説明

デジタルコードレス電話機およびデジタルコードレス電話システム

【課題】親機不在の状態なった場合に子機側のサーチ周期を通常より長い周期に変更して消費電力を抑制するようにしたデジタルコードレス電話システムにおいて、親機不在の状態が解消された場合に通常の周期で同期が取れるようにする。
【解決手段】子機20は、電源部207への充電電力を供給し充電が開始されことを検出する充電部250と、親機不在時に、所定の期間親機をサーチする第1の周期を設定するタイマーと、前記第1の周期より長い第2の周期を設定するタイマーとを含むタイマー211と、を備え、親機が不在状態になった場合には前記第1の周期で親機サーチを行い、所定時間経過後は前記第2の周期で親機サーチを行い、前記充電部250により子機20への充電開始が検出された場合、前記第1の周期で親機サーチを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親機から定期的に送信している同期要求信号を、子機側に設定されるサーチ周期において受信して同期を確立するデジタルコードレス電話機およびデジタルコードレス電話システムに関するものであり、特に停電などにより親機から同期要求信号の送信が停止して親機不在の状態なった場合に子機側のサーチ周期を通常より長い周期に変更するようにされたデジタルコードレス電話機およびデジタルコードレス電話システムにおいて、子機充電開始、あるいは、デジタルコードレス電話システムの電源オンなどの電源状態検出により子機におけるサーチ周期を通常のサーチ周期に復帰するようにしたデジタルコードレス電話機およびデジタルコードレス電話システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
固定電話機(アナログ電話機)として、近距離無線通信機能を有する親機と子機からなり、公衆回線網から親機に着信した通話を子機に接続して通話し、あるいは、子機から発信した通話を、親機経由で公衆回線を介して通信相手と通話するようにしたコードレス電話機が提供されている。このようなコードレス電話機は一般の家庭やオフィスなどにおいて多くの利用者によって使用されている。
【0003】
最近ではアナログのコードレス電話機に代わるものとしてデジタルコードレス電話機、デジタルコードレス電話システムが提供されておいる。デジタルコードレス電話システムは、一般には、パーソナルハンディフォン(PHS)と言われるものであり、このようなデジタルコードレス電話機は、家庭や事務所に設置している親機や、屋外に設置されている公衆基地局と通信する自営モード・公衆モードがあるが、これ以外に子機同士でトランシーバのように直接通信する子機間通信モードがある。
【0004】
デジタルコードレス電話機システムは、主装置(交換機)と、複数の親機と、さらに複数の子機とからなり、主装置(交換機)は、公衆電話回線網と接続し且つISDN回線で複数の親機と接続し、各親機は同一周波数F1を用いて送信と受信とを時間的に異ならせて子機との通信を行い、また、親機を介さず直接子機間で通信を行うこともできる。
【0005】
このようなデジタルコードレス電話システムは、例えば、下記の特許文献1(特開平9−200852号公報)にデジタルコードレス電話システムとして開示されている。このデジタルコードレス電話システムは次のように構成されている。すなわち、子機はサービス圏内にいれば、親機が定期的に送信している下り論理制御チャネルの構造を知っていて自群の着呼信号を受信出来る状態になっている。親機は送信する全群の着呼信号内に時刻情報を設け、主装置(交換機)から受信した時刻情報を子機に報知する。これによりサービス圏内の全子機は、時刻合せをすることが可能になる。この受信時刻を基に一定時刻に限定した子機間通信呼出と待受を行う。また発側子機は下り論理制御チャネルの構造から全群の着呼信号タイミングを求め、着側子機の子機間通信呼出番号により着呼信号から経過したタイミングに限定した子機間通信呼出と待受も行い、空いている時間は親機に対する待受を行う。
【0006】
このような、デジタルコードレス電話システムにおいてはいくつかの通信方式が知られている。例えば、TDMA/TDD方式(時分割多元接続/時分割二重方式)は、1台の子機と親機との間の通信で、1チャンネル内の送信スロットTと受信スロットRとを、数周期に1回だけ使用し、同一チャンネル内の他の送信スロットTと受信スロットRとを、他の子機と親機との間の通信に使用して、1チャンネルで複数台の通信装置間の通信ができるように多重化したものである。
【0007】
親機から各子機への同期要求信号の伝送は、所定周期毎に一定のフォーマットに従って行われる。そして、例えば何れかの子機が親機からの内線通話等で呼び出されたとき、この同期要求信号で対応する子機の個別番号などを伝送し、対応する子機を呼び出させる。そして、それぞれの子機側で親機から同期要求信号で呼び出されるのを待っている待ち受け動作時には、この同期要求信号だけを所定周期で受信するようにされる。子機が親機の送信する同期要求信号を受信するサーチ周期(親機サーチ)は、通常状態では、例えば、60秒に1回(20秒間サーチする)程度に設定される。
【0008】
また、デジタルコードレス電話システムにおいて、停電が検出された場合、省電力モードで着信を待つことができるようにしたデジタルコードレス電話装置が下記の特許文献2(特開平8−125744号公報)に開示されている。
【0009】
このデジタルコードレス電話装置は、親機にて停電を検出した場合には、待ち受け中である時、子機に対して停電メッセージを送信した後に、パワー切換スイッチを制御して、無線送受信回路部に対する内蔵電源からの電源供給を断つ。また、停電中に外線L1 、L2 からの着信があった場合には、パワー切換スイッチを制御して、無線送受信回路部に対する内蔵電源32からの電源供給を行う。更に、停電中であっても子機からの発呼要求が受けられるようにするために、親機スイッチがONされることを以て、パワー切換スイッチを制御し、無線送受信回路部に対する内蔵電源からの電源供給を行うように構成されている。
【特許文献1】特開平9−200852号公報(図1)
【特許文献2】特開平8−125744号公報(図1、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
先に述べたように、デジタルコードレス電話システムでは、子機は親機が周期的に送信する同期要求信号を受信し、それぞれの電話機IDや空きの通話チャンネルの確認をとる同期処理を行って着信待ち受けをする。このため、子機は親機が送信する同期要求信号を受信するサーチ周期(親機サーチ)を設定している。
【0011】
ところで、停電など何らかの要因で親機からの同期要求信号が送信されなくなる場合が生じる(この状態は、親機不在の状態ともいえる)。親機不在の状態になると、子機側のサーチ周期が通常のまま設定で親機サーチを実行し続けると、子機における電力消費があり、エネルギーの無駄を生じてしまう。
【0012】
そこで、一般的には、親機不在の状態になると、子機側では親機サーチの周期を通常の周期よりも長い周期に順次変更して子機側の電力消費を抑制する制御方法が取られる。例えば、通常の親機サーチ周期が前述したように60秒に1回程度の設定であった場合、一定の期間親機サーチに失敗した場合、サーチ周期を順次長くしていき、1時間に1回程度の親機サーチに変更する。
【0013】
図6は、上記のような子機と親機間で行われる親機サーチの動作シーケンスを示す図である。図6においては、停電やメインスイッチ切断などにより親機電源がオフになり親機不在状態になり、その後電源が復旧あるいはメインスイッチ投入により親機の電源がオンになった場合の親機サーチの動作シーケンスを示すシーケンス図である。メインスイッチの切断、投入は例えばオフィスのメイン電源を切断、投入する場合であり、夜間オフィイスが無人状態になる場合に電話システムの電源を切断して電力消費を抑制するために行われることもある。
【0014】
図6に示すようにイベントE1において停電やメイン電源切断などにより親機の電源がオフされた場合、子機はイベントE2において充電が停止され、内蔵充電電池により動作する。そして、子機はタイマーB1により所定の周期ごとに親機サーチ(親機が送信する同期要求信号の受信)を試みる。これを所定回数繰り返し所定回数経過しても(所定の時間経過しても)同期要求信号を受信できない時は、タイマーB1よりも長い時間をカウントするタイマーB2によって親機サーチの間隔を長くする。このようにすれば子機の電力消費を抑制することができる。
【0015】
イベントE3において、停電が復旧し、あるいは、メイン電源が投入され、親機の電源がオンされると親機は同期要求信号の送出(同期要求)を再開する。そして子機はイベントE4において充電を開始する。しかしながら子機においてはイベントE1の発生により親機サーチの間隔がタイマーB2による間隔になっているので、イベントE4発生後(イベントE3発生後)直ぐに親機不在状態が解消されたことを知ることができない。そしてタイマーB2により設定された時間になった時点で親機サーチを行い、親機からの同期要求信号を受信した時点で初めて親機不在状態が解消されたことを知り、親機との間の同期を確立する(イベントE5,イベントE6)ことになる。
【0016】
このように親機不在時に子機側において親機サーチの周期を長く変更してしまうと、親機不在の原因が解消された場合、変更した親機サーチ周期になるまで、親機不在状態が解消されたことを知ることができず、その間親機と子機の間の同期がとれていない状態が継続する。従って、この間に親機に着信があっても子機に着信接続できないという問題点が生じる。
【0017】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、停電などにより親機から同期要求信号の送信が停止して親機不在の状態なった場合に子機側のサーチ周期を通常より長い周期に変更するようにされたデジタルコードレス電話機およびデジタルコードレス電話システムにおいて、子機充電開始、あるいは、デジタルコードレス電話システムの電源オンなどの電源状態検出により子機におけるサーチ周期を通常のサーチ周期に復帰するようになせば上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0018】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、停電などにより親機から同期要求信号の送信が停止して親機不在の状態なった場合に子機側のサーチ周期を通常より長い周期に変更して消費電力を抑制するようにしたデジタルコードレス電話機およびデジタルコードレス電話システムにおいて、親機不在の状態が解消された場合に通常の周期で同期が取れるようにして着信に対応できるようにしたデジタルコードレス電話システムおよびデジタルコードレス電話機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、親機と子機を備え、親機が送信する同期要求信号を所定の周期で受信して親機サーチを行い、親機を検出するデジタルコードレス電話システムにおいて、前記子機は、電源部への充電電力を供給し充電が開始されことを検出する充電部と、親機不在時に、所定の期間親機をサーチする第1の周期を設定するタイマーと、前記第1の周期より長い第2の周期を設定するタイマーとを含むタイマーと、を備え、親機が不在状態になった場合には前記第1の周期で親機サーチを行い、所定時間経過後は前記第2の周期で親機サーチを行い、前記充電部により子機への充電開始が検出された場合、前記第1の周期で親機サーチを行うように構成したことを特徴とするデジタルコードレス電話システム。
【0020】
また、本願の請求項2にかかる発明は、同期要求信号を送信する親機と無線によって接続されるデジタルコードレス電話システムを構成する子機であって、親機が送信する同期要求信号を所定の周期で受信して親機サーチを行い、親機を検出するデジタルコードレス電話機において、前記デジタルコードレス電話機は、電源部への充電電力を供給し充電が開始されことを検出する充電部と、親機不在時に、所定の期間親機をサーチする第1の周期を設定するタイマーと、前記第1の周期より長い第2の周期を設定するタイマーとを含むタイマーと、を備え、親機が不在状態になった場合には前記第1の周期で親機サーチを行い、所定時間経過後は前記第2の周期で親機サーチを行い、前記充電部により子機への充電開始が検出された場合、前記第1の周期で親機サーチを行うように構成したことを特徴とするデジタルコードレス電話機。
【発明の効果】
【0021】
請求項1にかかる発明においては、子機は、電源部への充電電力を供給し充電が開始されことを検出する充電部と、親機不在時に、所定の期間親機をサーチする第1の周期を設定するタイマーと、前記第1の周期より長い第2の周期を設定するタイマーとを含むタイマーと、を備え、親機が不在状態になった場合には前記第1の周期で親機サーチを行い、所定時間経過後は前記第2の周期で親機サーチを行い、前記充電部により子機への充電開始が検出された場合、前記第1の周期で親機サーチを行う。
【0022】
このような構成によれば、親機不在が所定の時間以上続いた場合、子機の消費電力を抑制することができるようになる。また、親機不在の状態が解消された場合には直ちに第1の周期(タイマーB1)に戻して親機サーチを行うので、親機に着信があった場合に、親機は直ぐに子機に着信接続することができるようになる。
【0023】
また、夜間にデジタルコードレス電話システムのメイン電源をオフにして夜間消費電力を抑制するようにしておいても、夜間に第2の周期で親機サーチをしていた子機は、朝の始業時にデジタルコードレス電話システムのメイン電源が投入されれば、第1の周期で親機サーチするようになるので、親機は着信があっても直ちに子機に着信を接続させることができるようになる。
【0024】
また、請求項2にかかる発明によれば、請求項1にかかるデジタルコードレス電話システムを構成する子機を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのデジタルコードレス電話システムを例示するものであって、本発明をこのデジタルコードレス電話システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のデジタルコードレス電話システムにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0026】
本発明の実施例にかかるデジタルコードレス電話システムは、親機10と子機20とからなる。図1は、親機10の構成を示すブロック図であり、図2は子機20の構成を示すブロック図である。
【0027】
図1に示すように親機10は、着信検出部101、回線変換部102、回線制御部103、表示部104、操作部105、ACアダプタ106、電源部107、メモリ部108、制御部110、変調回路121、周波数シンセサイザー122、復調回路123、送信アンプ124、アンテナ切替部125、受信アンプ126、アンテナ127、SP(スピーカ)128、MIC(マイク)129、レシーバ130を備えて構成され、回線変換部102を介して電話回線140に接続されている。また、親機10は、商用電源にACアダプタ106を介して接続され、電源部107から各部に電源が供給される。
【0028】
親機10は、アンテナ127により子機20と無線通信により接続することができる。親機10から子機20への送信信号は、周波数シンセサイザー122の出力に基づいて変調回路121、送信アンプ124、アンテナ127を介して子機20に送信される。子機20から親機10への送信信号は、アンテナ127を介して受信され、受信アンプ126で増幅され、周波数シンセサイザー122の出力に基づいて復調回路123で復調される。
【0029】
操作部105はテンキーや機能キーにより構成され、親機10から発信する場合の電話番号入力や親機10の各種機能設定を行うものであり、表示部104には親機10の操作メニューや着信表示、発信先電話番号表示などが行われる。また、スピーカ128、マイク129、レシーバ130は通話に使用されるものである。
【0030】
制御部110は、タイマー111、信号検出部112、信号発生部113、AD/DA変換部114、信号切替部115、アンプ部116、I/Oポート117を含むLSILSIで構成されている。タイマー111は子機に対して制御チャネル信号を送信し、同期要求をするための一定の時間間隔を設定するものである。I/Oポート117は親機10に接続される各種の周辺機器との間の通信ポートである。制御部110が制御のためにデータを一時記憶したり、各種の設定を記憶したりする場合メモリ部108が用いられる。
【0031】
信号検出部112は電話回線140あるいは子機20からの信号を検出するものであり、信号発生部113は、同期要求信号を発生し子機20との間の同期要求を行うものである。AD/DA変換部114は通話音声信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、あるいは、アナログ信号からデジタル信号に変換するためのものであり、これらの信号は必要に応じてアンプ部116で増幅される。信号切替部115は、通話信号における送信信号と受信信号を切替る制御を行う。
【0032】
着信検出部101は回線変換部102を介して受信した電話回線140からの着信信号を検出するものであり、回線制御部103は回線変換部102を介して電話回線140への接続を制御するものである。これらの親機10の構成は通常のデジタルコードレス電話システムにおける親機の構成であり、動作の詳細な説明は省略する。
【0033】
親機10は通常のデジタルコードレス電話システムにおける親機と同様にタイマー110に設定された周期で子機20に対して同期要求信号を送信している。子機20は、所定の周期でこの同期要求信号を受信して同期を確立している。同期が確立している状態で親機10に着信があった場合、任意の子機に着信を接続することができるようになる。
【0034】
一方、子機20は、図2に示すように、表示部204、操作部205、ACアダプタ206、電源部207、メモリ部208、制御部210、変調回路221、周波数シンセサイザー222、復調回路223、送信アンプ224、アンテナ切替部225、受信アンプ226、アンテナ227、SP(スピーカ)228、レシーバ230、充電部250を備えて構成され、アンテナ227を介して親機10と接続される。また、子機20は、商用電源にACアダプタ206を介して商用電源に接続された充電部250(充電器)から電源部207に充電を行い、電源部207から各部に電源が供給される。
【0035】
子機20から親機10への送信信号は、周波数シンセサイザー222の出力に基づいて変調回路221、送信アンプ224、アンテナ227を介して親機10に送信される。親機10から子機20への送信信号は、アンテナ227を介して受信され、受信アンプ226で増幅され、周波数シンセサイザー222の出力に基づいて復調回路223で復調される。
【0036】
操作部205はテンキーや機能キーにより構成され、子機20から発信する場合の電話番号入力や子機20の各種機能設定を行うものであり、表示部204には子機20の操作メニューや着信表示、発信先電話番号表示などが行われる。また、スピーカ228、レシーバ230は通話に使用されるものである。
【0037】
制御部210は、タイマー211、AD/DA変換部214、信号切替部215、アンプ部216、I/Oポート217含むLSILSIで構成されている。タイマー211は親機10が送信する同期要求信号を受信する周期を設定するものであり、親機20が正常に動作し、同期要求信号を送信している場合に、一定の周期(例えば、タイマーAで定まる時間間隔)で制御信号を間欠的に受信し、同期を確立する。
【0038】
また、本発明においては、タイマー211は、タイマーB1で定まる第1の周期とタイマーB2で定まる第2の周期を監視することができ、親機20が停電などにより電源オフになり制御チャネル信号を送信できない状態、いわゆる、親機不在状態になった場合に、当初は前記第1の周期で親機サーチ(同期要求信号)を連続して行い、所定回数親機不在状態が続いた場合に前記第1の周期より長い第2の周期で親機サーチを行うように設定されている。
【0039】
I/Oポート217は子機20に接続される各種の周辺機器との間の通信ポートである。制御部210が制御のためにデータを一時記憶したり、各種の設定を記憶したりする場合メモリ部208が用いられる。AD/DA変換部214は通話音声信号をデジタル信号からアナログ信号に変換し、あるいは、アナログ信号からデジタル信号に変換するためのものであり、これらの信号は必要に応じてアンプ部216で増幅される。信号切替部215は、通話信号における送信信号と受信信号を切替る制御を行う。
【0040】
以上説明した子機20の構成のうち、親機20を介した通話接続、通話に関する各構成要素は通常のデジタルコードレス電話システムにおける親機の構成であり、動作の詳細な説明は省略する。本発明による子機20においては、タイマー211に基づく親機10のサーチ手順が異なる。以下にその詳細を説明する。
【0041】
図3は、親機10が正常に同期要求信号を送出している場合の子機20との間の動作シーケンスを示す図である。図3に示すようにイベントE1において親機10の電源がオンされていれば、親機10は所定の周期で同期要求信号を子機20に対して送信し、同期要求を行う。子機20はイベントE2においてバッテリオン(充電完了)すると、タイマー211により設定された所定の周期で連続的に親機10が送信している同期要求信号を受信し、同期を確立する(イベントE3、イベントE4を参照)。
【0042】
同期が確立すると、子機20は、タイマー211に設定された通常の周期(タイマーA)で間欠的に同期要求信号を受信して同期の確認を行う。この状態で親機10に電話回線140から外線着信があると、親機10は子機20に対して同期・鳴動(着信鳴動)要求が行われる。すなわち、親機10はイベントE5において自身の着信鳴動をさせ、イベントE6において子機10も着信鳴動が行われる。
【0043】
子機20において着信操作が行われると、子機20から親機10に対して通話接続要求が送信され、親機10が子機20との間の通話接続を確立すると、イベントE7において子機20は通話を開始することができ、外線接続された相手方電話機と子機20との間で通話を行う。通話が終わり子機20においてレシーバ30をオンフックして回線の切断要求を親機10に送信すると、親機10は電話回線との間の接続を切断して通話を終了して、シーケンスの最初の状態に戻る。
【0044】
次に、何らかの原因で親機10が同期要求信号を送信できない、いわゆる、親機不在状態になった場合の親機サーチの動作手順について、図4のシーケンス図に基づいて説明する。図4に示すようにイベントE1において停電やメイン電源切断などにより親機10の電源がオフされた場合、子機20はイベントE2において充電が停止され、内蔵充電電池により動作する。
【0045】
そして、子機20はタイマー221に設定されたタイマーB1で定まる第1の周期とタイマーB2で定まる第2の周期を監視することができ、先ず、タイマーB1により定まる所定の第1の周期ごとに親機サーチ(親機が送信する同期要求信号の受信)を試みる。これを所定回数繰り返し所定回数経過しても(所定の時間経過しても)同期要求信号を受信できない時は、タイマーB1よりも長い時間をカウントするタイマーB2によって親機サーチの間隔を長くして、親機10から同期要求信号を受信するまではこのタイマーB2によって定まる第2の周期で親機サーチを繰り返し行う。このようにすれば子機20の電力消費を抑制することができる。
【0046】
なお、タイマー211による制御は以上説明した2段階の制御に限られるものではなく、更に長い周期を設定し、夜間に電話システムのメイン電源をオフするような場合には、数時間に1回程度親機サーチを行うように設定することもできる。
【0047】
イベントE3において、停電が復旧し、あるいは、メイン電源が投入され、親機10の電源がオンされると親機10は同期要求信号の送出(同期要求)を再開する。そして子機20はイベントE4において充電を開始する。同時に子機20においてタイマー211に設定された第2の周期を第1の周期に戻し(タイマーB2からタイマーB1に戻し)、タイマーB1による第1の周期で親機サーチ(同期要求信号の連続受信)を行い、同期が確立される(イベントE3、イベントE4を参照)。同期が確立すると、図3の通常の動作シーケンスに復帰する。
【0048】
図5は、以上説明した本発明の実施例にかかるデジタルコードレス電話システムの子機20おける親機サーチの動作手順を示すフローチャートである。デジタルコードレス電話システムの電源が投入されると、ステップS11の処理において、子機20は、親機サーチのサーチ回数の初期化(例えば、サーチ回数を計数するカウンタ(図示せず)の計数値を0に初期化)し、ステップS12の処理において親機サーチ、すなわち、親機10から送信される同期要求信号の受信を所定の周期で連続して試み、ステップS13の処理において親機10を検出できたか判別する。連続受信の周期はタイマーB1による設定時間を用いることができる。
【0049】
親機10から同期要求信号を受信できれば親機10が検出できたことになり、親機10の検出を終了してステップS14の処理に進む。ステップS14の処理において親機10から同期要求信号を受信し同期確立を試みる。ステップS15の処理の処理においてタイマー211に設定されたタイマーAをスタートしてステップS16の処理に進み、当該設定された周期、すなわち、タイマーAによるタイムアウトを監視する。タイムアウトになっていなければステップS16のタイムアウトの監視処理を繰り返す。
【0050】
ステップS16の処理においてタイムアウトが検出されたならば、ステップS17の処理に進んで親機10からの同期要求信号を受信し、同期を確立する。ステップS18の処理においては同期検出が行われ、同期が確立されていれば、ステップS14の処理に戻りステップS18までの処理を繰り返し、間欠的(タイマーAにより定まる周期で)に親機10からの同期要求信号を受信して同期を維持する。
【0051】
ステップS13の処理において親機検出ができない場合ステップS19の処理に進む。このようなケースは、例えば、停電や電話システムのメイン電源が切断された場合である。ステップS19の処理においては親機サーチのサーチ回数を「1」加算する。ステップS21の処理においてはサーチ回数が所定回数「N」以下であるかを判別する。サーチ回数が「N」以下であればステップS22の処理においてタイマー211はタイマーB1により設定された時間間隔を監視し、ステップS24の処理においてタイマーB1のタイムアウトを検出する。タイムアウトになると、ステップS12の処理に戻り親機10が検出されるまで、ステップS12からステップS24の処理を繰り返す。
【0052】
ステップS24の処理でタイマーB1のタイムアウトが検出されなければ、ステップS25の処理において子機20への充電が開始されたかを検出する。充電開始が検出されない場合はステップS24のタイムアウト監視に戻る。ステップS25の処理において充電が開始されたことを検出すると、停電の復旧ないしはメイン電源の投入が推測できるので、ステップS11の処理に戻りサーチ回数を初期化して最初の処理からの一連の処理が行われる。
【0053】
親機10が検出されないままステップS21の処理においてサーチ回数が「N」に達する(すなわち、タイマーB1×サーチ回数による時間が経過する)と、タイマー211はタイマーB2に設定された第2の周期に変更する。そして、ステップS24の処理においてタイマーB2のタイムアウトを検出する。タイムアウトになると、ステップS12の処理に戻り親機10が検出されるまで、ステップS12からステップS24の処理を繰り返す。
【0054】
ステップS24の処理でタイマーB1のタイムアウトが検出されなければ、ステップS25の処理において子機20への充電が開始されたかを検出する。充電開始が検出されない場合はステップS24のタイムアウト監視に戻る。ステップS25の処理において充電が開始されたことを検出すると、停電の復旧ないしはメイン電源の投入が推測できるので、ステップS11の処理に戻りサーチ回数を初期化して最初の処理からの一連の処理が行われる。子機20への充電開始は充電部250において検出することができる。
【0055】
このように、本発明においては、親機不在の状態になった場合に子機20が所定の第1の周期(タイマーB1)で親機サーチを行い、所定時間経過しても親機20が検出できなかった場合、第1の周期(タイマーB1)よりも長い所定の第2の周期(タイマーB2)に親機サーチの周期を変更し、子機20が充電開始を検出すると前記第1の周期に戻して親機サーチを行なう。このため、親機不在が所定の時間以上続いた場合、子機20の消費電力を抑制することができるようになる。また、親機不在の状態が解消された場合には直ちに第1の周期(タイマーB1)に戻して親機サーチを行うので、親機10に着信があった場合に、親機10は直ぐに子機20に着信接続することができるようになる。
【0056】
このような構成によれば、夜間デジタルコードレス電話システムのメイン電源をオフにして夜間消費電力を抑制するようにしておいても、夜間に第2の周期で親機サーチをしていた子機は、朝の始業時にデジタルコードレス電話システムのメイン電源が投入されれば、第1の周期で親機サーチするようになるので、親機は着信があっても直ちに子機に着信を接続させることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施例にかかるデジタルコードレス電話システムにおける親機の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例にかかるデジタルコードレス電話システムにおける子機の構成を示すブロック図である。
【図3】親機が正常に制御チャネル信号を送出している場合の子機との間の通常の動作シーケンスを示すシーケンス図である。
【図4】親機不在状態で子機と親機間で行われる親機サーチの本発明の実施例における動作シーケンスを示す図である。
【図5】本発明の実施例にかかる子機における親機サーチの動作手順を示すフローチャートである。
【図6】親機不在状態で子機と親機間で行われる親機サーチの従来の動作シーケンスを示す図である。
【符号の説明】
【0058】
204・・・表示部
205・・・操作部
206・・・ACアダプタ
207・・・電源部
208・・・メモリ部
210・・・制御部
211・・・タイマー
214・・・AD/DA変換部
215・・・信号切替部
216・・・アンプ部
217・・・I/Oポート
221・・・変調回路
222・・・周波数シンセサイザー
223・・・復調回路
224・・・送信アンプ
225・・・アンテナ切替部
226・・・受信アンプ
227・・・アンテナ
228・・・SP(スピーカ)
230・・・レシーバ
250・・・充電部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機と子機を備え、親機が送信する同期要求信号を所定の周期で受信して親機サーチを行い、親機を検出するデジタルコードレス電話システムにおいて、
前記子機は、電源部への充電電力を供給し充電が開始されことを検出する充電部と、親機不在時に、所定の期間親機をサーチする第1の周期を設定するタイマーと、前記第1の周期より長い第2の周期を設定するタイマーとを含むタイマーと、を備え、親機が不在状態になった場合には前記第1の周期で親機サーチを行い、所定時間経過後は前記第2の周期で親機サーチを行い、前記充電部により子機への充電開始が検出された場合、前記第1の周期で親機サーチを行うように構成したことを特徴とするデジタルコードレス電話システム。
【請求項2】
同期要求信号を送信する親機と無線によって接続されるデジタルコードレス電話システムを構成する子機であって、親機が送信する同期要求信号を所定の周期で受信して親機サーチを行い、親機を検出するデジタルコードレス電話機において、
前記デジタルコードレス電話機は、電源部への充電電力を供給し充電が開始されことを検出する充電部と、親機不在時に、所定の期間親機をサーチする第1の周期を設定するタイマーと、前記第1の周期より長い第2の周期を設定するタイマーとを含むタイマーと、を備え、親機が不在状態になった場合には前記第1の周期で親機サーチを行い、所定時間経過後は前記第2の周期で親機サーチを行い、前記充電部により子機への充電開始が検出された場合、前記第1の周期で親機サーチを行うように構成したことを特徴とするデジタルコードレス電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−288598(P2007−288598A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−114647(P2006−114647)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】