説明

デイスプレイストリップおよび商品展示体

【課題】袋が十分な保持力で取り付けられるとともに、袋の取外しがスムースに行うことができて、袋の取外し面がきれいなデイスプレイストリップを得る。
【解決手段】少なくとも基材層とシーラント層とを有する積層体から構成された、商品が封入された複数の袋2を並べて取り付けるためのデイスプレイストリップ1において、前記シーラント層は、ビニル単量体グラフトポリマーを含まないオレフィン樹脂層[(a)層]と、ビニル単量体グラフト・オレフィン系ポリマーを含む、イージーピール性樹脂層[(b)層]とから構成され、前記(a)層が前記デイスプレイストリップの最外層にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の商品を充填した袋を複数並べて取り付けて、展示販売するためのデイスプレイストリップおよび前記デイスプレイストリップに複数の商品を取り付けた、前記デイスプレイストリップと前記商品を充填した袋とからなる商品展示体に関する。
【背景技術】
【0002】
店頭において、スナック菓子等の食品を充填した袋を陳列棚に並べて展示販売するのではなく、商品を充填した袋を帯状のデイスプレイストリップに並べて取り付け、吊り下げて展示販売する方式はすでに知られている。この展示販売方式は、食品包装袋を棚に陳列して販売する方式に比べて、商店のスペースを要しないことから注目されている。特許文献1では、2軸延伸ポリマーフィルムのような機械的性質の優れたフィルムを基材層とし、ヒートシール性とイージーピール性とを併せもつフィルムをシーラント層として、これらのフィルムを積層したデイスプレイストリップが開示されている。このデイスプレイストリップに取り付けた袋を取外すと、糸引きが起こったりしてスムースな剥離ではなく、また、袋の剥離面がきれいでないという問題があった。
【特許文献1】特許第4018053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の課題は、袋が十分な保持力で取り付けられるとともに、袋の取外しがスムースに行うことができて、袋の取外し面がきれいなデイスプレイストリップを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題は、少なくとも基材層とシーラント層とを有する積層体から構成された、商品が封入された複数の袋を並べて取り付けるための、デイスプレイストリップにおいて、前記シーラント層は、ビニル単量体グラフトポリマーを含まないオレフィン樹脂層(a層)と、ビニル単量体グラフト・オレフィン系ポリマーを含む、イージーピール性を有する樹脂層(b層)とから構成され、前記(a)層が前記デイスプレイストリップの最外層にあることを特徴とするデイスプレイストリップを得ることにより解決される。(本発明の第1の構成)
【0005】
前記(a)層が、炭素数4〜12のα―オレフィンの重合体、または、エチレンおよび/又はプロピレンと炭素数4〜12のα―オレフィンとの共重合体を含む樹脂層で構成されていることが好ましい。前記炭素数4〜12のα―オレフィンが、1−ブテンであるのが好ましい。
【0006】
前記(b)層が、オレフィン系ポリマーにスチレンをグラフト重合することにより形成された、スチレングラフト・オレフィン樹脂を含む樹脂層であることが好ましく、前記(b)層が、ポリオレフィン、スチレングラフト・オレフィン系ポリマーおよびポリスチレンを含む樹脂層であることが好ましい。
【0007】
前記(b)層が、炭素数4〜12のα―オレフィンの重合体、または、エチレンおよび/又はプロピレンと炭素数4〜12のα―オレフィンとの共重合体を含む樹脂層であることが好ましい。
【0008】
また、本発明の第2の構成は、
商品が封入された複数の袋を並べて取り付けたデイスプレイストリップを吊り下げて商品を展示販売するための、前記複数の袋がヒートシールにより前記デイスプレイストリップに取り付けられた商品展示体であって、
前記袋は、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを最外層とする積層フィルムから構成されており、
前記デイスプレイストリップは、少なくとも基材層と前記袋を取り付けるためのシーラント層とを有する積層体であり、
前記シーラント層は、ビニル単量体グラフトポリマーを含まないオレフィン樹脂層(a層)とビニル単量体グラフト・オレフィン系ポリマーを含む、イージーピール性を有する樹脂層(b層)とから構成され、前記(a)層が前記デイスプレイストリップの最外層にあり、
前記袋の最外層は、前記デイスプレイストリップの前記(a)層に、ヒートシールにより取り付けられている商品展示体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、購入者が袋をデイスプレイストリップから取外すとき、気持ちよく
取外すことができ、袋の取外し面に不透明な付着物は付かない。しかも、袋はデイスプレイストリップに十分な保持力で取り付けられており、工場から商店までの搬送過程、商店での展示販売過程におけるトラブルがないという優れた効果を有する。
また、袋の最外層がヒートシーラブル層を有しない2軸延伸ポリプロピレンフィルムから構成された袋であっても、ヒートシールにより、本発明のデイスプレイストリップに容易に取り付けることが可能であるので,現在、一般的に用いられている袋が取り付け可能となるので,デイスプレイストリップを用いる展示方法の普及に貢献することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(デイスプレイストリップの基本構成)
図1に示すように、本発明のデイスプレイストリップ1は、スナック食品等の食品を充填した複数の袋2を並べて取り付けて展示販売するために、通常、細長い帯状の形態を有し、袋が取り付けられる本体部と、本体部の上に、フック3等に引っ掛けて
吊り下げるためのホール部(孔)4が設けられているがこれに限定されない。商品が封入された袋を並べて取り付けて展示販売することが出来ればいかなる形態でもよい。
本発明において、商品が封入された袋の取り付けは,ヒートシールにより行われるため、本発明のデイスプレイストリップは、少なくとも、ストリップとしての基本性能を与える基材層と袋をヒートシールにより取り付けることを可能にするシーラント層とを有する。基材層とシーラント層とは、それぞれの層を構成するフィルムを通常のラミネート技術により積層一体化されている。さらに、必要に応じて、販売時点で一旦取り外された袋の再取り付けを可能にするため、基材層とシーラント層の間に粘着剤層を設ける、また、商品情報を提供するための印刷層を設けることなどが行われる。
【0011】
(商品展示体の基本構成)
本発明において、商品展示体とは、スーパーマーケット、商店等で展示販売されるために、デイスプレイストリップと、該デイスプレイストリップに取り付けられた商品が封入された袋と、から構成されたものをいう。商品が封入された袋は、最初の取り付けはヒートシールにより行われるが、販売時点で一度取り外した袋の再取り付けを、粘着剤により行う場合がある。
【0012】
(デイスプレイストリップの基材層)
上記のように、本発明のデイスプレイストリップにおいて、基材層は、デイスプレイストリップとして要求される、多数の袋を吊り下げるとともに、その取外しを可能とする強度的性質、ヒートシールによる袋の取り付けを可能とする耐熱性等の性質を有する必要があるので、例えば、2軸延伸ポリプロピレンフィルム、2軸延伸ポリアミドフィルム、2軸延伸ポリステルフィルム、金属箔、紙またはこれらの積層物等が用いられる。基材層の厚さとしては、通常、20〜200μmであることが好ましい。20μm未満であると強度的に不十分である場合があり、また、200μmを超えると、ヒートシールにより袋を取り付ける際に熱が基材層面を介して与えられるので、シーラント層に十分な熱が伝わらないおそれがある。上記基材層は1層だけで構成されてもよいが、2層以上の多層化されていてもよい。とくに、フックに引っ掛けるためのホール部周辺を補強するための補強材として、ホール部周辺または基材層全体に、織布、不織布、割布等の繊維層を必要に応じて導入することができる。
【0013】
(デイスプレイストリップのシーラント層)
本発明において、デイスプレイストリップに、商品が封入された袋をヒートシールにより取り付け可能にするために、上記基材層の上にシーラント層が形成される。シーラント層としては、ヒートシール性のある低融点ポリマーから形成されるのが好ましいが、
さらに、下記の点が要求される。
(1)デイスプレイストリップに取り付けられた袋が商店まで搬送され,商店で吊り下げられて販売される過程で、デイスプレイストリップから脱落しなように保持されていなければならない。
(2)一方,販売時点で袋が取り外されるときには,購入者がスムースに取り外せて,袋の取外し面に不透明な樹脂が残ることなく、きれいであることが要求される。
上記の2点については従来技術においても考慮されていたが、両者を満足するものは得られていなかった。本発明おいては、シーラント層を、ビニル単量体グラフトポリマーを含有しないオレフィン樹脂層[(a)層]とビニル単量体グラフト・オレフィン系ポリマーを含むイージーピール性を有する樹脂層[(b)層]とから構成し、(a)層をデイスプレイストリップの最外層に設けることを特徴としている。これにより、袋は、(a)層により強力に接着されるため、デイスプレイストリップに維持され、袋を取外すときには、(a)層の下に配置されている(b)層により容易に取外されることができるとともに、不透明な樹脂層が袋の取外し面に付着することがない。
【0014】
(シーラント層の厚さ)
本発明において、シーラント層は、(a)層と(b)層のいずれも、それぞれ10〜80μmの範囲内の厚さを有しているのが好ましく、(a)層と(b)層とを合わせたシーラント層の厚さとしては、20〜100μmの範囲内にあることが好ましい。20μm未満では十分な接着ができなく、また、200μmを超えると必要以上の厚さとなってコスト高となる。本発明において、(a)層を構成するフィルムと(b)層を構成するフィルムとは,予め積層されたものを用いるのが、デイスプレイストリップの製造が容易となるので,好ましい。本発明において、シーラント層は、デイスプレイストリップの全面に形成されていてもよいが、部分的に形成されていてもよい。また、本発明において、シーラント層は、(a)層、(b)層のほか、さらに多層化されていてもよい。
【0015】
(デイスプレイストリップの粘着剤層)
本発明のデイスプレイストリップにおいて、販売時点で、顧客が取り外した袋を元に戻したいことがあり、このために、シーラント層と基材層の間に粘着剤層を設けることが好ましい。粘着剤層の形成については、特許文献2に開示されている技術が、本発明においても適用可能である。
【特許文献2】特許3973661号公報
【0016】
(デイスプレイストリップのシーラント層:(a)層)
本発明において、デイスプレイストリップのシーラント層の(a)層を形成するオレフィン樹脂としては、炭素数4〜12のα―オレフィン重合体、エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜12のα―オレフィンとの共重合体を含む樹脂層が好ましく用いられる。特に、本発明において、炭素数4〜12のαオレフィンを樹脂成分に含むことにより、低融点のオレフィン系ポリマーが得られ,袋の最外層がヒートシーラブル層を有しない2軸延伸ポリプロピレンフィルムにより形成されていても十分ヒートシールできる樹脂層を得ることができる。
炭素数4〜12のαオレフィンとしては、1−ブテン、3-メチル−1−ブテン−ペンテン、4−メチルー1−ブテン−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン、1−ドデセン等が挙げられる。なかでも、1−ブテンが好ましく用いられる。これらに、さらに、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート等が共重合されていてもよい。
具体的には,ブテン系ポリマー、エチレンまたはプロピレンとブテンとの共重合体などが好適な例として挙げられる。エチレン系ポリマーには、直鎖低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンが含まれる。エチレン系ポリマーまたはプロピレン系ポリマーには、エチレン、プロピレンを主体として、他のαオレフィン(1−ブテン、1−ペンテン、1-ヘキセン等)を少量共重合したポリマーを含む。
【0017】
(デイスプレイストリップのシーラント層:(b)層)
本発明において、(b)層は、ビニル単量体グラフト・オレフィン系ポリマーを含む、イージーピール性を有する樹脂層により構成されている。デイスプレイストリップのシーラント層をイージーピール性層とすると、袋を傷めることなく取り外せることは、特許文献1により知られている。しかしながら、特許文献1により開示されているデイスプレイストリップでは、袋を取外すと、袋の取外し面に不透明な樹脂が付着し、袋の商品価値を落としていた。本発明においては,(a)層により強固に取り付けるとともに、(b)層によりイージーピール性が発揮されるので,保持力と取外し性の両者を満足させるとともに、(a)層はオレフィン樹脂層のみで構成されるため透明であり,(b)層はグラフトポリマーにより凝集破壊成分が形成されているため,樹脂層中にグラフトセグメントがミクロ分散しているので透明性がある。このため、袋の取外し面には、(a)層ポリマーと(b)層ポリマーの一部が付着するが透明性は維持されている。
本発明において、ビニル単量体としては、スチレン、αメチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル等のビニルエステル類、メチル(メタ)アクリレート、n―ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類等を挙げることができるが、なかでも、芳香族ビニル化合物、とくにスチレンが好ましく用いられる。
本発明において、オレフィン系ポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、上記の炭素数4〜12のαオレフィンの重合体、または、エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜12のαオレフィンとの共重合体が挙げられる。なかでも、炭素数4〜12のαオレフィンの重合体、または、エチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜12のαオレフィンとの共重合体が好ましい。本発明において,(b)層に用いるオレフィン系ポリマーとしては、(a)層におけるオレフィン系ポリマーと同じでもよく、異なっていてもよい。
本発明において,グラフトポリマーの形成は、オレフィン系ポリマーの水性懸濁液に、ラジカル発生剤を溶存させ、ビニル単量体を加えて,ビニル単量体をオレフィン系ポリマーに含浸させてその後加熱することにより、ビニル単量体がオレフィン系ポリマーにグラフト重合することにより行うことができる。グラフト重合により得られた反応物は、グラフトポリマー、グラフト重合に関与していないオレフィン系ポリマー、ビニルモノマーの単独重合体の混合物である。グラフトセグメントおよびビニルモノマーの単独重合体が凝集破壊成分となり、オレフィン系ポリマー部分が接着成分となる。本発明において、接着成分(連続相)中にグラフトセグメント(分散相)がミクロ分散をしているので、デイスプレイストリップから袋を取外したとき、袋表面には、シーラント層(a)層と一部の(b)層が付着するが透明であり、袋の外観を損なうことがない。オレフィン系ポリマーとビニル単量体との割合は、オレフィン系ポリマー40〜70重量%、ビニル単量体60〜30重量%の範囲内にあることが好ましい。
【0018】
(デイスプレイストリップの製造)
本発明のデイスプレイストリップは、上記の基材層を構成する2軸延伸フィルム等の基材とシーラント層を構成するフィルムとを積層することにより製造するのが好ましい。
積層は、基材層となる基材とシーラント層を構成するフィルムとを、ポリエチレン樹脂を介するサンドラミネート、接着剤層を用いるドライラミネートにより行われる。
基材層とシーラント層との間に粘着剤層を設ける場合には、特許文献2に記載されているように、基材層上に粘着剤層を形成し、その上にシーラント層フィルムをラミネート
するのが好ましい。粘着剤層とシーラント層間の剥離性を高めるために、シーラント層フィルム面にシリコーン樹脂を塗布するのが好ましい。
本発明において、シーラント層は、(a)層と(b)層とから形成されるが、(a)層と(b)層とは、予め積層一体化されたフィルムを用いるのが好ましいが,基材層の上に
(b)層を積層した後に、(a)層をラミネートすることも可能である。
本発明において、基材層に、織布、割布(ワリフ)、不織布等を導入する場合には,基材層を構成するフィルム、紙等に、上記の布等を積層したものに、シーラント層を積層することが好ましい。
【0019】
(袋の基本構成)
本発明において、デイスプレイストリップに取り付けられる袋は、最表面がポリプロピレンフィルム、特に、2軸延伸ポリプロピレンフィルムで形成されているものが用いられるのが好ましい。スナック食品等を充填する袋は、通常、2軸延伸ポリプロピレンフィルムにより形成されているので、本発明のデイスプレイストリップは、通常のスーパーマーケット、コンビニエンスストア、食料品店、駅売店において広く使用することができる。
スナック食品等の食品を充填する袋としては、縦・横ピロー包装機、なかでも、縦ピロー包装機により製造されたものが用いられるがこれに限定されない。食品を包装する袋は,通常、強度等の機械的性質を与える基材層、袋形成のためのシール性能を与えるシーラント層、食品の品質を保持するための、酸素・水蒸気バリア性を与えるバリア層、商品情報を示す印刷層から構成されるが、袋内面側から袋表面側へ、シーラント層/バリア層/印刷層/基材層の順に個々の基材が積層された、積層構造を有する包装フィルムにより形成されることが多い。各層間の積層は、ポリエチレンを介したサンドラミネート、接着剤を用いるドライラミネートにより行われる。バリア層の形成は,通常、金属(アルミニウム)、または酸化物(参加珪素、酸化アルミ等)蒸着が用いられる。袋は、シーラント層が20〜100μm、基材層が20〜100μm、袋全体としては、40〜150μm、好ましくは、50〜100μmの厚さを有している。
【0020】
(袋のシーラント層)
本発明において用いられる袋のシーラント層は、袋の内面側に配置され,所定箇所をヒートシールされて袋を形成する。シーラント層を構成するポリマーは、公知技術により選択することが可能であり,通常、無延伸ポリプロピレン、ヒートシーラブル2軸延伸ポリプロピレン、直鎖低密度ポリエチレン、エチレンープロピレン共重合体等が用いられる。
【0021】
(袋の基材層)
本発明のデイスプレイストリップに最も好ましく用いられるのは、袋の最表面がポリプロピレン、特に、2軸延伸ポリプロピレンフィルムで構成された袋であるが、2軸延伸ポリエステル、2軸延伸ポリアミドを用いることもできる。デイスプレイストリップのシーラント層が、無延伸ポリプロピレン、直鎖低密度ポリエチレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンープロピレン共重合体等の炭素数2〜3のオレフィン系ポリマーで形成された場合には,袋の最表面層が、2軸延伸ポリプロピレンフィルム等の延伸ポリマーフィルムで構成されている場合には接着性を有さず、ヒートシールにより袋を取り付けることができなかった。このため、袋の最表面の2軸延伸ポリプロピレンフィルムに、低融点ヒートシーラブル層(プロピレン-エチレン-ブテン3元共重合体等のヒートシール性を有する樹脂層やホットメルトポリマーからなる薄いポリマー層等)を有するフィルムを用いる必要があった。本発明において、(a)層として、炭素数4〜12のα-オレフィンの重合体、またはエチレンおよび/またはプロピレンと炭素数4〜12の共重合体を含む樹脂層を用いると、袋の最外表面がヒートシーラブル層を有しない2軸延伸ポリプロピレンフィルム等の延伸フィルムであっても、ヒートシールによりデイスプレイストリップに取り付けることができる。このため、通常のスナック食品等の食品を充填した袋であれば,どのような袋でも取り付け可能となるので、本発明のデイスプレイストリップの適用範囲が大幅に広くなった。
【0022】
(袋の製造)
上記包装フィルムは、包装機に供給され、折り曲げられながら,フィルム長手方向両端面がシールされて筒状となり、食品が充填されながら、所定間隔で横シールが形成され、切断されて袋が形成される。本発明において、商品展示体を構成する袋は,上記に限らず、公知の技術により作られた、ヒートシールによりデイスプレイストリップに取り付け可能な袋であればいずれも用いられる。
【0023】
(袋のデイスプレイストリップへの取り付け)
本発明に係るデイスプレイストリップに、食品等を封入した袋の取り付けは,公知の
アプリケータを用いて行うことができる。公知のアプリケータの一例としては、特許文献3に示されている装置が挙げられるが、これに限定されない。デイスプレイストリップへの袋の取り付けは,特許文献3に示されているように製袋包装工程と連続して行うのが、生産の効率性から好ましい。
特許文献3に記載されているアプリケータにより、袋を取り付ける場合,アプリケータのアームが、包装袋の上部両側端を把持して、ヒータ面上に供給されたデイスプレイストリップの所定の位置に袋の上端部を移動させ、押圧体が上から、袋上端部が重ねられたデイスプレイストリップの部位を押圧してヒートシールを行う。効率的にヒートシールを行うために、ヒータ面の温度は,シーラント層ポリマーの融点よりも高く、デイスプレイストリップ基材層の耐熱性を考慮して,160〜220℃の範囲内の温度で,200〜800msec程度の時間行われる。
本発明に係るデイスプレイストリップが、シーラント層の(a)層が融点140℃以下の、ポリ1−ブテン等を主成分とする低融点ポリオレフィンにより構成されていると、最外層が2軸延伸ポリプロピレンフィルムで構成されている袋を容易に迅速に取り付けることができる。
袋は、図2aに示すようにデイスプレイストリップ1に取り付けられるが、すなわち、
デイスプレイストリップ1のホール部4が下になるように、かつ、袋2の背面2bを上側にして取り付けられ、その後、図2bに示すように、デイスプレイストリップ1は上下反転され、袋も表裏反転して、ホール部4を上にし袋2を表2aにして、フック3に取り付けられて展示される。このようにすることによって、袋2の上側端部は、図2cに示すような形態でデイスプレイストリップ1に取り付けられるので,袋2を掴んで下方向に引っ張ることにより、袋をデイスプレイストリップから容易に取外すことが出来る。
【特許文献3】特許第3830437号公報
【0024】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
1−ブテン重合体を主成分とするフィルムをヒートシール性の樹脂層(a層)とし、プロピレン・エチレン共重合体、スチレングラフトプロピレン・エチレン共重合体、ポリスチレンからなる樹脂組成物から形成したフィルムをイージーピール性樹脂層(b層)として、(a)層と(b)層とを積層して、シーラント層フィルム(厚さ30μm)を作製する。
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚み:50μm)[基材層]に、前記シーラント層フィルム(厚さ:30μm)をドライラミネート法により積層後、幅35mmにカットしてデイスプレイストリップを作製する。
このデイスプレイストリップに、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ:20μm)/ポリエチレン(厚さ:13μm)/VM−ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:12μm)/ポリエチレン(厚さ:13μm)/無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)の構成を有する袋をヒートシールによりデイスプレイストリップに取り付ける。取り付けには,株式会社イシダ製F−SPA機を用い、ヒートシール条件は、シール温度:200℃、シール時間:500msecである。
【0025】
(実施例2)
2軸延伸ポリエステルフィルム(厚さ:50μm)に、シーラントフィルム(ジェイフィルム(株)社製、SMX−1015L)(厚さ:30μm)を、ポリエチレンを介するサンドラミネートにより積層フィルムを作製し、これを35mm幅にスリット加工して、デイスプレイストリップを得る。実施例1と同様に袋を取り付けて、評価する。
【0026】
(比較例1)
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:50μm)[基材層]に、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルム(厚さ:30μm)(東セロ(株)製)[シーラント層]を積層した後、35mm幅にカットして、デイスプレイストリップを得る。このデイスプレイストリップを用いて
実施例1と同様にして、商品展示体を作製する。
【0027】
(比較例2)
2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ:50μm)[基材層]に、ポリエチレン/ポリプロピレンブレンド系イージーピール性シーラントフィルム(厚さ:30μm)[シーラント層]をドライラミネート法により積層後、35mm幅にカットして、デイスプレイストリップを得る。このデイスプレイストリップを用いて、実施例1と同様にして、商品展示体を作製する。
【0028】
(評価)
1.ヒートシール強度の測定
デイスプレイストリップと袋との間のヒートシール強度を、JISK7127(プラスチックフィルム及びシートの引張試験方法)に基づき測定する。10個の測定値の平均値を表1に示す。
【0029】
2.吊り下げ評価
5個の袋(内容量:100g)を取り付けたデイスプレイストリップを吊り下げ、落下の有無を確認するテストを行う。
【0030】
3.測定結果を表1に示す。
(表1)



【0031】
4.測定結果
比較例1および2と比較して、本発明による実施例1および2のデイスプレイストリップが好結果を与える。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】デイスプレイストリップを用いた展示例を示す図である。
【図2】本発明のデイスプレイストリップに取り付けた袋を取外す際の様子を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 デイスプレイストリップ
2 商品を封入した袋




【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも基材層とシーラント層とを有する積層体から構成された、商品が封入された複数の袋を並べて取り付けるためのデイスプレイストリップにおいて、
前記シーラント層は、ビニル単量体グラフトポリマーを含まないオレフィン樹脂層[(a)層]と、ビニル単量体グラフト・オレフィン系ポリマーを含む、イージーピール性樹脂層[(b)層]とから構成され、前記(a)層が前記デイスプレイストリップの最外層にあることを特徴とするデイスプレイストリップ。
【請求項2】
前記(a)層が、炭素数4〜12のα―オレフィンの重合体、または、エチレンおよび/又はプロピレンと炭素数4〜12のα―オレフィンとの共重合体を含む樹脂層である、請求項1に記載のデイスプレイストリップ。
【請求項3】
炭素数4〜12のα―オレフィンが、1−ブテンである、請求項2に記載のデイスプレイストリップ。
【請求項4】
前記(b)層が、オレフィン系ポリマーにスチレンをグラフト重合することにより形成された、スチレングラフト・オレフィン系ポリマーを含む樹脂層である、請求項1に記載のデイスプレイストリップ。
【請求項5】
前記(b)層が、ポリオレフィン、スチレングラフト・オレフィン系ポリマーおよびポリスチレンを含む樹脂層である、請求項1に記載のデイスプレイストリップ。
【請求項6】
前記(b)層が、炭素数4〜12のα―オレフィンの重合体、または、エチレンおよび/又はプロピレンと炭素数4〜12のα―オレフィンとの共重合体を含む樹脂層である、請求項1に記載のデイスプレイストリップ。
【請求項7】
前記基材層と前記シーラント層との間に粘着剤層を有する、請求項1に記載のデイスプレイストリップ。
【請求項8】
商品が封入された複数の袋を並べて取り付けたデイスプレイストリップを吊り下げて商品を展示販売するための、前記複数の袋がヒートシールにより前記デイスプレイストリップに取り付けられた商品展示体であって、
前記袋は、2軸延伸ポリプロピレンフィルムを最外層とする積層フィルムから構成されており、
前記デイスプレイストリップは、少なくとも基材層と前記袋を取り付けるためのシーラント層とを有する積層体であり、
前記シーラント層は、ビニル単量体グラフトポリマーを含まないオレフィン樹脂層(a層)と、ビニル単量体グラフト・オレフィン系ポリマーを含む、イージーピール性を有する樹脂層(b層)とから構成され、前記(a)層が前記デイスプレイストリップの最外層にあり、
前記袋の最外層は、前記デイスプレイストリップの前記(a)層に、ヒートシールにより取り付けられている商品展示体。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−202385(P2009−202385A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45543(P2008−45543)
【出願日】平成20年2月27日(2008.2.27)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】