説明

ディスプレイを備える携帯型フィットネスモニタリングシステム及びその応用

【課題】 携帯型フィットネスモニタリングシステムのディスプレイに、フィットネスレベル及び目標に適切な強度での身体鍛錬運動を可能にする、改善された美観及び機能をもたせる。
【解決手段】 身体アクティビティ中に個人によって支持される心拍数センサ及びディスプレイモジュールを用いて個人にトレーニングフィードバックを提供する方法は、(a)個人についての最高心拍数値を決定するステップ、(b)最高心拍数値のパーセンテージの範囲に対応する心拍数値の範囲として心拍数ゾーンを定義するステップ、(c)心拍数ゾーンに色を割り当てるステップ、(d)身体アクティビティ中に心拍数センサからディスプレイモジュールに心拍数データを無線送信するステップ、及び(e)身体アクティビティ中に心拍数データに応答して、心拍数ゾーンに割り当てられた色をディスプレイモジュール上に個人に対してビジュアル表示するステップを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的にはフィットネスモニタリングシステムに関する。さらに詳しくは、本発明はディスプレイを備える携帯型フィットネスモニタリングシステム及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
身体鍛錬運動は健康なライフスタイル及び個人の福利の維持に重要である。したがって、多くの人が身体鍛錬運動プログラムへの参加を望んでいる。最も成功した身体鍛錬運動プログラムは、個人のフィットネスレベルに合わせられ、1つないしさらに多くの特定のフィットネス目標または身体鍛錬運動目標を達成するように個人を補助することを目的としたプログラムである。個人の目標達成に向かう進捗に関する情報は、個人の身体アクティビティに関係付けられる様々な物理的パラメータ及び/または生理学的パラメータを測定するためのセンサを用いて収集することができる。
【0003】
アマチュア及びプロのアスリートは同様に、それぞれのトレーナーまたはその他のプログラムによって推奨されるような、身体鍛錬運動中に達成される特定の心拍数(すなわち拍動/分)に一層注意を払い始めている。身体鍛錬運動をしている人が精確な心拍数を確立することは肝要ではない場合もあるかもしれないが、人は特定のフィットネス目標を達成するために身体アクティビティを通して所望の範囲内に心拍数を維持したいと望むことができる。テクノロジーにより、人の心拍数を検出することができ、それを表示する様々な出力を提供できる、携帯型心拍数モニタが開発されている。
【0004】
その人の現時点でのフィットネスレベル及び目標に適切な強度での身体鍛錬運動を可能にする、改善された美観及び機能をもつディスプレイを有する新規な携帯型フィットネスモニタリングシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、フィットネスレベル及び目標に適切な強度での身体鍛錬運動を可能にする、改善された美観及び機能をもつディスプレイを有する新規な携帯型フィットネスモニタリングシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、人にトレーニングフィードバックを身体アクティビティ中にその人に支持される心拍数センサ及びディスプレイモジュールを用いて提供する方法に関し、本方法は、(a)その人についての最高心拍数値を決定するステップ、(b)対最高心拍数値%の範囲に対応する心拍数値範囲として心拍数ゾーンを定義するステップ、(c)心拍数ゾーンに色を割り当てるステップ、(d)身体アクティビティ中に心拍数センサからディスプレイモジュールに心拍数データを無線送信するステップ、及び(e)心拍数データに応答して、身体アクティビティ中にディスプレイモジュール上で心拍数ゾーンに割り当てられた色をその人にビジュアル表示するステップを含む。
【0007】
本発明の実施形態は、携帯型フィットネスデバイス及びフィットネスデバイスと通信するセンサを用いて人にトレーニングフィードバックを提供する方法にも関し、本方法は、(a)パフォーマンスパラメータ値の範囲を定めるステップ、(b)身体アクティビティ中にセンサからフィットネスデバイスにパフォーマンスデータを無線送信するステップ、(c)身体アクティビティに関する人からのフィードバックを要求するステップ、及び(d)人から受け取ったフィードバックに基づいてパフォーマンスパラメータ値の範囲を選択的に調節するステップを含む。
【0008】
本発明の実施形態はさらに、携帯型フィットネスデバイス、携帯型フィットネスデバイスと通信するセンサ及びコンピュータを備えるフィットネスモニタリングシステムを用いて人にトレーニングフィードバックを提供する方法に関し、本方法は、(a)それぞれがそれぞれの範囲の心拍数値を含む複数のパフォーマンスゾーンを定めるステップ、(b)身体アクティビティ中にセンサから携帯型フィットネスデバイスに心拍数データを無線送信するステップ、(c)コンピュータを介して身体アクティビティに関する人からのフィードバックを要求するステップ、及び(d)人からのフィードバックに基づいてパフォーマンスゾーンの少なくとも1つの心拍数値範囲を調節するステップを含む。
【0009】
本発明の実施形態は、身体アクティビティ中に人のパフォーマンスパラメータをモニタするための携帯型フィットネスモニタリングシステムにも関し、本システムは、着用品、すなわち人の身体に着脱可能な態様で留め付けることができる物品、及びパフォーマンスパラメータを示すビジュアル出力を表示するためのディスプレイモジュールを備え、ディスプレイモジュールは、ディスプレイモジュールからのビジュアル出力が着用品を通して見えるように、着脱可能な態様で着用品に固定される。
【0010】
本発明のさらなる実施形態、特徴及び利点は、また本発明の様々な実施形態の構造及び動作も、添付図面を参照して以下で詳細に説明される。
【0011】
本明細書に組み入れられて本明細書の一部をなす添付図面は、限定としてではなく例として、記述とともに本発明を説明し、さらに、本発明の原理を説明するに役立ち、当業者による本発明の利用を可能にするに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の一実施形態にしたがう携帯型フィットネスモニタリングシステムを使用しているアスリートの説明図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態にしたがう、アスリートの手首に取り付けられたストラップの説明図である。
【図3A】図3Aは本発明の一実施形態にしたがうストラップの前方斜視図である。
【図3B】図3Bは本発明の一実施形態にしたがうストラップの後方斜視図である。
【図4A】図4Aは本発明の一実施形態にしたがうディスプレイモジュールの正面図である。
【図4B】図4Bは本発明の一実施形態にしたがうディスプレイモジュールの背面図である。
【図5A】図5Aは本発明の一実施形態にしたがうディスプレイモジュールの一部の上方斜視図である。
【図5B】図5Bは本発明の一実施形態にしたがうディスプレイモジュールの一部の側面図である。
【図6A】図6Aは本発明の一実施形態にしたがうディスプレイモジュールの正面図である。
【図6B】図6Bは、本発明の一実施形態にしたがう、図6Aの断面A−Aでとられた図6Aのディスプレイモジュールの前断面図である。
【図7】図7は本発明の一実施形態にしたがうディスプレイモジュール及びストラップの説明図である。
【図8】図8は、本発明の一実施形態にしたがう、組み合わせられたディスプレイモジュールとストラップの概略図である。
【図9】図9は本発明の一実施形態にしたがうディスプレイモジュールのコンポーネントのブロック図である。
【図10】図10は、本発明の一実施形態にしたがう、コンピュータ及び/またはサーバと対話しているディスプレイモジュールの説明図である。
【図11】図11は本発明の一実施形態にしたがう心拍数ゾーン範囲を示す表である。
【図12A】図12Aは、本発明の一実施形態にしたがう、組み合わせられたディスプレイモジュールとストラップの説明図である。
【図12B】図12Bは、本発明の一実施形態にしたがう、組み合わせられたディスプレイモジュールとストラップの説明図である。
【図13】図13は本発明の一実施形態にしたがうユーザインターフェースの説明図である。
【図14】図14は本発明の一実施形態にしたがう心拍数ゾーン調節を説明するフローチャートである。
【図15A】図15Aは本発明の一実施形態にしたがうシャツの説明図である。
【図15B】図15Bは本発明の一実施形態にしたがうシューズの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面に示されるような本発明の実施形態を参照して、本発明をここで詳細に説明する。「一実施形態」、「ある実施形態」、「例示的実施形態」、等への言及は、説明される実施形態は特定の特徴、構造または特性を有し得るが、全ての実施形態がその特定の特徴、構造またはその特性を有する必要はないであろうことを示す。さらに、そのような語句が同じ実施形態を指す必要はない。さらに、特定の特徴、構造または特性がある実施形態に関連して説明される場合、明示的に説明されるか否かにかかわらず、他の実施形態との関連においてそのような特徴、構造または特性が認められるか否かは当業者の知識の範囲にゆだねられる。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態にしたがう携帯型フィットネスモニタリングシステム100を使用している、アスリート102の概念図である。フィットネスモニタリングシステム100はアスリート102にパフォーマンスフィードバックを提供するために用いることができる。一実施形態において、パフォーマンスフィードバックは、アスリート102の身体アクティビティに関連付けられる1つないしさらに多くのパフォーマンスパラメータに基づいて1つないしさらに多くのパフォーマンスゾーンの指標をアスリートに表示することで提供することができる。
【0015】
図1に示されるように、一実施形態において、モニタリングシステム100は、着用品110,ディスプレイモジュール140及びセンサ180を備える。着用品102はアスリート102の身体に着脱可能な態様で確実に留め付けることができ、ディスプレイモジュール140は着用品110に着脱可能な態様で固定することができる。ディスプレイモジュール140とセンサ180は無線通信ネットワークを通じて通信することができる。一実施形態において、ディスプレイモジュール140とセンサ180は低電力無線通信プロトコルを用いて通信することができ、無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)の一環をなすことができる。例えば、モニタリングシステム100のコンポーネントは以下のプロトコル、Dynastream InnovationsによるANT及びANT+Sport,ブルートゥース低エネルギー技術,Zigbee,SimplicityまたはBlueRobinの内の1つないしさらに多くを用いるネットワークを通じて通信することができる。フィットネスモニタリングシステムに適するその他の既知の通信プロトコルも用いることができる。
【0016】
ランニング中にアスリート102によって用いられている携帯型フィットネスモニタリングシステム100が図示される。ランナーによって用いられるだけでなく、モニタリングシステム100は、ウォーキング、自転車走、スケート、スキー、エアロビクス、ウエイトリフティング、または様々な個人スポーツまたはチームスポーツへの参加を含むがこれらには限定されない、様々な身体アクティビティを遂行している人によって用いられ得る。したがって、例えば、「アスリート」、「ランナー」、「身体鍛錬運動者」及び「ユーザ」のような語句は、本明細書において互換で用いられ得る。
【0017】
センサ180はアスリート102の身体アクティビティに関連付けられる1つないしさらに多くのパフォーマンスパラメータを測定し、パフォーマンスパラメータに関するデータをディスプレイモジュール140に送る。語句「パフォーマンスパラメータ」はアスリート102の身体アクティビティに関連付けられる物理的パラメータ及び/または生理学的パラメータを含むことができる。測定される物理的パラメータには、例えば、時間、距離、速度、ペース、ペダルを踏む回数、車輪回転数、歩数、歩幅、歩度、標高、歪及び/または衝撃力を含めることができるが、これらには限定されない。測定される生理学的パラメータには、例えば、心拍数、心拍数変動、血中酸素レベル、血流量、水分補給レベル、呼吸数、消費カロリー及び/または体温を含めることができるが、これらには限定されない。センサ180は一般にWPAN送信器としてはたらく。
【0018】
図1に示されるセンサ180は心拍数センサ182である。心拍数センサ182はアスリート102の心拍数を測定するために用いることができる。一実施形態において、心拍数センサ182はアスリート102が着る衣類に、一体化させて固定させた態様で組み込むかまたは着脱可能な態様で取り付けることができる。別の態様において、心拍数センサ182はアスリート102が着ける胸部ストラップ184に、一体化させて固定した態様で組み込まれるかまたは着脱可能な態様で取り付けることができる。
【0019】
ここでの説明は主としてセンサ180が心拍数センサ182である実施形態に向けられるが、当業者であれば、加速度計、歩数計、脈拍計、温度計、高度計、圧力センサ、歪ゲージ、自転車パワーメータ、自転車のクランクまたは車輪の位置センサまたはユーザのパフォーマンスパラメータを検出するためのその他のセンサを含むがこれらには限定されない、様々なパフォーマンスパラメータセンサ180が、心拍数センサ182の代わりに、または心拍数センサ182とともに、用いられ得ることを容易に認めるであろう。
【0020】
本発明の一実施形態において、ディスプレオモジュール140はWPAN受信器としてはたらくことができる。ディスプレイモジュール140は、心拍数182のような、携帯型フィットネスモニタリングシステム100に他のコンポーネントからデータを受信することができ、アスリート102にパフォーマンスフィードバックを提供することができる。一実施形態において、フィードバックはディスプレイを用いてアスリート102に提供される。以下でさらに詳細に説明されるように、フィードバックは1つないしさらに多くの、視覚手段、聴覚手段及び/または皮膚感覚手段を介して提供され得る。一実施形態において、ディスプレイモジュール140は送信機としてもはたらき、モニタリングシステム100内外の別のコンポーネントにデータ及び情報を送信する。
【0021】
着用品110は着脱可能な態様でアスリート102の身体に確実に留め付けることができ、ディスプレイモジュール140は着脱可能な態様で着用品110に固定することができる。別の実施形態において、ディスプレイモジュール140は着用品110に永続的に固定するか、または着用品110と一体形成することができる。図1及び2を参照すれば、着用品110はアスリート102の手首104に着脱可能な態様で確実に留め付けられたストラップ112として示されている。本発明の別の実施形態において、着用品110には、例えば、バンド、手袋、帽子、ジャケット、シャツ、スラックス、スポーツブラ、履物、アイウエア、指輪または、アスリート102が着用できる、その他いずれかの物品を含めることができるが、これらには限定されない。いくつかの実施形態において、着用品110はセンサ180が組み込まれている衣類とすることができる。いくつかの実施形態において、ディスプレイモジュール140,着用品110及びセンサ180は、全てを一体に結合させることができる。他の実施形態において、ディスプレイモジュール140,着用品110及びセンサ180は物理的に分離している、個別コンポーネントとすることができる。
【0022】
一実施形態において、物理的に分離している、個別の、ディスプレイモジュール140,着用品110及びセンサ180は、着脱可能な態様で連結し、相互に有線通信することができる。例えば、着用品はジャケットまたはその他の上着とすることができ、1本またはさらに多くのワイアが、ジャケットの少なくとも1つの層に固定されるか、組み込まれるか、及び/または層を通過することができる。1本またはさらに多くのワイアは、ジャケットの、アスリート102が手を入れることができる部分にあるコネクタポートで終端することができる。アスリートは次いでディスプレイモジュール140及びセンサ180をコネクタポートに接続することができ、よってディスプレイモジュール140,着用品110及びセンサ180の間の有線通信を可能にすることができる。
【0023】
別の実施形態において、着用品110は、例えば、アスリート102の前腕、指、頭、胸、腰または脚のような、アスリートの身体上のどこか他の場所に確実に留め付けることができる。着用品110の、着用品110が確実に留め付けられるユーザ102の身体部分に近い側の部分は、本明細書において「内側」部分132と称され、着用品110の、着用品110が確実に留め付けられるユーザ102の身体部分から遠い側の部分は、本明細書において「外側」部分134と称される。
【0024】
図3A及び3Bは、本発明の一実施形態にしたがう、ストラップ112の形態の着用品110の説明図である。ストラップ112は身体鍛錬運動者102の手首104に着脱可能な態様で確実に留め付けられるように適合される。ストラップ112はユーザ102の手首104の周囲に合わせるために可撓性とすることができ、第1の端部と第2の端部の間の中央部分を有することができる。一実施形態において、ストラップ112は、例えば、ポリウレタンのような、可撓性高分子材料から成形することができる。ゴム、プラスチック、TPU(熱可塑性ウレタン樹脂)、布、革、PU(ポリウレタン)、シリコーン樹脂、金属、及び/またはその他の適する可撓性材料を含むがこれらには限定されない、その他の材料を用いることができる。一実施形態において、ストラップ112は射出成形することができる。可撓性ストラップ112は、例えば、相互に連結されてメッシュ状ストラップを形成する複数の小さな金属リングまたは金属片のような、不撓性材料で形成することができる。腕時計に普通に用いられている一連の相互連結された部材からなるストラップのような在来の金属ストラップも用いることができる。その他の適する製造手法を用いることができる。
【0025】
ストラップ112は、ストラップ112を手首104の周りに着脱可能な態様で確実に留め付けるための締結手段114を有することができる。一実施形態において、締結手段114は、ストラップ112を手首104の周りに確実に留め付けるための1つないしさらに多くの雄型コンポーネント及び雌型コンポーネントを有することができる。締結具114のコンポーネントは射出成形でストラップ112と一体成形することができ、あるいは別個のコンポーネントとすることができる。ストラップ112を手首104の様々なサイズに適合させ得るように、ストラップ112の長さに沿って複数の雌型コンポーネントを設けることができる。1つないしさらに多くの雌型コンポーネントと嵌合するように、1つないしさらに多くの雄型コンポーネントを設けることができる。ストラップ112はさらに、ストラップ112の重なり合う第1の端部と第2の端部を比較的平行な配置に保つためのリッジ116を有することができる。ストラップ112の内側面132は、ストラップ112の内側面132とアスリート102の手首104の間の相対運動を抑えるための丸い窪み及び/または突起118あるいはその他の表面構造を有することができる。
【0026】
手首104の周囲にストラップ112を着脱可能な態様で確実に留め付けるために、フック/ループファスナー(例:ベルクロ(登録商標))、スナップ、ボタン、バックル、磁石またはその他の適する手段を含むがこれらには限定されない、その他の締結手段114を用いることができる。一般的に言って、着用者の手首に腕時計を確実に留め付けるために普通に用いられる手段を含むがこれには限定されない、既知のいずれの締結手段も用いることができる。一実施形態において、ストラップ112は締結手段114を有していないこともある。この実施形態において、ストラップ112は、手首104の周りに締結手段を用いずにストラップ112を着脱可能な態様で確実に留め付けることができるような、適する弾性材料でつくることができる。別の実施形態において、ストラップ112は、第1及び第2の端部のない、継目なしループとすることができる。継目なしループストラップ112は、ストラップ112を拡げてアスリート102の手を通し、その後縮めてアスリート102の手首104の周囲に着脱可能な態様で確実に留め付けておくことができるような、適する弾性材料でつくることができる。
【0027】
ストラップ112は、ディスプレイモジュール140をストラップ112に着脱可能な態様で固定することができるように、構成することができる。図3Bに示されるように、ストラップ112には空洞122を定めることができる。空洞122にディスプレイモジュール140を固定することができる。空洞122は開口124を有することができる。開口124は、開口124を通して空洞122にディスプレイモジュールを挿入できるに十分に大きくすることができる。一実施形態において、開口124はストラップ112の内側面132に配することができる。別の実施形態において、開口124はストラップの外側面134またはストラップの側面に配することができる。一実施形態において、異なる様々な入口からディスプレイモジュール140をストラップ112に挿入できるように、複数の開口を設けることができる。
【0028】
ディスプレイモジュール140は、スナップ、クリップ、磁石、または粘着剤を含むがこれらには限定されない、技術上既知のいずれかの手段によってストラップ112の空洞122内に着脱可能な態様で固定することができる。一実施形態において、ディスプレイモジュール140は摩擦によって空洞112内に確実に固定することができる。ストラップ112が、ある種の射出成形高分子材料のような、十分に可撓性の材料でつくられている場合、ストラップの空洞112は、スナップ、クリップ、磁石、粘着剤、等を用いずにディスプレイモジュール140を着脱可能な態様で固定することができるであろう。ディスプレイ140を着脱可能な態様で固定できる空洞122の能力は、必要に応じて、空洞122の内部表面をディスプレイモジュール140の対応する外部表面に合う形状にすることにより、ストラップ112の空洞122を弾性変形できる弾力のある材料で作成することにより、及び/または図3Bに示されるように開口124の周縁にリップ126を設けることにより、強化することができる。
【0029】
一実施形態において、ディスプレイモジュール140はストラップ112を通して見えるビジュアル出力を提供するように適合される。ビジュアル出力はストタップ112の空洞112を囲む領域を通して見ることができる。一実施形態において、図3A及び3Bに示されるように、ストラップ112の外側面134は窓128を有することができる。外側面134の窓128及びその他の領域は一様な表面を呈することができる。本明細書で用いられるように、「一様な」はストラップ112の窓128及び外側面134が実質的に全体にわたって実質的に一貫した特徴を有することを意味する。例えば、図2及び3Aに示される実施形態において、窓128を含む外側面134は外側面134の実質的に全体にわたって、視覚的に一貫した特徴及び表面構造上一貫した特徴を有する。
【0030】
一実施形態において、窓128の少なくとも一部分はストラップ112の他の部分から分離され得るであろう。例えば、窓128はその全体がストラップ112から取り外され得るか、あるいは窓128はストラップ112に固定態様で取り付けることができるが、巻き上げるか、折り返すか、滑らせるか、または何か別の形で窓128の下の空洞122を露出させることによって「開ける」ことができるであろう。
【0031】
一実施形態において、図3Aに示されるように、窓128をストラップ112から分離できない場合、ストラップ112の外側面134の窓128は窪み120を有することができる。以下でさらに詳細に説明されるように、窪み120は窓128の、入力コントロールを作動させるためにユーザ102が触れるか、押すかまたは別の形で作用することができる、領域を示すことができる。一実施形態において、窪み120は、外側面134の美観的に一様な様相を壊さないように、比較的滑らかで浅い。
【0032】
一実施形態において、外側面134及び窓を含む、ストラップ112の全てまたは実質的な部分は、単一の、一体形成された材料片からつくられる。この単一材料片は、上で論じたように、ポリウレタンまたはその他の適する材料のような、可撓性高分子材料とすることができる。
【0033】
ディスプレイモジュール140はビジュアル出力を提供するためのディスプレイを有することができる。一実施形態において、ビジュアル出力は心拍数センサ182から受け取られる心拍数データに応答することができる。ディスプレイは、以下でさらに詳細に説明されるように、様々なタイプの情報を表示できるかまたは同じ情報を様々な形で表示できる、複数の分割ディスプレイを有することができる。
【0034】
本発明の一実施形態において、ディスプレイモジュール140は、オーディオ出力及びその他の皮膚感覚出力を含むがこれらには限定されない、非ビジュアル出力を提供するように適合させることができる。例えば、ディスプレイモジュール140はアスリート102にオーディオ出力を提供するためのスピーカーを有することができる。ディスプレイモジュール140はアスリート102に皮膚感覚出力を提供するための、例えば圧電アクチュエータのような、モジュール140を振動させるための手段を有することができる。
【0035】
本発明の一実施形態において、図4A及び4Bに示されるように、ディスプレイモジュール140は前面144及び背面146を有する筐体を含むポッドとすることができる。本明細書で用いられるように、「前面」はディスプレイモジュール140の、着用品110(すなわちストラップ112)が確実に留め付けられているユーザ102の身体部分から遠い側の表面を指し、「背面」はディスプレイモジュール140の、着用品110(すなわちストラップ112)が確実に留め付けられているユーザ102の身体部分に近い側の表面を指す。一実施形態において、ディスプレイモジュール140の(前面144及び背面146を有する)筐体は、例えば、TPU、ナイロン、ガラス充填ナイロンまたはポリカーボネートのような、プラスチックでつくることができる。ディスプレイモジュールに適するその他の材料を用いることができる。
【0036】
図5A及び5Bに示されるように、ディスプレイモジュール140は、当業者には当然であろうように、デバイスに必要な電気コンポーネントを支持するための回路基板168を有することができる。回路基板168はビジュアルディスプレイ手段を有することができる。一実施形態において、ビジュアルディスプレイ手段には第1のディスプレイ148及び第2のディスプレイ150がある。第1のディスプレイ148は英数字情報を表示することができ、第2のディスプレイ150は、発光ダイオード(LED)のような、1つないしさらに多くの発光源の色及び/または点滅速度に基づいて情報を表示することができるであろう。第1のディスプレイ148及び第2のディスプレイ150を備える回路基板168は、ディスプレイモジュール140の筐体内の前面144と背面146の間に収めることができる。一実施形態において、第1のディスプレイ148及び第2のディスプレイ150のような、ビジュアルディスプレイ手段は回路基板以外の別の面で支持することができる。
【0037】
ディスプレイモジュール140は、デバイスを手動で操作するために、例えば、ボタン、ダイアル、タッチセンサまたはスイッチのような、1つないしさらに多くの入力コントロール160を備えることができる。一実施形態において、入力コントロールは音声操作コントロールとすることができる。入力コントロール160は、例えばビジュアル出力の少なくとも1つの特性に影響を与えるために用いることができる。一実施形態において、図4Bに示されるように、入力コントロール160はディスプレイモジュール140の背面146上に配された背面ボタン161とすることができる。背面ボタン161は、背面ボタン161が背面146と同一面になり、よって背面ボタン146が他の表面、例えばユーザ102の手首104、に接触したときの不本意な操作から防護されるように、裏面146に形成されたリセス170に設けることができる。
【0038】
一実施形態において、図5A、5B及び6Bに示されるように、入力コントロール160は回路基板168に結合された前面ボタン162とすることができる。前面ボタン162はディスプレイモジュールの前面144に形成された開口172に合わせることができる。図4A、6A及び6Bに示されるように、前面ボタン162を覆う可撓性ケーシング154が開口172にかかることができる。したがって、ユーザ102は可撓性ケーシング154を押し込んで前面ボタン162を作動させることができる。一実施形態において、可撓性ケーシング154は可撓性高分子材料でつくられる。別の実施形態においては、開口172及びケーシング154が存在せず、前面144は、押し込まれると前面ボタン162を作動させ得るに十分に、可撓性の連続面である。
【0039】
図5A及び5Bに示されるように、回路基板168は第1のディスプレイ148を有することができる。第1のディスプレイ148は文字及び数字のいずれも表示できる英数字ディスプレイとすることができる。一実施形態において、第1のディスプレイ148は、米国カリフォルニア州サンノゼ(San Jose)のAvago Technologies社から販売されているような、フレキシブルLED基板を有する。本発明の一実施形態において、第1のディスプレイ148は1つないしさらに多くの7セグメントディスプレイを有することができる。本発明の別の実施形態において、第1のディスプレイ148は1つないしさらに多くのドットマトリックスディスプレイを有することができる。第1のディスプレイ148は、LED、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)または、技術上既知の、その他いずれかの光発生技術または光制御技術を利用することができる。
【0040】
第1のディスプレイ148はディスプレイモジュール140の筐体の前面144の直下に配置することができる。図6Aに示されるように、前面144が十分に半透明または透明であれば、第1のディスプレイ148が作動されたときに、目に見える光が放射されて前面144を透過することができる。
【0041】
第1のディスプレイ148はセンサ180から受け取られるパフォーマンスパラメータデータに基づいて数値を表示するように適合される。一実施形態において、第1のディスプレイ148は心拍数センサ182から受け取られる心拍数データに基づいて心拍数値を表示することができる。別の実施形態において、第1のディスプレイ148は、時間、距離、速度、ペース、ペダルを踏む回数、車輪回転数、歩数、歩幅、歩度、標高、歪、衝撃力、呼吸数、消費カロリー及び/または体温を含むがこれらには限定されない、他のユーザパフォーマンスパラメータに関連付けられる値を表示することができる。
【0042】
図5A,5B及び6Bに示されるように、回路基板168は第2のディスプレイ150を有することができる。第2のディスプレイ150は、1つないしさらに多くの単色LEDまたは多色LEDのような、1つないしさらに多くの発光源の色及び/または点滅速度に基づいて情報を表示することができるであろう。第2のディスプレイはケーシング154を有することもできる。一実施形態において、図4A、6A及び6Bに示されるように、発光源上のケーシング154は、以下でさらに詳細に説明されるように、前面ボタン162(またはその他いずれかの入力コントロール160)を覆って開口172にかかり、よってユーザがケーシング154を押し込んで前面ボタン162を作動させ得るケーシング154と同じケーシング154とすることができる。前面144が連続であり、十分に可撓性である実施形態においては、上述したように、代わりに前面144を押し込むことができる。
【0043】
第2のディスプレイはケーシング154の下に収められた1つないしさらに多くの単色LEDまたは多色LEDを有することができる。LEDの半導体ダイオードに順方向バイアスが印加される(すなわち作動される)と、LEDによって可視光が発せられ、ケーシング154を透過することができる。一実施形態において、ケーシング154は透明である。別の実施形態において、ケーシング154は半透明である。ケーシング154は、1つないしさらに多くのLEDからの光は通過できるが、前面ボタン162及び/または第2のディスプレイ150自体の物理的コンポーネントはケーシング154を通して見えないような、半透明性をもつことができる。1つないしさらに多くのLEDから発せられる光の色は半導体のエネルギーギャップによって定まる。LEDを発光及び消光させる方法並びに単色LED及び/または多色LEDから異なる色を生じさせる方法は技術上周知であり、本明細書でさらに詳細に説明することはない。一実施形態において、1つないしさらに多くのLEDは底面発光LEDである。
【0044】
本発明の一実施形態において、前面ボタン162を覆って開口172にかかるケーシング154は、ユーザが押し込んで前面ボタン162を作動させることができる。ユーザ102は、例えば、ケーシング154をディスプレイモジュール140の背面146の方向に物理的に押し下げることによって前面ボタン162を作動させることができる。別の実施形態において、ケーシング154及び導電性入力コントロール160が、容量センサ、タッチセンサ及び/または近接センサとして機能することができるであろう。この実施形態において、ユーザ102は単に指でケーシング154に触れることで入力コントロールを作動できるであろう。容量スイッチの機能は当業者に周知である。図8は、一実施形態において、ケーシング154を介して(前面ボタン162であってもなくても差し支えない)入力コントロール160を作動させているアスリート102を示す。
【0045】
第2のディスプレイ150は、センサ180から受け取られるデータを含むパフォーマンスパラメータデータに基づく、LEDのような、1つないしさらに多くの発光源の色及び/または点滅速度に基づいて情報を表示することができるであろう。一実施形態において、第2のディスプレイ150の発光源は心拍数センサ182から受け取られる心拍数データに基づく速度で点滅することができる。別の実施形態において、第2のディスプレイ150の発光源は着色光を発することができ、光の色は心拍数センサ182から受け取られる心拍数データに応じる。ユーザ102は第2のディスプレイ150のケーシング154をディスプレイモジュール140の背面146の方向に物理的に押し下げることにより前面ボタン162を作動させることができる。この態様において、ユーザ102は、ディスプレイモジュール140の前面144の、その下に第2のディスプレイ150及び前面ボタン152が配されている、領域に圧力を印加することによってディスプレイ148及び/または150の一方または両方を作動させ、及び/または操作するという、ユニークな経験を有することができる。
【0046】
図7を参照すれば、本発明の一実施形態において、ディスプレイモジュール140を使用に先立ってストラップ112の空洞122に挿入することができる。図7に示されるように、一例示実施形態において、ストラップ112がアスリート102の手首104から外されている間に、アスリート102は初めに空洞122の開口124に近づけてディスプレイモジュール140をおく。空洞122の開口124はストラップ112の内側面132にあり、ディスプレイモジュール140はディスプレイモジュールの前面144が開口124に面するように配置される。次に、アスリートはディスプレイモジュール140が空洞122の内部に押し込まれるようにディスプレイモジュール140及びストラップ112を操作し、そこでディスプレイモジュール140は着脱可能な態様で所定の位置に保持される。アスリートがストラップ112からディスプレイモジュール140を取り外したければ、アスリートはディスプレイモジュール140−ストラップ112組合せ構造を同様に操作することができる。操作には、ディスプレイモジュール140とストラップ112がアスリート102の所望にしたがって着脱可能な態様で組み合わされるかまたは物理的に分離されるように、ディスプレイモジュール140とストラップ112をアスリートの手で、引っ張るか、押すかまたは何か別の形で力を加えることが関わるであろう。
【0047】
一実施形態において、ディスプレイモジュール140の外形及びストラップ112の空洞122は、これらの要素がそれぞれの表面の間に隙間をほとんどまたは全くつくらずに結合できるように、相補的な輪郭につくられる。別の実施形態において、ストラップ112の空洞122,開口124,リップ126及び窓128の領域は、ディスプレイモジュール140の脱着に役立つように、弾性変形する材料でつくられる。また別の実施形態においては、ディスプレイモジュール140自体が、空洞122への出入りに役立つように、弾性変形できる要素を有する。
【0048】
ディスプレイモジュール140とストラップ112が組み合わされると、ストラップ112の窓128は、開口172及びケーシング154を含む、ディスプレイモジュール140の前面144全体に重なることができる。あるいは、窓128は前面144の、下にある第1のディスプレイ148及び第2のディスプレイ150に直近の領域の一方または双方だけに重なることができる。
【0049】
図8にさらに示されるように、窪み120はディスプレイモジュール140の前面144の開口172にかかるケーシング154の直上にあって、ケーシング154と合わせられ得る。すなわち、窪み120は前面ボタン162とも合わせられ得る。したがって、ユーザ102は、第2のディスプレイ150及び前面ボタン152がその下に配されているであろうディスプレイモジュール140のケーシング154に力を伝える窪み120に圧力を印加することによって、ディスプレイモジュール148及び150の一方または双方を作動させ、及び/または操作することができる。作動及び/または操作は圧力が前面ボタン152に伝えられて前面ボタン152に受けられたときに行われ得る。
【0050】
図8の実施形態に示されるように、ディスプレイモジュール140がストラップ112に挿入されてしまうと、ディスプレイモジュールはストラップ112の窓128を通して見えるビジュアル出力を提供することができる。ディスプレイ148及び150によって提供される光は、ディスプレイ148及び150を作動させたときには必ず、窓128を形成するために用いられた材料の特性に依存して、窓を通して見て取ることができ、アスリートには窓を通して、開口172及びケーシング154を含む、ディスプレイモジュール140の前面144の全てまたはいくらかが見えるか、あるいは前面144は全く見えない。
【0051】
一実施形態において、開口172及びケーシング154を含む、ディスプレイモジュール140の前面144はストラップ112の窓128を通して見ることはできないであろう。この実施形態において、窓128は半透明の表面を有することができる。ディスプレイ148及び150が停止状態にあるとき、開口172及びケーシング154を含む、ディスプレイモジュール140の前面144は、比較的僅かな光しか通過させ得ない半透明の表面で窓128が開口172及びケーシング154を覆い隠すため、窓128を通して見ることはできないであろう。ディスプレイ148及び150が作動状態にあるとき、作動しているディスプレイ148及び150から発せられる光は半透明の窓128を通して見えるであろうが、開口172及びケーシング154を含む、ディスプレイモジュール140の前面144は見えないであろう。
【0052】
別の実施形態において、開口172及びケーシング154を含む、ディスプレイモジュール140の前面144はストラップの窓128を通して常に見ることができる。ディスプレイ148及び150が非作動状態にあるかまたは作動状態にあるかにかかわらず、開口172及びケーシング154を含む、ディスプレイモジュール140の前面144は、窓128が開口172及びケーシング154に重なっているが、窓は透明材料または外部環境からの周囲光を含む比較的大量の光を通過させ得る半透明材料でつくることができるから、窓を通して見えるであろう。
【0053】
別の実施形態において、窓128は光透過特性が異なるいくつかの領域を有することができる。例えば、第1のディスプレイ148及び第2のディスプレイ150を有するディスプレイモジュール140と組み合わせられるときに、窓128は、下にある第1のディスプレイ148及び第2のディスプレイ150の直近の前面144の領域の一方または双方だけを覆い隠す半透明領域を有することができるであろう。
【0054】
一実施形態において、上述したように、窓128の少なくとも一部分をストラップ112の他の部分から分離することができるであろう。例えば、窓128はストラップ112から全体を取り外すことができ、あるいは窓128はストラップ112に固定態様で取り付けることができるが、巻き上げるか、折り返すか、滑らせるか、または何か別の形で窓128の下の空洞122を露出させることによって「開ける」ことができるであろう。窓128でつくられるいずれの開口も、下にある第1のディスプレイ148及び第2のディスプレイ150の直近の前面144の領域の一方または双方と合わせることができる。一実施形態において、窓128は存在せず、少なくともディスプレイモジュール140の前面144が露出する。
【0055】
窓128を含む、ストラップ112の全て、実質的に全てまたは一部分は、単一の可撓性材料でつくることができる。一実施形態において、ストラップ112はその長さのほとんどに沿って全体的に不透明に見えるが、ストラップ112の窓128は、ディスプレイ148及び150の一方または双方が作動状態にあるときにディスプレイ148及び150からの光のいくらかが見えるに十分に薄い、薄化領域とすることができる。
【0056】
一実施形態において、ストラップ112及びディスプレイモジュール140は個別コンポーネントであるから、ユーザはディスプレイモジュール140を交換する必要なしに複数のストラップ112を交換することができる。ユーザ112はストラップ112を、ディスプレイモジュール140を変えずに、例えば、大きさ、形、色またはデザインが異なるストラップ112と交換することができる。例えば、ユーザは、ユーザが着ているユニフォームまたは衣装とカラーコーディネートするために、ストラップ112を交換することができる。ストラップ112はユーザ102の贔屓のチームの色またはロゴを表示するように適合させることもできる。この態様において、ストラップ112はファッション用品として販売することができる。
【0057】
また別の実施形態において、着用品110は、ディスプレイモジュール140を受け入れるための空洞122を有する中央ユニット及び中央ユニットに着脱可能な態様で取り付けられるいくつかの周辺ユニットで構成することができる。例えば、ストラップ112は、ディスプレイモジュール140を受け入れるための空洞122を有する中央ユニット及び中央ユニットに着脱可能な態様で取り付けられる第1及び第2のアームを有することができる。第1及び第2のアームは、相互に連結し、よって中央ユニットに連結されたときに完全なストラップを形成するための、上でさらに詳細に説明したような、締結手段114をそれぞれの端部に有することができる。この実施形態において、ユーザ102は、ディスプレイモジュール140を交換する必要なしに、複数の、第1のアーム、第2のアーム及び中央ユニットを交換することができる。すなわち、上述したように、ユーザ102は、ディスプレイモジュール140を交換する必要なしに、例えば、寸法、形、色またはデザインが異なる複数の部品を交換することができ、よって部品を組み合わせてカスタム化できるファッション用品とすることが可能になる。
【0058】
一実施形態において、ストラップ112を通して送られるディスプレイモジュール140のビジュアル出力は心拍数センサ182から受け取られる心拍数データに応答する。一実施形態において、第1のディスプレイ148は心拍数センサ182から受け取られる心拍数データに基づいて心拍数値を表示でき、第2のディスプレイ150は1つないしさらに多くのLEDの色及び/または点滅速度に基づいて心拍数データを表示することができるであろう。
【0059】
心拍数センサ182は、例えば、Garmin社, Suunto社またはOregon Scientific社から販売されている心拍数検知デバイスのような、多くの既知の心拍数検知デバイスのいずれかとすることができる。心拍数センサ182はアスリート102から心拍数データを検出する。一実施形態において、心拍数センサ182はアスリート102が着ける胸部ストラップ184に一体組込とするか、または胸部ストラップ184に着脱可能な態様で取り付けることができる。心拍数センサ182はディスプレイモジュール140に心拍数データを無線送信することができ、ディスプレイモジュール140において心拍数データは心拍数受信器166に受け取られる。
【0060】
一実施形態において、心拍数センサは検出された心臓イベント(例:拍動)毎に1つの電波パルスを無線送信する。別の実施形態において、心拍数センサ182は、ユーザ102のディスプレイモジュール140による、ユーザ102に割り当てられていない、近隣にある、別の心拍数センサ182からのデータ受信を防止する、一意的にコード化されたデータ信号を無線送信する。送信はリアルタイムで、あらかじめ定められた定期的間隔で、オンデマンドで、または身体アクティビティ完了後に、行うことができる。
【0061】
本発明の一実施形態において、ディスプレイモジュール140はパフォーマンスデータを後の使用のためにメモリに記録及びログすることができない。言い換えれば、心拍数またはその他のパフォーマンスパラメータデータはリアルタイムフィードバックに用いることはできるが、この目的のために用いられた後に記録されることはない。また、ディスプレイモジュール140は、一体形成されたビジュアルディスプレイ148及び150を有することができるが、一実施形態において、データを他の携帯型ディスプレイデバイスに送信するための送信器は提供できず、いずれのタイプのオーディオ出力も提供することができない。さらに、ディスプレイモジュール140は、コンピュータ200またはサーバ202のような外部リモート要素とデータ通信することはできない。この実施形態は、他の実施形態と比較して、低減された大きさ、重量、複雑さ及びコストを提供する点で有利であり得る。
【0062】
本発明の別の実施形態において、ディスプレイモジュール140はパフォーマンスデータを後の使用のためにメモリに記録及びログすることができる。ディスプレイモジュール140は、パフォーマンスパラメータデータの永続的格納及び/または分析のために、パフォーマンスパラメータデータを受け取ってパフォーマンスパラメータデータを記録することができ、以下でさらに詳細に説明されるように、パーソナルコンピュータ200及び/またはサーバ202にパフォーマンスパラメータデータを送ることができる。
【0063】
また別の実施形態において、ディスプレイモジュール140はデータを他の携帯型ディスプレイデバイスに送信するための送信器を提供することができ、一体形成されたオーディオ出力デバイスまたは携帯型オーディオ出力デバイスを介して、オーディオ出力を提供することができる。オーディオ出力には、名称を「携帯型フィットネスモニタリングシステム及びその応用(Portable Fitness Monitoring Systems, and Applications Thereof)」とする、共通に所有される、米国特許出願(出願番号未詳(弁理士案件第2483.0840000号))の明細書に開示されているように、オーディオパフォーマンスフィードバック及び/または音楽を含めることができる。上記出願明細書の開示はその全体が本明細書に参照として含まれる。
【0064】
別の実施形態において、ディスプレイモジュール140は、名称を「フィットネスモニタリングサービスを提供するためのプログラム製品、方法及びシステム(Program Products, Methods, and Systems for Providing Fitness Monitoring Services)」とする、共通に所有される、米国特許出願(出願番号未詳(弁理士案件第2483.0860000号))の明細書にさらに詳細に開示されているように、コンピュータ200またはサーバ202のような外部リモート要素とデータ通信することができる。上記明細書の開示はその全体が本明細書に参照として含まれる。
【0065】
図9に示されるように、一実施形態において、ディスプレイモジュール140は、プロセッサ156,メモリ158,1つないしさらに多くの入力コントロール160,心拍数受信器166,1つないしさらに多くのディスプレイ148及び150,及びコンピュータ入力/出力164を備えることができる。ディスプレイモジュール140は、心拍数センサ182から心拍数データを受け取り、処理して、1つないしさらに多くのディスプレイ148及び158を介するビジュアル出力を生成することができるであろう。ディスプレイモジュール140は、電池のような、電源を備えることもできる。
【0066】
ディスプレイモジュールが他のセンサと交信できる実施形態においては、他のセンサ受信器も存在し得る。例えば、一実施形態において、ディスプレイモジュール140は加速度計と交信できる加速度計受信器を備えることができる。
【0067】
プロセッサ150はメモリ158に格納されているアプリケーションプログラムを実施することができるであろう。プロセッサ156はアナログデータまたはデジタルデータの信号処理アルゴリズムも実施できるであろう。プロセッサ156は、メモリ158,入力コントロール160,心拍数受信器166,ディスプレイ148及び150,及びコンピュータ入力/出力164に接続することができる。一実施形態において、プロセッサ156は米国ワシントン州サンノゼ(San Jose)のサイプレスセミコンダクター(Cypress Semiconductor)社でつくられた、モデル番号CY8C21643とすることができる。
【0068】
メモリ158は、例えば、アプリケーションプログラム命令を格納するため及び記録されたパフォーマンスパラメータデータをセーブするために、用いることができる。一実施形態において、メモリ158は、例えば、本明細書でさらに説明される携帯型フィットネスモニタリングシステム100の機能の様々な態様を実施するために用いられる、アプリケーションプログラムを格納することができる。一実施形態において、メモリ158にはリードオンリメモリ及びランダムアクセスメモリのいずれも含めることができる。
【0069】
ユーザ入力コントロール160はディスプレイモジュール140を操作するためにアスリート102によって用いられ得る。一実施形態において、ユーザ入力コントロール160は、1つないしさらに多くの、入力ボタン、ダイアル、タッチセンサ、スイッチ及び/またはキーを含むことができる。そのようなボタン、スイッチ及び/またはキーのそれぞれの機能は、一般にディスプレイモジュール140の動作モードに基づいて定められる。一実施形態において、ユーザ入力コントロール160はタッチパッドまたはスクロールパッド及び/またはタッチスクリーンボタンを含む。別の実施形態において、ユーザ入力コントロール160は、米国カリフォルニア州サニーベール(Sunnyvale)のSensory, Inc.から販売されているRSC-4128音声認識マイクロコントローラのような、音声操作コントロールとすることができる。
【0070】
一実施形態において、心拍数受信器166は携帯型フィットネスモニタリングシステム100の心拍数センサ182と通信するために用いられる低電力受信器とすることができる。一実施形態において、心拍数受信器166は2.4GHzのような免許不要周波数帯で動作することができる。心拍数受信器166はアンテナに接続することができる。心拍数受信器166は心拍数センサ182との双方向通信が可能なトランシーバとすることもできる。
【0071】
コンピュータ入力/出力164は、以下でさらに詳細に説明されるように、パーソナルコンピュータ200及び/またはサーバ202と有線または無線で通信できるいずれかの入力/出力デバイスまたはトランシーバとすることができる。
【0072】
一実施形態において、図10に示されるように、ディスプレイモジュール140は有線通信または無線通信を用いてパーソナルコンピュータ200と通信することができる。ディスプレイモジュール140とパーソナルコンピュータ200の間の有線通信は、例えば、パーソナルコンピュータ200の通信ポートに差し込まれた通信線を用いてパーソナルコンピュータ200に取り付けられたドッキングユニット208にディスプレイモジュール140をおくことによって、達成することができる。別の実施形態において、ディスプレイモジュール140とパーソナルコンピュータ200の間の有線通信は、例えば、ディスプレイモジュール140とコンピュータ200の間をケーブルで接続することによって達成することができる。ディスプレイモジュール140のコンピュータ入力/出力164及びコンピュータ200の通信ポートはUSBポートを有することができる。ディスプレイモジュール140とコンピュータ200を接続するケーブルは、USB-AまたはUSB-Bのレギュラープラグ、ミニプラグまたはマイクロプラグを含むがこれらには限定されない、適するUSBプラグをもつUSBケーブルとすることができる。
【0073】
ディスプレイモジュール140とパーソナルコンピュータ200の間の無線通信は、例えば、(例えばインターネットのような)無線広域ネットワーク(WWAN)、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)または無線パーソナルエリアネットワーク(WPAN)(総称して、無線エリアネットワークまたはWAN)を用いて、達成することができる。当業者には周知であるように、WANの実施に適する多くの既知の標準プロトコルまたは独自プロトコルがある(例:TCP/IP,ANT,ANT+Sport,Zigbee,ブルートゥース低エネルギー技術,IEEE802.16及びブルートゥース)。したがって、本発明は、ディスプレイモジュール140と本発明のフィットネスモニタリングシステム100のサービスの様々な要素の間の通信のためのいずれか特定のプロトコルの使用に限定されない。
【0074】
一実施形態において、ディスプレイモジュール140は携帯電話に用いられるようなWWAN通信システムと交信することができる。例えば、WWAN通信システムは複数の地理的に分散配置された通信塔及び基地局システムを備えることができる。通信塔は、ディスプレイモジュール140のような、長距離双方向電波通信無線デバイスをサポートする1基ないしさらに多くのアンテナを備えることができる。アンテナとディスプレイモジュール140の間の電波通信は、既知のまたは将来開発されるいずれかの無線プロトコル、例えば、CDMA,GSM,EDGE,3G,IEEE802.x(例:IEEE802.16(WiMAX)),等に準拠する電波信号を利用することができる。基地局システム及びセル式通信塔によってディスプレイモジュール140に空中送信される情報はさらに、例えばインターネットを含む、1つないしさらに多くの別の回線交換通信ネットワークまたはパケット交換通信ネットワークに送信されるかまたはそのような通信ネットワークから受信することができる。
【0075】
図10に示されるように、パーソナルコンピュータ200とサーバ202の間でネットワーク204を介して通信を行うこともできる。一実施形態において、ネットワーク204はインターネットである。インターネットは、データを通信するためにインターネットプロトコル(TCP/IP)を用いる、サーバ、ルータ、交換機及び通信回線の全世界的集合体である。ネットワーク204は、ディスプレイモジュール140,パーソナルコンピュータ200,サーバ202及びドッキングユニット202の内のいずれか2つないしさらに多くの間の通信のために用いることもできる。本発明の一実施形態において、ディスプレイモジュール140とサーバ202の間でネットワーク204を介して直接に、すなわちパーソナルコンピュータ200及びドッキングユニット208を介さずに、データを通信することができる。
【0076】
ディスプレイモジュール140,パーソナルコンピュータ200,ネットワーク204,サーバ202及びドッキングユニット208のいずれの間でも様々なデータを通信することができる。そのようなデータには、例えば、パフォーマンスパラメータデータ、(ディスプレイモジュール140及びセンサ200の設定を含む)デバイス設定、ソフトウエア及びファームウエアを含めることができる。
【0077】
本発明の様々な要素間の通信は、身体アクティビティが完了した後に、あるいは身体アクティビティ中にリアルタイムで、行うことができる。さらに、例えば、ディスプレイモジュール140とパーソナルコンピュータ200の間の交信と、パーソナルコンピュータ200とサーバ202の間の交信は、別の時点に行うことができる。
【0078】
ディスプレイモジュール140のソフトウエアの設定、ディスプレイモジュール140の設定及びセンサ200の設定は、ゾーンベースシステムに関係付けることができる。本発明のゾーンベースシステムにおいて、ゾーンは、例えばアスリート102の最高心拍数のパーセンテージの範囲として、定義することができる。それぞれのゾーンには特定の色を割り当てることができる。アスリート102の最高心拍数または最高速度は、以下で説明されるように、初めに、ディスプレイモジュール140,パーソナルコンピュータ200またはサーバ202に、多くの方法で与えることができる。
【0079】
一実施形態において、ゾーンはユーザの最高心拍数に基づいて確立することができる。アスリートの最高心拍数は多くの方法でディスプレイモジュール140に与えることができる。アスリート102の最高心拍数が知られていれば、アスリート102は、例えば入力コントロール160を操作することによって、既知の最高心拍数をディスプレイモジュールに入力することができる。あるいは、アスリート102の最高心拍数が知られていなければ、アスリート102は、例えば入力コントロール160を操作することによって、アスリート102の年齢をディスプレイモジュールに入力することができる。一実施形態において、ユーザは年齢及び最高心拍数情報のいずれもディスプレイモジュールに入力することができる。例えば、ディスプレイモジュールが起動されている場合、ユーザ102はディスプレイモジュール140の背面ボタン162を5秒間押し続けることができる。これで第1のディスプレイ148に単語「年齢」を表示させることができる。ユーザ102は次いで前面ボタン161を繰り返し押して、第1のディスプレイ148に年齢の数値を増分態様で表示させることができる。ユーザ102の年齢に到達すると、ユーザ102は再び背面ボタン162を押して、第1のディスプレイ148に単語「最高」を表示させることができる。ユーザ102は次いで、既知であれば、前面ボタン161を繰り返し押して、第1のディスプレイ148に最高心拍数の数値を増分態様で表示させることができる。ユーザ102の既知の最高心拍数値に到達すると、ユーザ102は背面ボタン162を押して、シーケンスを終えることができる。ユーザ102が最高心拍数値を知っていなければ、ユーザ102は背面ボタン162を押して最高心拍数入力を回避することができる。
【0080】
この場合、次いで、多くの既知の公式の1つを用いて最高心拍数を推定することができる。そのような公式の1つにしたがえば、アスリート102の最高心拍数は220引くアスリート102の年齢、すなわち:
HR最高=220−年齢
と推定される。この公式にしたがえば、35歳のアスリート102の推定最高心拍数は185拍動/分になるであろう。別の公式にしたがえば、推定最高心拍数を決定するため、例えば、ユーザの身長、体重または性別のような、他の因子をディスプレイモジュール140に入力することもできる。
【0081】
本発明の一実施形態において、最高心拍数、年齢またはその他の情報はリモートコンピュータを介してディスプレイモジュール140に入力することができるであろう。
【0082】
また別の実施形態において、アスリート102の最高心拍数はアスリート102に評価用身体鍛錬運動を行わせることによって決定することができる。アスリート102を、例えば、可能な限り速く、2分間ランニングするように促すことができるであろう。次いでディスプレイモジュール140が、評価用身体鍛錬運動中に検出された実心拍数に基づいてアスリートの最高心拍数を測定または推定することができるであろう。一実施形態において、ユーザ102は,「評価ランニング」を表す文字「ar」を第1のディスプレイ148が表示するまで、ディスプレイモジュール140の背面ボタン162を押し込み続けることができるであろう。ユーザ102は次いで前面ボタン161を押して評価ランニングを開始することができる。第1のディスプレイ148で表示される数値は、ユーザが評価ランニング中に懸命に努力している間、例えば120秒から、カウントダウンすることができる。第1の評価ランニング中に、ディスプレイモジュール140はランニング中にアスリート102が達成した最高心拍数を、アスリートの最高心拍数値として、メモリ158に格納することができる。以降の評価ランニング中に、ディスプレイモジュール140は、以降の評価ランニング中のアスリート102の最高心拍数がメモリ158に格納されている値を上回った場合に限り、メモリ158に格納されている最高心拍数値を更新することができる。
【0083】
図11は本発明の一実施形態のための最高心拍数に基づくゾーン定義の例示的説明である。アスリート102の最高心拍数の65%〜75%の範囲の賦活ゾーンには青色を割り当てることができる。アスリート102の最高心拍数の75%〜85%の範囲の耐久ゾーンには緑色を割り当てることができる。アスリート102の最高心拍数の85%〜90%の範囲の強度ゾーンには黄色を割り当てることができる。最後に、アスリート102の最高心拍数の90%〜95%の範囲のパワーゾーンには赤色を割り当てることができる。これらの範囲と色の組合せは例示に過ぎず、数多くのその他の範囲及び/または色を用いることができるであろう。
【0084】
ゾーンは前もって定められたフィットネス目標に基づいて割り当てることができる。例えば、賦活ゾーン(青)はアスリート102の有酸素運動ベースの構築を可能にする心拍数範囲に割り当てることができる。耐久ゾーン(緑)はアスリート102の心血管強度及び消費カロリーの構築を可能にする心拍数範囲に割り当てることができる。強度ゾーン(黄)はアスリート102の有酸素運動閾及び耐久性の向上を可能にする心拍数範囲に割り当てることができる。パワーゾーン(赤)はアスリート102の有酸素運動閾及び代謝の向上を可能にする心拍数範囲に割り当てることができる。
【0085】
本発明の一実施形態にしたがう携帯型フィットネスモニタリングシステム100の動作を次に説明する。本明細書の説明は主として、センサ180が心拍数センサ182である実施形態に向けられているが、当業者であれば、様々なパフォーマンスパラメータセンサ180が用いられ得ることを容易に認めるであろう。
【0086】
アスリート102が身体アクティビティを始める前に、アスリート102は胸部に心拍数センサ182を確実に留め付ける。また、アスリートは、図7に関して上述したように、ディスプレイモジュール140とストラップ112を着脱可能な態様で組み合わせ、ユーザ入力コントロール160を用いてディスプレイモジュール140を作動させる。必要に応じて、アスリート102は入力コントロール160を用いて所望のビジュアル出力を選択することもできる。この時点で、ディスプレイモジュール140は、WPANを介して、心拍数センサ182を認識し、心拍数センサ182と交信を開始し、心拍数センサ182からディスプレイモジュール140への心拍数データの送信を開始することができる。アスリート102が身体アクティビティを遂行している間、心拍数受信器166が心拍数センサ182から心拍数データを受信する。
【0087】
一実施形態において、ディスプレイモジュールが既に低電力のスタンドバイモードまたは「スリープ」モードにあれば、アスリート102が入力コントロール160を用いてディスプレイモジュール140を作動させる必要はないであろう。ディスプレイモジュール140はセンサ180からのパフォーマンスパラメータデータの受信に応答して自動的に作動できる。したがって、ディスプレイモジュール140は、より迅速及び/またはより効率的なスタートアップを可能にすることができる、「ソフト」パワーオンを提供することができる。ソフトパワーオンはセンサ180からのデータ送信に対して定期的にサーチしているディスプレイモジュール140に応答して行うことができる。
【0088】
心拍数データがディスプレイモジュール140にリアルタイムで連続的に送信される場合、プロセッサ156は、ゾーンベースシステムを具現化している、メモリ158に格納されたプログラムにしたがってデータを処理することができる。例えば、心拍数ベースゾーンシステムが用いられ、ユーザ102の最高心拍数がメモリ158に入力されていれば、ビジュアルディスプレイデバイス148及び150を介してアスリートにリアルタイムでパフォーマンスフィードバックを提供することができる。例えば、プロセッサ156がアスリート102の最高心拍数の80%であると判定した心拍数でアスリート102が身体鍛錬運動をしていれば、第2のディスプレイ150が耐久ゾーンに対応する緑色に発光源を灯すことができる。灯された第2のディスプレイ150が図12Aに示されている。
【0089】
一実施形態において、特定の心拍数ゾーンに対応する、第2のディスプレイ150により発光される色は、ゾーン内で発生する心拍数の測定値の変化に応答して特性を変えることができる。例えば、緑色発光は緑ゾーンの下限近くの心拍数レベルから緑ゾーンの上限近くの心拍数レベルへの心拍数測定値の高まりに応答して特性が変わることができる。特性変化は、例えば、明るさまたは強度の変化とすることができる。一実施形態において、緑色光は、ユーザ102の心拍数測定値が緑ゾーン内で高まるにつれて、比較的明るいかまたは弱い光から比較的暗いかまたは強い緑色に変化することができる。
【0090】
ゾーンベースシステムに結び付けられていないディスプレイを介してリアルタイムでパフォーマンスフィードバックをアスリート102に与えることができる。例えば、プロセッサ156がアスリート102の、例えば134拍動/分に等価であるとすることができる、最高心拍数の80%であると判定した心拍数でアスリート102が身体鍛錬運動をしていれば、第1のディスプレイ148が数字「148」を表示することができる。第2のディスプレイ150は、1つないしさらに多くの発光源をユーザ102の心拍数に比例する速度で点滅させる(すなわち、134パルス/分の速度またはこれに比例する速度で点滅させる)ことができる。本発明の一実施形態において、第2のディスプレイ150の点滅速度は、点滅周波数の違いをより容易に見分けられるように、心拍数測定値の1/3である。図12Aは点灯状態にある(すなわち点滅中の)第2のディスプレイ150を示し、図12Bは消灯状態にある(すなわち点滅の滅中の)の第2のディスプレイ150を示す。一実施形態において、第1のディスプレイ148はユーザ120の心拍数に比例する速度で点滅することができるであろう。
【0091】
図8は第1のディスプレイ148で生成されることが可能な英数字表示のいくつかの例を示す。第1のディスプレイ148で表示される心拍数値には、例えば、瞬時心拍数、平均心拍数及び最高心拍数を含めることができる。現在時、経過時間または日付のような、その他の数字情報も表示することができる。適するプログラム及び/またはメモリ158にプログラムされたデータ信号処理アルゴリズムにより、身体アクティビティ中に消費されたカロリーの総量のディスプレイモジュール140による推定も可能になり得る。名称を「スポーツ電子トレーニングシステム及びその応用(Sports electronic training system, and application thereof)」とする、共通に所有される、米国特許出願公開第2009/0047645号の明細書に開示されるアルゴリズムを含む、様々なカロリー推定アルゴリズムが当業者に知られている。上記明細書の開示はその全体が本明細書に参照として含まれる。
【0092】
例えば、「心拍数」、「平均」、「最高」、「カロリー」または「年齢」のような語句を表すテキストを含む、完全な単語または略語の形態のテキストを表示することもできる。第1のディスプレイ148は、単一の英数字ディスプレイとすることができ、あるいは7セグメントの分割ディスプレイ領域で構成することができる。一実施形態において、第1のディスプレイ148は1行より多くの行で情報を表示する。
【0093】
すなわち、ディスプレイモジュール140は、アスリート102がリアルタイムで自分の心拍数に関する情報を見るための、簡単かつ直覚的な手段を提供することができる。いくつかの実施形態において、入力コントロール160並びにディスプレイ148及び150の配置のため、これらの素子の存在はデバイスの外側を見ても明らかではない。本発明の実施形態のデバイスはそのようなミニマル芸術的形態につくることができるから、縮小された寸法、低減された重量、軽減された複雑性及び低減されたコストにより、既知のモニタリングシステム及びデバイスに優る利点を提供することができる。
【0094】
例えば心拍数データのような、パフォーマンスデータがディスプレイモジュール140に送信されると、パフォーマンスデータはメモリ158に格納するか、またはサーバ202に送信することができる。パフォーマンスパラメータデータがディスプレイモジュールにリアルタイムで連続的に送信される場合、パフォーマンスパラメータデータはサーバ202にもリアルタイムで送信することができる。パフォーマンスパラメータデータは、格納または送信に先立ち、プロセッサ156で処理することができる。一実施形態において、パフォーマンスパラメータデータはセンサ180自体によって前処理される。
【0095】
アスリート102が身体アクティビティを終えた後、アスリート102はユーザ入力コントロール106を用いることでディスプレイモジュール140を停止させることができる。あるいは、ディスプレイモジュール140は、心拍数センサ182から受信するパフォーマンスパラメータデータがなくなったことに応答して、自動的に停止することができる。ディスプレイモジュール140は、1つないしさらに多くのコンポーネントへの電力が低減されるかまたは切られる、低電力のスタンドバイモード、すなわち「スリープ」モードに入ることができる。この態様において、ディスプレイモジュール140は、ディスプレイモジュール140が引き続いて再作動されるときにより迅速及び/またはより効率的なスタートアップを可能にすることができる、「ソフト」オフを提供することができる。停止手順開始時に、ディスプレイモジュール140はさらに、停止に先立ち、データファイルまたはその他の記録が完全にセーブされ、中途で閉じられないことを確実にすることができる。これは記録されたパフォーマンスパラメータデータの喪失を回避するために望ましいであろう。身体アクティビティが完了すると、アスリート102はいずれの格納されたパフォーマンスパラメータデータのコンピュータ200及び/またはサーバ202への有線送信または無線送信を開始することができる。あるいは、ディスプレイモジュール140またはコンピュータ200及び/またはサーバがデータの送信を開始することができる。一実施形態において、ディスプレイモジュール140からコンピュータ200及び/またはサーバ202へのパフォーマンスパラメータまたはその他のデータの送信は、ディスプレイモジュール140がソフトオフの低電力状態にあっても、行うことができる。
【0096】
パーソナルコンピュータ200またはサーバ202に送信されて格納されたデータは、アスリート102が後刻にアクセスすることができる。サーバ202上の格納の場合、アスリート102は、自分のディスプレイモジュール140からサーバ202に送信されたアクティビティ後パフォーマンスデータに、後刻に自分のパーソナルコンピュータ200からネットワーク204を通じてアクセスすることができるであろう。本発明の別の実施形態において、パーソナルコンピュータ200の側にいる第三者(例:トレーナー、コーチ、友人または家族)が、サーバ202を介し、ネットワーク204を通じてアスリート102のパフォーマンスに関するリアルタイムパフォーマンス情報また履歴パフォーマンス情報にアクセスすることができるであろう。
【0097】
パーソナルコンピュータ200及び/またはサーバ202は、様々なフィットネスモニタリングサービスをアスリート102に提供することができる多くの様々なモジュールを含むように構成されたソフトウエアを有することができる。それぞれのモジュールはパーソナルコンピュータ200においてユーザに提示することができる1つないしさらに多くのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)をサポートすることができる。図13は、1つの身体アクティビティ中に記録され、ディスプレイモジュール140からパーソナルコンピュータ200及び/またはサーバ202に送信されたパフォーマンスパラメータデータから得られた心拍数のグラフ及びその他の情報を示す、履歴ソフトウエアモジュールによって提示されるGUIウインドウの例示的説明図である。
【0098】
パーソナルコンピュータ200と対話できる本発明の実施形態においては、あるいはまたはさらに、ディスプレイモジュールのいずれのデバイス設定も、または入力コントロール160を用いて入力または変更することができるいかなる情報も、コンピュータ200を介して入力または変更することができる。
【0099】
アプリケーションプログラム命令の格納及び記録されたパフォーマンスパラメータデータのセーブに加えて、ディスプレイモジュール140のメモリ158は、以下で詳細に説明されるように、例えばトレーニングルーチン210を格納するために用いることもできる。プロセッサ156はトレーニングルーチン210を実行することもできるであろう。
【0100】
パーソナルコンピュータ200及び/またはサーバ202は、デフォルトトレーニングルーチンを選択するか、カスタムトレーニングを作成するか、あるいは個々のトレーニングから構成される全体トレーニングプランの選択またはカスタム化さえもおこなうためのプランモジュールを含むように構成されたソフトウエアを有することができる。トレーニングは、仮想カレンダー上でスケジュールを立てることができ、あるいは特定の日付に割り当てずにセーブすることができる。トレーニング及びプランの作成は、名称を「フィットネスモニタリングサービスを提供するためのプログラム製品、方法及びシステム(Program Products, Methods, and Systems for Providing Fitness Monitoring Services)」とする、本出願と同日に出願された、同時係属の米国特許出願(出願番号未詳(弁理士案件第2483.0860000号))の明細書にさらに詳細に論じられている。上記明細書はその全体が本明細書に参照として含まれる。
【0101】
ユーザ102は、上述したカラーコード化ゾーンベースシステムにしたがって、様々な強度の様々な時間インターバルを含むトレーニングルーチン210を選択または作成することができるであろう。トレーニングは、例えば、青ゾーン内での5分間のウオーミングアップ、次いで緑ゾーン内での10分間のジョギング、続いて黄ゾーン内での5分間のランニングを含むことができる。
【0102】
一実施形態において、トレーニングルーチン210の作成後、コンピュータ200またはサーバ202からコンピュータ入力/出力164を介してディスプレイモジュール140にトレーニングルーチン210を有線伝送または無線伝送によって送ることができる。ディスプレイモジュール140は1つないしさらに多くのトレーニングルーチン210を受け取り、メモリ158に格納することができる。プロセッサ156がトレーニングルーチン210を実行できるであろう。
【0103】
一実施形態において、初めに心拍数ゾーンが定義された後、携帯型フィットネスモニタリングシステム100は、アスリート102のパフォーマンス及び/またはアスリート102から受け取られるフィードバックに応答して心拍数ゾーンの限界の選択的な調節を、そのような調節が保証されていれば、行うように適合させることができる。この態様において、図14に示されるように、トレーニングフィードバックループを提供することができる。上述したように、ゾーンはユーザ入力(例:最高心拍数、年齢及び/または他の入力パラメータ)に基づいて定義することができる。ユーザの心拍数データは、上述したように、身体アクティビティ中に心拍数センサ182によって検出される。心拍数データは処理のためにコンピュータ200及び/またはサーバ202に送信される。ゾーンを調節する必要があるか否かに関する判定がなされる。調節が保証されていれば、このデータがディスプレイモジュール140に送り返される。
【0104】
ゾーンを調節する必要があるか否かに関する判定はパフォーマンスデータ(例:心拍数データ)及び/またはアスリートから受け取られるフィードバックに基づくことができる。パフォーマンスデータに関して、要因には、例えば、特定の身体アクティビティ中のアスリート102の一貫性、身体アクティビティ後のアスリート102の回復速度、あるいは、トレーニングルーチン210で指定されるような、特定のインターバルトレーニングセッション中のアスリート102のパフォーマンスを含めることができる。例えば、アスリート102は、インターバル中に心拍数を特定の心拍数ゾーン内に維持することにインターバルが基づいているトレーニングルーチン210中にフィットネスモニタリングシステム100を用いることができる。アスリートのパフォーマンスがインターバル全体にわたり、またはインターバルの一部で、指定された心拍数ゾーンを外れれば、心拍数ゾーンを調節することができる。例えば、アスリートが一貫して指定ゾーンの上にいれば、ゾーン範囲を高めることができる。アスリートが一貫して指定ゾーンの下にいれば、ゾーン範囲を低めることができる。
【0105】
判定はさらにアスリートによって与えられるフィードバックに影響され得る。例えば、アスリートは携帯型フィットネスモニタリングシステムによって課せられる質問に回答することができる。例えば、最近記録されたトレーニングデータをアップロードする際に、あるいはコンピュータ200及び/またはサーバ202にログインする際に、ユーザ102に、例えば、トレーニングがハード過ぎたと感じたか、それとも易し過ぎたと感じたかを尋ねる、GUIポップアップウインドウが現れることができる。トレーニングはハード過ぎたとユーザが答えれば、ゾーン範囲を漸進的に低めることができる。トレーニングは易し過ぎたとユーザが答えれば、ゾーン範囲を漸進的に高めることができる。
【0106】
別の実施形態において、ディスプレイモジュール140は携帯型フィットネスモニタリングデバイス300と対話することができる。帯型フィットネスモニタリングデバイス300は、例えば、携帯電話、電子手帳、または音楽ファイルプレイター(例:MP3プレイヤー)、GPS利用デバイス、身体鍛錬運動具、ドングル(例:ソフトウエアを保護する小型ハードウエアデバイス)のようなデバイス、あるいは、名称を「携帯型フィットネスモニタリングシステム及びその応用(Portable Fitness Monitoring Systems, and Applications Thereof)」とする、共通に所有される、米国特許出願(出願番号未詳(弁理士案件第2483.0840000号))の明細書に一実施形態として開示されているデバイスのように、専用携帯型フィットネストレーニングデバイスとすることができる。上記明細書の開示はその全体が本明細書に参照として含まれる。
【0107】
別の実施形態において、ディスプレイモジュール140は、名称を「携帯型フィットネスモニタリングシステム及びその応用(Portable Fitness Monitoring Systems, and Applications Thereof)」とする、共通に所有される、米国特許出願(出願番号未詳(弁理士案件第2483.0840000号))の明細書に一実施形態として開示されているように、トレーニングルーチンの格納及び実行を行うことができるであろう。上記明細書の開示はその全体が本明細書に参照として含まれる。
【0108】
上に示したように、着用品110は、ストラップ112である以外に、例えば、バンド、手袋、帽子、ジャケット、シャツ、スラックス、スポーツブラ、履物、アイウエア、指輪または、アスリート102が着用できる、その他いずれかの物品とすることができる。図15Aは運動用長袖Tシャツ136に着脱可能な態様で取り付けられたディスプレイモジュール140を示し、図15Bはスポーツシューズ138に着脱可能な態様で取り付けられたディスプレイモジュール140を示す。図15A及び15Bの実施形態において、ディスプレイモジュール140は着用品110(すなわち、それぞれ、シャツ136及びシューズ138)の空洞122に着脱可能な態様で固定され、着用品110には窓128が設けられる。一実施形態において、空洞122はポケットまたは小物入れとすることができるであろう。
【0109】
本発明の別の実施形態において、ディスプレイモジュール140は、着用品110に着脱可能な態様で固定する代わりに、自転車を含むがこれには限定されない、身体鍛錬具に固定することができるであろう。
【0110】
また別の実施形態において、ディスプレイモジュール140は、着用品110に着脱可能な態様で固定するのではなく、永続的に固定するかあるいは着用品110と一体形成することができる。
【0111】
モニタリングシステム100のディスプレイモジュール140及び様々なセンサ180のいくつかを、ANT+を含むがこれには限定されない、1つないしさらに多くの無線プロトコルを用いて、ネットワークを通じ、通信することができるとして上で説明した。一実施形態において、ディスプレイモジュール140はさらに、フットポッド、歩数計、傾斜計、トレッドミル、自転車、パワーメータ、ケイデンスセンサ、速度センサ、距離センサ、秤り、体格指数秤り、呼吸センサ、全地球測位システム(GPS)デバイス及び高度計を含むがこれらには限定されない、その他のデバイスと、無線プロトコルを用い、ネットワークを通じて、通信することができる。
【0112】
上に示したように、いくつかの実施形態において、ディスプレイモジュール140は、名称を「携帯型フィットネスモニタリングシステム及びその応用(Portable Fitness Monitoring Systems, and Applications Thereof)」とする、共通に所有される、米国特許出願(出願番号未詳(弁理士案件第2483.0840000号))の明細書に一実施形態として開示されているような、トレーニングルーチンの格納及び実行を行うことができるであろう。上記明細書の開示はその全体が本明細書に参照として含まれる。
【0113】
アスリート102は、心拍数受信器166がパフォーマンスパラメータデータを受信している間、トレーニングルーチンにしたがって指導されながら身体アクティビティを遂行することができる。トレーニングルーチンは、上述したカラーコード化ゾーンベースシステムにしたがう、様々な強度の様々な時間インターバルを含むことができる。したがって、第2のディスプレイ150が、アスリート102がいるゾーンに関する表示をアスリート102に提供でき、別のカラーディスプレイが、トレーニングルーチンに基づく、アスリート102がいるべきゾーンに関する表示をアスリート102に提供できるであろう。
【0114】
一実施形態において、ディスプレイモジュール140はトレーニングルーチンに関するオーディオ出力をアスリート102に提供するためのスピーカーを有することができる。ディスプレイモジュール140は、アスリート102に皮膚感覚出力を提供するための、例えば圧電アクチュエータのような、モジュール140を振動させるための手段を有することができる。この皮膚感覚出力は、アスリート102がディスプレイモジュール140を見てアスリート102のパフォーマンス及び/またはトレーニングルーチンに関するカラーコード化情報またはその他の情報を受け取るべきであることを、アスリートに示すことができるであろう。
【0115】
本発明の実施形態は、デバイスに電力を供給する電池を充電するために、誘導充電器を用いることができる。当業者には知られているように、誘導充電は電磁誘導を用いて電池を充電する。誘導充電器は一般に充電基地ステーション内で誘導コイルを用いて交流電磁場を発生させ、携帯型デバイス内の第2の誘導コイルがその電磁場から電力をとり、電池を充電するための電流に変換する。近接している2つの誘導コイルは結合してトランスを形成する。
【0116】
充電ステーションは誘導結合によって電気装置にエネルギーを送ることができ、電気装置は電池にエネルギーを貯蔵する。2つのコイルの間には狭い間隙があるから、誘導充電は一種の短距離無線エネルギー伝送である。これは、電池と充電器の間の直接有線接続を必要とする、標準的な伝導充電とは異なる。伝導充電は通常、デバイスをプラグインワイアで電源に接続することによって達成される。ディスプレイモジュール140がコンピュータ200及び/またはサーバ202とデータを無線通信できる実施形態において、ディスプレイモジュール140は誘導充電による無線再充電に適合させることもできる。一実施形態において、誘導充電及び無線送電及び/または無線受電を同じ場所で同時に行うことができるように、誘導充電ポスト、誘導充電レセプタクル、誘導充電ステーションまたはその他いずれかのタイプの構造を設けることができる。この態様は、電源コンセントまたは取外し可能な電池の閉じ蓋が全くないディスプレイモジュール140の製作が可能になり得る点で有利である。
【0117】
本発明の一実施形態において、ストラップ112のような、着用品110内の光ファイバチャネルにより、着用品110全体または着用品110のかなりの部分を第2のディスプレイ150による光出力で光らせることが可能になるであろう。
【0118】
上で論じた例示的実施形態の多くはカラーコード化心拍数ゾーンベースシステムに言及しているが、速度、ペース、歩度、カロリー、呼吸数、血中酸素レベル、血流量、水分補給状態または体温を含むがこれらには限定されないその他のパラメータのゾーンに基づくカラーコード化ゾーンシステムも用いることができる。したがって、本発明は心拍数ベースゾーンシステムだけに限定されるべきではない。
【0119】
さらに、上で論じた例示的実施形態の多くは、アスリート102の最高心拍数のパーセンテージの範囲としてゾーンが定義され得る、カラーコード化心拍数ゾーンベースシステムに言及しているが、心拍数ゾーンは他のパラメータに基づいても同様に定義され得る。
【0120】
一実施形態において、心拍数ゾーンはアスリート102の最高心拍数のパーセンテージの範囲として定義することができる。別の実施形態において、心拍数ゾーンはアスリート102の換気閾心拍数のようなパラメータから導かれる範囲として定義することができる。また別の実施形態において、心拍数ゾーンはアスリート102のピーク心拍数及びアスリート102の換気閾心拍数の両者から導かれる範囲として定義することができる。
【0121】
アスリート102のピーク心拍数はアスリート102の最高心拍数と同じこともあり、同じではないこともある。本明細書に用いられるように、「ピーク心拍数」は、特定のアスリート102がトレーニングセッション中に達成し得る最高心拍数を指す。アスリートの生理学的に可能な最高心拍数はピーク心拍数より高くなり得る。何人かのアスリート102については、一般に最高の身体状態にあるときに、ピーク心拍数は最高心拍数に極めて近くなり得る。他のアスリート102については、一般にそれほど良好な状態にないときに、ピーク心拍数は真の生理学的に可能な最高心拍数より遙かに少なくなり得る。したがって、一実施形態において、アスリート102はピーク心拍数をディスプレイモジュール104に入れるか、またはこの情報をサーバ202にセーブすることができる。アスリート102は、以下でさらに詳細に説明されるように、評価ランニング中にピーク心拍数情報を取り込むこともできるであろう。
【0122】
身体鍛錬運動の強度が漸進的に高められるにつれて、(換気と呼ばれる)気道を出入りする空気は線形で、すなわち相似態様で増加する。身体鍛錬運動の強度が高まり続けると、非線形態様で換気が増加し始める点に至る。この、換気が漸進的線形増加から外れる点は、「換気閾」と呼ばれる。換気閾は乳酸閾、すなわち強度の身体鍛錬運動中に血中乳酸レベルが急激に増加する点と密接に連関する。研究によれば、換気閾及び乳酸閾は耐久イベントにおけるパフォーマンスの最善で最も安定した予測子の内のいくつかであり得ることが示唆される。換気閾点におけるアスリート102の心拍数はアスリートの換気閾心拍数と称することができる。したがって、一実施形態において、アスリート102は換気閾心拍数をディスプレイモジュール104に入力するか、またはこの情報をサーバ112にセーブすることができる。アスリート102は、上でさらに詳細に説明したように、換気閾及び/または乳酸閾の決定に必要な装置を用いて、評価ランニング中に換気閾心拍数情報を取り込むこともできるであろう。
【0123】
一実施形態において、心拍数ゾーンはアスリート102のピーク心拍数及びアスリート102の換気閾心拍数の両者から導かれる範囲として定義することができる。例えば、表1は、アスリート102に対するカラーコード化心拍数ゾーンを200拍動/分のピーク心拍数(PHR)及び170拍動/分の換気閾心拍数(VTHR)によって定義することができる例示的実施形態を示す。
【表1】

【0124】
表1に示されるように、それぞれのカラーコード化ゾーンは上限及び下限を有するように定義することができる。それぞれのゾーン限界はPHR,VTHR及び/または他のゾーン限界の内の1つに基づいて計算することができる。それぞれのゾーン限界に割り当てられる心拍数値は、最高心拍数が既知であるかまたは推定され得るならば、対最高心拍数パーセンテージに関連付けることができる。一実施形態において、PHRはアスリート102の最高心拍数値の93.5%であると想定される。したがって、身体アクティビティは本発明のカラーコード化心拍数ベースシステムにしたがって実施することができ、アクティビティの内容は本発明のカラーコード化心拍数ベースシステムにしたがうGUIによって提示することができる。
【0125】
上述したように、カラーコード化されたペースまたは速度をベースとするシステムも用いることができる。一実施形態において、ペースまたは速度のゾーンの上限及び下限はある程度はPHR値及びVTHR値から導くことができる。例えば、アスリートは、心拍数モニタ、換気閾(または乳酸閾)モニタ及び/またはペースモニタまたは速度モニタを用いて、1つないしさらに多くの身体アクティビティを行うことができる。測定は、携帯型モニタまたは固定モニタで行うことができ、あるいは身体アクティビティが行われた後に実験室で行うことができる。アスリートのペースまたは速度と最高心拍数,PTR及び/またはVTHRの間の関係を確立することができる。したがって、この情報に基づいてカラーコード化されたペースまたは速度のゾーン限界を決定することができる。
【0126】
本発明の別の実施形態において、ゾーンはパワーの測定値に基づいて決定することができる。パワー測定値は、例えば、アスリート102の体重及び走行面の傾斜(例えば、歩道面、自転車道面またはトレッドミル面の傾斜)のような、他のパラメータがわかっていれば、ペース計算から導くことができる。
【0127】
例示的実施形態を、例として、用いて本発明を上で説明した。したがって本発明は上述した例示的実施形態のいずれにも限定されるべきではなく、添付される特許請求項及びそれらの等価物によってのみ、定められるべきである。
【符号の説明】
【0128】
100 携帯型フィットネスモニタリングシステム
102 アスリート
110 着用品
112 ストラップ
114 締結手段
122 空洞
124,172 開口
126 リップ
128 窓
140 ディスプレイモジュール
148,150 ディスプレイ
154 ケーシング
156 プロセッサ
158 メモリ
160 入力コントロール
161 前面ボタン
162 背面ボタン
164 コンピュータ入力/出力
166 心拍数受信器
168 回路基板
180 センサ
182 心拍数センサ
184 胸部ストラップ
200 パーソナルコンピュータ
202 サーバ
204 ネットワーク
208 ドッキングユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体アクティビティ中に個人によって支持される心拍数センサ及びディスプレイモジュールを用いてトレーニングフィードバックを前記個人に提供する方法において、前記方法が、
(a)前記個人について最高心拍数値を決定するステップ、
(b)前記最高心拍数値のパーセンテージの範囲に対応する心拍数値の範囲として心拍数ゾーンを定義するステップ、
(c)前記心拍数ゾーンに色を割り当てるステップ、
(d)前記身体アクティビティ中に前記心拍数センサから前記ディスプレイモジュールに心拍数データを無線送信するステップ、及び
(e)前記身体アクティビティ中に前記心拍数データに応答して、前記心拍数ゾーンに割り当てられた前記色を前記ディスプレイモジュール上に前記個人に対してビジュアル表示するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ステップ(a)が、前記ディスプレイモジュール上の入力コントロールを介して前記個人から受け取られる入力に基づくことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(a)が、リモートコンピュータを介して前記個人から受け取られる入力に基づくことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップ(a)が、評価身体鍛錬運動の結果に基づくことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記個人の前記心拍数が前記心拍数ゾーン内に入ったことを前記心拍数データが示したときに、前記色が表示されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記身体アクティビティ中に前記個人に対して表示される前記心拍数ゾーンに割り当てられた前記色が、前記個人の前記心拍数が前記心拍数ゾーンに入ったことの、前記身体アクティビティ中に前記個人に対して表示される唯一の指標であることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ステップ(e)が、前記心拍数データに応答して前記個人の前記心拍数に比例する速度で点滅する発光源を提供するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(f)前記身体アクティビティ後、前記ディスプレイモジュールからリモートコンピュータに心拍数データを送るステップ、
(g)前記身体アクティビティに関する前記個人からのフィードバックを要求するステップ、及び
(h)前記個人から受け取ったフィードバック及び前記心拍数データの内の少なくとも1つに基づいて前記心拍数ゾーンを構成する前記心拍数値範囲を調節するステップ、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記個人によって支持される前記ディスプレイモジュールが前記個人の手首によって支持されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
携帯型フィットネスデバイス及び前記フィットネスデバイスと通信するセンサを用いて個人にトレーニングフィードバックを提供する方法において、前記方法が、
(a)パフォーマンスパラメータ値の範囲を定義するステップ、
(b)身体アクティビティ中に前記センサから前記フィットネスデバイスにパフォーマンスデータを無線送信するステップ、
(c)前記身体アクティビティに関して前記個人からのフィードバックを要求するステップ、及び
(d)前記個人から受け取ったフィードバックに基づいて前記パフォーマンスパラメータ値範囲を選択的に調節するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記ステップ(d)が前記身体アクティビティの難度に関して前記個人に質問するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(e)前記パフォーマンスデータに基づいて前記パフォーマンスパラメータ値範囲を選択的に調整するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ(c)がリモートコンピュータを介して行われることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記パフォーマンスパラメータ値範囲が心拍数値の範囲であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記パフォーマンスデータが心拍数データであることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記パフォーマンスパラメータ値範囲が速度値の範囲であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記パフォーマンスパラメータ値範囲がペース値の範囲であることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項18】
携帯型フィットネスデバイス、前記携帯型フィットネスデバイスと通信するセンサ及びコンピュータを備えるフィットネスモニタリングシステムを用いて個人にトレーニングフィードバックを提供する方法において、前記方法が、
(a)複数のパフォーマンスゾーンを定義するステップであって、前記複数のパフォーマンスゾーンのそれぞれはある範囲の心拍数値を含むものであるステップ、
(b)身体アクティビティ中に前記センサから前記携帯型フィットネスデバイスに心拍数データを無線送信するステップ、
(c)前記コンピュータを介して前記身体アクティビティに関する前記個人からのフィードバックを要求するステップ、
(d)前記コンピュータを介して前記身体アクティビティに関する前記個人からのフィードバックを受け取るステップ、及び
(e)前記個人からの前記フィードバックに基づいて前記複数のパフォーマンスゾーンの内の少なくとも1つの前記心拍数値範囲を調節するステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記ステップ(a)が、前記個人について最高心拍数を決定するステップ及び前記最高心拍数のパーセンテージの範囲に基づいて前記複数のパフォーマンスゾーンを定義するステップを含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記身体アクティビティ中に前記携帯型フィットネスデバイス上に少なくとも1つのパフォーマンスゾーンを表すビジュアル出力を表示するステップをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記携帯型フィットネスデバイス及び前記コンピュータが個別のデバイスであることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項22】
身体アクティビティ中に個人のパフォーマンスパラメータをモニタするための携帯型フィットネスモニタリングシステムにおいて、前記システムが、
前記個人の身体に着脱可能な態様で確実に留め付けることができる着用品、及び
前記パフォーマンスパラメータを表すビジュアル出力を表示するためのディスプレイモジュールであって、前記ディスプレイモジュールからの前記ビジュアル出力が前記着用品を通して見えるように適合されるように、前記着用品に着脱可能な態様で固定されるディスプレイモジュール、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項23】
前記着用品が該着用品内に空洞を画成し、前記ディスプレイモジュールが前記空洞内に配されることを特徴とする請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記着用品が窓を有し、前記ディスプレイモジュールからの前記ビジュアル出力が前記窓を通して見えることを特徴とする請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記窓が半透明であることを特徴とする請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記窓が透明であることを特徴とする請求項24に記載のシステム。
【請求項27】
前記着用品がストラップであり、前記ストラップ及び前記窓が可撓性高分子材料の一体品をなすことを特徴とする請求項24に記載のシステム。
【請求項28】
前記着用品が衣類であることを特徴とする請求項22に記載のシステム。
【請求項29】
前記パフォーマンスパラメータが前記個人の前記心拍数に関することを特徴とする請求項22に記載のシステム。
【請求項30】
前記ディスプレイモジュールと通信する心拍数センサをさらに備え、前記ディスプレイモジュールが前記心拍数センサから心拍数データを受け取るように適合され、前記ビジュアル出力が前記心拍数データに応答することを特徴とする請求項22に記載のシステム。
【請求項31】
前記ビジュアル出力が、前記心拍数データから得られる心拍数値であることを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記ビジュアル出力が発光源によって発せられる光であり、前記発光源が、前記心拍数データから得られる心拍数値に比例する速度で点滅することを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
前記ビジュアル出力が発光源によって発せられる着色光であることを特徴とする請求項22に記載のシステム。
【請求項34】
前記発光の前記色が心拍数ゾーンに割り当てられることを特徴とする請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
前記心拍数ゾーンが、最高心拍数値のパーセンテージの範囲に対応する心拍数の値範囲であることを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記最高心拍数値が身体アクティビティの開始に先立って決定されることを特徴とする請求項35に記載のシステム。
【請求項37】
前記最高心拍数値が前記個人の年齢に基づいて決定されることを特徴とする請求項35に記載のシステム。
【請求項38】
前記最高心拍数値が、前記個人によって行われる試験身体アクティビティに基づいて決定されることを特徴とする請求項35に記載のシステム。
【請求項39】
前記ディスプレイモジュールが、心拍数情報をリモートコンピュータに送るように適合されることを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項40】
前記着用品が履物であることを特徴とする請求項22に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【公開番号】特開2010−264247(P2010−264247A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113218(P2010−113218)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.GSM
【出願人】(398032441)アディダス アーゲー (6)
【復代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
【復代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋