説明

デオドラント組成物

【課題】体幹部のアブラくさい臭気に対する消臭防臭効果に優れ、かつ体臭菌の増殖を長時間に亘って抑制することができる優れたデオドラント効果を有し、この優れたデオドラント効果の持続性が向上し、使用感に優れ、保存安定性が向上したデオドラント組成物の提供。
【解決手段】(A)ブドウ種子抽出物、ベルゲニアリグラダ根抽出物及びクランベリー抽出物から選択される少なくとも1種の抗酸化剤と、(B)殺菌剤と、(C)制汗剤とを含有し、前記(A)成分のエキス分含有量と前記(B)成分の含有量との質量比(A/B)が0.05〜70であるデオドラント組成物とする。更に(D)粉体を含有することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体幹部のアブラくさい臭気に対する消臭防臭効果に優れ、かつ体臭菌の増殖を長時間に亘って抑制することができる優れたデオドラント効果を有し、この優れたデオドラント効果の持続性が向上し、使用感に優れたデオドラント組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエチケット志向の高まりを受け、体臭に対するデオドラントニーズが高まっている。一般的に、体臭物質としては、古くからイソ吉草酸等の低級脂肪酸類、アンモニア、ブチルアミン等の含窒素化合物などが知られていた。最近では、低級脂肪酸である3−メチル−2−ヘキセン酸や揮発性ステロイド類であるアンドロステノン、ビニルケトン類なども主要な体臭物質であることが分かってきた。
これらの体臭を減少させるため、各種制汗デオドラント剤が広く使われているが、前記体臭物質は主に腋の下に多く存在するアポクリン汗腺を由来とする物質であるため、その大半が腋臭に対して有効な処方となっている。
しかし、腋臭以外の体臭も本人のみならず周囲の人にも不快感を与える一因となる。特に体幹部から発生するアブラくさい臭気は、腋臭、加齢臭とは明らかに異なる体臭であり、その消臭防臭を強く要望されているが、市販の各種制汗デオドラント剤を用いても、体幹部のアブラくさい臭気に対するデオドラント効果は十分でないという課題がある。
【0003】
前記課題を解決するため、例えば特許文献1には、抗酸化物質を有効成分として含有することを特徴とする男性臭抑制剤が提案されている。この提案では、前記抗酸化物質として、ヤマジソ抽出物、ユーカリ抽出物、ゴマ抽出物、ローズマリー抽出物、イチョウ抽出物、クワ抽出物、セージ抽出物、ワレモコウ抽出物、ドクダミ抽出物、クジン抽出物、ホップ抽出物、アスコルビン酸、及びトコフェロールから選択される少なくとも1種であることが好ましいことが記載されている。
しかし、前記提案には、本発明の特定の植物エキスは使用されておらず、男性臭を効果的に抑制するデオドラント剤であり、体幹部のアブラくさい臭気に対する消臭防臭を目的とするものではなく、デオドラント効果の持続性も十分ではないという問題がある。
【0004】
また、特許文献2では、(A)ゲンノショウコ、キョウニン、キウイ、カワラヨモギ、ゼニアオイ、プルーン、グレープフルーツ、トウキ、ゲンチアナ、センキュウ、トルメンチラ、セイヨウハッカ、ニンニク、オランダカラシ、ベニバナ、シナノキ、タイソウ、コメヌカ、テンチャ、シタン、セイヨウキズタ、ビワ、イザヨイバラ、トウヒ、エイジツ、ニンジン、ノバラ、クインスシード、納豆から選ばれる少なくとも1種の植物又は植物由来物の抽出物、(B)スイカズラ、セイヨウオトギリソウ、スギナから選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物、(C)カキ、セイヨウサンザシ、ボダイジュ、ローズマリーから選ばれる少なくとも1種の植物の抽出物、更に(D)抗菌剤を含有する体臭抑制効果に優れた防臭組成物が提案されている。
しかし、この提案には、制汗剤、及び本発明の特定の植物エキスは使用されておらず、体幹部のアブラくさい臭気に対する消臭防臭を目的とするものではなく、デオドラント効果の持続性も十分ではないという問題がある。
【0005】
したがって、体幹部のアブラくさい臭気に対する消臭防臭効果に優れ、かつ体臭菌の増殖を長時間に亘って抑制することができる優れたデオドラント効果を有し、この優れたデオドラント効果の持続性が向上し、使用感に優れ、保存安定性が向上したデオドラント組成物の速やかな提供が望まれているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−63192号公報
【特許文献2】特開2007−290968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、体幹部のアブラくさい臭気に対する消臭防臭効果に優れ、かつ体臭菌の増殖を長時間に亘って抑制することができる優れたデオドラント効果を有し、この優れたデオドラント効果の持続性が向上し、使用感に優れ、保存安定性が向上したデオドラント組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、体幹部から発生するアブラくさい臭気を、(A)ブドウ種子抽出物、ベルゲニアリグラダ根抽出物及びクランベリー抽出物から選択される少なくとも1種の抗酸化剤により抑制でき、更に(B)殺菌剤と、(C)制汗剤とを併用し、かつ前記(A)成分のエキス分含有量と前記(B)成分の含有量との質量比(A/B)を一定の範囲内とすることで、腋臭だけでなく体幹部の臭気も抑制でき、使用感に優れるだけでなく、デオドラント効果の持続性及び保存安定性も向上することを知見した。
【0009】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (A)ブドウ種子抽出物、ベルゲニアリグラダ根抽出物及びクランベリー抽出物から選択される少なくとも1種の抗酸化剤と、(B)殺菌剤と、(C)制汗剤とを含有し、
前記(A)成分のエキス分含有量と前記(B)成分の含有量との質量比(A/B)が0.05〜70であることを特徴とするデオドラント組成物である。
<2> 更に(D)粉体を含有する前記<1>に記載のデオドラント組成物である。
<3> シート材の含浸液として用いられる前記<1>から<2>のいずれかに記載のデオドラント組成物である。
<4> 繊維製品処理剤として用いられる前記<1>から<3>のいずれかに記載のデオドラント組成物である。
<5> (B)成分の殺菌剤が、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン及びピロクトンオラミンから選択される少なくとも1種である前記<1>から<4>のいずれかに記載のデオドラント組成物である。
<6> (C)成分の制汗剤が、パラフェノールスルホン酸亜鉛、クロルヒドロキシアルミニウム、酸化亜鉛及び硫酸アルミニウムから選択される少なくとも1種である前記<1>から<5>のいずれかに記載のデオドラント組成物である。
<7> (D)成分の粉体が、タルク、無水ケイ酸及びマグネシアシリカから選択される少なくとも1種の親水性粉体である前記<1>から<6>のいずれかに記載のデオドラント組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、体幹部のアブラくさい臭気に対する消臭防臭効果に優れ、かつ体臭菌の増殖を長時間に亘って抑制することができる優れたデオドラント効果を有し、この優れたデオドラント効果の持続性が向上し、使用感に優れ、保存安定性が向上したデオドラント組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のデオドラント組成物は、(A)抗酸化剤と、(B)殺菌剤と、(C)制汗剤とを含有し、好ましくは(D)粉体、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
【0012】
<(A)抗酸化剤>
前記(A)成分の抗酸化剤は、体幹部の体臭に対する臭気抑制効果(デオドラント効果)に関して有効な成分である。
前記(A)成分の抗酸化剤としては、ブドウ種子抽出物、ベルゲニアリグラダ根抽出物及びクランベリー抽出物から選択される少なくとも1種が用いられる。これらの中でも、デオドラント効果の点から、ブドウ種子抽出物が特に好ましい。
ここで、「エキス分含有量」とは、抽出物中のエキス分のみの合計含有量を意味し、抽出液であれば固形分量に該当し、抽出粉末であれば、賦形剤、添加剤等を除いたエキス分のみの含有量に該当する。
【0013】
−ブドウ種子抽出物−
前記ブドウ種子抽出物は、ブドウ:Vitis vinifera Linne(Vitacease)の種子の抽出物であり、天然抗酸化物質であるプロアントシアニジンを主成分とするポリフェノールを含有する。
【0014】
前記ブドウ種子抽出物としては、適宜抽出したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記抽出方法としては、特に制限はなく、抽出溶媒を用いた公知の方法を用いることができる。
前記抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば水;メチルアルコール、エチルアルコール等の低級アルコール;プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール;アセトン等のケトン;エチルエーテル、酢酸エチル等の有機溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記市販品としては、例えばブドウ種子抽出物(商品名:グラヴィノール、キッコーマン株式会社製、ブドウの種子を有機溶媒で抽出したエキス、抽出溶媒はエタノール及び水、ポリフェノール換算でのエキス分含有量は70質量%、プロアントシアニジンの含有量は47.2質量%)などが挙げられる。
前記ブドウ種子抽出物中のエキス分含有量は、1質量%〜70質量%が好ましい。
前記ブドウ種子抽出物の含有量は、前記デオドラント組成物全体に対し、0.05(0.035)質量%〜5(3.5)質量%が好ましく、デオドラント効果の点から、0.2(0.14)質量%〜2(1.4)質量%が好ましい。なお、( )内はブドウ種子抽出物(商品名:グラヴィノール、キッコーマン株式会社製、エキス分含有量70質量%)を用いた場合のエキス分含有量を表す。
前記ブドウ種子抽出物の含有量が、0.05質量%未満であると、デオドラント効果が得られないことがあり、5質量%を超えると、製剤が着色したり、保存安定性が悪化してしまうことがある。
【0015】
−ベルゲニアリグラダ根抽出物−
前記ベルゲニアリグラダ根抽出物は、ユキノシタ科の植物パシャンベの根の抽出物であり、タンニン類、フラボノイド類を多く含有する。
【0016】
前記ベルゲニアリグラダ根抽出物としては、適宜抽出したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記抽出方法としては、特に制限はなく、抽出溶媒を用いた公知の方法を用いることができる。
前記抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール、アセトン等のケトン、エチルエーテル、酢酸エチル等の有機溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記市販品としては、例えばベルゲニアリグラダ根抽出物(商品名:パシャンベエキスSK、香栄興業株式会社製、パシャンベの根を有機溶媒で抽出したエキス、抽出溶媒はエタノール及び水、エキス分含有量は0.5質量%)などが挙げられる。
【0017】
前記ベルゲニアリグラダ根抽出物中のエキス分含有量は0.05質量%〜5質量%が好ましい。
前記ベルゲニアリグラダ根抽出物の含有量は、前記デオドラント組成物全体に対し、0.05(0.00025)質量%〜5(0.025)質量%が好ましく、デオドラント効果の点から、0.2(0.001)質量%〜2(0.01)質量%がより好ましい。なお、( )内は、ベルゲニアリグラダ根抽出物(商品名:パシャンベエキスSK、香栄興業株式会社製、エキス分含有量0.5質量%)を用いた場合のエキス分含有量を表す。
前記ベルゲニアリグラダ根抽出物の含有量が、0.05質量%未満であると、デオドラント効果が得られないことがあり、5質量%を超えると、製剤が着色したり、保存安定性が悪化してしまうことがある。
【0018】
−クランベリー抽出物−
前記クランベリー抽出物は、クランベリーの果実の抽出物であり、アントシアニン、ポリフェノール類を多く含有する。
【0019】
前記クランベリー抽出物としては、適宜抽出したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記抽出方法としては、特に制限はなく、抽出溶媒を用いた公知の方法を用いることができる。
前記抽出溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール等の低級アルコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール、アセトン等のケトン、エチルエーテル、酢酸エチル等の有機溶媒などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記クランベリー抽出物の市販品としては、例えばクランベリー抽出物(商品名:キッコーマン クランベリー パウダー、キッコーマン株式会社製、クランベリーの果実を有機溶媒で抽出したエキス、抽出溶媒はエタノール及び水、エキス分含有量は50質量%)などが挙げられる。
前記クランベリー抽出物中のエキス分含有量は、10質量%〜75質量%が好ましい。
前記クランベリー抽出物の含有量は、前記デオドラント組成物全体に対し、0.05(0.025)質量%〜5(2.5)質量%が好ましく、デオドラント効果の点から、0.2(0.1)質量%〜2(1)質量%がより好ましい。なお、( )内は、クランベリー抽出物(商品名:キッコーマン クランベリー パウダー、キッコーマン株式会社製、エキス分含有量50質量%)を用いた場合のエキス分含有量を表す。
前記クランベリー抽出物の含有量が、0.05質量%未満であると、デオドラント効果が得られないことがあり、5質量%を超えると、製剤が着色したり、保存安定性が悪化してしまうことがある。
【0020】
<(B)殺菌剤>
前記(B)成分の殺菌剤は、腋下の体臭に対するデオドラント効果及びその持続性に関して有効な成分である。
前記(B)成分の殺菌剤としては、例えばイソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、トリクロサン、ピロクトンオラミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、デオドラント効果の点から、イソプロピルメチルフェノールが特に好ましい。
前記(B)成分の含有量は、前記デオドラント組成物全体に対し、0.01質量%〜1質量%が好ましく、デオドラント効果の点から、0.1質量%〜0.5質量%がより好ましい。
前記含有量が、0.01質量%未満であると、デオドラント効果が得られないことがあり、1質量%を超えると、皮膚刺激性が強くなりすぎたり、保存安定性が悪化してしまうことがある。
【0021】
前記(A)成分のエキス分含有量と前記(B)成分の含有量との質量比(A/B)は、0.05〜70であり、デオドラント効果の持続性の点から、0.1〜15がより好ましい。
【0022】
<(C)制汗剤>
前記(C)成分の制汗剤としては、制汗効果によるデオドラント効果の持続性に関して有効な成分である。
前記(C)成分の制汗剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばパラフェノールスルホン酸亜鉛、塩化アルミニウム、オキシ塩化アルミニウム、塩基性臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、クロルヒドロキシアルミニウム、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、塩基性乳酸アルミニウム亜鉛等の収斂作用を有する単体塩類、又はこれらの単体塩類を含有するグリコール複合体やアミノ酸複合体などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、パラフェノールスルホン酸亜鉛、クロルヒドロキシアルミニウム、酸化亜鉛、硫酸アルミニウムが好ましく、デオドラント効果の持続性の点から、パラフェノールスルホン酸亜鉛が特に好ましい。
【0023】
前記(C)成分の含有量は、前記デオドラント組成物全体に対し、0.1質量%〜30質量%が好ましく、デオドラント効果の持続性の点から、1質量%〜25質量%がより好ましい。
前記含有量が、0.1質量%未満であると、制汗効果が得られないことがあり、デオドラント効果の持続性も劣り、30質量%を超えると、皮膚刺激性が強くなりすぎたり、保存安定性が悪化してしまうことがある。
【0024】
<(D)粉体>
前記(D)成分の粉体は、汗の吸収による(A)成分、(B)成分及び(D)成分の皮膚滞留性向上によるデオドラント効果及びその持続性に関して有効な成分である。
前記(D)成分の粉体としては、表面水酸基を有するため親水性を示すものが好適であり、その形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、鱗片状、紡錘状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができ、例えば無機粉体、有機粉体、界面活性剤、金属塩粉体、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記(D)成分の粉体としては、粉体表面が親水性処理されているものが好ましく、該親水性処理としては、例えばセルロース処理、寒天処理、デオキシリボ核酸処理、レシチン処理、ポリアクリル酸処理、シリカ処理、アルミナ処理、ジルコニア処理、などが挙げられ、これらの1種以上を組み合わせて使用することが可能である。
前記(D)成分の粉体としては、具体的には、タルク、無水ケイ酸、マグネシアシリカ、マイカ、セルロース、シルク、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、タルク、無水ケイ酸、マグネシアシリカが好ましく、デオドラント効果の持続性の点から、タルクが特に好ましい。
【0025】
前記(D)成分の粉体の含有量は、前記デオドラント組成物全体に対し、0.5質量%〜30質量%が好ましく、デオドラント効果の持続性の点から、1質量%〜20質量%がより好ましい。
前記含有量が、0.5質量%未満であると、デオドラント効果の持続性が劣る場合があり、30質量%を超えると、皮膚刺激性が強くなりすぎることがある。
【0026】
−任意成分−
本発明のデオドラント組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、通常デオドラント組成物に添加される任意成分を配合することができる。
前記任意成分としては、例えば油脂類、ワックス類、シリコーン類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、合成エステル油、界面活性剤、高分子化合物、酸化防止剤、色素、乳化安定剤、pH調整剤、収斂剤、防腐剤、溶剤(エタノール等)、紫外線吸収剤、キレート剤、保湿剤、増粘剤、清涼剤、抗炎症剤、アミノ酸、ビタミン剤などが挙げられる。なお、前記任意成分の配合量は適宜選定することができる。
【0027】
−用途−
本発明のデオドラント組成物の形態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば化粧料、医薬品、医薬部外品等に幅広く適用することが可能である。また、その剤型としても、本発明の効果を損なわない限り、エアゾール系、ゲル系、ペースト系、軟膏系、油液系、水−油2相系、水−油−粉末3相系、乳化系、可溶化系等の幅広い剤型を取り得る。即ち、エアゾール、スティック、パウダー、ローション、マスク、ミスト、スプレー、含浸シート、貼付剤、ボディーソープ、洗顔料、乳液、クリーム、ジェル、パック等の多様な剤型などにおいて広く適用可能である。
【0028】
本発明のデオドラント組成物は、シート材の含浸液として好適に用いられる。これにより、臭いの元となる汗や皮脂を拭き取ることができ、前記(A)〜(C)成分、好ましくは(D)成分の効果により体幹部臭及び腋臭を更に効果的に予防することができる。
前記シート材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば綿、麻等の植物繊維、シルク、ウール等の動物繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、ナイロン等の合成繊維などが挙げられる。
【0029】
本発明のデオドラント組成物は、繊維製品処理剤として用いることもできる。これにより、繊維に吸着、担持することができればその剤型や処理方法に特に制限はなく、繊維処理剤、洗濯仕上げ剤、コーティング剤等の繊維製品処理剤などとして好適に使用できる。
前記繊維製品としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばYシャツ、スーツ等の衣類、シーツ、枕カバー等の寝具、ソファー、イス、絨毯、カーテン等のインテリアファブリックなどが挙げられる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0031】
(実施例1〜39及び比較例1〜26)
−デオドラント組成物の調製−
下記表1〜表2に示す組成に基づき、常法により、実施例1〜39及び比較例1〜26のミストタイプのデオドラント組成物を調製した。
なお、表1〜表2中、(A)成分の各抽出物及び(A’)成分の各抽出物の下段の( )内は各抽出物のエキス分含有量を表す。また、質量比(A/B)は、(A)成分の各抽出物のエキス分含有量と(B)成分の含有量との質量比を表す。
【0032】
次に、調製した各デオドラント組成物をポンプディスペンサー(吉野工業株式会社製)付の容器に入れ、以下のようにして、体幹部臭及び腋臭抑制効果(デオドラント効果)、体幹部臭及び腋臭抑制効果(デオドラント効果)の持続性、及び保存安定性を評価した。結果を表1〜表2に示す。
【0033】
<体幹部臭及び腋臭抑制効果(デオドラント効果)>
〔評価方法〕
男性被験者20名(平均年齢31歳)の方に、入浴後、体幹部にミストタイプのデオドラント組成物を10プッシュ程度噴霧(製剤1g相当)してもらい、その後、予め洗浄しておいた試験用Tシャツを着用してもらった。Tシャツを着用したまま就寝してもらい、翌日、Tシャツを回収し、Tシャツの体幹部に付着した体幹部臭気及び腋臭気について、専門パネル5名にて、以下の評価基準に基づき、官能評価を行い、各Tシャツの臭気の平均値を求めた。着用Tシャツ20枚の臭気評価の平均点を求め、下記判定基準により評価した。
なお、被験者は試験3日前から他の制汗デオドラント剤の使用を禁止し、入浴時には無香料のボティソープを使用してもらった。
〔評価基準〕
5点:着用Tシャツへ付着した臭気が強烈な臭い
4点:着用Tシャツへ付着した臭気が強い臭い
3点:着用Tシャツへ付着した臭気が楽に感知できる臭い
2点:着用Tシャツへ付着した臭気がわかる弱い臭い
1点:着用Tシャツへ付着した臭気がやっと認知できるごく弱い臭い
0点:体臭がほとんど感じられない
〔判定基準〕
◎ :着用Tシャツ20枚の臭気評価の平均点が、0点以上1点未満
◎〜○ :着用Tシャツ20枚の臭気評価の平均点が、1点以上1.5点未満
○ :着用Tシャツ20枚の臭気評価の平均点が、1.5点以上2点未満
△ :着用Tシャツ20枚の臭気評価の平均点が、2点以上3.5点未満
× :着用Tシャツ20枚の臭気評価の平均点が、3.5点以上5点以下
【0034】
<体幹部臭及び腋臭抑制効果(デオドラント効果)の持続性>
〔評価方法〕
男性被験者20名(平均年齢31歳)の方に、入浴後、体幹部に各デオドラント組成物を塗布してもらい〔ミストタイプのデオドラント組成物の場合は10プッシュ程度噴霧(製剤1.5g相当)、シートタイプのデオドラント組成物の場合は1〜2枚を胸や背中を中心に塗布(製剤3g相当)〕、その後、予め洗浄しておいた試験用Tシャツを着用してもらった。Tシャツを着用したまま就寝、翌日の夕方〔体幹部デオドラント効果の評価法は、翌日の朝までの着用である〕まで着用させたTシャツを回収し、Tシャツの体幹部に付着した臭気について、専門パネル5名にて、下記評価基準に基づき官能評価を行い、各Tシャツの臭気の平均点を求めた。着用Tシャツ20枚の臭気評価の平均点を求め、下記判定基準により評価した。
なお、被験者は試験3日前から他の制汗デオドラント剤の使用を禁止し、入浴時には無香料のボティソープを使用してもらった。
〔評価基準〕
5点:アブラ臭さ(体幹部の臭気)が強烈な臭い
4点:アブラ臭さ(体幹部の臭気)が強い臭い
3点:アブラ臭さ(体幹部の臭気)がらくに感知できる臭い
2点:アブラ臭さ(体幹部の臭気)がわかる弱い臭い
1点:アブラ臭さ(体幹部の臭気)がやっと認知できるごく弱い臭い
0点:アブラ臭さ(体幹部の臭気)がほとんど感じられない
〔判定基準〕
◎ :着用Tシャツ20枚の臭気評価の平均点が、0点以上1点未満
◎〜○ :着用Tシャツ20枚の臭気評価の平均点が、1点以上1.5点未満
○ :着用Tシャツ20枚の臭気評価の平均点が、1.5点以上2点未満
△ :着用Tシャツ20枚の臭気評価の平均点が、2点以上3.5点未満
× :着用Tシャツ20枚の臭気評価の平均点が、3.5点以上5点以下
【0035】
<保存安定性>
〔評価方法〕
ミストタイプのデオドラント組成物は、ミストタイプデオドラント剤100gを、透明PET容器に充填した。
シートタイプのデオドラント組成物は、シート(スパンレース不織布、レーヨン100%、目付け50g/m、寸法:20cm×20cm)に原液を3倍質量含浸し、15枚をアルミピロー包袋に密封した。これらを40℃にて3ヶ月保存し、保存後の外観を目視観察(シートタイプは含浸液の絞り液にて観察)し、以下の基準で判断した。
〔評価基準〕
◎:着色及び析出(オリ)等の変化を全く認めない
○:析出(オリ)の発生はないが、ごくわずかに着色等が認められるが、品質上問題とならない変化
△:わずかに着色が認められるか、外観が濁る等の変化を認める
×:明らかな着色又は析出(オリ)を認める
【0036】
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

*比較例14〜26は、特開2007−63192号公報(特許文献1)の実施例を再現したものに相当する。
【表1−7】

*比較例14〜26は、特開2007−63192号公報(特許文献1)の実施例を再現したものに相当する。
【表1−8】

*比較例14〜26は、特開2007−63192号公報(特許文献1)の実施例を再現したものに相当する。
【0037】
【表2−1】

【表2−2】

【0038】
(実施例40)
下記表3に示す組成に従い、本発明のデオドラント組成物としてのシートタイプデオドラント剤を常法により調製し、上記実施例と同様にして、体幹部臭及び腋臭抑制効果(デオドラント効果)、体幹部臭及び腋臭抑制効果(デオドラント効果)の持続性、及び保存安定性を評価した。結果を表3に示す。なお、表3中、(A)成分の下段の( )内はエキス分含有量を表す。また、質量比(A/B)は、(A)成分のエキス分含有量と(B)成分の含有量との質量比を表す。
【表3】

*スパンレース不織布(オイコスAK2040、日清紡績株式会社製)
【0039】
ここで、実施例1〜40及び比較例1〜26で用いた成分の具体的な内容は、以下に示すとおりである。
−(A)成分−
*ブドウ種子抽出物(商品名:グラヴィノール、キッコーマン株式会社製、ポリフェノール換算でのエキス分含有量は70質量%、プロアントシアニジンの含有量は47.2質量%)
*ベルゲニアリグラダ根抽出物(商品名:パシャンベエキスSK、香栄興業株式会社製、エキス分含有量は0.5質量%)
*クランベリー抽出物(商品名:キッコーマン クランベリー パウダー、キッコーマン株式会社製、エキス分含有量は50質量%)
−(A’)成分−
*ヤマジソ抽出物(シソ抽出液、香栄工業株式会社製、エキス分含有量は0.5質量%)
*ユーカリ抽出物(ファルコレックス ユーカリB、一丸ファルコス株式会社製、エキス分含有量は0.6質量%)
*ゴマ抽出物(ゴマエキスパウダー、バイオアクティブジャパン株式会社製、エキス分含有量は0.25質量%である)
*ローズマリー抽出物(ファルコレックス ローズマリーB、一丸ファルコス株式会社製、エキス分含有量は0.6質量%)
*イチョウ抽出物(ファルコレックス イチョウ、一丸ファルコス株式会社製、エキス分含有量は2.0質量%)
*クワ抽出物(ファルコレックス ソウハクヒ、一丸ファルコス株式会社製、エキス分含有量は0.57質量%)
*セージ抽出物(サルビア抽出液、香栄工業株式会社製、エキス分含有量は1.0質量%)
*ワレモコウ抽出物(ワレモコウ抽出液、香栄工業株式会社製、エキス分含有量は1.6質量%)
*ドクダミ抽出物(ジュウヤク抽出液、香栄工業株式会社製、エキス分含有量は0.8質量%)
*クジン抽出物(ファルコレックス クララ、一丸ファルコス株式会社製、エキス分含有量は0.93質量%)
*ホップ抽出物(ホップ抽出液、香栄工業株式会社製、エキス分含有量は1.0質量%)
*アスコルビン酸(アスコルビン酸、DSMニュートリションジャパン株式会社製)
*トコフェロール(トコフェロール、エーザイフードケミカル株式会社製)
−(B)成分−
*イソプロピルメチルフェノール(商品名:イソプロピルメチルフェノール、大阪化成株式会社製)
*塩化ベンザルコニウム(商品名:トリゾン液、山田製薬株式会社製)
*トリクロサン(商品名:IRGASAN DP 300、日本チバ・ガイギー株式会社製)
*ピロクトンオラミン(商品名:オクトピロックス、クラリアントジャパン株式会社製)
−(C)成分−
*パラフェノールスルホン酸亜鉛(マツモトファインケミカル株式会社製)
*クロルヒドロキシアルミニウム(Micro−Dry 3115、SUMMIT RESWECH LABS製)
*酸化亜鉛(MZ−300、テイカ株式会社製)
*硫酸アルミニウム(硫酸アルミニウム、細井化学工業株式会社製)
−(D)成分−
*タルク(タルクSW−特、浅田製粉株式会社製)
*マグネシアシリカ(ミズパール、水澤化学工業株式会社製)
*無水ケイ酸(サンスフィアH−121、洞海化学工業株式会社製)
−任意成分−
*POE硬化ヒマシ油(60E.O.)(NIKKOL HCO−60、日光ケミカルズ株式会社製)
*エタノール(特定アルコール95度合成、日本アルコール販売株式会社製)
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明のデオドラント組成物は、体幹部のアブラくさい臭気に対する消臭防臭効果に優れ、かつ体臭菌の増殖を長時間に亘って抑制することができる優れたデオドラント効果を有し、この優れたデオドラント効果の持続性が向上し、使用感に優れ、保存安定性が向上したので、例えばエアゾール型化粧料、ミスト状化粧料、シート状化粧料、スティック状化粧料などに幅広く用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ブドウ種子抽出物、ベルゲニアリグラダ根抽出物及びクランベリー抽出物から選択される少なくとも1種の抗酸化剤と、(B)殺菌剤と、(C)制汗剤とを含有し、
前記(A)成分のエキス分含有量と前記(B)成分の含有量との質量比(A/B)が0.05〜70であることを特徴とするデオドラント組成物。
【請求項2】
更に(D)粉体を含有する請求項1に記載のデオドラント組成物。
【請求項3】
シート材の含浸液として用いられる請求項1から2のいずれかに記載のデオドラント組成物。
【請求項4】
繊維製品処理剤として用いられる請求項1から3のいずれかに記載のデオドラント組成物。

【公開番号】特開2011−153128(P2011−153128A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282423(P2010−282423)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】