デジタルデータ記録再生方法、光情報記録再生方法、及び光情報記録再生装置
【課題】高符号化率を実現するため線形フィードバックシフトレジスタで生成される擬似乱数を用いた変調方式を用いた場合、DCバランスが取れ無い場合があるといった課題があった
【解決手段】高データ転送レートを実現しつつ、任意のページデータに対して確実にDCバランスを取るため、DCバランスを改善する数ビットのデータを排他論理和で加算する。
【解決手段】高データ転送レートを実現しつつ、任意のページデータに対して確実にDCバランスを取るため、DCバランスを改善する数ビットのデータを排他論理和で加算する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルデータを記録媒体に記録、又は記録媒体から再生する方法、特にホログラフィを用いて記録媒体に記録、記録媒体から再生する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、青紫色半導体レーザを用いた、Blu−ray Disc(BD)規格により、民生用においても50GB程度の記録密度を持つ光ディスクの商品化が可能となってきた。今後は、光ディスクでも100GB〜1TBというHDD(Hard Disc Drive)容量と同程度まで大容量化が望まれる。
【0003】
しかしながら、このような超高密度を光ディスクで実現するためには、短波長化と対物レンズ高NA化による高密度化技術とは異なる新しい方式による高密度化技術が必要である。
【0004】
次世代のストレージ技術に関する研究が行われる中、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録するホログラム記録技術が注目を集めている。
【0005】
ホログラム記録技術とは、空間光変調器により2次元的に変調されたページデータの情報を有する信号光を、記録媒体の内部で参照光と重ね合わせ、その時に生じる干渉縞パターンによって記録媒体内に屈折率変調を生じさせることで情報を記録媒体に記録する技術である。
【0006】
情報の再生時には、記録時に用いた参照光を記録媒体に照射すると、記録媒体中に記録されているホログラムが回折格子のように作用して回折光を生じる。この回折光が記録した信号光と位相情報を含めて同一の光として再生される。
【0007】
再生された信号光は、CMOSやCCDなどの光検出器を用いて2次元的に高速に検出される。このようにホログラム記録技術は、1つのホログラムによって2次元的な情報を一気に光記録媒体に記録し、さらにこの情報を再生することを可能とするものであり、そして、記録媒体のある場所に複数のページデータを重ね書きすることができるため、大容量かつ高速な情報の記録再生を果たすことができる。
【0008】
ホログラム記録技術として、例えば特開2004−272268号公報(特許文献1)がある。本公報には、信号光束をレンズで光情報記録媒体に集光すると同時に、平行光束の参照光を照射して干渉させてホログラムの記録を行い、さらに参照光の光記録媒体への入射角度を変えながら異なるページデータを空間光変調器に表示して多重記録を行う、いわゆる角度多重記録方式が記載されている。さらに本公報には、信号光をレンズで集光してそのビームウエストに開口(空間フィルタ)を配することにより、隣接するホログラムの間隔を短くすることができ、従来の角度多重記録方式に比べて記録密度/容量を増大させる技術が記載されている。
【0009】
また、ホログラム記録技術として、例えばWO2004−102542号公報(特許文献2)がある。本公報には、1つの空間光変調器において内側の画素からの光を信号光、外側の輪帯状の画素からの光を参照光として、両光束を同じレンズで光記録媒体に集光し、レンズの焦点面付近で信号光と参照光を干渉させてホログラムを記録するシフト多重方式を用いた例が記述されている。
【0010】
以上のようなホログラム記録のためのデータフォーマットとして、例えば「Holographic Data Storage」(非特許文献1)に記載のものがある。本文献には、1ページデータ内のONピクセルとOFFピクセルの数を等しく(以下、DCバランスと記す。)し、高データ転送レートを実現するための方法として、線形帰還シフトレジスタで生成される擬似乱数を利用したデータ変調方式について記述されている。またDCバランスを考慮する理由は、全ページデータで同一のDC(ONピクセル数とOFFピクセル数の比)を持たせ、ホログラム記録時の露光時間の計算を簡素化するためと説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−272268号公報
【特許文献2】WO2004−102542号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Kevin Curtis他「Holographic Data Storage」、WILEY、P.252、2010年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、非特許文献1に記載される従来の線形フィードバックシフトレジスタで生成される擬似乱数を用いた変調方式を用いた場合、ページデータに依ってはDCバランスが取れ無いといった課題があった。
【0014】
本発明の目的は、任意のページデータに対し、より正確にDCバランスが取れる変調方式を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、その一例として、
デジタルデータの列に含まれる0と1の数を等しくするDSV制御を行い、
DSV制御は、デジタルデータ列のDSVを最小とする定数とデジタルデータ列とを排他論理和することで行うことや、
記録時、DSV制御前のデジタルデータ列のDSVが最小値である場合、該デジタルデータ列のDSV制御をスキップし、DSV制御前のデジタルデータ列のDSVが最小値でない場合、デジタルデータ列のDSV制御を実行することや、
再生時、デジタルデータ列からデジタルデータ列のDSVを最小とする定数を検出し、DSV制御に使用された定数が0である場合、デジタルデータ列のDSV制御をスキップし、DSV制御に使用された定数が0でない場合、デジタルデータ列のDSV制御を実行することや、
再生時、上記デジタルデータの列とフィードバックレジスタから生成される擬似乱数列とを排他論理和するスクランブル回路と、
スクランブル回路でスクランブルされたデジタルデータ列のDSVを最小とする定数を算出するサブマイコンと、
スクランブル回路でスクランブルされたデジタルデータ列とサブマイコンで算出された定数とを排他論理和するDSV制御回路を有すること
で解決できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高データ転送レートを実現しつつ、任意のページデータに対して確実にDCバランスを取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】光情報記録再生装置の実施例を表す概略図
【図2】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図3】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図4】光情報記録再生装置の動作フローの実施例を表す概略図
【図5】光情報記録再生装置のデータ記録時の動作フローを表すフロチャート
【図6】光情報記録再生装置のデータ再生時の動作フローを表すフロチャート
【図7】第2スクランブルの最適s2検索アルゴリズムを表すフロチャート
【図8】光情報記録再生装置内の信号生成回路の実施例を表す概略図
【図9】信号生成回路内の第1スクランブル回路の一部の実施例を表す概略図
【図10】信号生成回路内の第1スクランブル回路の一部の実施例を表す概略図
【図11】信号生成回路内の第2スクランブル回路の実施例を表す概略図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。図1はホログラフィを利用してデジタル情報を記録および/または再生する光情報記録媒体の記録再生装置を示すブロック図である。
【0020】
光情報記録再生装置10は、ピックアップ11、位相共役光学系12、ディスクCure光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14、及び回転モータ50を備えており、光情報記録媒体1は回転モータ50によって回転可能な構成となっている。
【0021】
ピックアップ11は、参照光と信号光を光情報記録媒体1に出射してホログラフィを利用してデジタル情報を記録媒体に記録する役割を果たす。この際、パソコン等の外部制御装置91からインターフェース回路90を経由して入力された記録対象となる情報信号は、コントローラ89によって信号生成回路86を介してピックアップ11内の空間光変調器に送り込まれ、信号光は空間光変調器によって変調される。
【0022】
光情報記録媒体1に記録した情報を再生する場合は、ピックアップ11から出射された参照光の位相共役光を位相共役光学系12にて生成する。ここで位相共役光とは、入力光と同一の波面を保ちながら逆方向に進む光波のことである。位相共役光によって再生される再生光をピックアップ11内の後述する光検出器によって検出、信号処理回路85によって信号を再生され、インターフェース回路90を経由して外部制御装置91に出力される。
【0023】
光情報記録媒体1に照射する参照光と信号光の照射時間は、ピックアップ11内のシャッタの開閉時間をコントローラ89によってシャッタ制御回路87を介して制御することで調整できる。
【0024】
ディスクCure光学系13は、光情報記録媒体1のプリキュアおよびポストキュアに用いる光ビームを生成する役割を果たす。プリキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録する際、所望位置に参照光と信号光を照射する前に予め所定の光ビームを照射する前工程である。ポストキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために所定の光ビームを照射する後工程である。
【0025】
ディスク回転角度検出用光学系14は、光情報記録媒体1の回転角度を検出するために用いられる。光情報記録媒体1を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系14によって回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ89によってディスク回転モータ制御回路88を介して光情報記録媒体1の回転角度を制御する事が出来る。
【0026】
光源駆動回路82からは所定の光源駆動電流がピックアップ11、ディスクCure光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0027】
また、ピックアップ11、そして、ディスクCure光学系13は、光情報記録媒体1の半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御がおこなわれる。
【0028】
ところで、ホログラフィの角度多重の原理を利用した記録技術は、参照光角度のずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。
【0029】
従って、ピックアップ11内に、参照光角度のずれ量を検出する機構を設けて、サーボ信号生成回路83にてサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路84を介して該ずれ量を補正するためのサーボ機構を光情報記録再生装置10内に備えることが必要となる。
【0030】
また、ピックアップ11、ディスクCure光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。
【0031】
図2は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における記録原理を示したものである。光源201を出射した光ビームはコリメートレンズ202を透過し、シャッタ203に入射する。シャッタ203が開いている時は、光ビームはシャッタ203を通過した後、例えば2分の1波長板などで構成される光学素子204によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるようになど偏光方向が制御された後、PBS(PolarizatiON Beam Splitter)プリズム205に入射する。
【0032】
PBSプリズム205を透過した光ビームは、信号光206として働き、ビームエキスパンダ208によって光ビーム径が拡大された後、位相マスク209,リレーレンズ210,PBSプリズム211を透過して空間光変調器212に入射する。
【0033】
空間光変調器212によって情報が付加された信号光は、PBSプリズム211を反射し、リレーレンズ213ならびに空間フィルタ214を伝播する。その後、信号光は対物レンズ215によって光情報記録媒体1に集光する。
【0034】
一方、PBSプリズム205を反射した光ビームは参照光207として働き、偏光方向変換素子216によって記録時または再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー217ならびにミラー218を経由してガルバノミラー219に入射する。ガルバノミラー219はアクチュエータ220によって角度を調整可能のため、レンズ221とレンズ222を通過した後に光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を、所望の角度に設定することができる。なお、参照光の入射角度を設定するために、ガルバノミラーに代えて、参照光の波面を変換する素子を用いても構わない。
【0035】
このように信号光と参照光とを光情報記録媒体1において、互いに重ね合うように入射させることで、記録媒体内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また、ガルバノミラー219によって光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能である。
【0036】
以降、同じ領域に参照光角度を変えて記録されたホログラムにおいて、1つ1つの参照光角度に対応したホログラムをページと呼び、同領域に角度多重されたページの集合をブックと呼ぶことにする。
【0037】
図3は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における再生原理を示したものである。記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光を光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ223によって角度調整可能なガルバノミラー224にて反射させることで、その位相共役光を生成する。
【0038】
この位相共役光によって再生された信号光は、対物レンズ215、リレーレンズ213ならびに空間フィルタ214を伝播する。その後、信号光はPBSプリズム211を透過して光検出器225に入射し、記録した信号を再生することができる。
【0039】
図4は、光情報記録再生装置10における記録、再生の動作フローを示したものである。ここでは、特にホログラフィを利用した記録再生に関するフローを説明する。
【0040】
図4(a)は、光情報記録再生装置10に光情報記録媒体1を挿入した後、記録または再生の準備が完了するまでの動作フローを示し、図4(b)は準備完了状態から光情報記録媒体1に情報を記録するまでの動作フロー、図4(c)は準備完了状態から光情報記録媒体1に記録した情報を再生するまでの動作フローを示したものである。
【0041】
図4(a)に示すように媒体を挿入S401すると、光情報記録再生装置10は、例えば挿入された媒体がホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する媒体であるかどうかディスク判別S402を行う。
【0042】
ディスク判別の結果、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する光情報記録媒体であると判断されると、光情報記録再生装置10は光情報記録媒体に設けられたコントロールデータを読み出しS403、例えば光情報記録媒体に関する情報や、例えば記録や再生時における各種設定条件に関する情報を取得する。
【0043】
コントロールデータの読み出し後は、コントロールデータに応じた各種調整やピックアップ11に関わる学習処理S404を行い、光情報記録再生装置10は、記録または再生の準備が完了S405する。
【0044】
準備完了状態から情報を記録するまでの動作フローは図4(b)に示すように、まず記録するデータを受信S406して、該データに応じた情報をピックアップ11内の空間光変調器に送り込む。
【0045】
その後、光情報記録媒体に高品質の情報を記録できるように、必要に応じて各種学習処理S407を事前に行い、シーク動作S408ならびにアドレス再生S409を繰り返しながらピックアップ11ならびにディスクCure光学系13の位置を光情報記録媒体の所定の位置に配置する。
【0046】
その後、ディスクCure光学系13から出射する光ビームを用いて所定の領域をプリキュアS410し、ピックアップ11から出射する参照光と信号光を用いてデータを記録S411する。
【0047】
データを記録した後は、必要に応じてデータをベリファイS412し、ディスクCure光学系13から出射する光ビームを用いてポストキュアS413を行う。
【0048】
準備完了状態から記録された情報を再生するまでの動作フローは図4(c)に示すように、光情報記録媒体から高品質の情報を再生できるように、必要に応じて各種学習処理S414を事前に行う。その後、シーク動作S415ならびにアドレス再生S416を繰り返しながらピックアップ11ならびに位相共役光学系12の位置を光情報記録媒体の所定の位置に配置する。
【0049】
その後、ピックアップ11から参照光を出射し、光情報記録媒体に記録された情報を読み出し、外部制御装置91にデータ送信S417する。
【0050】
次に本実施例における符号化方法について図5、図6を用いて説明する。図5は、図1の信号生成回路86内部における図4(b)のS406の動作フローを示す。また図6は、図1の信号処理回路85内部における図4(c)のS417の動作フローを示している。
【0051】
先ず記録時の詳細動作について述べる。1ページ分のユーザデータを受信S501すると、複数のデータ列に分割、再生時エラー検出が行えるように各データ列をCRC化S502し、DCバランス化と同一パターンの繰り返しを防ぐためデータ列に擬似乱数データ列を加える第1スクランブルS503を施し、再度DCバランス化を図るため特定のデータ列を加える第2スクランブルS504を施した後、リード・ソロモン符号等の誤り訂正符号化S505を行う。誤り訂正に使用する誤り訂正符号は組織符号であり、符号化で得られるパリティデータ列のDCはスクランブル化されたデータ列のDCに類似すること、つまりDCバランスの取れた情報データ列を誤り訂正符号化するとDCバランスが取れた誤り訂正符号に変換されること、が望ましい。次にこのデータ列をM×Nの2次元データに変換し、それをページデータ分繰返し1ページ分の2次元データS506を構成する。このように構成した2次元データに対して再生時に基準となるマーカーを付加S507し、空間光変調器308にデータを転送508する。
【0052】
次に再生時の詳細動作について述べる。まず光検出器318から取得した画像データが信号処理回路85に転送S601される。画像のマーカーを基準に画像位置を検出S602し、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪みを補正S603、この補正画像に対して2値化処理S604を行い、マーカーを除去S605することで2次元データを取得S606する。その後記録時と逆の過程により2次元データを1次元データに変換した後、誤り訂正処理S607を行ってパリティデータ列を取り除く。次に第2スクランブル解除処理S608、第1スクランブル解除処理S609を施し、誤り検出処理S610を行ってCRCパリティを削除した後にユーザデータをインターフェース回路90経由で外部制御装置91に転送S611する。
【0053】
図5の記録データフローで行われる第1スクランブルデータ化S503、第2スクランブルデータ化S504について説明する。本説明では便宜上CRC化された1データ列の長さがユーザデータ4096バイト、CRCパリティ4バイトからなる4104バイトであるとする。また+が表す加算は排他論理和を用いて行われる。
【0054】
式1は第1スクランブルデータ化S503での処理内容を表す。Y(x)の係数を並べたデータ列を第1スクランブルデータ列とする。
Y(x) = C(x) + S1(x)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式1
ただし、
C(x) = c0x4103 + c1x4102 + … + c4102x + c4103・・・・・・・・ 式2
S1(x) = s10x4104 + s11x4103 + … + s14103x + s14104・・・・・ 式3
C(x):CRC化データ列(c0, c1, …, c4103)を係数とした4103次の多項式。
S1(x):線形帰還シフトレジスタが生成する擬似乱数データ列(s10, s11, …, s14104)を係数とした4104次の多項式、s10は線形帰還シフトレジスタの初期値、又は初期値の一部。
【0055】
式4は第2スクランブルデータ化S504での処理内容を表す。Z(x)の係数を並べたデータ列を第2スクランブルデータ列とする。
Z(x) = Y(x) + S2(x)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式4
ただし、
S2(x) = s2x4104 + s2x4103 + … + s2x + s2・・・・・・・・ 式5
S2(x):定数s2を全項の係数とした4104次の多項式。
【0056】
図6の再生データフローで行われる第1スクランブル解除S609、第2スクランブル解除S608について説明する。
【0057】
式6は第2スクランブルデータ解除S608での処理内容を表す。図6の処理フローが示すように本処理は誤り訂正後に行われる。そのため、スクランブル解除するデータにはエラーは含まれず、式4の第2スクランブルデータ列を係数とするZ(x)に一致する。
Y(X) = Z(x) + S2(x)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式6
【0058】
ただし、
S2(x):第2スクランブルデータ化で使用した定数s2を全項の係数とした4104次の多項式。またs2はZ(x)の4104次の項の係数z0とS1(x)の4104次の項の係数s10から式7で求められる。
s2 = z0 + s10・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式7
【0059】
式8は第1スクランブルデータ解除S609での処理内容を表す。
C(X) = Y(x) + S1(x)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式8
【0060】
ただし、
S1(x):第1スクランブルデータ化で使用した線形帰還シフトレジスタから生成される擬似乱数データ列(s10, s11, …, s14104)を係数とした4104次の多項式。
【0061】
ここで第1スクランブルデータ化S503の初期値と第2スクランブルデータ化S504の定数s2の詳細について説明する。
【0062】
第1スクランブルデータ化S503の目的は、DCバランス化と同一パターンの繰り返しの防止である。同一パターンの繰り返しはページ内だけでなく、クロストークの影響が大きい同ブックの前後ページや隣接ブックの同一角で記録されるページ、で防げることが望ましい。第1スクランブルデータ化の初期値は、1ページ内の各データ列で異なり、隣接ブックの同一角で記録されるページや同ブックの前後ページの同一箇所に記録されるデータ列で使用される初期値とも異ならせたい。そのため、初期値はデータ列単位で割り当てられたアドレスや、ブック番号、ページ番号とデータ列番号の組み合わせ、等を利用して決定又は生成する。
【0063】
第2スクランブルデータ化S504の目的は、第1スクランブルデータ化S503同様のDCバランス化である。ただし第1スクランブルデータ化S503のDCバランスは、初期値と線形帰還シフトレジスタで決定される擬似乱数データ列を、対象とするCRC化データ列に加えることで行われるため、確率24105*8で起こり得るCRC化データ列と擬似乱数データ列とが同一であったとき等、DCバランス化が図れない場合がある。そこで第2スクランブルデータ化S504は第1スクランブルデータ列のDCを確認し、必要に応じて実施する。この第2スクランブルデータ化S504では8ビットのバイトデータを並べて構成される第1スクランブルデータ列の8つのビット列のDCをそれぞれ計算し、DCが0に近づくようにビット列の極性を反転することで行われる。ビット列の極性反転は、極性反転するビット列をs2に設定することで実現できる。以下に例を示す。
【0064】
ONピクセルに相当する1を+1とし、OFFピクセルに相当する0を−1として数え、第1スクランブルデータ列のDCが+100、ビット7のビット列のDCが+50、ビット6のビット列のDCが+20、ビット5からビット1のビット列のDCが0、ビット0のビット列のDCが+30である場合、ビット7のビット列を極性反転し、ビット7のDCを−50することで、第2スクランブルデータ列のDCを0とすることする。このときのs2値は80h(1000_0000b)となる。またビット6とビット0のビット列を極性反転し、ビット6とビット0のビット列のDCをそれぞれ−20、−30することでも、第2スクランブルデータ列のDCを0とすることができる。このときのs2値は41h(0100_0001b)である。
【0065】
尚、本実施例では第2スクランブルデータ化S504を8ビットの定数s2を用いて行っているが、本ビット数は4ビット、16ビットや32ビットでも構わない。
【0066】
図8に図5の信号生成フローの信号処理を実現する回路構成を示す。インターフェース回路90にユーザデータの入力が開始されると、インターフェース回路90はコントローラ89にデータ入力が開始されたことを通知する。コントローラ89は本通知を受け、信号生成回路86にインターフェース回路から入力される1ページ分のデータを処理するよう命ずる。コントローラ89からの処理命令は制御用ライン809を経由し、信号生成回路86内サブコントローラ801に通知される。本通知を受け、サブコントローラ801は各信号処理回路を並列に動作させるよう制御用ライン801を介して各信号処理回路の制御を行う。先ず、メモリ制御回路803に、データライン810を介してインターフェース回路90から入力されるユーザデータをメモリ802に格納するよう制御する。メモリ802に格納されたデータがある一定量に達すると、CRC演算回路804でメモリ802に格納されたデータをCRC化する制御を行う。次にメモリ802に格納されたCRC化されたデータを、第1スクランブル回路805で擬似乱数データ列を加えるスクランブル化が実施され、第1スクランブルでのDC調整結果を考慮し、第2スクランブル回路806で定数を加えるスクランブル化が行われ、本スクランブル化と同時に誤り訂正符号化回路807においてパリティを付加する誤り訂正符号化処理が行われる。メモリ802に格納された誤り訂正符号化されたデータは、空間光変調器308上の2次元データの並びでピックアップインターフェース回路808に読み出され、再生時に基準となるマーカーを付加された後、ピックアップ11に転送される。
【0067】
図9と図10に第1スクランブル回路805の構成の一例を示す。図9が示すように第1スクランブル回路805は排他論理和901とr0からr15のシフトレジスタ903からなる、タップを15、14、12と3番目とするフィボナッチ線形帰還シフトレジスタで構成されているシフトレジスタ903は“r0からr14”が“r1からr15”の入力、r15、r14、r12とr3の排他論理和がr0の入力になっている。本線形帰還シフトレジスタは0001hからFFFFhの範囲の値を216−1ステップで巡回し、s7からs0の擬似乱数を生成する。本シフトレジスタの初期値には第1スクランブルの対象となるCRC化データ列に割り当てられたアドレスのLSB15ビット(a15,a14,...,a0)と定数1bを用いる。r15の初期値に定数1bを割り当てる理由は、シフトレジスタ903に0000hが設定されることを防ぐためである。また1ステップ毎に本フィボナッチ線形帰還シフトレジスタのr7からr0から8ビットの擬似乱数データが出力され、内r7、r5、r3とr1からの出力値は否定(インバータ)902で極性反転し出力される。本極性反転の理由は、シフトレジスタ903の値に0又は1が多く含まれる場合、本フィボナッチ線形帰還シフトレジスタの性質上、0又は1を多く含む擬似乱数データが連続して出力されることを防ぐためである。図10は8ビットのCRC化データ(d7からd0)にフィボナッチ線形帰還シフトレジスタから出力された8ビットの擬似乱数データ(s7からs0)を排他論理和901で重畳し、第2スクランブルデータ化s504で必要となる第1スクランブル化データ列の各ビット列のDSVを計算するために、DSV演算回路1001〜1008に入力した後、8ビットの第1スクランブル化データ(sd7からsd0)として出力することを示している。DSV演算回路1001〜1008内では、第1スクランブル化データ列の入力開始時にDSVカウンタは初期値0が設定され、その後、入力される第1スクランブル化データ(sd7〜sd0)の対象となるビット値が0の場合、内部で保持されるDSVカウンタを−1するデンクリメント処理を行い、1の場合、DSVカウンタを+1するインクリメント処理が行われる。本説明で用いた例では第1スクランブル化データ列長は4105バイトであるため、各DSV演算回路のDSVカウンタは−4105から4105の値を保証する14ビット以上で構成される。本DSV演算回路1001〜1008内で求められたカウンタ値は第1スクランブル化データ列の各ビット列のDSVとしてサブコントローラ801(マイコン)に引き渡される。
【0068】
本説明ではs2算出処理はサブコントローラ801を用いて行うと説明したが、別回路を設けてs2算出処理を行っても構わない。
【0069】
図7は第2スクランブル回路806内で、第1回スクランブル回路805で求めた各ビット列のDSVを使い、DCバランス化のために重畳する定数s2をサブコントローラ801で求める方法を示したフロチャートである。
【0070】
本フロチャート内で使用するパラメータは、s2の他にカウンタ、保管DSV、計算DSVの4種類があり、カウンタはs2と同じビット数で構成、つまり本説明では8ビットで構成され、保管DSVは0から(第1スクランブル化データ列の長さ×データのビット数)/2+1の数を保持できるビット数、本説明では0から4105×8/2+1の数が取り扱える15ビットで構成され、計算DSVは(第1スクランブル化データ列の長さ×データのビット数×極性数)が計算できるビット数、本説明では−4105×8から4105×8の数が取り扱える17ビットで構成される。
【0071】
s2の計算は、初期化処理としてs2のビット数と同じ8ビットのカウンタをリセットS701、s2値をリセットし、第1スクランブル化データ列の各ビット列のDSVを足し合わせたDSVの絶対値を初期DSVとして保管S702する。次に保管されたDSVの値が0か否かを確認S703し、0であった場合、その時点のs2値がDSVを0とする値として本処理を終了する。0でなかった場合はカウンタを+1するインクリメントS704を行い、本カウンタ値をs2として用いた場合のDSVを計算S705、計算して求められたDSVの絶対値と保管されているDSVの大きさを比較S706する。比較した結果、計算されたDSVが保管DSVよりも小さかった場合、カウンタ値をs2として、計算されたDSVの絶対値を新たにDSVとして保管する。それ以外の場合にはs2、保管DSV共に更新されずそのまま保持される。最後にカウンタ値を確認S708し、本カウンタ値が最終値である255である場合には、00h(0000_0000b)からFFh(1111_1111b)の全s2のDSV値を確認し終えたため、その時点のs2値がDSVを最小とする値として本処理を終了する。それ以外の場合、再度保管されたDSVの値が0か否かを確認S703するところから処理を繰り返す。
【0072】
このようにサブコントローラ801で求められたDSVを最小とするs2は、第2スクランブル回路806に通知され、図11の第2スクランブル回路で式4の演算に相当する処理が行われる。第2スクランブル回路はs2を保持する8個のレジスタ1101と排他論理和901で構成される。sd0からsd7から入力される第1スクランブル化データ列は逐次s2値と排他論理和され、結果、本第2スクランブル回路からmd0からmd7として期待されたDSVを持つ第2スクランブル化データ列が出力される。
【0073】
またサブコントローラ801で求められたDSVを最小とするs2が初期値の00h(0000_0000b)であった場合、第2スクランブルデータ化s504で得られる第2スクランブル化データ列は第1スクランブル化データ列と同じであるため、サブコントローラ801は第2スクランブル回路806での第2スクランブル化s504処理をスキップすることができる。
【0074】
本説明では第1スクランブル処理や第2スクランブル処理を8ビット単位で行ったが、16ビット、32ビットや64ビット単位で行っても構わない。またデータ列長を4105バイトとしたが、2キロバイト、8キロバイト程度であっても構わない。
【0075】
なお、本実施例ではDSV値が0を目標とし説明してきたが、目標のDSV値からの差分が小さければ良く、目標のDSV値については、0に限られない。また、本実施例では、角度多重方式を例に示したが、その他の多重方式(例えばシフト多重方式)にも応用できる。
【符号の説明】
【0076】
1・・・光情報記録媒体、10・・・光情報記録再生装置、11・・・ピックアップ、
12・・・位相共役光学系、13・・・ディスクCure光学系、
14・・・ディスク回転角度検出用光学系、50・・・回転モータ、
81・・・アクセス制御回路、82・・・光源駆動回路、83・・・サーボ信号生成回路、
84・・・サーボ制御回路、85・・・信号処理回路、86・・・信号生成回路、
87・・・シャッタ制御回路、88・・・ディスク回転モータ制御回路、
89・・・コントローラ、90・・・インターフェース回路、91・・・外部制御回路、
201・・・光源、202・・・コリメートレンズ、203・・・シャッタ、
204・・・1/2波長板、205・・・偏光ビームスプリッタ、
206・・・信号光、207・・・参照光、
208・・・ビームエキスパンダ、209・・フェーズ(位相)マスク、
210・・・リレーレンズ、211・・・偏光ビームスプリッタ、
212・・・空間光変調器、213・・・リレーレンズ、214・・・空間フィルタ、
215・・・対物レンズ、216・・・偏光方向変換素子、217・・・ミラー、
218・・・ミラー、219・・・ミラー、220・・・アクチュエータ、
221・・・レンズ、222・・・レンズ、223・・・アクチュエータ、
224・・・ミラー、225・・・光検出器、
801・・・サブコントローラ、802・・・メモリ、803・・・メモリ制御回路、
804・・・CRC演算回路、805・・・第1スクランブル回路、
806・・・第2スクランブル回路、807・・・誤り訂正符号化回路、
808・・・ピックアップインターフェース回路、809・・・制御用ライン、
810・・・データライン
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルデータを記録媒体に記録、又は記録媒体から再生する方法、特にホログラフィを用いて記録媒体に記録、記録媒体から再生する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、青紫色半導体レーザを用いた、Blu−ray Disc(BD)規格により、民生用においても50GB程度の記録密度を持つ光ディスクの商品化が可能となってきた。今後は、光ディスクでも100GB〜1TBというHDD(Hard Disc Drive)容量と同程度まで大容量化が望まれる。
【0003】
しかしながら、このような超高密度を光ディスクで実現するためには、短波長化と対物レンズ高NA化による高密度化技術とは異なる新しい方式による高密度化技術が必要である。
【0004】
次世代のストレージ技術に関する研究が行われる中、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録するホログラム記録技術が注目を集めている。
【0005】
ホログラム記録技術とは、空間光変調器により2次元的に変調されたページデータの情報を有する信号光を、記録媒体の内部で参照光と重ね合わせ、その時に生じる干渉縞パターンによって記録媒体内に屈折率変調を生じさせることで情報を記録媒体に記録する技術である。
【0006】
情報の再生時には、記録時に用いた参照光を記録媒体に照射すると、記録媒体中に記録されているホログラムが回折格子のように作用して回折光を生じる。この回折光が記録した信号光と位相情報を含めて同一の光として再生される。
【0007】
再生された信号光は、CMOSやCCDなどの光検出器を用いて2次元的に高速に検出される。このようにホログラム記録技術は、1つのホログラムによって2次元的な情報を一気に光記録媒体に記録し、さらにこの情報を再生することを可能とするものであり、そして、記録媒体のある場所に複数のページデータを重ね書きすることができるため、大容量かつ高速な情報の記録再生を果たすことができる。
【0008】
ホログラム記録技術として、例えば特開2004−272268号公報(特許文献1)がある。本公報には、信号光束をレンズで光情報記録媒体に集光すると同時に、平行光束の参照光を照射して干渉させてホログラムの記録を行い、さらに参照光の光記録媒体への入射角度を変えながら異なるページデータを空間光変調器に表示して多重記録を行う、いわゆる角度多重記録方式が記載されている。さらに本公報には、信号光をレンズで集光してそのビームウエストに開口(空間フィルタ)を配することにより、隣接するホログラムの間隔を短くすることができ、従来の角度多重記録方式に比べて記録密度/容量を増大させる技術が記載されている。
【0009】
また、ホログラム記録技術として、例えばWO2004−102542号公報(特許文献2)がある。本公報には、1つの空間光変調器において内側の画素からの光を信号光、外側の輪帯状の画素からの光を参照光として、両光束を同じレンズで光記録媒体に集光し、レンズの焦点面付近で信号光と参照光を干渉させてホログラムを記録するシフト多重方式を用いた例が記述されている。
【0010】
以上のようなホログラム記録のためのデータフォーマットとして、例えば「Holographic Data Storage」(非特許文献1)に記載のものがある。本文献には、1ページデータ内のONピクセルとOFFピクセルの数を等しく(以下、DCバランスと記す。)し、高データ転送レートを実現するための方法として、線形帰還シフトレジスタで生成される擬似乱数を利用したデータ変調方式について記述されている。またDCバランスを考慮する理由は、全ページデータで同一のDC(ONピクセル数とOFFピクセル数の比)を持たせ、ホログラム記録時の露光時間の計算を簡素化するためと説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−272268号公報
【特許文献2】WO2004−102542号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Kevin Curtis他「Holographic Data Storage」、WILEY、P.252、2010年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、非特許文献1に記載される従来の線形フィードバックシフトレジスタで生成される擬似乱数を用いた変調方式を用いた場合、ページデータに依ってはDCバランスが取れ無いといった課題があった。
【0014】
本発明の目的は、任意のページデータに対し、より正確にDCバランスが取れる変調方式を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の目的は、その一例として、
デジタルデータの列に含まれる0と1の数を等しくするDSV制御を行い、
DSV制御は、デジタルデータ列のDSVを最小とする定数とデジタルデータ列とを排他論理和することで行うことや、
記録時、DSV制御前のデジタルデータ列のDSVが最小値である場合、該デジタルデータ列のDSV制御をスキップし、DSV制御前のデジタルデータ列のDSVが最小値でない場合、デジタルデータ列のDSV制御を実行することや、
再生時、デジタルデータ列からデジタルデータ列のDSVを最小とする定数を検出し、DSV制御に使用された定数が0である場合、デジタルデータ列のDSV制御をスキップし、DSV制御に使用された定数が0でない場合、デジタルデータ列のDSV制御を実行することや、
再生時、上記デジタルデータの列とフィードバックレジスタから生成される擬似乱数列とを排他論理和するスクランブル回路と、
スクランブル回路でスクランブルされたデジタルデータ列のDSVを最小とする定数を算出するサブマイコンと、
スクランブル回路でスクランブルされたデジタルデータ列とサブマイコンで算出された定数とを排他論理和するDSV制御回路を有すること
で解決できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高データ転送レートを実現しつつ、任意のページデータに対して確実にDCバランスを取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】光情報記録再生装置の実施例を表す概略図
【図2】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図3】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図4】光情報記録再生装置の動作フローの実施例を表す概略図
【図5】光情報記録再生装置のデータ記録時の動作フローを表すフロチャート
【図6】光情報記録再生装置のデータ再生時の動作フローを表すフロチャート
【図7】第2スクランブルの最適s2検索アルゴリズムを表すフロチャート
【図8】光情報記録再生装置内の信号生成回路の実施例を表す概略図
【図9】信号生成回路内の第1スクランブル回路の一部の実施例を表す概略図
【図10】信号生成回路内の第1スクランブル回路の一部の実施例を表す概略図
【図11】信号生成回路内の第2スクランブル回路の実施例を表す概略図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0019】
本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。図1はホログラフィを利用してデジタル情報を記録および/または再生する光情報記録媒体の記録再生装置を示すブロック図である。
【0020】
光情報記録再生装置10は、ピックアップ11、位相共役光学系12、ディスクCure光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14、及び回転モータ50を備えており、光情報記録媒体1は回転モータ50によって回転可能な構成となっている。
【0021】
ピックアップ11は、参照光と信号光を光情報記録媒体1に出射してホログラフィを利用してデジタル情報を記録媒体に記録する役割を果たす。この際、パソコン等の外部制御装置91からインターフェース回路90を経由して入力された記録対象となる情報信号は、コントローラ89によって信号生成回路86を介してピックアップ11内の空間光変調器に送り込まれ、信号光は空間光変調器によって変調される。
【0022】
光情報記録媒体1に記録した情報を再生する場合は、ピックアップ11から出射された参照光の位相共役光を位相共役光学系12にて生成する。ここで位相共役光とは、入力光と同一の波面を保ちながら逆方向に進む光波のことである。位相共役光によって再生される再生光をピックアップ11内の後述する光検出器によって検出、信号処理回路85によって信号を再生され、インターフェース回路90を経由して外部制御装置91に出力される。
【0023】
光情報記録媒体1に照射する参照光と信号光の照射時間は、ピックアップ11内のシャッタの開閉時間をコントローラ89によってシャッタ制御回路87を介して制御することで調整できる。
【0024】
ディスクCure光学系13は、光情報記録媒体1のプリキュアおよびポストキュアに用いる光ビームを生成する役割を果たす。プリキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録する際、所望位置に参照光と信号光を照射する前に予め所定の光ビームを照射する前工程である。ポストキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために所定の光ビームを照射する後工程である。
【0025】
ディスク回転角度検出用光学系14は、光情報記録媒体1の回転角度を検出するために用いられる。光情報記録媒体1を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系14によって回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ89によってディスク回転モータ制御回路88を介して光情報記録媒体1の回転角度を制御する事が出来る。
【0026】
光源駆動回路82からは所定の光源駆動電流がピックアップ11、ディスクCure光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0027】
また、ピックアップ11、そして、ディスクCure光学系13は、光情報記録媒体1の半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御がおこなわれる。
【0028】
ところで、ホログラフィの角度多重の原理を利用した記録技術は、参照光角度のずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。
【0029】
従って、ピックアップ11内に、参照光角度のずれ量を検出する機構を設けて、サーボ信号生成回路83にてサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路84を介して該ずれ量を補正するためのサーボ機構を光情報記録再生装置10内に備えることが必要となる。
【0030】
また、ピックアップ11、ディスクCure光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。
【0031】
図2は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における記録原理を示したものである。光源201を出射した光ビームはコリメートレンズ202を透過し、シャッタ203に入射する。シャッタ203が開いている時は、光ビームはシャッタ203を通過した後、例えば2分の1波長板などで構成される光学素子204によってp偏光とs偏光の光量比が所望の比になるようになど偏光方向が制御された後、PBS(PolarizatiON Beam Splitter)プリズム205に入射する。
【0032】
PBSプリズム205を透過した光ビームは、信号光206として働き、ビームエキスパンダ208によって光ビーム径が拡大された後、位相マスク209,リレーレンズ210,PBSプリズム211を透過して空間光変調器212に入射する。
【0033】
空間光変調器212によって情報が付加された信号光は、PBSプリズム211を反射し、リレーレンズ213ならびに空間フィルタ214を伝播する。その後、信号光は対物レンズ215によって光情報記録媒体1に集光する。
【0034】
一方、PBSプリズム205を反射した光ビームは参照光207として働き、偏光方向変換素子216によって記録時または再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー217ならびにミラー218を経由してガルバノミラー219に入射する。ガルバノミラー219はアクチュエータ220によって角度を調整可能のため、レンズ221とレンズ222を通過した後に光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を、所望の角度に設定することができる。なお、参照光の入射角度を設定するために、ガルバノミラーに代えて、参照光の波面を変換する素子を用いても構わない。
【0035】
このように信号光と参照光とを光情報記録媒体1において、互いに重ね合うように入射させることで、記録媒体内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また、ガルバノミラー219によって光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能である。
【0036】
以降、同じ領域に参照光角度を変えて記録されたホログラムにおいて、1つ1つの参照光角度に対応したホログラムをページと呼び、同領域に角度多重されたページの集合をブックと呼ぶことにする。
【0037】
図3は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の基本的な光学系構成の一例における再生原理を示したものである。記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光を光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、アクチュエータ223によって角度調整可能なガルバノミラー224にて反射させることで、その位相共役光を生成する。
【0038】
この位相共役光によって再生された信号光は、対物レンズ215、リレーレンズ213ならびに空間フィルタ214を伝播する。その後、信号光はPBSプリズム211を透過して光検出器225に入射し、記録した信号を再生することができる。
【0039】
図4は、光情報記録再生装置10における記録、再生の動作フローを示したものである。ここでは、特にホログラフィを利用した記録再生に関するフローを説明する。
【0040】
図4(a)は、光情報記録再生装置10に光情報記録媒体1を挿入した後、記録または再生の準備が完了するまでの動作フローを示し、図4(b)は準備完了状態から光情報記録媒体1に情報を記録するまでの動作フロー、図4(c)は準備完了状態から光情報記録媒体1に記録した情報を再生するまでの動作フローを示したものである。
【0041】
図4(a)に示すように媒体を挿入S401すると、光情報記録再生装置10は、例えば挿入された媒体がホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する媒体であるかどうかディスク判別S402を行う。
【0042】
ディスク判別の結果、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する光情報記録媒体であると判断されると、光情報記録再生装置10は光情報記録媒体に設けられたコントロールデータを読み出しS403、例えば光情報記録媒体に関する情報や、例えば記録や再生時における各種設定条件に関する情報を取得する。
【0043】
コントロールデータの読み出し後は、コントロールデータに応じた各種調整やピックアップ11に関わる学習処理S404を行い、光情報記録再生装置10は、記録または再生の準備が完了S405する。
【0044】
準備完了状態から情報を記録するまでの動作フローは図4(b)に示すように、まず記録するデータを受信S406して、該データに応じた情報をピックアップ11内の空間光変調器に送り込む。
【0045】
その後、光情報記録媒体に高品質の情報を記録できるように、必要に応じて各種学習処理S407を事前に行い、シーク動作S408ならびにアドレス再生S409を繰り返しながらピックアップ11ならびにディスクCure光学系13の位置を光情報記録媒体の所定の位置に配置する。
【0046】
その後、ディスクCure光学系13から出射する光ビームを用いて所定の領域をプリキュアS410し、ピックアップ11から出射する参照光と信号光を用いてデータを記録S411する。
【0047】
データを記録した後は、必要に応じてデータをベリファイS412し、ディスクCure光学系13から出射する光ビームを用いてポストキュアS413を行う。
【0048】
準備完了状態から記録された情報を再生するまでの動作フローは図4(c)に示すように、光情報記録媒体から高品質の情報を再生できるように、必要に応じて各種学習処理S414を事前に行う。その後、シーク動作S415ならびにアドレス再生S416を繰り返しながらピックアップ11ならびに位相共役光学系12の位置を光情報記録媒体の所定の位置に配置する。
【0049】
その後、ピックアップ11から参照光を出射し、光情報記録媒体に記録された情報を読み出し、外部制御装置91にデータ送信S417する。
【0050】
次に本実施例における符号化方法について図5、図6を用いて説明する。図5は、図1の信号生成回路86内部における図4(b)のS406の動作フローを示す。また図6は、図1の信号処理回路85内部における図4(c)のS417の動作フローを示している。
【0051】
先ず記録時の詳細動作について述べる。1ページ分のユーザデータを受信S501すると、複数のデータ列に分割、再生時エラー検出が行えるように各データ列をCRC化S502し、DCバランス化と同一パターンの繰り返しを防ぐためデータ列に擬似乱数データ列を加える第1スクランブルS503を施し、再度DCバランス化を図るため特定のデータ列を加える第2スクランブルS504を施した後、リード・ソロモン符号等の誤り訂正符号化S505を行う。誤り訂正に使用する誤り訂正符号は組織符号であり、符号化で得られるパリティデータ列のDCはスクランブル化されたデータ列のDCに類似すること、つまりDCバランスの取れた情報データ列を誤り訂正符号化するとDCバランスが取れた誤り訂正符号に変換されること、が望ましい。次にこのデータ列をM×Nの2次元データに変換し、それをページデータ分繰返し1ページ分の2次元データS506を構成する。このように構成した2次元データに対して再生時に基準となるマーカーを付加S507し、空間光変調器308にデータを転送508する。
【0052】
次に再生時の詳細動作について述べる。まず光検出器318から取得した画像データが信号処理回路85に転送S601される。画像のマーカーを基準に画像位置を検出S602し、画像の傾き・倍率・ディストーションなどの歪みを補正S603、この補正画像に対して2値化処理S604を行い、マーカーを除去S605することで2次元データを取得S606する。その後記録時と逆の過程により2次元データを1次元データに変換した後、誤り訂正処理S607を行ってパリティデータ列を取り除く。次に第2スクランブル解除処理S608、第1スクランブル解除処理S609を施し、誤り検出処理S610を行ってCRCパリティを削除した後にユーザデータをインターフェース回路90経由で外部制御装置91に転送S611する。
【0053】
図5の記録データフローで行われる第1スクランブルデータ化S503、第2スクランブルデータ化S504について説明する。本説明では便宜上CRC化された1データ列の長さがユーザデータ4096バイト、CRCパリティ4バイトからなる4104バイトであるとする。また+が表す加算は排他論理和を用いて行われる。
【0054】
式1は第1スクランブルデータ化S503での処理内容を表す。Y(x)の係数を並べたデータ列を第1スクランブルデータ列とする。
Y(x) = C(x) + S1(x)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式1
ただし、
C(x) = c0x4103 + c1x4102 + … + c4102x + c4103・・・・・・・・ 式2
S1(x) = s10x4104 + s11x4103 + … + s14103x + s14104・・・・・ 式3
C(x):CRC化データ列(c0, c1, …, c4103)を係数とした4103次の多項式。
S1(x):線形帰還シフトレジスタが生成する擬似乱数データ列(s10, s11, …, s14104)を係数とした4104次の多項式、s10は線形帰還シフトレジスタの初期値、又は初期値の一部。
【0055】
式4は第2スクランブルデータ化S504での処理内容を表す。Z(x)の係数を並べたデータ列を第2スクランブルデータ列とする。
Z(x) = Y(x) + S2(x)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式4
ただし、
S2(x) = s2x4104 + s2x4103 + … + s2x + s2・・・・・・・・ 式5
S2(x):定数s2を全項の係数とした4104次の多項式。
【0056】
図6の再生データフローで行われる第1スクランブル解除S609、第2スクランブル解除S608について説明する。
【0057】
式6は第2スクランブルデータ解除S608での処理内容を表す。図6の処理フローが示すように本処理は誤り訂正後に行われる。そのため、スクランブル解除するデータにはエラーは含まれず、式4の第2スクランブルデータ列を係数とするZ(x)に一致する。
Y(X) = Z(x) + S2(x)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式6
【0058】
ただし、
S2(x):第2スクランブルデータ化で使用した定数s2を全項の係数とした4104次の多項式。またs2はZ(x)の4104次の項の係数z0とS1(x)の4104次の項の係数s10から式7で求められる。
s2 = z0 + s10・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式7
【0059】
式8は第1スクランブルデータ解除S609での処理内容を表す。
C(X) = Y(x) + S1(x)・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 式8
【0060】
ただし、
S1(x):第1スクランブルデータ化で使用した線形帰還シフトレジスタから生成される擬似乱数データ列(s10, s11, …, s14104)を係数とした4104次の多項式。
【0061】
ここで第1スクランブルデータ化S503の初期値と第2スクランブルデータ化S504の定数s2の詳細について説明する。
【0062】
第1スクランブルデータ化S503の目的は、DCバランス化と同一パターンの繰り返しの防止である。同一パターンの繰り返しはページ内だけでなく、クロストークの影響が大きい同ブックの前後ページや隣接ブックの同一角で記録されるページ、で防げることが望ましい。第1スクランブルデータ化の初期値は、1ページ内の各データ列で異なり、隣接ブックの同一角で記録されるページや同ブックの前後ページの同一箇所に記録されるデータ列で使用される初期値とも異ならせたい。そのため、初期値はデータ列単位で割り当てられたアドレスや、ブック番号、ページ番号とデータ列番号の組み合わせ、等を利用して決定又は生成する。
【0063】
第2スクランブルデータ化S504の目的は、第1スクランブルデータ化S503同様のDCバランス化である。ただし第1スクランブルデータ化S503のDCバランスは、初期値と線形帰還シフトレジスタで決定される擬似乱数データ列を、対象とするCRC化データ列に加えることで行われるため、確率24105*8で起こり得るCRC化データ列と擬似乱数データ列とが同一であったとき等、DCバランス化が図れない場合がある。そこで第2スクランブルデータ化S504は第1スクランブルデータ列のDCを確認し、必要に応じて実施する。この第2スクランブルデータ化S504では8ビットのバイトデータを並べて構成される第1スクランブルデータ列の8つのビット列のDCをそれぞれ計算し、DCが0に近づくようにビット列の極性を反転することで行われる。ビット列の極性反転は、極性反転するビット列をs2に設定することで実現できる。以下に例を示す。
【0064】
ONピクセルに相当する1を+1とし、OFFピクセルに相当する0を−1として数え、第1スクランブルデータ列のDCが+100、ビット7のビット列のDCが+50、ビット6のビット列のDCが+20、ビット5からビット1のビット列のDCが0、ビット0のビット列のDCが+30である場合、ビット7のビット列を極性反転し、ビット7のDCを−50することで、第2スクランブルデータ列のDCを0とすることする。このときのs2値は80h(1000_0000b)となる。またビット6とビット0のビット列を極性反転し、ビット6とビット0のビット列のDCをそれぞれ−20、−30することでも、第2スクランブルデータ列のDCを0とすることができる。このときのs2値は41h(0100_0001b)である。
【0065】
尚、本実施例では第2スクランブルデータ化S504を8ビットの定数s2を用いて行っているが、本ビット数は4ビット、16ビットや32ビットでも構わない。
【0066】
図8に図5の信号生成フローの信号処理を実現する回路構成を示す。インターフェース回路90にユーザデータの入力が開始されると、インターフェース回路90はコントローラ89にデータ入力が開始されたことを通知する。コントローラ89は本通知を受け、信号生成回路86にインターフェース回路から入力される1ページ分のデータを処理するよう命ずる。コントローラ89からの処理命令は制御用ライン809を経由し、信号生成回路86内サブコントローラ801に通知される。本通知を受け、サブコントローラ801は各信号処理回路を並列に動作させるよう制御用ライン801を介して各信号処理回路の制御を行う。先ず、メモリ制御回路803に、データライン810を介してインターフェース回路90から入力されるユーザデータをメモリ802に格納するよう制御する。メモリ802に格納されたデータがある一定量に達すると、CRC演算回路804でメモリ802に格納されたデータをCRC化する制御を行う。次にメモリ802に格納されたCRC化されたデータを、第1スクランブル回路805で擬似乱数データ列を加えるスクランブル化が実施され、第1スクランブルでのDC調整結果を考慮し、第2スクランブル回路806で定数を加えるスクランブル化が行われ、本スクランブル化と同時に誤り訂正符号化回路807においてパリティを付加する誤り訂正符号化処理が行われる。メモリ802に格納された誤り訂正符号化されたデータは、空間光変調器308上の2次元データの並びでピックアップインターフェース回路808に読み出され、再生時に基準となるマーカーを付加された後、ピックアップ11に転送される。
【0067】
図9と図10に第1スクランブル回路805の構成の一例を示す。図9が示すように第1スクランブル回路805は排他論理和901とr0からr15のシフトレジスタ903からなる、タップを15、14、12と3番目とするフィボナッチ線形帰還シフトレジスタで構成されているシフトレジスタ903は“r0からr14”が“r1からr15”の入力、r15、r14、r12とr3の排他論理和がr0の入力になっている。本線形帰還シフトレジスタは0001hからFFFFhの範囲の値を216−1ステップで巡回し、s7からs0の擬似乱数を生成する。本シフトレジスタの初期値には第1スクランブルの対象となるCRC化データ列に割り当てられたアドレスのLSB15ビット(a15,a14,...,a0)と定数1bを用いる。r15の初期値に定数1bを割り当てる理由は、シフトレジスタ903に0000hが設定されることを防ぐためである。また1ステップ毎に本フィボナッチ線形帰還シフトレジスタのr7からr0から8ビットの擬似乱数データが出力され、内r7、r5、r3とr1からの出力値は否定(インバータ)902で極性反転し出力される。本極性反転の理由は、シフトレジスタ903の値に0又は1が多く含まれる場合、本フィボナッチ線形帰還シフトレジスタの性質上、0又は1を多く含む擬似乱数データが連続して出力されることを防ぐためである。図10は8ビットのCRC化データ(d7からd0)にフィボナッチ線形帰還シフトレジスタから出力された8ビットの擬似乱数データ(s7からs0)を排他論理和901で重畳し、第2スクランブルデータ化s504で必要となる第1スクランブル化データ列の各ビット列のDSVを計算するために、DSV演算回路1001〜1008に入力した後、8ビットの第1スクランブル化データ(sd7からsd0)として出力することを示している。DSV演算回路1001〜1008内では、第1スクランブル化データ列の入力開始時にDSVカウンタは初期値0が設定され、その後、入力される第1スクランブル化データ(sd7〜sd0)の対象となるビット値が0の場合、内部で保持されるDSVカウンタを−1するデンクリメント処理を行い、1の場合、DSVカウンタを+1するインクリメント処理が行われる。本説明で用いた例では第1スクランブル化データ列長は4105バイトであるため、各DSV演算回路のDSVカウンタは−4105から4105の値を保証する14ビット以上で構成される。本DSV演算回路1001〜1008内で求められたカウンタ値は第1スクランブル化データ列の各ビット列のDSVとしてサブコントローラ801(マイコン)に引き渡される。
【0068】
本説明ではs2算出処理はサブコントローラ801を用いて行うと説明したが、別回路を設けてs2算出処理を行っても構わない。
【0069】
図7は第2スクランブル回路806内で、第1回スクランブル回路805で求めた各ビット列のDSVを使い、DCバランス化のために重畳する定数s2をサブコントローラ801で求める方法を示したフロチャートである。
【0070】
本フロチャート内で使用するパラメータは、s2の他にカウンタ、保管DSV、計算DSVの4種類があり、カウンタはs2と同じビット数で構成、つまり本説明では8ビットで構成され、保管DSVは0から(第1スクランブル化データ列の長さ×データのビット数)/2+1の数を保持できるビット数、本説明では0から4105×8/2+1の数が取り扱える15ビットで構成され、計算DSVは(第1スクランブル化データ列の長さ×データのビット数×極性数)が計算できるビット数、本説明では−4105×8から4105×8の数が取り扱える17ビットで構成される。
【0071】
s2の計算は、初期化処理としてs2のビット数と同じ8ビットのカウンタをリセットS701、s2値をリセットし、第1スクランブル化データ列の各ビット列のDSVを足し合わせたDSVの絶対値を初期DSVとして保管S702する。次に保管されたDSVの値が0か否かを確認S703し、0であった場合、その時点のs2値がDSVを0とする値として本処理を終了する。0でなかった場合はカウンタを+1するインクリメントS704を行い、本カウンタ値をs2として用いた場合のDSVを計算S705、計算して求められたDSVの絶対値と保管されているDSVの大きさを比較S706する。比較した結果、計算されたDSVが保管DSVよりも小さかった場合、カウンタ値をs2として、計算されたDSVの絶対値を新たにDSVとして保管する。それ以外の場合にはs2、保管DSV共に更新されずそのまま保持される。最後にカウンタ値を確認S708し、本カウンタ値が最終値である255である場合には、00h(0000_0000b)からFFh(1111_1111b)の全s2のDSV値を確認し終えたため、その時点のs2値がDSVを最小とする値として本処理を終了する。それ以外の場合、再度保管されたDSVの値が0か否かを確認S703するところから処理を繰り返す。
【0072】
このようにサブコントローラ801で求められたDSVを最小とするs2は、第2スクランブル回路806に通知され、図11の第2スクランブル回路で式4の演算に相当する処理が行われる。第2スクランブル回路はs2を保持する8個のレジスタ1101と排他論理和901で構成される。sd0からsd7から入力される第1スクランブル化データ列は逐次s2値と排他論理和され、結果、本第2スクランブル回路からmd0からmd7として期待されたDSVを持つ第2スクランブル化データ列が出力される。
【0073】
またサブコントローラ801で求められたDSVを最小とするs2が初期値の00h(0000_0000b)であった場合、第2スクランブルデータ化s504で得られる第2スクランブル化データ列は第1スクランブル化データ列と同じであるため、サブコントローラ801は第2スクランブル回路806での第2スクランブル化s504処理をスキップすることができる。
【0074】
本説明では第1スクランブル処理や第2スクランブル処理を8ビット単位で行ったが、16ビット、32ビットや64ビット単位で行っても構わない。またデータ列長を4105バイトとしたが、2キロバイト、8キロバイト程度であっても構わない。
【0075】
なお、本実施例ではDSV値が0を目標とし説明してきたが、目標のDSV値からの差分が小さければ良く、目標のDSV値については、0に限られない。また、本実施例では、角度多重方式を例に示したが、その他の多重方式(例えばシフト多重方式)にも応用できる。
【符号の説明】
【0076】
1・・・光情報記録媒体、10・・・光情報記録再生装置、11・・・ピックアップ、
12・・・位相共役光学系、13・・・ディスクCure光学系、
14・・・ディスク回転角度検出用光学系、50・・・回転モータ、
81・・・アクセス制御回路、82・・・光源駆動回路、83・・・サーボ信号生成回路、
84・・・サーボ制御回路、85・・・信号処理回路、86・・・信号生成回路、
87・・・シャッタ制御回路、88・・・ディスク回転モータ制御回路、
89・・・コントローラ、90・・・インターフェース回路、91・・・外部制御回路、
201・・・光源、202・・・コリメートレンズ、203・・・シャッタ、
204・・・1/2波長板、205・・・偏光ビームスプリッタ、
206・・・信号光、207・・・参照光、
208・・・ビームエキスパンダ、209・・フェーズ(位相)マスク、
210・・・リレーレンズ、211・・・偏光ビームスプリッタ、
212・・・空間光変調器、213・・・リレーレンズ、214・・・空間フィルタ、
215・・・対物レンズ、216・・・偏光方向変換素子、217・・・ミラー、
218・・・ミラー、219・・・ミラー、220・・・アクチュエータ、
221・・・レンズ、222・・・レンズ、223・・・アクチュエータ、
224・・・ミラー、225・・・光検出器、
801・・・サブコントローラ、802・・・メモリ、803・・・メモリ制御回路、
804・・・CRC演算回路、805・・・第1スクランブル回路、
806・・・第2スクランブル回路、807・・・誤り訂正符号化回路、
808・・・ピックアップインターフェース回路、809・・・制御用ライン、
810・・・データライン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2値のデジタルデータの記録を行うデジタルデータ記録再生方法において、
上記デジタルデータの列に含まれる0と1の数を等しくするDSV制御を行い、
該DSV制御は、該デジタルデータ列のDSVを0とする定数と該デジタルデータ列とを排他論理和することで行うこと
を特徴とするデジタルデータ記録再生方法。
【請求項2】
請求項1のデジタルデータ記録再生方法において、
記録時、DSV制御前の該デジタルデータ列のDSVが0である場合、該デジタルデータ列のDSV制御をスキップし、
DSV制御前の該デジタルデータ列のDSVが0でない場合、該デジタルデータ列のDSV制御を実行すること
を特徴とするデジタルデータ記録再生方法。
【請求項3】
請求項1のデジタルデータ記録再生方法において、
再生時、前記DSV制御は、該デジタルデータ列から該デジタルデータ列のDSVを最小とする前記定数を検出すること
を特徴とするデジタルデータ記録再生方法。
【請求項4】
2値のデジタルデータの記録を行う光情報記録再生方法において、
上記デジタルデータの列に含まれる0と1の数を等しくするDSV制御を行い、
該DSV制御は、該デジタルデータ列のDSVを0とする定数と該デジタルデータ列とを排他論理和することで行うこと
を特徴とする光情報記録再生方法。
【請求項5】
2値のデジタルデータの記録を行う光情報記録再生装置において、
再生時、上記デジタルデータの列とフィードバックレジスタから生成される擬似乱数列とを排他論理和するスクランブル回路と、
該スクランブル回路でスクランブルされた該デジタルデータ列のDSVを最小とする定数を算出するサブマイコンと、
該スクランブル回路でスクランブルされた該デジタルデータ列と該サブマイコンで算出された該定数とを排他論理和するDSV制御回路を有すること
を特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項1】
2値のデジタルデータの記録を行うデジタルデータ記録再生方法において、
上記デジタルデータの列に含まれる0と1の数を等しくするDSV制御を行い、
該DSV制御は、該デジタルデータ列のDSVを0とする定数と該デジタルデータ列とを排他論理和することで行うこと
を特徴とするデジタルデータ記録再生方法。
【請求項2】
請求項1のデジタルデータ記録再生方法において、
記録時、DSV制御前の該デジタルデータ列のDSVが0である場合、該デジタルデータ列のDSV制御をスキップし、
DSV制御前の該デジタルデータ列のDSVが0でない場合、該デジタルデータ列のDSV制御を実行すること
を特徴とするデジタルデータ記録再生方法。
【請求項3】
請求項1のデジタルデータ記録再生方法において、
再生時、前記DSV制御は、該デジタルデータ列から該デジタルデータ列のDSVを最小とする前記定数を検出すること
を特徴とするデジタルデータ記録再生方法。
【請求項4】
2値のデジタルデータの記録を行う光情報記録再生方法において、
上記デジタルデータの列に含まれる0と1の数を等しくするDSV制御を行い、
該DSV制御は、該デジタルデータ列のDSVを0とする定数と該デジタルデータ列とを排他論理和することで行うこと
を特徴とする光情報記録再生方法。
【請求項5】
2値のデジタルデータの記録を行う光情報記録再生装置において、
再生時、上記デジタルデータの列とフィードバックレジスタから生成される擬似乱数列とを排他論理和するスクランブル回路と、
該スクランブル回路でスクランブルされた該デジタルデータ列のDSVを最小とする定数を算出するサブマイコンと、
該スクランブル回路でスクランブルされた該デジタルデータ列と該サブマイコンで算出された該定数とを排他論理和するDSV制御回路を有すること
を特徴とする光情報記録再生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−138147(P2012−138147A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289120(P2010−289120)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
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