説明

ディスプレイ基板用樹脂組成物

【課題】適度な線膨張係数、適度な柔軟性を有する有用なポリイミドフィルムを形成することができるディスプレイ基板用樹脂組成物を提供する。
【解決手段】特定の構造単位からなるポリアミック酸又は特定の構造単位からなるポリイミドを含むディスプレイ基板用樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイ基板用樹脂組成物に関し、詳細には適度な線膨張係数、適度な柔軟性を有する有用なポリイミドフィルムを形成することができるディスプレイ基板用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミド樹脂は、耐熱性が高く難燃性で電気絶縁性に優れていることから、電気・電子材料分野において幅広く使用されている。具体的には、フィルムとしてフレキシブル印刷配線版や耐熱性接着テープの基材、樹脂ワニスとして半導体の絶縁皮膜、保護皮膜などに使用されている。
一方、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイや液晶ディスプレイなどの表示装置は、高精細のみが要求されてきたが、情報機器などへ急速にその用途を拡大している。例えば、超薄型・軽量化の要求を満たすために、プラスチックフィルムを基板として使用するフレキシブルディスプレイが注目されている。
従来、高精細なディスプレイには、アクティブマトリックス駆動のパネルが使用されている。マトリックス状の画素電極に加えて、薄膜アクティブ素子を含むアクティブマトリックス層を形成するには、その製造プロセスにおいて200℃以上の高温処理を必要とし、しかも、きわめて正確な位置合わせが必要である。しかし、フレキシブル化のために、ガラス基板からプラスチック材料に変化することで、耐熱性、寸法安定性に劣るため、その上にアクティブ素子をじかに形成するのは非常に困難であった。
【0003】
そこで、斯かる問題を回避するために、ガラス基板上にポリイミドフィルムを形成し、製造条件が制限されず、アモルファスシリコンTFT素子やカラーフィルタなどを高精細で位置合わせて形成して転写層とした後、その転写層をプラスチックフィルム上に転写・形成することにより、表示素子を製造する方法が提案されている(特許文献1及び2)。
ところで、前記工程で必要とされるポリイミドの特性として、線膨張係数が挙げられる。しかし、多くのポリイミド系ではフィルムの線膨張係数は60乃至80ppm/Kの範囲であり、低線膨張特性を有していない。このような中、線膨張係数が低いポリイミドフィルムが開発されているが、汎用性に乏しい酸二無水物を原料に用いているため、得られる製品が高価になってしまう(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−356370号公報
【特許文献2】特表2010−539293号公報
【特許文献3】国際公開第08/047591号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、汎用性に乏しい酸二無水物を原料に用いなくても、適度な線膨張係数及び適度な柔軟性を有する有用な硬化膜を形成することができるディスプレイ基板用樹脂組成物の提供を目的とする。なお、ここでいう適度な柔軟性とは、自己支持性があり、かつ90度に曲げても割れない程度の高い柔軟性をいう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、酸二無水物成分として
特定のカルボニル基含有酸無水物を組み合わせて用いることにより、該酸二無水物成分とジアミン成分から誘導されるポリアミック酸又はポリイミドを含むディスプレイ基板用樹脂組成物から、適度な線膨張係数及び適度な柔軟性を有する有用な硬化膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、第1観点として、下記式(1)で表わされる構造単位及び式(3)で表わされる構造単位からなるポリアミック酸又は下記式(2)で表わされる構造単位及び式(4)で表わされる構造単位からなるポリイミドを含むディスプレイ基板用樹脂組成物に関する。
【化1】

[式(1)乃至式(4)中、X1は芳香族基と2つのカルボニル基を有する2価の有機基
を表わし、X2は芳香族基を有する2価の有機基を表わし、Y1は2価の芳香族基又は脂肪族基を表わし、n及びmは自然数を表わす。]
第2観点として、前記X1が下記式(5)で表わされる構造である、第1観点に記載の
ディスプレイ基板用樹脂組成物に関する。
【化2】

[式中、R1乃至R10は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキ
ル基、炭素原子数1乃至10のハロアルキル基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシル基、ホスホニル基、スルホニル基、W1で置換されていてもよいフェニル基、W1で置換されていてもよいナフチル基、W1で置換されていてもよいチエニル基又はW1で置換されていてもよいフリル基を表し、
1は、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のハロアルキル基
、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシル基、ホスホニル基又はスルホニル基を表わし、
1及びZ2は、それぞれ独立して、アミノ基、炭素原子数1乃至10で置換されたアルキルアミノ基又は酸素原子を表す。なお、○は結合手を表わす。]
第3観点として、前記式(5)のR1乃至R10が水素原子であり、かつZ1及びZ2が酸
素原子である、第2観点に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物に関する。
第4観点として、前記X2が下記式(6)で表わされる構造である、第1観点に記載の
ディスプレイ基板用樹脂組成物に関する。
【化3】

[式中、R11乃至R24は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のハロアルキル基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシル基、ホスホニル基、スルホニル基、W1で置換されていてもよいフェニル基、W1で置換されていてもよいナフチル基、W1で置換されていてもよいチエニル基又はW1で置換されていてもよいフリル基を表し、
1は、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のハロアルキル基
、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシル基、ホスホニル基又はスルホニル基を表わし、
3乃至Z5は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1乃至10のアルキル基、W2
で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10のアルキレン基、−C(O)O−、−C(O)NH−、−O−、−S−、−S(O)2−又は−C(O)−を表わし、
2は、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のハロアルキル基
又は炭素原子数1乃至10のアルコキシ基を表わし、
lは0又は1を表わす。なお、○は結合手を表わす。]
第5観点として、前記式(6)中のR11乃至R24が水素原子であり、かつZ4が単結合
又は炭素原子数1乃至10のアルキル基である、第4観点に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物に関する。
第6観点として、前記式(6)中のZ3及びZ5は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1乃至10のアルキル基、−C(O)O−、−C(O)NH−又は−O−である、第5観点に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物に関する。
第7観点として、前記式(6)中のZ3及びZ5は、それぞれ独立して、単結合、−C(O)O−又は−O−であり、かつZ4は、単結合又は炭素原子数1乃至6のアルキル基で
ある、第6観点に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物に関する。
第8観点として、前記Y1が下記式(7)で表わされるジアミンから誘導される、第1
観点項乃至第7観点のいずれか一つに記載のディスプレイ基板用樹脂組成物に関する。
2N−Y1−NH2 (7)
(式中、Y1は2価の芳香族基又は脂肪族基を表わす。)
第9観点として、前記2価の芳香族基がフェニル基である、第8観点に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物に関する。
第10観点として、前記式(1)中のnと前記式(3)中のmとがn/(n+m)≧70%の関係である、第1観点乃至第9観点のいずれか一つに記載のディスプレイ基板用樹脂組成物に関する。
第11観点として、前記式(2)中のnと前記式(4)中のmとがn/(n+m)≧7
0%の関係である、第1観点乃至第9観点のいずれか一つに記載のディスプレイ基板用樹脂組成物に関する。
第12観点として、さらに、架橋剤を含む、第1観点乃至第11観点のいずれか一つに記載のディスプレイ基板用樹脂組成物に関する。
第13観点として、第1観点乃至第12観点のいずれか一つに記載のディスプレイ基板用樹脂組成物が少なくとも1種の溶剤に溶解していることを特徴とする、ワニスに関する。
第14観点として、第13観点に記載のワニスを用いて230度以上で焼成することにより得られる、硬化膜に関する。
第15観点として、基板上に第14観点に記載の硬化膜からなる層を少なくとも一層備える、構造体に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明のディスプレイ基板用樹脂組成物は、適度な線膨張係数及び適度な柔軟性を有する有用な硬化膜を形成することができる。したがって、該硬化膜は、フレキシブルディスプレイ用ベースフィルム等に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、下記式(1)で表わされる構造単位及び式(3)で表わされる構造単位からなるポリアミック酸又は下記式(2)で表わされる構造単位及び式(4)で表わされる構造単位からなるポリイミドを含むディスプレイ基板用樹脂組成物に関する。
【化4】

[式(1)乃至式(4)中、X1は芳香族基と2つのカルボニル基を有する2価の有機基
を表わし、X2は芳香族基を有する2価の有機基を表わし、Y1は2価の芳香族基又は脂肪族基を表わし、n及びmは自然数を表わす。]
【0010】
本発明のディスプレイ基板用樹脂組成物における固形分の割合は1乃至100質量%、又は5乃至100質量%、又は50乃至100質量%、又は80乃至100質量%である。ここで、固形分とはディスプレイ基板用樹脂組成物の全成分から溶剤を除去した残りの成分である。
本発明のディスプレイ基板用樹脂組成物における上記ポリアミック酸又はポリイミドの含有量は、該樹脂組成物の固形分中の含有量に基づいて、8乃至99.9質量%、好ましくは40乃至99質量%、更に好ましくは70乃至99質量%である。
【0011】
<ポリアミック酸>
本発明のディスプレイ基板用樹脂組成物に含まれるポリアミック酸は、酸無水物成分とジアミン成分とを溶剤中で重合させることで得られる。
ポリアミック酸は、公知の方法、例えば、窒素などの不活性ガス雰囲気中において、下記式(8)
【化5】

(式中、X1は芳香族基と2つのカルボニル基を有する2価の有機基を表わす。)で表さ
れる少なくとも1種の酸二無水物と、下記式(9)
【化6】

(式中、X2は芳香族基を有する2価の有機基を表わす。)で表される少なくとも1種の
酸二無水物と、下記式(7)
2N−Y1−NH2 (7)
(式中、Y1は2価の芳香族基又は脂肪族基を表わす。)で表される少なくとも1種のジ
アミンとを溶剤に溶解し、反応させることで得られる。
【0012】
この時の反応温度は、−20乃至100℃、好ましくは20乃至60℃である。反応時間は、1乃至72時間である。
【0013】
本発明では、ポリアミック酸の反応溶液をそのまま、又は、希釈して使用することができ、或いは反応溶液から沈殿回収したポリアミック酸を適当な溶剤に再溶解させて使用することができる。希釈及び再溶解に用いる溶剤は、得られたポリアミック酸を溶解させるものであれば特に限定されないが、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。これらの溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0014】
前記式(8)で表わされる酸二無水物としては、X1が下記式(5)で表わされる構造
である酸二無水物が好ましい。
【化7】

[式中、R1乃至R10は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキ
ル基、炭素原子数1乃至10のハロアルキル基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシル基、ホスホニル基、スルホニル基、W1で置換されていてもよいフェニル基、W1で置換されていてもよいナフチル基、W1で置換されていてもよいチエニル基又はW1で置換されていてもよいフリル基を表し、
1は、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のハロアルキル基
、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシル基、ホスホニル基又はスルホニル基を表わし、
1及びZ2は、それぞれ独立して、アミノ基、炭素原子数1乃至10で置換されたアルキルアミノ基又は酸素原子を表す。なお、○は結合手を表わす。]
【0015】
このような式(8)で表わされる酸二無水物としては、例えば、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、2−メチル−1,4−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、2,5−ジトリフルオロメチル−1,4−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、2−クロロ−1,4−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、2−フルオロ−1,4−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)及び2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)、並びにN,N’−(1,4−フェニレン)ビス(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロベンゾフラン−5−カルボキシアミド)及びN,N’−(1,4−フェニレン)ビス(N−メチル−1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロベンゾフラン−5−カルボキシアミド)等が挙げられる。
【0016】
また、前記式(9)で表わされる酸二無水物としては、X2が下記式(6)で表わされ
る構造である酸二無水物が好ましい。
【化8】

[式中、R11乃至R24は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のハロアルキル基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、
ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシル基、ホスホニル基、スルホニル基、W1で置換されていてもよいフェニル基、W1で置換されていてもよいナフチル基、W1で置換されていてもよいチエニル基又はW1で置換されていてもよいフリル基を表し、
1は、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のハロアルキル基
、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシル基、ホスホニル基又はスルホニル基を表わし、
3乃至Z5は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1乃至10のアルキル基、W2
で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10のアルキレン基、−C(O)O−、−C(O)NH−、−O−、−S−、−S(O)2−又は−C(O)−を表わし、
2は、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のハロアルキル基
又は炭素原子数1乃至10のアルコキシ基を表わし、
lは0又は1を表わす。なお、○は結合手を表わす。]
【0017】
このような式(9)で表わされる酸二無水物としては、例えば、4,4’−(イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(フタル酸無水物)、4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデンジフェノキシ)ビス(フタル酸無水物)、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ビス(4,1−フェニレン)ビス(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロベンゾフラン−5−カルボキシレート)、5,5’−(4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(スルファンジイル)ジイソベンゾフラン−1,3−ジオン、4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ビス(4,1−フェニレン)ビス(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロベンゾフラン−5−カルボキシアミド、5,5’−(4,4’−カルボニルビス(4,1−フェニレン)ビス(オキシ))ジヒドロベンゾフラン−1,3−ジオン、5,5’−(4,4’−スルホニルビス(4,1−フェニレン)ビス(オキシ))ジヒドロベンゾフラン−1,3−ジオン等が挙げられる。
【0018】
前記式(7)で表わされる芳香族ジアミンは、本発明の樹脂組成物から得られる硬化膜が十分に低い線膨張係数を有するものとする観点から剛直で直線的な分子構造を有するジアミンを使用することが好ましい。そのようなジアミンとしては、例えば、p−フェニレンジアミン、2−メチル−1,4−フェニレンジアミン、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレンジアミン、2−メトキシ−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−1,4−フェニレンジアミン、2,5−ビス(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、ベンジジン、3,3’−ジヒドロキシベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、o−トリジン、m−トリジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、オクタフルオロベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、2,2’,5,5’−テトラクロロベンジジン等が挙げられる。
【0019】
前記式(7)で表わされる脂肪族ジアミンとしては、例えば、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、4,4’−メチレンビス(3−メチルシクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン、トランス−1,4−シクロヘキサンジアミン、シス−1,4−シクロヘキサンジアミン、1,4−シクロヘキサンビス(メチルアミン)、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロ〔5.2.1.0〕デカン、1,3−ジアミノアダマンタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)ヘキサフルオロプロパン、1,3−プロパンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン等が挙げられる。前記脂肪族ジア
ミンのうち、本発明の樹脂組成物から得られる硬化膜が十分に低い線膨張係数を有するものとする観点から剛直で直線的な分子構造を有するジアミンを使用することが好ましく、例えばトランス−1,4−シクロヘキサンジアミンが好適に用いられる。
【0020】
ポリアミック酸の生成反応に使用される溶剤としては特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホオキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,2−ジメトキシエタン−ビス(2−メトキシエチル)エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ピコリン、ピリジン、アセトン、クロロホルム、トルエン、キシレン等の非プロトン性溶剤、及びフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール等のプロトン性溶剤等が挙げられる。これらの溶剤は単独で又は2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
上記反応において、酸二無水物成分の割合は、上記式(8)で表される酸二無水物と上記式(9)で表される酸二無水物とのモル比が、70/30以下であることが好ましい。
【0022】
また、上記反応において、酸二無水物成分とジアミン成分との割合は、モル比で酸二無水物成分/ジアミン成分=0.8乃至1.2であることが好ましい。通常の重縮合反応と同様に、このモル比が1に近いほど生成する重合体の重合度は大きくなる。重合度が小さすぎるとポリイミド硬化膜の強度が不十分となり、また重合度が大きすぎるとポリイミド硬化膜形成時の作業性が悪くなる場合がある。
【0023】
生成されるポリアミック酸の重量平均分子量は、ポリアミック酸を含むディスプレイ基板用樹脂組成物から得られる硬化膜の強度を維持するために、ポリスチレン換算にて3,000乃至100,000が好ましい。重量平均分子量が3,000未満では、できあがったフィルムが脆くなる可能性があり、一方、重量平均分子量が100,000を超えるとポリアミック酸のワニスの粘度が高くなり過ぎる可能性があり、その結果、取扱いが難しくなるからである。
なお、斯かる数値範囲を満たすために、上記式(1)及び式(3)中のnとmとは、n+mで通常、6乃至180であり、好ましくは10乃至100であり、より好ましくは10乃至50である。
【0024】
上記のようにして、得られた上記式(1)で表わされる構造単位及び式(3)で表わされる構造単位からなるポリアミック酸における構造単位の繰り返し数は、上記式(1)中のnと上記式(3)中のmとが、n/(n+m)≧70%の関係であることが好ましい。
【0025】
<ポリイミド>
本発明のディスプレイ基板用樹脂組成物に含まれるポリイミドは、上述のように合成したポリアミック酸を、加熱により脱水閉環(熱イミド化)して得ることができる。なお、この際、ポリアミック酸を溶剤中でイミドに転化させ、溶剤可溶性のポリイミドとして用いることも可能である。また、公知の脱水閉環触媒を使用して化学的に閉環する方法も採用することができる。加熱による方法は、100乃至300℃、好ましくは120乃至250℃の任意の温度で行うことができる。化学的に閉環する方法は、例えば、ピリジンやトリエチルアミンなどと、無水酢酸などとの存在下で行うことができ、この際の温度は、−20乃至200℃の任意の温度を選択することができる。
【0026】
本発明では、ポリイミドの反応溶液をそのまま、又は、希釈して使用することができ、或いは反応溶液にメタノール、エタノールなどの貧溶媒を加えて沈殿回収したポリイミドを適当な溶剤に再溶解させて使用することができる。希釈及び再溶解に用いる溶剤は、得
られたポリイミドを溶解させるものであれば特に限定されないが、例えば、m−クレゾール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0027】
生成されるポリイミドの重量平均分子量は、ポリイミドを含むディスプレイ基板用樹脂組成物から得られる硬化膜の強度を維持するために、ポリスチレン換算にて3,000乃至100,000が好ましい。重量平均分子量が3,000未満では、できあがったフィルムが脆くなる可能性があり、一方、重量平均分子量が100,000を超えるとポリイミドのワニスの粘度が高くなり過ぎる可能性があり、その結果、取扱いが難しくなるからである。
なお、斯かる数値範囲を満たすために、上記式(2)及び式(4)中のnとmとは、n+mで通常6乃至180であり、好ましくは10乃至100であり、より好ましくは10乃至50である。
【0028】
上記のようにして、得られた上記式(2)で表わされる構造単位及び式(4)で表わされる構造単位からなるポリイミドにおける構造単位の繰り返し数は、上記式(2)中のnと上記式(4)中のmとが、n/(n+m)≧70%の関係であることが好ましい。
【0029】
<架橋剤>
本発明のディスプレイ基板用樹脂組成物は、架橋剤(以下、架橋性化合物ともいう。)を含むことができる。架橋性化合物は、そのポジ型感光性樹脂組成物を用いて得られる塗膜を、硬化膜に転換する工程(以下、最終硬化時という。)で、ポリアミック酸、またはポリイミドの少なくとも一方に含有される有機基と、反応し得る基を有する化合物であれば特に限定されない。そのような化合物としては、例えば、エポキシ基を2個以上含有する化合物や、アミノ基の水素原子が、メチロール基、アルコキシメチル基又はその両方で置換された基を有する、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体又はグリコールウリル等が挙げられる。このメラミン誘導体及びベンゾグアナミン誘導体は、二量体又は三量体であっても良く、又、単量体、二量体及び三量体から任意に選ばれる混合物であっても良い。これらのメラミン誘導体及びベンゾグアナミン誘導体は、トリアジン環1個当たり、メチロール基又はアルコキシメチル基を平均3個以上6個未満有するものが好ましい。
また、本発明に用いられる架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0030】
以下に、架橋性化合物の具体例を挙げるが、これに限定されない。
エポキシ基を2個以上含有する化合物としては、エポリードGT−401、エポリードGT−403、エポリードGT−301、エポリードGT−302、セロキサイド2021、セロキサイド3000(以上、ダイセル化学工業(株)製)等のシクロヘキセン構造を有するエポキシ化合物;エピコート1001、エピコート1002、エピコート1003、エピコート1004、エピコート1007、エピコート1009、エピコート1010、エピコート828(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)等のビスフェノールA型エポキシ化合物;エピコート807(ジャパンエポキシレジン(株)製)等のビスフェノールF型エポキシ化合物;エピコート152、エピコート154(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPPN201、EPPN202(以上、日本化薬(株)製)等のフェノールノボラック型エポキシ化合物;ECON−102、ECON−103S、ECON−104S、ECON−1020、ECON−1025、ECON−1027(以上、日本化薬(株)製)、エピコート180S75(ジャパンエポキシレジン(株)製)等のクレゾールノボラック型エポキシ化合物;V8000−C7(DIC(株)製)等のナフタレン型エポキシ化合物;デナコールEX−252(ナガセケムテックス(株)製)
、CY175、CY177、CY179、アラルダイトCY−182、アラルダイトCY−192、アラルダイトCY−184(以上、BASF社製)、エピクロン200、エピクロン400(以上、DIC(株)製)、エピコート871、エピコート872(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、ED−5661、ED−5662(以上、セラニーズコーティング(株)製)等の脂環式エポキシ化合物;デナコールEX−611、デナコールEX−612、デナコールEX−614、デナコールEX−622、デナコールEX−411、デナコールEX−512、デナコールEX−522、デナコールEX−421、デナコールEX−313、デナコールEX−314、デナコールEX−312(以上、ナガセケムテックス(株)製)等の脂肪族ポリグリシジルエーテル化合物が挙げられる。
【0031】
アミノ基の水素原子がメチロール基、アルコキシメチル基又はその両方で置換された基を有する、メラミン誘導体、ベンゾグアナミン誘導体又はグリコールウリルとしては、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均3.7個置換されているMX−750、トリアジン環1個当たりメトキシメチル基が平均5.8個置換されているMW−30(以上、(株)三和ケミカル製);サイメル300、サイメル301、サイメル303、サイメル350、サイメル370、サイメル771、サイメル325、サイメル327、サイメル703、サイメル712等のメトキシメチル化メラミン;サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル212、サイメル253、サイメル254等のメトキシメチル化ブトキシメチル化メラミン;サイメル506、サイメル508等のブトキシメチル化メラミン;サイメル1141のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化イソブトキシメチル化メラミン;サイメル1123のようなメトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン;サイメル1123−10のようなメトキシメチル化ブトキシメチル化ベンゾグアナミン;サイメル1128のようなブトキシメチル化ベンゾグアナミン;サイメル1125−80のようなカルボキシル基含有メトキシメチル化エトキシメチル化ベンゾグアナミン;サイメル1170のようなブトキシメチル化グリコールウリル;サイメル1172のようなメチロール化グリコールウリル(以上、三井サイアナミッド(株)製)等が挙げられる。
また、本発明のディスプレイ基板用樹脂組成物における架橋剤の含有量は特に限定されないが、樹脂組成物の保存安定性をより向上させる観点から、ポリアミック酸又はポリイミド100質量部に対して、40質量部以下が好ましく、本発明の樹脂組成物から得られる硬化膜が十分に低い線膨張係数を有するものとする観点から、30質量部以下がより好ましい。
【0032】
<ワニス及び硬化膜の製造方法>
本発明のディスプレイ基板用樹脂組成物からなる硬化膜を形成する具体的な方法としては、まず、樹脂組成物を溶剤に溶解又は分散してワニスの形態(膜形成材料)とし、該ワニスを基板上にキャストコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等によって塗布して塗膜を得る。そして得られた塗膜を、ホットプレート、オーブン等で焼成することにより硬化膜が形成される。焼成温度としては、通常100乃至400℃、好ましくは100乃至350℃である。
また前記基板としては、例えば、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属、木材、紙、ガラス、スレート等を挙げることができる。
【0033】
前記ワニスの形態において使用する溶剤としては、ディスプレイ基板用樹脂組成物を溶解させるものであれば特に限定されないが、例えば、上記ポリアミック酸の生成反応において使用される溶剤等が挙げられる。これら溶剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また上記溶剤に樹脂組成物を溶解又は分散させる濃度は任意であるが、ディスプレイ基板用樹脂組成物と溶剤の総質量(合計質量)に対して、ディスプレイ基板用樹脂組成物の濃度は5乃至40質量%であり、樹脂組成物の保存安定性をより向上させる観点から好ましくは10乃至20質量%であり、樹脂組成物をより均一に塗布させる観点からより好ましくは10乃至15質量%である。
ディスプレイ基板用樹脂組成物から形成される硬化膜の厚さは特に限定されないが、通常1乃至50μm、好ましくは5乃至40μmである。
【実施例】
【0034】
以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
[実施例で用いる略記号]
以下の実施例で用いる略記号の意味は、次のとおりである。
<酸二無水物>
TAHQ:p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)
BABPA:4,4’−(イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(フタル酸無水物)
NA:ナフタレン−1,4,5,8−酸二無水物
<ジアミン>
PDA:p−フェニレンジアミン
<架橋剤>
V8000−C7:DIC(株)製ナフタレン型エポキシ化合物
<溶剤>
NMP:N−メチルピロリドン
【0035】
[数平均分子量及び重量平均分子量の測定]
ポリマーの重量平均分子量(以下、Mwと略す。)と分子量分布は、日本分光(株)製GPC装置(Shodex[登録商標]カラムKF803L及びK805L)を用い、溶出溶媒としてジメチルホルムアミドを流量1mL/分、カラム温度50℃の条件で測定した。なお、Mwはポリスチレン換算値とした。
【0036】
<合成例:ポリアミック酸(P1)の合成>
PDA 29.6g(0.274モル)をNMP 1000gに溶解し、TAHQ 87.7g(0.191モル)とBPADA 42.7g(0.0821モル)とを同時に添加した後、再度NMP 71gを添加し、窒素雰囲気下、23℃で24時間反応させた。得られたポリマーのMwは22,800、分子量分布は2.25であった。
【0037】
<比較例:ポリアミック酸(HP1)の合成>
PDA 21.2g(0.1964モル)をNMP 350gに溶解し、TAHQ 63.0g(0.1375モル)とNA 15.8g(0.0589モル)とを同時に添加した後、再度NMP 50gを添加し、窒素雰囲気下、23℃で24時間反応させた。得られたポリマーのMwは19,800、分子量分布は1.99であった。
【0038】
<サンプル作製:ワニス>
表1に示す組成に従い、ポリマー溶液、架橋剤及び溶剤を混合し、室温(およそ25℃)で6時間以上攪拌して均一な溶液とすることにより、ディスプレイ基板用樹脂組成物(ワニス)を調製した。
【0039】
【表1】

【0040】
<塗布膜、及び線膨張係数評価>
上記で調製したディスプレイ基板用樹脂組成物(ワニス)を次の手法で評価した。使用した現像条件と評価結果を表2に示す。
[キュア前膜厚・薄離方法]
表1のディスプレイ基板用樹脂組成物(ワニス)をそれぞれ、100mm×100mmのガラス基板上にバーコーター(段差250μm)を用いて塗布し、温度110度10分間オーブンで焼成した。その後、表2に記載した焼成条件にて再度焼成を行った。得られた塗布膜の膜厚は接触式膜厚測定器((株)ULVAC製Dektak 3ST)を使用し、測定した。その後、ガラス基板ごとに1Lビーカー内の70度の純水中に静置し、フィルムの剥離を行った。
【0041】
[線膨張係数]
上記で得られたフィルムから20mm×5mm状の短冊を作製し、TMA−4000SA(ブルカー・エイエックスエス(株)製)を用いて、50度から400度まで5度/分の条件で昇温させ、線膨張係数を測定した。
【0042】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表わされる構造単位及び式(3)で表わされる構造単位からなるポリアミック酸又は下記式(2)で表わされる構造単位及び式(4)で表わされる構造単位からなるポリイミドを含むディスプレイ基板用樹脂組成物。
【化1】

[式(1)乃至式(4)中、X1は芳香族基と2つのカルボニル基を有する2価の有機基
を表わし、X2は芳香族基を有する2価の有機基を表わし、Y1は2価の芳香族基又は脂肪族基を表わし、n及びmは自然数を表わす。]
【請求項2】
前記X1が下記式(5)で表わされる構造である、請求項1に記載のディスプレイ基板
用樹脂組成物。
【化2】

[式中、R1乃至R10は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキ
ル基、炭素原子数1乃至10のハロアルキル基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシル基、ホスホニル基、スルホニル基、W1で置換されていてもよいフェニル基、W1で置換されていてもよいナフチル基、W1で置換されていてもよいチエニル基又はW1で置換されていてもよいフリル基を表し、
1は、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のハロアルキル基
、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシル基、ホスホニル基又はスルホニル基を表わし、
1及びZ2は、それぞれ独立して、アミノ基、炭素原子数1乃至10で置換されたアルキルアミノ基又は酸素原子を表す。なお、○は結合手を表わす。]
【請求項3】
前記式(5)のR1乃至R10が水素原子であり、かつZ1及びZ2が酸素原子である、請
求項2に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物。
【請求項4】
前記X2が下記式(6)で表わされる構造である、請求項1に記載のディスプレイ基板
用樹脂組成物。
【化3】

[式中、R11乃至R24は、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のハロアルキル基、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシル基、ホスホニル基、スルホニル基、W1で置換されていてもよいフェニル基、W1で置換されていてもよいナフチル基、W1で置換されていてもよいチエニル基又はW1で置換されていてもよいフリル基を表し、
1は、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のハロアルキル基
、炭素原子数1乃至10のアルコキシ基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ホルミル基、シアノ基、カルボキシル基、ホスホニル基又はスルホニル基を表わし、
3乃至Z5は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1乃至10のアルキル基、W2
で置換されていてもよい炭素原子数1乃至10のアルキレン基、−C(O)O−、−C(O)NH−、−O−、−S−、−S(O)2−又は−C(O)−を表わし、
2は、炭素原子数1乃至10のアルキル基、炭素原子数1乃至10のハロアルキル基
又は炭素原子数1乃至10のアルコキシ基を表わし、
lは0又は1を表わす。なお、○は結合手を表わす。]
【請求項5】
前記式(6)中のR11乃至R24が水素原子であり、かつZ4が単結合又は炭素原子数1
乃至10のアルキル基である、請求項4に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物。
【請求項6】
前記式(6)中のZ3及びZ5は、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1乃至10のアルキル基、−C(O)O−、−C(O)NH−又は−O−である、請求項5に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物。
【請求項7】
前記式(6)中のZ3及びZ5は、それぞれ独立して、単結合、−C(O)O−又は−O−であり、かつZ4は、単結合又は炭素原子数1乃至6のアルキル基である、請求項6に
記載のディスプレイ基板用樹脂組成物。
【請求項8】
前記Y1が下記式(7)で表わされるジアミンから誘導される、請求項1乃至請求項7
のいずれか一項に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物。
2N−Y1−NH2 (7)
(式中、Y1は2価の芳香族基又は脂肪族基を表わす。)
【請求項9】
前記2価の芳香族基がフェニル基である、請求項8に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物。
【請求項10】
前記式(1)中のnと前記式(3)中のmとがn/(n+m)≧70%の関係である、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物。
【請求項11】
前記式(2)中のnと前記式(4)中のmとがn/(n+m)≧70%の関係である、請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物。
【請求項12】
さらに、架橋剤を含む、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載のディスプレイ基板用樹脂組成物が少なくとも1種の溶剤に溶解していることを特徴とする、ワニス。
【請求項14】
請求項13に記載のワニスを用いて230度以上で焼成することにより得られる、硬化膜。
【請求項15】
基板上に請求項14に記載の硬化膜からなる層を少なくとも一層備える、構造体。

【公開番号】特開2013−40249(P2013−40249A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−176747(P2011−176747)
【出願日】平成23年8月12日(2011.8.12)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】