長としてパターニングされてもよく、あるいはそれらは、反射材料の、独立の、または電気的にフローティングのセクションとしてパターニングされてもよい。あるいは、反射面セクション1105は、それらの関連する表面アパーチャ1110とともに、シャッタ組立体と基板との間に配置される、蒸着された金属層または誘電体反射鏡のいずれかから形成される、第4の機能層内にパターニングされてもよい。接地線が、層1104内の行導体電極とは別個に追加されてもよい。これらの独立した接地線は、アクティブマトリクスアレイを使用する場合などの、行がトランジスタを通してアクティブにされる場合に必要とされてもよい。接地線は、行電極と並行してレイアウトされ(そして、駆動回路内で一緒にバス接続され)てもよく、あるいは、接地電極は、シャッタ組立体と基板との間の独立した層内に配置されてもよい。
【0088】
弾性光変調器に加えて、ディスプレイ装置は、例えば、双安定シャッタ組立体などの、双安定光変調器を含んでもよい。上述のように、弾性シャッタ組立体内のシャッタは、1つの機械的に安定な位置(「静止位置」)を有し、その他のすべてのシャッタ位置は機械的に不安定である。他方、双安定シャッタ組立体のシャッタは、例えば、開および閉の、2つの機械的に安定な位置を有する。機械的に双安定なシャッタ組立体は、開位置または閉位置のいずれかにシャッタを維持するために、電圧は必要とされないという利点を有する。双安定シャッタ組立体は、各安定位置が実質的にエネルギー的に等しいシャッタ組立体と、一方の安定位置が、もう一方の機械的に安定な位置よりもエネルギー的に優先されるシャッタ組立体という、2つのクラスにさらに細分されてもよい。
【0089】
図12は、シャッタ位置に関連して、3つのタイプのシャッタ組立体内に蓄積されるポテンシャルエネルギーの図1200である。実線1202は、弾性シャッタ組立体に対応する。破線1204は、等しいエネルギー安定状態を有する双安定シャッタ組立体に対応する。点線1206は、等しくないエネルギー安定状態を有する双安定シャッタ組立体に対応する。エネルギー図1200に示すように、2つのタイプの双安定シャッタ組立体についてのエネルギー曲線1204および1206は、それぞれが、完全に開1210および完全に閉1212などの、安定なシャッタ位置に対応する、2つの局所的極小1208を含む。図示されているように、局所的極小のうちの1つに対応する位置からシャッタを移動させるには、エネルギーが組立体に追加されなければならない。ただし、等しくないエネルギーの機械的に安定なシャッタ位置を有する双安定シャッタ組立体の場合、シャッタを開くために必要とされる仕事1212は、シャッタを閉じるために必要とされる仕事1214よりも大きい。他方、弾性シャッタ組立体の場合、シャッタを開くためには仕事1218が必要であるが、制御電圧を除去した後、シャッタは自発的に閉じる。
【0090】
図13Aは、双安定シャッタ組立体のシャッタ層1300の上面図である。シャッタ層1300は、2つのデュアルコンプライアント電極アクチュエータ1304および1306によって駆動されるシャッタ1302を含む。シャッタ1302は、3つのスロットを有するシャッタアパーチャ1308を含む。一方のデュアルコンプライアント電極アクチュエータ1304は、シャッタ開アクチュエータとして働く。もう一方のデュアルコンプライアント電極アクチュエータ1306は、シャッタ閉アクチュエータとして働く。
【0091】
各デュアルコンプライアント電極アクチュエータ1304および1306は、シャッタ1302を、その直線軸1312の近くにおいて、シャッタ層1300の隅に配置された2つのロードアンカー1314に接続する、コンプライアント部材1310を含む。コンプライアント部材1310は、それぞれが、導電性ロードビーム1316を含み、導電性ロードビーム1316は、その表面の一部または全体に配置された絶縁体を有してもよい。ロードビーム1316は、シャッタ組立体が上に構築される基板の上でシャッタ1302を物理的に支持する、機械的支持として働く。アクチュエータ1304および1306は、さらに、それぞれが、共有駆動アンカー1320から伸びる2つのコンプライアント駆動ビーム1318を含む。各駆動アンカー1320は、駆動ビーム1318を基板に、物理的および電気的に接続する。アクチュエータ1304および1306の駆動ビーム1318は、それらの対応する駆動アンカー1320から、ロードアンカー1314上の、ロードビーム1316がロードアンカー1314に結合する点の方へ、湾曲して離れる。駆動ビーム1318内のこれらの湾曲は、駆動ビームの剛性を減らすように働き、それにより、作動電圧を減少させるために役立つ。
【0092】
各ロードビーム1316は、例えば、弓形に曲がった(または正弦波状の)形状で、一般に湾曲している。弓形の曲がりの程度は、ロードアンカー1314と、ロードビーム1316の全長との間の相対的距離によって決定される。ロードビーム1316の湾曲は、シャッタ組立体1300の双安定性を提供する。ロードビーム1316はコンプライアントであるため、ロードビーム1316は、駆動アンカー1320の方へ、または駆動アンカー1320から離れて、弓形に曲がってもよい。弓形の曲がりの方向は、シャッタ1302がどの位置にあるかによって変化する。図示されているように、シャッタ1302は、閉位置にある。シャッタ開アクチュエータ1304のロードビーム1316は、シャッタ開アクチュエータ1304の駆動アンカー1320から離れて、弓形に曲がっている。シャッタ閉アクチュエータ1306のロードビーム1316は、シャッタ閉アクチュエータ1306の駆動アンカー1320の方へ、弓形に曲がっている。
【0093】
動作時、例えば閉から開へ、状態を変えるために、ディスプレイ装置は、シャッタ開アクチュエータ1304の駆動ビーム1318に、電位を印加する。ディスプレイ装置は、さらに、シャッタ開アクチュエータのロードビーム1316に、電位を印加してもよい。駆動ビームとロードビームとの間の任意の電位差が、接地電位に対する符号に関係なく、ビーム間の静電力を生成する。シャッタ開アクチュエータ1304の駆動ビーム1318とロードビーム1316との間の、結果として生じる電圧によって、静電力がもたらされ、ビーム1316と1318が相互に引き寄せられる。電圧が十分に強い場合、図13Aのシャッタ閉アクチュエータに示すように、ロードビーム1316は、その湾曲が実質的に逆転させられるまで変形する。
【0094】
図13Bは、図13Aの場合を含む、双安定作動の一般的な場合についての、変位に対する力の発展を示す。図13Aおよび図13Bを参照すると、一般に、コンプライアントロードビームを変形させるために必要とされる力は、変位の量とともに増加する。しかし、図13Aに示すような、双安定機構の場合は、さらなる移動が力の減少をもたらす点に到達する(図13Bの点B)。シャッタ開アクチュエータ1304のロードビーム1316と駆動ビーム1318との間に、十分な電圧が印加された場合、図13Bの点Bに対応する変形に到達し、力のさらなる印加は、より大きな自発的な変形(「スナップスルー」)をもたらし、図13Bの点Cにおいて変形は停止する。電圧を除去すると、機構は、安定点、または力が0の点に弛緩する。点Dは、開位置を表す、そのような弛緩または安定点である。シャッタ1302を反対の方向に移動させるには、最初に、シャッタ閉アクチュエータ1306のロードビーム1316と駆動ビーム1318との間に電圧を印加する必要がある。再び、さらなる強制によって大きな自発的変形がもたらされる点に到達する(点E)。閉じる方向での、さらなる強制によって、点Fにより表される変形がもたらされる。電圧を除去すると、機構は、その初期の安定した閉位置である、点Aに弛緩する。
【0095】
図13Aにおいて、コンプライアント部材の長さは、アンカーと、シャッタにおける取り付け点との間の直線距離よりも長い。アンカー点によって制約されて、ロードビームは、湾曲した形状を適合させることにより安定形状を見い出し、その形状のうちの2つは、ポテンシャルエネルギーが局所的極小の構成を成す。ロードビームのその他の構成は、追加のひずみエネルギーを有する変形を含む。
【0096】
シリコンで製造されるロードビームの場合、典型的な、現時点での最新設計による(as−designed)幅は、約0.2μm〜約10μmである。典型的な、現時点での最新設計による長さは、約20μm〜約1000μmである。典型的な、現時点での最新設計によるビーム厚さは、約0.2μm〜約10μmである。ロードビームのプリベント(pre−bent)の量は、一般に、現時点での最新設計による幅の3倍よりも大きい。
【0097】
図13Aのロードビームは、2つの湾曲位置のうちの1つが、大域的最小に近いように、すなわち、一般には0に近いエネルギーがビーム内の変形または応力として蓄積される、最低エネルギー状態または弛緩状態を保有するように、設計されてもよい。そのような設計構成は、「プリベント(pre−bent)」と呼ばれてもよく、これは、特に、コンプライアント部材の形状が、シャッタ組立体の基板からの解除の後に、変形がほとんどまたはまったく必要とされないように、マスク内にパターニングされることを意味する。コンプライアント部材の、現時点での最新設計による湾曲形状は、その安定状態または弛緩状態に近い。そのような弛緩状態は、開位置または閉位置の、2つのシャッタ位置のうちの1つに当てはまる。シャッタ組立体をもう一方の安定状態(準安定状態と呼ばれてもよい)に切り換える場合、いくらかのひずみエネルギーが、ビームの変形内に蓄積されなければならない。したがって、2つの状態は、等しくないポテンシャルエネルギーを有し、準安定状態から安定状態にビームを移動させるために必要とされる電気的エネルギーは、安定状態から準安定状態への移動に比較して少ない。
【0098】
図13Aについての別の設計構成は、しかし、プレストレスト(pre−stressed)設計として説明されてもよい。プレストレスト設計は、等しいポテンシャルエネルギーを有する2つの安定状態を提供する。これは、例えば、コンプライアント部材を、シャッタ組立体を解除すると実質的かつ自発的にその安定形状に変形するように、パターニングすることによって達成されてもよい(すなわち、初期状態は不安定であるように設計される)。2つの安定形状は、それらの安定状態のそれぞれの、コンプライアント部材内に蓄積される変形またはひずみエネルギーが類似したものとなるように、類似していることが好ましい。プレストレスト設計の場合に、開および閉のシャッタ位置間で移動させるために必要とされる仕事は、類似したものとなる。
【0099】
シャッタ組立体のプリストレス条件は、いくつかの手段によって提供されてもよい。条件は、例えば、基板の湾曲と、したがって、表面ひずみとをシステム内に引き起こすように、基板を機械的にパッケージングすることによって、製造後に課されてもよい。プレストレスト条件は、さらに、ロードビーム上の、またはロードビームを囲む、表面層によって課される、薄膜応力として課されてもよい。これらの薄膜応力は、蒸着プロセスの詳細に起因する。薄膜応力を付与することが可能な蒸着パラメータとしては、薄膜材料組成、蒸着速度、および蒸着プロセス中のイオン衝撃率(ion bombardment rate)が挙げられる。
【0100】
図13Aで、ロードビームは、その局所的安定状態のそれぞれにおいて湾曲し、また、ロードビームは、安定状態の中間の、変形のすべての点においても湾曲する。ただし、コンプライアント部材は、以下の図で説明するように、ロードビームの、任意の数のまっすぐな、または剛性のセクションを備えてもよい。図18では、さらに、2つの同等な安定位置のいずれも、有効な変形またはひずみエネルギーを、有さず、要求せず、蓄積しない、双安定シャッタ組立体の設計が示される。応力は、安定状態間を移動する際に、一時的にシステム内に蓄積される。
【0101】
図14は、第2の双安定シャッタ組立体のシャッタ層1400の上面図である。図6に関連して上述したように、シャッタの面内の動きへの抵抗を減少させることは、面外の移動を減少させる傾向がある。シャッタ層1400は、面内移動を促進する、面内剛性を減少させる特徴と、状態間の適切な移行を促進する、変形プロモーターとを含むこと以外は、シャッタ層1300に類似している。図13Aのシャッタ層1300と同様に、図14のシャッタ層1400は、ロードアンカー1404をシャッタ1406に結合する、ロードビーム1402を含む。シャッタ組立体の面内剛性を減少させ、いくらかの軸方向コンプライアンスをロードビーム1402に提供するために、ロードアンカー1404は、ロードビーム1402に、スプリング1408を介して結合される。スプリング1408は、屈曲部(flexures)、Lブラケット、またはロードビーム1402の湾曲部分から形成されてもよい。
【0102】
さらに、ロードビーム1402の幅は、それらの全長に沿って変化する。特に、ビームは、それらがロードアンカー1404およびシャッタ1406と交わるセクションに沿って、より狭くなる。ロードビーム1402に沿った、ロードビーム1402がより広くなる点は、ロードビーム1402の変形を、より狭いセクション1410に閉じ込めるための転心(pivot points)1410として働く。
【0103】
図15は、本発明の例示的実施形態による、デュアルコンプライアント電極アクチュエータを組み込んだ、三安定シャッタ組立体のシャッタ層1500の上面図である。シャッタ層1500は、シャッタ開アクチュエータ1502と、シャッタ閉アクチュエータ1504とを含む。各アクチュエータ1502および1504は、駆動アンカー1508によってディスプレイ装置の基板に物理的および電気的に結合された、2つのコンプライアント駆動ビーム1506を含む。
【0104】
シャッタ開アクチュエータ1502は、単独では、1つの機械的に安定な状態を有する、弾性アクチュエータである。特に制約されない限り、シャッタ開アクチュエータ1502は、作動の後で、その静止状態に戻る。シャッタ開アクチュエータ1502は、一方の端部において、Lブラケット1514によってロードアンカー1512に結合され、もう一方の端部において、Lブラケット1518を介してシャッタ1516に結合される、2つのロードビーム1510を含む。シャッタ開アクチュエータ1502の静止状態において、ロードビーム1510はまっすぐである。Lブラケット1514および1518は、ロードビーム1510が、シャッタ開アクチュエータ1502の作動時に、シャッタ開アクチュエータ1502の駆動ビーム1506の方へ変形し、シャッタ閉アクチュエータ1504の作動時に、駆動ビーム1506から離れるように変形することを許可する。
【0105】
シャッタ閉アクチュエータ1504は、同様に、本質的に弾性である。シャッタ閉アクチュエータ1504は、一方の端部においてロードアンカー1522に結合された、1つのロードビーム1520を含む。ロードビーム1520は、応力を受けていない場合、すなわち、その静止状態にある場合、まっすぐである。シャッタ閉アクチュエータ1504のロードビーム1520の、反対側の端部において、ロードビーム1520は、2つの湾曲したコンプライアントビーム1526(それらの端部において、およびそれらの全長の中央において接続されている)から形成された、スタビライザ1524に結合される。スタビライザ1524のビーム1526は、(図示するように)シャッタ閉アクチュエータ1504から離れるように弓形に曲がった位置と、シャッタ閉アクチュエータ1504の方へ弓形に曲がった位置という、2つの機械的に安定な位置を有する。
【0106】
動作時、シャッタ開アクチュエータ1502またはシャッタ閉アクチュエータがアクティブにされると1504、シャッタ1516が作動位置に移動させられる際に、シャッタ閉アクチュエータ1504のロードビーム1520は、それぞれ、シャッタ開アクチュエータ1504の方へ、または、シャッタ閉アクチュエータ1504の駆動ビーム1528の方へ、弓形に曲がるように変形させられる。いずれの場合も、シャッタ層1500全体の幅に対する、シャッタ閉アクチュエータ1504のロードビーム1520の長さは減少し、スタビライザ1524のビーム1526が、シャッタ閉アクチュエータ1504の方へ弓形に曲がるように引かれる。アクティブにされたアクチュエータが非アクティブにされた後、スタビライザ1524のビーム1526を元の位置に戻すように変形させるために必要とされるエネルギーは、ロードビーム1510および1520と、アクチュエータ1502および1504との中に蓄積されたエネルギーよりも大きい。シャッタ1516をその静止位置に戻すには、追加のエネルギーがシステムに追加されなければならない。したがって、シャッタ組立体内のシャッタ1516は、開、半開、および閉という、3つの機械的に安定な位置を有する。
【0107】
図16A〜Cは、シャッタ1602の位置が変化する間の、シャッタ組立体1600の状態を示す、双安定シャッタ組立体1600の別の実施形態の図である。シャッタ組立体1600は、コンプライアント支持ビーム1604のペアによって物理的に支持されたシャッタ1602を含む。支持ビームは、アンカー1603に、かつシャッタ1602に、回転接合1605を使用して結合される。これらの接合は、ピン継手、屈曲部、または細いコネクタビームからなると理解されてもよい。支持ビーム1604に印加されている応力がない場合、支持ビーム1604は実質的にまっすぐである。
【0108】
図16Aは、開位置にあるシャッタ1602を示し、図16Bは、閉位置への移行の最中におけるシャッタ1602を示し、図16Cは、閉位置にあるシャッタ1602を示す。シャッタ組立体1600は、作動のために、静電コームドライブ(electrostatic comb drive)に依存する。コームドライブは、剛性の開電極1608と、剛性の閉電極1610とを備えてなる。シャッタ1602も、開および閉電極の形状と相互補完的な、コーム形状を採用する。図16に示すようなコームドライブは、かなり長い平行移動距離にわたって作動することが可能であるが、作動力の減少という代償が払われる。コームドライブ内の電極間の主要な電場は、移動の方向と概して垂直に揃えられ、したがって、作動の力は、一般に、コームドライブの内部表面で発生する最大の電圧の線に沿わない。
【0109】
上述の双安定シャッタ組立体とは異なり、1つ以上のビームの特定の湾曲に依存して機械的安定性を提供する代わりに、双安定アクチュエータ1600は、その支持ビーム1604のまっすぐな弛緩状態に依存して機械的安定性を提供する。例えば、図16Aおよび図16Cに示す2つの機械的に安定な位置において、コンプライアント支持ビーム1604は、実質的にまっすぐであり、シャッタ組立体1600の直線軸1606に対してある角度をなす。図16Bに示すように、シャッタ1602が1つの機械的に安定な位置から他の機械的に安定な位置に移行中の場合、支持ビーム1604は、移動に対応するために、物理的に変形するか、または曲がる。シャッタ1602の位置を変えるために必要とされる力は、したがって、コンプライアント支持ビーム1604上に結果として生じる応力に打ち勝つために十分なものでなければならない。シャッタ組立体1600の開状態と閉状態との間のいかなるエネルギー差も、回転接合1605内の少量の弾性エネルギーによって表される。
【0110】
シャッタ1602は、シャッタ1602の両側の2つの位置から、支持ビーム1604を介して、シャッタ組立体1600の両側の位置にあるアンカー1603に結合され、それにより、シャッタ1602の、その中心軸のまわりの、ねじる動きまたは回転運動が減少する。シャッタ1602の両側にある独立したアンカーに接続されたコンプライアント支持ビーム1604の使用は、さらに、シャッタの移動を、直線平行移動軸に沿ったものに制約する。別の実装では、実質的に平行なコンプライアント支持ビーム1604のペアが、シャッタ1602の各側に結合されてもよい。4つの支持ビームのそれぞれは、シャッタ1602上の、別個の対向する点において結合される。シャッタ1602の支持のための、この平行四辺形アプローチは、シャッタの直線平行移動運動が可能であることを保証するために役立つ。
【0111】
図17Aは、シャッタ組立体1700内に組み込まれたビーム1702が、シャッタ組立体の安定位置17A−1および17A−3の両方と、移行中の位置17A−2とにおいて、コンプライアントとは対照的に、実質的に剛性である、双安定シャッタ組立体1700を示す。シャッタ組立体1700は、デュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータ1706のペアによって駆動される、シャッタ1704を含む。2つのコンプライアント部材1710は、シャッタ1704を、表面1712の上で支持する。コンプライアント部材1710は、シャッタ1704の両側に結合される。コンプライアント部材1710のもう一方の端部は、コンプライアント部材1710を表面1712に接続する、アンカー1714に結合される。各コンプライアント部材1710は、屈曲部(flexure)、あるいは、スプリングまたはカンチレバーアームなどの、その他のコンプライアント要素1718に結合された、2つの実質的に剛性のビーム1716を含む。コンプライアント部材内のビーム1716は剛性であるにもかかわらず、コンプライアント要素1718の組み込みにより、コンプライアント部材1710が全体として、コンプライアントなやり方でその形状を変え、2つの機械的に安定な形状を呈することが許可される。コンプライアント要素は、シャッタ組立体の閉または開位置のいずれかにおける、その静止状態に弛緩することが許可され(17A−1および17A−3を参照)、それにより、最終状態の両方は、実質的に同一のポテンシャルエネルギーを保有する。2つの最終状態間の移行の間は、コンプライアント要素1718内にひずみエネルギーが蓄積されるが(17A−2を参照)、2つの最終状態の安定性を確立するためには、永続的なビームの曲げまたはビーム応力は必要とされない。
【0112】
コンプライアント要素1718の形状は、シャッタ1704の比較的容易な面内平行移動が許可され、シャッタの面外の動きは制限されるようなものである。
【0113】
双安定シャッタ組立体1700の作動は、図15で使用されたアクチュエータに類似した、弾性デュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータ1706のペアによって達成される。シャッタ組立体1700では、アクチュエータ1706は、コンプライアント部材1710から物理的に分離された、別個のものである。コンプライアント部材1710は、シャッタ1704のための比較的剛性の支持を提供し、さらに、開および閉状態を維持するために必要な双安定性を提供する。アクチュエータ1706は、開状態と閉状態との間でシャッタを切り換えるために必要な、駆動力を提供する。
【0114】
各アクチュエータ1706は、コンプライアントロード部材1720を備える。コンプライアントロード部材1720の一方の端部は、シャッタ1704に結合され、もう一方の端部は自由である。シャッタ組立体1700では、アクチュエータ1706a内のコンプライアントロード部材は、アンカーに結合されず、その他の方法で表面1712に接続されることもない。アクチュエータ1706の駆動ビーム1722は、アンカー1724に結合され、それにより、表面1712に接続される。これにより、作動の電圧は減少させられる。
【0115】
図17Bは、シャッタ1702bが、作動時に回転するように設計された、双安定シャッタ組立体1700bの図である。シャッタ1702bは、その外周に沿った4つの点において、4つのアンカー1706bに結合された4つのコンプライアント支持ビーム1704bによって支持される。図16におけるのと同様に、コンプライアント支持ビーム1704bは、それらの静止状態において実質的にまっすぐである。シャッタ1702bが回転すると、アンカーとシャッタの外周との間の距離が減少するにつれて、コンプライアント部材は変形する。コンプライアント支持ビーム1704bが実質的にまっすぐである、2つの低エネルギー安定状態が存在する。1700bのシャッタ機構は、シャッタ1702b内の重心運動が存在しないという利点を有する。
【0116】
シャッタ組立体1700b内のシャッタ1702bは、複数のシャッタアパーチャ1708bを有し、それぞれのシャッタアパーチャ1708bは、シャッタの回転運動を最大限に活用するように設計された、セグメント化された形状を保有する。図18は、熱電アクチュエータ1802および1804を組み込んだ、双安定シャッタ組立体1800の図である。シャッタ組立体1800は、スロットを有するシャッタアパーチャの組1808を有する、シャッタ1806を含む。熱電アクチュエータ1802および1804は、シャッタ1806が上で支持される基板1808に実質的に平行な平面内で、シャッタ1806を横方向に移動させるために、シャッタ1806の両側に結合される。シャッタ1806の両側の2つの位置から、シャッタ組立体1800の両側の位置にあるロードアンカー1807への、シャッタ1806の結合は、シャッタ1806の、その中心軸のまわりの、ねじる動きまたは回転運動を減少させるために役立つ。
【0117】
各熱電アクチュエータ1802および1804は、3つのコンプライアントビーム1810、1812、および1814を含む。コンプライアントビーム1810および1812は、それぞれ、コンプライアントビーム1814よりも細い。ビーム1810、1812、および1814のそれぞれは、S字様の形状に湾曲しており、シャッタ1806を適切な位置に安定して保持する。
【0118】
動作時、シャッタの位置を、(図示されているような)開位置から、閉位置に変更するには、ビーム1810および1814を含む回路に電流が通される。各アクチュエータ1802および1804内の、より細いビーム1810は、熱くなり、したがって、さらに、より太いビーム1814よりも速く膨張する。膨張により、ビーム1810、1812、および1814は、それらの機械的に安定な湾曲から抜け出すことを余儀なくされ、結果として、シャッタ1806の、閉位置への横方向の動きがもたらされる。シャッタ1806を開くには、ビーム1812および1814を含む回路に電流が通されて、同様の不均衡な加熱と、ビーム1812の膨張とがもたらされ、結果として、シャッタ1806は開位置に戻ることを余儀なくされる。
【0119】
双安定シャッタ組立体は、パッシブマトリクスアレイまたはアクティブマトリクスアレイを使用して駆動されてもよい。図19は、画像を生成するために双安定シャッタ組立体1902を制御するための、パッシブマトリクスアレイ1900の図である。アクティブマトリクスアレイ900および1000などの、アクティブマトリクスアレイと同様に、パッシブマトリクスアレイ1900は、ディスプレイ装置の基板1904上の、拡散された、または薄膜蒸着された電気回路として製造される。一般に、パッシブマトリクスアレイ1900では、アクティブマトリクスアレイ900および1000よりも少ない回路を実装する必要があり、製造はより容易である。パッシブマトリクスアレイ1900は、ディスプレイ装置の基板1904上のシャッタ組立体1902を、グリッドの、行および列のグリッドセグメント1906に分割する。各グリッドセグメント1906は、1つ以上の双安定シャッタ組立体1902を含んでもよい。ディスプレイ装置内で、グリッドの所与の行内のすべてのグリッドセグメント1906は、1つの行電極1908を共有する。各行電極1908は、ドライバ1910などの、制御可能な電源を、シャッタ組立体1902のロードアンカーに結合する。列内のすべてのシャッタ組立体1902は、シャッタ開電極1912およびシャッタ閉電極1914という、2つの共通列電極を共有する。所与の列についての、シャッタ開電極1912は、ドライバ1910を、列内のシャッタ組立体1902のシャッタ開アクチュエータの駆動電極に、電気的に結合する。所与の列についての、シャッタ閉電極1914は、ドライバ1910を、列内のシャッタ組立体1902のシャッタ閉アクチュエータの駆動電極に、電気的に結合する。
【0120】
シャッタ組立体1300、1400、1500、1600、1700a、および1800は、それらの機械的双安定性の特性により、アクチュエータの両端部の電圧が最小しきい値電圧を超過した場合の、開状態と閉状態との間の切り換えが可能になるため、パッシブマトリクスアレイの使用に適用できる。ドライバ1910が、それらのうちのいずれも、単独では、シャッタ組立体を開状態と閉状態との間で切り換えるための十分な電圧を出力しないようにプログラムされている場合、所与のシャッタ組立体は、そのアクチュエータが2つの対向するドライバ1910から電圧を受け取る場合に切り換えられる。特定の行および列の交点におけるシャッタ組立体は、その特定の行および列ドライバから、差が最小しきい値電圧を超える電圧を受け取った場合に、切り換えられてもよい。
【0121】
シャッタ組立体1902の状態を閉状態から開状態に変えるためには、すなわち、シャッタ組立体1902を開くためには、ドライバ1910が、シャッタ組立体1902が配置されているグリッドの行に対応する行電極1908に電位を印加する。第2のドライバ1910が、シャッタ組立体1902が配置されているグリッド内の列に対応するシャッタ開電極1912に、場合によっては反対の極性を有する、第2の電位を印加する。シャッタ組立体1902の状態を開状態から閉状態に変えるためには、すなわち、シャッタ組立体1902を閉じるためには、ドライバ1910が、シャッタ組立体1902が配置されているディスプレイ装置の行に対応する行電極1908に電位を印加する。第2のドライバ1910が、シャッタ組立体1902が配置されているディスプレイ装置内の列に対応するシャッタ閉電極1914に、場合によっては反対の極性を有する、第2の電位を印加する。一実装では、シャッタ組立体1902は、所定の切り換えしきい値を超える、行電極1908と、列電極1912または1914のうちの1つとに印加される電位の差に応じて状態を変える。
【0122】
画像を形成するためには、一実装では、ディスプレイ装置は、グリッド内のシャッタ組立体1902の状態を、一度に一行ずつ、順番に設定する。所与の行について、ディスプレイ装置は、最初に、対応する行電極1908に電位を印加し、すべてのシャッタ閉電極1914に電位のパルスを印加することによって、行内の各シャッタ組立体1902を閉じる。次に、ディスプレイ装置は、シャッタ開電極1912に電位を印加し、行内の開かれるべきシャッタ組立体1902を含む行についての行電極1908に電位を印加することによって、光を通過させるべきであるシャッタ組立体1902を開く。1つの代替の動作モードでは、シャッタ組立体1902の各行を順次閉じる代わりに、ディスプレイ装置内のすべての行が、画像を形成するための適切な位置に設定された後で、ディスプレイ装置は、すべてのシャッタ閉電極1914およびすべての行電極1908に一斉に電位を印加することによって、すべてのシャッタ組立体1902を同時に、全体的にリセットする。別の代替の動作モードでは、ディスプレイ装置は、シャッタ組立体1902のリセットをなしで済ませて、後続の画像を表示するために状態を変える必要があるシャッタ組立体1902の状態のみを変更する。画像のための、いくつかの代替のドライバ制御方式が、強誘電性液晶ディスプレイとともに使用するために提案されており、そのうちの多くは、本明細書内の、機械的に双安定なディスプレイとともに使用するために組み込まれてもよい。これらの技術は、Ernst Lieder著、Liquid Crystal Displays: Driving Schemes and Electro−Optical Effects(Wiley、New York、2001)で説明されている。
【0123】
ディスプレイの物理的レイアウトは、多くの場合、解像度と、アパーチャ面積と、駆動電圧との特性の間の妥協点である。ディスプレイの解像度を増加するために、小さなピクセルサイズが一般に求められる。しかし、ピクセルがより小さくなるに従って、シャッタアパーチャのために利用できる場所は比例して減少する。設計者は、開口率を最大にしようと努め、その理由は、それによってディスプレイの輝度と電力効率とが増加するからである。さらに、小さなピクセルと大きな開口比との組み合わせは、シャッタを支持するコンプライアント部材内の大きな角変形を意味し、これは、必要とされる駆動電圧と、切り換え回路によって消散されるエネルギーとを増加させる傾向がある。
【0124】
図20Aおよび図20Bは、高密度アレイ内の開口率を最大にし、駆動電圧を最小にするための、ピクセルのアレイ内へのシャッタ組立体のタイリングの2つの方法を示す。
【0125】
図20Aは、例えば、2つの概して三角形のシャッタ組立体2002および2004から菱面体ピクセル2006を形成するためにタイリングされた、2つのカンチレバーデュアルビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体2002および2004のタイリング2000を示す。シャッタ組立体2002および2004は、別個に、または一括して制御されてもよい。図20Aの菱面体タイリングは、矩形タイリング配置にかなり近く、実際に、開口比2:1を有する矩形ピクセルに適合される。2つのシャッタ組立体は、各矩形内に作られることが可能なため、そのような2:1矩形タイリング配置は、さらに、行および列間の正方形反復距離を保有するアクティブマトリクスアレイの上に、取り付けまたは構築されてもよい。したがって、2つのアレイ内のピクセル間の、1対1の対応関係が確立されてもよい。正方形ピクセルアレイは、テキストおよびグラフィック画像の表示のために、最も一般的に使用される。図20Bのレイアウトの利点は、それにより、各三角形ピクセル内のロードビームの長さが最大になり、開状態と閉状態との間でシャッタを切り換えるために必要とされる電圧が減少すると理解されるということである。
【0126】
図20Bは、複数の、図13Aの双安定デュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体1300の、例示的タイリングである。例えば、図14の双安定デュアルコンプライアントビーム電極アクチュエータベースのシャッタ組立体1400と比較して、シャッタ組立体1300のシャッタ1302の幅は、シャッタ組立体1300のロードアンカー1314間の距離よりも実質的に少ない。より狭いシャッタ1302は、より少ない光が各シャッタ組立体1300を通過することを許可するが、追加のスペースが、図20Bに示すように、シャッタ組立体1300を、ロードビームの長さの損失なしにより密に詰め込むために利用されてもよい。より長いロードビームは、アレイ内のシャッタを、低減された電圧において切り換えることを可能にする。特に、より狭いシャッタ1302は、シャッタ組立体1300のアクチュエータ1304および1306の部分を、隣接するシャッタ組立体1300のアクチュエータ1302および1304の間のギャップにインターリーブすることを可能にする。図20Bのインターリーブ配置は、それでもやはり、テキスト表示のための一般的なピクセル構成である、行および列の正方形配置上にマッピングされることが可能である。
【0127】
シャッタ組立体のタイリングまたはピクセル配置は、正方形アレイの制約に限定される必要はない。高密度のタイリングは、さらに、矩形、菱面体、または六角形のピクセルアレイを使用して達成されてもよく、これらはすべて、例えば、ビデオおよびカラー画像化ディスプレイにおいて、適用例が見いだされる。
【0128】
図21は、デュアルコンプライアント電極アクチュエータベースのシャッタ組立体2102を組み込んだディスプレイ装置2100の断面図である。シャッタ組立体2102は、ガラス基板2104上に配置される。基板2104上に配置された反射膜2106は、シャッタ組立体2102のシャッタ2110の閉位置の下に位置する、複数の表面アパーチャ2108を画定する。反射膜2106は、表面アパーチャ2108を通過しない光を反射させて、ディスプレイ装置2100の後部の方へ戻す。任意選択の拡散体2112と、任意選択の輝度強化膜2114とが、基板2104をバックライト2116から分離してもよい。バックライト2116は、1つ以上の光源2118によって照射される。光源2118は、例えば、以下に限定されるものではないが、白熱灯、蛍光灯、レーザ、または発光ダイオードであってもよい。反射膜2120が、バックライト2116の背後に配置され、シャッタ組立体2102の方へ光を反射する。シャッタ組立体2102のうちの1つを通過しない、バックライトからの光線は、バックライトに戻されて、膜2120から再び反射される。これにより、最初の通過でディスプレイを離れて画像を形成することのなかった光は、再循環されて、シャッタ組立体2102のアレイ内の他の開いているアパーチャを通した透過のために利用可能にされてもよい。そのような光の再循環は、ディスプレイの照射効率を向上させることが示されている。カバープレート2122は、ディスプレイ装置2100の前部を形成する。カバープレート2122の後ろ側は、コントラストを向上させるために、ブラックマトリクス2124で覆われてもよい。カバープレート2122は、シャッタ組立体2102から所定の距離だけ離して支持され、それによりギャップ2126が形成される。ギャップ2126は、機械的支持によって、および/または、カバープレート2122を基板2104に取り付けている、エポキシシール2128によって維持される。エポキシ2128は、好ましくは約200C未満の硬化温度を有さなければならず、好ましくは約50ppm/℃未満の熱膨張係数を有さなければならず、さらに、耐湿性でなければならない。例示的エポキシ2128は、エポキシテクノロジーインク(Epoxy Technology, Inc.)によって販売されている、EPO−TEK B9021−1である。
【0129】
エポキシシール2128は、作動流体2130を封止する。作動流体2130は、好ましくは約10センチポアズ未満の粘度と、好ましくは約2.0よりも大きな比誘電率と、約10V/cmよりも大きな誘電破壊強度とを有するように設計される。作動流体2130は、さらに、潤滑剤として働いてもよい。その機械的および電気的特性は、シャッタを開位置と閉位置との間で移動させるために必要な電圧を減らすことにおいても効果的である。一実装では、作動流体2130は、好ましくは約1.5未満の、低い屈折率を有することが好ましい。別の実装では、作動流体2130は、基板2104の屈折率に一致する屈折率を有する。適切な作動流体2130としては、以下に限定されるものではないが、脱イオン水、メタノール、エタノール、シリコーン油、フッ素化シリコーン油、ジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、およびジエチルベンゼンが挙げられる。
【0130】
シートメタルまたは成型プラスチックの組立体ブラケット2132が、カバープレート2122と、シャッタ組立体2102と、基板2104と、バックライト2116と、その他の構成部品とを、端部の周囲で一緒に保持する。組立体ブラケット2132は、組み合わせられたディスプレイ装置2100に剛性を追加するために、ネジまたはインデントタブを使用して固定される。一部の実装では、光源2118は、エポキシ埋め込み用樹脂(epoxy potting compound)によって適所に成型される。
【0131】
図22は、シャッタ組立体2202を組み込んだディスプレイ組立体2200の断面図である。シャッタ組立体2202は、ガラス基板2204上に配置される。
【0132】
ディスプレイ組立体2200は、1つ以上の光源2218によって照射される、バックライト2216を含む。光源2218は、例えば、以下に限定されるものではないが、白熱灯、蛍光灯、レーザ、または発光ダイオードであってもよい。反射膜2220が、バックライト2216の背後に配置され、シャッタ組立体2202の方へ光を反射する。
【0133】
基板2204は、シャッタ組立体2202がバックライト2216の方を向くように方向付けられる。
【0134】
バックライト2216とシャッタ組立体2202との間には、任意選択の拡散体2212と、任意選択の輝度強化膜2214とが置かれる。バックライト2216とシャッタ組立体2202との間には、さらに、アパーチャプレート2222も置かれる。アパーチャプレート2222上には、シャッタ組立体の方を向くように、反射膜2224が配置される。反射膜2224は、シャッタ組立体2202のシャッタ2210の閉位置の下に位置する、複数の表面アパーチャ2208を画定する。アパーチャプレート2222は、シャッタ組立体2202から所定の距離だけ離して支持され、それにより、ギャップ2226が形成される。ギャップ2226は、機械的支持によって、および/または、アパーチャプレート2222を基板2204に取り付けている、エポキシシール2228によって維持される。
【0135】
反射膜2224は、表面アパーチャ2208を通過しない光を反射させて、ディスプレイ組立体2200の後部に向けて戻す。シャッタ組立体2202のうちの1つを通過しない、バックライトからの光線は、バックライトに戻されて、膜2220から再び反射される。これにより、最初の通過でディスプレイを離れて画像を形成することのなかった光は、再循環されて、シャッタ組立体2202のアレイ内の他の開いているアパーチャを通した透過のために利用可能にされてもよい。そのような光の再循環は、ディスプレイの照射効率を向上させることが示されている。
【0136】
基板2204は、ディスプレイ組立体2200の前部を形成する。基板2204上に配置される、吸収膜2206は、シャッタ組立体2202と基板2204との間に配置される複数の表面アパーチャ2230を画定する。膜2206は、環境光を吸収し、したがって、ディスプレイのコントラストを向上させるように設計される。
【0137】
エポキシ2228は、好ましくは約200C未満の硬化温度を有さなければならず、好ましくは約50ppm/℃未満の熱膨張係数を有さなければならず、さらに、耐湿性でなければならない。例示的エポキシ2228は、エポキシテクノロジーインク(Epoxy Technology, Inc.)によって販売されている、EPO−TEK B9022−1である。
【0138】
エポキシシール2228は、作動流体2232を封止する。作動流体2232は、好ましくは約10センチポアズ未満の粘度と、好ましくは約2.0よりも大きな比誘電率と、約10V/cmよりも大きな誘電破壊強度とを有するように設計される。作動流体2232は、さらに、潤滑剤として働いてもよい。その機械的および電気的特性は、シャッタを開位置と閉位置との間で移動させるために必要な電圧を減らすことにおいても効果的である。一実装では、作動流体2232は、好ましくは約1.5未満の、低い屈折率を有することが好ましい。別の実装では、作動流体2232は、基板2204の屈折率に一致する屈折率を有する。適切な作動流体2232としては、以下に限定されるものではないが、脱イオン水、メタノール、エタノール、シリコーン油、フッ素化シリコーン油、ジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、およびジエチルベンゼンが挙げられる。
【0139】
シートメタルまたは成型プラスチックの組立体ブラケット2234が、アパーチャプレート2222と、シャッタ組立体2202と、基板2204と、バックライト2216と、その他の構成部品とを、端部の周囲で一緒に保持する。組立体ブラケット2234は、組み合わせられたディスプレイ組立体2200に剛性を追加するために、ネジまたはインデントタブを使用して固定される。一部の実装では、光源2218は、エポキシ埋め込み用樹脂(epoxy potting compound)によって適所に成型される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータと変調器とを備えるディスプレイ装置であって、
前記アクチュエータは、
第1のコンプライアント電極と、
第2のコンプライアント電極と、
を含み、
前記第2のコンプライアント電極は、前記第1のコンプライアント電極に隣接して配置され、前記第1および第2のコンプライアント電極の間に印加される電圧に応じて、前記第1および第2のコンプライアント電極を相互に引き寄せ、
前記変調器は、前記ディスプレイ装置上で画像を形成するために前記アクチュエータに結合される、
ディスプレイ装置。
【請求項2】
基板を備え、前記第1および第2のコンプライアント電極のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの位置において前記基板に固定される、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
基板を備え、前記第1および第2のコンプライアント電極のうちの少なくとも1つは、前記第2のコンプライアント電極の線形中心の付近において前記基板に固定される、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記変調器は、前記第1および第2のコンプライアント電極のうちの1つに直接結合される、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記第1および第2のコンプライアント電極は、第1および第2の長さを有し、前記第1および第2のコンプライアント電極は、前記対応する第1および第2の長さの大部分に沿ってコンプライアントである、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記アクチュエータは、前記変調器上の第1の位置において前記変調器に結合され、前記ディスプレイ装置は、前記変調器上の第2の位置において前記変調器に結合される第2のアクチュエータを備える、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記変調器に結合された第2のアクチュエータを備える、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記画像を形成するための光源を提供するために前記アクチュエータに結合されたバックライトを備える、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第1および第2のコンプライアント電極の間に印加される前記電圧に応じて、前記第1および第2のコンプライアント電極は、徐々に相互に引き寄せられる、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記変調器は、シャッタを備える、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
前記第1および第2のコンプライアント電極の高さは、前記第1および第2のコンプライアント電極の幅の少なくとも約1.4倍である、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項12】
前記第1および第2のコンプライアント電極は、幅が約0.5μm〜約5μmである、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項13】
前記シャッタは、前記画像を形成するために前記シャッタを光が通過することを許可するための複数のシャッタアパーチャを画定する、請求項12に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
アパーチャを画定する基板をさらに備え、前記変調器は前記基板に隣接して配置され、前記変調器は、前記アパーチャを通過する光と選択的に相互作用することによって、前記画像を形成する、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項15】
前記基板は、実質的に透明な基板上に蒸着された、前記アパーチャを画定する反射膜を備える、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項16】
前記変調器は、光との相互作用を、前記光をブロックすること、反射すること、吸収すること、およびフィルタリングすることのうちの1つによって行う、請求項14に記載のディスプレイ装置。
【請求項17】
前記変調器は、反射面を備える、請求項16に記載のディスプレイ装置。
【請求項18】
前記変調器は、光吸収材料を備える、請求項16に記載のディスプレイ装置。
【請求項19】
前記変調器は、カラーフィルタを備える、請求項16に記載のディスプレイ装置。
【請求項20】
前記第1のコンプライアント電極に電気的に結合された制御可能な電源を備える、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項21】
前記電源は、前記第1および第2のコンプライアント電極のうちの1つの少なくとも第1の端部に電気的に結合される、請求項20に記載のディスプレイ装置。
【請求項22】
前記電源は、前記第1および第2のコンプライアント電極のうちの1つの第1および第2の端部に電気的に結合される、請求項20に記載のディスプレイ装置。
【請求項23】
前記電源は、パッシブマトリクスアレイとして構成される、請求項20に記載のディスプレイ装置。
【請求項24】
前記電源は、アクティブマトリクスアレイとして構成される、請求項20に記載のディスプレイ装置。
【請求項25】
前記変調器は、2つの機械的に安定な位置を有する、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項26】
前記機械的に安定な変調器位置のうちの1つにおいて、前記第1および第2のコンプライアント電極は、第1の湾曲した形状に弓形に曲がり、前記2つの機械的に安定な変調器位置のうちの第2において、前記第1および第2のコンプライアント電極のうちの少なくとも1つは、第2の湾曲した形状に弓形に曲がる、請求項25に記載のディスプレイ装置。
【請求項27】
前記アクチュエータの作動に応じて、前記第1および第2のコンプライアント電極のうちの少なくとも1つは、第1の安定した形状から第2の安定した形状に変形する、請求項25に記載のディスプレイ装置。
【請求項28】
前記変調器に復元力を提供する弾性部材を備える、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項29】
前記弾性部材はスプリングである、請求項28に記載のディスプレイ装置。
【請求項30】
前記第1および第2のコンプライアント電極のうちの少なくとも1つの上に配置された、絶縁体を備える、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項31】
前記絶縁体は、約2.0よりも大きな誘電率を有する、請求項30に記載のディスプレイ装置。
【請求項32】
ディスプレイ装置上で画像を形成する方法であって、
光変調器を選択するステップと、
相互に隣接して配置された、第1および第2の機械的にコンプライアントな電極を備えるアクチュエータを提供するステップであって、前記第1の機械的にコンプライアントな電極は、シャッタに結合されるステップと、
前記第1および第2の機械的にコンプライアントな電極の間に電圧を生成することによって、前記アクチュエータを作動させることにより、i)前記第1および第2の機械的にコンプライアントな電極を、それらを相互により近くに引き寄せるように変形させ、ii)前記画像内のピクセルの照射に影響を及ぼすように、光路内にまたは光路から外に、前記シャッタを移動させるステップと、
を含む方法。
【請求項33】
前記第1および第2のコンプライアント電極を変形させるステップは、前記第1および第2の機械的にコンプライアントな電極のうちの少なくとも1つの湾曲を変えるステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記アクチュエータを作動させるステップは、前記シャッタを、第1の機械的に安定な位置から、第2の機械的に安定な位置に移動させるステップを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記シャッタを移動させるステップは、前記シャッタを平行移動させるステップ、および前記シャッタを回転させるステップのうちの少なくとも1つを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
ディスプレイ装置であって、
前記ディスプレイ装置上で画像を形成するために、光路内の光と相互作用するためのシャッタと、
作動電位を受け取るための電圧入力と、
前記電圧入力に印加される作動電位に応じて、前記シャッタを、面内の第1の機械的に安定な位置から、前記面内の第2の機械的に安定な位置まで移動させるためのアクチュエータと、
を備えるディスプレイ装置。
【請求項37】
前記アクチュエータはスプリングを備える、請求項36に記載のディスプレイ装置。
【請求項38】
第1のコンプライアント部材の剛性は、前記第1のコンプライアント部材の全長に沿って変化する、請求項36に記載のディスプレイ装置。
【請求項39】
前記シャッタは、光が通過することが可能な複数のシャッタアパーチャを備える、請求項36に記載のディスプレイ装置。
【請求項40】
前記アクチュエータは、前記電圧入力に印加される第2の作動電位に応じて、前記シャッタを、前記第1および第2の機械的に安定な状態のうちの1つから、第3の機械的に安定な状態に移動させる、請求項36に記載のディスプレイ装置。
【請求項41】
前記画像を形成するために、前記電圧入力に前記作動電位を選択的に印加するためのパッシブマトリクスアレイを備える、請求項36に記載のディスプレイ装置。
【請求項42】
前記第1のコンプライアント部材は、複数のコンプライアントな接合によって結合された複数の非コンプライアント部材を含む、請求項36に記載のディスプレイ装置。
【請求項43】
第1および第2の機械的に安定な状態を有するスタビライザを備え、前記シャッタの前記移動は、前記スタビライザの状態を、前記第1および第2の機械的に安定な状態間で切り換える、請求項36に記載のディスプレイ装置。
【請求項44】
前記第1のコンプライアント部材は、前記シャッタを前記第1の機械的に安定な位置から前記第2の機械的に安定な位置まで移動させるために必要とされる仕事が、前記シャッタを前記第2の機械的に安定な位置から前記第1の機械的に安定な位置まで移動させるために必要とされる仕事と実質的に等しいように構成される、請求項36に記載のディスプレイ装置。
【請求項45】
前記第1のコンプライアント部材は、前記シャッタを前記第1の機械的に安定な位置から前記第2の機械的に安定な位置まで移動させるために必要とされる仕事が、前記シャッタを前記第2の機械的に安定な位置から前記第1の機械的に安定な位置まで移動させるために必要とされる仕事よりも大きいように構成される、請求項36に記載のディスプレイ装置。
【請求項46】
前記シャッタに結合された第2のアクチュエータを備え、前記第2のアクチュエータは、前記シャッタの前記第1および第2の機械的に安定な位置に対応する第1および第2の機械的に安定な状態を有する、請求項36に記載のディスプレイ装置。
【請求項47】
前記アクチュエータは、前記シャッタに、第1の位置において結合され、前記第2のアクチュエータは、前記シャッタに、第2の位置において結合される、請求項46に記載のディスプレイ装置。
【請求項48】
前記アクチュエータは、前記シャッタにおける第1の側に結合され、前記第2のアクチュエータは、前記シャッタにおける前記第1の側の実質的に反対側の第2の側に結合される、請求項46に記載のディスプレイ装置。
【請求項49】
前記変調器の前記第1の機械的に安定な位置に対応する第1の機械的に安定な状態と、前記変調器の前記第2の機械的に安定な位置に対応する第2の機械的に安定な状態とを有する第1のコンプライアント部材を備える、請求項36に記載のディスプレイ装置。
【請求項50】
前記第1のコンプライアント部材は第1のビームを備え、前記第1の機械的に安定な状態において、前記第1のビームは、第1の方向に弓形に曲がっており、前記第2の機械的に安定な状態において、前記ビームは、第2の方向に弓形に曲がっている、請求項49に記載のディスプレイ装置。
【請求項51】
前記第1のコンプライアント部材は、前記コンプライアント部材への力の印加がない場合に、実質的にまっすぐな形状を有する、請求項49に記載のディスプレイ装置。
【請求項52】
前記第1の機械的に安定な状態と、前記第2の機械的に安定な状態との両方において、前記第1のコンプライアント部材は実質的にまっすぐである、請求項49に記載のディスプレイ装置。
【請求項53】
前記電圧入力の、前記作動電位の受け取りに応じて、前記第1のコンプライアント部材は、前記第1の安定な状態から前記第2の安定な状態に変形する、請求項49に記載のディスプレイ装置。
【請求項54】
前記アクチュエータを、前記第1および第2の機械的に安定な状態のいずれかから移動させるステップは、前記第1のコンプライアント部材に前記アクチュエータが力を印加することを必要とする、請求項49に記載のディスプレイ装置。
【請求項55】
前記コンプライアント部材の高さは、前記コンプライアント部材の幅の少なくとも約1.4倍である、請求項49に記載のディスプレイ装置。
【請求項56】
前記コンプライアント部材は、幅が約0.5μm〜約5μmである、請求項49に記載のディスプレイ装置。
【請求項57】
前記第1のコンプライアント部材は、前記第1のコンプライアント部材を少なくとも部分的に覆う絶縁体を備える、請求項49に記載のディスプレイ装置。
【請求項58】
前記絶縁体の誘電率は、約2以上である、請求項57に記載のディスプレイ装置。
【請求項59】
前記アクチュエータは第2のコンプライアント部材を備え、前記第2のコンプライアント部材は、対応する弓形の曲がりを有する第2のビームを有する、請求項49に記載のディスプレイ装置。
【請求項60】
前記第1のコンプライアント部材は、対応する弓形の曲がりを有する第1のビームを備え、かつ、前記第1の機械的に安定な状態において、前記第2のビームの前記弓形の曲がりは、前記第1のビームの前記弓形の曲がりと実質的に同じであり、前記第2の機械的に安定な状態において、前記第2のビームの前記弓形の曲がりは、前記第1のビームの前記弓形の曲がりと実質的に反対である、請求項59に記載のディスプレイ装置。
【請求項61】
前記第1のコンプライアント部材は、前記シャッタが上で移動させられる表面に前記第1のコンプライアント部材を接続する第1のアンカーに前記シャッタを結合する、請求項49に記載のディスプレイ装置。
【請求項62】
前記第1のコンプライアント部材は、前記表面に前記第1のコンプライアント部材を接続する第2のアンカーに結合され、前記第1のアンカーは、前記第1のコンプライアント部材を、前記表面上の第1の位置に接続し、前記第2のアンカーは、前記第1のコンプライアント部材を、前記表面上の第2の位置に接続する、請求項61に記載のディスプレイ装置。
【請求項63】
前記第1および第2のコンプライアント部材間に配置された少なくとも約1.5の誘電率を有する作動流体を備える、請求項61に記載のディスプレイ装置。
【請求項64】
第1および第2の機械的に安定な状態を有する第2のコンプライアント部材を備え、前記第1および第2の機械的に安定な状態のそれぞれにおいて、前記第2のコンプライアント部材は実質的にまっすぐである、請求項49に記載のディスプレイ装置。
【請求項65】
前記第1のコンプライアント部材は、前記シャッタ上の第1の位置において、前記シャッタに結合され、前記第2のコンプライアント部材は、第2の位置において、前記シャッタに結合される、請求項64に記載のディスプレイ装置。
【請求項66】
前記第2のコンプライアント部材は、前記シャッタが上で移動させられる表面に前記第2のコンプライアント部材を接続するアンカーに結合される、請求項64に記載のディスプレイ装置。
【請求項67】
前記第1および第2のコンプライアント部材は電極であり、前記電極は、前記第1および第2のコンプライアント部材の間に印加される電圧に応じて相互に引き寄せられることにより前記シャッタを移動させる、請求項64に記載のディスプレイ装置。
【請求項68】
第2のコンプライアント部材を備え、前記第1および第2のコンプライアント部材のそれぞれはビームを含み、前記ビームのうちの少なくとも一方は、前記ビームのうちのもう一方に面した平坦な側を有する、請求項49に記載のディスプレイ装置。
【請求項69】
前記シャッタを移動させるステップは、前記シャッタの回転または平行移動を含む、請求項36に記載のディスプレイ装置。
【請求項70】
ディスプレイ装置上で画像を形成する方法であって、
電圧入力に、作動電位を選択的に印加するステップと、
前記作動電位の前記印加に応じて、シャッタを、第1の機械的に安定な位置から第2の機械的に安定な位置まで面内で移動させることにより、画像の前記形成に光が寄与することを許可するステップと、
を含む方法。
【請求項71】
前記シャッタを移動させるステップは、前記シャッタが結合されているコンプライアント部材を変形させるステップを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
シャッタを移動させるステップは、前記シャッタが結合されているコンプライアント部材の湾曲を変えるステップを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記作動電位の前記印加に応じて、2つのコンプライアント部材間に電圧を生成させ、それらのコンプライアント部材を相互に引き寄せるステップを含む、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
ディスプレイ装置であって、
前記ディスプレイ装置上で画像を形成するために、光路内の光と選択的に相互作用するための変調器と、
前記変調器上の第1の位置から、前記変調器が上で支持される表面への支持的接続を提供する第1の機械的支持を提供する、制御可能な第1のアクチュエータと、
前記変調器上の第2の位置から、前記表面への支持的接続を提供する第2の機械的支持と、
を備え、
前記第1のアクチュエータは、前記シャッタを、前記表面に実質的に平行な面内で駆動する、ディスプレイ装置。
【請求項75】
前記変調器は、シャッタを備える、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項76】
前記シャッタは、前記シャッタを光が通過することを許可するための複数のシャッタアパーチャを備える、請求項75に記載のディスプレイ装置。
【請求項77】
前記表面は、アパーチャを画定する、請求項75に記載のディスプレイ装置。
【請求項78】
前記第1および第2の機械的支持は、前記変調器の前記平面から離れた移動を減らすように構成される、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項79】
前記変調器の回転運動を減らすために、前記第1のアクチュエータは、少なくとも2つの位置において前記表面に接続される、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項80】
前記第1のアクチュエータは、前記変調器の前記平面から離れた移動を減らすのに十分に堅い、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項81】
前記第1のアクチュエータと前記変調器との間の前記接続は、前記変調器の前記平面から離れた移動を減らすのに十分に太い、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項82】
前記第1のアクチュエータは、前記変調器の第1の側において前記変調器に結合され、前記第2の機械的支持は、前記変調器の第2の側において前記変調器に結合される、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項83】
前記第1の側は、前記第2の側の実質的に反対側である、請求項82に記載のディスプレイ装置。
【請求項84】
前記第1のアクチュエータは、前記第1の側のほぼ中央に結合され、前記第2の機械的支持は、前記第2の側のほぼ中央に結合される、請求項82に記載のディスプレイ装置。
【請求項85】
前記変調器は、カラーフィルタを備える、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項86】
前記変調器は、3つのカラーフィルタを備える、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項87】
前記第1のアクチュエータは、パッシブマトリクスアレイによって制御される、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項88】
前記第1のアクチュエータは、アクティブマトリクスアレイによって制御される、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項89】
前記第1のアクチュエータおよび前記第2の機械的支持のうちの少なくとも1つは、機械的に双安定である、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項90】
前記第1のアクチュエータおよび前記第2の機械的支持は、幅が約0.5μm〜約5μmである、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項91】
前記第1のアクチュエータは、第1のコンプライアント電極を備える、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項92】
前記第1のアクチュエータは、前記第1のコンプライアント電極を引き寄せることにより前記シャッタを駆動する前記第1のコンプライアント電極に隣接する第2のコンプライアント電極を備える、請求項91に記載のディスプレイ装置。
【請求項93】
前記第1のアクチュエータは、前記第1のコンプライアント電極を、前記変調器と前記表面に接続されたアンカーとのうちの1つに接続するスプリングを備える、請求項91に記載のディスプレイ装置。
【請求項94】
前記第1のコンプライアント電極は、前記第1のコンプライアント部材の全長に沿った第1の位置において、第1の剛性を有し、前記第1のコンプライアント部材の全長に沿った第2の位置において、より大きな剛性を有する、請求項91に記載のディスプレイ装置。
【請求項95】
前記第1および第2のコンプライアント電極が相互に引き寄せられるのに応じて、前記変調器は、第1の位置から第2の位置に移動させられる、請求項92に記載のディスプレイ装置。
【請求項96】
前記変調器と前記表面との間に配置された、少なくとも約1.5の誘電率を有する作動流体を備える、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項97】
前記第1のアクチュエータと、前記第2の機械的支持を含む第2のアクチュエータとは、前記変調器を、少なくとも2つの機械的に安定な位置に駆動する、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項98】
前記第1のアクチュエータと、前記第2の機械的支持を含む第2のアクチュエータとは、前記変調器を、少なくとも3つの機械的に安定な位置に駆動する、請求項74に記載のディスプレイ装置。
【請求項99】
ディスプレイ装置を製造するための方法であって、
光路内の光と選択的に相互作用するための変調器を形成するために、第1の表面をエッチングするステップと、
前記変調器とアンカーとを接続するアクチュエータを、前記第1の表面内でエッチングするステップと、
前記変調器と第2のアンカーとを接続する第2の機械的支持を、第1の表面内でエッチングするステップと、
を含み、
前記アンカーと前記アクチュエータとは、第2の表面上で前記変調器を物理的に支持する第1の機械的支持として働き、前記アクチュエータは、前記第2の表面に実質的に平行な面内で前記シャッタを駆動するように構成され、
前記第2の機械的支持は、前記第2の表面上で前記変調器を物理的に支持し、
前記第1のアンカーと前記第2のアンカーとは、前記第2の表面上の2つの別個の位置に接続される、
方法。
【請求項100】
前記変調器と、アクチュエータと、第2の機械的支持とは、1つのエッチングステップ内で形成される、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記変調器と、アクチュエータと、第2の機械的支持とは、1つの材料層から形成される、請求項99に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−212149(P2012−212149A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−125205(P2012−125205)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【分割の表示】特願2010−206277(P2010−206277)の分割
【原出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(507276092)ピクストロニクス,インコーポレイテッド (35)
【Fターム(参考)】