説明

デジタル式生体赤外線受信機

【課題】赤外線輻射を受信するデジタル式生体赤外線受信機に関し、受動赤外線輻射PIRセンサー部材と信号処理回路を備える。
【解決手段】信号処理回路は、PIRセンサー部材と共に同一の金属ケースに集積され、PIRセンサー部材により、赤外線輻射から変換された微弱なアナログ電圧信号を検出し受信してから、直ちに同一の金属ケース内における信号処理回路によりデジタル処理を行い、マイクロプロセッサチップでA/D変換を行うことによりアナログ信号をデジタル信号に変換してから、マイクロプロセッサチップに組み込まれたソフトウェアにより有用信号を識別するための処理を含む全部の処理プロセスを、マイクロプロセッサチップ内で完了させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線輻射を受信することに関し、特にデジタル式生体赤外線受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体自身の熱からの赤外線信号を探測することにより探測エリアに人が入るかどうかを検知する自動制御回路があり、その多くは受動赤外線輻射(Passive Infrared Radiation、PIRと略称される)センサーであり、生体赤外線センサーとも呼ばれる。例えば、中国特許CN2148362Yに開示された「無焦点距離の多種の光の集中レンズが設置された生体赤外線受信機」は、生体赤外線センサーと、信号増幅器と、サイリスタ若しくは三極管またはその他の電力増幅器と、定圧電源などから構成され、生体赤外線センサー回路の前に無焦点距離の多種の光の集中レンズが設置されたことを特徴とする。この受信機は、生体赤外線センサー回路の受信距離が長く、受信角度調整が可能で、受信エリアの境界線がストレート且つはっきりしているため、安全保護、盗難防止・警報通知、自動化生産等の方面に広く利用されている。しかし、このような生体赤外線受信機の信号処理ではアナログ信号の増幅と識別を実施しているため、その信号増幅器や、サイリスタ若しくは三極管またはその他の電力増幅器に採用される素子が多く、回路が煩雑で、干渉しやすく、感度及び信頼性が比較的低い等の課題が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の解決しようとする技術課題は前記従来の技術の欠陥を補うことであり、デジタル式生体赤外線受信機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の技術課題は下記の技術的手段により解決される。
【0005】
当該デジタル式生体赤外線受信機は、受動赤外線輻射PIRセンサー部材と信号処理回路を備え、前記信号処理回路の入力端子は前記PIRセンサー部材の出力端子と接続される。
【0006】
当該デジタル式生体赤外線受信機の特徴としては、
前記信号処理回路は、前記PIRセンサー部材と共に同一の金属ケースに集積され、前記PIRセンサー部材により、赤外線輻射から変換された微弱なアナログ電圧信号を検出し受信してから、直ちに同一の金属ケース内における信号処理回路によりデジタル処理を行い、前記処理が完了した後、直接に探測エリアに入る人が存在するかどうかを表すデジタル信号を出力することになり、信号転送プロセスの干渉が存在せず、外部スプリアス信号の干渉も金属ケースにより遮断され、生体赤外線受信機の干渉防止能力及び信頼性が著しく向上すると共に、応用回路の設計及び生産も容易且つ確実になり、便利・迅速である。
【0007】
前記信号処理回路はマイクロプロセッサ回路であり、前記マイクロプロセッサ回路として、高性能アナログ/デジタル(Analog/Digital、A/Dと略称される)変換機能を有する低消費電力のマイクロプロセッサチップが利用されてもよい。
【0008】
前記信号処理回路は、デジタル処理を行い、前記マイクロプロセッサチップでA/D変換を行うことによりアナログ信号をデジタル信号に変換してから、前記マイクロプロセッサチップに組み込まれたソフトウェアにより有用信号を識別するための処理を含む全部の処理プロセスを、前記マイクロプロセッサチップ内で完了させてもよい。
【0009】
本発明の技術課題はさらに下記の技術的手段により解決される。
【0010】
前記PIRセンサー部材は、狭帯域フィルターと、生体赤外線を電荷信号に変換するための焦電素子と、焦電素子から出力された電荷信号を微弱なアナログ電圧信号に変換するための電界効果トランジスタとを備えてもよい。
【0011】
前記狭帯域フィルターは、10μm程の波長のみを通過させる生体赤外線のフィルターであってもよく、前記ケースのセンサー受信窓口に設置されてもよい。
【0012】
前記焦電素子は、高焦電係数材料で製作された生体赤外線検出素子であり、前記狭帯域フィルターの裏面に設置され、前記狭帯域フィルターに透過した生体赤外線を受信するものであり、前記焦電素子の一方の端子は前記電界効果トランジスタのG(ゲート)極に接続され、他方の端子は共通グラウンドに接続されてもよい。
【0013】
前記電界効果トランジスタは、Nチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor、MOSFETと略称される)であり、前記電界効果トランジスタのS(ソース)端子は出力端子とし、前記マイクロプロセッサチップの入力端子AI0に接続され、且つ共通グラウンドとの間で並列接続された出力抵抗と干渉防止容量が設置され、前記電界効果トランジスタのD(ドレイン)端子は直流電源端子とし、前記マイクロプロセッサチップのVDDA端子に接続されてもよい。
【0014】
前記マイクロプロセッサチップは、HY11P系の高集積度、低消費電力のマイクロプロセッサチップであり、高解析度のアナログ−デジタル変換器が内蔵され、その入力端子AI0は前記電界効果トランジスタのS端子に接続され、ポートP2.2は出力端子OUTとし、そのVSS端子は共通グラウンドGNDに接続され、そのVDD端子及びRST端子は電源+VDD端子に接続され、且つA/D変換に安定的な電圧を提供するように、そのVDDA端子と前記共通グラウンドGNDとの間に一個の整合容量が接続され、そのACM端子と前記共通グラウンドGNDとの間にもうひとつの整合容量が接続されてもよい。
【0015】
本発明のデジタル式生体赤外線受信機に関する技術課題はさらに下記の技術的手段により解決される。
【0016】
前記高焦電係数材料は、ジルコニウムチタン酸鉛系セラミックスと、タンタル酸リチウムと硫酸トリグリシンとからなる群より選択されたいずれか一種であってもよい。
【0017】
前記電界効果トランジスタは、型番SS4117の電界効果トランジスタであってもよい。
【0018】
前記マイクロプロセッサチップは型番HY11P41のマイクロプロセッサチップであってもよい。
【0019】
前記ACM端子と前記共通グラウンドGNDとの間に接続される整合容量の容量値は0.1μFであってもよく、前記VDDA端子と前記共通グラウンドGNDとの間に接続されるもう一つの整合容量の容量値は1μFであってもよい。
【0020】
前記出力抵抗の抵抗値は56KΩであってもよく、前記干渉防止容量の容量値は0.1μFであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
従来技術と比べ、本発明の有益な効果は、
本発明の信号処理回路は、PIRセンサー部材と共に同一の金属ケースに集積され、PIRセンサー部材により、赤外線輻射から変換された微弱なアナログ電圧信号を検出し受信してから、直ちに同一の金属ケース内における信号処理回路によりデジタル処理を行い、前記処理が完了した後、直接に探測エリアに入る人が存在するかどうかを表すデジタル信号を出力する。信号転送プロセスの干渉が存在せず、外部スプリアス信号の干渉も金属ケースにより遮断され、生体赤外線受信機の干渉防止能力及び信頼性が著しく向上すると共に、応用回路の設計及び生産も容易且つ確実になり、便利・迅速である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図面は本発明における具体的な実施形態の回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に具体的な実施形態に合わせて、図面を参照しながら本発明を説明する。
【0024】
図面に示されるデジタル式生体赤外線受信機は、受動赤外線輻射PIRセンサー部材2及び信号処理回路3を含み、信号処理回路3の入力端子がPIRセンサー部材2の出力端子に接続されている。
【0025】
信号処理回路3とPIRセンサー部材2は同一の金属ケースに集積され、PIRセンサー部材2は、赤外線輻射から変換された微弱なアナログ電圧信号を探測しながら受信し、直接に同一の金属ケース内における信号処理回路3によりデジタル処理を行い、処理が完了された後、直接に探測エリアに入る人が存在するかどうかを表すデジタル信号を出力することになるため、信号転送過程中における干渉が存在せず、外部からのスプリアス信号による干渉も金属ケースにより遮断され、生体赤外線受信機の干渉防止能力及び信頼性が著しく向上し、さらに、応用回路の設計や生産も容易且つ便利になる。
【0026】
信号処理回路3は、高性能A/D変換機能を有する低消費電力のマイクロプロセッサチップU1(型番HY11P41)を採用するマイクロプロセッサ回路であり、PIRセンサー部材2は赤外線輻射から変換された微弱なアナログ電圧信号を検出しながら受信し、直接にマイクロプロセッサチップU1でデジタル処理を行い、ここで、マイクロプロセッサチップU1によりデジタル信号へのA/D変換を行う処理、及びマイクロプロセッサチップU1に組み込まれたソフトウェアにより必要な信号を識別する処理が含まれており、マイクロプロセッサチップU1内において全部の処理プロセスが完了された後、直接に探測エリアに入る人が存在するかどうかを表すデジタル信号を出力する。マイクロプロセッサチップHY11P41に高解析度アナログ−デジタル変換器が内蔵され、その入力端子AI0は電界効果トランジスタQ1のS端子に接続され、ポートP2.2は出力端子OUTであり、そのVSS端子は共通グラウンドGNDに接続され、そのVDD端子とRST端子は電源+VDD端子に接続され、さらに、そのVDDA端子と共通グラウンドGNDの間に一つの容量値1μFの整合容量C3が接続され、そのACM端子と共通グラウンドGNDの間にもう一つの容量値0.1μFの整合容量C2が接続されることにより、A/D変換に安定な電圧が提供される。
【0027】
PIRセンサー部材2は、狭帯域フィルター1、生体赤外線を電荷信号に変換する焦電素子Rs、及び焦電素子Rsから出力された電荷信号を微弱なアナログ電圧信号に変換する電界効果トランジスタQ1からなっている。
【0028】
狭帯域フィルター1は、波長10μm程の生体赤外線のみを通過させるフィルターであり、ケースのセンサー受信窓口に設置されている。
【0029】
焦電素子Rsは、チタン酸鉛系セラミックスを利用し製作された生体赤外線検出素子であり、狭帯域フィルター1の裏面に設置されており、狭帯域フィルター1を透過した生体赤外線を受信し、焦電素子Rsの一方端子は電界効果トランジスタQ1のG極に接続され、他方端子は共通グラウンドGNDに接続されている。
【0030】
電界効果トランジスタQ1は型番SS4117のNチャネルMOSFETであり、電界効果トランジスタQ1のS端子は出力端子として、マイクロプロセッサチップU1の入力端子AI0に接続され、且つ共通グラウンドGNDとの間に並列接続された抵抗値56KΩの出力抵抗R1と容量値0.1μFの干渉防止容量C1が設置され、電界効果トランジスタQ1のD端子は直流電源端子であり、マイクロプロセッサチップU1のVDDA端子に接続されている。
【0031】
以上の内容は、具体的な好適な実施形態に合わせて本発明をさらに詳しく説明するためのものであり、本発明に係る具体的な実施形態はこれらの説明に限られることが認められない。本発明が属する技術分野の普通の技術者にとっては、本発明の趣旨を外れることなく、若干の変更や著しい変形を実施し、且つ機能または用途が相当である場合はもちろん、本発明の請求範囲にて請求する特許保護範囲に含まれると理解されなくてはならないであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受動赤外線輻射PIRセンサー部材と信号処理回路を備え、前記信号処理回路の入力端子と前記PIRセンサー部材の出力端子とが接続されたデジタル式生体赤外線受信機であって、
前記信号処理回路は、前記PIRセンサー部材と共に同一の金属ケースに集積され、前記PIRセンサー部材により、赤外線輻射から変換された微弱なアナログ電圧信号を検出し受信してから、直ちに同一のケース内における前記信号処理回路によりデジタル処理を行い、前記処理が完了した後、直接に探測エリアに入る人が存在するかどうかを表すデジタル信号を出力し、
前記信号処理回路には、マイクロプロセッサ回路であり、前記マイクロプロセッサ回路は高性能A/D変換機能を有する低消費電力のマイクロプロセッサチップが利用されており、
前記信号処理回路は、デジタル処理を行い、前記マイクロプロセッサチップでA/D変換を行うことによりアナログ信号をデジタル信号に変換してから、前記マイクロプロセッサチップに組み込まれたソフトウェアにより有用信号を識別するための処理を含む全部の処理プロセスを、前記マイクロプロセッサチップ内で完了させることを特徴とするデジタル式生体赤外線受信機。
【請求項2】
前記PIRセンサー部材は、狭帯域フィルターと、生体赤外線を電荷信号に変換するための焦電素子と、前記焦電素子から出力された電荷信号を微弱なアナログ電圧信号に変換するための電界効果トランジスタとを備えることを特徴とする請求項1に記載のデジタル式生体赤外線受信機。
【請求項3】
前記狭帯域フィルターは、10μm程の波長のみを通過させる生体赤外線のフィルターであり、前記ケースのセンサー受信窓口に設置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のデジタル式生体赤外線受信機。
【請求項4】
前記焦電素子は、高焦電係数材料で製作された生体赤外線検出素子であり、前記狭帯域フィルターの裏面に設置され、前記狭帯域フィルターを透過した生体赤外線を受信するものであり、前記焦電素子の一方の端子は前記電界効果トランジスタのG極に接続され、他方の端子は共通グラウンドに接続されていることを特徴とする請求項3に記載のデジタル式生体赤外線受信機。
【請求項5】
前記電界効果トランジスタは、Nチャネル金属酸化物半導体電界効果トランジスタであり、前記電界効果トランジスタのS端子は出力端子とし、前記マイクロプロセッサチップの入力端子AI0に接続され、且つ共通グラウンドとの間に並列接続された出力抵抗と干渉防止容量が設置され、前記電界効果トランジスタのD端子は直流電源端子とし、前記マイクロプロセッサチップのVDDA端子に接続されていることを特徴とする請求項4に記載のデジタル式生体赤外線受信機。
【請求項6】
前記マイクロプロセッサチップは、HY11P系の高集積度、低消費電力のマイクロプロセッサチップであり、高解析度のアナログ−デジタル変換器が内蔵され、その入力端子AI0は前記電界効果トランジスタのS端子に接続され、ポートP2.2は出力端子とし、そのVSS端子は共通グラウンドに接続され、そのVDD端子及びRST端子は電源+VDD端子に接続され、且つA/D変換に安定的な電圧を提供するように、そのVDDA端子と前記共通グラウンドGNDとの間に一個の整合容量が接続され、そのACM端子と前記共通グラウンドGNDとの間にもうひとつの整合容量が接続されていることを特徴とする請求項5に記載のデジタル式生体赤外線受信機。
【請求項7】
前記高焦電係数材料は、ジルコニウムチタン酸鉛系セラミックスと、タンタル酸リチウムと、硫酸トリグリシンとからなる群より選択されたいずれか一種であることを特徴とする請求項6に記載のデジタル式生体赤外線受信機。
【請求項8】
前記電界効果トランジスタは型番SS4117の電界効果トランジスタであることを特徴とする請求項7に記載のデジタル式生体赤外線受信機。
【請求項9】
前記マイクロプロセッサチップは型番HY11P41のマイクロプロセッサチップであることを特徴とする請求項8に記載のデジタル式生体赤外線受信機。
【請求項10】
前記ACM端子と共通グラウンドとの間に接続された整合容量の容量値は0.1μFであり、前記VDDA端子と共通グラウンドとの間に接続されたもう一つの整合容量の容量値は1μFであり、
前記出力抵抗の抵抗値は56KΩであり、前記干渉防止容量の容量値は0.1μFであることを特徴とする請求項9に記載のデジタル式生体赤外線受信機。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2013−88427(P2013−88427A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−141609(P2012−141609)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【出願人】(512166337)
【氏名又は名称原語表記】Li Yun fei
【出願人】(512166348)
【氏名又は名称原語表記】Zhao Hui liang