説明

ディスプレイ装置

【課題】高い電磁波遮蔽性と明所コントラスト向上機能を両立し、かつ広い視野角を確保できる光学フィルムを提供する。
【解決手段】透明基材層1と、透明基材層中にその面内において格子を形成するように設けられた二機能線状部とを備える。二機能線状部の格子を形成する複数本の水平線状部2a及び垂直線状部2bは、各々一定の間隔で平行に配置されている。二機能線状部は、光吸収層4に導電層5が内包された構造であって、台形または三角形の断面形状を有し、垂直線状部の高さが水平線状部の高さに比べて低い。このフィルムは、光吸収層を光学画像が表示される向きに向けてディスプレイ装置に装着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイなどのディスプレイ装置に装着される光学フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モニタ、テレビ用途等のディスプレイ装置の薄型大型化が進んできており、その一種として、プラズマディスプレイが知られている。プラズマディスプレイにおいては、パネルから高レベルの電磁波が発生する。電磁波は、電子機器の作動や人体への安全の観点から規制値が設けられており、プラズマディスプレイからの電磁波もこの規制値以下に抑制することが必須である。そこで、この電磁波を遮蔽するためのフィルタが、プラズマディスプレイパネルの観察者側に設けられている。
【0003】
このような電磁波遮蔽フィルタとしては、金属を多層にスパッタして形成したタイプと、金属がメッシュパターン状に配置されたタイプの2種類がある。このうち、電磁波遮蔽性能については、メッシュパターンのタイプが優れており、従来のハイビジョン画質パネルから、フルハイビジョン画質等の高精細パネルまで、様々な種類のプラズマディスプレイへ適用することができる。しかし一方でメッシュパターンのタイプはコスト優位性に乏しいため、金属箔のエッチングによりメッシュパターンを形成する方法の他、印刷法など、製造コストを低減させるための検討が行われている。
【0004】
また、プラズマディスプレイは、液晶ディスプレイと比較すると、パネル表面の光反射率が高いため、特に天井照明からの光を反射することによる明所コントラストの低下が問題視されてきた。この問題を解決するため、ルーバーフィルムと呼ばれる、一定間隔で連続して配列された線状の光吸収部が透明基材層で覆われた構成のフィルムが用いられる。このルーバーフィルムを、ディスプレイ観察者から見て水平方向、つまり地面と水平な方向へ線状の光吸収部を配列して、パネルの観察者側に装着し、各線状光吸収部の側壁により外光を吸収させることで、明所コントラストを向上させることができる。
【0005】
しかし、ルーバーフィルムを新たに追加することになるため、コストアップは避けられない。更には高い電磁波遮蔽性能を持つメッシュパターンのタイプの電磁波遮蔽フィルムと組み合わせた場合には、更にコスト優位性に乏しいものとなってしまう。同時に、パターン構造が施された2種類の基材を重ね合わせることになるため、少しの重ね合わせずれでモアレが大幅に発生してしまい、歩留まりの低下を招いてしまう。
【0006】
このようなコストアップを回避する方法として、線状光吸収部が導電性も有するように構成することで、電磁波遮蔽性能と、明所コントラストを同時に向上させる方法が提案されている(特許文献1)。
【0007】
更に、充分な導電性を得るためには、地面に対して水平方向に延在する線状光吸収部(以下、水平線状部と称する)だけでなく、垂直方向に延在する線状光吸収部(以下、垂直線状部と称する)を配置することが必要である。すなわち、各水平線状部と各垂直線状部を格子状に配置して互いに電気的に接続することにより、フィルム全面における導電性を高めるためである。但し、この垂直線状部により、視野角が狭くなる問題が発生する。この問題に対しては、垂直線状部ピッチを水平線状部ピッチに対して数倍に設定する方法が提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−253332号公報
【特許文献2】特開2008−242232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に開示された、導電性を有する線状光吸収部を配置して、電磁波遮蔽性能と明所コントラスト向上の性能を同時に得る構成の場合、明所コントラスト及び電磁波遮蔽のいずれにも十分な性能を得る、ということが困難であるという問題がある。
【0010】
この問題は、各線状光吸収部を構成する材料として、(1)黒い導電性粒子、つまり表面黒化処理された導電性粒子、もしくは(2)黒色染料もしくは顔料が添加された導電性粒子、のいずれかが必要であることに起因する。いずれの場合も、外光吸収性能を向上させるために黒化を増大させると導電性が低下する。つまり(1)の場合は、表面黒化処理を進行させるに伴い、粒子間の接触抵抗が増大し、(2)の場合は、黒色染料もしくは顔料の濃度を高めると導電性粒子の濃度が低下し、マクロな抵抗が増大するためである。その結果、明所コントラスト向上性能と電磁波遮蔽性能の両立が困難である。
【0011】
また、特許文献2に開示された、垂直線状部ピッチを水平線状部ピッチに対して数倍に設定することにより、垂直線状部の配置により視野角が狭くなる問題を解決する方法を採用した場合、接続するための垂直線状部ピッチが長くなるほど電気的な接続点が減少するため、電磁波遮蔽性能の低下が避けられない。そのため、十分な電磁波遮蔽性能と視野角の確保の両立が困難であった。
【0012】
本発明は、上記従来技術の問題点を考慮して、高い電磁波遮蔽性と明所コントラスト向上機能を両立し、かつ広い視野角を確保できる光学フィルムを備えたディスプレイ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本発明のディスプレイ装置は、光学画像を表示するディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの前面に配置された前面フィルタとを備え、前記前面フィルタは、透明基材層と、前記透明基材層中にその面内において格子を形成するように設けられた二機能線状部とを備えた光学フィルムを用いて構成され、前記二機能線状部は、光吸収層と導電層が内包された構造であって、台形または三角形の断面形状を有し、前記二機能線状部の格子を形成する複数本の水平線状部及び垂直線状部は、各々一定の間隔で平行に配置されており、前記垂直線状部の高さが前記水平線状部の高さに比べて低いことを特徴とする。
【0014】
本発明の製造方法は、ディスプレイ装置に用いる光学フィルムの製造方法であって、前記透明基材層に前記水平線状部及び垂直線状部に対応する溝を形成する第1の工程と、前記透明基材層の前記溝中に光吸収材料およびバインダー樹脂および溶剤を含む液状組成物を充填し溶剤を乾燥させることにより、前記溝の底部及び側壁に前記光吸収材料および前記バインダー樹脂からなる前記光吸収層を形成する第2の工程と、前記光吸収層が形成された前記透明基材層の前記溝中に、導電材料を含む液状組成物を充填し前記導電層を形成する第3の工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光学フィルムは、水平線状部及び垂直線状部において光吸収層と導電層が個別に形成された形態をとることにより、コストアップを回避しながら、各々の機能にとって最適な条件を確保して高い光吸収性能と高い電磁波遮蔽性能を両立させることができる。更に、垂直線状部の高さを低くすることにより、視野角確保のために垂直線状部のピッチを疎にする必要がないため、広い視野角と高い電磁波遮蔽性能を両立させることができる。
【0016】
また、本発明の光学フィルムの製造方法によれば、水平線状部及び垂直線状部に対応する溝に対して順次、光吸収層と導電層を形成する工程を採用することにより、当該フィルムを容易に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態1における光学フィルムの上面図
【図2】同光学フィルムの図1におけるY−Y線に沿った拡大断面図
【図3】同光学フィルムの図1におけるX−X線に沿った拡大断面図
【図4】同光学フィルムが透明支持基材上に形成された形態を示す断面図
【図5A】同光学フィルムの製造方法の一工程を示す断面図
【図5B】同製造方法の図5Aに続く工程を示す断面図
【図5C】同製造方法の図5Bに続く工程を示す断面図
【図6】実施の形態2における光学フィルムを用いたディスプレイ装置用の前面フィルタの構成を示す断面図
【図7】実施の形態3における光学フィルムが設けられたディスプレイ装置の構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の光学フィルムは、上記構成を基本として、以下のような態様をとることができる。
【0019】
すなわち、前記垂直線状部の高さが前記水平線状部の高さに対して1/10から1/2の範囲に設定されることが好ましい。
【0020】
また、前記二機能線状部が形成された領域の周囲に枠状の外周電極部が配置され、前記外周電極部は前記光吸収層に前記導電層が内包された構造を有し、前記二機能線状部の前記導電層は、前記外周電極部の前記導電層と接続されていることが好ましい。
【0021】
本発明のディスプレイ装置は、光学画像を表示するディスプレイパネルと、前記ディスプレイパネルの前面に配置された前面フィルタとを備え、前記前面フィルタは、上記いずれかの構成の光学フィルムを用いて構成され、前記台形の断面形状の上底側または前記三角形の断面形状の頂点側を前記光学画像が表示される向きに向けて装着されている。それにより、観察者側に対して放射される電磁波が遮蔽され、しかも明所コントラストが高く広い視野角が確保される。
【0022】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、本発明は図面に記載の構成に限定されるものではない。
【0023】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1における光学フィルムの上面図、図2は、図1のY−Y線に沿った拡大断面図、図3は、図1のX−X線に沿った拡大断面図を示す。この光学フィルムは、ディスプレイ装置の画像が表示される面に装着され、従って、図1はディスプレイ観察者側から見た構成を示す。
【0024】
図1に示すように、この光学フィルムは、透明基材層1中に、その面内において格子を形成するように二機能線状部2が設けられた構成を有する。二機能線状部2の格子は、複数本の水平線状部2a及び垂直線状部2bにより形成されている。二機能線状部2の周囲には、外周電極部3が配置されている。
【0025】
図2、図3に示すように、水平線状部2a及び垂直線状部2bは、光吸収層4に導電層5が内包された形態で、台形の断面形状に形成されている。図2、図3は内包された形態を示す一例であるが、水平線状部2a及び垂直線状部2bの下部に導電層5が形成され、光吸収層4は導電層5の上部に配置され、しかも、導電層5の側部も覆うように形成されている。外周電極部3も、光吸収層4に導電層5が内包された形態を有する。
【0026】
水平線状部2aの導電層5と垂直線状部2bの導電層5とは、交差箇所において互いに接続されている。また、水平線状部2a及び垂直線状部2bの導電層5は、外周電極部3の導電層5と接続されている。
【0027】
水平線状部2a及び垂直線状部2bは、図1の平面形状に示されるように、水平方向と垂直方向に各々一定の間隔で平行に配置される。更に、図2、図3に示すように、垂直線状部2bの高さが水平線状部2aの高さに比べ低くなっている。
【0028】
水平線状部2a及び垂直線状部2bの以上の形態が、本発明の光学フィルムの基本的な構成である。この光学フィルムは、光吸収層4の側、すなわち断面の台形の上底側をディスプレイ観察者側に向けて、すなわち光学画像が表示される向きに向けてディスプレイ装置に装着される。この構成では、水平線状部2a及び垂直線状部2bの線状部内において、光吸収層4と導電層5が個別に形成された形態をとるため、各々の層について最適な条件を満足させて、高いコントラストと高い電磁波遮蔽性能を両立させることができる。更に、垂直線状部2bを低くしたことにより、視野角確保のために垂直線状部2bのピッチを疎にする必要がないため、広い視野角と高い電磁波遮蔽性能を両立させることができる。
【0029】
なお、上記構成では、光吸収層4と導電層5が設けられる透明基材層1が、基材として単独で用いられた形態である。これに対して、図4に示すように、ガラスもしくは樹脂フィルムなどからなる透明支持基材6により透明基材層1が支持された形態であっても良い。
【0030】
光吸収層4に導電層5が内包された水平線状部2aおよび垂直線状部2bの断面形状は、図示したような台形に限らず、四角形または三角形であっても良いし、これらの頂点は曲線であっても良い。また、本実施の形態において、「光吸収層4に導電層5が内包された」とは、二機能線状部2における導電層5の少なくも頂部および側部の面が光吸収層4によって覆われている状態を意味する。
【0031】
水平線状部2aおよび垂直線状部2bが形成される領域は、光学フィルムが装着されるディスプレイ装置の画像表示面積全てを被覆するように設定される。水平線状部2aおよび垂直線状部2bの線幅は特に限定されるものではないが、ディスプレイ装置からの光透過率を考慮すると、線幅は狭いほうが望ましい。実用的には、50μm以下とすることが好ましく、さらに好ましくは20μm程度とする。なお、この範囲にて、水平線状部2aおよび垂直線状部2bは線幅が異なっていても良い。
【0032】
以下に、水平線状部2aの機能、及び望ましい構成について詳細に説明する。水平線状部2aは、外光吸収による明所コントラスト向上、および導電性の付与を目的として設けられる。
【0033】
まず明所コントラスト向上のための役割について説明する。ディスプレイ装置の表面に入射する外光源としては天井照明が主なものである。外光の多くはディスプレイ装置上方から斜めに入射する。そこで、観察者から見て光吸収材が水平方向に配置されていると、その線の側壁で外光が吸収されてディスプレイ装置からの反射が抑制され、明所コントラストが向上する。
【0034】
光吸収材の作用を考慮すると、明所コントラスト向上には、水平線状部2aの側壁面積が大きいほど効果が大きく、従って水平線状部2aの高さは高い程よい。しかし、水平線状部2aの高さが高すぎると、ディスプレイ観察者の視点が地面に対して上下に移動した場合の輝度変化が大きくなってしまい好ましくない。一方、水平線状部2aの高さが低すぎると、光吸収性能が劣ったものとなってしまう。
【0035】
従って、水平線状部2aのアスペクト比としては、線幅を1とした場合、1:1から1:5の範囲が望ましい。ここで、「水平」とは、厳密な水平方向に限定されることを意味するものではなく、地面と平行な軸を中心に±30度程度の角度の範囲にあることを許容する意味で用いられる。それにより、実用上の十分な効果を得ることが可能だからである。
【0036】
次に、水平線状部2aによる導電性の付与への役割について説明する。本発明において、電磁波遮蔽性を決定する導電率は限定を要するものではない。対象とするディスプレイパネルからの電磁波放射レベルに応じ、光吸収層4に間欠部が生じない比率を上限として、水平線状部2aの断面における導電層5の占める比率を調整することができる。
【0037】
次に垂直線状部2bの機能及び望ましい構成について詳細に説明する。垂直線状部2bは、水平線状部2aを互いに電気的に接続して、電磁波遮蔽性能を向上させるために設けられる。但し、その表面が光を反射すると、全体として白味掛かったコントラストに劣ったディスプレイ装置となってしまうため、垂直線状部2bの表面は光吸収層4である必要がある。また、本発明において、電磁波遮蔽性を決定する導電率は限定を要するものではないため、光吸収層4に間欠部が生じない比率を上限として、垂直線状部2bの断面における導電層5の占める比率を調整することができる。
【0038】
本実施の形態のように、導電性を持つ垂直線状部2bを水平線状部2aに交差させて配置することで、高い電磁波遮断性能が発現する。ここで、「垂直」とは、厳密な垂直方向に限定されることを意味するものではなく、地面と垂直な軸を中心に±30度程度の角度の範囲にあることを許容する意味で用いられる。それにより、実用上の十分な効果を得ることが可能だからである。
【0039】
垂直線状部2bの高さは、以下の点を考慮して設定される。すなわち、垂直線状部2bの高さが、外光吸収が目的である水平線状部2aと同じ高さであると、左右の視野角が狭まる。これを回避するために垂直線状部2bのピッチを水平線状部2aのピッチに対して疎にすると、電気的な接続点が減少し、電磁波遮蔽性能と視野角の確保の両立が困難となる。
【0040】
従って、この観点から、垂直線状部2bの高さは、水平線状部2aの高さに比べて低いことが必要である。それにより、視野角確保のために垂直線状部2bのピッチを疎にする必要は特になく、電気的な接点を多く保てるので、広い視野角と高い電磁波遮蔽性能を両立させることができる。上述のとおり、垂直線状部2bの高さとしては、視野角確保の点からは低いほうが望ましいが、導電性確保の観点からも考えると、水平線状部2aの高さの1/10から1/2の範囲であることが望ましい。
【0041】
外周電極部3は、水平線状部2a及び垂直線状部2bにおける導電層5をディスプレイ装置に電気的に接続して、アースをとるための接点として設けられる。導電層5に吸収された電磁波は新たな電荷を発生させ、この電荷が新たな電磁波発生源となってしまうので、発生した電荷を速やかに外部へ逃がす必要があるためである。但し、導電層5を接地するための構造は外周電極部3に限られず、他のどのような構造を採用してもよい。
【0042】
外周電極部3は、図示したように、表面が光吸収層4で覆われていることが望ましい。それにより、そのままディスプレイ装置の黒枠として使用することができる。このため外周電極部3の幅としては、ディスプレイ装置の枠幅未満か、もしくはディスプレイ装置の枠を兼ねる場合は、ディスプレイ装置の枠の幅と同一にすると良い。外周電極部3の厚さは、本発明の目的にとって、特に限定されることはない。
【0043】
透明基材層1は、無色透明である他、限定されることはないが、その屈折率が光吸収層4より大きいことが、更に望ましい。なぜなら、透明基材層1の屈折率が光吸収層4および導電層5より大きい場合、スネルの式に従ってパネル光が光吸収層4に吸収されることなく、全反射を起こすからである。透明基材層1と光吸収層4の屈折率差が大きいほど、この全反射の起こるパネル光の入射角度範囲が広くなる、つまり、正面輝度が向上する。
【0044】
次に、本実施の形態における光学フィルムの製造方法の一例について、図5A〜図5Cを参照して説明する。まず、図5Aに示すように、透明支持基材6上に透明材料層1aを形成し、透明材料層1a中に水平溝7、垂直溝8(破線で図示)及び外周溝9を形成する。これにより、透明基材層1が作成される。
【0045】
次に、図5Bに示すように、水平溝7、垂直溝8及び外周溝9中に、光吸収材料およびバインダー樹脂および溶剤を含む液状組成物を、各溝の開口側(図では上部)に未充填部が残るように充填する。液状組成物の溶剤を乾燥させることにより、各溝の底部及び側壁に光吸収材料およびバインダー樹脂からなる光吸収層4が形成され、各溝の開口側には一部の空間が残る。
【0046】
次に、図5Cに示すように、水平溝7、垂直溝8及び外周溝9に形成された光吸収層4の上部空間内に、導電材料を含む液状組成物を充填し導電層5を形成する。これにより、水平線状部2a、垂直線状部2b及び外周電極部3が形成されて、図4に示した光学フィルムが完成する。
【0047】
透明支持基材6の上に設けた透明材料層1aに水平溝8、垂直溝9及び外周溝10を形成して、透明基材層1を作成する方法は、本実施の形態においては特に制限されないが、例えば、以下のような方法を用いることができる。
【0048】
(1)透明支持基材6上に透明材料層1aとしてエネルギー硬化性樹脂膜を形成し、エネルギー硬化性樹脂膜に対してフォトリソグラフィーにより溝を形成して透明基材層1とする。
【0049】
(2)透明支持基材6上に透明材料層1aとしてエネルギー硬化性樹脂膜を形成し、エネルギー硬化性樹脂膜に対して、反転溝形状を有する金型を一定の距離を設けて押し付け硬化して剥離することで、溝を形成して透明基材層1とする(以下、転写法と称する)。
【0050】
設備コストや形成に要する時間の観点からは、転写法による形成が好ましく、特に上述の金型としてロール状の金型を用いると、連続加工が可能になるため更に好ましい。
【0051】
透明支持基材6としては、一般的な樹脂フィルム、つまりポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)等を用いることができる。表面に易接着処理等が施されていても良い。また、透明支持基材6の厚さは、特に限定されるものではないが、150μm〜250μmとすることが好ましい。
【0052】
なお、透明支持基材6は、透明基材層1に溝を形成した後、剥離することもできる。この場合、透明支持基材6は透明である必要はない。
【0053】
また、透明基材層1を形成するためのエネルギー硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。この中でも紫外線硬化性樹脂は、簡便な設備かつ短時間で形成できるため好ましい。紫外線硬化性樹脂としては、アクリレート系、メタクリレート系、エポキシ系、ビニル系等のモノマーもしくはオリゴマー、もしくはモノマーとオリゴマーの混合体にエネルギーを付与し硬化させたものを用いることができる。
【0054】
また上述のように、透明基材層1の屈折率は、限定されることはないが、光吸収層4の屈折率より大きいほうが望ましい。このため、透明基材層1にフィラーを分散させて高屈折率化させてもよい。このようなフィラーの材質としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、硫化亜鉛等を用いることができる。
【0055】
透明基材層1の溝中に光吸収層4を形成する方法としては、光吸収材料およびバインダー樹脂および溶剤を含む液状組成物をブレード等で溝に充填し、溶剤を乾燥させることにより、溝底部および溝側壁に光吸収材料およびバインダー樹脂からなる光吸収層4を形成する方法が好適である。この方法に用いる材料に特に制限はないが、光吸収材料としては、カーボン粒子や、表面が黒化処理された金属または金属酸化物等を用いることができる。また、バインダー樹脂としては、例えばエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂やアクリル系樹脂、ビニル樹脂等を用いることができる。
【0056】
また上述のように、光吸収層4の屈折率も、限定されるものではないが、透明基材層1の屈折率より小さいことが望ましい。光吸収層4の屈折率はバインダー樹脂により決定されるので、光吸収層4を透明基材層1より低い屈折率に設定するためには、バインダー樹脂としては屈折率が小さいものを用いることが望ましい。低い屈折率を持つバインダー樹脂として、例えばポリ三フッ化塩化エチレン、ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン6フッ化エチレン共重合樹脂等のフッ素系樹脂や、シリコン樹脂等を用いることができる。
【0057】
またバインダー樹脂としては、後述の導電層5の形成方法に記載されている液状エネルギー硬化性樹脂を用いることもできる。すなわち、溶剤の乾燥後にエネルギーを照射して硬化させることにより、バインダー樹脂として機能させることもできる。エネルギー硬化性樹脂の一例である紫外線硬化性樹脂としては、アクリレート系、メタクリレート系、エポキシ系、ビニル系等のモノマーもしくはオリゴマー、もしくはモノマーとオリゴマーの混合体にエネルギーを付与し硬化させるものを挙げることができる。光吸収層4を透明基材層1より低い屈折率に設定する場合は、低い屈折率を持つ紫外線硬化性樹脂として、例えばウレタンアクリレート系樹脂を用いることができる。
【0058】
また液状組成物中の溶剤比率は、水平線状部2a及び垂直線状部2b中の導電層5の断面積比率を決定するため、対象とするパネルからの電磁波放射レベルに応じ、溝底部もしくは側壁に光吸収層4の間欠部が生じない比率を上限として、溶剤比率を設定することができる。
【0059】
光吸収層4が形成された透明基材層1の溝中に導電層5を形成する方法としては、導電材料を含む液状組成物を、ブレード等で溝に充填することにより形成する方法が好適である。この液状組成物としては、(1)無溶剤型、つまり導電材料と液状エネルギー硬化性樹脂からなる液状組成物、(2)溶剤型、つまり導電材料と溶剤とバインダー樹脂からなる液状組成物、の2種類が挙げられる。
【0060】
(1)の無溶剤型の液状組成物を使用する場合は、光吸収層4が形成された透明基材層1の各溝7、8、9の未充填部に、当該液状組成物をブレード等で充填した後、エネルギーを付与し硬化させる。(2)の溶剤型の液状組成物を使用する場合は、光吸収層4が形成された透明基材層1の各溝7、8、9の未充填部に、当該液状組成物をブレード等で充填した後、溶剤を乾燥させた後、再度、溶剤型の液状組成物を同じ方法で充填、乾燥させることを繰り返すことで、導電層5を形成する。あるいは、溶剤型の液状組成物を充填、乾燥した後、無溶剤型の液状組成物を充填、硬化させて導電層5を形成する方法を採ることもできる。
【0061】
これらの導電層5を形成する方法を適用するための条件を満たす導電材料としては、銀、銅、鉄、アルミ、ニッケル、クロム等の導電性粒子の他、顔料や染料が含まれていても良いが、導電性粒子のみのほうが高い導電性が得られるため望ましい。
【0062】
(1)の無溶剤型の液状エネルギー硬化性樹脂としては、紫外線硬化性、電子線硬化性、熱硬化性樹脂等が挙げられるが、この中でも紫外線硬化性樹脂が、簡便な設備かつ短時間で形成できるため好ましい。このような紫外線硬化性樹脂としては、アクリレート系、メタクリレート系、エポキシ系、ビニル系等のモノマーもしくはオリゴマー、もしくはモノマーとオリゴマーの混合体にエネルギーを付与し硬化させたものを挙げることができる。
【0063】
(2)の溶剤型の液状組成物に用いるバインダー樹脂としては、例えばエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース系樹脂やアクリル系樹脂、ビニル樹脂等を挙げることができる。
【0064】
<実施の形態2>
本発明の光学フィルムを、ディスプレイ装置に適用する場合に構成される前面フィルタの一例を、図6に示す。この前面フィルタは、光学フィルム10、調色層11、近赤外吸収層12、及び反射低減層13から構成される。光学フィルム10の側がディスプレイパネルに面し、反射低減層13が観察者に面するように配置される。光学フィルム10は、実施の形態1で説明したとおりの構成、及び機能を有する。
【0065】
近赤外吸収層12、および調色層11は各々、パネルから放射される近赤外光を実用上問題ないレベルにまでカットする目的と、不要な放電ガス発光を選択的にカットする目的で設置される。これらの層の特性は、色素を樹脂フィルム等の基材に混練させることや、樹脂および溶剤で塗料化した色素を樹脂フィルム等の基材に塗布、乾燥すること等で調整できる。すなわち、近赤外光のカットには、近赤外光を吸収する色素を、放電ガス発光のカットには、当該発光に相当する波長を吸収する色素を用いれば良い。
【0066】
反射低減層13は、照明器具等の映りこみによって画像が見えにくくなることを防ぐために設けられ、反射防止性、または防眩性、またはその両特性を備えた反射防眩性のうち、いずれかひとつの特性を有するものである。
【0067】
<実施の形態3>
実施の形態3における光学フィルムが設けられたディスプレイ装置の構成について、図7に示す断面図を参照して説明する。同図における光学フィルム10は、実施の形態1で説明したとおりの構成、及び機能を有する。
【0068】
本実施の形態では、光学フィルム10が粘着層14により、(プラズマ)ディスプレイパネル15に接合されている。ディスプレイパネル15は、裏面に設けられたシャーシ16を含み、光学フィルム10の外周電極部3が、両面接着性導電テープ17を介してシャーシ16へ電気的に接続され、これによりアースされている。
【0069】
このように光学フィルム10とシャーシ16を電気的に接続しアースをとることで、電磁波を効率よく遮蔽することができる。すなわち、導電層5に吸収された電磁波が新たな電荷を発生させ、この電荷が新たな電磁波発生源となってしまうことが防止されるためであり、発生した電荷を速やかに外部へ逃がすことができる。
【0070】
なお、本実施の形態では、導電層5の接地構造を示すために、光学フィルム10のみがディスプレイパネル15に装着された形態を示したが、実施の形態2と同様の、光学フィルム10、調色層11、近赤外吸収層12、及び反射低減層13から構成された前面フィルタがディスプレイパネル15に装着された形態が望ましい。
【0071】
また、ディスプレイパネル15と光学フィルム10との固定方法は特に限定されることはないが、両面接着性導電テープ17により生じる段差を解消するため、画像表示面積を完全に被覆する面積を有する接着層により固定されることが望ましい。
【実施例】
【0072】
次に、本実施の形態の光学フィルムを用いた前面フィルタの具体的な実施例について説明する。ただし本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0073】
[実施例]
(光学フィルムの作製)
図5Aに示した透明支持基材6として、幅550mmの、片面易接着性ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製コスモシャインA4100、フィルム厚100μm)を用意した。このフィルムの易接着処理面に対し、硬化後の膜厚が150μmとなるように液状紫外線硬化性樹脂(東洋合成工業株式会社製PAK−02)を塗布した。
【0074】
次に、液状紫外線硬化性樹脂に溝を形成するためのロール版を用意した。ロール版には、ロール回転方向に沿って配置された断面が台形形状の水平溝7用凸状線と、ロール回転方向と直交する方向に沿って配置された断面が台形形状の垂直溝8用凸状線が、長方形エリアに配置され、かつこのエリアの外周に、これらの凸状線と接続された長方形の枠状形状を持つ外周溝9用凸部が配置されている。
【0075】
水平溝7用凸状線は、ロール回転方向に沿った線ピッチ70μmで配置され、底部幅20μm、頂部幅10μm、高さ100μmである。垂直溝8用凸状線は、ロール回転方向と直交する方向に沿った線ピッチ70μmで配置され、底部幅20μm、頂部幅10μm、高さ40μmである。長方形エリアは、520mm×950mmである。外周溝9用凸部は、幅10mm、高さ40μmである。
【0076】
このロール版を上述の紫外線硬化性樹脂が塗布されたフィルムの塗布面に押し付け、更にロール版と塗布膜が接触している部分のみに紫外線を照射させることで、ロールトゥロールの形態にて、下記の溝形状が形成された透明基材層1を有するフィルムロールを得た。
(1)透明基材層1
膜厚150μm
幅550mm
(2)水平溝7
溝線幅(透明樹脂膜の表面側):20μm
溝線幅(透明樹脂膜の表面から遠い側):10μm
溝深さ:100μm
溝ピッチ:70μm
(3)垂直溝8
溝線幅(透明樹脂膜の表面側):20μm
溝線幅(透明樹脂膜の表面から遠い側):10μm
溝深さ:40μm
溝ピッチ:70μm
(4)外周溝9
溝線幅:10mm
溝深さ:40μm
次に、透明基材層1の各溝7、8、9に対して、平均粒径50nmのカーボン粒子5重量部、ポリ三フッ化塩化エチレン10重量部、ブチルカルビトール85重量部からなる液状組成物を、ブレードを用いて充填、乾燥することで、各溝7、8、9の底部および側壁に光吸収層4を形成した。
【0077】
次に、光吸収層4が形成された透明基材層1の各溝7、8、9の空間部に対して、平均粒径2μmの銀粒子85重量部、液状紫外線硬化性樹脂(東洋合成工業株式会社製PAK−02)15重量部からなる液状組成物を、ブレードを用いて充填した後、紫外線を照射することで、溝7、8、9中に導電層5を形成した。
【0078】
以上の工程により、520mm×950mmのエリアに、高さ100μmの水平線状部2aと高さ40μmの垂直線状部2bが配置され、更にこのエリアの外周に、これらの水平線状部2a及び垂直線状部2bと接続された、幅10mm、高さ40μmの外周電極部3が配置された光学フィルムを得た。水平線状部2a及び垂直線状部2bは、光吸収層4に導電層5が内包された、台形の断面形状(導電層5が露出されている側の線幅20μm、反対側の線幅10μm)を有し、いずれも70μmピッチである。
【0079】
(前面フィルタの作製)
近赤外線吸収フィルム(図6近赤外吸収層12)は、一般的な方法で作製した。つまり防眩性フィルム(大日本印刷社製、PET DS−LR)の防眩層が形成されていない方の面に、近赤外線吸収色素とアクリル系バインダー樹脂からなる近赤外線吸収層を塗布により形成することで、防眩処理がなされた近赤外線吸収フィルムを得た。更に、このフィルムの近赤外線吸収層12が形成された面に、調色色素を含有させた接着剤を塗布したのち、上述の光学フィルム10のフィルムロールと貼合させ、光学フィルム10の外周電極部3の外側に沿って裁断することで、550mm×980mmの前面フィルタを作製した。
【0080】
[比較例1]
上記実施例の光学フィルムの作製工程において、透明基材層1の各溝7、8、9に、光吸収層4及び導電層5に代えて光吸収層兼導電層を形成した。すなわち、透明基材層1の各溝7、8、9に対し、平均粒径2μmの銀粒子60重量部、平均粒径50nmのカーボン粒子5重量部、ポリ三フッ化塩化エチレン10重量部、ブチルカルビトール25重量部からなる液状組成物を、ブレードを用いて充填し、乾燥して光吸収層兼導電層を形成した。他の工程については、上記実施例と同じ方法で前面フィルタを作製した。
【0081】
[比較例2]
上記実施例の光学フィルムの作製工程において、使用するロール版を変更して、透明基材層1の垂直溝8の深さを100μmとした。それ以外は上記実施例と同じ方法で前面フィルタを作製した。
【0082】
[比較例3]
比較例1の光学フィルムの作製工程において、使用するロール版を変更して、透明基材層1の垂直溝8の深さを100μm、線ピッチを300μmとした。それ以外は比較例1と同じ方法で前面フィルタを作製した。
【0083】
[比較例4]
(電磁波シールドフィルムの作製)
幅550mmのPETフィルムに対し、線幅20μmの溝形状を持つ凹版、および銀ペースト(藤倉化成社製、ドータイトXA−9053)を用いてグラビア印刷を行なうことで、線幅20μm、厚さ3μm、線ピッチ300μmの銀メッシュパターンを有する電磁波シールドフィルムを得た。
【0084】
光学フィルムの代わりに、この電磁波シールドフィルムを用い、当該電磁波シールドフィルムの銀メッシュが形成されていない面に対して近赤外吸収フィルムを張り合わせた。それ以外は、上記実施例と同じ方法で前面フィルタを作製した。
【0085】
以上の実施例、および比較例1〜4で得られた前面フィルタについて行なった試験の結果を(表1)に示す。
【0086】
【表1】

【0087】
電磁波遮蔽性能を表わす面抵抗値は、学フィルムの導電層5が露出された面側に対して、4探針抵抗率計(三菱化学製、ロレスタGP)を用いて測定した値である。
【0088】
視野角は、プラズマディスプレイに前面フィルタを張り合わせ、プラズマディスプレイを白色表示させた状態にて、ディスプレイ装置の真正面で得られた輝度に対して、各視野角で得られた輝度を相対比較することで評価した。すなわち、分光輝度計(コニカミノルタホールディングス社製、分光放射輝度計CS−1000)を用いて、まずディスプレイ装置の真正面で輝度を測定した上で、順次、ディスプレイ装置を中心とした同心円上で輝度を測定していき、真正面での輝度の半分の輝度になる角度を、各条件での視野角とした。従って、この測定による角度数値が大きいほど望ましい。
【0089】
コントラストは、蛍光灯下においてディスプレイ装置を白色点灯、消灯させた時の輝度を比較することで算出した。すなわち、分光輝度計(コニカミノルタホールディングス社製、分光放射輝度計CS−1000)を用いて、パネル白色点灯、および消灯させた時の発光スペクトルを測定して各コントラストを算出した。なお、(表1)では、コントラスト向上機能を付与していない比較例3で得られたコントラストを100として、各条件の数値を相対値として記載した。この測定結果による相対値が大きいほど明所コントラストは優れたものになり、明るい場所でも、より鮮明な画像を提供することができる。
【0090】
(表1)より、実施例では、面抵抗、視野各、コントラスト、全てにおいて非常に良好な結果を示したことが判る。これに対し、比較例1では面抵抗とコントラストが、比較例2では視野角が、比較例3では面抵抗とコントラストが、比較例4ではコントラストが、各々実施例より劣る結果となった。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明の光学フィルムによれば、高い電磁波遮蔽性と明所コントラスト向上機能を両立し、かつ広い視野角を確保可能であり、プラズマディスプレイ等のディスプレイ装置の前面フィルタを構成するのに好適である。
【符号の説明】
【0092】
1 透明基材層
1a 透明材料層
2 二機能線状部
2a 水平線状部
2b 垂直線状部
3 外周電極部
4 光吸収層
5 導電層
6 透明支持基材
7 水平溝
8 垂直溝
9 外周溝
10 光学フィルム
11 調色層
12 近赤外吸収層
13 反射低減層
14 粘着層
15 プラズマディスプレイパネル
16 シャーシ
17 両面接着性導電テープ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学画像を表示するディスプレイパネルと、
前記ディスプレイパネルの前面に配置された前面フィルタとを備え、
前記前面フィルタは、透明基材層と、前記透明基材層中にその面内において格子を形成するように設けられた二機能線状部とを備えた光学フィルムを用いて構成され、

前記二機能線状部は、光吸収層と導電層が内包された構造であって、台形または三角形の断面形状を有し、
前記二機能線状部の格子を形成する複数本の水平線状部及び垂直線状部は、各々一定の間隔で平行に配置されており、
前記垂直線状部の高さが前記水平線状部の高さに比べて低いことを特徴とするディスプレイ装置。
【請求項2】
前記垂直線状部の高さが前記水平線状部の高さに対して1/10から1/2の範囲に設定された請求項1記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記二機能線状部が形成された領域の周囲に枠状の外周電極部が配置され、前記外周電極部は前記光吸収層に前記導電層が内包された構造を有し、前記二機能線状部の前記導電層は、前記外周電極部の前記導電層と接続されている請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
請求項1記載のディスプレイ装置に用いる光学フィルムの製造方法であって、
前記透明基材層に前記水平線状部及び垂直線状部に対応する溝を形成する第1の工程と、
前記透明基材層の前記溝中に光吸収材料およびバインダー樹脂および溶剤を含む液状組成物を充填し溶剤を乾燥させることにより、前記溝の底部及び側壁に前記光吸収材料および前記バインダ樹脂からなる前記光吸収層を形成する第2の工程と、
前記光吸収層が形成された前記透明基材層の前記溝中に、導電材料を含む液状組成物を充填し前記導電層を形成する第3の工程とを含むことを特徴とするディスプレイ装置に用いる光学フィルムの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−76736(P2013−76736A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215009(P2011−215009)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】