説明

デジタルアッセイ

【課題】本発明の目的は、サンプル中の標的の検出のための方法および組成物を提供することである。
【解決手段】本発明は、標的を定量するための方法であって、該方法は、以下:該標的をおそらく含むサンプル;コード化可能標識;1つ以上の標的特異的プローブ;および分離部分、を含む反応混合物を形成する工程であって、ここで、各標的特異的プローブは、選択的結合条件下で該標的に特異的に結合する、工程;該標的が存在する場合に検出可能な複合体が生じるような反応条件下で該反応混合物を処理する工程であって、該検出可能な複合体は、該コード化可能標識、該標的特異的プローブおよび該分離部分を含む、工程;ならびにコード化可能標識の数を計数することによって、該標的を定量する工程、を包含する。本発明により、上記課題が解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先日)
本願は、米国仮出願番号60/332,519(2001年11月21日出願)、および米国仮出願番号60/384,731(2002年5月31日出願)の優先権の利益を主張する。出願番号60/332,519および出願番号60/384,731は、任意の目的についてそれらの全体が本明細書中に参考として援用される。
(発明の分野)
本発明は、サンプル中の標的の検出のための方法および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
1つ以上の標的配列を含むサンプル中の1つ以上の標的配列の存在または非存在の検出は、一般に実施されている。例えば、癌および多くの感染性の疾患(例えば、AIDSおよび肝炎)の検出は、診断特徴的な核酸配列の存在または非存在について、生物学的サンプルをスクリーニングする工程を通常包含する。また、核酸配列の存在または非存在の検出は、法医学、親子鑑定、遺伝学カウンセリング、および臓器移植において、しばしば用いられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
ある実施形態において、標的を定量する方法が提供される。ある実施形態において、この方法は、以下:標的をおそらく含むサンプル;コード化可能標識;各々の標的特異的プローブが、選択的結合条件下で標的に特異的に結合する、1つ以上の標的特異的プローブ;および分離部分、を含む反応混合物を形成する工程を包含する。ある実施形態において、この方法は、標的が存在する場合は、検出可能な複合体が生成され、そして標的が存在しない場合は、検出可能な複合体が生成されないような反応条件下で、この反応混合物を処理する工程をさらに包含し、ここで、検出可能な複合体は、コード化可能標識、標的特異的プローブ、および分離部分を含む。ある実施形態において、この方法は、検出可能な複合体をコード化可能標識(検出可能な複合体に含まれない)から分離する工程、およびコード化可能標識の数を数えることによって標的を定量する工程を、さらに包含する。
【0004】
ある実施形態において、少なくとも2つの異なる特定の標的を定量する方法が、提供される。ある実施形態において、これらの方法は、以下:2つ以上の異なる特定の標的をおそらく含むサンプル;各々の異なる特定の標的に対して特異的な、異なるコード化可能標識;各々の異なる特定の標的に対して特異的な選択的結合条件下で特異的に標的に結合する、1つ以上の異なる標的特異的プローブ;および分離部分を含む反応混合物、を形成する工程を包含する。ある実施形態において、この方法は、特定の標的が存在する場合は、検出可能な複合体が生成され、そして特定の標的が存在しない場合は、検出可能な複合体が生成されないような反応条件下で、反応混合物(特定の標的に対して特異的なコード化可能標識、特定の標的に対して特異的な標的特異的プローブ、および分離部分を含む)を処理する工程をさらに包含する。ある実施形態において、この方法は、検出可能な複合体中に含まれないコード化可能標識から、生成された任意の検出可能な複合体を分離する工程、および異なる特定の標的の各々に対して特異的なコード化可能標識の数を数えることによって、異なる特定の標的の各々を定量する工程をさらに包含する。
【0005】
ある実施形態において、サンプル中の少なくとも2つの異なる標的核酸配列を定量する方法が提供される。ある実施形態において、この方法は、サンプルを、少なくとも2つの異なる標的核酸配列の各々に対して特異的な異なるプローブセットと合わせて、連結反応混合物を形成する工程を包含する。ある実施形態において、各々のプローブセットは、(a)磁性粒子および第1標的特異的プローブを含む、少なくとも1つの分離ビーズ、ならびに(b)コード化可能標識、および第2標的特異的プローブを含む、少なくとも1つの検出ビーズ、を含み;ここで、各セットの標的特異的プローブは、相補的な標的配列上で相互に隣接してハイブリダイズされる場合、共に連結するのに適切である。ある実施形態において、この方法は、連結反応混合物を連結反応に供する工程をさらに包含し、ここで、隣接してハイブリダイズしている相補的な標的特異的プローブは、相互に連結され、分離ビーズおよび検出ビーズを含む連結産物を形成する。ある実施形態において、この方法は、連結されていない分離ビーズおよび検出ビーズから、任意の連結産物を分離する工程を、さらに包含する。ある実施形態において、この方法は、少なくとも2つの異なる標的核酸配列の各々を、コード化可能標識の数を数えることによって定量する工程を、さらに包含する。
【0006】
ある実施形態において、サンプル中の標的核酸配列を検出するためのキットが提供される。ある実施形態において、このキットは、標的核酸配列の各々に特異的な異なるビーズセットを含む。ある実施形態において、各々の異なるビーズセットは、(a)磁性粒子、2以上の標識を含む第1コード化可能標識、および第1標的特異的プローブを含み、ここで、この第1コード化可能標識は、この第1標的特異的プローブに特異的である、少なくとも1つの分離ビーズ、ならびに(b)2以上の標識のセットを含む第2コード化可能標識、および第2標的特異的プローブを含み、ここで、この第2コード化可能標識は、この第2標的特異的プローブに特異的である、少なくとも1つの検出ビーズ、を含み;そしてここで、第1コード化可能標識は、第2コード化可能標識とは検出可能に異なる。ある実施形態において、各々のセット中の標的特異的プローブは、相補的標的配列上で相互に隣接してハイブリダイズする場合、相互に連結するのに適切である。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
標的を定量するための方法であって、該方法は、以下:
該標的をおそらく含むサンプル;コード化可能標識;1つ以上の標的特異的プローブ;および分離部分、を含む反応混合物を形成する工程であって、ここで、各標的特異的プローブは、選択的結合条件下で該標的に特異的に結合する、工程;
該標的が存在する場合に検出可能な複合体が生じるような反応条件下で該反応混合物を処理する工程であって、該検出可能な複合体は、該コード化可能標識、該標的特異的プローブおよび該分離部分を含む、工程;ならびに
コード化可能標識の数を計数することによって、該標的を定量する工程、
を包含する、方法。
(項目2)
項目1に記載の方法であって、前記反応混合物を処理する工程の後、かつ前記標的を定量する工程の前に、前記検出可能な複合体内に含まれないコード化可能標識から、該検出可能な複合体を分離する工程をさらに包含する、方法。
(項目3)
少なくとも2つの異なる特定の標的を定量するための方法であって、該方法は、以下の工程:
2つ以上の異なる特定の標的をおそらく含むサンプル;各異なる特定の標的に対して特異的な、異なるコード化可能標識;選択的結合条件下で、該標的に特異的に結合する、各異なる特定の標的に対して特異的な、1つ以上の異なる標的特異的プローブ;および分離部分、を含む反応混合物を形成する工程;
特定の標的が存在する場合に検出可能な複合体が生じるような反応条件下で該反応混合物を処理する工程であって、該検出可能な複合体は、該特定の標的に対して特異的なコード化可能標識、該特定の標的に対して特異的な標的特異的プローブおよび該分離部分を含む、工程;ならびに
該異なる特定の標的の各々に対して特異的なコード化可能標識の数を計数することによって、該異なる特定の標的の各々を定量する工程、
を包含する、方法。
(項目4)
項目3に記載の方法であって、前記反応混合物を処理する工程の後、かつ前記異なる特定の標的の各々を定量する工程の前に、前記検出可能な複合体内に含まれないコード化可能標識から、生成された任意の検出可能な複合体を分離する工程をさらに包含する、方法。
(項目5)
サンプル中の、少なくとも2つの異なる標的核酸配列を定量するための方法であって、該方法は、以下の工程:
該サンプルを、該少なくとも2つの異なる標的核酸配列の各々に対して特異的な異なるプローブセットと合わせて、連結反応混合物を形成する工程であって、各プローブセットは、(a)磁性粒子および第一の標的特異的プローブを含む、少なくとも1つの分離ビーズ、ならびに(b)コード化可能標識および第二の標的特異的プローブを含む、少なくとも1つの検出ビーズ、を含み、ここで、各セット中の該標的特異的プローブは、相補的標的配列上で互いに隣接してハイブリダイズする場合に、一緒に連結するのに適切である、工程;
該連結反応混合物を連結反応に供する工程であって、ここで、隣接してハイブリダイズする相補的な標的特異的プローブが、互いに連結して、該分離ビーズおよび該検出ビーズを含む連結産物を形成する、工程;ならびに
各異なる標的核酸配列に対するコード化可能標識の数を計数することによって、少なくとも2つの異なる標的核酸配列の各々を定量する工程、
を包含する、方法。
(項目6)
項目5に記載の方法であって、前記反応混合物を処理する工程の後、かつ前記少なくとも2つの異なる標的核酸配列の各々を定量する工程の前に、未連結の分離ビーズおよび検出ビーズから、任意の連結産物を分離する、方法。
(項目7)
項目6に記載の方法であって、未連結の検出ビーズおよび分離ビーズから、前記連結産物を分離することが、以下の工程:
前記標的核酸配列から該連結産物を分離する工程;および
前記サンプルから該連結産物を分離する工程、
を包含する、方法。
(項目8)
サンプル中の、少なくとも2つの異なる標的核酸配列を検出するための方法であって、該方法は、以下の工程:
該サンプルを、該少なくとも2つの異なる標的核酸配列の各々に対して特異的な異なるビーズセットと合わせて、連結反応混合物を形成する工程であって、各ビーズセットは、(a)磁性粒子、少なくとも2つの標識を含むコード化可能標識、および第一の標的特異的プローブを含む、少なくとも1つの分離ビーズ、ならびに(b)少なくとも2つの標識を含む第二のコード化可能標識、および第二の標的特異的プローブを含む、少なくとも1つの検出ビーズ、を含み、ここで、該第一のコード化可能標識は、該第一標的特異的プローブに特異的にハイブリダイズし、該第二のコード化可能標識は、該第二標的特異的プローブに特異的であり、ここで、該第一のコード化可能標識は、該第二のコード化可能標識とは、検出可能に異なり;ここで、各セット中の該標的特異的プローブは、相補的標的配列上で互いに隣接してハイブリダイズする場合に、一緒に連結するのに適切である、工程;
該連結反応混合物を連結反応に供する工程であって、ここで、隣接してハイブリダイズする相補的な標的特異的プローブが、互いに連結して、該分離ビーズおよび該検出ビーズを含む連結産物を形成する、工程;ならびに
該検出可能な複合体を定量することによって、該サンプル中の、該少なくとも2つの異なる標的核酸配列を定量する工程、
を包含する、方法。
(項目9)
項目6〜8のいずれか1項に記載の方法であって、前記標的核酸配列から前記連結産物を分離することが、熱変性を含む、方法。
(項目10)
項目9に記載の方法であって、前記標的核酸配列を定量する工程の前に、連結産物中に存在しない任意の分離ビーズを除去する工程をさらに包含する、方法。
(項目11)
項目10に記載の方法であって、前記連結産物中に存在しない任意の分離ビーズを除去する工程が、以下:
任意の分離ビーズおよび連結産物を、密度勾配に置く工程であって、該分離ビーズおよび連結産物が、異なる密度である、工程;ならびに
連結産物中に存在しない任意の分離ビーズを除去する工程、
を包含する、方法。
(項目12)
項目5〜11のいずれか1項に記載の方法であって、前記コード化可能標識は、前記第二の標的特異的プローブに対して特異的な強度レベルを有する、方法。
(項目13)
項目12に記載の方法であって、前記分離ビーズは、第二のコード化可能標識をさらに含み、ここで、該第二のコード化可能標識は、前記第一の標的特異的プローブに対して特異的な強度レベルを有する、方法。
(項目14)
項目13に記載の方法であって、標的核酸配列に対して特異的な、前記少なくとも2つのプローブセットの各々が、同じ発光スペクトルを有するコード化可能標識を含む、方法。
(項目15)
項目1〜14のいずれか1項に記載の方法であって、前記コード化可能標識は、1つ以上の量子ドットである、方法。
(項目16)
項目5〜14のいずれか1項に記載の方法であって、前記コード化可能標識が1つ以上の量子ドットであり、そして各プローブセットの前記検出ビーズが、少なくとも1,000量子ドットを含み、ここで、該量子ドットは、該検出ビーズを異なる検出ビーズから識別可能にする所定の波長を有する、方法。
(項目17)
項目16に記載の方法であって、前記分離ビーズが、少なくとも1,000量子ドットをさらに含み、該粒子ドットは、該分離ビーズを異なる分離ビーズから識別可能にする所定の波長を有する、方法。
(項目18)
項目5〜14、16および17のいずれか1項に記載の方法であって、前記サンプル中の前記少なくとも2つの標的核酸配列を定量する前記工程が、検出容器中で実施され、該検出容器は、磁気供給源の近傍の該検出容器の1つの表面上に溝を含み、ここで、前記分離ビーズは、該溝にはまり、前記検出ビーズは、該溝にはまらず、そして該磁気供給源に誘引された前記連結産物が整列される、方法。
(項目19)
項目5〜14および16〜18のいずれか1項に記載の方法であって、前記連結反応混合物が、連結剤をさらに含む、方法。
(項目20)
項目19に記載の方法であって、前記連結剤がリガーゼである、方法。
(項目21)
項目19に記載の方法であって、前記連結剤が熱安定性リガーゼである、方法。
(項目22)
項目21に記載の方法であって、前記熱安定性リガーゼが、Tthリガーゼ、TaqリガーゼおよびPfuリガーゼのうち少なくとも1つから選択される、方法。
(項目23)
項目5〜14および16〜22のいずれか1項に記載の方法であって、ここで、各分離ビーズは、各検出ビーズとは密度が異なり、その結果、連結産物中に含まれない任意の分離ビーズと連結産物との間の距離は、磁気デバイスへの該連結産物の誘引を可能にし、そして該磁気デバイスへの、連結産物中に含まれない該分離ビーズの誘引を可能にしない、方法。
(項目24)
項目23に記載の方法であって、前記連結産物を定量する前記工程が、前記サンプルの存在下で生じる、方法。
(項目25)
項目1〜24のいずれか1項に記載の方法であって、前記コード化可能標識が、少なくとも2つの蛍光体を含む、方法。
(項目26)
項目1〜24のいずれか1項に記載の方法であって、前記コード化可能標識が、少なくとも2つの蛍光分子を含む、方法。
(項目27)
項目8に記載の方法であって、前記連結反応の後、かつ前記少なくとも2つの異なる標的核酸配列を定量する工程の前に、未連結の検出ビーズおよび分離ビーズから、前記検出可能な複合体を分離する工程をさらに包含する、方法。
(項目28)
項目27に記載の方法であって、未連結の検出ビーズおよび分離ビーズから、前記検出可能な複合体を分離する前記工程が、以下:
少なくとも2つの異なる標的核酸配列から、該検出可能な複合体を分離すること、および
前記サンプルから該検出可能な複合体を分離すること、
を包含する、方法。
(項目29)
項目28に記載の方法であって、前記少なくとも2つの異なる標的核酸配列からの、前記検出可能な複合体の分離が、熱変性を含む、方法。
(項目30)
項目29に記載の方法であって、前記少なくとも2つの異なる標的核酸配列を定量する前記工程の前に、検出可能な複合体中に含まれない任意の分離ビーズを除去する工程をさらに包含する、方法。
(項目31)
項目30に記載の方法であって、前記検出可能な複合体中に含まれない任意の分離ビーズを除去する工程が、以下:
任意の分離ビーズおよび検出可能な複合体を、密度勾配に置く工程であって、該分離ビーズおよび検出可能な複合体が、異なる密度である、工程;ならびに
検出可能な複合体中に存在しない任意の分離ビーズを除去する工程、
を包含する、方法。
(項目32)
項目5〜14および16〜31のいずれか1項に記載の方法であって、前記検出ビーズが、磁性粒子をさらに含む、方法。
(項目33)
項目32に記載の方法であって、前記サンプル中の前記少なくとも2つの標的核酸配列を定量する前記工程が、検出容器中で実施され、該検出容器は、磁気供給源の近傍の該検出容器の1つの表面上に溝を含み、ここで、該溝は、第一端部および第二端部を備え、そして該検出可能な複合体中の前記第一のコード化可能標識および前記第二のコード化可能標識は、該磁気供給源を用いて、該溝内に整列され、その結果、該検出可能な複合体の該分離ビーズは、該検出可能な複合体の該検出ビーズよりも、該第一端部に近接して整列する、方法。
(項目34)
サンプル中の標的核酸配列を検出するためのキットであって、該キットは、以下:
該標的核酸配列の各々に対して特異的な異なるビーズセットを備え、該ビーズセットは、(a)磁性粒子、2つ以上の標識を含む第一コード化可能標識、および第一の標的特異的プローブを含む、少なくとも1つの分離ビーズであって、ここで、該第一のコード化可能標識は、該第一の標的特異的プローブに対して特異的である、少なくとも1つの分離ビーズ、ならびに(b)2つ以上の標識のセットを含む第二のコード化可能標識、および第二の標的特異的プローブを含む、少なくとも1つの検出ビーズであって、ここで、該第二のコード化可能標識は、該第二の標的特異的プローブに対して特異的である、少なくとも1つの検出ビーズ、を含み;ここで、該第一のコード化可能標識は、該第二のコード化可能標識とは、検出可能に異なり;そしてここで、各セット中の該標的特異的プローブは、相補的標的配列上で互いに隣接してハイブリダイズする場合に、一緒に連結するのに適切である、
キット。
(項目35)
項目34に記載のキットであって、連結剤をさらに備える、キット。
(項目36)
項目35に記載のキットであって、前記連結剤がリガーゼである、キット。
(項目37)
項目35に記載のキットであって、前記連結剤が熱安定性リガーゼである、キット。
(項目38)
項目37に記載のキットであって、前記熱安定性リガーゼが、Tthリガーゼ、TaqリガーゼおよびPfuリガーゼのうち少なくとも1つから選択される、キット。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明のある実施形態に従うプローブセットを示す。
【図2】図2は、本発明のある実施形態を用いて標的座中の2つの潜在的な対立遺伝子間を区別する方法を示す。図2(A)は以下:(i)異なる第1標的特異的プローブAおよびB(中心的相補体が異なり(Aプローブ上のTおよびBプローブ上のC)を有し、そして同じ第2標的特異的プローブZを有する、2つの異なるプローブセット)ならびに(ii)中心的ヌクレオチドAを含む標的配列、を示す。図2(B)は、この標的にアニールした3つの標的特異的プローブを示す。プローブAの配列特異的部分は、中心的ヌクレオチドを含む3’標的領域と完全に相補的である。プローブBの中心的相補体は、3’標的領域と相補的ではない。従って、プローブBの配列特異的部分は、3’末端に塩基対ミスマッチを含む。プローブZの配列特異的部分は、5’標的領域に完全に相補的である。図2(C)は、連結産物A−Zを形成するための標的特異的プローブAおよびZの連結を示す。プローブBおよびZは、プローブB上のミスマッチの中心的相補体に起因して、共に連結されて連結産物を形成しない。図2(d)は、2本鎖分子を変性して、A−Z連結産物ならびに非連結プローブBおよびZを放出する工程を示す。
【図3】図3は、ある実施形態に従う2色の標識を用いた、ある潜在的な2元コードおよび3元コードを示す。
【図4】図4は、ある実施形態に従うプローブセットと共に2色2元コードを使用する場合における、標識(コード)のセットのある組み合わせを示す。図4はまた、2つの3元色、10の2元色、または6つの3元色が使用される場合の、ある実施形態に従う潜在的プローブセットコードの数も示す。
【図5】図5は、例示的な選択的スプライシングを示す。
【図6】図6は、スプライス改変体を検出するための、ある実施形態を示す。
【図7】図7は、第1標的特異的プローブおよび第2標的特異的プローブが、サンプル中の標的分子に対するハイブリダイゼーションの後に連結される、ある例示的な実施形態を示す。
【図8】図8は、コード化可能標識および検出可能な複合体から分離部分が分離される、ある例示的な実施形態を示す。
【図9】図9は、サンプルから分離された検出可能な複合体を検出する、ある実施形態を示す。
【図10】図10は、分離部分が、コード化可能標識および検出可能な複合体から分離される、特定の例示的な実施形態を示す。
【図11】図11は、連結された検出可能な複合体が、連結していないコード化可能標識から分離される、特定の例示的な実施形態を示す。
【図12】図12は、連結された検出可能な複合体が、サンプルおよび連結反応と同じ容器内で検出される、特定の例示的な実施形態を示す。
【図13】図13は、検出のために連結された検出可能な複合体の整列を補助するために検出容器の内側の表面に溝が含まれる、特定の例示的な実施形態を示す。
【図14−1】図14(a)は、本発明の特定の実施形態によるプローブセットを示す。図14(b)は、本発明の特定の実施形態による、2つのプローブセット、このプローブセットの連結およびプローブセットの検出を示す。図14(c)は、本発明の特定の実施形態によるプローブセットを示す。
【図14−2】図14(a)は、本発明の特定の実施形態によるプローブセットを示す。図14(b)は、本発明の特定の実施形態による、2つのプローブセット、このプローブセットの連結およびプローブセットの検出を示す。図14(c)は、本発明の特定の実施形態によるプローブセットを示す。
【図15】図15は、ビーズを含む連結された検出可能な複合体、およびビーズを含まない連結産物のTaqmanTM分析からの結果を示す。
【図16】図16は、連結反応の後に得られる検出可能な複合体の写真を示す。
【図17】図17は、異なる濃度の標的分子において生成される、連結された検出可能な複合体のTaqman解析の結果を示す。
【図18】図18は、連続的なフローによる、磁性ビーズおよび検出可能な複合体からの対になっていない非磁性ビーズの分離、ならびにそれに続く、フローサイトメトリーによる検出可能な複合体の計数の、特定の例示的な実施形態を示す。
【図19】図19は、連続的なフローによる、磁性ビーズおよび検出可能な複合体からの対になっていない非磁性ビーズの分離、検出可能な複合体と、対になっていない磁性ビーズとの間の抵抗の相異による、対になっていない磁性ビーズの除去、ならびにそれに続く、フローサイトメトリーによる、検出可能な複合体の計数の、特定の例示的な実施形態を示す。
【図20】図20は、連続的なフローによる、磁性ビーズおよび検出可能な複合体からの対になっていない非磁性ビーズの分離、サイズ濾過による、対になっていない磁性ビーズの分離、およびそれに続く、フローサイトメトリーによる、検出可能な複合体の計数の、特定の例示的な実施形態を示す。
【図21】図21は、磁性ビーズおよびビオチン被覆ビーズを使用する分離方法の特定の例示的な実施形態を示す。
【図22】図22は、アドレス可能な部分を含むプローブを使用する連結反応の特定の例示的な実施形態を示す。
【図23】図23は、連結産物が、ヘアピン構造を使用するビーズに付着する、特定の例示的な実施形態を示す。
【図24】図24は、連結産物が、連結オリゴヌクレオチドを使用してビーズに付着される、特定の例示的な実施形態を示す。
【図25】図25は、ビオチン分子を用いるオリゴヌクレオチド連結(OLA)アッセイの特定の例示的な実施形態を示す。
【図26】図26は、連結産物にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドに付着されるコード化可能標識の特定の例示的な実施形態を示す。
【図27】図27は、検出可能な複合体内に存在しないコード化可能標識から、検出可能な複合体を分離する、特定の例示的な実施形態を示す。
【図28】図28は、管内の管を使用して検出可能な複合体内に存在しないコード化可能標識から検出可能な複合体を分離する、特定の例示的な実施形態を示す。
【図29】図29は、連結産物にハイブリダイズおよび連結するヘアピン構造に付着されるコード化可能標識の特定の例示的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(例示的な実施形態の詳細な説明)
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なだけであって、特許請求されるようには、本発明を限定しないことが理解されるべきである。本願において、単数形の使用は、そうでないと具体的に述べない限り、複数形を含む。本願において、「または(or)」の使用は、そうでないと述べない限り「および/または(and/or)」を意味する。さらに、用語「含む(including)」ならびに他の形態(例えば、「含む(includes)」および「含まれる(included)」)の使用は、限定的でない。また、用語「部分(portion)」の使用は、部分(moiety)の一部または部分の全部を含み得る。
本明細書中で使用される節の見出しは、組織化のみの目的のためであり、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。本願中で引用される全ての文書または文書の一部としては、特許、特許出願、論文、文献、および学術論文が挙げられるが、これらに限定されず、そして任意の目的のためにその全体が参考として本明細書によって明示的に援用される。
【0009】
(定義および用語)
用語「ヌクレオチド塩基」とは、本明細書中で使用される場合、置換または非置換の芳香環を指す。特定の実施形態において、この芳香環は、少なくとも1個の窒素原子を含む。特定の実施形態において、このヌクレオチド塩基は、適切に相補的なヌクレオチド塩基とワトソン−クリック水素結合および/またはフーグスティーン水素結合を形成可能である。例示的ヌクレオチド塩基およびそのアナログとしては、天然に存在するヌクレオチド塩基であるアデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミン、および天然に存在するヌクレオチド塩基のアナログ(例えば、7−デアザアデニン、7−デアザグアニン、7−デアザ−8−アザグアニン、7−デアザ−8−アザアデニン、N6−Δ2−イソペンテニルアデニン(6iA)、N6−Δ2−イソペンテニル−2−メチルチオアデニン(2ms6iA)、N2−ジメチルグアニン(dmG)、7−メチルグアニン(7mG)、イノシン、ネブラリン、2−アミノプリン、2−アミノ−6−クロロプリン、2,6−ジアミノプリン、ヒポキサンチン、プソイドウリジン、プソイドシトシン、プソイドイソシトシン、5−プロピニルシトシン、イソシトシン、イソグアニン、7−デアザグアニン、2−チオピリミジン、6−チオグアニン、4−チオチミン、4−チオウラシル、O−メチルグアニン、N−メチルアデニン、O−メチルチミン、5,6−ジヒドロチミン、5,6−ジヒドロウラシル、ピラゾロ[3,4−D]ピリミジン(例えば、米国特許第6,143,877号および同第6,127,121号およびPCT公開出願WO 01/38584を参照のこと)、エテノアデニン)、インドール(例えば、ニトロインドールおよび4−メチルインドール)およびピロール(例えば、ニトロピロール)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の例示的ヌクレオチド塩基は、例えば、Fasman,1989,Practical Handbook of Biochemistry and Molecular Biology,pp.385−394,CRC Press,Boca Ratonおよびその中に引用された参考文献中に、見出され得る。
【0010】
用語「ヌクレオチド」とは、本明細書中で使用される場合、糖(例えば、リボース、アラビノース、キシロースおよびピラノース)およびその糖アナログのC−1’炭素に結合したヌクレオチド塩基を含む化合物を指す。用語ヌクレオチドはまた、ヌクレオチドアナログも包含する。糖は、置換されていても非置換であってもよい。置換リボース糖としては、その炭素原子のうちの1つ以上(例えば、2’−炭素原子)が1つ以上の同じかまたは異なるCl、F、−R、−OR、−NRもしくはハロゲン基で置換されており、各Rは独立してH、C〜CアルキルまたはC〜C14アリールである、リボースが挙げられるが、これらに限定されない。例示的リボースとしては、2’−(C1〜C6)アルコキシリボース、2’−(C5〜C14)アリールオキシリボース、2’,3’−ジデヒドロリボース、2’−デオキシ−3’−ハロリボース、2’−デオキシ−3’−フルオロリボース、2’−デオキシ−3’−クロロリボース、2’−デオキシ−3’−アミノリボース、2’−デオキシ−3’−(C1〜C6)アルキルリボース、2’−デオキシ−3’−(C1〜C6)アルコキシリボースおよび2’−デオキシ−3’−(C5〜C14)アリールオキシリボース、リボース、2’−デオキシリボース、2’,3’−ジデオキシリボース、2’−ハロリボース、2’−フルオロリボース、2’−クロロリボース、および2’−アルキルリボース(例えば、2’−O−メチル,4’−α−アノマーヌクレオチド、1’−α−アノマーヌクレオチド、2’−4’連結および3’−4’連結ならびに他の「ロック(locked)」または「LNA」、二環式糖修飾(例えば、PCT公開出願番号WO98/22489、WO98/39352;およびWO99/14226を参照のこと)が挙げられるが、これらに限定されない。ポリヌクレオチド中にある例示的LNA糖アナログとしては、構造:
【0011】
【化1】

が挙げられるが、これらに限定されず、この構造において、Bは任意のヌクレオチド塩基である。
【0012】
リボースの2’位または3’位での改変としては、水素、ヒドロキシ、メトキシ、アリルオキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、メトキシエチル、アルコキシ、フェノキシ、アジド、アミノ、アルキルアミノ、フルオロ、クロロおよびブロモが挙げられるが、これらに限定されない。ヌクレオチドとしては、天然D光学異性体ならびにL光学異性体形態が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Garbesi(1993)Nucl.Acids Res.21:4159〜65;Fujimori(1990)J.Amer.Chem.Soc.112:7435;Urata(1993)Nucleic Acids Symposium Ser.No.29:69〜70を参照のこと)。ヌクレオチド塩基がプリン(例えば、AまたはG)である場合、リボース糖は、そのヌクレオチド塩基のN位置に結合される。ヌクレオチド塩基がピリミジン(例えば、C、TまたはU)である(プソイドウリジンである場合以外)場合、ペントース糖は、そのヌクレオチド塩基のN位に結合され、そのペントース糖は、ウラシルヌクレオチド塩基のC5位に結合される(例えば、KornbergおよびBaker(1992)DNA Replication、第2版、Freeman,San Francisco,CAを参照のこと)。
【0013】
ヌクレオチドのペントース炭素のうちの1つ以上は、式:
【0014】
【化2】

を有するリン酸エステルで置換され得、この式において、αは、0〜4の整数である。特定の実施形態において、αは2であり、リン酸エステルは、ペントースの3’炭素または5’炭素に結合している。特定の実施形態において、そのヌクレオチドは、ヌクレオチド塩基がプリン、7−デアザプリン、ピリミジン、またはそれらのアナログである、ヌクレオチドである。「ヌクレオチド5’三リン酸」とは、5’位に三リン酸エステル基を有するヌクレオチドを指し、時には、リボース糖の構造的特徴を特に示すために「NTP」または「dNTP」および「ddNTP」と示される。この三リン酸エステル基は、種々の酸素に代わるイオウ置換基(例えば、α−チオ−ヌクレオチド5’三リン酸)を含み得る。ヌクレオチド化学の概説について、Shabarova,Z.およびBogdanov,A.,Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids,VCH,New York,1994を参照のこと。
【0015】
用語「ヌクレオチドアナログ」とは、本明細書中で使用される場合、ペントース糖および/またはヌクレオチド塩基および/またはヌクレオチドのリン酸エステルのうちの1つ以上が、その個々のアナログで置換され得る実施形態を指す。特定の実施形態において、例示的ペントース糖アナログは、上記のアナログである。特定の実施形態において、ヌクレオチドアナログは、上記のヌクレオチド塩基アナログである。特定の実施形態において、例示的リン酸エステルアナログとしては、アルキルホスホネート、メチルホスホネート、ホスホロアミデート、ホスホトリエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホロアニリデート、ホスホロアミデート、ボロノホスホネートなどが挙げられるが、これらに限定されず、そして関連対イオンを包含し得る。
【0016】
「ヌクレオチドアナログ」の定義内にまた包含されるのは、DNA/RNAホスホネートエステルおよび/または糖ホスホネートエステル骨格が異なる型のヌクレオチド間結合で置換されているポリヌクレオチドアナログへと重合され得る、ヌクレオチドアナログモノマーである。例示的なポリヌクレオチドアナログとしては、ポリヌクレオチドの糖リン酸骨格がペプチド骨格で置換されている、ペプチド核酸が挙げられるがこれらに限定されない。
【0017】
本明細書中で使用される場合、用語「ポリヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」および「核酸」は、互換可能に使用され、そしてヌクレオチドモノマーの一本鎖ポリマーおよび二本鎖ポリマーを意味し、このポリマーは、ヌクレオチド間ホスホジエステル結合またはヌクレオチド間アナログと、関連対イオン(例えば、H、NH4+、トリアルキルアンモニウム、Mg2+、Naなど)とによって結合された、2’−デオキシリボヌクレオチド(DNA)およびリボヌクレオチド(RNA)を包含する。核酸は、デオキシリボヌクレオチドから全体が構成されても、リボヌクレオチドから全体が構成されても、またはそのキメラ混合物であってもよい。ヌクレオチドモノマー単位は、本明細書中に記載されるヌクレオチド(天然に存在するヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログが挙げられるが、これらに限定されない)のいずれかを含み得る。核酸は、代表的には、サイズが2〜3モノマー単位(例えば、当該分野で時にオリゴヌクレオチドと呼ばれる場合には、5〜40)から数千個のモノマーヌクレオチド単位までの範囲である。他のように示されない限り、核酸配列が示される場合はいつでも、そのヌクレオチドは左から右へ5’→3’の順序であること、そして他のように示されない限りは、「A」はデオキシアデノシンまたはそのアナログを示し、「C」はデオキシシチジンまたはそのアナログを示し、「G」はデオキシグアノシンまたはそのアナログを示し、「T」はチミジンまたはそのアナログを示すことが、理解される。
【0018】
核酸としては、ゲノムDNA、cDNA、hnRNA、mRNA、rRNA、tRNA、断片化核酸、小細胞器官(例えば、ミトコンドリアまたは葉緑体)から得られる核酸、ならびに生物学的サンプル上またはサンプル中に存在し得る微生物またはDNAウイルスもしくはRNAウイルスから得られる核酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
核酸は、例えば、RNAおよびDNAの場合のように、1つの型の糖部分から構成されても、または例えば、RNA/DNAキメラの場合のように、異なる糖部分の混合物から構成されてもよい。特定の実施形態において、核酸は、以下の構造式:
【0020】
【化3】

に従うリボポリヌクレオチドおよび2’−デオキシリボポリヌクレオチドであり、この式において、各Bは独立して、ヌクレオチドの塩基部分(例えば、プリン、7−デアザプリン、ピリミジン、またはアナログヌクレオチド)であり:各mは、個々の核酸の長さを規定し、そして0〜数千、数万、またはそれ以上の範囲であり得;各Rは、水素、ハロゲン、−R’’、−OR’’、および−NR’’R’’を含む群より独立して選択され、ここで各R’’は独立して(C1〜C6)アルキルまたは(C5〜C14)アリールであるか、あるいは2つの隣接するRが一緒になって、リボース糖が2’,3’−ジデヒドロリボースであるような結合を形成し;各R’は、独立してヒドロキシルまたは
【0021】
【化4】

であり、ここでαは0、1、または2である。
【0022】
上記のリボポリヌクレオチドおよび2’−デオキシリボポリヌクレオチドの特定の実施形態において、ヌクレオチド塩基Bは、上記のような糖部分のC1’炭素に共有結合している。
【0023】
用語「核酸」、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」はまた、核酸アナログ、ポリヌクレオチドアナログ、およびオリゴヌクレオチドアナログを包含し得る。用語「核酸アナログ」、「ポリヌクレオチドアナログ」、および「オリゴヌクレオチドアナログ」は互換可能に使用され、これらは本明細書中で使用される場合、少なくとも1つのヌクレオチドアナログおよび/または少なくとも1つのリン酸エステルアナログおよび/または少なくとも1つのペントース糖アナログを含む核酸を指す。また核酸アナログの定義内に包含されるのは、リン酸エステルおよび/または糖リン酸エステル結合が他の型の結合(例えば、N−(2−アミノエチル)−グリシンアミドおよび他のアミド(例えば、Nielsenら、1991、Science 254:1497〜1500;WO 92/20702;米国特許第5,719,262号;米国特許第5,698,685号を参照のこと);モルホリノ(例えば、米国特許第5,698,685号;米国特許第5,378,841号;米国特許第5,185,144号を参照のこと);カルバメート(例えば、StirchakおよびSummerton,1987,J.Org.Chem.52:4205を参照のこと);メチレン(メチルイミノ)(例えば、Vasseurら、1992、J.Am.Chem.Soc.114:4006を参照のこと);3’−チオホルムアセタール(例えば、Jonesら、1993,J.Org.Chem.58:2983を参照のこと);スルファメート(例えば、米国特許第5,470,967号を参照のこと);2−アミノエチルグリシン(一般的にPNAと呼ばれる)(例えば、Buchardt,WO92/20702;Nielsen(1991)Science 254:1497〜1500を参照のこと);および他のもの(例えば、米国特許第5,817,781号;FrierおよびAltman 1997、Nucl.Acids Res.25:4429およびその中に引用された参考文献を参照のこと)で置換されている、核酸である。リン酸エステルアナログとしては、(i)C〜Cアルキルホスホネート(例えば、メチルホスホネート);(ii)ホスホロアミデート;(iii)C〜Cアルキル−ホスホトリエステル;(iv)ホスホロチオエート;および(v)ホスホロジチオエートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
用語「アニーリング」および「ハイブリダイゼーション」は、互換可能に使用され、そしてこれらは、二重鎖構造、三重鎖構造または他の高次構造の形成を生じる、1つの核酸と別の核酸との塩基対形成相互作用を意味する。特定の実施形態において、その主要な相互作用は、ワトソン/クリック水素結合およびフーグスティーン型水素結合によって、塩基特異的(例えば、A/TおよびG/C)である。特定の実施形態において、塩基スタッキング相互作用および疎水性相互作用もまた、二重鎖の安定性に寄与し得る。
【0025】
本明細書中で使用される場合、用語「改変体」とは、限定されないが以下に挙げられるタンパク質の任意の改変をいう:アミノ酸配列の変化、1つ以上のアミノ酸の置換、1つ以上のアミノ酸の付加、1つ以上のアミノ酸の欠失およびアミノ酸自身に対する改変。特定の実施形態において、変化は、保存的アミノ酸置換を含む。保存的アミノ酸置換は、1つのアミノ酸を、例えば、類似の疎水性、親水性、荷電または芳香族性を有する別のアミノ酸と置き換えることを含み得る。特定の実施形態において、保存的アミノ酸置換は、類似のヒドロパシーインデックスに基づいてで行われ得る。ヒドロパシーインデックスは、アミノ酸の疎水性および荷電特性を考慮に入れ、そして特定の実施形態において、保存的アミノ酸置換を選択するためのガイドとして使用され得る。ヒドロパシーインデックスは、例えば、Kyteら、J.Mol.Biol.,157:105−131(1982)に開示される。保存的アミノ酸置換は、上記特性のいずれかに基づいて行われ得ることが当該分野で理解される。
【0026】
アミノ酸に対する改変としては、以下が挙げられ得るがこれらに限定されない:グリコシル化、メチル化、リン酸化、ビオチン化およびアミノ酸配列の変化を生じないタンパク質への任意の共有結合付加および非共有結合付加。本明細書中で使用される場合、「アミノ酸」は、酵素的または合成的のいずれかにより、ポリペプチドまたはタンパク質へと取り込まれ得る、天然または非天然の任意のアミノ酸をいう。
【0027】
本明細書中で使用される場合、「アフィニティーセット」は、互いに特異的に結合する分子のセットである。アフィニティーセットは、以下に挙げられるがこれらに限定されない:ビオチンとアビジン、ビオチンとストレプトアビジン、レセプターとリガンド、抗体とリガンド、抗体と抗原、およびポリペプチド配列とその相補体。特定の実施形態において、結合されているアフィニティーセットは、非結合であり得る。例えば、ハイブリダイズされたポリヌクレオチド配列は変性され得、そしてストレプトアビジンに結合されたビオチンは、加熱され得、そして非結合になり得る。
【0028】
「標的」とは、プローブによって区別され得る任意の物質をいう。標的は、天然に存在する分子および合成分子の両方を含み得る。
【0029】
特定の実施形態において、標的は、核酸配列を含み得る。特定の実施形態において、標的核酸配列は、RNAおよびDNAを含み得る。例示的なRNA標的配列としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:mRNA,rRNA、tRNA,ウイルス性RNAおよびRNAの改変体(例えば、スプライシング改変体)。例示的なDNA標的配列としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ゲノムDNA、プラスミドDNA、ファージDNA、核小体DNA、ミトコンドリアDNAおよび染色体DNA。
【0030】
特定の実施形態において、核酸配列としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:cDNA、酵母人工染色体(YAC)、細菌人工染色体(BAC)、他の染色体外DNAおよび核酸アナログ。例示的な核酸アナログとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:LNA、PNA、PPGおよび以下に考察される他の核酸アナログ。
【0031】
種々の方法が、本発明の組成物および方法との使用のための標的核酸配列を得るために利用可能である。核酸標的が、生物学的マトリックスからの単離によって得られる場合、特定の単離技術としては、以下が挙げられる:(1)例えば、フェノール/クロロホルムの有機試薬を使用する、有機抽出、次いでエタノール沈殿(例えば、Ausubelら編、Current Protocols in Molecular Biology Volume 1,Chapter 2,Section I、John Wiley & Sons,New York(1993)))(好ましくは自動化DNA抽出機(例えば、PE Applied Biosystems(Foster City,CA)から市販されるModel 341 DNA Extractor)を使用する);(2)固定相吸着法(例えば、Boomら、米国特許第5,234,809号;Walshら、Biotechniques 10(4):506−513(1991));および(3)塩誘導DNA沈殿方法(例えば、Millerら、Nucleic Acids Research,16(3):9−10(1988))(このような沈殿方法は、代表的に「塩析」方法と呼ばれる)。特定の実施形態において、上記の単離方法は、サンプルから所望でないタンパク質の除去を助ける酵素消化工程(例えば、プロテイナーゼKまたは他の同様のプロテアーゼでの消化)の後に行われ得る。
【0032】
特定の実施形態において、標的核酸配列としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:増幅産物、連結産物、転写産物、逆転写産物、プライマー伸長産物、メチル化DNAおよび切断産物。特定の実施形態において、標的核酸配列は、全体のゲノム増幅によって生産され得る。特定の実施形態において、標的核酸配列は、等温性増幅および/または連結によって生産され得る。
【0033】
特定の実施形態において、サンプル中の核酸は、InvaderTMアッセイにおける切断手順のような切断手順に共せられ得る(例えば、米国特許第5,846,717号;同第5,985,557号;同第5,994,069号;同第6,001,567号;および同第6,090,543号に例証されるように)。このような手順は、目的の核酸がサンプル中に存在する場合、切断産物を生産する。特定の実施形態において、標的は、このような切断産物であり得る。簡単に述べると、切断産物は、サンプル中の核酸に相補的であるように設計される2つの核酸オリゴヌクレオチドを使用し得る。第1のオリゴヌクレオチドは、サンプル中の核酸を相補しない5’部分を、サンプル中の核酸を相補する3’部分連続的に含む。第2のオリゴヌクレオチドは、第1のオリゴヌクレオチドによって相補される領域の3’側であるサンプル中の核酸の領域におけるサンプル中の核酸と相補し、そして第1のオリゴヌクレオチドによって相補された領域とわずかにオーバーラップする相補的部位または非相補的部位を含む。サンプル中の核酸への2つのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、しばしば酵素の存在下で、第1のオリゴヌクレオチドの一部切断されるのを生じる。切断産物は、代表的に、サンプル中の核酸と相補しない第1のオリゴヌクレオチドの5’部分であり、そして相補的領域のその部分は第2のオリゴヌクレオチドとオーバーラップする。この切断産物は、公知の核酸配列を含む。特定の実施形態において、このような切断産物は、標的であり得る。
【0034】
異なる標的核酸配列は、単一の連続した核酸の異なる部分であり得るか、または異なる核酸にあり得る。単一の連続した核酸の異なる部分は、オーバーラップし得る。
【0035】
特定の実施形態において、標的核酸配列は、上流または5’領域、下流または3’領域および上流領域と下流領域との間に位置する「中心的(pivotal)ヌクレオチド」を含む(例えば、図1を参照のこと)。中心的ヌクレオチドは、プローブセットによって検出されるヌクレオチドであり、そして例えば、限定されないが、多重対立遺伝子(multiallelic)標的遺伝子座中の単一多型ヌクレオチドを示し得る。
【0036】
当業者は、標的核酸配列が、代表的に一本鎖分子として記載されるが、二本鎖分子の反対の鎖は、標的配列としてまた使用され得る相補的配列を含むことを認識する。
【0037】
他の標的としては、ペプチド配列が挙げられるが、これに限定されない。ペプチド配列としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:タンパク質、タンパク質のフラグメントおよびアミノ酸の他のセグメント。特定の実施形態において、ペプチド標的配列としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:異なるペプチド対立遺伝子(異なるアミノ酸を有する類似のタンパク質)および異なるペプチドコンホメーション(異なる二次構造および三次構造を有する類似のタンパク質)。他の天然に存在する標的としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ホルモンおよび他のシグナル分子(例えば、ホルモンおよび他のステロイド型分子)。
【0038】
特定の実施形態において、標的としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:合成ペプチド、医薬および他の有機低分子。
【0039】
(プローブ)
用語「プローブ」または「標的特異的プローブ」は、標的を特異的に結合し得る部分を含む任意の一部分をいう。プローブとしては、以下が挙げられ得るが、これらに限定されない:サンプル中の標的に特異的に結合し得る核酸、ペプチドおよび他の分子。このような特異的な結合としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:核酸分子間のハイブリダイゼーション、抗体−抗原相互作用、リガンドとレセプターとの間の相互作用、およびアプトマーとタンパク質との間の相互作用。
【0040】
特定の実施形態において、プローブは、選択された標的核酸配列上の相補的な領域と配列特異的様式でハイブリダイズするように設計された核酸配列特異的部分を含む。特定の実施形態において、プローブの配列特異的部分は、特定の配列に対して特異的であり得るか、あるいは、縮重(例えば、配列のセットに対する特異的であり得る。標的ペプチドのプローブとしては、非限定的な例として、抗体が挙げられ得る。
【0041】
特定の実施形態において、プローブは、特定のペプチド配列に特異的に結合する核酸であるアプトマーを含む。特定の実施形態において、プローブは、ペプチドを含む。このようなペプチドとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:抗体およびレセプター分子。特定の実施形態において、プローブは、特異的な標的ペプチド抗原に指向される抗体を含む。
【0042】
特定の実施形態において、プローブは、独特の結合対(例えば、ストレプトアビジン/ビオチン結合対)の他のメンバーおよび例えば、米国特許第5,831,046号;同第5,852,178号;同第5,859,210号;同第5,872,224号;同第5,877,297号;同第6,008,406号;同第6,013,783号;同第6,031,17号;および同第6,075,126号によって例証されるようなProlinxTM(Bothell、WA)から市販される親和性結合化学物質を含み得る。
【0043】
本発明による「プローブセット」は、少なくとも1つの標的を検出するように設計された2つ以上のプローブの群である。非限定的な例として、プローブセットは、標的にハイブリダイズするように設計された2つの核酸プローブを含み得、その結果、その2つのプローブは互いに隣接する標的にハイブリダイズされる場合、これらは共に連結に適切である。
【0044】
本発明の文脈に使用される場合、「連結に適切な」とは、少なくとも1つの第1の標的特異的プローブおよび少なくとも1つの第2の標的特異的プローブをいい、各々は、適切な反応基を含む。例示的な反応基としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:第1のプローブの3’末端上の遊離のヒドロキシル基および第2のプローブの5’末端上の遊離のリン酸基、ホスホロチオエートならびにトシレートまたはヨウ化物、エステルおよびヒドラジド、RC(O)S、ハロアルキル、RCHSおよびα−ハロアシル、チオホスホリルおよびブロモアセトアミド基、およびS−ピバロイルオキシメチル−4−チオチミジン。さらに、特定の実施形態において、第1および第2の標的特異的プローブは、標的配列にハイブリダイズされ、その結果、第1の標的特異的プローブの3’末端および第2の標的特異的プローブの5’末端は、連結可能なように直ちに隣接する。
【0045】
(コード化可能標識)
用語「標識」とは、検出可能なシグナルを提供し得るかまたは第2の分子または分子のセットの他のメンバーと相互作用して、検出可能なシグナルを提供する(第1の分子によって提供されるか、または第2の分子によって提供されるかのいずれか)(例えば、FRET(蛍光共鳴エネルギー転移)任意の分子または分子のセットをいう。標識の使用は、公知の標識、結合、連結基、試薬、反応条件ならびに分析方法および精製方法を使用する、多くの公知の技術のうちのいずれか1つを使用して達成され得る。標識としては、検出可能な蛍光シグナル、化学発光シグナルまたは生物発光シグナルを生じるかまたはクエンチする光放射化合物または光吸収化合物が挙げられるが、これらに限定されない(例えば、Kricka,L.in Nonisotopic DNA Probe Techniques(1992),Academic Press,San Diego,pp.3−28を参照のこと)。標識として有用な蛍光レポーター色素としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:フルオレセイン(例えば、米国特許第5,188,934号;同第6,008,379号;および同第6,020,481号を参照のこと)、ローダミン(例えば、米国特許第5,366,860号;同第5,847,162号;同第5,936,087号;同第6,051,719号;および同第6,191,278号を参照のこと)、ベンゾフェノキサジン(例えば、米国特許第6,140,500号を参照のこと)、エネルギー転移蛍光色素(ドナーおよびアクセプターの対を含む)(例えば、米国特許第5,863,727号;同第5,800,996号;および同第5,945,526号を参照のこと)およびシアニン(例えば、Kubista,WO 97/45539を参照のこと)ならびに検出可能なシグナルを生産し得る任意の他の蛍光部分。フルオレセイン色素の例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:6−カルボキシフルオレセイン;2’,4’,1,4,−テトラクロロフルオレセイン;および2’,4’,5’,7’,1,4−ヘキサクロロフルオレセイン。
【0046】
他の例示的な標識としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:光を放出する発光分子および発光反応(例えば、非限定的な例として、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応)に関与し得る分子。標識としてはまた、以下が挙げられるが、これらに限定されない:化学発光ならびに電子発光の分子および反応。非限定的な例として、化学発光標識は、フィルムに曝光され得る。フィルムの発色は、標的がサンプル中に存在するかどうか、またはサンプル中の標的の量を示す。
【0047】
他の例示的な標識としては、ドナー−アクセプター相互作用が挙げられるがこれに限定されない。ここで、ドナー分子は、アクセプター分子によって検出されるエネルギーを放射する。次いで、このアクセプター分子は、検出可能なシグナルを放射する。
【0048】
他の例示的な標識としては、赤外線光子放出に関与する分子が挙げられるがこれに限定されない。
【0049】
標識としてはまた、量子ドットが挙げられるがこれに限定されない。「量子ドット」とは、第一エネルギーへの曝露に応答して第二エネルギーを放射する能力を有する半導体ナノ結晶性化合物をいう。代表的には、単一の量子ドットによって放射されるエネルギーは、常に、同じ予測可能な波長を有する。例示的な半導体ナノ結晶性化合物としては、CdSe、CdS、およびZnSの結晶が挙げられるがこれらに限定されない。特定の実施形態に従う適切な量子ドットは、例えば、以下に記載される:米国特許第5,990,479号および同第6,207,392号B1、ならびに「Quantum−dot−tagged microbeads for multiplexed optical coding of biomolecules」、Hanら、Nature Biotechnology,19:631−635(2001)。
【0050】
本発明の標識としてはまた、蛍光体および放射性同位体が挙げられる。放射性同位体は、直接検出され得るか、または次いで検出される光の波長を放射する発光蛍団を励起し得る。蛍光体粒子は、赤外線(約980nm近辺)によって励起され得るが、可視スペクトル内のシグナルを放出し、従ってバックグラウンド光を有意に低下させるかまたは排除する。
【0051】
特定の例示的な標識の他の例としては、コード化された情報(例えば、バーコード)を有する粒子が挙げられ、米国特許第4,053,433号に記載されるマイクロ粒子タグもまた挙げられる。特定の他の非放射活性標識の方法、技術、および試薬は、以下に総説される:Non−Radioactive Labelling,A Practical Introduction,Garman,A.J.(1997)Academic
Press,San Diego。
【0052】
特定のクラスの標識は、特異的捕捉または非特異的捕捉によって、分子の分離または固定化をもたらす。これらの標識としては、例えば、ビオチン、ジゴキシゲニン、および他のヘプタンが挙げられる(例えば、Andrus,A.「Chemical methods for 5’non−isotopic labeling of PCR probes and primers」(1995)PCR 2:A Practical Approach,Oxford University Press,Oxford,pp.39−54)。
【0053】
「コード化可能標識」とは、特定の部分に特異的である1種以上の標識をいう。特定の実施形態において、この部分は、標的および/またはプローブである。コード化可能標識が1より多い標識を含む実施形態において、この標識は、同じであっても異なっていてもよい。所定のコード化可能標識の検出は、このコード化可能標識が特異的である部分の存在を示す。所定のコード化可能標識の非存在は、このコード化可能標識が特異的である部分の非存在を示す。
【0054】
コード化可能標識は、「検出可能に異なる」として記載され得、これは、少なくとも1つの検出方法によって、これらのコード化可能標識が相互に識別可能であることを意味する。異なるコード化可能標識としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:異なる波長の光を放射する1種以上の標識、異なる強度の光を放射する1種以上の標識、異なるシグナル数および/またはシグナルパターンを発する標識、異なる蛍光デコイ寿命を有する1種以上の標識、異なるスペクトルシグニチャーを有する1種以上の標識、異なる放射活性デコイ特性を有する1種以上の標識、異なる電荷の1種以上の標識、ならびに異なるサイズの1種以上の標識。
【0055】
特定の実施形態において、コード化可能標識の数が計数される。この計数は、個々のコード化可能標識の実際の計数をいう。コード化可能標識の数の計数は、アナログシグナル検出と識別可能であり、ここで、複数の標識からのシグナルの総計レベルが検出される。アナログシグナル検出は、代表的に、同じ型の複数の標識からのシグナルの積分を使用して、サンプル中に存在するこのような標識の数を決定する。例えば、アナログ検出は、代表的に、試験サンプル中のシグナルの輝度または強度レベルを、既知量の所定の標識を含むコントロール中のシグナルの輝度または強度レベルと比較することによって、所定の型の標識の数の推定値を与える。
【0056】
対照的に、計数は、個々のコード化可能標識の数が実際に計数される、デジタル検出システムである。従って、特定の実施形態において、200の同じコード化可能標識がサンプル中に存在する場合、これらの標識の各々が、実際に計数される。特定の実施形態において、計数される標識の数は、サンプル中の実際の数の20%以内であり得る。特定の実施形態において、計数される標識の数は、サンプル中の実際の数の10%以内であり得る。特定の実施形態において、計数される標識の数は、サンプル中の実際の数の50%以内であり得る。特定の実施形態において、サンプル中に存在するこれらの標識のそれぞれの部分が計数され、そしてこのサンプル中の標識の総数が、これらそれぞれの部分において計数された標識の数によって決定される。対照的に、サンプル中の標識の数をアナログ検出を用いて決定するために、200の標識からの総計シグナルが測定され、そして既知量の標識からの総計シグナルと比較される。
【0057】
特定の実施形態において、反応におけるコード化可能標識およびプローブは、利用可能な標識中で十分に過剰であり、計数されたコード化可能標識の数が存在する標識の数を表す。このような実施形態において、代表的に、各コード化可能標識に結合される1つ以下の標識が存在する。
【0058】
特定の実施形態において、コード化可能標識の実際の計数を含む場合、デジタル検出は、アナログ検出における総計シグナルの一部として解釈され得る、バックグラウンドの「ノイズ」によっても偶発的な光によってもほとんど影響され得ない。
【0059】
特定の実施形態において、コード化可能標識の数を計数することによって、種々のサンプル中の種々のコード化可能標識の数の間の厳密な相違を決定し得る。対照的に、特定の例において、アナログ検出(これは、種々のサンプル中の標識の数におけるわずかな相違がわかりにくくあり得る)における複数の標識からの総計シグナルは、種々のサンプル中のバックグラウンドシグナルの種々の量によってもたらされ得る。
【0060】
2つ以上の検出可能に異なるコード化可能標識がサンプル中で検出される特定の実施形態において、検出可能に異なるコード化可能標識からのシグナルの重複に起因した潜在的な不正確さは、これらの検出可能に異なるコード化可能標識の各々を計数することによって最小にされ得る。特定のアナログ検出方法において、1つの標識からのシグナルの一部は、別の異なる標識からのシグナルとして検出され得、これは、不正確な読み出しを生じ得る。これは、特に、異なる標識からのシグナルが重複した放射範囲を有する場合であり得る。特定の実施形態において、個々のコード化可能標識を計数することによって、しばしば生じ得る不正確さは、異なる標識からの総計シグナル強度を測定するアナログ検出によって最小にされ得る。
【0061】
特定の実施形態において、「コード化可能標識」は、種々のセットの量子ドットであり、これは、種々の標的特異的プローブ(この種々のプローブは、異なる標的配列に特異的である)に特異的であり、そして量子ドットの種々のセットは、互いに検出可能に異なる。
【0062】
コード化可能標識は、プローブに直接的に結合されても、他の分子に間接的に結合され、次いでプローブに結合されてもよい。特定の実施形態において、コード化可能標識は、サンプルに添加される前にプローブに結合されても、検出可能な複合体を形成する反応過程の間にプローブに結合されてもよい。特定の実施形態において、コード化可能標識は、プローブに直接結合されても、連結分子(例えば、化学連結基)または連結対(例えば、ストレプトアビジン対)を介して結合されてもよい。
【0063】
特定の実施形態において、標識は、ビーズに組み込まれ、次いでプローブに結合され得る。「ビーズ」とは、プローブが結合され得る任意の物質をいう。ビーズは、任意の形状(例えば、球形、ロッド、立方体、および棒が挙げられるがこれらに限定されない)のものであり得る。ビーズは、任意の物質(例えば、シリカガラスおよびポリマーが挙げられるがこれらに限定されない)から製造され得る。ビーズは、任意のサイズであり得る。ビーズの特定の非限定的な例としては、例えば、以下において記載されるビーズが挙げられる:米国特許第4,499,052号(Fulwyler);同第4,717,655号(Fulwyler);同第3,957,741号(Rembaum,CalTech);同第4,035,316号(Rembaum,CalTech);4,105,598号(Rembaum,CalTech);同第4,224,198号(Rembaum,CalTech);同第4,326,008号(Rembaum,CalTech);同第3,853,987号(Dreyer,CalTech);同第4,108,972号(Dreyer,CalTech);同第5,093,234号(Flow Cytometry Standards);同第6,268,222号(Luminex);同第5,326,692号(Molecular Probes);同第5,573,909号(Molecular Probes);同第5,723,218号(Molecular Probes);同第5,786,219号(Molecular Probes);同第5,028,545号(Soini);および同第5,132,242号(Sau Cheung);ならびに国際出願公開番号WO 01/13119(Luminex);WO 01/14589(Luminex);WO 97/14028(Luminex);WO 99/19515(Luminex);WO 99/37814(Luminex);WO 99/52708(Luminex);WO 00/55363(Amersham);WO 01/01141(Amersham);WO 99/64867(Amersham);およびWO 94/11735(Soini)。
【0064】
特定の実施形態において、このビーズは、少なくとも1種の磁性物質、常磁性物質、シリカガラス、ポリアクリルアミド、多糖類、プラスチック、ラテックス、ポリスチレン、および他のポリマー物質を含有する、コーティングされた粒子またはコーティングされていない粒子を含む。
【0065】
ビーズは、コード化可能標識(例えば、特定実施形態に従う量子ドットのセット)を含み得る。当業者は、量子ドット含むビーズを獲得する適切な方法を認識している。例えば、以下を参照のこと:Hanら、Nature Biotechnology,19:631−635(2001)、および米国特許第6,207,392号(Shuming Nie);同第6,114,038号(Biocrystal);同第6,261,779号(Biocrystal);同第6,207,229号(Bawendi);同第6,251,303号(Bawendi);同第6,274,323号(Quantum Dot);同第5,990,479号(Alivisatos);同第6,207,392号(Alivisatos);国際出願公開番号WO 00/29617(Shuming Nie);WO 00/27365(Biocrystal);WO 00/28089(Biocrystal);WO 01/89585(Biocrystal);WO 00/17642(Bawendi);WO 00/17656(Bawendi);WO 99/26299(Bawendi);WO 00/68692(Quantum Dot);WO 00/55631(Alivisatos);ならびに欧州特許出願番号0 990 903 A1(Bawendi)。これらの量子ドットまたは他の標識は、ビーズ内に包埋され得る。
【0066】
特定の実施形態において、非限定的な例として、量子ドットは、架橋ポリマービーズに組み込まれ得る。特定の実施形態において、ポリスチレンビーズは、スチレン(98%容量/容量)、ジビニルベンゼン(1%容量/容量)、およびアクリル酸(1%容量/容量)のエマルジョンを70℃にて使用して、合成され得る。特定の実施形態において、次いでこのビーズは、5%(容量/容量)のクロロホルムおよび95%(容量/容量)のプロパノールまたはブタノールを含有する溶媒混合物中で膨潤される。特定の実施形態において、ZnSでキャップされたCdSe量子ドットの制御量が、この混合物に加えられる。室温でのインキュベーション後、この包埋プロセスが完了する。特定の実施形態において、ビーズのサイズは、合成において使用される安定剤(例えば、ポリビニルピロリドン)の量によって制御され得る。特定の実施形態において、2〜4nm直径である量子ドットを含有する球形ビーズ(2μm直径)は、数万個の量子ドットを含み得る。
【0067】
上で議論されるビーズを製造する方法は、量子ドットの数が変更されたビーズを生じ得る。また、1色より多い量子ドットを使用する場合、異なる色の数が変更されたビーズが得られ得る。特定の実施形態において、このようなビーズの調製後、得られたビーズは、所定のビーズにおける各色の量子ドットの相対数によって選別され、種々のコード化可能標識を有する、同様に標識されるビーズの群が得られる。特定の実施形態において、この選別は、機械(例えば、Fluorescence Associated Cell Sorter(FACS))または種々のコード化可能標識間を識別し得る他のフローサイトメトリ型検出方法によって、自動化され得る。
【0068】
当業者は、プローブを含むビーズを獲得する多数の方法が存在していることを理解する。このような方法は、共有結合を用いてプローブをビーズに結合する工程、UV架橋する工程、およびアフィニティーセットを介して連結する工程を包含するがこれらに限定されない。非限定的な例として、ストレプトアビジン分子は、ビーズ表面上のカルボン酸基に共有結合され得る。オリゴヌクレオチドプローブは、ビオチン化され、次いでストレプトアビジン分子を介して、このビーズに連結され得る。
【0069】
特定の実施形態において、ビーズは、内部参照標識を含む。特定の実施形態において、この内部参照標識は、コード化可能標識と検出可能に異なっている。特定の実施形態において、内部参照標識を使用して、コード化可能標識を含むビーズの数を確認し得る。例えば、特定の実施形態において、種々のコード化可能標識を含むビーズは、同じ内部参照標識を各々含む。この内部参照標識を使用して、単一ビーズの存在を同定し得る。特定の実施形態において、第一のビーズのコード化可能標識の強度と類似の組み合わせ強度を有するコード化可能標識を含む2種類のビーズから、コード化可能標識を含む単一の第一のビーズを識別するために、各ビーズ中に単一の内部参照標識が含まれ得る。特定の実施形態において、2種の内部参照標識の検出は、2種のビーズの存在を示し、一方、単一の参照標識の検出は、単一のビーズの存在を示す。従って、特定の実施形態において、内部参照標識は、コード化可能標識単独の検出が曖昧な結果を与え得る場合、実際に存在するビーズの数の正確な決定を補助する。
【0070】
例えば、ビーズが発蛍光団、色素、またはナノ粒子を含むコード化エレメントを含む特定の実施形態では、内部参照標識は、各ビーズにおいて単一の量子ドットであり得る。単一の量子ドットの存在は、単一のビーズの存在を示すために使用され得る。2つの量子ドットの存在は、2つのビーズの存在を示し、以下同様である。
【0071】
別の非限定的な例として、特定の実施形態では、内部参照標識は、コード化可能標識のシグナルとは検出可能に異なる色シグナルを提供し得る。特定の実施形態では、各ビーズについての内部参照標識からのシグナルは、単一のビーズの存在を同定するために使用され得る強度を有する。例えば、特定の実施形態では、各ビーズについての内部参照シグナルは、約1単位の強度を有する赤シグナルを提供する。このような特定の実施形態では、2つの異なる標的を検出するために、2つの異なるビーズにおいて、2つの異なるコード化可能標識を用い得る。例えば、特定の実施形態では、第一の標的についての第一のコード化可能標識は、1単位の強度を有する緑シグナルを提供し、そして第二の標的についての第二のコード化可能標識は、2単位の強度を有する緑シグナルを提供する。内部参照標識がなければ、特定の実施形態では、2単位の強度を有する緑シグナルが、第一の標的についての2つのビーズの存在を示すのか、または第二の標的についての1つのビーズの存在を示すのか決定するのに困難性を伴い得る。赤の内部参照標識を用いる特定の実施形態では、1単位の強度を有する赤シグナルの検出は、第二の標的についての1つのビーズの存在を示し、2単位の強度を有する赤シグナルの検出は、第一の標的についての2つのビーズの存在を示す。
【0072】
種々のサイズのビーズを使用する場合、このようなビーズに取り込まれた標識(例えば、非限定的な例としての蛍光色素)の量は、ビーズのサイズに従って変動し得る。特定の実施形態では、ビーズ中に内部参照標識を含ませることは、ビーズのサイズにおける変動により引き起こされるコード化可能標識シグナルにおける変動を標準化するために使用され得る。
【0073】
内部参照標識を使用しない特定の実施形態では、ビーズのサイズにおける差異に起因した、同じコード化可能標識からのシグナルにおける差異を避けるよう試みるために、かなり均一なサイズのビーズを使用することを試みる。特定の実施形態では、ビーズにおける内部参照標識は、種々のサイズのビーズを使用することを可能にし得る。このような特定の実施形態では、2つの異なる標的を検出するために、2つの異なるビーズにおいて、2つの異なるコード化可能標識を用い得る。例えば、このビーズがXの直径を有する場合、第一の標的についての第一のコード化可能標識は、1単位の強度を有する緑シグナルを提供し、そして第二の標的についての第二のコード化可能標識は、2単位の強度を有する緑シグナルを提供する。内部参照標識がなければ、種々のサイズのビーズを用いる特定の実施形態では、2単位の強度を有する緑シグナルを提供するビーズが、Xより大きい直径を有する第一の標的についてのビーズの存在を示すのか、または直径Xを有する第二の標的についてのビーズの存在を示すのか決定するのに困難性を伴い得る。
【0074】
このような特定の実施形態では、コード化可能標識とは検出可能に異なる内部参照標識を含むビーズを用い得る。特定の実施形態では、ビーズがXの直径を有する場合、1単位の強度を有する赤シグナルを提供する内部参照標識を用い得る。従って、ビーズのサイズが、Xの直径から変動すると、内部参照標識は、1単位よりも異なる強度を提供する。このような特定の実施形態では、2単位の緑シグナルを有するビーズの検出は、赤シグナルが1単位である場合、第二の標的の存在を示し、そして赤シグナルが2単位である場合、第一の標的の存在を示す。
【0075】
特定の実施形態では、内部参照標識の使用は、内部参照標識を使用しない場合に実施するよりも小さなサイズのビーズを生成することが可能になり得る。特定の実施形態では、ビーズは、直径2μm未満であり得る。特定の実施形態では、内部参照標識を用いると、ビーズサイズにおいて非常に小さい差異を区別し得る。
【0076】
特定の実施形態では、内部参照標識の使用は、ステージング(staging)によりまたはフローサイトメトリーによりビーズを計数する場合に使用され得る。特定の実施形態では、内部参照標識を用いるビーズは、アレイで使用され得る。この場合、分析物がアレイの特定領域に結合される。特定の実施形態では、内部参照標識を有するビーズを有するアレイは、画像化され得る。特定の実施形態では、デジタル化画像において内部参照標識を使用してシグナルを標準化するために、ソフトウェアが使用され得る。
【0077】
特定の実施形態では、ビーズの大きさは、コード化エレメントとして使用され得る。非限定的な例として、ビーズは、二色を使用する100の異なるコードを有する。特定の実施形態では、異なるサイズにしたビーズが、コードの一部として使用され得る。なぜなら、異なるサイズにしたビーズは、異なる強度を提供するからである。例えば、特定の実施形態では、二色を使用する100のコードは、4つの異なるサイズにしたビーズを用いることにより400のコードに増大され得る。
【0078】
(検出可能な複合体)
本発明の用語「検出可能な複合体」は、コード化可能標識を含む複合体である。特定の実施形態では、検出可能な複合体は、少なくとも1つのプローブをさらに含む。
【0079】
特定の実施形態によれば、検出可能な複合体は、標的が存在する場合に生成され、そして標的が存在しない場合に生成されない。特定の実施形態では、標的およびプローブが互いに特異的に結合する場合、検出可能な複合体が形成される。
【0080】
特定の実施形態では、この検出可能な複合体は、連結反応において生成される。連結方法としては、酵素的連結および化学的連結の両方が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
本発明による連結反応は、テンプレートに隣接してハイブリダイズされる核酸配列の反対側の末端の間でヌクレオチド間連結が形成される任意の酵素的プロセスまたは化学的プロセスを含む。さらに、アニールした核酸配列の反対側の末端は、代表的には、連結に適切である(連結に対する適切さは、使用された連結法の関数である)。ヌクレオチド間連結としては、ホスホジエステル結合形成が挙げられ得るが、これらに限定されない。このような結合形成としては、DNAリガーゼまたはRNAリガーゼ(例えば、バクテリオファージT4 DNAリガーゼ、T4 RNAリガーゼ、Thermus thermophilus(Tth)リガーゼ、Thermus aquaticus(Taq)リガーゼ、またはPyrococcus furiosus(Pfu)リガーゼ)により酵素的に作製された結合が挙げられ得るが、これらに限定されない。他のヌクレオチド間連結としては、適切な反応基の間での共有結合形成(例えば、チオホスホリルアセチルアミノ基を形成するα−ハロアシル基とホスホチオエート基との間、5’−ホスホロチオエステル結合、およびピロホスフェート結合を形成するホスホロチオエート基とトシレート基またはヨーダイド基との間)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
化学連結剤としては、活性化剤、縮合剤、および還元剤(例えば、カルボジイミド、臭化シアン(BrCN)、N−シアノミダゾール、イミダゾール、1−メチルイミダゾール/カルボジイミド/シスタミン、ジチオトレイトール(DTT)、および紫外光)が挙げられるが、これらに限定されない。自己連結(すなわち、連結剤なしでの自発的な連結)もまた、本発明の範囲内である。化学的連結方法についての詳細なプロトコルおよび適切な反応基の説明は、とりわけ、以下で見出され得る:Xuら、Nucleic AcidRes.、27:875−81(1999);GryaznovおよびLetsinger、Nucleic Acid Res.、21:1403−08(1993);Gryaznovら、Nucleic Acid Res.、22:2366−69(1994);KanayaおよびYanagawa、Biochemistry 25:7423−30(1986);LuebkeおよびDervan、Nucleic Acids Res.、20:3005−09(1992);Sieversおよびvon Kiedrowski、Nature 369:221−24(1994);LiuおよびTaylor、Nucleic Acids Res.、26:3300−04(1999);WangおよびKool、Nucleic Acids Res.、22:2326−33(1994);Purmalら、Nucleic Acids Res.、20:3713−19(1992);AshleyおよびKushlan、Biochemistry 30:2927−33(1991);ChuおよびOrgel、Nucleic Acids Res.、16:3671−91(1988);Sokolovaら、FEBS Letters 232:153−55(1988);NaylorおよびGilham、Biochemistry 5:2722−28(1996);および米国特許第5,476,930号。
【0083】
特定の実施形態では、以下の逐次的な手順の少なくとも1サイクルを用い得る:第一の標的特異的プローブおよび第二の標的特異的プローブの、連結に適している配列特異的部分を、それらのそれぞれの相補的標的領域にハイブリダイズさせる工程;第一の標的特異的プローブの3’末端を、第二の標的特異的プローブの5’末端と連結して、連結産物を形成する工程;および核酸二重鎖を変性して、標的配列から連結産物を分離する工程。このサイクルは、繰り返しても、繰り返さなくてもよい。例えば、限定ではないが、連結反応の熱サイクルを行うことにより、連結産物の量を線形に増大させる。
【0084】
また、本発明の範囲内には、連結技術があり、例えば、ギャップ充填連結であり、これには、ギャップ充填OLAおよびLCR、架橋オリゴヌクレオチド連結、および訂正連結が挙げられるが、これらに限定されない。これらの技術の説明は、とりわけ、以下において見出され得る:米国特許第5,185,243号、公開欧州特許出願EP320308およびEP439182、および公開PCT特許出願WO90/01069。
【0085】
検出可能な複合体はまた、いかなる連結工程も行わない核酸のハイブリダイゼーションによって生成され得る。特定の実施形態では、ハイブリダイゼーションは、PNA、LNA、または天然に存在する核酸ハイブリダイゼーションよりも高いTmを有する他の合成核酸と共に生じる。
【0086】
他の検出可能な複合体はまた、抗体−抗原相互作用、アプタマー−タンパク質相互作用、および他の特異的結合対の作用(例えば、ストレプトアビジン−ビオチン反応)によって生成され得る。
【0087】
検出可能な複合体はまた、プライマー伸長反応によって生成され得る。プライマー伸長反応としては、単一塩基伸長(SBE)反応、配列決定反応(例えば、サンガージデオキシ配列決定反応)、およびポリメラーゼを含む他の反応が挙げられるが、これらに限定されない。
【0088】
特定の実施形態では、検出可能な複合体は、リガンド−レセプター反応において生成される。非限定的な例として、コード化可能標識およびプローブは、リガンド分子に結合され得る。レセプターは、分離部分(例えば、磁性ビーズ)に結合される。
【0089】
特定の実施形態では、プローブが、標的核酸配列にハイブリダイズされ、そしてこの標的核酸配列が存在する場合、単一ヌクレオチドに結合されたコード化可能標識が、ポリメラーゼ反応によってプローブに結合される。
【0090】
特定の実施形態では、核酸標的配列に相補的な核酸を含むプローブが、分離部分(例えば、磁性ビーズ)に結合される。特定の実施形態では、次いで、このプローブは、核酸標的配列を含むサンプルに添加される。特定の実施形態では、ヌクレオチドに結合されたコード化可能標識は、ポリメラーゼと共にサンプルに添加される。特定の実施形態では、核酸標的配列がサンプル中に存在する場合、プローブが、標的にハイブリダイズし、そしてポリメラーゼは、コード化可能標識が結合したヌクレオチドをオリゴヌクレオチドプローブに付加し、検出可能な複合体を形成する。特定の実施形態では、サンプル核酸からの変性後、次いで、磁性ビーズを用いてプローブがサンプルから分離される。特定の実施形態では、検出可能な複合体が計数される場合、サンプル中に標的が存在する。
【0091】
特定の実施形態では、サンプル中の標的の数は、検出反応の開始時に存在する検出可能な複合体の数と比較した、サンプルから除去された検出可能な複合体の数によって表される。特定の実施形態では、多数の検出可能な複合体が、サンプルに添加される。特定の実施形態では、これらの検出可能な複合体は、一本鎖核酸プローブの一方の末端に結合したコード化可能標識、およびこの一本鎖核酸プローブの他方の末端に結合した分離部分を含む。特定の実施形態では、サンプル中に標的が存在する場合、この標的は、一本鎖プローブにハイブリダイズして、二本鎖分子を形成する。特定の実施形態では、二本鎖核酸を切断するエンドヌクレアーゼが、反応に添加される。このような実施形態では、残存する検出可能な複合体の数は、反応に最初に添加された検出可能な複合体の数に等しく、サンプル中に存在する標的の数より少ない。
【0092】
(分離部分および方法)
用語「分離部分」とは、検出可能な複合体中に含まれる場合、サンプル中の少なくとも1つの他の部分から検出可能な複合体を分離するために使用され得る任意の部分をいう。
【0093】
特定の実施形態では、分離は、検出可能な複合体中に取り込まれたいかなる特定の分離部分をも用いることなく達成される。特定の実施形態では、特定の分離部分を使用しない方法としては、密度、サイズ、電子変化またはイオン変化に基づく分離、拡散、熱、フローサイトメトリー、および定方向光(directed light)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、検出可能な複合体の検出は、他の部分からの検出可能な複合体のいかなる分離も伴うことなく生じる。
【0094】
特定の実施形態において、この方法は、1つ以上の標的の定量またはそれらの存在もしくは非存在の検出の前に、検出可能な複合体を、検出可能な複合体中に存在しない分離部分から分離する工程を包含する。当業者は、検出可能な複合体を、検出可能な複合体中に存在しない分離部分から分離するための特定の実施形態に従って使用され得る方法がいくつか存在することを認識している。特定の実施形態における非限定的な例として、分離部分の密度または大きさの差が、検出可能な複合体を、検出可能な複合体中に存在しない分離部分から分離するために使用され得る。分離方法としては、サイズ排除フィルター(sizing filter)、サイズ排除カラム、密度勾配、重力による分離、および遠心分離の使用が挙げられるがこれらに限定されない。このようなサイズ分離部分の例としては、ポリマービーズが挙げられるがこれらに限定されない。
【0095】
例えば、特定の実施形態において、以下のようにして、検出可能な複合体を、検出可能な複合体中に存在しない分離部分から分離し得る。プローブセットは、第1のプローブを含む分離ビーズおよび第2のプローブを含む検出ビーズを含み得る。分離ビーズはさらに、第1のコード化可能標識をさらに含み、検出ビーズは、第2のコード化可能標識をさらに含む。分離ビーズの大きさは、検出ビーズよりも小さい。連結後、検出可能な複合体を、検出可能な複合体中の検出ビーズおよび検出可能な複合体中に存在しない分離ビーズの大きさの差に基づいて、分離ビーズから分離し得る。例えば、この材料を、分離ビーズを通過させ検出可能な複合体を保持するサイズ排除フィルターに通し得る。
【0096】
また、特定の実施形態において、以下のようにして、検出可能な複合体を、検出可能な複合体中に存在しない分離部分から分離し得る。プローブセットは、第1のプローブを含む分離ビーズおよび第2のプローブを含む検出ビーズを含み得る。分離ビーズはさらに、第1のコード化可能標識をさらに含み、検出ビーズは、第2のコード化可能標識をさらに含む。分離ビーズは、検出ビーズよりも高い密度を有する。検出可能な複合体が形成された後、検出可能な複合体を、検出可能な複合体中の検出ビーズおよび遊離の分離ビーズの密度の差に基づいて、検出可能な複合体中に存在しない分離ビーズから分離し得る。例えば、特定の実施形態において、この材料を、密度勾配にかけ得、遊離の分離ビーズから検出可能な複合体を分離する。また、特定の実施形態において、重力が使用されて、遊離の分離ビーズから検出可能な複合体を分離し得る。従って、分離ビーズが検出ビーズよりも高い密度を有する場合、分離ビーズは、検出可能な複合体よりも下に沈む。
【0097】
特定の実施形態に従って、プローブセットにおけるプローブの他の異なる特性が、検出可能な複合体を、検出可能な複合体中に存在しないプローブおよびコード化可能標識から分離するのに使用され得る。例えば、特定の実施形態において、分離部分を特定の位置に引きつける特定の特性を有する分離部分およびその特性を欠く反応混合物中の他の部分を使用し得る。例えば、特定の実施形態に従って、分離部分は、磁性粒子を含み得、そして反応混合物中の他の部分は、磁性粒子を含まない。
【0098】
用語「磁性粒子」は、磁力を用いて移動可能な材料をいう。これとしては、磁化した粒子、磁化していないが磁場により影響を受ける粒子(例えば、コロイド鉄、酸化鉄(例えば、フェライトおよび磁鉄鉱)、ニッケル、およびニッケル鉄合金)、および磁化し得る粒子(例えば、フェライト、磁鉄鉱、鉄、ニッケル、およびそれらの合金)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0099】
特定の実施形態において、磁性粒子は、フェライト、磁鉄鉱、ニッケル、および鉄のうちの1つ以上を含み、そして反応混合物中の他の部分は、このような材料を含まない。このような実施形態において、分離部分のこのような特有の特性を使用して、分離ビーズを含む検出可能な複合体を、検出可能な複合体中に存在しないプローブおよびコード化可能標識から分離し得る。
【0100】
検出可能な複合体を他の部分から分離する他の方法としては、密度による分離、電荷による分離、薬物の抵抗係数による分離(例えば、電気泳動の移動度)、拡散または透析による分離、および熱または光による分離(例えば、標識された粒子を移動させるためにレーザーを用いる)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0101】
特定の実施形態において、検出可能な複合体中に存在しない分離部分、コード化可能標識、またはプローブ(遊離成分)を、サンプル中の標的核酸配列を定量する前に、検出可能な複合体を含む組成物から除去し得る。特定の実施形態において、検出可能な複合体を、サンプル中の標的核酸配列を定量(またはその存在もしくは非存在を検出)する前に、遊離成分を含む組成物から除去し得る。
【0102】
特定の実施形態において、検出可能な複合体を遊離成分から分離する工程は、検出可能な複合体を標的核酸配列から分離する工程、および検出可能な複合体をサンプルから分離する工程を包含する。
【0103】
特定の実施形態において、検出可能な複合体は、連結産物である。特定の実施形態において、標的配列からの検出可能な複合体の分離は、熱変性を含む。
【0104】
非限定的な例示として、特定の実施形態において、以下のようにして、サンプル(例えば、細胞溶解産物)中の異なる標的核酸配列の存在または非存在を検出し得る。サンプルは、異なる標的核酸配列の各々に特異的な異なるプローブセットと組み合わされる。各々のプローブセットは、ビーズに組み込まれた磁性粒子および第1の標的特異的プローブを含む分離ビーズを含み、そしてビーズおよび第2の標的特異的プローブを含む検出ビーズを含む。プローブセットの分離ビーズは、検出ビーズよりも高い密度を有する。
【0105】
各々のプローブセットの分離ビーズはさらに、第1の標的特異的プローブに特異的な第1のコード化可能標識を含み、そして各々のビーズセットの検出ビーズはさらに、第2の標的特異的プローブに特異的な第2のコード化可能標識を含む。第1のコード化可能標識は、第2のコード化可能標識と検出可能に相違する。各々のビーズセットにおける標的特異的プローブは、相補的な標的配列に互いに隣接してハイブリダイズする場合、一緒に連結されるのに適している。
【0106】
サンプルが、所定のプローブセットの第1および第2の標的特異的プローブに相補的な標的核酸配列を含む場合、プローブは、リガーゼ(L)の存在下でアニーリングし連結されて、分離ビーズおよび検出ビーズを含む検出可能な複合体を形成する(例えば、図7を参照のこと)。連結後、標的核酸配列は、検出可能な複合体から熱変性される。
【0107】
図8および図9に示される特定の実施形態において、サンプルは次いで、密度勾配に供され、それによって、検出可能な複合体および検出ビーズが、容器中で、分離ビーズの上に配置される。検出可能な複合体は次いで、磁気供給源によって、連結していない検出ビーズから分離され得る。例えば、検出可能な複合体を、磁気供給源を用いて連結していない検出ビーズを含むサンプルから除去し得、そして、検出可能な複合体は、連結していないビーズをいっさい含まない分離容器中に入れ得る。(図8および9を参照のこと)。次いで、コード化可能標識の特有の組み合わせの計数によって、検出可能な複合体の存在または非存在を検出し得る。
【0108】
特定の実施形態において、より高密度の連結していない分離ビーズを引きつけ保持するが、より低密度の検出可能な複合体および連結していない検出ビーズは引きつけも保持もしない、第2の磁石を容器の底付近で使用し得る(図8を参照のこと)。しかし、このような容器の底付近の第2の磁石は、必須ではない。例えば、特定の実施形態において、任意の連結していない分離ビーズと検出可能な複合体との間の分離の距離が、検出可能な複合体が磁気デバイスに引きつけられることを可能し、かつ連結していない分離ビーズが磁気デバイスに引きつけられるのを許容しないように、ビーズの密度を設計し得る。
【0109】
図10および11に示される特定の実施形態において、連結後、サンプルは加熱され、ハイブリダイズしたプローブおよび標的核酸配列が変性される。重力により、連結していない分離ビーズは、検出可能な複合体および連結していない検出ビーズより下に沈む(図10を参照のこと)。次いで、より高密度の連結していない分離ビーズを引きつけ保持し、かつより低密度の検出可能な複合体および連結していない検出ビーズを引きつけも保持もしないように、容器の底付近に電磁石(磁石)を配置し得る(図11を参照のこと)。また、検出可能な複合体を引きつけ保持するように、容器の上面に電磁石(磁石)を配置し得る(図11を参照のこと)。
【0110】
検出可能な複合体を保持する電磁石は次いで持ち上げられ、検出可能な複合体が、連結していない検出ビーズから分離され得る(図11および12を参照のこと)。次いで、コード化可能標識の特有の組み合わせを計数することによって、連結していないビーズを含むサンプルから検出可能な複合体を除去することなく、検出可能な複合体の存在または非存在を検出し得る(図12を参照のこと)。図12は、検出可能な複合体が照射され、コードが識別され、そして連結産物がPMTセンサにより計数される特定の実施形態を示す。
【0111】
図18に示す特定の実施形態において、第1のコード化可能標識を含む磁性ビーズおよび第2のコード化可能標識を含む非磁性ビーズを含む検出可能な複合体が形成される。特定の実施形態において、電磁石(磁石)が、ビーズおよび検出可能な複合体を含む反応容器のすぐ下に配置される。電磁石のスイッチが入れられた場合、検出可能な複合体および検出可能な複合体中に存在しない磁性ビーズは、容器の底に引きつけられる。図18Cを参照のこと。
【0112】
特定の実施形態において、検出可能な複合体中に存在しない非磁性ビーズおよび他の非磁性部分は、入口チューブおよび出口チューブを備える連続フローシステムにより除去される。図18Dを参照のこと。特定の実施形態において、電磁石のスイッチが次いで切られ、検出可能な複合体および検出可能な複合体中に存在しない磁性ビーズが、フローサイトメーターのチューブを用いて引き抜かれる。図18Eを参照のこと。
【0113】
特定の実施形態において、検出可能な複合体および検出可能な複合体中に存在しない磁性ビーズが次いで、フローサイトメーターに通され、第1および第2のコード化可能標識の組み合わせのみが計数される。図18Fを参照のこと。このような実施形態において、検出可能な複合体中に存在しない磁性ビーズは、第1のコード化可能標識のみを含み、これは計数されない。
【0114】
特定の実施形態において、コード化可能標識を含まない磁性ビーズを用いて、図18について上述した方法を実施し得る。検出可能な複合体中に存在しない非磁性ビーズの分離後、検出可能な複合体および検出可能な複合体中に存在しない磁性ビーズが次いで、フローサイトメーターに送られる。このような実施形態において、磁性ビーズはコード化可能標識を有さないので、検出可能な複合体中の非磁性ビーズのコード化可能標識のみが計数される。
【0115】
図19に示される特定の実施形態において、磁性ビーズ、非磁性ビーズ、およびコード化可能標識を含む検出可能な複合体が形成される。特定の実施形態において、第1の電磁石が、ビーズおよび検出可能な複合体を含む反応容器のすぐ下に配置される。第1の電磁石のスイッチが入れられた場合、検出可能な複合体および検出可能な複合体中に存在しない磁性ビーズは、容器の底に引きつけられる。図19Cを参照のこと。
【0116】
特定の実施形態において、検出可能な複合体中に存在しない非磁性ビーズおよび他の非磁性部分は、入口チューブおよび出口チューブを備える連続フローシステムにより除去される。図19Dを参照のこと。特定の実施形態において、ひっくり返した場合に実質的な量の液体が流出しないようにひっくり返され得る容器が使用される。特定の実施形態において、このことは、容器をひっくり返した場合に表面張力が容器からの液体の流出を防止するような小さい容器を用いて達成され得る。ひっくり返される容器を用いる実施形態において、容器および第1の電磁石が次いでひっくり返され、そして第1の電磁石のスイッチが切られる。次いで、ひっくり返された容器の底にある第2の電磁石のスイッチが入れられ、検出可能な複合体および検出可能な複合体中に存在しない磁性ビーズが引きつけられる。図19Eを参照のこと。特定の実施形態において、検出可能な複合体は、検出可能な複合体中に存在しない磁性ビーズよりも多くの抵抗および小さい密度を有する。従って、このような実施形態において、検出可能な複合体中に存在しない磁性ビーズは、検出可能な複合体よりも速く、第2の電磁石の方に移動する。検出可能な複合体中に存在しない磁性ビーズが、第2の電磁石上で回収された後(図19Eを参照のこと)、検出可能な複合体は第2の電磁石に達する前に、容器はもとに戻される。
【0117】
特定の実施形態において、検出可能な複合体は、次いで、フローサイトメーター管を用いて引き出され(図19Fを参照のこと)そしてフローサイトメーター通して送られ、そしてこの検出可能な複合体の検出可能な標識が、計数される。
【0118】
特定の実施形態において、図19について上で議論された方法を、コード化可能標識を含まない磁性ビーズを用いて実施し得る。特定の実施形態において、図19について上で議論された方法を、コード化可能標識を含まない非磁性ビーズを用いて実施し得る。
【0119】
図20に示される特定の実施形態において、検出可能な複合体は、磁性ビーズ、非磁性ビーズ、およびコード化可能標識を備えて形成される。フィルタが、容器内に備えられる。特定の実施形態において、磁性ビーズは、これらがフィルタを通過し得るように設計され、そして非磁性ビーズは、これらがフィルタを通過し得ないように設計される。特定の実施形態において、電磁石が、ビーズおよび検出可能な複合体を含む反応容器の下に配置される。第一の電磁石がオンにされると、検出可能な複合体、および検出可能な複合体内にない磁性ビーズが、容器の底部に引き付けられる。図20Cを参照のこと。
【0120】
検出可能な複合体内にない磁性ビーズは、磁石の方へとフィルタを通過する。検出可能な複合体は、磁石の方へと引かれるが、この複合体の非磁性ビーズの観点から、フィルタを通過し得ない。検出可能な複合体は、磁石の引力によって、フィルタに保持される。特定の実施形態において、検出可能な複合体内にない非磁性ビーズ、および他の非磁性部分は、次いで、連続フローシステム(投入管および排出管を備える)によって除去される。図20Dを参照のこと。特定の実施形態において、検出可能な複合体は、次いで、電磁石からフィルタを離して移動させることによって、検出可能な複合体内にない磁性ビーズから分離され得る。このようなフィルタの移動は、検出可能な複合体を、電磁石から離して、そして検出可能な複合体内にない磁性ビーズから離して引く。
【0121】
特定の実施形態において、検出可能な複合体は、次いで、フローサイトメーター管で引き出される。図20Eを参照のこと。特定の実施形態において、検出可能な複合体は、次いで、フローサイトメーターを通して送られ、そして検出可能な複合体のコード化可能標識が計数される。図20Fを参照のこと。
【0122】
特定の実施形態において、図20について上で議論された方法を、コード化可能標識を含まない磁性ビーズを用いて実施し得る。特定の実施形態において、図20について上で議論された方法を、コード化可能標識を含まない非磁性ビーズを用いて実施し得る。
【0123】
特定の実施形態において、容器内の溝を使用し得、この溝は、検出可能な複合体を、標識のセットの存在または非存在の検出を容易にする様式で整列させることを補助する。特定の実施形態において、「整列した連結産物」とは、産物の分離ビーズが、検出ビーズより容器の所定の表面に近い産物である。例えば、図13に示される特定の実施形態において、分離ビーズは、大きさが検出ビーズより小さくあり得る。溝は、この溝内に分離ビーズがフィットするように設計され、そして分離ビーズは、この溝にフィットするためには大きすぎる(図13を参照のこと)。特定の実施形態において、磁気供給源を、容器内の溝の近くに配置して、分離ビーズをこの溝内に誘引および保持し得る。次いで、コード化可能標識の組み合わせを計数して、検出可能な複合体の存在または非存在を検出し得る。図13に示される特定の実施形態において、溝は、角度の付いた励起ビームが、読み取りの少ない両方のビーズを照射するように、検出可能な複合体を配置する。
【0124】
特定の実施形態において、電気泳動がまた使用されて、分離部分を、電荷によってかまたは電荷:質量比によって分離し得る。特定の実施形態において、荷電した分離部分はまた、イオン交換によって(例えば、イオン交換カラムまたは電荷に基づくクロマトグラフィーを使用することによって)分離され得る。
【0125】
特定の実施形態において、分離部分はまた、アフィニティーセットのメンバーであり得る。アフィニティーセットとは、互いに特異的に結合する分子のセットである。例示的なアフィニティーセットとしては、ストレプトアビジン−ビオチン対、相補的な核酸、抗体−抗原対、および親和性結合化学物質(米国特許第5,831,046号;同第5,852,178号;同第5,859,210号;同第5,872,224号;同第5,877,297号;同第6,008,406号;同第6,013,783号;同第6,031,17号;および同第6,075,126号によって例示されるように、ProlinxTM(Bothell,WA)から入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
特定の実施形態において、分離部分は、それらの移動度の観点で分離される。特定の実施形態において、移動度の観点で分離することは、分離部分の大きさによって達成される。特定の実施形態において、移動度改変剤が、電気泳動の間に使用され得る。例示的な移動度改変剤およびそれらの使用法は、例えば、米国特許第5,470,705号;同第5,580,732号;同第5,624,800号;および同第5,989,871号に記載されている。特定の実施形態において、コード化可能標識の移動度を変化させることによって、標的の存在に関連する信号を、標的の存在に関連しない標識からの信号と区別し得る。
【0127】
特定の実施形態において、2つ以上の異なる分離部分または方法が使用され得る。非限定的な例として、特定の実施形態において、検出可能な複合体は、磁性ビーズ、連結産物、およびビオチンコーティングされたビーズを備え得る。例えば、図21、パートAを参照のこと。ストレプトアビジンでコーティングされた電磁石が、サンプルに入れられ、そしてオンにされる。例えば、図21、パートBを参照のこと。検出可能な複合体および検出可能な複合体中にない磁性ビーズは、電磁石に引き付けられる。検出可能な複合体におけるビオチンコーティングされたビーズは、電磁石上のストレプトアビジンに結合する。例えば、図21、パートCを参照のこと。次いで、電磁石がオフにされ、そして検出可能な複合体内にない磁性ビーズがこの電磁石から落ち、一方で、検出可能な複合体は、電磁石に結合したままである。特定の実施形態において、この電磁石は、次いで、検出可能な複合体がこの電磁石に結合した状態で、サンプルから取り除かれ、そして検出可能な複合体内のコード化可能標識が、カメラまたはスキャナによって検出される。例えば、図21、パートDを参照のこと。
【0128】
特定の実施形態において、標的の存在は、検出可能な複合体の形成を容易にするよりむしろ、防止する。特定のこのような実施形態において、プローブおよび/またはコード化可能標識の数は、制限される。特定のこのような実施形態において、検出可能な複合体の計数は、標的と結合しない、多数のコード化可能標識を提供する。計数された、検出可能な結合体の数を、標的の完全な非存在下において予測される検出可能な複合体の総数から減算することによって、サンプル中に存在する標的の数が与えられる。
【0129】
(検出可能な複合体の管分離における管)
図28に示される特定の実施形態において、検出可能な複合体は、コード化可能標識および分離部分(例えば、ビオチン分子)を含むビーズを備えて形成される。特定の実施形態において、検出可能な複合体を形成するプロセスにおいて、連結反応を包含し得る。特定の実施形態において、検出可能な複合体を形成するプロセスにおいて、抗体−ペプチド反応を包含し得る。特定の実施形態において、ビオチン以外の分離部分を使用し得る。
【0130】
図28に示される実施形態において、コード化可能標識を含むビーズを有する第一のプローブ、およびビオチンに結合した第二のプローブを含む、プローブセットが使用される。図28Aにおいて、標的が存在する場合に、連結が起こって、検出可能な複合体を形成する。図28(B)に示される特定の実施形態において、ストレプトアビジンコーティングされた磁性ビーズが、添加される。ストレプトアビジンコーティングされたビーズは、検出可能な複合体内のビオチン分子に結合する。特定の実施形態において、コード化可能標識を含む、ビオチンに連結していないビーズは、ストレプトアビジンコーティングされた磁性ビーズに結合しない。特定の実施形態において、図28に示されるプロセスは、連結に関与しないプロセスを使用することによって、コード化可能標識およびビオチンを含むビーズを含む、検出可能な複合体を形成するように改変され得る。
【0131】
図28(C)に示される特定の実施形態において示されるように、第一の管が提供され、この管は、より大きい第二の管の内部に配置される。特定の実施形態において、これら2つの管は、コード化可能標識を含むビーズより大きい密度を有する緩衝液で、部分的に満たされる。特定の実施形態において、第二の管は、この緩衝液で部分的に満たされ、そしてこの第二の管は、外側の管の内部に配置され、その結果、この緩衝液は、第一の管および第二の管において、つり合った高さにくる。
【0132】
特定の実施形態において、連結反応後、サンプルの少なくとも一部が、第一の管の内部の高密度緩衝液の頂部に配置され、その結果、ビーズが緩衝液中で浮遊する。図28(D)に示される特定の実施形態において、次いで、磁石が、第二の管の底部に適用され、その結果、結合していないストレプトアビジンコーティングされた磁性ビーズおよび検出可能な複合体が、第二の管の底部におけるこの磁石に引き付けられる。検出可能な複合体内にない、コード化可能標識を含むビーズは、第一の管内の高密度緩衝液に浮遊したままであるか、またはこの緩衝液の頂部へと浮遊したままである。図28(E)に示される特定の実施形態において、第一の管の頂部は、実質的に密封してシールされており、そして第一の管は、第二の管内の緩衝液より上に持ち上げられる。従って、検出可能な複合体内にはないコード化可能標識を含むビーズは、検出可能な複合体を含む緩衝液から分離される。特定の実施形態において、第一の管は、ビーズが第二の管の壁に接着することを防止する。
【0133】
特定の実施形態において、第二の管内の検出可能な複合体は、計数されるために取り出され得る。特定の実施形態において、検出可能な複合体は、フローサイトメーターの使用に供される。特定の実施形態において、第二の管の底部の磁石は、検出可能な複合体と共に取り除かれ、そしてコード化可能標識が、この磁石上で検出される。
【0134】
(検出方法)
特定の実施形態において、本発明は、コード化可能標識の検出を提供する。特定の実施形態において、本発明は、標識の計数を提供する。標識の検出および/または計数のいくつかの方法が企図され、そして当業者は、補発明のコード化可能標識を検出および/または計数し得る種々の方法を理解する。
【0135】
上で議論されたように、検出可能な標識の計数とは、個々の標識の実際の計数をいう。特定の実施形態において、検出および/または計数とは、検出可能に異なる複数の標識が同一の手順において使用される場合、標識のコードを同定することをさらに包含する。
【0136】
特定の実施形態において、コード化可能標識は、ある型のフローサイトメトリー(例えば、蛍光補助セルソーター(FACS)、LuminexTM検出デバイス、または単一のコード化可能標識分子の検出のために開発された類似の技術)を用いて検出される。特定の実施形態において、コード化可能標識は、電気泳動によって分解され、そしてコード化可能標識の電気泳動移動の間または後に検出される。電気泳動としては、キャピラリー電気泳動および電解電気泳動が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、このような方法は、コード化可能標識を励起させるデバイス(例えば、非限定的な例として、レーザー)およびコード化可能標識を計数する走査デバイスを包含する。図9に示される特定の実施形態において、検出可能な複合体は、検出容器内に放出され、そしてこの容器の底部に沈降する検出可能な複合体が、PMTセンサによって読み取られる。特定の実施形態において、PMTセンサは、60分未満で1000万のビーズを走査する、10個の500kHzデジタイザーを備える6要素PMTデバイスである。
【0137】
特定の実施形態において、検出の他の方法は、静的な検出方法を包含する。特定の実施形態において、このような方法は、コード化可能標識または複合体を、プレート(非限定的な例として)上に配置する工程、コード化可能標識を1つ以上の励起源(例えば、レーザーまたは異なる波長)で励起させる工程、およびコード化可能標識を計数するために、平面にわたって走査デバイスを移動させる工程を包含する。特定の実施形態において、このプレートは、走査デバイスの検出場を横切って前後に移動される。特定の実施形態において、コード化可能標識は、プレートまたはスライドに付着される。特定の実施形態において、カメラが、場全体を画像化し得、そしてコード化可能標識を計数するために、この画像が走査され得る。
【0138】
特定の実施形態によれば、サンプル中の複数の標的が検出され得、そして異なるコード化可能標識を使用して区別され得る。特定の実施形態において、コード化可能標識は、2つ以上の標識を使用してコード化され得る(例えば、特定の実施形態において、量子ドット、発蛍光団、または色素が使用される)。特定の実施形態において、複数の波長または色の標識を使用し得、これは、潜在的な異なるコード化可能標識の数を増加させる。例えば、所定のコード化可能標識が二進コードを与えられる場合、標識の特定の色の存在または非存在が検出され得る(「1」または「0」のいずれか、従って、二進コード)。1つのみの二進色が使用される場合、2つのコードが存在し、一方は、標識を有し、そして一方な、標識を有さない。2つの二進色が使用される場合(例えば、赤色および青色)、4つのコードが可能である((1)赤色、(2)青色、(3)赤色および青色、ならびに(4)色なし)(図3を参照のこと)。各さらなる色は、可能なコードを2ずつ増加させる。従って、10色の標識が使用される場合、1,024の二進コードが可能である。
【0139】
特定の実施形態において、このコード化可能標識は、ビーズに組み込まれるかまたはビーズに結合される。特定の実施形態において、このコード化可能標識は、ビーズに組み込まれることなしに、プローブに直接結合され得る。
【0140】
強度がまた、コード化可能標識を区別するときの要因として使用され得る。特定の実施形態において、単波長の標識を同一数含むコード化可能標識を使用することによって、強度のバリエーションが達成され得るが、異なるプローブを有する異なるコード化可能標識は、様々な強度レベルを有する標識を有する。特定の実施形態において、単一放射スペクトルの同一数の標識を含むコード化可能標識を使用することによって、強度のバリエーションが達成され得るが、様々なプローブを有する様々なコード化可能標識は、様々な強度レベルを有する標識を有する。特定の実施形態において、様々なプローブに結合する様々なコード化可能標識おいて同一波長の標識数を変化させることによって、強度バリエーションが達成され得る。特定の実施形態において、様々なプローブに結合する様々なコード化可能標識おける同一放射スペクトルの標識数を変化させることによって強度バリエーションが達成され得る。例えば、特定の実施形態において、様々なコード化可能標識において同一波長の標識を使用し得、そして、各々の異なるセットにおける異なる数の標識を使用して、コード化可能標識間の区別をし得る。例えば、コード化可能標識が、3成分コード(標識の各々の色について強度の3つのレベル)を与えられる場合、標識の1つの色は、以下の可能なコードを提供する:(1)標識なし、(2)1標識、および(3)2標識。2つの色が使用される場合に、9個の3成分コードが可能である(図3における非限定的な例を参照のこと)。6色によって、729の3成分コードが可能となる。
【0141】
さらに、コード化可能標識が、(例えば、ビーズに組み込むことによって)プローブセットの2つのプローブに結合される場合、潜在的なコードの数がさらに倍増される(図4における非限定的な例を参照のこと)。例えば、2成分コードにおいて2色を使用すると、16の異なるプローブセットコードが、可能である(4×4)。3成分コードにおいて2色を使用すると、81の異なるプローブセットコードが可能である(9×9)。2成分コードにおいて10色を使用すると、百万を超えるプローブセットコードが可能である(1,024×1,024)。3成分コードにおいて6色を使用すると、500,000を超えるプローブセットコードが可能である(729×729)。
【0142】
さらに、特定の実施形態において、その標識(例えば、量子ドット)は、信号を伝達するのに特に効率よく、その結果、コード化可能標識は、検出され得る。特定のこのような実施形態において、このコード化可能標識は、標的増幅なしに、サンプル内の極少数の分子を検出するために使用され得る。
【0143】
特定の実施形態において、プローブセットは、分離ビーズおよび検出ビーズを含み、この分離ビーズは、分離部分、第1のプローブおよび第1のコード化可能標識を含み;そして、この検出ビーズは、第2プローブおよび第2コード化可能標識を含む。特定のこのような実施形態において、第1のコード化可能標識は、第1のプローブに特異的な強度レベルを有する。特定のこのような実施形態において、第2のコード化可能標識は、第2のプローブに特異的な強度レベルを有する。特定の実施形態において、プローブセットのビーズは、同一の波長の標識を含むが、第1のコード化可能標識は、第1のプローブに特異的な強度レベルを有し、そして、第2のコード化可能標識は、第2のプローブに特異的な強度レベルを有する。
【0144】
特定の実施形態において、コード化可能標識は、少なくとも1,000標識を含み、ここでこれらの標識は、各々のコード化可能標識を、他のコード化可能標識と区別させる予め決定された波長の組み合わせを有する。
【0145】
特定の実施形態において、このコード化可能標識は、2〜1,000を超える任意の標識数を含み得る。特定の実施形態において、検出可能な複合体中の特定の標的特異的プローブの存在または非存在を検出を可能にするコード化可能標識を使用する。特定の実施形態において、コード化可能標識を使用して、その結果、標識の特定の組み合わせの存在の検出によって、1つの特定の検出可能な複合体の存在を確認する。そして、標識のこのような特定の組み合わせの非存在の検出によって、1つの特異的な検出可能複合体の非存在が確認される。
【0146】
特定の実施形態において、これらの標識は、量子ドット、蛍光体(phosphor)、および蛍光色素から選択される。
【0147】
特定の実施形態において、それは、第1のビーズおよび第2のビーズを使用すると特定の実施形態において、そのプローブセットの分離ビーズをおよび検出ビーズをの両方が、磁性粒子を含む。特定のこのような実施形態において、これらのビーズは、伸長され、そしてその一方の端に磁性粒子を含み、他方の端に標的特異的プローブを含む。これらのビーズは、そのビーズの長さ方向に沿った特定の順序で配置された標識をさらに含む(例えば、図14(a)を参照のこと)。例えば、米国特許第4,053,433号(これは、特定の順序で標識を有する伸長したポリマーについて記載する)を参照のこと。
【0148】
特定の実施形態において、このビーズにおける磁性粒子の極性または方向は、その検出可能な複合体の整列が容易になるように設計される。例えば、特定の実施形態において、検出可能な複合体を含む容器が、磁気供給源の付近に位置付けられる、表面上の溝(グルーブ)を備える(例えば、図14(b)を参照のこと)。それらのビーズにおける磁性粒子の極性または方向によって、検出可能な複合体の第2のビーズよりも、検出可能な複合体の各々の第1のビーズを溝の一方の端に近接させた、その溝内での検出可能な複合体の整列を生じるように、これらのビーズは設計される(例えば、図14(b)を参照のこと)。次いで、コード化可能標識の特定の順序の組み合わせを定量することによって、検出可能な複合体を定量し得る。
【0149】
このような実施形態において、同一のコード化可能標識を含む、第1のビーズおよび第2のビーズを有するプローブセット使用し得る。なぜならば、この同一のコード化可能標識の順序は、整列した検出可能複合体における、第1のビーズ上、および第2のビーズ上において異なっているためである(例えば、図14(c)を参照のこと)。
【0150】
(本発明の例示的実施形態)
標識が核酸配列である特定の実施形態において、プローブの配列特異的部分は、標的配列において相補的な配列に対して特異的なアニーリングをすることを可能にするのに十分な長さである。特定の実施形態において、配列特異的な部分の長さは、12〜35ヌクレオチドである。配列特異的アニーリングを提供するプローブ設計の詳細な説明が、特に、DiffenbachおよびDveksler,PCR Primer,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,1995,ならびにKwokら(Nucl.Acid Res.18:999−1005,1990)において見出され得る。
【0151】
特定の実施形態において、本発明に従うプローブは、第1の標的特異的プローブおよび第2の標的特異的プローブを含み、ここで、これらのプローブは、同一の標的配列に近接してハイブリダイズする。各々のプローブセットにおける第1の標的特異的プローブの配列特異的部分は、配列特異的様式で標的配列の下流領域とハイブリダイズするように設計される(例えば、図1におけるプローブAを参照のこと)。そのプローブセットにおける第2の標的特異的プローブの配列特異的部分は、配列特異的様式で、標的配列の上流領域とハイブリダイズするように設計される(例えば、図1のプローブZを参照のこと)。そのプローブの配列特異的部分は、適切に、標的配列において相補的な配列と特異的にアニーリングすることを可能にするのに十分な長さである。適切な条件下において、隣接してハイブリダイズするプローブは、一緒に連結されて、連結生成物が形成され得るが、但し、これらは、適切な反応基(例えば、以下に限定することはないが、遊離した、3’水酸基、または5’リン酸基である)を含む。
【0152】
特定の実施形態において、2つの異なるプローブセット、1以上のヌクレオチド異なる2つの異なる標的配列を定量するために使用され得る(例えば、図2を参照のこと)。本発明の特定の実施形態に従って、第1の標的特異的プローブの配列特異的部分が下流の標的領域とハイブリダイズし(例えば、図1のプローブAおよび図2のプローブAおよびBを参照のこと)、そして、第2の標的特異的プローブの配列特異的部分が上流の標的領域とハイブリダイズする(例えば、図1および図2のプローブZを参照のこと)ように、プローブセットは、設計される。特定の実施形態において、この中心的ヌクレオチド塩基に相補的な、すなわち、「中心的相補体(pivotal complement)」であるヌクレオチド塩基は、そのプローブセットの第1の標的特異的プローブまたは第2の標的特異的プローブのいずれかの近位端の上に存在する(例えば、図1におけるプローブAの3’末端、ならびに図2における、プローブAおよびプローブBの3’末端を参照のこと)。
【0153】
そのプローブセットの第1および第2の標的特異的プローブが、適切な上流および下流の標的領域にハイブリダイズし、そして、その中心的相補体は、その標的配列上でその中心的ヌクレオチドと塩基対形成する場合に、そのハイブリダイズした第1および第2の標的特異的プローブは、一緒に連結され、連結産物を形成し得る(例えば、図2(b)〜(c)を参照のこと)。しかし、中心的ヌクレオチドでの誤対合(ミスマッチ)した塩基は、誤対合がなければ両方のプローブがそれらの各々の標的領域に完全にハイブリダイズするような場合でさえも、その連結反応を妨害する(図2(b)〜(c)を参照のこと)。従って、特定の実施形態において、単一のヌクレオチドとういう少ない程度で異なる高度に関連性のある配列が、識別され得る。
【0154】
例えば、特定の実施形態に従って、以下のような2つの異なるプローブセットを使用して1つの対立遺伝子座における2つの潜在的な対立遺伝子を識別し得る。各々プローブセットのちの第1の標的特異的プローブが、その中心的相補体で、互いに異なり、そして、その2つの異なる第1の標的特異的プローブと結合したコード化可能標識は、検出可能なほど異なっている(例えば、図2(a)におけるプローブAおよびプローブBを伴うコード化可能標識を参照のこと)。各々のプローブセットはまた、同一の第2の標的特異的プローブを含み得、そして、その同一の2つの第2の標的特異的プローブに結合するコード化可能標識は同一である(例えば、図2(a)のプローブZを伴うコード化可能標識を参照のこと)。
【0155】
2つの異なるプローブセットと、このサンプルとを組み合わせ得る。(特定の実施形態において、各々のプローブセットのプローブのうちの1つは、分離部分をさらに含み得る。3つの標的特異的プローブの全ては、適切な条件下で、標的配列とハイブリダイズする(図2(b)を参照のこと)。ハイブリダイズした中心的相補体を伴う第1の標的特異的プローブが、ハイブリダイズした第2の標的特異的プローブと連結する(例えば、図2(c)を参照のこと)。従って、1つの対立遺伝子のみがサンプル中に存在する場合に、その標的に対して1つの連結反応物のみが、生成される(例えば、図2(d)における連結産物A−Zを参照のこと)。両方の連結反応物(A−ZおよびB−Z)は、ヘテロ接合性の個体からのサンプル中に形成される。
【0156】
さらに、特定の実施形態において、プローブセットは、第1の標的特異的プローブまたは第2の標的特異的プローブの末端における中心的相補体を含まない。むしろ、この標的ヌクレオチドまたは検出されるべきヌクレオチドは、第1の標的特異的プローブまたは第2の特異的プローブのいずれかの配列特異的部分中に位置付けられる。それらの標的領域と完全に相補的な配列特異的部分を有するプローブは、高ストリンジェンシー条件下でハイブリダイズする。対照的に、配列特異的部分において1以上の誤対合塩基を有するプローブは、それらのそれぞれの標的領域にハイブリダイズしない。第1の標的特異的プローブおよび第2の標的特異的プローブの両方が、連結生成物が生成されるためにはその標的とハイブリダイズされなければならない。検出されるヌクレオチドは、両方とも、中心的または内部のものである。
【0157】
特定の実施形態において、プローブセット中の第1の標的特異的プローブおよび第2の標的特異的プローブは、類似の融点(Tm)を有するように設計される。特定の実施形態において、プローブが中心的相補体を含む場合に、求められる標的中心的ヌクレオチドの中心的相補体を含むプローブに対するTは、プローブセット中に中心的相補体を含まない他のプローブに比べて、約4℃〜6℃低い。好ましくは、この中心的相補体を含むプローブはまた、連結温度付近のTを有するように設計される。従って、このような実施形態において、誤対合したヌクレオチドを有するプローブは、この連結温度においてその標的からより容易に解離しやすい。このような実施形態では、従って、この連結温度は、例えば、その標的中の複数の潜在的な対立遺伝子の間を区別するために別の方法を提供する。
【0158】
(検出標的の特定の例示的実施形態)
本発明は、サンプル中の標的を定量するための方法、試薬、およびキットに関する。特定の実施形態において、連結反応を使用して標的核酸配列の存在または非存在を検出する。
【0159】
特定の実施形態において、検出されるべき標的核酸配列の各々について、少なくとも1つの第1の標的特異的プローブおよび少なくとも1つの第2の標的特異的プローブを含むプローブセットが、サンプルおよび必要に応じて連結剤とともに、組み合わされて、連結反応混合物を形成する。この少なくとも1つの第1のプローブは、少なくとも2つの標識を含む第1のコード化可能標識をさらに含み、そして、その第1のコード化可能標識は、第1の標的特異的プローブに対して特異的である。この少なくとも1つの第2のプローブは、少なくとも2つの標識を含む第2のコード化可能標識を含み、そして、その第2のコード化可能標識は、第2の標的特異的プローブに対して特異的である。この第1のコード化可能標識は、第2のコード化標識とは検出可能に異なる。
【0160】
特定の実施形態において、各プローブセット中の第1および第2の標的特異的プローブを、標的配列の中心的ヌクレオチドにすぐ隣接する配列に相補的であるように設計する(例えば、図2(a)のプローブA、B、およびZを参照のこと)。プローブセットの第1の標的特異的プローブまたは第2の標的特異的プローブのいずれか(しかし、両方ではない)は、中心的相補体を含む(例えば、図2(a)のプローブAを参照のこと)。標的配列がサンプル中の存在する場合、第1および第2の標的特異的プローブは、適切な条件下で、標的上の隣接する領域にハイブリダイズする(例えば、図2(b)を参照のこと)。中心的相補体が、適切な連結薬剤の存在下で塩基対形成される場合、2つの隣接したハイブリダイズされるプローブを、ともに連結して、連結産物を形成し得る(例えば、図2(c)を参照のこと)。
【0161】
次いで、連結産物の存在または非存在を検出することにより、標的核酸配列の存在または非存在が検出され得る。
【0162】
複数の対立遺伝子を検出することを包含するが、これらに限定されない、特定の実施形態において、連結反応混合物は、複数対立遺伝子標的遺伝子座(multiallelictarget locus)における各潜在的な対立遺伝子についての異なるプローブセットを含み得る。特定の実施形態において、例えば、それらに限定されないが、単一のスクリーニングアッセイが、6つのプローブセットを使用して、個体における3つの二対立遺伝子座(例えば、L1、L2、およびL3)の存在を検出するために使用され得る。例えば、以下の表1を参照のこと。
【0163】
【表1】

このような実施形態において、2つの異なるプローブセットは、各遺伝子座における各対立遺伝子の存在または非存在を検出するために使用される。各遺伝子座に対するこの2つの異なるプローブセットの第1の標的特異的プローブ(例えば、遺伝子座L1に対するプローブAおよびプローブB)は、同じ上流配列特異的部分を含むが、中心的相補体において異なる。また、この2つの異なるプローブAおよびプローブBは、異なるコード化可能標識を含む。各遺伝子座に対するこの2つの異なるプローブセットの第2の標的特異的プローブ(例えば、遺伝子座L1に対するプローブZ)は、同じ下流配列特異的部分を含む。また、このプローブZは、同じコード化可能配列を含む。(特定の実施形態において、各プローブセットのうちのプローブの1つは、分離部分をさらに含み得、各プローブセットのうちの他方のプローブは、分離部分を含んでいなくても良い)。
【0164】
従って、表1に示される実施形態において、3つのプローブA、B、およびZは、2つのあり得るL1連結産物を形成するために使用され、ここでAZは、第1のL1対立遺伝の連結産物であり、BZは、第2のL1対立遺伝子の連結産物である。同様に、プローブC、D、およびYは、2つのあり得るL2連結産物を形成するために使用される。同様に、プローブE、FおよびXは、2つのあり得るL3連結産物を形成するために使用される。
【0165】
隣接してハイブリダイズされた第1および第2の標的特異的プローブの連結の後、各対立遺伝子についてコード化可能標識の独特の組み合わせの存在または非存在を検出することにより、その遺伝子座の各々に対する対立遺伝子の各々の連結産物の存在または非存在が検出され得る。例えば、コード化可能標識の以下の組み合わせが検出され得る:(1)2赤色/2青色;(2)4橙色/4青色;(3)2黄色/2緑色;および(4)4黄色/2緑色。このような個体は、遺伝子座L1における対立遺伝子1についてホモ接合性、遺伝子座L2における対立遺伝子2についてホモ接合性、および遺伝子座L3における対立遺伝子1および2の両方についてヘテロ接合性であると決定される。
【0166】
当業者は、特定の実施形態において、複数対立遺伝子座における3つ以上の対立遺伝子がまた、これらの方法を使用して区別され得ることを理解する。また、特定の実施形態において、1つを超える遺伝子座が分析され得る。
【0167】
当業者は、特定の実施形態において、プローブが、第1の標的特異的プローブまたは第2の標的特異的プローブのいずれかにおける任意の位置で中心的相補体を伴って設計され得ることを理解する。さらに、特定の実施形態において、複数の中心的相補体を含む標的特異的プローブは、本発明の範囲内である。
【0168】
(スプライス改変体の検出)
特定の実施形態に従って、本発明は、標的核酸配列におけるスプライス改変体を同定するために使用され得る。例えば、遺伝子(タンパク質をコードするDNA)は、非コード領域(イントロンといわれる)が散在する一連のコード領域(エキソンといわれる)を含み得る。スプライシングプロセスにおいて、イントロンが除去され、エキソンは、最終的なRNA分子(代表的には、メッセンジャーRNA(mRNA))が、連続したコード配列を含むように、並置される。いくつかの遺伝子は、単一のタンパク質またはポリペプチドをコードする一方、他の遺伝子には、選択的スプライシングに起因して、複数のタンパク質またはポリペプチドをコードし得る。
【0169】
例えば、遺伝子は、少なくとも1つのイントロンによって他のエキソンから各々分離されている、5つのエキソンを含み得る(図5を参照のこと)。一次転写物をコードする仮定遺伝子(図5の上に示される)は、3つの異なるタンパク質をコードし、その各々は、3つの成熟mRNAのうちの1つによってコードされる(図5の下に示される)。選択的スプライシングに起因して、エキソン1は、(a)エキソン2a−エキソン3、(b)エキソン2b−エキソン3、または(c)エキソン2c−エキソン3と並置しており、この3つのスプライシング選択肢(これは、成熟mRNAの3つの異なるバージョンを生じる)は、図5に示される。
【0170】
ラット筋肉タンパク質であるトロポニンTは、選択的スプライシングの一例に過ぎない。トロポニンTをコードする遺伝子は、5つのエキソン(W、X、α、β、およびZ)を含み、各々は、最終的タンパク質のドメインをコードする。この5つのエキソンは、イントロンによって分離されている。2つの異なるタンパク質(α−形態およびβ−形態)が、トロポニンT遺伝子の選択的スプライシングによって生成される。α−形態は、エキソンW、X、α、およびZを含むmRNAから翻訳される。β−形態は、エキソンW、X、β、およびZを含むmRNAから翻訳される。
【0171】
特定の実施形態において、各異なるスプライス改変体に対する異なるプローブセットを使用して、サンプル中の少なくとも1つの標的核酸配列における異なるスプライス改変体の存在または非存在を検出するための方法が提供される。
【0172】
スプライス改変体を同定するための特定の非制限的な実施形態は、図6に例示される。このような実施形態は、2つの異なるスプライス改変体を同定することを可能にする。一方のスプライス改変体は、エキソン1、エキソン2、およびエキソン4(スプライス改変体E1E2E4)を含む。他方のスプライス改変体は、エキソン1、エキソン3、およびエキソン4(スプライス改変体E1E3E4)を含む。
【0173】
スプライス改変体E1E2E4に特異的なプローブセットは、少なくとも1つの第1の標的特異的プローブQを含み、このプローブQは、エキソン1の少なくとも一部にハイブリダイズする配列特異的部分を含む(例えば、このプローブQは、エキソン2またはエキソン3のいずれかに隣接しているエキソン1の末端にハイブリダイズし得る)。この少なくとも1つの第1の標的特異的プローブは、第1のコード化可能標識をさらに含む。スプライス改変体E1E2E4に特異的なこのプローブセットは、少なくとも1つの第2の標的特異的プローブRをさらに含み、このプローブRは、エキソン2の少なくとも一部にハイブリダイズする配列特異的部分を含む(例えば、このプローブRは、エキソン1に隣接するエキソン2の末端にハイブリダイズし得る)。スプライス改変体E1E2E4に特異的なプローブセットのうちの少なくとも1つの第2の標的特異的プローブは、第1のコード化可能標識とは異なって検出される第2のコード化可能標識をさらに含む。
【0174】
スプライス改変体E1E3E4に特異的なプローブセットは、少なくとも1つの第1のプローブを含み、このプローブは、スプライス改変体E1E2E4に特異的なプローブセットのうちの少なくとも第1のプローブと同じである。スプライス改変体E1E3E4に特異的なプローブセットは、少なくとも1つの第2の標的特異的プローブSをさらに含み、このプローブSは、エキソン3の少なくとも一部にハイブリダイズする配列特異的部分を含む(例えば、このプローブSは、エキソン1に隣接しているエキソン3の末端にハイブリダイズし得る)。スプライス改変体E1E3E4に特異的なプローブセットのうちの少なくとも1つの第2のプローブは、第2のコード化可能標識をさらに含み、この第2のコード化可能標識は、第1のコード化可能標識とは異なって検出され、かつスプライス改変体E1E2E4に特異的なプローブセットのうちの少なくとも1つの第2のプローブの第2のコード化可能標識とは異なって検出される。
【0175】
隣接しているハイブリダイズした第1および第2の標的特異的プローブの連結の後、各スプライス改変体に対するコード化可能標識の独特の組み合わせの存在または非存在を検出することにより、スプライス改変体の各々に対する連結産物の存在または非存在が検出され得る。例えば、図6に示される特定の方法において、2つのドットおよび4つのドットの組み合わせを有する連結産物の存在が検出される場合、サンプル中のスプライス改変体E1E2E4の存在が、検出される。コード化可能標識の組み合わせが存在しない場合、サンプル中のスプライス改変体E1E2E4の非存在が検出される。また、図6に示される特定の方法において、2つのドットおよび6つのドットの組み合わせを有する連結産物の存在が検出される場合、サンプル中のスプライス改変体E1E3E4の存在が検出される。コード化可能標識のその組み合わせが存在しない場合、サンプル中のスプライス改変体E1E3E4の非存在が検出される。
【0176】
特定の実施形態において、その少なくとも1つの標的核酸配列は、RNAから生成された少なくとも1つの相補的DNA(cDNA)を含む。特定の実施形態において、その少なくとも1つのcDNAは、少なくとも1つのメッセンジャーRNA(mRNA)から生成される。特定の実施形態において、その少なくとも1つの標的核酸配列は、サンプル中に存在する少なくとも1つのRNA標的配列を含む。
【0177】
(アドレス可能な部分を使用する方法)
特定の実施形態において、独特の特異的にアドレス可能なオリゴヌクレオチド、すなわち「アドレス可能な部分」が使用される。アドレス可能な部分は、アドレス可能な部分の相補体にハイブリダイズするように設計されたオリゴヌクレオチドである。互いに相補的なアドレス可能な部分の対に対して、一方のメンバーは、アドレス可能な部分といわれ、他方は、相補的にアドレス可能な部分といわれる。
【0178】
特定の実施形態において、この方法は、以下を含む連結混合物を形成する工程:第1のプローブ(これは、第1のアドレス可能な部分および第1の標的特異的部分を含む);第2のプローブ(これは、第2のアドレス可能な部分および第2の標的特異的部分を含む)(ここで、第1および第2の標的特異的部分は、標的上に互いに隣接してハイブリダイズされた場合、一緒になって連結するために適切である);連結薬剤;およびサンプル。標的がサンプル中に存在する場合、第1および第2のプローブの第1および第2の標的特異的部分は、一緒に連結されて、連結産物を形成する。
【0179】
図22は、連結反応混合物を含む例示的実施形態を示し、この連結反応混合物は、以下を含む:第1のプローブ12(これは、第1の標的特異的部分14および第1のアドレス可能な部分18を含む);および第2のプローブ20(これは、第2の標的特異的部分22および第2のアドレス可能な部分24を含む)。このプローブの標的特異的部分は、標的16にハイブリダイズする。この連結反応混合物は、連家反応に供され、この第1および第2のプローブの第1および第2の標的特異的部分は、一緒に連結されて、連結産物を形成する。
【0180】
特定の実施形態において、第1のアドレス可能な部分および第2のアドレス可能な部分を含む任意の連結産物の形成の後に、ビーズ対が、連結混合物に添加される。特定の実施形態において、ビーズ対は、第1の相補的なアドレス可能な部分を含む第1のビーズ(ここでこの第1の相補的なアドレス可能な部分は、第1のアドレス可能な部分に相補的である);および第2の相補的なアドレス可能な部分を含む第2のビーズ(ここでこの第2の相補的な部分は、第2のアドレス可能な部分に相補的である)を含む。この連結産物の第1のアドレス可能な部分は、第1のビーズの第1の相補的なアドレス可能な部分にハイブリダイズし、この連結産物の第2のアドレス可能な部分は、第2のビーズの第2の相補的なアドレス可能な部分にハイブリダイズして、第1のビーズ、連結産物、および第2のビーズを含む、検出可能な複合体を形成する。特定の実施形態において、第1のビーズもしくは第2のビーズのいずれか、または両方のビーズは、分離部分であり得る。特定の実施形態において、第1のビーズもしくは第2のビーズのいずれか、または両方のビーズは、コード化可能標識を含み得る。
【0181】
特定の実施形態において、ビーズと結合した、相補的なアドレス可能な部分は、ヘアピン構造中に含まれる。特定の実施形態において、このヘアピン構造は、相補的なアドレス可能な部分およびアンカー部分を含む。特定の実施形態において、このアンカー部分は、この相補的なアドレス可能な部分から上流にあり、このアンカー部分は、互いに相補的な、第1の部分および第2の部分を含む。特定の実施形態において、このヘアピン構造のアンカー部分は、ビーズに結合されている。ヘアピン構造52および54の特定の例示的実施形態は、図23に示される。
【0182】
特定の実施形態において、このヘアピン構造のアンカー部分の第1および第2の部分は、互いにハイブリダイズし、その結果、このアンカー部分は、相補的なアドレス可能な部分および相補的なアドレス可能な部分と連続した末端に折りたたまれている反対側のフリーな末端を含む。例えば、図23を参照のこと。特定の実施形態において、連結産物の第1のアドレス可能な部分および第2のアドレス可能な部分は、それぞれ、第1の相補的なアドレス可能な部分および第2の相補的なアドレス可能な部分にハイブリダイズし、これらアドレス可能な部分は、2つの異なるビーズに結合されている2つの異なるヘアピン構造中に含められて、検出可能な複合体を形成する。例えば、図23を参照のこと。特定の実施形態において、このヘアピン構造が設計されて、その結果、アンカー部分のフリーな末端は、連結産物(これは、ヘアピン構造にハイブリダイズされている)の隣接したアドレス可能な部分と一緒に連結される。例えば、図23を参照のこと。特定のこのような実施形態において、連結産物およびヘアピン構造は、連結反応に供される。このような実施形態において、検出可能な複合体は、ビーズおよび連結産物(これは、ビーズに結合されているヘアピン構造に連結している)を含む。
【0183】
特定の実施形態において、第1のアドレス可能部分および第2のアドレス可能部分を含む任意の連結生成物の形成の後に、連結オリゴヌクレオチド対およびビーズ対が、連結混合物に添加される。特定のこのような例示的な実施形態は、図24に示される。特定の実施形態において、ビーズ対は、第3のアドレス可能部分を含む第1のビーズ;および第4のアドレス可能部分を含む第2のビーズを含む。このような実施形態において、連結オリゴヌクレオチド対は、第1の連結オリゴヌクレオチドおよび第2の連結オリゴヌクレオチドを含む。この第1の連結オリゴヌクレオチドは、連結生成物の第1のアドレス可能部分に相補的な第1の相補的アドレス可能部分;および第1のビーズの第3のアドレス可能部分に相補的な第3の相補的アドレス可能部分を含む。この第2の連結オリゴヌクレオチドは、連結生成物の第2のアドレス可能部分に相補的な第2の相補的アドレス可能部分;および第2のビーズの第4のアドレス可能部分に相補的な第4の相補的アドレス可能部分を含む。第1、第2、第3および第4の特異的アドレス可能部分は、それぞれ、第1、第2、第3および第4の特異的アドレス可能部分にハイブリダイズして、連結生成物およびビーズを含む検出可能な複合体を形成する。特定の実施形態において、第1のビーズもしくは第2のビーズのいずれか、または両方のビーズが、分離部分であり得る。特定の実施形態において、第1のビーズもしくは第2のビーズのいずれか、または両方のビーズが、コード化可能標識を含み得る。
【0184】
特定の実施形態において、連結オリゴヌクレオチドは、第1、第2、第3および第4の特異的アドレス可能部分が、それぞれ、第1、第2、第3および第4の特異的アドレス可能部分にハイブリダイズした後、第1および第3のアドレス安濃部分の隣接末端が、共に連結するのに適切であり、かつ第2および第4のアドレス可能部分の隣接末端が、一緒に連結するのに適切であるように、設計される。特定のこのような実施形態において、ハイブリダイズされた連結生成物、連結オリゴヌクレオチドおよびビーズのアドレス可能部分は、連結反応に供される。このような実施形態において、検出可能な複合体は、ビーズ、およびこのビーズのアドレス可能部分に連結される連結生成物を含む。
【0185】
特定の実施形態において、第1のアドレス可能部分および第2のアドレス可能部分を含む任意の連結生成物の形成の後、この連結生成物は、標的にハイブリダイズされていない過剰なプローブから分離される。特定のこのような実施形態において、標的を捕獲し、かつハイブリダイズされていないプローブが通過するように設計されたフィルターが用いられ得る。連結生成物は、標的にハイブリダイズされるので、この連結生成物もまた、フィルターによって捕獲される。特定の実施形態において、標的にハイブリダイズされていないプローブが除去され、そして連結生成物と共に進行する。
【0186】
特定の実施形態において、連結生成物は、標的由来の連結生成物を変性することによって、標的から分離され得る。特定の実施形態において、この標的は、次いで、破壊され得る。例えば、標的がmRNAである特定の実施形態において、Rnaseが、連結生成物を損傷することなく、mRNAを分解するために加えられ得る。
【0187】
(単一ビーズアッセイ)
特定の実施形態において、標的の検出は、2つの分離部分および1つのコード化可能標識を使用して行われ得る。特定の実施形態において、検出は、図25に示されるように、第1のアドレス可能部分(Z1)および第1の標的特異的部分(TSO1)を含む第1のオリゴヌクレオチドプローブを含むプローブセットを使用する。特定の実施形態において、このプローブセットは、図25に示されるように、第2の標的特異的部分(TSO2)、非特異的スペーサー部分(S)および第1の分離部分(例えば、ビオチン分子)を含む第2のオリゴヌクレオチドプローブをさらに含む。特定の実施形態において、標的の存在下で、第1の標的特異的部分および第2の標的特異的部分は、標的にハイブリダイズし、その結果、これら2つの標的特異的部分は、連結に適切である。従って、特定の実施形態において、標的分子が存在する場合、隣接してハイブリダイズされた2つの第1および第2の連結プローブが、一緒に連結されて、図25に示されるように、第1および第2の特異的部分、第1のアドレス可能部分、スペーサー部分、ならびにビオチン分子を含む連結生成物を形成し得る。
【0188】
特定の実施形態において、この方法は、第2のアドレス可能部分(Z2)を含む1つ以上のオリゴヌクレオチドに結合したコード化可能標識を含むビーズを用いる。例えば、図26を参照のこと。特定の実施形態において、第2のアドレス可能部分Z2は、第1のアドレス可能部分Z1に相補的であり、その結果、連結生成物が形成された場合、このプローブセットは、図26に示されるように、コード化可能標識を含むビーズ、第1のアドレス可能部分Z1にハイブリダイズされた第2のアドレス可能部分Z2、第1および第2の標的特異的部分(TSO1およびTSO2)、スペーサー部分(S)、ならびにビオチン分子を含む検出可能な複合体を形成する。
【0189】
特定の実施形態において、第2のアドレス可能部分Z2を含むオリゴヌクレオチドは、コード化可能標識を含むビーズに共有結合される。特定の実施形態において、この第2のアドレス可能部分Z2は、DNA、LNA、PNA、2’−O−メチル核酸、または任意の他のプローブ材料を含み得る。特定の実施形態において、第1および第2のアドレス可能部分(Z1およびZ2)の配列は、特定の融解点およびハイブリダイゼーション結合強度に最適化される。
【0190】
特定の実施形態において、第2のアドレス可能部分Z2は、コード化可能標識を含むビーズに結合されたヘアピン構造の一部である。例えば、図29を参照のこと。図29に示される特定の実施形態において、このヘアピン構造は、第1のアドレス可能部分Z1が第2のアドレス可能部分Z2にハイブリダイズした場合に、この第1のアドレス可能部分が、ヘアピン構造の3’末端への連結に適切であるような構造である。特定の実施形態において、連結生成物は、ヘアピン構造の3’末端に連結されて、検出可能な複合体を形成する。
【0191】
特定の実施形態において、コード化可能標識を含むビーズは、磁性材料(例えば、フェライト)と共に埋めこまれたポリスチレンビーズであり、このことは、このようなビーズを磁性にし、特定の緩衝液よりも高密度にする。特定の実施形態において、コード化可能標識は、ビーズに埋めこまれたかまたはビーズに結合された光子放出粒子であり得る。特定の実施形態において、この光子放出粒子は、固有の波長でシグナルを生成し得、そして各ビーズの粒子数は変化し得、これにより、異なるシグナル強度および波長が固有のビーズの数が固有のビーズ数を増加させ得る。
【0192】
特定の実施形態において、連結反応の後、この混合物は、図27(A)に示されるように、コード化可能標識を含む容器に加えられる。特定の実施形態において、連結反応後、この混合物をコード化可能標識を含むビーズを含む容器に加える前に、連結生成物中に存在しない第1のオリゴヌクレオチドプローブが、3’ホスフェート末端で始まるプローブを破壊する化学によって、実質的に除去され得る。このような実施形態において、連結生成物は、破壊されなければならない。なぜなら、ビオチン分子は、3’末端に存在するからである。特定の実施形態において、標的は、非限定的な例として、RNaseを用いるような酵素消化によって、実質的に除去され得る。特定の実施形態において、フィルターが、RNA標的またはDNA標的を除去するために使用され得る。
【0193】
図27(B)に示される特定の実施形態において、検出可能な複合体が、ストレプトアビジン被覆磁石に曝露され、そしてビーズがこの磁石に結合される。図27(C)に示される特定の実施形態において、この磁石が切られ、そしてビオチン分子との検出可能な複合体は、ストレプトアビジン被覆磁石に結合したままであり、一方、検出可能な複合体に存在しないコード化可能標識を含むビーズは、このストレプトアビジン被覆磁石から離れて落ちる。特定の実施形態において、第2の磁石が容器の底に置かれ得、その結果、この第2の磁石は、ストレプトアビジン被覆磁石から未結合のビーズを除去するが、ビオチン分子によってストレプトアビジン被覆磁石に結合された検出可能な複合体中のビーズは除去しない。図27(D)および27(E)に示される特定の実施形態において、当業者は、この磁石の作動プロセスを繰返し、検出可能な複合体をストレプトアビジン表面に結合させ、磁石を切り、そして検出可能な複合体中にないコード化可能標識を含むビーズを、落とし得る。図27(F)に示される特定の実施形態において、次いで、ストレプトアビジン被覆磁石が、結合された検出可能な複合体と共に除去される。特定の実施形態において、コード化可能標識を評価して、磁石に結合した検出可能な複合体を計数しそして同定するために、カメラが使用され得る。次いで、検出可能な複合体の数が使用されて、サンプル中の標的分子が定量される。
【0194】
特定の実施形態において、各々が、コード化可能標識および異なるアドレス可能部分を有する所定数の異なるビーズの同じセットを含む、複数のウェルが使用され得る。特定の実施形態において、各ウェルは、異なるビーズのアドレス可能部分に相補的な異なるアドレス可能部分を有する1セットの第1のオリゴヌクレオチドプローブのセットを含む。しかし、別個のウェルにおいて、第1のオリゴヌクレオチドプローブは、異なる標的に相補的な異なる標的特異的部分を有し得る。特定のこのような実施形態において、異なるビーズの同じセットを用いる異なる多重アッセイが、異なるウェルで実施され得る。特定の実施形態において、1ウェルあたりの多重アッセイの数が、1,000である場合、1,000個の異なるビーズは、384ウェルプレートにおいて384,000の異なるアッセイを可能にする。
【0195】
(標的の定量)
本発明の特定の実施形態において、サンプル中の1つ以上の標的(例えば、標的核酸配列)の量が定量され得る。定量は、標的の存在または非存在を検出することに関して上で考察された方法のいずれかに適用され得る。例えば、限定することなく、サンプル中の異なる特定の核酸配列の数(1つ以上の遺伝子座における種々の対立遺伝子の数、特定の単一ヌクレオチド多型の数、および特定のスプライス改変体の数が挙げられるが、これらに限定されない)が定量され得る。
【0196】
特定の実施形態において、サンプル中の標的核酸配列の数を定量するために、連結生成物についてのコード化可能標識の特定の組合せの量を決定することによって、サンプル中の特定の連結生成物の量が決定される。特定のこのような実施形態において、生物学的サンプルを増幅反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応)に供することなく、この生物学的サンプル中の特定の標的配列の量が決定され得る。
【0197】
また、標識として量子ドットを用いる特定の実施形態において、決定された量子ドットのセットの組合せの数は、サンプル中の連結生成物の実際の数に直接相関する。従って、このような実施形態において、蛍光シグナルの強度のレベルをコントロールシグナルと比較して、サンプル中の連結生成物の数を評価する必要はない。
【0198】
核酸配列の定量は、多くの有用な用途を有し得る。生物の遺伝子構築は、この生物のゲノム内に含まれる遺伝子によって決定される。遺伝子は、タンパク質を作製するのに必要な情報をコードする長鎖またはデオキシリボ核酸(DNA)ポリマーから構成される。生物の特性、能力および形質は、しばしば、この生物によって生成されているかまたは生成されていないタンパク質の型および量に関連する。
【0199】
タンパク質は、以下のような遺伝子から産生され得る。第1は、タンパク質をコードする遺伝子のDNAであり、例えば、タンパク質「X」は、「転写」として公知のプロセスによって、リボ核酸(RNA)に変換される。転写の間、遺伝子の一本鎖相補RNAコピーが作製される。次いで、このRNAコピー(タンパク質XメッセンジャーRNA(mRNA)と称される)が、タンパク質Xを作製するための細胞の生物学的機構(「翻訳」と呼ばれるプロセス)により使用される。基本的に、細胞のタンパク質製造機構は、mRNAに結合し、RNAコードを「読み取り」、そしてこれをタンパク質Xのアミノ酸配列に「翻訳」する。要約すると、DNAは、転写されてmRNAを作製し、このmRNAは、翻訳されてタンパク質を作製する。
【0200】
細胞によって産生されるタンパク質Xの量は、しばしば、この細胞内に存在するタンパク質XのmRNAの量に大きく依存する。細胞内のタンパク質XのmRNAの量は、少なくとも部分的に、遺伝子Xが発現される程度に起因する。特定の遺伝子が発現されるか否か、また発現される場合のそのレベルは、生物に対して有意な影響を有し得る。
【0201】
例えば、とりわけ、タンパク質インシュリンは、血中グルコースのレベルを調節する。個体において産生されるインシュリンの量は、その個体が健康であるか否かを決定し得る。インシュリンの欠乏は、糖尿病、潜在的な胎児疾患を生じる。糖尿病個体は、代表的に、低レベルのインシュリンmRNAを有し、従って、低レベルのインシュリンを産生し、一方、健康な個体は、代表的に、より高いレベルのインシュリンmRNAを有し、そして正常なレベルのインシュリンを産生する。
【0202】
代表的に異常に低い遺伝子発現に起因する別のヒト疾患は、Tay−Sachs病である。Tay−Sachs病を有する子供は、スフィンゴリピドの破壊に必要なタンパク質を欠くか、またはこのタンパク質が欠乏している。従って、これらの子供は、異常に高いレベルのスフィンゴリピドを有し、これは死に至り得る神経系障害を引き起こす。
【0203】
遺伝子の過剰発現または過小発現によって引き起こされるさらなる遺伝子ベースの疾患/障害を同定および検出することは、有用である。さらに、癌および特定の他の公知の疾患または障害は、特定の遺伝子の過剰発現または過小発現によって検出され得るか、またはこれらに関連し得る。例えば、前立腺癌に罹患する男性は、代表的に、異常に高レベルの前立腺特異的抗原(PSA)を産生し;そして腫瘍抑制遺伝子由来のタンパク質は、多くの型の癌の発生において重要な役割を果たすと考えられる。
【0204】
特定の実施形態において、核酸技術を使用し得、微少量の生物学的サンプルは、代表的に、多くの異なる疾患、障害、および素因に対する同時の試験に十分な材料を提供し得る。さらに、細胞または生物における特定の標的核酸(例えば、mRNA)の量を定量すること、時々、「遺伝子発現プロファイリング」といわれるプロセスが望ましい他の多くの状況が存在する。例えば、特定の細胞型または組織あるいは個体内の特定の標的核酸の量が既知である場合、特定の場合において、この細胞型、組織、または個体に対する遺伝子発現プロファイルを編集し始め得る。個々の遺伝子の発現プロファイルを、公知の発現プロファイルと比較することによって、特定の場合における特定の疾患または障害の診断を可能にし得る。将来において発症する特定の疾患または障害に対する素因または感受性はまた、特定の場合において、遺伝子発現プロファイルを評価することによって同定され得る。遺伝子発現プロファイル分析はまた、とりわけ、特定の場合における遺伝的カウンセリングおよび法廷試験について有用であり得る。特定の実施形態において、1つ以上の標的核酸配列に対する遺伝子発現プロファイルは、本明細書中で開示される本願方法に従って得られる定量的情報を使用して編集され得る。
【0205】
特定の実施形態において、サンプルについてのいくつかの標的核酸配列の遺伝子発現レベルが既知である場合、このサンプルについての遺伝子発現プロファイルが編集され、他のサンプルと比較され得る。例えば、限定されないが、サンプルは、同じ細胞集団由来の細胞の2つのアリコートから得られ得、ここで、1つのアリコートは、化合物または薬物の存在下において増殖し、もう一方のアリコートは、増殖しなかった。薬物の存在下での増殖する細胞に対する遺伝子発現プロファイルを薬物の非存在下で増殖する細胞と比較することによって、特定の標的遺伝子の発現に対する薬物効果を決定し得る。
【0206】
(タンパク質検出)
本発明の特定の実施形態において、サンプル中の少なくとも2つの標的タンパク質の存在または非存在を検出する方法が、提供される。特定の実施形態において、本方法は、少なくとも2つの標的タンパク質の各々に対して特異的な異なるプローブセットと、サンプルとを合わせる工程を包含し、各プローブセットは:(a)少なくとも1つの分離ビーズ(磁性粒子を含む)、第1のコード可能標識(少なくとも2つの標識を含む)、および第1の標的特異的プローブ(ここで、第1のコード化可能標識は、第1の標的特異的プローブに対して特異的である)ならびに(b)少なくとも1つの検出ビーズ(少なくとも2つの標識を含む第2のコード化可能標識を含む)および第2の標的特異的プローブ(ここで、第2のコード可能標識は、第2の標識特異的プローブに対して特異的である)を含む。特定のこのような実施形態において、第1および第2の標識特異的プローブは、同じ標的タンパク質の異なる部分に結合する。特定の実施形態において、検出可能な複合体は、標的タンパク質が、サンプル中に存在する場合、形成される。特定の実施形態において、本方法は、少なくとも2つの標的タンパク質の各々に対する検出可能な複合体を計数することによって、サンプル中の少なくとも2つの異なるタンパク質の存在または非存在を検出する工程をさらに包含する。
【0207】
特定の実施形態において、標的特異的プローブは、抗体または抗体のフラグメントである。
【0208】
例えば、特定の実施形態において、第1の標的特異的プローブは、特定の標的タンパク質の第1の部分に特異的に結合し得る第1の抗体であり、第2の標的特異的プローブは、標的タンパク質の異なる第2の部分に特異的に結合し得る第2の抗体である。特定のこのような抗体に対する抗体を調製する非限定的な例として、標的タンパク質の1つのフラグメントが、第1の抗体を産生するために使用され、標的タンパク質の異なるフラグメントは、第2の抗体を産生するために使用される。第1の抗体は、磁性分離部分に結合される。第2の抗体は、コード化可能標識に結合される。
【0209】
特定の実施形態において、標的タンパク質の存在下で、第1の抗体および第2の抗体は、標的タンパク質の異なる部分に特異的に結合し、その結果、タンパク質に対する第1の抗体および第2の抗体いずれかの結合が、もう一方の抗体のタンパク質に対する結合を阻害しない。標的タンパク質が存在する場合、検出可能な複合体が形成される。特定の実施形態において、検出可能な複合体は、上記に議論される分離技術を使用して、非結合抗体から分離され得る。コード化可能標識の特有の組み合わせを計数することによって、特定の検出可能な複合体の存在または非存在を検出し、このことは、サンプル中の標的タンパク質の存在または非存在を示す。特定の実施形態において、検出可能な複合体の数を決定することによって、サンプル中の標的タンパク質の量を決定し得る。
【0210】
(キットの特定の実施形態)
特定の実施形態において、サンプル中の標的核酸配列を検出するためのキットが、提供される。特定の実施形態において、キットは、標的核酸配列の各々に対して特異的な異なるビーズセットを含む。特定の実施形態において、各異なるビーズセットは、以下:(a)少なくとも1つの分離ビーズ(磁性粒子を含む)、第1のコード化可能標識(2つ以上の標識を含む)、および第1の標的特異的プローブ(ここで、第1のコード化可能標識は、第1の標的特異的プローブに対して特異的である)、ならびに(b)少なくとも1つの検出ビーズ(2つ以上の標識のセットを含む第2のコード可能標識を含む)、および第2の標的特異的プローブ(ここで、第2のコード化可能標識は、第2の標的特異的プローブに対して特異的である)を含み、ここで、第2のコード化可能標識は、第2の標識特異的プローブに対して特異的であり;そして第1のコード化可能標識は、第2のコード化可能標識と検出可能に異なる。特定の実施形態において、各セット中の標的特異的プローブは、相補的標的配列上に互いに隣接してハイブリダイズされる場合、一緒に連結されるのに適している。
【0211】
特定の実施形態において、キットは、連結剤を含む。特定の実施形態において、連結剤は、リガーゼである。特定の実施形態において、連結剤は、熱安定性リガーゼである。特定の実施形態において、熱安定性リガーゼは、Tthリガーゼ、Taqリガーゼ、およびPfuリガーゼの少なくとも1つから選択される。
【実施例】
【0212】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を示し、本発明の範囲を全く限定しない。
【0213】
(実施例1)
以下の実験は、ビーズに結合されたプローブが、標的核酸配列にハイブリダイズし、オリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)において連結されたことを示した。ビーズに結合されるプローブを用いて産生される連結産物の量を、ビーズに結合されなかった同じプローブによって産生される連結産物の量と比較した。
【0214】
磁性ビーズを、オリゴヌクレオチドプローブに結合した。ストレプトアビジンでコートされた磁性ビーズを、Seradyne(Sera−Mag.,LotNo.113564)から得た。ビオチンを、以下のようにオリゴヌクレオチドプローブ(標的特異的オリゴヌクレオチド(TSOプローブ))に結合した。ビオチン標識オリゴヌクレオチドプローブ(標的特異的オリゴヌクレオチド(TSOプローブ))を、Applied Biosystems,Inc.(Foster City,CA)によって合成した。TSOプローブを、標的核酸配列にハイブリダイズするように設計した。TSOプローブの配列を、以下の表2に示す。約100μlのストレプトアビジンコート磁性ビーズ(1mg/ml)を、0.2mlチューブ中の、100μlのビオチン−TSOプローブ(10μM)に添加した。混合物を、4℃で60分間インキュベートし、ビオチンをストレプトアビジンに結合させた。
【0215】
(表2)
【0216】
【表2】

次いで、磁性ビーズを、以下のように、洗浄し、ビーズから非結合TSOを除去した。40μlのPBS緩衝液を、各々0.2mlチューブ中の20μlの混合液に添加した。PBS緩衝液は、以下を含有した:
KPO4(二塩基性) 1.82g/l
NaPO4(一塩基性) 0.22g/l
NaCl 8.76g/l
pH7.4に調整された。
【0217】
サンプルを、軽くボルテックスし、次いで、4分間磁石の上に置いた。4分後、40μlを、各々の0.2mlのチューブから除去する一方、0.2mlのチューブを、なお磁石の上に置いた。各チューブから40μlの上清を、後の分析のために1mlのチューブ中で保存した。全部で4回の磁気分離および洗浄について、磁気分離および洗浄を、3回を超えて繰り返した。
【0218】
第2のオリゴヌクレオチドプローブ(pTSOプローブ)を、TSOプローブ配列に対して相補的な領域に続く、標的核酸配列にハイブリダイズするように設計した。pTSOプローブは、TSOプローブおよびpTSOプローブの両方が、標的核酸配列にハイブリダイズする場合、TSOプローブに隣接している。TSOプローブおよびpTSOプローブの両方が、標的核酸配列にハイブリダイズする場合、これらは、連結反応において一緒に連結され得る。ビオチン標識pTSOプローブを、Applied Biosystems,Inc.(Foster City,CA)によって合成した。pTSOプローブの配列を、表2に示す。
【0219】
ストレプトアビジンでコートされた蛍光ビーズを、Bangs Laboratories(Fisher,IN)から得た。
【0220】
連結反応(OLA)を、実施した。11の異なる反応を、磁性ビーズを結合されたTSOプローブ、蛍光標識されたストレプトアビジンコートビーズ、ビオチン結合されたpTSOプローブ、リガーゼおよび各反応について異なる濃度の合成標的核酸と混合することによって調製した。合成標的の配列を、表2に示す。11反応の各々において合成標的核酸配列濃度は、高い順に10nM〜10aM程度までの範囲であった(実際の濃度については、図15を参照のこと)。合成標的核酸配列を有さない1つのコントロールが存在した。
【0221】
反応のための配合表は、以下の通りであった:
2μl 10×Taq リガーゼ緩衝液
2μl ビオチン−標識pTSOプローブ(100nM)
2μl 蛍光ビーズ(100μg/ml)
16μl TSOに結合された磁性ビーズ(1mg/ml)
0.5μl リガーゼ(40U/μl)
2μl 合成標的(10nM〜10aM)。
【0222】
連結反応を、ABI9700 Thermal Cyclerで、95℃15秒での10サイクルの間インキュベートし、次いで、50℃で20分間冷却した。Taqリガーゼおよびリガーゼ緩衝液を、New England Biolabs(カタログ番号M0208)から得た。
【0223】
連結反応後、磁性ビーズを、洗浄し、任意の連結されない蛍光ビーズを除去した。40μlのPBS緩衝液を、0.2mlのチューブの各々において、20μlの混合物に添加した。サンプルを、軽くボルテックスし、次いで、4分間磁石の上に置いた。4分後、40μlを、各々の0.2mlチューブから除去する一方、0.2mlチューブを、なお磁石の上に置いた。各チューブからの40μlの上清を、後の分析のために、1mlのチューブに保存した。全部で4回の磁気分離および洗浄について、磁気分離および洗浄を、3回を超えて繰り返した。
【0224】
ビーズを含む11のOLA反応に加えて、11の他のOLA反応を、ビーズを有さない同じTSOプローブおよびpTSOプローブ、同じリガーゼ、同じリガーゼ緩衝液、ならびに同じ濃度の標的核酸配列を使用して、ビーズなしで実施した。これらの反応のための配合表は、以下の通りであった:
2μl 10× リガーゼ緩衝液
11.5μl 水
2μl ビオチン−標識TSOプローブ(100nM)
2μl ビオチン−標識pTSOプローブ(100nM)
0.5μl リガーゼ(40U/μl)
2μl 合成標的(10nM〜10aM)。
【0225】
種々の濃度の各々の反応液からの磁性ビーズを、次いで、磁石を用いて反応液から除去した。ビーズを、上記されるように洗浄し、各異なる反応について別々の検出容器に移した。検出容器は、Petroff−Hausser計数チャンバー(VWR、カタログ番号15170−048)であった。連結産物の蛍光ビーズを、次いで、ABI 7700(Applied Biosystems,Foster City,CA)を用いて検出した。
【0226】
図16は、5つの反応から可視であるビーズ対(蛍光ビーズを含む)の5枚の写真および可視光顕微鏡のみによる磁性ビーズ写真を示す。各パネルにおける1つの「ビュー」は、約0,5μlの平均容積の連結産物を表す。図16は、蛍光ビーズが、磁性ビーズと首尾良く対形成し、洗浄され、そして移動されたことを示す。
【0227】
プローブに結合されたビーズとのOLA反応は、プローブに結合されたビーズ無しでの対応標的濃度のOLA反応の各々と比較された。連結産物は、TaqmanTM分析を用いて測定された。
【0228】
399−Taqmanプローブは、Applied Biosystems(Foster City,California)によって提供された。プローブの配列は、表2に与えられる。TaqmanTMプローブおよびそれらを使用するための手順は、例えば、米国特許第5,538,848号に記載される。TaqmanTMプローブは、DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によって作動する。TaqmanTMプローブは、標的が存在する場合、標的核酸配列にハイブリダイズする。Taqmanプローブは、プローブの1つの端部に蛍光分子を有し、そしてプローブの他の端部にクエンチング分子を有する。プローブが結合された蛍光分子およびクエンチング分子の両方とインタクトである場合、蛍光はない。
【0229】
標的核酸配列にもハイブリダイズするプライマーが添加される。次いで、重合反応は、プライマーにおいて開始し、これは、ヌクレオチドをプライマーの末端に追加する。標的核酸配列上のTaqmanTMプローブは、DNA重合の間に存在する鎖置換の結果として、重合反応の間に切断される。この切断は、蛍光分子をプローブ上のクエンチング分子の存在から自由し、これは、蛍光分子の蛍光を生じる。従って、蛍光の検出は、ポリメラーゼ反応に関与する特定の標的核酸配列の存在を示す。
【0230】
さらに、蛍光のレベルは、サンプル中の標的核酸配列の量と相関する(蛍光のレベルが、高くなるにつれて、標的核酸配列の量は多くなる)。所定のサンプルについての蛍光のレベルについてのCt値は、計算され得る。Ct値は、蛍光のレベルと逆に相関する。言い換えれば、Ct値がより低くなると、蛍光のレベルは、より高くなる。
【0231】
22の異なるOLA反応からの産物の各々についてのTaqmanTM分析のための方法は、以下の通りであった:
1μl 399−TaqmanTMプローブ(5μM)
2.5μl 116/115プライマー(10μM)
6.5μl 水
12.5μl 2×Master Mix
先のOLA反応からの2.5μl サンプル
TaqmanTM反応を、95℃で10分間インキュベートし、続いて、95℃で15秒の第1工程、および60℃で1分の第2工程を含むサイクルが続く。特定の数のサイクルの後、シグナルが現れる。シグナルが現れる前に反応が受けるサイクルの数が記録され、そしてCt値として呼ばれる。TaqmanTM分析反応のための116/115プライマーの配列を、表2に与える。Master Mixを、Applied Biosystemsから得た(カタログ番号4318739)。
【0232】
存在するビーズとのOLA反応の各々の産物のTaqmanアッセイは、ビーズ無しでの対応標的核酸配列濃度のOLA反応の産物と比較された。結果は、図15に示される。図15のTaqman分析は、溶液中のプローブおよびビーズに結合されたプローブについて、ハイブリダイゼーション(1時間未満)および標的感度(1fMより高い)を示す。検出は、約1時間の反応時間で起こった。
【0233】
(実施例2)
異なる量の合成標的分子が使用された場合に検出されたビーズ対の数を決定するために、以下の実験を行った。
【0234】
ポリスチレンビーズをBangから得た(番号、PA05N/2057)。ビーズは、約3.1μmの直径であり、1μm当たり10部位の密度で表面上に−NH基を有し(製造業者に従う)、そして1.073g/cmの密度を有した。
【0235】
実施例1において考察されるように、TSOプローブは、標的核酸配列にハイブリダイズするように設計された。TSOプローブの配列を表2に与える。TSOプローブは、以下のプロトコルに従って、Bangビーズのアミン基に対して5’末端に取り付けられて、TSO−ビーズを作製した。
【0236】
ビーズ(100mg/mlにおいて1.0ml)を、先に記載されたように、10.0mlのPBSで2回洗浄した。第2の洗浄後、ビーズを10.0mlのグルタルアルデヒド溶液(PBS中10%のグルタルアルデヒド)中に再懸濁させた。ビーズを、連続的に混合しながら、2時間室温で反応させた。次いで、ビーズを、先に記載されたように、2回、PBS中で洗浄し、そして5mlのPBS中に再懸濁させた。アミン結合TSOプローブを、5mlのPBS中に配置し、そしてビーズを含む5mlの溶液と組み合わせた。この混合物を室温で、2〜4時間、連続的に混合しながら反応させた。次いで、ビーズを再び洗浄し、そして0.1%Tween−20を含む10mlのPBS中に再懸濁させた。再懸濁されたビーズを30分間インキュベートさせた。次いで、ビーズをもう一回洗浄し、そして0.1%Tween−20を含む10mlのPBSを貯蔵庫ににおて再懸濁させた。
【0237】
上に議論されるように、第2のオリゴヌクレオチドプローブ(pTSOプローブ)を、TSOプローブ配列に相補的な領域に隣接する標的核酸分子配列にハイブリダイズするように設計した。pTSOプローブは、TSOプローブおよびpTSOプローブの両方が標的核酸配列にハイブリダイズする場合、TSOプローブに隣接する。TSOプローブおよびpTSOプローブの両方が標的核酸配列にハイブリダイズする場合、これらは、連結反応において一緒に連結し得る。ビオチン標識pTSOプローブは、Applied Biosystems、Inc.(Foster City,CA)によって合成され、そこから得られた。pTSOの配列は、表2に与えられる。
【0238】
オリゴヌクレオチド連結アッセイ(OLA)反応を実施した。TSOビーズをビオチン標識pTSO、リガーゼおよび合成標的と種々の濃度で混合することによって、8つの異なる反応を調製した。反応混合物は、以下の通りであった:
2μl 10×リガーゼ緩衝液
2μl ビオチン標識pTSO(100nM)
2μl TSO−ビーズ
14μl ddH
0.25μl リガーゼ(40U/μl)
2μl 合成標的(1nM〜1fMの種々の濃度および標的無しでの1つの反応)。
【0239】
連結反応を、ABI9700 Thermal Cyclerにおいて、95℃で15秒間、次いで、50℃で20分間に冷却する10サイクルで、インキュベートした。Taq Ligaseおよびリガーゼ緩衝液を、New England Biolabsから得た(カタログ番号、M0208)から得られた。
【0240】
ストレプトアビジンコート磁性ビーズを、Seradyneから得た(Sera−Mag.,Lot番号113564)。これは、40%磁鉄鉱(Fe)を含むポリスチレンから作製され、約1.0μmの直径であり、そして1.5g/cmの密度を有した。ストレプトアビジンは、ビーズ当たり10部位の密度で、ビーズの表面にあった。
【0241】
別の反応において、20μlの各々の8個の異なるOLA反応物を、20μlのストレプトアビジンコートビーズ(10ビーズ/μl)に添加した。これらの混合物を、1時間、4℃でインキュベートした。
【0242】
インキュベーション後、各々40μlのOLAストレプトアビジンコートビーズ混合物を、手短にボルテックスし、次いで、VWR「Aquasonic」超音波クリーナーにおいて、出力レベル9で10秒間超音波処理した。超音波処理後、20μlの各々の混合物を、別々の0.2mlのチューブに配置し、次いで、磁気分離に供し、そして洗浄した。
【0243】
磁気分離および洗浄の手順は、以下の通りであった。40μlのPBS緩衝液を、0.2mlのチューブの各々に、20μlの混合物に添加した。サンプルを手短にボルテックスし、次いで、4分間、磁石の上部に配置した。4分後、40μlを、0.2mlのチューブの各々から除去し、一方、0.2mlのチューブを依然として磁石上においた。各チューブからの40μlの上清を、後の分析のために、1mlのチューブに保存した。磁気分離および洗浄を、合計4回の磁気分離および洗浄のために、さらに3回繰り返した。
【0244】
磁気分離および洗浄の後に、1mlのチューブにおいて収集された上清の各々を、5分間、遠心分離した。
【0245】
磁気分離および洗浄後に、0.2mlのチューブに残った8つの異なるOLA反応の各々の残留物の一部をTaqmanTM分析に供して、各反応における連結されたビーズ対の数を決定した。さらに、TaqmanTM分析を、1mlのチューブ中の上清の各々の一部について実施して、どれだけ多くのビーズ対が、磁気分離手順によって洗浄緩衝液から分離されなかったかを決定した。
【0246】
399−Taqmanプローブは、Applied Biosystems(Foster City,California)によって提供された。プローブの配列を、表2に与える。一般的に、TaqmanTMプローブおよびそれらを使用するための手順は、例えば、米国特許第5,538,848号に記載される。TaqmanTMプローブは、DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性によって作動する。TaqmanTMプローブは、標的が存在する場合、標的核酸配列にハイブリダイズする。Taqmanプローブは、プローブ一端上の蛍光分子およびプローブの他端におけるクエンチング分子を有する。プローブが、結合された蛍光分子およびクエンチング分子の両方でインタクトである場合、蛍光は無い。
【0247】
標的核酸配列にもハイブリダイズするプライマーを添加する。次いで、ポリメラーゼ反応を、プライマーにおいて開始し、これは、ヌクレオチドをプライマーの末端に追加する。標的核酸配列上のTaqmanTMプローブは、DNA重合の間に存在する鎖置換の結果として、重合反応の間に切断される。この切断は、蛍光分子をプローブ上のクエンチング分子の存在から自由にし、これは、蛍光分子の蛍光を生じる。従って、蛍光の検出は、ポリメラーゼ反応に関与する特定の標的核酸配列の存在を示す。
【0248】
さらに、蛍光のレベルは、サンプル中の標的核酸配列の量と相関する(蛍光のレベルが、高くなるにつれて、標的核酸の量は多くなる)。所定のサンプルについての蛍光のレベルについてのCt値は、計算され得る。Ct値は、蛍光のレベルと逆に相関する。言い換えれば、Ct値がより低くなると、蛍光のレベルは、より高くなる。
【0249】
8つの異なるOLA反応からの産物および8つの取っておいた上清の各々についてのTaqmanTM分析のための方法は、以下の通りであった:
1μl 399−TaqmanTMプローブ(5μM)
2.5μl 116/115プライマー(10μM)
6.5μl 水
12.5μl 2×Master Mix
先のOLA反応からの2.5μl サンプル
TaqmanTM反応を、95℃で10分間インキュベートし、続いて、95℃で15秒の第1工程、および60℃で1分の第2工程を含むサイクルが続く。TaqmanTM反応のための116/115プライマーの配列を、表2に与える。Master Mixを、Applied Biosystemsから得た(カタログ番号4318739)。
【0250】
さらに、各反応および収集された各々の上清由来のビーズ対の一部を、グリッド上に別々にプレートした。このグリッドは、上清の各々および反応の各々におけるビーズ対の合計数を計算するために視覚的に検査された。
【0251】
TaqmanTM分析および視覚的検査の結果を、図17および表3、4、および5に示す。
【0252】
(視覚検査により決定した場合の各反応におけるビーズ対およびビーズの数)
【0253】
【表3】

表3は、各反応に対するグリッドにおいて計数されたビーズ対の総数、およびグリッドに入れられた反応物質の割合を考慮して各反応において磁気的に分離されたと計算されたビーズ対の数を示す。サンプル中に存在する標的分子あたりの生成されたビーズ対の計算された割合、およびビーズ対に組み込まれていないビーズの数もまた示される。
【0254】
(Taqman分析により決定された首尾良い連結の計算された数)
【0255】
【表4】

表4は、Taqman分析により決定された場合の連結産物の計算された収量を示す。表4は、磁気分離手順の前後に存在したと計算された連結産物の濃度および数、ならびにサンプル中の標的あたりの生成された連結の計算された割合を示す。
【0256】
(Taqman分析による分離後の連結の数)
【0257】
【表5】

表5は、分離手順後に各反応系に存在していたと計算された連結産物の数を示す。表5はまた、磁気分離手順により洗浄緩衝液および他の反応物から分離されたOLA反応の各々において生成された連結の計算された割合を示す。連結産物の数を、Taqmanアッセイにより決定した。
【0258】
(実施例3)
直径約5.6μmのコード化ポリスチレンビーズを、Luminex(Luminex Corp.,Austin,TX)から購入した。購入したビーズは、2色の色素を含浸されており、そして異なる強度の色素を有し、Luminex 100Flow Cytometerにより検出可能な特有の光学的コードを生じる。オリゴヌクレオチドを、Luminexのマニュアルに記載されるNHエステル化学を使用してビーズの表面に結合させた。1つのポリエチレングリコール(PEG)リンカーを、Luminexビーズ上のアミン基と結合されたオリゴヌクレオチドの5’末端との間に含ませた。このオリゴヌクレオチドは、20塩基のプライマー配列と、特定の温度における最小の交差反応性で特異的にハイブリダイズするように設計された20塩基長の配列(アドレス可能(addressable)部分と呼ぶ)を含んでいた。このプライマー配列を、PEGリンカーとアドレス可能部分との間に配置した。オリゴヌクレオチドを結合させた後、このビーズを、ビーズに共有結合していないオリゴヌクレオチドを除去するために、上記の実施例1で記載したように、0.1%のTween−20を含むリン酸緩衝化生理食塩水PBS(pH7.4)で4回洗浄した。この洗浄は、50〜65℃であり、そして20分続けた。異なるようにコード化された2つのビーズに結合された、2つの異なるアドレス可能な部分を伴う2つの異なるオリゴヌクレオチドの配列を、以下の表6に示すようにZ1およびZ2と名付ける。Z1およびZ2の配列のアドレス可能な部分を、太字で示す。
【0259】
【表6】

第1のLuminexビーズ(B1)のセットおよび第2のLuminexビーズ(B2)のセット(一セットあたり10,000ビーズ)を使用した。第1のビーズ(B1)は、第1のコード化可能標識およびオリゴヌクレオチドZ1を含んでいた。第2のビーズ(B2)は、第2のコード化可能標識およびオリゴヌクレオチドZ2を含んでいた。
【0260】
連結プローブを以下のように使用した。2つのプローブは、対立遺伝子特異的オリゴ(ASO1およびASO2、表6に示される)であり、これらは、特定の一塩基多型(SNP)を含む標的配列に相補的な標的特異的部分を含んでいた。これらのASOを、プローブの3’末端に位置する、SNPに相補的な塩基を含むように設計した。従って、ASO1およびASO2は、それらの3’末端に異なる塩基を有していた。
【0261】
ASO1は、標的特異的部分の5’側にアドレス可能な部分を含んでいた。ASO2は、標的特異的部分の5’側に異なるアドレス可能な部分を含んでいた。両方のASOとも、40塩基長であった。ASOの3’末端における20塩基は、標的特異的部分であり、一方5’末端における20塩基は、アドレス可能部分であった。ASO1およびASO2のアドレス可能部分を、表6において太字で示す。
【0262】
遺伝子座特異的オリゴ(LSO)もまた提供される。LSOの配列を表6に示す。LSOは、ASOの標的特異的部分に相補的である標的の部分に隣接して、標的に対して相補的な標的特異的部分を含んでいた。それにより、LSOおよびASO1またはASO2は、標的にハイブリダイズした場合に、一緒に連結するのに適していた。LSOは、PEGリンカーで3’末端に結合されたビオチン分子を有していた。このPEGリンカーを、3’末端の最後のヌクレオチドとビオチン分子との間に配置した。LSOは、40塩基長であった。LSOの5’末端における20塩基は、標的特異的部分であり、一方LSOの3’末端における20塩基は、特定のTaqmanプライマーに相補的であった。
【0263】
合成テンプレートZ3は、ビーズB1上のオリゴヌクレオチドZ1のアドレス可能な部分に相補的な3’末端配列を含んでおり、そしてASO1上のアドレス可能な部分に相補的な5’末端配列を含んでいた。その結果、ASO1およびオリゴヌクレオチドZ1は、合成テンプレートZ3にハイブリダイズした場合に連結に適切である。
【0264】
合成テンプレートZ4は、ビーズB2上のオリゴヌクレオチドZ2のアドレス可能な部分に相補的な3’末端配列を含んでおり、そしてASO2上のアドレス可能な部分に相補的な5’末端配列を含んでいた。その結果、ASO2およびオリゴヌクレオチドZ2は、合成テンプレートZ4にハイブリダイズした場合に結合に適切である。
【0265】
標的は、30分間100℃で加熱されたゲノムDNAであった。この標的は、ASO1に相補的であるがASO2に相補的でない一塩基多型(SNP)を含むことが既知であった(他の手段により確認した)。
【0266】
連結反応体積は、6.75マイクロリットルであった。この反応混合物は以下のとおりであった。
【0267】
0.5μl 10×リガーゼ緩衝液
0.5μl 100nMのASO1プローブ(3×1010個のプローブ)
0.5μl 100nMのASO2プローブ(3×1010個のプローブ)
0.5μl 100nMのLSOプローブ(3×1010個のプローブ)
0.5μl 10nM濃度のテンプレートZ3(3×10個の分子)
0.5μl 10nM濃度のテンプレートZ4(3×10個の分子)
1μl B1の溶液(10,000個のビーズ)
1μl B2の溶液(10,000個のビーズ)
0.25μl Taqリガーゼ(40単位/μl)
0.5μl 加熱したgDNA(100ng/μl)
Taqリガーゼおよび10×リガーゼ緩衝液を、New England Biolabs(カタログ番号M0208)から購入した。ビーズを、10秒間超音波処理して、その後反応混合物に加えた。この反応混合物を、熱サイクルにかけて、50℃にて5分間から初めて、ASOプローブおよびLSOプローブを標的に対してハイブリダイズさせて連結させ、そしてZ1オリゴヌクレオチドまたはZ2オリゴヌクレオチドを、合成テンプレート上のASOプローブに連結させた。次いで、標的からプローブを変性させるために温度を85℃まで15秒間上げて、そしてプローブおよびオリゴヌクレオチドから合成テンプレートを変性させた。このサイクルを100回繰り返した。この熱サイクルの完了時に、ビーズをPBS緩衝液0.1%Tween−20中で85℃にて3回洗浄した。
【0268】
約1千万個の直径1μmのストレプトアビジンでコーティングした磁性ビーズを、連結反応後に反応混合物と混合した。このビーズを、Seradyn Inc.から購入し、そしてこのビーズは、40%の磁鉄鉱(Fe)を含むポリスチレン製であり、1.5g/cmの密度を有し、そしてストレプトアビジンコーティング(ビーズ1個あたり10〜10個のストレプトアビジン分子)を有していた。使用前に、この磁性ビーズを、PBS緩衝液0.1%Tween−20および0.1%BSAで5回洗浄し、そして10秒間超音波処理した。ビオチン分子に磁性ビーズを結合するために使用した結合緩衝液は、0.1%Tween−20を含む体積20μlのPBSであった(連結反応からの反応混合物10μl、磁性ビーズ10μl)。20μl体積の磁性ビーズおよび連結反応からの反応混合物は、結合混合物を形成し、そしてこれをチューブを連続的に回転させながら、室温(25℃)にて2時間このチューブ中でインキュベートした。磁性ビーズ上のストレプトアビジンがLSO上のビオチンに結合していた場合、ビーズ対が形成した。
【0269】
結合混合物をインキュベートした後、この結合混合物を10秒間超音波処理した。この結合混合物を第1のチューブにピペットで移し、この第1のチューブを、6×SSC(90mMのクエン酸ナトリウム、0.9MのNaCl、pH7.0)の高密度溶液(約1.3g/cm)および0.1%ウシ血清アルブミン(New England Biolabs)で満たした第2のチューブに入れておいた。この第1のチューブは底を有していないので、これは、この高密度溶液で部分的に満たされていた。結合混合物のより低密度(約1.05g/cm)の結合緩衝液は、有意な混合なしに高密度液の上部に留まっていた。これらのチューブの下に位置する磁石は、磁性ビーズを第2のチューブの底に誘引した。
【0270】
磁性ビーズと対をなしていないLuminexビーズは、第1のチューブの上部の方に留まり、そしてこれらは第2のチューブから第1のチューブを取り出すことにより廃棄した。この取り出すことは、第1のチューブの上部を覆い、次いで第1のチューブを第2のチューブから持ち上げることにより行った。次いで、磁性ビーズにより下に引張られた検出可能な複合体におけるLuminexビーズを、磁気から放して、そしてボルテックスして均質な溶液とした。次いで、この均質溶液をフローサイトメーターに吸引した。このLuminexビーズをある時点で読み出し、そしてそれらの正体をビーズ(B1またはB2)上の特有のコードにより決定した。ほとんど全てのLuminexビーズが、B1ビーズであり、ASO1に対応するSNPの存在を示していた(データは示さず)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的を定量するための方法であって、該方法は、以下:
該標的をおそらく含むサンプル;コード化可能標識;1つ以上の標的特異的プローブ;および分離部分、を含む反応混合物を形成する工程であって、ここで、各標的特異的プローブは、選択的結合条件下で該標的に特異的に結合する、工程;
該標的が存在する場合に検出可能な複合体が生じるような反応条件下で該反応混合物を処理する工程であって、該検出可能な複合体は、該コード化可能標識、該標的特異的プローブおよび該分離部分を含む、工程;ならびに
コード化可能標識の数を計数することによって、該標的を定量する工程、
を包含する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−229468(P2009−229468A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124765(P2009−124765)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【分割の表示】特願2003−546815(P2003−546815)の分割
【原出願日】平成14年11月21日(2002.11.21)
【出願人】(500069057)アプライド バイオシステムズ インコーポレイテッド (120)
【Fターム(参考)】