説明

デジタルカメラ

【課題】 画像のノイズを低減する。
【解決手段】 デジタルカメラは、電源部、電圧生成部、撮像素子、制御部、駆動部およびクロック制御部を有している。電圧生成部は、電源部から第1電源電圧を受け、第2電源電圧を生成する。撮像素子は、被写体の像を電気信号に変換して画像信号を生成する。制御部は、複数のアクセス期間を有する読み出し期間のうちのアクセス期間に、撮像素子から画像信号を読み出す。なお、撮像素子には、第2電源電圧が供給される。また、駆動部は、駆動クロックにより駆動される。そして、クロック制御部は、駆動クロックのレベルが読み出し期間の少なくともアクセス期間中維持されるように、読み出し期間の駆動クロックを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラは、電池等を含む電源部と、一定の内部電源電圧を生成する定電圧生成部と、モータ等のメカ機構を駆動するメカ駆動部と、撮像素子とを有している。定電圧生成部は、電源部から入力電源電圧を受け、内部電源電圧を撮像素子に出力する。この種のデジタルカメラでは、固定ラインノイズを撮像画像の各ラインから同相除去することにより、撮像画像に発生するノイズを抑制する。例えば、画像情報を含まないラインノイズを撮像素子から複数ライン分読み出し、読み出した複数ライン分のラインノイズを平均化して固定ラインノイズを算出する技術が知られている。近年、固定ラインノイズを算出する際に、予め定められるノイズ混入の瞬間におけるラインノイズを、固定ラインノイズの算出に使用しない技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
また、撮像素子に供給される内部電源電圧が変動した場合、撮像素子から得られる画像信号にノイズが発生し、画像に明暗の縞模様等のノイズが発生するおそれがある。例えば、入力電源電圧がメカ駆動部の電源として供給されている場合でも、メカ機構を駆動しているときのメカ駆動部の駆動周波数により、入力電源電圧が変動し、内部電源電圧が変動する。なお、メカ駆動部の駆動周波数による入力電源電圧の変動を抑えるために、入力電源電圧の電源ラインや内部電源電圧の電源ラインに、フィルタやコンデンサ等を追加する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−258829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電源ラインに追加されるフィルタ等の回路構成が簡易なデジタルカメラ(例えば、1つのフィルタやコンデンサ等を追加する構成)では、低周波成分から高周波成分まで存在するノイズ成分を完全に除去することは、困難である。上述したように、撮像素子から得られる画像信号にノイズが含まれている場合、画像にノイズが発生する。特に、デジタルカメラの感度を高くした場合、画像信号のノイズにより、画像にノイズが顕著に発生する。
【0006】
したがって、フィルタ等の回路構成が簡易なデジタルカメラでは、例えば、デジタルカメラの感度を高くした場合、画像信号のノイズにより、画像にノイズが発生するおそれがある。なお、ノイズ成分を完全に除去するためには、フィルタ等の回路構成が複雑になり、回路規模が大きくなる。この場合、基板に搭載する部品が多くなるため、製造コストが増加する。また、フィルタ等の回路規模が大きい場合、フィルタ等の回路構成が簡易なデジタルカメラに用いられた基板では、実装面積を確保できないおそれがある。この場合、大きい基板を準備する必要があり、製造コストがさらに増加する。
【0007】
本発明の目的は、画像のノイズを低減することである。特に、本発明の目的は、電源ラインにフィルタ等を追加せずに、画像のノイズを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
デジタルカメラは、電源部、電圧生成部、撮像素子、制御部、駆動部およびクロック制御部を有している。電圧生成部は、電源部から第1電源電圧を受け、第2電源電圧を生成する。撮像素子は、被写体の像を電気信号に変換して画像信号を生成する。制御部は、複数のアクセス期間を有する読み出し期間のうちのアクセス期間に、撮像素子から画像信号を読み出す。なお、撮像素子には、第2電源電圧が供給される。また、駆動部は、駆動クロックにより駆動される。そして、クロック制御部は、駆動クロックのレベルが読み出し期間の少なくともアクセス期間中維持されるように、読み出し期間の駆動クロックを制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像のノイズを低減できる。また、本発明によれば、電源ラインにフィルタ等を追加せずに、画像のノイズを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】一実施形態におけるデジタルカメラの概要を示す図である。
【図2】図1に示したデジタルカメラの動作の一例を示す図である。
【図3】図1に示したデジタルカメラの動作の別の例を示す図である。
【図4】図1に示したデジタルカメラの動作の別の例を示す図である。
【図5】図2−図4に示した動作の比較例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態を示している。図中の破線は、画像信号ISIGの流れを示している。この実施形態のデジタルカメラ10は、例えば、電源部20、電圧生成部30、撮像素子40、制御部50、メカ駆動部60、クロック生成部62、クロック制御部64、操作部70および表示部80を有している。
【0013】
電源部20は、例えば、電池であり、電圧VCC1を電圧生成回路30に供給する。さらに、電源部20は、ダイオードD1を介して制御部50に電圧VCC1を供給する。これにより、制御部50は、電圧生成部30が電圧VCC2を出力する前に、動作を開始できる。
【0014】
電圧生成部30は、電源部20から電圧VCC1を受け、内部電源として使用される電圧VCC2を生成する。電圧生成部30により生成された電圧VCC2は、撮像素子40、制御部50、メカ駆動部60、操作部70および表示部80にそれぞれ供給される。さらに、電圧生成部30は、ダイオードD2を介して制御部50に電圧VCC2を供給する。ダイオードD1、D2のカソードは、互いに接続されている。
【0015】
撮像素子40は、例えば、CCDイメージサンサーやCMOSイメージセンサーであり、撮影レンズ(図示せず)を介して入射される被写体の像を電気信号に変換して画像信号ISIGを生成する。なお、撮像素子40は、上述したように、電圧VCC2を電源として動作する。
【0016】
制御部50は、例えば、マイクロプロセッサであり、図示しないプログラムに基づいて、画像処理等の信号処理および露光制御等の制御処理を行う。例えば、制御部50は、電圧生成部30、撮像素子40、制御部50、メカ駆動部60、クロック生成部62、クロック制御部64、操作部70および表示部80の動作を制御する。
【0017】
また、例えば、制御部50は、複数のアクセス期間を有する読み出し期間中の各アクセス期間に、撮像素子40から画像信号ISIGおよび固定パターン信号(図示せず)を読み出す。固定パターン信号は、例えば、撮像素子40が露光されていない暗い状態での画像信号(暗信号)である。そして、制御部50は、画像信号ISIGから固定パターン信号を減算することにより、画像信号ISIGに含まれる固定ノイズ成分を除去する。
【0018】
メカ駆動部60は、オートフォーカス制御を実施するためのモータ等の機械的部品を駆動する。例えば、メカ駆動部60は、駆動クロックMCLKにより駆動される。また、この実施形態では、メカ駆動部60は、クロック生成部62およびクロック制御部64を有している。クロック生成部62は、メカ駆動部60の動作クロックである駆動クロックMCLKを生成する。また、クロック制御部64は、後述する図2等に示すように、読み出し期間RDにおけるメカ駆動部60の駆動クロックMCLKを制御する。なお、クロック生成部62およびクロック制御部64は、メカ駆動部60内に設けられなくてもよい。例えば、クロック制御部64は、制御部50に設けられてもよい。
【0019】
操作部70は、レリーズボタンおよびその他の各種スイッチを有し、デジタルカメラ10を動作させるために、ユーザにより操作される。例えば、制御部50は、レリーズボタンの押下に応答して、撮影動作を開始する。表示部80は、例えば、液晶ディスプレイであり、撮影された画像やメニュー画面等を表示する。
【0020】
図2は、図1に示したデジタルカメラ10の動作の一例を示している。図中の白丸は、上述した図1に示した画像信号ISIGが読み出されるタイミングを示している。このように、画像信号ISIGが順次読み出される読み出し期間RDは、複数のアクセス期間APを有している。なお、読み出し信号RCLKは、図1に示した制御部50が撮像素子40から画像信号ISIGを読み出すためのクロックであり、例えば、制御部50内で生成される。以下、読み出し信号RCLKを、読み出しクロックRCLKとも称する。例えば、この実施形態では、読み出しクロックRCLKが低レベルのときに、画像信号ISIGが読み出される。すなわち、アクセス期間APは、読み出しクロックRCLKが低レベルである期間に対応する。
【0021】
先ず、デジタルカメラ10の動作が読み出し期間RDに移る前(図2(a))では、読み出し信号RCLKは、高レベルに維持されている。また、駆動クロックMCLKは、周期TP10のクロックである。ここで、例えば、駆動クロックMCLKにより駆動されるメカ駆動部60の負荷が高負荷の場合、電圧VCC1は、メカ駆動部60の負荷の変動の影響により、駆動クロックMCLKの周波数(1/周期TP10)に応じたノイズ(電圧VCC1の変動)が発生する。また、電圧VCC2(電圧生成部30の出力)は、電圧VCC1(電圧生成部30の入力)の変動により、変動する。あるいは、電圧VCC2は、メカ駆動部60の負荷の変動の影響により、変動する。
【0022】
読み出し期間RDでは、読み出し信号RCLKは、周期TP20の読み出しクロックRCLKとして動作する。また、読み出し期間RDでは、駆動クロックMCLKの周期は、周期TP20の2倍の周期TP30に変更される。また、駆動クロックMCLKの高レベルのパルス幅W10および低レベルのパルス幅W20は、周期TP20と同じ長さに変更される。例えば、図2に示した動作では、読み出しクロックRCLKが高レベルから低レベルに最初に変化したとき、駆動クロックMCLKは、低レベルである。この場合、駆動クロックMCLKは、1回目のアクセス期間AP(読み出しクロックRCLKが低レベルの期間AP)中、低レベルに維持される(図2(b))。
【0023】
そして、駆動クロックMCLKは、1回目のアクセス期間APと2回目のアクセス期間APとの間の期間NA(例えば、読み出しクロックRCLKが高レベルの期間)に、低レベルから高レベルに変化する(図2(c))。高レベルに変化した駆動クロックMCLKは、2回目のアクセス期間AP中、高レベルに維持される(図2(d))。そして、駆動クロックMCLKは、2回目のアクセス期間APと3回目のアクセス期間APとの間の期間NAに、高レベルから低レベルに変化する(図2(e))。駆動クロックMCLKは、読み出し期間RD中、クロック制御部64に制御され、上述の動作を繰り返す。
【0024】
すなわち、クロック制御部64は、駆動クロックMCLKのレベルが少なくともアクセス期間AP中維持されるように、駆動クロックMCLKを制御する。換言すれば、クロック制御部64は、駆動クロックMCLKのレベルの遷移タイミングがアクセス期間AP以外(期間NA)に位置するように、駆動クロックMCLKを制御する。これにより、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKは、読み出しクロックRCLKの周期TP20の2倍の周期TP30のクロックで、かつ、レベルの遷移タイミングがアクセス期間AP以外に位置するクロックに変更される。
【0025】
このように、この実施形態では、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKを制御することにより、駆動クロックMCLKによる電圧VCC1、VCC2の変動のタイミングを、画像信号ISIGの読み出しタイミング(図の白丸)と異ならせることができる。これにより、制御部50は、各アクセス期間APにおける電圧VCC1、VCC2の変動の影響を受けないときに、安定した画像信号ISIGを読み出すことができる。換言すれば、制御部50は、各アクセス期間APにおける電圧VCC1、VCC2が安定している期間(駆動クロックMCLKによる電圧VCC1、VCC2の変動が収束した後の期間)に、画像信号ISIGを読み出すことができる。
【0026】
すなわち、この実施形態では、電圧VCC1の電源ラインや電圧VCC2の電源ラインにフィルタやコンデンサ等を追加することなく、画像信号ISIGに含まれるノイズ(より詳細には、電圧VCC2の変動によるノイズ)を低減でき、画像のノイズを低減できる。なお、例えば、上述した図1で説明した固定パターン信号は、画像信号ISIGが読み出される前に、読み出される。
【0027】
読み出し期間RDの終了後(図2(f))では、読み出し信号RCLKは、高レベルに維持されている。また、駆動クロックMCLKは、周期TP10のクロックに変更される。すなわち、読み出し期間RD後の駆動クロックMCLKは、読み出し期間RD前の駆動クロックMCLKと同じである。
【0028】
図3は、図1に示したデジタルカメラ10の動作の別の例を示している。図中の白丸の意味は、上述した図2と同じである。図3に示した動作は、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKの動作を除いて、図2と同じである。図2で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
【0029】
例えば、読み出し期間RDでは、駆動クロックMCLKは、読み出しクロックRCLKの周期TP20の3倍の周期TP31のクロックで、かつ、レベルの遷移タイミングがアクセス期間AP以外に位置するクロックに変更される。なお、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKの高レベルのパルス幅W11は、読み出しクロックRCLKの周期TP20の2倍に変更され、低レベルのパルス幅W20は、周期TP20と同じ長さに変更される。
【0030】
例えば、図3に示した動作では、読み出しクロックRCLKが高レベルから低レベルに最初に変化したとき、駆動クロックMCLKは、低レベルである。この場合、駆動クロックMCLKは、1回目のアクセス期間AP中、低レベルに維持される(図3(b))。そして、駆動クロックMCLKは、1回目のアクセス期間APと2回目のアクセス期間APとの間の期間NAに、低レベルから高レベルに変化する(図3(c))。高レベルに変化した駆動クロックMCLKは、周期TP20の2倍の時間が経過するまで(少なくとも3回目のアクセス期間APが終了するまで)、高レベルに維持される(図3(d))。
【0031】
そして、駆動クロックMCLKは、3回目のアクセス期間APと4回目のアクセス期間APとの間の期間NAに、高レベルから低レベルに変化する(図3(e))。このように、クロック制御部64は、読み出し期間RDでは、駆動クロックMCLKの周期TP31を読み出しクロックRCLKの周期TP20の3倍(2以上の整数倍)に制御するとともに、駆動クロックMCLKのパルス幅W11を読み出しクロックRCLKの周期TP20の2倍(1以上の整数倍)に制御する。
【0032】
図3に示した動作でも、読み出し期間RDにおける駆動クロックMCLKのレベルの遷移タイミングをアクセス期間AP以外に変更するため、上述した図2で説明した効果と同様の効果を得ることができる。さらに、図3に示した動作では、駆動クロックMCLKの周期TP31が周期TP20の3倍に変更されるため、読み出し期間RDに発生する駆動クロックMCLKによる電圧VCC1、VCC2の変動の回数を、図2に示した動作に比べて少なくできる。すなわち、図3に示した動作では、画像信号ISIGに含まれるノイズ(より詳細には、電圧VCC2の変動によるノイズ)を確実に低減できる。
【0033】
図4は、図1に示したデジタルカメラ10の動作の別の例を示している。図中の白丸の意味は、上述した図2と同じである。図4に示した動作は、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKの動作を除いて、図2と同じである。図2で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
【0034】
例えば、読み出し期間RDでは、駆動クロックMCLKは、読み出しクロックRCLKの周期TP20の4倍の周期TP32のクロックで、かつ、レベルの遷移タイミングがアクセス期間AP以外に位置するクロックに変更される。なお、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKの高レベルのパルス幅W12は、読み出しクロックRCLKの周期TP20の3倍に変更され、低レベルのパルス幅W20は、周期TP20と同じ長さに変更される。
【0035】
例えば、図4に示した動作では、読み出しクロックRCLKが高レベルから低レベルに最初に変化したとき、駆動クロックMCLKは、低レベルである。この場合、駆動クロックMCLKは、1回目のアクセス期間AP中、低レベルに維持される(図4(b))。そして、駆動クロックMCLKは、1回目のアクセス期間APと2回目のアクセス期間APとの間の期間NAに、低レベルから高レベルに変化する(図4(c))。高レベルに変化した駆動クロックMCLKは、周期TP20の3倍の時間が経過するまで(少なくとも4回目のアクセス期間APが終了するまで)、高レベルに維持される(図4(d))。
【0036】
そして、駆動クロックMCLKは、4回目のアクセス期間APと5回目のアクセス期間APとの間の期間NAに、高レベルから低レベルに変化する(図4(e))。このように、クロック制御部64は、読み出し期間RDでは、駆動クロックMCLKの周期TP32を読み出しクロックRCLKの周期TP20の4倍(2以上の整数倍)に制御するとともに、駆動クロックMCLKのパルス幅W12を読み出しクロックRCLKの周期TP20の3倍(1以上の整数倍)に制御する。
【0037】
図4に示した動作でも、読み出し期間RDにおける駆動クロックMCLKのレベルの遷移タイミングをアクセス期間AP以外に変更するため、上述した図2で説明した効果と同様の効果を得ることができる。さらに、図4に示した動作では、駆動クロックMCLKの周期TP32が周期TP20の4倍に変更されるため、読み出し期間RDに発生する駆動クロックMCLKによる電圧VCC1、VCC2の変動の回数を、図2および図3に示した動作に比べて少なくできる。すなわち、図4に示した動作では、画像信号ISIGに含まれるノイズ(より詳細には、電圧VCC2の変動によるノイズ)を確実に低減できる。
【0038】
図5は、図2−図4に示した動作の比較例を示している。図中の白丸の意味は、上述した図2と同じである。図5に示した動作では、駆動クロックMCLKは、読み出し期間RDか否かに拘わらず、一定の周期TP10のクロックである。周期TP10の駆動クロックMCLKと周期TP20の読み出しクロックRCLKとが非同期であるため、画像信号ISIGが読み出されるときの電圧VCC2のレベルは、ばらついている。したがって、図5に示した動作では、電圧VCCの変動によるノイズが画像信号ISIGに含まれるため、画像に筋ノイズが発生する。この場合、電圧VCC2の変動を抑えるためには、例えば、電圧VCC1の電源ラインや電圧VCC2の電源ラインにフィルタやコンデンサ等を追加する必要がある。
【0039】
これに対し、上述した図1に示したデジタルカメラ10では、上述した図2−図4で説明したように、駆動クロックMCLKによる電圧VCC1、VCC2の変動のタイミングを、画像信号ISIGの読み出しタイミングと異ならせることができる。すなわち、この実施形態では、電圧VCC1の電源ラインや電圧VCC2の電源ラインにフィルタやコンデンサ等を追加することなく、電圧VCC2の変動によるノイズを含む画像信号ISIGが読み出されることを防止でき、画像のノイズを低減できる。
【0040】
以上、この実施形態では、クロック制御部64は、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKのレベルの遷移タイミングがアクセス期間AP以外(期間NA)に位置するように、駆動クロックMCLKを制御する。これにより、この実施形態では、電圧VCC1の電源ラインや電圧VCC2の電源ラインにフィルタやコンデンサ等を追加することなく、電圧VCC1、VCC2が安定している期間を、各アクセス期間APに設けることができる。この結果、この実施形態では、電圧VCC2の変動によるノイズを含む画像信号ISIGが読み出されることを防止でき、画像のノイズを低減できる。また、この実施形態では、電圧VCC1の電源ラインや電圧VCC2の電源ラインにフィルタやコンデンサ等を追加する必要がないため、製造コストを低減できる。
【0041】
なお、上述した実施形態では、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKの周期TP30が読み出しクロックRCLKの周期TP20の2倍に変更される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKの周期TP30は、読み出しクロックRCLKの周期TP20の2のべき乗倍(8倍、16倍等)でもよい。すなわち、クロック制御部64は、読み出し期間RDにおける駆動クロックMCLKの周期TP30を、読み出しクロックRCLKの周期TP20の2のべき乗倍に制御してもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKのデューティ比を50%にした場合、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKを簡易に生成できる。
【0042】
上述した実施形態では、読み出し期間RDにおける駆動クロックMCLKの低レベルのパルス幅W20が読み出しクロックRCLKの周期TP20と同じ長さに変更される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、読み出し期間RDにおける駆動クロックMCLKの周期が周期TP20の4倍の場合、駆動クロックMCLKの低レベルのパルス幅は、周期TP20の3倍でもよい。この場合、読み出し期間RDにおける駆動クロックMCLKの高レベルのパルス幅は、周期TP20と同じ長さである。あるいは、読み出し期間RDにおける駆動クロックMCLKの周期が周期TP20の4倍の場合、駆動クロックMCLKの低レベルのパルス幅は、周期TP20の2倍でもよい。
【0043】
また、読み出し期間RDにおける駆動クロックMCLKの周期は、5倍でもよいし、6倍以上でもよい。すなわち、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKは、読み出しクロックRCLKの周期TP20の2以上の整数倍の周期で、かつ、周期TP20の1以上の整数倍のパルス幅(高レベルのパルス幅)のクロックであればよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0044】
上述した実施形態では、メカ駆動部60に電圧VCC2が供給される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、メカ駆動部60には、電圧VCC2の代わりに、電圧VCC1が供給されてもよい。あるいは、電圧VCC1からメカ駆動部60の電源を生成する電圧生成部が、電圧生成部30とは別に設けられてもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0045】
上述した実施形態では、クロック制御部64がメカ駆動部60の駆動クロックMCLKを制御する例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、クロック制御部64は、メカ駆動部60の駆動クロックMCLKの代わりに、表示部80の動作クロック(駆動クロック)を、読み出し期間RDに制御してもよい。この場合、クロック制御部64は、例えば、表示部80の周辺や制御部50に設けられる。あるいは、クロック制御部64は、メカ駆動部60の駆動クロックMCLKの代わりに、記憶媒体にデータを書き込むための駆動部(図示せず)の動作クロック(駆動クロック)を、読み出し期間RDに制御してもよい。すなわち、撮像素子40に供給される電圧VCC2に影響を与える駆動部の駆動クロックが、クロック制御部64により、読み出し期間RDに制御されればよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0046】
上述した実施形態では、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKが一定の周期およびデューティ比のクロックに変更される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKの周期は、読み出し期間RDの前半と後半とで、異なる長さに変更されてもよい。あるいは、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKのデューティ比は、読み出し期間RDの前半と後半とで、異なる値に変更されてもよい。すなわち、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKは、レベルの遷移タイミングがアクセス期間AP以外(期間NA)に位置するように、制御されていればよい。換言すれば、読み出し期間RDの駆動クロックMCLKは、レベルが少なくともアクセス期間AP中維持されるように、制御されていればよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
上述した実施形態では、読み出しクロックRCLKが低レベルのときに画像信号ISIGが読み出される例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、画像信号ISIGは、読み出しクロックRCLKが高レベルのときに、読み出されてもよい。この場合、例えば、上述した図2−図4に示した動作では、読み出しクロックRCLKの波形は、図2−図4に示した読み出しクロックRCLKの高レベルと低レベルを逆にした波形になる。例えば、読み出し期間RD以外では、読み出しクロックRCLKは、低レベルに維持される。なお、この場合、アクセス期間APは、読み出しクロックRCLKが高レベルである期間に対応する。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
以上、本発明について詳細に説明してきたが、上記の実施形態およびその変形例は発明の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。本発明を逸脱しない範囲で変形可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
デジタルカメラに利用できる。
【符号の説明】
【0050】
10‥デジタルカメラ;20‥電源部;30‥電圧生成部;40‥撮像素子;50‥制御部;60‥メカ駆動部;62‥クロック生成部;64‥クロック制御部;70‥操作部;80‥表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源部と、
前記電源部から第1電源電圧を受け、第2電源電圧を生成する電圧生成部と、
前記第2電源電圧が供給され、被写体の像を電気信号に変換して画像信号を生成する撮像素子と、
複数のアクセス期間を有する読み出し期間のうちの前記アクセス期間に、前記撮像素子から前記画像信号を読み出す制御部と、
駆動クロックにより駆動される駆動部と、
前記駆動クロックのレベルが前記読み出し期間の少なくとも前記アクセス期間中維持されるように、前記読み出し期間の前記駆動クロックを制御するクロック制御部とを備えていることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
請求項1記載のデジタルカメラにおいて、
前記制御部は、前記読み出し期間に、読み出しクロックを用いて、前記撮像素子から前記画像信号を読み出し、
前記アクセス期間は、前記読み出しクロックが一方のレベルである期間に対応し、
前記クロック制御部は、前記読み出し期間では、前記駆動クロックの周期を前記読み出しクロックの周期の2のべき乗倍に制御することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項3】
請求項1記載のデジタルカメラにおいて、
前記制御部は、前記読み出し期間に、読み出しクロックを用いて、前記撮像素子から前記画像信号を読み出し、
前記アクセス期間は、前記読み出しクロックが一方のレベルである期間に対応し、
前記クロック制御部は、前記読み出し期間では、前記駆動クロックの周期を前記読み出しクロックの周期の2以上の整数倍に制御するとともに、前記駆動クロックのパルス幅を前記読み出しクロックの周期の1以上の整数倍に制御することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項4】
電源部と、
前記電源部から第1電源電圧を受け、第2電源電圧を生成する電圧生成部と、
前記第2電源電圧が供給され、被写体の像を電気信号に変換して画像信号を生成する撮像素子と、
複数のアクセス期間を有する読み出し期間のうちの前記アクセス期間に、前記撮像素子から前記画像信号を読み出す制御部と、
駆動クロックにより駆動される駆動部と、
前記読み出し期間では、前記駆動クロックのレベルの遷移タイミングが前記アクセス期間以外に位置するように、前記読み出し期間の前記駆動クロックを制御するクロック制御部とを備えていることを特徴とするデジタルカメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−228900(P2011−228900A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96143(P2010−96143)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】