説明

ディスペンス装置

【課題】液体の吐出時、液体の温度変化を最小にして液体の粘度を一定に維持することにより、液体を定量吐出できるディスペンス装置を提供する。
【解決手段】本発明に係るディスペンス装置は、基板に対して相対移動しながら、液体を保存するシリンジ(syringe)から供給された液体を前記基板上に吐出するノズル、前記シリンジと前記ノズルとの間に設けられ、開閉動作により前記シリンジからの液体を前記ノズルに選択的に供給する弁ユニット、前記弁ユニットの開閉動作を制御して前記ノズルからの液体の吐出を制御する弁制御部、及び、前記弁ユニットを通過する液体の温度を設定温度に維持する定温維持ユニット、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスペンス装置に係り、より詳細には液体吐出時、液体温度変化を最小にして液体粘度を一定に維持することにより、液体を定量吐出できるディスペンス装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、平板ディスプレー(Flat Panel Display、FPD)とは、ブラウン管を採用したテレビやモニターに比べて、厚さが薄くて軽量の映像表示装置を称する。このような平板ディスプレーとしては、液晶ディスプレー(Liquid Crystal Display、LCD)、プラズマディスプレー(Plasma Display Panel、PDP)、電界放出ディスプレー(Field Emission Display、FED)、有機ELディスプレー(Organic Light Emitting Display,OLED)などが開発されて使用されている。
【0003】
この中で、液晶ディスプレーはマトリックス状に配列した液晶セルに画像情報によるデータ信号を個別的に供給して各液晶セルの光透過率を調節することによって、所要の画像を表示できるようにした表示装置であり、薄膜軽量で、且つ低消費電力、低動作電圧などの長所によって広く使用されている。
このような液晶ディスプレーにおいて、一般的に採用する液晶パネルの製造方法の一例について、以下に説明する。
【0004】
まず、上部ガラス基板をパターニングしてカラーフィルター及び共通電極のパターンを形成し、上部ガラス基板と対向する下部ガラス基板をパターニングして薄膜トランジスター(Thin Film Transistor、TFT)及び画素電極のパターンを形成する。続いて、それぞれの基板に配向膜を塗布した後、これらの基板の間に形成される液晶層の液晶分子にプレチルト角(pretilt angle)と配向方向を提供するために、配向膜をラビングする。そして、これらの基板の間のギャップを維持すると共に、液晶が外部に漏洩することを阻止して両基板を密封するために、いずれかの基板にシールペーストを所定パターンに塗布する。次に、基板の間に液晶層を形成して、液晶パネルの製造が完了する。
【0005】
この時、液晶層を形成方式の一例として、液晶滴下方式を挙げることができる。液晶滴下方式は、基板のシールペーストで規定した空間に液晶を滴下して液晶層を形成し、基板の間を封着した後、シールペーストを硬化させて封合する方式である。このような液晶滴下方式により液晶層を形成するために、液晶滴下装置であるディスペンス装置を利用している。ディスペンス装置は液晶を保存したシリンジからの液晶をノズルに供給し、ノズルは基板に対して相対移動しながら、基板上に液晶を吐出する。これによって、基板上に液晶を滴下する。
【0006】
一般的に、このようなディスペンス装置により吐出した液晶は、粘度が温度変化に非常に敏感である。このように液晶の粘度が変われば、シリンジとノズルとの間の流路を開閉しながら、液晶に一定の吐出圧を加えて液晶を吐出する方式の場合は、液晶に加わる吐出圧の変動によって設定した一定量に液晶を吐出することができなくなる。
このような液晶の温度変化は周囲環境の温度変化によるか、特に液晶の吐出を制御するために弁ユニットの開閉過程で弁ユニットから発生した熱が液晶に伝えられて発生する。したがって、液晶の定量吐出のためには、液晶の粘度変化を引き起こす液晶の温度変化要因を除去する必要がある。
【特許文献1】特開平06−121952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述した問題点を解決するためになされた本発明は、液体の吐出時液体の温度変化を最小にして液体粘度を一定に維持することにより、液体を定量吐出できるディスペンス装置を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的を達成するため、本発明に係るディスペンス装置は、基板に対して相対移動しながら、液体を保存するシリンジ(syringe)から供給された液体を前記基板上に吐出するノズル、前記シリンジと前記ノズルとの間に設けられ、開閉動作により前記シリンジからの液体を前記ノズルに選択的に供給する弁ユニット、前記弁ユニットの開閉動作を制御して前記ノズルからの液体の吐出を制御する弁制御部、及び、前記弁ユニットを通過する液体の温度を設定温度に維持する定温維持ユニット、を含むことを特徴とする。
【0009】
前記定温維持ユニットは、前記弁ユニットの温度を測定する温度センサー、前記弁ユニットから発生した熱を吸収し、あるいは、自体発熱した熱を前記弁ユニットに供給する吸熱、発熱機、前記温度センサーで測定した温度と前記設定温度とを比較判断し、前記吸熱、発熱機の制御信号を出力して前記弁ユニットの温度を設定温度に維持する定温維持制御部、及び、定温維持制御部からの制御信号によって電源から前記吸熱、発熱機に印加される電流方向を切替えて前記吸熱、発熱機の吸熱または発熱を可能にする切替スイッチ、からなり、前記吸熱、発熱機は熱電素子であり、前記弁ユニットと吸熱、発熱機との間に熱伝導部材をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
前記定温維持ユニットは、前記弁ユニットから伝わって前記吸熱、発熱機で吸収した熱を外部に放出するヒートシンクをさらに含むことを特徴とする。
【0011】
また、前記シリンジ内の圧力を一定に維持する定圧ユニットをさらに含むことを特徴とする。
【0012】
前記弁ユニットは、前記シリンジの出口に連結されて前記出口から吐出される液体が流入する流入口が一端部に設けられ、ノズルの入口に連結されて流入口から流入した液体を前記ノズルの入口に吐出する流出口が他端部に設けられ、内部には前記流入口と流出口との間を連通する流路が形成される弁本体、前記弁本体の流路に配設され、前記流出口を開放して前記液体の流出を許容する第1位置と前記流出口を閉塞して前記液体の流出を阻止する第2位置との間を摺動しながら液体の吐出を制御するボール弁、自体の弾性力により前記ボール弁を前記第1位置から第2位置に付勢して前記流出口を閉塞する弾性部材、及び、前記弁制御部の制御によって印加される電圧により発生した電磁気力が前記弾性部材の弾性力に抗して前記ボール弁を前記第2位置から第1位置に摺動させて前記流出口を開放するボール弁駆動部、からなり、前記液体は液晶であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、弁内に流入した液体の粘度を一定に維持できるように弁の温度を一定に維持する定温維持ユニットを備えることによって、液晶などのような液体を定量吐出できる。さらに、微量の液体吐出時も液体を定量吐出できる。したがって、各種平板ディスプレー用のパネル製造時、パネルの品質低下を防止できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
【実施例】
【0015】
図1は本発明の一実施形態に係るディスペンス装置を示す構成図である。図1に示す通り、本発明の一実施形態に係るディスペンス装置100は、各種平板ディスプレー用のパネル製造において、基板10上に液晶などのような液体を滴下するためのノズル111を備える。
シリンジ112から液晶などのような液体が供給されるノズル111は、基板10に対して相対移動しながら、シリンジ112から供給された液体を基板10上に吐出する。このノズル111はヘッドユニット110に装着できる。ここで、ヘッドユニット110はフレーム101上に一方向に摺動可能に設けられたヘッド支持部102に装着できる。そして、ヘッドユニット110はヘッド支持部102の移動方向に垂直に摺動可能に設けることによって、ノズル111は基板10に対して相対移動可能である。
【0016】
このノズル111を通じて基板に吐出される液体を保存するシリンジ112は、ノズル111を結合した状態でヘッドユニット110に装着し、あるいは、配管を介してノズル111に連結した状態でヘッド支持部102などに装着できる。そして、シリンジ112には定圧ユニット130を設けることが好ましい。定圧ユニット130はシリンジ112内の圧力を一定に維持するようにシリンジ112内にガスを供給することによって、ノズル111から液体が定量吐出できるようにする。
【0017】
シリンジ112とノズル111との間には、シリンジ112から液体をノズル111に選択的に供給する弁ユニット120が設けられている。また、弁ユニット120の開閉動作を制御してノズル111からの液体の吐出を制御する弁制御部129をさらに含んでいる。弁制御部129は基板10上に液体を吐出する必要がない場合に、弁ユニット120を閉塞してノズル111からの液体の吐出を阻止する。一方、基板10上に液体を吐出する必要がある場合、弁制御部129は弁ユニット120を開放して設定した一定量の液体がノズル111から吐出するように制御する。
【0018】
前述のように、シリンジ112とノズル111との間に設けられた弁ユニット120は、弁制御部129の制御信号によってシリンジ112から液体をノズル111に選択的に供給する役割を果たす。弁ユニット120の開閉動作を制御する弁制御部129は、ディスペンス装置100のシステム全体を制御する制御部に含んで構成することも可能である。
弁ユニット120は一般的な開閉可能弁が利用でき、その構成の一例を図2に示す。
図2に示した弁ユニット120は、弁本体122、ボール弁123、及び弾性部材124を備える。また、弁ユニット120の制御のためにボール弁駆動部125を示す。
【0019】
弁本体122は、その一端部にシリンジ112の出口に連結されて出口から吐出される液体が流入する流入口122aが形成され、その他端部にはノズル111の入口に連結されて流入口122aから流入した液体をノズル111の入口に吐出する流出口122bが形成される。
ボール弁123は弁本体122内で流出口122bを開閉するため摺動できるように設置される。すなわち、弁本体122の流路に設けられたボール弁123は流出口122bを開放して液体の流出を許容する第1位置と、流出口122bを閉塞して液体の流出を阻止する第2位置との間を摺動しながら、液体の吐出を制御する。
【0020】
例えば、圧縮コイルバネのような弾性部材124は、自体の弾性力によりボール弁123が流出口122bを閉塞する方向にボール弁123を付勢する。これによって、ボール弁駆動部125からの駆動力がボール弁123に作用しない状態では、ボール弁123が流出口122bを閉塞した状態である第1位置に維持される。
ボール弁駆動部125はボール弁123が弾性部材124により流出口122bを閉塞した状態で、外力により流出口122bを開放する方向に移動して液体の流出を許容する第1位置に維持できる。ここで、ボール弁123の移動のために利用する外力として、この実施形態に係るボール弁駆動部125では弁制御部129の制御信号によって印加される電圧により発生した電磁気力を例示する。
【0021】
電磁気力を利用するボール弁駆動部125は、一側にボール弁123が固着されて他側に弾性部材124が弾持され、弁本体122内に摺動可能に配設されるプランジャー126と、プランジャー126の周りを取り囲むように弁本体122に埋設された電気コイル127とから構成される。プランジャー126は電気コイル127により発生した電磁気力により移動できるように磁性を持つ。そして、電気コイル127は弁制御部129の制御信号に基づいて電源から電流が印加されると、電磁気力を発生してプランジャー126を移動させる。したがって、プランジャー126は弾性部材124の弾性力に抗して弁本体122の内側に摺動すると同時に、プランジャー126に固着されたボール弁123も共に移動しながら、流出口122bを開放する。これによって、液体の流出を許容するようになる。
【0022】
このように、弁ユニット120は電源から印加される電圧により流体の流れを開閉する動作を繰り返して行う。この時、開閉動作の過程で弁ユニット120から熱が発生する。このように弁ユニット120から発生した熱は弁ユニット120内に流入した液体に伝えられて液体の温度を変化させるようになり、これによって液体の粘度が変化する恐れがある。このような液体の粘度変化は弁ユニット120周囲の温度変化によって引き起こされる場合もある。このように液体の粘度に変化があると、液体の吐出時液体に加えられる吐出圧が変化する。これによって、液体が設定した一定量に吐出しない可能性がある。特に、微量の液体を吐出する場合、その可能性はより高くなる。
【0023】
これを防止するために、この実施形態では定温維持ユニット140を用いる。この定温維持ユニット140は弁ユニット120内に流入した液体の温度を設定温度に一定に維持することによって、液体粘度を一定に維持できる。これによって、ノズル111からの液体の吐出時液体に加わる吐出圧は一定になって、微量の液体の吐出時にも設定した一定量の吐出が可能になる。
このような定温維持ユニット140は、図3及び図4に示すように構成できる。図3及び図4に示した定温維持ユニット140は、温度センサー141、吸熱、発熱機142 及び、定温維持制御部143から構成される。
【0024】
温度センサー141は弁ユニット120の温度を測定するためのものである。温度センサー141は弁ユニット120の表面に付着することによって、弁ユニット120の表面から放出する熱の温度を測定できる。温度センサー141としては、サーミスター(thermistor)などを利用できる。このように温度センサー141で測定した温度情報は定温維持制御部143に提供され、定温維持制御部143はこの温度情報に基づいて吸熱、発熱機142を制御できる。
吸熱、発熱機142は弁ユニット120から発生した熱を吸収して冷却させたり、自体発熱した熱を弁ユニット120に供給して加熱させたりすることができる。
【0025】
このような吸熱、発熱機142としては、熱電素子を利用できる。熱電素子は電流により熱を吸収するか、または熱を発生する現象であるペルティエ(Peltier)効果を利用して、吸熱または発熱を引き起こすことができる素子である。例えば、ペルチェ素子サーやサーモーモジュールなどがある。ここで、ペルティエ効果とは、2種類の金属の端部を接続させて電流を印加すると、電流の方向によって一つの端子は吸熱し、他の端子は発熱を起こす現象である。このような熱電素子は電流の方向によって吸熱と発熱との間で切換えでき、電流量によって吸熱量または発熱量の調節が可能な特性がある。
【0026】
この実施形態によれば、電流方向によって吸熱と発熱との間に切換えができ、電流量によって吸熱量または発熱量を調節できる熱電素子の特性を利用することによって、弁ユニット120から発生した熱を吸収して冷却させたり、弁ユニット120に熱を供給して加熱させることが可能である。すなわち、吸熱、発熱機142として熱電素子を利用する場合、定温維持制御部143は熱電素子が吸熱または発熱を起こすように、 電流の方向を切替えて供給できる一方、電流量を変化させて熱電素子の吸熱量または発熱量を調節できるように構成する。そして、定温維持制御部143は温度センサー141で測定した温度情報に基づいて、 熱電素子を制御することによって、弁ユニット120の温度を一定に維持できる。
【0027】
すなわち、定温維持制御部143は温度センサー141で測定した液体の温度を設定温度と比較して、測定温度が設定した温度より高いと判断すれば、弁ユニット120からの熱を熱電素子が吸収するために熱電素子に電流を印加するように制御する。したがって、測定温度と設定温度との差に相応する量の電流が電源から熱電素子に供給される。反面、定温維持制御部143は温度センサー141で測定した液体の温度を設定温度と比較して、測定温度が設定温度より低いと判断すれば、熱電素子からの熱を弁ユニット120に供給するために熱電素子に印加される電流の方向を切替える。したがって、測定温度と設定温度との差に相応する量の電流が電源から熱電素子に供給される。
【0028】
このように定温維持制御部143は熱電素子に電流を供給する過程で、温度センサー141の入力信号に基づいて弁ユニット120の温度が設定温度に到達したと判断すれば、熱電素子に供給される電流を遮断する。このような定温維持制御部143によりフィードバック制御を持続的に行えば、弁ユニット120の温度を常に一定に維持できる。
【0029】
このような吸熱、発熱機142と弁ユニット120との間には熱伝導部材144をさらに配設することが好ましい。熱伝導部材144は弁ユニット120から発生した熱が吸熱、発熱機142に円滑に伝わるようにする一方、吸熱、発熱機142から生成した熱が弁ユニット120に円滑に伝わるようにする。それと共に、熱伝導部材144は弁ユニット120を支持する役割を兼ねることができる。
そして、吸熱、発熱機142の外部にはヒートシンク145をさらに配設することが好ましい。ヒートシンク145は弁ユニット120から伝わって吸熱、発熱機142で吸収した熱を外部に放出する役割を果たす。これによって、弁ユニット120から吸熱、発熱機142に吸収された熱を外部に速かに放出できる。
【0030】
ヒートシンク145は放熱効果を高めるために、広い放熱面積を提供する構造であることが好ましい。その一例として、ヒートシンク145は空気流入孔と空気流出孔を有し、空気流入孔と空気流出孔との間に内部流路を有する構造に構成することができる。また、ヒートシンク145は表面を凹凸構造に構成することができ、表面には多数の放熱フィンを形成した構造にすることができる。この外にも、ヒートシンク145は多様な構造にすることができることは勿論である。
【0031】
次に、このように構成したディスペンス装置100の作用を概略的に説明する。
まず、シリンジ112に定圧ユニット130を連通してシリンジ112内の圧力を一定に維持させる。この状態で、ノズル111を通じて基板10上に設定量の液体を吐出するために、弁制御部122により弁ユニット120を開放してシリンジ112からノズル111に液体を供給する。このようにノズル111を通じて液体を吐出させる過程で、既に設定した量に液体の吐出が完了すると、弁制御部122により弁ユニット120を閉塞してシリンジ112からノズル111内への液体の供給を遮断する。
【0032】
このような弁ユニット120の開閉動作を繰り返して行いながら、設定量の液体を数回吐出させる過程で、または周囲温度の上昇によって弁ユニット120の温度が上昇すると、定温維持ユニット140の定温維持制御部143は温度センサー141で測定した液体の温度を設定温度と比較判断して、吸熱、発熱機142を制御する。これによって、弁ユニット120の温度を一定に維持する。
【0033】
より詳細に説明すると、定温維持制御部143は測定温度が設定温度より高いと判断すれば、弁ユニット120から発生した熱を吸熱、発熱機142が吸収できるように吸熱、発熱機142を制御する。この時、測定温度と設定温度との差を減らすのに十分な程度に吸熱できるように電源からの電流を吸熱、発熱機142に供給する。これによって、弁ユニット120から発生した熱は熱伝導部材144を介して吸熱、発熱機142で円滑に吸収し、吸熱、発熱機142で吸収した熱はヒートシンク145を通じて速かに外部に放出される。
【0034】
一方、定温維持制御部143は、測定温度が設定温度より低いと判断すれば、吸熱、発熱機142から弁ユニット120に熱を加えるように吸熱、発熱機142を制御する。この時、測定温度と設定温度との差を減らすのに十分な程度に発熱できるように、電源からの電流を吸熱、発熱機142に供給する。これによって、吸熱、発熱機142から発生した熱は熱伝導部材144を介して弁ユニット120に円滑に伝えられて弁ユニット120を加熱する。
【0035】
このように、定温維持制御部143は弁ユニット120を冷却または加熱する過程で、温度センサー141からの入力信号に基づいて弁ユニット120の測定温度が設定温度に到達したと判断すれば、弁ユニット120に対する吸熱または発熱がそれ以上行われないように、吸熱、発熱機142に供給される電流を遮断する。このような定温維持制御部143によるフィードバック制御を持続的に行いながら、弁ユニット120の温度を一定に維持できる。したがって、弁ユニット120内に流入した液体の粘度を一定に維持でき、ノズル111から液体を吐出する時、液体に加えられる吐出圧を一定に維持できる。その結果、微量の液体の吐出時にも設定量に対応して定量吐出が可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、弁内に流入した液体の粘度を一定に維持できるように弁の温度を一定に維持する定温維持ユニットを備えることによって、液晶などのような液体を定量に吐出でき、微量の液体の吐出時も液体を定量に吐出できる。したがって、各種平板ディスプレー用のパネルの製造時パネルの品質低下を防止できる。従って、本発明の産業利用性はきわめて高いものといえる。
【0037】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態に係るディスペンス装置を概略的に示す構成図である。
【図2】図1において弁の一例を示す断面図である。
【図3】図1において定温維持ユニットを拡大して示す断面図である。
【図4】図3の定温維持ユニットの構成品を分解して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
111 ノズル
112 シリンジ
120 弁ユニット
129 弁制御部
140 定温維持ユニット
141 温度センサー
142 吸熱、発熱機
143 定温維持制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して相対移動しながら、液体を保存するシリンジ(syringe)から供給された液体を前記基板上に吐出するノズル、
前記シリンジと前記ノズルとの間に設けられ、開閉動作により前記シリンジからの液体を前記ノズルに選択的に供給する弁ユニット、
前記弁ユニットの開閉動作を制御して前記ノズルからの液体の吐出を制御する弁制御部、及び
前記弁ユニットを通過する液体の温度を設定温度に維持する定温維持ユニット、
を含むことを特徴とするディスペンス装置。
【請求項2】
前記定温維持ユニットは、前記弁ユニットの温度を測定する温度センサー、
前記弁ユニットから発生した熱を吸収し、あるいは、自体発熱した熱を前記弁ユニットに供給する吸熱、発熱機、
前記温度センサーで測定した温度と前記設定温度とを比較判断し、前記吸熱、発熱機の制御信号を出力して前記弁ユニットの温度を設定温度に維持する定温維持制御部、及び
定温維持制御部からの制御信号によって電源から前記吸熱、発熱機に印加される電流方向を切替えて前記吸熱、発熱機の吸熱または発熱を可能にする切替スイッチ、
からなることを特徴とする請求項1に記載のディスペンス装置。
【請求項3】
前記吸熱、発熱機は熱電素子であることを特徴とする請求項2に記載のディスペンス装置。
【請求項4】
前記弁ユニットと吸熱、発熱機との間に熱伝導部材をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のディスペンス装置。
【請求項5】
前記定温維持ユニットは、前記弁ユニットから伝わって前記吸熱、発熱機で吸収した熱を外部に放出するヒートシンクをさらに含むことを特徴とする請求項3に記載のディスペンス装置。
【請求項6】
前記シリンジ内の圧力を一定に維持する定圧ユニットをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のディスペンス装置。
【請求項7】
前記弁ユニットは、前記シリンジの出口に連結されて前記出口から吐出される液体が流入する流入口が一端部に設けられ、ノズルの入口に連結されて流入口から流入した液体を前記ノズルの入口に吐出する流出口が他端部に設けられ、内部には前記流入口と流出口との間を連通する流路が形成される弁本体、
前記弁本体の流路に配設され、前記流出口を開放して前記液体の流出を許容する第1位置と前記流出口を閉塞して前記液体の流出を阻止する第2位置との間を摺動しながら液体の吐出を制御するボール弁、
自体の弾性力により前記ボール弁を前記第1位置から第2位置に付勢して前記流出口を閉塞する弾性部材、及び
前記弁制御部の制御によって印加される電圧により発生した電磁気力が前記弾性部材の弾性力に抗して前記ボール弁を前記第2位置から第1位置に摺動させて前記流出口を開放するボール弁駆動部、
からなることを特徴とする請求項1に記載のディスペンス装置。
【請求項8】
前記液体は液晶であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のディスペンス装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−110332(P2008−110332A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−127530(P2007−127530)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(503259772)トップ エンジニアリング カンパニー,リミテッド (62)
【Fターム(参考)】