説明

デジタル・ネットワークにおける適応帯域幅利用のための方法および装置

【課題】デジタル・ネットワーキング・システムのネットワーク・ノードのライン・カードで使用するための集積回路装置を提供する。
【解決手段】該集積回路装置は、少なくとも1つのCPE装置からの1つまたは複数の制御メッセージをインターセプトすることができる。1つまたは複数の制御メッセージは、少なくとも1つのCPE装置に関連付けられる少なくとも1つのTE装置の少なくとも動作状態に対応する。集積回路装置はまた、少なくとも1つのTE装置の動作状態に関連して、帯域幅の利用を適応させ、かつ適応されたデータ・トラフィック・フローを少なくとも1つのCPE装置に提供するように、ネットワーク・ノードのネットワーク・プロセッサに1つまたは複数のレート制御メッセージを送信することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にデジタル・ネットワーキング・システムの分野に関し、さらに詳しくは、デジタル・ネットワークにおけるエンド・ユーザへの配布用の帯域幅の利用を適応させるための改善された技術に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2004年11月30日に出願され、参照により本明細書に組み込まれる、「Method and Apparatus for Improved Data Channel Transmission in a Digital Network」と称する米国特許出願第10/999,703号に関連する。
伝統的なデータ・チャネル伝送技術は例えば、デジタル加入者線アクセス・マルチプレクサ(DSLAM)ネットワークで使用することのできる、データ・チャネル・マルチキャスティングを含む。DSLAMネットワークは、端末または他のエンドポイントのエンド・ユーザに、上流の発信元から受信するデータのストリームまたはデータ・チャネルを切り替える能力を提供する。DSLAMネットワークは一般的には、例えば幾つかの映像チャネルはもとより、ユーザ・データ、音声、およびゲーミング・トラフィックに関係するチャネルのような、様々な異なる型のデータ・チャネルに対応するように設計される。DSLAMプラットフォームのエンドポイントは、例えば住宅または職場におけるモデム、およびテレビのような端末機器(TE)装置用のセット・トップ・ボックス(STB)を含むことのできる、顧客宅内機器(CPE)装置である。TE装置は、コンピュータ、パーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、電話、または他の型の通信端末を含むこともできる。CPE装置は、TE装置をはじめ、顧客端における全ての装置を含む。しかし、例示を目的として、本発明の説明においては、TE装置はCPE装置とは区別されている。DSLAMネットワークは、同時にエンド・ユーザがデータ、音声、およびゲーミング・チャネルを使用することを可能にしながら、利用可能なチャネルのいずれかのエンド・ユーザへの配信を可能にする。
【0003】
エンド・ユーザは、所与の時間に同報通信している1組のチャネルから1つのデータ・チャネルを選択することができる。インターネット・グループ・マルチキャスト・プロトコル(IGMP)信号は従来、エンド・ユーザのCPE装置からDSLAMネットワークを介して、ブロードバンド・リモート・アクセス・サーバ(B−RAS)へIGMP制御メッセージを送信することによって、このチャネル選択を達成するために使用されてきた。チャネル選択は、新しく選択されたチャネルへの切替を達成するために、上流に伝達される。中央局(CO)を利用するDSLAMアプリケーションでは、COがIGMP制御メッセージをポーリングする。COは多数のCPE装置をサポートすることができる。
【0004】
CO内では、個々のTE装置への選択されたチャネルの送信のために、規定量の帯域幅がDSLAMネットワーク内の各モデムまたはエンド・ユーザに割り当てられる。モデムに接続されたTE装置がオフになると、モデムに帰する不使用または残留帯域幅はどこにも使用されず、したがってそのモデムの他のTE装置に割り当てられない。複数のチャネル利用をサポートするために、従来の解決策は各モデムに大量の帯域幅を割り当て、結果的に、TE装置がオフのときにかなりの帯域幅の無駄が生じるだけでなく、データ・チャネル・マルチキャスティングを提供するのに高いコストがかかる。
【0005】
したがって、チャネルの帯域幅の利用を改善する技術のみならず、個々のモデムまたは他のCPE装置の作動中のTE装置で残留帯域幅を使用するための技術が、依然として求められている。
【特許文献1】米国特許出願第10/999,703号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は例示的実施形態で、個々のTE装置の動作状態に応じてモデムまたは他のCPE装置のTE装置に適応的に帯域幅を利用する、デジタル・ネットワーキング・システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、デジタル・ネットワーキング・システムのネットワーク・ノードのライン・カードで使用するための集積回路装置を提供する。該集積回路装置は、少なくとも1つのCPE装置からの1つまたは複数の制御メッセージをインターセプトすることができる。1つまたは複数の制御メッセージは、CPE装置に関連付けられた少なくとも1つのTE装置の少なくとも動作状態に対応する。集積回路装置はまた、少なくとも1つのTE装置の動作状態に関連して、帯域幅の利用を適応させ、かつ適応されたデータ・トラフィック・フローを少なくとも1つのCPE装置に提供するように、ネットワーク・ノードのネットワーク・プロセッサに1つまたは複数のレート制御メッセージを送信することもできる。
【0008】
デジタル・ネットワーキング・システムのネットワーク・ノードで使用するための装置は、少なくとも1つのライン・カードを備える。該ライン・カードは、少なくとも1つのCPE装置からの1つまたは複数の制御メッセージをインターセプトすることのできる集積回路装置を備える。1つまたは複数の制御メッセージは、少なくとも1つのCPE装置に関連付けられる少なくとも1つのTE装置の少なくとも動作状態に対応する。集積回路装置はまた、少なくとも1つのTE装置の動作状態に関連して、帯域幅の利用を適応させ、かつ適応されたデータ・トラフィック・フローを少なくとも1つのCPE装置に提供するように、ネットワーク・ノードのネットワーク・プロセッサに1つまたは複数のレート制御メッセージを送信することもできる。
【0009】
少なくとも1つのCPE装置からの1つまたは複数の制御メッセージが、ネットワーク・ノードの少なくとも1つのライン・カードの集積回路装置でインターセプトされるようにした、デジタル・ネットワーキング・システムで適応帯域幅利用を達成する方法を提供する。各制御メッセージは、CPE装置に関連付けられた少なくとも1つのTE装置の少なくとも動作状態に対応する。少なくとも1つのTE装置の動作状態に関連して適応される少なくとも1つのCPE装置に、データ・トラフィックが提供される。
【0010】
本発明の例示的実施形態は、好都合にも、各モデム/ユーザ毎にシステムの広い帯域幅の利用を改善する。改善された帯域幅の利用は、帯域幅の無駄を低減し、ユーザのコストを最小化する。本発明の例示的実施形態はまた、下流のトラフィックをシェーピングすることによってフロー制御をも改善する。
【0011】
本発明のこれらならびに他の目的、特徴、および利点は、添付の図面に関連して読むべき、その例示的実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下で詳述するように、本発明は例示的実施形態では、一般的にデジタル・ネットワーキング・システムの分野に関し、さらに詳しくは、デジタル・ネットワークにおけるエンド・ユーザへの配布用の帯域幅の利用を適応させるための改善された技術に関する。
【0013】
最初に図1を参照すると、図は本発明の実施形態に係るDSLAMネットワークを示す。複数のデータ・チャネル、例えば映像チャネルがネットワークの遠端のB−RAS102から、コア・ネットワーク104を介して、アクセス・ネットワーク106内へ送信される。コア・ネットワーク104は、エッジ・ルータ108を介してアクセス・ネットワーク106と通信する。エッジ・ルータ108は、非同期転送モード(ATM)112、同期光ネットワーク(SONET)、または同期デジタル・ハイアラキ(SDH)、イーサネット(登録商標)等114を介して、アクセス・ネットワーク106のメトロ・コア110を通して、ネットワーク・ノード、またはさらに詳しくはCO116と通信することができる。SONETは光ファイバ・ネットワークでの同期データ伝送の米国バージョンであり、SDHは国際バージョンの標準である。エッジ・ルータ108は、アクセス・ネットワーク106のメトロ・コア110を通して、幾つかのDSLAM中央局との通信を提供することができる。DSLAM中央局116は、例えば、テレビ124、コンピュータ126、または電話128のようなTE装置用の、住宅120および職場122のDSLモデム118と通信する。
【0014】
図1に提示されたDSLAMネットワークを通して、CPE装置からB−RAS102へ送信されかつCO116によってインターセプトされた制御メッセージに応答して、DSLモデム118を通してTE装置124、126、および128へ個別に配布するために、複数のデータ・チャネルをCO116に伝送することができる。上述の通り、CPE装置は、TE装置のためのモデムまたはSTBとみなすことができる。例えば、図1に示した実施形態では、TE装置124、テレビからの制御メッセージは、テレビ用のSTBから発信することができる。これは特に、1台のモデム118に対し2台以上のSTBが設けられる場合に当てはまる。他の全ての場合に、制御メッセージはモデム118で発生する。さらに、制御メッセージのインターセプトを通して、CO116は、TE装置124、126、および128の動作状態を決定し、個々のCPE装置124、126、および128の動作状態に応じて、帯域幅の利用またはDSLモデム118に配布されるデータ・トラフィック・フローを適応させることができる。例えば、TE装置124が使用不能のときに、CO116は、TE装置126が残留帯域幅を利用することができるように、モデム118へのデータ・トラフィック・フローを適応させる。
【0015】
今、図2を参照すると、図は、本発明の実施形態に係る一般的DSLAM中央局のアーキテクチャを示す。これは、図1のDSLAM中央局116のより詳細な図とみなすことができる。アップリンク・カード202は、少なくとも1つのライン・カード204a、204bと通信する。この実施形態では、アップリンク・カード202は、例えばギガビット・メディア独立インタフェース(GMII)またはシリアル・メディア独立インタフェース(SMII)を通して、例えば光キャリア12(OC−12、622.08Mbps)または光キャリア3(OC−3、155.52Mbps)を通して、ATMまたはマルチプロトコル・ネットワーク・プロセッサ206におけるDSLAMネットワークの上流コンポーネントとの通信をもたらす。
【0016】
ネットワーク・プロセッサ206は、アップリンク・カード202内または外のバックプレーン装置208またはスイッチング・ファブリック210と通信することができる。バックプレーン装置208を有するアップリンク・カード202、およびスイッチング・ファブリック210を有するアップリンク・カード202は、本発明の2つの別個の実施形態を表わす。アップリンク・カード202にバックプレーン装置208が実現される場合、アップリンク・カード202は、各々バックプレーン装置212を有する1つまたは複数のライン・カード204aと通信する。アップリンク・カード202とライン・カード204との間の通信は、ライン・カードがTE装置の動作状態に関する情報をネットワーク・プロセッサ206に送信することを可能にする。この通信はまた、適応されたデータ・トラフィック・フローをTE装置のモデムに伝送するために、ネットワーク・プロセッサ206が適応帯域幅利用をライン・カードに提供することをも可能にする。バックプレーン装置212は、本発明を実現するために、プロセッサ214を利用することができる。バックプレーン装置212は、ライン・カード204のDSLモデム216を介してエンド・ユーザのDSLモデムと通信する。DSLモデム216を介する通信は、CPE装置がライン・カード204aによるインターセプトのための制御信号を提供することを可能にし、かつ、ライン・カード204aが、システムの各モデムに対しネットワーク・プロセッサ206によって指定された帯域幅に関連して、要求されたデータ・チャネルを要求したTE装置に伝送することを可能にする。ライン・カードのプロセッサが下流トラフィックを制御する能力を有する場合、帯域幅変更要求はこのプロセッサによって処理することもできる。
【0017】
アップリンク・カード202にスイッチング・ファブリック210が実現される場合、アップリング・カード202は、各々ユニバーサル・ブリッジ(UB)218を有する1つまたは複数のライン・カード204bと通信する。ユニバーサル・ブリッジ218は、本発明の実現およびライン・カード204bのDSLモデム216との通信にプロセッサ220を利用する。DSLモデム216、エンド・ユーザのモデム、およびCPE装置は、ライン・カード204aおよび204bを利用する実施形態で、同様の機能を果たす。
【0018】
図3に示すように、図は、本発明の実施形態に係る、図2の構成のより詳細な実現例を示す。さらに詳しくは、これは、アップリンク・カードにスイッチング・ファブリックを実現する一般的DSLAM中心局のアーキテクチャの詳細な記述とみなすことができる。アップリンク・カード302はデータ・チャネルを受信し、図2のネットワーク・プロセッサ206に対応するネットワーク・プロセッサ306を通して、ユーザ・トラフィックを伝達する。ネットワーク・プロセッサ306は、米国ペンシルベニア州アレンタウンのアギア・システムズ・インコーポレーテッドから一般的に入手可能な部品APP550として実現することができる。ネットワーク・プロセッサ306はUB308と通信し、それはスイッチング・ファブリック310と通信する。本発明のこの実施形態では、UB308は、部品UB2G5NPとして実現でき、スイッチング・ファブリック310は、同じくアギア・システムズ・インコーポレーテッドから一般的に入手可能な部品PI40SAX、PI20SAXとして実現することができる。アップリンク・カード302はクロック312をも含む。アップリンク・カード302は1つまたは複数のライン・カード304にデータ・チャネルを伝送しながら、必要なユーザ・トラフィックの受信も行なう。
【0019】
ライン・カード304aにおいて、UB314aはスイッチング・ファブリック310を通してアップリンク・カード302と通信する。UB314aは、本発明を実現するために、ライン・カード304a内のFPGA318aおよびマイクロプロセッサ320aとも通信する。ライン・カード304aはFPGA318aを通してモデム316と通信する。チャネルはアップリンク・カード302からFPGA318aに伝送され、制御メッセージはモデム316からFPGA318aに送信される。同様の通信システムは、ライン・カード304b、UB314b、FPGA318b、およびマイクロプロセッサ320bに対しても存在する。ライン・カード304a、304bは両方ともそれぞれのクロック322a、322bをも含む。
【0020】
プロセッサ320a、320bと通信するFPGA318a、318bは、ライン・カード304a、304bの管理装置とみなすことができる。ライン・カードのそのような管理装置は、本発明を実現する集積回路装置の一例とみなすことができる。管理装置は、図4に示すようにテーブルを維持する。テーブルは、管理装置の内部メモリまたは関連外部メモリに格納することができる。テーブルは、特定のライン・カードのTE装置の動作状態およびチャネル選択を示す。このテーブルは、適切なエンド・ユーザの要求データ・チャネルを提供し、かつ管理する一方で、適応帯域幅利用のためにTE装置の使用可能性を追跡するために使用される。このテーブルは、この実施形態では、CPE装置と管理装置との間の1対1のシグナリングを利用して、動的に更新される。エンド・ユーザがTE装置を使用可能状態にし、チャネルを選択すると、TE装置のCPE装置、つまりモデムまたはSTBは、遠端サーバつまりB−RASに宛てられるように意図された制御メッセージ、例えばIGMPを発生する。COのライン・カード内の管理装置は制御メッセージをインターセプトし、それを使用してテーブルを動的に更新するので、所与のモデムの個々のTE装置の動作状態に基づいて、帯域幅をネットワーク・プロセッサによって適応させることが可能になる。
【0021】
データ・チャネルの識別番号は、CPE装置から送信される制御メッセージから得なければならない。テーブルは、CPE装置によって要求されかつ最終的にそれに伝送されるデータ・チャネルのデータ・チャネルID、例えばTVチャネル番号を維持する。加えて、テーブルは、それがオンまたはオフのどちらであるかを示すために、ライン・カードに関連付けられた各TE装置のイネーブル/ディスエーブル・ビットを含む。テーブルのポート・カラムは、住宅または職場のDSLモデムを表わす。図4のテーブルは、各々が各戸に4台のTE装置、例えば4台のテレビをサポートすることのできる、124台のモデムを示す。ライン・カードの管理装置の追加の実施形態は、48台または64台のDSLモデムを有するテーブルを維持することができる。
【0022】
ライン・カードの管理装置でインターセプト制御信号から使用可能性信号または使用不能性信号を受信すると、管理装置は、ネットワーク・プロセッサに送信するために、帯域内レート制御(IBRC)メッセージをポート利用情報と共に発生する。システムが初期化されるときに、テーブルの初期走査が必要である。
【0023】
今、図5を参照すると、ブロック図は、本発明の実施形態に係るFPGA装置の機能ブロックを示す。これは、図3のFPGA装置318の詳細な記述とみなすことができる。下流信号は、アギア・システムズ・インコーポレーテッドから一般的に入手可能な部品UB2G5として実現することのできるUBから、UB受信インタフェース・ブロック510で受信される。UB受信インタフェース・ブロック510は、TE装置でのチャネル選択および動作状態を示すテーブルのみならず、必要な場合、セル・ヘッダ変換テーブルをも維持する。キャプチャFIFO512は、後述するようにバック・プレッシャ制御のためにUBから発生された信号を抽出し、マイクロプロセッサ・インタフェースに送信する。UB−モデム間インタフェース・ブロック514は、UB受信インタフェース・ブロック510からの送信を受信し、要求CPE装置、さらに詳しくはモデムおよびSTBに、要求されたチャネルを伝送する。
【0024】
モデムの受信インタフェースが輻輳する場合、モデムはモデムのオーバフローを回避するために、FPGA装置のポーリングを無視しなければならない。特に、モデム(UTOPIAインタフェースを使用するときは、ネゲートTXCLAV)からバック・プレッシャが来る場合、FPGA装置はモデムにトラフィックを送信してはならず、個々のポート毎のバック・プレッシャ状態を維持しなければならない。FPGA装置が輻輳する場合、それはフロー制御メッセージ(SPI3インタフェースを使用するときは、ネゲートRENB)を発生し、それを上流に送信する。
【0025】
多重物理層(MPHY)受信インタフェース・ブロック518は、CPE装置から制御メッセージを受信する。モデム対UBインタフェース・ブロック520はMPHY受信インタフェース・ブロック518からの送信を受信し、UB2G5への送信のためにTMセルを発生する。挿入FIFO522は、適応帯域幅利用のため上流のネットワーク・プロセッサへ送信するために、バック・プレッシャ制御ブロック516およびマイクロプロセッサから発生されたIBRCメッセージを挿入する。利用可能なポーリングされたPHY送信パケット(SPI3インタフェースを使用するときは、PTPA)もまた、UBからモデム対UBインタフェース・ブロック520で受信される。
【0026】
図6に示す通り、流れ図は、本発明の実施形態に係るDSLAMネットワークのライン・カードにおける適応帯域幅利用の方法論を示す。該方法論はブロック610で始まり、そこでTE装置の動作状態に対応する制御メッセージが、ライン・カードの管理装置でインターセプトされる。制御メッセージはチャネル選択情報をも含むことができ、システムのB−RASへの送信用に意図されている。ブロック612で、管理装置によって維持されるテーブルは、TE装置の動作状態に関連して更新される。図4に示す通り、所与のTE装置の使用可能性ビットは、制御メッセージ内で受信した動作状態に応じて、「0」または「1」に変更することができる。
【0027】
ブロック614で、帯域内レート制御(IBRC)メッセージが、端末機器(TE)装置の動作状態に関連して、管理装置で生成される。好適な実施形態のIBRCメッセージは次のフィールド、すなわちライン・カード番号、ポート/モデム番号、およびTE装置の動作状態(オン/オフ)を含むことができる。IBRCメッセージは任意選択的帯域幅情報も含むことができる。ブロック616で、IBRCメッセージはライン・カードの管理装置から、管理装置のネットワーク・ノードのネットワーク・プロセッサに送信される。図5に関連して上述した通り、挿入FIFOは上流に送信するためにIBRCメッセージを挿入する。
【0028】
ブロック618で、ネットワーク・プロセッサはIBRCメッセージをキャプチャし、帯域幅の利用を適応させる。TE装置がオフになったことがIBRCメッセージで示された場合、ネットワーク・プロセッサは、同一モデムまたはCPE装置に関連付けられた別のTE装置のデータ・レートを増大することができる。逆に、TE装置がオンになったことがIBRCメッセージで示された場合、ネットワーク・プロセッサは、同一モデムまたはCPE装置に関連付けられた別のTE装置のデータ・レートを低減することができる。特に、必要な帯域幅が同一であるかまたは近い場合、チャネルが切り替えられるたびにIBRCメッセージを発生する必要は無い。しかし、チャネルの切替が異なる帯域幅を必要とする場合、ネットワーク・プロセッサはそれに応じてトラフィック・フローを適応させることができる。ブロック620で、管理装置は、適応されたデータ・トラフィック・フローに従って、要求されたチャネルをモデムの1つまたは複数のTE装置に提供する。モデムの使用可能状態のTE装置は、同一モデムの使用不能状態のTE装置から結果的に得られる残留帯域幅を使用することができる。これはまた、トラヒックのシェーピングのため、管理装置からのポートの輻輳をも防止する。
したがって、本書に記載した通り、本発明は例示的実施形態で、モデム単位で帯域幅を適応的に利用するデジタル・ネットワーキング・システムを提供する。
【0029】
本発明の追加の実施形態は、複数のCO、DSLモデム、およびTE装置およびそれらの多くの組合せを組み込むことができる。これらの実施形態はまた、COにおける単一のアップリンク・カードに関連付けられたライン・カードの様々な個数および組み合わせを組み込むこともできる。各ライン・カードにおける上述したテーブルは、ライン・カードが通信するモデムの個数、および各モデムに関連付けられたTE装置の個数に基づく。したがって、追加の実施形態では、テーブルに提示されるポートおよびチャネルの個数も異なることができる。
【0030】
本発明の特定の実施形態では、FPGA装置の代わりに特定用途向け集積回路(ASIC)装置を利用することができる。さらに、IGMPおよびIBRCメッセージの代わりに、別のアプリケーションからのプロプライエタリ・シグナリングを利用することができる。本発明は、いずれかの型の制御メッセージが使用されるときに、実現することができる。最後に、本発明は、例示的実施形態のCOのアップリンク・カード−ライン・カード構成に限定されない。本発明は、ライン・カードだけが利用される単一階層構成にも適用することができる。上述の通り、該方法論はその場合、システムの帯域幅の利用の適応にライン・カードのプロセッサを利用することができる。
【0031】
上述の通り、本発明の管理装置は集積回路装置とみなすことができる。集積回路一般に関し、半導体ウェハの表面に複数の同一ダイが一般的に反復パターン状に形成される。各ダイは、他の構造または回路を含むことができる。各ダイは他の構造または回路を含むことができる。個々のダイはウェハから裁断またはダイシングされ、次いで集積回路としてパッケージングされる。ウェハをいかにダイシングしかつパッケージングして集積回路を製造するかは、当業者には周知であろう。そのように製造された集積回路は、本発明の一部とみなされる。
【0032】
したがって、本書では添付の図面に関連して本発明の例示的実施形態を説明したが、本発明はこれらの厳密な実施形態に限定されず、発明の範囲または精神から逸脱することなく、様々な他の変形および変更を当業者が施すことができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施形態に係るDSLAMネットワークを示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る一般的DSLAM中央局のアーキテクチャを示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る図2の構成のより詳細な実現例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るDSLAMネットワークにおけるTE装置のチャネル選択および状態を示すテーブルである。
【図5】本発明の実施形態に係るDSLAMネットワークにおけるFPGA装置の機能ブロックを示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係るDSLAMネットワークにおける適応帯域幅利用の方法論を示す流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタル・ネットワーキング・システムのネットワーク・ノードのライン・カードで使用するための集積回路装置において、少なくとも1つの顧客宅内機器(CPE)装置からの1つまたは複数の制御メッセージであって、前記少なくとも1つのCPE装置に関連付けられた少なくとも1つの端末機器(TE)装置の少なくとも動作状態に対応する1つまたは複数の制御メッセージをインターセプトすることができ、かつ1つまたは複数のレート制御メッセージを前記ネットワーク・ノードのネットワーク・プロセッサに送信して帯域幅利用を適応させ、かつ前記少なくとも1つのTE装置の前記動作状態に関連して適応されたデータ・トラフィック・フローを前記少なくとも1つのCPE装置に提供することのできる集積回路装置。
【請求項2】
前記1つまたは複数の制御メッセージの各々はインターネット・グループ・マルチキャスト・プロトコル信号を含む、請求項1に記載の集積回路装置。
【請求項3】
前記1つまたは複数のレート制御メッセージの各々は帯域内レート制御メッセージを含む、請求項1に記載の集積回路装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つのTE装置の動作状態を管理するテーブルを含む、請求項1に記載の集積回路装置。
【請求項5】
少なくとも1つの顧客宅内機器(CPE)装置からの1つまたは複数の制御メッセージであって、前記少なくとも1つのCPE装置に関連付けられた少なくとも1つの端末機器(TE)装置の少なくとも動作状態に対応する1つまたは複数の制御メッセージをインターセプトすることができ、かつ1つまたは複数のレート制御メッセージを前記ネットワーク・ノードのネットワーク・プロセッサに送信して帯域幅利用を適応させ、かつ前記少なくとも1つのTE装置の前記動作状態に関連して適応されたデータ・トラフィック・フローを前記少なくとも1つのCPE装置に提供することのできる集積回路装置を含む少なくとも1つのライン・カードを備えた、デジタル・ネットワーキング・システムのネットワーク・ノードで使用するための装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのライン・カードと通信するように適応されたアップリンク・カードをさらに備え、かつ前記ライン・カードの前記集積回路装置から前記1つまたは複数のレート制御メッセージを受信し、かつ帯域幅利用を適応させて、前記少なくとも1つの集積回路装置から前記少なくとも1つのCPE装置に前記少なくとも1つのTE装置の動作状態に関連して適応されたデータ・トラフィック・フローを提供することのできるネットワーク・プロセッサを備えた、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
デジタル・ネットワーキング・システムで適応帯域幅利用を達成する方法であって、
少なくとも1つの端末機器(TE)装置の少なくとも動作状態に各々対応する1つまたは複数の制御メッセージを、前記TE装置に関連付けられた少なくとも1つの顧客宅内機器(CPE)装置から、ネットワーク・ノードの少なくとも1つのライン・カードの集積回路装置でインターセプトするステップと、
前記少なくとも1つのTE装置の前記動作状態に関連して、適応されたデータ・トラフィック・フローを少なくとも1つのCPE装置に提供するステップと、
を含む方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つのTE装置の前記動作状態に関連して、集積回路装置によって維持されるテーブルを更新するステップをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記テーブルを更新するステップは、
少なくとも1つのTE装置が使用可能であるときを決定するステップと、
少なくとも1つの使用可能状態のTE装置によって要求された1つまたは複数のデータ・チャネルを追跡するステップと、
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのTE装置の前記動作状態に関連して、前記集積回路装置から前記ネットワーク・ノードのネットワーク・プロセッサに1つまたは複数のレート制御メッセージを送信するステップと、
前記集積回路装置から少なくとも1つのCPE装置への適応されたデータ・トラヒック・フローのために前記ネットワーク・ノードの前記ネットワーク・プロセッサから適応された帯域幅の利用を受信するステップと、
をさらに含む、請求項7に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−191580(P2006−191580A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−371533(P2005−371533)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(500587067)アギア システムズ インコーポレーテッド (302)
【Fターム(参考)】