デジタル放送信号の再送信方法
【課題】NITの付け替えを行うだけで、衛星デジタル放送の信号を当該信号より伝送容量が小さいケーブルテレビジョン放送網を介してデジタルで再送信する方法を提供する。
【解決手段】1伝送チャネル当たりの帯域が40Mbpsである衛星デジタル放送の衛星帯域1,2のトランスポートストリーム(図2(a))を、番組単位かつCATV放送の1伝送チャネル当たりの帯域(29Mbps)を満足するように、それぞれ2つのCATV帯域の分割ストリーム(図2(b))に分割する。このとき、分割された各CATV帯域1〜4は、必要なNIT情報が付け替えられるだけで、衛星帯域1,2の信号に付随しているEPG1,2は、そのまま付加される。
【解決手段】1伝送チャネル当たりの帯域が40Mbpsである衛星デジタル放送の衛星帯域1,2のトランスポートストリーム(図2(a))を、番組単位かつCATV放送の1伝送チャネル当たりの帯域(29Mbps)を満足するように、それぞれ2つのCATV帯域の分割ストリーム(図2(b))に分割する。このとき、分割された各CATV帯域1〜4は、必要なNIT情報が付け替えられるだけで、衛星帯域1,2の信号に付随しているEPG1,2は、そのまま付加される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送信号の再送信方法に関し、より特定的には、衛星デジタル放送の信号を、当該信号より伝送容量が小さいケーブルテレビジョン放送網を介してデジタルで再送信する方法、加えて当該方法によって再送信された信号を受信する受信機で行う選局方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、通信衛星(CS)に続き、放送衛星(BS)によるデジタル方式のテレビジョン放送が開始され、無線放送の分野は、デジタル多チャネル化へ移行しつつある。一方、有線放送であるケーブルテレビジョン(CATV)システムでは、自らのデジタル化に加え、提供チャネル数の増大や加入者確保の観点から、これらの無線放送を一括受信して再送信することを従来より行っている。
【0003】
デジタル放送信号をCATVにてデジタルで再送信する方法として、トランスモジュレーション(変調変換)方式を用いた方法が存在する。このトランスモジュレーション方式では、デジタル放送の1伝送チャネル当たりの帯域が、CATVでの1伝送チャネル当たりの帯域以下であることが条件とされている。よって、1伝送チャネル当たりの帯域が最大28.259MbpsであるBSデジタル放送の信号や同帯域が29.162MbpsであるCSデジタル放送の信号は、1伝送チャネル当たりの帯域が29.162MbpsであるCATVで再送信を行うことができる。なお、BSデジタル放送のトランスモジュレーション方式に関しては、“社団法人日本CATV技術協会標準規格JCTEA STD−002−2.0「デジタル有線テレビジョン放送 多重化装置」”、“日本ケーブルラボ仕様JCL SPEC−001 1.0版「BSデジタル放送トランスモジュレーション運用仕様」”において規定されている。
【0004】
ところで、新たに開始されたBSデジタル放送の信号とCSデジタル放送の信号とを同一の設備で受信できるように、CSをBSと同じ東経110度の位置に打ち上げる計画が進んでいる。しかし、この新たな衛星を用いて行われるCSデジタル放送(以下、110度CSデジタル放送という)は、1伝送チャネル当たり39.1275Mbpsの帯域で運用される予定である。このため、この110度CSデジタル放送信号のCATVによるデジタル再送信には、上述したトランスモジュレーション方式を利用することができない。
【0005】
そこで、この110度CSデジタル放送信号をCATVにてデジタルで再送信する方法として、再多重(リマックス)方式を用いた方法が考えられる。図10は、再多重方式の概念を説明する図である。図11は、この再多重方式を行うために取り得る再多重システムの構成の一例を示す図である。図12は、図11のCS受信機及び多重化装置の詳細な構成の一例を示す図である。
この再多重方式とは、図10及び図11に示すように、1伝送チャネル当たり39.1275Mbpsの帯域(以下、衛星帯域と記す)の110度CSデジタル放送信号を、放送番組(ストリーム)数に相当する複数のCS受信機によって受信して、各番組を抽出する。そして、抽出した各番組をCATVでの1伝送チャネル当たり29.162Mbpsの帯域(以下、CATV帯域と記す)に収まるように再多重を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−350180号公報
【特許文献2】特開2000−174813号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】社団法人日本CATV技術協会標準規格JCTEA STD−002−2.0「デジタル有線テレビジョン放送 多重化装置」
【非特許文献2】日本ケーブルラボ仕様JCL SPEC−001 1.0版「BSデジタル放送トランスモジュレーション運用仕様」
【非特許文献3】社団法人日本CATV技術協会標準規格JCTEA STD−003−1.1「デジタル有線テレビジョン放送 番組配列情報の構成及び識別子の運用基準」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この再多重方式では、番組数に応じて専用のCS受信機を複数用意しなければならず、システム全体が高価になる。さらに、異なる衛星帯域の番組を1つのCATV帯域内に再多重するため、衛星帯域毎に番組に付随して提供される電子番組ガイド(EPG)を操作する必要が生じてくる。すなわち、各帯域で伝送されるEPGには、同一帯域内の番組に関する詳細情報を含める必要があるためである(なお、他の帯域の番組に関しては、詳細情報でも簡易情報でもよい)。
【0009】
このEPGを操作する方法としては、次の3つの方法がある。まず、第1の方法は、簡易型EPGを用いる方法である。簡易型EPGは、番組に付随したサービス情報(SI情報)を用いず、伝送路に関する物理的な情報等を持つネットワーク情報テーブル(NIT)に簡易的な番組情報を格納することで、NITの置き換えで実現可能である。NITは、SI情報に比べて情報量が少なく(数KB程度)、更新頻度が少なく(多くても数回/日)、静的な情報のため、NITの生成にリアルタイム処理を特に必要としない。このため、NITの置き換えは、SI情報の再構成に比べて簡易な構成で実現できる。しかし、簡易型EPGだけでは、110度CSデジタル放送のEPGで提供される受信機での機能、すなわち番組スケジュール表の表示、番組内容案内及び録画等の予約は実現できない。従って、この方法では、直接衛星波で放送を受信する場合とCATVを介して放送を受信する場合とで、サービスに差が生じるという問題が生じる。この問題は、サービス内容が制限されるCATV事業者側にとって、加入者獲得上の死活問題となる。なお、簡易型EPGについては、“社団法人日本CATV技術協会標準規格JCTEA STD−003−1.1「デジタル有線テレビジョン放送 番組配列情報の構成及び識別子の運用基準」”で定められている。
【0010】
第2の方法は、特開2000−350180号公報に記載されている変換テーブルを用いる方法である。しかし、この方法では、実際の番組構成と整合性の取れていないSI情報を送出しているため、JCTEA規格に準拠していないという問題がある。また、EPGの解析に全く新しい処理を追加しているため、この方法に対応したCATV用受信機のプログラムと直接波用受信機のプログラムとの共通化が難しくなるという問題がある。なお、110度CSデジタル放送では、EPG・データ放送等で行われる高度なサービスに対応させる必要があり、受信機のプログラムは複雑になる。そのため、CATV用受信機の専用ソフトウエアを開発することは現実的ではない。
【0011】
第3の方法は、SI情報の再構成を行う方法である。SI情報の再構成を行えば、JCTEA規格等に準拠し、直接波受信と同等なEPG機能をCATV受信で実現することができる。しかし、110度CSデジタル放送のSI情報の再構成は、以下の理由により困難である。まず、チャネル数が多く、また2週間先程度までの番組スケジュールの参照・予約を可能とするため、データ量が非常に多い。また、番組の開始・終了毎や、将来の番組スケジュールが変更される毎等において、SI情報の更新が頻繁に行われる。また、EPGの予約機能では、VTRの予約録画制御が可能であり、番組の延長等で番組時間枠が変更された場合でも、変更された時間枠での録画を可能としている。これは、受信機が随時SI情報を参照してVTRを制御するために実現できる機能である。従って、CATV用受信機で正しく録画を行うためには、SI情報が更新された場合にリアルタイムに再構成して送出する必要がある。また、リアルタイム処理を行っても、再構成にかかる時間・送出周期のタイミング等で間に合わない可能性もある。さらに、SI情報は、その重要度に応じて周期を変えて送出させる必要があるため、再構成したSI情報の送出も複雑かつ大規模になる。このように、全てのSI情報の中から再送信している番組に関するSI情報のみをリアルタイムに抽出し、再構成して送信するには、処理時間が間に合わない。また、SI情報の再構成を行う装置には、大量のメモリ、かつ、複雑な処理回路が要求されるため、CATVのセンタ局の設備が大規模で高価になる。従って、SI情報の再構成を行う方法は、現実的に実行不可能である。
【0012】
それ故、本発明の目的は、受信機の正常な選局動作のために、SI情報の複雑な変更や番組の再構成を行うことなく、NITの付け替えを行うだけで、デジタル放送の信号を、当該信号より伝送容量が小さいケーブルテレビジョン放送網を介してデジタルで再送信することが可能なデジタル放送信号の再送信方法を提供することである。また、本発明のさらなる目的は、MPEG・JCTEA等の規格に準拠しつつ、CATV用受信機でも直接波用受信機と全く同等な機能を安価で実現すると共に、双方の受信機プログラムの共通化を図ることが可能なデジタル放送信号の再送信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、衛星デジタル放送の伝送チャネルから信号を受信し、CATV(ケーブルテレビジョン)放送用の信号に変換して、CATV用の伝送チャネルに再送信する中継装置として用いられる送信装置と、再送信された信号を受信する複数の受信装置とにより構成される通信システムであって、送信装置は、衛星デジタル放送の複数の伝送チャネルから、TS(トランスポートストリーム)を受信し、復調する復調手段と、伝送チャネルごとに、復調されたTSに含まれる、複数の番組を構成するストリームを、CATV放送の1伝送チャネル当たりの伝送容量内に収まるよう番組単位で組分けし、復調されたTSに含まれる、少なくともSI情報(番組情報)およびPSI情報(番組特定情報)を、当該組分けされた各組に付加して、分割ストリームを複数生成するTS分割手段と、各々の分割ストリームと当該分割ストリームに含まれる番組と当該分割ストリームが含まれていたTSを識別するTS番号と当該分割ストリームを送信するCATV放送の伝送チャネルを識別する情報とを対応付ける情報を、再送信用NIT(番組選局情報)として生成し、当該生成された再送信用NITを、各々の分割ストリームに含まれるPSI情報内のNIT情報と付け替えるNIT付け替え手段と、各々の分割ストリームをCATV放送用の信号にデジタル変調する変調手段と、デジタル変調された各々の分割ストリームを混合してCATV放送の伝送チャネルへ送出する送出手段とを備え、受信装置は、CATV放送の伝送チャネルから変調された分割ストリームを受信し、復調する復調手段と、復調された分割ストリームに含まれるSI情報を用い、電子番組ガイド機能を提供し、選局された番組を含む分割ストリームと現在受信中の番組を含む分割ストリームとが同一であるか否かを、復調された分割ストリームに含まれる再送信用NITに基づいて判定し、同一でない場合、当該選局された番組を含む分割ストリームが送出されたCATV用の伝送チャネルに受信を切り替える制御手段とを備える。また、本発明は、このような通信システムにおいて用いられる信号変換、再送信および受信のための方法にも向けられている。
【発明の効果】
【0014】
上記のように、本発明によれば、衛星デジタル放送の信号を伝送チャネル毎に、CATV放送の伝送チャネル帯域の信号にTS分割する。これにより、番組選局のための情報を付け替えるだけで、伝送容量が小さいケーブルテレビジョン放送網を介して、伝送容量が大きい衛星デジタル放送の信号を、デジタルで再送信することが可能となる。また、SI情報を再構成しないので、MPEG・JCTEA等の規格に準拠した装置を実現することができる。さらに、CATV用受信機では、直接波用受信機と全く同等な機能を安価で実現させることが可能となる。
【0015】
また、伝送路に関する物理的な情報等を持つNITを、分割した番組に対応させて付け替えるだけで、110度CSデジタル放送等にも簡単に本発明の再送信方法を適用させることができる。
【0016】
また、CATV用受信機でも直接波用受信機と全く同等な機能を安価で実現することができると共に、双方の受信機プログラム(ソフトウエア)の共通化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタル放送信号の再送信方法を用いる再送信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るデジタル放送信号の再送信方法の概念を説明する図である。
【図3】図1のTS分割部12,22の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の再送信方法を適用できる受信機の一例を示すブロック図である。
【図5】図4の受信機で行われる選局動作の基本処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】CATV用NITの構成方法の概念を説明する図である。
【図7】本発明の再送信方法を適用できる他の受信機の一例を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るデジタル放送信号の再送信方法を用いる再送信装置の他の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るデジタル放送信号の再送信方法の概念を説明する図である。
【図10】従来の再多重方式の概念を説明する図である。
【図11】図10の再多重方式を行うために取り得る再多重システムの構成の一例を示す図である。
【図12】図11のCS受信機及び多重化装置の詳細な構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、1伝送チャネル当たりの帯域が39.1275Mbpsである110度CSデジタル放送信号を、1伝送チャネル当たりの帯域が29.162MbpsであるCATVにてデジタルで再送信する場合を例に挙げて、本発明のデジタル放送信号の再送信方法を説明する。なお、本実施形態では、番組1〜3を含む衛星帯域1の信号及び番組4〜6を含む衛星帯域2の信号からなるデジタル放送信号(図2(a))を、4つのCATV帯域1〜4を用いたデジタルCATV信号(同図(b))によって再送信する場合を説明している。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るデジタル放送信号の再送信方法を用いる装置の構成を示すブロック図である。図1において、本発明の再送信装置は、QPSK復調部11及び21と、TS分割部12及び22と、QAM変調部13,14及びQAM変調部23,24と、システム制御部15とを備える。図1に示すように、再送信装置は、受信するデジタル放送信号の衛星帯域毎に、QPSK復調部、TS分割部、及び2つのQAM変調部を構成している。なお、この例では、各TS分割部において1つの衛星帯域を2つのCATV帯域に分割するため2つQAM変調部を備える構成を示したが、その構成数は、TS分割部での分割数によって定まる。
図2は、本発明の一実施形態に係るデジタル放送信号の再送信方法の概念を説明する図である。
【0020】
アンテナを介して入力されたデジタル放送信号の内、衛星帯域1の信号は、QPSK復調部11に入力される。そして、QPSK復調部11は、QPSK変調が施されている衛星帯域1の信号を復調して、番組1〜3が含まれるTS(トランスポートストリーム)を抽出する。一方、アンテナを介して入力されたデジタル放送信号の内、衛星帯域2の信号は、QPSK復調部21に入力される。そして、QPSK復調部21は、QPSK変調が施されている衛星帯域2の信号を復調して、番組4〜6が含まれるTSを抽出する。なお、QPSK復調部11及び21では、110度CSデジタル放送信号に対応してQPSK方式の復調が行われるが、他の方式の変調が施されたデジタル放送信号である場合には、当該他の方式に応じた復調が行われることとなる。
【0021】
TS分割部12は、抽出された番組1〜3が含まれる衛星帯域1のTSを、番組単位かつ1伝送チャネル当たりの帯域(29.162Mbps)を満足するように、2つの分割ストリームに分割する(図2(b))。ここで、TS分割部12は、衛星帯域1の信号に付随しているEPG1を、そのまま2つの分割ストリームにそれぞれ格納する。また、TS分割部22は、抽出された番組4〜6が含まれる衛星帯域2のTSを、番組単位かつ1伝送チャネル当たりの帯域(29.162Mbps)を満足するように、2つの分割ストリームに分割する(図2(b))。ここで、TS分割部22は、衛星帯域2の信号に付随しているEPG2を、そのまま2つの分割ストリームにそれぞれ格納する。なお、TS分割の仕方は、図2(b)に示すものに限られない。
【0022】
ここで、TS分割部12,22の詳細な構成を説明する。図3は、TS分割部12,22の詳細な構成の一例を示すブロック図である。図3において、TS分割部12,22は、PSI解析部31と、伝送チャネル毎に、PIDフィルタリング部32と、NIT付け替え部33と、速度変換部34とを備える。
【0023】
まず、前提として、デジタル放送のTSでは、各情報や映像・音声等のストリームは、パケット化して多重化される。この各情報及びストリームは、パケットに付けられたパケットID(PID)によって識別することができる。1つのTSに多重される情報及びストリームには、番組情報を伝送するSI情報や、所望の番組を選択するのに必要な情報である番組特定情報(PSI情報)、及び番組を構成する映像・音声・付加データ等のストリームがある。各情報や映像・音声等のストリームの合計が伝送チャネルの帯域に満たない場合、NULLパケットと呼ばれるパケットがパディングに用いられる。PSI情報は、ネットワーク情報テーブル(NIT)、プログラムアソシエーションテーブル(PAT)、及びプログラムマップテーブル(PMT)等から構成される。NITは、伝送路に関する物理的な情報と番組の識別番号とを示す。PATは、NITのPID(110度CSデジタル放送では、PID=0x0010)と、そのTSに含まれる番組のPMTのPIDとを示す。PMTは、各番組を構成する映像・音声・付加データ等のストリームのPIDを示す。
【0024】
PSI解析部31は、入力されたTSからPSI情報を抽出し、各番組のPMTと番組を構成する映像・音声等のストリームのPIDとを取得する。そして、PSI解析部31は、各分割ストリームへの番組の割り振りに従って、各PIDフィルタリング部32で通過させるPIDをそれぞれ決定する。なお、110度CSデジタル放送では、SI情報、PAT及びNIT等の番組に属さないストリームのPIDは、0x0000〜0x002Fの範囲で割り振られるため、この範囲のPIDは両方のPIDフィルタリング部32で通過させる。PIDフィルタリング部32は、PSI解析部31の決定に基づき、通過させるPID以外のパケットをNULLパケットにそれぞれ置き換える。NIT付け替え部33は、NITを伝送するパケットを検出したら、CATV用のNITのパケットにそれぞれ付け替える。速度変換部34は、それぞれ、NULLパケットを削除することで分割ストリームの伝送速度をCATVの帯域に合わせ、PCR(Program Clock Reference;プログラムクロック基準参照値) 補正を行う。このPCRは、受信機が映像・音声等の再生のタイミングを測るのに用いているシステムクロックの歩調を合わせるため、TSに付加されている時刻情報である。速度変換部34では、NULLパケットの削除により、PCRパケットの受信機への到着時間がパケット毎に異なる遅延時間ジッタが発生する。このため、遅延時間ジッタによる受信機のシステムクロックの歩調乱れを防ぐためには、PCR補正を行う必要がある。PCR補正の方法としては、特開2000−174813号公報に記載されている方法を用いることができる。
【0025】
このようなTS分割部12,22の処理によって、図2に示すように、2つの衛星帯域1,2のTSから、4つのCATV帯域1〜4のTSを作成することができる。図2の例では、番組1のPMTとストリームとがCATV帯域1の分割ストリームに、番組2及び番組3のPMTとストリームとがCATV帯域2の分割ストリームに再送出される。また、PAT1及びSI情報1は、両方の分割ストリームに再送出される。衛星放送用のNITは、CATV放送用のNITに付け替えられて両方の分割ストリームで送出される。なお、図3では、NIT付け替え部33を、PIDフィルタリング部32と速度変換部34との間に設けるようにしているので伝送チャネル毎に必要となっているが、付け替えるNIT情報が分割された伝送チャネルで同一の場合は、PIDフィルタリング部32の前段に1つだけ設けるようにしてもよい。
【0026】
QAM変調部13,14は、TS分割部12から出力される2つの分割ストリームを、64値QAMにそれぞれデジタル変調する。一方、QAM変調部23,24は、TS分割部22から出力される2つの分割ストリームを、64値QAMにそれぞれデジタル変調する。なお、ここでは、各QAM変調部13,14,23及び24は、入力信号を64値QAMにデジタル変調する場合を説明したが、この変調方式は、デジタルCATVシステムの伝送方式に準じて定められることとなる。そして、デジタル変調後の各分割ストリームは、混合部(図示せず)で混合されてCATVの伝送路へ送出される。なお、システム制御部15は、再送信装置全体の制御を司る。
【0027】
次に、上述した再送信方法によって送出されたデジタルCATV信号を受信する装置を、図4及び図5を用いて説明する。図4は、本発明の再送信方法を適用できる受信機の構成の一例を示すブロック図である。図5は、受信機で行われる選局動作の基本処理の一例を示すフローチャートである。図4において、受信機は、QAM復調部41と、TSデコーダ42と、AVデコーダ43と、制御部44とを備える。QAM復調部41は、CATV伝送路を介して送信されてくるデジタルCATV信号を受信し、QAM復調を行って分割ストリームを抽出する。TSデコーダ42は、抽出された分割ストリームをデコードして番組信号を得る。AVデコーダ43は、デコードされた番組信号の映像・音声をデコードする。制御部44は、受信機全体の制御を司る。
【0028】
上述したように、本発明では、再送信装置において、入力されるデジタル放送信号のTSを2つに分割して再送信することに対し、EPG自体の再構成を行わずにNITの付け替えだけを行う。このため、受信機では、以下のような特徴的な選局動作が行われる。図5に示す選局動作は、表示されたEPG画面から又は直接リモコンのボタンを押す等で選局する番組の識別番号が、ユーザによって入力されると開始する。番組の識別番号が入力されると、受信機は、まず現在選局されている伝送チャネルのNITを受信する(ステップS51)。なお、予めNITを受信してメモリ内に保存しておき、この保存されたNITを読み出してもよい。こうすればステップS51を省略することができる。次に、受信機は、受信したNITの情報を検索して、選局された番組が、(1)現在選局されている分割ストリーム(自TSの自分割ストリーム)、(2)現在選局されている分割ストリームと同一TSの他の分割ストリーム(自TSの他分割ストリーム)、又は(3)現在選局されている分割ストリームと異なる帯域の分割ストリーム(他TS)、のいずれに存在するかを判断する(ステップS52,S53)。なお、自分割ストリームか他分割ストリームかの判断に必要な情報は、TS分割時に予めNIT内に書き込まれて受信機へ伝送される。
【0029】
上記ステップS52,S53で、選局された番組が自TSの自分割ストリームにあると判断した場合(上記(1))、受信機は、PATを受信して選局された番組のPMTのPIDを得て、当該番組のPMTを受信する(ステップS55,S56)。そして、受信機は、PMTから番組を構成する映像・音声等のストリームのPIDを得て、各ストリームを分離してデコードする(ステップS57)。一方、上記ステップS52,S53で、選局された番組が自TSの他分割ストリームにあると判断した場合(上記(2))及び他TSにあると判断した場合(上記(3))、受信機は、NITの情報を用いて、選局チャネルを当該番組が含まれている分割ストリームが伝送されているチャネルに移動させる(ステップS54)。そして、受信機は、移動させた伝送チャネルのPATを受信して選局された番組のPMTのPIDを得て、当該番組のPMTを受信する(ステップS55,S56)。そして、受信機は、PMTから番組を構成する映像・音声等のストリームのPIDを得て、各ストリームを分離してデコードする(ステップS57)。このように、選局動作時に、自分割ストリームか他分割ストリームかを判断するステップを設けることにより、TS識別子を変更させる必要がなくなり、受信機側のソフトウエアの変更が少なくて済む。
【0030】
最後に、CATV用NITの構成方法について説明する。NITで与えられる伝送路の物理的な情報は、概念的には図6のような構造にて伝送される。図6(a)は、衛星用NITを示したものであり、2つのTS(TS1及びTS2)によってネットワークが構成されていることを示している。ネットワークとは、同一分配システム内のTSの集まりに対して規定されるものであり、110度CSデジタル放送では、東経110度の位置に打ち上げられるCS衛星によるデジタル放送に対してネットワークが規定される。CATVでは、受信機が接続されている伝送路に送出されている全てのTSで1つのネットワークを構成する場合や、ヘッドエンドの設備毎にネットワークが複数規定される場合等がある。各TSが伝送される帯域の周波数情報等は衛星分配システム記述子(CATVの場合は、ケーブル分配システム記述子)として、TSに含まれる番組の識別子はサービスリスト記述子として、NITに記述される。図6(a)では、TS1が衛星帯域1で伝送され番組1、番組2及び番組3を含むことを示している。また、TS2が衛星帯域2で伝送され番組4、番組5及び番組6を含むことを示している。各TSには、トランスポートストリーム識別子及びオリジナルネットワーク識別子と呼ばれる各16ビットの識別子が与えられ、これら計32ビットの値によりネットワーク内でTSを一意に識別することができる。本発明のように、SI情報の再編成を行わずにデジタル放送信号を再送信する場合は、SI情報との整合性を保つためにこの識別子の値は変えてはならない。
【0031】
図6(b)は、CATV用NITの構成方法の一例を示す図である(第1の方法)。この第1の方法では、分割ストリームをそれぞれ独立したTSとしてNITを構成する。ここで、各分割ストリームには、分割前と同じトランスポートストリーム識別子及びオリジナルネットワーク識別子を付加する必要がある。このため、TSを一意に識別できるようにするには、分割前に同じTSを構成していた分割ストリームを同一ネットワークに収容することができない。そこで、再送出用にCATV側で2つのネットワーク(CATV−1,CATV−2)を定義し、分割前に同じTSを構成していた分割ストリームを含まないように、各ネットワークに分割ストリームをそれぞれ収容する。この場合、図5に示す選局された番組が自分割ストリームに存在するかを判定するステップS53では、新たに選局された番組が自ネットワーク(現在選局されている番組が存在するネットワークと同一のネットワーク)に存在するかで判断することができる。
【0032】
図6(c)は、CATV用NITの構成方法の他の一例を示す図である(第2の方法)。この第2の方法では、ケーブル分配システム記述子を拡張し、2つのチャネルの周波数情報等を格納する。この場合、図5に示すステップS53では、NITで伝送する記述子を別途定義するなどして、各番組が2つのチャネルのどちらに含まれるかの情報を伝送する必要がある。
【0033】
以上のように、本発明の一実施形態に係るデジタル放送信号の再送信方法では、衛星デジタル放送の信号を伝送チャネル毎に、CATV放送の伝送チャネル帯域の信号にTSを分割する。これにより、NIT情報の付け替えを行うだけで、伝送容量が小さいケーブルテレビジョン放送網を介して、伝送容量が大きい衛星デジタル放送の信号を、デジタルで再送信することが可能となる。また、SI情報を再構成しないので、MPEG・JCTEA等の規格に準拠した装置を実現することができる。また、CATV用受信機でも直接波用受信機と全く同等な機能を安価で実現することができると共に、双方の受信機プログラムの共通化を図ることが可能となる。
【0034】
なお、上記実施形態では、TS分割部12,22において、衛星帯域のTSを番組単位かつ1伝送チャネル当たりの帯域を満足するように、2つの分割ストリームに分割する場合を説明したが、番組単位である必要はなく任意の区切りでTSを分割しても構わない。ただし、この場合、1つの番組が2つの分割ストリームにまたがって再送信されることになるため、受信機側に2つの分割ストリームを個別に受信して合成する構成が必要となる。従って、この場合に対応する受信機は、例えば図7のように2つのQAM復調部とTS合成部とを備えた構成となり、上述した受信機に比べて高価となってしまう。
【0035】
また、上記実施形態では、TS分割部12,22において、衛星帯域のTSを番組単位かつ1伝送チャネル当たりの帯域を満足するように、2つの分割ストリームに分割するため、図2(b)のように番組が送信されない無駄な帯域が発生することになる(同図中、空白で示す部分)。そこで、本発明の他の実施形態に係る再送信装置として、図8に示す構成が考えられる。図8の複数TS多重化部71は、TS分割部12,22で無駄な帯域を含む分割ストリームの番組を多重化して、新たなCATV帯域を生成する。これにより、図9のようにCATV帯域を有効利用させることができる。
【符号の説明】
【0036】
11,21 QPSK復調部
12,22 TS分割部
13,14,23,24 QAM変調部
15 システム制御部
31 PSI解析部
32 PIDフィルタリング部
33 NIT付け替え部
34 速度変換部
41 QAM復調部
42 TSデコーダ
43 AVデコーダ
44 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送信号の再送信方法に関し、より特定的には、衛星デジタル放送の信号を、当該信号より伝送容量が小さいケーブルテレビジョン放送網を介してデジタルで再送信する方法、加えて当該方法によって再送信された信号を受信する受信機で行う選局方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、通信衛星(CS)に続き、放送衛星(BS)によるデジタル方式のテレビジョン放送が開始され、無線放送の分野は、デジタル多チャネル化へ移行しつつある。一方、有線放送であるケーブルテレビジョン(CATV)システムでは、自らのデジタル化に加え、提供チャネル数の増大や加入者確保の観点から、これらの無線放送を一括受信して再送信することを従来より行っている。
【0003】
デジタル放送信号をCATVにてデジタルで再送信する方法として、トランスモジュレーション(変調変換)方式を用いた方法が存在する。このトランスモジュレーション方式では、デジタル放送の1伝送チャネル当たりの帯域が、CATVでの1伝送チャネル当たりの帯域以下であることが条件とされている。よって、1伝送チャネル当たりの帯域が最大28.259MbpsであるBSデジタル放送の信号や同帯域が29.162MbpsであるCSデジタル放送の信号は、1伝送チャネル当たりの帯域が29.162MbpsであるCATVで再送信を行うことができる。なお、BSデジタル放送のトランスモジュレーション方式に関しては、“社団法人日本CATV技術協会標準規格JCTEA STD−002−2.0「デジタル有線テレビジョン放送 多重化装置」”、“日本ケーブルラボ仕様JCL SPEC−001 1.0版「BSデジタル放送トランスモジュレーション運用仕様」”において規定されている。
【0004】
ところで、新たに開始されたBSデジタル放送の信号とCSデジタル放送の信号とを同一の設備で受信できるように、CSをBSと同じ東経110度の位置に打ち上げる計画が進んでいる。しかし、この新たな衛星を用いて行われるCSデジタル放送(以下、110度CSデジタル放送という)は、1伝送チャネル当たり39.1275Mbpsの帯域で運用される予定である。このため、この110度CSデジタル放送信号のCATVによるデジタル再送信には、上述したトランスモジュレーション方式を利用することができない。
【0005】
そこで、この110度CSデジタル放送信号をCATVにてデジタルで再送信する方法として、再多重(リマックス)方式を用いた方法が考えられる。図10は、再多重方式の概念を説明する図である。図11は、この再多重方式を行うために取り得る再多重システムの構成の一例を示す図である。図12は、図11のCS受信機及び多重化装置の詳細な構成の一例を示す図である。
この再多重方式とは、図10及び図11に示すように、1伝送チャネル当たり39.1275Mbpsの帯域(以下、衛星帯域と記す)の110度CSデジタル放送信号を、放送番組(ストリーム)数に相当する複数のCS受信機によって受信して、各番組を抽出する。そして、抽出した各番組をCATVでの1伝送チャネル当たり29.162Mbpsの帯域(以下、CATV帯域と記す)に収まるように再多重を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−350180号公報
【特許文献2】特開2000−174813号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】社団法人日本CATV技術協会標準規格JCTEA STD−002−2.0「デジタル有線テレビジョン放送 多重化装置」
【非特許文献2】日本ケーブルラボ仕様JCL SPEC−001 1.0版「BSデジタル放送トランスモジュレーション運用仕様」
【非特許文献3】社団法人日本CATV技術協会標準規格JCTEA STD−003−1.1「デジタル有線テレビジョン放送 番組配列情報の構成及び識別子の運用基準」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この再多重方式では、番組数に応じて専用のCS受信機を複数用意しなければならず、システム全体が高価になる。さらに、異なる衛星帯域の番組を1つのCATV帯域内に再多重するため、衛星帯域毎に番組に付随して提供される電子番組ガイド(EPG)を操作する必要が生じてくる。すなわち、各帯域で伝送されるEPGには、同一帯域内の番組に関する詳細情報を含める必要があるためである(なお、他の帯域の番組に関しては、詳細情報でも簡易情報でもよい)。
【0009】
このEPGを操作する方法としては、次の3つの方法がある。まず、第1の方法は、簡易型EPGを用いる方法である。簡易型EPGは、番組に付随したサービス情報(SI情報)を用いず、伝送路に関する物理的な情報等を持つネットワーク情報テーブル(NIT)に簡易的な番組情報を格納することで、NITの置き換えで実現可能である。NITは、SI情報に比べて情報量が少なく(数KB程度)、更新頻度が少なく(多くても数回/日)、静的な情報のため、NITの生成にリアルタイム処理を特に必要としない。このため、NITの置き換えは、SI情報の再構成に比べて簡易な構成で実現できる。しかし、簡易型EPGだけでは、110度CSデジタル放送のEPGで提供される受信機での機能、すなわち番組スケジュール表の表示、番組内容案内及び録画等の予約は実現できない。従って、この方法では、直接衛星波で放送を受信する場合とCATVを介して放送を受信する場合とで、サービスに差が生じるという問題が生じる。この問題は、サービス内容が制限されるCATV事業者側にとって、加入者獲得上の死活問題となる。なお、簡易型EPGについては、“社団法人日本CATV技術協会標準規格JCTEA STD−003−1.1「デジタル有線テレビジョン放送 番組配列情報の構成及び識別子の運用基準」”で定められている。
【0010】
第2の方法は、特開2000−350180号公報に記載されている変換テーブルを用いる方法である。しかし、この方法では、実際の番組構成と整合性の取れていないSI情報を送出しているため、JCTEA規格に準拠していないという問題がある。また、EPGの解析に全く新しい処理を追加しているため、この方法に対応したCATV用受信機のプログラムと直接波用受信機のプログラムとの共通化が難しくなるという問題がある。なお、110度CSデジタル放送では、EPG・データ放送等で行われる高度なサービスに対応させる必要があり、受信機のプログラムは複雑になる。そのため、CATV用受信機の専用ソフトウエアを開発することは現実的ではない。
【0011】
第3の方法は、SI情報の再構成を行う方法である。SI情報の再構成を行えば、JCTEA規格等に準拠し、直接波受信と同等なEPG機能をCATV受信で実現することができる。しかし、110度CSデジタル放送のSI情報の再構成は、以下の理由により困難である。まず、チャネル数が多く、また2週間先程度までの番組スケジュールの参照・予約を可能とするため、データ量が非常に多い。また、番組の開始・終了毎や、将来の番組スケジュールが変更される毎等において、SI情報の更新が頻繁に行われる。また、EPGの予約機能では、VTRの予約録画制御が可能であり、番組の延長等で番組時間枠が変更された場合でも、変更された時間枠での録画を可能としている。これは、受信機が随時SI情報を参照してVTRを制御するために実現できる機能である。従って、CATV用受信機で正しく録画を行うためには、SI情報が更新された場合にリアルタイムに再構成して送出する必要がある。また、リアルタイム処理を行っても、再構成にかかる時間・送出周期のタイミング等で間に合わない可能性もある。さらに、SI情報は、その重要度に応じて周期を変えて送出させる必要があるため、再構成したSI情報の送出も複雑かつ大規模になる。このように、全てのSI情報の中から再送信している番組に関するSI情報のみをリアルタイムに抽出し、再構成して送信するには、処理時間が間に合わない。また、SI情報の再構成を行う装置には、大量のメモリ、かつ、複雑な処理回路が要求されるため、CATVのセンタ局の設備が大規模で高価になる。従って、SI情報の再構成を行う方法は、現実的に実行不可能である。
【0012】
それ故、本発明の目的は、受信機の正常な選局動作のために、SI情報の複雑な変更や番組の再構成を行うことなく、NITの付け替えを行うだけで、デジタル放送の信号を、当該信号より伝送容量が小さいケーブルテレビジョン放送網を介してデジタルで再送信することが可能なデジタル放送信号の再送信方法を提供することである。また、本発明のさらなる目的は、MPEG・JCTEA等の規格に準拠しつつ、CATV用受信機でも直接波用受信機と全く同等な機能を安価で実現すると共に、双方の受信機プログラムの共通化を図ることが可能なデジタル放送信号の再送信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、衛星デジタル放送の伝送チャネルから信号を受信し、CATV(ケーブルテレビジョン)放送用の信号に変換して、CATV用の伝送チャネルに再送信する中継装置として用いられる送信装置と、再送信された信号を受信する複数の受信装置とにより構成される通信システムであって、送信装置は、衛星デジタル放送の複数の伝送チャネルから、TS(トランスポートストリーム)を受信し、復調する復調手段と、伝送チャネルごとに、復調されたTSに含まれる、複数の番組を構成するストリームを、CATV放送の1伝送チャネル当たりの伝送容量内に収まるよう番組単位で組分けし、復調されたTSに含まれる、少なくともSI情報(番組情報)およびPSI情報(番組特定情報)を、当該組分けされた各組に付加して、分割ストリームを複数生成するTS分割手段と、各々の分割ストリームと当該分割ストリームに含まれる番組と当該分割ストリームが含まれていたTSを識別するTS番号と当該分割ストリームを送信するCATV放送の伝送チャネルを識別する情報とを対応付ける情報を、再送信用NIT(番組選局情報)として生成し、当該生成された再送信用NITを、各々の分割ストリームに含まれるPSI情報内のNIT情報と付け替えるNIT付け替え手段と、各々の分割ストリームをCATV放送用の信号にデジタル変調する変調手段と、デジタル変調された各々の分割ストリームを混合してCATV放送の伝送チャネルへ送出する送出手段とを備え、受信装置は、CATV放送の伝送チャネルから変調された分割ストリームを受信し、復調する復調手段と、復調された分割ストリームに含まれるSI情報を用い、電子番組ガイド機能を提供し、選局された番組を含む分割ストリームと現在受信中の番組を含む分割ストリームとが同一であるか否かを、復調された分割ストリームに含まれる再送信用NITに基づいて判定し、同一でない場合、当該選局された番組を含む分割ストリームが送出されたCATV用の伝送チャネルに受信を切り替える制御手段とを備える。また、本発明は、このような通信システムにおいて用いられる信号変換、再送信および受信のための方法にも向けられている。
【発明の効果】
【0014】
上記のように、本発明によれば、衛星デジタル放送の信号を伝送チャネル毎に、CATV放送の伝送チャネル帯域の信号にTS分割する。これにより、番組選局のための情報を付け替えるだけで、伝送容量が小さいケーブルテレビジョン放送網を介して、伝送容量が大きい衛星デジタル放送の信号を、デジタルで再送信することが可能となる。また、SI情報を再構成しないので、MPEG・JCTEA等の規格に準拠した装置を実現することができる。さらに、CATV用受信機では、直接波用受信機と全く同等な機能を安価で実現させることが可能となる。
【0015】
また、伝送路に関する物理的な情報等を持つNITを、分割した番組に対応させて付け替えるだけで、110度CSデジタル放送等にも簡単に本発明の再送信方法を適用させることができる。
【0016】
また、CATV用受信機でも直接波用受信機と全く同等な機能を安価で実現することができると共に、双方の受信機プログラム(ソフトウエア)の共通化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るデジタル放送信号の再送信方法を用いる再送信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るデジタル放送信号の再送信方法の概念を説明する図である。
【図3】図1のTS分割部12,22の詳細な構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本発明の再送信方法を適用できる受信機の一例を示すブロック図である。
【図5】図4の受信機で行われる選局動作の基本処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】CATV用NITの構成方法の概念を説明する図である。
【図7】本発明の再送信方法を適用できる他の受信機の一例を示すブロック図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るデジタル放送信号の再送信方法を用いる再送信装置の他の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るデジタル放送信号の再送信方法の概念を説明する図である。
【図10】従来の再多重方式の概念を説明する図である。
【図11】図10の再多重方式を行うために取り得る再多重システムの構成の一例を示す図である。
【図12】図11のCS受信機及び多重化装置の詳細な構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、1伝送チャネル当たりの帯域が39.1275Mbpsである110度CSデジタル放送信号を、1伝送チャネル当たりの帯域が29.162MbpsであるCATVにてデジタルで再送信する場合を例に挙げて、本発明のデジタル放送信号の再送信方法を説明する。なお、本実施形態では、番組1〜3を含む衛星帯域1の信号及び番組4〜6を含む衛星帯域2の信号からなるデジタル放送信号(図2(a))を、4つのCATV帯域1〜4を用いたデジタルCATV信号(同図(b))によって再送信する場合を説明している。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るデジタル放送信号の再送信方法を用いる装置の構成を示すブロック図である。図1において、本発明の再送信装置は、QPSK復調部11及び21と、TS分割部12及び22と、QAM変調部13,14及びQAM変調部23,24と、システム制御部15とを備える。図1に示すように、再送信装置は、受信するデジタル放送信号の衛星帯域毎に、QPSK復調部、TS分割部、及び2つのQAM変調部を構成している。なお、この例では、各TS分割部において1つの衛星帯域を2つのCATV帯域に分割するため2つQAM変調部を備える構成を示したが、その構成数は、TS分割部での分割数によって定まる。
図2は、本発明の一実施形態に係るデジタル放送信号の再送信方法の概念を説明する図である。
【0020】
アンテナを介して入力されたデジタル放送信号の内、衛星帯域1の信号は、QPSK復調部11に入力される。そして、QPSK復調部11は、QPSK変調が施されている衛星帯域1の信号を復調して、番組1〜3が含まれるTS(トランスポートストリーム)を抽出する。一方、アンテナを介して入力されたデジタル放送信号の内、衛星帯域2の信号は、QPSK復調部21に入力される。そして、QPSK復調部21は、QPSK変調が施されている衛星帯域2の信号を復調して、番組4〜6が含まれるTSを抽出する。なお、QPSK復調部11及び21では、110度CSデジタル放送信号に対応してQPSK方式の復調が行われるが、他の方式の変調が施されたデジタル放送信号である場合には、当該他の方式に応じた復調が行われることとなる。
【0021】
TS分割部12は、抽出された番組1〜3が含まれる衛星帯域1のTSを、番組単位かつ1伝送チャネル当たりの帯域(29.162Mbps)を満足するように、2つの分割ストリームに分割する(図2(b))。ここで、TS分割部12は、衛星帯域1の信号に付随しているEPG1を、そのまま2つの分割ストリームにそれぞれ格納する。また、TS分割部22は、抽出された番組4〜6が含まれる衛星帯域2のTSを、番組単位かつ1伝送チャネル当たりの帯域(29.162Mbps)を満足するように、2つの分割ストリームに分割する(図2(b))。ここで、TS分割部22は、衛星帯域2の信号に付随しているEPG2を、そのまま2つの分割ストリームにそれぞれ格納する。なお、TS分割の仕方は、図2(b)に示すものに限られない。
【0022】
ここで、TS分割部12,22の詳細な構成を説明する。図3は、TS分割部12,22の詳細な構成の一例を示すブロック図である。図3において、TS分割部12,22は、PSI解析部31と、伝送チャネル毎に、PIDフィルタリング部32と、NIT付け替え部33と、速度変換部34とを備える。
【0023】
まず、前提として、デジタル放送のTSでは、各情報や映像・音声等のストリームは、パケット化して多重化される。この各情報及びストリームは、パケットに付けられたパケットID(PID)によって識別することができる。1つのTSに多重される情報及びストリームには、番組情報を伝送するSI情報や、所望の番組を選択するのに必要な情報である番組特定情報(PSI情報)、及び番組を構成する映像・音声・付加データ等のストリームがある。各情報や映像・音声等のストリームの合計が伝送チャネルの帯域に満たない場合、NULLパケットと呼ばれるパケットがパディングに用いられる。PSI情報は、ネットワーク情報テーブル(NIT)、プログラムアソシエーションテーブル(PAT)、及びプログラムマップテーブル(PMT)等から構成される。NITは、伝送路に関する物理的な情報と番組の識別番号とを示す。PATは、NITのPID(110度CSデジタル放送では、PID=0x0010)と、そのTSに含まれる番組のPMTのPIDとを示す。PMTは、各番組を構成する映像・音声・付加データ等のストリームのPIDを示す。
【0024】
PSI解析部31は、入力されたTSからPSI情報を抽出し、各番組のPMTと番組を構成する映像・音声等のストリームのPIDとを取得する。そして、PSI解析部31は、各分割ストリームへの番組の割り振りに従って、各PIDフィルタリング部32で通過させるPIDをそれぞれ決定する。なお、110度CSデジタル放送では、SI情報、PAT及びNIT等の番組に属さないストリームのPIDは、0x0000〜0x002Fの範囲で割り振られるため、この範囲のPIDは両方のPIDフィルタリング部32で通過させる。PIDフィルタリング部32は、PSI解析部31の決定に基づき、通過させるPID以外のパケットをNULLパケットにそれぞれ置き換える。NIT付け替え部33は、NITを伝送するパケットを検出したら、CATV用のNITのパケットにそれぞれ付け替える。速度変換部34は、それぞれ、NULLパケットを削除することで分割ストリームの伝送速度をCATVの帯域に合わせ、PCR(Program Clock Reference;プログラムクロック基準参照値) 補正を行う。このPCRは、受信機が映像・音声等の再生のタイミングを測るのに用いているシステムクロックの歩調を合わせるため、TSに付加されている時刻情報である。速度変換部34では、NULLパケットの削除により、PCRパケットの受信機への到着時間がパケット毎に異なる遅延時間ジッタが発生する。このため、遅延時間ジッタによる受信機のシステムクロックの歩調乱れを防ぐためには、PCR補正を行う必要がある。PCR補正の方法としては、特開2000−174813号公報に記載されている方法を用いることができる。
【0025】
このようなTS分割部12,22の処理によって、図2に示すように、2つの衛星帯域1,2のTSから、4つのCATV帯域1〜4のTSを作成することができる。図2の例では、番組1のPMTとストリームとがCATV帯域1の分割ストリームに、番組2及び番組3のPMTとストリームとがCATV帯域2の分割ストリームに再送出される。また、PAT1及びSI情報1は、両方の分割ストリームに再送出される。衛星放送用のNITは、CATV放送用のNITに付け替えられて両方の分割ストリームで送出される。なお、図3では、NIT付け替え部33を、PIDフィルタリング部32と速度変換部34との間に設けるようにしているので伝送チャネル毎に必要となっているが、付け替えるNIT情報が分割された伝送チャネルで同一の場合は、PIDフィルタリング部32の前段に1つだけ設けるようにしてもよい。
【0026】
QAM変調部13,14は、TS分割部12から出力される2つの分割ストリームを、64値QAMにそれぞれデジタル変調する。一方、QAM変調部23,24は、TS分割部22から出力される2つの分割ストリームを、64値QAMにそれぞれデジタル変調する。なお、ここでは、各QAM変調部13,14,23及び24は、入力信号を64値QAMにデジタル変調する場合を説明したが、この変調方式は、デジタルCATVシステムの伝送方式に準じて定められることとなる。そして、デジタル変調後の各分割ストリームは、混合部(図示せず)で混合されてCATVの伝送路へ送出される。なお、システム制御部15は、再送信装置全体の制御を司る。
【0027】
次に、上述した再送信方法によって送出されたデジタルCATV信号を受信する装置を、図4及び図5を用いて説明する。図4は、本発明の再送信方法を適用できる受信機の構成の一例を示すブロック図である。図5は、受信機で行われる選局動作の基本処理の一例を示すフローチャートである。図4において、受信機は、QAM復調部41と、TSデコーダ42と、AVデコーダ43と、制御部44とを備える。QAM復調部41は、CATV伝送路を介して送信されてくるデジタルCATV信号を受信し、QAM復調を行って分割ストリームを抽出する。TSデコーダ42は、抽出された分割ストリームをデコードして番組信号を得る。AVデコーダ43は、デコードされた番組信号の映像・音声をデコードする。制御部44は、受信機全体の制御を司る。
【0028】
上述したように、本発明では、再送信装置において、入力されるデジタル放送信号のTSを2つに分割して再送信することに対し、EPG自体の再構成を行わずにNITの付け替えだけを行う。このため、受信機では、以下のような特徴的な選局動作が行われる。図5に示す選局動作は、表示されたEPG画面から又は直接リモコンのボタンを押す等で選局する番組の識別番号が、ユーザによって入力されると開始する。番組の識別番号が入力されると、受信機は、まず現在選局されている伝送チャネルのNITを受信する(ステップS51)。なお、予めNITを受信してメモリ内に保存しておき、この保存されたNITを読み出してもよい。こうすればステップS51を省略することができる。次に、受信機は、受信したNITの情報を検索して、選局された番組が、(1)現在選局されている分割ストリーム(自TSの自分割ストリーム)、(2)現在選局されている分割ストリームと同一TSの他の分割ストリーム(自TSの他分割ストリーム)、又は(3)現在選局されている分割ストリームと異なる帯域の分割ストリーム(他TS)、のいずれに存在するかを判断する(ステップS52,S53)。なお、自分割ストリームか他分割ストリームかの判断に必要な情報は、TS分割時に予めNIT内に書き込まれて受信機へ伝送される。
【0029】
上記ステップS52,S53で、選局された番組が自TSの自分割ストリームにあると判断した場合(上記(1))、受信機は、PATを受信して選局された番組のPMTのPIDを得て、当該番組のPMTを受信する(ステップS55,S56)。そして、受信機は、PMTから番組を構成する映像・音声等のストリームのPIDを得て、各ストリームを分離してデコードする(ステップS57)。一方、上記ステップS52,S53で、選局された番組が自TSの他分割ストリームにあると判断した場合(上記(2))及び他TSにあると判断した場合(上記(3))、受信機は、NITの情報を用いて、選局チャネルを当該番組が含まれている分割ストリームが伝送されているチャネルに移動させる(ステップS54)。そして、受信機は、移動させた伝送チャネルのPATを受信して選局された番組のPMTのPIDを得て、当該番組のPMTを受信する(ステップS55,S56)。そして、受信機は、PMTから番組を構成する映像・音声等のストリームのPIDを得て、各ストリームを分離してデコードする(ステップS57)。このように、選局動作時に、自分割ストリームか他分割ストリームかを判断するステップを設けることにより、TS識別子を変更させる必要がなくなり、受信機側のソフトウエアの変更が少なくて済む。
【0030】
最後に、CATV用NITの構成方法について説明する。NITで与えられる伝送路の物理的な情報は、概念的には図6のような構造にて伝送される。図6(a)は、衛星用NITを示したものであり、2つのTS(TS1及びTS2)によってネットワークが構成されていることを示している。ネットワークとは、同一分配システム内のTSの集まりに対して規定されるものであり、110度CSデジタル放送では、東経110度の位置に打ち上げられるCS衛星によるデジタル放送に対してネットワークが規定される。CATVでは、受信機が接続されている伝送路に送出されている全てのTSで1つのネットワークを構成する場合や、ヘッドエンドの設備毎にネットワークが複数規定される場合等がある。各TSが伝送される帯域の周波数情報等は衛星分配システム記述子(CATVの場合は、ケーブル分配システム記述子)として、TSに含まれる番組の識別子はサービスリスト記述子として、NITに記述される。図6(a)では、TS1が衛星帯域1で伝送され番組1、番組2及び番組3を含むことを示している。また、TS2が衛星帯域2で伝送され番組4、番組5及び番組6を含むことを示している。各TSには、トランスポートストリーム識別子及びオリジナルネットワーク識別子と呼ばれる各16ビットの識別子が与えられ、これら計32ビットの値によりネットワーク内でTSを一意に識別することができる。本発明のように、SI情報の再編成を行わずにデジタル放送信号を再送信する場合は、SI情報との整合性を保つためにこの識別子の値は変えてはならない。
【0031】
図6(b)は、CATV用NITの構成方法の一例を示す図である(第1の方法)。この第1の方法では、分割ストリームをそれぞれ独立したTSとしてNITを構成する。ここで、各分割ストリームには、分割前と同じトランスポートストリーム識別子及びオリジナルネットワーク識別子を付加する必要がある。このため、TSを一意に識別できるようにするには、分割前に同じTSを構成していた分割ストリームを同一ネットワークに収容することができない。そこで、再送出用にCATV側で2つのネットワーク(CATV−1,CATV−2)を定義し、分割前に同じTSを構成していた分割ストリームを含まないように、各ネットワークに分割ストリームをそれぞれ収容する。この場合、図5に示す選局された番組が自分割ストリームに存在するかを判定するステップS53では、新たに選局された番組が自ネットワーク(現在選局されている番組が存在するネットワークと同一のネットワーク)に存在するかで判断することができる。
【0032】
図6(c)は、CATV用NITの構成方法の他の一例を示す図である(第2の方法)。この第2の方法では、ケーブル分配システム記述子を拡張し、2つのチャネルの周波数情報等を格納する。この場合、図5に示すステップS53では、NITで伝送する記述子を別途定義するなどして、各番組が2つのチャネルのどちらに含まれるかの情報を伝送する必要がある。
【0033】
以上のように、本発明の一実施形態に係るデジタル放送信号の再送信方法では、衛星デジタル放送の信号を伝送チャネル毎に、CATV放送の伝送チャネル帯域の信号にTSを分割する。これにより、NIT情報の付け替えを行うだけで、伝送容量が小さいケーブルテレビジョン放送網を介して、伝送容量が大きい衛星デジタル放送の信号を、デジタルで再送信することが可能となる。また、SI情報を再構成しないので、MPEG・JCTEA等の規格に準拠した装置を実現することができる。また、CATV用受信機でも直接波用受信機と全く同等な機能を安価で実現することができると共に、双方の受信機プログラムの共通化を図ることが可能となる。
【0034】
なお、上記実施形態では、TS分割部12,22において、衛星帯域のTSを番組単位かつ1伝送チャネル当たりの帯域を満足するように、2つの分割ストリームに分割する場合を説明したが、番組単位である必要はなく任意の区切りでTSを分割しても構わない。ただし、この場合、1つの番組が2つの分割ストリームにまたがって再送信されることになるため、受信機側に2つの分割ストリームを個別に受信して合成する構成が必要となる。従って、この場合に対応する受信機は、例えば図7のように2つのQAM復調部とTS合成部とを備えた構成となり、上述した受信機に比べて高価となってしまう。
【0035】
また、上記実施形態では、TS分割部12,22において、衛星帯域のTSを番組単位かつ1伝送チャネル当たりの帯域を満足するように、2つの分割ストリームに分割するため、図2(b)のように番組が送信されない無駄な帯域が発生することになる(同図中、空白で示す部分)。そこで、本発明の他の実施形態に係る再送信装置として、図8に示す構成が考えられる。図8の複数TS多重化部71は、TS分割部12,22で無駄な帯域を含む分割ストリームの番組を多重化して、新たなCATV帯域を生成する。これにより、図9のようにCATV帯域を有効利用させることができる。
【符号の説明】
【0036】
11,21 QPSK復調部
12,22 TS分割部
13,14,23,24 QAM変調部
15 システム制御部
31 PSI解析部
32 PIDフィルタリング部
33 NIT付け替え部
34 速度変換部
41 QAM復調部
42 TSデコーダ
43 AVデコーダ
44 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衛星デジタル放送の伝送チャネルから信号を受信し、CATV(ケーブルテレビジョン)放送用の信号に変換して、CATV用の伝送チャネルに再送信する中継装置として用いられる送信装置と、再送信された信号を受信する複数の受信装置とにより構成される通信システムであって、
前記送信装置は、
衛星デジタル放送の複数の伝送チャネルから、TS(トランスポートストリーム)を受信し、復調する復調手段と、
前記伝送チャネルごとに、復調された前記TSに含まれる、複数の番組を構成するストリームを、CATV放送の1伝送チャネル当たりの伝送容量内に収まるよう番組単位で組分けし、復調された前記TSに含まれる、少なくともSI情報(番組情報)およびPSI情報(番組特定情報)を、当該組分けされた各組に付加して、分割ストリームを複数生成するTS分割手段と、
各々の前記分割ストリームと当該分割ストリームに含まれる番組と当該分割ストリームが含まれていた前記TSを識別するTS番号と当該分割ストリームを送信するCATV放送の伝送チャネルを識別する情報とを対応付ける情報を、再送信用NIT(番組選局情報)として生成し、当該生成された再送信用NITを、各々の前記分割ストリームに含まれる前記PSI情報内のNIT情報と付け替えるNIT付け替え手段と、
各々の前記分割ストリームをCATV放送用の信号にデジタル変調する変調手段と、
前記デジタル変調された各々の前記分割ストリームを混合してCATV放送の伝送チャネルへ送出する送出手段とを備え、
同じ前記TSに含まれていた前記分割ストリームと他の前記分割ストリームとは、それぞれ異なるCATV放送の伝送チャネルへ送出され、
前記受信装置は、
CATV放送の伝送チャネルから、変調された前記分割ストリームを受信し、復調する復調手段と、
復調された前記分割ストリームに含まれる前記SI情報を用い、電子番組ガイド機能を提供し、選局された番組を含む前記分割ストリームと現在受信中の番組を含む前記分割ストリームとが同一であるか否かを、復調された前記分割ストリームに含まれる前記再送信用NITに基づいて判定し、同一でない場合、当該選局された番組を含む分割ストリームが送出されたCATV用の伝送チャネルに受信を切り替える制御手段とを備え、
前記1伝送チャネル当たりの伝送容量は、29.162Mbpsである、通信システム。
【請求項2】
衛星デジタル放送の伝送チャネルから信号を受信し、CATV(ケーブルテレビジョン)放送用の信号に変換して、CATV用の伝送チャネルに再送信する中継装置として用いられる送信装置と、再送信された信号を受信する複数の受信装置とにより構成される通信システムで用いられる、再送信および受信のための方法あって、
前記送信装置は、
衛星デジタル放送の複数の伝送チャネルから、TS(トランスポートストリーム)を受信し、復調する復調ステップと、
前記伝送チャネルごとに、復調された前記TSに含まれる、複数の番組を構成するストリームを、CATV放送の1伝送チャネル当たりの伝送容量内に収まるよう番組単位で組分けし、復調された前記TSに含まれる、少なくともSI情報(番組情報)およびPSI情報(番組特定情報)を、当該組分けされた各組に付加して、分割ストリームを複数生成するTS分割ステップと、
各々の前記分割ストリームと当該分割ストリームに含まれる番組と当該分割ストリームが含まれていた前記TSを識別するTS番号と当該分割ストリームを送信するCATV放送の伝送チャネルを識別する情報とを対応付ける情報を、再送信用NIT(番組選局情報)として生成し、当該生成された再送信用NITを、各々の前記分割ストリームに含まれる前記PSI情報内のNIT情報と付け替えるNIT付け替えステップと、
各々の前記分割ストリームをCATV放送用の信号にデジタル変調する変調ステップと、
前記デジタル変調された各々の前記分割ストリームを混合してCATV放送の伝送チャネルへ送出する送出ステップとを含む再送信ステップを実行し、
同じ前記TSに含まれていた前記分割ストリームと他の前記分割ストリームとは、それぞれ異なるCATV放送の伝送チャネルへ送出され、
前記受信装置は、
CATV放送の伝送チャネルから、変調された前記分割ストリームを受信し、復調する復調ステップと、
復調された前記分割ストリームに含まれる前記SI情報を用い、電子番組ガイド機能を提供し、選局された番組を含む前記分割ストリームと現在受信中の番組を含む前記分割ストリームとが同一であるか否かを、復調された前記分割ストリームに含まれる前記再送信用NITに基づいて判定し、同一でない場合、当該選局された番組を含む分割ストリームが送出されたCATV用の伝送チャネルに受信を切り替える制御ステップとを含む受信ステップとを実行し、
前記1伝送チャネル当たりの伝送容量は、29.162Mbpsである、再送信および受信のための方法。
【請求項1】
衛星デジタル放送の伝送チャネルから信号を受信し、CATV(ケーブルテレビジョン)放送用の信号に変換して、CATV用の伝送チャネルに再送信する中継装置として用いられる送信装置と、再送信された信号を受信する複数の受信装置とにより構成される通信システムであって、
前記送信装置は、
衛星デジタル放送の複数の伝送チャネルから、TS(トランスポートストリーム)を受信し、復調する復調手段と、
前記伝送チャネルごとに、復調された前記TSに含まれる、複数の番組を構成するストリームを、CATV放送の1伝送チャネル当たりの伝送容量内に収まるよう番組単位で組分けし、復調された前記TSに含まれる、少なくともSI情報(番組情報)およびPSI情報(番組特定情報)を、当該組分けされた各組に付加して、分割ストリームを複数生成するTS分割手段と、
各々の前記分割ストリームと当該分割ストリームに含まれる番組と当該分割ストリームが含まれていた前記TSを識別するTS番号と当該分割ストリームを送信するCATV放送の伝送チャネルを識別する情報とを対応付ける情報を、再送信用NIT(番組選局情報)として生成し、当該生成された再送信用NITを、各々の前記分割ストリームに含まれる前記PSI情報内のNIT情報と付け替えるNIT付け替え手段と、
各々の前記分割ストリームをCATV放送用の信号にデジタル変調する変調手段と、
前記デジタル変調された各々の前記分割ストリームを混合してCATV放送の伝送チャネルへ送出する送出手段とを備え、
同じ前記TSに含まれていた前記分割ストリームと他の前記分割ストリームとは、それぞれ異なるCATV放送の伝送チャネルへ送出され、
前記受信装置は、
CATV放送の伝送チャネルから、変調された前記分割ストリームを受信し、復調する復調手段と、
復調された前記分割ストリームに含まれる前記SI情報を用い、電子番組ガイド機能を提供し、選局された番組を含む前記分割ストリームと現在受信中の番組を含む前記分割ストリームとが同一であるか否かを、復調された前記分割ストリームに含まれる前記再送信用NITに基づいて判定し、同一でない場合、当該選局された番組を含む分割ストリームが送出されたCATV用の伝送チャネルに受信を切り替える制御手段とを備え、
前記1伝送チャネル当たりの伝送容量は、29.162Mbpsである、通信システム。
【請求項2】
衛星デジタル放送の伝送チャネルから信号を受信し、CATV(ケーブルテレビジョン)放送用の信号に変換して、CATV用の伝送チャネルに再送信する中継装置として用いられる送信装置と、再送信された信号を受信する複数の受信装置とにより構成される通信システムで用いられる、再送信および受信のための方法あって、
前記送信装置は、
衛星デジタル放送の複数の伝送チャネルから、TS(トランスポートストリーム)を受信し、復調する復調ステップと、
前記伝送チャネルごとに、復調された前記TSに含まれる、複数の番組を構成するストリームを、CATV放送の1伝送チャネル当たりの伝送容量内に収まるよう番組単位で組分けし、復調された前記TSに含まれる、少なくともSI情報(番組情報)およびPSI情報(番組特定情報)を、当該組分けされた各組に付加して、分割ストリームを複数生成するTS分割ステップと、
各々の前記分割ストリームと当該分割ストリームに含まれる番組と当該分割ストリームが含まれていた前記TSを識別するTS番号と当該分割ストリームを送信するCATV放送の伝送チャネルを識別する情報とを対応付ける情報を、再送信用NIT(番組選局情報)として生成し、当該生成された再送信用NITを、各々の前記分割ストリームに含まれる前記PSI情報内のNIT情報と付け替えるNIT付け替えステップと、
各々の前記分割ストリームをCATV放送用の信号にデジタル変調する変調ステップと、
前記デジタル変調された各々の前記分割ストリームを混合してCATV放送の伝送チャネルへ送出する送出ステップとを含む再送信ステップを実行し、
同じ前記TSに含まれていた前記分割ストリームと他の前記分割ストリームとは、それぞれ異なるCATV放送の伝送チャネルへ送出され、
前記受信装置は、
CATV放送の伝送チャネルから、変調された前記分割ストリームを受信し、復調する復調ステップと、
復調された前記分割ストリームに含まれる前記SI情報を用い、電子番組ガイド機能を提供し、選局された番組を含む前記分割ストリームと現在受信中の番組を含む前記分割ストリームとが同一であるか否かを、復調された前記分割ストリームに含まれる前記再送信用NITに基づいて判定し、同一でない場合、当該選局された番組を含む分割ストリームが送出されたCATV用の伝送チャネルに受信を切り替える制御ステップとを含む受信ステップとを実行し、
前記1伝送チャネル当たりの伝送容量は、29.162Mbpsである、再送信および受信のための方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−165444(P2012−165444A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−92225(P2012−92225)
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2010−14095(P2010−14095)の分割
【原出願日】平成13年2月28日(2001.2.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月13日(2012.4.13)
【分割の表示】特願2010−14095(P2010−14095)の分割
【原出願日】平成13年2月28日(2001.2.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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