説明

ディスペンサ

【課題】簡易な構成で飲料及び氷の少なくとも1つを目標量で定量注出するディスペンサを提供することを課題とする。
【解決手段】水及び氷の少なくとも1つの供給物を注出するディスペンサ101は、貯水タンク21及び貯氷タンク11と、貯水タンク21内の水を注出する水注出管25及び貯氷タンク11内の氷を注出する氷放出路11dと、水注出管25を開放及び閉鎖する給水弁24並びに氷放出路11dを開放及び閉鎖する開閉扉12aと、貯水タンク21及び貯氷タンク11それぞれから注出される水及び氷の目標とする所定注出量を入力する入力装置30と、入力装置30に入力された所定注出量に基づき給水弁24及び開閉扉12aの開放時間を設定し、設定した開放時間に基づき給水弁24及び開閉扉12aの開放を制御する制御装置40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はディスペンサに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、飲料タンク内に貯留した飲料等の液体をカップ等の飲料容器に目標重量となるように定量注出する飲料ディスペンサが記載されている。この飲料ディスペンサでは、操作スイッチによって飲料の注出目標重量を選択して注出を開始させるように構成されている。そして、飲料ディスペンサは、飲料容器が載せられる載置台の重量を重量センサで検出する構成を有し、飲料注出中の重量センサの検出重量に基づき、飲料タンクから送出される飲料が目標の注出量となるように、飲料タンクから飲料を送出する飲料送出管の注出バルブの開閉を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−235175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の飲料ディスペンサは、重量センサで載置台の重量を検出するために、載置台は上下方向に移動することが可能である必要があり、その構造が複雑になるという問題がある。さらに、載置台上には飲料等がこぼれる可能性があり、複雑な構造の載置台は、そのメンテナンス性を悪化させるという問題もある。
【0005】
この発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、簡易な構成で飲料又は氷を目標量で定量注出するディスペンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明に係るディスペンサは、飲料及び氷の少なくとも1つの供給物を注出するディスペンサであって、供給物を貯留するタンクと、タンク内の供給物を注出する注出路と、注出路を開放及び閉鎖する開閉装置と、タンクから注出される供給物の目標とする所定注出量を入力する注出量入力部と、注出量入力部に入力された所定注出量に基づき開閉装置の開放時間を設定し、上記開放時間に基づき開閉装置の開放を制御する制御装置とを備える。
【0007】
制御装置は、開放時の開閉装置を流通可能な供給物の流量を使用して、開閉装置の開放時間を設定してもよい。
上記ディスペンサは、タンク内の供給物の貯留量を検出する貯留量検出装置をさらに備え、制御装置は、貯留量検出装置の検出貯留量に基づき、開閉装置の開放時間を補正してもよい。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るディスペンサによれば、簡易な構成で飲料及び氷の少なくとも1つを目標量で定量注出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係るディスペンサの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、この発明の実施の形態について、添付図に基づいて説明する。なお、以下の実施の形態では、ディスペンサは利用者に飲料としての水と氷片とを提供する飲料ディスペンサであるとして説明する。
実施の形態1.
まず、この発明の実施の形態1に係るディスペンサ101の構成を説明する。
図1は、本発明の実施の形態1によるディスペンサ101の概略図である。ディスペンサ101は、氷供給部10と、水供給部20と、利用者が氷及び水の注出等の指令を入力する入力装置30と、入力装置30からの指令を受信し氷供給部10及び水供給部20を制御する制御装置40とを備えている。
【0011】
氷供給部10は、製氷された氷を貯留するための箱状の貯氷タンク11と、氷を製造し貯氷タンク11に供給する製氷装置14とを有している。
製氷装置14は、貯氷タンク11の底壁11cに取り付けられている。また、製氷装置14は、円筒状の冷凍ケーシング14aを有している。冷凍ケーシング14aは、一方の端部が貯氷タンク11の内部に延び、他方の端部がギアードモータ16に取り付けられている。さらに、冷凍ケーシング14aには、製氷水供給管15a及び製氷水排水管15bが接続されており、内部を水(製氷水)が流通するように構成されている。なお、ギアードモータ16は、電気モータを有する駆動装置であり、電気的に接続された制御装置40によってその動作が制御される。
【0012】
また、製氷装置14は、冷凍ケーシング14aの外周面に螺旋状に巻き付けられた冷凍パイプ14bを有している。冷凍パイプ14bは、図示しない冷凍回路に接続されて冷媒が流通するように構成されている。そして、冷凍パイプ14bは、冷凍回路の蒸発器として作用し、内部を流通する冷媒と冷凍ケーシング14aの内部の製氷水とを熱交換させて製氷水を冷却し、それにより、製氷水が冷凍ケーシング14aの内周面から徐々に氷結して層状の氷を形成する。さらに、製氷装置14は、冷凍パイプ14bの外側を取り囲む断熱材14cを有している。
【0013】
また、製氷装置14は、冷凍ケーシング14aの内側に挿入されたオーガ14dを有している。オーガ14dは、その外周に軸方向に沿って螺旋刃を有している。そして、オーガ14dの一方の端部が、ギアードモータ16に連結されている。貯氷タンク11側となるオーガ14dの他方の端部には、連結軸14eが一体に連結され、連結軸14eは、貯氷タンク11の内部に延びて、貯氷タンク11の内部の氷を攪拌するためのアジテータ13と連結されている。これにより、オーガ14dとアジテータ13とが、オーガ14dの中心軸を中心に一体に回転することができる。また、連結軸14eは、冷凍ケーシング14aの内側における貯氷タンク11側の端部に設けられた押圧頭14fに回転可能に支持されている。よって、オーガ14dは、ギアードモータ16により回転駆動され、それにより、冷凍ケーシング14aの内周面の氷を螺旋刃で削り取りつつ貯氷タンク11に向かって移送し、移送された氷は、押圧頭14fを通過する過程で圧縮された後氷片に切断され、貯氷タンク11の内部に放出される。
【0014】
また、貯氷タンク11は、その側壁11aに、内部の氷を外部に放出するための氷放出口11a1を有し、さらに、氷放出口11a1の外側に、氷放出口11a1から利用者の飲料容器100に氷を導く氷放出路11dを有している。
さらに、貯氷タンク11は、氷放出口11a1を開閉する開閉扉機構12を有している。開閉扉機構12は、氷放出口11a1を外側から閉鎖及び開放することができる開閉扉12aと、電動式のアクチュエータ12bと、アクチュエータ12b及び開閉扉12aを連結するリンク機構12cとを有している。これにより、アクチュエータ12bは、上下方向に伸縮動作することによってリンク機構12cを駆動させて開閉扉12aに氷放出口11a1を閉鎖及び開放動作させることができる。なお、アクチュエータ12bは、電気的に接続された制御装置40によってその動作が制御される。
ここで、氷放出路11dは注出路を構成し、開閉扉12aは開閉装置を構成している。
【0015】
また、貯氷タンク11は、上壁11bの内部側に貯留量検出装置である貯氷量検出センサ17を有している。貯氷量検出センサ17は、底壁11c側の氷に向かって光波、音波等の進行波を放出して氷表面までの距離を検出し、検出した距離を、電気的に接続された制御装置40に送信する。
【0016】
また、水供給部20は、利用者に供給する水を一時的に貯留するための貯水タンク21を有している。
貯水タンク21の側壁21aには、水供給管22が接続している。水供給管22は、図示しない水冷却装置を介して水道等の外部水供給源に接続されており、貯水タンク21に冷却された水を供給する。
【0017】
また、貯水タンク21の底壁21cには、水放出管23が接続し、水放出管23は、給水弁24を介して、利用者の飲料容器100に水を注出するための水注出管25と接続されている。
ここで、水放出管23及び水注出管25は注出路を構成し、給水弁24は開閉装置を構成している。
さらに、貯水タンク21の底壁21cには、貯水タンク21内の水の劣化を防ぐために定期的に外部に水を排出するための排水管26a、並びに、排水管26aを開放及び閉鎖する排水弁26bが設けられている。
【0018】
給水弁24は、水注出管25を開放及び閉鎖して、水放出管23を水注出管25に連通させることやこの連通を遮断することができる。さらに、給水弁24は、電気的に接続された制御装置40によってその開放及び閉鎖動作が制御される。
また、貯水タンク21の上壁21bの内部側には、貯留量検出装置である貯水量検出センサ27が設けられている。貯水量検出センサ27は、底壁21c側の水に向かって光波、音波等の進行波を放出して水面までの距離を検出し、検出した距離を、電気的に接続された制御装置40に送信する。
【0019】
また、入力装置30は、ディスペンサ101の図示しない筐体の外表面に設けられ、制御装置40と電気的に接続されている。
入力装置30は、その外表面に、利用者が押すことによって指令を入力することができる複数の操作スイッチと、表示部36とを備えている。具体的には、操作スイッチは、水のみを注出させる指令を入力するための水注出スイッチ31と、氷のみを注出させる指令を入力するための氷注出スイッチ32と、水及び氷を注出させる指令を入力するための水氷注出スイッチ33と、注出一回当たりの目標とする水の注出量を設定するための水注出量設定スイッチ34と、注出一回当たりの目標とする氷の注出量を設定するための氷注出量設定スイッチ35とによって構成されている。なお、ディスペンサ101は、水注出スイッチ31、氷注出スイッチ32、又は水氷注出スイッチ33を一回押すことによって、所定量の水及び氷が注出されるように構成されている。また、表示部36は、水又は氷の注出量を設定する際に、設定する注出量の数値を表示する。そして、入力装置30は、各操作スイッチの操作時の信号を制御装置40に送信する。
ここで、入力装置30は、注出量入力部を構成している。
【0020】
また、制御装置40は、アクチュエータ12b、ギアードモータ16及び給水弁24の動作を制御する制御部41と、入力装置30で入力された水及び氷の注出量等を記憶するメモリ42と、入力装置30で入力された水及び氷の注出量を変換する演算部43と、給水弁24の開放時間をカウントする水注出タイマ44と、アクチュエータ12bによる開閉扉12aの開放時間をカウントする氷注出タイマ45とを有している。
【0021】
次に、図1を参照して、この発明の実施の形態1に係るディスペンサ101の動作を説明する。
まず、ディスペンサ101に水、氷、又は、水及び氷の両方を注出させる際の一回当たりの水及び氷の注出量を設定する場合でのディスペンサ101の動作を説明する。
【0022】
水のみの注出での注出量を設定する場合、利用者は、入力装置30の水注出スイッチ31と水注出量設定スイッチ34とを同時に押す。これにより、表示部36には、初期値を0(零)とした設定する注出量を示す数値(単位をミリリットル[ml]とする)が表示される。そして、表示部36の数値は、水注出量設定スイッチ34を押す毎に及び押し続けると増加し、利用者は、水注出量設定スイッチ34を操作して表示部36の数値が所望の注出量(例えば、使用する飲料容器100の容量を150mlとし、120mlを所望の注出量とする)になると、水注出スイッチ31を押す。これにより、水の注出量が120mlに設定され、設定された水の注出量は制御装置40のメモリ42に送信され記憶される。
【0023】
さらに、制御装置40の演算部43は、メモリ42に送信・記憶された水の設定注出量(120ml)から、設定注出量の水を注出するための給水弁24の開放時間を算出する。
なお、給水弁24の特性は予めメモリ42に記憶されており、例えば、給水弁24の完全開放時に3.75L/min(1分間当たり3.75リットル)の水を注出させることができるという給水弁24の特性が記憶されている。さらに、演算部43は、3.75L/minの水注出量という給水弁24の特性を、水1mlの注出に要する時間という特性に変換している。つまり、演算部43は、給水弁24の特性を、水1mlの注出に要する時間が16msec(ミリ秒)であるという特性に変換し、メモリ42に記憶させている。
【0024】
よって、演算部43は、水の設定注出量(120ml)と、水1mlの注出に要する時間16msecという給水弁24の特性とから、設定注出量の水の注出に要する時間1920msecを算出し、この算出時間を給水弁24の一回当たりの開放時間としてメモリ42に記憶させる。
【0025】
同様にして、氷のみの注出での注出量を設定する場合、利用者は、入力装置30の氷注出スイッチ32と氷注出量設定スイッチ35とを同時に押す。これにより、表示部36には、初期値を0とした設定する注出量の数値(単位をグラム[g]とする)が表示される。そして、表示部36の数値は、氷注出量設定スイッチ35を押す毎に及び押し続けると増加し、利用者は、氷注出量設定スイッチ35を操作して表示部36の数値を所望の注出量(水と同等の120mlの容積に相当する100gを所望の注出量とする)にあわせると、氷注出スイッチ32を押すことで氷の注出量を100gに設定し、この設定注出量が制御装置40のメモリ42に記憶される。
そして、制御装置40の演算部43は、メモリ42に記憶された氷の設定注出量(100g)から、設定注出量の氷を注出するための開閉扉12aの開放時間を算出する。
【0026】
なお、開閉扉12aの特性は予めメモリ42に記憶されており、例えば、開閉扉12aによる氷放出口11a1の完全開放時に40g/sec(1秒間当たり40グラム)の氷を注出させることができるという開閉扉12aの特性が記憶されている。さらに、演算部43は、40g/secの氷注出量という開閉扉12aの特性を、氷1gの注出に要する時間という特性に変換している。つまり、演算部43は、開閉扉12aの特性を、氷1gの注出に要する時間が25msecであるという特性に変換し、メモリ42に記憶させている。
【0027】
よって、演算部43は、氷の設定注出量(100g)と、氷1gの注出に要する時間25msecという開閉扉12aの特性とから、設定注出量の氷の注出に要する時間2500msecを算出し、この算出時間を開閉扉12aの一回当たりの開放時間としてメモリ42に記憶させる。
【0028】
また、同様にして、水及び氷の両方同時の注出での注出量を設定する場合、利用者は、まず水の注出量を設定するために、入力装置30の水氷注出スイッチ33と水注出量設定スイッチ34とを同時に押す。これにより、表示部36には、初期値を0とした設定する水の注出量の数値が表示される。そして、利用者は、水注出量設定スイッチ34を操作して表示部36の数値を所望の注出量(例えば60mlとする)にあわせると、水氷注出スイッチ33を押すことで水の注出量を60mlに設定し、この設定注出量が制御装置40のメモリ42に記憶される。さらに、利用者は、氷の注出量を設定するために、水氷注出スイッチ33と氷注出量設定スイッチ35とを同時に押す。これにより、表示部36には、初期値を0とした設定する氷の注出量の数値が表示される。そして、利用者は、氷注出量設定スイッチ35を操作して表示部36の数値を所望の注出量(例えば50gとする)にあわせると、水氷注出スイッチ33を押すことで氷の注出量を50gに設定し、この設定注出量がメモリ42に記憶される。
【0029】
そして、制御装置40の演算部43は、メモリ42に記憶された水の設定注出量(60ml)及び氷の設定注出量(50g)から、設定注出量の水及び氷を注出するための給水弁24及び開閉扉12aの開放時間を算出する。
そこで、演算部43は、水の設定注出量(60ml)と、水1mlの注出に要する時間16msecという給水弁24の特性とから、設定注出量の水の注出に要する時間つまり給水弁24の一回当たりの開放時間960msecを算出する。さらに、演算部43は、氷の設定注出量(50g)と、氷1gの注出に要する時間25msecという開閉扉12aの特性とから、設定注出量の氷の注出に要する時間つまり開閉扉12aの一回当たりの開放時間1250msecを算出する。そして、演算部43は、算出した給水弁24及び開閉扉12aの一回当たりの開放時間をメモリ42に記憶させる。
【0030】
次に、利用者が水、氷、又は、水及び氷の両方の注出を要求する場合のディスペンサ101の動作を説明する。
水のみの注出を要求する場合、利用者は、入力装置30の水注出スイッチ31を一回押す。
このとき、制御装置40の制御部41は、水注出スイッチ31から入力信号を受信すると、給水弁24を完全開放すると共に、水注出タイマ44を作動させて給水弁24を開放している時間をカウントさせる。そして、水注出タイマ44が、メモリ42に記憶されている水のみの注出における給水弁24の一回当たりの開放時間1920msecをカウントすると、制御部41は、給水弁24を閉鎖する。このとき、貯水タンク21の水が、その自重によって水放出管23及び給水弁24を通って水注出管25から、120mlの所定注出量で注出される。
【0031】
また、氷のみの注出を要求する場合、利用者は、入力装置30の氷注出スイッチ32を一回押す。
このとき、制御装置40の制御部41は、氷注出スイッチ32から入力信号を受信すると、ギアードモータ16を駆動させてアジテータ13を回転させ貯氷タンク11内の氷を氷放出口11a1に向かって移動させると共に、アクチュエータ12bを駆動させて開閉扉12aを動作させ氷放出口11a1を完全に開放する。同時に、制御部41は、氷注出タイマ45を作動させて開閉扉12aを開放している時間をカウントさせる。そして、氷注出タイマ45が、メモリ42に記憶されている氷のみの注出における開閉扉12aの一回当たりの開放時間2500msecをカウントすると、制御部41は、アクチュエータ12bを駆動させて開閉扉12aに氷放出口11a1を閉鎖させると共に、ギアードモータ16を停止する。このとき、貯氷タンク11の氷が、その自重による作用と回転するアジテータ13による移送作用とによって、氷放出口11a1を通って氷放出路11dから、100gの所定注出量で注出される。
【0032】
また、水及び氷の両方同時の注出を要求する場合、利用者は、入力装置30の水氷注出スイッチ33を一回押す。
このとき、制御装置40の制御部41は、水氷注出スイッチ33から入力信号を受信すると、給水弁24を完全開放すると共に水注出タイマ44を作動させ、同時に、ギアードモータ16を駆動させることによるアジテータ13の回転駆動、アクチュエータ12bを駆動させることによる開閉扉12aの完全開放動作、及び氷注出タイマ45の作動を行う。そして、制御部41は、水注出タイマ44が、メモリ42に記憶されている水氷の両方の注出における給水弁24の一回当たりの開放時間960msecをカウントすると、給水弁24を閉鎖し、氷注出タイマ45が、メモリ42に記憶されている水氷の両方の注出における開閉扉12aの一回当たりの開放時間1250msecをカウントすると、アクチュエータ12bを駆動させて開閉扉12aに氷放出口11a1を閉鎖させると共にギアードモータ16を停止する。このとき、貯水タンク21の水が、水注出管25から60mlの所定注出量で注出されると共に、貯氷タンク11の氷が、氷放出路11dから50gの所定注出量で注出される。
【0033】
上述で説明したように、この発明の実施の形態1に係るディスペンサ101は、水及び氷の少なくとも1つの供給物を注出するディスペンサである。ディスペンサ101は、水を貯留する貯水タンク21及び氷を貯留する貯氷タンク11と、貯水タンク21内の水を注出する水注出管25及び貯氷タンク11内の氷を注出する氷放出路11dと、水注出管25を開放及び閉鎖する給水弁24並びに氷放出路11dを開放及び閉鎖する開閉扉12aと、貯水タンク21及び貯氷タンク11それぞれから注出される水及び氷の目標とする所定注出量を入力する入力装置30と、入力装置30に入力された所定注出量に基づき給水弁24及び開閉扉12aの開放時間を設定し、設定した開放時間に基づき給水弁24及び開閉扉12aの開放を制御する制御装置40とを備える。さらに、制御装置40は、開放時の給水弁24及び開閉扉12aの氷放出口11a1のそれぞれを流通可能な水及び氷の流量を使用して、給水弁24及び開閉扉12aの開放時間を設定する。
【0034】
これにより、ディスペンサ101では、入力装置30において水及び氷の目標とする所定注出量を入力しておくと、入力された所定注出量で水及び氷が注出される。このとき、制御装置40は、入力された所定注出量と、給水弁24及び開閉扉12aそれぞれの特性、つまり、開放時の給水弁24及び開閉扉12aの氷放出口11a1のそれぞれを流通可能な水及び氷の流量とに基づき、所定注出量を注出するための給水弁24及び開閉扉12aの開放時間を設定し、注出時の給水弁24及び開閉扉12aの動作を制御する。よって、例えば、注出時間を設定することで設定注出量を設定するようなディスペンサと異なり、ディスペンサ101では、水及び氷の設定注出量の設定の際に、それぞれの設定注出量の容量に相当する数値をそのまま入力すればよいため、使用する飲料容器の容量にあわせて容易に設定注出量を設定することができる。さらに、ディスペンサ101では、一回の設定で所望の設定注出量を設定することができる。そして、上述のようなディスペンサ101は、飲料容器の容量がわからない場合でも、使用する飲料容器の容量を想定して設定注出量を入力し設定すればよいため、設定を容易にすることができる。また、ディスペンサ101は、水及び氷の設定注出量での定量注出のために、元々ディスペンサが備える水及び氷を注出するための構造の他に、入力装置30及び制御装置40を備える構成であるため、その構成を簡易にすることを可能にする。
【0035】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係るディスペンサは、実施の形態1のディスペンサ101において、水注出スイッチ31、氷注出スイッチ32又は水氷注出スイッチ33が押された際に給水弁24及び開閉扉12aを開放する時間を、貯水量検出センサ27の検出値及び貯氷量検出センサ17の検出値を使用して補正するようにしたものである。
まず、実施の形態2に係るディスペンサの構成は、実施の形態1のディスペンサ101と同様である。このため、図1を参照して、実施の形態2に係るディスペンサについて説明する。
【0036】
実施の形態2に係るディスペンサにおいて、貯水タンク21からの水の放出は、貯水タンク21内の水の自重の作用によるものであり、貯水タンク21内の水の貯留量によって完全開放時の給水弁24を流通する水の流量が変動する。このため、入力装置30の水注出スイッチ31が押されて貯水タンク21の水を注出する際、制御装置40の演算部43は、貯水タンク21内の水の貯留量に応じて、メモリ42に記憶されている給水弁24の開放時間を補正する。なお、上述の給水弁24の開放時間を補正は、給水弁24の開放直前の貯水タンク21内の水の貯留量に基づき行われるが、さらに、給水弁24の開放中にも、変動する貯水タンク21内の水の貯留量に応じたさらなる補正が行われてもよい。
【0037】
このとき、まず、演算部43は、貯水量検出センサ27が検出する貯水タンク21内の水面までの距離から、貯水タンク21内の水の貯留量の満水状態に対する割合を算出する。なお、満水状態は、水面が水供給管22の下方の所定の位置に設定され、貯水量検出センサ27から満水状態の水面までの距離で設定されている。
【0038】
そして、例えば、演算部43は、貯水タンク21内の水の貯留量の割合が70%以上の場合、完全開放時の給水弁24の流量が100%(3.75L/min)であると設定し、水のみの注出での一回当たりの給水弁24の開放時間を、メモリ42に記憶されている1920msecとする。また、演算部43は、貯水タンク21内の水の貯留量の割合が30%以上70%未満の場合、完全開放時の給水弁24の流量が、3.75L/minの85%であると設定し、水のみの注出での一回当たりの給水弁24の開放時間を、メモリ42に記憶されている1920msecの100/85倍の2259msecとする。また、演算部43は、貯水タンク21内の水の貯留量の割合が30%未満の場合、完全開放時の給水弁24の流量が、3.75L/minの70%であると設定し、水のみの注出での一回当たりの給水弁24の開放時間を、メモリ42に記憶されている1920msecの100/70倍の2743msecとする。そして、制御部41は、上述のようにして演算部43が補正した開放時間に基づき、給水弁24の開閉を制御する。
【0039】
また、貯氷タンク11からの氷の放出は、貯氷タンク11内の氷の自重の作用と回転するアジテータ13の氷の移送作用とによるものであり、貯氷タンク11内の氷の貯留量によって開閉扉12aの完全開放時の氷放出口11a1を流通する氷の流量が変動する。このため、入力装置30の氷注出スイッチ32が押されて貯氷タンク11の氷を注出する際、演算部43は、貯氷タンク11内の氷の貯留量に応じて、メモリ42に記憶されている開閉扉12aの開放時間を補正する。なお、上述の開閉扉12aの開放時間を補正は、開閉扉12aの開放直前の貯氷タンク11内の氷の貯留量に基づき行われるが、さらに、開閉扉12aの開放中にも、変動する貯氷タンク11内の氷の貯留量に応じたさらなる補正が行われてもよい。
【0040】
このとき、まず、演算部43は、貯氷量検出センサ17が検出する貯氷タンク11内の氷表面までの距離から、貯氷タンク11内の氷の貯留量の満氷状態に対する割合を算出する。なお、満氷状態は、貯氷タンク11における所定の高さ位置に設定され、貯氷量検出センサ17から満氷状態の氷表面までの距離で設定されている。また、氷表面の位置の検出精度を向上させるために、貯氷量検出センサ17を複数設け、その平均値を貯氷量検出センサ17から氷表面までの距離としてもよい。
【0041】
そして、例えば、演算部43は、貯氷タンク11内の氷の貯留量の割合が60%以上の場合、開閉扉12aの完全開放時の氷放出口11a1の氷流量が、100%(40g/sec)であると設定し、氷のみの注出での一回当たりの開閉扉12aの開放時間を、メモリ42に記憶されている2500msecとする。また、演算部43は、貯氷タンク11内の氷の貯留量の割合が25%以上60%未満の場合、開閉扉12aの完全開放時の氷放出口11a1の氷流量が、40g/secの80%であると設定し、氷のみの注出での一回当たりの開閉扉12aの開放時間を、メモリ42に記憶されている2500msecの100/80倍の3125msecとする。また、演算部43は、貯氷タンク11内の氷の貯留量の割合が25%未満の場合、開閉扉12aの完全開放時の氷放出口11a1の氷流量が、40g/secの70%であると設定し、氷のみの注出での一回当たりの開閉扉12aの開放時間を、メモリ42に記憶されている2500msecの100/70倍の3571msecとする。そして、制御部41は、上述のようにして演算部43が補正した開放時間に基づき、開閉扉12aの開閉を制御する。
【0042】
また、入力装置30の水氷注出スイッチ33が押されて貯水タンク21の水及び貯氷タンク11の氷を注出する際、上述と同様にして、演算部43が、給水弁24及び開閉扉12aでの水及び氷の流量補正に基づきメモリ42に予め記憶されている給水弁24及び開閉扉12aの開放時間を補正し、制御部41が、補正した開放時間に基づき給水弁24及び開閉扉12aの開閉を制御する。
また、この発明の実施の形態2に係るディスペンサのその他の動作は、実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
上述で説明したように、実施の形態2におけるディスペンサによれば、上記実施の形態1のディスペンサ101と同様な効果が得られる。
また、実施の形態2におけるディスペンサでは、制御装置40は、貯水量検出センサ27及び貯氷量検出センサ17の検出量それぞれに基づき、開放時の給水弁24及び開閉扉12aの氷放出口11a1を流通可能な水及び氷の流量を補正し、この補正に基づき給水弁24及び開閉扉12aの開放時間を補正する。よって、貯水タンク21の貯留水量及び貯氷タンク11の貯留氷量に基づき、予め設定されている給水弁24及び開閉扉12aの開放時間が補正されるため、設定注出量に対してより正確な量での水及び氷の注出を可能にする。さらに、実施の形態2におけるディスペンサは、実施の形態1のディスペンサ101に対して、貯水タンク21の貯水量検出センサ27及び貯氷タンク11の貯氷量検出センサ17をさらに使用するだけの構成であるため、その構成を簡易にすることを可能にする。
【0044】
また、実施の形態2におけるディスペンサでは、貯水タンク21の貯留水量及び貯氷タンク11の貯留氷量に応じて、給水弁24及び開閉扉12aの開放時間を段階的に変化させていたが、これに限定されるものでなく、連続的に変化させてもよい。
【0045】
また、実施の形態1及び2におけるディスペンサは、水及び氷の少なくとも1つを注出ものであったが、これに限定されるものでなく、水、飲料及び氷の少なくとも1つを注出ものであってもよい。また、上記ディスペンサは、水のみ、飲料のみ、氷のみ、水及び氷のみ、又は、飲料及び氷のみを注出するものであってもよい。
【符号の説明】
【0046】
11 貯氷タンク、11d 氷放出路(注出路)、12a 開閉扉(開閉装置)、17 貯氷量検出センサ(貯留量検出装置)、21 貯水タンク、24 給水弁(開閉装置)、25 水注出管(注出路)、27 貯水量検出センサ(貯留量検出装置)、30 入力装置(注出量入力部)、40 制御装置、101 ディスペンサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料及び氷の少なくとも1つの供給物を注出するディスペンサであって、
前記供給物を貯留するタンクと、
前記タンク内の前記供給物を注出する注出路と、
前記注出路を開放及び閉鎖する開閉装置と、
前記タンクから注出される前記供給物の目標とする所定注出量を入力する注出量入力部と、
前記注出量入力部に入力された前記所定注出量に基づき前記開閉装置の開放時間を設定し、前記開放時間に基づき前記開閉装置の開放を制御する制御装置とを備えるディスペンサ。
【請求項2】
前記制御装置は、開放時の前記開閉装置を流通可能な前記供給物の流量を使用して、前記開閉装置の前記開放時間を設定する請求項1に記載のディスペンサ。
【請求項3】
前記タンク内の前記供給物の貯留量を検出する貯留量検出装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記貯留量検出装置の検出貯留量に基づき、前記開閉装置の前記開放時間を補正する請求項1または2に記載のディスペンサ。

【図1】
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