説明

デジタルカメラ

【課題】サーバーに転送する画像を必要最小限の数に制限する。
【解決手段】撮像光学系により結像された被写体像を撮像し画像を出力する撮像手段(S1)と、撮像手段による画像を外部機器へ無線転送する転送手段と、撮像手段による画像から人物の顔を検出する顔検出手段(S3)と、顔検出手段により検出された人物の顔の数に応じて、転送手段による画像の転送を制御する制御手段(S4〜S5)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
撮影された画像が目的被写体を含む画像か否かを判定し、目的被写体を含む画像を優先的に記録メディアに記録するようにした撮像装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−150496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、インターネットの普及にともなって多くの人が撮影した画像をネット上のサーバーに転送して皆で共有することが一般化している。ところが、多くの人がそれぞれ撮影した画像をすべてネット上のサーバーに転送すると、サーバーの記憶容量が膨大なものになり転送時間もかかるため、サーバーに転送する画像を多くの人の間で共有するのに相応しい必要最小限の数に制限する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 請求項1の発明は、撮像光学系により結像された被写体像を撮像し画像を出力する撮像手段と、撮像手段による画像を外部機器へ無線転送する転送手段と、撮像手段による画像から人物の顔を検出する顔検出手段と、顔検出手段により検出された人物の顔の数に応じて、転送手段による画像の転送を制御する制御手段とを備えるデジタルカメラである。
(2) 請求項2の発明は、請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、制御手段は、人物の顔の数が所定数以上の画像を転送手段により転送する。
(3) 請求項3の発明は、請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、撮像手段による画像を記憶する記憶手段を備え、顔検出手段は、記憶手段から読み出した画像から人物の顔を検出し、制御手段は、顔検出手段により検出された人物の顔の数が所定数以上の画像を転送手段により転送する。
(4) 請求項4の発明は、請求項3に記載のデジタルカメラにおいて、制御手段は、人物の顔の数が多い順に画像を転送手段により転送する。
(5) 請求項5の発明は、請求項4に記載のデジタルカメラにおいて、転送手段は、カメラに着脱可能な記録媒体であって無線通信手段を有し、記録媒体への画像の記録順に画像を無線通信手段により転送し、制御手段は、人物の顔の数が多い順に画像を記録媒体へ記録する。
(6) 請求項6の発明は、請求項4に記載のデジタルカメラにおいて、転送手段は、カメラに着脱可能な記録媒体であって無線通信手段を有し、記録媒体へ記録される画像のファイル名の数字およびアルファベット順に画像を無線通信手段により転送し、制御手段は、人物の顔の数が多い順に画像のフィル名を付け直して記録媒体へ記録する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、サーバーに転送される画像の数とその転送時間を任意に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一実施の形態のデジタルカメラの構成を示す図
【図2】一実施の形態の撮影画像転送プログラムを示すフローチャート
【図3】一実施の形態の他の撮影画像転送プログラムを示すフローチャート
【図4】一実施の形態の再生画像転送プログラムを示すフローチャート
【図5】顔数順転送プログラムを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は一実施の形態のデジタルカメラの構成を示す図である。なお、図1では本願発明と直接関係のないカメラの機器、回路および装置の図示と説明を省略する。撮影レンズ1は図示しないフォーカシングレンズ、ズーミングレンズ、絞り、レンズ位置検出器などを備え、撮像素子2の撮像面に被写体像を結像する。撮像素子2はCCDイメージセンサーやCMOSイメージセンサーなどから構成され、撮影レンズ1により撮像面に結像された被写体像を光電変換してアナログ画像信号を出力する。信号処理回路3は、撮像素子2のアナログ画像信号に対してクランプ処理、CDS処理(相関二重サンプリング)、AGC処理(自動利得調整)などを行う。A/D変換器4は、信号処理回路3により処理を施されたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。
【0009】
画像処理回路5は、デジタル画像信号に対してフィルター処理、カラー化処理、色変換処理、輪郭補償、ガンマ補正、ホワイトバランス調整などを施して画像データを生成する。TG(タイミングジェネレーター)6は、撮像素子駆動用DR(ドライバー)7、信号処理回路3、A/D変換器4および画像処理回路5に対して電荷蓄積、蓄積信号の読み出し、A/D変換、画像処理などの各種処理のタイミングを制御する。JPEG圧縮回路8は、画像データをJPEG方式の所定の比率で圧縮する。バッファーメモリ9は画像データを一時記憶するバッファーである。駆動装置10は撮影レンズ1のレンズと絞りを駆動する装置である。モニター11は表示制御用DR(ドライバー)12により制御され、スルー画像や再生画像の他にメニュー画像などを表示する。
【0010】
操作装置13は、レリーズ半押しおよび全押しスイッチ、メニュースイッチ、コマンドダイヤルスイッチ、方向キースイッチなどのカメラを操作するための各種操作部材である。コントローラー14はCPU14aと制御プログラムや各種設定データを記憶するROMやRAMなどのメモリ14bを備え、カメラの撮像処理、画像処理、記録処理、焦点検出/調節制御、測光処理、シーケンス制御などを行うとともに、後述する画像転送プログラムを実行してインターネット上のサーバーに記憶する画像の選択と転送を行う。スロット15、16は後述する各種記録メディアを接続するためのコネクターを備えている。
【0011】
一実施の形態のデジタルカメラには各種のオプション機器(図1に破線のブロックで示す)が接続可能になっており、ユーザーが撮影目的や好みに応じたオプション機器を装着することができる。内蔵メモリ21はフラッシュメモリなどの不揮発性のメモリであり、撮影した画像を記憶することができる。無線LAN装置22は、インターネット上のサーバーに画像や各種情報を送信するための無線通信装置である。スロット15は各種の記録メディアを接続するためのコネクターを備えている。この一実施の形態では、SDカードやCFカードなどの無線LAN機能のない記録メディア23をスロット15に接続する例を示す。
【0012】
スロット16は各種の記録メディアを接続するためのコネクターを備えている。この一実施の形態では、無線LAN機能を備えた記録メディア24をスロット16に接続する例を示す。この無線LAN機能付きの記録メディア24は、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリの他に無線通信回路とアンテナ(不図示)を備えており、画像が不揮発性メモリに書き込まれると、その画像を無線通信回路とアンテナによりインターネット上のサーバーへ転送する。なお、コントローラー14は内蔵メモリ21、無線LAN装置22、記録メディア23、24の装着状態を常に監視しており、接続された記録メディアの種類を識別することができる。
【0013】
図2は、一実施の形態のデジタルカメラに無線LAN装置22が装着された場合の撮影画像転送プログラムを示すフローチャートである。コントローラー14は、無線LAN装置22の装着状態が検出された状態で、操作装置13のレリーズ全押しスイッチが操作されると、図2に示す撮影画像転送プログラムを実行する。ステップ1において撮影を行い、撮像素子2から画像信号を読み出す。続くステップ2で信号処理回路3、A/D変換器4および画像処理回路5により画像信号に対してアナログ信号処理、A/D変換および画像処理を施し、画像データを生成する。
【0014】
次に、ステップ3で画像の中に写っている人物の顔を検出する。続くステップ4では、検出された人物の顔の数が予め設定したa以上か否かを判別し、a以上の顔が検出された場合はステップ5へ進み、a未満の場合はステップ5をスキップする。画像に写っている人物の顔の検出数がa以上の場合は、ステップ5で当該画像のファイル名を転送画像リストに追加する。コントローラー14は、操作装置13により撮影モードがオフされると、無線LAN装置22により転送画像リストに記録されている順に画像ファイルをインターネット上のサーバーへ転送する。
【0015】
ステップ6において、内蔵メモリ21が装着されている場合は内蔵メモリ21へ、スロット15に無線LAN機能のない記録メディア23が装着されている場合は記録メディア23へ、顔検出数に拘わらず撮影した画像の画像データを記録する。
【0016】
図3は、一実施の形態のデジタルカメラに無線LAN機能付きの記録メディア24が装着された場合の撮影画像転送プログラムを示すフローチャートである。コントローラー14は、無線LAN機能付きの記録メディア24のスロット16への装着が検出された状態で、操作装置13のレリーズ全押しスイッチが操作されると、図3に示す撮影画像転送プログラムを実行する。なお、図3において、図2に示す処理と同様な処理を行うステップに対しては同一のステップ番号を付して相違点を中心に説明する。
【0017】
撮像した画像に予め設定した数a以上の人物の顔が検出された場合には、ステップ5’で無線LAN機能付き記録メディア24に画像を記録する。無線LAN機能付き記録メディア24は、内蔵不揮発性メモリに画像が記録されると、その画像を無線通信回路とアンテナによりインターネット上のサーバーへ転送する。
【0018】
上述した図2および図3に示す撮影画像転送プログラムでは、撮影後に撮影した画像を無線LANによりインターネット上のサーバーへ転送する例を示したが、すでに撮影され内蔵メモリ21または無線LAN機能のない記録メディア23に記録されている画像を、再生モード設定時に顔検出数に応じてインターネット上のサーバーへ転送する例を説明する。
【0019】
図4は再生時の画像転送プログラムを示すフローチャートである。操作装置13により再生時の画像転送モードが設定されると、コントローラー14は図4に示す再生画像転送プログラムを実行する。ステップ11において内蔵メモリ21または無線LAN機能のない記録メディア23に記録されている画像を読み出し、メモリ14bに記憶する。続くステップ12で、読み出した画像のファイルに顔検出数を含む顔検出情報が記録されているか否かを判別し、顔検出情報が記録されていない場合はステップ13へ進み、記録されている場合はステップ13をスキップする。
【0020】
ステップ13において、画像の中に写っている人物の顔を検出する。続くステップ14では、検出された人物の顔の数が予め設定したa以上か否かを判別し、a以上の顔が検出された場合はステップ15へ進み、a未満の場合はステップ15をスキップする。画像に写っている人物の顔の検出数がa以上の場合は、ステップ15で当該画像のファイル名と顔検出数を転送画像リストに追加する。
【0021】
ステップ16において、内蔵メモリ21または無線LAN機能のない記録メディア23に記録されているすべての画像に対して上述した処理を行ったか否かを判別し、未処理の画像がある場合にはステップ11へ戻って上述した処理を繰り返す。すべての画像に対して上述した処理を完了した場合はこのプログラムの実行を終了する。
【0022】
図4に示す再生時の画像転送プログラムを実行して転送画像リストを完成した後、コントローラー14は無線LAN装置22または無線LAN機能付き記録メディア24を介して転送画像リストにファイル名が記録された画像をインターネット上のサーバーへ転送する。画像の無線転送には画像の枚数に比例した時間がかかるため、画像の無線転送途中で例えばカメラの電池切れや通信障害等が発生し、すべての画像を早期に転送できない場合が考えられる。
【0023】
そこで、この一実施の形態では、顔の検出数が多い画像の順に転送する。顔の検出数が多いほど多くの人と共有する価値のある画像であり、顔検出数が多い画像を優先的に送ることによって、不測の事態が発生して転送が途中で終了しても、多くの人が待っている画像を優先して届けることができる。
【0024】
図5は顔数順の画像転送プログラムを示すフローチャートである。ステップ21において、画像転送リストにファイル名と顔検出数が記録されている画像を、顔検出数が多い順に並べ替える。次に、ステップ22では、顔検出数の順に並べ替えられた画像転送リストの顔検出数が多い順に、画像ファイルを無線LANを介してインターネット上のサーバーに転送する。
【0025】
この場合、無線LAN装置22により転送するか、あるいは無線LAN機能付きの記録メディア24により転送するかによって、転送手順が異なる。まず、無線LAN装置22により転送する場合には、画像転送リスト上の顔検出数が多い順に内蔵メモリ21または無線LAN機能のない記録メディア23から画像ファイルを読み出し、無線LAN装置22によりインターネット上のサーバーへ無線転送する。
【0026】
一方、無線LAN機能付きの記録メディア24により転送する場合には、この記録メディア24の無線LANの仕様を予めコントローラー14が識別し、転送方式に応じた手順で転送する。記録メディア24の不揮発性メモリ(不図示)に書き込まれた画像の順に転送する仕様の場合には、内蔵メモリ21または無線LAN機能のない記録メディア23から、画像転送リストの顔検出数が多い順に画像ファイルを読み出し、無線LAN機能付きの記録メディア24の不揮発性メモリに画像ファイルを書き込む。これにより、顔検出数が多い画像から順に転送される。
【0027】
無線LAN機能付きの記録メディア24が、ファイル名の順、つまりファイル名の数字とアルファベットの若い順に転送する仕様の場合には、コントローラー14は、顔検出数の多い順に並べ替えられた画像転送リスト上の画像ファイルに対して、顔検出数が多い画像ファイルから順に数字とアルファベットの若い新ファイル名を付与し、ファイル名を付け直す。そして、顔検出数の多い画像ファイル、つまり新ファイル名の数字とアルファベットの若い画像ファイルから順に無線LAN機能付き記録メディア24の不揮発性メモリに書き込む。無線LAN機能付き記録メディア24は、不揮発性メモリに書き込まれた画像ファイルをインターネット上のサーバーへ転送する。これにより、顔検出数が多い画像から順に転送される。
【0028】
なお、上述した実施の形態とそれらの変形例において、実施の形態と変形例とのあらゆる組み合わせが可能である。
【0029】
上述した実施の形態とその変形例によれば以下のような作用効果を奏することができる。まず、撮像素子2により撮像された画像から人物の顔を検出し、検出された人物の顔の数に応じてインターネット上のサーバーへの画像の無線転送を制御するようにしたので、サーバーに転送される画像の数とその転送時間を任意に制御することができる。
【0030】
また、一実施の形態とその変形例によれば、撮像素子2により撮像された画像から人物の顔を検出し、人物の顔の数が所定数以上の画像をインターネット上のサーバーへ無線転送するようにしたので、サーバーに転送される画像を、多くの人の間で共有するのに相応しい必要最小限の数に制限することができ、サーバーの記憶容量の増大を防止できる。
【0031】
さらに、一実施の形態とその変形例によれば、撮像素子2により撮像された画像から人物の顔を検出し、人物の顔の数が多い画像の順にインターネット上のサーバーへ転送するようにしたので、不測の事態が発生して転送が途中で終了しても、多くの人が待っている画像を優先して届けることができる。
【符号の説明】
【0032】
2;撮像素子、14;コントローラー、21;内蔵メモリ、22;無線LAN装置、23,24;記録メディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系により結像された被写体像を撮像し画像を出力する撮像手段と、
前記撮像手段による前記画像を外部機器へ無線転送する転送手段と、
前記撮像手段による前記画像から人物の顔を検出する顔検出手段と、
前記顔検出手段により検出された人物の顔の数に応じて、前記転送手段による前記画像の転送を制御する制御手段とを備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、
前記制御手段は、人物の顔の数が所定数以上の前記画像を前記転送手段により転送することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項3】
請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、
前記撮像手段による前記画像を記憶する記憶手段を備え、
前記顔検出手段は、前記記憶手段から読み出した前記画像から人物の顔を検出し、
前記制御手段は、前記顔検出手段により検出された人物の顔の数が所定数以上の前記画像を前記転送手段により転送することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項4】
請求項3に記載のデジタルカメラにおいて、
前記制御手段は、人物の顔の数が多い順に前記画像を前記転送手段により転送することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項5】
請求項4に記載のデジタルカメラにおいて、
前記転送手段は、カメラに着脱可能な記録媒体であって無線通信手段を有し、前記記録媒体への前記画像の記録順に前記画像を前記無線通信手段により転送し、
前記制御手段は、人物の顔の数が多い順に前記画像を前記記録媒体へ記録することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項6】
請求項4に記載のデジタルカメラにおいて、
前記転送手段は、カメラに着脱可能な記録媒体であって無線通信手段を有し、前記記録媒体へ記録される前記画像のファイル名の数字およびアルファベット順に前記画像を前記無線通信手段により転送し、
前記制御手段は、人物の顔の数が多い順に前記画像のフィル名を付け直して前記記録媒体へ記録することを特徴とするデジタルカメラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−15054(P2011−15054A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155893(P2009−155893)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】