説明

デジタル色変換処理装置

【発明の詳細な説明】
[発明の分野]
本発明は、デジタル電気信号を処理して色変換を行なうデジタル色変換処理装置に関し、例えばデジタルカラー複写機,カラー画像処理装置等々で利用される。
[従来の技術]
例えばカラー画像のコピーを作成する場合に、原稿画像の一部の色を別の色に変更したコピーが欲しいことがある。
この種の色の異なるコピー画像を得る処理は、従来より、高価なグラフィックワークステーションを用い次のようにして行なっている。即ち、まず最初に原稿画像をイメージスキャナによって読み取り、読み取った画像のデータを大容量の画像メモリに読み込み、次に画像メモリの一部もしくは全体のデータをブラウン管表示装置に表示する。オペレータはブラウン管表示装置に表示された画像の特定に領域をカーソルで指定し、変更後の色を指定する。画像処理装置は、カーソルで指定された領域のデータを、オペレータが指定した色に変更し、変更されたデータをブラウン管上に更新表示する。オペレータは、希望する色に修正された画像がブラウン管上に表示されるまで、上記領域の指定と色の指定を繰り返し、それが終了したら、修正の終了した画像データをカラープロッタ等に出力して、コピー画像を作成する。
しかしながら、この種の方法では、オペレータの操作が複雑で処理に時間がかかるし、処理装置は大容量の画像メモリと高解像度のカラーブラウン管表示装置を必要とするので、高価になるのは避けられない。
アナログ式のカラー複写機においては、従来より、色分解フィルタの色の組合せ及び現像器のトナー色の組合せを切換えることにより、原稿像と異なる色のコピー像を得ることが提案されている(特開昭52-55542号公報)。これによれば、原稿像とコピー像の色を変えることができる。しかし、光学フィルタ板の色の組合せを切換える必要があるので、機械的に構造が複雑になるのは避けられないし、1枚のコピーを得るためには多数回のコピープロセスを繰り返す必要があるので、コピー処理に時間がかかる。
[発明の目的]
本発明は、簡単な操作で画像中の希望する色だけを希望する色に変換しうるデジタル色変換処理装置を安価に提供すること、及びリアルタイム処理を行ない画像メモリが不要なデジタル色変換処理装置を提供することを目的とする。
[発明の構成]
上記目的を達成するため、本発明においては、例えばR(レッド),G(グリーン),B(ブルー)のような基本色に色分解されて入力される複数の入力画像信号の中でレベルが最大の信号を識別することによって、それらの入力画像信号の組合せで構成される入力色を識別する。そして、前記識別結果がオペレータによって予め指定された変換元の色と一致すると認められた場合に、信号選択手段を制御して、複数の入力画像信号の各基本色と、画像出力手段(例えばカラープロッタ)の複数の信号入力端子の各々に対応付けられた各基本色との対応を切換え、変換元の色の信号入力端子に変換先の色の信号を印加する。
ここで、R,G,Bの3原色に色分解される3組の時系列の信号として入力される画像信号を扱う場合を考える。単純に考えれば、原稿画像上の赤い部分を縁に変えたい場合には、出力端子のGに入力端子のRの信号を印加すればよい。ところが、原稿画像には、一般に赤,緑,青の3原色の他にそれらの合成色の画像が含まれている。従って、前記のように出力端子のGの入力端子のRの信号を印加する場合、R+G,R+B,R+G+Bで表現される色も、それぞれG,G+B及びG+Bの合成色に変化する。ところが、R+G,R+B及びR+G+Bのような合成色は、オペレータには赤に見えないこともある。つまり、単純にR,G,B信号の組合せを入力と出力とで切換えるだけでは、オペレータが希望しない部分の画像まで、出力の色が変化してしまう。また、変換後の色も指定した色と一致しない部分がある。
ところが、本発明によれば、複数の入力画像信号の中でレベルが最大の信号を識別することによって、その時の信号で表現される色を識別し、更にその識別結果と指定色とが一致するかどうかをチェックするので、色の変換が行なわれるのは、オペレータが指定した色とみなせる部分の画像に限られる。
後述する本発明の好ましい実施例においては、色変換を行なう場合、変換先の色の出力端子に変換元の色の入力画像信号を印加すると同時に、変換元の色の出力端子に変換先の色の入力画像信号を印加する。つまり、変換元の信号と変換先の信号とを相互に交換する。
例えば、赤を青に変換する場合に、B色の出力端子にR色の信号を印加し、R色の出力端子を例えば零レベルに設定すると、出力画像の色は、原色のB色に極めて近くなる。つまり、原稿に中間色が含まれる場合でも、色変換を行なうと、得られる画像は原色に近い不自然な画像になり易い。ところが、B色の出力端子にR色の信号を印加し、R色の出力端子にB色の信号を印加すると、入力画像が中間色である場合には、出力画像も中間色になるので、色変換を行なう場合でも、自然な色彩が再現される。
本発明の他の目的及び特徴は、以下の、図面を参照した実施例説明により明らかになろう。
[実施例]
第2図に、本発明を実施する一形式のデジタルカラー複写機の機構部の構成要素を示す。第2図を参照すると、この複写機は、原稿像を読取るイメージスキャナとその下に配置されたプロッタでなっている。プロッタには操作ボード300が備わっている。
原稿1はプラテン(コンタクトガラス)2の上に置かれ、原稿照明用蛍光灯31,32により照明され、その反射光が移動可能な第1ミレー41,第2ミラー42および第3ミラー43で反射され、結像レンズ5を経て、ダイクロイックプリズム6に入り、ここで3つの波長の光、レッド(R),グリーン(G)およびブルー(B)に分光される。分光された光は固体撮像素子であるCCD7r,7gおよび7bにそれぞれ入射する。すなわち、レッド光はCCD7rに、グリーン光はCCD7gに,またブルー光はCCD7bに入射する。
蛍光灯31,32と第1ミラー41が第1キヤリッジ8に搭載され、第2ミラー42と第3ミラー43が第2キヤリッジ9に搭載され、第2キヤリッジ9が第1キヤリッジ8の1/2の速度で移動することによって、原稿1からCCDまでの光路長が一定に保たれ、原画像読み取り時には第1および第2キヤリッジが右から左へ走査される。キャリッジ駆動モータ10の軸に固着されたキヤリッジ駆動プーリ11に巻き付けられたキヤリッジ駆動ワイヤ12に第1キヤリッジ8が結合され、第2キヤリッジ9上の図示しない動滑車にワイヤ12が巻き付けられている。これにより、モータ10の正,逆転により、第1キヤリッジ8と第2キヤリッジが往動(原画像読み取り走査),復動(リターン)し、第2キヤリッジ9が第1キヤリッジ8の1/2の速度で移動する。
CCD7r,7g,7bの出力は、アナログ/デジタル変換され、後述する画像処理ユニット100で必要な処理を施こされて、記録色情報であるブラック(BK),イエロー(Y),マゼンタ(M)およびシアン(C)それぞれの記録付勢用の2値化信号に変換される。2値化信号のそれぞれが、各色毎に設けられた半導体レーザを付勢することにより、記録色信号(2値化信号)で変調されたレーザ光が出射される。
出射されたレーザ光は、それぞれ、回転多面鏡13bk,13y,13mおよび13cで反射され、f−θレンズ14bk,14y,14mおよび14cを経て、第4ミラー15bk,15y,15mおよび15cと第5ミラー16bk,16y,16mおよび16cで反射され、多面鏡面倒れ補正シリンドリカルレンズ17bk,17y,17mおよび17cを経て、感光体ドラム18bk,18y,18mおよび18cに結像照射する。
回転多面鏡13bk,13y,13mおよび13cは、多面鏡駆動モータ41bk,41y,41mおよび41cの回転軸に固着されており、各モータは定速度で回転し多面鏡を一定速度で回転駆動する。多面鏡の回転により、前述のレーザ光は、感光体ドラムの回転方向(時計方向)と垂直な方向、すなわちドラム軸に沿う方向に走査される。
感光体ドラムの表面は、図示しない負電圧の高圧発生装置に接続されたチヤージスコロトロン19bk,19y,19mおよび19cにより一様に帯電させられる。記録信号によって変調されたレーザ光が一様に帯電された感光体表面に照射されると、光導電現象で感光体表面の電荷がドラム本体の機器アースに流れて消滅する。ここで、原稿濃度の濃い部分はレーザを点灯させないようにし、原稿濃度の淡い部分はレーザを点灯させる。これにより感光体ドラム18bk,18y,18mおよび18cの表面の、原稿濃度の濃い部分に対応する部分は−800Vの電位に、原稿濃度の淡い部分に対応する部分は−100V程度になり、原稿の濃淡に対応して、静電潜像が形成される。この静電潜像をそれぞれ、ブラック現像ユニット20bk,イエロー現像ユニット20y,マゼンタ現像ユニット20mおよびシアン現像ユニット20cによって現像し、感光体ドラム18bk,18y,18mおよび18cの表面にそれぞれブラック,イエロー,マゼンタおよびシアントナー画像を形成する。
尚、現像ユニット内のトナーは攪拌により正に帯電され、現像ユニットは、図示しない現像バイアス発生器により−200V程度にバイアスされ、感光体の表面電位が現像バイアス以上の場所に付着し、原稿に対応したトナー像が形成される。
一方、転写紙カセット22に収納された記録紙267が送り出しローラ23の給紙動作により繰り出され、レジストロータ24で、所定のタイミングで転写ベルト25に送られる。転写ベルト25に載せられた記録紙は、転写ベルト25の移動により、感光体ドラム18bk,18y,18mおよび18cの下部を順次に通過し、各感光体ドラム18bk,18y,18mおよび18cを通過する間、転写ベルトの下部で転写用コントロンの作用により、ブラック,イエロー,マゼンタおよびシアンの各トナー像が記録紙上に順次転写される。転写された記録紙は次に熱定着ユニット36に送られそこでトナーが記録紙に固着され、記録紙はトレイ37に排出される。
第3図に、第2図の複写機の操作ボード300を拡大して示す。第3図を参照すると、この操作ボード300には、数値表示器DS1,DS2,プリントスタートキーKS,0〜10の数値キー及びクリアキーを含むテンキーKT及び6つの色変換指定キーKC1,KC2,KC3,KC4,KC5,KC6が備わっている。
色変換指定キーKC1,KC2,KC3,KC4,KC5及びKC6は、それぞれ、原稿像のG色(グリーン)の部分をR色(レッド)に変えたい場合、原稿像のR色の部分をG色に変えたい場合,原稿像のG色の部分をB色(ブルー)に変えたい場合,原稿像のB色の部分をG色に変えたい場合,原稿像のB色の部分をR色に変えたい場合,及び原稿像のR色の部分をB色に変えたい場合に操作される。
第4図に、第2図の複写機の画像処理系の電装部の構成を示す。
第4図を参照すると、R,G及びBの各色に色分解された画像を読み取る各CCD7r,7g及び7bから出力されるアナログ画像信号は、各々、A/D変換器によって8ビットのデジタル信号に変換され、画像処理ユニット100の入力端子に印加される。
画像処理ユニット100に印加される各色の画像信号は、シェーディング補正回路101,マルチプレクサ102及びγ補正回路103を通って、色変換回路104に印加される。後述する色変換処理を行なわない場合には、色変換回路104に入力される信号とそれから出力される信号は同一である。
色変換回路104の各出力端子(R,G,B)から出力される信号は、補色生成回路105を通るとY(イエロー),M(マゼンタ)及びC(シアン)に変換される。補色生成回路105から出力されるY,M及びCの各8ビットの信号は、マスキング処理回路106を通って各々6ビットに変換され、UCR処理・黒発生回路107に印加される。
この回路107の出力は、Y,M,C及びBK(ブラック)の4色信号が得られる。これらの信号のうちBKは直接、またはY,M及びCは、時間遅延のためにそれぞれバッファメモリ108y,108m及び108を通った後、階調処理回路109に印加される。階調処理回路109は、入力される各色の多値信号を各々ディザ処理し、二値信号に変換される。
階調処理回路109が出力するY,M,C及びBKの各色の二値信号が、それぞれレーザドライバを通って、半導体レーザ43y,43m,43c及び43bkを付勢し、各感光体ドラム上に画像情報を書込む。
第1図に、第4図の色変換回路104の具体的な回路構成を示す。第1図を参照すると、この回路は、大きく分けて入力色識別回路150,色変換制御回路160及び信号選択回路180でなっている。各入力端子Rin,Gin及びBinに、それぞれ、γ補正回路103が出力するR色,G色及びB色の画像信号が印加される。
入力色識別回路150には、3つのデジタルコンパレータ151,152,153とアンドゲート154,155,156が備わっている。コンパレータ151の2つの入力端子には、それぞれ、R色及びG色の画像信号が印加され、コンパレータ152の2つの入力端子には、それぞれ、G色及びB色の画像信号が印加され、コンパレータ153の2つの入力端子には、それぞれ、B色及びR色の画像信号が印加される。
コンパレータ151は、各々R>G及びR<Gの条件で高レベルHになる2つの信号を出力し、コンパレータ152は、各々G>B及びG<Bの条件で高レベルHになる2つの信号を出力し、コンパレータ153は、各々B>R及びB<Rの条件で高レベルHになる2つの信号を出力する。
従って、アンドゲート154の出力端子に現われる信号は、R>GでしかもR>Bの時にHになり、それ以外の条件ではLになる。同様に、アンドゲート155の出力端子の信号は、G>BでしかもG>Rの時にHになり、それ以外の条件ではLになる。アンドゲート156の出力端子の信号は、B>GでしかもB>Rの時にHになり、それ以外の条件ではLになる。つまり、R,G,Bの中で最もレベルの大きい信号がR,G及びBである時、それぞれアンドゲート154,155及び156の出力端子がHになる。
色変換制御回路160には、アンドゲート161,162,163,164,165,166,オアゲート167,168,169及びラッチ170が備わっている。ラッチ170の6ビットの入力端子に、色変換指示信号CCHGが印加される。この色変換指示信号は、第4図4図に示す主制御装置200から印加されるものであり、各ビットの状態は、それぞれ、操作ボート上の各色変換指示キーと1対1に対応している。即ち、キーKC2,KC1,KC3,KC4,KC5及びKC6を押した場合、それぞれ、信号CCHGのビット6(MSB),5,4,3,2及び1(LSB)がそれぞれHになり、他のビットがLになる。なお、この例では、信号ラインENは常時Hに設定されている。
オアゲート167の出力端子に現われる信号S1は、色変換指示信号CCHGのビット6がHでしかも入力信号のR,G,Bの中でRのレベルが最大である場合、又はCCHGのビット5がHでしかも入力信号のR,G,Bの中でGのレベルが最大である場合にHになり、それ以外の条件ではLになる。同様に、オアゲート168の出力信号S2は、CCHGのビット4がHでしかも入力信号のR,G,Bの中でGのレベルが最大である場合、又はCCHGのビット3がHでしかも入力信号のR,G,Bの中でBのレベルが最大である場合にHになり、それ以外の条件ではLになる。オアゲート169の出力信号S3の状態は、CCHGのビット2がHでしかも入力信号のR,G,Bの中でBのレベルが最大である場合、又はCCHGのビット1がHでしかも入力信号のR,G,Bの中でRのレベルが最大である場合にHになり、それ以外の条件ではLになる。
信号選択回路180には、3組のデータセレクタ181,182及び183が備わっている。各々のデータセレクタは、3組の8ビット入力端子R,G,B,8ビット出力端子Q及び2ビットの選択制御端子Sを備えている。データセレクタ181,182及び183の入力端子R,G及びBには、それぞれ、R色,G色及びB色の画像信号が共通に印加される。データセレクタ181の制御端子Sには、前記色変換制御回路160が出力する信号S1とS3が印加され、データセレクタ182の制御端子Sには信号S1とS2が印加され、データセレクタ183の制御端子Sには信号S2とS3が印加される。
色変換制御回路160が出力する信号S1〜S3と各データセレクタが出力する信号の色との対応は次の第1表のとおりである。


つまり、この実施例では、変換元の色CLSを変換先の色CLDに変換する指示があると、その時入力される画像信号の中でCLS色の成分のレベルが最大であるかどうかを識別しCLSが最大である場合に、CLSの信号とCLDの信号とを相互に交換して出力する。CLS色の信号よりレベルの大きい画像信号が存在する場合には、信号の交換は禁止される。
例えば、キーKC2が押されてR色をG色に変換する動作モードになった場合には、R>GでしかもR>Bの条件が満たされる信号に対しては出力端子Goutに入力端子Rinの画像信号を出力し、出力端子Routに入力端子Ginの画像信号を出力する。出力端子Boutには、入力端子Binの画像信号をそのまま出力する。
第5図に、原稿画像のある位置における色を構成する基本色R,G,Bの各濃度と、その画像をコピーした場合に再生される色を構成する基本色R,G,Bの各濃度との対応を示す。第5図に示す原稿位置の色は、R色の成分が大きい割合いを占めるので、この色は人間には赤色がかって見える。そこで、この原稿色を例えばグリーンGに変えようとオペレータが考える場合には、オペレータは変換元の色がR色であると認識し、変換先の色がG色であるから、変換キーKC2を押すことになる。この場合、R>GでしかもR>Bあり、変換許可の条件が満たされているので、第5図にR→Gで示すように原稿とコピーとはR色の成分のレベルとG色の成分のレベルとが交換される。また、例えば別の領域に存在するB色がかった画像に対してそれをR色に変換する場合、第5図に示された原稿色の領域では、B>Rでなく、またB>Gでないので、この領域の画像に対しては、色変換は行なわれない。つまり、オペレータに変換元の色として認識される領域は色変換が実行されるが、オペレータに変換元の色として認識されない領域については色変換は実行されない。従って、原稿上のオペレータが希望する部分(色)だけ色の変化したコピーが作成される。
なお、この実施例においては、色変換を行なう場合に、入力端子と出力端子との間で、変換元の色と変換先の色の2つの画像信号を相互に交換しているが、交換元の色の出力端子に変換先の色の画像信号を印加し、変換先の色の出力端子には固定レベル(例えば零レベル)を出力するように変更してもよい。但し、そのようにすると、色変換後に再現される色が、原色(R,G,B)に非常に近いもののみに限定されるため、コピー画像の色が人間に対して不自然な感じを与え易い。しかし、上記実施例にように変換元の色と変換先の色とを相互交換する手法を用いる場合には、原稿画像の色が中間色の場合には、色変換されて得られるコピー画像の色も中間色になるので、自然な色が再現される。
第6図に、色変換回路104の1つの変形例を示す。なお、前記実施例と同一の構成要素には同一の符号を付けてある。第6図を参照すると、この回路は、入力色識別回路150、色変換制御回路160B及び信号選択回路180でなっている。前記実施例と異なるのは色変換制御回路160Bのみである。なお色変換制御回路160Bは、入力色識別回路150が出力する6つの信号のうちR>B,G>B及びB>Rの3つだけを使用している。
色変換指示信号CCHGBは、16種類の色変換指示情報をコード化した4ビットの信号であり、操作ボートからの指示に応じて主制御装置200が生成する。なお、図示しないが、この例では色変換の動作モードが多いので、操作モード上に数個のキーが追加されている。
色変換指示信号CCHGBの16種類の各コードは、各々次の第2表に示す色変換モードに対応している。


上記第2表から分かるように、この実施例においては、R,G,Bの組み合わせることにより、変換先の色としてY(イエロー),M(マゼンタ)及びC(シアン)をも指定できるように構成してある。
R,G,BとY.M.Cとの間には、Y=R+G,M=R+B及びC=G+Bの関係がある。そこで、この実施例においては、変換先の色CLDとしてY,M又はCが指定された場合には、CLDを構成する複数の基本色の出力端子に、共通に、変換先の色CLSの画像信号を印加するように構成してある。即ち、第2表に示すように、例えばR色をY色に変換する場合には、R色の画像信号が、Y色を構成するR色とG色の出力端子に共通に出力される。
第6図を参照すると、色変換制御回路160Bは、色変換指示信号CCHGBを保持するラッチ172とROM(読み出し専用メモリ)171で構成されている。入力色識別回路150が出力する3ビットの信号(R>G,G>B,B>R)と、ラッチ172が出力する4ビットの信号(CCHGB)とが、ROM171の7ビットのアドレス端子に印加される。ROM171の6ビットのデータ端子が、信号選択回路180の各データセレクタの選択制御端子Sに接続されている。
ROM171は、色変換指示信号CCHGBに応じて前記第2表に示す信号交換を行なうための制御信号のデータを、CCHGBに対応する各メモリアドレスにテーブルとして予め記憶している。但し、その変換が行なわれるのは、入力画像信号の色が、変換元の色CLSと一致すると認識された場合のみである。つまり、入力画像信号を構成するR,G,Bの信号の中で、CLS(R,G,Bのいずれか1つ)の信号成分のレベルが最大である場合に信号の交換が行なわれる。
例えば、R色をB色に変換する場合は、R色の信号レベルがB色及びG色の信号レベル以上である場合、つまりR<Bの信号ラインがL(R≧B)で、R>Gの信号ラインがHである場合に限り信号の交換が行なわれる。このような、CCHGBの各コードに対する信号交換の有無の関係が、3ビットの信号R>G,G>B,B>Rの組合せに対応付けて、ROM171内のデータテーブルに記憶されている。
ところで、第5図を参照すると、この例では、R,G,B間のレベル差が比較的大きい場合の原稿色を示している。例えば、原稿色のRとGのレベルが同等である場合、その色(R,G,Bの合成色)はオペレータにはR色,G色のいずれにも認識されない。ところが、例えばR→Bの色変換を指定した場合に、僅かでもR色のレベルがG色のレベルより大きいと、色変換が行なわれることになる。R→Bの変換であれば、RとGのレベル差が小さいので変換前と変換後の色相変化は小さいが、R→Bの色変換では色相が大きく変化する。この種の変換は、オペレータが機待しない誤変換であり好ましくない。
そこで、この種の誤変換をなくするために考えられた変形実施例を次に説明する。
第7図を参照すると、この色変換回路は、入力色識別回路150B,色変換制御回路160C及び信号選択回路180でなっている。この実施例では、誤変換をなくするために、大きく分けて2つの対策を施してあるが、その1つは、入力色の識別条件を変えたことである。即ち、前記実施例では、R,G,Bの入力画像信号の中で変換元の色CLSに対応するもののレベルが最大である場合に変換を許可したが、この例では、R,G,Bの入力画像信号の中で変換元の色CLSに対応するもののレベルが他の信号のレベルの2倍以上である場合に変換を許可するように回路構成を変更してある。
入力色識別回路150Bは、6つのデジタルコンパレータ151〜156で構成されている。これらのコンパレータの各々の入力端子(A,B)には、入力されるR,G,Bの画像信号のうちの2つが印加されるが、2つの信号のうち一方は8ビットであり、他方は7ビットになっている。即ち、7ビットの信号は、入力される8ビットの信号のうち最下位ビット(LSB)を除いた上位7ビットの信号であり、下位ビット方向に1ビットだけシフトされて印加される。なおコンパレータの各入力端子は8ビットであるが、7ビットの信号が印加される端子の最上位ビット(MSB)はLに固定してある。
コンパレータ151の入力端子Aの下位7ビットには、R色の8ビットの画像信号のうち上位7ビットが印加される。同様に、コンパレータ152の入力端子A及びBには7ビットのG色信号と8ビットのB色信号が印加され、コンパレータ153の入力端子A及びBには7ビットのB色信号と8ビットのR色信号が印加され、コンパレータ154の入力端子A及びBには8ビットのR色信号と7ビットのG色信号が印加され、コンパレータ155の入力端子A及びBには8ビットのG色信号と7ビットのB色信号が印加され、コンパレータ156の入力端子A及びBには8ビットのB色信号と7ビットのR色信号が印加される。
したがって、コンパレータ151,152,153,154,155及び156が出力する信号は、それぞれ、R>2・G,G>2・B,B>2・R,G>2・R,B>2・G及びR>2・Bの条件を満たすか否かに対応する。条件を満たす場合は信号レベルがHになり、満たさない場合はLになる。
つまり、例えばR→Gの色変換が指定された場合には、入力画像信号がR>2・GでしかもR>2・Bであることが変換許可の条件になる。
誤変換をなくするためのもう1つの対策は、変換を行なう領域を予め定めた領域内に限定するように構成を変更したことである。即ち、変換を行なう領域をオペレータが変換を希望する領域の近傍の比較的小さい領域のみに限定すれば、誤変換が生じる確率は小さくなる。
それを実現するため、この実施例では、ROM 171Bのアドレス端子に接続された信号ラインENに、第8図に示す領域信号発生回路130の信号ラインENを接続してある。なお、第7図の回路においては、信号ラインENがHの場合に変換動作が許可され、Lなら禁止される。
例えば、オペレータが第9図に示す原稿上の領域ARZの内部(ハッチングを施した部分)に対してのみ色変換を行ないたい場合、主走査方向及び副走査方向に対する領域ARZの始点の座標X1及びY1と、領域ARZの対角線上で前記始点と対向する終点の始点に対する相対座標X2,Y2を、予め領域信号発生回路130に設定する。この設定値は、操作ボード300上のテンキーからされる。入力される4つの座標情報X1,Y1,X2及びY2は、主制御装置200によって読み取られ、領域信号発生回路130に設定される。
第8図を参照すると、領域信号発生回路130は、4つのカウンタ131,132,133,134,4つのフリップフロップ135,136,137,138,アンドゲート139,140,141及びノアゲート142でなっている。カウンタ131〜134は、データをプリセット可能なダウンカウンタであり、データ入力端子DT,クロックパスル入力端子CK,プリセット制御端子LD及びボロー信号出力端子BRを備えている。
カウンタ131,132,133及び134には、コピー動作の開始に先き立って、それぞれ前記座標情報Y1,Y2,X1及びX2がプリセットされる。コピー動作が開始されると、主走査方向の画素位置毎に発生するクロックパルスCLK及び副走査方向の画素位置毎に発生するライン同期信号LSYNCがイメージスキャナ400から印加される。
一方、フリップフロップ135及び136はコピー動作の開始に先き立ってリセットされ、フリップフロップ137及び138は信号LSYNCに同期してリセットされる。フリップフロップ135がリセットされている時は、カウンタ132の計数が禁止され、フリップフロップ137がリセットされている時はカウンタ134の計数が禁止される。
カウンタ133及び134には、信号LSYNCが現われる毎に、それぞれプリセットデータX1及びX2が再ロードされる。
主走査方向の位置が座標X1に達すると、前記信号CLKを計数するカウンタ133の計数値が0になり、ボロー端子BRに高レベルHが現われるので、フリップフロップ137がセットされる。これによって、信号CLKがアンドゲート140を介してカウンタ134に印加されるので、カウンタ134が計数を開始する。主走査方向の位置がX1+X2に達すると、カウンタ134の計数値が0になり、ボロー端子BRに高レベルHが現われるので、フリップフロップ138がセットされる。
副走査方向の位置が座標Y1に達すると、前記信号LSYNCを計数するカウンタ131の計数値が0になり、カウンタ131のボロー端子BRにHレベルの信号が現われるので、フリップフロップ135がセットされる。これにより信号LSYNCがアンドゲート139を介してカウンタ132に印加されるので、カウンター132が計数を開始する。
副走査方向の位置が座標Y1+Y2に達すると、カウンタ132の計数値が0になり、ボロー端子BRにHレベルの信号が現われるので、フリップフロップ136がセットされる。
信号ラインENが高レベルHになるのは、即ち、色変換動作が許可されるのは、フリップフロップ135及び137が共にセットされ、しかもフリップフロップ136及び138が共にリセットされている時である。つまり、複写機の走査位置が第9図に示す領域ARZの内部にある時のみ、色変換動作が許可され、ソレノイド以外の領域では色変換動作が禁止される。
再び第7図を参照する。ROM 171Bに記憶されたデータの内容は、前記第2表の内容と同一の色変換動作を行なうように設定されている。但し、変換を許可する条件に関しては、ROM 171Bのデータの内容は前記ROM171とは異なっている。
第10図に、第7図の色変換回路の変形実施例を示す。第10図に示す色変換回路は、入力色識別回路150B,色変換制御回路160D及び信号選択回路180Bでなっている。第7図7図の実施例と異なるのは、ROM 171Cのアドレス端子が1ビット追加され、それにスイッチSWが接続されたことである。また、信号選択回路180Bの各データセレクタには、入力端子がA,B,C,Dの4組になり、端子Dには固定値0が常時印加されている。スイッチSWがオフの場合、動作は前記第2表と実質上変わらないが、SWがオンの場合、次の第3表のように変化する。


つまり、この実施例では、変換先の色としてY,M又はCを指定した場合に、R,G,Bのうちそれらと無関係な残りの色成分B,G及びRが、変換先の色と無関係な場合に、その残りの色成分のレベルを0にするかどうかを、オペレータの好みに応じて、スイッチSWで切換えうるように構成してある。
なお、上記実施例では、R,G,Bの信号を扱う回路に色変換回路を設ける場合を説明したが、例えばY,M,Cの信号を扱う回路においても、同様に本発明を実施しうる。
[効果]
以上のとおり、本発明によれば、非常に単純な構成で、色変換機能を実現することができる。しかも、変換元の色として指定された基本色を含む色であっても、複数の基本色を合成した色が変換元の色と一致しない場合には変換動作が禁止されるので、オペレータの望まない色変換処理が行なわれる恐れは小さい。
【図面の簡単な説明】
第1図は、第4図の色変換回路104の具体的な構成を示すブロック図である。
第2図は、本発明を実施する一形式のデジタルカラー複写機の機構部の構成を示す正面図である。
第3図は、第2図の装置の操作ボードの一部を示す部分拡大正面図である。
第4図は、第2図の装置の電装部の一部の構成を示すブロック図である。
第5図は、原稿上の像の1つの色を構成するR,G,Bの各レベルと、コピー上に再現される色を構成するR,G,Bの各レベルとの対応関係を示す平面図である。
第6図,第7図及び第10図は、各々、色変換回路の変形実施例を示すブロック図である。
第8図は、領域信号発生回路の構成を示すブロック図である。
第9図は、原稿上の色変換領域と、領域信号発生回路に設定する座標値との位置関係を示す平面図である。
100:画像処理ユニット、104:色変換回路
130:領域信号発生回路
131〜134:カウンタ
135〜138:フリップフロップ
150,150B:入力色識別回路(色識別手段)
151〜153:デジタルコンパレータ
160〜160D:色変換制御回路(制御手段)
180,180B:信号選択回路(信号選択手段)
181〜183:データセレクタ
200:主制御装置(色指定手段)
300:操作ボード
400:イメージスキャナ
500:プロッタ(カラー画像出力手段)
KT:テンキー、KS:スタートキー
KC1〜KC6:色変換指定キー

【特許請求の範囲】
【請求項1】複数の基本色に色分解されて入力される複数の入力画像信号のうち、レベルが最大の信号を識別する色識別手段;
変換先の色、及び前記複数の基本色のいずれかと対応する変換元の色に応じた電気信号を出力する色指定手段;
前記複数の入力画像信号の少なくとも一部を、前記複数の基本色の各々に対応付けて設けられた複数の信号出力端子に選択的に出力する、信号選択手段;
前記色指定手段が出力する電気信号と前記色識別手段が出力する電気信号とに応じて前記信号選択手段を制御する制御手段;及び前記複数の信号出力端子に接続されたカラー画像出力手段;
を備えるデジタル色変換処理装置。
【請求項2】前記制御手段は、前記色識別手段の識別色が前記変換元の色と一致する場合に、前記信号選択手段を制御して、前記複数の信号出力端子のうち前記変換先の色に対応するものに、前記変換元の色に応じた前記入力画像信号を出力する、前記特許請求の範囲第(1)項記載のデジタル色変換処理装置。
【請求項3】前記制御手段は、前記色識別手段の識別色が前記変換元の色と一致する場合に、前記信号選択手段を制御して、前記変換先の色に対応付けられた前記信号出力端子に、前記変換元の色に対応付けられた前記入力画像信号を出力し、前記変換元の色に対応付けられた前記信号出力端子に、前記変換先の色に対応付けられた前記入力画像信号を出力する。前記特許請求の範囲第(2)項記載のデジタル色変換処理装置。
【請求項4】前記制御手段は、前記変換先の色が前記基本色の組合せで表現される場合には、前記信号選択手段を制御して、前記変換元の色に応じた1つの前記入力画像信号を、前記複数の信号出力端子のうち前記変換先の色を構成する複数の基本色に対応付けられた複数の端子に出力する、前記特許請求の範囲第(2)項記載のデジタル色変換処理装置。
【請求項5】前記制御手段は、前記変換先の色が前記基本色の第1色と第2色との組合せで表現され、変換元の色が前記基本色の第3色である場合には、前記信号選択手段を制御して、前記第3色に対応する前記入力画像信号を、前記第1色及び第2色に対応する前記複数の信号出力端子に出力し、前記第3色に対応付けられた前記信号出力端子に、前記第1色に対応する前記入力画像信号及び前記第2色に対応する前記入力画像信号のいずれか一方を出力する、前記特許請求の範囲第(4)項記載のデジタル色変換処理装置。
【請求項6】前記制御手段は、前記変換先の色が前記基本色の第1色と第2色との組合せで表現され、変換元の色が前記基本色の第3色である場合には、前記信号選択手段を制御して、前記第3色に対応する前記入力画像信号を、前記第1色及び第2色に対応する前記複数の信号出力端子に出力し、前記第3色に対応付けられた前記信号出力端子に、前記第1色に対応する前記入力画像信号及び前記第2色に対応する前記入力画像信号のうち信号レベルの大きい方を出力する、前記特許請求の範囲第(4)項記載のデジタル色変換処理装置。
【請求項7】前記制御手段は、複数の入力画像信号のうちレベルが最大の信号のレベルが、2番目にレベルが大きい信号の2倍を越える場合以外は、色変換処理を禁止する、前記特許請求の範囲第(1)項記載のデジタル色変換処理装置。
【請求項8】前記制御手段は、予め指定された色変換画像領域とその時の入力画像信号の位置との対応関係に応じた信号を出力する領域指定手段を備え、該領域指定手段が指定の一致信号を出力する場合を除き色変換処理を禁止する、前記特許請求の範囲第(1)項,第(2)項,第(3)項,第(4)項,第(5)項,第(6)項又は第(7)項記載のデジタル色変換処理装置。

【第1図】
image rotate


【第2図】
image rotate


【第3図】
image rotate


【第5図】
image rotate


【第9図】
image rotate


【第4図】
image rotate


【第6図】
image rotate


【第7図】
image rotate


【第8図】
image rotate


【第10図】
image rotate


【特許番号】第2553065号
【登録日】平成8年(1996)8月22日
【発行日】平成8年(1996)11月13日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭62−27883
【出願日】昭和62年(1987)2月9日
【公開番号】特開昭63−194474
【公開日】昭和63年(1988)8月11日
【出願人】(999999999)株式会社リコー