ディテクタシステム
【解決手段】ディテクタシステムは、振幅変調(「AM」)ノイズを有する第1高周波信号を検出し、少なくとも第1検出AMノイズ信号成分および復調信号成分を有する第1検出信号を生成するよう構成された第1ディテクタと、AMノイズを有する第2高周波信号を検出し、少なくとも第2検出AMノイズ信号成分を有する第2検出信号を生成するよう構成された第2ディテクタと、を備える。代数的合成ネットワークは、第1検出信号と第2検出信号とを合成することで第1検出AMノイズ信号成分を第2検出AMノイズ信号成分で相殺し、復調信号成分を含む出力信号を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本願は、米国特許出願第12/590145号(出願日:2009年11月2日、名称:「Noise Canceling Down-Converting Detector」、発明者:モールトン、グラント、イーおよびスチュワート、クリストファー、イーおよびグディー、スティーブン、エイチ、代理人整理番号:IP0901US)の優先権の利益を享受する。その米国特許出願は、共有に係る米国特許出願第12/590117号(名称「Method of Down Converting High-frequency Signals」、発明者:モールトン、グラント、イーおよびスチュワート、クリストファー、イーおよびグディー、スティーブン、エイチ、代理人整理番号:IP0902US)、および、共有に係る米国特許出願第12/590116号(名称「Continuous-Wave Field Disturbance Sensing System」、発明者:モールトン、グラント、イーおよびスチュワート、クリストファー、イーおよびグディー、スティーブン、エイチ、代理人整理番号:IP0903US)、および、共有に係る米国デザイン特許出願第29/316807号(名称「Hand-Held Radar Device」、発明者:モールトン、グラント、イーおよびパケット、ジョー、エル、ジュニアおよびグディー、スティーブン、エイチおよびスチュワート、クリストファー、イー、代理人整理番号:IP0904US)、と共に出願された。
【0002】
連邦によって後援された研究に関する声明文
なし。
【0003】
共同研究契約に係る者の名称
なし。
【0004】
シーケンスリストへのリファレンス
なし。
【0005】
本技術は主にレーダーシステムなどの電磁場擾乱検知技術に関する。
【背景技術】
【0006】
連続波(CW)コヒーレントレーダーは、周波数変換を使用して、伝送される信号の位相とその信号が移動するターゲットによって反射されることで得られる信号の位相とを比較する。ターゲットから反射されてくる波の位相は、そのターゲットまでの距離の関数として変化する。ターゲットの速度が一定の場合、反射信号の位相は一定のレートで変化する。位相の変化の一定のレートは、一定の周波数に対応する。したがって、帰ってくる反射信号は伝送信号からのある周波数オフセットで現れる。その周波数オフセットは、伝送器とターゲットとの相対速度に比例する。
【0007】
伝送信号と受信信号とを周波数ダウンコンバータで比較することにより、そのコンバータの出力において伝送信号と受信信号との差分周波数を得ることができる。レーダーの実装においては、伝送信号の位相(周波数)と受信信号の位相(周波数)とを比較するために必要な装備のコストおよびサイズの最適化が試みられる。一方で、そのコストおよびサイズで可能な最大のターゲット検出範囲を得る試みも行われる。
【0008】
多くの従来の可搬型レーダーガンはガン(Gunn)ダイオードを使用する。ガンダイオードは積分型ダイオードピークディテクタで空洞発振器を駆動する。積分型ダイオードピークディテクタは、周波数ダウンコンバータまたはミキサとして機能し、ひとつまたは複数のディテクタダイオードを使用する。空洞発振器/ミキサはホーンアンテナと結合される。ホーンアンテナは、入来信号を伝送し、反射信号を受けるために使用される。空洞は、伝送器からのローカル発振器(「LO」)信号でダイオードディテクタを駆動し、受信RF信号を同じダイオードと結合させる。ダイオードディテクタはRF信号とLO信号とを混合し、それらの差分周波数を有するIF信号を生成する。典型的には、ダイオードディテクタは大抵は数百から高いときには数千オーム程度の比較的高いインピーダンスにマッチし、変換ロスは0dBに到達しうる。LO信号およびRF信号にマッチさせることは、最適なシステム性能を得るためにカップリングを最適化するために、空洞内でダイオードの場所を動かすことにより達成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ディテクタダイオードは空洞内のLOパワーを整流する。コヒーレントな振幅変調(「AM」)による、または、AMノイズによる、振幅のどのような変化もIF出力に表れるであろう。この問題のため、設計者は通常、ダイオードバイアスサプライ電圧入力から振幅変動への変換が最小となるよう調整されたガンダイオード発振器を使用する。これにより、LOにおけるAMノイズは最小化され、したがってIF出力において検出されるLOAMノイズも最小化される。その結果、十分に感度の高いRF検出が可能となる。
【0010】
空洞型レーダーデバイスは、典型的には、10GHzまたは24GHzISMバンド(例えば、XおよびKバンド)で動作するために、数インチ長のホーンアンテナおよび少なくとも1立方インチまたはそれ以上のサイズの空洞発振器を要求する。これらの要素の両方は、システムがかなりの重量およびサイズを有することの要因となる。システムがかなりの重量およびサイズを有することは、小型ハンドヘルドアプリケーションにとっては望ましくない。さらに、最適なガンダイオードバイアスポイントは多くの場合かなりの電流引き込みを必要とする。可搬型電池式アプリケーションの場合、これにより、使用可能な動作時間が制限される。あるいはまた、より大きな電池を収容するためにレーダーのサイズを大きくしなければならない。
【0011】
小型レーダーデバイスへの別の設計アプローチは、平面または「パッチ(patch)」アンテナアレイを使用する。これらのデバイスは、空洞安定型ガン発振器/ディテクタを使用するかまたは従来のスイッチングミキサを使用する。スイッチングミキサでは、LO信号がLO位相に依存してRF信号位相をスイッチし、IF出力へ出す。スイッチング型のミキサは多くの場合6dB以上の変換ロスを示すので、ローカル発振器のAMノイズを相殺するためのバランス構成とされなければならない。従来のミキサベースのシステムにおいて使用されるダイオードは、信号経路における開路または閉スイッチを提供するスイッチとして作用する。LO信号は、約半周期の間ダイオードを「オン」とするまたは低インピーダンスとし、もう半周期の間ダイオードを「オフ」とするまたは高インピーダンスとするよう、ミキサダイオードを駆動する。
【0012】
バランスされたスイッチングダイオードミキサまたは2倍、3倍バランスされたスイッチングダイオードミキサは、製造時のばらつきに起因する不完全なAMノイズ相殺に悩まされており、大抵の発振器のAMノイズの影響を受けやすいままとなっている。レーダ経路やミキサ内の経路の往復に必要な時間は短いことに起因してローカル発振器の位相ノイズは相殺される一方、ダウンコンバートされたローカル発振器AMノイズは入来RF信号をぼやかしてしまう。従来の(インコヒーレントな)受信器では、通常、位相ノイズがAMノイズを数十dB程度上回るので、LOのAMノイズは普通見られない。(例えば、CWレーダーで使用されるような)コヒーレントな受信においてのみ、LOの位相ノイズは相殺され、AMノイズが支配的となりうる。
【0013】
加えて、通常、スイッチングダイオードミキサのIF出力を、大抵は50オームに等しい低い入力インピーダンスを有する低ノイズIF増幅器で終端することが必要である。ミキサロスが6dBのときのその増幅器のノイズ電圧は、アンテナ入力において測定されるノイズ電圧の2倍に等しい。通常、ダイオードはミキサの入力ノイズに、変換ロスに上積みする形で0.5dBから1dBを加える。これにより、アンテナRFポートでの受信信号対ノイズ比はさらに悪化する。通常、このタイプのレーダーはガンおよびホーンアンテナ代替構成と比較して、追加的なアンテナやRF前置増幅器などの他の部材の追加なしでは、良い長距離特性を実現しない。
【0014】
平面パッチアンテナアレイを使用して構成された他のデバイスは、ガンベースの空洞発振器を伝送源として使用し、ディテクタダイオードを受信ミキサとして使用した。これはガンソースからのAMノイズをそれほど高くないものとすることができるが、発振器の共振空洞のサイズによってその小型化には限界がある。
【0015】
従来技術の欠点を克服するレーダーシステムや他のアプリケーションの部材が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
広義には、本書面はディテクタシステムを開示する。
【0017】
ディテクタシステムは、振幅変調(「AM」)ノイズを有する第1高周波信号を検出し、少なくとも第1検出AMノイズ信号成分および復調信号成分を有する第1検出信号を生成するよう構成された第1ディテクタと、AMノイズを有する第2高周波信号を検出し、少なくとも第2検出AMノイズ信号成分を有する第2検出信号を生成するよう構成された第2ディテクタと、を備える。代数的合成ネットワークは、第1検出信号と第2検出信号とを合成することで第1検出AMノイズ信号成分を第2検出AMノイズ信号成分で相殺し、復調信号成分を含む出力信号を生成する。
【0018】
さらなる実施の形態では、第1高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、復調信号成分はローカル高周波信号と受信高周波信号との差分周波数を有する。ある実施の形態では、第2高周波信号はローカル高周波信号である。代替的な実施の形態では、第2高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、第2検出信号は差分周波数を有する第2復調信号成分をさらに含む。代数的合成ネットワークの出力信号は復調信号成分に足し合わされた第2復調信号成分を含んでもよい。
【0019】
ある実施の形態では、受信高周波信号はローカル高周波信号の反射信号である。
【0020】
さらなる実施の形態は、ローカル高周波信号と受信高周波信号とを合成し、ローカル高周波信号および受信高周波信号を第1ディテクタに提供する高周波代数的合成ネットワークを備える。
【0021】
ある実施の形態では、代数的合成ネットワークは反転入力および非反転入力を有し、第1検出信号は非反転入力に提供され、第2検出信号は反転入力に提供される。
【0022】
ある実施の形態では、第1高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、出力信号は差分周波数を有する。
【0023】
ある実施の形態では、ディテクタシステムは、ローカル高周波信号および受信高周波信号を受けるよう構成された高周波代数的合成ネットワークを含む。高周波代数的合成ネットワークは、ローカル高周波信号および受信高周波信号を第1ディテクタに提供し、ローカル高周波信号および受信高周波信号の反転信号を第2ディテクタに提供する。第2ディテクタは第2検出AMノイズ信号成分および反転された復調信号成分を有する第2検出信号を生成する。
【0024】
ある実施の形態では、代数的合成ネットワークは反転入力および非反転入力を有する。第1検出信号が非反転入力に提供されると共に第2検出信号が反転入力に提供されることによって、反転されたAMノイズ信号成分および第2復調信号成分が生成される。出力信号は復調信号成分と第2復調信号成分との和であり、反転されたAMノイズ信号成分はAMノイズ信号成分を相殺する。
【0025】
ディテクタは例えば、シングルダイオードディテクタ、デュアルダイオードディテクタ、ダイオード電圧増倍器であってもよい。
【0026】
ある実施の形態では、高周波代数的合成ネットワークは、高周波代数的合成ネットワークを通じた第1受信信号経路と、高周波代数的合成ネットワークを通じた第2受信信号経路と、高周波代数的合成ネットワークを通じた第1LO信号経路と、高周波代数的合成ネットワークを通じた第2LO信号経路と、を含む。第1高周波コンバイナは、第1受信信号経路の受信信号と第1LO信号経路のLO信号とを合成し、第1合成信号を第1ディテクタに提供する第2高周波コンバイナは、第2RF信号経路の受信信号と第2LO信号経路のLO信号とを合成し、第2合成信号を第2ディテクタに提供する。ある実施の形態では、第1合成信号はLO信号と受信信号とを足し合わせたものであり、第2合成信号はLO信号から受信信号を引いたものである。
【0027】
ある実施の形態では、ディテクタシステムは、第1ディテクタと代数的合成ネットワークとの間に設けられた第2代数的合成ネットワークを含む。第2代数的合成ネットワークは、代数的合成ネットワークの第1非反転入力と接続された第1正出力と、代数的合成ネットワークの第1反転入力と接続された第1負出力と、を有する。さらなる実施の形態では、第2検出信号は第2復調信号成分を含み、第3代数的合成ネットワークは第2ディテクタと代数的合成ネットワークとの間に設けられ、第3代数的合成ネットワークは、代数的合成ネットワークの第2反転入力と接続された第2正出力を有する。第2負出力は、代数的合成ネットワークの第2非反転入力と接続される。
【0028】
さらなる実施の形態では、調整可能利得ステージは、代数的合成ネットワークと第2代数的合成ネットワークおよび第3代数的合成ネットワークのうちのひとつとの間に設けられる。調整可能利得ステージは、第2検出AMノイズ信号成分が第1検出AMノイズ信号と利得係数との積と等しくなるような検出AMノイズ信号のうちのひとつの調整を可能とする。例えば、調整可能利得ステージは第2検出AMノイズ信号成分を利得係数で除す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態に係るノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタのブロック図である。
【0030】
【図2A】別の実施の形態に係るノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタのブロック図である。
【0031】
【図2B】図2Aのノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタのブロック図であり、高周波合成ネットワークおよび検出信号代数的合成ネットワークの追加的な詳細を示す。
【0032】
【図3A】実施の形態に係るノイズ相殺システムの一部を示す図である。
【0033】
【図3B】別の実施の形態に係るノイズ相殺システムの一部を示す図である。
【0034】
【図4】実施の形態に係るノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタシステムの一部を示す図である。
【0035】
【図5A】ある実施の形態において使用されるシングルダイオードディテクタの回路図である。
【0036】
【図5B】ある実施の形態において使用されるデュアルダイオードディテクタの回路図である。
【0037】
【図5C】ある実施の形態において使用されるダイオード増倍回路の回路図である。
【0038】
【図5D】ある実施の形態において使用されるシャント構成のシングルダイオードディテクタの回路図である。
【0039】
【図6A】実施の形態に係るフィールド擾乱検知システムにおいて使用されるノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタのRFカプラの平面図である。
【0040】
【図6B】実施の形態に係るシングルダイオードディテクタ回路の平面図である。
【0041】
【図6C】実施の形態に係るデュアルダイオードディテクタ回路660の平面図である。
【0042】
【図7A】実施の形態に係るCWレーダーシステムの回路基板の平面図である。
【0043】
【図7B】実施の形態に係るフィールド擾乱測定システムを示す図である。
【0044】
【図8A】実施の形態に係るダウンコンバーティング方法のフローチャートである。
【0045】
【図8B】実施の形態に係る電磁場擾乱の検知方法のフローチャートである。
【0046】
【図9A】実施の形態に係る、フィールド擾乱検知システムをノイズについて較正する方法のフローチャートである。
【0047】
【図9B】実施の形態に係る、フィールド擾乱検知システムのAM信号利得を較正する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
実施の形態に係るフィールド擾乱検知システム(例えば、レーダーシステム、モーションセンサ、自動ドア開閉器、自動車用センサ、および低いIFのTx/Rxシステム)は小型化を達成し、また改善されたレンジ、感度および信号対ノイズ比を達成する。ある実施の形態に係るシステムは、携帯型かつ電池駆動のシステムである。他の実施の形態は、AC(メイン)電源や外部電源を伴う固定設置型である。実施の形態に係るノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタは、第1信号(信号1でありこれは「LO信号」と称されるであろう。ちなみに、このLO信号はスイッチングミキサシステムにおけるLO信号とは全く異なる)または伝送信号からAMノイズを相殺する。
【0049】
ディテクタのある実施の形態は、従来のスイッチングミキサベースのシステムと比較して、ディテクタ回路と適切にマッチされた場合にかなりの変換利得を提供する。ある実施の形態では、10dB以上の変換電圧利得が測定された。変換利得が改善されたことにより実施の形態はよりよい信号対ノイズ比を達成できる。これにより、従来のスイッチダイオードミキサシステムにおいて使用されるより高価な低ノイズIFまたはRF増幅器の代替品として、シンプルで低コストのIF増幅器を使用することが可能となる。ある実施の形態では、低ノイズIF増幅器を使用することで、追加的なノイズを最小化しつつ変換信号をブーストすることができる。本明細書で使用される「ノイズ相殺」は、あるディテクタにおいて検出されるAMノイズが別のディテクタにおいて検出される実質的に同じAMノイズから減算されることを意味する。
【0050】
実施の形態に係るノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタは入来(反射されるかまたは他のRF)信号を検出し、一方でローカル(伝送されるかまたはLO)信号のAMノイズを相殺する。ノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタは通常のスイッチングミキサのようには動作しない。すなわち、ノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタは、スイッチング動作を制御するLO信号でRF信号をスイッチまたはゲートしてIFポートに与えることをしない。その代わり、ノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタは、2以上の別個のエンベロープディテクタとして動作する。
【0051】
ディテクタは、2つの高周波信号の瞬間値(電圧)を検出する。これらの信号のうちの一方は、平均(定常状態)LOパワー(これは基本的にDCの検出出力を生成する)と、瞬間RFパワーと、瞬間LOAMノイズパワーと、を含む。瞬間RFパワーは、LO信号に加わるかそれから引かれることによってビート(IF)信号を生成する。瞬間LOAMノイズパワーは、平均LOパワーに加わるかそれから引かれる。したがって、ピーク検出された電圧に不正確さを導入する(潜在的に検出RF信号をぼやかすかまたは不確実性を加える)。関心のある信号(例えば、反射信号や伝送器からの受信信号)は復調されて検出信号の成分(「復調成分」)となる。
【0052】
他方の信号は少なくとも平均LOパワーおよび瞬間LOAMノイズパワー(およびオプションでRF信号または他の信号)を含む。検出される定常状態LO信号はDCであり、排斥されるかそうでなければ相殺される(例えば、RCディテクタ負荷に影響を与えない)。検出AMノイズ成分の一方は他方から減算され、したがって、結果として得られる検出(IF)信号に対するLOAMノイズの影響は相殺される。RF信号はある実施の形態では移動する物体から反射された信号である。そのようなRF信号は、ディテクタにおいて、瞬間LO信号に加わるかそれから引かれ、ピーク電圧したがってディテクタ出力を増加させるかまたは減少させる。簡便に可視化するとすると、反射信号はLO信号を「過去にスライドさせた」ものであり、ディテクタはベースバンドにおいてビート周波数を有するIF信号を生成する。
【0053】
従来のスイッチングミキサでは、IF信号は2つの周波数(すなわち、RF信号およびLO信号)の和または差である。言い換えると、従来のスイッチングミキサは、アップコンバータまたはダウンコンバータとして動作しうる。従来のスイッチングミキサは、典型的には、全てのミキサポートすなわちLO、RFおよびIFにおいて、比較的低いインピーダンスシステム(例えば、特性インピーダンスが50オームのシステム)で動作する。ノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタは、IFポートにおいてそのような低インピーダンスを有するシステムに限定されない。
【0054】
図1は、実施の形態に係るノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタ(「NCDD」)システムのブロック図である。高周波信号(「LO信号」)102は第1ディテクタ104および代数的合成ネットワーク106に提供される。代数的合成ネットワーク106は、高周波信号102をRF信号108と合成し、RF+LO信号110を生成する。このRF+LO信号は第2ディテクタ112に提供される。CWレーダーなどのアプリケーションでは、高周波信号は伝送信号であり、RF信号は反射信号であり、例えばターゲットから反射されたLOである(例えば、図7B参照)。他のアプリケーションでは、RF信号は伝送デバイスによって生成された高周波信号または再生成されたLO信号である。実施の形態の多くのアプリケーションはコヒーレントなRF信号を使用するが、他のアプリケーションはそうではない。
【0055】
連続波(「CW」)レーダーシステムでは、高周波(LO)信号はアンテナに送られターゲットへ伝送される。ターゲットはエネルギの一部を反射し(「反射」信号または「RF」信号)、そのように反射された信号は同じアンテナまたは第2アンテナによって受信される。ターゲットとアンテナとの相対運動は反射信号と伝送(LO)信号との間の周波数シフトとして検出される。検出された周波数シフトを処理することにより、相対運動の速さが決定される。通常、LO信号は反射信号よりもかなり高いパワーを有しており、LO信号のAMノイズはRF成分をぼやかす可能性がある。ディテクタ104、112からの出力114、116は、第2代数的合成ネットワーク118の非反転入力117および反転入力115に提供され、検出出力信号120が生成される。検出出力信号120は、議論を容易とするため、中間周波数(「IF」)信号と称される。第2代数的合成ネットワーク118は、演算増幅器や差動増幅器などの任意のタイプの回路によって、または、アナログデジタルコンバータおよびそれに続くハードウエアまたはソフトウエアによるデジタル信号処理を組み入れたデジタル回路技術によって、実現されうる。第2代数的合成ネットワークは、第1検出信号と第2検出信号とを合成することで、検出AMノイズを相殺する。第1検出信号116は、検出AMノイズ成分(LOd)および第2検出信号成分(RFd)を含む。第2検出信号114は検出AMノイズ成分(LOd)を含む。この検出AMノイズ成分は基本的に第1検出信号116の検出AMノイズ成分と等しい。したがって、検出AMノイズは相殺される。出力信号(IF)120は第2検出信号成分(RFd)である。
【0056】
図1のIF信号は基本的には復調RF信号であり、原則的にはRF信号の位相がCWLO信号に関して進むまたは遅れる際のビートノートである。CWレーダーシステムの場合、物体がLO源に向けてまたはそれから離れるように移動し、物体へのまたはからの経路長が減少または増大する際、RF信号の位相は、そのRF信号をシステムに向けて反射する物体の速さにしたがって、LO信号の位相に対して進むまたは遅れる。ビートノートの周期は物体の速さを示す。理想的なシステムでは、検出LO信号の振幅(検出LO信号のDC成分)は両方のディテクタ112、104において同じであり、代数的合成ネットワーク118の入力115、117において相殺される。あるいはまた、DC成分は等しくなく、しかしながら(例えば容量的に)ブロックされ、排斥され、またはそうでなければRF信号とLO信号との間のビート周波数に影響を与えない。
【0057】
IF信号120は、入力117における検出LO信号引く入力115における検出LO信号足す入力117における検出RF信号と等しい。LOポート102における所与の入力パワーに対して114および116における出力信号の振幅および位相が等しくなる、したがって信号出力におけるLOAMノイズが相殺されるように、システムはセットアップ(例えば、マッチ設計または較正)される。あるシステムでは、LO信号の振幅はRF信号のそれよりもかなり大きく、LOAMノイズがRF信号により生じるピーク信号電圧の差を覆い隠す可能性がある。システム100は、検出LO信号およびそれに伴うLOAMノイズをそれと同じ信号の検出複製物から減算することによって、LOAMノイズがRF信号を覆い隠すという問題を避ける。
【0058】
ある実施の形態では、第1ディテクタおよび第2ディテクタはシングルダイオードディテクタである。代替的な実施の形態では、第1ディテクタおよび第2ディテクタは複数ダイオードディテクタまたは他のタイプのディテクタである。ある実施の形態では、第1ディテクタおよび第2ディテクタは実質的に同等である。これにより、検出LO信号は実質的に同等となり、LOAMノイズをより良く相殺することができる。製造公差により軽微な差異が生じうる。ある実施の形態は、図3Bを参照して後述される較正技術を含む。代替的な実施の形態では、ディテクタは同等ではないが、バランスされている。言い換えると、各ディテクタは同じ入力信号から実質的に同等の出力信号を生成する。代替的な実施の形態では、部材および回路の多くのバリエーションが使用される。実質的に同等な回路を設計することおよび実質的に同等(すなわち、同じ部品番号およびある場合ではマッチする部品)を使用することは、所望の信号バランスを達成するための多くの方法のうちのひとつに過ぎない。
【0059】
図2Aは、別の実施の形態に係るノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタ200のブロック図である。RF信号108およびLO信号102は両方とも代数的合成ネットワーク202に提供される。代数的合成ネットワーク202はLO+RFの第1高周波出力204およびLO−RFの第2高周波出力206を生成する。第1ディテクタ208はLO+RF信号を検出し、その検出信号216(LOd+RFd)は別の代数的合成ネットワーク218の非反転入力217に提供される。第2ディテクタ210からの検出信号214(LOd−RFd)は代数的合成ネットワーク218の反転入力215に提供される。代数的合成ネットワーク218の出力はIF信号であり、このIF信号は、217からの検出LO信号引く215からの検出LO信号足す215および217に見られる検出RF信号の大きさの和と等しい。検出LO信号および検出RF信号が最適に合成された場合、(検出LOAMノイズを含む)検出LO信号は相殺され、検出RF信号は2倍となる。これにより、IF信号の信号対ノイズ比を改善できる。実際は、製造公差や電子部品(例えばディテクタダイオード)から生じる差異によりわずかにバランスが崩れる。このバランスの崩れにより、LOAMノイズは残留し、RFパワーは倍増されるとまではいかない。しかしながら、変換処理の性能(電圧の利得)を大きく改善することができる。
【0060】
図2Bは、図2Aのノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタ200のブロック図であり、高周波合成ネットワーク202および検出信号代数的合成ネットワーク218の追加的な詳細を示す。ある実施の形態では、高周波合成ネットワーク202はリングカプラを含む(例えば、図6A参照)。代替的な実施の形態では、高周波合成ネットワーク202は他の技術を使用する。そのような技術は例えばハイブリッドやバランやトランスや高周波回路設計の分野の当業者に知られている他の合成技術である。
【0061】
第1ディテクタ208へのRF信号経路(「第1RF経路」)220は、関連する第1位相遅延Φ1および第1利得(またはロスであり、そのようなロスは議論上負の利得(−dB)として表現される)g1を有する。第2ディテクタ210へのRF信号経路(「第2RF経路」)222は、関連する第2位相遅延Φ2および第2利得g2を有する。第1ディテクタ208へのLO信号経路(「第1LO経路」)224は、関連する位相シフトΦ3および利得g3を有し、第2ディテクタ210へのLO信号経路(「第2LO経路」)226は位相シフトΦ4および利得g4を有する。
【0062】
RF信号およびLO信号は高周波コンバイナ228、230において合成され、ディテクタ208、210と結合される。ディテクタ208、210は低周波信号を出力236、238に提供し、したがって検出信号代数的合成ネットワーク218に提供する。検出信号は、低周波加算器240において合成される前に位相遅延Φ5、Φ6および利得g5、g6の影響を受ける。低周波加算器240は検出信号を足し合わせ、合成IF出力242を生成する。
【0063】
合成ネットワーク202の部材のばらつきや製造公差によって、相補的な経路(すなわち、第1および第2RF経路220、222ならびに第1および第2LO経路224、226)において位相シフトおよび利得の差異が生じうる。そのような差異によって、異なる高周波出力信号232、234がディテクタ208、210に供給されるということが生じうる。さらに、たとえ合成高周波信号が等しい場合でも、ディテクタ部材の差異によってディテクタの出力236、238が異なることも生じうる。ある実施の形態では、高周波合成ネットワーク202のひとつ以上の利得値は調整可能である。ある実施の形態では、各ディテクタ236、238からの検出LOパワーをバランスさせるようにLO信号経路(例えば、g3、g4)の利得値を調整可能である。これにより、検出LOAMノイズをほぼ完全に相殺することができる。
【0064】
図3Aは、実施の形態に係るノイズ相殺システム300を示す図である。検出信号LOd+RFdは代数的合成ネットワーク302に提供される。代数的合成ネットワーク302は正出力306および負(反転)出力308を有する。正出力306はLOd+RFdを低周波代数的合成ネットワーク318の第1非反転入力310に結合し、負出力308は−(LOd+RFd)を低周波代数的合成ネットワーク318の第1反転入力312に結合する。同様に、LOd−RFdは第2非反転入力314に結合され、−(LOd−RFd)は第2反転入力316に結合される。代数的合成ネットワーク304は第2ディテクタからのLOd−RFdに対して同様に動作する。
【0065】
差動出力306、308または差動出力307、309において加えられたコモンモードノイズは出力320において相殺される。電源レールや他の入力から差動出力和にノイズが入りうる。システム300はコモンモードノイズを相殺する。しかしながら、システム300は、出力306と308との間に表れる差動ノイズを相殺せず、また、出力307と309との間に表れる差動ノイズを相殺しない。
【0066】
図3Bは、別の実施の形態に係るノイズ相殺システム330の一部を示す図である。ディテクタ332、334の出力は異なるLOdのレベルを有する。これは、例えば異なる経路ロスや異なるディテクタ性能に起因しうる。RFdのレベルもまた等しくないかもしれない。しかしながら、トータルの検出RF信号がレーダーまたは他のシステムにおいて正当な測定を提供するのに十分な程度である限り、これはあまり重要ではない。レーダーにおける速さの決定は、信頼性の高いビート周波数の検出にのみ依存しており、その信号の絶対振幅には依存しないからである。検出LO信号が異なる場合、ノイズ信号は等しくなくなるので、不完全なLOAMノイズ相殺が生じうる。これにより、RF信号ピークよりも高い検出AMノイズが生じうる。そのような高いノイズはRF信号測定の正確さを低減しうる。ディテクタ334からの出力は、ディテクタ332からの出力よりもスケーリング(利得)係数Kだけ高い。調整可能利得ステージ336は、差動出力に1/Kを掛け合わせ、2つの検出LO信号をディテクタ332において見られるのと同じレベルになるようにする。これにより、代数的合成ネットワーク330の動作によって検出LOAMノイズは相殺される。
【数1】
利得制御336により、検出RF信号を約4倍としつつ(2つの検出LO信号がほぼ等しい、すなわちKが1に近い場合)、LOAMノイズを相殺することが可能となる。
【0067】
ある実施の形態では、システムの各LO信号経路にある量のAM信号を加えることによってLOAM信号またはノイズの相殺が実現されるように、ダウンコンバーティングシステムは較正される。両方のディテクタ出力において同等レベルの検出LOAM信号が生成されるよう利得Kを変えることによって、IFにおいて見られる検出AM信号またはノイズの振幅を低減できるであろう。LOAM相殺はベースバンド(IF/可聴)において行われる。これにより、高周波(すなわち、検出前)における較正と比較して、とても正確なLOAM較正/相殺が可能となる。高周波では、ミスマッチ誤差が較正の精度を悪化させる。ある実施の形態では、ダウンコンバーティングシステムは、AM信号やノイズ源(較正標準)やルックアップテーブル(「LUT」)や可変利得ステージや可変減衰ステージなどの作り付けの較正源を有する。さらなる実施の形態では、ダウンコンバーティングシステムは、ファームウエアインストラクション(自己較正)にしたがって、自動LOAMノイズ較正を実行する。LOAMノイズ相殺により信号対ノイズ特性を改善することができる。これにより、レーダーシステムにより優れたレンジを提供することが可能となる。
【0068】
図4は、実施の形態に係るNCDDシステム400の一部を示す図である。NCDDシステム400は図3Aおよび図3Bを参照して説明されたシステムと同様であるから、簡単に説明する。システム400は4つのディテクタD1、D2、D3、D4を使用し、4つの検出信号(図4Aにおいて符号が付されている)を差動代数的合成ネットワーク402、404に提供する。差分回路および等しいLO検出信号およびRF検出信号の場合、結果として得られる合成IF出力は以下の通りである。
【数2】
ディテクタD1−D4がデュアルダイオードディテクタとして構成される場合、それらのディテクタD1−D4はそれぞれ最大でNCDDへの入力パワーの半分程度しか見ないであろう。それらのディテクタはピーク電圧を検出し、それらの出力を電圧として加える。それらのディテクタが正のピークディテクタと負のピークディテクタとで対とされる場合、同じパワー入力に対して低周波検出出力電圧はほぼ2倍となるであろう。したがって、4ディテクタシステム400は検出LOAMノイズを相殺する一方、検出RF信号を、シングルダイオードシステムによって検出されるであろうRF信号の数倍程度に増大させる。無相関でありダイオード生成の(すなわち、ディテクタ生成の)ノイズがパワーとして加わる。シングルダイオードディテクタシステムでは、この無相関のノイズは検出信号に加えられ、レンジ/感度を悪化させる。この4ディテクタシステムでは、4つの検出RF出力信号は相関のある電圧として足し合わされる一方、4つのノイズ出力は無相関のパワーとして足し合わされる。したがって、信号対ノイズ比を改善でき、反射されるかまたは遠方で生成された微小RF信号を検出できる低コストの検出システムを提供できる。
【0069】
図5Aは、実施の形態に係るダウンコンバーティングシステム(例えば、図1の参照符号102参照)で使用されるシングルダイオードディテクタ500の回路図である。代替的に、他のディテクタ構成が使用される。ダイオード502はピークディテクタとして使用される。そこでは、電圧源506からの高周波入力電圧VINにしたがって、抵抗−容量(「RC」)ネットワーク504に亘って出力電圧VOUTが生成される。ダイオード502は、正のピーク入力電圧引くディテクタダイオードの順方向降下電圧にほぼ等しい検出出力電圧を生成する。例えば、入力電圧はローカル発振器およびアンテナによって生成されるLO+RF電圧(図1の参照符号110参照)であり、図6Aおよび図6Bを参照して後述される。ある実施の形態では、抵抗508の抵抗値は、余分な抵抗ノイズを加えることなく検出出力電圧を最大化するよう選択され、キャパシタ510はローパスフィルタ機能およびエネルギの蓄積機能を提供するよう選択される。ある実施の形態によると、ディテクタの出力はIF増幅器510の高インピーダンス入力に接続される。これにより、ディテクタダイオード502の負荷を軽くすることができる。その結果、ディテクタダイオード502は、従来のスイッチングミキサベースのシステムと比較して、高周波信号の狭い導通角に亘って導通する。従来のスイッチングミキサベースのシステムでは、ミキサダイオードは高周波駆動信号の比較的長い部分に亘って導通する。
【0070】
スイッチングミキサベースのシステムは、ミキサダイオードを駆動するために比較的高いLOパワーを必要とする。ダイオードをミキサとしてではなくディテクタとして使用することにより、システムをより低いLOパワーで動作させることが可能となる。これにより、トータルのシステム電力消費を低減し、LO設計における設計の幅を広げることができる。ディテクタダイオードにおいて要求されるLOパワーを低くすることにより、LOパワーを分割して複数のディテクタを駆動し、LOAMノイズを相殺することが可能となる。実施の形態に係るノイズ相殺技術は、スイッチングミキサやシングルダイオード検出ミキサと比べて改善された信号対ノイズ性能を有するダウンコンバーティングシステムを提供する。複数のRFディテクタを使用することにより、信号対ノイズ性能をさらに改善できる。
【0071】
図5Bは、ある実施の形態において使用されるデュアルダイオードディテクタ520の回路図である。電圧源VIN522は第1ダイオード524を駆動し、第1RCネットワーク526に亘って第1出力VOUT1を生成する。電圧源VIN522は第2ダイオード528を駆動し、第2RCネットワーク530に亘って第2出力VOUT2を生成する。VOUT1は基本的にVINの正のピーク電圧引くダイオードの順方向降下電圧であり、VOUT2は基本的にVINの負のピーク電圧引くダイオードの順方向降下電圧である。ある実施の形態によると、ディテクタ出力VOUT1、VOUT2は代数的合成ネットワーク532に提供される。
【0072】
図5Cは、ある実施の形態において使用されるダイオード増倍回路540の回路図である。回路540は4つのダイオード544、546、548、560を有し、それらのダイオードは、シングルダイオードディテクタの約4倍の電圧利得を提供するよう接続される。各ダイオードはAC入力電圧によって駆動され、関連するキャパシタを充電する。各ダイオードと関連するキャパシタとはピークディテクタとして接続される。このディテクタ(電圧増倍器)は、電圧利得を生じさせるために、低インピーダンス駆動および高インピーダンス負荷に依存する。これらのダイオードは交互に導通する。すなわち、負の半サイクルにおいて第1および第3ダイオードが導通し、入力信号の正の半サイクルにおいて第2および第4ダイオードが導通する。ある実施の形態によると、検出出力は高インピーダンス回路(例えば、IF増幅器)542に提供される。
【0073】
図5Dは、ある実施の形態において使用されるシャント構成のシングルダイオードディテクタ560の回路図である。ある実施の形態によると、ダイオード562は直列キャパシタ567およびシャント抵抗564と協働して、IF増幅器566に検出電圧VDETを提供する。
【0074】
図6Aは、実施の形態に係るフィールド擾乱検知システムにおいて使用されるノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタのRFカプラ600の平面図である。RFカプラは選択された特性インピーダンス(例えば50オーム、75オームまたは300オーム)を有する伝送線路として製造される。導電トレースの幅は、基板の厚さ(マイクロストリップ伝送線路が使用される場合は典型的には接地面までの厚さ)および基板材料の誘電率および他の特性に応じて、所望の特性インピーダンスが得られるように選択される。これはRF回路の分野では周知である。議論をより容易とするために、リングカプラ602のセグメントなどのRF構造の「長さ」は、システムが動作する波長を使用して示される。ある実施の形態では、比較的低い誘電損失(一般に10GHzにおける損失正接が約0.003より小さい)および高い誘電率(一般に10GHzにおいて約2よりも大きい)を有する誘電体基板上に、マイクロストリップ伝送線路が製造される。そのような誘電体基板は例えば、DUROIDTM基板、ROGERS CORPORATION of Rogers、CTから取得可能なRODGERS RTTM 4350または4003基板、ARLON−MED of Rancho Cucamonga、CAから取得可能なARLON−MEDTM 25N、25FRまたはAD350A基板、TACONIC of Petersburgh、NYから取得可能なTACONIC TLXTMまたはRF−35ATM基板、またはISOLA GROUP S.A.R.L.of Chandler、AZから取得可能なISOLA IS640TMであり、これらはポリ(テトラフルオロエチレン)(「テフロン(登録商標)」)ベースの回路基板であり、金属泊トレースを有する。一般に、マイクロストリップ高周波伝送構造は、導電性接地面(全ての場合ではないが大抵の場合基板の反対側にある)から既知の距離だけ離れたトレースであって選択された幅を有するトレースを有する。代替的な実施の形態では、共平面導波路やストリップラインや片面ストリップラインや同軸伝送線路が使用される。または、高周波伝送線路のタイプを混ぜ合わせてもよく、例えばシステムのある部分ではマイクロストリップ構造を使用し、別の部分では共平面導波路を使用してもよい。代替的な実施の形態は、FR−4やG−10基板などのエポキシグラスファイバー基板、他のポリマーファイバー基板、セラミック(例えば、アルミナまたはポリシリコン)基板、または単結晶(例えば、サファイアまたはシリコン)基板を使用する。
【0075】
ノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタのRFカプラ600は、リングハイブリッドカプラ602と、2つのダイオードディテクタ604、606と、を使用する。ダイオードディテクタ604、606はシングルダイオードディテクタであってもよいし、複数ダイオードディテクタであってもよい。ノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタ600は、コヒーレント自己復調レーダーに特に適している。このレーダーでは、LO信号および伝送レーダー信号610は同じ周波数で一定の位相差を有する。RF信号612は伝送(LO)信号610の部分であり、その部分は、ターゲット614によって反射された部分であって周波数シフト(すなわち、ドップラーシフト)を伴う。周波数シフトは、伝送信号源(伝送信号610)に向かうまたはそれから離れるターゲット速度に起因する。したがって、RF信号612はLO周波数から(カブラ帯域幅と比較して)少量シフトするのみであり、伝送信号とほぼ同じ波長したがって同様な位相シフトを有するであろう。システムは、ある既知の周波数について設計されていてもよい。そのような既知の周波数は主に伝送周波数であり、ある実施の形態では、L−、S−、C−、X−、K−、Ku−、Ka−バンドや他の周波数のうちのひとつ以上であってもよい。図6Aには、レーダー伝送および受信アンテナの詳細は示されていないが、そのようなアンテナは共通アンテナおよびLOとRFとの合成ネットワークとして実現されてもよいし、LO信号とRF信号とで別個のアンテナが設けられてもよい。伝送信号610および反射信号612はアンテナカプラ(例えば、図7Aの参照符号708および図7Bの参照符号757参照)を通じて導かれる。アンテナカプラは反射(RF)信号をノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタのRFカプラ600へと導く。
【0076】
リングハイブリッドカプラ602は4つのポート616、618、620、622を有する。リングハイブリッドカプラ602はLOポート616に到着するLO信号615を2つの同等な信号624、626に分割し、それらのLO信号を、やはり基本的に同等な2つのディテクタポート618、620に送る。LO信号はLOポートから各ダイオードポートへ(ダイオードポート620へは時計回り、ダイオードポート618へは反時計回り)、LO信号の波長の四分の一または四分の一の奇数倍だけ伝播する。RFポート622はリングハイブリッドカプラ602に設けられ、LOポート616からの距離は時計回りに二分の一波長の偶数倍であり、リングハイブリッドカプラ602の周りの反時計回り方向にRF信号の二分の一波長の奇数倍である。
【0077】
LO信号624、626はRFポート622において相殺される。624についての最短信号経路は二分の一λ(180度)であり、626についての最短信号経路はλ(360度)であり、したがってLO信号624および626は180度だけ位相がずれて到着するからである。代替的な実施の形態は他の波長の倍数を使用する。ある実施の形態では、RFポート622はリングハイブリッドカプラ602に設けられており、一方のディテクタ604からは反時計回り方向に四分の一波長、時計回り方向に四分の五λだけ離れており、第2ディテクタ606からは一方の方向に四分の三波長だけ離れている。したがって、RF信号は各ディテクタに、リング周りの両方の方向から位相が揃った形で到着する。2つのディテクタポート618、620の間の最短距離は二分の一λである。したがって、RFポート622からの信号は分割され、2つのディテクタ604、606に180度の位相差を伴って到着する。リングを四分の一λの奇数倍でスケーリングしても同じ位相関係を達成することができる。
【0078】
RF信号612およびLO信号615は正確に同じ周波数を有するわけではなく、移動するレーダーターゲットのドップラーシフトの影響により非常に低い周波数だけ分離されている。これは以下のように可視化されうる。大きなLO信号により小さなRF信号が加えられ、そのRF信号は周波数的にはLO信号とほぼ同等であるが、時間の経過とともに位相がゆっくりと移動する。波形のあるサイクルにおいて、一方のディテクタにおけるRF信号およびLO信号は同相で足し合わされ、波形のトータルの振幅を増加させる。差分周波数の二分の一サイクル後、RF信号およびLO信号は逆相で足し合わされ、ディテクタにおける波形のトータルの振幅を減少させる。これにより、RFとLOとの間の差分周波数(LO−RFまたはRF−LO)を有するダイオードディテクタからの低周波出力(すなわち、ベースバンドまたは「オーディオ」)が生じる。この差分周波数は、伝送信号と移動するターゲットとの往復経路における位相の変化に起因する。この位相の一定変化(ターゲットの相対速度が一定の場合)は周波数の変化と区別がつかず、ドップラー効果として理解される。
【0079】
2つのディテクタ604、606においてはLOポートからの信号の位相は同じになるが、第1ディテクタにおいてはRFポートからの小信号はLO信号の振幅に加えられる。第2ディテクタにおいてはRFポートからの小信号はLO信号の振幅から差し引かれる。差分周波数の二分の一サイクル後、RF信号の位相はLO信号に対して180度だけ変化し、RFの大きさとLOの大きさとの加算を見ていた第1ディテクタは今度はLOの大きさからのRFの大きさの減算を見るであろう。したがって、一方のディテクタがより高い出力を見る場合、他方のディテクタは同じRF信号に起因してより低い出力を見るであろう。LO信号のコヒーレントAMまたはAMノイズは各ディテクタにおいて信号の加算または減算として表れるであろう。そのような信号は、両方のディテクタの代数的合成により検出RF出力レベルが増加し、合成出力における検出LOAMノイズが相殺されるように、各ディテクタにおいて同等に(すなわち、同相で)加算または減算されるであろう。
【0080】
代数的合成ネットワーク(図2Aの参照符号218参照)は2つのディテクタ出力間の差を取り、IF信号を提供する。したがって、LO信号のAMノイズは相殺され、一方でRF信号の検出振幅は2つの検出RF信号の合成(和)として表れる。差動IF増幅器は2つの検出RF振幅間の差を取る。2つの検出RF振幅は基本的には互いに180度だけ位相がずれている。これは検出出力のうちのひとつにさらに180度の位相を加え、かつ、その結果ともう一方の検出出力とを足し合わせることに対応する。また、これは、2つの検出RF信号の大きさを加算することと等価である。負の値の減算はその値の大きさの加算と等価であるからである。
【0081】
差動ディテクタおよび差動IF増幅器は協働して受信RF信号の高感度性を実現しつつ、LO信号のAMノイズを相殺する。AMノイズは、そのように相殺されない場合、ダウンコンバータの感度を制限する。さらなる実施の形態では、差動IF増幅器は一方のIF信号の大きさを他方のIF信号に対して調整する機能を提供する(例えば、図3Bの参照符号336参照)。この機能は、ある実施の形態に係るノイズ較正技術と関連して使用される場合に特に、システムのノイズ相殺特性をさらに改善することができる。
【0082】
ある実施の形態は、ディテクタ利得の変動および信号経路の損失の差分を補正するためのノイズ較正を含む。RF伝送回路を正しく設計し、プロセスコントロール(再現性)を適切にすることによって、LO信号部分とRF信号部分との間の位相をバランス状態に維持することができる。RF経路がいくらかのインバランスを有する場合でも、LOAMノイズは十分に相殺されるので、RF信号の利得をほんの少し変更するのみでよく、一方で受信信号対ノイズ比を大きく増やすことができる。
【0083】
ディテクタ604、606は、典型的なミキサで使用されるダイオードスイッチのように動作するわけではない。ディテクタ604、606は、それらが狭帯域ダイオードディテクタである場合、スイッチングミキサ回路で使用されるより広帯域のダイオードスイッチと比較して、より高い利得(電圧入力に対する電圧出力)で入力信号電圧を検出することができる。狭帯域ダイオードディテクタは、広帯域ダイオードスイッチよりもマッチングをとるのが簡単である。したがって、検出効率を改善でき、信号対ノイズ比を改善できる。
【0084】
代替的な実施の形態では、RF信号部分が2つのディテクタに互いに位相が揃った状態で到着するが、LO信号部分は互いに180度だけ位相がずれた状態で到着するように、RFポートはカプラと接続される。リングカプラの幾何学的形状は、LO信号のAMノイズを相殺する差動構造を生成する。代数的合成ネットワークは、2つの検出LOAMノイズ部分を相殺するために、2つのディテクタ出力を互いに差し引く。LO信号の相対位相によらずに、2つのダイオード出力にAMノイズの低周波変動が位相が揃った状態で現れるからである。RF信号は両方のディテクタに加えられるが、それらのディテクタのLO信号は180度だけ互いに位相がずれているので、LO信号とRF信号とを合成することにより、ディテクタの出力に低周波変動を生成することができる。低周波変動は180度だけ位相がずれており、LO信号とRF信号との差の周波数を有する。代数的合成ネットワークは効果的に2つの検出RF信号部分の大きさを足し合わせる。この構成は、LOAM信号またはノイズを最大限相殺するために、ディテクタ出力のうちのひとつの振幅調整を要求しうる。実施の形態は、シングルダイオードディテクタや複数ダイオードディテクタを組み入れてもよく、代替的なディテクタ手法を使用してもよい。
【0085】
ディテクタ出力は加算ネットワーク(不図示、図7Bの参照符号768参照)と結合される。加算ネットワークの初段はIF増幅器であり、そのIF増幅器は図6Aのディテクタ604、606からディテクタ出力を受ける。この増幅器は差動増幅器であり、エミッタ結合トランジスタペアから形成される。差動増幅器を形成する2つのトランジスタのバイアス電流を変えることで利得を変えることができる。一方のディテクタについてのIF増幅器の初段出力は加算増幅器(例えば、演算増幅器)と接続される。正出力は非反転利得を生成する増幅器の入力と結合され、負出力は反転利得を生成する増幅器の入力と結合される。このネットワークは2つのディテクタ間の差を取るので、第2ディテクタの初段出力は増幅器入力と逆極性で結合される。すなわち、第2ディテクタの正出力は反転利得を生成するポートと接続され、第2ディテクタの負出力は非反転利得を生成するポートと接続される。この構成は2つのディテクタ出力間の差を生成し、IF増幅器の初段における電源電圧や利得制御電圧のコモンモードノイズ変動を相殺する。差動ノイズ相殺ディテクタの差動特性により、増幅器出力までの受信器チェーンのすべての要素におけるノイズの相殺が保たれる。さらなる実施の形態では、増幅器を、差動出力を備える差動増幅器で置き換えてもよい。この場合、コモンモード干渉に対する感度をさらに低減できる。
【0086】
図6Bは、実施の形態に係るシングルダイオードディテクタ回路630の平面図である。例えば、ディテクタ回路は図6Aの第1または第2ディテクタ604、606として使用される。ダイオード632はマッチング構成634により、リングカプラ(例えば、図6Aの参照符号602参照)の伝送線路インピーダンスとマッチされる。ダイオード632はダイオードチップであり、回路基板の表面に定義された導電性ホイルのパッド636上に取り付けられる。このダイオードチップは、インダクタとして表示されているボンドワイヤまたは他の適切なコネクタ638によってマッチング構成634と接続される。代替的な実施の形態では、パッケージ化されたダイオードが使用される。
【0087】
ダイオードはDC経路を使用して電流を生成し、入力高周波パワー(すなわち、LO信号およびRF信号)から検出出力(VOUT)を提供する。高周波ハイブリッドマイクロ回路設計の分野では周知のように、高インピーダンス伝送線路644の両端にファンライン642、646を伴うネットワークを設けることにより、LO周波数における高インピーダンスを実現でき、かつ、ダイオード電流に対してはDC経路を提供できる。種々の実施の形態では、任意のマッチングおよびバイアス構成が適切であり、ある実施の形態は異なるディテクタ回路に対して異なるマッチングおよびバイアス技術を適用してもよい。したがって、ディテクタ回路630は単なる例示である。代替的な実施の形態は、シャント構成を有するひとつ以上のダイオードを伴うディテクタ回路を使用する。一般に、ダイオードインダクタンスとファンライン642のキャパシタンスとの共振を生じさせない、ダイオードの出力へのDC接続を提供することが望まれる。多くのミキサ回路は、50オームシステムのように比較的低特性インピーダンスのシステムにおいて動作する。ある実施の形態におけるディテクタは、より高いインピーダンスの回路において動作する。この場合、共振の発生を回避し、ディテクタからより高い電圧利得を得ることができる。
【0088】
第2ファンライン646はネットワーク650と接続される。ネットワーク650は直列抵抗652とシャントキャパシタ654とシャント抵抗656とを有する。直列抵抗652の抵抗値は、ファン646とそれに続くシャントキャパシタ654との間を絶縁するのに十分なほど大きく、かつ、出力電圧VOUTを過度に減衰させないように接地へのシャント抵抗656の抵抗値よりも十分に低くあるべきである。例えば、シャント抵抗656が1キロオームから5キロオームの範囲にある場合、直列抵抗652は約20オームから約200オームの範囲にある。
【0089】
シャントキャパシタ654は、自己共振周波数が期待されるIF周波数の最高値よりも高くかつLO周波数よりも低くなるよう、選択される。ある実施の形態では、LO周波数が約24GHzのとき、シャントキャパシタは自己共振周波数が約2GHzよりも低くなるよう選択される。これにより、他のレーダーユニットや通信デバイスなどの隣接信号源が出力電圧VOUTに影響を与えることに対する耐性を得ることができる。シャントキャパシタ654およびシャント抵抗656はVOUTと接続された後段増幅器によって提供される抵抗およびキャパシタンスと共に、IF帯域幅を決定するであろう。このIF帯域幅は、受信されると予想される最高周波数のIF信号の受信を可能とするのに十分な程度に大きく設定されなければならない。短くされたファンライン642、646およびダイオードやパッケージやライン644や他のリード線の直列インダクタンスは、LO周波数およびRF周波数における減衰を提供する。当業者には理解されるように、他のネットワークが代替的に使用されうる。
【0090】
マッチング構成634において伝送線路658、660、662を使用することによって、ダイオード/ファンライン共振のインピーダンスとリングカプラのシステムインピーダンスとを整合させることができる。代替的に、他の伝送線路マッチング構成が使用される。例えば、代替的なデザインは、単一の四分の一波長伝送線路を使用し、この伝送線路のインピーダンスはソースインピーダンスと負荷インピーダンスとの幾何平均と等しい。代替的な実施の形態では、マッチング回路においてディスクリートな部品が使用される。
【0091】
図6Cは、実施の形態に係るデュアルダイオードディテクタ回路660の平面図である。2つのダイオード662、664は直列に接続される。ある実施の形態では、2つのダイオードは単一のパッケージ666の中に作られ、それによって浮遊キャパシタンスおよびインダクタンスが低減される。2つのダイオードのパッケージはデュアルダイオードを称される。ある実施の形態は、積層ダイオードを使用する。図6Bを参照して上述されたように、2つのダイオードのコモンジャンクション668は、広い/狭いマッチング構成(例えば、図6Bの参照符号634参照)を通じて、ディテクタ入力ポート(例えば、図6Bの参照符号618、620参照)と接続される。デュアルダイオードの他の端子はそれぞれ、短くされたファンライン670、672と接続される。短くされたファンライン670、672は、ダイオードおよびパッケージリード線のインダクタンスを外し、LO周波数で共振するようなキャパシタンスを作り出す。各ダイオードおよび短くされたファンラインジャンクションは、LO周波数において高インピーダンス負荷を提供する回路と接続される。しかしながら、その回路はダイオードとDCで接続され、ディテクタ出力およびDC電流経路を提供する。この回路は、図6Bを参照して上述されたように、狭いラインおよびファンライン足す直列抵抗およびシャント抵抗およびキャパシタの形態をとりうる。代替的な実施の形態は、RFチョークなどのLO周波数での高インピーダンスネットワークの形態をとる。そのようなネットワークは高インピーダンスを提供する。デュアルダイオードパッケージの一方のダイオードはディテクタ入力信号の正のピークを検出し、デュアルダイオードパッケージの他方のダイオードはディテクタ入力信号の負のピークを検出する(例えば、図5Bおよびそれに関連する記載を参照)。
【0092】
2つのダイオードの出力VOUT1、VOUT2は差動増幅器676の入力と接続される。差動増幅器676の出力678は差動IF増幅器682の入力と接続される。デュアルダイオードディテクタ回路660は図6Bのシングルダイオードディテクタ回路と同様に動作するが、典型的には、シングルダイオードディテクタよりもかなり高い出力電圧を生成する。この出力電圧はマッチングネットワークの損失および浮遊キャパシタンスおよびインダクタンスに依存する。
【0093】
図7Aは、実施の形態に係るCWレーダーシステム700の部分の図である。第1リングカプラ708は、LO信号をローカル発振器720からアンテナ722へ導く。また、第1リングカプラ708は、RF信号をアンテナ722から導く。ある実施の形態では、このアンテナ722はリングカプラ702、708と同じ基板723上に形成されたパッチアンテナである。基板723は「プリント基板」としてよく知られている。CWレーダーシステム700において、シングルアンテナ722は、LO信号の伝送(図6Aの参照符号610参照)および反射RF信号の受信の両方のために使用される。代替的な実施の形態は2つのアンテナを使用し、一方のアンテナは伝送用であり、他方のアンテナは受信用である。この場合、追加的なレシーバ利得を得ることができ、感度およびレンジが向上する。アンテナで受信された信号は、アンテナカプラとではなくNCDD入力と直接接続されうるので、利得を増やすことができる。アンテナカプラと接続される場合は典型的には3dB程度の損失が導入される。アンテナはLO周波数で動作するよう設計される。LO周波数は、ある実施の形態では、24GHz程度である。CWドップラーレーダーシステムにおいては、RFおよびLOは基本的には同じ周波数である。第2リングカプラ702は実質的に図6Aを参照して上述されたように構成され、実質的に図6Bを参照して上述された2つのディテクタ704、706を含む。あるいはまた、ディテクタ704、706の一方または両方について、複数ダイオードディテクタが使用されてもよい。
【0094】
システム全体の性能を最良に保てるよう各リングは最適化される。ある実施の形態では、ローカル発振器720は誘電体共振器(「DRO」、安定誘電体共振器(dielectric resonator stabilized oscillators、「DSOs」)としても知られている)である。DROは低コストかつコンパクトであり、比較的省電力である。しかしながら、DROは多くの場合高いAMノイズを有しており、ノイズ相殺が無い従来のダイオードディテクタCWレーダーシステムでは使用できない。LOAMノイズを相殺する本発明の実施の形態によると、DROを多くの異なるレーダーアプリケーションで使用できる。そのようなアプリケーションは、低消費電力やロングレンジや測定精度が要求されるレーダーアプリケーションを含む。代替的な実施の形態は伝送線路共振器や他の発振器を使用する。
【0095】
第1リングカプラ708は第1ポート(「LO入力ポート」)724においてLO信号を受け、そのLO信号を、ターゲット(不図示)へ伝送するためのアンテナポート726およびLOポート728に分配する。LOポート728と結合されたLO信号の部分は、LO信号を運ぶための伝送線路730を通じて、第2リングカプラ702のLOポート616へと伝送される。RFポート732はLOポート728の真向かいにあってLO信号から隔離されている。そのRFポート732と結合されたLO/RF信号の部分は、第1リングカプラ702のRFポート622と結合される。レーダーシステム700の他の詳細はRF回路設計の分野において周知であり、説明をより明確とするために省略される。
【0096】
LO入力ポート724はLO出力ポート728から四分の一λ、アンテナポート726から四分の一λ、それぞれ離れている。LO入力ポート724はRF出力ポート732から時計回りに二分の一λ、反時計回りに1λ、離れており、180度の差分が得られる。これにより、LO信号を2つの経路に分割して一方をアンテナに向け、他方を差動ディテクタに向けることが可能となる。第2リングハイブリッドカプラは、LO信号を2つのディテクダイオードへ基本的に位相が揃った状態で送る一方、アンテナからのRF入力信号を基本的に2つのダイオードディテクタにおいて180度位相がずれた状態で送る。ある実施の形態では、リングカプラ702、708やアンテナ722が形成される基板の側(「第1側」)の反対側(「第2側」)上にLO720が形成される。第1側の接地面734は第2側(不図示)のLO回路の上部に横たわる。LO信号は、それが生成される第2側からメッキビア736を通じて第1側に運ばれる。第2側(不図示)の接地面はアンテナ722および一般的には第1側のRF回路の下部に横たわる。これはRFマイクロストリップ設計の分野では周知である。
【0097】
図7Bは、実施の形態に係るフィールド擾乱測定システム750を示す図である。ある実施の形態では、システム750は集積CWレーダーシステムである。システム750はアンテナ752を含む。アンテナ752は信号(LO信号)754をターゲット755に伝送する。信号754は発振器回路756によって生成される。ターゲット755は破線で示される。ターゲットはシステムの一部ではないからである。システムは、ターゲットがシステムに対して移動していればその速さを測定する。ターゲットが静止しておりシステムが動いていてもよく、あるいはまたターゲットが移動しシステムが静止していてもよく、あるいはまたターゲットおよびシステムの両方が同時に一般的な地表や他の基準フレームに対して動いていてもよい。
【0098】
アンテナ752はターゲット755から反射された信号(RF信号)758を受ける。反射信号は合成ネットワーク757(例えば、図1−図2Bおよび関連する説明を参照)においてLO信号と合成され、AMノイズを相殺する差動ディテクタとして動作する第1ディテクタ760および第2ディテクタ762に提供される(例えば、図3A−図4Bおよび関連する説明を参照)。代替的な実施の形態では、LO信号を伝送するために第1アンテナが使用され、反射信号を受けるために第2アンテナが使用される。オプションで、反射信号経路におけるアンテナの後段に増幅器(前置増幅器)が設けられてもよい。
【0099】
第1および第2ディテクタ760、762の出力は代数的加算ネットワーク768に提供される。加算ネットワーク768の差動出力は増幅器およびフィルタ770と結合される。この増幅器およびフィルタ770は、差動入力をシングルエンド信号771に変換する。アナログデジタルコンバータ772は、検出電圧を示す信号をデジタル値773に変換する。このデジタル値773はコントローラ774によって処理される。コントローラ774は測定された(ターゲットとシステムとの間の)速さを液晶ディスプレイスクリーンなどの電子ディスプレイスクリーン776に表示する。オプションでシステム750はユーザインタフェース778を含んでもよい。このユーザインタフェース778は、測定された速さなどの情報を外部デバイスに伝達したり、レーダー速さ測定プロセスを開始するためのトリガを受け付けたり、速さを別の単位で報告するようレーダーの機能を変更したり、特定のタイプの対象の速さを報告するようレーダー速さ測定プロセスを最適化したり(すなわち、車両や野球のボールの測定に対して最適化したり)、特定の速さ制限内で測定された速さを報告するようレーダー速さ測定プロセスを最適化するためのものであってもよい。代替的な実施の形態では、システムは一体化されたディスプレイを含まず、コントローラはシステムの外部のデバイス(不図示)に相対速度データを提供する。
【0100】
ある実施の形態では、システム750は電池784を電源とする携帯型のシステムである。さらなる実施の形態では、携帯型のシステムは手持ち型のシステムとして扱われることが意図されている。代替的な実施の形態では、システムに電池は含まれておらず、電力は外部電池(例えば、車両電池)などの外部ソースや主電源(例えば、主電源と接続されたトランスから)から供給される。電源回路786は電圧調整およびそれと似たような機能を提供し、適切な電圧を生成する。また電源回路786は電流を供給することでシステムの部材に電力を供給する。説明を簡単かつ明確とするため、電力を要する各部材への個々の電源ラインは省略される。ある実施の形態では、コントローラ774およびA/Dコンバータ772は電源の動作を監視し、必要であれば電源コントロールライン787を通じて調整したりオンオフしたりする。
【0101】
コントローラ774は振幅変調制御信号788を発振器回路756に提供する。この信号788は発振器756の振幅変調を生成し、NCDDによって検出される発振器756のAMノイズのレベルを最小化するようなNCDDの較正を可能とする。ある実施の形態では、コントローラ774は較正テーブルなどのメモリを含み、あるいはまたシステム750はコントローラと協働する別個のメモリ(不図示)を含む。ある実施の形態では、コントローラ774は信号処理ブロックおよびオプションで自動較正ブロックを含む。自動較正ブロックはAM信号生成器(すなわち、AMコントロールライン788の信号であって発振器756を既知の態様で変調する信号)と協働する。ある実施の形態では、システムはハウジング790に収められている。ハウジング790は手持ちアプリケーションのための他のシステム要素を含む。ある実施の形態では、ハウジング790は矩形のプラスチックハウジングであり、おおよそ2.25インチ×4.5インチ×1インチの大きさを有する。代替的なシステムは相手先ブランド名製造(original-equipment manufacturer、「OEM」)システムとして提供され、他の製品の中に組み入れられる。そこではハウジングは省かれてもよい。
【0102】
図8Aは、実施の形態に係るダウンコンバーティングの方法800のフローチャートである。高周波信号(例えば、LO信号)が生成される(ステップ802)。高周波信号はアンテナ、第1ディテクタおよびお第2ディテクタに提供される(ステップ804)。アンテナはターゲットから反射信号(例えば、RF信号)を受け(ステップ806)、反射信号は少なくとも第1ディテクタに提供される(ステップ808)。第1ディテクタは反射信号および高周波信号を第1検出出力に変換し(ステップ810)、それと共に第2ディテクタは少なくとも高周波信号を第2検出出力に変換する(ステップ812)。第1および第2検出出力は代数的に合成され(例えば、互いに差し引かれ)、検出高周波信号上のAMノイズを含む検出高周波信号が相殺される(ステップ814)。LOAMノイズはディテクタ間で相関する。両方のディテクタについて、ディテクタ出力はより高いLOパワーに対しては増大し、より低いLOパワーに対しては減少する。これは、ディテクタに送られるLO信号の位相とは無関係である。したがって、ディテクタ出力代数的合成器は、一方のディテクタ出力から他方の出力を減算する。図8Aの方法の実施の形態は、ドア開閉器や距離測定システムや自動車両用速さまたはレンジセンサや低IFレシーバなどの運動検知システムにおいて使用される。ある実施の形態では、合成された検出反射信号を処理することでレーダーシステムと移動するターゲットとの相対速度が導かれる(ステップ816)。
【0103】
ある実施の形態では、第2ディテクタは第1ディテクタと同じ位相のRF信号を検出し、また、逆位相の(すなわち、位相が180度ずれた)LO信号を検出する。検出RF信号の一方はディテクタ出力において反転され、他方の検出RF信号から減算される。一方、同じ減算により、検出LOAM信号は相殺される。ある実施の形態では、第2ディテクタは第1ディテクタとは逆の位相のRF信号を検出し、また、同位相のLOAM信号を検出する。ディテクタ出力のうちの一方は他方から減算され、検出(ダウンコンバートされた)逆位相RF信号は足し合わされると共に検出同位相(復調された)LOAM信号は相殺される。両方の場合において、LO信号の復調された振幅変調はディテクタ出力において同位相の状態でディテクタから出てくる。一方、ダウンコンバートされたRF信号はディテクタ出力において逆位相の状態でディテクタから出てくる。
【0104】
図8Bは、実施の形態に係る電磁場擾乱の検知方法820のフローチャートである。高周波信号(例えば、LO信号)が生成される(ステップ802)。高周波信号はアンテナ、第1ディテクタおよびお第2ディテクタに提供される(ステップ804)。アンテナはターゲットから反射信号(例えば、RF信号)を受ける(ステップ806)。反射信号は第1ディテクタに提供され、反転された反射信号は第2ディテクタに提供される(ステップ822)。第1ディテクタは反射信号および高周波信号を第1検出出力に変換し(ステップ810)、それと共に第2ディテクタは反転された反射信号および高周波信号を第2検出出力に変換する(ステップ824)。ある実施の形態では、第1検出出力は検出LO信号および検出RF信号であり、第2検出出力は基本的には第1検出LO信号および負の検出RF信号である。
【0105】
第1検出出力は第1代数的合成ネットワークに提供され、それと共に第2検出出力は第2代数的合成ネットワークに提供される(ステップ826)。第1代数的合成ネットワークは第1差動信号および反転された第1差動信号を生成し、第2代数的合成ネットワークは第2差動信号および反転された第2差動信号を生成する(ステップ832)。第1差動信号は第3代数的合成ネットワークの正入力(すなわち、非反転入力)に提供され、反転された第1差動信号は第3代数的合成ネットワークの負入力(すなわち、反転入力)に提供され、第2差動信号は第3代数的合成ネットワークの第2負入力に提供され、反転された第2差動信号は第3代数的合成ネットワークの第2正入力に提供される。第3代数的合成ネットワークは出力(例えば、IF出力)を生成する(ステップ830)。さらなる実施の形態では、合成された検出反射信号を処理することでレーダーシステムとターゲットとの相対速度が導かれる(ステップ832)。
【0106】
さらなる実施の形態では、第1ディテクタからの検出LO信号と第2ディテクタからの検出LO信号とを釣り合わせるために、第2代数的合成ネットワークの出力に利得(負の利得を含み、その場合は減衰としても知られている)が適用される(ステップ834)。これにより、LO信号上で検出されるAMノイズを相殺できる。
【0107】
図9Aは、実施の形態に係る、フィールド擾乱検知システムにおけるノイズを較正する方法900のフローチャートである。高周波信号(例えば、LO信号)はフィールド擾乱検知システムのアンテナ、第1ディテクタおよびお第2ディテクタに印加される(ステップ902)。第1および第2ディテクタはノイズ相殺ディテクタとして構成される(例えば、図1−図3B参照)。移動する物体からの反射や他の外部放射を受けないように、アンテナはシールドされる(ステップ904)。高周波信号が印加される前または後にそのようなシールドが行われうる。シールドは種々の方法により行われる。例えば、無線周波数を吸収する材料で覆われた空き箱にアンテナを向けてもよいし、反射を生成するターゲットが存在しない領域にアンテナを向けてもよい。
【0108】
利得調整は選択された設定範囲を通じて段階的に行われる(例えば、図3Bの参照符号336参照)。出力レベル(例えば、IFレベル338や他の適切な信号レベル)は差動ノイズを示しており、そのような出力レベルが記録される(ステップ906)。検出AMノイズレベルの最小値に関連する利得設定が特定され(ステップ908)、保存される(ステップ910)。動作中、検出AMノイズレベルの最小値に関連する利得設定が適用され、ノイズ相殺フィールド擾乱測定が行われる(ステップ912)。
【0109】
代替的な実施の形態では、利得は種々の手法で調整される。例えば、検出信号経路のうちの一方に調整可能利得要素を含め、その検出信号の利得を他方の検出信号に対して増大または減少させてもよい。あるいはまた、ひとつ以上のトランジスタへのバイアスレベルなどの要素のバイアスが変えられる。検出経路のうちのひとつにおける利得が変化すると、ノイズレベルは最小値に落ちていく。各バイアス制御ステップについてノイズレベルを観察することにより、バイアス制御が最適領域を離れる(例えば、ノイズが最小になる条件におけるバイアス制御電圧を上回るか下回るようにバイアス制御電圧を増大または減少させる)につれてノイズが増大し始めるときの利得設定を特定することができる。ある実施の形態では、しきい値は最小点からの選択された偏位で定義される。ノイズがしきい値と等しくなる利得設定が決定される(すなわち、最小ノイズは2つのしきい値設定の間にあるであろう。しかしながら、最小ノイズは比較的「平ら」であり、これにより最小ノイズ点の直接測定の正確性は低下する)。上で特定された2つのしきい値に対応する2つの利得設定の間の利得設定を選択することによって、最も良いLOノイズ除去に対応する最適点が設定される。2以上のディテクタを使用する実施の形態(例えば、図4参照)では、AMノイズの最小化を達成するために、合成ディテクタ信号(例えば、ネットワーク402やネットワーク404の出力)の利得を調整してもよい。
【0110】
図9Bは、実施の形態に係る、AM生成器を備えるフィールド擾乱検知システムにおけるノイズを較正する方法920のフローチャートである。高周波信号(例えば、LO信号)はフィールド擾乱検知システムのアンテナ、第1ディテクタおよびお第2ディテクタに印加される(ステップ922)。第1および第2ディテクタはノイズ相殺ディテクタとして構成される(例えば、図1−図3B参照)。移動する物体からの反射や他の外部放射を受けないように、アンテナはシールドされる(ステップ924)。測定シーケンスが始まる前にシールドが配置される限り、高周波信号が印加される前または後、および、較正信号が印加される前または後、にそのようなシールドが行われうる。
【0111】
ノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタシステム(例えば、図1、図2A、図3B参照)の第1ディテクタおよび第2ディテクタに、LOのAMノイズを模倣する較正信号または動作周波数(例えば、LO周波数足す側波帯)を有する信号が印加される。ある実施の形態では、LOは、システムによって生成されるAM信号で変調される(例えば、図7Bの参照符号756、788、744参照)(ステップ926)。利得調整は選択された設定範囲を通じて段階的に行われる。出力レベル(例えば、IFレベル338や他の適切な信号レベル)は差動ノイズを示しており、そのような出力レベルが記録される(ステップ928)。検出AM信号(AMノイズ)レベルの最小値に関連する利得設定が特定され(ステップ930)、保存される(ステップ932)。動作中、検出AM信号出力レベルの最小値に関連する利得設定が適用され(ステップ934)、ノイズ相殺フィールド擾乱測定が行われる(ステップ936)。
【0112】
好適な実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変形を施すことが可能であり、また、要素を等価物で代用することが可能であることは当業者には理解されるであろう。加えて、特定の状況や材料を、本発明の基本的範囲から逸脱することなく本発明の教示に適応させるような多くの変形例が可能であろう。したがって、本発明はそれを実施するために考えられ得る最良の形態として開示される特定の実施の形態に限定されず、本発明は添付の請求項の範囲内に入る全ての実施の形態を含むことが意図されている。
【0113】
本明細書で説明される全ての要素、部分およびステップが好適に含まれる。当業者には自明であるが、これらの要素、部分およびステップのうちの任意のものは他の要素、部分およびステップによって置き換えられ得るかまたは削除されうることは理解されるべきである。
【0114】
コンセプト
本書面は少なくとも以下のコンセプトを開示する。
コンセプト1
振幅変調(「AM」)ノイズを有する第1高周波信号を検出し、少なくとも第1検出AMノイズ信号成分および復調信号成分を有する第1検出信号を生成するよう構成された第1ディテクタと、
AMノイズを有する第2高周波信号を検出し、少なくとも第2検出AMノイズ信号成分を有する第2検出信号を生成するよう構成された第2ディテクタと、
第1検出信号と第2検出信号とを合成することで第1検出AMノイズ信号成分を第2検出AMノイズ信号成分で相殺し、復調信号成分を含む出力信号を生成する代数的合成ネットワークと、を備える、ディテクタシステム。
コンセプト2
第1高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、復調信号成分はローカル高周波信号と受信高周波信号との差分周波数を有する、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト3
第2高周波信号はローカル高周波信号である、コンセプト2に記載のディテクタシステム。
コンセプト4
第2高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、第2検出信号は差分周波数を有する第2復調信号成分をさらに含む、コンセプト2に記載のディテクタシステム。
コンセプト5
代数的合成ネットワークの出力信号は復調信号成分に足し合わされた第2復調信号成分をさらに含む、コンセプト4に記載のディテクタシステム。
コンセプト6
受信高周波信号はローカル高周波信号の反射信号である、コンセプト2に記載のディテクタシステム。
コンセプト7
ローカル高周波信号と受信高周波信号とを合成し、ローカル高周波信号および受信高周波信号を第1ディテクタに提供する高周波代数的合成ネットワークをさらに備える、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト8
代数的合成ネットワークは反転入力および非反転入力を有し、第1検出信号は非反転入力に提供され、第2検出信号は反転入力に提供される、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト9
第1高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、出力信号は差分周波数を有する、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト10
ローカル高周波信号および受信高周波信号を受け、ローカル高周波信号および受信高周波信号を第1ディテクタに提供し、ローカル高周波信号および受信高周波信号の反転信号を第2ディテクタに提供するよう構成された高周波代数的合成ネットワークをさらに備え、
第2ディテクタは第2検出AMノイズ信号成分および反転された復調信号成分を有する第2検出信号を生成する、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト11
代数的合成ネットワークは反転入力および非反転入力を有し、第1検出信号が非反転入力に提供されると共に第2検出信号が反転入力に提供されることによって反転されたAMノイズ信号成分および第2復調信号成分が生成され、
出力信号は復調信号成分と第2復調信号成分との和であり、
反転されたAMノイズ信号成分はAMノイズ信号成分を相殺する、コンセプト10に記載のディテクタシステム。
コンセプト12
第1ディテクタは第1シングルダイオードディテクタを含み、第2ディテクタは第2シングルダイオードディテクタを含む、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト13
第1ディテクタは第1デュアルダイオードディテクタを含み、第2ディテクタは第2デュアルダイオードディテクタを含む、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト14
第1ディテクタは第1ダイオード電圧増倍器を含み、第2ディテクタは第2ダイオード電圧増倍器を含む、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト15
高周波代数的合成ネットワークは、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第1受信信号経路と、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第2受信信号経路と、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第1LO信号経路と、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第2LO信号経路と、
第1受信信号経路の受信信号と第1LO信号経路のLO信号とを合成し、第1合成信号を第1ディテクタに提供する第1高周波コンバイナと、
第2RF信号経路の受信信号と第2LO信号経路のLO信号とを合成し、第2合成信号を第2ディテクタに提供する第2高周波コンバイナと、
を含む、コンセプト10に記載のディテクタシステム。
コンセプト16
第1合成信号はLO信号と受信信号とを足し合わせたものであり、第2合成信号はLO信号から受信信号を引いたものである、コンセプト15に記載のディテクタシステム。
コンセプト17
第1ディテクタと代数的合成ネットワークとの間に設けられた第2代数的合成ネットワークをさらに備え、
第2代数的合成ネットワークは、
代数的合成ネットワークの第1非反転入力と接続された第1正出力と、
代数的合成ネットワークの第1反転入力と接続された第1負出力と、を有する、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト18
第2検出信号は第2復調信号成分をさらに含み、
本ディテクタシステムは、第2ディテクタと代数的合成ネットワークとの間に設けられた第3代数的合成ネットワークをさらに備え、
第3代数的合成ネットワークは、
代数的合成ネットワークの第2反転入力と接続された第2正出力と、
代数的合成ネットワークの第2非反転入力と接続された第2負出力と、を有する、コンセプト17に記載のディテクタシステム。
コンセプト19
代数的合成ネットワークと第2代数的合成ネットワークおよび第3代数的合成ネットワークのうちのひとつとの間に設けられた調整可能利得ステージをさらに備える、コンセプト18に記載のディテクタシステム。
コンセプト20
第2検出AMノイズ信号成分は第1検出AMノイズ信号と利得係数との積と等しく、調整可能利得ステージは第2検出AMノイズ信号成分を利得係数で除す、コンセプト19に記載のディテクタシステム。
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本願は、米国特許出願第12/590145号(出願日:2009年11月2日、名称:「Noise Canceling Down-Converting Detector」、発明者:モールトン、グラント、イーおよびスチュワート、クリストファー、イーおよびグディー、スティーブン、エイチ、代理人整理番号:IP0901US)の優先権の利益を享受する。その米国特許出願は、共有に係る米国特許出願第12/590117号(名称「Method of Down Converting High-frequency Signals」、発明者:モールトン、グラント、イーおよびスチュワート、クリストファー、イーおよびグディー、スティーブン、エイチ、代理人整理番号:IP0902US)、および、共有に係る米国特許出願第12/590116号(名称「Continuous-Wave Field Disturbance Sensing System」、発明者:モールトン、グラント、イーおよびスチュワート、クリストファー、イーおよびグディー、スティーブン、エイチ、代理人整理番号:IP0903US)、および、共有に係る米国デザイン特許出願第29/316807号(名称「Hand-Held Radar Device」、発明者:モールトン、グラント、イーおよびパケット、ジョー、エル、ジュニアおよびグディー、スティーブン、エイチおよびスチュワート、クリストファー、イー、代理人整理番号:IP0904US)、と共に出願された。
【0002】
連邦によって後援された研究に関する声明文
なし。
【0003】
共同研究契約に係る者の名称
なし。
【0004】
シーケンスリストへのリファレンス
なし。
【0005】
本技術は主にレーダーシステムなどの電磁場擾乱検知技術に関する。
【背景技術】
【0006】
連続波(CW)コヒーレントレーダーは、周波数変換を使用して、伝送される信号の位相とその信号が移動するターゲットによって反射されることで得られる信号の位相とを比較する。ターゲットから反射されてくる波の位相は、そのターゲットまでの距離の関数として変化する。ターゲットの速度が一定の場合、反射信号の位相は一定のレートで変化する。位相の変化の一定のレートは、一定の周波数に対応する。したがって、帰ってくる反射信号は伝送信号からのある周波数オフセットで現れる。その周波数オフセットは、伝送器とターゲットとの相対速度に比例する。
【0007】
伝送信号と受信信号とを周波数ダウンコンバータで比較することにより、そのコンバータの出力において伝送信号と受信信号との差分周波数を得ることができる。レーダーの実装においては、伝送信号の位相(周波数)と受信信号の位相(周波数)とを比較するために必要な装備のコストおよびサイズの最適化が試みられる。一方で、そのコストおよびサイズで可能な最大のターゲット検出範囲を得る試みも行われる。
【0008】
多くの従来の可搬型レーダーガンはガン(Gunn)ダイオードを使用する。ガンダイオードは積分型ダイオードピークディテクタで空洞発振器を駆動する。積分型ダイオードピークディテクタは、周波数ダウンコンバータまたはミキサとして機能し、ひとつまたは複数のディテクタダイオードを使用する。空洞発振器/ミキサはホーンアンテナと結合される。ホーンアンテナは、入来信号を伝送し、反射信号を受けるために使用される。空洞は、伝送器からのローカル発振器(「LO」)信号でダイオードディテクタを駆動し、受信RF信号を同じダイオードと結合させる。ダイオードディテクタはRF信号とLO信号とを混合し、それらの差分周波数を有するIF信号を生成する。典型的には、ダイオードディテクタは大抵は数百から高いときには数千オーム程度の比較的高いインピーダンスにマッチし、変換ロスは0dBに到達しうる。LO信号およびRF信号にマッチさせることは、最適なシステム性能を得るためにカップリングを最適化するために、空洞内でダイオードの場所を動かすことにより達成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ディテクタダイオードは空洞内のLOパワーを整流する。コヒーレントな振幅変調(「AM」)による、または、AMノイズによる、振幅のどのような変化もIF出力に表れるであろう。この問題のため、設計者は通常、ダイオードバイアスサプライ電圧入力から振幅変動への変換が最小となるよう調整されたガンダイオード発振器を使用する。これにより、LOにおけるAMノイズは最小化され、したがってIF出力において検出されるLOAMノイズも最小化される。その結果、十分に感度の高いRF検出が可能となる。
【0010】
空洞型レーダーデバイスは、典型的には、10GHzまたは24GHzISMバンド(例えば、XおよびKバンド)で動作するために、数インチ長のホーンアンテナおよび少なくとも1立方インチまたはそれ以上のサイズの空洞発振器を要求する。これらの要素の両方は、システムがかなりの重量およびサイズを有することの要因となる。システムがかなりの重量およびサイズを有することは、小型ハンドヘルドアプリケーションにとっては望ましくない。さらに、最適なガンダイオードバイアスポイントは多くの場合かなりの電流引き込みを必要とする。可搬型電池式アプリケーションの場合、これにより、使用可能な動作時間が制限される。あるいはまた、より大きな電池を収容するためにレーダーのサイズを大きくしなければならない。
【0011】
小型レーダーデバイスへの別の設計アプローチは、平面または「パッチ(patch)」アンテナアレイを使用する。これらのデバイスは、空洞安定型ガン発振器/ディテクタを使用するかまたは従来のスイッチングミキサを使用する。スイッチングミキサでは、LO信号がLO位相に依存してRF信号位相をスイッチし、IF出力へ出す。スイッチング型のミキサは多くの場合6dB以上の変換ロスを示すので、ローカル発振器のAMノイズを相殺するためのバランス構成とされなければならない。従来のミキサベースのシステムにおいて使用されるダイオードは、信号経路における開路または閉スイッチを提供するスイッチとして作用する。LO信号は、約半周期の間ダイオードを「オン」とするまたは低インピーダンスとし、もう半周期の間ダイオードを「オフ」とするまたは高インピーダンスとするよう、ミキサダイオードを駆動する。
【0012】
バランスされたスイッチングダイオードミキサまたは2倍、3倍バランスされたスイッチングダイオードミキサは、製造時のばらつきに起因する不完全なAMノイズ相殺に悩まされており、大抵の発振器のAMノイズの影響を受けやすいままとなっている。レーダ経路やミキサ内の経路の往復に必要な時間は短いことに起因してローカル発振器の位相ノイズは相殺される一方、ダウンコンバートされたローカル発振器AMノイズは入来RF信号をぼやかしてしまう。従来の(インコヒーレントな)受信器では、通常、位相ノイズがAMノイズを数十dB程度上回るので、LOのAMノイズは普通見られない。(例えば、CWレーダーで使用されるような)コヒーレントな受信においてのみ、LOの位相ノイズは相殺され、AMノイズが支配的となりうる。
【0013】
加えて、通常、スイッチングダイオードミキサのIF出力を、大抵は50オームに等しい低い入力インピーダンスを有する低ノイズIF増幅器で終端することが必要である。ミキサロスが6dBのときのその増幅器のノイズ電圧は、アンテナ入力において測定されるノイズ電圧の2倍に等しい。通常、ダイオードはミキサの入力ノイズに、変換ロスに上積みする形で0.5dBから1dBを加える。これにより、アンテナRFポートでの受信信号対ノイズ比はさらに悪化する。通常、このタイプのレーダーはガンおよびホーンアンテナ代替構成と比較して、追加的なアンテナやRF前置増幅器などの他の部材の追加なしでは、良い長距離特性を実現しない。
【0014】
平面パッチアンテナアレイを使用して構成された他のデバイスは、ガンベースの空洞発振器を伝送源として使用し、ディテクタダイオードを受信ミキサとして使用した。これはガンソースからのAMノイズをそれほど高くないものとすることができるが、発振器の共振空洞のサイズによってその小型化には限界がある。
【0015】
従来技術の欠点を克服するレーダーシステムや他のアプリケーションの部材が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
広義には、本書面はディテクタシステムを開示する。
【0017】
ディテクタシステムは、振幅変調(「AM」)ノイズを有する第1高周波信号を検出し、少なくとも第1検出AMノイズ信号成分および復調信号成分を有する第1検出信号を生成するよう構成された第1ディテクタと、AMノイズを有する第2高周波信号を検出し、少なくとも第2検出AMノイズ信号成分を有する第2検出信号を生成するよう構成された第2ディテクタと、を備える。代数的合成ネットワークは、第1検出信号と第2検出信号とを合成することで第1検出AMノイズ信号成分を第2検出AMノイズ信号成分で相殺し、復調信号成分を含む出力信号を生成する。
【0018】
さらなる実施の形態では、第1高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、復調信号成分はローカル高周波信号と受信高周波信号との差分周波数を有する。ある実施の形態では、第2高周波信号はローカル高周波信号である。代替的な実施の形態では、第2高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、第2検出信号は差分周波数を有する第2復調信号成分をさらに含む。代数的合成ネットワークの出力信号は復調信号成分に足し合わされた第2復調信号成分を含んでもよい。
【0019】
ある実施の形態では、受信高周波信号はローカル高周波信号の反射信号である。
【0020】
さらなる実施の形態は、ローカル高周波信号と受信高周波信号とを合成し、ローカル高周波信号および受信高周波信号を第1ディテクタに提供する高周波代数的合成ネットワークを備える。
【0021】
ある実施の形態では、代数的合成ネットワークは反転入力および非反転入力を有し、第1検出信号は非反転入力に提供され、第2検出信号は反転入力に提供される。
【0022】
ある実施の形態では、第1高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、出力信号は差分周波数を有する。
【0023】
ある実施の形態では、ディテクタシステムは、ローカル高周波信号および受信高周波信号を受けるよう構成された高周波代数的合成ネットワークを含む。高周波代数的合成ネットワークは、ローカル高周波信号および受信高周波信号を第1ディテクタに提供し、ローカル高周波信号および受信高周波信号の反転信号を第2ディテクタに提供する。第2ディテクタは第2検出AMノイズ信号成分および反転された復調信号成分を有する第2検出信号を生成する。
【0024】
ある実施の形態では、代数的合成ネットワークは反転入力および非反転入力を有する。第1検出信号が非反転入力に提供されると共に第2検出信号が反転入力に提供されることによって、反転されたAMノイズ信号成分および第2復調信号成分が生成される。出力信号は復調信号成分と第2復調信号成分との和であり、反転されたAMノイズ信号成分はAMノイズ信号成分を相殺する。
【0025】
ディテクタは例えば、シングルダイオードディテクタ、デュアルダイオードディテクタ、ダイオード電圧増倍器であってもよい。
【0026】
ある実施の形態では、高周波代数的合成ネットワークは、高周波代数的合成ネットワークを通じた第1受信信号経路と、高周波代数的合成ネットワークを通じた第2受信信号経路と、高周波代数的合成ネットワークを通じた第1LO信号経路と、高周波代数的合成ネットワークを通じた第2LO信号経路と、を含む。第1高周波コンバイナは、第1受信信号経路の受信信号と第1LO信号経路のLO信号とを合成し、第1合成信号を第1ディテクタに提供する第2高周波コンバイナは、第2RF信号経路の受信信号と第2LO信号経路のLO信号とを合成し、第2合成信号を第2ディテクタに提供する。ある実施の形態では、第1合成信号はLO信号と受信信号とを足し合わせたものであり、第2合成信号はLO信号から受信信号を引いたものである。
【0027】
ある実施の形態では、ディテクタシステムは、第1ディテクタと代数的合成ネットワークとの間に設けられた第2代数的合成ネットワークを含む。第2代数的合成ネットワークは、代数的合成ネットワークの第1非反転入力と接続された第1正出力と、代数的合成ネットワークの第1反転入力と接続された第1負出力と、を有する。さらなる実施の形態では、第2検出信号は第2復調信号成分を含み、第3代数的合成ネットワークは第2ディテクタと代数的合成ネットワークとの間に設けられ、第3代数的合成ネットワークは、代数的合成ネットワークの第2反転入力と接続された第2正出力を有する。第2負出力は、代数的合成ネットワークの第2非反転入力と接続される。
【0028】
さらなる実施の形態では、調整可能利得ステージは、代数的合成ネットワークと第2代数的合成ネットワークおよび第3代数的合成ネットワークのうちのひとつとの間に設けられる。調整可能利得ステージは、第2検出AMノイズ信号成分が第1検出AMノイズ信号と利得係数との積と等しくなるような検出AMノイズ信号のうちのひとつの調整を可能とする。例えば、調整可能利得ステージは第2検出AMノイズ信号成分を利得係数で除す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態に係るノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタのブロック図である。
【0030】
【図2A】別の実施の形態に係るノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタのブロック図である。
【0031】
【図2B】図2Aのノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタのブロック図であり、高周波合成ネットワークおよび検出信号代数的合成ネットワークの追加的な詳細を示す。
【0032】
【図3A】実施の形態に係るノイズ相殺システムの一部を示す図である。
【0033】
【図3B】別の実施の形態に係るノイズ相殺システムの一部を示す図である。
【0034】
【図4】実施の形態に係るノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタシステムの一部を示す図である。
【0035】
【図5A】ある実施の形態において使用されるシングルダイオードディテクタの回路図である。
【0036】
【図5B】ある実施の形態において使用されるデュアルダイオードディテクタの回路図である。
【0037】
【図5C】ある実施の形態において使用されるダイオード増倍回路の回路図である。
【0038】
【図5D】ある実施の形態において使用されるシャント構成のシングルダイオードディテクタの回路図である。
【0039】
【図6A】実施の形態に係るフィールド擾乱検知システムにおいて使用されるノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタのRFカプラの平面図である。
【0040】
【図6B】実施の形態に係るシングルダイオードディテクタ回路の平面図である。
【0041】
【図6C】実施の形態に係るデュアルダイオードディテクタ回路660の平面図である。
【0042】
【図7A】実施の形態に係るCWレーダーシステムの回路基板の平面図である。
【0043】
【図7B】実施の形態に係るフィールド擾乱測定システムを示す図である。
【0044】
【図8A】実施の形態に係るダウンコンバーティング方法のフローチャートである。
【0045】
【図8B】実施の形態に係る電磁場擾乱の検知方法のフローチャートである。
【0046】
【図9A】実施の形態に係る、フィールド擾乱検知システムをノイズについて較正する方法のフローチャートである。
【0047】
【図9B】実施の形態に係る、フィールド擾乱検知システムのAM信号利得を較正する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
実施の形態に係るフィールド擾乱検知システム(例えば、レーダーシステム、モーションセンサ、自動ドア開閉器、自動車用センサ、および低いIFのTx/Rxシステム)は小型化を達成し、また改善されたレンジ、感度および信号対ノイズ比を達成する。ある実施の形態に係るシステムは、携帯型かつ電池駆動のシステムである。他の実施の形態は、AC(メイン)電源や外部電源を伴う固定設置型である。実施の形態に係るノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタは、第1信号(信号1でありこれは「LO信号」と称されるであろう。ちなみに、このLO信号はスイッチングミキサシステムにおけるLO信号とは全く異なる)または伝送信号からAMノイズを相殺する。
【0049】
ディテクタのある実施の形態は、従来のスイッチングミキサベースのシステムと比較して、ディテクタ回路と適切にマッチされた場合にかなりの変換利得を提供する。ある実施の形態では、10dB以上の変換電圧利得が測定された。変換利得が改善されたことにより実施の形態はよりよい信号対ノイズ比を達成できる。これにより、従来のスイッチダイオードミキサシステムにおいて使用されるより高価な低ノイズIFまたはRF増幅器の代替品として、シンプルで低コストのIF増幅器を使用することが可能となる。ある実施の形態では、低ノイズIF増幅器を使用することで、追加的なノイズを最小化しつつ変換信号をブーストすることができる。本明細書で使用される「ノイズ相殺」は、あるディテクタにおいて検出されるAMノイズが別のディテクタにおいて検出される実質的に同じAMノイズから減算されることを意味する。
【0050】
実施の形態に係るノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタは入来(反射されるかまたは他のRF)信号を検出し、一方でローカル(伝送されるかまたはLO)信号のAMノイズを相殺する。ノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタは通常のスイッチングミキサのようには動作しない。すなわち、ノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタは、スイッチング動作を制御するLO信号でRF信号をスイッチまたはゲートしてIFポートに与えることをしない。その代わり、ノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタは、2以上の別個のエンベロープディテクタとして動作する。
【0051】
ディテクタは、2つの高周波信号の瞬間値(電圧)を検出する。これらの信号のうちの一方は、平均(定常状態)LOパワー(これは基本的にDCの検出出力を生成する)と、瞬間RFパワーと、瞬間LOAMノイズパワーと、を含む。瞬間RFパワーは、LO信号に加わるかそれから引かれることによってビート(IF)信号を生成する。瞬間LOAMノイズパワーは、平均LOパワーに加わるかそれから引かれる。したがって、ピーク検出された電圧に不正確さを導入する(潜在的に検出RF信号をぼやかすかまたは不確実性を加える)。関心のある信号(例えば、反射信号や伝送器からの受信信号)は復調されて検出信号の成分(「復調成分」)となる。
【0052】
他方の信号は少なくとも平均LOパワーおよび瞬間LOAMノイズパワー(およびオプションでRF信号または他の信号)を含む。検出される定常状態LO信号はDCであり、排斥されるかそうでなければ相殺される(例えば、RCディテクタ負荷に影響を与えない)。検出AMノイズ成分の一方は他方から減算され、したがって、結果として得られる検出(IF)信号に対するLOAMノイズの影響は相殺される。RF信号はある実施の形態では移動する物体から反射された信号である。そのようなRF信号は、ディテクタにおいて、瞬間LO信号に加わるかそれから引かれ、ピーク電圧したがってディテクタ出力を増加させるかまたは減少させる。簡便に可視化するとすると、反射信号はLO信号を「過去にスライドさせた」ものであり、ディテクタはベースバンドにおいてビート周波数を有するIF信号を生成する。
【0053】
従来のスイッチングミキサでは、IF信号は2つの周波数(すなわち、RF信号およびLO信号)の和または差である。言い換えると、従来のスイッチングミキサは、アップコンバータまたはダウンコンバータとして動作しうる。従来のスイッチングミキサは、典型的には、全てのミキサポートすなわちLO、RFおよびIFにおいて、比較的低いインピーダンスシステム(例えば、特性インピーダンスが50オームのシステム)で動作する。ノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタは、IFポートにおいてそのような低インピーダンスを有するシステムに限定されない。
【0054】
図1は、実施の形態に係るノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタ(「NCDD」)システムのブロック図である。高周波信号(「LO信号」)102は第1ディテクタ104および代数的合成ネットワーク106に提供される。代数的合成ネットワーク106は、高周波信号102をRF信号108と合成し、RF+LO信号110を生成する。このRF+LO信号は第2ディテクタ112に提供される。CWレーダーなどのアプリケーションでは、高周波信号は伝送信号であり、RF信号は反射信号であり、例えばターゲットから反射されたLOである(例えば、図7B参照)。他のアプリケーションでは、RF信号は伝送デバイスによって生成された高周波信号または再生成されたLO信号である。実施の形態の多くのアプリケーションはコヒーレントなRF信号を使用するが、他のアプリケーションはそうではない。
【0055】
連続波(「CW」)レーダーシステムでは、高周波(LO)信号はアンテナに送られターゲットへ伝送される。ターゲットはエネルギの一部を反射し(「反射」信号または「RF」信号)、そのように反射された信号は同じアンテナまたは第2アンテナによって受信される。ターゲットとアンテナとの相対運動は反射信号と伝送(LO)信号との間の周波数シフトとして検出される。検出された周波数シフトを処理することにより、相対運動の速さが決定される。通常、LO信号は反射信号よりもかなり高いパワーを有しており、LO信号のAMノイズはRF成分をぼやかす可能性がある。ディテクタ104、112からの出力114、116は、第2代数的合成ネットワーク118の非反転入力117および反転入力115に提供され、検出出力信号120が生成される。検出出力信号120は、議論を容易とするため、中間周波数(「IF」)信号と称される。第2代数的合成ネットワーク118は、演算増幅器や差動増幅器などの任意のタイプの回路によって、または、アナログデジタルコンバータおよびそれに続くハードウエアまたはソフトウエアによるデジタル信号処理を組み入れたデジタル回路技術によって、実現されうる。第2代数的合成ネットワークは、第1検出信号と第2検出信号とを合成することで、検出AMノイズを相殺する。第1検出信号116は、検出AMノイズ成分(LOd)および第2検出信号成分(RFd)を含む。第2検出信号114は検出AMノイズ成分(LOd)を含む。この検出AMノイズ成分は基本的に第1検出信号116の検出AMノイズ成分と等しい。したがって、検出AMノイズは相殺される。出力信号(IF)120は第2検出信号成分(RFd)である。
【0056】
図1のIF信号は基本的には復調RF信号であり、原則的にはRF信号の位相がCWLO信号に関して進むまたは遅れる際のビートノートである。CWレーダーシステムの場合、物体がLO源に向けてまたはそれから離れるように移動し、物体へのまたはからの経路長が減少または増大する際、RF信号の位相は、そのRF信号をシステムに向けて反射する物体の速さにしたがって、LO信号の位相に対して進むまたは遅れる。ビートノートの周期は物体の速さを示す。理想的なシステムでは、検出LO信号の振幅(検出LO信号のDC成分)は両方のディテクタ112、104において同じであり、代数的合成ネットワーク118の入力115、117において相殺される。あるいはまた、DC成分は等しくなく、しかしながら(例えば容量的に)ブロックされ、排斥され、またはそうでなければRF信号とLO信号との間のビート周波数に影響を与えない。
【0057】
IF信号120は、入力117における検出LO信号引く入力115における検出LO信号足す入力117における検出RF信号と等しい。LOポート102における所与の入力パワーに対して114および116における出力信号の振幅および位相が等しくなる、したがって信号出力におけるLOAMノイズが相殺されるように、システムはセットアップ(例えば、マッチ設計または較正)される。あるシステムでは、LO信号の振幅はRF信号のそれよりもかなり大きく、LOAMノイズがRF信号により生じるピーク信号電圧の差を覆い隠す可能性がある。システム100は、検出LO信号およびそれに伴うLOAMノイズをそれと同じ信号の検出複製物から減算することによって、LOAMノイズがRF信号を覆い隠すという問題を避ける。
【0058】
ある実施の形態では、第1ディテクタおよび第2ディテクタはシングルダイオードディテクタである。代替的な実施の形態では、第1ディテクタおよび第2ディテクタは複数ダイオードディテクタまたは他のタイプのディテクタである。ある実施の形態では、第1ディテクタおよび第2ディテクタは実質的に同等である。これにより、検出LO信号は実質的に同等となり、LOAMノイズをより良く相殺することができる。製造公差により軽微な差異が生じうる。ある実施の形態は、図3Bを参照して後述される較正技術を含む。代替的な実施の形態では、ディテクタは同等ではないが、バランスされている。言い換えると、各ディテクタは同じ入力信号から実質的に同等の出力信号を生成する。代替的な実施の形態では、部材および回路の多くのバリエーションが使用される。実質的に同等な回路を設計することおよび実質的に同等(すなわち、同じ部品番号およびある場合ではマッチする部品)を使用することは、所望の信号バランスを達成するための多くの方法のうちのひとつに過ぎない。
【0059】
図2Aは、別の実施の形態に係るノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタ200のブロック図である。RF信号108およびLO信号102は両方とも代数的合成ネットワーク202に提供される。代数的合成ネットワーク202はLO+RFの第1高周波出力204およびLO−RFの第2高周波出力206を生成する。第1ディテクタ208はLO+RF信号を検出し、その検出信号216(LOd+RFd)は別の代数的合成ネットワーク218の非反転入力217に提供される。第2ディテクタ210からの検出信号214(LOd−RFd)は代数的合成ネットワーク218の反転入力215に提供される。代数的合成ネットワーク218の出力はIF信号であり、このIF信号は、217からの検出LO信号引く215からの検出LO信号足す215および217に見られる検出RF信号の大きさの和と等しい。検出LO信号および検出RF信号が最適に合成された場合、(検出LOAMノイズを含む)検出LO信号は相殺され、検出RF信号は2倍となる。これにより、IF信号の信号対ノイズ比を改善できる。実際は、製造公差や電子部品(例えばディテクタダイオード)から生じる差異によりわずかにバランスが崩れる。このバランスの崩れにより、LOAMノイズは残留し、RFパワーは倍増されるとまではいかない。しかしながら、変換処理の性能(電圧の利得)を大きく改善することができる。
【0060】
図2Bは、図2Aのノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタ200のブロック図であり、高周波合成ネットワーク202および検出信号代数的合成ネットワーク218の追加的な詳細を示す。ある実施の形態では、高周波合成ネットワーク202はリングカプラを含む(例えば、図6A参照)。代替的な実施の形態では、高周波合成ネットワーク202は他の技術を使用する。そのような技術は例えばハイブリッドやバランやトランスや高周波回路設計の分野の当業者に知られている他の合成技術である。
【0061】
第1ディテクタ208へのRF信号経路(「第1RF経路」)220は、関連する第1位相遅延Φ1および第1利得(またはロスであり、そのようなロスは議論上負の利得(−dB)として表現される)g1を有する。第2ディテクタ210へのRF信号経路(「第2RF経路」)222は、関連する第2位相遅延Φ2および第2利得g2を有する。第1ディテクタ208へのLO信号経路(「第1LO経路」)224は、関連する位相シフトΦ3および利得g3を有し、第2ディテクタ210へのLO信号経路(「第2LO経路」)226は位相シフトΦ4および利得g4を有する。
【0062】
RF信号およびLO信号は高周波コンバイナ228、230において合成され、ディテクタ208、210と結合される。ディテクタ208、210は低周波信号を出力236、238に提供し、したがって検出信号代数的合成ネットワーク218に提供する。検出信号は、低周波加算器240において合成される前に位相遅延Φ5、Φ6および利得g5、g6の影響を受ける。低周波加算器240は検出信号を足し合わせ、合成IF出力242を生成する。
【0063】
合成ネットワーク202の部材のばらつきや製造公差によって、相補的な経路(すなわち、第1および第2RF経路220、222ならびに第1および第2LO経路224、226)において位相シフトおよび利得の差異が生じうる。そのような差異によって、異なる高周波出力信号232、234がディテクタ208、210に供給されるということが生じうる。さらに、たとえ合成高周波信号が等しい場合でも、ディテクタ部材の差異によってディテクタの出力236、238が異なることも生じうる。ある実施の形態では、高周波合成ネットワーク202のひとつ以上の利得値は調整可能である。ある実施の形態では、各ディテクタ236、238からの検出LOパワーをバランスさせるようにLO信号経路(例えば、g3、g4)の利得値を調整可能である。これにより、検出LOAMノイズをほぼ完全に相殺することができる。
【0064】
図3Aは、実施の形態に係るノイズ相殺システム300を示す図である。検出信号LOd+RFdは代数的合成ネットワーク302に提供される。代数的合成ネットワーク302は正出力306および負(反転)出力308を有する。正出力306はLOd+RFdを低周波代数的合成ネットワーク318の第1非反転入力310に結合し、負出力308は−(LOd+RFd)を低周波代数的合成ネットワーク318の第1反転入力312に結合する。同様に、LOd−RFdは第2非反転入力314に結合され、−(LOd−RFd)は第2反転入力316に結合される。代数的合成ネットワーク304は第2ディテクタからのLOd−RFdに対して同様に動作する。
【0065】
差動出力306、308または差動出力307、309において加えられたコモンモードノイズは出力320において相殺される。電源レールや他の入力から差動出力和にノイズが入りうる。システム300はコモンモードノイズを相殺する。しかしながら、システム300は、出力306と308との間に表れる差動ノイズを相殺せず、また、出力307と309との間に表れる差動ノイズを相殺しない。
【0066】
図3Bは、別の実施の形態に係るノイズ相殺システム330の一部を示す図である。ディテクタ332、334の出力は異なるLOdのレベルを有する。これは、例えば異なる経路ロスや異なるディテクタ性能に起因しうる。RFdのレベルもまた等しくないかもしれない。しかしながら、トータルの検出RF信号がレーダーまたは他のシステムにおいて正当な測定を提供するのに十分な程度である限り、これはあまり重要ではない。レーダーにおける速さの決定は、信頼性の高いビート周波数の検出にのみ依存しており、その信号の絶対振幅には依存しないからである。検出LO信号が異なる場合、ノイズ信号は等しくなくなるので、不完全なLOAMノイズ相殺が生じうる。これにより、RF信号ピークよりも高い検出AMノイズが生じうる。そのような高いノイズはRF信号測定の正確さを低減しうる。ディテクタ334からの出力は、ディテクタ332からの出力よりもスケーリング(利得)係数Kだけ高い。調整可能利得ステージ336は、差動出力に1/Kを掛け合わせ、2つの検出LO信号をディテクタ332において見られるのと同じレベルになるようにする。これにより、代数的合成ネットワーク330の動作によって検出LOAMノイズは相殺される。
【数1】
利得制御336により、検出RF信号を約4倍としつつ(2つの検出LO信号がほぼ等しい、すなわちKが1に近い場合)、LOAMノイズを相殺することが可能となる。
【0067】
ある実施の形態では、システムの各LO信号経路にある量のAM信号を加えることによってLOAM信号またはノイズの相殺が実現されるように、ダウンコンバーティングシステムは較正される。両方のディテクタ出力において同等レベルの検出LOAM信号が生成されるよう利得Kを変えることによって、IFにおいて見られる検出AM信号またはノイズの振幅を低減できるであろう。LOAM相殺はベースバンド(IF/可聴)において行われる。これにより、高周波(すなわち、検出前)における較正と比較して、とても正確なLOAM較正/相殺が可能となる。高周波では、ミスマッチ誤差が較正の精度を悪化させる。ある実施の形態では、ダウンコンバーティングシステムは、AM信号やノイズ源(較正標準)やルックアップテーブル(「LUT」)や可変利得ステージや可変減衰ステージなどの作り付けの較正源を有する。さらなる実施の形態では、ダウンコンバーティングシステムは、ファームウエアインストラクション(自己較正)にしたがって、自動LOAMノイズ較正を実行する。LOAMノイズ相殺により信号対ノイズ特性を改善することができる。これにより、レーダーシステムにより優れたレンジを提供することが可能となる。
【0068】
図4は、実施の形態に係るNCDDシステム400の一部を示す図である。NCDDシステム400は図3Aおよび図3Bを参照して説明されたシステムと同様であるから、簡単に説明する。システム400は4つのディテクタD1、D2、D3、D4を使用し、4つの検出信号(図4Aにおいて符号が付されている)を差動代数的合成ネットワーク402、404に提供する。差分回路および等しいLO検出信号およびRF検出信号の場合、結果として得られる合成IF出力は以下の通りである。
【数2】
ディテクタD1−D4がデュアルダイオードディテクタとして構成される場合、それらのディテクタD1−D4はそれぞれ最大でNCDDへの入力パワーの半分程度しか見ないであろう。それらのディテクタはピーク電圧を検出し、それらの出力を電圧として加える。それらのディテクタが正のピークディテクタと負のピークディテクタとで対とされる場合、同じパワー入力に対して低周波検出出力電圧はほぼ2倍となるであろう。したがって、4ディテクタシステム400は検出LOAMノイズを相殺する一方、検出RF信号を、シングルダイオードシステムによって検出されるであろうRF信号の数倍程度に増大させる。無相関でありダイオード生成の(すなわち、ディテクタ生成の)ノイズがパワーとして加わる。シングルダイオードディテクタシステムでは、この無相関のノイズは検出信号に加えられ、レンジ/感度を悪化させる。この4ディテクタシステムでは、4つの検出RF出力信号は相関のある電圧として足し合わされる一方、4つのノイズ出力は無相関のパワーとして足し合わされる。したがって、信号対ノイズ比を改善でき、反射されるかまたは遠方で生成された微小RF信号を検出できる低コストの検出システムを提供できる。
【0069】
図5Aは、実施の形態に係るダウンコンバーティングシステム(例えば、図1の参照符号102参照)で使用されるシングルダイオードディテクタ500の回路図である。代替的に、他のディテクタ構成が使用される。ダイオード502はピークディテクタとして使用される。そこでは、電圧源506からの高周波入力電圧VINにしたがって、抵抗−容量(「RC」)ネットワーク504に亘って出力電圧VOUTが生成される。ダイオード502は、正のピーク入力電圧引くディテクタダイオードの順方向降下電圧にほぼ等しい検出出力電圧を生成する。例えば、入力電圧はローカル発振器およびアンテナによって生成されるLO+RF電圧(図1の参照符号110参照)であり、図6Aおよび図6Bを参照して後述される。ある実施の形態では、抵抗508の抵抗値は、余分な抵抗ノイズを加えることなく検出出力電圧を最大化するよう選択され、キャパシタ510はローパスフィルタ機能およびエネルギの蓄積機能を提供するよう選択される。ある実施の形態によると、ディテクタの出力はIF増幅器510の高インピーダンス入力に接続される。これにより、ディテクタダイオード502の負荷を軽くすることができる。その結果、ディテクタダイオード502は、従来のスイッチングミキサベースのシステムと比較して、高周波信号の狭い導通角に亘って導通する。従来のスイッチングミキサベースのシステムでは、ミキサダイオードは高周波駆動信号の比較的長い部分に亘って導通する。
【0070】
スイッチングミキサベースのシステムは、ミキサダイオードを駆動するために比較的高いLOパワーを必要とする。ダイオードをミキサとしてではなくディテクタとして使用することにより、システムをより低いLOパワーで動作させることが可能となる。これにより、トータルのシステム電力消費を低減し、LO設計における設計の幅を広げることができる。ディテクタダイオードにおいて要求されるLOパワーを低くすることにより、LOパワーを分割して複数のディテクタを駆動し、LOAMノイズを相殺することが可能となる。実施の形態に係るノイズ相殺技術は、スイッチングミキサやシングルダイオード検出ミキサと比べて改善された信号対ノイズ性能を有するダウンコンバーティングシステムを提供する。複数のRFディテクタを使用することにより、信号対ノイズ性能をさらに改善できる。
【0071】
図5Bは、ある実施の形態において使用されるデュアルダイオードディテクタ520の回路図である。電圧源VIN522は第1ダイオード524を駆動し、第1RCネットワーク526に亘って第1出力VOUT1を生成する。電圧源VIN522は第2ダイオード528を駆動し、第2RCネットワーク530に亘って第2出力VOUT2を生成する。VOUT1は基本的にVINの正のピーク電圧引くダイオードの順方向降下電圧であり、VOUT2は基本的にVINの負のピーク電圧引くダイオードの順方向降下電圧である。ある実施の形態によると、ディテクタ出力VOUT1、VOUT2は代数的合成ネットワーク532に提供される。
【0072】
図5Cは、ある実施の形態において使用されるダイオード増倍回路540の回路図である。回路540は4つのダイオード544、546、548、560を有し、それらのダイオードは、シングルダイオードディテクタの約4倍の電圧利得を提供するよう接続される。各ダイオードはAC入力電圧によって駆動され、関連するキャパシタを充電する。各ダイオードと関連するキャパシタとはピークディテクタとして接続される。このディテクタ(電圧増倍器)は、電圧利得を生じさせるために、低インピーダンス駆動および高インピーダンス負荷に依存する。これらのダイオードは交互に導通する。すなわち、負の半サイクルにおいて第1および第3ダイオードが導通し、入力信号の正の半サイクルにおいて第2および第4ダイオードが導通する。ある実施の形態によると、検出出力は高インピーダンス回路(例えば、IF増幅器)542に提供される。
【0073】
図5Dは、ある実施の形態において使用されるシャント構成のシングルダイオードディテクタ560の回路図である。ある実施の形態によると、ダイオード562は直列キャパシタ567およびシャント抵抗564と協働して、IF増幅器566に検出電圧VDETを提供する。
【0074】
図6Aは、実施の形態に係るフィールド擾乱検知システムにおいて使用されるノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタのRFカプラ600の平面図である。RFカプラは選択された特性インピーダンス(例えば50オーム、75オームまたは300オーム)を有する伝送線路として製造される。導電トレースの幅は、基板の厚さ(マイクロストリップ伝送線路が使用される場合は典型的には接地面までの厚さ)および基板材料の誘電率および他の特性に応じて、所望の特性インピーダンスが得られるように選択される。これはRF回路の分野では周知である。議論をより容易とするために、リングカプラ602のセグメントなどのRF構造の「長さ」は、システムが動作する波長を使用して示される。ある実施の形態では、比較的低い誘電損失(一般に10GHzにおける損失正接が約0.003より小さい)および高い誘電率(一般に10GHzにおいて約2よりも大きい)を有する誘電体基板上に、マイクロストリップ伝送線路が製造される。そのような誘電体基板は例えば、DUROIDTM基板、ROGERS CORPORATION of Rogers、CTから取得可能なRODGERS RTTM 4350または4003基板、ARLON−MED of Rancho Cucamonga、CAから取得可能なARLON−MEDTM 25N、25FRまたはAD350A基板、TACONIC of Petersburgh、NYから取得可能なTACONIC TLXTMまたはRF−35ATM基板、またはISOLA GROUP S.A.R.L.of Chandler、AZから取得可能なISOLA IS640TMであり、これらはポリ(テトラフルオロエチレン)(「テフロン(登録商標)」)ベースの回路基板であり、金属泊トレースを有する。一般に、マイクロストリップ高周波伝送構造は、導電性接地面(全ての場合ではないが大抵の場合基板の反対側にある)から既知の距離だけ離れたトレースであって選択された幅を有するトレースを有する。代替的な実施の形態では、共平面導波路やストリップラインや片面ストリップラインや同軸伝送線路が使用される。または、高周波伝送線路のタイプを混ぜ合わせてもよく、例えばシステムのある部分ではマイクロストリップ構造を使用し、別の部分では共平面導波路を使用してもよい。代替的な実施の形態は、FR−4やG−10基板などのエポキシグラスファイバー基板、他のポリマーファイバー基板、セラミック(例えば、アルミナまたはポリシリコン)基板、または単結晶(例えば、サファイアまたはシリコン)基板を使用する。
【0075】
ノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタのRFカプラ600は、リングハイブリッドカプラ602と、2つのダイオードディテクタ604、606と、を使用する。ダイオードディテクタ604、606はシングルダイオードディテクタであってもよいし、複数ダイオードディテクタであってもよい。ノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタ600は、コヒーレント自己復調レーダーに特に適している。このレーダーでは、LO信号および伝送レーダー信号610は同じ周波数で一定の位相差を有する。RF信号612は伝送(LO)信号610の部分であり、その部分は、ターゲット614によって反射された部分であって周波数シフト(すなわち、ドップラーシフト)を伴う。周波数シフトは、伝送信号源(伝送信号610)に向かうまたはそれから離れるターゲット速度に起因する。したがって、RF信号612はLO周波数から(カブラ帯域幅と比較して)少量シフトするのみであり、伝送信号とほぼ同じ波長したがって同様な位相シフトを有するであろう。システムは、ある既知の周波数について設計されていてもよい。そのような既知の周波数は主に伝送周波数であり、ある実施の形態では、L−、S−、C−、X−、K−、Ku−、Ka−バンドや他の周波数のうちのひとつ以上であってもよい。図6Aには、レーダー伝送および受信アンテナの詳細は示されていないが、そのようなアンテナは共通アンテナおよびLOとRFとの合成ネットワークとして実現されてもよいし、LO信号とRF信号とで別個のアンテナが設けられてもよい。伝送信号610および反射信号612はアンテナカプラ(例えば、図7Aの参照符号708および図7Bの参照符号757参照)を通じて導かれる。アンテナカプラは反射(RF)信号をノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタのRFカプラ600へと導く。
【0076】
リングハイブリッドカプラ602は4つのポート616、618、620、622を有する。リングハイブリッドカプラ602はLOポート616に到着するLO信号615を2つの同等な信号624、626に分割し、それらのLO信号を、やはり基本的に同等な2つのディテクタポート618、620に送る。LO信号はLOポートから各ダイオードポートへ(ダイオードポート620へは時計回り、ダイオードポート618へは反時計回り)、LO信号の波長の四分の一または四分の一の奇数倍だけ伝播する。RFポート622はリングハイブリッドカプラ602に設けられ、LOポート616からの距離は時計回りに二分の一波長の偶数倍であり、リングハイブリッドカプラ602の周りの反時計回り方向にRF信号の二分の一波長の奇数倍である。
【0077】
LO信号624、626はRFポート622において相殺される。624についての最短信号経路は二分の一λ(180度)であり、626についての最短信号経路はλ(360度)であり、したがってLO信号624および626は180度だけ位相がずれて到着するからである。代替的な実施の形態は他の波長の倍数を使用する。ある実施の形態では、RFポート622はリングハイブリッドカプラ602に設けられており、一方のディテクタ604からは反時計回り方向に四分の一波長、時計回り方向に四分の五λだけ離れており、第2ディテクタ606からは一方の方向に四分の三波長だけ離れている。したがって、RF信号は各ディテクタに、リング周りの両方の方向から位相が揃った形で到着する。2つのディテクタポート618、620の間の最短距離は二分の一λである。したがって、RFポート622からの信号は分割され、2つのディテクタ604、606に180度の位相差を伴って到着する。リングを四分の一λの奇数倍でスケーリングしても同じ位相関係を達成することができる。
【0078】
RF信号612およびLO信号615は正確に同じ周波数を有するわけではなく、移動するレーダーターゲットのドップラーシフトの影響により非常に低い周波数だけ分離されている。これは以下のように可視化されうる。大きなLO信号により小さなRF信号が加えられ、そのRF信号は周波数的にはLO信号とほぼ同等であるが、時間の経過とともに位相がゆっくりと移動する。波形のあるサイクルにおいて、一方のディテクタにおけるRF信号およびLO信号は同相で足し合わされ、波形のトータルの振幅を増加させる。差分周波数の二分の一サイクル後、RF信号およびLO信号は逆相で足し合わされ、ディテクタにおける波形のトータルの振幅を減少させる。これにより、RFとLOとの間の差分周波数(LO−RFまたはRF−LO)を有するダイオードディテクタからの低周波出力(すなわち、ベースバンドまたは「オーディオ」)が生じる。この差分周波数は、伝送信号と移動するターゲットとの往復経路における位相の変化に起因する。この位相の一定変化(ターゲットの相対速度が一定の場合)は周波数の変化と区別がつかず、ドップラー効果として理解される。
【0079】
2つのディテクタ604、606においてはLOポートからの信号の位相は同じになるが、第1ディテクタにおいてはRFポートからの小信号はLO信号の振幅に加えられる。第2ディテクタにおいてはRFポートからの小信号はLO信号の振幅から差し引かれる。差分周波数の二分の一サイクル後、RF信号の位相はLO信号に対して180度だけ変化し、RFの大きさとLOの大きさとの加算を見ていた第1ディテクタは今度はLOの大きさからのRFの大きさの減算を見るであろう。したがって、一方のディテクタがより高い出力を見る場合、他方のディテクタは同じRF信号に起因してより低い出力を見るであろう。LO信号のコヒーレントAMまたはAMノイズは各ディテクタにおいて信号の加算または減算として表れるであろう。そのような信号は、両方のディテクタの代数的合成により検出RF出力レベルが増加し、合成出力における検出LOAMノイズが相殺されるように、各ディテクタにおいて同等に(すなわち、同相で)加算または減算されるであろう。
【0080】
代数的合成ネットワーク(図2Aの参照符号218参照)は2つのディテクタ出力間の差を取り、IF信号を提供する。したがって、LO信号のAMノイズは相殺され、一方でRF信号の検出振幅は2つの検出RF信号の合成(和)として表れる。差動IF増幅器は2つの検出RF振幅間の差を取る。2つの検出RF振幅は基本的には互いに180度だけ位相がずれている。これは検出出力のうちのひとつにさらに180度の位相を加え、かつ、その結果ともう一方の検出出力とを足し合わせることに対応する。また、これは、2つの検出RF信号の大きさを加算することと等価である。負の値の減算はその値の大きさの加算と等価であるからである。
【0081】
差動ディテクタおよび差動IF増幅器は協働して受信RF信号の高感度性を実現しつつ、LO信号のAMノイズを相殺する。AMノイズは、そのように相殺されない場合、ダウンコンバータの感度を制限する。さらなる実施の形態では、差動IF増幅器は一方のIF信号の大きさを他方のIF信号に対して調整する機能を提供する(例えば、図3Bの参照符号336参照)。この機能は、ある実施の形態に係るノイズ較正技術と関連して使用される場合に特に、システムのノイズ相殺特性をさらに改善することができる。
【0082】
ある実施の形態は、ディテクタ利得の変動および信号経路の損失の差分を補正するためのノイズ較正を含む。RF伝送回路を正しく設計し、プロセスコントロール(再現性)を適切にすることによって、LO信号部分とRF信号部分との間の位相をバランス状態に維持することができる。RF経路がいくらかのインバランスを有する場合でも、LOAMノイズは十分に相殺されるので、RF信号の利得をほんの少し変更するのみでよく、一方で受信信号対ノイズ比を大きく増やすことができる。
【0083】
ディテクタ604、606は、典型的なミキサで使用されるダイオードスイッチのように動作するわけではない。ディテクタ604、606は、それらが狭帯域ダイオードディテクタである場合、スイッチングミキサ回路で使用されるより広帯域のダイオードスイッチと比較して、より高い利得(電圧入力に対する電圧出力)で入力信号電圧を検出することができる。狭帯域ダイオードディテクタは、広帯域ダイオードスイッチよりもマッチングをとるのが簡単である。したがって、検出効率を改善でき、信号対ノイズ比を改善できる。
【0084】
代替的な実施の形態では、RF信号部分が2つのディテクタに互いに位相が揃った状態で到着するが、LO信号部分は互いに180度だけ位相がずれた状態で到着するように、RFポートはカプラと接続される。リングカプラの幾何学的形状は、LO信号のAMノイズを相殺する差動構造を生成する。代数的合成ネットワークは、2つの検出LOAMノイズ部分を相殺するために、2つのディテクタ出力を互いに差し引く。LO信号の相対位相によらずに、2つのダイオード出力にAMノイズの低周波変動が位相が揃った状態で現れるからである。RF信号は両方のディテクタに加えられるが、それらのディテクタのLO信号は180度だけ互いに位相がずれているので、LO信号とRF信号とを合成することにより、ディテクタの出力に低周波変動を生成することができる。低周波変動は180度だけ位相がずれており、LO信号とRF信号との差の周波数を有する。代数的合成ネットワークは効果的に2つの検出RF信号部分の大きさを足し合わせる。この構成は、LOAM信号またはノイズを最大限相殺するために、ディテクタ出力のうちのひとつの振幅調整を要求しうる。実施の形態は、シングルダイオードディテクタや複数ダイオードディテクタを組み入れてもよく、代替的なディテクタ手法を使用してもよい。
【0085】
ディテクタ出力は加算ネットワーク(不図示、図7Bの参照符号768参照)と結合される。加算ネットワークの初段はIF増幅器であり、そのIF増幅器は図6Aのディテクタ604、606からディテクタ出力を受ける。この増幅器は差動増幅器であり、エミッタ結合トランジスタペアから形成される。差動増幅器を形成する2つのトランジスタのバイアス電流を変えることで利得を変えることができる。一方のディテクタについてのIF増幅器の初段出力は加算増幅器(例えば、演算増幅器)と接続される。正出力は非反転利得を生成する増幅器の入力と結合され、負出力は反転利得を生成する増幅器の入力と結合される。このネットワークは2つのディテクタ間の差を取るので、第2ディテクタの初段出力は増幅器入力と逆極性で結合される。すなわち、第2ディテクタの正出力は反転利得を生成するポートと接続され、第2ディテクタの負出力は非反転利得を生成するポートと接続される。この構成は2つのディテクタ出力間の差を生成し、IF増幅器の初段における電源電圧や利得制御電圧のコモンモードノイズ変動を相殺する。差動ノイズ相殺ディテクタの差動特性により、増幅器出力までの受信器チェーンのすべての要素におけるノイズの相殺が保たれる。さらなる実施の形態では、増幅器を、差動出力を備える差動増幅器で置き換えてもよい。この場合、コモンモード干渉に対する感度をさらに低減できる。
【0086】
図6Bは、実施の形態に係るシングルダイオードディテクタ回路630の平面図である。例えば、ディテクタ回路は図6Aの第1または第2ディテクタ604、606として使用される。ダイオード632はマッチング構成634により、リングカプラ(例えば、図6Aの参照符号602参照)の伝送線路インピーダンスとマッチされる。ダイオード632はダイオードチップであり、回路基板の表面に定義された導電性ホイルのパッド636上に取り付けられる。このダイオードチップは、インダクタとして表示されているボンドワイヤまたは他の適切なコネクタ638によってマッチング構成634と接続される。代替的な実施の形態では、パッケージ化されたダイオードが使用される。
【0087】
ダイオードはDC経路を使用して電流を生成し、入力高周波パワー(すなわち、LO信号およびRF信号)から検出出力(VOUT)を提供する。高周波ハイブリッドマイクロ回路設計の分野では周知のように、高インピーダンス伝送線路644の両端にファンライン642、646を伴うネットワークを設けることにより、LO周波数における高インピーダンスを実現でき、かつ、ダイオード電流に対してはDC経路を提供できる。種々の実施の形態では、任意のマッチングおよびバイアス構成が適切であり、ある実施の形態は異なるディテクタ回路に対して異なるマッチングおよびバイアス技術を適用してもよい。したがって、ディテクタ回路630は単なる例示である。代替的な実施の形態は、シャント構成を有するひとつ以上のダイオードを伴うディテクタ回路を使用する。一般に、ダイオードインダクタンスとファンライン642のキャパシタンスとの共振を生じさせない、ダイオードの出力へのDC接続を提供することが望まれる。多くのミキサ回路は、50オームシステムのように比較的低特性インピーダンスのシステムにおいて動作する。ある実施の形態におけるディテクタは、より高いインピーダンスの回路において動作する。この場合、共振の発生を回避し、ディテクタからより高い電圧利得を得ることができる。
【0088】
第2ファンライン646はネットワーク650と接続される。ネットワーク650は直列抵抗652とシャントキャパシタ654とシャント抵抗656とを有する。直列抵抗652の抵抗値は、ファン646とそれに続くシャントキャパシタ654との間を絶縁するのに十分なほど大きく、かつ、出力電圧VOUTを過度に減衰させないように接地へのシャント抵抗656の抵抗値よりも十分に低くあるべきである。例えば、シャント抵抗656が1キロオームから5キロオームの範囲にある場合、直列抵抗652は約20オームから約200オームの範囲にある。
【0089】
シャントキャパシタ654は、自己共振周波数が期待されるIF周波数の最高値よりも高くかつLO周波数よりも低くなるよう、選択される。ある実施の形態では、LO周波数が約24GHzのとき、シャントキャパシタは自己共振周波数が約2GHzよりも低くなるよう選択される。これにより、他のレーダーユニットや通信デバイスなどの隣接信号源が出力電圧VOUTに影響を与えることに対する耐性を得ることができる。シャントキャパシタ654およびシャント抵抗656はVOUTと接続された後段増幅器によって提供される抵抗およびキャパシタンスと共に、IF帯域幅を決定するであろう。このIF帯域幅は、受信されると予想される最高周波数のIF信号の受信を可能とするのに十分な程度に大きく設定されなければならない。短くされたファンライン642、646およびダイオードやパッケージやライン644や他のリード線の直列インダクタンスは、LO周波数およびRF周波数における減衰を提供する。当業者には理解されるように、他のネットワークが代替的に使用されうる。
【0090】
マッチング構成634において伝送線路658、660、662を使用することによって、ダイオード/ファンライン共振のインピーダンスとリングカプラのシステムインピーダンスとを整合させることができる。代替的に、他の伝送線路マッチング構成が使用される。例えば、代替的なデザインは、単一の四分の一波長伝送線路を使用し、この伝送線路のインピーダンスはソースインピーダンスと負荷インピーダンスとの幾何平均と等しい。代替的な実施の形態では、マッチング回路においてディスクリートな部品が使用される。
【0091】
図6Cは、実施の形態に係るデュアルダイオードディテクタ回路660の平面図である。2つのダイオード662、664は直列に接続される。ある実施の形態では、2つのダイオードは単一のパッケージ666の中に作られ、それによって浮遊キャパシタンスおよびインダクタンスが低減される。2つのダイオードのパッケージはデュアルダイオードを称される。ある実施の形態は、積層ダイオードを使用する。図6Bを参照して上述されたように、2つのダイオードのコモンジャンクション668は、広い/狭いマッチング構成(例えば、図6Bの参照符号634参照)を通じて、ディテクタ入力ポート(例えば、図6Bの参照符号618、620参照)と接続される。デュアルダイオードの他の端子はそれぞれ、短くされたファンライン670、672と接続される。短くされたファンライン670、672は、ダイオードおよびパッケージリード線のインダクタンスを外し、LO周波数で共振するようなキャパシタンスを作り出す。各ダイオードおよび短くされたファンラインジャンクションは、LO周波数において高インピーダンス負荷を提供する回路と接続される。しかしながら、その回路はダイオードとDCで接続され、ディテクタ出力およびDC電流経路を提供する。この回路は、図6Bを参照して上述されたように、狭いラインおよびファンライン足す直列抵抗およびシャント抵抗およびキャパシタの形態をとりうる。代替的な実施の形態は、RFチョークなどのLO周波数での高インピーダンスネットワークの形態をとる。そのようなネットワークは高インピーダンスを提供する。デュアルダイオードパッケージの一方のダイオードはディテクタ入力信号の正のピークを検出し、デュアルダイオードパッケージの他方のダイオードはディテクタ入力信号の負のピークを検出する(例えば、図5Bおよびそれに関連する記載を参照)。
【0092】
2つのダイオードの出力VOUT1、VOUT2は差動増幅器676の入力と接続される。差動増幅器676の出力678は差動IF増幅器682の入力と接続される。デュアルダイオードディテクタ回路660は図6Bのシングルダイオードディテクタ回路と同様に動作するが、典型的には、シングルダイオードディテクタよりもかなり高い出力電圧を生成する。この出力電圧はマッチングネットワークの損失および浮遊キャパシタンスおよびインダクタンスに依存する。
【0093】
図7Aは、実施の形態に係るCWレーダーシステム700の部分の図である。第1リングカプラ708は、LO信号をローカル発振器720からアンテナ722へ導く。また、第1リングカプラ708は、RF信号をアンテナ722から導く。ある実施の形態では、このアンテナ722はリングカプラ702、708と同じ基板723上に形成されたパッチアンテナである。基板723は「プリント基板」としてよく知られている。CWレーダーシステム700において、シングルアンテナ722は、LO信号の伝送(図6Aの参照符号610参照)および反射RF信号の受信の両方のために使用される。代替的な実施の形態は2つのアンテナを使用し、一方のアンテナは伝送用であり、他方のアンテナは受信用である。この場合、追加的なレシーバ利得を得ることができ、感度およびレンジが向上する。アンテナで受信された信号は、アンテナカプラとではなくNCDD入力と直接接続されうるので、利得を増やすことができる。アンテナカプラと接続される場合は典型的には3dB程度の損失が導入される。アンテナはLO周波数で動作するよう設計される。LO周波数は、ある実施の形態では、24GHz程度である。CWドップラーレーダーシステムにおいては、RFおよびLOは基本的には同じ周波数である。第2リングカプラ702は実質的に図6Aを参照して上述されたように構成され、実質的に図6Bを参照して上述された2つのディテクタ704、706を含む。あるいはまた、ディテクタ704、706の一方または両方について、複数ダイオードディテクタが使用されてもよい。
【0094】
システム全体の性能を最良に保てるよう各リングは最適化される。ある実施の形態では、ローカル発振器720は誘電体共振器(「DRO」、安定誘電体共振器(dielectric resonator stabilized oscillators、「DSOs」)としても知られている)である。DROは低コストかつコンパクトであり、比較的省電力である。しかしながら、DROは多くの場合高いAMノイズを有しており、ノイズ相殺が無い従来のダイオードディテクタCWレーダーシステムでは使用できない。LOAMノイズを相殺する本発明の実施の形態によると、DROを多くの異なるレーダーアプリケーションで使用できる。そのようなアプリケーションは、低消費電力やロングレンジや測定精度が要求されるレーダーアプリケーションを含む。代替的な実施の形態は伝送線路共振器や他の発振器を使用する。
【0095】
第1リングカプラ708は第1ポート(「LO入力ポート」)724においてLO信号を受け、そのLO信号を、ターゲット(不図示)へ伝送するためのアンテナポート726およびLOポート728に分配する。LOポート728と結合されたLO信号の部分は、LO信号を運ぶための伝送線路730を通じて、第2リングカプラ702のLOポート616へと伝送される。RFポート732はLOポート728の真向かいにあってLO信号から隔離されている。そのRFポート732と結合されたLO/RF信号の部分は、第1リングカプラ702のRFポート622と結合される。レーダーシステム700の他の詳細はRF回路設計の分野において周知であり、説明をより明確とするために省略される。
【0096】
LO入力ポート724はLO出力ポート728から四分の一λ、アンテナポート726から四分の一λ、それぞれ離れている。LO入力ポート724はRF出力ポート732から時計回りに二分の一λ、反時計回りに1λ、離れており、180度の差分が得られる。これにより、LO信号を2つの経路に分割して一方をアンテナに向け、他方を差動ディテクタに向けることが可能となる。第2リングハイブリッドカプラは、LO信号を2つのディテクダイオードへ基本的に位相が揃った状態で送る一方、アンテナからのRF入力信号を基本的に2つのダイオードディテクタにおいて180度位相がずれた状態で送る。ある実施の形態では、リングカプラ702、708やアンテナ722が形成される基板の側(「第1側」)の反対側(「第2側」)上にLO720が形成される。第1側の接地面734は第2側(不図示)のLO回路の上部に横たわる。LO信号は、それが生成される第2側からメッキビア736を通じて第1側に運ばれる。第2側(不図示)の接地面はアンテナ722および一般的には第1側のRF回路の下部に横たわる。これはRFマイクロストリップ設計の分野では周知である。
【0097】
図7Bは、実施の形態に係るフィールド擾乱測定システム750を示す図である。ある実施の形態では、システム750は集積CWレーダーシステムである。システム750はアンテナ752を含む。アンテナ752は信号(LO信号)754をターゲット755に伝送する。信号754は発振器回路756によって生成される。ターゲット755は破線で示される。ターゲットはシステムの一部ではないからである。システムは、ターゲットがシステムに対して移動していればその速さを測定する。ターゲットが静止しておりシステムが動いていてもよく、あるいはまたターゲットが移動しシステムが静止していてもよく、あるいはまたターゲットおよびシステムの両方が同時に一般的な地表や他の基準フレームに対して動いていてもよい。
【0098】
アンテナ752はターゲット755から反射された信号(RF信号)758を受ける。反射信号は合成ネットワーク757(例えば、図1−図2Bおよび関連する説明を参照)においてLO信号と合成され、AMノイズを相殺する差動ディテクタとして動作する第1ディテクタ760および第2ディテクタ762に提供される(例えば、図3A−図4Bおよび関連する説明を参照)。代替的な実施の形態では、LO信号を伝送するために第1アンテナが使用され、反射信号を受けるために第2アンテナが使用される。オプションで、反射信号経路におけるアンテナの後段に増幅器(前置増幅器)が設けられてもよい。
【0099】
第1および第2ディテクタ760、762の出力は代数的加算ネットワーク768に提供される。加算ネットワーク768の差動出力は増幅器およびフィルタ770と結合される。この増幅器およびフィルタ770は、差動入力をシングルエンド信号771に変換する。アナログデジタルコンバータ772は、検出電圧を示す信号をデジタル値773に変換する。このデジタル値773はコントローラ774によって処理される。コントローラ774は測定された(ターゲットとシステムとの間の)速さを液晶ディスプレイスクリーンなどの電子ディスプレイスクリーン776に表示する。オプションでシステム750はユーザインタフェース778を含んでもよい。このユーザインタフェース778は、測定された速さなどの情報を外部デバイスに伝達したり、レーダー速さ測定プロセスを開始するためのトリガを受け付けたり、速さを別の単位で報告するようレーダーの機能を変更したり、特定のタイプの対象の速さを報告するようレーダー速さ測定プロセスを最適化したり(すなわち、車両や野球のボールの測定に対して最適化したり)、特定の速さ制限内で測定された速さを報告するようレーダー速さ測定プロセスを最適化するためのものであってもよい。代替的な実施の形態では、システムは一体化されたディスプレイを含まず、コントローラはシステムの外部のデバイス(不図示)に相対速度データを提供する。
【0100】
ある実施の形態では、システム750は電池784を電源とする携帯型のシステムである。さらなる実施の形態では、携帯型のシステムは手持ち型のシステムとして扱われることが意図されている。代替的な実施の形態では、システムに電池は含まれておらず、電力は外部電池(例えば、車両電池)などの外部ソースや主電源(例えば、主電源と接続されたトランスから)から供給される。電源回路786は電圧調整およびそれと似たような機能を提供し、適切な電圧を生成する。また電源回路786は電流を供給することでシステムの部材に電力を供給する。説明を簡単かつ明確とするため、電力を要する各部材への個々の電源ラインは省略される。ある実施の形態では、コントローラ774およびA/Dコンバータ772は電源の動作を監視し、必要であれば電源コントロールライン787を通じて調整したりオンオフしたりする。
【0101】
コントローラ774は振幅変調制御信号788を発振器回路756に提供する。この信号788は発振器756の振幅変調を生成し、NCDDによって検出される発振器756のAMノイズのレベルを最小化するようなNCDDの較正を可能とする。ある実施の形態では、コントローラ774は較正テーブルなどのメモリを含み、あるいはまたシステム750はコントローラと協働する別個のメモリ(不図示)を含む。ある実施の形態では、コントローラ774は信号処理ブロックおよびオプションで自動較正ブロックを含む。自動較正ブロックはAM信号生成器(すなわち、AMコントロールライン788の信号であって発振器756を既知の態様で変調する信号)と協働する。ある実施の形態では、システムはハウジング790に収められている。ハウジング790は手持ちアプリケーションのための他のシステム要素を含む。ある実施の形態では、ハウジング790は矩形のプラスチックハウジングであり、おおよそ2.25インチ×4.5インチ×1インチの大きさを有する。代替的なシステムは相手先ブランド名製造(original-equipment manufacturer、「OEM」)システムとして提供され、他の製品の中に組み入れられる。そこではハウジングは省かれてもよい。
【0102】
図8Aは、実施の形態に係るダウンコンバーティングの方法800のフローチャートである。高周波信号(例えば、LO信号)が生成される(ステップ802)。高周波信号はアンテナ、第1ディテクタおよびお第2ディテクタに提供される(ステップ804)。アンテナはターゲットから反射信号(例えば、RF信号)を受け(ステップ806)、反射信号は少なくとも第1ディテクタに提供される(ステップ808)。第1ディテクタは反射信号および高周波信号を第1検出出力に変換し(ステップ810)、それと共に第2ディテクタは少なくとも高周波信号を第2検出出力に変換する(ステップ812)。第1および第2検出出力は代数的に合成され(例えば、互いに差し引かれ)、検出高周波信号上のAMノイズを含む検出高周波信号が相殺される(ステップ814)。LOAMノイズはディテクタ間で相関する。両方のディテクタについて、ディテクタ出力はより高いLOパワーに対しては増大し、より低いLOパワーに対しては減少する。これは、ディテクタに送られるLO信号の位相とは無関係である。したがって、ディテクタ出力代数的合成器は、一方のディテクタ出力から他方の出力を減算する。図8Aの方法の実施の形態は、ドア開閉器や距離測定システムや自動車両用速さまたはレンジセンサや低IFレシーバなどの運動検知システムにおいて使用される。ある実施の形態では、合成された検出反射信号を処理することでレーダーシステムと移動するターゲットとの相対速度が導かれる(ステップ816)。
【0103】
ある実施の形態では、第2ディテクタは第1ディテクタと同じ位相のRF信号を検出し、また、逆位相の(すなわち、位相が180度ずれた)LO信号を検出する。検出RF信号の一方はディテクタ出力において反転され、他方の検出RF信号から減算される。一方、同じ減算により、検出LOAM信号は相殺される。ある実施の形態では、第2ディテクタは第1ディテクタとは逆の位相のRF信号を検出し、また、同位相のLOAM信号を検出する。ディテクタ出力のうちの一方は他方から減算され、検出(ダウンコンバートされた)逆位相RF信号は足し合わされると共に検出同位相(復調された)LOAM信号は相殺される。両方の場合において、LO信号の復調された振幅変調はディテクタ出力において同位相の状態でディテクタから出てくる。一方、ダウンコンバートされたRF信号はディテクタ出力において逆位相の状態でディテクタから出てくる。
【0104】
図8Bは、実施の形態に係る電磁場擾乱の検知方法820のフローチャートである。高周波信号(例えば、LO信号)が生成される(ステップ802)。高周波信号はアンテナ、第1ディテクタおよびお第2ディテクタに提供される(ステップ804)。アンテナはターゲットから反射信号(例えば、RF信号)を受ける(ステップ806)。反射信号は第1ディテクタに提供され、反転された反射信号は第2ディテクタに提供される(ステップ822)。第1ディテクタは反射信号および高周波信号を第1検出出力に変換し(ステップ810)、それと共に第2ディテクタは反転された反射信号および高周波信号を第2検出出力に変換する(ステップ824)。ある実施の形態では、第1検出出力は検出LO信号および検出RF信号であり、第2検出出力は基本的には第1検出LO信号および負の検出RF信号である。
【0105】
第1検出出力は第1代数的合成ネットワークに提供され、それと共に第2検出出力は第2代数的合成ネットワークに提供される(ステップ826)。第1代数的合成ネットワークは第1差動信号および反転された第1差動信号を生成し、第2代数的合成ネットワークは第2差動信号および反転された第2差動信号を生成する(ステップ832)。第1差動信号は第3代数的合成ネットワークの正入力(すなわち、非反転入力)に提供され、反転された第1差動信号は第3代数的合成ネットワークの負入力(すなわち、反転入力)に提供され、第2差動信号は第3代数的合成ネットワークの第2負入力に提供され、反転された第2差動信号は第3代数的合成ネットワークの第2正入力に提供される。第3代数的合成ネットワークは出力(例えば、IF出力)を生成する(ステップ830)。さらなる実施の形態では、合成された検出反射信号を処理することでレーダーシステムとターゲットとの相対速度が導かれる(ステップ832)。
【0106】
さらなる実施の形態では、第1ディテクタからの検出LO信号と第2ディテクタからの検出LO信号とを釣り合わせるために、第2代数的合成ネットワークの出力に利得(負の利得を含み、その場合は減衰としても知られている)が適用される(ステップ834)。これにより、LO信号上で検出されるAMノイズを相殺できる。
【0107】
図9Aは、実施の形態に係る、フィールド擾乱検知システムにおけるノイズを較正する方法900のフローチャートである。高周波信号(例えば、LO信号)はフィールド擾乱検知システムのアンテナ、第1ディテクタおよびお第2ディテクタに印加される(ステップ902)。第1および第2ディテクタはノイズ相殺ディテクタとして構成される(例えば、図1−図3B参照)。移動する物体からの反射や他の外部放射を受けないように、アンテナはシールドされる(ステップ904)。高周波信号が印加される前または後にそのようなシールドが行われうる。シールドは種々の方法により行われる。例えば、無線周波数を吸収する材料で覆われた空き箱にアンテナを向けてもよいし、反射を生成するターゲットが存在しない領域にアンテナを向けてもよい。
【0108】
利得調整は選択された設定範囲を通じて段階的に行われる(例えば、図3Bの参照符号336参照)。出力レベル(例えば、IFレベル338や他の適切な信号レベル)は差動ノイズを示しており、そのような出力レベルが記録される(ステップ906)。検出AMノイズレベルの最小値に関連する利得設定が特定され(ステップ908)、保存される(ステップ910)。動作中、検出AMノイズレベルの最小値に関連する利得設定が適用され、ノイズ相殺フィールド擾乱測定が行われる(ステップ912)。
【0109】
代替的な実施の形態では、利得は種々の手法で調整される。例えば、検出信号経路のうちの一方に調整可能利得要素を含め、その検出信号の利得を他方の検出信号に対して増大または減少させてもよい。あるいはまた、ひとつ以上のトランジスタへのバイアスレベルなどの要素のバイアスが変えられる。検出経路のうちのひとつにおける利得が変化すると、ノイズレベルは最小値に落ちていく。各バイアス制御ステップについてノイズレベルを観察することにより、バイアス制御が最適領域を離れる(例えば、ノイズが最小になる条件におけるバイアス制御電圧を上回るか下回るようにバイアス制御電圧を増大または減少させる)につれてノイズが増大し始めるときの利得設定を特定することができる。ある実施の形態では、しきい値は最小点からの選択された偏位で定義される。ノイズがしきい値と等しくなる利得設定が決定される(すなわち、最小ノイズは2つのしきい値設定の間にあるであろう。しかしながら、最小ノイズは比較的「平ら」であり、これにより最小ノイズ点の直接測定の正確性は低下する)。上で特定された2つのしきい値に対応する2つの利得設定の間の利得設定を選択することによって、最も良いLOノイズ除去に対応する最適点が設定される。2以上のディテクタを使用する実施の形態(例えば、図4参照)では、AMノイズの最小化を達成するために、合成ディテクタ信号(例えば、ネットワーク402やネットワーク404の出力)の利得を調整してもよい。
【0110】
図9Bは、実施の形態に係る、AM生成器を備えるフィールド擾乱検知システムにおけるノイズを較正する方法920のフローチャートである。高周波信号(例えば、LO信号)はフィールド擾乱検知システムのアンテナ、第1ディテクタおよびお第2ディテクタに印加される(ステップ922)。第1および第2ディテクタはノイズ相殺ディテクタとして構成される(例えば、図1−図3B参照)。移動する物体からの反射や他の外部放射を受けないように、アンテナはシールドされる(ステップ924)。測定シーケンスが始まる前にシールドが配置される限り、高周波信号が印加される前または後、および、較正信号が印加される前または後、にそのようなシールドが行われうる。
【0111】
ノイズ相殺ダウンコンバーティングディテクタシステム(例えば、図1、図2A、図3B参照)の第1ディテクタおよび第2ディテクタに、LOのAMノイズを模倣する較正信号または動作周波数(例えば、LO周波数足す側波帯)を有する信号が印加される。ある実施の形態では、LOは、システムによって生成されるAM信号で変調される(例えば、図7Bの参照符号756、788、744参照)(ステップ926)。利得調整は選択された設定範囲を通じて段階的に行われる。出力レベル(例えば、IFレベル338や他の適切な信号レベル)は差動ノイズを示しており、そのような出力レベルが記録される(ステップ928)。検出AM信号(AMノイズ)レベルの最小値に関連する利得設定が特定され(ステップ930)、保存される(ステップ932)。動作中、検出AM信号出力レベルの最小値に関連する利得設定が適用され(ステップ934)、ノイズ相殺フィールド擾乱測定が行われる(ステップ936)。
【0112】
好適な実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく種々の変形を施すことが可能であり、また、要素を等価物で代用することが可能であることは当業者には理解されるであろう。加えて、特定の状況や材料を、本発明の基本的範囲から逸脱することなく本発明の教示に適応させるような多くの変形例が可能であろう。したがって、本発明はそれを実施するために考えられ得る最良の形態として開示される特定の実施の形態に限定されず、本発明は添付の請求項の範囲内に入る全ての実施の形態を含むことが意図されている。
【0113】
本明細書で説明される全ての要素、部分およびステップが好適に含まれる。当業者には自明であるが、これらの要素、部分およびステップのうちの任意のものは他の要素、部分およびステップによって置き換えられ得るかまたは削除されうることは理解されるべきである。
【0114】
コンセプト
本書面は少なくとも以下のコンセプトを開示する。
コンセプト1
振幅変調(「AM」)ノイズを有する第1高周波信号を検出し、少なくとも第1検出AMノイズ信号成分および復調信号成分を有する第1検出信号を生成するよう構成された第1ディテクタと、
AMノイズを有する第2高周波信号を検出し、少なくとも第2検出AMノイズ信号成分を有する第2検出信号を生成するよう構成された第2ディテクタと、
第1検出信号と第2検出信号とを合成することで第1検出AMノイズ信号成分を第2検出AMノイズ信号成分で相殺し、復調信号成分を含む出力信号を生成する代数的合成ネットワークと、を備える、ディテクタシステム。
コンセプト2
第1高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、復調信号成分はローカル高周波信号と受信高周波信号との差分周波数を有する、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト3
第2高周波信号はローカル高周波信号である、コンセプト2に記載のディテクタシステム。
コンセプト4
第2高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、第2検出信号は差分周波数を有する第2復調信号成分をさらに含む、コンセプト2に記載のディテクタシステム。
コンセプト5
代数的合成ネットワークの出力信号は復調信号成分に足し合わされた第2復調信号成分をさらに含む、コンセプト4に記載のディテクタシステム。
コンセプト6
受信高周波信号はローカル高周波信号の反射信号である、コンセプト2に記載のディテクタシステム。
コンセプト7
ローカル高周波信号と受信高周波信号とを合成し、ローカル高周波信号および受信高周波信号を第1ディテクタに提供する高周波代数的合成ネットワークをさらに備える、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト8
代数的合成ネットワークは反転入力および非反転入力を有し、第1検出信号は非反転入力に提供され、第2検出信号は反転入力に提供される、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト9
第1高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、出力信号は差分周波数を有する、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト10
ローカル高周波信号および受信高周波信号を受け、ローカル高周波信号および受信高周波信号を第1ディテクタに提供し、ローカル高周波信号および受信高周波信号の反転信号を第2ディテクタに提供するよう構成された高周波代数的合成ネットワークをさらに備え、
第2ディテクタは第2検出AMノイズ信号成分および反転された復調信号成分を有する第2検出信号を生成する、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト11
代数的合成ネットワークは反転入力および非反転入力を有し、第1検出信号が非反転入力に提供されると共に第2検出信号が反転入力に提供されることによって反転されたAMノイズ信号成分および第2復調信号成分が生成され、
出力信号は復調信号成分と第2復調信号成分との和であり、
反転されたAMノイズ信号成分はAMノイズ信号成分を相殺する、コンセプト10に記載のディテクタシステム。
コンセプト12
第1ディテクタは第1シングルダイオードディテクタを含み、第2ディテクタは第2シングルダイオードディテクタを含む、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト13
第1ディテクタは第1デュアルダイオードディテクタを含み、第2ディテクタは第2デュアルダイオードディテクタを含む、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト14
第1ディテクタは第1ダイオード電圧増倍器を含み、第2ディテクタは第2ダイオード電圧増倍器を含む、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト15
高周波代数的合成ネットワークは、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第1受信信号経路と、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第2受信信号経路と、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第1LO信号経路と、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第2LO信号経路と、
第1受信信号経路の受信信号と第1LO信号経路のLO信号とを合成し、第1合成信号を第1ディテクタに提供する第1高周波コンバイナと、
第2RF信号経路の受信信号と第2LO信号経路のLO信号とを合成し、第2合成信号を第2ディテクタに提供する第2高周波コンバイナと、
を含む、コンセプト10に記載のディテクタシステム。
コンセプト16
第1合成信号はLO信号と受信信号とを足し合わせたものであり、第2合成信号はLO信号から受信信号を引いたものである、コンセプト15に記載のディテクタシステム。
コンセプト17
第1ディテクタと代数的合成ネットワークとの間に設けられた第2代数的合成ネットワークをさらに備え、
第2代数的合成ネットワークは、
代数的合成ネットワークの第1非反転入力と接続された第1正出力と、
代数的合成ネットワークの第1反転入力と接続された第1負出力と、を有する、コンセプト1に記載のディテクタシステム。
コンセプト18
第2検出信号は第2復調信号成分をさらに含み、
本ディテクタシステムは、第2ディテクタと代数的合成ネットワークとの間に設けられた第3代数的合成ネットワークをさらに備え、
第3代数的合成ネットワークは、
代数的合成ネットワークの第2反転入力と接続された第2正出力と、
代数的合成ネットワークの第2非反転入力と接続された第2負出力と、を有する、コンセプト17に記載のディテクタシステム。
コンセプト19
代数的合成ネットワークと第2代数的合成ネットワークおよび第3代数的合成ネットワークのうちのひとつとの間に設けられた調整可能利得ステージをさらに備える、コンセプト18に記載のディテクタシステム。
コンセプト20
第2検出AMノイズ信号成分は第1検出AMノイズ信号と利得係数との積と等しく、調整可能利得ステージは第2検出AMノイズ信号成分を利得係数で除す、コンセプト19に記載のディテクタシステム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振幅変調(「AM」)ノイズを有する第1高周波信号を検出し、少なくとも第1検出AMノイズ信号成分および復調信号成分を有する第1検出信号を生成するよう構成された第1ディテクタと、
AMノイズを有する第2高周波信号を検出し、少なくとも第2検出AMノイズ信号成分を有する第2検出信号を生成するよう構成された第2ディテクタと、
第1検出信号と第2検出信号とを合成することで第1検出AMノイズ信号成分を第2検出AMノイズ信号成分で相殺し、復調信号成分を含む出力信号を生成する代数的合成ネットワークと、を備える、ディテクタシステム。
【請求項2】
第1高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、復調信号成分はローカル高周波信号と受信高周波信号との差分周波数を有する、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項3】
第2高周波信号はローカル高周波信号である、請求項2に記載のディテクタシステム。
【請求項4】
第2高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、第2検出信号は差分周波数を有する第2復調信号成分をさらに含む、請求項2に記載のディテクタシステム。
【請求項5】
代数的合成ネットワークの出力信号は復調信号成分に足し合わされた第2復調信号成分をさらに含む、請求項4に記載のディテクタシステム。
【請求項6】
受信高周波信号はローカル高周波信号の反射信号である、請求項2に記載のディテクタシステム。
【請求項7】
ローカル高周波信号と受信高周波信号とを合成し、ローカル高周波信号および受信高周波信号を第1ディテクタに提供する高周波代数的合成ネットワークをさらに備える、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項8】
代数的合成ネットワークは反転入力および非反転入力を有し、第1検出信号は非反転入力に提供され、第2検出信号は反転入力に提供される、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項9】
第1高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、出力信号は差分周波数を有する、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項10】
ローカル高周波信号および受信高周波信号を受け、ローカル高周波信号および受信高周波信号を第1ディテクタに提供し、ローカル高周波信号および受信高周波信号の反転信号を第2ディテクタに提供するよう構成された高周波代数的合成ネットワークをさらに備え、
第2ディテクタは第2検出AMノイズ信号成分および反転された復調信号成分を有する第2検出信号を生成する、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項11】
代数的合成ネットワークは反転入力および非反転入力を有し、第1検出信号が非反転入力に提供されると共に第2検出信号が反転入力に提供されることによって反転されたAMノイズ信号成分および第2復調信号成分が生成され、
出力信号は復調信号成分と第2復調信号成分との和であり、
反転されたAMノイズ信号成分はAMノイズ信号成分を相殺する、請求項10に記載のディテクタシステム。
【請求項12】
第1ディテクタは第1シングルダイオードディテクタを含み、第2ディテクタは第2シングルダイオードディテクタを含む、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項13】
第1ディテクタは第1デュアルダイオードディテクタを含み、第2ディテクタは第2デュアルダイオードディテクタを含む、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項14】
第1ディテクタは第1ダイオード電圧増倍器を含み、第2ディテクタは第2ダイオード電圧増倍器を含む、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項15】
高周波代数的合成ネットワークは、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第1受信信号経路と、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第2受信信号経路と、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第1LO信号経路と、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第2LO信号経路と、
第1受信信号経路の受信信号と第1LO信号経路のLO信号とを合成し、第1合成信号を第1ディテクタに提供する第1高周波コンバイナと、
第2RF信号経路の受信信号と第2LO信号経路のLO信号とを合成し、第2合成信号を第2ディテクタに提供する第2高周波コンバイナと、
を含む、請求項10に記載のディテクタシステム。
【請求項16】
第1合成信号はLO信号と受信信号とを足し合わせたものであり、第2合成信号はLO信号から受信信号を引いたものである、請求項15に記載のディテクタシステム。
【請求項17】
第1ディテクタと代数的合成ネットワークとの間に設けられた第2代数的合成ネットワークをさらに備え、
第2代数的合成ネットワークは、
代数的合成ネットワークの第1非反転入力と接続された第1正出力と、
代数的合成ネットワークの第1反転入力と接続された第1負出力と、を有する、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項18】
第2検出信号は第2復調信号成分をさらに含み、
本ディテクタシステムは、第2ディテクタと代数的合成ネットワークとの間に設けられた第3代数的合成ネットワークをさらに備え、
第3代数的合成ネットワークは、
代数的合成ネットワークの第2反転入力と接続された第2正出力と、
代数的合成ネットワークの第2非反転入力と接続された第2負出力と、を有する、請求項17に記載のディテクタシステム。
【請求項19】
代数的合成ネットワークと第2代数的合成ネットワークおよび第3代数的合成ネットワークのうちのひとつとの間に設けられた調整可能利得ステージをさらに備える、請求項18に記載のディテクタシステム。
【請求項20】
第2検出AMノイズ信号成分は第1検出AMノイズ信号と利得係数との積と等しく、調整可能利得ステージは第2検出AMノイズ信号成分を利得係数で除す、請求項19に記載のディテクタシステム。
【請求項1】
振幅変調(「AM」)ノイズを有する第1高周波信号を検出し、少なくとも第1検出AMノイズ信号成分および復調信号成分を有する第1検出信号を生成するよう構成された第1ディテクタと、
AMノイズを有する第2高周波信号を検出し、少なくとも第2検出AMノイズ信号成分を有する第2検出信号を生成するよう構成された第2ディテクタと、
第1検出信号と第2検出信号とを合成することで第1検出AMノイズ信号成分を第2検出AMノイズ信号成分で相殺し、復調信号成分を含む出力信号を生成する代数的合成ネットワークと、を備える、ディテクタシステム。
【請求項2】
第1高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、復調信号成分はローカル高周波信号と受信高周波信号との差分周波数を有する、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項3】
第2高周波信号はローカル高周波信号である、請求項2に記載のディテクタシステム。
【請求項4】
第2高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、第2検出信号は差分周波数を有する第2復調信号成分をさらに含む、請求項2に記載のディテクタシステム。
【請求項5】
代数的合成ネットワークの出力信号は復調信号成分に足し合わされた第2復調信号成分をさらに含む、請求項4に記載のディテクタシステム。
【請求項6】
受信高周波信号はローカル高周波信号の反射信号である、請求項2に記載のディテクタシステム。
【請求項7】
ローカル高周波信号と受信高周波信号とを合成し、ローカル高周波信号および受信高周波信号を第1ディテクタに提供する高周波代数的合成ネットワークをさらに備える、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項8】
代数的合成ネットワークは反転入力および非反転入力を有し、第1検出信号は非反転入力に提供され、第2検出信号は反転入力に提供される、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項9】
第1高周波信号はローカル高周波信号および受信高周波信号を含み、出力信号は差分周波数を有する、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項10】
ローカル高周波信号および受信高周波信号を受け、ローカル高周波信号および受信高周波信号を第1ディテクタに提供し、ローカル高周波信号および受信高周波信号の反転信号を第2ディテクタに提供するよう構成された高周波代数的合成ネットワークをさらに備え、
第2ディテクタは第2検出AMノイズ信号成分および反転された復調信号成分を有する第2検出信号を生成する、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項11】
代数的合成ネットワークは反転入力および非反転入力を有し、第1検出信号が非反転入力に提供されると共に第2検出信号が反転入力に提供されることによって反転されたAMノイズ信号成分および第2復調信号成分が生成され、
出力信号は復調信号成分と第2復調信号成分との和であり、
反転されたAMノイズ信号成分はAMノイズ信号成分を相殺する、請求項10に記載のディテクタシステム。
【請求項12】
第1ディテクタは第1シングルダイオードディテクタを含み、第2ディテクタは第2シングルダイオードディテクタを含む、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項13】
第1ディテクタは第1デュアルダイオードディテクタを含み、第2ディテクタは第2デュアルダイオードディテクタを含む、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項14】
第1ディテクタは第1ダイオード電圧増倍器を含み、第2ディテクタは第2ダイオード電圧増倍器を含む、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項15】
高周波代数的合成ネットワークは、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第1受信信号経路と、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第2受信信号経路と、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第1LO信号経路と、
高周波代数的合成ネットワークを通じた第2LO信号経路と、
第1受信信号経路の受信信号と第1LO信号経路のLO信号とを合成し、第1合成信号を第1ディテクタに提供する第1高周波コンバイナと、
第2RF信号経路の受信信号と第2LO信号経路のLO信号とを合成し、第2合成信号を第2ディテクタに提供する第2高周波コンバイナと、
を含む、請求項10に記載のディテクタシステム。
【請求項16】
第1合成信号はLO信号と受信信号とを足し合わせたものであり、第2合成信号はLO信号から受信信号を引いたものである、請求項15に記載のディテクタシステム。
【請求項17】
第1ディテクタと代数的合成ネットワークとの間に設けられた第2代数的合成ネットワークをさらに備え、
第2代数的合成ネットワークは、
代数的合成ネットワークの第1非反転入力と接続された第1正出力と、
代数的合成ネットワークの第1反転入力と接続された第1負出力と、を有する、請求項1に記載のディテクタシステム。
【請求項18】
第2検出信号は第2復調信号成分をさらに含み、
本ディテクタシステムは、第2ディテクタと代数的合成ネットワークとの間に設けられた第3代数的合成ネットワークをさらに備え、
第3代数的合成ネットワークは、
代数的合成ネットワークの第2反転入力と接続された第2正出力と、
代数的合成ネットワークの第2非反転入力と接続された第2負出力と、を有する、請求項17に記載のディテクタシステム。
【請求項19】
代数的合成ネットワークと第2代数的合成ネットワークおよび第3代数的合成ネットワークのうちのひとつとの間に設けられた調整可能利得ステージをさらに備える、請求項18に記載のディテクタシステム。
【請求項20】
第2検出AMノイズ信号成分は第1検出AMノイズ信号と利得係数との積と等しく、調整可能利得ステージは第2検出AMノイズ信号成分を利得係数で除す、請求項19に記載のディテクタシステム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【公表番号】特表2013−509597(P2013−509597A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537180(P2012−537180)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/055019
【国際公開番号】WO2011/053941
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512109002)インべンション プラネット、エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/055019
【国際公開番号】WO2011/053941
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512109002)インべンション プラネット、エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】
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