説明

デジタルカメラ

【課題】電池寿命の長期化を図ると同時に、使用中に要求される多様な動作速度性能を得ることが可能となるデジタルカメラ、及びそれに用いられるプログラムを提供する。
【解決手段】
デジタルカメラを制御するCPU等の駆動周波数を、電源投入時における起動処理には高く設定する(SA1)。起動時のモード設定状態が再生モードであれば、起動処理完了後にはキー操作待ち状態となる直前まで(SA15)、高い駆動周波数を維持する。さらに、キー操作待ち状態では駆動周波数を下げ(SA16)、キー操作があった時点で、指示された動作内容に応じた周波数まで駆動周波数を上げ(SA19,SA22,SA25,SA27)、動作完了後には再び駆動周波数を下げる(SA16)。また、起動時のモード設定状態が記録モードであれば、起動処理完了後には駆動周波数をいったん下げ(SA4)、撮影操作があった時点で再び上げる(SA9)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影により取得した画像を画像データとして記録するデジタルカメラに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯情報処理端末においては、中央処理装置すなわちCPU(Central Processing Unit)、あるいはMPU(Micro Processor Unit)の駆動周波数(動作周波数)を負荷が重いときには増大させ、負荷が軽いときには減少させるといった、負荷量に応じて変化させることにより消費電力を低減させるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−366252号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のデジタルカメラにおいてはCPU等の駆動周波数が固定されているのが一般的であった。そのため動作中にはデータ処理量等に比べて駆動周波数が必要以上に高い状態にあることも多く、そのような状態では電源としている電池(二次電池)が無駄に消費されるため、電池寿命すなわち連続稼働時間の長期化を図る上での妨げとなっていた。
【0004】
係ることからデジタルカメラにおいても駆動周波数を変化させることが考えられるが、デジタルカメラが有する機能(動作の種類)は多く、その時々に要求される動作速度も多様である。したがって、前述したようにCPU等の駆動周波数、つまり装置の動作速度を単にCPU等の負荷量に応じて変化させるだけでは、電池寿命の長期化が可能となったとしても、動作状態等に適した駆動周波数が得られるとは限らないという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、電池寿命の長期化を図ることができたり、使用中に要求される多様な動作速度性能を得ることが可能となるデジタルカメラ、及びそれに用いられるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため請求項1の発明にあっては、撮影により取得した画像を画像データとして記録媒体に記録するデジタルカメラにおいて、カメラの各部を制御する処理装置と、この処理装置の駆動周波数を、所定の機能を実現する所定の処理の開始に伴い、当該所定の処理の開始以前における第1の駆動周波数よりも高い第2の駆動周波数に設定するとともに、前記所定の処理の完了に伴い、前記第1の駆動周波数に設定する設定手段とを備えたものとした。
【0007】
かかる構成においては、処理装置の駆動周波数が、処理装置が所定の機能を実現する所定の処理を行っている間だけ高い周波数(第2の駆動周波数)に設定され、その処理が完了した時点で低い周波数(第1の駆動周波数)に設定される。
【0008】
また、請求項2の発明にあっては、使用者による前記所定の処理の繰り返し要求の有無を判断する判断手段を備え、前記設定手段は、前記判断手段により前記要求が有ると判断されている間、前記処理装置による前記所定の処理の完了に伴う駆動周波数の前記第1の駆動周波数への設定を中断するものとした。
【0009】
かかる構成においては、同一の機能を実現する所定の処理が連続して行われるとき、処理装置の駆動周波数が所定の処理を完了する毎に無用に変更される事態をなくすことができ、動作速度性能を効率的に制御することができる。
【0010】
また、請求項3の発明にあっては、前記所定の処理は、前記記録媒体に記録されている記録画像を表示する再生機能を実現するための互いに内容が異なる一連の処理であるものとした。
【0011】
かかる構成においては、記録画像の表示動作を常に高速で行うことができる。
【0012】
また、請求項4の発明にあっては、撮影により取得した画像を画像データとして記録媒体に記録するデジタルカメラが有するコンピュータを、カメラの各部を制御する処理装置の駆動周波数を、所定の機能を実現する所定の処理の開始に伴い、当該所定の処理の開始以前における第1の駆動周波数よりも高い第2の駆動周波数に設定するとともに、前記所定の処理の完了に伴い、前記第1の駆動周波数に設定する設定手段として機能させるためのプログラムとした。
【0013】
また、請求項5の発明にあっては、撮影により取得した画像を画像データとして記録媒体に記録するデジタルカメラにおいて、カメラの各部を制御する処理装置と、電源投入に伴う起動処理中における前記処理装置の駆動周波数を、起動処理の完了後における第1の駆動周波数よりも高い第2の駆動周波数に設定する設定手段とを備えたものとした。
【0014】
かかる構成においては、処理装置の駆動周波数が、起動処理中だけ高い周波数(第2の駆動周波数)に設定され、起動処理が完了した時点で低い周波数(第1の駆動周波数)に設定される。
【0015】
また、請求項6の発明にあっては、電源投入時において設定状態にある動作モードを確認する確認手段を備え、前記設定手段は、前記確認手段により確認された動作モードが、前記記録媒体に記録されている記録画像の表示用の再生モードであった場合には、起動処理の完了に伴う駆動周波数の前記第1の駆動周波数への設定を中止するものとした。
【0016】
かかる構成においては、起動直後における再生モードでの動作を、処理装置における駆動周波数の無用の変更動作を伴うことなく高速に行うことができ、動作速度性能を効率的に制御することができる。
【0017】
また、請求項7の発明にあっては、前記設定手段は、前記確認手段により確認された動作モードが撮影用の記録モードであった場合には、起動処理の完了後における前記処理装置の駆動周波数を前記第1の駆動周波数に設定するものとした。
【0018】
また、請求項8の発明にあっては、撮影により取得した画像を画像データとして記録媒体に記録するデジタルカメラが有するコンピュータを、カメラの各部を制御する処理装置の駆動周波数を、電源投入に伴う起動処理中に、起動処理の完了後における第1の駆動周波数よりも高い第2の駆動周波数に設定する設定手段として機能させるためのプログラムとした。
【0019】
また、請求項9の発明にあっては、撮影により取得した画像を画像データとして記録媒体に記録するデジタルカメラにおいて、カメラの各部を制御する処理装置と、カメラ本体内部の温度を検出する温度検出手段と、前記処理装置の駆動周波数を、前記温度検出手段により検出された温度に対応する、予め決められている駆動周波数に設定する設定手段とを備えたものとした。
【0020】
かかる構成においては、処理装置の駆動周波数をカメラ本体内部の温度に応じて設定することができる。
【0021】
また、請求項10の発明にあっては、撮影により取得した画像を画像データとして記録媒体に記録するデジタルカメラにおいて、カメラの各部を制御する処理装置と、電源電池の残量を検出する残量検出手段と、前記処理装置の駆動周波数を、前記残量検出手段により検出された電源電池の残量に対応する、予め決められている駆動周波数に設定する設定手段とを備えたものとした。
【0022】
かかる構成においては、処理装置の駆動周波数を電源電池の残量に応じて設定することができる。
【0023】
また、請求項11の発明にあっては、撮影により取得した画像を画像データとして記録媒体に記録するデジタルカメラにおいて、カメラの各部を制御する処理装置と、この処理装置の駆動周波数を使用者に選択させるための選択制御手段と、この選択制御手段によって使用者に選択させた駆動周波数を、処理装置の駆動周波数として設定する設定手段とを備えたものとした。
【0024】
かかる構成においては、処理装置の駆動周波数を使用者の要求に応じて変更することができる。
【発明の効果】
【0025】
以上のように請求項1の発明にあっては、処理装置の駆動周波数が、処理装置が所定の機能を実現する所定の処理を行っている間だけ高い周波数に設定され、その処理が完了した時点で低い周波数に設定されるようにした。よって、電池寿命の長期化を図ると同時に、使用中に要求される多様な動作速度性能を得ることが可能となる。
【0026】
特に、請求項2の発明によれば動作速度性能を効率的に制御することができ、また請求項3の発明によれば記録画像の表示動作を常に高速で行うことができる。
【0027】
また、請求項5の発明にあっては、処理装置の駆動周波数が、起動処理中だけ高い周波数に設定され、起動処理が完了した時点で低い周波数(第1の駆動周波数)に設定されるようにした。よって、電池寿命の長期化を図ると同時に、使用中に要求される多様な動作速度性能を得ることが可能となる。
【0028】
特に、請求項6の発明によれば動作速度性能を効率的に制御することができる。
【0029】
また、請求項9の発明にあっては、処理装置の駆動周波数をカメラ本体内部の温度に応じて設定することができるようにした。よって、電池寿命の長期化を図ると同時に、使用中に要求される多様な動作速度性能を得ることが可能となる。
【0030】
また、請求項10の発明にあっては、処理装置の駆動周波数を電源電池の残量に応じて設定することができるようにした。よって、電池寿命の長期化を図ると同時に、使用中に要求される多様な動作速度性能を得ることが可能となる。
【0031】
また、請求項11の発明にあっては、処理装置の駆動周波数を使用者の要求に応じて変更することができるようにした。よって、電池寿命の長期化を図ると同時に、使用中に要求される多様な動作速度性能を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(実施形態1)
以下、本発明の一実施の形態を図にしたがって説明する。図1は、AE、AWB、AF等の一般的な機能を有する、各実施の形態に共通するデジタルカメラ1の電気的構成の概略を示すブロック図である。
【0033】
デジタルカメラ1はシステムの全体の制御を行うCPU2を中心として、以下の各部から構成されている。図においてレンズブロック3は、沈胴式のズームレンズ及びフォーカスレンズを含む光学系の駆動機構を示したブロックであり、その駆動源であるモーター4の駆動を制御するためのモータードライバ5がバス6を介してCPU2と接続されている。そして、CPU2からの制御信号に応じてモータードライバ5がモーター4を駆動することにより、上記光学系のズーム倍率の変更に応じた移動や、電源オンオフ時等におけるカメラ本体からの繰り出し動作、及びカメラ本体への収納動作が制御される。また、バス6には、必要に応じて撮影補助光を発光する発光管、及びその駆動回路等を含むストロボ回路7も接続されている。
【0034】
また、デジタルカメラ1は撮像素子としてCCD8を有している。CCD8は、CPU2の命令に従いタイミング発生器(TG:Timing Generator)9が生成するタイミング信号に基づき垂直及び水平ドライバ10によって駆動され、上記光学系によって結像された被写体の光学像に応じたアナログの撮像信号をアナログ信号処理部11に出力する。アナログ信号処理部11は、CCD8の出力信号に含まれるノイズを相関二重サンプリングによって除去するCDS回路や、ノイズが除去された撮像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器等から構成され、デジタルに変換した撮像信号を画像処理部12へ出力する。
【0035】
画像処理部12は、入力した撮像信号に対しペデスタルクランプ等の処理を施し、それを輝度(Y)信号及び色差(UV)信号に変換するとともに、オートホワイトバランス、輪郭強調、画素補間などの画品質向上のためのデジタル信号処理を行う。画像処理部12で変換されたYUVデータは順次SDRAM13に格納されるとともに、撮影用の記録モードでは1フレーム分のデータ(画像データ)が蓄積される毎にビデオ信号に変換され、バックライト14a付きの液晶モニタ(LCD)14へ送られてスルー画像として画面表示される。
【0036】
また、SDRAM13に一時記憶された画像データは、シャッターキーが押された撮影時においては、CPU2により圧縮され、最終的には所定のフォーマットの画像ファイルとして外部メモリ15に記録される。外部メモリ15は、図示しないカードインターフェイスを介して接続されたカメラ本体に着脱自在なメモリカードである。外部メモリ15に記録された画像ファイルは、再生モードにおいてユーザーの選択操作に応じてCPU2に読み出されるとともに伸張され、YUVデータとしてSDRAM13に展開された後、液晶モニタ(LCD)14に表示される。
【0037】
フラッシュメモリ16はプログラムメモリであると同時に内蔵画像メモリであって、フラッシュメモリ16には、CPU2にカメラ全体を制御させるための複数種のプログラムやデータが格納されているプログラム領域と、前記外部メモリ15(メモリカード)が装着されていない状態にあるとき撮影画像(圧縮後の画像データ)が記憶される画像記憶領域とが確保されている。
【0038】
また前記プログラム領域には、CPU2を本発明の設定手段、判断手段、確認手段として機能させるためのプログラムと、後述する動作に際して使用される図2に示した駆動周波数設定テーブル100を構成するデータが記憶されている。駆動周波数設定テーブル100は、デジタルカメラ1の起動中におけるCPU2の駆動周波数を規定するものであり、図示したようにデジタルカメラ1が有する種々の機能等に応じて異なる設定周波数が決められており、本実施の形態においては最も高い設定周波数が108MHz、最も低い設定周波数が18MHzとなっている。
【0039】
さらに、前記プログラム領域には、上記のプログラムやデータ以外にもユーザーによる設定操作に応じて、または自動的に設定されたデジタルカメラ1の各種機能に関する設定データも記憶される。
【0040】
また、CPU2にはマイコン17が接続されている。マイコン17には電源ボタンや撮影を指示するためのシャッターキー、ズーム操作ボタン、モード切替キー等の図示しないスイッチ類から構成されるキー入力部18と、例えばニッケル水素電池等の充電可能なバッテリー19の電力を上記各部に供給するための電源制御回路20、温度センサ21が接続されている。マイコン17は、キー入力部18におけるスイッチ類の操作状態を定常的にスキャンし、ユーザーによるスイッチ操作の内容に応じた操作信号をCPU2へ送る。なお、マイコン17はスイッチ類の操作状態を記憶するバッファメモリを備えている。さらに、マイコン17は、電源制御回路20を制御するとともにバッテリー19の電圧を定常的に検出して、その検出結果をCPU2へ送るとともに温度センサ21によって検出された装置内の温度もCPU2へ随時送る。
【0041】
次に、以上の構成からなるデジタルカメラ1の本発明に係る動作を、図3に従い説明する。図3は、電源投入後におけるCPU2の動作及び処理内容を示したフローチャートである。
【0042】
CPU2は、ユーザの電源ボタン操作による電源投入とともに動作を開始し、自己の駆動周波数を最高値の108MHzに設定した後(ステップSA1)、起動処理を実行する(ステップSA2)。起動処理においては、各部の制御に向けたポートの初期化や、前述した各部(ハードウェア)の初期化、電池電圧のチェック、各メモリーの初期化(アクセス準備)等を行う。次に、マイコン17から前記操作状態情報を取得し、それに基づき、設定されているモード状態が撮影用の記録モードであるか、記録画像の表示用の再生モードであるかの別を判別し(ステップSA3)、その判別結果に応じて以下の処理を実行する。なお、ユーザーが記録モードや再生モードを設定するためのモードキーが電源ボタンとしての機能を合わせ持つ構成の場合には、上記モード状態の判別をマイコン17から送られる起動要因情報に基づき行う。
【0043】
そしてモード状態が「記録モード」であった場合には、駆動周波数を前記駆動周波数設定テーブル100に示されている「スルー表示」用の周波数である「32MHz」まで下げた後(ステップSA4)、所定のスルーレートによる処理タイミングでの撮像処理を行い(ステップSA5)、撮像処理によって取得した画像データに基づくスルー画像の生成及び液晶モニタ14での表示を行う(ステップSA6)。そして、ユーザのモード切替ボタン操作による再生モードへのモード切替操作がなく(ステップSA7でNO)、またシャッターキーの押下による撮影操作がなければ(ステップSA8でNO)、上記処理を繰り返してスルー画像の更新を繰り返す。つまり、起動処理時よりも動作速度を下げた状態でスルー画像表示を行うことにより無駄な電力消費を抑える。
【0044】
また、スルー画像を更新する間に撮影操作があったら(ステップSA8でYES)、その時点で駆動周波数を「撮像・記録」用の周波数である「81MHz」に上げてから(ステップSA9)、記録画像の撮像、及び撮像した画像データの圧縮(ステップSA10)、圧縮後の画像データの外部メモリ15への書き込み(ステップSA11)、記録画像の液晶モニタ14での一定時間の表示を行う(ステップSA12)。しかる後、ステップSA4へ戻り、「スルー表示」用の周波数である「32MHz」に戻した後、モード切替ボタン操作、あるいは次の撮影操作があるまで、スルー画像の更新を繰り返す。そして、その間に再生モードへのモード切替操作があった場合には(ステップSA7でYES)、前記駆動周波数設定テーブル100に基づき駆動周波数をさらに「108MHz」に上げてから(ステップSA13)、後述するステップSA14以降の再生処理に移行する。
【0045】
一方、ステップSA3で判別したモード状態が「再生モード」であった場合には、記録モードの場合とは異なり、起動処理時における駆動周波数(108MHz)を維持したままで、外部メモリ15(又はフラッシュメモリ16)から最終保存画像(直近の撮影動作で記録された画像)のデータ読み出し(ステップSA14)、読み出した画像データの伸張、及び液晶モニタ14への表示を行う(ステップSA15)。しかる後、駆動周波数を「キー操作待ち」用の「27MHz」まで下げ(ステップSA16)、その状態でキー操作の受け付け待ちを行う(ステップSA17でNO)。つまり駆動周波数を必要最低限まで下げることにより、キー操作待ち状態にある間には無駄な電力消費を抑える。
【0046】
以後、係る状態でキー操作があり、その指示が画面変更であった場合には(ステップSA17,SA18が共にYES)、前記駆動周波数設定テーブル100に基づき駆動周波数を「108MHz」に上げてから(ステップSA19)、画面変更処理を実行する(ステップSA20)。また、上記キー操作による指示が拡大再生であった場合には(ステップSA18でNO,SA21でYES)、前記駆動周波数設定テーブル100に基づき駆動周波数を「54MHz」に上げてから(ステップSA22)、拡大再生処理を実行する(ステップSA23)。また、上記キー操作による指示が9画面表示であった場合には(ステップSA18,SA21が共にNO、ステップSA24でYES)、前記駆動周波数設定テーブル100に基づき駆動周波数を「81MHz」に上げてから(ステップSA25)、9画面表示処理を実行する(ステップSA26)。
【0047】
なお、キー操作による指示が上記以外の指示であった場合には(ステップSA24でNO)、その指示に応じた処理内容(所定の動作)に対応する駆動周波数を前記駆動周波数設定テーブル100に基づき設定した後(ステップSA27)、各動作に必要な処理を実行する(ステップSA28)。その場合、処理内容によっては駆動周波数が変更されることなく、「27MHz」を維持したままで所定の処理を行う場合もある。
【0048】
図4〜図6は、前述した画面変更処理、拡大再生処理、9画面表示処理、つまり所定の機能を実現する所定の処理の内容をそれぞれ示したフローチャートである。前記画面変更処理(図4参照)では、外部メモリ15から次の画像のデータを読み込み(ステップSA101)、読み込んだ画像データを伸張し(ステップSA102)、表示用の画像データを作成し(ステップSA103)、液晶モニタ14に表示させる(ステップSA104)。そして、キー操作が継続されていれば(ステップSA105でYES)、ステップSA101へ戻り、他の記録画像を記録順に液晶モニタ14に表示させる処理を繰り返す。また、キー操作が継続していないときや、キー操作が中断したときには(ステップSA105でNO)、その時点で処理を終了し、図3のステップSA16へ戻る。
【0049】
また、前記拡大再生処理(図5参照)では、拡大率を設定し(ステップSA201)、前述したステップSA15又はSA104で表示した表示画像を設定した拡大率で拡大する処理を行う(ステップSA202)。そして、キー操作が継続されていれば(ステップSA203でYES)、ステップSA201へ戻り、拡大率を更新して新たな拡大画像を液晶モニタ14に表示させる処理を繰り返す。また、キー操作が継続していないときや、キー操作が中断したときには(ステップSA203でNO)、その時点で処理を終了して図3のステップSA16へ戻る。
【0050】
また、前記9画面表示処理(図6参照)では、外部メモリ15から9画面分の各々の画像のデータの読み込みを開始し(ステップSA301)、読み出した画像データにおけるプレビュー用の画像データ(サムネイル画像等)を伸張し(ステップSA302)、プレビュー画像を液晶モニタ14に表示させる(ステップSA303)。そして、9枚の画像の表示が完了するまで、上記ステップSA301〜SA303の処理を繰り返す(ステップSA304でNO)。その後、9枚の画像の表示が完了した時点で、キー操作が継続していれば(ステップSA304,SA305が共にYES)、ステップSA301へ戻り、引き続き次の9画面分の画像表示を行う。また、キー操作が継続していなければ(ステップSA305でNO)、その時点で処理を終了して図3のステップSA16へ戻る。
【0051】
このように、ユーザーのキー操作に応じて上述した画面変更処理、拡大再生処理、9画面表示処理を実行するときには、各々の処理が完了した時点で同一のキー操作が継続しているときには、1回の処理が完了時点で駆動周波数を下げることなく、それまでの駆動周波数を維持したままで同一の処理を繰り返すことにより、駆動周波数の無駄な切り替え動作を省くことができる。
【0052】
そして、これ以後もCPU2は、電源がオフされるまで前述した処理を繰り返す。なお、図3では省略したが、電源投入時に設定されていたモード状態が再生モードであった場合において、前述したキー操作待ち状態にある間に(ステップSA17がNO)、記録モードへのモード切替操作があったときには、ステップSA4へ移行し記録モードによる前述した処理を行う。
【0053】
以上のように本実施の形態においては、CPU2に、その駆動周波数を上述したように制御させることによって、起動動作を迅速に行わせたり、記録モードや再生モードでの動作時には各モードに要求される適切な動作速度を確保したりすることができる。したがって、電池寿命の長期化を図ると同時に、使用中に要求される多様な動作速度性能を得ることができる。しかも動作速度性能を効率的に制御することができる。
【0054】
また、記録モード、再生モードのいずれの動作モードにおいても、個別に実行される種々の動作中には駆動周波数を各動作に応じた周波数に設定させることにより、要求される速度性能が異なる種々の動作を適切な速度で実行させることができる。これによっても、電池寿命の長期化を図ると同時に、使用中に要求される多様な動作速度性能を得ることができる。また、駆動周波数の無駄な切り替え動作を省くことにより、動作速度性能を効率的に制御することができる。
【0055】
なお、以上の説明においては、記録モードでは静止画像を撮影し記録するとともに、再生モードでは、記録されている静止画像を再生し表示する場合について説明したが、デジタルカメラ1が動画撮影機能を備えている場合には、各モードにおける処理対象は静止画像のみならず動画像であっても構わない。
【0056】
また、本実施の形態においては、CPU2が自己の駆動周波数を自ら設定する構成としたが、これに限らず、例えば前述したマイコン17にCPU2の駆動周波数を設定させる構成としてもよい。
【0057】
(実施形態2)
次に本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、図1に示した構成において、前記フラッシュメモリ16のプログラム領域に、図7に示した駆動周波数設定テーブル200を構成するデータが記憶されるとともに、CPU2が、前記プログラム領域に記憶されているプログラムに基づき後述する動作を行うものである。
【0058】
前記駆動周波数設定テーブル200も、デジタルカメラの起動中におけるCPU2の駆動周波数を規定するテーブルデータであるが、駆動周波数設定テーブル200には、第1の実施の形態とは異なり、カメラ本体内における温度によって異なる設定周波数が示されている。すなわち本実施の形態においても設定可能な駆動周波数は108MHz〜18MHzの間の複数の値である。また駆動周波数設定テーブル200には、温度が複数段階に分けられており、最も低い温度範囲(T1未満)に対応する駆動周波数が最高値となっており、温度が上げるにつれて駆動周波数が低くなり、最も高い温度範囲(Tn以上)に対応する駆動周波数が最低値となっている。
【0059】
図8は、本実施の形態において、デジタルカメラの起動中におけるCPU2の動作を示したフローチャートである。CPU2は電源投入とともに動作を開始した後、前述した温度センサ21によって検出されマイコン17から送られた装置内の温度を逐次確認する(ステップSB1)。そして、前記駆動周波数設定テーブル200において、その時点の検出温度に対応する駆動周波数、つまり検出温度が含まれる温度範囲に対応する駆動周波数を確認するとともに(ステップSB2)、現在の駆動周波数が検出温度に対応(確認した駆動周波数と一致)していれば(ステップSB3でYES)、そのままステップSB1へ戻る。つまり現在の駆動周波数を維持する。なお、起動直後における駆動周波数は予め決められている周波数であり、例えば最も高い108MHzである。また、現在の駆動周波数が、検出温度を含む温度範囲に対応する駆動周波数でなければ(ステップSB3でNO)、駆動周波数を前記駆動周波数設定テーブル200に示されている周波数に設定し、新たな駆動周波数で動作する。以後、起動中には前述した動作を繰り返す。
【0060】
以上のように本実施の形態においては、CPU2の駆動周波数をカメラ本体内の温度に応じて設定し、カメラ本体内の温度が高くなるに従いCPU2の駆動周波数を下げるようにした。したがって、カメラ本体内の温度が高い状態では、CPU2の駆動周波数の低下によって、さらなる温度の上昇を防止するとともに温度を低下させることができる。その結果、記録モードでの撮影時には、CCD8の高温化に起因して撮像画像にノイズが発生する事態を回避させることができるとともに、高温環境下での電力消費を抑えることができる。したがって、電池寿命の長期化を図ると同時に、使用中に要求される多様な動作速度性能を得ることができる。
【0061】
(実施形態3)
次に本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態は、図1に示した構成において、前記フラッシュメモリ16のプログラム領域に、図9に示した駆動周波数設定テーブル300を構成するデータが記憶されるとともに、CPU2が、前記プログラム領域に記憶されているプログラムに基づき後述する動作を行うものである。
【0062】
前記駆動周波数設定テーブル300も、デジタルカメラの起動中におけるCPU2の駆動周波数を規定するものであるが、駆動周波数設定テーブル300には、第1及び第2の実施の形態とは異なり、前記バッテリー19の電圧(電池残量)によって異なる設定周波数が示されている。すなわち本実施の形態においても設定可能な駆動周波数は108MHz〜18MHzの間の複数の値である。また、駆動周波数設定テーブル300には、バッテリー電圧が複数段階に分けられており、最も高い電圧範囲(E1以上)に対応する駆動周波数が最高値となっており、電圧が下がるにつれて対応する駆動周波数が低くなり、最も低い電圧範囲(En未満)に対応する駆動周波数が最低値となっている。
【0063】
図10は、本実施の形態において、デジタルカメラの起動中におけるCPU2の動作を示したフローチャートである。CPU2は電源投入とともに動作を開始した後、マイコン17から送られたバッテリー電圧を逐次確認する(ステップSC1)。そして、前記駆動周波数設定テーブル300において、その時点のバッテリー電圧に対応する駆動周波数、つまりその電圧が含まれる電圧範囲に対応する駆動周波数を確認するとともに(ステップSC2)、現在の駆動周波数が、そのときのバッテリー電圧に対応(確認した駆動周波数と一致)していれば(ステップSC3でYES)、そのままステップSC1へ戻る。つまり現在の駆動周波数を維持する。なお、本実施の形態においても起動直後における駆動周波数は予め決められている周波数であり、例えば最も高い108MHzである。また、現在の駆動周波数が、そのときのバッテリー電圧を含む電圧範囲に対応する駆動周波数でなければ(ステップSC3でNO)、駆動周波数を前記駆動周波数設定テーブル300に示されている周波数に設定し、新たな駆動周波数で動作する。以後、起動中には前述した動作を繰り返す。
【0064】
以上のように本実施の形態においては、CPU2の駆動周波数をバッテリー19の電圧(電池残量)に応じて設定し、バッテリー電圧が低下するに従いCPU2の駆動周波数を下げるようにした。したがって、バッテリー19の残量が少なくなった状況下では電力消費を低下させることにより電池寿命の長期化を図ることができる。つまり電池寿命の長期化に向けて要求される多様な動作速度性能を得ることができる。
【0065】
(実施形態4)
次に本発明の第4の実施の形態について説明する。本実施の形態は、図1に示した構成において、CPU2が、前記フラッシュメモリ16のプログラム領域に記憶されているプログラムに基づき以下のように動作するものである。
【0066】
すなわち図11は、デジタルカメラの起動中におけるCPU2の動作を示したフローチャートであり、電源投入後においてCPU2は、ユーザーによって駆動周波数の設定要求があったとき、例えば動作モードとして予め用意されている機能設定モードのメニュー画面から「駆動周波数の設定」が選択されたときには(ステップSD1でYES)、図12に示した動作速度設定画面400を液晶モニタ14に画面表示するとともに、所定のキー操作によりユーザーに所望する駆動周波数を選択させる(ステップSD2)。なお、本実施の形態で選択可能な最も高い周波数は108MHz、最も低い周波数は18MHzである。そして、いずれかの周波数が選択された状態で決定操作が行われたら(ステップSD3でYES)、自己の駆動周波数を、ユーザーによって選択された駆動周波数に変更し(ステップSD4)、以後、ユーザーによって駆動周波数の設定要求があるまでは、ここで設定した駆動周波数によって動作する。なお、本実施の形態においても、起動後から前記ステップSD4による設定を行うまでの間における駆動周波数は予め決められている周波数であり、例えば最も高い108MHzである。
【0067】
以上のように本実施の形態においては、CPU2の駆動周波数をユーザーが必要に応じて周波数を設定することができる。したがって、例えばバッテリー19が充電式である構成において、充電を行うことができないような状況下や、バッテリー19が交換可能な構成において、交換するバッテリー19が用意できないような状況下で、長時間の使用に迫られている場合には周波数を下げることにより、電池寿命の長期化を図ることができる。つまり電池寿命の長期化に向けて要求される多様な動作速度性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の各実施の形態に共通するデジタルカメラのブロック図である。
【図2】第1の実施の形態においてフラッシュメモリに記憶されている駆動周波数設定テーブルを示す概念図である。
【図3】同実施の形態における電源投入後の動作及び処理内容を示すフローチャートである。
【図4】画像変更処理の内容を示すフローチャートである。
【図5】拡大再生処理の内容を示すフローチャートである。
【図6】9画面表示処理の内容を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態においてフラッシュメモリに記憶されている駆動周波数設定テーブルを示す概念図である。
【図8】同実施の形態における駆動周波数設定動作の内容を示すフローチャートである。
【図9】第3の実施の形態においてフラッシュメモリに記憶されている駆動周波数設定テーブルを示す概念図である。
【図10】同実施の形態における駆動周波数設定動作の内容を示すフローチャートである。
【図11】第4の実施の形態における駆動周波数設定動作の内容を示すフローチャートである。
【図12】同実施の形態で表示する駆動周波数設定画面を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 デジタルカメラ
2 CPU
8 CCD
12 画像処理部
14 液晶モニタ(LCD)
15 外部メモリ
16 フラッシュメモリ
17 マイコン
18 キー入力部
19 バッテリー
20 電源制御回路
21 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影により取得した画像を画像データとして記録媒体に記録するデジタルカメラにおいて、
カメラの各部を制御する処理装置と、
この処理装置の駆動周波数を、所定の機能を実現する所定の処理の開始に伴い、当該所定の処理の開始以前における第1の駆動周波数よりも高い第2の駆動周波数に設定するとともに、前記所定の処理の完了に伴い、前記第1の駆動周波数に設定する設定手段と
を備えたことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
使用者による前記所定の処理の繰り返し要求の有無を判断する判断手段を備え、
前記設定手段は、前記判断手段により前記要求が有ると判断されている間、前記処理装置による前記所定の処理の完了に伴う駆動周波数の前記第1の駆動周波数への設定を中断する
ことを特徴とする請求項1記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
前記所定の処理は、前記記録媒体に記録されている記録画像を表示する再生機能を実現するための互いに内容が異なる一連の処理であることを特徴とする請求項1又は2記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
撮影により取得した画像を画像データとして記録媒体に記録するデジタルカメラが有するコンピュータを、
カメラの各部を制御する処理装置の駆動周波数を、所定の機能を実現する所定の処理の開始に伴い、当該所定の処理の開始以前における第1の駆動周波数よりも高い第2の駆動周波数に設定するとともに、前記所定の処理の完了に伴い、前記第1の駆動周波数に設定する設定手段として機能させるためのプログラム。
【請求項5】
撮影により取得した画像を画像データとして記録媒体に記録するデジタルカメラにおいて、
カメラの各部を制御する処理装置と、
電源投入に伴う起動処理中における前記処理装置の駆動周波数を、起動処理の完了後における第1の駆動周波数よりも高い第2の駆動周波数に設定する設定手段と
を備えたことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項6】
電源投入時において設定状態にある動作モードを確認する確認手段を備え、
前記設定手段は、前記確認手段により確認された動作モードが、前記記録媒体に記録されている記録画像の表示用の再生モードであった場合には、起動処理の完了に伴う駆動周波数の前記第1の駆動周波数への設定を中止する
ことを特徴とする請求項5記載のデジタルカメラ。
【請求項7】
前記設定手段は、前記確認手段により確認された動作モードが撮影用の記録モードであった場合には、起動処理の完了後における前記処理装置の駆動周波数を前記第1の駆動周波数に設定することを特徴とする請求項6記載のデジタルカメラ。
【請求項8】
撮影により取得した画像を画像データとして記録媒体に記録するデジタルカメラが有するコンピュータを、
カメラの各部を制御する処理装置の駆動周波数を、電源投入に伴う起動処理中に、起動処理の完了後における第1の駆動周波数よりも高い第2の駆動周波数に設定する設定手段として機能させるためのプログラム。
【請求項9】
撮影により取得した画像を画像データとして記録媒体に記録するデジタルカメラにおいて、
カメラの各部を制御する処理装置と、
カメラ本体内部の温度を検出する温度検出手段と、
前記処理装置の駆動周波数を、前記温度検出手段により検出された温度に対応する、予め決められている駆動周波数に設定する設定手段と
を備えたことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項10】
撮影により取得した画像を画像データとして記録媒体に記録するデジタルカメラにおいて、
カメラの各部を制御する処理装置と、
電源電池の残量を検出する残量検出手段と、
前記処理装置の駆動周波数を、前記残量検出手段により検出された電源電池の残量に対応する、予め決められている駆動周波数に設定する設定手段と
を備えたことを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項11】
撮影により取得した画像を画像データとして記録媒体に記録するデジタルカメラにおいて、
カメラの各部を制御する処理装置と、
この処理装置の駆動周波数を使用者に選択させるための選択制御手段と、
この選択制御手段によって使用者に選択させた駆動周波数を、処理装置の駆動周波数として設定する設定手段と
を備えたことを特徴とするデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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