説明

デオドラント化粧料

【課題】緑茶抽出物由来ポリフェノールによる高い消臭効果を有しながら、そのエキス臭及び保存中の着色が抑制されたデオドラント化粧料の提供。
【解決手段】成分(A)及び(B)並びに水を含有し、pHが3〜5であるデオドラント化粧料。
成分(A):緑茶抽出物 ポリフェノールとして0.000005〜0.0005%
成分(B):(b-1)及び(b-2)から選ばれる香料を含有し、かつ(b-1)〜(b-5)のデオドラント化粧料中の含有量が各上限値以下である香料組成物
(b-1):モノテルペン炭化水素 0.001〜0.5%
(b-2):C6-16アルコール、C6-18ラクトン、C7-18エーテル及びC4-18エステル((b-3)を除く)から選ばれる香料 0.001〜0.12%
(b-3):C8-15サリチル酸エステル又はC6-13ケトエステル 上限0.07%
(b-4):C6-15アルデヒド 上限0.012%
(b-5):C6-17ケトン 上限0.001%

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリフェノールを含む緑茶抽出物を含有するデオドラント化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
緑茶抽出物は、消臭効果を有することが知られており、デオドラント剤をはじめ、種々の消臭剤や、洗浄剤に配合されている。例えば、特許文献1〜3に記載の消臭剤には、消臭効果を高めるために緑茶抽出物が配合され、特許文献4の体臭抑制用組成物にも緑茶抽出物が配合されている。そして特許文献1には、実施例として香料を含有する液体消臭剤が記載されている。また、特許文献5には、キハダ、イチョウ等の植物抽出物から疎水性溶媒で抽出して得られる疎水性画分と、緑茶抽出物由来のポリフェノール類を含有するデオドラント組成物が提案され、実施例として香料を含有する無水のパウダースプレー型デオドラント組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-325902号公報
【特許文献2】特開2006-102477号公報
【特許文献3】特開2007-077545号公報
【特許文献4】特開2002-029954号公報
【特許文献5】特開2005-126425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、デオドラント化粧料の場合、主に肌に適用して身体のニオイを解消することを目的とするものであるため、皮膚に対し低刺激で親和性に優れたものであることが望ましい。すなわち、皮膚のpHは約5.3であり、アルカリ性の組成物を適用した場合には皮膚の乾燥等の問題を引き起こすことが知られていることから、皮膚に適用される組成物は、酸性であることが好ましい。また、デオドラント化粧料には制汗剤が配合されることが多いが、制汗剤の配合と殺菌力を考慮すると、より低いpHであることが望ましい。
【0005】
しかし、特許文献1〜3においては、繊維用、衣料用の消臭剤であり、そのpHは6〜9が好ましいものとされ、実施例においてもpH6.5又はpH7に調整されている。また特許文献4の体臭抑制用組成物や特許文献5のデオドラント組成物は主に皮膚を対象とするものではあるが、いずれも好ましいpHに関する記載はなく、実施例においてもpH調整はされていない。
【0006】
一方、緑茶抽出物を用いたデオドラント化粧料において、消臭効果をより高めようとした場合、緑茶抽出物の濃度を高くすることが必要となる。しかし緑茶抽出物の濃度が高くなると、そのエキス臭が強くなり、特に緑茶抽出物中に含まれるポリフェノール濃度が高い場合には、このエキス臭はより顕著となる。このエキス臭をマスキングするためには、香料を多量に含有することが必要となる。
【0007】
そこで本発明者らは、より高い消臭性能を有する含水デオドラント剤の処方を検討するうえで、緑茶抽出物を高濃度に配合し、かつそのエキス臭をマスキングするに十分な量の香料を配合し、かつpHを低く調整した処方を検討した。しかし、このようなデオドラント化粧料は、保存期間中に黄変、褐変等の着色を生ずることが判明した。このデオドラント化粧料の着色という問題は、デオドラント化粧料が、前記特許文献に記載のようにpHが6以上の場合や、特許文献5に記載のパウダースプレーのような水を含まない剤型である場合には生じないことから、含水系かつ低pHの組成物において、緑茶抽出物と香料を高濃度に配合した場合に特有の問題と考えられる。
【0008】
従って、本発明の課題は、緑茶抽出物由来のポリフェノールを高濃度に含有することにより高い消臭効果を有するとともに、緑茶抽出物に特有のエキス臭が抑制され、しかも、保存期間中の着色が抑制された、低pHの含水デオドラント化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、緑茶抽出物由来のポリフェノールを高濃度に配合した含水デオドラント化粧料において、配合すべき香料として特定の化合物を選択し、かつ配合量を一定範囲とすることによって、上記課題を解決できることを見出した。
【0010】
本発明は、次の成分(A)及び(B)並びに水を含有し、pHが3〜5であるデオドラント化粧料を提供するものである。
成分(A):緑茶抽出物 ポリフェノールとして0.000005〜0.0005質量%
成分(B):次の(b-1)及び(b-2)から選ばれる香料化合物を含有し、かつ(b-1)及び(b-2)、並びに次の(b-3)〜(b-5)の各香料化合物の含有量が各上限値以下である香料組成物
(b-1):モノテルペン炭化水素 デオドラント化粧料の0.001〜0.5質量%
(b-2):総炭素数6〜16のアルコール、総炭素数6〜18のラクトン、総炭素数7〜18のエーテル及び総炭素数4〜18のエステル(サリチル酸エステル及びケトエステルを除く)から選ばれる香料化合物 デオドラント化粧料の0.001〜0.12質量%
(b-3):総炭素数8〜15のサリチル酸エステル又は総炭素数6〜13のケトエステル デオドラント化粧料の0.07質量%を上限とする
(b-4):総炭素数6〜15のアルデヒド デオドラント化粧料の0.012質量%を上限とする
(b-5):総炭素数6〜17のケトン デオドラント化粧料の0.001質量%を上限とする
【発明の効果】
【0011】
本発明のデオドラント化粧料は、緑茶抽出物由来のポリフェノールによる高い消臭効果を有しながら、緑茶抽出物に特有のエキス臭が抑制され、しかも、長期間の保存による着色も抑制されたものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔(A):ポリフェノールを含む緑茶抽出物〕
本発明で用いる緑茶抽出物は、茶の生葉又はその乾燥葉を、水、エタノール、プロピレングリコール等の水溶性溶剤や、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等の有機溶媒を用いた溶媒抽出法、又は乾留抽出法により得ることができる。有効な成分を効率良く取り出すには乾留抽出法によるのが望ましい。
【0013】
本発明のデオドラント化粧料における成分(A)の緑茶抽出物の含有量は、ポリフェノールとして0.000005〜0.0005質量%であり、好ましくは0.00001〜0.0002質量%、更に好ましくは0.00005〜0.0001質量%である。また、緑茶抽出物としては、消臭効果とデオドラント化粧料の着色抑制の観点から、ポリフェノール含有量が0.002〜0.05質量%のものが好ましく、更に0.005〜0.02質量%のものが好ましい。そして、このような濃度の緑茶抽出物を、デオドラント化粧料に、0.2〜5.0質量%含有することが好ましく、更に0.5〜2.0質量%含有することが好ましい。ポリフェノールを含有する緑茶抽出物としては、特に限定されないが、例えばFS1000(白井松新薬株式会社)、フレッシュE(白井松新薬株式会社)等の市販品を利用することができる。
【0014】
なお、デオドラント化粧料中のポリフェノール含有量は、以下の方法により求めることができる。試験液(デオドラント化粧料)1mLに水を加えて100mLとし、塩化アンモニウム・アンモニア緩衝液(pH10)3mLを加えて混合する。さらに、4-アミノアンチピリン2gを水に溶解して100mLとした溶液2mLを加えて混合した後、フェリシアン化カリウム9gを水に溶かして100mLとした溶液2mLを加えて混合する。3分間放置後、510nmの吸光度を測定する。対照液は、試験液(デオドラント化粧料)を加えずに水100mLについて上記と同じ操作をして得た液とする。吸光度の検量線よりフェノールに換算したフェノール量として算出して求める。
【0015】
〔(B):香料組成物〕
・(b-1):モノテルペン炭化水素
成分(B)として含有する香料のうち、(b-1)はモノテルペン炭化水素であり、例えばリモネン、α-ピネン、β-ピネン、ターピノレン、アロオシメン、オシメン、ミルセン、ジヒドロミルセン、カンフェン、α-フェランドレン、ターピネン、3-カレン、p-サイメン、などが挙げられ、リモネン、α-ピネン、β-ピネン、ターピノレンが好ましい。モノテルペン炭化水素は、いずれかを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。成分(B)の香料組成物が(b-1)を含有する場合、本発明のデオドラント化粧料中の(b-1)の含有量は、0.001〜0.5質量%であり、好ましくは0.01〜0.5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.3質量%である。
【0016】
・(b-2):アルコール、ラクトン、エーテル、エステル
成分(B)として含有する香料のうち、(b-2)は、(b-2a)総炭素数6〜16のアルコール、(b-2b)総炭素数6〜18のラクトン、(b-2c)総炭素数7〜18のエーテル、及び(b-2d)総炭素数4〜18のエステル(サリチル酸エステル及びケトエステルを除く)から選ばれる。
【0017】
(b-2a)総炭素数6〜16のアルコールの具体例としては、シス-3-へキセノール、エチルリナロール、3,7-ジメチル-7-メトキシーオクタノール等の総炭素数6〜11の脂肪族アルコール;シトロネロール、ゲラニオール、リナロール、テトラヒドロリナロール、ターピネオール、ジヒドロミルセノール、メントール、ボルネオール等のモノテルペンアルコール;セドロール、サンタロール、パチョリアルコール、ベチベロール等のセスキテルペンアルコール;4-メチル-2-(2-メチルプロピル)-テトラヒドロ-2H-4-ピラノール(Givaudan社製品名、フロローザ)、4-(1-メチルエチル)-シクロヘキサンメタノール(Firmenich社製品名、マイヨール)、1-(4-イソプロピルシクロヘキシル)-エタノール(Symrise社製品名、ムゲタノール)、イソボルニルシクロヘキサノール、1-(2-tert-ブチルシクロヘキシルオキシ)-2-ブタノール(花王社製品名、アンバーコア)、2-メチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール(花王社製品名、サンダルマイソールコア)、2-エチル-4-(2,2,3-トリメチル-3-シクロペンテン-1-イル)-2-ブテン-1-オール(IFF社製品名、バクダノール)等の総炭素数10〜15の脂環式アルコール;フェニルエチルアルコール、2,2-ジメチル-3-(3-メチルフェニル)-1-プロパノール(Symrise社製品名、マジャントール)、3-メチル-5-フェニル-1-ペンタノール等の総炭素数7〜12の芳香族アルコールが挙げられる。
【0018】
(b-2b)総炭素数6〜18のラクトンとしては、総炭素数9〜18のものが好ましく、具体例としては、γ-ノナラクトン、γ-デカラクトン、γ-ウンデカラクトン、δ-デカラクトン、ジャスモラクトン、クマリン等の炭素数9〜12の中鎖ラクトン;シクロペンタデカノライド、シクロペンタデセノライド(Symrise社製品名、ハバノライド)、7-シクロヘキサデセノライド(アンブレットライド)等の総炭素数15〜16の大環状ラクトン等が挙げられる。
【0019】
(b-2c)総炭素数7〜18のエーテルとしては、アニソール、p-クレジルメチルエーテル、アネトール、エストラゴール、β-ナフチルメチルエーテル、ジフェニルオキサイド等の総炭素数7〜12のフェニルエーテル;ローズオキサイド、リナロールオキサイド、ネロールオキサイド等の総炭素数10〜12の単環式エーテル;1,8-シネオール、セドリルメチルエーテル、デカハイドロ-3a,5,5,9a-テトラメチルナフト[2,1-b]フラン(花王社製品名、アンブロキサン)、エトキシ メチルシクロドデシルエーテル(花王社製品名、ボアサンブレンフォルテ)、トリメチルシクロドデカトリエンエポキシド(Firmenich社製品名、セドロオキシサイド)、1,3,4,6,7,8-ヘキサヒドロ-4,6,6,7,8,8-ヘキサメチル-シクロペンタ-γ-2-ベンゾピラン(IFF社製品名、ガラクソライド)、6,6,9α-トリメチル-3α-エチルドデカヒドロナフト[2,1-b]フラン(IFF社製品名、グリサルバ)、4,4α,5,9β-テトラヒドロインデノ[1,2-d]-m-ジオキシン(Symrise社製品名、インドフロール)等の総炭素数10〜18の多環式エーテルが挙げられる。
【0020】
(b-2d)総炭素数4〜18のエステル(サリチル酸エステル及びケトエステルを除く)としては、エチルアセテート、エチルブチレート、ヘキシルアセテート、イソプロピル 2-メチルブチレート、イソノニルアセテート、エチルヘプタノエート、シス-3-ヘキセニルアセテート、トランス-2-ヘキセニルアセテート、リナリルアセテート、ターピニルアセテート、ゲラニルアセテート、メンタニルアセテート、6,6-ジメチル-ビシクロ[3.1.1]-2-ヘプテン-2-エチル アセテート(ノピルアセテート)、パラ-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、オルト-tert-ブチルシクロヘキシルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、ベンジルアセテート等の総炭素数4〜14の脂肪族酸のエステル;シス-3-ヘキセニルベンゾエート、エチルフェニルアセテート、エチルシンナメート等の総炭素数8〜14の芳香族酸のエステルが挙げられ、更にエチル トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-2-イル カルボキシレート(花王社製品名、フルテート)、エチル 2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル アセテート(IFF社製品名、フラクトン)、エチレンブラシレート、アリルアミルグリコレート、アリルシクロヘキシルプロピオネート等のエステルが挙げられる。
【0021】
(b-2)はいずれかを単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。成分(B)の香料組成物が(b-2)を含有する場合、本発明のデオドラント化粧料中の(b-2)の含有量は、(b-2a)〜(b-2d)の合計で、0.001〜0.12質量%であり、好ましくは0.005〜0.12質量%であり、さらに好ましくは0.01〜0.1質量%である。(b-2)は、2種以上組み合わせることが好ましく、この場合には、(b-2)の合計含有量は、デオドラント化粧料中に、0.005〜0.12質量%が好ましく、更には0.01〜0.1質量%が好ましい。
【0022】
また、(b-1)と(b-2)を併用することもでき、その場合、両者の質量比(b-1):(b-2)は、10:1〜1:10、更には9:1〜2:8が好ましい。なお、デオドラント化粧料の着色を抑制する観点から、(b-1)、(b-2)のいずれの含有量も、前記範囲の上限値を超えない。更に、本発明のデオドラント化粧料における(b-1)と(b-2)の合計含有量は、0.002〜0.6質量%が好ましく、さらに0.015〜0.5質量%が好ましく、更には0.11〜0.4質量%が望ましい。
【0023】
成分(B)の香料組成物には、香りの質を高めるために、更に(b-3)、(b-4)及び(b-5)から選ばれる香料化合物を含有させることができる。
【0024】
・(b-3):(b-3a)総炭素数8〜15のサリチル酸エステル、又は(b-3b)総炭素数6〜13のケトエステル
(b-3a)としては、ベンジルサリシレート、シス-3-ヘキセニルサリシレート、ヘキシルサリシレート、イソアミルサリシレート、イソブチルサリシレート、メチルサリシレート、フェニルエチルサリシレート等が挙げられる。
【0025】
(b-3b)としては、エチルアセトアセテート、エチル 2-ヘキシルアセトアセテート、ジヒドロジャスモン酸メチルが挙げられる。なおケトエステルは、カルボニル基とエステル基を有する香料である。
【0026】
(b-3)を含有する場合には、デオドラント化粧料の着色を抑制する観点から、デオドラント化粧料中の含有量は0.07質量%を上限とし、好ましくは0.00001〜0.07質量%、更には0.0001〜0.05質量%が好ましい。
【0027】
・(b-4):総炭素数6〜15のアルデヒド
(b-4)としては、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、トランス-2-へキセナール、シトラール等の総炭素数6〜14の脂肪族又はテルペン系のアルデヒド;アミルシンナミックアルデハイド、ヘキシルシンナミックアルデハイド、4-(4-ヒドロキシ-4-メチルペンチル)-3-シクロヘキセン-1-カルボキシアルデヒド(IFF社製品名、リラール)、2-メチル-3-(4-tert-ブチルフェニル)-プロパナール(Givaudan社製品名、リリアール)、ジメチル テトラヒドロベンズアルデヒド(IFF社製品名;トリプラール、Givaudan社製品名;リグストラール)、シクラメンアルデヒド、カントキサール、ベンズアルデヒド、アニスアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオナール、バニリン等の総炭素数7〜15の脂環式又は芳香族アルデヒドが挙げられる。
【0028】
(b-4)を含有する場合には、デオドラント化粧料の着色を抑制する観点から、デオドラント化粧料中の含有量は0.012質量%を上限とし、好ましくは0.00001〜0.012質量%、更には0.001〜0.01質量%が好ましい。
【0029】
・(b-5):総炭素数6〜17のケトン
(b-5)としては、エチルアミルケトン、ジメチルオクテノン等の総炭素数8〜12の脂肪族ケトン;シス-ジャスモン、ジヒドロジャスモン、ダマスコン-α、ダマスコン-β、ダマセノン、メチルイオノン-α、メチルイオノン-γ、マルトール、2−ヘプチルシクロペンタノン、7-メチル-3,5-ジヒドロ-(2H)-1,5-ベンゾジオキセピン-3-オン(Danisco社製品名、カローン)、4-(4-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン(ラズベリーケトン)等の総炭素数6〜14の脂環式ケトン及び芳香族ケトンが挙げられる。
【0030】
(b-5)を含有する場合には、デオドラント化粧料の着色を抑制する観点から、デオドラント化粧料中の含有量は0.001質量%を上限とし、好ましくは0.00001〜0.001質量%、更には0.00005〜0.001質量%が好ましい。
【0031】
その他、成分(B)は、種々の天然香料や合成香料を含有することもできる。天然香料としては、レモン、オレンジ、ライム、ベルガモット、グレープフルーツ、ラベンダー、ラバンジン、ローズマリー、カモミル、ローズ、ジャスミン、イランイラン、ゼラニウム、セダー、ベチバー、パチョリ等の精油が例示される。天然香料を含有する場合、天然香料中に含まれる上記成分(b-1)、(b-2)、(b-3)、(b-4)及び(b-5)をも考慮し、各成分の合計含有量が前記範囲となるように含有する。
【0032】
本発明のデオドラント化粧料中の成分(B)の含有量は、0.001〜0.66質量%が好ましく、さらに0.01〜0.6質量%が好ましく、更には0.05〜0.55質量%が好ましい。
【0033】
本発明のデオドラント化粧料における成分(A)の緑茶抽出物におけるポリフェノール量と成分(B)の香料との質量比(A):(B)は、1:20〜1:14000が好ましく、更には1:50〜1:7000が好ましく、特に1:50〜1:5000が好ましい。
【0034】
〔香料の希釈剤又は溶剤〕
更に、香料の希釈剤又は溶剤として、ジプロピレングリコール、クエン酸トリエチル、イソプロピルミリスチン酸を使用することができ、その含有量は、本発明のデオドラント化粧料の全量に対して0〜0.1質量%が好ましい。
【0035】
〔他の成分〕
本発明のデオドラント化粧料は、制汗剤、殺菌剤、他の消臭剤等を含有することができる。制汗剤としては、例えば、クロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、アルミニウムヒドロキシクロライド、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、フェノールスルホン酸アルミニウム、α-ナフトールジスルホン酸アルミニウム、過ホウ酸ナトリウム、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、ジルコニウムクロロハイドレート、硫酸アルミニウムカリウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、塩基性臭化アルミニウム、アルミニウムナフタリンスルホン酸、塩基性ヨウ化アルミニウム、酸化亜鉛が挙げられ、なかでも、クロルヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛が好ましい。
【0036】
制汗剤は、いずれかを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができ、本発明のデオドラント化粧料中の含有量は、0.1〜30質量%が好ましく、更には1〜15質量%が好ましい。
【0037】
殺菌剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、3,4,4-トリクロロカルバニリド、トリエチルシトレート、塩化ベンゼトニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、レゾルシン、フェノール、ソルビン酸、サリチル酸、ヘキサクロロフェン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジンイソプロピルメチルフェノール、銀担持ゼオライト、銀担持シリカ等が挙げられる。これらは2種以上を使用してもよい。好ましくは、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノールである。
【0038】
他の消臭剤としては、例えば、酸化亜鉛、活性炭等が挙げられる。これらは2種以上を用いてもよい。
【0039】
本発明のデオドラント化粧料は、水を含有する。水の含有量は、ポリフェノールの安定性の点から、1〜20質量%が好ましく、更には3〜15質量%が好ましく、特に5〜10質量%が好ましい。
また、本発明のデオドラント化粧料は、ポリフェノールの安定性、清涼感等の点から、エタノールを含有することができる。エタノールの含有量は、本発明のデオドラント化粧料中の60〜99質量%が好ましく、更に70〜95質量%が好ましい。
【0040】
本発明のデオドラント化粧料には、上記した成分のほかに、本発明の効果を損なわない範囲において、化粧料に用いられる他の成分、例えば、冷感剤、粉末成分、水溶性成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤等を必要に応じて適宜含有させることができる。
【0041】
〔剤型、pH〕
本発明のデオドラント化粧料の剤型としては、溶液系、可溶化系、乳化系、水−油二層系、水−油−粉末三層系等が挙げられる。製品形態としては、例えば、エアゾール、化粧水、ロールオンなどとすることができる。
【0042】
本発明のデオドラント化粧料のpHは、肌への適用の観点から3〜5に調整され、更に制汗剤を含有させることを考慮すると、pH3〜4が好ましい。なお、デオドラント化粧料が水−油二層系、水−油−粉末三層系の場合には、水層のpHを測定する。
【実施例】
【0043】
実施例1・比較例1〜4
(デオドラント化粧料の製造)
表3bに示す香料組成物(香料組成物9、比較香料組成物1)を用いて、表1に示すデオドラント化粧料(実施例1,比較例1〜4)を調製する。
具体的には、室温配合槽(25℃)に、緑茶乾留エキス、エタノールの順に加えて混合し、これにメチルシクロポリシロキサン、クロルヒドロキシアルミニウム、表3bに示す香料組成物、精製水を順に加える。
得られた各デオドラント化粧料について、下記方法及び基準に従って、着色性と緑茶抽出物由来のエキス臭のマスキング効果を評価した。評価結果を表1に示す。
【0044】
(着色性の評価)
表1に示すデオドラント化粧料30mLを、50mLの透明規格瓶に入れて密閉し、5℃と50℃の恒温室にて30日間保存した。評価は、専門パネル1名が50℃で保存したものを5℃で保存したものと目視にて比較することで行った。
【0045】
◎:5℃保存品と比べてほとんど変わらない
○:5℃保存品と比べてあまり変わらない
△:5℃保存品と比べて明らかに色に変化がある
×:5℃保存品と比べてかなり色に変化がある
【0046】
(緑茶抽出物由来のエキス臭のマスキング効果の評価)
評価に用いるデオドラント化粧料0.5mL(保存前の化粧料)をポリスポイトにて採取し、3名のパネルの上腕部に塗布し、それぞれが自分の塗布場所のニオイを嗅ぎ、以下の評価基準にて評価した。
【0047】
4:緑茶抽出物由来のエキスの刺激的なニオイを認識できない
3:緑茶抽出物由来のエキスの刺激的なニオイをわずかに認識できる
2:緑茶抽出物由来のエキスの刺激的なニオイをはっきり認識できる
1:緑茶抽出物由来のエキスの刺激的なニオイを強く感じられる
【0048】
それぞれの評価結果の平均値を出し、以下のように分類した。
◎:評価結果の平均値が3.6以上
○:評価結果の平均値が3.0以上3.6未満
△:評価結果の平均値が2.6以上3.0未満
×:評価結果の平均値が2.6未満
【0049】
【表1】

【0050】
表1に示すように、香料組成物9を用いた実施例1は50℃で保存してもあまり色が変わらないのに対し、比較香料組成物1を用いた比較例1及び2には色の変化が認められた。また、香料組成物を含有しない比較例3は色の変化は認められないが、緑茶抽出物のエキス臭が認められた。一方、比較香料組成物1を用いたpHが6.8の比較例4についても色の変化は見られなかった。
【0051】
試験例1
表1に示す比較例3のデオドラント化粧料の精製水以外の成分と、表2a〜表2fに示す香料の各含有量を配合し、精製水で100質量%になるように調整したデオドラント化粧料を製造した。具体的には、室温配合槽(25℃)に、緑茶乾留エキス、エタノールの順に加えて混合し、これにメチルシクロポリシロキサン、クロルヒドロキシアルミニウム、表2a〜表2fに示す香料、精製水を順に加える。
これらのデオドラント化粧料について、着色性と緑茶抽出物由来のエキス臭のマスキング効果を前記と同様に評価した。評価結果を表2a〜表2fに示す。
【0052】
【表2a】

【0053】
【表2b】

【0054】
【表2c】

【0055】
【表2d】

【0056】
【表2e】

【0057】
【表2f】

【0058】
試験例2
表1に示す比較例3のデオドラント化粧料の精製水以外の成分と、表3a及び表3bに示す香料組成物1〜10及び比較香料組成物1を、それぞれ表中に示される量配合し、精製水で100質量%になるように調整したデオドラント化粧料を製造した。具体的には、室温配合槽(25℃)に、緑茶乾留エキス、エタノールの順に加えて混合し、これにメチルシクロポリシロキサン、クロルヒドロキシアルミニウム、表3a又は表3bに示すいずれかの香料組成物、水を順に加える。
これらのデオドラント化粧料について、着色性と、緑茶抽出物由来のエキス臭のマスキング効果を前記と同様に評価し、また腋臭の消臭効果を以下のように評価した。評価結果を表3a及び表3bに示す。
【0059】
(腋臭の消臭効果)
体臭が強く、かつ腋臭を有している被験者2名について左右の脇をエタノールでぬぐい、汗臭や腋臭がほとんど臭わない状態にする。その後、左右のうち片方の腋だけに評価対象のデオドラント化粧料1mLを塗布し、もう一方の腋には何も塗布せずに、8時間通常どおりの生活を行う。
体臭の評価は、専門パネラー2名が、各被験者の左右の腋の腋窩部分の体臭を、下記の5段階で評価した。この評価結果について、被験者の何も塗布しない腋の体臭の評価値から、デオドラント化粧料を塗布した脇の評価値を差し引いた値の平均値が、1以上であったものを○、0.5であったものを△、0であったものを×とした。
【0060】
1:汗のにおい(酸臭)と腋臭が微かに臭う
2:汗のにおい(酸臭)と腋臭がはっきりと臭う
3:汗のにおい(酸臭)と腋臭がやや強く臭う
4:汗のにおい(酸臭)と腋臭が強く臭う
5:汗のにおい(酸臭)と腋臭が非常に強く臭う
【0061】
【表3a】

【0062】
【表3b】

【0063】
試験例3
表4に示すデオドラント化粧料に、表5a及び表5bに示す香料組成物11、12、比較香料組成物2、3を、それぞれ表中に示される量配合し、精製水で100質量%としたデオドラント化粧料を調製した。具体的には、室温配合槽(25℃)に、緑茶乾留エキス、エタノールの順に加えて混合し、これにメチルシクロポリシロキサン、クロルヒドロキシアルミニウム、塩化ベンザルコニウム、表5a又は表5bに示すいずれかの香料組成物、水を順に加える。これらのデオドラント化粧料について、前記と同様にデオドラント化粧料の着色性、緑茶抽出物由来のエキス臭のマスキング効果、腋臭の消臭効果を評価した。評価結果を表5に示す。
【0064】
【表4】

【0065】
【表5a】

【0066】
【表5b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B)並びに水を含有し、pHが3〜5であるデオドラント化粧料。
成分(A):緑茶抽出物 ポリフェノールとして0.000005〜0.0005質量%
成分(B):次の(b-1)及び(b-2)から選ばれる香料化合物を含有し、かつ(b-1)及び(b-2)、並びに次の(b-3)〜(b-5)の各香料化合物の含有量が各上限値以下である香料組成物
(b-1):モノテルペン炭化水素 デオドラント化粧料の0.001〜0.5質量%
(b-2):総炭素数6〜16のアルコール、総炭素数6〜18のラクトン、総炭素数7〜18のエーテル及び総炭素数4〜18のエステル(サリチル酸エステル及びケトエステルを除く)から選ばれる香料化合物 デオドラント化粧料の0.001〜0.12質量%
(b-3):総炭素数8〜15のサリチル酸エステル又は総炭素数6〜13のケトエステル デオドラント化粧料の0.07質量%を上限とする
(b-4):総炭素数6〜15のアルデヒド デオドラント化粧料の0.012質量%を上限とする
(b-5):総炭素数6〜17のケトン デオドラント化粧料の0.001質量%を上限とする
【請求項2】
成分(B)が、(b-3)をデオドラント化粧料の0.00001〜0.07質量%含有する請求項1に記載のデオドラント化粧料。
【請求項3】
成分(B)が、(b-4)をデオドラント化粧料の0.00001〜0.012質量%含有する請求項1又は2に記載のデオドラント化粧料。
【請求項4】
成分(B)が、(b-5)をデオドラント化粧料の0.00001〜0.001質量%含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載のデオドラント化粧料。
【請求項5】
更に、制汗剤を0.1〜30質量%含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のデオドラント化粧料。
【請求項6】
更に、エタノールを60〜99質量%含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のデオドラント化粧料。

【公開番号】特開2011−116667(P2011−116667A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−272895(P2009−272895)
【出願日】平成21年11月30日(2009.11.30)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】