説明

デジタルカメラ

【課題】 複数フレームを合成する際の画質劣化を低減可能なデジタルカメラを提供する。
【解決手段】 撮像手段は、光路上の位置に応じて画角を変化させる光学手段を介して入射する被写体像を複数回撮像する。画像生成手段は、撮像された複数の画像に共通の領域を合成して合成画像を生成する。記憶手段は、複数の画像からなる一連の画像毎に当該一連の画像の撮像に用いた撮像条件に対応付けて光学手段の光路上の位置を示す位置情報を格納する。設定手段は、撮像手段の撮像動作に際して撮像条件が指定されたときに記憶手段に記憶される位置情報をもとに生成された、撮像条件における位置情報に基づいて、光学手段の光路上の位置を設定する。算出手段は、撮像により得られた複数の画像データと、生成された位置情報とに基づいて撮像条件における新たな位置情報を生成する。制御手段は、新たな位置情報を撮像条件と関連付けて、記憶手段に記憶するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体像を連続して撮像可能なデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデジタルカメラでは、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子により、被写体像を連続して撮像し、撮像された複数フレームの画像を位置合わせの後に重ね合わせて、適正な露光量の画像を得ることが行われていた。このような合成に用いる画像の撮影動作においては、各フレーム画像撮影の露光時間は、各々フレーム画像にブレが生じないように短く設定されるとともに、その撮影時間間隔も、位置合わせ処理が容易となるように、可能な限り短く設定される。しかしながら、このようにして撮影時間間隔が短く設定されていても、得られた複数フレームの画像を合成する際には、手振れ等により各フレーム画像間の位置合わせ処理が必要となり、この際に互いに重なり合わない領域については、適正な露光量が得られないことから、この領域を削除して合成処理が施されていた。これに対応する手法として、撮影画角を変更する手法が、例えば下記特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される技術によれば、被写体の撮像に先立って、撮影画角が広く変更されることで、上述した領域が削除された後も、合成画像の画角が確保される。最終的に得られる画像は、このようにして得られた複数フレームの画像の互いに重複した領域の画像となる。
【特許文献1】特開2005−79841号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した互いに重なり合わない領域の大きさ、すなわち手振れの大きさは、その時々によって異なるものであり、全ての起こりうる手振れを想定して、撮影画角を広角に設定すると、最終的に得られる画像の画素数は撮像素子の有効画素数よりも大幅に少ないものとなり、所望の画質が得られない。
本発明は、複数フレームを合成する際の画質劣化を低減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1のデジタルカメラでは、撮像手段は、光路上の位置に応じて画角を変化させる光学手段を介して入射する被写体像を複数回撮像する。画像生成手段は、撮像手段により撮像された複数の画像に共通の領域を合成して合成画像を生成する。記憶手段は、複数の画像からなる一連の画像毎に、当該一連の画像の撮像に用いた撮像条件に対応付けて、光学手段の光路上の位置を示す位置情報を格納する。設定手段は、撮像手段の撮像動作に際して、撮像条件が指定されたときに、記憶手段に記憶される位置情報をもとに生成された、撮像条件における位置情報に基づいて、光学手段の光路上の位置を設定する。算出手段は、撮像動作によって得られた複数の画像データと、生成された位置情報とに基づいて、撮像条件における新たな位置情報を生成する。制御手段は、算出手段によって算出された新たな位置情報を、撮像条件と関連付けて、記憶手段に記憶するように制御する。
【0005】
請求項2のデジタルカメラでは、取得手段は、カメラ本体を操作する操作者を個別に認識するための認識情報を取得する。記憶手段は、認識情報に対応付けて、光学手段の光路上の位置を格納する。設定手段は、認識情報をもとに、撮像動作における位置情報を生成する。制御手段は、算出手段によって算出された新たな位置情報を、認識情報と関連付けて、記憶手段に記憶するように制御する。
【0006】
請求項3のデジタルカメラでは、エラー表示手段は、設定手段により設定される光路上の位置が予め決められた範囲を超えるとき、エラー情報を表示する。
請求項4のデジタルカメラでは、撮像手段は、光路上の位置に応じて画角を変化させる光学手段を介して入射する被写体像を複数回撮像する。画像生成手段は、撮像手段により撮像された複数の画像に共通の領域を合成して合成画像を生成する。記憶手段は、複数の画像からなる一連の画像毎に、当該一連の画像の撮像に用いた撮像条件に対応付けて、共通の領域を示す領域情報を格納する。表示手段は、撮像手段によって撮像される画像と、領域情報に基づく指標とを表示する。調整手段は、操作者の操作に応じて、光学手段の光路上の位置を調整する。設定手段は、撮像手段の撮像動作に際して、撮像条件が指定されたときに、記憶手段に記憶される領域情報をもとに生成された、撮像条件における領域情報に基づいて、表示手段の表示画面上の指標の表示位置を設定する。算出手段は、撮像動作によって得られた複数の画像データと、生成された領域情報とに基づいて、撮像条件における新たな領域情報を生成する。制御手段は、算出手段によって算出された新たな領域情報を、撮像条件と関連付けて、記憶手段に記憶するように制御する。
【0007】
請求項5のデジタルカメラでは、エラー表示手段は、調整手段により調整される光路上の位置が予め決められた範囲を超えるとき、エラー情報を表示する。
【発明の効果】
【0008】
撮影者の癖(手振れの大きさ)に応じて、撮影者が構図内に収めたい範囲の被写体像を合成画像として容易、かつ確実に生成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明のデジタルカメラの第1の実施形態を示している。デジタルカメラ100は、被写体を撮像する撮影レンズの一部を構成するズームレンズ10(光学手段)、ズームモータ12、ズームモータ12の駆動回路14(設定手段)、機械式のシャッタ16、CCDやCMOS撮像素子で構成される撮像素子18(撮像手段)、A/D変換回路20、CPU22(算出手段、設定手段及び制御手段)、RAM24、プログラムメモリ26、記憶媒体28(記憶手段)、操作部30、動き補償回路32(画像生成手段)、バス34及びモニタ42(エラー表示手段及び表示手段)を有している。
【0010】
ズームレンズ10は、焦点距離の短い広角側、及び焦点距離の長い望遠側に移動可能に光軸OA上に配置される。このため、被写体が撮像される画角は、ズームレンズ10の広角側への移動により広く、望遠側への移動により狭く設定される。
ズームモータ12は、ズームレンズ10を移動させるためのモータである。駆動回路14には、ズームレンズ10の移動量及び移動方向を示す制御情報がCPU22から供給される。駆動回路14は、ズームモータ12を介して、ズームレンズ10を広角側及び望遠側のいずれかに移動させる。
【0011】
シャッタ16は、ズームレンズ10から撮像素子18への光路を遮る位置に配置されるシャッタ膜(図示せず)を有している。シャッタ16は、図示しないシャッタドライバによって駆動され、ズームレンズ10を通過した光によって撮像素子18が露光される露光時間を調節する。シャッタ膜は、ズームレンズ10から撮像素子18への光路を確保するために開く。なお、機械式のシャッタ16に代えて、撮像素子18の電子シャッタにより露光時間を調節する構成としてもよい。あるいは、機械式のシャッタ16と、撮像素子18の電子シャッタとを併用する構成としてもよい。
【0012】
撮像素子18は、シャッタ16を介してズームレンズ10に対向する位置に配置されている。撮像素子18は、図示しない撮像素子ドライバにより駆動され、ズームレンズ10より結像される被写体像を撮像する。撮像素子18は、デジタルカメラ100の動作モードが合成モードに設定されているときに、所定の撮影時間間隔で被写体像を連続して複数回撮像する。本発明において、合成モードは、動き補償回路32により合成画像(後述)が生成される動作モードを指す。A/D変換回路20は、撮像素子18により撮像された画像をアナログ値からデジタル値に変換する。A/D変換回路20は、A/D変換した画像データをRAM24に出力する。
【0013】
CPU22は、プログラムメモリ26に格納されたプログラムを実行することによって、バス34で接続された各装置の動作を制御する。RAM24は、撮像素子18により撮像された画像データや各情報を一時的に保存する。プログラムメモリ26は、デジタルカメラ100を動作させるためにCPU22により実行されるプログラムを格納している。記憶媒体28は、フラッシュメモリ等で構成され、デジタルカメラ100の電源がオフの間も、撮影された画像データを含む各種のデータを保持する。
【0014】
操作部30は、被写体の撮影時に押下げられるレリーズスイッチ、ズームレンズ10の位置を調整するためのズームスイッチ及び、デジタルカメラ100の動作モードやモニタ42に再生表示しようとする画像等を選択する選択スイッチ等(図示せず)を有している。動き補償回路32は、撮像素子18により撮像された複数の静止画像を重ね合わせて、一枚の適正な露光の合成画像を生成する。動き補償回路32による画像生成方法の概要については、図2で説明する。
【0015】
モニタ42は、例えば液晶パネル(図示せず)及び液晶パネルの駆動用ドライバ回路(図示せず)等により構成される。液晶パネルには、レリーズスイッチの全押し前及び全押し後に、撮像素子18により撮像される画像や設定画面が表示される。すなわち、モニタ42は、撮像素子18の撮像面に結像される被写体像を映すファインダーとしても利用される。撮影者は、モニタ42に映し出された被写体像を見ることによって、被写体の構図や被写体の状態を確認できる。
【0016】
なお、特に図示していないが、デジタルカメラ100は、ジャイロセンサ及びエンコーダを有している。ジャイロセンサは、手振れを角速度として検出するセンサであり、検出した角速度をCPU22に出力する。エンコーダは、ズームレンズ10の位置情報をCPU22に出力する。CPU22は、エンコーダより出力されるズームレンズ10の位置情報に基づいて、移動するズームレンズ10の焦点距離を求めることができる。
【0017】
図2は、動き補償回路32による画像生成方法の概要を示している。ここでは、被写体像が「文字A」であるとして説明する。図2(a)は、文字Aが、例えば、2回連続して撮像された静止画像SP1、SP2を示している。この例では、撮像時の手振れにより、文字Aを結像する撮像素子18の撮像面の位置が静止画像SP1、SP2毎に変位し、静止画像SP1、SP2における文字Aの位置がそれぞれ異なっている。静止画像SP1、SP2は、複数の画素で構成される画素ブロックにそれぞれ細分化されている。
【0018】
動き補償回路32は、静止画像SP1の各画素ブロックから、文字Aを含む画素ブロックBLK1を選択する。動き補償回路32は、図2(b)に示すように、画素ブロックBLK1を静止画像SP2に含まれる各画素ブロックと順次比較して、静止画像SP2の中から画素ブロックBLK1に最も類似する画素ブロックBLK1’を検出する。そして、動き補償回路32は、画素ブロックBLK1の座標値(X1、Y1)から画素ブロックBLK1’の座標値(X2、Y2)までの距離及び移動方向を求める。この例では、画素ブロックBLK1’は、画素ブロックBLK1に対して右斜め下の方向Dに距離(Δx、Δy)移動している。このため、動き補償回路32は、画素ブロックBLK1’を方向Dの反対方向に距離(Δx、Δy)移動させて、文字Aの位置を互いに一致させる。文字Aを含む画素ブロック以外の画素ブロックについても、上述の移動処理を行って、静止画像SP1、SP2が互いに重ね合わされ、一枚の適正な露光の合成画像が生成される。
【0019】
図3〜5は、本発明を適用していないデジタルカメラで撮像された静止画像の一例を示している。この例では、撮影者が構図内に収めたい範囲の被写体像として、人物及び木が2回連続して撮像される。図3は、最初に撮像された静止画像SP3を示している。図4は、次に撮像された静止画像SP4と静止画像SP3とを画像端を一致させて示している。なお、図4においては、識別を容易にするために、静止画像SP4における人物及び木の被写体像を破線で示している。静止画像SP4に含まれる被写体像の位置は、撮像時の手振れにより、静止画像SP3に含まれる被写体像の位置に対して図4上で左斜め上の方向Dに距離(Δx1、Δy1)移動している。したがって、被写体像の位置を互いに一致させるために、静止画像SP4を方向Dの反対方向D’に距離(Δx1、Δy1)移動させる。
【0020】
この移動により、図5に示すように、静止画像SP3、SP4は互いに重ね合わされ、合成画像が生成される。図5中の網掛け部分は、静止画像SP3、SP4が互いに重なった領域T1であり、適正な露光の合成画像として生成される。一方、図5中の塗りつぶし部分は、静止画像SP3、SP4が互いに重ならない領域T2を示している。木の先端部分を含む領域T2は、露光が不足しているために削除される。このため、合成画像の範囲内に木の先端部分を収めることができない。なお、上記説明では、2フレームの静止画像SP3、SP4の互いに重ならない領域を削除する例を示したが、3フレーム以上の静止画像を合成する場合には、3フレーム以上の静止画像の内、少なくとも2フレームで互いに重ならない領域が削除される。
【0021】
図6は、撮像素子18により撮像された静止画像を示している。この例では、図3と同じ人物及び木が被写体像として連続して撮像される前に、ズームレンズ10を広角側に移動させて画角が補正される。この補正により、画角が広くなり、静止画像SP3(図3)に比べて広い範囲の被写体像が静止画像SP5として撮像される。静止画像SP5には、上述の互いに重ならない領域として動き補償回路32による合成画像の生成時に除去される可能性のある領域T2’(図6中の塗りつぶし領域)が予め設けられている。
【0022】
手振れが大きいほど、時間的に隣接する連続撮影中に被写体像が移動する距離(Δx1、Δy1)は長くなり、領域T2’の大きさが大きくなる。したがって、手振れが大きいほど、すなわち、領域T2’が大きいほど、生成される合成画像の画角は狭くなる。このため、構図内に収めたい範囲の被写体像(例えば、静止画像SP3)を合成画像として生成するために、手振れの大きさに応じて画角を広く補正する必要がある。また、ズームレンズ10の焦点距離が大きいほど、あるいは複数回の撮影の撮影時間間隔が長いほど、あるいは撮影の回数が大きいほど、領域T2'を大きく設定し、画角を広く補正する必要がある。
【0023】
図7及び図8は、デジタルカメラの第1の実施形態における画像生成動作を示している。図7及び図8に示す動作は、CPU22(算出手段、設定手段及び制御手段)がプログラムメモリ26に格納されたプログラムを実行することによって実現される。この例では、初期状態において、デジタルカメラ100の動作モードは合成モードに設定されている。
【0024】
まず、ステップS100において、CPU22は、撮影者によりレリーズスイッチが半押しされるのを待つ。レリーズスイッチの半押しが検出されると、処理はステップS102に移行する。ステップS100は、レリーズスイッチの半押しが検出されるまで繰り返される。
ステップS102において、CPU22は、撮像素子ドライバを制御して撮像素子18を駆動し、被写体像を受光する。CPU22は、受光した被写体像の明るさに基づいて撮像素子18の露光時間t1(例えば、60msec.)を決定し、決定した露光時間t1をRAM24に格納する。この後、処理はステップS104に移行する。
【0025】
ステップS104において、CPU22は、図1で述べたエンコーダから出力されるズームレンズ10の位置情報に基づいて焦点距離f(mm)を算出する。CPU22は、算出した焦点距離f(mm)に基づいて、手振れを生じないで撮影を行うことができる露光時間t2(例えば、10msec.)を決定する。同じ手振れ量であっても、焦点距離が長いほど、撮影画面上の被写体像のぶれ量が大きいことが知られている。手振れを生じないで撮影を行うことができる露光時間t2は、例えば、[1/f(mm)]sec.で与えられる。CPU22は、露光時間t1、t2から、合成画像を生成するために必要な撮像素子18の撮像回数N(t1/t2、すなわち、60msec./10msec.=6)を算出し、露光時間t2、撮像回数N及び焦点距離f(mm)をRAM24に格納する。なお、露光時間(t2)として、必ず焦点距離f(mm)の逆数から求めた値を採用するものとすれば、露光時間(t2)は必ずしもRAM24に格納しておく必要はない。その後、処理はステップS105に移行する。
【0026】
ステップS105において、CPU22は、撮像条件Cに対応するズームレンズ10の広角側への移動量を求めるのに必要な情報が、記憶媒体28に既に格納されているか否かを検出する。例えば、ステップS104で、撮像条件Cとして、焦点距離100(mm)、撮像回数6、露光時間(t2)10(msec.)が算出された場合について考える。記憶媒体28に、撮像条件Cに合致する撮像条件での移動量Mが記憶されている場合には、ステップS105は肯定判定される。また、例えば、記憶媒体28に、焦点距離200(mm)、撮影回数6、露光時間(t2)10(msec.)の撮像条件下での移動量M′が記憶されている場合に、この撮像条件下での移動量M′より、撮像条件C下での移動量Mを算出することができるので、ステップS105は肯定判定される。またさらに、記憶媒体28に、例えば、焦点距離100(mm)、撮影回数3、露光時間(t2)10(msec.)の撮像条件下での移動量M″が記憶されている場合に、この撮像条件下での移動量M″より、撮像条件C下での移動量Mを算出することができるので、ステップS105は肯定判定される。このように、撮像条件Cにおける移動量Mは、撮像条件Cとは異なる撮像条件下での移動量M′やM″などから求めることができる。撮像条件Cのもとでの移動量Mを求めるのに必要な情報が、記憶媒体28に格納されていると、ステップS105が肯定判定され、ステップS106に移行する。一方、撮像条件Cのもとでの移動量Mを求めるのに必要な情報が記憶媒体28に格納されていないと、図8のステップS117に移行する。
【0027】
ステップS106において、CPU22は、スルー画像を撮影している状態で、撮像条件C(露光時間t2、撮像回数N、焦点距離f)のときにズームレンズ10を広角側に移動させる移動量Mを、記憶媒体28に記憶されている情報をもとに求める。記憶媒体28に、撮像条件Cに合致する撮像条件での移動量Mが記憶されている場合には、記憶されている情報を読み出して移動量Mとする。また、例えば、記憶媒体28に、焦点距離200(mm)、撮影回数6、露光時間(t2)10(msec.)の撮像条件下での移動量M′が記憶されている場合に、この撮像条件下での移動量M′より、焦点距離の違いを考慮して、撮像条件C下での移動量Mを求める。またさらに、記憶媒体28に、例えば、焦点距離100(mm)、撮影回数3、露光時間(t2)10(msec.)の撮像条件下での移動量M″が記憶されている場合に、この撮像条件下での移動量M″より、撮像回数の違いを考慮して、撮像条件Cにおける移動量Mを求める。このとき、撮像条件Cに合致する撮像条件での移動量Mが記憶されていない場合には、類似する撮像条件から求められた移動量Mを、撮像条件Cとともに、記憶媒体28に記憶する。
【0028】
ステップS106に続くステップS112において、CPU22は、移動量Mの移動によって、ズームレンズ10の焦点距離が、広角端(短焦点端)における焦点距離を超えるか否かを判断する。移動量Mだけ移動させたズームレンズ10の焦点距離が、広角端(短焦点端)における焦点距離を超える、すなわち適切な画角に変更することができないと判断された場合には、ステップS114に移行する。一方、移動量Mだけ移動させたズームレンズ10の焦点距離が、広角端(短焦点端)における焦点距離を超えない、すなわち適切な画角に変更することができると判断された場合には、ステップS124に移行する。
【0029】
ステップS114において、CPU22は、「適切な画角に変更できない(最終的な生成画像の端部が削除される可能性がある)」旨を示すエラー表示をモニタ42に表示させる。従って、撮影者はモニタ42を介して、適切な画角に設定することができないことを認識できる。このため、撮影者は、画角を広くするためにカメラ本体を被写体から遠ざけるか、あるいは、撮影を中止するか、あるいは画角が狭い状態で撮影を続けるか等を判断できる。この後、処理はステップS124に移行する。
【0030】
一方、ステップS105で、撮像条件Cに対応するズームレンズ10の広角側への移動量Mを求めるのに必要な情報が、記憶媒体28に格納されていない場合、図8のステップS117において、CPU22は、ズームレンズ10の移動量Mとして、デフォルトで定められている値を設定する。
ステップS117に続くステップS118において、CPU22は、デフォルト値に設定された移動量に基づく移動によって、ズームレンズ10の焦点距離が、広角端(短焦点端)における焦点距離を超えるか否かを判断する。ズームレンズ10の焦点距離が、広角端(短焦点端)における焦点距離を超える、すなわち設定された移動量に対応する画角に変更することができないと判断された場合には、ステップS120に移行する。一方、ズームレンズ10の焦点距離が、広角端(短焦点端)における焦点距離を超えない、すなわち設定された移動量に対応する画角に変更することができると判断された場合には、図7のステップS124に移行する。
【0031】
ステップS120において、CPU22は、「設定された移動量に対応する画角に変更できない」旨を示すエラー表示をモニタ42に表示させる。この後、処理は図7のステップS124に移行する。
ステップS112、またはステップS114、またはステップS118、またはステップS120の処理の後、ステップS124において、CPU22は、撮影者によりレリーズスイッチが全押しされるのを待つ。レリーズスイッチの全押し操作が検出されると、処理はステップS125に移行する。レリーズスイッチの全押し操作が検出されないと、処理はステップS100に移行する。
【0032】
ステップS125において、CPU22は、駆動回路14を介してズームモータ12を駆動して、ズームレンズ10を広角側に移動量M分だけ移動させる。この際に、ステップS114、またはステップS120でエラー表示がなされた場合にも、ズームレンズ10を、広角端まで移動させる構成とすれば、画角が狭い状態で撮影を続けることができる。この後、処理はステップS126に移行する。
【0033】
ステップS126において、CPU22は、シャッタドライバ及び撮像素子ドライバをそれぞれ制御して、シャッタ16及び撮像素子18を駆動し、撮像条件Cで、被写体像を連続してN(例えば、6)回撮像する。この後処理は、ステップS128に移行する。
ステップS128において、CPU22は、図2で述べたように、動き補償回路32を制御して、撮像された複数の静止画像を位置合わせの上、重ね合わせて、1フレームの適正な露光の合成画像を生成する。この後、処理はステップS130に移行する。
【0034】
ステップS130において、CPU22は、撮像条件Cに対応付けて、修正された移動量M(位置情報)を算出して記憶媒体28に格納する。CPU22は、ステップS126で撮像された複数フレームの静止画像から合成した合成画像上で、複数フレーム全ての撮像画像が重複していない領域の大きさから、ステップS126の撮影時の手振れ量を求め、撮像条件Cにおいて、この手振れの影響をなくすために必要であったズームレンズ10の移動量mを算出する。CPU22は、ステップS125の処理で実際にズームレンズ10を移動させた移動量Mと、上記の移動量mとの重み付け加算値(例えば平均値)を算出して、撮像条件Cと関連付けて新たな修正された移動量Mとして記憶媒体28に記憶する。そして、デジタルカメラの第1の実施形態における画像生成動作が終了する。
【0035】
このように、ステップS130で記憶媒体28に記憶される新たな修正された移動量Mは、直前の撮影による振れ量を反映したものであるので、第1の実施形態においては、撮影者の癖(手振れの大きさ、方向)に応じて画角を補正できる。このため、構図内に収めたい範囲の被写体像の画質劣化を低減しつつ、容易、かつ確実に合成画像が生成できる。
図9は本発明のデジタルカメラの第2の実施形態を示している。第1の実施形態で説明した要素と同一の要素については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。デジタルカメラ200は、認識部36(取得手段)が新たに形成されている点を除き、第1の実施形態のデジタルカメラ100と同じである。認識部36は、デジタルカメラ200を操作する操作者の声紋を、操作者を個別に認識する認識情報として検出する。認識部36は、検出した認識情報をCPU22に出力する。
【0036】
図10及び図11は、デジタルカメラの第2の実施形態における画像生成動作を示している。この実施形態では、CPU22が実行するためにプログラムメモリ26に格納されているプログラムが、デジタルカメラの第1の実施形態と相違する。図10及び図11は、第1の実施形態(図7及び図8)のステップS105がステップS200、S202に置き換えられた点と、ステップS130がステップS204に置き換えられた点を除いて、図7及び図8と同じである。
【0037】
上述した図7及び図8と同じ処理については、詳細な説明を省略する。また、図10及び図11に示す動作は、CPU22(算出手段、設定手段及び制御手段)がプログラムメモリ26に格納されたプログラムを実行することによって実現される。なお、この例では、初期状態において、デジタルカメラ200の動作モードは合成モードに設定されている。
【0038】
まず、ステップS100〜S104が実行され、第1の実施形態と同様の手法により、撮像回数Nを求め、撮像回数N、焦点距離f(mm)、及び露光時間t2をRAM24に格納する。
ステップS104に続くステップS200において、CPU22は、認識部36から撮影者を特定する認識情報Rを受け取る。この後、処理はステップS202に移行する。
【0039】
ステップS202において、CPU22は、撮像条件C及び認識情報Rに対応する、ズームレンズ10の広角側への移動量Mを求めるのに必要な情報が記憶媒体28に記憶されているか否かを検出する。撮像条件C、及び認識情報Rにおける移動量Mを求めるのに必要な情報が格納されていると、処理はステップS106に移行する。一方、撮像条件C、及び認識情報Rにおける移動量Mを求めるのに必要な情報が格納されていないと、処理は図11のステップS117に移行する。
【0040】
ステップS106において、CPU22は、スルー画像を撮影している状態で、撮像条件C、及び認識情報Rのときにズームレンズ10を広角側に移動させる移動量Mを、記憶媒体28に記憶されている情報をもとに、例えば第1の実施形態と同様にして求める。このとき、認識情報Rのもとでの撮像条件Cに合致する撮像条件での移動量Mが記憶されていない場合には、類似する撮像条件から求められた移動量Mを、認識情報R、及び撮像条件Cとともに、記憶媒体28に記憶する。その後、第1の実施形態と同様にステップS112〜S128の処理が実行され、動き補償回路32により合成画像が生成された後、処理はステップS204に移行する。
【0041】
ステップS204において、CPU22は、撮像条件C、及び識別情報Rに対応付けて、修正された移動量(位置情報)を算出して記憶媒体28に格納する。CPU28は、ステップS126で撮像された複数フレームの静止画像から合成した合成画像上で、複数フレーム全ての撮像画像が重複していない領域の大きさから、ステップS126の撮影時の手振れ量を求め、撮像条件C、及び認識情報Rのもとで、この手振れの影響をなくすために必要であったズームレンズ10の移動量mを算出する。CPU22は、ステップS125の処理で実際にズームレンズ10を移動させた移動量Mと、上記の移動量mとの重み付け加算値(例えば平均値)を算出して、撮像条件C、及び識別情報Rと関連付けて、新たな修正された移動量Mとして記憶媒体28に記憶する。そして、デジタルカメラの第2の実施形態における画像生成動作が終了する。
【0042】
以上、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様な効果を得ることができる。さらに、デジタルカメラ200を操作する撮影者毎に、過去の手振れ量が反映されたズームレンズ10の移動量が、記憶媒体28に記憶されるので、複数の撮影者が交代でデジタルカメラ200を操作する場合も、各々の撮影者の癖が反映されたズームレンズ10の移動量を設定することができる。この結果、撮影者毎に、構図内に収めたい範囲の被写体像を合成画像として容易、かつ確実に高画質で撮影することができる。
【0043】
図12及び図13は、デジタルカメラの第3の実施形態における画像生成動作を示している。この実施形態では、CPU22が実行するためにプログラムメモリ26に格納されているプログラムが、デジタルカメラの第1の実施形態と相違する。図12び図13は、第1の実施形態(図7及び図8)のステップS100〜S104、及びステップS302〜S308が実行された後、ステップS124が実行される点と、ステップS117〜S120、及びステップS130が各々、ステップS313〜S316、及びステップS322に置き換えられた点を除いて、図7及び図8と同じである。
【0044】
上述した図7及び図8と同じ処理については、詳細な説明を省略する。また、図12及び図13に示す動作は、CPU22(算出手段)がプログラムメモリ26に格納されたプログラムを実行することによって実現される。
第3の実施形態においては、撮像条件から予想される合成画像の大きさを表す指標を、モニタ42に表示する。また、この際に、手振れ量などの撮影者の癖を、一連の複数フレームの撮影の度に順次反映した指標表示とする。以下に示す「領域情報」は、上記の予想される合成画像の大きさを表す指標の画面上の位置情報に対応する。
【0045】
ステップS100〜S104が実行され、撮像回数Nが算出された後、ステップS302において、CPU22は、撮像条件C(例えば、焦点距離100(mm)、撮影回数6、露光時間(t2)10(msec.))に対応する領域情報Tが記憶媒体28に格納されているか否かを検出する。記憶媒体28に、撮像条件Cに合致する撮像条件での領域情報Tが記憶されている場合には、ステップS302は肯定判定される。また、例えば、記憶媒体28に、焦点距離200(mm)、撮影回数6、露光時間(t2)10(msec.)の撮像条件下での領域情報T′が記憶されている場合に、この撮像条件下での領域情報T′より、撮像条件C下での領域情報Tを算出することができるので、ステップS302は肯定判定される。またさらに、記憶媒体28に、例えば、焦点距離100(mm)、撮影回数3、露光時間(t2)10(msec.)の撮像条件下での領域情報T″が記憶されている場合に、この撮像条件下での領域情報T″より、撮像条件C下での領域情報Tを算出することができるので、ステップS302は肯定判定される。このように、撮像条件Cのもとでの領域情報Tは、撮像条件Cとは異なる撮像条件下での領域情報T′やT″などから求めることができる。撮像条件Cのもとでの領域情報Tを求めるのに必要な情報が、記憶媒体28に格納されていると、ステップS302が肯定判定され、ステップS303に移行する。一方、撮像条件Cのもとでの領域情報Tを求めるのに必要な情報が記憶媒体28に格納されていないと、図13のステップS313に移行する。
【0046】
ステップS303において、CPU22は、スルー画像を撮影している状態で、撮像条件Cのときに、動き補償回路32により合成画像が生成されると予想される領域を示す領域情報Tを、記憶媒体28に記憶されている情報をもとに算出する。記憶媒体28に、撮像条件Cに合致する撮像条件での領域情報Tが記憶されている場合には、記憶されている情報を読み出して領域情報Tとする。また、例えば、記憶媒体28に、焦点距離200(mm)、撮影回数6、露光時間(t2)10(msec.)の撮像条件下での領域情報T′が記憶されている場合に、この撮像条件下での領域情報T′より、焦点距離の違いを考慮して、撮像条件C下での領域情報Tを求める。またさらに、記憶媒体28に、例えば、焦点距離100(mm)、撮影回数3、露光時間(t2)10(msec.)の撮像条件下での領域情報T″が記憶されている場合に、この撮像条件下での領域情報T″より、撮像回数の違いを考慮して撮像条件Cにおける領域情報Tを求める。このとき、撮像条件Cに合致する撮像条件での領域情報Tが記憶されていない場合には、記憶媒体28に格納されている撮像条件のうち、最も撮像条件Cに類似する撮像条件から求められた領域情報Tを、撮像条件Cとともに、記憶媒体28に記憶する。
【0047】
ステップS303に続くステップS306において、CPU22は、ステップS303で求められた領域情報Tに相当する領域をあらわす指標を、撮像されているスルー画像に重畳してモニタ42に表示する。撮影者は、モニタ42のスルー画像と指標を見て、所望の被写体が指標内に入っていない場合には、ズームスイッチ(調整手段)を広角側に操作して、所望の被写体が指標内に入るようにズームレンズ10を短焦点側に移動させる操作を行う。一方、所望の被写体の指標内における大きさが小さい場合には、ズームスイッチを操作して、所望の被写体の指標内における大きさが適切となるように、ズームレンズ10を長焦点側に移動させる操作を行う。
【0048】
ステップS306に続くステップS308において、CPU22は、撮影者によるズームスイッチの操作に応答して、ズームモータ12を駆動してズームレンズ10を広角側、もしくは望遠側に、操作によって設定された移動量の分、移動させる。ここで、所望の被写体が指標内に適切な大きさで入っている場合には、ズームレンズ10を移動させる必要がないので、ステップS308はスキップされる。このように、撮影者の癖が反映された合成画像の予測生成領域をモニタ42に表示することで、撮影者は自分の手振れの大きさに応じて画角を補正できる。この後、処理はステップS124に移行する。なお、上記のステップS308は、ズームスイッチの操作に基づいて、ズームレンズ10を移動させるものに限定されず、指標内の特定の被写体の大きさが適切となるように、自動的にズームレンズ10を移動させる構成(オートズーム)としてもよい。指標内の特定の被写体の大きさが適切となるように、自動的にズームレンズ10を移動させる制御は、撮像素子18により撮像された特定被写体の像のモニタ42上の大きさと、指標の間隔とを比較して、両者の大小関係が適切となるようにズームレンズ10を駆動することによって行うことができる。
【0049】
一方、ステップS302で、撮像条件Cに対応する領域情報Tを求めるのに必要な情報が、記憶媒体28に格納されていない場合、ステップS313において、CPU22は、領域情報として、デフォルトで定められている値を設定する。
ステップS313に続くステップS314において、CPU22は、デフォルト値に設定された領域情報に基づいて、合成画像の予測生成領域を示す指標を、撮像されているスルー画像に重畳してモニタ42に表示する。この後、処理はステップS316に移行する。 ステップS316において、CPU22は、撮影者によるズームスイッチの操作に応答して、ズームモータ12を駆動してズームレンズ10を広角側(あるいは望遠側)に、操作によって設定された移動量の分だけ移動させる。その後、処理は、図12のステップS124に移行する。
【0050】
ステップS308、またはS316で、ズームレンズ10が広角側(あるいは望遠側)に移動された後、ステップS124において、CPU22は、撮影者によりレリーズスイッチが全押し操作されるのを待つ。レリーズスイッチの全押し操作が検出されると、処理はステップS126に移行する。レリーズスイッチの全押し操作が検出されないと、処理はステップS100に移行する。
【0051】
ステップS126において、CPU22は、シャッタドライバ及び撮像素子ドライバをそれぞれ制御して、シャッタ16及び撮像素子18を駆動し、撮像条件Cのもとで、被写体像を連続してN(例えば、6)回撮像する。この後処理は、ステップS128に移行する。 ステップS128において、CPU22は、図2で述べたように、動き補償回路32を制御して、撮像された複数の静止画像を位置合わせの上、重ね合わせて、1フレームの適正な露光の合成画像を生成する。この後、処理はステップS322に移行する。
【0052】
ステップS322において、CPU22は、撮像条件Cに対応付けて、新たに修正された領域情報Tを算出して記憶媒体28に格納する。CPU22は、ステップS128で生成された合成画像と、ステップS308、またはステップS316でモニタ42に表示された合成画像の予測生成領域内の画像とから、次回の同じ撮像条件Cでの撮像動作の際に用いる領域情報Tを新たに生成して、撮像条件Cと関連付けて記憶媒体28に記憶する。撮像条件Cに関連付けられて、記憶媒体28に新たに記憶される領域情報Tは、ステップS128で生成された合成画像の領域の大きさと、ステップS308、またはステップS316でモニタ42に表示された合成画像の予測生成領域の大きさとの間(例えばちょうど中間)の大きさを有する領域を示す情報となる。そして、デジタルカメラの第3の実施形態における画像生成動作が終了する。
【0053】
このように、ステップS322で記憶媒体28に記憶される領域情報は、直前の撮影による振れ量を反映したものであるので、撮影者は、モニタ42に表示される指標を見ながら、所望の被写体の像が指標内に入るように画角を調整するだけで、所望の被写体を含み、画質劣化の低減された合成画像を容易、かつ確実に得ることができる。
第3の実施形態で説明した指標表示は、第1の実施形態、あるいは第2の実施形態で説明したデジタルカメラに組み合わせて用いることができる。この場合、記憶媒体28には、撮像条件Cに関連付けられて、ズームレンズ10の移動量M、及び領域情報Tが記憶される。
【0054】
また、上述した第1の実施形態、及び第2の実施形態では、今回のレリーズスイッチの全押し操作による本撮影画像から得られた手振れ情報をもとに、同じ撮像条件での次回の撮像動作におけるズームレンズ10の移動量を求める構成としたが、これに代えて、今回のスルー画像撮像段階で得られる手振れ量データと、記憶媒体28に記憶される同じ撮像条件のもとでのズームレンズ10の移動量とから、当該スルー画像の撮像の後に行われる本撮影におけるズームレンズ10の移動量を算出し、記憶媒体28にこの移動量を格納するとともに、これに基づいてズームレンズ10を移動させて本撮影動作を行う構成としてもよい。
【0055】
この際に、スルー画像撮像段階で取得する手振れデータは、撮像したスルー画像データの中から、レリーズスイッチの全押し操作に伴って連続撮像する撮像周期に相当する周期で、撮像回数Nに相当するフレーム数だけスルー画像データを抜き出して、抜き出した各スルー画像のデータ間で、動きベクトルを算出することによって取得することができる。 また上述の第1、及び第2の各実施の形態で示した移動量Mにかえて、焦点距離の値を、記憶媒体28に記憶するものであってもよい。ズームレンズ10の焦点距離の値とエンコーダの出力は1対1で対応するので、焦点距離の値も、ズームレンズ10の位置情報を示していると考えることができる。また、移動量、領域情報の記憶される記憶媒体28は、画像データを記憶しないものであってもよい。
【0056】
上述した第2の実施形態では、デジタルカメラ200を操作する操作者の声紋を認識情報として検出する例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。操作者の指紋や虹彩から操作者を認識してもよい。
以上、本発明について詳細に説明してきたが、上記の実施形態及びその変形例は発明の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。本発明を逸脱しない範囲で変形可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、被写体像を連続して撮像可能なデジタルカメラに適用される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明のデジタルカメラの第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】動き補償回路による画像生成方法の概要を示す説明図である。
【図3】本発明を適用していないデジタルカメラで撮像された静止画像の一例を示す説明図である。
【図4】本発明を適用していないデジタルカメラで撮像された静止画像の一例を示す説明図である。
【図5】本発明を適用していないデジタルカメラで撮像された静止画像の一例を示す説明図である。
【図6】撮像素子により撮像された静止画像を示す説明図である。
【図7】デジタルカメラの第1の実施形態における画像生成動作を示すフローチャートである。
【図8】デジタルカメラの第1の実施形態における画像生成動作を示すフローチャートである。
【図9】デジタルカメラの第2の実施形態を示すブロック図である。
【図10】デジタルカメラの第2の実施形態における画像生成動作を示すフローチャートである。
【図11】デジタルカメラの第2の実施形態における画像生成動作を示すフローチャートである。
【図12】デジタルカメラの第3の実施形態における画像生成動作を示すフローチャートである。
【図13】デジタルカメラの第3の実施形態における画像生成動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0059】
10…ズームレンズ、12…ズームモータ、14…駆動回路、16…シャッタ、18…撮像素子、20…A/D変換回路、22…CPU、24…RAM、26…プログラムメモリ、28…記憶媒体、30…操作部、32…動き補償回路、34…バス、36…認識部、42…モニタ、100、200…デジタルカメラ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光路上の位置に応じて画角を変化させる光学手段を介して入射する被写体像を複数回撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された複数の画像に共通の領域を合成して合成画像を生成する画像生成手段と、
前記複数の画像からなる一連の画像毎に、当該一連の画像の撮像に用いた撮像条件に対応付けて、前記光学手段の前記光路上の位置を示す位置情報を格納する記憶手段と、
前記撮像手段の撮像動作に際して、前記撮像条件が指定されたときに、前記記憶手段に記憶される位置情報をもとに生成された、前記撮像条件における位置情報に基づいて、前記光学手段の前記光路上の位置を設定する設定手段と、
前記撮像動作によって得られた複数の画像データと、前記生成された位置情報とに基づいて、前記撮像条件における新たな位置情報を生成する算出手段と、
前記算出手段によって算出された新たな位置情報を、前記撮像条件と関連付けて、前記記憶手段に記憶するように制御する制御手段とを有することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
請求項1記載のデジタルカメラにおいて、さらに、
カメラ本体を操作する操作者を個別に認識するための認識情報を取得する取得手段を備え、
前記記憶手段は、さらに、前記認識情報に対応付けて、前記光学手段の前記光路上の位置を格納し、
前記設定手段は、さらに、前記認識情報をもとに、前記撮像動作における位置情報を生成し、
前記制御手段は、さらに、前記算出手段によって算出された新たな位置情報を、前記認識情報と関連付けて、前記記憶手段に記憶するように制御することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項3】
請求項1記載のデジタルカメラにおいて、
前記設定手段により設定される前記光路上の位置が予め決められた範囲を超えるとき、エラー情報を表示するエラー表示手段を備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項4】
光路上の位置に応じて画角を変化させる光学手段を介して入射する被写体像を複数回撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された複数の画像に共通の領域を合成して合成画像を生成する画像生成手段と、
前記複数の画像からなる一連の画像毎に、当該一連の画像の撮像に用いた撮像条件に対応付けて、前記共通の領域を示す領域情報を格納する記憶手段と、
前記撮像手段によって撮像される画像と、前記領域情報に基づく指標とを表示する表示手段と、
操作者の操作に応じて、前記光学手段の前記光路上の位置を調整する調整手段と、
前記撮像手段の撮像動作に際して、前記撮像条件が指定されたときに、前記記憶手段に記憶される領域情報をもとに生成された、前記撮像条件における領域情報に基づいて、前記表示手段の表示画面上の前記指標の表示位置を設定する設定手段と、
前記撮像動作によって得られた複数の画像データと、前記生成された領域情報とに基づいて、前記撮像条件における新たな領域情報を生成する算出手段と、
前記算出手段によって算出された新たな領域情報を、前記撮像条件と関連付けて、前記記憶手段に記憶するように制御する制御手段とを有することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項5】
請求項4記載のデジタルカメラにおいて、
前記調整手段により調整される前記光路上の位置が予め決められた範囲を超えるとき、エラー情報を表示するエラー表示手段を備えることを特徴とするデジタルカメラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−142554(P2007−142554A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330241(P2005−330241)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】