説明

デジタル画像装置にて使用するエンドレスベルト

端縁から端縁への均一な平坦さ及び端縁から端縁への精密な周方向厚さを有する、デジタル画像システムにて使用される、エンドレスベルトが提供される。ベルトを構成する層は、像の記録、像の転写又はシートの搬送工程の何れかにて使用するよう望まれるように特別注文の設計とすることができる。1つの実施の形態において、ベルトは、エラストマー的基部層と、補強支持層と、エラストマー的表面プライとを含む。該ベルトは、層をカ工具上に構築し、次に、層を硬化させることにより製造されることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンドレスベルト、及びデジタル画像装置にて使用する該エンドレスベルトの製造方法に関し、より特定的には、中間像転写、トナーの定着又はトランスフュージング及び(又は)シートの搬送工程にて使用することのできるシームレスの強化ベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル画像システムは、乾式又は液体トナーを使用して文字及び図形像を印刷すべく使用されるゼログラフィ及び電子写真の分野にて広く使用されている。例えば、潜像を形成すべくデジタル式にアドレス指定可能な書込みヘッドを使用するシステムは、レーザ、発光ダイオード及び電子光線印刷機を含む。複写機は光学手段を使用して潜像を形成する。潜像が形成される方式に関係なく、潜像は、インク付け(又は諧調調整)し、紙又はポリマー被着体に転写し且つ定着する。かかるシステムは、典型的に、潜像の記録、中間像転写(ベルトへのトナー像の転写、及びその後の被着体への転写)、トナーのトランスフュージング(未定着像のベルトへの搬送及びその後の定着)、接触定着、又は紙、透明体等のような像形成被着体の静電及び(又は)摩擦力利用の搬送のため利用されるエンドレスベルト、ロール又はドラムのような構成要素を含む。
【0003】
エンドレスベルトの場合、かかるベルトは、典型的に、回転する円筒状ローラによる適正な牽引力及び張力によって動かし又は駆動される。かかるベルトは、像形成過程又は被着体の搬送過程にて重要な役割を果たすため、これらは、厳格な基準に適合するよう設計しなければならない。例えば、像転写ベルトは、シームレス、可撓性であり、且つ均一な平坦さを提供しなければならない。更に、ベルトは、特定の電気性質(誘電定数、体積及び表面抵抗率等)、化学性質(湿度、紫外光線抵抗性)及び所望の用途に依存して相異するであろう寸法上の仕様(円周、厚さ、幅等)を提供しなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ベルトが製造されたとき又は作動する間に不均一さがある場合、色々な問題が生ずる。例えば、潜像の記録のためベルトが使用される場合、ベルト表面は、ベルトの上方に配置された高解像度のレーザ光線を使用してベルト表面に静電気が帯電されるから、表面の平坦さは非常に重要である。ベルトが均一に平坦でない場合、ランダムな位置にて生ずる変形のため、像の質は劣化する可能性がある。
【0005】
従って、表面の平坦さを含む厳格な許容公差の範囲内にて製造し且つ作動させることができると共に、広範囲にわたる像形成、像転写又はシートの搬送工程のため使用することができる、デジタル画像システムにて使用されるエンドレスベルトが依然、当該技術にて必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、像の転写又はシートの搬送のため適当な特徴を提供するよう特別設計とすることのできる作用面を保持する精密で且つ均一な平坦さを有するエンドレスベルトを提供することにより、かかる必要性を満足させるものである。均一な平坦さとは、ベルトの厚さが端縁から端縁にて、また、1つの周方向点(位置)から別の位置まで0.003cm(0.001インチ)以下だけ相異することを意味する。ベルトの周方向均一さは、円錐体の周方向にて0.013cm(0.005インチ)以下だけ相異し、ベルト構造体の全体にわたり周方向均一さを提供する。
【0007】
本発明の1つの形態に従って、第一及び第二の端縁と、複数の層とを有し、デジタル像形成システムにて使用されるエンドレスベルトを提供することができる。1つの実施の形態において、ベルトは、エラストマー的基部プライと、エラストマー的基部層上の補強支持層と、支持層上の作用面を有する外側のエラストマー的層とを含むことができる。該支持層は、ベルトに電気伝導性及び(又は)熱伝導性を提供することのできる重合系又はエラストマー的材料を含浸させることもできる。別の実施の形態において、支持層は、基部層とすることができ、また、少なくとも1つのエラストマー的プライが支持層上にあるようにすることができる。別の実施の形態において、支持層は、少なくとも1つのエラストマー的プライ上にあるようにすることができる。支持層は、作用面として使用することができる。本発明の目的のため、層の位置に関して使用するとき、「上方」という語は、1つの層が「上方」にある層に隣接し且つその層と接触していることを意味することを理解すべきである。更に、本発明の目的のため、「プライ」及び「層」という語は、互換可能であることを理解すべきである。
【0008】
1つの実施の形態において、外側エラストマー的層は、像成分を受け入れ又は被着層を搬送し得るようにした作用表面層として機能することができる。別の実施の形態において、補強支持層は、作用表面層として機能することができる。例えば、表面層は、諧調調整し且つ未定着の像を像の記録構成要素から受け取る中間像転写面として、また、吸着し、整合状態にて保持し、且つ紙又は透明な被着体を搬送する静電表面荷電密度を受け取る誘電面として、又はトナーを被着面に加圧し且つ固定(又は定着)することのできるトナーの定着面として使用することができる。
【0009】
エラストマー的基部層及び外層は、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロカーボン、EPDM(エチレン−プロピレンジエン三量体)、EPM(エチレン−プロピレン共重合体)、NBR(ニトリル−ブタジエンゴム)、ECO(エピクロロヒドリンゴム)、ポリウレタンエラストマー、及びそれらの混合体から成る群から選ぶことが好ましい。支持層が織り又は不織の補強材料を含む実施の形態において、エラストマーは、布地層を部分的に又は完全に含浸させるため使用することができる。かかるエラストマーは、上述したエラストマーの任意のものから成るようにしてもよい。
【0010】
本発明の1つの実施の形態において、外側エラストマー的層は、電気伝導性であるものとすることができる。電気伝導性とは、外側エラストマー的層は中間像転写、トナーの定着又はトランスフュージングの用途にとって望ましい約1014オーム/平方以下の表面抵抗率を有することが好ましいことを意味する。
【0011】
作用面層に表面電荷密度を施すことのできる、被着体の搬送のような適用例において、外側のエラストマー的層又はエンドレスベルトの全体は、約1012オーム・cm以上の体積抵抗率を有することが好ましい。
【0012】
本発明の別の実施の形態において、外側層は、電気絶縁性であるようにしてもよい。電気絶縁性であるとは、該層は、約1014オーム・cm以上の体積抵抗率を有することを意味する。該外側層の表面抵抗率は、ベルトの表面にわたってグリップ無しの被着体の搬送を伴う静電用途にとって望ましい、約1014オーム/平方以上とすることができる。
【0013】
補強支持層は、織り又は不織の布地から成ることが好ましい。支持層は、主要面の双方にてエッチング処理し、基部及び外側のエラストマー的層との優れた接着性を実現し得るようにすることが好ましい。織り及び不織の布地は、例えば、高温抵抗性アラミド繊維、ナイロン、ポリエステル、綿、炭素繊維、ノーメックス(Nomex)、ガラス繊維、色々な金属及び金属−コーティングした繊維及びポリフェニレンベンゾビスオキサゾール(polyphenylenebenzobisoxazole)(PBO)のような電気伝導性及び熱伝導性及び(又は)非伝導性の材料から成るものとすることができる。
【0014】
別の実施の形態において、全体として、基部層を形成するようにマンドレルのようなカ工具に未硬化のエラストマーを施すステップを含むことができる、エンドレスベルトの製造方法が提供される。該エラストマーは、溶媒を加えたゴム又はセメントの形態にてカ工具の表面にコーティングし、又はカレンダ加工した又は押し出し成形した形成可能なシートの形態にて施すことができる。次に、縦方向及び周方向に補強するため、補強支持層を、基部層上に施すことができる。補強支持層は、機械方向に向けて方向決めすることができる。支持層の長さ方向端部は、厚さ、重量及び(又は)密度の点にて勾配を付け、ベルトの円周にわたる均一さ及びシームレス性を保証することができる。次に、未硬化のエラストマー層を補強支持層の全体の上に施して、外側層を形成することができる。外側エラストマー層は、溶媒を加えたゴムの形態にてコーティングすることにより施し又はカレンダ加工し又は押し出し成形した形成可能なシートの形態にて施すことができる。
【0015】
外側エラストマー的層が施された後、次に、組み立てた層を硬化させることができる。硬化した後、外側エラストマー的層の表面を、研磨し又はその他の方法にて処理し、均一な平坦さを実現し、上述したようにエラストマー的層が作用表面層として機能するようにすることが好ましい。
【0016】
形成されるベルトは、所望の寸法上の安定条件を満足させるためコードを紡糸した補強層は不要である。このベルトにより提供される利点は、印刷物にてコードがすけて見える(show−through)可能性無しの極めて薄いベルトを製造する能力を含むことができる。コードが無い構造体の更なる利点は、より迅速に且つ容易に製造できる点である。
【0017】
本発明の実施の形態に従って形成されたエンドレスベルトは、デジタル画像機械内に張力を持たせて設置したとき、優れた性能を示すことが判明した。構造及びエラストマーの選択に基づいて、ベルトは、中間像転写にて使用するため許容可能なトナーを受け入れる性質、被着体の搬送の用途のため、十分な表面電荷密度の保持及び(又は)定着又はトランスフュージングの用途のため、優れたトナーの剥離性質を示すことが判明している。
【0018】
従って、均一な平坦さを示すと共に、潜像の記録、中間像転写、被着体の搬送、トナーの定着又はトナートランスフュージングのため、使用することのできるデジタル画像機械にて使用されるシームレスベルトを提供することも本発明の実施の形態の1つの特徴である。これら及びその他の本発明の特徴及び有利な効果は、以下の詳細な説明、添付図面及び添付した請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明の特定的な実施の形態に関する以下の詳細な説明は、同様の構造体を同様の参照番号にて示す、以下の添付図面と共に、読んだとき、最も良く理解することができる。
【図1】回転可能なローラ上に取り付けた本発明のベルトの1つの実施の形態の斜視図である。
【図2】本発明の1つの実施の形態による、図1のベルトの斜視図である。
【図3】本発明の1つの実施の形態による、図2の線3−3に沿った断面図である。
【図4】本発明の別の実施の形態による断面図である。
【図5】本発明の別の実施の形態による断面図である。
【図6】本発明の1つの実施の形態による、本発明のベルトを製造する1つの方法のステップを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
幾つかの実施の形態の以下の詳細な説明にて、本明細書の一部を形成し、また、限定的はなく、単に説明のため、本発明が実施可能である特定の実施の形態を示す添付図面を参照する。その他の実施の形態が利用可能であり、また、本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、論理的、機械的及び電気的変更を具体化することが可能であることも理解すべきである。
【0021】
回転張力の下、均一な平坦さ及び優れた性能が得られるよう厳格な許容公差範囲内にてシームレスベルトを製造することができる点にて該シームレスベルトは先行技術のベルトに優る有利な効果を提供することができる。更に、プライは変化可能であり、また、必要であれば、特定の用途のため互換し、潜像の記録、中間像転写、被着体の搬送及びトナーの定着又はトナーのトランスフュージングにて使用し得るよう特別注文の設計とすることができる。コードを紡糸した補強材の使用を不要とすることにより、像の質を改良しつつ、ベルトの厚さは、先行技術のベルトよりも薄くすることができる。
【0022】
例えば、外側層上に表面電荷密度が施される被着体の搬送の用途にて、外側作用面又はエンドレスベルトの全体は、約10オーム・cm以上の後側から表面のバルク抵抗率を有することができる。中間像転写のため、外側作用面は、例えば、トナーを剥離することができ、且つ約1014オーム/平方以下の表面抵抗率を有することができるシリコーン、フルオルカーボン又はフルオロシリコーンのような、エラストマーから成るものとすることができる。トナー定着のため、ベルトの層の全ては、シリコーン又はフルオロカーボンのような高温度抵抗及び熱伝導効率に優れたエラストマーから成るものとすることができる。トランスフュージングの適用例のため、外側作用面は、十分なトナー剥離の性質及び約1014オーム/平方以下の表面抵抗率を有することができる高温度抵抗エラストマーから成るものとすることができる。
【0023】
次に、図1及び図2について説明する。シームレスの均一な平坦面を有する、本発明に従って形成されたベルト10が示されている。該ベルト10は、第一の端縁50及び第二の端縁52を有することができる。図1に示した実施の形態において、ベルト10は、中間像転写のため使用することができる。その他の適用例において、ベルトは、図1に示した記録ドラム16のような記録ドラム上にて使用することができる。最初に、コンピュータ12は、書込みヘッド60(例えば、レーザ又はLEDのような)を介して記録ドラム16上への潜像14の形成を制御することができる。潜像は、静電的に、乾燥トナーをトナーキャリッジ18から吸引して諧調調整した未定着の像20を形成することができる。この像は、中間像22の形態にてベルト10に転写することができる。該ベルトは、トランスフュージングニップ30を通じて中間像を前進させるローラ24、26、28により駆動することができ、この場合、熱及び圧力を付与して、トナー像を被着体32に同時に転写し且つ定着させ、該被着体は、定着ローラ34及びベルト10によって同期的に且つ摩擦力を利用して前進させ最終の定着像36を形成することができる。潜像14、未定着像20、中間像22及び定着像36は、像を形成するときに関係するステップ順序を一層良く示すような態様にて図示されていることを理解すべきである。例えば、実際の過程にて、被着体32への像36の転写及び定着は、実際に、ニップ30にて行なわれるようにしてもよい。上述した過程は、液体トナーと共に使用し得るようにしてもよい。
【0024】
図3は、本発明の1つの実施の形態に従って形成したエンドレスベルトを示す。該ベルト10は、エラストマー的基部プライ40と、基部プライ上の補強支持層42と、外側のエラストマー的層44とを含むことができる。該エラストマー的基部プライ40及び外側のエラストマー的層44は、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロカーボン、EPDK、EPM又はウレタンから成るものとすることができる。補強支持層42は、ベルトに縦方向及び周方向補強効果のみならず、横方向強度を提供することのできる織り又は不織の布地から成るものとすることができる。補強支持層42は、ベルトの構造に電気伝導性及び熱伝導性の特徴を与えるよう使用することもできる。補強支持層42は、以下に説明するように、上述したエラストマーの任意のものを含浸させてもよい。1つの実施の形態において、補強支持層42の含浸は完全であるようにすることができる。別の実施の形態において、補強支持層42は、部分的に含浸させてもよい。1つの実施の形態において、補強支持層42は、予含浸した織り又は不織の布地として提供することができる。別の実施の形態において、支持層42の含浸は、以下に説明するベルト構造内の過程ステップとして実現することができる。
【0025】
補強支持層42の布地は、例えば、高温度抵抗アラミド繊維、ナイロン、ポリエステル、綿、炭素繊維、ノーメックス、ガラス繊維、色々な金属及び金属コーティングした繊維及びポリフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)のような、電気伝導性及び熱伝導性及び(又は)非伝導性材料から成るものとすることができる。これらの材料は、電気伝導性及び(又は)熱伝導性のため選択することができ、また、支持層42の構造内にて方向決めし又は方向決めしなくてもよい。好ましくは、布地は、機械方向に方向決めし、また、等価的性質のため必要な布地量を少なくする一方にて、弾性率を増加させるのみならず、破断荷重を大きくする作用を果たす。機械の方向は3−4から1であることが好ましい。更に、織り又は不織の布地は、使用する前にカレンダ加工してゲージ均一さを改良すると共に、ルーズな繊維がすけて見えるのを少なくし、これにより布地に要求される総断面空間を減少させることができる。更に、補強支持層42の布地の長さ方向端部は、厚さ、重量又は密度の点にて勾配を付け、勾配を付けた端部を接合部にて重ね合わせたとき、合計厚さ、重量又は密度はベルトの円周内にて均一さ及び機能的なシームレス性を維持するようにする。
【0026】
別の実施の形態において、シームレスベルトは、図4に示したように、エラストマー的支持層40、42の双方の下方にある、最下層として補強支持層42を有する構造とすることができる。更に別の実施の形態において、シームレスベルトは、図5に示したように、エラストマー的層40、44の双方の頂部にある、最上層として補強支持層42を有する構造とすることもできる。
【0027】
好ましくは、エラストマー的表面プライは、例えば、所望の仕様に従ってその他の成分と混合させた、ポリジメチルシロキサン又はメチルビニルシロキサン系のゴムのようなシリコーンゴムから成るものとすることができる。エラストマー的表面プライは、ベルトの所望の適用例に依存して、電気伝導性とし又は非伝導性であってもよい。伝導性エラストマー的プライが望まれる場合、エラストマーは、外側プライ又はエンドレスベルトの全体に約1014オーム/平方以下の表面抵抗率を与えるのに十分な量のカーボンブラック又はその他の伝導性添加剤をドーピングすることが好ましい。これと代替的に、所望の電気性質は、伝導性ポリマー、伝導性可塑剤を使用し、又は例えば、エピクロルヒドリン、ポリアニリン、「ブルカノール−KA(Vulkanol−KA)(ポリグリコールエーテル)、「ハーコフレックス−600(Hercoflex−600)ペンタエリスリトールエステル)及び鉄、銅又はリチウムの塩化物又は臭化物のような伝導性塩を使用して実現してもよい。
【0028】
次に、本発明のシームレスベルトを製造する1つの方法におけるステップを示す、フロー図である、図6に関して説明する。図6にて同様の参照番号は、図3−5にて説明したものと同一の要素を表わす。
【0029】
端縁から端縁の精密な周方向均一さを実現するため、研磨表面を有する金属製シリンダ又は円筒状マンドレル50のような、固定され且つ許容公差の大きい加工具を使用してベルトを製造することができる。1つの実施の形態において、溶剤を加えた溶液内にて提供されたエラストマーは、ナイフコーティング又はローラコーティングの何れかにてマンドレルに施して、基部エラストマー層40を形成することができる。基部エラストマー層40は、約0.00254cm(約0.001インチ)から約0.0127cm(約0.005インチ)の範囲の厚さを有することができる。
【0030】
次に、極めて薄いキャリパの補強支持層42から成る織り又は不織の布地を、基部エラストマー層40の表面上に層形成することができる。好ましくは、該布地は、基部エラストマー層40上に施す前、溶媒を加えたゴムセメント内に浸漬させることができる。適当な商業的に利用可能な布地の例は、テクニカルファイバプロダクツ(Technical Fibre Products)からのカレンダ加工した不織の「ケブラー(Kevlar)」、デュポン(Dupont)からの不織の「ケブラー(Kevlar)」、アドバンストファイバノンウーブンス(Advanced Fiber Nonwovens)(ホーリングズワースアンドブォース(Hollingsworth and Vose)の事業部)からの不織の「ケブラー(Kevlar)」、テイジン(Teijin)からの不織のアラミド(不織の「トワラン」((Twaran)non−woven)又は任意のその他の適当な布地を含む。該布地は、約0.015cm(約0.006インチ)から約0.030cm(約0.012インチ)の範囲以下の厚さを有することができる。
【0031】
最後に、溶媒を加えたエラストマーは、補強支持層42上にて所望の厚さにナイフコーティングして、エラストマー的表面層44を形成することができる。これと代替的に、表面層44は、補強支持層42の上に直接施すことのできるカレンダ加工し且つ形成可能なゴムシートを使用することにより形成してもよい。用途に依存して、ベルト全体の厚さは、約0.025cm(約0.010インチ)から0.508cm(0.20インチ)以上とすることができる。エラストマー的表面層44は、総ベルトゲージの約50%から約75%とすることができる。
【0032】
ベルトが円筒状マンドレル上にて構築された後、該ベルトは、プラスチックジャケット(図示せず)内にて緊密に巻き且つ熱及び圧力を加え、エラストマーゴムをベルトの層内にて硬化させることができる。硬化したとき、ベルトは、室温にて巻き解き、且つRa、つや消し又は光沢仕上げ等のような所望の仕様に従って仕上げ、有用な作用面を形成することができる。該作用面は、±0.0013cm(0.0005インチ)の厚さ許容公差まで研磨することが好ましい。
【0033】
成形した表面が望まれる用途にて、ベルト層は、図6に示した方法とは逆の順序にて形成することができ、例えば、エラストマー層44は、最初に金属シリンダ又は円筒状マンドレル50上に施すことができる。次に、補強支持層42を上述した態様にて層44の上に施すことができる。エラストマー層40は、補強支持層42の上に施すことかできる。組立体は、緊密に巻き且つ硬化させることができる。硬化したとき、エラストマー40は、所望のゲージまで研磨することができる。最後に、ベルト構造体は、反転させて、成形した層44が外側作用表面層を形成し、研磨層40が基部層となるようにすることができる。
【0034】
「好ましい」、「一般に」及び「典型的に」のような語は、請求項に記載した本発明の範囲を限定するため、又は特定の特徴部が請求項に記載した本発明の構造体又は機能にとって極めて重要、必須又は重要でさえあることを意味するために使用したものではないことが認識される。これらの語は、単に、本発明の特定の実施の形態にて利用し又は利用されない代替的な又は追加的な特徴部を強調することを意図するものである。
【0035】
その特定の実施の形態に関して本発明を詳細に説明したが、添付した請求項に記載した本発明の思想から逸脱することなく改変例及び変更例が可能であることは明らかであろう。より特定的には、本発明の幾つかの形態について好ましく又は特に有益なものとして説明したが、本発明は必ずしも、本発明のこれらの好ましい形態にのみ限定されるものではないことを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一及び第二の端縁と、複数の層とを有するデジタル画像システムにて使用されるエンドレスベルトにおいて、
エラストマー的基部層と、
該基部層上の支持層であって、前記エンドレスベルトに電気伝導性及び(又は)熱伝導性を提供する材料を含浸させた前記支持層と、
前記支持層上の外側のエラストマー的層であって、シームレスの作用表面層を形成する前記外側のエラストマー的層とを備える、エンドレスベルト。
【請求項2】
請求項1に記載のエンドレスベルトにおいて、前記支持層は、機械方向に向けて方向決めした織り又は不織の補強材料から成る、エンドレスベルト。
【請求項3】
請求項2に記載のエンドレスベルトにおいて、前記織り又は不織の補強材料は、使用前、カレンダ加工される、エンドレスベルト。
【請求項4】
請求項1に記載のエンドレスベルトにおいて、前記支持層は、高温度抵抗アラミド繊維、ナイロン、ポリエステル、綿、炭素繊維、ノーメックス、ガラス繊維、色々な金属及び金属コーティングした繊維、ポリフェニレンベンゾビスオキサゾール及びそれらの組み合せ体から成る群から選ばれる、エンドレスベルト。
【請求項5】
請求項2に記載のエンドレスベルトにおいて、前記支持層は、機械方向に方向決めされる、エンドレスベルト。
【請求項6】
請求項5に記載のエンドレスベルトにおいて、前記機械方向は、3から1である、エンドレスベルト。
【請求項7】
請求項1に記載のエンドレスベルトにおいて、前記支持層の長さ方向端部は、勾配を付けた端部が接合部にて重なり合う箇所にて、前記エンドレスベルトの均一さ及びシームレスさが維持されるように勾配が付けられる、エンドレスベルト。
【請求項8】
請求項1に記載のエンドレスベルトにおいて、前記支持層の長さ方向端部は、厚さ、重量又は密度の点にて勾配が付けられる、エンドレスベルト。
【請求項9】
請求項1に記載のエンドレスベルトにおいて、前記ベルトの厚さは、第一の端縁から第二の端縁まで且つ1つの周方向点(位置)から別の点まで、0.003cm(0.001インチ)以下だけ相異する、エンドレスベルト。
【請求項10】
請求項1に記載のエンドレスベルトにおいて、前記ベルトの前記周方向均一さは、円錐体にて0.013cm(0.005インチ)以下だけ相異する、エンドレスベルト。
【請求項11】
請求項1に記載のエンドレスベルトにおいて、前記エラストマー的プライは、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロカーボン、EPDM、EPM、ポリウレタンエラストマー、NBR、ECO及びそれらの混合体から成る群から選ばれる、エンドレスベルト。
【請求項12】
請求項1に記載のエンドレスベルトにおいて、前記支持層は、シリコーン、フルオロシリコーン、フルオロカーボン、EPDM、EPM、ポリウレタンエラストマー、NBR、ECO及びそれらの混合体から成る群から選んだエラストマーにて含浸される、エンドレスベルト。
【請求項13】
請求項1に記載のエンドレスベルトにおいて、前記支持層は、エラストマーにて部分的に又は実質的に完全に含浸される、エンドレスベルト。
【請求項14】
請求項1に記載のエンドレスベルトにおいて、前記外側のエラストマー的プライは、電気伝導性又は電気絶縁性である、エンドレスベルト。
【請求項15】
請求項1に記載のエンドレスベルトにおいて、約10オーム・cm以上の体積抵抗率を有する、エンドレスベルト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−527772(P2011−527772A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517475(P2011−517475)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/049024
【国際公開番号】WO2010/005820
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(300078202)デイ インターナショナル インコーポレーテッド (21)
【Fターム(参考)】