説明

デジタルコンテンツをパーソナルコンピュータから携帯用ハンドセットへ転送するための方法と装置

【課題】ユーザーの携帯用ハンドセットに保存されているデジタルコンテンツを、ユーザーのパーソナルコンピュータに保存されているデジタルコンテンツと同期化する。
【解決手段】1つの実施形態では、ユーザーは、デジタルコンテンツ(音楽など)をPCに保存する。PCは、インターネットを介してサーバーと通信する。後に、ユーザーは、携帯用ハンドセット(セルラー電話など)を使って無線ネットワークにアクセスする。携帯用ハンドセットは、前記サーバーと通信し、無線ネットワークを介してデジタルコンテンツの一部又は全部をダウンロードする。デジタルコンテンツは、そこで、携帯用ハンドセットに保存され、ユーザーは、携帯用ハンドセット側でそれにアクセスすることができるようになる。携帯用ハンドセットは、デジタルコンテンツと関係付けられているメタデータも同様にダウンロードし、保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、35U.S.C.119条(e)及び120条に基づき、2007年1月8日出願の米国仮特許出願第60/879,416号に対する優先権を主張し、同出願を参考文献としてここに援用する。
【0002】
本発明は、概括的には、ユーザーのパーソナルコンピュータに保存されているデジタルコンテンツをユーザーの携帯用ハンドセットへ転送するための方法と装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ハードディスクドライブの記憶容量の増加と光学CD及びDVDドライブの普及に伴い、ユーザーは、今では、自分達の音楽ライブラリ全体を自身のパーソナルコンピュータ(PC)に保存することができる。例えば、iTunes(アップルコンピューター提供)の様な、様々なソフトウェアプログラムは、ユーザーが、音楽コンテンツをCDから読み込み、それをコンピューターのハードディスクドライブに保存し、異なるコンテンツを編纂し、その後、その音楽をPCで再生するか又は楽曲コレクションの全部又は一部をCD又はDVDに焼き付けることができるようにしている。ユーザーは、更に、音楽ファイルを、iPod(アップルコンピューター提供)又はMP3プレーヤーの様な他の機器に転送することができる。これらの転送には、通常、PCと機器との間に、USBケーブルを介するなどの、直接的な配線接続が必要になる。
【0004】
近年、携帯用ハンドセット(セルラー電話及びPDAなど)は、単なる電話及びデータ収集機器を超えた進化を遂げている。例えば、多くのセルラー電話は、今や、高性能表示画面及び音声性能を有している。様々な会社(本出願の譲受人であるmSpot社を含む)は、無線セルラーネットワークを使って、セルラー電話に「ストリーミング配信される」オーディオ及びビデオコンテンツを提供している。これにより、セルラー電話のユーザーは、自身のセルラー電話で、音楽又はオーディオコンテンツを聴取し、映画又は他のビデオコンテンツを鑑賞することができる。しかしながら、ユーザーの選択対象は、プロバイダにより提供されるコンテンツに限定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国仮特許出願第60/879,416号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当技術分野で必要とされているのは、携帯用ハンドセットのユーザーが、自身が以前にパーソナルコンピュータ又は他の機器に保存したデジタルコンテンツを、無線ネットワークを介してダウンロードすることによって入手し、それを携帯用ハンドセットに保存できるようにするシステムである。
【0007】
更に必要とされているのは、デジタルコンテンツ、並びにファイル構造、ユーザーレーティング、及び他のメタデータを、携帯用ハンドセットとPCの間で同期化する能力である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
携帯用ハンドセットのユーザーが、ユーザーに属するPC又は他の装置から、デジタルコンテンツを入手し、そのデジタルコンテンツを携帯用ハンドセットに保存することができる方法及び装置が提供されている。1つの実施形態では、ユーザーは、デジタルコンテンツ(音楽など)をPCに保存する。PCは、インターネットを介してサーバーと通信する。後に、ユーザーは、携帯用ハンドセット(セルラー電話など)を使って無線ネットワークにアクセスする。携帯用ハンドセットは、前記サーバーと通信し、無線ネットワークを介してデジタルコンテンツの一部又は全部をダウンロードする。デジタルコンテンツは、そこで、携帯用ハンドセットに保存され、ユーザーは、携帯用ハンドセット側でそれにアクセスすることができるようになる。携帯用ハンドセットは、デジタルコンテンツと関係付けられているメタデータも同様にダウンロードし、保存する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】PCと、iPod又はMP3プレーヤー及び/又はポータブル型記憶装置の様なオーディオ機器と、を含んでいる先行技術によるシステムのブロック図である。
【図2】携帯用ハンドセットが、無線ネットワークとインターネットを使って、PCから音楽をダウンロードできるようにするシステムを示している。
【図3】音楽をPCから携帯用ハンドセットにダウンロードするための方法を示すフローチャートである。
【図4】音楽をPCから携帯用ハンドセットにダウンロードするための、携帯用ハンドセット側のユーザーインターフェースの一例を示している。
【図5】携帯用ハンドセットがコンテンツをコンピューター装置と共有できるようにするシステムの別の実施形態を示している。
【図6】携帯用ハンドセットがコンテンツを複数のコンピューター装置との間で共有できるようにするシステムの別の実施形態を示している。
【図7A】より小さな部分にセグメント化された1件のコンテンツを示している。
【図7B】プログレッシブダウンロードをサポートしていない携帯機器にコンテンツをダウンロードするための方法を示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、ユーザーがデジタルコンテンツ(音楽、映像など)をコンピューター10に保存する、先行技術によるシステムを示している。コンピューター10は、デスクトップ、ノードブック、サーバー、又はデジタルデータを保存することができる他のどの様な種類の装置であってもよい。ユーザーは、インターフェース14を使って、ポータブル型娯楽機器12をコンピューター10に接続する。ポータブル型娯楽機器12は、iPod、MP3プレーヤー、又はデジタルコンテンツを保存及び再生することができる他のどの様な機器であってもよい。インターフェース14は、コンピューター10とポータブル型娯楽機器12の間の直接接続手段であり、通常は、USBケーブル又はファイアーワイヤケーブルである。
【0011】
代わりに、ユーザーは、ポータブル型記憶装置16をコンピューター10に接続して、デジタルデータをダウンロードし、その後、ポータブル型記憶装置16をコンピューター10から切断し、次に、ポータブル型記憶装置16をポータブル型娯楽機器12に接続して、当該データをポータブル型娯楽機器12にダウンロードすることができる。ポータブル型記憶装置16は、フラッシュROMチップ、ハードディスクドライブ、又は他の記憶装置であってもよい。
【0012】
図2は、携帯用ハンドセットが、無線ネットワークを使って、コンピュータからデジタルコンテンツをダウンロードできるようにするシステムを示している。先行技術と同様に、ユーザーは、デジタルコンテンツ(音楽、映像、その他など)をコンピューター10上に保存する。但し、この実施形態では、ユーザーは、デジタルデータを、コンピューター10から携帯用ハンドセット20に、無線方式で無線通信経路を介してダウンロードする。携帯用ハンドセット20は、PDA、携帯電話、無線電子メール機器(例えばBlackberry)、又は、コンピューター10と通信できて、デジタルコンテンツをコンピューター10からダウンロードできるようにする、無線接続性を有する他のハンドヘルド型機器であってもよい。コンピューター10は、ネットワーク24を介して、サーバーコンピューターの様な装置22と通信する。ネットワーク24は、インターネットの様な、どの様な種類のネットワークであってもよいし、有線でも無線でも、或いはその2つのどの様な組み合わせであってもよい。コンピューター10では、ユーザーが、自身のデジタルコンテンツの目録を作成し、編纂できるようにするソフトウェアアプリケーションが実行されている。装置22は、インターネットを介して(例えばURLアドレスを通して)アクセスすることができる。装置22は、図2では、単一装置として示されている。しかしながら、装置22は、代わりに、複数のサーバーの様な、複数の装置を備えていてもよいものと理解頂きたい。
【0013】
携帯用ハンドセット20は、無線ネットワーク26を介して装置22に接続される。無線ネットワーク26は、セルラー電話ネットワーク、WiFiネットワーク(802.11ネットワークなど)、無線データネットワーク(EV−DO又はEDGEなど)、又は他のどの様な無線ネットワークであってもよい。無線ネットワーク26は、サーバー装置22に直接接続する必要はなく、インターネットによるか又は別のネットワークを通すやり方の様に、間接的手段を介して接続してもよいものと理解頂きたい。実施形態を、図3に関連付けて更に詳しく説明してゆく。
【0014】
図3は、図2に示す様々な要素の対話を描いているフローチャートである。コンピューター10は、ネットワーク24を介して装置22に接続される。コンピューター10は、そこで、装置22が、コンピューター10の中のデジタルコンテンツを或る特定のユーザー及び或る特定の携帯用ハンドセットと関係付けるように、装置22に登録される(ステップ30)。コンピューター10は、次に、http接続を開いた状態で、装置22を傾聴し、サーバ装置22からの連絡を待つ(ステップ32)。携帯用ハンドセット20は、無線ネットワーク26を介してサーバー装置22に連絡を取る(ステップ34)。一旦、コンピューター10が装置22に登録されてしまえば、携帯用ハンドセットのユーザーは、ハンドセットがオンになっている時は、図4に更に詳しく示す様に、携帯用ハンドセットに実際に保存されているデジタルコンテンツのみならず、コンピューター10に保存されているデジタルコンテンツをも、単一のディスプレイ内で見ることができる。携帯用ハンドセットのユーザーが、コンピューター10に保存されている或るデジタルコンテンツを使用したいと望んだ場合、携帯用ハンドセット20は、コンピューター10に、或る特定のデジタルコンテンツを転送せよというコマンドの様な、コマンドを発する(ステップ36)。コンピューター10は、コマンドに応答し、当該デジタルコンテンツを装置22に転送する(ステップ38)。携帯用ハンドセット20は、そうして、装置22からデジタルコンテンツを入手する(ステップ40)。而して、携帯用ハンドセット20は、デジタルコンテンツ(音楽ファイルなど)を、コンピュータ10から、少なくとも部分的に無線化されている様式で入手することができる。ユーザーは、上記システムと方法を使って、デジタルコンテンツを自身のコンピューターのみならず携帯用ハンドセットにも保存するようにしてもよいし、当該デジタルコンテンツを、コンピューターと携帯用ハンドセットの間で無線式に同期化してもよい。例えば、本システムは、ユーザーが、携帯用ハンドセットに保存することができるより遥かに大きい、ユーザが利用可能なデジタルコンテンツ目録を持てるようにする。更に、本システムは、長時間の飛行機旅行の前に或る特定の映画をダウンロードするなど、ユーザーが、特定のデジタルコンテンツを何時でもダウンロードできるようにする。ユーザーは、メタデータ(アーティスト情報、長さ、タイトルなど)、カバーアート、及び他のデータなど、デジタルコンテンツに関係付けられた追加のデータもダウンロードすることができる。
【0015】
図4は、コンピューター10が装置22に登録された後の、携帯用ハンドセット20のユーザーインターフェースの或る実施形態を示している。図4は、携帯用ハンドセット20で表示される多数の異なる画面を示している。これら画面は、携帯用ハンドセット20で実行されているソフトウェアのアプリケーションによって生成される。携帯用ハンドセットのソフトウェアのアプリケーションは、デジタルコンテンツを、入手し(当該デジタルコンテンツが携帯用ハンドセットにまだ保存されていない場合)、編纂し、表示し(携帯用ハンドセット側とコンピューター10側の両方のコンテンツ)、保存し、及び再生し、下で説明するユーザーインターフェースを生成することができる。
【0016】
画面50は、ユーザーに、コンピューター10からダウンロードされ、携帯用ハンドセットに保存されているファイルのリスト(「ダウンロード曲」)を閲覧するか、或いは、携帯用ハンドセット側に保存されているデジタルコンテンツとコンピューター10側に保存されているデジタルコンテンツを含む全てのファイルのリスト(「全曲」)を閲覧する、という2つの選択対象を提供している。ユーザーが、「ダウンロード曲」という選択肢を選んだ場合、ユーザーは、画面52で、ファイルのサブセット(アーティスト別、アルバム別、又は再生リスト別)を選ぶか、又は、それら全てを閲覧することを選ぶことができる。ユーザーが「全曲」を選択した場合、携帯用ハンドセット20は、コンピューター10から既にダウンロードされたか又はダウンロードすることができる全ての利用可能な音楽ファイルを表示する。この実施形態では、普通の黒色のテキストの歌曲タイトルは、携帯用ハンドセット20に既にダウンロードされており、灰色テキストの歌曲タイトルは、まだダウンロードされていないが、ダウンロードすることができるものである。画面54で、ユーザーが、既にダウンロードされている歌曲「All Night Long」を選択すると、画面56で、当該歌曲が携帯用ハンドセット20上で再生され、歌曲「All Night Long」のカバーアート及び他の関連情報が表示される。
【0017】
画面50で、ユーザーが「全曲」の選択肢を選んだ場合、ユーザーには、「全曲」、アーティスト別、アルバム別、及び/又は再生リスト別を含む、全てのデジタルコンテンツ(携帯用ハンドセットに保存されているものとコンピューターに保存されているものの両方)を閲覧するという選択肢をユーザーに与えるメニュー(58)が提示される。ユーザーがデジタルコンテンツ(本例では歌曲)の全てを閲覧することを選択した場合、画面60には、全てのデジタルコンテンツ(携帯用ハンドセット側とコンピューター側の両方)が示され、表示内では、特定のデジタルコンテンツは、それらがコンピューター側に保存されていて携帯用ハンドセットへのダウンロードに利用可能であることが分かるように灰色テキストで示され、他のデジタルコンテンツは、それらが携帯用ハンドセット側に保存されていることが分かるように黒色で示されている。ユーザーが「Because of You」(灰色のテキストで表示)を選択した場合、携帯用ハンドセット20は、次に、コンピューター10に、歌曲「Because of You」をコンピューターから携帯用ハンドセットに転送せよというコマンドの様な、コマンドを発する(ステップ36)。コンピューター10は、コマンドに応答して、要求されたデジタルコンテンツをサーバー装置22に転送し(ステップ38)、その後、携帯用ハンドセット20は、当該デジタルコンテンツをサーバー装置22から入手する(ステップ40)。一旦、当該デジタルコンテンツ(又は、少なくとも、当該デジタルコンテンツがバックグラウンドで継続してダウンロードされてゆくと当該デジタルコンテンツで満たされるバッファ)が携帯用ハンドセットにダウンロードされると、画面62には、そこで、再生されようとしている歌曲「Because of You」のカバーアートと他の関連情報が示される。当該デジタルコンテンツが携帯用ハンドセット20側にダウンロードされると、同コンテンツは、携帯用ハンドセット20上で再生され、再生されながら、更に、携帯用ハンドセット20内の記憶装置システム(フラッシュRAMチップ又はディスクドライブ)に保存される。デジタルコンテンツ(図4の実例では歌曲)は、而して、携帯用ハンドセット20に保存されている音楽コレクションに加えられる。当該歌曲が、将来、メニューに表示される時には、それがその時点では既に携帯用ハンドセット20にダウンロードされ保存されている状態であるので、灰色テキストではなく、普通の黒色テキストで表示されることになる。
【0018】
このやり方では、携帯用ハンドセット20側のデジタルコンテンツは、コンピューター10側のデジタルコンテンツと、無線式に同期化される。これにより、ユーザーは、自分がコンピューター10から離れた場所にいても、コンピューター10に保存されているデジタルコンテンツを視聴できるようになる。
【0019】
装置22は、著作権保護及び他の理由で、携帯用ハンドセット20を作動させている人物がコンピューター10を所有している人物と同一人物であることを裏付ける安全又は認証対策を実行することができる。例えば、装置22は、コンピューター10を装置22に登録する時に、コンピューター10が、同コンピューター10に保存されているデジタルコンテンツにアクセスすることを許可される携帯用ハンドセットの電話番号を、装置22に提供することを、求めることができる。そこで、携帯用ハンドセット20が、コンピューター10からデータを入手したいという要求を装置22に連絡すると、装置22は、その時、携帯用ハンドセット20と関係付けられている電話番号が、コンピューター10によって以前に登録された同一の電話番号であるか否かを判定することができる。装置22は、2つの電話番号が一致した場合に限り、要求された転送を進めるように設計することができる。他の安全又は認証対策を実行することもでき、この例は、説明のみを目的としている。
【0020】
携帯用ハンドセット20は、オペレーティングシステムとアプリケーションを実行するための回路と、データ及びメタデータを処理するための回路と、オーディオコンテンツ及びビデオコンテンツの様なデジタルコンテンツをレンダリング及び再生するための回路と、を含んでいてもよい。回路全ては、単一の集積チップの中、複数の集積チップの中、又は幾つかの集積チップと他の電子部品を組み合わせたものの中に収納することができる。
【0021】
携帯用ハンドセット20のユーザーは、当該ハンドセットで、ユーザーが音楽を聴取し、又はビデオコンテンツを鑑賞できるようにするアプリケーションの様な、各種アプリケーションを実行することができる。携帯用ハンドセット20は、携帯用ハンドセット20のユーザーが、ビデオディスプレイでビデオコンテンツを鑑賞し、スピーカーを通してオーディオコンテンツを聴取できるようにする、ビデオディスプレイとスピーカーを含んでいてもよい。
【0022】
図5は、携帯用ハンドセット20がコンテンツをコンピューター装置10と共有できるようにするシステムの別の実施形態を示している。この実施形態では、携帯用ハンドセット20は、(上で説明した様に)装置22を通じて、コンテンツをコンピューター装置10と共有することができるが、更に、ケーブルの様なリンク70を介するか、ドッキングステーションを介するか、メモリカードを携帯用ハンドセット20から抜き取り、当該メモリカードを、コンピューター装置10に連結されているメモリカード読取装置を使って読み取るやり方か、又はブルートゥースネットワークの様な他の無線プロトコルを用いるやり方で、コンピューター装置10と、コンテンツを共有/コンテンツを同期化してもよい。この実施形態では、2つの異なる方法(装置22を通じたやり方とリンクを介するやり方)によるコンテンツの同期化には、システムが、両方の方法による同期化を追跡することが必要になる。本システムは、更に、(ユーザーが、コンテンツを共有することに対する正式な承認を得ていると仮定して)複数のコンピューター装置と複数のハンドセットがコンテンツを共有できるようにする。
【0023】
携帯用ハンドセットは、1つ又は複数の再生リスト72を含んでいるデータベースの様なコンテンツ保存部71を含んでいてもよく、コンピューター装置10は、データベースの様なコンテンツ保存部74と、1件又はそれ以上のコンテンツ75を含んでいてもよい。コンピューター装置10では、1件又はそれ以上のコンテンツは、複数の異なるフォーマット(音楽コンテンツの場合は、MP3、AAC、ACC+、m4a)を有していてもよく、本システムは、音楽コンテンツ、写真コンテンツ、ファイルコンテンツ、ビデオコンテンツ、ポッドキャスト、及び他のあらゆる種類のデジタルコンテンツを含め、複数の異なる種類のコンテンツと共に使用することができる。コンピューター装置は、コンテンツ保存部74を使って、新しいコンテンツファイルがあればそれらを識別し、それら新しいコンテンツファイルが上で説明した携帯用ハンドセットのユーザーインターフェースに現れるようにし、携帯用ハンドセット向けにダウンロードされた新しいファイルは、コンピューター装置10に維持されているマスターコンテンツ保存部に現れるようにする。各携帯用ハンドセット側のコンテンツ保存部71は、識別コード(ID)を含むようにし、コンピューター装置10は、携帯用ハンドセット毎のコンテンツ保存部が識別コードによって区別されるようにした、複数の携帯用ハンドセット用に複数のコンテンツ保存部を含むようにしてもよい。ユーザーは、更に、携帯用ハンドセット側で新しい再生リストを作成し、そのリストがコンテンツ保存部71の中に保存され、次いで同期化されてコンピューター装置10に戻され、而してコンピューター装置も、特定の携帯用ハンドセットの再生リストを、識別コードにより識別された当該特定の携帯用ハンドセット用のコンテンツ保存部に維持する、というようにすることもできる。
【0024】
図6は、携帯用ハンドセット20が、コンテンツを、複数のコンピューター装置の間で共有できるようにするシステムの別の実施形態を示しており、本実施形態では、携帯用ハンドセットは、コンテンツ保存部71と再生リスト72を有している。図示の様に、本システムは、携帯用ハンドセット20が、そのコンテンツを複数のコンピューター装置101、102、...、10nと同期化できるようにしており、各コンピューター装置は、携帯用ハンドセット側のコンテンツのコンテンツ保存部を維持している。例えば、異なる家族構成員が、各自、自分のコンピューター装置を有している家庭では、或る特定の家族構成員の携帯用ハンドセットを複数のコンピューター装置に対して同期化して、家族の各構成員が購入したコンテンツの共有化が行えるようにしている。同様に、本システムは、複数の携帯用ハンドセットが、それらのコンテンツを単一のコンピューター装置と同期化できるようにし(家族の場合などが考えられる)、或いは複数のハンドセットが、それらのコンテンツを複数のコンピューター装置と同期化することもできる。而して、本システムは、コンピューター装置が、コンピューター装置同士の間でコンテンツを有効に共有できるようにする。
【0025】
図7Aは、より小さな部分にセグメント化された1件のコンテンツ80を示している。殆どの携帯用ハンドセットでは、1件のコンテンツ全体をダウンロードすることはできない(或いは、コンテンツ全体をダウンロードすれば、ユーザー体験に許容し難い遅延が引き起こされる)ので、1件のコンテンツは、セグメント単位で携帯用ハンドセットにダウンロードするために、セグメント1−8の様なセグメントに分けられている。例えば、本システムは、セグメントを順繰りにダウンロードすることができるので、1件のコンテンツ全体が携帯用ハンドセットにダウンロードされる前に、当該コンテンツの再生を開始することができ、ユーザー体験を向上させることができる。携帯用ハンドセットは、その種類によっては、プログレッシブダウンロードモードを有していてもよい。プログレッシブダウンロードモードでは、携帯用ハンドセットは、セグメントのダウンロードを開始し、次いで、コンテンツの残りのセグメントが携帯用ハンドセットにダウンロードされている間に、当該コンテンツの再生を開始することができる。携帯用ハンドセットにプログレッシブダウンロード性能があれば、携帯用ハンドセットへのコンテンツのダウンロードは直送的になる。しかしながら、携帯用ハンドセットがプログレッシブダウンロードをサポートしていない場合(携帯電話の様な殆どの携帯用ハンドセットに該当する)は、コンテンツをセグメント化し、次いで、コンテンツのセグメントをダウンロードできるようにするために、バッファリング法が用いられる。
【0026】
図7Bは、プログレッシブダウンロードをサポートしていない携帯用ハンドセットに、コンテンツを、ダウンロード/ストリーミングするための方法を示している。携帯用ハンドセットがプログレッシブダウンロードをサポートしていない場合、当該携帯用ハンドセットは、コンテンツの何れかの部分がバッファから再生されている間は、バッファへの如何なるダウンロードも許可しない。携帯用ハンドセット20は、上で説明した様に、携帯用ハンドセット側コンテンツを管理し、図4に示されているユーザーインターフェースを表示する、アプリケーションを含んでいる。携帯用ハンドセットがプログレッシブダウンロードをサポートしていない実施形態では、アプリケーションは、携帯用ハンドセットのメモリ空間を第1バッファAと第2バッファBにセグメント化し、コンテンツのセグメントのダウンロードは、第1バッファと第2バッファの間でピンポン式に起こるようにしてもよい。具体的には、図7Bに示す様に、新しい1件のコンテンツ(この例ではセグメント1から8を有している)は、その第1セグメントが第1バッファの中へダウンロードされ、その後、当該セグメントは第1バッファから再生される。当該コンテンツの当該セグメントが第1バッファで再生されている間に、当該コンテンツの、コンテンツの次のセグメント(ファイルの完全性を維持しファイルヘッダーをダウンロードするために第1セグメントを含んでいなければならない)が、第2バッファBにダウンロードされる(この例ではセグメント1から3)。次に、第1セグメントが完了すると、第2バッファの中のコンテンツがセグメント2から始めて再生される。第1バッファから第2バッファへの切り替え中に、20msの無音状態が起こるが、ユーザーには気づかれない程度のものである。コンテンツの当該セグメントが第2バッファBから再生されてゆくと、追加のセグメント(この例ではセグメント4から6)が、(コンテンツファイルの完全性を維持しファイルヘッダーをダウンロードするために、先行のセグメントと共に)第1バッファへダウンロードされる。第2セグメントと第3セグメントの再生が完了すると、携帯用ハンドセットは、セグメント4から6が再生されるように、再度第1バッファAに切り替えられる。第1バッファAのセグメントが再生されている間に、コンテンツ部分の最後のセグメントは(コンテンツファイルの完全性を維持するために先行のセグメントと共に)、第2バッファの中へダウンロードされ、携帯用ハンドセットは、そこで、セグメント4から6が完了したら、残りのセグメントを第2バッファから再生するという具合に、第1バッファと第2バッファの間でピンポンを行う。2つのバッファを使用した場合、無音区間は約20msの区間に過ぎないためユーザーには気づかれず、コンテンツをストリーミングすることができるため、結果的にユーザー体験を向上させることができる。2つのバッファを備えていない場合、プログレッシブダウンロードをサポートしていない携帯用ハンドセットでは、1)コンテンツが完全にダウンロードされる(あまりに長い時間を要する)まで、コンテンツの再生を待たねばならないか、又は、2)携帯用ハンドセットにコンテンツの次のセグメントをダウンロードする必要が生じる度に、一時停止(2秒以上)が差し挟まれる。更に、プログレッシブダウンロードをサポートしておらず、且つ2つのバッファを持っていない携帯用ハンドセットは、ネットワークの帯域幅の変化に順応することができず、ユーザー体験を向上させる良好なネットワーク範囲及び良好なネットワーク速度を利用することができない。
【0027】
別の実施形態では、携帯用ハンドセットのメモリ空間を、(上で説明した様に)第1バッファ及び第2バッファ、それから第3バッファに分割し、第3バッファがコンテンツの現在ダウンロード中のセグメント全て(又は、ダウンロードが完了しておれば、コンテンツのセグメント全て)を有するように、コンテンツのセグメントを第3バッファにダウンロードするようにしてもよい。
【0028】
携帯用ハンドセットのアプリケーションは、更に、ユーザーが例えば再生リストを再生している時、アプリケーションが再生リストの先を見て、再生リストの中の次の1件のコンテンツを、(それがまだ携帯用ハンドセットにダウンロードされていなければ)ストリーミング方式でダウンロードするモードを含んでいてもよく、この場合、1件目のコンテンツには、20msの無音区間(バッファ間のストリーミングとピンポンが原因)が存在するが、後続のコンテンツについては、それらコンテンツは全体が事前に携帯用ハンドセットにダウンロードされているため、何れも無音区間は無い。
【0029】
携帯用ハンドセット/携帯用ハンドセットのアプリケーションは、更に、それらが、何時、携帯用ハンドセットが、ネットワーク(無線ネットワークかリンクの何れか)に接続されたか、を見極める、「エアプレイン」モードを含んでいてもよい。アプリケーションは、携帯用ハンドセットがコンピューター装置10に如何なる接続も行っていないと判断すると、コンピューター装置10側にしか無いコンテンツについては如何なるコンテンツも表示しないが、ユーザーが、携帯用ハンドセット側に既に保存されているコンテンツを再生することは許容する。但し、携帯用ハンドセットが再びコンピューター装置10に接続されると、携帯用ハンドセット側とコンピューター装置側のコンテンツ(図4に図示)は、再びユーザーに示される。
【0030】
以上、本発明の具体的な実施形態を参照してきたが、当業者には理解頂ける様に、上記実施形態には、本発明の原理及び精神から逸脱することなく、変更を加えることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲に定義されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログレッシブダウンロードをサポートしていない携帯用ハンドセットにコンテンツをストリーミングするための装置において、
第1バッファと第2バッファを有する携帯用ハンドセットであって、コンテンツは、前記携帯用ハンドセット上で、前記第1バッファと第2バッファの内の一方から再生され、 前記携帯用ハンドセットは、コンテンツを遠隔ソースから複数のセグメントとしてストリーミングし、前記コンテンツが前記携帯用ハンドセットに複数のセグメントとしてストリーミングされるにつれて前記コンテンツを再生する、アプリケーションを有している、携帯用ハンドセット、を備えており、
前記コンテンツの前記複数のセグメントの第1部分は、前記第1バッファの中へダウンロードされ、前記コンテンツの前記複数のセグメントの前記第1部分は、前記第1バッファから再生され、前記第1バッファに保有されている前記複数のセグメントの前記第1部分が再生されている間に、前記複数のセグメントの第2部分は前記第2バッファの中へダウンロードされ、これにより、無音区間を最小限にしながら、前記コンテンツの前記複数のセグメントが前記携帯用ハンドセットにストリーミングされるようになっている、装置。
【請求項2】
前記アプリケーションは、前記第2バッファに保有されている前記複数のセグメントの前記第2部分を再生し、前記第2バッファに保有されている前記複数のセグメントの前記第2部分が再生されている間に、前記複数のセグメントの第3部分は前記第1バッファの中へダウンロードされ、これにより、前記コンテンツの前記複数のセグメントの再生は、前記第1バッファと第2バッファの間でピンポンされるようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記携帯用ハンドセットは、第3バッファを更に備えており、前記コンテンツの前記複数のセグメントの各セグメントは、ダウンロードされるにつれて前記第3バッファに保存される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記携帯用ハンドセットは、セルラー電話、携帯電話、PDA、又は無線電子メール機器を更に備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
プログレッシブダウンロードをサポートしていない携帯用ハンドセットに、コンテンツをストリーミングするための方法において、
複数のセグメントに分割されたコンテンツを提供する段階と、
前記複数のセグメントの第1部分を第1バッファの中へダウンロードする段階と、
前記第1バッファに保有されている前記複数のセグメントの前記第1部分を再生する段階と、
前記第1バッファに保有されている前記複数のセグメントの前記第1部分が再生されている間に、前記複数のセグメントの第2部分を第2バッファの中へダウンロードする段階と、から成り、これにより、無音区間を最小限にしながら、前記コンテンツの前記複数のセグメントが前記携帯用ハンドセットにストリーミングされるようになっている、方法。
【請求項6】
前記第2バッファに保有されている前記複数のセグメントの前記第2部分を再生する段階と、前記第2バッファに保有されている前記複数のセグメントの前記第2部分が再生されている間に、前記複数のセグメントの第3部分を前記第1バッファの中へダウンロードする段階と、を更に含んでおり、前記コンテンツの前記複数のセグメントの再生は、前記第1バッファと第2バッファの間でピンポンされるようになっている、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コンテンツの各セグメントを、ダウンロードしながら、第3バッファの中へ保存する段階を更に含んでいる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
リストの中の2件以上のコンテンツをダウンロードするためのシステムにおいて、
第1バッファと第2バッファを有する携帯用ハンドセットであって、コンテンツは、前記携帯用ハンドセット上で、前記第1バッファと第2バッファの内の一方から再生され、 前記携帯用ハンドセットは、1件目のコンテンツと2件目のコンテンツのリストを保存し、前記1件目と2件目のコンテンツを再生する、アプリケーションを有している、携帯用ハンドセットを備えており、
前記1件目のコンテンツは、ダウンロードされて前記第1バッファから再生され、前記2件目のコンテンツは、前記1件目のコンテンツが前記第1バッファ内で再生されている間に、前記第2バッファの中へダウンロードされ、前記2件目のコンテンツは前記第2バッファから再生される、システム。
【請求項9】
前記コンテンツは、音楽、ビデオ、ポッドキャスト、及びファイルを更に備えている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記携帯用ハンドセットは、セルラー電話、携帯電話、PDA、又は無線電子メール機器を更に備えている、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
リストの中の2件以上のコンテンツをダウンロードするための方法において、
携帯用ハンドセットにストリーミング中の1件目のコンテンツを前記携帯用ハンドセット上で再生する段階と、
前記1件目のコンテンツが前記携帯用ハンドセット内で再生されている間に、コンテンツリストの中の2件目のコンテンツを第2バッファの中へダウンロードする段階と、
前記2件目のコンテンツを前記第2バッファ内で再生する段階と、から成り、前記2件目のコンテンツは、前記携帯用ハンドセットに既にダウンロードされているので、前記2件目のコンテンツには、同コンテンツの再生中に、無音区間が無いようになっている、方法。
【請求項12】
前記コンテンツは、音楽、ビデオ、ポッドキャスト、及びファイルを更に備えている、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【公開番号】特開2012−231548(P2012−231548A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−189845(P2012−189845)
【出願日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【分割の表示】特願2009−545565(P2009−545565)の分割
【原出願日】平成20年1月2日(2008.1.2)
【出願人】(509192307)エムスポット インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】