説明

デジタル放送受信装置およびデジタル放送受信方法

【課題】デジタル放送によって伝送される緊急地震速報を極力遅延なく再生することが可能な送信装置や受信装置の詳細動作を提供する。
【解決手段】放送により伝送される伝送信号であって、デジタル放送信号と、緊急地震情報とを含む伝送信号を受信する放送受信部と、前記放送受信部で受信された伝送信号から緊急地震情報を検出し、出力する緊急地震情報受信部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル放送によって伝送される緊急情報の送信技術、受信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、デジタル放送送信信号に含まれる緊急警報放送用起動フラグを監視して、緊急警報放送用起動フラグが「1」となれば、強制的なサービスの切り替えや、待機状態から通常の通電状態へ移行などにより、視聴者に素早く緊急警報放送を提供することを可能としている。(特許文献1を参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−333512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、緊急警報放送を監視しているいわゆるスタンバイ状態での低消費電力化について開示されている。
【0005】
しかしながら、緊急警報放送用起動フラグで起動される緊急警報放送は、送信側で緊急警報放送信号が圧縮符号化されており、再生するには受信機側で伸張復号化処理を行なう必要があった。このため、緊急警報放送を再生するまでに圧縮伸長分の遅延時間が生じていた。
【0006】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、デジタル放送によって伝送される緊急地震速報を極力遅延なく再生することが可能な送信装置や受信装置の詳細動作を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、例えば、特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、緊急地震速報を発報する必要が生じたときに、極力遅延なく受信機側で緊急地震速報を再生することが可能な送信方法や受信方法を有した送信装置や受信装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る緊急地震速報を受信することが可能なデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明のデジタル放送受信装置が受信するデジタル放送を送信するデジタル放送送信装置の一実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明の主要ブロックである緊急地震情報受信部120で受信する緊急地震情報の構成を示す説明図である。
【図4】本発明の主要ブロックである緊急地震情報受信部120で受信する緊急地震情報の構成を示す説明図である。
【図5】本発明の主要ブロックである緊急地震情報受信部120で受信する緊急地震情報の構成を示す説明図である。
【図6】本発明の主要ブロックである緊急地震情報受信部120で受信する緊急地震情報の構成を示す説明図である。
【図7】本発明の主要ブロックである緊急地震情報受信部120で受信する緊急地震情報の構成を示す説明図である。
【図8】本発明の主要ブロックである緊急地震情報受信部120で受信する緊急地震情報の構成を示す説明図である。
【図9】本発明の主要ブロックである緊急地震情報受信部120で受信する緊急地震情報の構成を示す説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係るデジタル放送受信装置が通話開始によりデジタル放送受信を開始する際の処理のフローチャートである。
【図11】本発明の第1の実施形態に係るデジタル放送受信装置が通話中における処理のフローチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るデジタル放送受信装置が着信によりデジタル放送受信を開始する際の処理のフローチャートである。
【図13】本発明の第3の実施形態に係るデジタル放送受信装置が電波強度が閾値以下の場合に、デジタル放送受信を開始する際の処理のフローチャートである。
【図14】本発明のデジタル放送受信装置を含むデジタル放送送受信システムの構成図である。
【図15】本発明の主要ブロックである緊急地震情報受信部120で受信する緊急地震情報の構成を示す説明図である。
【図16】本発明の主要ブロックである緊急地震情報受信部120で受信する緊急地震情報の構成を示す説明図である。
【図17】本発明の主要ブロックである緊急地震情報受信部120で受信する緊急地震情報の構成を示す説明図である。
【図18】本発明のデジタル放送送信装置で送信されるデジタル放送の説明図である。
【図19】本発明のデジタル放送送信装置で送信されるデジタル放送の説明図である。
【図20】本発明の第4の実施形態に係るデジタル放送受信装置がデジタル放送受信を開始する際の処理のフローチャートである。
【図21】本発明の第4の実施形態に係るデジタル放送から地震動警報情報を受信する処理のフローチャートである。
【図22】本発明の第4の実施形態に係る地震動警報情報を通知する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳述する。なお、図面において、同一符号は、同一または相当部分を示す。また、本発明は、図示例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0011】
図14は、本発明のデジタル放送受信装置121、地震速報センター300、放送事業者400、放送設備500、携帯無線通信事業者600、および、基地局700などから構成されるデジタル放送送受信システムである。なお、これらデジタル放送受信装置121や基地局700、放送設備500は複数存在してもよい。
【0012】
デジタル放送受信装置121はデジタル放送を受信する手段と、基地局700と通信する手段を備えている。また、放送事業者400および携帯無線通信事業者600は地震速報センター300から送信される緊急地震速報を受信でき、放送設備500や基地局700を介して緊急地震速報をデジタル放送受信装置121に送信できる。
【0013】
このようにして、デジタル放送受信装置121は、放送設備500および基地局700の両方から緊急地震速報を受信できる。
【0014】
図1は本発明に係る実施形態1におけるデジタル放送方式において、セグメント番号#0に含まれるAC信号を用いて伝送された緊急地震情報を受信するデジタル放送受信装置の構成を示すブロック図である。
【0015】
また、図2に本発明のデジタル放送受信装置が受信するデジタル放送を送信するデジタル放送送信装置の一実施例のブロック図を示す。
【0016】
本デジタル放送方式では、複数のMPEG−2トランスポートストリーム(MPEG-2 Transport Stream、以下、TSとする)を再多重により一つのTSとし、伝送路符号化処理を施した後、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform)により複数のサブキャリアからなるOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)送信信号に一括して変換し、放送波として送信する。
【0017】
ここで、本デジタル放送方式におけるOFDM送信信号は、伝送帯域幅6MHzを14等分したOFDMセグメントを13個連結した構成となっており、OFDMセグメントを単位として最大3階層までの階層伝送が可能となっている。また、OFDM送信信号の13セグメントの内、中央のセグメント(セグメント番号#0)は、携帯電話などの移動受信機での受信を想定した部分受信階層として設定できる。図18にセグメント構造を示す。なお、OFDM送信信号の13セグメント全てを受信可能な受信機を13セグメント受信機、OFDM送信信号の中央の1セグメントを受信可能な受信機をワンセグメント受信機と呼ぶ。
【0018】
本デジタル放送方式では、システム識別、伝送パラメータ切替指標、緊急警報放送用起動フラグ、各階層の伝送パラメータなど、受信機の復調動作を円滑に行なうための制御情報を伝送するTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号と、変調波の伝送制御に関する付加情報を伝送するための拡張用信号であるAC(Auxiliary Channel)信号が付加されたフレーム構成となっている。このフレーム構成を図19に示す。図19において、OFDMサブキャリアとして付加されるTMCC信号とAC信号のキャリア位置及びキャリア本数は、伝送パラメータによって異なる。詳細は後述する。
【0019】
ここで、TMCCによって伝送される緊急警報放送用起動フラグにより起動される緊急警報放送(EWS:Emergency Warning System)とは、地震発生による津波警報などが発令された場合に、視聴者に緊急情報をより早く知らせるために利用されているものである。緊急警報放送を運用する場合、放送局がTMCC信号に含まれる緊急警報放送用起動フラグを「ON」として、緊急警報放送と認識できるコンテンツで放送を実施する。
【0020】
更に高度化された緊急情報を伝送するシステムとして、気象庁が発表する緊急地震速報(EEW:Earthquake Early Warning)がある。緊急地震速報とは、地震の発生直後に、震源に近い地震計でとらえた初期微動(いわゆるP波)と主要動(いわゆるS波)を解析して震源や地震の規模を直ちに推定し、これに基づいて各地での主要動の震度を推定し、可能な限り素早く知らせる情報である。また、緊急地震速報では、強い揺れが到着する前に知らせることで、視聴者に対して周囲の状況に応じて慌てずに身の安全を確保することを目的としている。この緊急地震速報をセグメント番号#0に含まれるAC信号を用いて伝送する。
【0021】
なお、一般には緊急地震速報という名称が用いられるが、省令告示では地震動警報情報という名称が使われており、今後は「地震動警報情報」を用いる。
【0022】
地震動警報情報とは、気象業務法(昭和27年法律第165号)第13条第1項の規定により行われる地震動警報に関する情報のことである。
【0023】
図2を用いて、本デジタル放送方式を実現するデジタル伝送送信装置の動作を説明する。
【0024】
201は情報源符号化部、202はMPEG2多重化部、203はTS再多重部、204はRS(リード・ソロモン)符号化部、205は階層分割部である。206は並列処理部であり、a、b、cの3系統ある。207は階層合成部、208は時間インタリーブ部、209は周波数インターリーブ部、210はOFDMフレーム構成部、211は逆高速フーリエ変換(以下、IFFT)部、212はガードインターバル付加部、213は送信部、214はパイロット信号構成部、215はTMCC信号構成部、216はAC信号構成部である。
【0025】
本デジタル放送方式は、MPEG2 Systemsで規定されるトランスポートストリーム(TS)を1つ若しくは複数の入力を再多重により1つのTSとし、サービス意図に応じて複数の伝送路符号化を施した後、最終的に1つのOFDM信号として送信する。テレビジョン放送の送信スペクトルは、テレビジョン放送のチャンネル帯域幅を14等分したOFDMブロック(以下OFDMセグメントと呼ぶ)を13個連ねて構成される。OFDMセグメントのキャリア構成を複数セグメントの連結が可能なように構造化することにより、メディアに適した伝送帯域幅をセグメント幅単位で実現できる。伝送路符号化はOFDMセグメントを単位に行われるので、1テレビジョンチャンネルの中で一部を固定受信サービス、残りを移動体受信サービスとすることができる。このような伝送を階層伝送と定義する。各階層は、1つまたは複数のOFDMセグメントにより構成され、階層ごとにキャリア変調方式、内符号の符号化率、および時間インターリーブ長等のパラメータを設定することができる。なお、可能な階層数は最大3レベルまでであり、部分受信についても1つの階層として数える。各階層のセグメント数や伝送路符号化パラメータは編成情報に従って決められ、また、受信機の動作を補助する制御情報としてTMCC信号によって伝送される。13セグメントで構成されるテレビジョン放送信号の中央部のOFDMセグメントについては、そのセグメント内のみの周波数インターリーブを行う伝送路符号化が可能である。これにより、テレビジョンサービスの一部を部分的に受信することができる。
【0026】
SFNの置局間距離への適合性、或いは、移動受信におけるドップラーシフトへの耐性を考慮し、本デジタル放送方式は3つの異なるOFDMキャリア間隔を備えている。これらはシステムのモードとして識別される。キャリア間隔は、モード1では約4kHz、モード2では約2kHz、モード3では約1kHz である。モードに応じてキャリア数は異なるが、どのモードにおいても伝送可能な情報ビットレートは同じである。
【0027】
情報源符号化部201で映像信号、音声信号、データがそれぞれ符号化され、MPEG2多重化部202で一つのTSが生成される。複数のMPEG2多重化部から出力された複数のTSは、データセグメント単位の信号処理に適した配置とするためTS再多重部203に入力される。TS再多重部203において、IFFTサンプルクロックの4倍のクロックにより188バイト単位のバースト信号形式に変換され、RS符号化部204でリード・ソロモン外符号が付加されると共に単一のTSに変換される。その後、階層伝送を行う場合には、階層情報の指定に沿って階層分割部205で階層分割され、最大3系統の並列処理部206a、b、cに入力される。並列処理部206a、b、cにおいては、それぞれ、主として誤り訂正符号化、インターリーブ等のデジタルデータ処理、キャリア変調が施される。また、バイトインターリーブとビットインターリーブの時間軸操作で生じる階層間の遅延時間差に対して予め遅延補正を行い、タイミング調整を図っている。誤り訂正、インターリーブ長、キャリア変調方式はそれぞれの階層で独立に設定される。並列処理部206a、b、cでの並列処理の後、階層合成部207で階層合成された信号は、移動受信における電界変動やマルチパス妨害に対して、誤り訂正符号化の能力を有効に発揮させるため時間インターリーブ部208及び周波数インターリーブ部209に入力される。時間インターリーブの方式は、送受あわせた遅延時間を短縮し受信機のメモリー容量を抑えるため畳み込みインターリーブである。また、周波数インターリーブ部は、セグメント構造を確保しつつ、十分なインターリーブ効果が発揮できるよう、セグメント間とセグメント内のインターリーブを組み合わせて構成されている。
【0028】
複数の伝送パラメータが混在する階層伝送に対して、受信機の復調・復号を補助するため、制御情報としてTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration Control)信号が特定のキャリアを用いて伝送される。また、放送に関する付加情報を伝送するため、特定のキャリアに割り当てられたAC(Auxiliary Channel)信号が用いられる。
【0029】
OFDMフレーム構成部210では、周波数インターリーブ部209からの情報データ、パイロット信号構成部214からの同期再生用パイロット信号、TMCC構成部215からのTMCC信号、および、AC信号構成部216からのAC信号によりOFDMフレームが構成される。このフレーム構成を図19に示す。Si,jはインターリーブ後のデータセグメント内のキャリアシンボルを表す。SP(Scattered Pilot)は受信機が準同期検波を行なうための基準パイロットシンボルである。図19に示すとおり、キャリア方向に12キャリアに1回、シンボル方向に4シンボルに1回挿入される。受信側でSPをシンボル方向に補間すれば、3(12/4)キャリア間隔のSPを得ることができる。ガードインターバル長の最大値が有効シンボル長の1/4であることから、3キャリア間隔のSPによる補間処理(伝送路特性推定)により、シンボル間干渉を生じない最大遅延時間までのマルチパスに対応することが可能である。なお、ガードインターバル比が1/4の場合、原理的には4キャリア間隔のSPであればよいが、補間フィルタの特性などを考慮し、シンボル方向には4シンボルに1回挿入されている。
【0030】
図19の例はモード1であるが、モード1のキャリア番号は0から107なのに対して、モード2、モード3 ではそれぞれ、0から215、0から431である。
【0031】
AC信号は図19に示すとおり配置され、1キャリア204ビットのデータ量を持つ。また、AC信号は各セグメントごとに、モード1では2本、モード2では4本、モード3では8本、配置される。
【0032】
TMCC信号は図19に示すとおり配置され、1キャリア204ビットのデータ量を持つ。また、TMCC信号は各セグメントごとに、モード1では1本、モード2では2本、モード3では4本、配置される。
【0033】
フレーム構成を終えた全信号はIFFT部211のIFFT演算によりOFDM信号に変換され、ガードインターバル付加部212でガードインターバルが付加されOFDM送信信号に変換され、送信部213で決められた周波数のデジタル放送信号に変換される。
【0034】
次に、図1を用いて、図2のデジタル放送送信装置によって伝送される送信信号を受信するデジタル放送受信装置の動作を説明する。
【0035】
101はアンテナ、102は選局部、103は直交復調部、104は高速フーリエ変換(以下、FFT)部、105はFFT部104からTS出力までのデジタル方式の復調・復号動作を行う復調復号部、106はデスクランブル部、107はデマックス部、108は映像信号、音声信号のデコード部、109はデコードされた映像信号の出力を行う映像出力部、110はデコードされた音声信号の出力を行う音声出力部であり、これらが映像信号、音声信号を再生する主流のブロックである。また、111は同期再生部、112はフレーム抽出部、113はTMCC復号部であり、復調復号部105の動作を行うための同期信号再生や、伝送パラメータなどの情報入手を行う。選局部102からTMCC復号部113で放送受信部119が構成される。
【0036】
一方、114はフラグ検出部、115はデータ抽出部、116は判別部、117は地震動警報情報の出力部であり、これらで地震動警報情報受信部120が構成される。
【0037】
118は制御部であり、放送受信部119、地震動警報情報受信部120や通信部135の動作制御や電力制御を行う。
【0038】
また、131は通信部、132はマイク、133はスピーカ、134は記憶部であり、これらで通話部135が構成される。
【0039】
通信部131は、基地局を介して、通話音声、各種のデータ等を送受信する。また、無線LAN(Local Area Network)や赤外線通信などを介して、パソコンや携帯電話などの他の機器と各種のデータ等を送受信する。また、USB(Universal Serial Bus)などの方式を用いて、ケーブルなどを介して、各種データ等を送受信してもよい。
【0040】
マイク132は、通話時等に、音声信号を収集し、通信部131に供給する。
【0041】
スピーカ133は、DAC(Digital Analog Converter)等を備え、例えば、通信部が受信した音声信号をDA変換を施し、音声を出力する。なお、スピーカ133は音声出力部110と同一でも構わない。
【0042】
記憶部134は、RAM、補助記憶装置等の適宜の記憶装置によって構成され、各種データ及び各種プログラムを記憶する。また、記憶部134は、制御部118の作業領域も有する。記憶部134は、デジタル放送受信装置に内蔵されるメモリ又は取り外し可能な外部メモリからの少なくとも一方から構成されてもよい。また、記憶部134は、制御部118がアクセス可能であればその機能の一部をデジタル放送受信装置の外部に設けたものであってもよい。
【0043】
制御部118、放送受信部119、地震動警報情報受信部120、通話部135でデジタル放送受信装置121が構成される。
【0044】
以下、詳細に動作を説明する。アンテナ101で受信されたデジタル放送から選局部102で受信すべきチャネル周波数帯域が抽出され、直交復調部103でベースバンド信号とされ、FFT部104で周波数軸処理がなされる。これを受け、復調復号部105では周波数軸上の各キャリアに対して復調処理が行われ(例えば、QPSK、16QAM、64QAM用にスキャッタードパイロット
(SP:図19参照)を用いた同期復調を行い、振幅、及び位相情報を検出する)、、周波数軸及び時間軸のデインターリーブ、ビタビ復号やRS(リード・ソロモン)復号などの誤り訂正が施されてデジタル信号が復調され、例えば、MPEG2システムズに規定されるトランスポートストリーム(以下、TSと略す)信号がデスクランブル部106に出力される。デスクランブル部106では著作権保護のためにスクランブルのかけられているTS信号のスクランブルが解除されデマックス部107に出力される。デマックス部107では希望の圧縮された放送映像信号や圧縮された放送音声信号のデジタル信号が抽出されデコード部108に出力される。デコード部108では圧縮された放送映像信号や圧縮された放送音声信号が復号され、復号された放送映像信号は映像出力部109に、復号された放送音声信号は音声出力部110に出力される。
【0045】
一方、同期再生部111では直交復調部103からのベースバンド信号を受け、シンボル同期信号が再生されるとともにFFT部104の出力信号からTMCC信号の周波数位置が検出される。フレーム抽出部112では検出された周波数位置のTMCC信号が復調されるとともにフレーム同期信号が再生される。フレーム同期信号は同期再生部111に出力され、シンボル同期信号との位相調整が行われる。TMCC復号部113では復調されたTMCC信号に差集合巡回符号の誤り訂正が施され、階層構造、伝送パラメータなどTMCC情報が得られる。このTMCC情報は復調復号部105に出力され、復調復号処理の情報として利用される。
【0046】
また、制御部118は、制御信号122、124、125、126を用い、それぞれフラグ検出部114、データ抽出部115、判別部116、出力部117の動作状態を管理する。
【0047】
次に、図3から図9、及び図15から図17を用い、AC信号構成部216で構成され、地震動警報情報受信部120で受信する地震動警報情報の構成を説明する。
【0048】
AC信号とは放送に関する付加情報信号をいう。放送に関する付加情報とは変調波の伝送制御に関する付加情報、または地震動警報情報をいう。地震動警報情報は、セグメントNo.0のACキャリアを用いて伝送する。AC信号は図19に示すとおり配置され、1キャリア204ビットのデータ量を持つ。
【0049】
図3はセグメントNo.0に配置されるAC信号の204ビットB0〜B203のビット割当てを示したものである。
【0050】
B0の1ビットは差動復調の基準とする。B1〜B3の3ビットは構成識別とし、付加情報であるか、地震動警報情報であるか区別する。B4〜B203の200ビットによって、付加情報または地震動警報情報を送出する。なお、地震動警報情報を送出する際は、セグメントNO.0内の全てのACキャリアで同一の地震動警報情報を送出する。セグメントNo.0内の全てのACキャリアで同一の地震動警報情報とすることにより、異なるACキャリアで伝送された地震動警報情報を受信機側でアナログ加算できるので、より小さなCN比でも受信可能となる。
【0051】
図4はB0の差動復調の基準を示したものである。ACキャリアの変調方式はDBPSKとし、差動復調の振幅及び位相基準は図4のWiで与えられる。
【0052】
図5は地震動警報情報をセグメントNO.0のAC信号で伝送する場合のビット割当てを示したものである。
【0053】
構成識別を000,010,011,100,101,111とした場合は、ACは従来通り、放送事業者向けの利用とし、変調波の伝送制御に関する付加情報を伝送する。
【0054】
構成識別を001,110とした場合は、地震動警報情報を送出する。
【0055】
地震動警報情報の伝送を表す‘001’と‘110’は、TMCCの同期信号の先頭3ビット(B1〜B3)と同一の符号とし、TMCC信号と同一のタイミングでフレームごとに交互に送出する。
【0056】
B4〜B16の13ビットは同期信号とする。
【0057】
地震動警報情報の場合、構成識別と同期信号を連結した符号は、TMCCの同期信号と同一符号とし、16ビットのワードで構成する。同期信号はw0=0011010111101110とそれをビット反転したw1=1100101000010001の2種類とする。TMCC同期信号(B1〜B16)と同じビットを割当て、同じタイミングでフレーム毎にw0とw1を交互に送出しTMCCと同じ符号を送出する。TMCCとAC信号とでアナログ加算を行うことが出来るので、受信機におけるフレーム同期の受信感度を向上できる。
【0058】
B17〜B18の2ビットは地震動警報情報の開始/終了フラグとする。
【0059】
図6は地震動警報情報の開始/終了フラグの意味を示したものである。
【0060】
地震動警報情報が発報されたときに、受信機を自動起動し、かつ、AC信号で地震動警報情報を送出していることを示すため、地震動警報情報の開始/終了フラグとして2ビットを割り当てる。
【0061】
AC信号は、伝送される情報が無い場合、全てのビットが‘1’で変調されるため、地震動警報詳細情報又はその試験信号を表す場合の開始/終了フラグを‘00’とする。また、開始/終了フラグの信頼性を向上するため、開始/終了フラグに2ビットを使用して符号間距離が最大となる反転信号とする。また、開始/終了フラグの信頼性を確保するために‘10’、‘01’は使用しない。
【0062】
地震動警報情報の送出を開始するときは、開始/終了フラグを‘11’から‘00’に変更する。また、地震動警報情報の送出を終了するときは、開始/終了フラグを‘00’から‘11’に変更する。開始/終了フラグは受信機の起動信号として使用することができる。
【0063】
B19〜B20の2ビットは更新フラグとする。
【0064】
図7は地震動警報情報更新フラグの意味を示したものである。
【0065】
地震動警報情報の開始/終了フラグの値が‘00’の状態で継続中に、信号識別(B21〜B23)または図15(後述)に示す地震動情報(B56〜B111)の内容が更新された場合は、図7、8に示すように更新フラグの値を1ずつインクリメントし、受信機に信号識別または地震動情報が更新されたことを通知する。
【0066】
更新フラグは、開始/終了フラグが‘00’の場合に伝送される一連の地震動警報詳細情報の内容に変更が生じるごとに1ずつ増加するものとし、‘00’を開始値とし、‘11’の次は‘00’に戻るものとする。開始/終了フラグが‘11’の場合は更新フラグを‘11’とする。
【0067】
更新フラグの送出例を図8に示す。第1報、第2報…は図9(後述)に示す信号識別又は図15(後述)に示す地震動情報の内容が変化している状態を示している。図15(後述)に示す現在時刻又はページ種別が変化しても更新フラグの値は変更しない。
【0068】
B21〜B23の3ビットは信号識別とする。
【0069】
図9は信号識別の意味を示す。
【0070】
地震動警報情報の信号識別は、地震動警報詳細情報の種別を識別するために使用する信号である。開始/終了フラグが‘00’の場合は、信号識別‘000’/‘001’/‘010’/‘011’を送出し、開始/終了フラグが‘11’の場合は、信号識別‘111’を送出する。また、地震動警報詳細情報の試験信号(該当地域あり/なし)と地震動警報詳細情報(該当地域あり/なし)は、同時には送出しない。
【0071】
信号識別‘100’/‘101’/‘110’は将来の拡張用とし、すべて‘1’とする。
【0072】
図17(後述)に示すように地震動情報総数は最大2つまで送出することができるが、試験信号と本信号は同時には送出しないこととする。また、信号識別が該当地域ありと該当地域なしの地震動情報を同時に送出する場合は、いずれの情報も該当地域ありの地震動情報として送出することで、少なくとも1つの地震動情報は該当地域ありであることを受信機に速やかに知らせることができる。
【0073】
B24〜B111の88ビットは地震動警報詳細詳細情報とする。
【0074】
図15にその詳細を示す。地震動警報詳細情報のビット割り当ては,信号識別毎に規定する。
【0075】
まず、信号識別が‘000’/‘001’/‘010’/‘011’の場合の地震動警報詳細情報について示す。
【0076】
現在時刻は、別途定める基準年月日時分秒からの経過秒数を二進数表記とし、下位31ビットをMSBファーストで割り当てる。地震動警報情報を伝送する場合に、TOT(Time Offset Table)や通信回線等による時刻合わせを有する自動起動に対応した受信機では、受信機の時刻と送出された時刻情報を照合することで、
受信した地震動警報情報の信頼性を確認することが出来る。
【0077】
地震動情報は、ページ種別の符号によって、伝送する情報の割当てが異なる。受信機ではページ種別を確認することにより、どちらの情報が伝送されているかを知ることができる。ページ種別が゛0’の場合は、図16(後述)に示すように地震動警報の対象地域を示す情報を伝送する。ページ種別が‘1’の場合は、図17に示すように地震動警報の震源に関する情報を伝送する。但し、ページ種別‘0’と’1’の両方の地震動情報を伝送するとは限らない。
【0078】
地震動情報を送出しない場合は、ページ種別を‘0’とし、地震動情報はすべて‘1’とする。
【0079】
次に、信号識別が‘111’の場合の地震動警報詳細情報について示す。
【0080】
放送事業者識別11 ビットは、全国の放送事業者にユニークに割り付ける。AC信号のみで放送事業者を識別することができる。
【0081】
開始/終了フラグが‘11’の場合、信号識別‘111’を送出する。
【0082】
図16にページ種別が‘0’の場合の地震動情報を示す。ページ種別が‘0’の場合は、地震動警報の対象地域を示す情報とし、図16は対象地域のビット割当てを示す。地震動警報の対象地域を含む地域に割り当てられるビットは‘0’、地震動警報の対象地域を含まない地域に割り当てられるビットは‘1’とする。なお、地震動情報を送出しない場合は、すべて‘1’とする。
【0083】
複数の地震動警報が同時に発生している場合(最大総数2)、ページ種別‘0‘の地震動情報(地域情報)は、1つ目と2つ目をそれぞれ送出する場合があり、この場合、地震動警報情報(地域情報)の送出が1つ目から2つ目、もしくは2つ目から1つ目に変わる際に更新フラグは更新しない。
【0084】
図17にページ種別が‘1’の場合の地震動情報を示す。
【0085】
「地震動警報識別」は、複数の地震動警報が発生した場合に、地震動警報情報を識別するために9ビットを割り当てる。複数の地震動警報情報を区別するために、時刻(秒単位)を元に決定するものとした場合、9ビットの地震動警報識別で過去8分32秒間の地震動警報情報を識別することが可能となる。B24〜B54の現在時刻とB101〜B110の発生時刻を比較することにより、地震動の発生からの経過秒数を知ることができる。
【0086】
B57の地震動情報識別は、伝送されている地震動情報が1情報目の場合は‘0’、2情報目の場合は‘1’とする。
【0087】
発生時刻は、B24〜B54で示される現在時刻と同じ基準年月日時分秒を基準とし、基準時刻からの経過秒数を二進数表記にして、下位10ビットをMSBファーストで割り当てる。
【0088】
B112〜B121の10ビットは、CRC−10とする。
【0089】
地震動警報詳細情報に関する情報は重要な情報であり高い信頼性が要求されることから、下記パリティビットを用いた誤り訂正符号による復号後、CRCによる誤り検出を可能とする。
【0090】
B122〜B203の82ビットには、TMCCの誤り訂正符号と同様に、差集合巡回符号(273,191)の短縮符号(187,105)を用い生成されたパリティビットを設定する。
【0091】
地震動警報情報は重要な情報であり、高い信頼性が要求されることから、TMCCと同様に差集合巡回符号を用いた誤り訂正符号で保護する。構成識別B1〜B3及び同期信号B4〜B16は誤り訂正の対象外とする。B17〜B121の情報は、差集合巡回符号(273,191)の短縮符号(187,105)で誤り訂正符号化する。
【0092】
以上、図3から図9、及び図15から図17を用いで説明した地震動警報情報の運用方法を図5を用い簡単に説明する。
【0093】
地震動警報情報をセグメントNO.0のACキャリアで伝送している場合は構成識別を図5に示す値に設定する。地震が起こり地震動警報を発報するときには、開始/終了フラグを"地震動警報詳細情報あり:‘00’"とし、同時に更新フラグ、信号識別、地震動警報詳細情報、パリティビットを設定する。地震動警報終了時に開始/終了フラグを"地震動警報詳細情報なし:‘11’"とする。
【0094】
図3から図9、及び図15から図17で説明した地震動警報情報を受信する動作を図1を用い説明する。
【0095】
図1のフレーム抽出部112において、セグメント番号#0内のACキャリアが抽出復調されるとともに図5で示した構成識別で地震動警報情報の送出が確認され、更に同期が確立される。このとき、セグメント番号#0内の全てのACキャリアで同一の地震動警報情報が送出されているため、セグメント番号#0内のACキャリア全てをアナログ加算することで、低雑音化でも地震動警報情報の復調が可能になる。例えばN本のACキャリアがあったとすれば地震動警報情報の振幅がN倍になるのに対して雑音はそれぞれのACキャリアにおいて無相関であるためN倍にならない(電力でいえば、地震動警報情報はNの2乗倍に対し雑音はN倍にしかならない)。
【0096】
また、フレーム抽出部112でのフレーム同期信号再生において、図5で示した構成識別部分を調べてACに地震動警報情報が送出されていることの確認ができたときには、図5で説明したように、構成識別と同期信号を連結した符号はTMCCの同期信号と同一となっているので、構成識別と同期信号を連結した符号とTMCCの同期信号とをアナログ加算することで、上記した理由により、TMCCだけで再生するよりも低雑音化での同期信号を再生することができる。
【0097】
さらにまた、フレーム抽出部112において図5で示した構成識別部分を調べる方法として、TMCCの同期信号の先頭から3ビット部分と、セグメント番号#0内のACキャリアの図5で示した構成識別部分の相関をとることにより、3ビット全てに相関がある場合にACに地震動警報情報が送出されていると判断することが可能である。
【0098】
フレーム抽出部112からの復調信号は、フラグ検出部114とデータ抽出部115に出力される。
【0099】
フラグ検出部114では、図5に示す開始/終了フラグが図6に示す意味で監視されており、初期段階、すなわち地震動警報が発報されていない段階では"地震動警報詳細情報なし"から"地震動警報詳細情報あり"と切替わる状態が監視されている。これと同時にデータ抽出部115では、図5に示す開始/終了フラグ、地震動警報情報の更新フラグ、地震動警報詳細情報、パリティビットが抽出され、差集合巡回符号の短縮符号の誤り訂正が行われ、抽出した各情報が確定される。
【0100】
地震が起こり地震動警報が発報されたとき、すなわち、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり"となった場合には、フラグ検出部114では"地震動警報詳細情報なし"から"地震動警報詳細情報あり"と切替わる状態が検出され、制御信号123により制御部118とデータ抽出部115に"地震動警報詳細情報あり"、すなわち地震動警報が発報された情報が伝えられる。
一方、データ抽出部115は制御信号123を受け、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり"となった時点での抽出確定された地震動警報情報の更新フラグ、地震動警報詳細情報、パリティビットのデータを判別部116に出力する。
【0101】
判別部116では、データ抽出部115からのデータを受けCRCチェックを行った後、図5に示す信号識別が確認され、図9に示すどの意味であるかが判別される。そして、それぞれの意味に応じ、あらかじめ設定された処理が行われ、必要であれば制御信号127とデータが出力部117へ送られる。
【0102】
出力部117では、判別部116からの制御信号127を受けた場合には、判別部116からのデータを受け地震動警報が行われる。
【0103】
判別部116と出力部117の詳細な動作を図9を用いて説明する。
【0104】
判別部116が"地震動警報詳細情報(該当地域あり)"を判別した場合、判別部116は出力部117に"該当地域あり"の情報を送る。出力部117はこれを受け、"該当地域あり"の情報を受けブザー音や音声などによる警告または光の点滅やディスプレイ表示による警告表示を行う。同時に、判別部116は、図15から図17に示す強い揺れが予想される都道府県情報や震源地情報などの地震詳細情報や時刻情報を出力部117に送り、出力部117はこれを受け、地震動警報情報の音声出力、映像出力、または地震が発生すると思われる時間までのカウントダウンを行う。
【0105】
判別部116が"地震動警報詳細情報(該当地域なし)"を判別した場合、出力部117への制御信号やデータ出力は行わない。ただし、場合によっては、図1には図示していないが、映像出力部109に強い揺れが予想される都道府県情報や震源地情報などの地震詳細情報を出力させる、または音声出力部110で音声出力させてもよい。
【0106】
判別部116が"地震動警報詳細情報の試験信号(該当地域あり)"または"地震動警報詳細情報の試験信号(該当地域なし)"を判別した場合、これは一般的に地震動警報情報受信部120を試験モードで動作確認しているときに有効となるものであり、普通の動作モードでは無視され、出力部117への制御信号やデータ出力は行わない。試験モードのときは、例えば、地震動警報詳細情報(該当地域あり)、または、地震動警報詳細情報(該当地域なし)のそれぞれの動作に、テストモードであることを示す映像情報または音声情報を多重する。
【0107】
判別部116は信号識別の確認を開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり"の場合常時行う必要があるが、少なくとも地震動警報情報の更新フラグの状態が変化した場合には必ず信号識別の確認を行う。
【0108】
フラグ検出部114では"地震動警報詳細情報あり"から"地震動警報詳細情報なし"と切替わる状態が監視されており、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報なし"となった場合には、フラグ検出部114では"地震動警報詳細情報あり"から"地震動警報詳細情報なし"と切替わる状態が検出され、制御信号123により制御部118とデータ抽出部115に"地震動警報詳細情報なし"の情報が伝えられる。一方、データ抽出部115は制御信号123を受け、判別部116へのデータ出力を停止する。
【0109】
次に、本実施形態にかかるデジタル放送受信装置が、待受け状態で音声着信を受けた場合に、デジタル放送の受信を開始するまでの処理フローについて図10を用いて説明する。
【0110】
通話中はページングチャネルを使用できないため、地震動警報情報も受信できず、もしこの間に地震動警報が発報されたとしてもユーザはそれを知ることができない。
【0111】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、デジタル放送によって伝送される地震動警報情報を受信することが可能なデジタル放送受信装置において、装置が通話中の状態でも地震動警報情報を受信できるデジタル放送受信装置を提供することにある。
【0112】
本発明の受信装置では、音声着信やSMSなどの着信があるかどうかを確認するために、定期的に、基地局から送信されるページングチャネル(PCH)を受信する(ステップS101)。
【0113】
PCHには、基地局から呼び出されているユーザIDが書いてある。例えば、ユーザIDは、32ビットで表される。さらに、なぜ呼び出されたかを示すCause IDも付加される。このCause IDは、通信種別、例えば音声や、ショートメッセージサービス(SMS)などを示し、2−3ビット程度である。
【0114】
受信したユーザIDが、記憶部に記憶された自分のユーザIDと一致しない場合(ステップS102;No)、再びページングチャネルを受信する(ステップS101)。なお、消費電力を抑えるために、所定の時間が経過した後に、再びページングチャネルを受信することが望ましい。
【0115】
受信したユーザIDが、記憶部134に記憶された自分のユーザIDと一致した場合(ステップS102;Yes)、CauseIDの種別を確認する。
【0116】
CauseIDの種別が、音声着呼を示す値であった場合(ステップS103;「音声着呼」)、ユーザに着信を通知する(図示せず)。着信の通知は、音や光、バイブレータによる振動などにより行う。
【0117】
そして、ユーザが発話キーを押下するなどの操作を行うと、PCHとは別の、通話用であるトラフィックチャネルの受信を開始し、通話が開始される(ステップS104;Yes)。
【0118】
その後、制御部118は、通話の開始を検知し、放送受信部119、地震動警報情報受信部120を動作させ、デジタル放送の受信を開始させる(ステップS105)。これで、図1から図9で説明したように、デジタル放送により伝送される地震動警報情報を受信し、出力することが可能になる。そして、通話中状態へ遷移する(ステップS106)。
【0119】
また、CauseIDの種別が、SMSを示す値であった場合(ステップS103;「SMS」)、SMSを受信する(ステップS107)。
【0120】
そして、受信したSMSが地震動警報情報であった場合(ステップS108;Yes)、地震動警報情報を受信した旨をユーザに通知するため、出力部117から、音声、映像による警告を行う。(ステップS109)。
【0121】
また、地震動警報情報ではなく、通常のSMSを受信した場合は(ステップS108;No)、通常の通知を行う(ステップS110)。
【0122】
なお、受信したSMSが地震動警報情報かどうかを判断するには、例えば、ユーザIDを用いればよい。具体的には、ユーザIDが、自分のIDのみではなく、基地局と通信を行っている全ての端末宛てIDであることを示す値であった場合、地震動警報情報と判断する。
【0123】
次に、通話中の処理フローについて、図11を用いて説明する。
【0124】
まず、放送受信部119がデジタル放送の伝送信号を受信し(ステップS201)、地震動警報情報受信部120で、開始/終了フラグが"地震動警報詳細情報あり"であるかどうかを判定する(ステップS202)。もし、"地震動警報詳細情報あり"であった場合は(ステップS202;Yes)、地震動警報情報を受信した旨をユーザに通知する(ステップS203)。もし、開始/終了フラグが“地震動警報詳細情報あり”ではなかった場合は(ステップS202;No)、何もせずステップS204に進む。
【0125】
次に、通話がまだ終了していなければ(ステップS204;No)、再びデジタル放送の伝送信号を受信する処理(ステップS201)に戻る。
【0126】
もし、ユーザによって、終話を指示するキーが押下されるなどにより通話が終了すると(ステップS204;Yes)、待ちうけ状態に遷移し(ステップS205)、放送受信部119がデジタル放送の受信を終了する(ステップS206)。通話が終了することにより、再びページングチャネル受信を開始する(図10のステップS101)。
【0127】
このように制御することにより、待ち受け状態においては、携帯電話の無線システムを用いてSMSにより地震動警報情報を受信し、通話中状態においては、デジタル放送の地震動警報情報が受信する。そのため、通話中であっても地震動警報情報をユーザに通知することが可能となる。
【0128】
本発明によれば、デジタル放送によって伝送される地震動警報情報を受信することが可能なデジタル放送受信装置において、通話中でも地震動警報情報を受信できる。
【実施例2】
【0129】
本発明の実施形態1に係るデジタル放送受信装置では、通話開始の後にデジタル放送を受信し始めるが(図10のステップS105)、デジタル放送を受信し始めてから開始/終了フラグが取得できるまでには、所定の時間がかかってしまう。そのため、地震動警報が発報されているのに、開始/終了フラグが取得できていない状態が起こりうる。
【0130】
そこで、本発明の実施形態2に係るデジタル放送受信装置では、できるだけ早く地震動警報情報を受信するために、音声着呼であることが判明した時点で、デジタル放送の受信を開始する。この処理フローを図12に示す。
【0131】
図12の処理フローは、図10の処理フローと比べて、ステップS104の前にステップS105を実施することと、ステップS111が追加された点だけが異なる。
【0132】
図12の処理フローは、制御部118の判断により、放送受信部119、地震動警報情報受信部120、あるいは、通信部135が動作制御されて行われる。
【0133】
まず、ステップS101からステップS103までの処理を行い、ページングチャネルを受信して自分宛てのメッセージが届いていることを確認する。そして、CauseIDの種別が音声着呼であることが判明したら(ステップS103;「音声着呼」)、制御部118は、放送受信部119、地震動警報情報受信部120を動作させ、すぐにデジタル放送の受信を開始させる(ステップS105)。そして、次にユーザにより通話開始の指示がされれば通話を開始し(ステップS104;Yes)、通話中状態へ遷移する(ステップS106)。
【0134】
もし、ユーザによって通話開始の指示がされなければ、デジタル放送の受信を終了する(ステップS111)。そして、再びページングチャネルを受信する(ステップS101)。
【0135】
このように通話が開始する前にデジタル放送を受信開始することで、開始/終了フラグをいち早く取得可能な状態にできる。
【実施例3】
【0136】
実施例1では、電波状況が悪く基地局と通信ができない場合は、SMSを受信できないため、地震動警報情報も受信できない。デジタル放送受信装置の位置する場所によっては、基地局との通信はできなくてもデジタル放送は受信できる場合もある。そこで、本実施例では、基地局との通信の電波状況が悪化した場合は、デジタル放送を受信し、地震動警報情報を受信できるようする。その処理フローを図13に示す。
【0137】
図13の処理フローは、制御部118の判断により、放送受信部119、地震動警報情報受信部120、あるいは、通信部135が動作制御されて行われる。
【0138】
まず、通信部131が、基地局と通信する電波の強度を取得する(ステップS301)。取得した電波強度が所定の閾値Pと比べて小さい場合は(ステップS302;No)、通話部135に内蔵されたタイマー(図示しない)を起動させる(ステップS304)。なお、タイマーを開始する前に、タイマーが動作中であるかどうかを判断する処理を行う(ステップS308)。初回はタイマーが動作していないので(ステップS308;No)、タイマー開始を行う。もしタイマーが動作中であった場合は(ステップS308;Yes)、何もせずに、ステップS305に進んでタイマーが満了かどうかを確認する。
【0139】
もし、タイマーが満了していなかったら(ステップS305;No)、再び電波強度を取得して(ステップS301)、閾値Pと値を比較する(ステップS302)。
【0140】
そして、所定の時間が経過してタイマーが満了したら(ステップS305;Yes)、制御部118は、放送受信部119、地震動警報情報受信部120を動作させ、デジタル放送の受信を開始させる(ステップS306)。このタイマーは、電波状況がバースト的に悪化して僅かな時間だけ閾値Pを下回った場合は、デジタル放送の受信を開始しないように制御するためのものである。
【0141】
なお、タイマーを使用する以外にも、例えば、閾値を下回った回数が所定の回数を超えた場合は電波が悪化したと判断して、デジタル放送を受信開始してもよい。
【0142】
また、取得した電波強度が所定の閾値Pと比べて大きい場合は(ステップS302;Yes)、タイマーを終了し(ステップS303)、デジタル放送の受信を終了する(ステップS307)。もちろん、電波状況が閾値Pよりも安定して大きく、タイマーが開始していなければ、タイマーを終了する処理(ステップS303)は省略し、デジタル放送も受信していなければ、受信の終了処理(ステップS307)も省略できる。その後、図10のステップS101以降または、図12のステップS101以降と同様の処理を行う。
【0143】
このように制御することで、携帯電話の電波が悪く、基地局との通信ができない状況においても、地震動警報情報を受信できる。
【実施例4】
【0144】
また、地震動警報情報は、ユーザにいち早く通知することが重要である。地震動警報情報を早く受け取れれば、ユーザは地震に備えることができるようになる。そこで、本実施例に係るデジタル放送受信装置では、基地局もしくは、デジタル放送から地震動警報情報を取得できる状態にある場合は、地震動警報情報を取得したらいち早くこれを通知する。
【0145】
例えば、ワンセグを視聴中は、デジタル放送に含まれる地震動警報情報が取得でき、また基地局からの地震動警報情報も取得できる。この場合は、先に受信した情報をまず通知するようにする。その後、また地震動警報情報を受信した場合は、もう一度通知しても構わない。
【0146】
上記の処理について図20を用いて説明する。
【0147】
まず、図10のステップS101からステップS103、またステップS107からステップS110までと同様の処理を行い、ページングチャネルを受信して、基地局からの地震動警報情報を受信した場合はユーザに通知する(ステップS109)。ただし、ステップS102において、ユーザIDが一致しなかった場合と(ステップS102;No)、ステップS104において通話が開始されなかった場合は(ステップS104;No)、ステップS101に戻らず、次の処理に進む。
【0148】
次に、デジタル放送を受信する(ステップS401)。そして、開始/終了フラグが“地震動警報詳細情報有り”であった場合は(ステップS402;Yes)、地震動警報情報を通知する(ステップS403)。そして、またステップS101の処理に戻り、ページングチャネルの受信を開始する。
【0149】
このように、基地局からもデジタル放送からも地震動警報情報を取得することができる場合は、先に受信した方の地震動警報情報を通知することで、ユーザに緊急情報をいち早く伝えることができ、よりユーザの安全を確保できる装置を提供することができるようになる。
【0150】
なお、上記では、デジタル放送もしくは基地局からの地震動警報情報について記載したが、地震動警報情報の取得手段はこれに限らない。別の地震動警報情報取得手段で受信した場合についても、同様の処理を行えば、地震動警報情報を受信した時点でいち早く通知できる。
【0151】
また、地震動警報情報を基地局から受信した場合と、デジタル放送から受信した場合では、通知する際の動作が異なる。基地局から受信した場合は、図10で示したように、SMSとして受信し、受信した文字や音声データなどをユーザに通知する。
【0152】
一方、デジタル放送から受信する地震動警報情報には、上述したように、地域情報が記載される場合がある。受信装置では、この地域情報を参照して、端末のいる地域に応じてユーザに通知する。この処理について、図21を用いて説明する。
【0153】
まず、デジタル放送を受信し(ステップS501)、開始/終了フラグが“地震動警報詳細情報あり”を示す値かどうかを判断し、そうであった場合(ステップS502;Yes)、地震動情報を取得する(ステップS503)。次に、受信装置の地域を取得する(ステップS504)。ここで、地域の取得方法としては、通信を行っている基地局から地域情報を取得してもよいし、またはGPSなどの位置情報取得手段を用いて緯度経度を取得し、その値から地域を割り出しても良い。いずれの場合も、予め定められた地域を示すIDや緯度経度と、地域との対応表を保持しておくことで実現できる。
【0154】
次に、地震動情報から取得した地域の中で地震による揺れが予想される地域と、受信装置の地域が一致しているかどうかを判断し、一致していた場合は(ステップS505;Yes)、地震動警報情報を通知する(ステップS506)。もし、一致していなかった場合は(ステップS505;No)、何もせずに処理を終了する。
【0155】
このように、デジタル放送から受信する場合と、基地局から受信する場合とで、異なる動作をすることで、より有益な情報をユーザに提供できる。
【0156】
また、地震動警報情報をユーザが閲覧している際は、新たな地震動警報情報が通知された場合、ユーザが閲覧している情報を隠さないように表示することが望ましい。ユーザが閲覧している状態かどうかは、地震動警報情報を通知した後に、キー入力があったかどうか等で判断できる。
【0157】
この処理について、図22を用いて説明する。
【0158】
まず、地震動警報情報を受信する(ステップS601)。ここでの地震動警報情報は、デジタル放送からでも基地局からでもどちらから受信したものでもよい。次に、既に地震動警報情報を通知済みであるかどうかを判断し、通知済みでない場合(ステップS602;No)、地震動警報情報を通知する(ステップS604)。また、地震動警報情報を通知済みであった場合(ステップS602;Yes)、その地震動警報情報がユーザによって閲覧されているかどうかを判断する(ステップS603)。判断する処理としては、例えば、上下キーが押下されてユーザが警報を読んでいる状態と判断したり、または、加速度センサの値を取得して値に変化があった場合はユーザが受信装置を手にとって閲覧中と判断したりすることができる。そして、ユーザが閲覧中であると判断された場合は(ステップS603;Yes)、何もせずに終了する。もしユーザが閲覧中ではないと判断された場合は(ステップS603;No)、地震動警報情報を通知する(ステップS604)。
【0159】
このように制御することで、地震動警報情報をユーザが確認している際に、さらに別の地震動警報情報が受信された場合でも、ユーザを邪魔することなく、使い勝手を向上させることができる。
【0160】
なお、新たな地震動警報情報が受信されたことをユーザに通知するために、例えば、受信装置の表示部の上方にマークなどを表示してもよい。
【0161】
また、待受け状態においても、地震動警報情報をいち早く取得するために、デジタル放送を常に受信するようにしてもよい。この場合は、消費電力を抑えるために、地震動警報情報を取得するのに必要な手段だけを動作させておけばよく、放送受信部119のデマックス部107やデコード部108などは動作させなくてもよい。このように制御することで、消費電力が抑えられ、ユーザはより長い時間デジタル放送受信装置を利用できるため、使い勝手が向上する。
【0162】
なお、図1のデジタル放送受信装置は、13セグメント受信機であってもワンセグメント受信機であってもどちらでもよい。
【符号の説明】
【0163】
101…アンテナ
102…選局部
103…直交復調部
104…高速フーリエ変換(FFT)部
105…復調復号部
106…デスクランブル部
107…デマックス部
108…デコード部
109…映像出力部
110…音声出力部
111…同期再生部
112…フレーム抽出部
113…TMCC復号部
114…フラグ検出部
115…データ抽出部
116…判別部
117…出力部
118…制御部
119…放送受信部
120…地震動警報情報受信部
121…デジタル放送受信装置
130…アンテナ
131…通信部
132…マイク
133…スピーカ
134…記憶部
135…通話部
122、123、124、125、126…制御信号
201…情報源符号化部
202…MPEG2多重化部
203…TS再多重部
204…RS(リード・ソロモン)符号化部
205…階層分割部
206a、b、c…並列処理部
207…階層合成部
208…時間インタリーブ部
209…周波数インターリーブ部
210…OFDMフレーム構成部
211…逆高速フーリエ変換(IFFT)部
212…ガードインターバル付加部
213…送信部
214…パイロット信号構成部
215…TMCC信号構成部
216…AC信号構成部
300…地震速報センター
400…放送事業者
500…放送設備
600…携帯無声通信事業者
700…基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送により伝送される伝送信号であって、デジタル放送信号と、緊急地震情報とを含む伝送信号を受信する放送受信部と、
前記放送受信部で受信された伝送信号から緊急地震情報を検出し、出力する緊急地震情報受信部と、
無線通信により通話を行う通話部と、
前記通話部により通話を開始するのに伴い、前記放送受信部の受信を開始させ、緊急地震情報受信部で緊急地震情報が検出された場合に、緊急地震情報受信部に緊急地震情報を出力させる制御部と、
を備えることを特徴とするデジタル放送受信装置。
【請求項2】
放送により伝送される伝送信号であって、デジタル放送信号と、緊急地震情報とを含む伝送信号を受信する放送受信ステップと、
前記放送受信ステップで受信された伝送信号から緊急地震情報を検出し、出力する緊急地震情報受信ステップと、
無線通信により通話を行う通話ステップと、を有し
前記通話ステップで通話が開始されるのに伴い、前記放送受信ステップの受信が開始され、緊急地震情報受信ステップで緊急地震情報が検出された場合に、緊急地震情報が出力されることを特徴とするデジタル放送受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−244037(P2011−244037A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111647(P2010−111647)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】