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ディーゼルパティキュレートフィルタ
説明

ディーゼルパティキュレートフィルタ

【課題】PMの捕集率が高く、かつ捕集できるPMの単位体積あたりの量が多いディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)を提供すること。
【解決手段】耐熱性繊維フィルタ層(A1)〜(An)(nは、2以上の整数)を積層してなるDPFであって、前記各耐熱性繊維フィルタ層(A1)〜(An)に含まれる耐熱性繊維の繊維径の平均値(a1)〜(an)が、以下の式:(1)(a1)≧(a2)≧…≧(an-1)≧(an)(2)(a1)>(an) (nは、2以上の整数)を満たし、及び
前記耐熱性繊維フィルタ層の少なくとも1つが、耐熱性繊維(T1)〜(Tm)(mは、2以上の整数)を含む異径繊維ブレンドフィルタ層であり、前記各耐熱性繊維(T1)〜(Tm)の繊維径(t1)〜(tm)が、以下の式:(3)(t1)≧(t2)≧…≧(tm-1)≧(tm)(4)(t1)>(tm) (mは、2以上の整数)を満たすDPFを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンから排出される排ガス中に含まれる粒子状物質(PM)の除去を可能にするディーゼルパティキュレートフィルタに関するものである。特に、本発明は、繊維径の異なる2種類以上の耐熱性繊維を含む耐熱性繊維フィルタを2種類以上傾斜積層したディーゼルパティキュレートフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ディーゼル車は、燃費及び耐久性に優れ、日本ではトラックを中心に幅広く使用されている。欧州では、ガソリン車に比べ燃費が2〜3割も良く、地球温暖化ガスCO2の発生量も少ない事から、乗用自動車にも多く利用されている。
一方で、ディーゼルエンジンからは、多量の有害な粒子状物質(PM)及び窒素酸化物(NOx)が排出される。PMは、主に炭素からなる固体塊状物質であり、大気汚染、粉塵公害の原因となるといわれている。PMは、肺や気管などに沈着して呼吸器に悪い影響を与えるほか、発ガン性のおそれが指摘されている。従って、ディーゼルエンジン排ガスからのPMの十分な除去が求められている。
【0003】
これら粒子状物質(PM)を捕集し、除去する方法として、ディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF、Diesel Particulate Filter)をディーゼルエンジンの排ガス側に設ける方法が知られている。特に最近は、ディーゼルパティキュレートフィルタとして、繊維を含むフェルト状繊維フィルタが開発されている(特許文献1)。
例えば、特許文献2は、粗構造の無機繊維フェルト層と、密構造の無機繊維フェルト層とを有する2層構造のディーゼルパティキュレートフィルタを開示している。また、特許文献3は、粗構造の無機繊維フェルト層と密構造の無機繊維フェルト層との2層1組を少なくとも2組以上積層した多層構造のディーゼルパティキュレートフィルタを開示している。
しかし、これらのフィルタは、PMの捕集率及び捕集できるPMの量の面からみて、不十分なものであった。
従って、PMの捕集率が高く、かつ、捕集できるPMの単位体積あたりの量が多いディーゼルパティキュレートフィルタの開発が強く望まれている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−289830号公報
【特許文献2】特開2002−97929号公報
【特許文献3】特開2002−97925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第一の目的は、本発明の目的は、PMの捕集率が高く、かつ捕集できるPMの単位体積あたりの量が多いディーゼルパティキュレートフィルタを提供することにある。
本発明の第二の目的は、PMを捕集しても、圧力損失への影響を低く抑えることができるディーゼルパティキュレートフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究した結果、径が異なる2種以上の繊維をブレンドした異径繊維ブレンドフィルタ層を含む複数フィルタ層を積層した耐熱性繊維フィルタ群が、上記目的を達成できるディーゼルパティキュレートフィルタに好適であることを見出した。
具体的に、本発明は、
[1]少なくとも2つの耐熱性繊維フィルタ層(A1)〜(An)(nは、2以上の整数)を積層してなるディーゼルパティキュレートフィルタであって、前記各耐熱性繊維フィルタ層(A1)〜(An)に含まれる耐熱性繊維の繊維径の平均値(a1)〜(an)が、以下の式:
(1) (a1)≧(a2)≧…≧(an-1)≧(an)
(2) (a1)>(an)
(nは、2以上の整数)
を同時に満たし、及び
前記耐熱性繊維フィルタ層の少なくとも1つが、少なくとも2つの耐熱性繊維(T1)〜(Tm)(mは、2以上の整数)を含む異径繊維ブレンドフィルタ層であり、前記各耐熱性繊維(T1)〜(Tm)の繊維径(t1)〜(tm)が、以下の式:
(3) (t1)≧(t2)≧…≧(tm-1)≧(tm)
(4) (t1)>(tm)
(mは、2以上の整数)
を同時に満たすことを特徴とする、ディーゼルパティキュレートフィルタに関する。
[2]前記式(1)が、
(1)’ (a1)>(a2)>…>(an-1)>(an) (nは、2以上の整数)
である、[1]に記載のディーゼルパティキュレートフィルタに関する。
[3]前記耐熱性繊維フィルタ層の少なくとも2つが前記異径繊維ブレンドフィルタ層である、[1]又は[2]に記載のディーゼルパティキュレートフィルタに関する。
【0007】
[4]前記各耐熱性繊維フィルタ層(A1)〜(An) に含まれる耐熱性繊維の繊維径の平均値(a1)〜(an)が、以下の式:
(5)0.1μm≦(an-1)−(an)≦20μm (nは、2以上の整数)
を満たす、[1]〜[3]の何れか1に記載のディーゼルパティキュレートフィルタに関する。
[5]前記各耐熱性繊維(T1)〜(Tm)の繊維径(t1)〜(tm)が、以下の式:
(6)0.5μm≦(tm-1)−(tm)≦10μm (mは、2以上の整数)
を満たす、[1]〜[4]の何れか1に記載のディーゼルパティキュレートフィルタに関する。
[6]前記各耐熱性繊維フィルタ層(A1)〜(An) に含まれる耐熱性繊維の繊維径の平均値(a1)〜(an)が3〜40μmの範囲にある、[1]〜[5]の何れか1に記載のディーゼルパティキュレートフィルタに関する。
[7]前記異径繊維ブレンドフィルタ層以外の前記耐熱性繊維フィルタ層が、1種の耐熱性繊維のみからなる、[1]〜[6]の何れか1に記載のディーゼルパティキュレートフィルタに関する。
[8]少なくとも1つ以上の前記異径繊維ブレンドフィルタ層が、ディーゼルパティキュレートフィルタを通過するガス流の下流端側に配置される、[1]〜[7]の何れか1に記載のディーゼルパティキュレートフィルタに関する。
[9]前記耐熱性繊維表面上に触媒が担持されている、[1]〜[8]のいずれか1に記載のディーゼルパティキュレートフィルタに関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、PMの捕集率が高く、かつ捕集できるPMの単位体積あたりの量が多いディーゼルパティキュレートフィルタを提供することができる。本発明のディーゼルパティキュレートフィルタは、PMを捕集しても、圧力損失への影響を低く抑えることができる。また、本発明のディーゼルパティキュレートフィルタは、このような低圧力損失−高捕集率(量)を実現することにより、本発明のディーゼルパティキュレートフィルタを備えたディーゼル機関の燃費向上を実現するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(1) ディーゼルパティキュレートフィルタ
本発明のディーゼルパティキュレートフィルタは、少なくとも2つの耐熱性繊維フィルタ層を積層してなり、該耐熱性繊維フィルタ層の少なくとも1つが、異径繊維ブレンドフィルタ層であることを特徴とするものである。ここで、ディーゼルパティキュレートフィルタとは、主にディーゼル機関から排出された外気ガス中に含まれる粒子状物質(PM)を捕集、低減するフィルタである。粒子状物質(PM)は、主に炭素からなる粒径が0.01〜100μm程度の固体塊状物質であり、中でも粒径が10μm以下のものは浮遊粒子状物質(SPM)と呼ばれる。ディーゼル機関から排出される粒子状物質(PM)は、ディーゼル機関の種類及び排気量等にもよるが、通常、0.02〜2μm程度の粒子径である。
【0010】
(1-1) 耐熱性繊維フィルタ層
本発明のディーゼルパティキュレートフィルタは、少なくとも2つの耐熱性繊維フィルタ層(A1)〜(An)(nは、2以上の整数)を積層してなる。各耐熱性繊維フィルタ層は、耐熱性繊維を含む不織布から構成される。ここで耐熱性繊維フィルタ層(An)に含まれるすべての耐熱性繊維の繊維径の平均値を(an)とすると、各耐熱性繊維フィルタ層(A1)〜(An)に含まれる耐熱性繊維の繊維径の平均値(a1)〜(an)は、以下の式:
(1) (a1)≧(a2)≧…≧(an-1)≧(an)
(2) (a1)>(an)
(但し、上記(1)及び(2)式中、nは、2以上の整数)
を同時に満たしている。すなわち、積層している耐熱性繊維フィルタ層は、第1層から第n層に向かって、該繊維フィルタ層に含まれている耐熱性繊維の繊維径の平均値が、段階的に小さくなっている、いわゆる傾斜積層型の耐熱性繊維フィルタ層群を構成している。ここで、nは、2以上の整数、好ましくは、2〜20の整数、より好ましくは4〜10の整数であることが適当である。
【0011】
また、前記式(1)は、
(1)’ (a1)>(a2)>…>(an-1)>(an) (nは、2以上の整数)
であってもよい。また、隣接する2〜3層ごとに同一の繊維径の平均値を有するように耐熱性繊維フィルタ層を組み合わせてもよい。例えば、隣接する2層ごとが同一の繊維径の平均値を有する場合は、式(1)が、
(1)” (a1)=(a2)>(a3)=(a4)>…>(an-3)=(an-2)>(an-1)=(an) (nは、4以上の整数)
となり得る。
【0012】
さらに、隣接する耐熱性繊維フィルタ層(An) に含まれている耐熱性繊維の繊維径の平均値(an)と耐熱性繊維フィルタ層(An-1)層に含まれている耐熱性繊維の繊維径の平均値(an-1)は、以下の式:
(5)0.1μm≦(an-1)−(an)≦20μm (nは、2以上の整数)
好ましくは、
(5)’0.5μm≦(an-1)−(an)≦10μm (nは、2以上の整数)
より好ましくは、
(5)”1.0μm≦(an-1)−(an)≦5.0μm (nは、2以上の整数)
を満たすものであってもよい。
好ましい耐熱性繊維フィルタ層の組み合わせは、n=2であり、1.0μm≦(a1)−(a2)≦10μm、より好ましくは2.0μm≦(a1)−(a2)≦5.0μmを満たす、傾斜積層型の耐熱性繊維フィルタ層群である。より好ましい耐熱性繊維フィルタ層の組み合わせは、n=8であり、0.5μm≦(an-1)−(an)≦20μm、より好ましくは1.0μm≦(an-1)−(an)≦10μmを満たす、傾斜積層型の耐熱性繊維フィルタ層群である。
【0013】
なお、耐熱性繊維の繊維径とは、繊維径を顕微鏡を用いて100回実測した平均値である。例えば、耐熱性繊維の直径を光学顕微鏡(オリンパス製)を用いて撮影し、繊維の画像をパソコンに取り込み、Win ROOF(Windows(登録商標)用汎用画像処理パッケージ、三谷商事株式会社製)を用いて繊維径を測定することができる。
また、繊維径の平均値は、耐熱性繊維フィルタ層に含まれている耐熱性繊維の質量比と当該耐熱性繊維の繊維径から求めることができる。例えば、繊維径(t1)の耐熱性繊維(T1)を40質量%、繊維径(t2)の耐熱性繊維(T2)を60質量%含む耐熱性繊維フィルタ層(An)の繊維径の平均値(an)は、
(an)=(t1)/0.4+(t2)/0.6
により求められる。
【0014】
本発明の耐熱性繊維フィルタ層は、上記耐熱性繊維を、公知の方法、例えば、ニードルパンチ法、スパンボンド法、或いは、特開2000-199160号「無機短繊維フェルトの製造方法及び装置」段落番号0016に記載されているようなエアレイ法により不織布としたものであり得る。例えば、エアレイ法は、耐熱性繊維を所定の長さに切断し、空気流中に導入して結束した繊維を解繊する。解繊した繊維をはかり取り、必要に応じて複数種の繊維と混合する。その後、所定の空気流中に繊維を導入し、繊維が混入した当該空気流を適当な基板上に吹き付け又は自然落下させることにより繊維を交絡させながら堆積し、不織布を製造する。得られた不織布は、繊維が一方方向又はランダム方向に交絡した構造を有する。
【0015】
本発明の耐熱性繊維フィルタ層の厚さは、例えば、0.5〜50mm、好ましくは、3〜40mm、より好ましくは、10〜30mmであることが適当である。厚さが0.5mm以上であれば、PMが十分に回収できるので好ましく、また、厚さが50mm以下であれば、ディーゼルパティキュレートフィルタを備えるディーゼル機関排ガス用の浄化装置が大きくなりすぎることがないので好ましい。
本発明の耐熱性繊維フィルタ層の目付は、例えば、50〜1000g/m2、好ましくは、100〜500g/m2、より好ましくは、150〜400g/m2であることが適当である。目付が50以上g/m2であれば、目付ムラがなくなるので好ましく、また、目付が1000g/m2以下であれば、折ったり曲げたりする時の加工性が良く好ましい。
特に好ましい耐熱性繊維フィルタ層は、1層の厚さが0.5〜5mmであり、目付が80〜500g/m2であるフィルタ層を3〜20層、より好ましくは4〜12層含む多層構造の耐熱性繊維フィルタ層である。3〜20層程度の多層構造であれば、十分な捕集率および捕集量を達成することができるので好ましい。
本発明の耐熱性繊維フィルタ層のかさ密度は、例えば、0.01〜1.0g/cm3、好ましくは、0.03〜0.5g/cm3、より好ましくは、0.05〜0.1g/cm3であることが適当である。かさ密度が0.01g/cm3以上であれば、PMの捕集性能は十分に維持することができ、また、1.0g/cm3以下であれば、本発明のディーゼルパティキュレートフィルタを用いたディーゼル機関排ガス用の浄化装置の圧力損失を低く抑えることができるので好ましい。ここで、圧力損失とは、ディーゼルパティキュレートフィルタ前後の排ガスの圧力差をいう。
耐熱性繊維フィルタ層(A1)〜(An)のかさ密度を(X1)〜(Xn)とすると、各かさ密度は、以下の関係;
(X1)≧(X2)≧…≧(Xn-1)≧(Xn) (nは2以上の整数)
を満たすことが適当である。好ましくは、すべての耐熱性繊維フィルタ層(A1)〜(An)のかさ密度の値(X1)〜(Xn)が同一又はその差が0.03g/cm3以下、好ましくは0.01g/cm3以下であることが適当である。例えば、かさ密度が同一の場合、より太い繊維径の繊維からなる耐熱性繊維フィルタ層(A1)は、より細い繊維径の繊維からなる耐熱性繊維フィルタ層(An)よりも、使用する繊維の全長は短くなり(構成する繊維の本数が多くなり)、かつ、繊維と繊維の間の隙間(気孔径)の大きさが大きくなる。従って、耐熱性繊維フィルタ層(A1)では、大きな粒径を有するPMを捕集し、耐熱性繊維フィルタ層(An)では、より小さな粒径を有するPMを捕集することができる。
【0016】
(1-2) 異径繊維ブレンドフィルタ層
上記耐熱性繊維フィルタ層の少なくとも1つは、少なくとも2種の耐熱性繊維を含む異径繊維ブレンドフィルタ層である。即ち、耐熱性繊維フィルタ層の少なくとも1つは、繊維径の異なる複数種の耐熱性繊維(T1)〜(Tm)(mは、2以上の整数)をブレンドした繊維群から構成される。ここで、異径繊維ブレンドフィルタ層に含まれる複数種の耐熱性繊維のうち、1つの耐熱性繊維(Tm)の繊維径の値を(tm)とすると、当該異径繊維ブレンドフィルタ層に含まれる各耐熱性繊維(T1)〜(Tm)の繊維径(t1)〜(tm)は、以下の式:
(3) (t1)≧(t2)≧…≧(tm-1)≧(tm)
(4) (t1)>(tm)
(但し、式(3)及び(4)中、mは、2以上の整数)
を同時に満たす。ここで、mは、2以上の整数、好ましくは、2〜10の整数、より好ましくは2〜5の整数であることが適当である。
また、前記式(3)は、
(3)’ (t1)>(t2)>…>(tm-1)>(tm) (mは、2以上の整数)
であってもよい。
【0017】
さらに、当該異径繊維ブレンドフィルタ層に含まれる各耐熱性繊維(T1)〜(Tm)の繊維径 (t1)〜(tm)は、以下の式:
(6) 0.5μm≦(tm-1)−(tm)≦10μm (mは、2以上の整数)
好ましくは、
(6)’ 1.0μm≦(tm-1)−(tm)≦8.0μm (mは、2以上の整数)
より好ましくは、
(6)” 2.0μm≦(tm-1)−(tm)≦5.0μm (mは、2以上の整数)
を満たすことが適当である。即ち、各耐熱性繊維(T1)〜(Tm)の繊維径は、0.5〜10μm、好ましくは、1.0〜8.0μm、より好ましくは2.0〜5.0μmの差を有する。
好ましい耐熱性繊維ブレンドは、m=3〜5であり、0.5μm≦(tm-1)−(tm)≦4μm、より好ましくは1.0μm≦(tm-1)−(tm)≦2.0μmを満たす、耐熱性繊維の組み合わせを含む。
なお、「耐熱性繊維の繊維径」は、上述で定義されたとおりである。
【0018】
異径繊維ブレンドフィルタ層には、少なくとも2種類、好ましくは、2〜10種類、より好ましくは3〜5種類の繊維径の異なる繊維を含むことが適当である。各繊維は、異径繊維ブレンドフィルタ層に含まれる全繊維の質量を100質量%とした場合、1〜99質量%、好ましくは、2〜98質量%、より好ましくは5〜95質量%、特に好ましくは、10〜90質量%含むことが好ましい。
【0019】
本発明のディーゼルパティキュレートフィルタは、このような異径繊維ブレンドフィルタ層を、少なくとも1層、好ましくは、2層以上、より好ましくは2〜20層、さらに好ましくは3〜10層含むことが適当である。また、本発明のディーゼルパティキュレートフィルタを構成する複数の耐熱性繊維フィルタ層の全て、あるいは、10〜95%、好ましくは、20〜90%が異径繊維ブレンドフィルタ層であることが適当である。
理論に拘束されることはないが、本発明者らは、本発明のディーゼルパティキュレートフィルタを構成する複数の耐熱性繊維フィルタ層の全てを異径繊維ブレンドフィルタ層とするよりも、一部(20〜40%程度)が異径繊維ブレンドフィルタ層であり、残りは1種の耐熱性繊維のみからなる耐熱性繊維フィルタ層とする方が、PMの捕集量及び捕集率の点から好ましいことを見出した。特に、異径繊維ブレンドフィルタ層は、ディーゼルパティキュレートフィルタを通過するガス流の下流端側に配置されることが適当である。例えば、ディーゼルパティキュレートフィルタを通過するガス流の下流端側に異径繊維ブレンドフィルタ層を1〜10層、好ましくは、2〜8層、より好ましくは3〜5層積層し、続いて、当該ガス流の上流端側に向かって、1種の耐熱性繊維のみからなる耐熱性繊維フィルタ層を1〜10層、好ましくは、2〜8層、より好ましくは2〜5層積層したディーゼルパティキュレートフィルタが好ましくは使用される。本発明のようなディーゼルパティキュレートフィルタでは、フィルタ層の密度が比較的粗であるガス流の上流側において、粒径が比較的大きいPMを捕集し、フィルタ層の密度が比較的密であるガス流の下流側において、粒径が比較的小さいPMを捕集する。
この際、ガス流の上流側に設けられたディーゼルパティキュレートフィルタの一部の層(前半層)は、比較的粒径が大きいPMのみを捕集するための篩としての役割を果たし、すべてのPMを捕集することを要しない。従って、前半層では1種の耐熱性繊維のみからなる耐熱性繊維フィルタ層を使用して比較的粒径が大きなPMを捕集し、粒径の小さなPMを通過させる方が、圧力の上昇を抑える点から見て有効である。一方、ガス流の下流側に設けられたディーゼルパティキュレートフィルタの残りの層(後半層)では、すべてのPMを捕集する必要があり、捕集すべきPMは、比較的粒径が小さい。従って、後半層では異径繊維ブレンドフィルタ層を使用して気孔径を小さくし、圧力損失の上昇を抑えつつもPMの捕集率を向上することが好ましい。従って、上記のような前半層及び後半層を使用した、一部に異径繊維ブレンドフィルタ層を含むディーゼルパティキュレートフィルタが好ましい作用効果を発揮するものと考えられる。
【0020】
(1-3) 耐熱性繊維
本発明の耐熱性繊維フィルタ層は、耐熱性繊維から構成される。本発明の耐熱性繊維は、800℃以上、好ましくは、1000℃以上の耐熱性を有する繊維である。
本発明の耐熱性繊維は、無機系或いは有機系繊維であることが適当である。ここで、無機系繊維としては、珪素を主体とした珪素繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維が挙げられる。より好ましくは、耐アルカリ性能を上げるため、上記炭化珪素繊維は、Ti、Zr及び/又はAl等の成分を含んでいてもよい。これらの成分は、繊維全体に対して0.1〜2質量%含まれていることが適当である。
【0021】
このような無機系の耐熱性繊維としては、例えば、炭化珪素繊維として、ニカロン繊維(Si−O−C 組成比57.2:32.7:10、日本カーボン株式会社製)、チラノ繊維(登録商標)耐熱グレードZMI(Si−C−O−Zr 組成比56:34:9:1)、チラノ繊維(登録商標)耐熱グレードS(Si−O−C−Ti 組成比50:30:18:2)チラノ繊維(登録商標)耐熱グレードSA(Si−O−C−Al 組成比67:31:1:2)(チラノ繊維(登録商標)は、全て、宇部興産株式会社製)が好ましい。
【0022】
本発明の耐熱性繊維の直径は、平均で、例えば、3〜40μm、好ましくは、9〜30μm、より好ましくは12〜25μmであることが適当である。直径が3μm以上であれば、繊維自体が飛散して発ガン性のある物質を大気中に放出することもないので好ましい。
本発明の耐熱性繊維の繊維長は、平均で、例えば、10〜100mm、好ましくは、30〜60mmであることが適当である。
本発明の耐熱性繊維の引張強さは、JIS K-7023で測定して、例えば、1〜5GPa好ましくは、2〜4GPaであることが適当である。
【0023】
(1-4) その他のフィルタ層
本発明のディーゼルパティキュレートフィルタは、上記耐熱性繊維フィルタ層の他、アルミナ繊維、窒化珪素繊維のような繊維からなるその他のフィルタ層を含んでいてもよい。
本発明のその他のフィルタ層の厚さは、例えば、0.3〜10mm、好ましくは、0.5〜5mm、より好ましくは、1〜3mmであることが適当である。
本発明のその他のフィルタ層の目付は、例えば、50〜1000g/m2、好ましくは、100〜500g/m2、より好ましくは、150〜400g/m2であることが適当である。
本発明のその他のフィルタ層のかさ密度は、例えば、0.01〜1.0g/cm3、好ましくは、0.03〜0.5g/cm3、より好ましくは、0.05〜0.1g/cm3であることが適当である。
【0024】
(1-5) 触媒
本発明のディーゼルパティキュレートフィルタは、耐熱性繊維の表面上に、触媒を担持した耐熱性繊維フィルタ層を全部又は一部に使用してもよい。
PMの主成分である炭素(C)と、ディーゼル機関から排出される排ガス中に含まれるNO及びNO2等のNOxとの反応を触媒するために使用される。具体的には、触媒上において、NOxは、N2に還元される。同時に、PMからのCと、排ガスからのNOx中のOとが酸化反応し、CO2となる。
NO2→N2+O2
C+O2→CO2
(但し、係数は省略)
このような作用を有する触媒としては、例えば、金属触媒が好ましい。金属としては、遷移金属、貴金属等が挙げられる。具体的には、金属元素、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属水酸化物が挙げられる。特に好ましくは、白金、銀、酸化セリウム(セリア)、白金/セリア、銀/セリア、ペロブスカイト型複合酸化物、およびこれらの組み合わせである。
【0025】
ここでペロブスカイト型複合酸化物とは、基本組成ABO3で表され、BO6八面体が立方単位格子の各隅を占めた構造を取るものである。具体的には、本発明のペロブスカイト型複合酸化物触媒は、下記式(I):
pqr3 (I)
(式中、A、B及びCは、互いに同一でも異なっていてもよく、K、Ni、Sr、Co、La、Cu、V、Mn、Fe、Cs、Ba、Ce、Li、Pdからなる群から選択され;
p及びqは、0.5<p<1.0、好ましくは、0.75≦p≦0.95、0<q<0.5、好ましくは、0.05≦q≦0.25、p+q=1を満たし、rは、0又は1である)で表すことができる。より好ましくは、La0.9K0.1CoO3、La0.8Sr0.2CoO3又はLa0.75K0.25MnO3である。
このようなペロブスカイト型複合酸化物触媒は、例えば、0.1〜100nm、好ましくは、0.5〜50nm、より好ましくは、1〜20nmの平均粒子径を有し、10m/g以上、より好ましくは、30m/g以上、さらに好ましくは、50m/g以上、例えば、50〜100m/gである比表面積を有する粒子である。
【0026】
ペロブスカイト型複合酸化物触媒は、いかなる公知の方法によって製造されてもよいが、以下に示すエチレングリコール法によって製造されることが適当である。
具体的に、まず、K、Ni、Sr、Co、La、Cu、V、Mn、Fe、Cs、Ba、Ce、Li、Pdなどの上記式(I):Apqr3 のA、B及びCを構成する元素の塩、好ましくは、硝酸塩、硫酸塩又は塩酸塩を準備する。この塩を秤量し、塩の濃度が1Mになるように常温で液体のアルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、好ましくはエチレングリコールのような溶媒に溶解し、得られた溶液を常温常圧下で1〜10時間、好ましくは6時間程度撹拌する。
【0027】
次いで、得られた溶液を、焼成用容器に移し、常圧下、常温から、毎分0.1〜10℃、好ましくは毎分0.5〜5℃の速度で100〜200℃、好ましくは200℃まで昇温し、溶媒を完全に除去する。その後、さらに毎分5〜30℃、好ましくは、毎分10〜20℃の速度で、400〜800℃、好ましくは600℃まで昇温した後、さらに、昇温後の温度を維持しながら、例えば、1〜10時間、好ましくは、5時間程度残留物を焼成し、触媒のペロブスカイト構造を固定化する。ここで、上記昇温・焼成工程は、ペロブスカイト構造とするために、焼成用容器内に酸素又は空気を、0.5リットル/分以上、好ましくは、1リットル/分以上の流量で送りながら行う。
得られた焼成物は、室温に冷却後粉砕され、目的の粒子径を有するペロブスカイト型複合酸化物触媒の粒子を得る。ここで、粉砕は、乳鉢を用いて、例えば、50gの触媒粒子であればこれを20当分し、合計1〜6時間、好ましくは4時間程度かけて開砕することが適当である。
【0028】
このような触媒は、例えば、
(1)ペロブスカイト型複合酸化物触媒の粒子をアルコール性水溶液中に懸濁した懸濁液中に耐熱性繊維フィルタ層を浸漬する工程、
(2) 耐熱性繊維フィルタ層を負極とし、懸濁液中の正極と負極との間に電位差を与え、耐熱性繊維表面上に上記触媒の粒子を付着させる工程、及び
(3)耐熱性繊維表面上に上記触媒の粒子が付着した耐熱性繊維フィルタ層を懸濁液から取り出し、耐熱性繊維フィルタ層を焼結する工程。
によって耐熱性繊維の表面上に付着することができる。
【0029】
(1-6) ディーゼルパティキュレートフィルタの製造方法
本発明のディーゼルパティキュレートフィルタは、上述のように少なくとも2つの耐熱性繊維フィルタ層を積層してなる。積層した耐熱性繊維フィルタ層は、例えば、2枚の耐熱性金属板で挟持される。耐熱性金属板としては、例えば、ステンレス(SUS301及びSUS304など)等が挙げられる。耐熱性金属板の厚さは、例えば、1〜8mm、好ましくは、2〜5mmである。
本発明のディーゼルパティキュレートフィルタは、2〜20層、好ましくは、3〜20層、より好ましくは4〜12層の耐熱性繊維フィルタ層を含み、そのうち1〜10層、好ましくは、2〜8層、より好ましくは2〜5層の異径繊維ブレンドフィルタ層を含む。
【0030】
また、これらの耐熱性繊維フィルタ層の間には、例えば、1〜20mm、好ましくは、3〜10mmの空間層を設けてもよい。
ディーゼルパティキュレートフィルタの大きさは、例えば、タテ:5〜50cm、好ましくは、10〜30cm、ヨコ5〜50cm、好ましくは、10〜30cm、厚さ1〜200mm、好ましくは5〜100mmである。
【0031】
(2) ディーゼル機関排ガス用の浄化装置
本発明のディーゼルパティキュレートフィルタは、ディーゼル機関の排ガスを浄化するための装置に使用される。具体的には、ディーゼル機関排ガス用浄化装置は、ディーゼルエンジン等のディーゼル機関の燃焼室の後方であって排ガスを大気中に放出する排出口の手前に取り付けられる。ディーゼルエンジン排ガス用浄化装置は、本発明のディーゼルパティキュレートフィルタを含む。排ガスは、該浄化装置に導入され、浄化装置内のディーゼルパティキュレートフィルタを通過した後に、浄化装置外に放出される。ディーゼルパティキュレートフィルタを通過する際に、排ガスに含まれる粒子状物質(PM)が捕集され、耐熱性繊維フィルタ層に含まれる耐熱性繊維表面上及び/又は耐熱性繊維同士の間隙(孔)に堆積する。堆積した粒子状物質(PM)は、例えば、次に示す公知の方法により除去される。
(A)堆積した粒子状物質(PM)を熱源を利用して燃焼し、除去する方法(燃焼法)
(B)NO2によって酸化し、除去する方法(NOx酸化法)
(A)の燃焼法では、一般に、ディーゼルパティキュレートフィルタとヒーター等の熱源が備えられたディーゼル機関排ガス用浄化装置を用いる。フィルタがPMで満たされると熱源によってPMが600℃以上、好ましくは800℃以上、例えば、600〜1000℃の温度で焼かれ、PMの成分である炭素(C)を C+O2→CO2 の反応を経て二酸化炭素として大気中に放出する。加熱温度は、使用する耐熱性繊維や触媒の耐熱温度以下に設定することが適当である。加熱装置としては、公知の電気ヒーターやマイクロ波照射装置が好ましい。マイクロ波照射装置は、短時間で不織布を昇温することができ、かつ、温度コントロールが容易である。マイクロ波照射装置を使用する際、本発明の耐熱性繊維としては、マイクロ波吸収材である炭化珪素繊維、珪素繊維を使用する。また、熱源の代わりに、ディーゼル機関に導入する燃料噴射量を増やして排ガス温度を上げてもよい。
【0032】
(B)のNOx酸化法では、耐熱性繊維の表面上に触媒を担持した耐熱性繊維フィルタ層を有するディーゼルパティキュレートフィルタを用いる。NOxは、N2に還元されて無害化され、浄化装置を出て、大気中に放出される。同時に、PMの主成分である炭素(C)とNOxのOが触媒上における酸化反応でCO2となる。
NOx→N2+O2
C+O2→CO2
(但し、係数は省略)
【0033】
本発明のディーゼルエンジン排ガス用の浄化装置の一態様として、本発明のディーゼルエンジン排ガス用の浄化装置は、複数の耐熱性繊維フィルタ層を2枚の上記耐熱性金属板で挟持し、得られた積層物を蛇腹状に折り曲げたディーゼルパティキュレートフィルタを含むものであってもよい。蛇腹状にすることより、排ガスの接触面積を大きくすることができ、粒子状物質(PM)が耐熱性繊維フィルタ層上に残存した時の圧力損失を防止し、浄化装置をコンパクトにすることができる。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
[1]耐熱性繊維
耐熱性繊維は、炭化珪素繊維(チラノ繊維(登録商標)耐熱グレードZMI(Si−C−O−Zrの組成比56:34:9:1))を用いた。使用した各炭化珪素繊維は、26μm、24μm、22μm、20μm、18μm、16μm、14μm、12μm、10μm、9μmの繊維径であった。この炭化珪素繊維を、特開2000-199160「無機短繊維フェルトの製造方法及び装置」に記載の方法により本発明の耐熱性繊維フィルタ層用の不織布とした。具体的には、各炭化珪素繊維を40mmの長さに切断し、直径1m×高さ2mの円筒中に入れて空気を流し、結束した繊維を解繊した。解繊した繊維をはかり取り、必要に応じて複数種の繊維を混合した。その後、繊維を空気流中に導入し、繊維を3mの高さから基板上に自然落下させて積層し、不織布を得た。得られた不織布は、繊維がランダム方向に交絡した構造を有していた。異径繊維ブレンドフィルタ層用の不織布に含まれる耐熱性繊維の繊維径の割合(質量%)は、以下表1の通りである。
【0035】
表1 ブレンド不織布の配合(質量%)

ヨコ:異径繊維ブレンドフィルタ層に含まれる耐熱性繊維の繊維径
タテ:異径繊維ブレンドフィルタ層に含まれる全耐熱性繊維の繊維径の平均値
(10μm層は、含まれる全耐熱性繊維の繊維径の平均値が10μmであり、繊維径9μmの耐熱性繊維が50質量%、繊維径10μmの耐熱性繊維が40質量%、繊維径14μmの耐熱性繊維が5質量%、繊維径18μmの耐熱性繊維が5質量%含まれている)

得られた耐熱性繊維フィルタ層用不織布及び異径繊維ブレンドフィルタ層用不織布の厚さは、いずれも3mm、大きさは、18cm×14cm、目付は、230g/m2、かさ密度は、0.07g/cm3であった。
これを、耐熱性のステンレスの金網(直径0.29mmのSUS304製、24メッシュサイズ(インチ基準))に挟持して多層のフィルタ層を製造し、これを3枚組み合わせて三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタを製造した。三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタは、その3つの側面に太い繊維径の繊維から構成されるフィルタ層(A1)を外側とし、より細い繊維径の繊維から構成されるフィルタ層(An)を内側に配置した上記多層のフィルタ層を有し、上面部が閉じられていて、下面部が解放されている構造を有する。
【0036】
[2]耐熱性繊維フィルタ層
(実施例1)
表1に示す耐熱性繊維の混合割合を有する異径繊維ブレンドフィルタ層の14μm層と10μm層とを上述のように積層し、得られた多層のフィルタ層を3枚組み合わせて三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタを作製した。この三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタを、上面がエンジン側に配置され、10μm層がディーゼルパティキュレートフィルタを通過するガス流の下流側になるように試験筐体(図1)に配置した。
(比較例1)
耐熱性繊維の繊維径が14μmである1種の耐熱性繊維からなる耐熱性繊維フィルタ層を2枚、上述のように積層し、三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタを作製した。この三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタを、試験筐体(図1)に配置した。
(比較例2)
耐熱性繊維の繊維径が14μmである1種の耐熱性繊維からなる耐熱性繊維フィルタ層と、耐熱性繊維の繊維径が10μmである1種の耐熱性繊維からなる耐熱性繊維フィルタ層とを上述のように積層し、三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタを作製した。この三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタを、上面がエンジン側に配置され、10μm層がディーゼルパティキュレートフィルタを通過するガス流の下流側になるように試験筐体(図1)に配置した。
【0037】
(実施例2)
表1に示す耐熱性繊維の混合割合を有する異径繊維ブレンドフィルタ層の22μm層、18μm層、16μm層及び14μm層をこの順序で2層ずつ、上述のように積層し、得られた多層のフィルタ層を3枚組み合わせて三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタを作製した。この三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタを、上面がエンジン側に配置され、14μm層がディーゼルパティキュレートフィルタを通過するガス流の下流側になるように試験筐体(図1)に配置した。
(実施例3)
耐熱性繊維の繊維径が22μm(2層)、18μm層(2層)、16μm層(1層)をこの順序で上述のように積層した。さらに、積層した16μm層の上に、さらに、表1に示す耐熱性繊維の混合割合を有する異径繊維ブレンドフィルタ層の16μm層(1層)及び14μm層(2層)をこの順序で、上述のように積層し、得られた多層のフィルタ層を3枚組み合わせて三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタを作製した。このディーゼルパティキュレートフィルタを、14μm層がディーゼルパティキュレートフィルタを通過するガス流の下流側になるように試験筐体(図1)に配置した。
(比較例3)
耐熱性繊維の繊維径が14μmである1種の耐熱性繊維からなる耐熱性繊維フィルタ層を8層積層し、得られた多層のフィルタ層を3枚組み合わせて三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタを作製した。この三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタを、試験筐体(図1)に配置した。
(比較例4)
異径繊維ブレンドフィルタ層の代わりに、1種の耐熱性繊維からなる耐熱性繊維フィルタ層を使用した以外は実施例2と同様に、三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタを作製した。この三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタを、試験筐体(図1)に配置した。
【0038】
[3]試験方法
PMの捕集試験は、2000ccディーゼル車(三菱デリカ、エンジン型番KQ−SKF2VM)を用いて、1500rpm×75Nmの定常で粒子状物質(PM)を1時間あたり2g排出させ、圧力損失が3.45kPaになるまで運転し、PM捕集率、捕集量を測定した。
実施例および比較例の耐熱性繊維フィルタ層用不織布及び異径繊維ブレンドフィルタ層用不織布を装着した三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタを含む試験筐体を図1に示す。この試験筐体の断面図を図2に示す。また、試験筐体を配置した試験装置の全体図を図3に示す。
【0039】
[4]測定方法
(1)圧力損失
圧力損失とは、ディーゼルパティキュレートフィルタ前後の排ガスの圧力差をいう。圧力損失は、ディーゼルパティキュレートフィルタ通過前の排ガスの圧力をA(kPa)とし、ディーゼルパティキュレートフィルタ通過後の排ガスの圧力をB(kPa)とした場合、
圧力損失(kPa)=A−B
から求めた。
(2)PM捕集量(g)
試験前後におけるディーゼルパティキュレートフィルタの質量を測定し、その質量差をPMの捕集量(g)とした。
(3)PM捕集率
PM捕集率とは、試験中に生じる全PMの量のうち、捕集できたPMの質量((1)のPM捕集量)である。試験中に生じる全PMの量は、上記(1)のPM捕集量と捕集されずにディーゼルパティキュレートフィルタを通過したPMの量とを加えた量であり、ここで、通過したPMの量は、マイクロトンネルMDLT-1302T(堀場製作所)にて測定した。
(4)圧損/PM量
圧損/PM量=[圧力損失の値(圧損)]/[PMの捕集量](kPa/g)から求められる値であり、PMの捕集量あたりに損失する圧力の量が求められる。圧損/PM量の値が低いほど、低圧損で高PM捕集量である事がわかる。
【0040】
[5]結果
上記測定結果を以下の表2に示す。








表2

【0041】
実施例1と比較例2を比較すると、捕集率が2.75%向上している。また、実施例2と比較例4を比較すると、捕集率が3.28%向上している。よって、異径繊維ブレンドフィルタ層を採用することにより、PMの捕集率が向上することがわかる。さらに、実施例2及び実施例3は十分な捕集率及び捕集量を示しているが、実施例2と実施例3を比較すると、PM捕集量が3.92g向上していることがわかった。また、圧損/PM量も、実施例2と実施例3を比較すると、好適に減少しており、単位PM量あたりの圧力損失が低く抑えられている。このことからも、実施例3のディーゼルパティキュレートフィルタは、より多くのPMを捕集する能力があることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】試験筐体の概略図である。
【図2】試験筐体の断面図である。
【図3】試験筐体を配置した試験装置の全体図である。
【符号の説明】
【0043】
1 試験筐体
2 三角柱型ディーゼルパティキュレートフィルタ
3 排ガス流
4 上面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの耐熱性繊維フィルタ層(A1)〜(An)(nは、2以上の整数)を積層してなるディーゼルパティキュレートフィルタであって、前記各耐熱性繊維フィルタ層(A1)〜(An)に含まれる耐熱性繊維の繊維径の平均値(a1)〜(an)が、以下の式:
(1) (a1)≧(a2)≧…≧(an-1)≧(an)
(2) (a1)>(an)
(nは、2以上の整数)
を同時に満たし、及び
前記耐熱性繊維フィルタ層の少なくとも1つが、少なくとも2つの耐熱性繊維(T1)〜(Tm)(mは、2以上の整数)を含む異径繊維ブレンドフィルタ層であり、前記各耐熱性繊維(T1)〜(Tm)の繊維径(t1)〜(tm)が、以下の式:
(3) (t1)≧(t2)≧…≧(tm-1)≧(tm)
(4) (t1)>(tm)
(mは、2以上の整数)
を同時に満たすことを特徴とする、ディーゼルパティキュレートフィルタ。
【請求項2】
前記式(1)が、
(1)’ (a1)>(a2)>…>(an-1)>(an) (nは、2以上の整数)
である、請求項1に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ。
【請求項3】
前記耐熱性繊維フィルタ層の少なくとも2つが前記異径繊維ブレンドフィルタ層である、請求項1又は2に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ。
【請求項4】
前記各耐熱性繊維フィルタ層(A1)〜(An) に含まれる耐熱性繊維の繊維径の平均値(a1)〜(an)が、以下の式:
(5)0.1μm≦(an-1)−(an)≦20μm (nは、2以上の整数)
を満たす、請求項1〜3の何れか1項に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ。
【請求項5】
前記各耐熱性繊維(T1)〜(Tm)の繊維径(t1)〜(tm)が、以下の式:
(6)0.5μm≦(tm-1)−(tm)≦10μm (mは、2以上の整数)
を満たす、請求項1〜4の何れか1項に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ。
【請求項6】
前記各耐熱性繊維フィルタ層(A1)〜(An) に含まれる耐熱性繊維の繊維径の平均値(a1)〜(an)が3〜40μmの範囲にある、請求項1〜5の何れか1項に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ。
【請求項7】
前記異径繊維ブレンドフィルタ層以外の前記耐熱性繊維フィルタ層が、1種の耐熱性繊維のみからなる、請求項1〜6の何れか1項に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ。
【請求項8】
少なくとも1つ以上の前記異径繊維ブレンドフィルタ層が、ディーゼルパティキュレートフィルタを通過するガス流の下流端側に配置される、請求項1〜7の何れか1項に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ。
【請求項9】
前記耐熱性繊維表面上に触媒が担持されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のディーゼルパティキュレートフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−303785(P2008−303785A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−151576(P2007−151576)
【出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000110170)トスコ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】