デジタル装置構成
【課題】デジタルシステム構成及び電気機械データ記憶素子を含む装置のための対応する方法を提供する。
【解決手段】処理装置は、記憶素子装置全体を制御するための制御プログラムを実行するとともに、記憶素子とインタフェースをとるネイティブ制御コードの少なくとも一部を実行する。記憶素子内の読み取りチャンネルをカスタマイズするための装置とは別個に、プログラミング装置が設けられている。起こり得る衝撃作用を緩和するために、コマンド、ユーザやりとり、データ転送について説明されている。ヘッド位置および衝撃を含む記憶素子に関する状態表示が与えられる。ヘッド位置状態を使用するため、較正処理、検査処理、動作監視処理について説明されている。全体性能を追跡記録する際および設計検討の際に、故障形態監視が行なわれる。そして、データ転送の直前であることを表示する。
【解決手段】処理装置は、記憶素子装置全体を制御するための制御プログラムを実行するとともに、記憶素子とインタフェースをとるネイティブ制御コードの少なくとも一部を実行する。記憶素子内の読み取りチャンネルをカスタマイズするための装置とは別個に、プログラミング装置が設けられている。起こり得る衝撃作用を緩和するために、コマンド、ユーザやりとり、データ転送について説明されている。ヘッド位置および衝撃を含む記憶素子に関する状態表示が与えられる。ヘッド位置状態を使用するため、較正処理、検査処理、動作監視処理について説明されている。全体性能を追跡記録する際および設計検討の際に、故障形態監視が行なわれる。そして、データ転送の直前であることを表示する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示内容は、一般に、デジタル装置のアーキテクチャに関し、特に、デジタルシステム構成、および、電気機械データ記憶素子を含む装置のための対応する方法に関する。
開示内容は、ポータブル装置での使用に特に良く適している。
【背景技術】
【0002】
電子装置の人気に関する正しい認識を得るためには、近代社会の任意の殆どの公共区域を意識調査しさえすればよい。そのような装置としては、携帯電話、音楽プレーヤ、ポータブルコンピュータ、携帯端末、ポケットベル、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、パーソナルゲーム装置、電子ブックを挙げることができるが、これらに限定されない。
デジタル化への移行に少なくとも部分的に起因して、これらの装置に存在する能力には、絶え間ない改良が成されてきた。
【0003】
将来の電子デバイスにおいては、更なる性能の向上に加えて、更なる小型化が望まれている。これらの要求は、ポータブル装置において特に激しい。特定の分野の関心事は、かつてないほど多い量のデジタル情報を記憶するという欲求にある。同時に、特に携帯型または小型形式の電子デバイスは、特に衝撃に関して幾分過酷な環境に晒される虞があることは言うまでもない。かなりの量のデジタルデータを記憶したいという欲求に対処しつつ、同時に衝撃の問題を扱おうとする試みにおいて、設計者は、特にフラッシュメモリの形態を成す電子メモリーを使用する手段を取った。このような解決策は、MP3プレーヤを含む従来の音楽プレーヤの場合において明らかである。これを書いている時点において、これらのプレーヤのうち人気のある形態は、約32MBのサイズを有する取り外し可能なフラッシュメモリカードを使用することである。残念ながら、この解決策には、後述するように、幾つかの問題が関連付けられる。
【0004】
フラッシュメモリの解決策において見られる1つの問題は、32MBが、それ自体、やや少ない記憶量であるという事実にある。近い将来、512MB未満の量であっても少ないと見なされることが予測し得なくはない。今日の装置を考慮すると、フラッシュメモリカードの使用に頼っているポータブル装置の所有者は、一般に、全体の記憶量を十分に確保するために、多くのカードを所有していなければならない。さもなければ、ポータブル装置の所有者は、パーソナルコンピュータによってフラッシュメモリカードを頻繁にリロードせざるを得なくなり、あるいは、例えば、MP3プレーヤの場合、非常に限られた音楽選択を聴かなければならなくなる。また、フラッシュメモリカードのコストは、現在、若干高い。多くのポータブル装置の所有者は、別個の多数のフラッシュメモリカードを購入する費用を負うという選択を絶対にしない。
【0005】
フラッシュメモリカードの使用に固有の問題に対処する際に、最近の他に採りうる解決策は、それでもなお取り外し可能な大型の電気機械デジタル記憶装置を提供することである。この解決策は、IBMのマイクロドライブ(登録商標)によって例示される。このマイクロドライブは、扱われるポータブル装置内に組み込まれた対応するコネクタと結合するコネクタを備えた取り外し可能な小型コンピュータハードディスクドライブである。なお、マイクロドライブを含むそのような小型ハードドライブは、基本的に、パーソナルコンピュータに見られる従来のハードドライブと同じ構成を有している。すなわち、小型ハードドライブは、ヘッドディスクアセンブリ(HDA)およびプリント回路基板アセンブリ(PCBA)を含む2つの一般的なアセンブリで構成されている。HDAそれ自体は、回転可能な磁気媒体と、回転可能な媒体に対する読み書きを行なうためのセンサアセンブリと、回転可能な媒体の回転およびセンサアセンブリの位置決めを行なうためのモータとを有している。PCBAは、基本的に、プリアンプに共通の例外を伴うHDAを動作させるために必要な全てのエレクトロニクスを有している。マイクロドライブはデータ容量の拡大をもたらすが、これを書いている時点で、1ドル当たりのメガバイトおよび回収済み原価の観点から考えると、従来のドライブにおけるそのようなコストと比較して、マイクロドライブのコストは非常に高い。この回収済み原価は、それ自体及びそれだけで、製品の広範囲にわたる使用において十分な障壁になり得ると思われる。
【0006】
マイクロドライブは、コンパクトフラッシュ(登録商標)インタフェースを使用する。
このインタフェースは、多くの理由のため、懸念を引き起こす。前記理由は、そのうちのどれも、CF+およびコンパクトフラッシュ仕様書改訂1.4において記載されているように、50個のピンを有する幾分大きいインタフェースコネクタのための要件であり、些細なことではない。コンパクトフラッシュに関する更なる懸念を以下で扱う。
【0007】
取り外し可能なマイクロドライブの構成に関しては、実行可能な十分なレベルの「永久に」設定された記憶空間が設けられると、特定の環境で、取り外し可能な媒体の必要性が大きく減ることが注目される。デスクトップコンピュータにおいて明らかなように、利用可能な埋め込み記憶装置は、従来、取り外し可能な記憶装置よりも先行していた。更なる懸念は、後述するように、取り外し可能な記憶装置に関連付けられる。
【0008】
小型ハードディスクドライブを使用すると、一般的なフラッシュメモリカードで現在利用できる記憶装置を何回も設けることにより、限られた記憶の問題を効果的に解消できるが、そのような構成要素をポータブル装置の過酷となる虞がある環境で使用することについての問題も第一線の問題となる。特定の環境下で、従来のハードディスクドライブは、1500G程度の比較的高いレベルの衝撃を容認することは言うまでもない。残念ながら、ハードディスクドライブは、動作環境下で、例えばヘッドアセンブリまたはセンシングアセンブリが実際に回転している媒体にアクセスしている最中に、一般に、衝撃事象に大きく影響され易い。まさに最も都合の悪い時間に生じる衝撃事象の結果として、ドライブが故障する虞がある。例えば、ドライブは、アクセス中に175Gの衝撃事象に晒されると、故障する場合がある。この点に関し、本出願人は、具体的には例えばポータブル電子デバイスの過酷な環境を扱うための有効な特徴を組み込む小型ハードドライブまたは装置アーキテクチャ全体について気付いていない。
【0009】
本出願の先導発明者を共有する米国特許第6,061,751号(以下、'751特許という)は、ハードドライブを組み込むシステム内で利用できる幾つかの提案に関する1つの基準点として役立つ。しかしながら、'751特許の骨子は、ドライブの小型化、高耐久化、携帯性の領域にはなく、主に、コンピュータシステム全体中に設けられるハードディスクドライブのコストを低減させることにある。この特許によってとられる1つの手法は、全ての考えられる機能を、コントローラを含めて、ハードディスクドライブ全体から、ホスト装置のマザーボード上に移動させることを包含している。例えば、未使用のシリコンの「リアルエステート」は、コントローラの実施のために使用され得る。また、そのようなコントローラは、既にホスト側に存在するメモリーを使用する場合がある。したがって、ドライブコストがある程度まで低減される。同時に、マザーボード上におけるコントローラの設置に関して、CPUとコントローラとの間で成される従来の機能的制御が変わらないことは言うまでもない。具体的には、コントローラは、周辺装置に対して「ネイティブ」である制御コードを実行する処理能力を有している。ここで使用される「ネイティブコード」とは、特定の周辺装置を制御するために必要な最低レベルの制御コードのことである。それは、ホストシステム内に存在するCPUから分離された形態でデバイスコントローラによって通常実行されるコードである。
【0010】
図1は、'751特許の図2を示しており、本説明と整合性をとって割り当てられた他の参照符号が付されている。したがって、従来のコンピュータシステム10は、ホスト回路基板12を有している。コントローラ14は、後述する更なる機能を有する1つの集積回路として含まれている。サーボ集積回路16は、取り付けられる任意の周辺装置内でモータを回転させるために使用される。ヘッドディスクアセンブリ(HDA)20と、CDROM/DVD22と、フロッピードライブ24とを含む3つの周辺装置が示されている。また、フロッピードライブ24は、高容量フロッピードライブ、小型ドライブ、あるいは、他の適当な装置を含んでいてもよい。
【0011】
先に暗示された前記特許における1つの利点は、完全ハードディスクドライブ(HDD)に対する別の方法としてHDAを使用する点である。これは、例えばコントローラ14等の構成要素をホストシステム内に含めることによってコストが低減するからである。HDA(前述したが図示されていない)の構成要素としては、データ媒体、媒体に対するデータの書き込みおよび媒体からのデータの読み取りの少なくとも一方を行なうセンサ/ヘッド機構、媒体を回転させ且つセンサ/ヘッド機構を位置決めするためのモータを挙げることができる。媒体からのデータ読み取りまたは媒体へのデータ書き込みを増幅するためにプリアンプが含まれている。プリアンプは、HDAをPCBAに対して電気的に接続するフレックス回路('751特許の図1Aの項目17を参照)上に組み込まれていてもよい。この際、'751特許が、ホストシステムと周辺装置との間で分配され或いは周辺装置内に設けられる、ホストシステム内に配置される可能性がある、プリアンプと電気的に通信する読み取り/書き込みチャンネルの位置についても記載されていることに注目することが適当である。従来のHDDの読み取り/書き込みチャンネルの今までの位置は、以下の理由により、HDAの電気接続点に物理的に接近したPCBA上である。
【0012】
図1の説明を続けると、各周辺装置は、対応するパーソナリティROM26を有していてもよい。パーソナリティROMの特定の場所は、'751特許の図3にある個々の構成要素(項目64)において示されている。なお、パーソナリティROMは、個々の構成要素の残りから分離されており、PCI装置によってアクセスされる。図1の集積回路14は周辺構成要素相互接続(PCI)バス機能を更に有しており、これにより、集積回路はPCIバス28に接続される。なお、PCIバスは、多くの考えられるバスマスタバスのうちの1つの例を含んでいる。CPU30およびチップセット32には、PCIバス28に接続されるチップセットが設けられている。また、CPU30は、チップセット32に接続されている。RAM部分34もチップセット32に接続されている。CPU30が周辺構成要素に対して間接的に接続されている点に注目することは重要である。具体的には、PCIバス28は、HDA26およびCPUを含む周辺構成要素間に介挿されている。
このような配置はコスト低減に関して有益であるが、この構成に付随する特定の不利益については、以下において適当な観点から考慮する。今のところ、システム制御は、命令PCIプロトコルにしたがってPCIバス28上に置かれるコマンドを発行するCPUによって行なわれる。特定の不利益がこの種のコマンド形態に関連付けられていると思われる。例えば、ネイティブコードよりも高いレベルまたは層のプロトコルによって発行されるコマンドは、特に柔軟性がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、後述するように更なる利点を提供しつつ前述した問題および懸念を解決すると思われる非常に有益なデジタル装置構成および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下に詳細に記載するように、ここには、記憶素子および関連する装置、方法が開示されている。本発明の一態様において、装置は、ユーザによってアクセスできるように構成されるとともに、ネイティブ制御コードに応じて動作できるように構成された電気機械デジタルデータ記憶装置を有するアセンブリを備えている。装置は、更に、装置全体を制御するための制御プログラムを実行するとともに、前記記憶装置と直接にインタフェースをとって使用するために前記制御プログラムの一部として前記ネイティブ制御コードの少なくとも一部を実行する処理装置を有している。
【0015】
本発明の他の態様において、アセンブリは、回転可能な読み取り/書き込み媒体と、回転可能な前記媒体に対して読み書きするように構成されたヘッド装置と、回転可能な前記媒体と前記ヘッド装置との間のインタフェースを少なくとも形成するためのプログラム可能なチャンネルとから成るデジタルデータ記憶装置を有している。また、前記デジタル記憶装置とは別個に形成され、回転可能な前記媒体と前記ヘッド装置との間で前記チャンネルによって形成される前記インタフェースをカスタマイズするのに役立つ特定の方法で前記チャンネルを少なくとも十分にプログラミングするために前記デジタル記憶装置に対して電気的に接続可能なプログラミング装置を備えている。これにより、カスタマイズされたチャンネルを含むエンド設備で、プログラミング装置が無くても、デジタル記憶装置をその後に使用することができる。
【0016】
本発明の更に他の態様においては、エンド装置で最終的に使用するためのデジタル記憶装置を備えるシステムが記載されている。システムは、前記デジタル記憶装置の第1の部分を形成する回転可能な読み取り/書き込み媒体と、前記デジタル記憶装置の第2の部分を形成するとともに、回転可能な前記媒体に対する読み書きを行なうように構成されたヘッド装置とを有している。プログラム可能チャンネルは、前記デジタル記憶装置の第3の部分を形成するとともに、少なくとも回転可能な前記媒体と前記ヘッド装置との間のインタフェースを形成するように構成されている。プログラミング装置は、前記デジタル記憶装置とは別個に形成され、回転可能な前記媒体と前記ヘッド装置との間で前記チャンネルによって形成される前記インタフェースをカスタマイズするのに役立つ特定の方法で前記チャンネルを少なくとも十分にプログラミングするために前記デジタル記憶装置に対して電気的に接続するように構成され、これにより、カスタマイズされたチャンネルを含む前記デジタル記憶装置を前記エンド装置でその後に使用できるようにする。
【0017】
本発明の更に他の態様においては、ユーザやりとりを受けるためのユーザアクセス装置を有するとともに、処理装置を有する装置であって、この装置は、前記処理装置によって実行されるコマンドを規定するようにユーザやりとりを解釈するとともに、ユーザやりとりの終了前に前記コマンドの実行を開始するコマンド実行装置を備えている。1つの特徴においては、前記処理装置の制御下でデジタル情報を記憶するためにデジタルデータ記憶装置が設けられており、前記コマンドは、前記デジタル記憶装置を使用するデータアクセスを規定し、前記処理装置は、前記ユーザやりとり中に前記コマンドの部分的な入力に応じて前記データアクセスの実行を開始するようにプログラムされている。他の特徴においては、前記デジタル記憶装置が回転可能な媒体を使用し、電子記憶装置が設けられる。この場合、前記処理装置は、回転可能な前記媒体のスピンアップ後に、特定の情報が記憶される前記デジタル記憶装置から特定の情報を読み取ってその特定の情報を電子記憶装置に転送することによりデータアクセスを実行するようにプログラムされており、これにより、前記デジタルデータ記憶装置にアクセスする必要無く、特定の情報を利用できる。
【0018】
本発明の更なる態様においては、電気機械デジタル記憶装置を有するとともに、複数の外部やりとりを受けるように構成された装置であって、外部やりとりの少なくとも幾つかが、前記記憶装置を使用する1または複数のデータ転送を必要とし、全部ではなく少なくとも幾つかの外部やりとりがユーザやりとりである装置におけるアセンブリであって、アセンブリは、前記記憶装置による第1のデータ転送を必要とする前記やりとりのうちの最初の第1のやりとりを受ける第1の装置と、第1のやりとりがユーザやりとりでないことを判断する第2の装置と、ユーザやりとりではない第1のやりとりに関連する第1のデータ転送の実行を、少なくとも次のユーザやりとりまで遅らせる第3の装置とを備えている。
【0019】
本発明の連続する態様においては、所定の容量を有する電子記憶装置を有する装置であって、ユーザやりとりを含む複数の外部やりとりに応答するように構成され、外部やりとりのうちの少なくとも特定のやりとりが前記電子記憶装置への特定のデータ転送を必要とし、この特定のデータ転送が前記電子記憶装置の前記容量を超えるサイズを有するようになっている装置におけるアセンブリにおいて、このアセンブリは、特定のデータ転送の最初の部分を前記電子記憶装置にロードして、電子記憶装置を前記容量まで満たし、これにより、所定の方法での使用のためにデータの最初の部分を利用できるようにする第1の装置を有している。第2の装置は、前記電子記憶装置に記憶された任意のデータの前記所定の方法での使用を監視し、第3の装置は、特定のデータ転送の更なる部分を前記電子記憶装置にロードして、前記所定の方法で使用された特定のデータ転送の最初の部分を交換し、これにより、特定のデータ転送の最初の部分の未使用部分および特定のデータ転送の前記更なる部分が同時に前記電子記憶装置内に記憶されるようにする。1つの特徴においては、アセンブリが電気機械デジタル記憶装置を有し、これにより、前記最初の部分および前記更なる部分における前記電子記憶装置への転送のため、特定のデータ転送が前記電気機械デジタル記憶装置によって記憶される。
【0020】
本発明の継続中の態様においては、ユーザやりとりを受けるとともに、衝撃に晒される虞がある環境全体で動作するように構成されたポータブル電子デバイスであって、データを読み取る時およびデータを書き込む時の少なくとも一方において前記衝撃に影響され易く且つそれ以外の時には前記衝撃に殆ど影響され難い電気機械記憶素子を有するポータブル電子デバイスにおいて、前記電気機械記憶素子は、前記ポータブルデバイス内に電子記憶装置を設けることにより、衝撃から少なくともある程度まで保護される。前記電気機械記憶素子に記憶されたデータの選択の特定の使用を規定するため、ユーザやりとりが監視される。前記データの選択は、前記電気機械記憶素子から前記電子記憶装置へコピーされる。このコピーステップで電気機械記憶素子を使用した後、前記特定の使用のためにデータの選択の利用可能性を表示し、これにより、前記電気機械記憶素子が未使用で且つ衝撃に殆ど影響されない後においてのみ、前記電子記憶装置にアクセスすることにより、ユーザは、データの選択の特定の使用を開始することができる。
【0021】
本発明の他の態様において、ユーザによってアクセスできるように構成された装置であって、該装置全体を制御するための制御プログラムを実行する処理装置を有する装置におけるアセンブリにおいて、このアセンブリは、ネイティブ制御コードに応答する電気機械デジタルデータ記憶装置と、前記制御プログラムの一部として前記記憶装置のネイティブ制御コードの少なくとも一部を前記処理装置が実行するように構成された周辺制御装置とを有している。周辺制御装置は、前記処理装置と前記電気機械デジタル記憶装置との間で前記ネイティブコードを実行するように構成されたインタフェースを有している。
【0022】
本発明の更なる他の態様において、デジタルデータ記憶装置は、回転可能な媒体と、最初にヘッド装置を非待機位置から待機位置へと移動させるための制御シーケンスを開始することによって回転可能な媒体にアクセスするように構成されたヘッド装置とを有している。その後、前記ヘッド装置の位置に関連する所定の状態を検知され、前記ヘッド装置が待機位置にいることを確かめる。その後、前記所定の状態に基づいて表示が生成される。
1つの特徴において、表示は、所定のレジスタの記憶場所に記憶される。他の特徴において、待機位置で前記ヘッド装置を受けるためのランプを有するように前記記憶装置が構成され、これにより、ヘッド装置がランプに受けられると、ランプおよびヘッド装置は、互いに協働することにより、ヘッド装置が待機位置にいることを確認する前記表示を形成する。
【0023】
本発明の他の態様においては、回転可能な媒体と、この回転可能な媒体にアクセスし且つ待機位置に移動するように構成されたヘッド装置とを有するデジタルデータ記憶装置において、この装置は、回転可能な前記媒体にアクセスした後、前記ヘッド装置を待機位置へと移動させるための制御シーケンスを開始する第1の装置と、その後、回転可能な前記媒体からの読み取りに関してヘッド装置を検査することにより、前記ヘッド装置の位置に関連する所定の状態を検知し、これにより、ヘッド装置の読み取り不可能が、回転可能な前記媒体からヘッド装置が少なくとも離れていることを示すようにする第2の装置と、前記所定の状態に基づいて表示を生成する第3の装置とを備えている。
【0024】
本発明の更に他の態様において、動作制御用の処理装置と電気機械デジタル記憶装置とを有するデバイスにおける方法が記載されている。 前記電気機械デジタル記憶装置の動作に関する特定の属性の状態が定められる。前記処理装置を使用して、更なる制御動作で使用するために特定の属性の状態が監視される。
【0025】
本発明の連続する態様においては、回転可能な磁気媒体と、回転可能な前記媒体にアクセスするべく移動し且つ待機位置へ移動するように構成されたヘッド装置とを有する電気機械記憶装置におけるアセンブリであって、このアセンブリは、 前記ヘッド装置が前記待機位置にいることを確認する位置信号を生成する第1の装置と、前記ヘッド装置と電気的に通信し且つ前記ヘッド装置を制御する際に使用できる電気相互接続装置であって、制御使用のために前記第1の装置から位置信号を受けるように構成された電気相互接続装置とを備えている。
【0026】
本発明の更なる態様においては、磁気媒体ディスクを回転させるためのスピンモータとアクチュエータ装置とを支持するハウジングを有する電気機械記憶装置であって、アクチュエータ装置の先端に位置された少なくとも1つのヘッドを使用して前記アクチュエータ装置が前記磁気媒体ディスクにアクセスする電気機械記憶装置におけるアセンブリにおいて、このアセンブリは、前記アクチュエータ装置と電気的に通信し且つ前記記憶装置に対する外部インタフェースを形成するように構成された電気相互接続装置を有している。アセンブリは、更に、前記電気相互接続装置の少なくとも一部が前記ハウジングによって支持されるように構成されるとともに、待機位置で前記アクチュエータアームの先端を受けるために電気相互接続装置の前記ハウジング支持部によって支持されたパーキング装置を備えている。
【0027】
本発明の他の態様においては、回転可能な磁気媒体と、回転可能な前記媒体にアクセスするべく移動し且つパーキングシーケンスにおいて少なくとも1つのパラメータに応じて待機位置へと移動するように構成されたヘッド装置とを有する電気機械記憶装置に適用される方法において、前記電気機械記憶装置の一部として、前記ヘッド装置が待機位置に位置された際にヘッド装置の待機位置を確認する位置信号を生成するための装置が設けられる。前記位置信号を使用して較正処理を行ない、その後に前記ヘッド装置を待機位置に位置させる際に使用できる前記パラメータの動作値を定める。
【0028】
本発明の更に他の態様においては、複数の電気機械記憶装置に適用される方法であって、各電気機械記憶装置が、回転可能な磁気媒体と、回転可能な前記媒体にアクセスするべく移動し且つパーキングシーケンスに応じて待機位置へと移動するように構成されたヘッド装置とを有する方法において、前記各電気機械記憶装置の一部として、前記ヘッド装置が待機位置に位置された際にヘッド装置の待機位置を確認する位置信号を生成するための装置が設けられる。各電機機械記憶装置で較正処理が行なわれる。この場合、前記パーキングシーケンスは、前記ヘッド装置を待機位置に移動させるためのデータアクセス位置に最初にヘッド装置が位置する各電機機械記憶装置に適用される。前記パーキングシーケンスが繰り返し行なわれることにより、各電機機械記憶装置毎に前記パーキングシーケンスの故障形態を定め、この故障形態において、ヘッド装置が少なくとも1回待機位置を達成し損ねる。各電機機械記憶装置のための少なくとも1つの故障形態を含む前記故障形態のセットを、複数の電気機械記憶装置にわたって追跡記録する。
【0029】
図面と共に以下の詳細な説明を参照することにより、本発明を理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ハードディスクに関する従来の設計検討材料に対して説明のための1つの焦点として役立つようにここに示された米国特許第6,061,751号から抜粋したブロック線図である。
【図2】本発明の記憶素子を含んで実施された装置の一実施形態を示す概略ブロック線図である。
【図3】本発明の記憶素子の考えられる1つの実際的な実施形態を示す概略平面図である。
【図4】図4aから図4cは、本発明に係るデータ転送を実行するための様々な手法を示す概略タイムライン、図4dは、特定の時点で本発明の装置の電子記憶装置内に記憶されたデータの状態を示す図である。
【図5】図5aは、例えば図示のようなヘッドホンと接続可能で且つ表示スクリーンを有する本発明にしたがって製造された図2の装置の1つの考えられる外観図、図5bから図5gは、本発明の教示内容にしたがって行なわれる装置のユーザとのやりとり中に生じる起こり得る動作シーケンスを示すためにここに示された図5aの装置の表示スクリーンの様子の概略図である。
【図6】非常に有益なヘッド装置位置センサの幾つかの実施形態を説明する目的でここに示された本発明の記憶素子の一部を示す斜視図である。
【図7】図6のヘッド装置位置センサと接続される位置検出回路を示す概略ブロック線図である。
【図8】本発明にしたがって実施される非常に有益な衝撃検出装置の説明を容易にするためにここに示された本発明の記憶素子のボイスコイルモータアーム端部の概略部分断面図である。
【図9】図8の衝撃検出装置に接続される衝撃検出回路を示す概略ブロック線図である。
【図10】本発明にしたがって行なわれ且つ本発明の非常に有益なヘッド位置検出装置を使用するパーキング較正方法の1つの考えられる実施形態を示すフローチャートである。
【図11】本発明にしたがって行なわれ且つ本発明のヘッド位置検出装置を使用するパラメータトラッキング方法の1つの考えられる実施形態を示すフローチャートである。
【図12】本発明にしたがって行なわれ且つ本発明のヘッド位置検出装置を使用する高性能パーキング制御監視シーケンスの1つの考えられる実施形態を示すフローチャートである。
【図13】本発明にしたがって製造され且つ製造プロセス中に本発明の記憶素子(部分的に図示されている)と接続される検査/プログラミングボードのブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、図面を参照すると、様々な図面の全体にわたって、同様の構成要素が同様の参照符号によって示されている。まず、本発明にしたがって製造され且つ全体的に参照符号300で表わされた電子装置(電子デバイス)を示す図2に注目する。装置300は、任意の数のデジタル的に実行される装置タイプを示すことを意図していることは言うまでもなく、そのような装置タイプとしては、携帯電話、インターネット家電、携帯端末、音楽プレーヤ、多機能ポケベル、マルチメディア装置、または、電子記憶装置ではなく電気機械を使用して一般に与えられるサイズの永久に据え付けられるデジタル記憶装置の使用に適した任意の他の装置を挙げることができるが、これらに限定されない。また、本発明は、非常に限られた専用の機能を有する従来の装置に別個の機能を簡単に含ませることができる。例えば、デジタルカメラおよびデジタル音楽プレーヤの少なくとも一方の機能を含む携帯電話を提供することができる。以下、特定の装置にそのような機能性を組み込むことに関する特定の教示内容について適切な観点から説明する。本発明は、時として大きな衝撃力を受ける「過酷な」環境下で使用されることがある装置での使用に特に適している。携帯機器は、一般に、そのような環境に晒される。しかしながら、本発明は、決して携帯機器での使用に限られず、少なくとも短時間衝撃を受ける虞がある基本的に任意の形態の装置において用途を見出す。
【0032】
図2の説明を続けると、装置300は、装置全体を作動させるように構成された処理装置302を有している。処理装置302は、少なくとも1つのプロセッサまたは中央演算処理装置(CPU、図示せず)を有している。そのようなCPUは、処理装置の一部を形成するチップセット(図示せず)と協働するように形成されていてもよい。同時に、別個のスレーブCPUまたはチップ(図示せず)がマスターCPUの命令で作動しても良く、これらの全てが処理装置を形成すると見なされる。後述するように特定の教示内容が実行される限りにおいては、これらの構成の全てが本発明の範囲内にあると見なされることは言うまでもない。
【0033】
例えば適した形式のROMであってもよい記憶部304が処理部302に関連付けられている。また、記憶部は、ROMとRAMとを適切に組み合わせることによって形成することができる。この場合、装置作動のため、初期起動中に、記憶部の揮発性RAM部がロードされる。記憶部304それ自体は、デバイスコード306とネイティブコード308とを有している。以下、後者について詳細に説明する。デバイスコード306は、実行される任意の特定のタイプの装置に共通する動作タスクおよびハウスキーピングタスクに専用の機能を有効にする。なお、幾分限られた専用の機能を有する装置を作動させるために一般に必要な最低限の計算能力は、そのような従来の装置で一般に使用されるプロセッサの能力に対応してかなり制限される。一例として、携帯電話のプロセッサは、一般に、殆どの時間使用されていないかもしれない。後述するように、本発明は、あまり利用されていない処理装置の能力を極めて有利な方法で使用することができる。
【0034】
続けて図2を参照すると、装置300は、例えばキーパッドの形態を成すユーザインタフェース装置310(一部だけ図示されている)を更に備えている。他の要素としては、電子記憶装置312および記憶素子320があり、これらの全ては、処理装置302に接続されている。バス/インタフェース322,324は、処理装置を記憶素子および電子記憶装置にそれぞれ接続している。電子記憶装置312は、処理装置302の制御下で特定の動作を行なう際に使用できる所定のサイズを有するRAM等の揮発性メモリーを備えていてもよい。一例として、電子記憶装置は、後述する方法で、デジタル音楽をロードされてもよい。このデジタル音楽は、後に、処理装置によって読み取られて処理され、その後、適当なオーディオ部326を介して音声出力ジャック325に供給される。なお、ここでは、デジタルオーディオの処理および取扱に関する特定の機能について説明しているが、これらの説明は、単なる一例にすぎず、本発明の内在する概念は、幅広く適用することができる。外部接続部を有するデジタルインタフェース328が設けられており、これにより、装置300を外部コンピュータに接続できるようになっている。適切なインタフェース構成としては、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)インタフェースおよびIEEE1394を挙げることができる。外部コンピュータにインストールされる適切なソフトウェアを用いて、ユーザは、記憶素子320上で利用できるコンテンツに関してメンテナンス作業を行なうことができる。例えば、ユーザは、記憶素子上にロードされる選曲リストを形成してもよい。このようにして、任意の形式のデジタル情報が記憶素子に送信され、或いは記憶素子から送信されてもよいことは言うまでもない。
【0035】
記憶素子320は、フレキシブル回路330によって装置300とインタフェースをとる電気機械記憶装置を備えている。フレキシブル回路330については、記憶素子を形成する他の構成要素に関する説明と共に後述する。差し当たり、バス322を介して装置300内の処理装置302に記憶素子320を接続するために、フレキシブル回路330の自由端を受けるコネクタ332が設けられている点に注目するだけで十分である。
【0036】
処理装置302によって使用されるネイティブコード308は、記憶素子320を作動させるためだけのものである。前述したように、ネイティブコードという用語は、処理装置の周囲にある装置を直接に制御する際に使用されるコードを包含している。一般に、ネイティブコードは、従来のコントローラチップによって実行されるとともに、周辺装置の最低および最高の直接制御レベルを表わしている。本発明において、処理装置302は、記憶素子内の構成要素(後述する)によって直接に受けられて作用する命令を含むプロトコル層が介在しないそのネイティブコードを使用して記憶素子320を制御する。ネイティブコード命令の変換は行なわれない。基本的に、ネイティブコードは、記憶素子の固有の実行可能な言語である。従来の制御装置は、高レベルのプロトコルコマンドを受け、且つこれらのコマンドをネイティブコードに解釈するのに役立つ。先の説明を考慮すると、記憶素子の直接制御は、もしかすると使用されないかもしれないが利用可能な処理装置302の処理能力の有利な用途を例示する。放っておけば使用されない能力が使用されても、装置300は、一般に、従来からある同じ装置と比較して、すなわち、専用の制御装置がネイティブコードを実行する装置と比較して、ユーザが認知できるほど性能が低下しない。また、記憶素子の動作専用の処理能力は、特定の装置のアーキテクチャ中に既に存在するホストプロセッサ(CPU)の使用されない能力に意図的に制限されてもよい。更に、暫定的な解決法として、記憶素子のネイティブコードの実行においてホストプロセッサを支援する暫定ICを含む「暫定的な」構成が設けられてもよい。既存のホストプロセッサのハードウェアに最小限の変更を施す必要がある場合には、暫定的な実施が有益である。ホストプロセッサの変更に関連するコストは、基本的には、問題にならない範囲内に納めることができる。すなわち、変更されていないプロセッサをこれまで使用している任意の用途において、また、記憶素子制御機能を含む新たな用途において、変更されたプロセッサを備えることができる。
【0037】
暫定ICは、例えばクロックライン、1または複数の制御ライン、NRZライン等の1または複数のデータラインから成るインタフェースを使用するホストICのチップセット中に組み込まれてもよい。ピンカウントに関してホストプロセッサに対する影響を更に低減するため、このインタフェースの幅を制限してもよい。1または複数のデータラインとは別個の1または複数の制御ラインは、記憶素子を直接的且つ迅速に制御する際に有益であると考えられる。制御、データ、ディスクに関連するデータ(すなわち、記憶素子によって記憶されるサーボまたは「ユーザ」データ)を共有する必要があるインタフェースの場合には、ディスクに関連するデータが送信されるのを待っている結果、制御遅延が生じる虞がある。本発明は、例えば衝撃を受ける十分高い可能性が予想される場合に、迅速な制御の必要性を考慮する。時が経つにつれ、暫定IC中に含まれる機能は、ホストプロセッサ内に入り込むかもしれない。ホストICおよび暫定ICが、従来のインタフェース構成の範囲内での本発明の特化した機能の実行に関して、製造供給元固有のコマンドを使用してもよいことは言うまでもない。ただし、そのようなコマンドは、使用されるインタフェースプロトコル全体と適合している必要がある。暫定ICが1または複数の製造供給元固有のコマンドに応答するように構成されている場合、ホスト側は、製造供給元固有のコマンドを実行するため、コマンドの知識およびホスト側での適切なプログラミングを必要とする。例えば、1または複数の製造供給元固有のコマンドを使用するホストICと暫定ICとの間でコンパクト・フラッシュ・インタフェースが実施されてもよい。以下、前述した特徴については、適切な観点から説明する。
【0038】
図2と共に図3を参照すると、本発明の更なる利点は、処理装置に対する記憶素子の「視認性」にある。記憶素子の動作の殆ど全ての態様は、ネイティブコード308を介して処理装置302によって制御されるため、記憶素子の正確な作動状態に関して確実性が得られる。この場合、記憶素子320は、ハウジング338を有している。回転可能な磁気媒体340は、ハウジング338によって支持されたスピンモータ342によって回転される。センサ装置344は、ボイスコイルモータ(VCM)346(その一部だけが図示されている)によって位置決めされる。センサ装置という用語は、ヘッド装置およびアクチュエータアームという用語に置き換えることができる。図3に明確に示されるように、VCMの図示された部分は、下側マグネットアセンブリ348と、アクチュエータアーム346のVCM端部上に支持されたボイスコイル350とを有している。明確にするため、上側マグネットアセンブリは図示されていない。アクチュエータアームは、ハウジング338によって支持されたアクチュエータピボット351によって支持されており、これにより、VCMと反対側のアクチュエータアームの先端は、磁気媒体340と係合することができる。本発明の記憶素子は、磁気媒体の用途に限定されない。ここに示される教示内容が実行される限りにおいては、例えば光媒体等の任意の適当な媒体を使用してもよい。外的な衝撃に晒すことに関して、また、例えば消費電力等の記憶素子の動作の他の属性を更に考慮すると、記憶素子の構成要素の状態の認識が重要であることは言うまでもない。消費電力を考慮する場合、スピンモータ342の状態は重要である。
【0039】
更に図3を参照すると、VCMと反対側のアクチュエータアームの先端は、トランスデューサ装置352とリフトタブ354とを有している。フレキシブル回路330は、記憶素子内の様々な構成要素に役立つ様々な部分を有していることは言うまでもない。フレキシブル回路の自由端330aは、コネクタ332(図2参照)と係合できるように構成されている。フレックスキャリアプラットフォーム356は、フレキシブル回路の主部330bを支持している。フレックスキャリアプラットフォーム356は、例えばハウジング338と係合するスタンドオフを使用する等の適当な方法(図示せず)で装着されている。1つの非常に有益な特徴においては、フレキシブル回路の主部330bによってランプ(傾斜体)360が支持されている。ランプ360は、アクチュエータアームがその図示する待機位置へと移動されると、アクチュエータアームの最外端上にあるタブ354と係合する。待機状態のアクチュエータアームがフレキシブル回路の近傍に位置した状態でこのようにランプを支持すると、後述するように、アクチュエータアームの待機位置を確認する際にフレキシブル回路を容易に適用することができる。フレキシブル回路の他の部分としては、アクチュエータアーム接続部330c(フレキシブル回路のダイナミックループとも称する)がある。このアクチュエータアーム接続部330cは、主部330bとフレックスループ部330dとに接続され、フレックスループ部330dは、スピンドルモータ342と主部330bとの間に接続される。
【0040】
ここで、'751特許に対する本発明の視認性の態様についての説明を続けるため、図1に注目する。従来技術の図1に関し、CPU30およびチップセット32から成る処理装置の周辺の構成要素の視認性がPCIバス28によって課される制約に基づいて制限される点を理解することは重要である。前述した対応する不利益は、コマンドを解釈した後に周辺装置に対して直接にネイティブコードを発行する制御装置へのPCIバスを介したコマンドの発行を伴う不確実性の度合いに内在する。出願人は、ある場合において制御装置内でコマンドが実行されるという点で、裁量権が存在することに気付いている。一例として、'751特許においては、特定のデータをHDA28からRAM34に送信するために、読取コマンドがCPU30によって発行されることを前提としている。したがって、データを読み取る前に、HDAのディスク(図示せず)が回転(スピンアップ)し、その後、センサ(図示せず)を使用してディスクから読み取る。当業者であれば十分分かるように、センサがディスクにアクセスしている間、HDAは外的な衝撃に特に影響され易い。その後のある時点で、要求されたデータは、PCIバスを介して戻る。本発明の観点からは、HDAディスクモータおよびセンサの状態が未知であるかもしれないという点が興味深い。具体的には、スピンモータがスピンダウンしてセンサが待機位置にある時間は、ここでは制御装置としての機能を果たすPCIマス・ストレージIC14のメトリクスの制御下にある。例えば、HDAスピンモータは、別個のコマンドが所定の時間内に受信されないと、スピンダウンする場合がある。したがって、要求されたデータ送信が完了したずっと後に、スピンダウンが起こるかもしれない。CPU30は、使用されているプロトコルに応じて利用でき或いは利用できない場合がある「スピンダウン」コマンドを発行する以外にHDAディスクモータの状態を定める手段を全く有していない。基本的に、これは、出願人が許容できないと考えるオープンループ構成である。
【0041】
ここで、IBMマイクロドライブにおけるその使用に関して前述し、また、コマンド実行における裁量権をその付随する問題と共に検討する際の使用に関して前述した他の従来のインタフェースCF+に注目する。CF+は、磁気ディスクデータ記憶装置を含む様々なI/O装置を包含するべく機能強化されるコンパクトフラッシュの拡張バージョンである。CF+は、IDE(インテグレイテッド・ドライブ・エレクトロニクス)のATAインタフェースから取得されるCF−ATAコマンドセットを実行する。本発明における特定の関心であるドライブ動作の一態様は、ヘッド装置の状態の認識にある。一般に、前述したように、ヘッド装置は、衝撃に対するその最も高い耐性を与えるべく、待機位置に位置することができる。しかしながら、ヘッド装置は、データを読み取り或いは書き込んでいない場合であっても、フローティング状態のままでよいことは言うまでもない。CF+によって包含される1つのIDEコマンドは、「Idle Immediate」(CF+規格の74頁参照)である。一般に、アイドル(idle)状態とは、スピンモータは回転しているが、ヘッド装置に関して所要の状態になっていない状態を意味する。すなわち、ヘッド装置は、待機状態あるいはフローティング状態となっている可能性がある。実際の状態は、実行者の裁量権に委ねられる。したがって、CF+規格およびIDE/ATA自体は、ヘッド装置のアイドル状態に関して曖昧である。同じような曖昧さを示す他のコンパクトフラッシュコマンドとしては、Idle, Standby Immediate, Set Sleep Modeを挙げることができる。インタフェースの設計者は、おそらく、この曖昧さを、設計に自由度をもたせることができるため有益であると考えているが、本発明は、予期される動作環境の点から見て、この曖昧さを許容できないと考えている。
【0042】
残念ながら、前述したコマンドはオープンループ態様で実行されるため、コマンドに関連付けられる実際の思考を現に成し遂げる確認は与えられない。コマンドは、明確なBSYを要求して、対応するハードウェア状態を規定することなくインタラプト(割り込み)を形成するだけである。受信用エレクトロニクスによるコマンドの受信に対する単なる応答として、応答が形成されてもよい。したがって、動作状態または周辺装置の状態に関して信頼できる能力は、よく見ても限られ、基本的には存在しないかもしれない。
【0043】
一方、本発明は、装置全体に同時に役立たせながら、記憶素子との直接ネイティブコード通信において、装置全体の処理装置を使用して、動作にわたるこの曖昧さを解決する。
すなわち、多くの利用可能な制御動作の中で、処理装置は、ネイティブコードを使用してヘッドパーキング(ヘッド装置の待機)を直接に実行する。このようにすると、その後に周辺装置を動作させるために制御装置による変換を必要とする「中間」コマンドの実行に関して裁量権はなくなる。また、言うまでもなく、ヘッド装置の位置状態および本発明の記憶素子の他の動作態様を確認するために、非常に有益な手段を利用することができる。
この場合も同様に、処理装置による直接的な制御を伴って実行されるそのような監視手段は、例えばIDEおよびPCIで見られるコマンドの曖昧さを示さない。また、本発明は、ネイティブコード制御により実行され且つ潜在的に過酷な環境で作動する際に大きな利点を与えると思われる非常に有益な状態監視能力を組み込んでいる。これについては、適切な観点から後述する。
【0044】
コマンド実行において許容される任意の度合いの裁量権は、特に衝撃に晒される可能性が実際にある動作に関しては、問題であると考えられる。処理装置および本発明の記憶素子は、従来見たことがない方法で協働する。この場合、処理装置は、データ交換シーケンスを形成する一連の制御事象で記憶素子を直接に制御する。後者は、一般に、ユーザのやりとりの最初の部分がデータ交換シーケンスの最初の部分を規定する際に開始される。ユーザのやりとり中におけるコマンドの入力は、制御される装置のネイティブコードに関連する制御事象を規定するのに役立つ方法で、処理装置302により「オンザフライ(実行中)」であると解釈される。そして、ユーザによるコマンド入力を続けた状態で、解釈後直ちに、別個の制御事象を実行することができる。このように、本発明は、まず第1に、衝撃に影響され易い周辺装置の動作状態の詳しい認識により、衝撃を受ける可能性に対処する。以上のように、更なる特徴は、この最初の特徴と協働する。
【0045】
前述したように、アクチュエータが待機位置にあり且つスピンモータが回転していない場合には、従来のハードディスクドライブであっても、比較的高いレベルの衝撃に耐える。この点については、従来のドライブの能力を超えるその衝撃耐性を高める更なる特徴を有する記憶素子320も同様である。これらの特徴のうちの様々な特徴については、以下の説明中の適当な時点で取り上げることにする。一方、電子記憶装置は、実用的な目的のため、衝撃の影響を受けない。これに関して、本発明は、衝撃を受ける事態が起こり易い場合、記憶素子320をその「安全状態」と称してもよい最大衝撃耐性状態に置くことが有益であることを認識している。無論、電子記憶装置312は、衝撃を受ける可能性がある環境にもかかわらず、依然として使用できる。
【0046】
音楽プレーヤを組み込む携帯電話を装置300が備えていると仮定すると、そのような形式の携帯装置は、落としたり叩いたりした際に、著しいレベルの衝撃に晒される虞があることは言うまでもない。本発明は、電話/プレーヤの組み合わせが著しい衝撃を受ける可能性が低い時間帯を特質上含む携帯電話等の装置が一般的な方法で使用されることを認識している。特に、例えば通話に関与している装置のユーザによる実際のアクセス中、装置は、安定した環境状態に晒される。電話が使用されていない他の場合においては、衝撃に対する環境を予期することができない。そのような場合としては、例えばベルトクリップや財布の中に電話を収納している場合を挙げることができる。更に危なっかしい場合としては、ユーザが装置を実際に使用してから収納場所に移す間およびその逆の時間帯を挙げることができる。このような移行の時間帯は、ユーザが装置を落として装置に大きな衝撃が加わる虞があるため、最も危険であると思われる。したがって、装置300は、ユーザアクセス時間の直ぐ前後の移行時間中における記憶素子の使用を回避しつつ主にユーザのアクセス中に記憶素子320を利用するように構成される。以下、この非常に有益な構成の実施に関して詳細に説明する。
【0047】
図2を参照すると、装置300が衝撃に晒される可能性を更に低減するため、装置は、ヘッドホンレセプタクル外れに関する特徴的構成を有している。すなわち、処理装置302は、装置のレセプタクル325からのヘッドホンプラグ362の取り外しに応じて、記憶素子ヘッドをアンロードする。したがって、装置を落とした場合には、装置が地面と接触する前にヘッドがアンロードされる。この特徴を更に促進させるため、また、再生中にヘッドホン364(または、イヤホン)がユーザの頭部に位置決めされると仮定して、装置が地面と接触する前にレセプタクルからヘッドホンプラグが外れるように、ヘッドホンに繋がり且つレセプタクルに接続されるケーブル366の長さを選択してもよい。更なる利点は、ヘッドホンケーブルに弾力を付与することにより得ることができる。関連する特徴において、ヘッドアンロード時間は、最小ヘッドホン外れ落下高さを規定する。この高さよりも高いと、アンロード動作を行なうことができる十分な時間があるが、この高さよりも低いと、ヘッドのアンロードを行なうことができる十分な時間がない。装置が最小ヘッドホン外れ高さよりも下に落下すると、地面に近接すると同時に記憶素子のために設けられた衝撃絶縁装着システムによって与えられる保護により、衝撃感受性を減少させ或いは効果的に除去することができる。
【0048】
装置300の特定の物理的な特性について説明してきたが、ここでは、図2と共に図4aを参照する。図4aは、本発明に係る装置300の第1の動作形態での動作を示している。t0からt32の各時間が付されたタイムラインが参照符号400によって示されている。ユーザのやりとり402は、ユーザインタフェース装置310を介して行なわれるとともに、一連の各コマンドによって形成される。ユーザのやりとりは、ユーザが音楽選択/演奏ボタン404(図2)を作動させることにより始まる。その後、コマンドを使用して、装置によって演奏される3つの音楽を選択する。なお、簡単のため、ユーザのやりとりには、各音楽の選択が図示されていない。演奏する音楽を選択する際のコマンドシーケンスの一例は、最初に演奏ボタン404を押すことであってもよい。最初に演奏ボタンを押すことにより時間t0からt4が経過する。その後、ユーザは、音楽メニュー内の数字メニュー表示(図示せず)を使用して、時間t4からt23を含む時間帯にわたってリストから特定の音楽を入力する。音楽は、グループとして或いは個別に選択されてもよい。なお、明確に図示するため、この実施例では、限られた数の音楽タイトルが選択される。しかしながら、装置300で利用できる実際の記憶装置の制約のみによって制限される任意の数の音楽タイトルが選択されてもよい。
【0049】
この実施例の更なる目的のため、時間内のある時点においてセットの形で3つの全ての選択が行なわれ、これにより、遅れを生じさせることなく、対応するデータ転送を行なうことができる。これらの音楽を選択すると、ユーザは、後述するように時間t23からt28にわたって所定の方法で演奏ボタン404を再び押すことによりコマンドを終了する。
【0050】
最初に、各音楽選択を示すデジタルデータが記憶素子320によって記憶される。処理装置302により、デジタル情報を、最終的に音声ジャック325でユーザにより利用可能となる音声信号に変換するためには、最初に、音楽に関連するデータを記憶素子320から電子記憶装置312へと移動させる必要がある。前述したように、対応するデータを記憶素子320から電子記憶装置に移動させた後、電子記憶装置320からの音楽の演奏は、衝撃に対する影響を相対的に受けることなく行なわれる。ユーザのやりとり402の過程において、処理装置302は、ユーザのやりとりを監視して、コマンド入力ライン406によって示されるユーザ入力コマンドを解釈する。
【0051】
記憶素子320が関与するデータ転送が差し迫っていることを最も早く表示できるように、処理装置302は、ユーザのやりとり402を監視する。そのような時点は、例えば、ユーザが携帯電話/音楽プレーヤ装置の表示スクリーン(図示せず)上で音楽選択メニューを見る時として、ユーザが最初に演奏ボタン404を押す時として、ユーザがプレーヤ選択ボタンを押す時として、あるいは、メニュー駆動型選択シーケンスがユーザによって行なわれている間に装置の動作がユーザ指向の機能に分岐する時として、選択されてもよい。ユーザコマンド時間402がt28で終了するまで待つことなく、処理装置302は、アクセスのために記憶素子320を即座に準備する。
【0052】
この実施例においては、演奏ボタン404が最初に作動される時に、選択される時間点がt0として選択される。したがって、処理装置302は、回転可能な媒体340がスピンアップすることによって応答する。スピンアップの事象は、データ転送実行ライン408で示されており、時間t0から始まって時間t4まで続くS/Uとして表わされている。なお、スピンアッププロセスは、記憶素子320の動作全体の中で最も時間を消費する事象を含んでいる可能性がある。このため、本発明によって教示される方法での係属中のデータアクセスの予想は、非常に有益であると考えられる。また、この場合、スピンアップ時間は、任意の要素ではなく、むしろ、最適な結果を与えるために制御することができる。この最適化においては、例えば、ポータブル装置で高速スピンアップを命令するとバッテリ寿命が短くなる虞があるという事実を含む多くの要素を考慮しなければならない。
更に他の要素は、データ転送を達成できる速度に影響を与える。これらの要素のうちの1つは、磁気媒体ディスクの回転速度である。なお、従来技術がコマンド実行(すなわち、スピンアップ)を開始する典型的な時点は、一般に、t28である。本発明は、選択された非常に早い時点でコマンド実行を開始することにより、衝撃防止の点で、大きな利益を収める。
【0053】
スピンアップが行なわれると、その後、非常に速くデータ転送を連続して行なうことができる。この場合、この図に示される転送は、それぞれが1つの時間を要するように示されており、一方、スピンアップ時間は、4つの時間を要するように示されている。しかしながら、特定の実施形態に応じて、スピンアップおよびデータ転送の持続時間が互いに異なっていてもよいことは言うまでもない。データ転送は、T1からT3として表わされている。この場合、転送のうちの1つが演奏される各音楽に対応付けられている。本発明は、記憶素子320を衝撃に晒すことを制限することに関して動作的に効率がよいだけでなく費用効率も高い積極的な態様で、電子記憶装置へのデータ転送持続時間および電子記憶装置からのデータ転送持続時間を制御できることを認識している。
【0054】
更に図2および図4aを参照すると、データ転送T1は、転送コマンド入力が完了406すると直ぐに時間t8で開始される。転送T2、T3はそれぞれ時間t9、t10で開始される。基本的に、各転送は、処理装置302によって慎重に実行できる一連の制御事象を規定するデータ交換シーケンスを必要とする。前述したように、各転送は、単一の時間内で終了する。時間t11での転送T3の終了後、処理装置302は、記憶素子のスピンモータを「停止させる」とともに、そのヘッドセンサ装置をS/Dとして示される時間t11からt12にわたって待機状態にして、記憶素子を安全状態に置く。なお、この場合、停止プロセスは、この場合も同様に特定の実施形態に応じて、データ転送時間よりも幾分長くてもよい。プロセスの更に重要な構成要素は、基本的に、センサ装置344をその衝撃に耐える待機位置にアンロードすることから成る。この後者の動作を迅速に行なうことができることは言うまでもない。例えば、従来のハードディスクドライブは、200ミリ秒程度の時間内でアクチュエータまたはセンサ装置を待機状態にすることができる。
ある一定の機能強化をもって、本発明は、約100ミリ秒以下の時間内で記憶素子320のセンサ装置344を待機させることをもくろんでいる。いずれにせよ、この程度の長さの時間は、一般に、人間のやりとりの結果として見られる応答よりもかなり短い。この実施例において、ユーザのやりとり402のコマンド時間は、転送コマンドの終了時点406をかなり越えて延びており、これにより、記憶素子は、ユーザによるその後の一時的移動中に起こり得る衝撃事象まで、長い間、その安全状態に置かれたままとなる。以下に別のシナリオを示す。
【0055】
更に図4aを考慮すると、過渡期の間に衝撃に対する最良の保護を記憶素子のために与える本発明の能力が、できる限り早い時点でコマンド実行シーケンスを開始することにより得られることを理解することは重要である。この教えにより、ユーザのやりとりの終了前であっても、できる限り早期に対応するデータ転送を完了することができる。データ転送実行の開始は、例えば演奏ボタン404の最初の作動の終了時に時間t4でスピンアップを開始することにより幾分遅らされてもよい。これは、時間t8での転送コマンド入力の終了までであってもよい。なお、この場合、9個の時間帯が実際のスピンアップ動作、データ転送動作、スピンダウン動作を作り上げる。したがって、時間t28までに全ての動作をうまく完了するためには、時間t19になってようやくスピンアップを開始させることも可能である。この能力は、本質的な制御および処理装置内でネイティブコードを実行することにより可能になる処理装置302と記憶素子320との間に存在する認識の結果として、少なくとも部分的に利用できることを言及しなければならない。後述するように、データ転送動作を少なくとも部分的に完了させ且つ装置のユーザ移動前に安全状態に戻すため、多くの特徴が与えられてもよい。
【0056】
ここで、図2および図4bを参照すると、記憶素子320の衝撃耐性に関する1つの非常に有益な本発明の特徴は、記憶素子へのデータ転送および記憶素子からのデータ転送のサイズの制御にある。記述的な目的のため、図4bは、T1からT3を規定するために時間t19から時間t23にわたって解釈される転送コマンド入力410を示している。これらの転送が電子記憶装置312を利用することは言うまでもない。スピンアップは、転送コマンド入力と同時に成される。電子記憶装置の全体の記憶能力を十分に制限することにより、任意のデータ転送に要する持続時間は、電子記憶装置312を一杯に満たすために必要な対応する時間に制限される。図4bの実施例において、電子記憶装置は、一杯に満たされた後(すなわち、記憶素子320に完全に書き込まれた後)、データ転送T1からT3を完了させるために与えられる5つの時間帯以下で処理装置302によりスピンダウンされ得ることを前提としている。以下、この特定の時間の長さを、参照符号412で示される「メモリ埋め(ストレージフィル)」時間と称する場合がある。この点に関し、ユーザのやりとりを終了するためには、装置300のユーザは、演奏ボタン404を作動させる必要があることを思い出してもらいたい。ユーザのやりとりの終了時または終了前に、記憶素子320が関与する全てのデータ転送を完了させるためには、ユーザは、少なくともメモリ埋め時間の長さに相当する時間だけ演奏ボタン404を押さなければならず、あるいは、確認動作を必要としてもよい(例えば、その後にボタンを押す)。以下、演奏ボタンのこのような動作を「演奏開始」または「コマンド開始」と称する場合がある。
この場合も同様に、ここで考慮したそのような持続時間は、人間の認識からすると、極めて短い。実用的な実施例として、本発明は、32MBの容量を有する電子記憶装置を使用して、約2から4秒のメモリ埋め時間をもくろんでいる。電子記憶装置のサイズを制限すると、コストを節約できるという更なる利点が得られることを言及しなければならない。言うまでもなく、本発明は、巨大なサイズの電子記憶装置が設けられているとユーザに信じさせることができるような方法で、電子記憶装置を使用する。無論、最大サイズのデータ転送を適切に設定することによってここに開示された教示内容を実行するのであれば、大きいサイズの電子記憶装置を使用してもよい。
【0057】
本発明の範囲内で他の変更も同様に可能である。例えば、「延長メモリ埋め時間」を規定するために、メモリ埋め時間の一部として、記憶素子スピンアップ時間が含められてもよい。この場合、ユーザは、ドライブスピンアップ時間を含む更に付加された時間の間、演奏ボタン404を押す必要がある。記憶素子スピンアップ時間は、例えば500ミリ秒未満程度であってもよい。ユーザが演奏ボタンを十分な時間押していない場合には、音声による警告および視覚的な警告の少なくとも一方が与えられてもよい。また、演奏ボタンの作動が不十分な場合には、不完全なユーザのやりとりの後、ユーザが装置を移動させている間に起こり得る衝撃の虞を回避するため、係属中の任意の転送を無視して、記憶素子が即座に停止されてもよい。ユーザが受けるそのような制約の存在下では、衝撃によって受ける危険から記憶素子320を最大に保護するために課される要件と一致する装置をユーザが素早く使用し始めることが考えられる。前述した動作上の制約が存在する場合であっても、ユーザは、記憶素子320を有すること無く構成された従来の装置と基本的に同じ方法で装置300を操作して扱うことができると考えられる。すなわち、違いがあっても、それはユーザの観点から見て基本的に取るに足らない問題である。変形例として、記憶素子からメモリへのデータ転送が完了する時まで、演奏の選択肢の提示が除外されてもよい。
【0058】
ここで、図2および図4cを参照すると、限られたサイズの電子記憶装置の使用に関連付けられた1つの特徴において、本発明は、メモリ埋めサイズよりも大きいデータ転送を扱う際、日和見的な態様で動作する。図4cは、電子記憶装置312のサイズの2倍の組み合わせサイズを有する6つのデータ転送をそれ自体で規定する最初のユーザアクセス事象を有するユーザやりとりシーケンス420を示している。すなわち、ユーザのやりとりは、電子記憶装置の容量を超える転送サイズ全体を規定する。最初のユーザやりとりは、時間t0で始まり、演奏ボタン404が解除され或いはこれと同一視できる事象が起こる時間t11まで続く。転送コマンド入力時間422中に、6つの転送コマンドが入力される。この実施例においては、最初の3つの転送がグループとして選択され、一方、最後の3つの転送が個別に選択される。ユーザは、ある無作為の順番で様々な音楽リストを見ることにより、演奏される音楽項目を選択し、これにより、選択間にアイドル時間を有する延長コマンド入力時間を形成してもよい。この場合も同様に、このコマンド入力時間は、誇張することなく図示される場合には例えば転送時間に比べて非常に長い時間現われる現在のフォーラムの例示的な制限を収容する形で示されている。簡単のため、各転送コマンドは、ユーザアクセス事象1に示されていない。
【0059】
記憶素子320の回転可能な媒体340のスピンアップは、ユーザによって成される転送選択前に、演奏ボタン404(P/Bで示されている)の作動に伴って時間t0で開始される。最初の音楽選択に対応するデジタルデータの転送は、ユーザがT1に対応する音楽を選択する場合、転送コマンド入力中にデータ転送実行ライン424上で一度に行なわれる。したがって、この実施例において、コマンド実行は、ユーザやりとりの終了前400だけでなく、ユーザによるコマンド入力422の実際の完了前であっても、開始される。また、転送コマンド入力422の間の転送コマンドシーケンスの継続中の入力を考慮して、記憶素子の磁気媒体のスピンアップは、利用可能な転送T1の記述(定義)に対応する時間t2まで遅らされてもよい。しかしながら、その場合、記憶素子の安全状態への突入も、スピンアップ時間の分だけ遅れる。
【0060】
演奏ボタンの作動を検知した際にスピンアップを開始することにより、ユーザアクセス事象1内で規定される対応するコマンドとほぼ同時に、T1からT3の各データ転送が行なわれてもよい。前述したように、プレーヤ機能に分岐する時点でユーザにより開始されるメニュー選択シーケンスに応じてスピンアップすることも有益であると考えられる。いずれにせよ、演奏開始のため、ユーザは、コマンド入力選択後、電子記憶装置312を完全に満たすために必要な時間に対応する所定の時間t6からt11の間、演奏ボタン404を押す必要がある。その動作は、ユーザやりとり420中に、演奏開始(P1)として示されている。係属中のデータ転送の全ての演奏開始のためにユーザが演奏ボタンを解除できる最も早い時間(t11)のかなり前に、転送が完了して記憶素子がその安全状態に置かれるのが分かる。ユーザがうまく演奏開始選択をしない場合には、係属中の転送が取り消され、記憶素子が即座にその安全状態に置かれてもよい。同時に、エラー信号がユーザに与えられてもよい。このエラー信号は、少なくとも2つの目的を果たす。第1に、エラー信号は、取り消された選択転送の不都合を回避するためにその後の選択入力をユーザが変更することができるように誤りが成されたことをユーザに知らせる。第2に、エラー信号は、ユーザが例えばベルトクリップまたは財布に装置を移動させる前に遅れを導入することを目的としている。この場合、ユーザのためのちょっとした遅れにより、装置の移動前に、記憶素子を安全な状態に適切に導くことができる。他の変形例として、記憶素子は、対応する転送を必要とする更なる選択が行なわれないというユーザによる指示の直後に安全状態に置かれてもよい。例えば、スクリーン表示において単独で或いは全てのメニューの中から1つを選択するものとして質問「他の選択をしますか? y=1, n=2. x?」が与えられると、「n」または「no」を選択することにより、係属中の転送および進行中の転送の少なくとも一方の状態とは無関係に、即座に記憶素子が安全状態に置かれてもよい。殆どの場合、ユーザのやりとりが進行している間、ユーザによって要求される転送の大部分が日和見的に完了すると考えられる。この開示内容全体を考慮して、更なる別の代案が当業者によって生み出されてもよい。
【0061】
T1からT3を使用して電子記憶装置を一杯に満たすと、電子記憶装置内に記憶されたデータを任意の適当な方法で使用することができる。典型的な目的のため、この説明では、参照符号11が付された区間の間で音楽信号を形成するためにデータが使用されると仮定する。また、この実施例では、データを転送できる速度の1/6の速度で音楽信号を形成するためにデータが使用されると仮定する。無論、そのようなデータは、データ転送時間と比べてかなりゆっくりとした速度で使用される可能性が高い。従来技術の圧縮を用いて音楽ファイルを演奏するため、本出願人は、電子記憶装置が約32MBのサイズを有している場合、約60分の演奏時間をもくろんでいる。6つの全ての音楽選択を利用して聴けるようになる時間までユーザ定義の転送が完了しないため、処理装置302は、電子記憶装置によって記憶されるデータの使用を追跡記録するように構成されていることが有益である。
【0062】
衝撃に関しては、記憶素子320が衝撃に晒される可能性を制限するように、T4からT6を含む残りのデータ転送を行なうことが望ましい。本発明において、残りのデータ転送は、1または複数の適切な時間に行なわれる。この実施例において、残る3つの全ての音楽タイトルにおける1つの更なる転送は、電子記憶装置312を完全に満たすことができる。そのような転送は、T4からT6の全てを含んでいる。前述した教示内容によれば、データ転送を行なうのに最も適した時間は、一般に、ユーザアクセス中である。残念ながら、次のユーザアクセスの正確なタイミングは分からないため、最初の3つの転送の再生が終了する正にその時に行なわれるユーザアクセスについては不確かである。言うまでもなく、本発明は、この問題を効果的な方法で解決するために、非常に有益な特徴を与える。
【0063】
ユーザアクセスが様々な目的で行なわれることを思い出してもらいたい。この実施例において、アクセスは、演奏される音楽を選択する目的で、あるいは、装置300の他の機能を使用するために、例えば、電話の送受信およびページング、電子メールの送信および受信の少なくとも一方などといった他のメッセージサービスの実行と、の少なくとも一方を含んでいてもよい遠距離通信モードで行なわれてもよい。これらの任意の他の意図する目的で装置300が使用されると、音楽選択を入力することを目的とするアクセス等の対応するユーザアクセスは、同様に、衝撃を受けることが殆どなくなる。そのため、装置300は、可能な限りいつでもユーザアクセス中に記憶素子320が関与するデータ転送を日和見的に実行するように構成される。
【0064】
図2および図4cと共に図4dを参照すると、この日和見的な構成に関連する1つの重要な特徴は、次のユーザアクセスが意図する特定の目的とは無関係に、次のユーザアクセス中に電子記憶装置312中に存在する「使用済み」データを交換することにある。この特徴を明らかにするため、ユーザやりとり420は、ユーザアクセス事象1の次にユーザアクセス事象2から4と名付けられた一連のやりとりを含んでいる。例示的な目的のため、ユーザアクセス事象1の次にくるこれらの各事象は、例えば、電話を送受信して、通話中には電子記憶装置312内に記憶された音声データの再生が停止するといった遠距離通信モードで装置300を使用することを含んでいると仮定する。時間t17において、ユーザアクセス事象2が開始される。電子記憶装置312によって記憶された音声データの再生は、再生開始の決定から区間11の間の時間t11からt17で行なわれる。ユーザアクセス事象2の開始時には、T1転送に関連付けられた音楽の再生に対応する6つの再生時間が経過してしまっている。その後のユーザ事象の持続時間は、これらの事象を図4dに適合させるため、極端に短くなるように図示されていることを思い出してもらいたい。実際には、これらのユーザ事象は、記憶素子320を安定状態に置くような事象に対して極めて長く現われることもあり得る。それにもかかわらず、本発明の概念は、図示のような極めて短いユーザアクセス間隔に直面しても、今なお有用である。
【0065】
図4dは、時間t17における電子記憶装置312の状態を示している。区間11中においては、記憶されたデータの1/3が使用されてしまう。一方、T2およびT3で転送されたデータは、未使用のままであり、電子記憶装置の容量の残りの2/3を満たしている。時間t17でユーザアクセス事象2が開始されると、処理装置302は、電子記憶装置によって収容される使用済みT1データを安全に交換する機会を認識する。したがって、時間t20でT4を転送するために、記憶素子の磁気媒体340が時間t17でスピンアップする。その直後、記憶素子が安全状態に置かれる。図4cに示されるように、このプロセスは、ユーザアクセス事象3およびユーザアクセス事象4のそれぞれにおいて、T5およびT6を転送するために繰り返される。T2転送に対応する電子記憶装置312内に記憶されたデータは、T5転送に取って代えられる。一方、T3転送に対応するデータは、T6転送に取って代えられる。前述したように動作する処理装置302は、電子記憶装置とユーザに対してトランスペアレントな(ユーザから見えない)記憶素子との間で行なわれる非常に有益な協働をとりまとめる。音声の再生を停止させる必要がある例えば電話の送受信といった事象の場合、一般に、音声の再生を自動的に再開させることができる場合であっても、音声の再生をユーザに再開させることが望ましいと考えられる。この再開は、電子的に保存される音声をユーザが本当に聴き続けたいということを確認する目的を果たす。この後の事象再開は、図面のスペースの制約のため、図4cに示されていない。1つの特徴において、ユーザは、電子的に保存されたデータの使用に関する様々な選択を伴うメニューを見ることを促すプロンプトを受けてもよい。一例として、メニュー選択は、1)音声の再生を再開する、2)もっと多くの再生選択を加える、3)再生選択を編集する、4)終わりまで再生を停止する、5)現在の選択を消去する、を含んでいてもよい。
【0066】
データ転送の日和見的な実行を可能にするために、次のユーザアクセス事象が起きない時間があってもよいことは言うまでもない。そのような状況下では、記憶素子のための所望レベルの衝撃保護を実行するように装置300の挙動を制御することができる。最も高い可能なレベルの保護を与えるため、装置は、演奏するためのデータを使い果たしたため演奏を停止するという信号を、処理装置302を介してユーザに送信してもよい。例えば、音声の説明は、例えば「音楽演奏リストをリフレッシュしてください」といったことを言う再生音声を発してもよい。音声の代わりに、あるいは、音声に付随して、視覚的な告知が与えられてもよい。また、装置は、電子記憶装置内に既に存在するデータの再生を繰り返すように構成されていてもよい。この場合、電子記憶装置によって記憶されるデータをリフレッシュする機会を許容するため、ユーザは、ユーザやりとりを開始するという選択肢を有する。
【0067】
本発明は、例えば電子記憶装置をリフレッシュするという面において非常に有益であると考えられる特定の特徴を与える。具体的には、記憶素子の環境を監視するための装置および方法を開示する。包含される環境監視の一態様は、記憶素子がある場所での衝撃の測定である。すなわち、電子記憶装置をリフレッシュするためにユーザやりとりを要求することによって環境を制御しようとするのではなく、「リフレッシュ」転送を進めるのに現在の環境が十分に安全であるかどうかに関して評価を行なうにあたって、処理装置が現在の衝撃環境を観察するおよび現在の衝撃環境を記録する、の少なくとも一方を行ってもよい。環境を監視するというこれらの特徴については、適切な観点から後述する。
【0068】
ユーザアクセスの他、係属中のデータ転送を形成するために最終的に記憶素子を使用する必要がある入力または事象が行なわれてもよい。しかしながら、入力と同時に起こるユーザアクセスが無い場合には、電子記憶装置内にデータを記憶することが好ましい。例えば、送信されてくる電子メールまたはボイスメッセージが受けられてもよい。そのような状況において、本発明は、少なくとも一時的に電子記憶装置312内に電子記憶部を設けることをもくろんでいる。例えば、送信されてくる電子メールまたはボイスメッセージは、常に、電子記憶装置内に記憶されたデジタル音楽よりも優先的に記憶されてもよい。最初に、既に再生された音声データが交換されてもよい。その後に通話等のユーザアクセスが開始されると、前述したと同様の方法で、電子的に記憶されたメッセージが電子記憶部から記憶素子へと日和見的に移動されてもよい。
【0069】
電子記憶装置の限られた記憶容量の結果として係属中のデータ転送が規定される前述した状況下においては、その後の事象自体が記憶素子へのアクセスを必要とする他の動作状態が生じる場合がある。この場合、対応する転送が連続的に又は交互的に行なわれてもよい。この場合も、前述したように、すべての転送の組み合わせサイズが電子記憶装置の容量によって制限され、これにより、「メモリ埋め」転送の可能な持続時間が制限される。
通信転送(例えばボイスおよび電子メール)が音楽データ転送よりも優先される他の優先順位が規定されてもよい。
【0070】
送信されてくる例えばボイスメールまたは電子メール等のメッセージが電子記憶装置よりも大きいサイズを有していると、メッセージの記憶が電子記憶装置内で始まる場合がある。ユーザやりとりが無い場合、ユーザやりとりを開始するために、送られてくるメッセージが適当な方法でユーザに知らされてもよい。ユーザが利用できない場合、記憶素子のための最高レベルの保護は、より適切な時まで特定のメッセージの受信を先送りするように命令する。
【0071】
以上を考慮して、ここでは、本発明のコマンド設計思想およびコマンドインタープリタ(コマンド解釈プログラム)に注意を向ける。本出願人は、コマンド入力および実行が順次にではなく同時に起こり得るという非常に有益な認識を持っているとともに、処理装置と記憶素子と電子記憶装置との間の協働により、可能な限り最も都合のよい方法で特定のコマンドに対するデータ転送の完了に関して機能を非常に強化させることができると認識している。特に、本発明は、対応するデータ転送を可能な限り迅速に実行するように考えられた方法で、コマンドを「構築」または設計する。前述した説明で頻繁に見られる1つの例は、記憶素子の回転可能な媒体のスピンアップをコマンドが特定する場合である。1つの特徴において、記憶素子320の媒体340のスピンアップは、所定の転送の数が電子記憶装置312の記憶容量に匹敵し或いは電子記憶装置312の記憶容量を超える組み合わせ容量を有するようになると直ぐに行なわれる。したがって、図4cを参照すると、転送T1からT3が電子記憶装置340の容量に等しいと仮定し、また、T1からT3の全てが時間t4(転送コマンド422の入力中)で規定されると仮定した場合、スピンアップ(図示せず)は時間t4で行なわれる。この特徴と関連して、コマンドインタープリタは、所定の転送の組み合わせのサイズ全体を監視することが規定されると、各転送のサイズのオンザフライ検査を行なう。例えば、平均サイズの転送の決定が行なわれてもよい。全ての転送の組み合わされたサイズ全体の方が、1つの平均サイズの転送に比べて、電子記憶装置内で利用できるスペースが少なくなるユーザ選択中の時点で、スピンアップが開始されてもよい。すなわち、ユーザがメモリー埋めの1つの平均サイズの選択をしている最中に、スピンアップが生じる。
【0072】
また、本発明のコマンドインタープリタは、転送コマンドの入力中、ユーザの作業速度に基づいて最適なスピンアップ時間を定める。例えば、本発明のコマンドインタープリタは、ユーザが選択を行なう速度を監視してもよい。このようにすれば、平均的な選択速度を定め、少なくとも部分的にその平均選択速度に基づいて最適なスピンアップ時間を決定することができるようになる。最適なスピンアップ時間は、基本的に、ユーザの選択における履歴に基づいて決定され、電子記憶装置を満たすため或いはほぼ満たすためにユーザが十分な数の選択を何時行なったかを評価することができる。これらの様々な特徴の目的が、回転可能な媒体を必要最小限の時間回転させることであることは言うまでもない。すなわち、コマンド入力シーケンス中においては、できる限り早く転送を始めることが望ましいが、記憶素子が回転している時には記憶素子が一般にデータ転送に供するようにして、所定の転送間でアイドル時間が無いようにすることにより、1つの利益として、バッテリの電力を節約することが望ましい。これらの目的を達成するために、前述した特徴同士を任意の適当な方法で組み合わせてもよい。
【0073】
また、コマンド設計は、ユーザやりとりの終了前に記憶素子が安全状態となるようにするのに役立つ前述した演奏開始機能等の他の機能の実施においても重要である。これに関して、本発明によって発行されるコマンドが、制御される装置のネイティブコードの複雑さを包含することは言うまでもない。介在するプロトコルの層が無ければ、かなりの度合いで、ここに教示した内容に基づいてコマンドを設計することができると思われる。コマンド設計者の自由となる制御事象を代表する他の特徴は、ヘッドおよびスピンモータの状態を含むが、これらに制限されない。後述するように、本発明は、コマンド実行における要素として、環境状態を考慮する。
【0074】
ここで、装置300の1つの考えられる実施形態の外観図を示す図5aに注目する。装置300は、この開示内容全体に記載されたものに関して前述した特徴および概念のどれを選択的に組み込んでいてもよい。したがって、装置は、2つ以上の別個の従来装置の機能を組み合わせたハイブリッドを備えていてもよい。具体的には、装置300において、無線電話または携帯電話とデジタル音楽プレーヤとの組み合わせが実施される。装置は、ハウジング450と、ユーザが利用し易いキーパッド452と、ユーザの耳の近くに位置させることができるスピーカ領域454と、ハウジング450上の適当な場所に収音部を有するマイクロホン(いずれも図示せず)と、表示スクリーン460とを有している。記憶素子320は、衝撃絶縁機能を使用して、ハウジング450内に装着されているが、この図面で見ることはできない。デジタル音楽を演奏する能力が与えられているため、装置300は、図2に参照符号325で示されるような音声出力ジャックを更に有している。音声出力ジャックは、例えばオーディオヘッドホン364または個人的な聴取に適した任意の他のイヤホン装置に対して選択的に接続することができる。また、出力は、オーディオまたはコンピュータシステムに設けられていてもよい。前述したように、装置300は、ハウジングの適当な場所にデジタルインタフェース(図2のインタフェース328参照)を組み込んでいてもよい。このようにすれば、少なくともデジタル音楽または記憶素子に保存された他のデータを監視して制御するために、装置をユーザのコンピュータに接続することができる。また、本発明は、データを共有するための他の同一のポータブル装置を含むがこれに限定されない他のポータブル装置に装置300を接続することを考えている。
【0075】
ここで、図5aとともに、図5bを参照して、主にそのデジタル音楽モードおよび対応する機能に関する装置300の動作を示す一連のスクリーン場面について説明する。図5bは、選択メニューがユーザに対して提示される装置300のスクリーン460を示している。ユーザは、例えばキーパッド452上の上下の矢印キー464、466をそれぞれ使用することにより、「電話」または「プレーヤ」のいずれかを選択することができる。この実施例においては、ユーザがプレーヤオプションを選択すると仮定する。
【0076】
プレーヤモード選択後、図5cは、スクリーン460上に与えられる1つの考えられる表示を示している。プレーヤモード入力時、ユーザは、プレーヤを既に使用している場合、それを通話によってのみ中断させ、あるいは、演奏リスト中のある時点で何らかの理由により再生を停止することができることは言うまでもない。したがって、「演奏再開」、「演奏リストをもう一度見る」、「新しい演奏リストを作成する」、「前のメニュー」を含む4つの選択を有するメニューが与えられる。「演奏再開」を選択すると、再生が最後に停止または一時停止された時点の前に選択された演奏リストの演奏が開始される。そのような前に選択された演奏リストは、ユーザがそれを交換することを選択する時まで、電子記憶装置312(図2参照)内で依然として利用することができる。「演奏リストをもう一度見る」を選択すると、ユーザは、記憶素子上で利用可能な前に作成した任意の演奏リストを選択することができる。演奏リストは、キーパッド452およびディスプレイ460を使用して作成されても良く、あるいは、USBインタフェースポート(図2)または他の適当なインタフェース装置を介して装置300と接続される外部コンピュータを使用して作成されてもよい。前者のプロセスは、「新しい演奏リストを作成する」を選択することによって開始される。「前のメニュー」を選択すると、ユーザは、図5bの表示に戻される。
【0077】
図5dを参照する。この図5dでは、図5cにおいて「演奏リストをもう一度見る」が選択されたと仮定する。この選択に応じて、演奏リストメニューが図5dに示されている。この例は、演奏リスト1から3および「追加の演奏リスト」を選択するための選択肢の表示を示している。この際、更に他の演奏リストが利用できる場合には、「追加の演奏リスト」選択を表示し続けると共に、演奏リスト4から6に対応する選択(図示せず)が表示されてもよい。ここに記載された演奏リストには、一般に、番号が付けられているが、ユーザは、各演奏リストに関連して表示されるカスタマイズされた名前を作成することができる。例えば、アーティストの名前および作品のタイトルの少なくとも一方が表示されてもよい。
【0078】
図5dのスクリーン上の演奏リストのうちの1つを選択すると、図5eのスクリーン460が提示される。「曲1」、「曲2」、「曲3」の選択肢が与えられる。これらのうちの任意の1つを選択すると、電子記憶装置300により、対応する曲の再生が開始する。
ここでも同様に、曲には、一般に、番号が付される。しかし、ユーザには、直ちに、例えば実際の曲のタイトルを使用して曲名をカスタマイズする選択肢が与えられる。図5eでは、「追加の曲」を含む更なる選択肢が選択されてもよい。「追加の曲」は、次の3つの曲選択を与え、また、演奏リストが無くなるまで繰り返されてもよい。「演奏リストをロードする」を選択すると、ユーザは、図5dの表示に戻される。あるいは、ユーザは、既存の演奏リストを修正するため、あるいは、新たな演奏リストを作成するために、「演奏リストを編集する」を選択してもよい。
【0079】
図5dおよび図5fを参照すると、記憶素子320で利用できるが電子記憶装置312で現在利用できない図5dの表示に示される演奏リストのうちの1つを選択するには、対応するデータを記憶素子から電子記憶装置に転送する必要がある。前述したように、データアクセス中に記憶素子を保護したい場合には、データ転送中に、図示の「ローディング」スクリーン又はこのような表示と類似する表示がユーザに与えられてもよい。このスクリーンは、記憶素子がその前述した安全状態になっていない時に対応して与えられてもよい。
【0080】
図5fと共に、図5gを参照すると、記憶素子がその安全状態に戻った後、「演奏」および「前のメニュー」の選択がユーザに与えられる。一般に、この状況において、ユーザは、即座に聴ける演奏リストの利用可能性を待っている(すなわち、図5fの表示を参照)とともに、「演奏」を選択するために図5gの表示が与えられるまで数秒待たなければならなくなる可能性が非常に高いと考えられる。したがって、ユーザには、記憶素子がその安全状態になった後においてのみ、再生を開始する選択肢が与えられる。前述したスクリーン表示のいずれも、本発明の範囲内で、任意の適当な方法により修正することができる。
【0081】
ここで、図3を再び参照して、記憶素子300の一部としての電子部品の配置および動作の特定の態様に注目する。特に、チャンネルIC500は、フレキシブル回路330の主部330bを介して電気通信により物理的に支持されている。また、プリアンプIC502もフレキシブル回路の主部330b上に支持されている。フレキシブル回路上にチャンネルICを位置決めしたことに伴う1つの利点は、記憶素子の一部としてプリント回路基板(PCB)を設ける必要性がなくなるという点である。言及すべき点は、フレキシブル回路の主部330bがフレックスキャリアプラットフォーム356の周囲に「巻回」されており、これにより、フレックスキャリアプラットフォームの下側で信号ルーティングおよび構成部品をフレキシブル回路上に搭載できるという点である。この実施例において、そのように位置決めされる1つの構成部品はサーボICである。無論、そのような構成部品は、この図面では見えない。フレキシブル回路の主部330bは、適当な接着剤の使用を含むがこれに限定されない適当な方法で、プラットフォーム356に対して接着されてもよい。
【0082】
一見すると、これらの3つのICを記憶素子内に簡単に配置できるように思える。しかしながら、チャンネルIC500の場合、これをフレキシブル回路上に配置するためには、些細なことでもなく又分かりきったことでもない多くの厄介な問題を解決しなければならない。これらの厄介な問題の殆どは、フレキシブル回路上で受けるノイズに関連している。フレキシブル回路によって伝えられる様々な信号には、例えば、「シャープエッジ」とも呼ばれる極端に速く上下する時間と共にデジタルに形成される制御信号が含まれる。
当業者であれば分かるように、そのような高レベル制御信号のエッジは、放射エネルギの形態を成すかなり大きい障害(interference)を生じる。同時に、未加工データは、センサ装置346によって読み取られた後、チャンネルIC500へ向かう途中で、プリアンプIC502を通過する。低信号レベルの未加工データと制御信号とが組み合わされてフレキシブル回路に存在すると、低レベル信号が改悪される可能性があり問題である。フレキシブル回路上のチャンネルIC500によって行なわれる処理もまた、更なる問題を引き起こす。
【0083】
チャンネルIC500の位置を更に考慮すると、当業者は、この障害の問題に対処するために、フレキシブル回路以外の殆どどこにでも、例えばプリント回路基板上に、チャンネルIC500を配置すると思われる。前述したIBMのマイクロドライブによって例示されるように、チャンネルICは、HDAの外側にあるPCBAの一部である。HDAから分離され且つHDAに対して別個の部品であるPCBAは、フレキシブル回路に存在する障害によって影響を受け難い。また、チャンネルICに関連する回路の領域に、特定の障害対策が組み込まれてもよい。そのような対策は、PCBA上で利用できる比較的膨大な空間に基づき、非常に複雑となる可能性がある。あるいは、当業者は、チャンネルICを装着するために、HDAアセンブリ内に別個のPCBを配置するかもしれない。この後者の配置も当業者にとって魅力的である。その理由は、PCBのおかげで、チャンネルICに障害が生じなくなるからである。従来技術に端を発し且ついずれかの形式のプリント回路基板上にチャンネルICを配置する際に適用できる1つの魅力的な態様は、プリント回路基板上への構成部品の配置がフレキシブル回路上へのそのような構成部品の配置に比べてかなり安価であるという事実に内在する。
【0084】
本発明は、低レベル信号(例えば1から1.8ボルト以下)を使用して信号特性を制御することにより、また、フレキシブル回路上の信号ルーティングおよびICピン配列位置により、前述した障害の問題を解決する。
【0085】
図2を参照し続けると、本発明は、フレキシブル回路330上にチャンネルIC500を配置することによって得られる特定の利点を認識している。制御装置および特定のHDAから最適な性能を得るためには、そのHDAの媒体とセンサとの特定の組み合わせに対してチャンネルICをカスタマイズしなければならない。すなわち、従来のハードドライブの通常の製造中に、チャンネルICがHDAとやりとりする特定の方法を制御するプログラミング工程を行なわなければならない。出願人は、更に他のチャンネルICをプログラミングする以外、そのような最適な性能を得るための他の方法を把握していない。したがって、最適な性能を得るため、本発明は、プログラミング後、「カスタマイズされた」チャンネルICがその対応するHDAと共に残っていなければならないことを認識している。従来、このカスタマイゼーションに向けられたプログラミング機能またはそれらを実行することに向けられた少なくともリソースは、ハードドライブのPCBA上のハードドライブコントローラに関連付けられたメモリ内にほぼ永久に組み込まれる。チャンネルカスタマイゼーションが無いと、低下した或いは「一般的な」性能とも呼ばれるものは、チャンネルとHDAとの特定の組み合わせによって得られる。
【0086】
'751特許を簡単に考慮して、出願人は、対応する制御装置を持つことなく特定のHDAに永久的に関連付けられたままであるチャンネルICをカスタマイズすることに関して教示が無いと考えている。この特許は、チャンネルICをHDA内、ホストコンピュータ内に配置すること、あるいは、チャンネルICをHDAとホストコンピュータとの間に分配することを示唆しているが、有益となるようにこれらの場所の任意の1つを選択することについては全く教示していない。したがって、一般的な性能しか利用することができないと思われる。
【0087】
分配形態でチャンネルICを配置し、あるいは、全体としてホストコンピュータ内に配置すると、チャンネルをカスタマイズすることが更に困難になる。特に、'751特許がモジュラーシステム手法を採用しており、HDA等の周辺装置がホストコンピュータから分離して設けられ且つ一般に様々な製造供給元から供給されていることは言うまでもない。そのようなモジュラーシステムの1つの利点は、エンドユーザでさえシステムを組み立て且つ必要に応じて構成部品を加えることができるという点である。これらの状況下では、エンドユーザの手元に一緒にやってくる構成部品の全てを用いても、HDAとチャンネルとの任意の特定の組み合わせのためにカスタマイズされたチャンネルを与えることはできない。この点に関し、本発明は、実務能力のないエンドユーザによるチャンネルカスタマイゼーションを考えている。製造中に通常行なわれるチャンネルカスタマイズ処理は、一般に時間がかかる。例えば、20GB(容量)のハードドライブのためにチャンネルをカスタマイズするには、簡単に60分から90分の時間がかかってしまう場合がある。チャンネルICのエンドユーザによるカスタマイゼーションの考えを回避せざるを得ない、止むに止まれぬ理由は、チャンネルプログラミングおよびテストプロセスが製造中に品質管理の意味で役目を果たすという事実により明らかである。すなわち、HDA/チャンネルの組み合わせは、仕様の閾値を超えて行なわないことにより、製造時に拒絶されてもよい。
【0088】
本発明は、受け入れられないとして製造メーカの力の及ばない場所にある品質管理機能の撤廃を考える。そのような製造本意の品質管理機能をエンドユーザに移すことも同様に想像を絶することであると考えられる。本質的に'751特許によって開示された選択肢は、一般的な性能レベルに甘んじることである。本発明は、この後者の選択肢を拒絶して、非常に有益で且つ今まで見たことが無い後述する解決策を提供する。
【0089】
図3を参照すると、記憶素子320のセンサ装置344および磁気媒体340に対してチャンネルIC500がカスタマイズされることを理解することがまず重要である。カスタマイズされたチャンネルを提供できる理由の1つは、任意の標準的な実用性から、記憶素子320の製造メーカによりチャンネルICを単にプログラム制御できるという認識にある。このようにして、付加価値再販業者は、例えばカスタマイズされたチャンネルを含む最適化された性能のために構成された記憶素子320を有する装置300等の装置を提供することができる。
【0090】
更に図3を参照して、チャンネルIC500に関連する更なる利点に注目する。具体的には、チャンネルICは、記憶素子の構成に関連する特定の情報を収容する不揮発性領域を含むチャンネル特性領域510を有している。この情報は、例えば、記憶素子の記憶容量と、システム構成を収容するディスクの領域の属性とを含んでいてもよい。チャンネル特性領域510を設ける目的は、記憶素子における予期される変化および一般的な変化の少なくとも一方が、記憶素子の他の部分、例えば処理装置302内の部分での変化を必要としないように、記憶素子を構成することにある。すなわち、ホスト装置全体内の処理装置は、例えば最初の起動シーケンス中にチャンネル特性領域を読み取って記憶素子に適切にアクセスできるように構成されてもよい。このようにすれば、処理装置の変更を必要とすることなく、1つの処理装置で様々な異なる記憶素子構成にアクセスすることができる。
【0091】
ここで、衝撃の作用から記憶素子を保護し且つ一般にその信頼性を高める本発明の多くの他の非常に有益な特徴に注目する。前述したように、HDDは、例えばヘッド装置を移動させることができる十分な衝撃を受けることにより1または複数のヘッドが媒体と接触すると、故障し易い。媒体の回転が無いと、故障は、通常、破滅的である。これは、ヘッドが媒体を貫き、その後、相対移動によってアクチュエータアームからヘッドが引き裂かれるためである。ヘッド装置を待機状態にするための1つの構成は、Morehouse等に対して発行された米国特許第4,933,785号(以下、Morehouseという)に記載されている。Morehouseは、ランプ内に形成されるある種の爪の中に収まることにより、ヘッド装置がその待機位置(パーキング位置)で受けられるランプに対して載置するランプ構造について説明している。
【0092】
ヘッド装置が待機位置(パーキング位置)に位置されると、一般に、衝撃によりヘッド装置が移動することを抑制するために、ラッチ装置が使用される。従来のランプパーキング装置および協働するラッチ装置は、一般にその意図する用途に適しているが、そのような装置は、今日まで未解決のままである特定の問題に依然として陥り易い状態にあると思われる。例えば、制御装置がヘッド装置のパーキングを開始してもよいが、ヘッド装置は、その待機位置(パーキング位置)へと完全に移動できないかもしれない。すなわち、ヘッド装置は、その一部のみがランプを上方に向かってスライドして爪に達しないかもしれない。あるいは、ヘッド装置は、ランプを非常に勢い良く滑り上がり、ランプの端部にあるハードストップ(硬いストッパ)にぶつかって跳ね返るだけかもしれず、その場合には、爪から離れて停止し、所定の位置から外れてしまう。いずれの状況においても、以後、ラッチ装置は、ヘッド装置の移動を規制することができない虞が非常に高い。これは、通常、ヘッド装置が少なくとも当初はその待機位置に配置される(すなわち、爪の中に収まる)という前提でそのようなラッチ装置が設計されるからである。また、特に、ヘッド装置を磁気媒体に向けてランプの下方に移動させようとする衝撃力において、移動を開始するために必要な力の大きさは、ヘッド装置が爪の中に収められた状態で開始する場合に比べて十分に減少する。同時に、制御装置(処理装置)は、直ぐにでも破滅的なドライブの故障を引き起こす可能性が高いこのような状態に気付かない。
【0093】
前述した説明から明らかなように、従来においては、環境に影響される電気機械データ記憶装置の動作状態に関連する少なくとも特定の態様または属性を監視する必要性を認識する点において欠けている。これに対し、本発明は、特にポータブル装置における実施に関して、この必要性を認識している。本発明の記憶素子に関連する属性としては、ヘッド装置の位置状態、スピンモータの回転状態、記憶素子の周囲の温度、周囲から受ける衝撃を挙げることができるが、これらに限らない。これらの属性に対する視点が与えられると、以下の多くの属性に関して後述するように、適当な応答が策定されてもよい。
【0094】
ここでは、図3および図6を参照して、非常に有益なアクチュエータアーム位置センサに注目する。これらの図は、待機位置に位置されたアクチュエータアーム344を示している。技術用語にしたがって、この位置は、「ヘッドアンロード」を持っていると称される。逆に言うと、「ヘッドアンロード」を持っているという用語は、磁気媒体340を読み取るためにアクチュエータアームまたはヘッド/トランスデューサ装置が位置決めされる位置であると言ってもよい。図6は、アクチュエータアーム344と、フレキシブルキャリアプラットフォーム356によって支持されたフレキシブル回路330の主部330bと、ランプ360とを含む記憶素子320の一部を示している。なお、この場合も同様に、フレキシブル回路は、フレキシブルキャリアプラットフォーム356をその間に「挟み込んでいる」。図示のアクチェータアーム位置センサの実施形態において、タブ510は、フレキシブルキャリアプラットフォームの一部を使用して一体に形成されており、その後、上側に折り曲げられる。図6に示されるように、フレキシブル回路のタブ部512は、フレキシブルキャリアプラットフォーム356の下側にあるフレキシブル回路の部位と一体に形成されている。フレキシブル回路のタブ部512は、例えば適当な接着剤を使用するなどの任意の適当な方法で、支持タブ510に取り付けられてもよい。タブ部512上には、タブ部512によって支持されて接点ボタン514が配置されている。この図では見ることができない導電トレースは、フレキシブル回路と一体に形成されるとともに、接点ボタン514と電気的に接続している。これにより、フレキシブル回路にアクセスする図2に示される処理装置302等の任意の監視装置において、接点ボタンの状態が電気的に監視される。接点ボタン514は、例えば半田突起、フレキシブル回路に形成される窪み、接点領域を「アウトセットする」フレキシブルキャリアプラットフォームの突起、あるいは、そのような設計思想の任意の適当な組み合わせを使用して形成されてもよい。フレキシブル回路およびキャリアプラットフォームを使用する必要がないことは言うまでもない。例えば、待機位置のアクチュエータアームと係合するように構成された固定接点が、記憶素子のハウジングそれ自体によるものを含む任意の適当な方法で支持されてもよい。また、フレキシブル回路とキャリアプラットフォームとの組み合わせの代わりに、基板を支持する構成部品が使用されてもよい。
【0095】
更に図6を参照すると、前述したように、フレキシブル回路の一部は、柔軟なアクチェータアーム接続部330cを備えている。この接続部の一部は、アクチェータアームによって受けられる位置から、アームの長さに沿って、接点支持面518によって支持された電気接点領域516へと延びている。接点支持面は、アクチュエータアームと一体に形成されていても良く、あるいは、アクチュエータアームと別個に形成されてアクチュエータアームに対して適切に取り付けられてもよい。電気接点領域516は、例えば接着剤を使用する等の任意の適当な方法で接点支持面に対して取り付け固定されてもよい。アクチュエータアーム344は、ランプ360に形成された爪520内に昇降タブ354が収まった待機位置に位置された状態で示されている。接点ボタン514および接点領域516は、アクチュエータアームが待機位置に位置された際に、これら2つの部材間で電気的な接触が維持されるように配置されている。この場合、弾性的な付勢力を加えることにより衝撃力が無い状態でそのような電気接点を所定の閾値以下に維持するため、フレキシブル回路の柔軟なアクチュエータアーム接続部330c(図3参照)が使用される。このため、任意の適当な方法で、柔軟なアクチュエータアーム接続アームすなわちダイナミックループが形成されてもよい。図3は、主に1つの曲げ部を有する形状を示しているが、図6に示されるように、「S」字カーブが特に有効であると考えられる。この接点構成の全体は、任意の多くの他の方法で当業者により変更できることは言うまでもない。例えば、アクチュエータアームは、一般に、グランド電位である。フレキシブル回路と接触するボタン514ではなく、ボタンは、ボタンとフレキシブル回路のトレースとがグランド電位で通信できるように、アクチュエータアームの接地された本体と接触してもよい。
【0096】
続けて図6を参照すると、他のアクチュエータアーム位置センサの実施形態が示されている。具体的には、ランプ360は、一対の破線524間に規定される導電性の部分(volume)522を有して形成されている。導電部分522それ自体は、待機位置で昇降タブ354と接触する滑走面526を形成する。導電部分522は、フレキシブル回路330bの近傍のランプの最下面まで延びている。外部との通信のための対応するトレースを有する接点パッド(図示せず)がフレキシブル回路の一部として形成され、これにより、ランプの導電部分とフレキシブル回路の接点パッドとの間で電気的な接触を維持してもよい。この構成において、ランプ360は、例えば、ランプの非導電部分にテフロン(登録商標)を使用し且つ導電部分522にカーボンが充填されたデルリン(登録商標)を使用する射出成形によって形成されてもよい。昇降タブは、一般に、アクチュエータアームとの電気的な通信により、グランド電位にある。昇降タブ354が滑走面に接触すると、導電部分522およびフレキシブル回路の対応するトレースがグランド電位になる。無論、昇降タブを接地する代わりに、別個の電気的に絶縁された導体(図示せず)をアクチェータアームの長さに沿って昇降タブへと配線して、昇降タブ354上の適当な構成を使用して滑走面526と接触させてもよい。
【0097】
ヘッド装置位置監視機構およびアクチェータアーム位置監視機構の両方の実施形態に関しては、この開示内容の全体を考慮すれば、当業者であれば、無限の数の変更を成すことができることは言うまでもない。そのような変更の全ては、添付の特許請求の範囲内に属すると考えられる。アクチュエータアーム位置監視構成が実施される特定の態様にもかかわらず、その使用によって得られる利点は、適切な観点から後述するように、広範で且つ今まで利用できなかった向上を多数の分野に与えることであると考えられる。
【0098】
ここで、図7を参照すると、破線のボックス内に示されるように、アクチュエータアーム位置監視回路が全体的に参照符号600で示されている。このアクチュエータアーム位置監視回路は、一般に、記憶素子の一部を形成するとともに、概略的に図示され且つ破線ボックス内にスイッチの形態で参照符号602により示される本発明のアクチュエータアーム位置監視センサと協働する。アクチュエータアーム位置監視センサの形態は、前述したように、あるいは、適当な変更を加えることにより、任意の形態を使用することができる。回路600は、信号ドライバ604、606と、フリップフロップ608と、ビットt,z,c,x,yで示された5ビット情報を記憶するデータレジスタ610とを有している。レジスタ610は、前述した処理装置302にアクセスすることができる。前述したように、暫定ICが使用される特定の実施形態において、レジスタ610は、1または複数の製造供給元固有のコマンドを使用して、処理装置によりアクセスされてもよい。あるいは、レジスタは、処理装置によって直接に読み取られる。後述するように、アクチュエータアーム位置決め装置へと繋がるラインと共に、ドライバ606の出力を引き出すために、レジスタR1がV+電源に接続されている。
【0099】
処理装置302は、ビットx,yを使用してアクチュエータアーム位置監視回路600の状態を読み取る。ビットyは、アクチュエータアーム位置センサの現在の状態を示している。信号ドライバ604は、yレジスタ位置およびフリップフロップ608のクロック入力部の両方に対して現在の状態値を供給する。他の実施形態では、Dが高い論理レベルに設定されてもよい。この実施例においては、フリップフロップ608のD入力部が接地される。xレジスタ値は、後述するように、フリップフロップ608の出力部Qを含んでいる。回路が「真の」値としていずれかの論理値を簡単に使用できるようになっているため、状態表示に関するこの説明では、一般に、高(high)論理レベルおよび低(low)論理レベルが使用されないことは言うまでもない。したがって、アクチュエータアームセンサが閉位置にあることを示す値は、真であると見なされる。zレジスタは、処理装置302によって要望通りに設定できる信号ドライバ606のイネーブル入力部に供給されるイネーブル信号を含んでいる。tレジスタ位置により、処理装置302は、zレジスタ位置に記憶された適当な値によって信号ドライバ606が動作可能になると、ドライブされる論理値を信号ドライバ606の出力部に供給することができる。このようにすると、試験機能が与えられ、これにより、アクチュエータアームセンサスイッチが開位置にあるか否かにかかわらず、選択された値を信号ドライバ606の出力部に入力することができる。その後、処理装置302によるアクセスのため、信号ドライバ604を介して試験値をレジスタy内で利用することができる。yレジスタの記憶場所から読み取られる試験値は、その後、回路の適切な動作を確認するために、処理装置により期待値と比較され得る。
【0100】
記憶素子の動作中にアクチュエータアーム位置センサの状態を監視するため、アクチュエータアームが待機位置から離れるように移動する際に、フリップフロップ608が最初に処理装置302によってリセットされてもよい。すなわち、cレジスタ位置を使用してアクチュエータアーム位置センサスイッチが開いている(偽の)間、xレジスタ値がリセットされる。したがって、媒体340(図3)のアクセスが継続している最中に、xレジスタおよびyレジスタの記憶場所の両方が偽の値を記憶する。しかしながら、アクチュエータアームが待機位置へと意図も簡単に戻ってしまうと、xレジスタ値およびyレジスタ値が変化してしまう。最初に、アクチュエータアームが待機位置に達することにより、昇降タブ354が適切に爪520の中に収まると仮定する。アクチュエータアーム位置センサ(前述した任意の実施形態におけるセンサ)が真の状態へと切り換わると、信号ドライバ604によって真の値が与えられる。この値は、レジスタの記憶場所yに記憶される。同時に、真の値は、フリップフロップ608のクロック入力部に与えられる。フリップフロップのクロック入力部に供給される電圧波形のエッジにより、フリップフロップの出力が真の値に切換えられ、その後、この真の値は、フリップフロップのQ出力部から供給されると、レジスタの記憶場所xに保存される。すなわち、xレジスタおよびyレジスタの両方が真の値を記憶する。処理装置302は、この状態を読み取ると、アクチュエータアームが待機位置に位置していると実質的に判断する。以上は、「通常の」形態の待機(パーキング)を説明している。すなわち、アクチュエータアームは、昇降タブ354をランプ360の傾斜面に沿って滑り上がらせて爪520に収容係止させることができる十分なエネルギをもって、磁気媒体とアクセスする位置から離れる。
【0101】
アクチュエータアームが正常に待機位置に位置された際に監視回路600に対して行なわれている結果を説明してきたが、ここでは、通常の態様でアクチュエータアームが待機位置に達しない様々なシナリオについて考える。第1のシナリオにおいては、アクチュエータアームが不十分なエネルギ量をもって簡単に移動し、これにより、昇降タブ354がランプ360の傾斜面と係合するが爪520に到達しない。この場合、x値およびy値の両方が偽のままである。処理装置302は、この状態を検出すると、アクチュエータアームが待機位置に位置していない、すなわち、アンロードされていないと実質的に判断する。当業者であれば分かるように、その点において、このシナリオでは、記憶素子または任意のHDDは、破滅的な故障を起こす危険が高い。本発明は、適切な観点から後述するように、この危険の明確な表示を形成することにより、適当な救済措置をその後に行なうことができるようにする。
【0102】
アクチュエータアームが正常に待機位置に位置しない第2のシナリオにおいて、アクチュエータアームは、ボイスコイルモータにより加えられる過度な力をもってロード位置から離れる。この場合、アクチュエータアームは、一般に、アクチュエータアームがランプ360を行き過ぎてしまうことを防止するストッパ(図示せず)にぶつかるように形成されていることは言うまでもない。しかし、残念ながら、アクチュエータアームは、ストッパに当って跳ね返る場合がある。アクチュエータアーム位置センサ回路600は、最初に、xレジスタおよびyレジスタの両方において、真の値に切り換わる。しかしながら、跳ね返りの結果として、その後、yレジスタ値が偽に切り換わる。処理装置302は、xが真の値で、yが偽の値であると判断する。一般に、xレジスタおよびyレジスタにおいて見られるこの状態は、跳ね返りを示している。この配置構成を使用する記憶素子またはHDDも破滅的な故障の危険がある。この判断時、後述するように、ボイスコイルモータに供給されるドライブ信号の変更を含む救済措置が処理装置302によって執られてもよい。
【0103】
ここで、アクチュエータアーム344のボイスコイルモータ端部346の部分断面図である図8に注目する。ボイスコイル350は、下側磁気プレートアセンブリ348と上側磁気プレートアセンブリ630との間に位置して示されている。マグネット632は、下側磁気アセンブリの一部を形成して、上側アセンブリと下側アセンブリとの間に静磁場を形成する。アクチュエータピボット351も示されている。ボイスコイル350を通過して下側磁気プレートアセンブリと上側磁気プレートアセンブリとの間で延びる磁束線が参照符号634で示されている。本出願人は、アクチュエータアームのボイスコイル端部が両方向矢印636で示される方向で共振周波数を示すことを認識した。更に重要なことには、本出願人は、ボイスコイルが磁場内に位置されているため、本発明の記憶素子の動作における動作属性として記憶素子の衝撃環境を監視することを目的とする、非常に有益な技術および装置のための機会が与えられることを認識した。
【0104】
図8と共に図9を参照して、記憶素子320の衝撃環境を監視することに関して詳細に説明する。前述した説明を考慮すると、アクチュエータアームの面と直交する成分を有する衝撃力を記憶素子が受けることに伴い、アクチュエータアーム344のボイスコイルモータ端部が、その共振周波数で、データアクセスのためのその動作面と垂直に振動することは言うまでもない。したがって、ボイスコイル350は、矢印636で示される方向に動く。ボイスコイルは磁束線634に晒されているため、この動きに応じて、ボイスコイルにより電圧が形成される。この電圧の形成は、出願人により経験的に確認された。図9は、衝撃電圧を利用するための全体的に参照符号700で示された1つの考えられる衝撃監視回路を示している。ボイスコイル350は、概略的に示されている。ボイスコイルは、それ自体制御回路によって駆動される一対のドライバ702、704に対して電気的に接続されている。なお、簡単のため、制御回路は図示されていない。調整回路706は、ボイスコイル内で誘導される衝撃電圧信号を取り出すためにボイスコイル350の両端に接続された高インピーダンス入力部を有している。調整回路706は、例えば増幅およびフィルタリング等の任意の必要な機能を有していてもよい。誘導される衝撃電圧の信号レベルが非常に小さいことから、信号を有用なレベルに高めるためには、無論、ボイスコイルモータ装置の特定の構造および検出される衝撃レベルに応じて十分な増幅率が必要であることは言うまでもない。
【0105】
図9の回路の説明を続けると、コンパレータ708は、信号調整器395aの出力と、「sens」で示されるライン上に供給されるコンパレータの設定入力値とを比較する。前記ラインは、処理装置302の制御下であってもよい感度調整としての機能を果たす。また、処理装置は、様々な動作状況に基づいて感度調整を変えてもよい。また、感度は、工場での較正処理中に設定されてもよい。現在の感度設定を超える衝撃電圧がコンパレータに与えられる場合、コンパレータ708は、D型フリップフロップ710のクロック入力部によって受けられる方形波出力を形成する。フリップフロップ710のD入力は、高論理レベルまたは低論理レベルに設定される。図示の状態は後者である。コンパレータ708から入力エッジを受けると、フリップフロップ710は出力Qを切換させ、その後、出力Qは、ビット「s」としてレジスタ712にロードされる。前述したレジスタ610と同様に、レジスタ712は、記憶素子内で或いは処理装置302に近いホスト側でロードされてもよい。それを処理装置302によって読み取ることができる場合には、任意の記憶場所が適している。フリップフロップ710は、処理装置302によって制御されるラインに接続されたそのクリア入力部を使用してリセットされる。フリップフロップは、sビットを読み取った後直ちに、あるいは、継続中の処理動作の範囲内でリセットされてもよい。処理装置302は、sビットが設定されることを検知すると、後述するように、多くの他の方法で応答してもよい。
【0106】
前述したように、図2を参照すると、記憶素子の衝撃安全状態を入力するには、センサ/ヘッド装置344を待機位置に位置させるまたはアンロードすることが必要である。この点に関し、本発明は、記憶素子320の信頼性を確保するためには、ヘッド装置の位置を認識することが重要であると考えている。本発明のヘッド装置検出機能に関して幾つかの実施形態を説明したが、ここでは、この機能を多くの非常に有益な技術との関連で使用することに注目する。
【0107】
本発明の衝撃環境検出装置は、特に、ポータブルの用途で使用することを意図する記憶素子302等の装置において非常に有益であると考えられる。前述したように、本発明の衝撃監視機能により、処理装置は、記憶素子を使用してデータ記憶または検索を開始する前に、装置300の衝撃環境の大きさを測定することができる。この機能は、記憶素子の動作に対する衝撃の影響を緩和するため、前述した任意の他の手段と簡単に組み合わされる。また、ポータブル装置内に記憶素子を緩衝取付することによって生じる衝撃力の減衰を明らかにするため、衝撃環境は記憶素子自体内で検出される。また、衝撃を監視できることは、記憶素子の検査および開発中において非常に有益であり、また、ボイスコイルモータを使用するHDDを含む任意の形態の装置に簡単に適合する。
【0108】
まず、従来においては、ヘッド装置を待機位置に位置させるという特定の目的のために、多くのアルゴリズムが開発されてきた。そのようなアルゴリズムは、この意図する目的のため、様々な異なる方法で実施されてもよい。したがって、各アルゴリズムは、1または複数のパラメータを組み入れて動作してもよい。この場合、各パラメータは、ヘッド装置が実際に適切に待機位置に達する信頼性または可能性に影響を与える。そのようなパラメータとしては、例えば、待機位置への移動時にボイスコイルモータを駆動させるために使用される駆動電流の大きさ、待機位置への移動が開始されるヘッド装置の特定の位置、ヘッド装置の速度を挙げることができる。したがって、本発明は、パーキング(待機動作)の信頼性を向上させるため、特定のアルゴリズム内で使用される任意のパラメータの調整に絞って考える。すなわち、任意の1つのパラメータまたはパラメータの組み合わせを調整する効果は、ここで説明する教示内容によって認識できる。
【0109】
ここで、図10を参照すると、本発明にしたがって行なわれるパーキング較正方法が全体として参照符号800で示されている。較正方法800は、ステップ802で開始される。ステップ802では、適用される特定のパーキングシーケンスまたはアルゴリズム内でパラメータの初期値が設定される。したがって、初期値は、任意の適当な方法で作られた値を表わしてもよい。その後、パラメータの初期値を使用して実際にパーキングシーケンスを実行することにより、ステップ804が進行する。その後、ステップ806により、本発明のヘッド位置インジケータの読み取りが行なわれる。その後、ステップ808は、使用されるパラメータの特定の値に対してインデックスが付与されたこの特定のパーキングシーケンス実行の結果を保存する。ステップ808の後、ステップ810では現在のパーキングシーケンスの結果を検査する。このシーケンスが故障の(機能しない)場合、実行は、ステップ812に移行する。このステップ812では、要求の通りに、1または複数のパラメータが修正される。前述したように、1つの重要なパラメータは、ボイスコイルモータ装置を駆動させてヘッド装置を待機位置に移動させるために駆動信号として使用される信号の大きさまたは持続時間である。図では、便宜上、このボイスコイルモータ駆動信号を修正することに関してパラメータ変更が記載されてもよい。この技術は、実質的に任意のパラメータに対して同様に適用することができ、したがって、決してボイスコイルモータ駆動信号に限らないことは言うまでもない。
【0110】
ボイスコイルモータ駆動信号の場合、最初のパラメータ設定は、パーキングシーケンスの各連続する繰り返しに伴ってある所定のインクリメントにより変更される特定の大きさを使用してもよい。この場合、ボイスコイルモータ駆動を特定の大きさから増大および減少することにより、一般に、故障状態が起こることは言うまでもない。1つの例において、駆動電流を十分に増大させると、パーキング装置のヘッド装置跳ね返りが生じる。すなわち、ヘッド装置は、待機位置を2回通過する。他の例において、駆動電流を十分に減少させると、ヘッド装置の勢いが不十分となり、待機位置に完全に達することができない。
したがって、ボイスコイルモータ駆動電流は、上側故障値および下側故障値の両方、すなわち、閾値を表わすパラメータを例示する。すなわち、このパラメータは、最適な値を見出すために上下の調整が可能である。1つの特徴において、最適な値は、故障が生じる上側の大きさと下側の大きさとの間の大きさの約半分である値として選択されてもよい。この指針を依然として等しく適用できるように、他のパラメータも同様に上側故障値および下側故障値を表わす。上限故障値および下限故障値の両方を有するパラメータに関して較正シーケンスを行なう場合、上限故障値と下限故障値との間で規定される動作範囲からほぼ確実に外れるより高い大きさまたは低い大きさからパラメータを変えることが有益であるかもしれない。このようにすれば、較正処理は、上限値と下限値との間の動作範囲全体を通り抜ける又は通過し、これにより、パラメータの考えられる大きさの全範囲を1回通過するだけで、上限値および下限値の両方を見出すことができる。パラメータ修正の後、実行はステップ404に戻り、修正されたパラメータを用いてパーキングシーケンスが開始される。
【0111】
更に図10を参照すると、ステップ810がパーキングシーケンスの故障を検出しないと、ステップ814が始まる。このステップ814は、パラメータの特定の形態においてパーキングシーケンスが繰り返された総回数を監視する。パラメータ設定の現在の形態がN回繰り返されない場合には、実行がステップ804に戻る。パーキングシーケンスは、一般に、パラメータの各形態毎に、ここではNで示される統計的に十分な回数だけ繰り返され、これにより、その特定の形態においてヘッド装置が待機位置に達する可能性が定められる。例えば、N=100であってもよい。待機位置に到達させようと100回試みた際の1つの故障は、一般に、許容できないと見なされ、故障閾値を示す。
【0112】
一方、現在のパラメータの形態がN回うまく繰り返された場合には、ステップ816が開始される。ステップ816では異なる形態のパラメータ設定を用いてパーキングシーケンスを繰り返すか否かに関して決定が成される。異なる形態のパラメータ設定を用いてパーキングシーケンスを繰り返す場合には、ステップ812が実行され、これにより、パラメータが修正され、再びステップ804へと移行する。ステップ816の特定の実施がパーキングシーケンスによって使用される特定のアルゴリズムに依存していることは言うまでもない。したがって、パラメータ設定は、特定のアルゴリズムに適する方法で修正されてもよい。この場合、当業者であれば、この開示内容全体を考慮して、現在知られた或いは開発される任意の周知のアルゴリズムパラメータ設定を修正できると考えられる。1つの考えられる実施は、最初に最も重大であると見なされるパラメータのうちの1つを最適化する。その後、パラメータアルゴリズムによって規定されるパラメータ群内の他のパラメータが個別に修正されてもよい。更に他の修正としては、複数のパラメータに対して同時に成される変更を挙げることができる。
【0113】
製品開発の状態に応じて、様々な較正処理が使用されてもよい。例えば、最初の生産工程で製造される特定数のユニットで比較的多数のパラメータ形態を使用して、最適なパラメータのセットに関してかなり徹底的な検索を行なってもよい。最適なパラメータの最初のセットを見出すと、少数のパラメータ形態を使用して、パラメータ較正プロセスを若干緩和できる。
【0114】
実行対象の全てのパラメータ修正が完了したことをステップ816が判断すると、パラメータ形態で使用される全ての値を含む可能性セットを利用できる。ステップ818が行なわれ、これにより、可能性セットを使用して、動作目的で使用されるパラメータのセットが選択される。パラメータの最適なセットを選択する際に、多くの様々な対象が課されてもよい。前述したように、1つの考えられる選択は、「2値」パラメータの場合、上側故障値と下側故障値との間の中間を選択することにある。しかしながら、他の対象が考慮されてもよいことは言うまでもない。ボイスコイルモータ駆動電流パラメータの実施例においては、電源節約のため、下限故障値にやや近い大きさが選択されてもよい。この対象は、特に、バッテリ電源で動作するポータブル装置の場合に適用できる。
【0115】
1つの非常に有益な特徴において、ステップ820は、ヘッド装置を使用して、最適化されたパラメータを磁気媒体に保存する。記憶素子の動作中、これらのパラメータは、以下に適切な観点から説明するように、処理装置により検索されて使用される。したがって、製造される各ユニットおよび全てのユニットは、後述するように、パーキング較正および他の動作態様に関し、カスタマイズされたパラメータセットを用いて動作してもよい。
【0116】
ここで、図11を参照すると、非常に有益なパラメータトラッキング方法が全体として参照符号900で示されている。なお、このトラッキング方法は、後述するように、前述した較正処理に付随して行なわれてもよい。製造ラインが全体として参照符号902で示されている。この製造ラインは複数の記憶素子320を有しており、これらの記憶素子320は、製造ラインから外れて方法900へと導入される。まず、この方法は、記憶素子で生じる変化を追跡記録する際に有益であるが、少なくともこれらの変化が重大なレベルに達するまで、これらの変化が気付かれないままとなるかもしれないことは言うまでもない。記憶素子から成る様々な構成部品が様々な製造供給元から供給されると考えられるため、製造供給元が成り行きまかせの許容誤差または組成変化に気付かない場合には、これらの構成部品のうちの1つにおける十分な変化により、最終的に致命的な問題が動作中に生じる可能性がある。本発明は、そのヘッドセンサ位置表示装置を使用することにより、性能のある特徴的な態様に関して、トラッキング性能ドリフトをもくろんでいる。この技術全体を、以下、「傾向特徴付け」または「パラメータトラッキング」と称する。
【0117】
更に図11を参照すると、方法900は、ステップ904で最初に開始パラメータを定めることにより開始される。開始パラメータを設定することに関しては、幾つかの異なる手法を使用してもよいことは言うまでもない。1つの手法において、パラメータは、待機位置へ到達し損ねることが実質的に確保されるように設定されてもよい。この時、上限故障値および下限故障値の両方を有するパラメータの場合、パラメータは、動作値または動作値の範囲であると分かるものの方向で調整されてもよい。このようにして、要求通りに、各パラメータ、パラメータのサブセットおよびパラメータの全セットの少なくとも一方における故障閾値が定められてもよい。他の手法において、パラメータは、最適化された状態あるいは少なくとも動作状態であると考えられるもので初期化される。その後、パラメータは、故障閾値に向かって1方向または両方向で調整される。この場合も同様に、各パラメータの故障閾値を見出し且つパラメータのサブセットおよびパラメータの全収集物における対応する故障閾値を見出すために、各パラメータが調整されてもよい。故障閾値が存在するパラメータにおける値の任意のセットを故障形態と称してもよい。
【0118】
ステップ906は、開始パラメータの最初のセットを使用して、パーキングシーケンスを実行する。なお、この開示内容全体にわたるパーキングシーケンスの実行は、磁気媒体から読み取るためにヘッド装置が位置決めされると開始され、あるいは、パーキングシーケンスアルゴリズムが開始されるようになっている幾つかの所定の非待機位置から開始される。実際に、この開始位置は、パーキングシーケンスアルゴリズムのパラメータのうちの1つを含んでいてもよい。開始位置は、パーキング装置に最も近い下限故障値または閾値と、パーキング装置から更に若干離れる上限故障値とを規定してもよい。
【0119】
その後、ステップ908は、ヘッド装置が待機位置に達したか否かを定めるため、ヘッド位置を読み取る。ステップ910においては、その後の使用のために、ステップ908の結果が記録される。その後、ステップ912は、パーキングシーケンスが繰り返された回数を検査する。この場合、パーキングシーケンスは、パラメータの特定の設定において任意の回数繰り返され、これにより、この設定でパーキングの可能性を十分正確に判断できるようにしてもよい。1つの変形例として、このパーキングシーケンスの繰り返し中、1つの故障の発生により、処理をパーキングパラメータの修正へと移してもよい。
【0120】
特定のパラメータ設定においてパーキングシーケンスをN回繰り返したら、ステップ914は、ステップ910で記憶された結果を考慮して故障閾値が見出されたか否かを定める。故障閾値が見出されなかった場合、ステップ916は、使用されたパーキングアルゴリズムに一致する方法でパラメータ設定を修正する。その後、ステップ906が再びパーキングシーケンスを実行する。動作は、新たなパラメータ設定に関して故障閾値が見出されたか否かを定め続ける。パーキングパラメータの特定の形態に関して故障閾値が見出されると、ステップ918は、故障形態を保存して、異なるパラメータ、パラメータのサブセットまたはパラメータ群全体に対して方法が適用されるか否かを判断する。異なるパラメータに方法が適用される場合には、前述したプロセスが繰り返される。異なるパラメータに方法が適用されない場合、ステップ920は、対象のその全ての故障形態の形で検査されている当該特定のユニットにおける結果を記録する。その後、ステップ922は、検査される他のユニットをチェックする。したがって、各生産工程から任意の数のユニットが検査されてもよい。更に重要なことには、このプロセス全体は、長期間にわたって適用することができる。例えば、特定の型式番号を有して製造される記憶素子の数全体にわたって適用できる。その時々に、ステップ924が使用され、これにより、これらのユニットの全てにわたって、記録された故障形態と特定の値とが比較される。その後、ステップ925が使用され、連続するユニットの製造における故障値の傾向が定められる。すなわち、近い将来の問題を防ぐことができる。一例として、ランプ360(図3参照)を形成する組成の変化により摩擦係数が上昇する傾向がある場合、ヘッド装置を待機位置に位置させるために必要な駆動電流に関して記録された下側の故障閾値は、上昇傾向として観察される。この傾向情報を得たら、電流の所要の大きさの上昇を引き起こしているものを確かめる調査が開始されてもよい。このようにして、任意の数の発展中の問題が特定されてもよい。本出願人は、このプロセスを非常に有益であると考えている。なぜなら、確かめられた故障閾値とは別個に動作状態をうまく維持できるからである。
【0121】
図10および図11に示される方法800,900はそれぞれ簡単のために別個に記載されているが、この開示内容全体を考慮して、これらの方法を組み合わせることができることは言うまでもない。すなわち、任意の特定のパーキングアルゴリズムにおいてパラメータにおける故障形態によって包括的に捉えられる閾値が定められると、基本的に前述した較正および傾向トラッキング情報の全てを決定することができる。この場合、この教示内容が適用される限り、記載された方法のステップは、次々に変更され、かつ、任意の適当な方法で修正される、の少なくとも一方であってもよい。また、これらの方法は、殆どどのようなハードディスクドライブの製造にも適用できると考えられる。最適化されたパーキングアルゴリズムの利益は、ここに開示された教示内容を適用することにより、任意のハードディスクドライブの信頼性を著しく高める。
【0122】
較正および傾向トラッキングのために本発明のヘッド装置検出機能を使用することについて説明してきたが、ここでは、記憶素子の動作中、あるいは、無論、本発明のヘッド装置検出機能を有するように製造される任意のハードディスクドライブの動作中にこの機能を使用する特定の態様に注目する。前述したように、特にヘッド装置が待機位置にある場合、任意のハードディスクタイプの記憶装置の動作の信頼性を確保するには、ヘッド装置の位置を認識することが重要である。すなわち、例えば外的な衝撃力を受けることにより、ヘッド装置が誤ってその待機位置から離れると、そのトランスデューサは、磁気媒体ディスクと回転不能に接触する結果、磨滅する可能性が高い。本発明のヘッド装置検出機能は、まず第1に、ヘッド装置が待機位置またはアンロード位置に受けられたことを実際に確認できるため、非常に有益である。更に、ヘッド装置が待機位置に受けられたことを最初に確認するため、要望通りに、その状態を再度確認することができる。以下、本発明のヘッド装置検出機能を使用する1つの特定の用途について説明する。
【0123】
図12を参照すると、本発明にしたがって行なわれる高性能パーキング制御監視シーケンスが全体として参照符号1000で示されている。方法1000は、装置300内で処理装置302により行なわれる。しかしながら、任意の形式のハードディスクドライブ装置での使用に方法を簡単に適合できることは言うまでもない。方法1000はステップ1002で始まる。このステップ1002においては、パーキングシーケンスが開始される。使用されるパーキングシーケンスは、例えば前述した非常に有益な較正処理800を使用して特定され且つ選択された値を有するパラメータを使用してもよい。この場合も同様に、この方法の全体のコンテキスト内で任意の適当なパーキングアルゴリズムが使用されてもよい。ステップ1002の後のステップ1004で、処理装置は、ヘッド装置の位置状態を読み取る。その後、ステップ1006は、この読み取りに基づいて表示を生成する。表示は、多種多様な異なる方法で与えられてもよい。1つの特徴において、処理装置による受信のために、割り込みが形成されてもよい。他の非常に有益な特徴においては、表示が生成されてレジスタ内に記憶される。レジスタは、処理装置によるその後のアクセスのため、記憶素子自体の中に配置されていてもよい。また、処理装置がレジスタにアクセスする限り、レジスタは、装置全体内の適当な場所に配置されていてもよい。この読み取りは、任意の適当な方法で行なわれてもよい。例えば、処理装置は、ヘッド位置検出装置を直接に読み取ることができる。変形例として、図3に関して説明したレジスタ610が読み取られてもよい。例えば、レジスタ610のx,yビット毎の表示が適切に待機位置に位置されるヘッド装置を示す場合には、停止ステップ1008が実行される。
【0124】
一方、ヘッド装置が待機位置に位置されていないことをビットが表示する場合には、同じパラメータ設定を使用して更なるパーキングシーケンスが実行されるステップ1010が行なわれる。その後、ステップ1012がリカバリシーケンスカウンタ(図示せず)をインクリメントする。言うまでもなく、リカバリシーケンスカウンタは、パーキングシーケンスがその最初のパラメータ設定を使用して繰り返される回数を数える。その後、ステップ1014は、パーキングシーケンスが繰り返された回数を検査する。このシーケンスは、限界値に達するまで続く。限界値は、例えば、1から任意の有用な試み数までの範囲で設定されてもよい。
【0125】
限界値に達すると、ステップ1016は、方法の最初の部分で使用されるパーキングシーケンスとは異なる終了パーキングシーケンスを行なう。終了パーキングシーケンスは、多くの様々な検討材料を考慮して作られてもよい。例えば、終了パーキングシーケンスは、レジスタ610内のビット設定を考慮してパラメータ設定を変えてもよい。具体的には、前述したように、ビットの一方が設定され且つ他方のビットが設定されていない場合には、ヘッド装置は、パーキング装置に当って跳ね返る可能性が高い。したがって、終了パーキングシーケンスのために、ボイスコイルモータ駆動電流に対応するパラメータの大きさが減少する場合がある。一方、両方のビットが設定されていない場合には、ヘッド装置は、勢いを欠いているため、待機位置に達しない可能性が高い。したがって、終了パーキングシーケンスでの使用のため、ボイスコイルモータ駆動電流に対応するパラメータの大きさが増大する場合がある。ステップ1016の後、ステップ1018は、ヘッド装置の位置の状態を再び検査する。
【0126】
目的をはっきりさせるため及び説明を簡単にするため、ステップ1016およびステップ1018は、組み合わせた状態で、1つのパススルーとして終了パーキングシーケンスを示しているが、この終了パーキングシーケンスは、前述した方法400の較正処理とある関係を成す繰り返しプロセスを包含してもよいことは言うまでもない。すなわち、パラメータの大きさは、パーキングシーケンスの繰り返しに伴ってインクリメンタルステップで(段階的に増大する状態で)変化されてもよい。その場合は、各変化の結果を検査することを伴う。
【0127】
ステップ1020は、ヘッド装置の位置の最終チェックを行なう。待機位置表示(パーキング表示)が得られる場合、処理が停止ステップ1008で終了してもよい。ヘッド装置が待機位置に位置されていないことを表示が示し続ける場合、ステップ1022は、明らかに回復不能な問題が生じたことを装置のユーザに示す通知を形成する。通知は、例えば音声形式および視覚的形式の少なくとも一方などの任意の適当な形式で与えられてもよい。前述した処理は、任意の数の動作上の検討材料に適するように修正されてもよい。例えば、パーキングシーケンスがそのパラメータの任意の形態に伴って繰り返される回数は、少なくとも部分的には、装置の全動作にわたって課される時間的な制約により制御されてもよい。記憶素子またはそのような他のハードディスクドライブタイプの装置の寿命延長の可能性を高める目的で、プロセス全体に対して更に他のステップが加えられてもよい。例えば、ヘッド装置が待機位置に位置されるという表示を得るため、終了パーキングシーケンスの故障後、磁気媒体の外径の外側にヘッド装置のトランスデューサを保持しようとするレベルでボイスコイルモータ駆動信号が発行されてもよい。
【0128】
本発明のヘッド位置検出装置およびその非常に有益なプロセスにおける用途について説明してきたが、本発明が従来技術を超える大きな利点を与えることは言うまでもない。ここで説明した任意の方法と同様に、方法1000を構成する順序付けられた一連のステップおよび個々のステップの特定の設計およびこれらの組み合わせの少なくとも一方は、この開示内容を考慮して当業者によって変更されるように、本発明の範囲内に入ると考えられる。
【0129】
図2と共に図13を参照して、ここでは、全体として参照符号1100で示される非常に有益な検査/プログラミングボードに注目する。ボード1100は、プロセッサ1102と、コントローラ1104と、チャンネルプログラミングルーチン部1106と、製造プロセス中にフレキシブル回路330(部分的に示されている)の自由端を一時的に受け入れるように構成されたコネクタ1108とを有している。コネクタに対する取り付け・取り外しサイクルが繰り返し成される場合には、前述したコネクタ332がコネクタ1108として使用されてもよい。この場合、ボード1100は、チャンネルIC500をカスタマイズするために製造中に記憶素子320と一時的に係合するように物理的に構成される。この物理的な接続は、例えばプラスチッククリップを使用して成されてもよい。ボード1100および記憶素子320の物理的な構成は、当業者の能力の範囲内で限りない数の方法で達成することができるため、特定の物理的な構成は図示されていない。例えば、デジタル記憶装置とプログラミング装置とを着脱自在に電気的に接続するために、電気相互接続装置は、記憶素子の一方の部分を形成する第1の部分と、検査/プログラミングボードの他方の部分を形成する第2の部分とを有していてもよい。一実施形態において、前記相互接続装置の第1の部分および第2の部分の一方は、一組の弾性接点部材を有していても良く、第1の部分および第2の部分の他方は、チャンネルのプログラミング時の使用のために弾性接点部材に対して電気的に接続可能な一組の接点パッドを有していてもよい。
【0130】
チャンネルプログラミングルーチン部1106は、適当な形式のメモリー(例えばRAMと組み合わされるROM)を備えている。このメモリーには、ネイティブコード命令をコントローラ1104に発行するために処理装置1102によって実行されるプログラミングがロードされる。コントローラ1104は、従来のハードドライブコントローラと基本的に同じ形態で構成される。すなわち、コントローラ1100は、チャンネルIC320をカスタマイズするための要件として記憶素子320のネイティブコードを実行するように構成されている。ボード1100は、カスタマイゼーション機能および検査機能を自動で完了し、その後、表示部1110を使用してプロセッサ1104からの結果を与えるように構成されていることは言うまでもない。一例として、緑色光1112および赤色光1114が特定の記憶素子の状態に関して合格/不合格表示を与えることができる。例えば問題のある製造上の不安を一切絶つために、LCDディスプレイ(図示せず)を使用して、要求通りに、更に詳細な情報が与えられてもよい。
【0131】
更に図2および図13を参照して、検査ボード1100および記憶素子320を用いた検査ボード1100の一般的な使用法について説明してきたが、ここでは、多くの対応する利点および特徴について説明する。チャンネルIC500をカスタマイズするために必要な機能が装置300に必要ないことを十分理解することは重要である。カスタマイゼーションプロセスは、製造中に1回行なうだけで済む。これは、本発明において、カスタマイズされたチャンネルが記憶素子に残ったままであるからである。この特徴により、装置300に関連する製造コストを節約することができる。また、カスタマイゼーション・検査プロセスに向けられたコントローラ1104の任意の機能は、装置300には不要である。前述したように、装置300の処理装置320は、記憶素子のネイティブコードを実行する。基本的に、処理装置302は、コントローラ1104において必要とされる検査機能を必要とすることなく、1つの役割においては、コントローラ(制御装置)としての機能を果たす。この場合、チャンネルプログラミングを実行するためにエンド装置においてアップグレードされたプロセッサが必要になるような事態を回避できる。従来の装置と本発明の記憶素子との間の事前の互換性を本発明がもくろんでいることは言うまでもない。すなわち、前述したように、記憶素子の動作専用の処理能力は、特定の装置のアーキテクチャに既に存在するプロセッサの未使用の能力に意図的に制限されてもよい。同時に、本発明の教示内容は、未だ開発されない「アップグレードされた」装置で簡単に実行され、これにより、これらの装置における更なる性能向上が図られる。
【0132】
経費削減の検討材料に直接に適用できる検査ボード1100に関する他の利点は、任意の1つの製造プロセス全体のコンテキスト内で限られた数の検査ボードが必要とされることに基づいて見出される。すなわち、検査ボードの必要数は、任意の時点でチャンネルプログラミングに利用できる記憶素子の数によって制限される。このようにして、多数の記憶素子をチャンネルプログラミングして且つ検査するために、長い時間にわたって1つの検査ボードが使用されてもよい。このような構成が無いと、記憶素子320にコントローラを不要にしたことに伴う節約が相殺されることは言うまでもない。この場合、1回だけ、あるいは、非常に限られた数の機会だけ検査ボードを使用できた。
【0133】
従来の製造手順および検査手順とのその互換性により、更なる利点が本発明によって与えられる。特に、検査ボード1100が最初に記憶素子と物理的に接続され、その後、チャンネルプログラミングおよび検査を行なった後、記憶素子から検査ボードが取り外される製造プロセスにたった2つの殆ど重要でないステップのみが加えられる。この点に関し、コスト削減を図るために製造プロセスの十分に著しい改良が必要とされる場合には、最終的に使用するエンド装置で得られるコスト削減はかなり重要となり得る。
【0134】
記憶素子、記憶素子が使用される装置、ここに開示された対応する方法は、様々な異なる形態で与えられても良く、また、様々な異なる手段で方法が実行されてもよいため、本発明の思想または範囲から逸脱することなく、多くの他の特定の方法で本発明が具現化されてもよいことは言うまでもない。したがって、この実施例および方法は、例示的で且つ非制限的なものであると見なされるべきであり、本発明は、ここに与えられた詳細な内容に限定されず、添付の特許請求の範囲内で変更することができる。
【0135】
結論として、この開示内容では、デジタル記憶素子が開示されている。装置は、ネイティブ制御コードに応じてユーザによりアクセスできる記憶素子を含むように構成されている。処理装置は、装置全体を制御するための制御プログラムを実行するとともに、記憶素子とインタフェースをとるための前記制御プログラムの一部としてネイティブ制御コードの少なくとも一部を実行する。プログラミング装置は、記憶素子内の読取チャンネルをカスタマイズするための装置とは別個に設けられる。起こり得る衝撃作用を緩和するために、コマンド、ユーザやりとり、データ転送実行について説明されている。ヘッド位置および衝撃を含む記憶素子に関する状態表示が与えられる。ヘッド位置状態を使用するため、較正処理、検査処理、動作監視処理について説明されている。全体性能を追跡記録する際および設計検討の際に、故障形態監視が行なわれる。
【技術分野】
【0001】
この開示内容は、一般に、デジタル装置のアーキテクチャに関し、特に、デジタルシステム構成、および、電気機械データ記憶素子を含む装置のための対応する方法に関する。
開示内容は、ポータブル装置での使用に特に良く適している。
【背景技術】
【0002】
電子装置の人気に関する正しい認識を得るためには、近代社会の任意の殆どの公共区域を意識調査しさえすればよい。そのような装置としては、携帯電話、音楽プレーヤ、ポータブルコンピュータ、携帯端末、ポケットベル、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、パーソナルゲーム装置、電子ブックを挙げることができるが、これらに限定されない。
デジタル化への移行に少なくとも部分的に起因して、これらの装置に存在する能力には、絶え間ない改良が成されてきた。
【0003】
将来の電子デバイスにおいては、更なる性能の向上に加えて、更なる小型化が望まれている。これらの要求は、ポータブル装置において特に激しい。特定の分野の関心事は、かつてないほど多い量のデジタル情報を記憶するという欲求にある。同時に、特に携帯型または小型形式の電子デバイスは、特に衝撃に関して幾分過酷な環境に晒される虞があることは言うまでもない。かなりの量のデジタルデータを記憶したいという欲求に対処しつつ、同時に衝撃の問題を扱おうとする試みにおいて、設計者は、特にフラッシュメモリの形態を成す電子メモリーを使用する手段を取った。このような解決策は、MP3プレーヤを含む従来の音楽プレーヤの場合において明らかである。これを書いている時点において、これらのプレーヤのうち人気のある形態は、約32MBのサイズを有する取り外し可能なフラッシュメモリカードを使用することである。残念ながら、この解決策には、後述するように、幾つかの問題が関連付けられる。
【0004】
フラッシュメモリの解決策において見られる1つの問題は、32MBが、それ自体、やや少ない記憶量であるという事実にある。近い将来、512MB未満の量であっても少ないと見なされることが予測し得なくはない。今日の装置を考慮すると、フラッシュメモリカードの使用に頼っているポータブル装置の所有者は、一般に、全体の記憶量を十分に確保するために、多くのカードを所有していなければならない。さもなければ、ポータブル装置の所有者は、パーソナルコンピュータによってフラッシュメモリカードを頻繁にリロードせざるを得なくなり、あるいは、例えば、MP3プレーヤの場合、非常に限られた音楽選択を聴かなければならなくなる。また、フラッシュメモリカードのコストは、現在、若干高い。多くのポータブル装置の所有者は、別個の多数のフラッシュメモリカードを購入する費用を負うという選択を絶対にしない。
【0005】
フラッシュメモリカードの使用に固有の問題に対処する際に、最近の他に採りうる解決策は、それでもなお取り外し可能な大型の電気機械デジタル記憶装置を提供することである。この解決策は、IBMのマイクロドライブ(登録商標)によって例示される。このマイクロドライブは、扱われるポータブル装置内に組み込まれた対応するコネクタと結合するコネクタを備えた取り外し可能な小型コンピュータハードディスクドライブである。なお、マイクロドライブを含むそのような小型ハードドライブは、基本的に、パーソナルコンピュータに見られる従来のハードドライブと同じ構成を有している。すなわち、小型ハードドライブは、ヘッドディスクアセンブリ(HDA)およびプリント回路基板アセンブリ(PCBA)を含む2つの一般的なアセンブリで構成されている。HDAそれ自体は、回転可能な磁気媒体と、回転可能な媒体に対する読み書きを行なうためのセンサアセンブリと、回転可能な媒体の回転およびセンサアセンブリの位置決めを行なうためのモータとを有している。PCBAは、基本的に、プリアンプに共通の例外を伴うHDAを動作させるために必要な全てのエレクトロニクスを有している。マイクロドライブはデータ容量の拡大をもたらすが、これを書いている時点で、1ドル当たりのメガバイトおよび回収済み原価の観点から考えると、従来のドライブにおけるそのようなコストと比較して、マイクロドライブのコストは非常に高い。この回収済み原価は、それ自体及びそれだけで、製品の広範囲にわたる使用において十分な障壁になり得ると思われる。
【0006】
マイクロドライブは、コンパクトフラッシュ(登録商標)インタフェースを使用する。
このインタフェースは、多くの理由のため、懸念を引き起こす。前記理由は、そのうちのどれも、CF+およびコンパクトフラッシュ仕様書改訂1.4において記載されているように、50個のピンを有する幾分大きいインタフェースコネクタのための要件であり、些細なことではない。コンパクトフラッシュに関する更なる懸念を以下で扱う。
【0007】
取り外し可能なマイクロドライブの構成に関しては、実行可能な十分なレベルの「永久に」設定された記憶空間が設けられると、特定の環境で、取り外し可能な媒体の必要性が大きく減ることが注目される。デスクトップコンピュータにおいて明らかなように、利用可能な埋め込み記憶装置は、従来、取り外し可能な記憶装置よりも先行していた。更なる懸念は、後述するように、取り外し可能な記憶装置に関連付けられる。
【0008】
小型ハードディスクドライブを使用すると、一般的なフラッシュメモリカードで現在利用できる記憶装置を何回も設けることにより、限られた記憶の問題を効果的に解消できるが、そのような構成要素をポータブル装置の過酷となる虞がある環境で使用することについての問題も第一線の問題となる。特定の環境下で、従来のハードディスクドライブは、1500G程度の比較的高いレベルの衝撃を容認することは言うまでもない。残念ながら、ハードディスクドライブは、動作環境下で、例えばヘッドアセンブリまたはセンシングアセンブリが実際に回転している媒体にアクセスしている最中に、一般に、衝撃事象に大きく影響され易い。まさに最も都合の悪い時間に生じる衝撃事象の結果として、ドライブが故障する虞がある。例えば、ドライブは、アクセス中に175Gの衝撃事象に晒されると、故障する場合がある。この点に関し、本出願人は、具体的には例えばポータブル電子デバイスの過酷な環境を扱うための有効な特徴を組み込む小型ハードドライブまたは装置アーキテクチャ全体について気付いていない。
【0009】
本出願の先導発明者を共有する米国特許第6,061,751号(以下、'751特許という)は、ハードドライブを組み込むシステム内で利用できる幾つかの提案に関する1つの基準点として役立つ。しかしながら、'751特許の骨子は、ドライブの小型化、高耐久化、携帯性の領域にはなく、主に、コンピュータシステム全体中に設けられるハードディスクドライブのコストを低減させることにある。この特許によってとられる1つの手法は、全ての考えられる機能を、コントローラを含めて、ハードディスクドライブ全体から、ホスト装置のマザーボード上に移動させることを包含している。例えば、未使用のシリコンの「リアルエステート」は、コントローラの実施のために使用され得る。また、そのようなコントローラは、既にホスト側に存在するメモリーを使用する場合がある。したがって、ドライブコストがある程度まで低減される。同時に、マザーボード上におけるコントローラの設置に関して、CPUとコントローラとの間で成される従来の機能的制御が変わらないことは言うまでもない。具体的には、コントローラは、周辺装置に対して「ネイティブ」である制御コードを実行する処理能力を有している。ここで使用される「ネイティブコード」とは、特定の周辺装置を制御するために必要な最低レベルの制御コードのことである。それは、ホストシステム内に存在するCPUから分離された形態でデバイスコントローラによって通常実行されるコードである。
【0010】
図1は、'751特許の図2を示しており、本説明と整合性をとって割り当てられた他の参照符号が付されている。したがって、従来のコンピュータシステム10は、ホスト回路基板12を有している。コントローラ14は、後述する更なる機能を有する1つの集積回路として含まれている。サーボ集積回路16は、取り付けられる任意の周辺装置内でモータを回転させるために使用される。ヘッドディスクアセンブリ(HDA)20と、CDROM/DVD22と、フロッピードライブ24とを含む3つの周辺装置が示されている。また、フロッピードライブ24は、高容量フロッピードライブ、小型ドライブ、あるいは、他の適当な装置を含んでいてもよい。
【0011】
先に暗示された前記特許における1つの利点は、完全ハードディスクドライブ(HDD)に対する別の方法としてHDAを使用する点である。これは、例えばコントローラ14等の構成要素をホストシステム内に含めることによってコストが低減するからである。HDA(前述したが図示されていない)の構成要素としては、データ媒体、媒体に対するデータの書き込みおよび媒体からのデータの読み取りの少なくとも一方を行なうセンサ/ヘッド機構、媒体を回転させ且つセンサ/ヘッド機構を位置決めするためのモータを挙げることができる。媒体からのデータ読み取りまたは媒体へのデータ書き込みを増幅するためにプリアンプが含まれている。プリアンプは、HDAをPCBAに対して電気的に接続するフレックス回路('751特許の図1Aの項目17を参照)上に組み込まれていてもよい。この際、'751特許が、ホストシステムと周辺装置との間で分配され或いは周辺装置内に設けられる、ホストシステム内に配置される可能性がある、プリアンプと電気的に通信する読み取り/書き込みチャンネルの位置についても記載されていることに注目することが適当である。従来のHDDの読み取り/書き込みチャンネルの今までの位置は、以下の理由により、HDAの電気接続点に物理的に接近したPCBA上である。
【0012】
図1の説明を続けると、各周辺装置は、対応するパーソナリティROM26を有していてもよい。パーソナリティROMの特定の場所は、'751特許の図3にある個々の構成要素(項目64)において示されている。なお、パーソナリティROMは、個々の構成要素の残りから分離されており、PCI装置によってアクセスされる。図1の集積回路14は周辺構成要素相互接続(PCI)バス機能を更に有しており、これにより、集積回路はPCIバス28に接続される。なお、PCIバスは、多くの考えられるバスマスタバスのうちの1つの例を含んでいる。CPU30およびチップセット32には、PCIバス28に接続されるチップセットが設けられている。また、CPU30は、チップセット32に接続されている。RAM部分34もチップセット32に接続されている。CPU30が周辺構成要素に対して間接的に接続されている点に注目することは重要である。具体的には、PCIバス28は、HDA26およびCPUを含む周辺構成要素間に介挿されている。
このような配置はコスト低減に関して有益であるが、この構成に付随する特定の不利益については、以下において適当な観点から考慮する。今のところ、システム制御は、命令PCIプロトコルにしたがってPCIバス28上に置かれるコマンドを発行するCPUによって行なわれる。特定の不利益がこの種のコマンド形態に関連付けられていると思われる。例えば、ネイティブコードよりも高いレベルまたは層のプロトコルによって発行されるコマンドは、特に柔軟性がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、後述するように更なる利点を提供しつつ前述した問題および懸念を解決すると思われる非常に有益なデジタル装置構成および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下に詳細に記載するように、ここには、記憶素子および関連する装置、方法が開示されている。本発明の一態様において、装置は、ユーザによってアクセスできるように構成されるとともに、ネイティブ制御コードに応じて動作できるように構成された電気機械デジタルデータ記憶装置を有するアセンブリを備えている。装置は、更に、装置全体を制御するための制御プログラムを実行するとともに、前記記憶装置と直接にインタフェースをとって使用するために前記制御プログラムの一部として前記ネイティブ制御コードの少なくとも一部を実行する処理装置を有している。
【0015】
本発明の他の態様において、アセンブリは、回転可能な読み取り/書き込み媒体と、回転可能な前記媒体に対して読み書きするように構成されたヘッド装置と、回転可能な前記媒体と前記ヘッド装置との間のインタフェースを少なくとも形成するためのプログラム可能なチャンネルとから成るデジタルデータ記憶装置を有している。また、前記デジタル記憶装置とは別個に形成され、回転可能な前記媒体と前記ヘッド装置との間で前記チャンネルによって形成される前記インタフェースをカスタマイズするのに役立つ特定の方法で前記チャンネルを少なくとも十分にプログラミングするために前記デジタル記憶装置に対して電気的に接続可能なプログラミング装置を備えている。これにより、カスタマイズされたチャンネルを含むエンド設備で、プログラミング装置が無くても、デジタル記憶装置をその後に使用することができる。
【0016】
本発明の更に他の態様においては、エンド装置で最終的に使用するためのデジタル記憶装置を備えるシステムが記載されている。システムは、前記デジタル記憶装置の第1の部分を形成する回転可能な読み取り/書き込み媒体と、前記デジタル記憶装置の第2の部分を形成するとともに、回転可能な前記媒体に対する読み書きを行なうように構成されたヘッド装置とを有している。プログラム可能チャンネルは、前記デジタル記憶装置の第3の部分を形成するとともに、少なくとも回転可能な前記媒体と前記ヘッド装置との間のインタフェースを形成するように構成されている。プログラミング装置は、前記デジタル記憶装置とは別個に形成され、回転可能な前記媒体と前記ヘッド装置との間で前記チャンネルによって形成される前記インタフェースをカスタマイズするのに役立つ特定の方法で前記チャンネルを少なくとも十分にプログラミングするために前記デジタル記憶装置に対して電気的に接続するように構成され、これにより、カスタマイズされたチャンネルを含む前記デジタル記憶装置を前記エンド装置でその後に使用できるようにする。
【0017】
本発明の更に他の態様においては、ユーザやりとりを受けるためのユーザアクセス装置を有するとともに、処理装置を有する装置であって、この装置は、前記処理装置によって実行されるコマンドを規定するようにユーザやりとりを解釈するとともに、ユーザやりとりの終了前に前記コマンドの実行を開始するコマンド実行装置を備えている。1つの特徴においては、前記処理装置の制御下でデジタル情報を記憶するためにデジタルデータ記憶装置が設けられており、前記コマンドは、前記デジタル記憶装置を使用するデータアクセスを規定し、前記処理装置は、前記ユーザやりとり中に前記コマンドの部分的な入力に応じて前記データアクセスの実行を開始するようにプログラムされている。他の特徴においては、前記デジタル記憶装置が回転可能な媒体を使用し、電子記憶装置が設けられる。この場合、前記処理装置は、回転可能な前記媒体のスピンアップ後に、特定の情報が記憶される前記デジタル記憶装置から特定の情報を読み取ってその特定の情報を電子記憶装置に転送することによりデータアクセスを実行するようにプログラムされており、これにより、前記デジタルデータ記憶装置にアクセスする必要無く、特定の情報を利用できる。
【0018】
本発明の更なる態様においては、電気機械デジタル記憶装置を有するとともに、複数の外部やりとりを受けるように構成された装置であって、外部やりとりの少なくとも幾つかが、前記記憶装置を使用する1または複数のデータ転送を必要とし、全部ではなく少なくとも幾つかの外部やりとりがユーザやりとりである装置におけるアセンブリであって、アセンブリは、前記記憶装置による第1のデータ転送を必要とする前記やりとりのうちの最初の第1のやりとりを受ける第1の装置と、第1のやりとりがユーザやりとりでないことを判断する第2の装置と、ユーザやりとりではない第1のやりとりに関連する第1のデータ転送の実行を、少なくとも次のユーザやりとりまで遅らせる第3の装置とを備えている。
【0019】
本発明の連続する態様においては、所定の容量を有する電子記憶装置を有する装置であって、ユーザやりとりを含む複数の外部やりとりに応答するように構成され、外部やりとりのうちの少なくとも特定のやりとりが前記電子記憶装置への特定のデータ転送を必要とし、この特定のデータ転送が前記電子記憶装置の前記容量を超えるサイズを有するようになっている装置におけるアセンブリにおいて、このアセンブリは、特定のデータ転送の最初の部分を前記電子記憶装置にロードして、電子記憶装置を前記容量まで満たし、これにより、所定の方法での使用のためにデータの最初の部分を利用できるようにする第1の装置を有している。第2の装置は、前記電子記憶装置に記憶された任意のデータの前記所定の方法での使用を監視し、第3の装置は、特定のデータ転送の更なる部分を前記電子記憶装置にロードして、前記所定の方法で使用された特定のデータ転送の最初の部分を交換し、これにより、特定のデータ転送の最初の部分の未使用部分および特定のデータ転送の前記更なる部分が同時に前記電子記憶装置内に記憶されるようにする。1つの特徴においては、アセンブリが電気機械デジタル記憶装置を有し、これにより、前記最初の部分および前記更なる部分における前記電子記憶装置への転送のため、特定のデータ転送が前記電気機械デジタル記憶装置によって記憶される。
【0020】
本発明の継続中の態様においては、ユーザやりとりを受けるとともに、衝撃に晒される虞がある環境全体で動作するように構成されたポータブル電子デバイスであって、データを読み取る時およびデータを書き込む時の少なくとも一方において前記衝撃に影響され易く且つそれ以外の時には前記衝撃に殆ど影響され難い電気機械記憶素子を有するポータブル電子デバイスにおいて、前記電気機械記憶素子は、前記ポータブルデバイス内に電子記憶装置を設けることにより、衝撃から少なくともある程度まで保護される。前記電気機械記憶素子に記憶されたデータの選択の特定の使用を規定するため、ユーザやりとりが監視される。前記データの選択は、前記電気機械記憶素子から前記電子記憶装置へコピーされる。このコピーステップで電気機械記憶素子を使用した後、前記特定の使用のためにデータの選択の利用可能性を表示し、これにより、前記電気機械記憶素子が未使用で且つ衝撃に殆ど影響されない後においてのみ、前記電子記憶装置にアクセスすることにより、ユーザは、データの選択の特定の使用を開始することができる。
【0021】
本発明の他の態様において、ユーザによってアクセスできるように構成された装置であって、該装置全体を制御するための制御プログラムを実行する処理装置を有する装置におけるアセンブリにおいて、このアセンブリは、ネイティブ制御コードに応答する電気機械デジタルデータ記憶装置と、前記制御プログラムの一部として前記記憶装置のネイティブ制御コードの少なくとも一部を前記処理装置が実行するように構成された周辺制御装置とを有している。周辺制御装置は、前記処理装置と前記電気機械デジタル記憶装置との間で前記ネイティブコードを実行するように構成されたインタフェースを有している。
【0022】
本発明の更なる他の態様において、デジタルデータ記憶装置は、回転可能な媒体と、最初にヘッド装置を非待機位置から待機位置へと移動させるための制御シーケンスを開始することによって回転可能な媒体にアクセスするように構成されたヘッド装置とを有している。その後、前記ヘッド装置の位置に関連する所定の状態を検知され、前記ヘッド装置が待機位置にいることを確かめる。その後、前記所定の状態に基づいて表示が生成される。
1つの特徴において、表示は、所定のレジスタの記憶場所に記憶される。他の特徴において、待機位置で前記ヘッド装置を受けるためのランプを有するように前記記憶装置が構成され、これにより、ヘッド装置がランプに受けられると、ランプおよびヘッド装置は、互いに協働することにより、ヘッド装置が待機位置にいることを確認する前記表示を形成する。
【0023】
本発明の他の態様においては、回転可能な媒体と、この回転可能な媒体にアクセスし且つ待機位置に移動するように構成されたヘッド装置とを有するデジタルデータ記憶装置において、この装置は、回転可能な前記媒体にアクセスした後、前記ヘッド装置を待機位置へと移動させるための制御シーケンスを開始する第1の装置と、その後、回転可能な前記媒体からの読み取りに関してヘッド装置を検査することにより、前記ヘッド装置の位置に関連する所定の状態を検知し、これにより、ヘッド装置の読み取り不可能が、回転可能な前記媒体からヘッド装置が少なくとも離れていることを示すようにする第2の装置と、前記所定の状態に基づいて表示を生成する第3の装置とを備えている。
【0024】
本発明の更に他の態様において、動作制御用の処理装置と電気機械デジタル記憶装置とを有するデバイスにおける方法が記載されている。 前記電気機械デジタル記憶装置の動作に関する特定の属性の状態が定められる。前記処理装置を使用して、更なる制御動作で使用するために特定の属性の状態が監視される。
【0025】
本発明の連続する態様においては、回転可能な磁気媒体と、回転可能な前記媒体にアクセスするべく移動し且つ待機位置へ移動するように構成されたヘッド装置とを有する電気機械記憶装置におけるアセンブリであって、このアセンブリは、 前記ヘッド装置が前記待機位置にいることを確認する位置信号を生成する第1の装置と、前記ヘッド装置と電気的に通信し且つ前記ヘッド装置を制御する際に使用できる電気相互接続装置であって、制御使用のために前記第1の装置から位置信号を受けるように構成された電気相互接続装置とを備えている。
【0026】
本発明の更なる態様においては、磁気媒体ディスクを回転させるためのスピンモータとアクチュエータ装置とを支持するハウジングを有する電気機械記憶装置であって、アクチュエータ装置の先端に位置された少なくとも1つのヘッドを使用して前記アクチュエータ装置が前記磁気媒体ディスクにアクセスする電気機械記憶装置におけるアセンブリにおいて、このアセンブリは、前記アクチュエータ装置と電気的に通信し且つ前記記憶装置に対する外部インタフェースを形成するように構成された電気相互接続装置を有している。アセンブリは、更に、前記電気相互接続装置の少なくとも一部が前記ハウジングによって支持されるように構成されるとともに、待機位置で前記アクチュエータアームの先端を受けるために電気相互接続装置の前記ハウジング支持部によって支持されたパーキング装置を備えている。
【0027】
本発明の他の態様においては、回転可能な磁気媒体と、回転可能な前記媒体にアクセスするべく移動し且つパーキングシーケンスにおいて少なくとも1つのパラメータに応じて待機位置へと移動するように構成されたヘッド装置とを有する電気機械記憶装置に適用される方法において、前記電気機械記憶装置の一部として、前記ヘッド装置が待機位置に位置された際にヘッド装置の待機位置を確認する位置信号を生成するための装置が設けられる。前記位置信号を使用して較正処理を行ない、その後に前記ヘッド装置を待機位置に位置させる際に使用できる前記パラメータの動作値を定める。
【0028】
本発明の更に他の態様においては、複数の電気機械記憶装置に適用される方法であって、各電気機械記憶装置が、回転可能な磁気媒体と、回転可能な前記媒体にアクセスするべく移動し且つパーキングシーケンスに応じて待機位置へと移動するように構成されたヘッド装置とを有する方法において、前記各電気機械記憶装置の一部として、前記ヘッド装置が待機位置に位置された際にヘッド装置の待機位置を確認する位置信号を生成するための装置が設けられる。各電機機械記憶装置で較正処理が行なわれる。この場合、前記パーキングシーケンスは、前記ヘッド装置を待機位置に移動させるためのデータアクセス位置に最初にヘッド装置が位置する各電機機械記憶装置に適用される。前記パーキングシーケンスが繰り返し行なわれることにより、各電機機械記憶装置毎に前記パーキングシーケンスの故障形態を定め、この故障形態において、ヘッド装置が少なくとも1回待機位置を達成し損ねる。各電機機械記憶装置のための少なくとも1つの故障形態を含む前記故障形態のセットを、複数の電気機械記憶装置にわたって追跡記録する。
【0029】
図面と共に以下の詳細な説明を参照することにより、本発明を理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】ハードディスクに関する従来の設計検討材料に対して説明のための1つの焦点として役立つようにここに示された米国特許第6,061,751号から抜粋したブロック線図である。
【図2】本発明の記憶素子を含んで実施された装置の一実施形態を示す概略ブロック線図である。
【図3】本発明の記憶素子の考えられる1つの実際的な実施形態を示す概略平面図である。
【図4】図4aから図4cは、本発明に係るデータ転送を実行するための様々な手法を示す概略タイムライン、図4dは、特定の時点で本発明の装置の電子記憶装置内に記憶されたデータの状態を示す図である。
【図5】図5aは、例えば図示のようなヘッドホンと接続可能で且つ表示スクリーンを有する本発明にしたがって製造された図2の装置の1つの考えられる外観図、図5bから図5gは、本発明の教示内容にしたがって行なわれる装置のユーザとのやりとり中に生じる起こり得る動作シーケンスを示すためにここに示された図5aの装置の表示スクリーンの様子の概略図である。
【図6】非常に有益なヘッド装置位置センサの幾つかの実施形態を説明する目的でここに示された本発明の記憶素子の一部を示す斜視図である。
【図7】図6のヘッド装置位置センサと接続される位置検出回路を示す概略ブロック線図である。
【図8】本発明にしたがって実施される非常に有益な衝撃検出装置の説明を容易にするためにここに示された本発明の記憶素子のボイスコイルモータアーム端部の概略部分断面図である。
【図9】図8の衝撃検出装置に接続される衝撃検出回路を示す概略ブロック線図である。
【図10】本発明にしたがって行なわれ且つ本発明の非常に有益なヘッド位置検出装置を使用するパーキング較正方法の1つの考えられる実施形態を示すフローチャートである。
【図11】本発明にしたがって行なわれ且つ本発明のヘッド位置検出装置を使用するパラメータトラッキング方法の1つの考えられる実施形態を示すフローチャートである。
【図12】本発明にしたがって行なわれ且つ本発明のヘッド位置検出装置を使用する高性能パーキング制御監視シーケンスの1つの考えられる実施形態を示すフローチャートである。
【図13】本発明にしたがって製造され且つ製造プロセス中に本発明の記憶素子(部分的に図示されている)と接続される検査/プログラミングボードのブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、図面を参照すると、様々な図面の全体にわたって、同様の構成要素が同様の参照符号によって示されている。まず、本発明にしたがって製造され且つ全体的に参照符号300で表わされた電子装置(電子デバイス)を示す図2に注目する。装置300は、任意の数のデジタル的に実行される装置タイプを示すことを意図していることは言うまでもなく、そのような装置タイプとしては、携帯電話、インターネット家電、携帯端末、音楽プレーヤ、多機能ポケベル、マルチメディア装置、または、電子記憶装置ではなく電気機械を使用して一般に与えられるサイズの永久に据え付けられるデジタル記憶装置の使用に適した任意の他の装置を挙げることができるが、これらに限定されない。また、本発明は、非常に限られた専用の機能を有する従来の装置に別個の機能を簡単に含ませることができる。例えば、デジタルカメラおよびデジタル音楽プレーヤの少なくとも一方の機能を含む携帯電話を提供することができる。以下、特定の装置にそのような機能性を組み込むことに関する特定の教示内容について適切な観点から説明する。本発明は、時として大きな衝撃力を受ける「過酷な」環境下で使用されることがある装置での使用に特に適している。携帯機器は、一般に、そのような環境に晒される。しかしながら、本発明は、決して携帯機器での使用に限られず、少なくとも短時間衝撃を受ける虞がある基本的に任意の形態の装置において用途を見出す。
【0032】
図2の説明を続けると、装置300は、装置全体を作動させるように構成された処理装置302を有している。処理装置302は、少なくとも1つのプロセッサまたは中央演算処理装置(CPU、図示せず)を有している。そのようなCPUは、処理装置の一部を形成するチップセット(図示せず)と協働するように形成されていてもよい。同時に、別個のスレーブCPUまたはチップ(図示せず)がマスターCPUの命令で作動しても良く、これらの全てが処理装置を形成すると見なされる。後述するように特定の教示内容が実行される限りにおいては、これらの構成の全てが本発明の範囲内にあると見なされることは言うまでもない。
【0033】
例えば適した形式のROMであってもよい記憶部304が処理部302に関連付けられている。また、記憶部は、ROMとRAMとを適切に組み合わせることによって形成することができる。この場合、装置作動のため、初期起動中に、記憶部の揮発性RAM部がロードされる。記憶部304それ自体は、デバイスコード306とネイティブコード308とを有している。以下、後者について詳細に説明する。デバイスコード306は、実行される任意の特定のタイプの装置に共通する動作タスクおよびハウスキーピングタスクに専用の機能を有効にする。なお、幾分限られた専用の機能を有する装置を作動させるために一般に必要な最低限の計算能力は、そのような従来の装置で一般に使用されるプロセッサの能力に対応してかなり制限される。一例として、携帯電話のプロセッサは、一般に、殆どの時間使用されていないかもしれない。後述するように、本発明は、あまり利用されていない処理装置の能力を極めて有利な方法で使用することができる。
【0034】
続けて図2を参照すると、装置300は、例えばキーパッドの形態を成すユーザインタフェース装置310(一部だけ図示されている)を更に備えている。他の要素としては、電子記憶装置312および記憶素子320があり、これらの全ては、処理装置302に接続されている。バス/インタフェース322,324は、処理装置を記憶素子および電子記憶装置にそれぞれ接続している。電子記憶装置312は、処理装置302の制御下で特定の動作を行なう際に使用できる所定のサイズを有するRAM等の揮発性メモリーを備えていてもよい。一例として、電子記憶装置は、後述する方法で、デジタル音楽をロードされてもよい。このデジタル音楽は、後に、処理装置によって読み取られて処理され、その後、適当なオーディオ部326を介して音声出力ジャック325に供給される。なお、ここでは、デジタルオーディオの処理および取扱に関する特定の機能について説明しているが、これらの説明は、単なる一例にすぎず、本発明の内在する概念は、幅広く適用することができる。外部接続部を有するデジタルインタフェース328が設けられており、これにより、装置300を外部コンピュータに接続できるようになっている。適切なインタフェース構成としては、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)インタフェースおよびIEEE1394を挙げることができる。外部コンピュータにインストールされる適切なソフトウェアを用いて、ユーザは、記憶素子320上で利用できるコンテンツに関してメンテナンス作業を行なうことができる。例えば、ユーザは、記憶素子上にロードされる選曲リストを形成してもよい。このようにして、任意の形式のデジタル情報が記憶素子に送信され、或いは記憶素子から送信されてもよいことは言うまでもない。
【0035】
記憶素子320は、フレキシブル回路330によって装置300とインタフェースをとる電気機械記憶装置を備えている。フレキシブル回路330については、記憶素子を形成する他の構成要素に関する説明と共に後述する。差し当たり、バス322を介して装置300内の処理装置302に記憶素子320を接続するために、フレキシブル回路330の自由端を受けるコネクタ332が設けられている点に注目するだけで十分である。
【0036】
処理装置302によって使用されるネイティブコード308は、記憶素子320を作動させるためだけのものである。前述したように、ネイティブコードという用語は、処理装置の周囲にある装置を直接に制御する際に使用されるコードを包含している。一般に、ネイティブコードは、従来のコントローラチップによって実行されるとともに、周辺装置の最低および最高の直接制御レベルを表わしている。本発明において、処理装置302は、記憶素子内の構成要素(後述する)によって直接に受けられて作用する命令を含むプロトコル層が介在しないそのネイティブコードを使用して記憶素子320を制御する。ネイティブコード命令の変換は行なわれない。基本的に、ネイティブコードは、記憶素子の固有の実行可能な言語である。従来の制御装置は、高レベルのプロトコルコマンドを受け、且つこれらのコマンドをネイティブコードに解釈するのに役立つ。先の説明を考慮すると、記憶素子の直接制御は、もしかすると使用されないかもしれないが利用可能な処理装置302の処理能力の有利な用途を例示する。放っておけば使用されない能力が使用されても、装置300は、一般に、従来からある同じ装置と比較して、すなわち、専用の制御装置がネイティブコードを実行する装置と比較して、ユーザが認知できるほど性能が低下しない。また、記憶素子の動作専用の処理能力は、特定の装置のアーキテクチャ中に既に存在するホストプロセッサ(CPU)の使用されない能力に意図的に制限されてもよい。更に、暫定的な解決法として、記憶素子のネイティブコードの実行においてホストプロセッサを支援する暫定ICを含む「暫定的な」構成が設けられてもよい。既存のホストプロセッサのハードウェアに最小限の変更を施す必要がある場合には、暫定的な実施が有益である。ホストプロセッサの変更に関連するコストは、基本的には、問題にならない範囲内に納めることができる。すなわち、変更されていないプロセッサをこれまで使用している任意の用途において、また、記憶素子制御機能を含む新たな用途において、変更されたプロセッサを備えることができる。
【0037】
暫定ICは、例えばクロックライン、1または複数の制御ライン、NRZライン等の1または複数のデータラインから成るインタフェースを使用するホストICのチップセット中に組み込まれてもよい。ピンカウントに関してホストプロセッサに対する影響を更に低減するため、このインタフェースの幅を制限してもよい。1または複数のデータラインとは別個の1または複数の制御ラインは、記憶素子を直接的且つ迅速に制御する際に有益であると考えられる。制御、データ、ディスクに関連するデータ(すなわち、記憶素子によって記憶されるサーボまたは「ユーザ」データ)を共有する必要があるインタフェースの場合には、ディスクに関連するデータが送信されるのを待っている結果、制御遅延が生じる虞がある。本発明は、例えば衝撃を受ける十分高い可能性が予想される場合に、迅速な制御の必要性を考慮する。時が経つにつれ、暫定IC中に含まれる機能は、ホストプロセッサ内に入り込むかもしれない。ホストICおよび暫定ICが、従来のインタフェース構成の範囲内での本発明の特化した機能の実行に関して、製造供給元固有のコマンドを使用してもよいことは言うまでもない。ただし、そのようなコマンドは、使用されるインタフェースプロトコル全体と適合している必要がある。暫定ICが1または複数の製造供給元固有のコマンドに応答するように構成されている場合、ホスト側は、製造供給元固有のコマンドを実行するため、コマンドの知識およびホスト側での適切なプログラミングを必要とする。例えば、1または複数の製造供給元固有のコマンドを使用するホストICと暫定ICとの間でコンパクト・フラッシュ・インタフェースが実施されてもよい。以下、前述した特徴については、適切な観点から説明する。
【0038】
図2と共に図3を参照すると、本発明の更なる利点は、処理装置に対する記憶素子の「視認性」にある。記憶素子の動作の殆ど全ての態様は、ネイティブコード308を介して処理装置302によって制御されるため、記憶素子の正確な作動状態に関して確実性が得られる。この場合、記憶素子320は、ハウジング338を有している。回転可能な磁気媒体340は、ハウジング338によって支持されたスピンモータ342によって回転される。センサ装置344は、ボイスコイルモータ(VCM)346(その一部だけが図示されている)によって位置決めされる。センサ装置という用語は、ヘッド装置およびアクチュエータアームという用語に置き換えることができる。図3に明確に示されるように、VCMの図示された部分は、下側マグネットアセンブリ348と、アクチュエータアーム346のVCM端部上に支持されたボイスコイル350とを有している。明確にするため、上側マグネットアセンブリは図示されていない。アクチュエータアームは、ハウジング338によって支持されたアクチュエータピボット351によって支持されており、これにより、VCMと反対側のアクチュエータアームの先端は、磁気媒体340と係合することができる。本発明の記憶素子は、磁気媒体の用途に限定されない。ここに示される教示内容が実行される限りにおいては、例えば光媒体等の任意の適当な媒体を使用してもよい。外的な衝撃に晒すことに関して、また、例えば消費電力等の記憶素子の動作の他の属性を更に考慮すると、記憶素子の構成要素の状態の認識が重要であることは言うまでもない。消費電力を考慮する場合、スピンモータ342の状態は重要である。
【0039】
更に図3を参照すると、VCMと反対側のアクチュエータアームの先端は、トランスデューサ装置352とリフトタブ354とを有している。フレキシブル回路330は、記憶素子内の様々な構成要素に役立つ様々な部分を有していることは言うまでもない。フレキシブル回路の自由端330aは、コネクタ332(図2参照)と係合できるように構成されている。フレックスキャリアプラットフォーム356は、フレキシブル回路の主部330bを支持している。フレックスキャリアプラットフォーム356は、例えばハウジング338と係合するスタンドオフを使用する等の適当な方法(図示せず)で装着されている。1つの非常に有益な特徴においては、フレキシブル回路の主部330bによってランプ(傾斜体)360が支持されている。ランプ360は、アクチュエータアームがその図示する待機位置へと移動されると、アクチュエータアームの最外端上にあるタブ354と係合する。待機状態のアクチュエータアームがフレキシブル回路の近傍に位置した状態でこのようにランプを支持すると、後述するように、アクチュエータアームの待機位置を確認する際にフレキシブル回路を容易に適用することができる。フレキシブル回路の他の部分としては、アクチュエータアーム接続部330c(フレキシブル回路のダイナミックループとも称する)がある。このアクチュエータアーム接続部330cは、主部330bとフレックスループ部330dとに接続され、フレックスループ部330dは、スピンドルモータ342と主部330bとの間に接続される。
【0040】
ここで、'751特許に対する本発明の視認性の態様についての説明を続けるため、図1に注目する。従来技術の図1に関し、CPU30およびチップセット32から成る処理装置の周辺の構成要素の視認性がPCIバス28によって課される制約に基づいて制限される点を理解することは重要である。前述した対応する不利益は、コマンドを解釈した後に周辺装置に対して直接にネイティブコードを発行する制御装置へのPCIバスを介したコマンドの発行を伴う不確実性の度合いに内在する。出願人は、ある場合において制御装置内でコマンドが実行されるという点で、裁量権が存在することに気付いている。一例として、'751特許においては、特定のデータをHDA28からRAM34に送信するために、読取コマンドがCPU30によって発行されることを前提としている。したがって、データを読み取る前に、HDAのディスク(図示せず)が回転(スピンアップ)し、その後、センサ(図示せず)を使用してディスクから読み取る。当業者であれば十分分かるように、センサがディスクにアクセスしている間、HDAは外的な衝撃に特に影響され易い。その後のある時点で、要求されたデータは、PCIバスを介して戻る。本発明の観点からは、HDAディスクモータおよびセンサの状態が未知であるかもしれないという点が興味深い。具体的には、スピンモータがスピンダウンしてセンサが待機位置にある時間は、ここでは制御装置としての機能を果たすPCIマス・ストレージIC14のメトリクスの制御下にある。例えば、HDAスピンモータは、別個のコマンドが所定の時間内に受信されないと、スピンダウンする場合がある。したがって、要求されたデータ送信が完了したずっと後に、スピンダウンが起こるかもしれない。CPU30は、使用されているプロトコルに応じて利用でき或いは利用できない場合がある「スピンダウン」コマンドを発行する以外にHDAディスクモータの状態を定める手段を全く有していない。基本的に、これは、出願人が許容できないと考えるオープンループ構成である。
【0041】
ここで、IBMマイクロドライブにおけるその使用に関して前述し、また、コマンド実行における裁量権をその付随する問題と共に検討する際の使用に関して前述した他の従来のインタフェースCF+に注目する。CF+は、磁気ディスクデータ記憶装置を含む様々なI/O装置を包含するべく機能強化されるコンパクトフラッシュの拡張バージョンである。CF+は、IDE(インテグレイテッド・ドライブ・エレクトロニクス)のATAインタフェースから取得されるCF−ATAコマンドセットを実行する。本発明における特定の関心であるドライブ動作の一態様は、ヘッド装置の状態の認識にある。一般に、前述したように、ヘッド装置は、衝撃に対するその最も高い耐性を与えるべく、待機位置に位置することができる。しかしながら、ヘッド装置は、データを読み取り或いは書き込んでいない場合であっても、フローティング状態のままでよいことは言うまでもない。CF+によって包含される1つのIDEコマンドは、「Idle Immediate」(CF+規格の74頁参照)である。一般に、アイドル(idle)状態とは、スピンモータは回転しているが、ヘッド装置に関して所要の状態になっていない状態を意味する。すなわち、ヘッド装置は、待機状態あるいはフローティング状態となっている可能性がある。実際の状態は、実行者の裁量権に委ねられる。したがって、CF+規格およびIDE/ATA自体は、ヘッド装置のアイドル状態に関して曖昧である。同じような曖昧さを示す他のコンパクトフラッシュコマンドとしては、Idle, Standby Immediate, Set Sleep Modeを挙げることができる。インタフェースの設計者は、おそらく、この曖昧さを、設計に自由度をもたせることができるため有益であると考えているが、本発明は、予期される動作環境の点から見て、この曖昧さを許容できないと考えている。
【0042】
残念ながら、前述したコマンドはオープンループ態様で実行されるため、コマンドに関連付けられる実際の思考を現に成し遂げる確認は与えられない。コマンドは、明確なBSYを要求して、対応するハードウェア状態を規定することなくインタラプト(割り込み)を形成するだけである。受信用エレクトロニクスによるコマンドの受信に対する単なる応答として、応答が形成されてもよい。したがって、動作状態または周辺装置の状態に関して信頼できる能力は、よく見ても限られ、基本的には存在しないかもしれない。
【0043】
一方、本発明は、装置全体に同時に役立たせながら、記憶素子との直接ネイティブコード通信において、装置全体の処理装置を使用して、動作にわたるこの曖昧さを解決する。
すなわち、多くの利用可能な制御動作の中で、処理装置は、ネイティブコードを使用してヘッドパーキング(ヘッド装置の待機)を直接に実行する。このようにすると、その後に周辺装置を動作させるために制御装置による変換を必要とする「中間」コマンドの実行に関して裁量権はなくなる。また、言うまでもなく、ヘッド装置の位置状態および本発明の記憶素子の他の動作態様を確認するために、非常に有益な手段を利用することができる。
この場合も同様に、処理装置による直接的な制御を伴って実行されるそのような監視手段は、例えばIDEおよびPCIで見られるコマンドの曖昧さを示さない。また、本発明は、ネイティブコード制御により実行され且つ潜在的に過酷な環境で作動する際に大きな利点を与えると思われる非常に有益な状態監視能力を組み込んでいる。これについては、適切な観点から後述する。
【0044】
コマンド実行において許容される任意の度合いの裁量権は、特に衝撃に晒される可能性が実際にある動作に関しては、問題であると考えられる。処理装置および本発明の記憶素子は、従来見たことがない方法で協働する。この場合、処理装置は、データ交換シーケンスを形成する一連の制御事象で記憶素子を直接に制御する。後者は、一般に、ユーザのやりとりの最初の部分がデータ交換シーケンスの最初の部分を規定する際に開始される。ユーザのやりとり中におけるコマンドの入力は、制御される装置のネイティブコードに関連する制御事象を規定するのに役立つ方法で、処理装置302により「オンザフライ(実行中)」であると解釈される。そして、ユーザによるコマンド入力を続けた状態で、解釈後直ちに、別個の制御事象を実行することができる。このように、本発明は、まず第1に、衝撃に影響され易い周辺装置の動作状態の詳しい認識により、衝撃を受ける可能性に対処する。以上のように、更なる特徴は、この最初の特徴と協働する。
【0045】
前述したように、アクチュエータが待機位置にあり且つスピンモータが回転していない場合には、従来のハードディスクドライブであっても、比較的高いレベルの衝撃に耐える。この点については、従来のドライブの能力を超えるその衝撃耐性を高める更なる特徴を有する記憶素子320も同様である。これらの特徴のうちの様々な特徴については、以下の説明中の適当な時点で取り上げることにする。一方、電子記憶装置は、実用的な目的のため、衝撃の影響を受けない。これに関して、本発明は、衝撃を受ける事態が起こり易い場合、記憶素子320をその「安全状態」と称してもよい最大衝撃耐性状態に置くことが有益であることを認識している。無論、電子記憶装置312は、衝撃を受ける可能性がある環境にもかかわらず、依然として使用できる。
【0046】
音楽プレーヤを組み込む携帯電話を装置300が備えていると仮定すると、そのような形式の携帯装置は、落としたり叩いたりした際に、著しいレベルの衝撃に晒される虞があることは言うまでもない。本発明は、電話/プレーヤの組み合わせが著しい衝撃を受ける可能性が低い時間帯を特質上含む携帯電話等の装置が一般的な方法で使用されることを認識している。特に、例えば通話に関与している装置のユーザによる実際のアクセス中、装置は、安定した環境状態に晒される。電話が使用されていない他の場合においては、衝撃に対する環境を予期することができない。そのような場合としては、例えばベルトクリップや財布の中に電話を収納している場合を挙げることができる。更に危なっかしい場合としては、ユーザが装置を実際に使用してから収納場所に移す間およびその逆の時間帯を挙げることができる。このような移行の時間帯は、ユーザが装置を落として装置に大きな衝撃が加わる虞があるため、最も危険であると思われる。したがって、装置300は、ユーザアクセス時間の直ぐ前後の移行時間中における記憶素子の使用を回避しつつ主にユーザのアクセス中に記憶素子320を利用するように構成される。以下、この非常に有益な構成の実施に関して詳細に説明する。
【0047】
図2を参照すると、装置300が衝撃に晒される可能性を更に低減するため、装置は、ヘッドホンレセプタクル外れに関する特徴的構成を有している。すなわち、処理装置302は、装置のレセプタクル325からのヘッドホンプラグ362の取り外しに応じて、記憶素子ヘッドをアンロードする。したがって、装置を落とした場合には、装置が地面と接触する前にヘッドがアンロードされる。この特徴を更に促進させるため、また、再生中にヘッドホン364(または、イヤホン)がユーザの頭部に位置決めされると仮定して、装置が地面と接触する前にレセプタクルからヘッドホンプラグが外れるように、ヘッドホンに繋がり且つレセプタクルに接続されるケーブル366の長さを選択してもよい。更なる利点は、ヘッドホンケーブルに弾力を付与することにより得ることができる。関連する特徴において、ヘッドアンロード時間は、最小ヘッドホン外れ落下高さを規定する。この高さよりも高いと、アンロード動作を行なうことができる十分な時間があるが、この高さよりも低いと、ヘッドのアンロードを行なうことができる十分な時間がない。装置が最小ヘッドホン外れ高さよりも下に落下すると、地面に近接すると同時に記憶素子のために設けられた衝撃絶縁装着システムによって与えられる保護により、衝撃感受性を減少させ或いは効果的に除去することができる。
【0048】
装置300の特定の物理的な特性について説明してきたが、ここでは、図2と共に図4aを参照する。図4aは、本発明に係る装置300の第1の動作形態での動作を示している。t0からt32の各時間が付されたタイムラインが参照符号400によって示されている。ユーザのやりとり402は、ユーザインタフェース装置310を介して行なわれるとともに、一連の各コマンドによって形成される。ユーザのやりとりは、ユーザが音楽選択/演奏ボタン404(図2)を作動させることにより始まる。その後、コマンドを使用して、装置によって演奏される3つの音楽を選択する。なお、簡単のため、ユーザのやりとりには、各音楽の選択が図示されていない。演奏する音楽を選択する際のコマンドシーケンスの一例は、最初に演奏ボタン404を押すことであってもよい。最初に演奏ボタンを押すことにより時間t0からt4が経過する。その後、ユーザは、音楽メニュー内の数字メニュー表示(図示せず)を使用して、時間t4からt23を含む時間帯にわたってリストから特定の音楽を入力する。音楽は、グループとして或いは個別に選択されてもよい。なお、明確に図示するため、この実施例では、限られた数の音楽タイトルが選択される。しかしながら、装置300で利用できる実際の記憶装置の制約のみによって制限される任意の数の音楽タイトルが選択されてもよい。
【0049】
この実施例の更なる目的のため、時間内のある時点においてセットの形で3つの全ての選択が行なわれ、これにより、遅れを生じさせることなく、対応するデータ転送を行なうことができる。これらの音楽を選択すると、ユーザは、後述するように時間t23からt28にわたって所定の方法で演奏ボタン404を再び押すことによりコマンドを終了する。
【0050】
最初に、各音楽選択を示すデジタルデータが記憶素子320によって記憶される。処理装置302により、デジタル情報を、最終的に音声ジャック325でユーザにより利用可能となる音声信号に変換するためには、最初に、音楽に関連するデータを記憶素子320から電子記憶装置312へと移動させる必要がある。前述したように、対応するデータを記憶素子320から電子記憶装置に移動させた後、電子記憶装置320からの音楽の演奏は、衝撃に対する影響を相対的に受けることなく行なわれる。ユーザのやりとり402の過程において、処理装置302は、ユーザのやりとりを監視して、コマンド入力ライン406によって示されるユーザ入力コマンドを解釈する。
【0051】
記憶素子320が関与するデータ転送が差し迫っていることを最も早く表示できるように、処理装置302は、ユーザのやりとり402を監視する。そのような時点は、例えば、ユーザが携帯電話/音楽プレーヤ装置の表示スクリーン(図示せず)上で音楽選択メニューを見る時として、ユーザが最初に演奏ボタン404を押す時として、ユーザがプレーヤ選択ボタンを押す時として、あるいは、メニュー駆動型選択シーケンスがユーザによって行なわれている間に装置の動作がユーザ指向の機能に分岐する時として、選択されてもよい。ユーザコマンド時間402がt28で終了するまで待つことなく、処理装置302は、アクセスのために記憶素子320を即座に準備する。
【0052】
この実施例においては、演奏ボタン404が最初に作動される時に、選択される時間点がt0として選択される。したがって、処理装置302は、回転可能な媒体340がスピンアップすることによって応答する。スピンアップの事象は、データ転送実行ライン408で示されており、時間t0から始まって時間t4まで続くS/Uとして表わされている。なお、スピンアッププロセスは、記憶素子320の動作全体の中で最も時間を消費する事象を含んでいる可能性がある。このため、本発明によって教示される方法での係属中のデータアクセスの予想は、非常に有益であると考えられる。また、この場合、スピンアップ時間は、任意の要素ではなく、むしろ、最適な結果を与えるために制御することができる。この最適化においては、例えば、ポータブル装置で高速スピンアップを命令するとバッテリ寿命が短くなる虞があるという事実を含む多くの要素を考慮しなければならない。
更に他の要素は、データ転送を達成できる速度に影響を与える。これらの要素のうちの1つは、磁気媒体ディスクの回転速度である。なお、従来技術がコマンド実行(すなわち、スピンアップ)を開始する典型的な時点は、一般に、t28である。本発明は、選択された非常に早い時点でコマンド実行を開始することにより、衝撃防止の点で、大きな利益を収める。
【0053】
スピンアップが行なわれると、その後、非常に速くデータ転送を連続して行なうことができる。この場合、この図に示される転送は、それぞれが1つの時間を要するように示されており、一方、スピンアップ時間は、4つの時間を要するように示されている。しかしながら、特定の実施形態に応じて、スピンアップおよびデータ転送の持続時間が互いに異なっていてもよいことは言うまでもない。データ転送は、T1からT3として表わされている。この場合、転送のうちの1つが演奏される各音楽に対応付けられている。本発明は、記憶素子320を衝撃に晒すことを制限することに関して動作的に効率がよいだけでなく費用効率も高い積極的な態様で、電子記憶装置へのデータ転送持続時間および電子記憶装置からのデータ転送持続時間を制御できることを認識している。
【0054】
更に図2および図4aを参照すると、データ転送T1は、転送コマンド入力が完了406すると直ぐに時間t8で開始される。転送T2、T3はそれぞれ時間t9、t10で開始される。基本的に、各転送は、処理装置302によって慎重に実行できる一連の制御事象を規定するデータ交換シーケンスを必要とする。前述したように、各転送は、単一の時間内で終了する。時間t11での転送T3の終了後、処理装置302は、記憶素子のスピンモータを「停止させる」とともに、そのヘッドセンサ装置をS/Dとして示される時間t11からt12にわたって待機状態にして、記憶素子を安全状態に置く。なお、この場合、停止プロセスは、この場合も同様に特定の実施形態に応じて、データ転送時間よりも幾分長くてもよい。プロセスの更に重要な構成要素は、基本的に、センサ装置344をその衝撃に耐える待機位置にアンロードすることから成る。この後者の動作を迅速に行なうことができることは言うまでもない。例えば、従来のハードディスクドライブは、200ミリ秒程度の時間内でアクチュエータまたはセンサ装置を待機状態にすることができる。
ある一定の機能強化をもって、本発明は、約100ミリ秒以下の時間内で記憶素子320のセンサ装置344を待機させることをもくろんでいる。いずれにせよ、この程度の長さの時間は、一般に、人間のやりとりの結果として見られる応答よりもかなり短い。この実施例において、ユーザのやりとり402のコマンド時間は、転送コマンドの終了時点406をかなり越えて延びており、これにより、記憶素子は、ユーザによるその後の一時的移動中に起こり得る衝撃事象まで、長い間、その安全状態に置かれたままとなる。以下に別のシナリオを示す。
【0055】
更に図4aを考慮すると、過渡期の間に衝撃に対する最良の保護を記憶素子のために与える本発明の能力が、できる限り早い時点でコマンド実行シーケンスを開始することにより得られることを理解することは重要である。この教えにより、ユーザのやりとりの終了前であっても、できる限り早期に対応するデータ転送を完了することができる。データ転送実行の開始は、例えば演奏ボタン404の最初の作動の終了時に時間t4でスピンアップを開始することにより幾分遅らされてもよい。これは、時間t8での転送コマンド入力の終了までであってもよい。なお、この場合、9個の時間帯が実際のスピンアップ動作、データ転送動作、スピンダウン動作を作り上げる。したがって、時間t28までに全ての動作をうまく完了するためには、時間t19になってようやくスピンアップを開始させることも可能である。この能力は、本質的な制御および処理装置内でネイティブコードを実行することにより可能になる処理装置302と記憶素子320との間に存在する認識の結果として、少なくとも部分的に利用できることを言及しなければならない。後述するように、データ転送動作を少なくとも部分的に完了させ且つ装置のユーザ移動前に安全状態に戻すため、多くの特徴が与えられてもよい。
【0056】
ここで、図2および図4bを参照すると、記憶素子320の衝撃耐性に関する1つの非常に有益な本発明の特徴は、記憶素子へのデータ転送および記憶素子からのデータ転送のサイズの制御にある。記述的な目的のため、図4bは、T1からT3を規定するために時間t19から時間t23にわたって解釈される転送コマンド入力410を示している。これらの転送が電子記憶装置312を利用することは言うまでもない。スピンアップは、転送コマンド入力と同時に成される。電子記憶装置の全体の記憶能力を十分に制限することにより、任意のデータ転送に要する持続時間は、電子記憶装置312を一杯に満たすために必要な対応する時間に制限される。図4bの実施例において、電子記憶装置は、一杯に満たされた後(すなわち、記憶素子320に完全に書き込まれた後)、データ転送T1からT3を完了させるために与えられる5つの時間帯以下で処理装置302によりスピンダウンされ得ることを前提としている。以下、この特定の時間の長さを、参照符号412で示される「メモリ埋め(ストレージフィル)」時間と称する場合がある。この点に関し、ユーザのやりとりを終了するためには、装置300のユーザは、演奏ボタン404を作動させる必要があることを思い出してもらいたい。ユーザのやりとりの終了時または終了前に、記憶素子320が関与する全てのデータ転送を完了させるためには、ユーザは、少なくともメモリ埋め時間の長さに相当する時間だけ演奏ボタン404を押さなければならず、あるいは、確認動作を必要としてもよい(例えば、その後にボタンを押す)。以下、演奏ボタンのこのような動作を「演奏開始」または「コマンド開始」と称する場合がある。
この場合も同様に、ここで考慮したそのような持続時間は、人間の認識からすると、極めて短い。実用的な実施例として、本発明は、32MBの容量を有する電子記憶装置を使用して、約2から4秒のメモリ埋め時間をもくろんでいる。電子記憶装置のサイズを制限すると、コストを節約できるという更なる利点が得られることを言及しなければならない。言うまでもなく、本発明は、巨大なサイズの電子記憶装置が設けられているとユーザに信じさせることができるような方法で、電子記憶装置を使用する。無論、最大サイズのデータ転送を適切に設定することによってここに開示された教示内容を実行するのであれば、大きいサイズの電子記憶装置を使用してもよい。
【0057】
本発明の範囲内で他の変更も同様に可能である。例えば、「延長メモリ埋め時間」を規定するために、メモリ埋め時間の一部として、記憶素子スピンアップ時間が含められてもよい。この場合、ユーザは、ドライブスピンアップ時間を含む更に付加された時間の間、演奏ボタン404を押す必要がある。記憶素子スピンアップ時間は、例えば500ミリ秒未満程度であってもよい。ユーザが演奏ボタンを十分な時間押していない場合には、音声による警告および視覚的な警告の少なくとも一方が与えられてもよい。また、演奏ボタンの作動が不十分な場合には、不完全なユーザのやりとりの後、ユーザが装置を移動させている間に起こり得る衝撃の虞を回避するため、係属中の任意の転送を無視して、記憶素子が即座に停止されてもよい。ユーザが受けるそのような制約の存在下では、衝撃によって受ける危険から記憶素子320を最大に保護するために課される要件と一致する装置をユーザが素早く使用し始めることが考えられる。前述した動作上の制約が存在する場合であっても、ユーザは、記憶素子320を有すること無く構成された従来の装置と基本的に同じ方法で装置300を操作して扱うことができると考えられる。すなわち、違いがあっても、それはユーザの観点から見て基本的に取るに足らない問題である。変形例として、記憶素子からメモリへのデータ転送が完了する時まで、演奏の選択肢の提示が除外されてもよい。
【0058】
ここで、図2および図4cを参照すると、限られたサイズの電子記憶装置の使用に関連付けられた1つの特徴において、本発明は、メモリ埋めサイズよりも大きいデータ転送を扱う際、日和見的な態様で動作する。図4cは、電子記憶装置312のサイズの2倍の組み合わせサイズを有する6つのデータ転送をそれ自体で規定する最初のユーザアクセス事象を有するユーザやりとりシーケンス420を示している。すなわち、ユーザのやりとりは、電子記憶装置の容量を超える転送サイズ全体を規定する。最初のユーザやりとりは、時間t0で始まり、演奏ボタン404が解除され或いはこれと同一視できる事象が起こる時間t11まで続く。転送コマンド入力時間422中に、6つの転送コマンドが入力される。この実施例においては、最初の3つの転送がグループとして選択され、一方、最後の3つの転送が個別に選択される。ユーザは、ある無作為の順番で様々な音楽リストを見ることにより、演奏される音楽項目を選択し、これにより、選択間にアイドル時間を有する延長コマンド入力時間を形成してもよい。この場合も同様に、このコマンド入力時間は、誇張することなく図示される場合には例えば転送時間に比べて非常に長い時間現われる現在のフォーラムの例示的な制限を収容する形で示されている。簡単のため、各転送コマンドは、ユーザアクセス事象1に示されていない。
【0059】
記憶素子320の回転可能な媒体340のスピンアップは、ユーザによって成される転送選択前に、演奏ボタン404(P/Bで示されている)の作動に伴って時間t0で開始される。最初の音楽選択に対応するデジタルデータの転送は、ユーザがT1に対応する音楽を選択する場合、転送コマンド入力中にデータ転送実行ライン424上で一度に行なわれる。したがって、この実施例において、コマンド実行は、ユーザやりとりの終了前400だけでなく、ユーザによるコマンド入力422の実際の完了前であっても、開始される。また、転送コマンド入力422の間の転送コマンドシーケンスの継続中の入力を考慮して、記憶素子の磁気媒体のスピンアップは、利用可能な転送T1の記述(定義)に対応する時間t2まで遅らされてもよい。しかしながら、その場合、記憶素子の安全状態への突入も、スピンアップ時間の分だけ遅れる。
【0060】
演奏ボタンの作動を検知した際にスピンアップを開始することにより、ユーザアクセス事象1内で規定される対応するコマンドとほぼ同時に、T1からT3の各データ転送が行なわれてもよい。前述したように、プレーヤ機能に分岐する時点でユーザにより開始されるメニュー選択シーケンスに応じてスピンアップすることも有益であると考えられる。いずれにせよ、演奏開始のため、ユーザは、コマンド入力選択後、電子記憶装置312を完全に満たすために必要な時間に対応する所定の時間t6からt11の間、演奏ボタン404を押す必要がある。その動作は、ユーザやりとり420中に、演奏開始(P1)として示されている。係属中のデータ転送の全ての演奏開始のためにユーザが演奏ボタンを解除できる最も早い時間(t11)のかなり前に、転送が完了して記憶素子がその安全状態に置かれるのが分かる。ユーザがうまく演奏開始選択をしない場合には、係属中の転送が取り消され、記憶素子が即座にその安全状態に置かれてもよい。同時に、エラー信号がユーザに与えられてもよい。このエラー信号は、少なくとも2つの目的を果たす。第1に、エラー信号は、取り消された選択転送の不都合を回避するためにその後の選択入力をユーザが変更することができるように誤りが成されたことをユーザに知らせる。第2に、エラー信号は、ユーザが例えばベルトクリップまたは財布に装置を移動させる前に遅れを導入することを目的としている。この場合、ユーザのためのちょっとした遅れにより、装置の移動前に、記憶素子を安全な状態に適切に導くことができる。他の変形例として、記憶素子は、対応する転送を必要とする更なる選択が行なわれないというユーザによる指示の直後に安全状態に置かれてもよい。例えば、スクリーン表示において単独で或いは全てのメニューの中から1つを選択するものとして質問「他の選択をしますか? y=1, n=2. x?」が与えられると、「n」または「no」を選択することにより、係属中の転送および進行中の転送の少なくとも一方の状態とは無関係に、即座に記憶素子が安全状態に置かれてもよい。殆どの場合、ユーザのやりとりが進行している間、ユーザによって要求される転送の大部分が日和見的に完了すると考えられる。この開示内容全体を考慮して、更なる別の代案が当業者によって生み出されてもよい。
【0061】
T1からT3を使用して電子記憶装置を一杯に満たすと、電子記憶装置内に記憶されたデータを任意の適当な方法で使用することができる。典型的な目的のため、この説明では、参照符号11が付された区間の間で音楽信号を形成するためにデータが使用されると仮定する。また、この実施例では、データを転送できる速度の1/6の速度で音楽信号を形成するためにデータが使用されると仮定する。無論、そのようなデータは、データ転送時間と比べてかなりゆっくりとした速度で使用される可能性が高い。従来技術の圧縮を用いて音楽ファイルを演奏するため、本出願人は、電子記憶装置が約32MBのサイズを有している場合、約60分の演奏時間をもくろんでいる。6つの全ての音楽選択を利用して聴けるようになる時間までユーザ定義の転送が完了しないため、処理装置302は、電子記憶装置によって記憶されるデータの使用を追跡記録するように構成されていることが有益である。
【0062】
衝撃に関しては、記憶素子320が衝撃に晒される可能性を制限するように、T4からT6を含む残りのデータ転送を行なうことが望ましい。本発明において、残りのデータ転送は、1または複数の適切な時間に行なわれる。この実施例において、残る3つの全ての音楽タイトルにおける1つの更なる転送は、電子記憶装置312を完全に満たすことができる。そのような転送は、T4からT6の全てを含んでいる。前述した教示内容によれば、データ転送を行なうのに最も適した時間は、一般に、ユーザアクセス中である。残念ながら、次のユーザアクセスの正確なタイミングは分からないため、最初の3つの転送の再生が終了する正にその時に行なわれるユーザアクセスについては不確かである。言うまでもなく、本発明は、この問題を効果的な方法で解決するために、非常に有益な特徴を与える。
【0063】
ユーザアクセスが様々な目的で行なわれることを思い出してもらいたい。この実施例において、アクセスは、演奏される音楽を選択する目的で、あるいは、装置300の他の機能を使用するために、例えば、電話の送受信およびページング、電子メールの送信および受信の少なくとも一方などといった他のメッセージサービスの実行と、の少なくとも一方を含んでいてもよい遠距離通信モードで行なわれてもよい。これらの任意の他の意図する目的で装置300が使用されると、音楽選択を入力することを目的とするアクセス等の対応するユーザアクセスは、同様に、衝撃を受けることが殆どなくなる。そのため、装置300は、可能な限りいつでもユーザアクセス中に記憶素子320が関与するデータ転送を日和見的に実行するように構成される。
【0064】
図2および図4cと共に図4dを参照すると、この日和見的な構成に関連する1つの重要な特徴は、次のユーザアクセスが意図する特定の目的とは無関係に、次のユーザアクセス中に電子記憶装置312中に存在する「使用済み」データを交換することにある。この特徴を明らかにするため、ユーザやりとり420は、ユーザアクセス事象1の次にユーザアクセス事象2から4と名付けられた一連のやりとりを含んでいる。例示的な目的のため、ユーザアクセス事象1の次にくるこれらの各事象は、例えば、電話を送受信して、通話中には電子記憶装置312内に記憶された音声データの再生が停止するといった遠距離通信モードで装置300を使用することを含んでいると仮定する。時間t17において、ユーザアクセス事象2が開始される。電子記憶装置312によって記憶された音声データの再生は、再生開始の決定から区間11の間の時間t11からt17で行なわれる。ユーザアクセス事象2の開始時には、T1転送に関連付けられた音楽の再生に対応する6つの再生時間が経過してしまっている。その後のユーザ事象の持続時間は、これらの事象を図4dに適合させるため、極端に短くなるように図示されていることを思い出してもらいたい。実際には、これらのユーザ事象は、記憶素子320を安定状態に置くような事象に対して極めて長く現われることもあり得る。それにもかかわらず、本発明の概念は、図示のような極めて短いユーザアクセス間隔に直面しても、今なお有用である。
【0065】
図4dは、時間t17における電子記憶装置312の状態を示している。区間11中においては、記憶されたデータの1/3が使用されてしまう。一方、T2およびT3で転送されたデータは、未使用のままであり、電子記憶装置の容量の残りの2/3を満たしている。時間t17でユーザアクセス事象2が開始されると、処理装置302は、電子記憶装置によって収容される使用済みT1データを安全に交換する機会を認識する。したがって、時間t20でT4を転送するために、記憶素子の磁気媒体340が時間t17でスピンアップする。その直後、記憶素子が安全状態に置かれる。図4cに示されるように、このプロセスは、ユーザアクセス事象3およびユーザアクセス事象4のそれぞれにおいて、T5およびT6を転送するために繰り返される。T2転送に対応する電子記憶装置312内に記憶されたデータは、T5転送に取って代えられる。一方、T3転送に対応するデータは、T6転送に取って代えられる。前述したように動作する処理装置302は、電子記憶装置とユーザに対してトランスペアレントな(ユーザから見えない)記憶素子との間で行なわれる非常に有益な協働をとりまとめる。音声の再生を停止させる必要がある例えば電話の送受信といった事象の場合、一般に、音声の再生を自動的に再開させることができる場合であっても、音声の再生をユーザに再開させることが望ましいと考えられる。この再開は、電子的に保存される音声をユーザが本当に聴き続けたいということを確認する目的を果たす。この後の事象再開は、図面のスペースの制約のため、図4cに示されていない。1つの特徴において、ユーザは、電子的に保存されたデータの使用に関する様々な選択を伴うメニューを見ることを促すプロンプトを受けてもよい。一例として、メニュー選択は、1)音声の再生を再開する、2)もっと多くの再生選択を加える、3)再生選択を編集する、4)終わりまで再生を停止する、5)現在の選択を消去する、を含んでいてもよい。
【0066】
データ転送の日和見的な実行を可能にするために、次のユーザアクセス事象が起きない時間があってもよいことは言うまでもない。そのような状況下では、記憶素子のための所望レベルの衝撃保護を実行するように装置300の挙動を制御することができる。最も高い可能なレベルの保護を与えるため、装置は、演奏するためのデータを使い果たしたため演奏を停止するという信号を、処理装置302を介してユーザに送信してもよい。例えば、音声の説明は、例えば「音楽演奏リストをリフレッシュしてください」といったことを言う再生音声を発してもよい。音声の代わりに、あるいは、音声に付随して、視覚的な告知が与えられてもよい。また、装置は、電子記憶装置内に既に存在するデータの再生を繰り返すように構成されていてもよい。この場合、電子記憶装置によって記憶されるデータをリフレッシュする機会を許容するため、ユーザは、ユーザやりとりを開始するという選択肢を有する。
【0067】
本発明は、例えば電子記憶装置をリフレッシュするという面において非常に有益であると考えられる特定の特徴を与える。具体的には、記憶素子の環境を監視するための装置および方法を開示する。包含される環境監視の一態様は、記憶素子がある場所での衝撃の測定である。すなわち、電子記憶装置をリフレッシュするためにユーザやりとりを要求することによって環境を制御しようとするのではなく、「リフレッシュ」転送を進めるのに現在の環境が十分に安全であるかどうかに関して評価を行なうにあたって、処理装置が現在の衝撃環境を観察するおよび現在の衝撃環境を記録する、の少なくとも一方を行ってもよい。環境を監視するというこれらの特徴については、適切な観点から後述する。
【0068】
ユーザアクセスの他、係属中のデータ転送を形成するために最終的に記憶素子を使用する必要がある入力または事象が行なわれてもよい。しかしながら、入力と同時に起こるユーザアクセスが無い場合には、電子記憶装置内にデータを記憶することが好ましい。例えば、送信されてくる電子メールまたはボイスメッセージが受けられてもよい。そのような状況において、本発明は、少なくとも一時的に電子記憶装置312内に電子記憶部を設けることをもくろんでいる。例えば、送信されてくる電子メールまたはボイスメッセージは、常に、電子記憶装置内に記憶されたデジタル音楽よりも優先的に記憶されてもよい。最初に、既に再生された音声データが交換されてもよい。その後に通話等のユーザアクセスが開始されると、前述したと同様の方法で、電子的に記憶されたメッセージが電子記憶部から記憶素子へと日和見的に移動されてもよい。
【0069】
電子記憶装置の限られた記憶容量の結果として係属中のデータ転送が規定される前述した状況下においては、その後の事象自体が記憶素子へのアクセスを必要とする他の動作状態が生じる場合がある。この場合、対応する転送が連続的に又は交互的に行なわれてもよい。この場合も、前述したように、すべての転送の組み合わせサイズが電子記憶装置の容量によって制限され、これにより、「メモリ埋め」転送の可能な持続時間が制限される。
通信転送(例えばボイスおよび電子メール)が音楽データ転送よりも優先される他の優先順位が規定されてもよい。
【0070】
送信されてくる例えばボイスメールまたは電子メール等のメッセージが電子記憶装置よりも大きいサイズを有していると、メッセージの記憶が電子記憶装置内で始まる場合がある。ユーザやりとりが無い場合、ユーザやりとりを開始するために、送られてくるメッセージが適当な方法でユーザに知らされてもよい。ユーザが利用できない場合、記憶素子のための最高レベルの保護は、より適切な時まで特定のメッセージの受信を先送りするように命令する。
【0071】
以上を考慮して、ここでは、本発明のコマンド設計思想およびコマンドインタープリタ(コマンド解釈プログラム)に注意を向ける。本出願人は、コマンド入力および実行が順次にではなく同時に起こり得るという非常に有益な認識を持っているとともに、処理装置と記憶素子と電子記憶装置との間の協働により、可能な限り最も都合のよい方法で特定のコマンドに対するデータ転送の完了に関して機能を非常に強化させることができると認識している。特に、本発明は、対応するデータ転送を可能な限り迅速に実行するように考えられた方法で、コマンドを「構築」または設計する。前述した説明で頻繁に見られる1つの例は、記憶素子の回転可能な媒体のスピンアップをコマンドが特定する場合である。1つの特徴において、記憶素子320の媒体340のスピンアップは、所定の転送の数が電子記憶装置312の記憶容量に匹敵し或いは電子記憶装置312の記憶容量を超える組み合わせ容量を有するようになると直ぐに行なわれる。したがって、図4cを参照すると、転送T1からT3が電子記憶装置340の容量に等しいと仮定し、また、T1からT3の全てが時間t4(転送コマンド422の入力中)で規定されると仮定した場合、スピンアップ(図示せず)は時間t4で行なわれる。この特徴と関連して、コマンドインタープリタは、所定の転送の組み合わせのサイズ全体を監視することが規定されると、各転送のサイズのオンザフライ検査を行なう。例えば、平均サイズの転送の決定が行なわれてもよい。全ての転送の組み合わされたサイズ全体の方が、1つの平均サイズの転送に比べて、電子記憶装置内で利用できるスペースが少なくなるユーザ選択中の時点で、スピンアップが開始されてもよい。すなわち、ユーザがメモリー埋めの1つの平均サイズの選択をしている最中に、スピンアップが生じる。
【0072】
また、本発明のコマンドインタープリタは、転送コマンドの入力中、ユーザの作業速度に基づいて最適なスピンアップ時間を定める。例えば、本発明のコマンドインタープリタは、ユーザが選択を行なう速度を監視してもよい。このようにすれば、平均的な選択速度を定め、少なくとも部分的にその平均選択速度に基づいて最適なスピンアップ時間を決定することができるようになる。最適なスピンアップ時間は、基本的に、ユーザの選択における履歴に基づいて決定され、電子記憶装置を満たすため或いはほぼ満たすためにユーザが十分な数の選択を何時行なったかを評価することができる。これらの様々な特徴の目的が、回転可能な媒体を必要最小限の時間回転させることであることは言うまでもない。すなわち、コマンド入力シーケンス中においては、できる限り早く転送を始めることが望ましいが、記憶素子が回転している時には記憶素子が一般にデータ転送に供するようにして、所定の転送間でアイドル時間が無いようにすることにより、1つの利益として、バッテリの電力を節約することが望ましい。これらの目的を達成するために、前述した特徴同士を任意の適当な方法で組み合わせてもよい。
【0073】
また、コマンド設計は、ユーザやりとりの終了前に記憶素子が安全状態となるようにするのに役立つ前述した演奏開始機能等の他の機能の実施においても重要である。これに関して、本発明によって発行されるコマンドが、制御される装置のネイティブコードの複雑さを包含することは言うまでもない。介在するプロトコルの層が無ければ、かなりの度合いで、ここに教示した内容に基づいてコマンドを設計することができると思われる。コマンド設計者の自由となる制御事象を代表する他の特徴は、ヘッドおよびスピンモータの状態を含むが、これらに制限されない。後述するように、本発明は、コマンド実行における要素として、環境状態を考慮する。
【0074】
ここで、装置300の1つの考えられる実施形態の外観図を示す図5aに注目する。装置300は、この開示内容全体に記載されたものに関して前述した特徴および概念のどれを選択的に組み込んでいてもよい。したがって、装置は、2つ以上の別個の従来装置の機能を組み合わせたハイブリッドを備えていてもよい。具体的には、装置300において、無線電話または携帯電話とデジタル音楽プレーヤとの組み合わせが実施される。装置は、ハウジング450と、ユーザが利用し易いキーパッド452と、ユーザの耳の近くに位置させることができるスピーカ領域454と、ハウジング450上の適当な場所に収音部を有するマイクロホン(いずれも図示せず)と、表示スクリーン460とを有している。記憶素子320は、衝撃絶縁機能を使用して、ハウジング450内に装着されているが、この図面で見ることはできない。デジタル音楽を演奏する能力が与えられているため、装置300は、図2に参照符号325で示されるような音声出力ジャックを更に有している。音声出力ジャックは、例えばオーディオヘッドホン364または個人的な聴取に適した任意の他のイヤホン装置に対して選択的に接続することができる。また、出力は、オーディオまたはコンピュータシステムに設けられていてもよい。前述したように、装置300は、ハウジングの適当な場所にデジタルインタフェース(図2のインタフェース328参照)を組み込んでいてもよい。このようにすれば、少なくともデジタル音楽または記憶素子に保存された他のデータを監視して制御するために、装置をユーザのコンピュータに接続することができる。また、本発明は、データを共有するための他の同一のポータブル装置を含むがこれに限定されない他のポータブル装置に装置300を接続することを考えている。
【0075】
ここで、図5aとともに、図5bを参照して、主にそのデジタル音楽モードおよび対応する機能に関する装置300の動作を示す一連のスクリーン場面について説明する。図5bは、選択メニューがユーザに対して提示される装置300のスクリーン460を示している。ユーザは、例えばキーパッド452上の上下の矢印キー464、466をそれぞれ使用することにより、「電話」または「プレーヤ」のいずれかを選択することができる。この実施例においては、ユーザがプレーヤオプションを選択すると仮定する。
【0076】
プレーヤモード選択後、図5cは、スクリーン460上に与えられる1つの考えられる表示を示している。プレーヤモード入力時、ユーザは、プレーヤを既に使用している場合、それを通話によってのみ中断させ、あるいは、演奏リスト中のある時点で何らかの理由により再生を停止することができることは言うまでもない。したがって、「演奏再開」、「演奏リストをもう一度見る」、「新しい演奏リストを作成する」、「前のメニュー」を含む4つの選択を有するメニューが与えられる。「演奏再開」を選択すると、再生が最後に停止または一時停止された時点の前に選択された演奏リストの演奏が開始される。そのような前に選択された演奏リストは、ユーザがそれを交換することを選択する時まで、電子記憶装置312(図2参照)内で依然として利用することができる。「演奏リストをもう一度見る」を選択すると、ユーザは、記憶素子上で利用可能な前に作成した任意の演奏リストを選択することができる。演奏リストは、キーパッド452およびディスプレイ460を使用して作成されても良く、あるいは、USBインタフェースポート(図2)または他の適当なインタフェース装置を介して装置300と接続される外部コンピュータを使用して作成されてもよい。前者のプロセスは、「新しい演奏リストを作成する」を選択することによって開始される。「前のメニュー」を選択すると、ユーザは、図5bの表示に戻される。
【0077】
図5dを参照する。この図5dでは、図5cにおいて「演奏リストをもう一度見る」が選択されたと仮定する。この選択に応じて、演奏リストメニューが図5dに示されている。この例は、演奏リスト1から3および「追加の演奏リスト」を選択するための選択肢の表示を示している。この際、更に他の演奏リストが利用できる場合には、「追加の演奏リスト」選択を表示し続けると共に、演奏リスト4から6に対応する選択(図示せず)が表示されてもよい。ここに記載された演奏リストには、一般に、番号が付けられているが、ユーザは、各演奏リストに関連して表示されるカスタマイズされた名前を作成することができる。例えば、アーティストの名前および作品のタイトルの少なくとも一方が表示されてもよい。
【0078】
図5dのスクリーン上の演奏リストのうちの1つを選択すると、図5eのスクリーン460が提示される。「曲1」、「曲2」、「曲3」の選択肢が与えられる。これらのうちの任意の1つを選択すると、電子記憶装置300により、対応する曲の再生が開始する。
ここでも同様に、曲には、一般に、番号が付される。しかし、ユーザには、直ちに、例えば実際の曲のタイトルを使用して曲名をカスタマイズする選択肢が与えられる。図5eでは、「追加の曲」を含む更なる選択肢が選択されてもよい。「追加の曲」は、次の3つの曲選択を与え、また、演奏リストが無くなるまで繰り返されてもよい。「演奏リストをロードする」を選択すると、ユーザは、図5dの表示に戻される。あるいは、ユーザは、既存の演奏リストを修正するため、あるいは、新たな演奏リストを作成するために、「演奏リストを編集する」を選択してもよい。
【0079】
図5dおよび図5fを参照すると、記憶素子320で利用できるが電子記憶装置312で現在利用できない図5dの表示に示される演奏リストのうちの1つを選択するには、対応するデータを記憶素子から電子記憶装置に転送する必要がある。前述したように、データアクセス中に記憶素子を保護したい場合には、データ転送中に、図示の「ローディング」スクリーン又はこのような表示と類似する表示がユーザに与えられてもよい。このスクリーンは、記憶素子がその前述した安全状態になっていない時に対応して与えられてもよい。
【0080】
図5fと共に、図5gを参照すると、記憶素子がその安全状態に戻った後、「演奏」および「前のメニュー」の選択がユーザに与えられる。一般に、この状況において、ユーザは、即座に聴ける演奏リストの利用可能性を待っている(すなわち、図5fの表示を参照)とともに、「演奏」を選択するために図5gの表示が与えられるまで数秒待たなければならなくなる可能性が非常に高いと考えられる。したがって、ユーザには、記憶素子がその安全状態になった後においてのみ、再生を開始する選択肢が与えられる。前述したスクリーン表示のいずれも、本発明の範囲内で、任意の適当な方法により修正することができる。
【0081】
ここで、図3を再び参照して、記憶素子300の一部としての電子部品の配置および動作の特定の態様に注目する。特に、チャンネルIC500は、フレキシブル回路330の主部330bを介して電気通信により物理的に支持されている。また、プリアンプIC502もフレキシブル回路の主部330b上に支持されている。フレキシブル回路上にチャンネルICを位置決めしたことに伴う1つの利点は、記憶素子の一部としてプリント回路基板(PCB)を設ける必要性がなくなるという点である。言及すべき点は、フレキシブル回路の主部330bがフレックスキャリアプラットフォーム356の周囲に「巻回」されており、これにより、フレックスキャリアプラットフォームの下側で信号ルーティングおよび構成部品をフレキシブル回路上に搭載できるという点である。この実施例において、そのように位置決めされる1つの構成部品はサーボICである。無論、そのような構成部品は、この図面では見えない。フレキシブル回路の主部330bは、適当な接着剤の使用を含むがこれに限定されない適当な方法で、プラットフォーム356に対して接着されてもよい。
【0082】
一見すると、これらの3つのICを記憶素子内に簡単に配置できるように思える。しかしながら、チャンネルIC500の場合、これをフレキシブル回路上に配置するためには、些細なことでもなく又分かりきったことでもない多くの厄介な問題を解決しなければならない。これらの厄介な問題の殆どは、フレキシブル回路上で受けるノイズに関連している。フレキシブル回路によって伝えられる様々な信号には、例えば、「シャープエッジ」とも呼ばれる極端に速く上下する時間と共にデジタルに形成される制御信号が含まれる。
当業者であれば分かるように、そのような高レベル制御信号のエッジは、放射エネルギの形態を成すかなり大きい障害(interference)を生じる。同時に、未加工データは、センサ装置346によって読み取られた後、チャンネルIC500へ向かう途中で、プリアンプIC502を通過する。低信号レベルの未加工データと制御信号とが組み合わされてフレキシブル回路に存在すると、低レベル信号が改悪される可能性があり問題である。フレキシブル回路上のチャンネルIC500によって行なわれる処理もまた、更なる問題を引き起こす。
【0083】
チャンネルIC500の位置を更に考慮すると、当業者は、この障害の問題に対処するために、フレキシブル回路以外の殆どどこにでも、例えばプリント回路基板上に、チャンネルIC500を配置すると思われる。前述したIBMのマイクロドライブによって例示されるように、チャンネルICは、HDAの外側にあるPCBAの一部である。HDAから分離され且つHDAに対して別個の部品であるPCBAは、フレキシブル回路に存在する障害によって影響を受け難い。また、チャンネルICに関連する回路の領域に、特定の障害対策が組み込まれてもよい。そのような対策は、PCBA上で利用できる比較的膨大な空間に基づき、非常に複雑となる可能性がある。あるいは、当業者は、チャンネルICを装着するために、HDAアセンブリ内に別個のPCBを配置するかもしれない。この後者の配置も当業者にとって魅力的である。その理由は、PCBのおかげで、チャンネルICに障害が生じなくなるからである。従来技術に端を発し且ついずれかの形式のプリント回路基板上にチャンネルICを配置する際に適用できる1つの魅力的な態様は、プリント回路基板上への構成部品の配置がフレキシブル回路上へのそのような構成部品の配置に比べてかなり安価であるという事実に内在する。
【0084】
本発明は、低レベル信号(例えば1から1.8ボルト以下)を使用して信号特性を制御することにより、また、フレキシブル回路上の信号ルーティングおよびICピン配列位置により、前述した障害の問題を解決する。
【0085】
図2を参照し続けると、本発明は、フレキシブル回路330上にチャンネルIC500を配置することによって得られる特定の利点を認識している。制御装置および特定のHDAから最適な性能を得るためには、そのHDAの媒体とセンサとの特定の組み合わせに対してチャンネルICをカスタマイズしなければならない。すなわち、従来のハードドライブの通常の製造中に、チャンネルICがHDAとやりとりする特定の方法を制御するプログラミング工程を行なわなければならない。出願人は、更に他のチャンネルICをプログラミングする以外、そのような最適な性能を得るための他の方法を把握していない。したがって、最適な性能を得るため、本発明は、プログラミング後、「カスタマイズされた」チャンネルICがその対応するHDAと共に残っていなければならないことを認識している。従来、このカスタマイゼーションに向けられたプログラミング機能またはそれらを実行することに向けられた少なくともリソースは、ハードドライブのPCBA上のハードドライブコントローラに関連付けられたメモリ内にほぼ永久に組み込まれる。チャンネルカスタマイゼーションが無いと、低下した或いは「一般的な」性能とも呼ばれるものは、チャンネルとHDAとの特定の組み合わせによって得られる。
【0086】
'751特許を簡単に考慮して、出願人は、対応する制御装置を持つことなく特定のHDAに永久的に関連付けられたままであるチャンネルICをカスタマイズすることに関して教示が無いと考えている。この特許は、チャンネルICをHDA内、ホストコンピュータ内に配置すること、あるいは、チャンネルICをHDAとホストコンピュータとの間に分配することを示唆しているが、有益となるようにこれらの場所の任意の1つを選択することについては全く教示していない。したがって、一般的な性能しか利用することができないと思われる。
【0087】
分配形態でチャンネルICを配置し、あるいは、全体としてホストコンピュータ内に配置すると、チャンネルをカスタマイズすることが更に困難になる。特に、'751特許がモジュラーシステム手法を採用しており、HDA等の周辺装置がホストコンピュータから分離して設けられ且つ一般に様々な製造供給元から供給されていることは言うまでもない。そのようなモジュラーシステムの1つの利点は、エンドユーザでさえシステムを組み立て且つ必要に応じて構成部品を加えることができるという点である。これらの状況下では、エンドユーザの手元に一緒にやってくる構成部品の全てを用いても、HDAとチャンネルとの任意の特定の組み合わせのためにカスタマイズされたチャンネルを与えることはできない。この点に関し、本発明は、実務能力のないエンドユーザによるチャンネルカスタマイゼーションを考えている。製造中に通常行なわれるチャンネルカスタマイズ処理は、一般に時間がかかる。例えば、20GB(容量)のハードドライブのためにチャンネルをカスタマイズするには、簡単に60分から90分の時間がかかってしまう場合がある。チャンネルICのエンドユーザによるカスタマイゼーションの考えを回避せざるを得ない、止むに止まれぬ理由は、チャンネルプログラミングおよびテストプロセスが製造中に品質管理の意味で役目を果たすという事実により明らかである。すなわち、HDA/チャンネルの組み合わせは、仕様の閾値を超えて行なわないことにより、製造時に拒絶されてもよい。
【0088】
本発明は、受け入れられないとして製造メーカの力の及ばない場所にある品質管理機能の撤廃を考える。そのような製造本意の品質管理機能をエンドユーザに移すことも同様に想像を絶することであると考えられる。本質的に'751特許によって開示された選択肢は、一般的な性能レベルに甘んじることである。本発明は、この後者の選択肢を拒絶して、非常に有益で且つ今まで見たことが無い後述する解決策を提供する。
【0089】
図3を参照すると、記憶素子320のセンサ装置344および磁気媒体340に対してチャンネルIC500がカスタマイズされることを理解することがまず重要である。カスタマイズされたチャンネルを提供できる理由の1つは、任意の標準的な実用性から、記憶素子320の製造メーカによりチャンネルICを単にプログラム制御できるという認識にある。このようにして、付加価値再販業者は、例えばカスタマイズされたチャンネルを含む最適化された性能のために構成された記憶素子320を有する装置300等の装置を提供することができる。
【0090】
更に図3を参照して、チャンネルIC500に関連する更なる利点に注目する。具体的には、チャンネルICは、記憶素子の構成に関連する特定の情報を収容する不揮発性領域を含むチャンネル特性領域510を有している。この情報は、例えば、記憶素子の記憶容量と、システム構成を収容するディスクの領域の属性とを含んでいてもよい。チャンネル特性領域510を設ける目的は、記憶素子における予期される変化および一般的な変化の少なくとも一方が、記憶素子の他の部分、例えば処理装置302内の部分での変化を必要としないように、記憶素子を構成することにある。すなわち、ホスト装置全体内の処理装置は、例えば最初の起動シーケンス中にチャンネル特性領域を読み取って記憶素子に適切にアクセスできるように構成されてもよい。このようにすれば、処理装置の変更を必要とすることなく、1つの処理装置で様々な異なる記憶素子構成にアクセスすることができる。
【0091】
ここで、衝撃の作用から記憶素子を保護し且つ一般にその信頼性を高める本発明の多くの他の非常に有益な特徴に注目する。前述したように、HDDは、例えばヘッド装置を移動させることができる十分な衝撃を受けることにより1または複数のヘッドが媒体と接触すると、故障し易い。媒体の回転が無いと、故障は、通常、破滅的である。これは、ヘッドが媒体を貫き、その後、相対移動によってアクチュエータアームからヘッドが引き裂かれるためである。ヘッド装置を待機状態にするための1つの構成は、Morehouse等に対して発行された米国特許第4,933,785号(以下、Morehouseという)に記載されている。Morehouseは、ランプ内に形成されるある種の爪の中に収まることにより、ヘッド装置がその待機位置(パーキング位置)で受けられるランプに対して載置するランプ構造について説明している。
【0092】
ヘッド装置が待機位置(パーキング位置)に位置されると、一般に、衝撃によりヘッド装置が移動することを抑制するために、ラッチ装置が使用される。従来のランプパーキング装置および協働するラッチ装置は、一般にその意図する用途に適しているが、そのような装置は、今日まで未解決のままである特定の問題に依然として陥り易い状態にあると思われる。例えば、制御装置がヘッド装置のパーキングを開始してもよいが、ヘッド装置は、その待機位置(パーキング位置)へと完全に移動できないかもしれない。すなわち、ヘッド装置は、その一部のみがランプを上方に向かってスライドして爪に達しないかもしれない。あるいは、ヘッド装置は、ランプを非常に勢い良く滑り上がり、ランプの端部にあるハードストップ(硬いストッパ)にぶつかって跳ね返るだけかもしれず、その場合には、爪から離れて停止し、所定の位置から外れてしまう。いずれの状況においても、以後、ラッチ装置は、ヘッド装置の移動を規制することができない虞が非常に高い。これは、通常、ヘッド装置が少なくとも当初はその待機位置に配置される(すなわち、爪の中に収まる)という前提でそのようなラッチ装置が設計されるからである。また、特に、ヘッド装置を磁気媒体に向けてランプの下方に移動させようとする衝撃力において、移動を開始するために必要な力の大きさは、ヘッド装置が爪の中に収められた状態で開始する場合に比べて十分に減少する。同時に、制御装置(処理装置)は、直ぐにでも破滅的なドライブの故障を引き起こす可能性が高いこのような状態に気付かない。
【0093】
前述した説明から明らかなように、従来においては、環境に影響される電気機械データ記憶装置の動作状態に関連する少なくとも特定の態様または属性を監視する必要性を認識する点において欠けている。これに対し、本発明は、特にポータブル装置における実施に関して、この必要性を認識している。本発明の記憶素子に関連する属性としては、ヘッド装置の位置状態、スピンモータの回転状態、記憶素子の周囲の温度、周囲から受ける衝撃を挙げることができるが、これらに限らない。これらの属性に対する視点が与えられると、以下の多くの属性に関して後述するように、適当な応答が策定されてもよい。
【0094】
ここでは、図3および図6を参照して、非常に有益なアクチュエータアーム位置センサに注目する。これらの図は、待機位置に位置されたアクチュエータアーム344を示している。技術用語にしたがって、この位置は、「ヘッドアンロード」を持っていると称される。逆に言うと、「ヘッドアンロード」を持っているという用語は、磁気媒体340を読み取るためにアクチュエータアームまたはヘッド/トランスデューサ装置が位置決めされる位置であると言ってもよい。図6は、アクチュエータアーム344と、フレキシブルキャリアプラットフォーム356によって支持されたフレキシブル回路330の主部330bと、ランプ360とを含む記憶素子320の一部を示している。なお、この場合も同様に、フレキシブル回路は、フレキシブルキャリアプラットフォーム356をその間に「挟み込んでいる」。図示のアクチェータアーム位置センサの実施形態において、タブ510は、フレキシブルキャリアプラットフォームの一部を使用して一体に形成されており、その後、上側に折り曲げられる。図6に示されるように、フレキシブル回路のタブ部512は、フレキシブルキャリアプラットフォーム356の下側にあるフレキシブル回路の部位と一体に形成されている。フレキシブル回路のタブ部512は、例えば適当な接着剤を使用するなどの任意の適当な方法で、支持タブ510に取り付けられてもよい。タブ部512上には、タブ部512によって支持されて接点ボタン514が配置されている。この図では見ることができない導電トレースは、フレキシブル回路と一体に形成されるとともに、接点ボタン514と電気的に接続している。これにより、フレキシブル回路にアクセスする図2に示される処理装置302等の任意の監視装置において、接点ボタンの状態が電気的に監視される。接点ボタン514は、例えば半田突起、フレキシブル回路に形成される窪み、接点領域を「アウトセットする」フレキシブルキャリアプラットフォームの突起、あるいは、そのような設計思想の任意の適当な組み合わせを使用して形成されてもよい。フレキシブル回路およびキャリアプラットフォームを使用する必要がないことは言うまでもない。例えば、待機位置のアクチュエータアームと係合するように構成された固定接点が、記憶素子のハウジングそれ自体によるものを含む任意の適当な方法で支持されてもよい。また、フレキシブル回路とキャリアプラットフォームとの組み合わせの代わりに、基板を支持する構成部品が使用されてもよい。
【0095】
更に図6を参照すると、前述したように、フレキシブル回路の一部は、柔軟なアクチェータアーム接続部330cを備えている。この接続部の一部は、アクチェータアームによって受けられる位置から、アームの長さに沿って、接点支持面518によって支持された電気接点領域516へと延びている。接点支持面は、アクチュエータアームと一体に形成されていても良く、あるいは、アクチュエータアームと別個に形成されてアクチュエータアームに対して適切に取り付けられてもよい。電気接点領域516は、例えば接着剤を使用する等の任意の適当な方法で接点支持面に対して取り付け固定されてもよい。アクチュエータアーム344は、ランプ360に形成された爪520内に昇降タブ354が収まった待機位置に位置された状態で示されている。接点ボタン514および接点領域516は、アクチュエータアームが待機位置に位置された際に、これら2つの部材間で電気的な接触が維持されるように配置されている。この場合、弾性的な付勢力を加えることにより衝撃力が無い状態でそのような電気接点を所定の閾値以下に維持するため、フレキシブル回路の柔軟なアクチュエータアーム接続部330c(図3参照)が使用される。このため、任意の適当な方法で、柔軟なアクチュエータアーム接続アームすなわちダイナミックループが形成されてもよい。図3は、主に1つの曲げ部を有する形状を示しているが、図6に示されるように、「S」字カーブが特に有効であると考えられる。この接点構成の全体は、任意の多くの他の方法で当業者により変更できることは言うまでもない。例えば、アクチュエータアームは、一般に、グランド電位である。フレキシブル回路と接触するボタン514ではなく、ボタンは、ボタンとフレキシブル回路のトレースとがグランド電位で通信できるように、アクチュエータアームの接地された本体と接触してもよい。
【0096】
続けて図6を参照すると、他のアクチュエータアーム位置センサの実施形態が示されている。具体的には、ランプ360は、一対の破線524間に規定される導電性の部分(volume)522を有して形成されている。導電部分522それ自体は、待機位置で昇降タブ354と接触する滑走面526を形成する。導電部分522は、フレキシブル回路330bの近傍のランプの最下面まで延びている。外部との通信のための対応するトレースを有する接点パッド(図示せず)がフレキシブル回路の一部として形成され、これにより、ランプの導電部分とフレキシブル回路の接点パッドとの間で電気的な接触を維持してもよい。この構成において、ランプ360は、例えば、ランプの非導電部分にテフロン(登録商標)を使用し且つ導電部分522にカーボンが充填されたデルリン(登録商標)を使用する射出成形によって形成されてもよい。昇降タブは、一般に、アクチュエータアームとの電気的な通信により、グランド電位にある。昇降タブ354が滑走面に接触すると、導電部分522およびフレキシブル回路の対応するトレースがグランド電位になる。無論、昇降タブを接地する代わりに、別個の電気的に絶縁された導体(図示せず)をアクチェータアームの長さに沿って昇降タブへと配線して、昇降タブ354上の適当な構成を使用して滑走面526と接触させてもよい。
【0097】
ヘッド装置位置監視機構およびアクチェータアーム位置監視機構の両方の実施形態に関しては、この開示内容の全体を考慮すれば、当業者であれば、無限の数の変更を成すことができることは言うまでもない。そのような変更の全ては、添付の特許請求の範囲内に属すると考えられる。アクチュエータアーム位置監視構成が実施される特定の態様にもかかわらず、その使用によって得られる利点は、適切な観点から後述するように、広範で且つ今まで利用できなかった向上を多数の分野に与えることであると考えられる。
【0098】
ここで、図7を参照すると、破線のボックス内に示されるように、アクチュエータアーム位置監視回路が全体的に参照符号600で示されている。このアクチュエータアーム位置監視回路は、一般に、記憶素子の一部を形成するとともに、概略的に図示され且つ破線ボックス内にスイッチの形態で参照符号602により示される本発明のアクチュエータアーム位置監視センサと協働する。アクチュエータアーム位置監視センサの形態は、前述したように、あるいは、適当な変更を加えることにより、任意の形態を使用することができる。回路600は、信号ドライバ604、606と、フリップフロップ608と、ビットt,z,c,x,yで示された5ビット情報を記憶するデータレジスタ610とを有している。レジスタ610は、前述した処理装置302にアクセスすることができる。前述したように、暫定ICが使用される特定の実施形態において、レジスタ610は、1または複数の製造供給元固有のコマンドを使用して、処理装置によりアクセスされてもよい。あるいは、レジスタは、処理装置によって直接に読み取られる。後述するように、アクチュエータアーム位置決め装置へと繋がるラインと共に、ドライバ606の出力を引き出すために、レジスタR1がV+電源に接続されている。
【0099】
処理装置302は、ビットx,yを使用してアクチュエータアーム位置監視回路600の状態を読み取る。ビットyは、アクチュエータアーム位置センサの現在の状態を示している。信号ドライバ604は、yレジスタ位置およびフリップフロップ608のクロック入力部の両方に対して現在の状態値を供給する。他の実施形態では、Dが高い論理レベルに設定されてもよい。この実施例においては、フリップフロップ608のD入力部が接地される。xレジスタ値は、後述するように、フリップフロップ608の出力部Qを含んでいる。回路が「真の」値としていずれかの論理値を簡単に使用できるようになっているため、状態表示に関するこの説明では、一般に、高(high)論理レベルおよび低(low)論理レベルが使用されないことは言うまでもない。したがって、アクチュエータアームセンサが閉位置にあることを示す値は、真であると見なされる。zレジスタは、処理装置302によって要望通りに設定できる信号ドライバ606のイネーブル入力部に供給されるイネーブル信号を含んでいる。tレジスタ位置により、処理装置302は、zレジスタ位置に記憶された適当な値によって信号ドライバ606が動作可能になると、ドライブされる論理値を信号ドライバ606の出力部に供給することができる。このようにすると、試験機能が与えられ、これにより、アクチュエータアームセンサスイッチが開位置にあるか否かにかかわらず、選択された値を信号ドライバ606の出力部に入力することができる。その後、処理装置302によるアクセスのため、信号ドライバ604を介して試験値をレジスタy内で利用することができる。yレジスタの記憶場所から読み取られる試験値は、その後、回路の適切な動作を確認するために、処理装置により期待値と比較され得る。
【0100】
記憶素子の動作中にアクチュエータアーム位置センサの状態を監視するため、アクチュエータアームが待機位置から離れるように移動する際に、フリップフロップ608が最初に処理装置302によってリセットされてもよい。すなわち、cレジスタ位置を使用してアクチュエータアーム位置センサスイッチが開いている(偽の)間、xレジスタ値がリセットされる。したがって、媒体340(図3)のアクセスが継続している最中に、xレジスタおよびyレジスタの記憶場所の両方が偽の値を記憶する。しかしながら、アクチュエータアームが待機位置へと意図も簡単に戻ってしまうと、xレジスタ値およびyレジスタ値が変化してしまう。最初に、アクチュエータアームが待機位置に達することにより、昇降タブ354が適切に爪520の中に収まると仮定する。アクチュエータアーム位置センサ(前述した任意の実施形態におけるセンサ)が真の状態へと切り換わると、信号ドライバ604によって真の値が与えられる。この値は、レジスタの記憶場所yに記憶される。同時に、真の値は、フリップフロップ608のクロック入力部に与えられる。フリップフロップのクロック入力部に供給される電圧波形のエッジにより、フリップフロップの出力が真の値に切換えられ、その後、この真の値は、フリップフロップのQ出力部から供給されると、レジスタの記憶場所xに保存される。すなわち、xレジスタおよびyレジスタの両方が真の値を記憶する。処理装置302は、この状態を読み取ると、アクチュエータアームが待機位置に位置していると実質的に判断する。以上は、「通常の」形態の待機(パーキング)を説明している。すなわち、アクチュエータアームは、昇降タブ354をランプ360の傾斜面に沿って滑り上がらせて爪520に収容係止させることができる十分なエネルギをもって、磁気媒体とアクセスする位置から離れる。
【0101】
アクチュエータアームが正常に待機位置に位置された際に監視回路600に対して行なわれている結果を説明してきたが、ここでは、通常の態様でアクチュエータアームが待機位置に達しない様々なシナリオについて考える。第1のシナリオにおいては、アクチュエータアームが不十分なエネルギ量をもって簡単に移動し、これにより、昇降タブ354がランプ360の傾斜面と係合するが爪520に到達しない。この場合、x値およびy値の両方が偽のままである。処理装置302は、この状態を検出すると、アクチュエータアームが待機位置に位置していない、すなわち、アンロードされていないと実質的に判断する。当業者であれば分かるように、その点において、このシナリオでは、記憶素子または任意のHDDは、破滅的な故障を起こす危険が高い。本発明は、適切な観点から後述するように、この危険の明確な表示を形成することにより、適当な救済措置をその後に行なうことができるようにする。
【0102】
アクチュエータアームが正常に待機位置に位置しない第2のシナリオにおいて、アクチュエータアームは、ボイスコイルモータにより加えられる過度な力をもってロード位置から離れる。この場合、アクチュエータアームは、一般に、アクチュエータアームがランプ360を行き過ぎてしまうことを防止するストッパ(図示せず)にぶつかるように形成されていることは言うまでもない。しかし、残念ながら、アクチュエータアームは、ストッパに当って跳ね返る場合がある。アクチュエータアーム位置センサ回路600は、最初に、xレジスタおよびyレジスタの両方において、真の値に切り換わる。しかしながら、跳ね返りの結果として、その後、yレジスタ値が偽に切り換わる。処理装置302は、xが真の値で、yが偽の値であると判断する。一般に、xレジスタおよびyレジスタにおいて見られるこの状態は、跳ね返りを示している。この配置構成を使用する記憶素子またはHDDも破滅的な故障の危険がある。この判断時、後述するように、ボイスコイルモータに供給されるドライブ信号の変更を含む救済措置が処理装置302によって執られてもよい。
【0103】
ここで、アクチュエータアーム344のボイスコイルモータ端部346の部分断面図である図8に注目する。ボイスコイル350は、下側磁気プレートアセンブリ348と上側磁気プレートアセンブリ630との間に位置して示されている。マグネット632は、下側磁気アセンブリの一部を形成して、上側アセンブリと下側アセンブリとの間に静磁場を形成する。アクチュエータピボット351も示されている。ボイスコイル350を通過して下側磁気プレートアセンブリと上側磁気プレートアセンブリとの間で延びる磁束線が参照符号634で示されている。本出願人は、アクチュエータアームのボイスコイル端部が両方向矢印636で示される方向で共振周波数を示すことを認識した。更に重要なことには、本出願人は、ボイスコイルが磁場内に位置されているため、本発明の記憶素子の動作における動作属性として記憶素子の衝撃環境を監視することを目的とする、非常に有益な技術および装置のための機会が与えられることを認識した。
【0104】
図8と共に図9を参照して、記憶素子320の衝撃環境を監視することに関して詳細に説明する。前述した説明を考慮すると、アクチュエータアームの面と直交する成分を有する衝撃力を記憶素子が受けることに伴い、アクチュエータアーム344のボイスコイルモータ端部が、その共振周波数で、データアクセスのためのその動作面と垂直に振動することは言うまでもない。したがって、ボイスコイル350は、矢印636で示される方向に動く。ボイスコイルは磁束線634に晒されているため、この動きに応じて、ボイスコイルにより電圧が形成される。この電圧の形成は、出願人により経験的に確認された。図9は、衝撃電圧を利用するための全体的に参照符号700で示された1つの考えられる衝撃監視回路を示している。ボイスコイル350は、概略的に示されている。ボイスコイルは、それ自体制御回路によって駆動される一対のドライバ702、704に対して電気的に接続されている。なお、簡単のため、制御回路は図示されていない。調整回路706は、ボイスコイル内で誘導される衝撃電圧信号を取り出すためにボイスコイル350の両端に接続された高インピーダンス入力部を有している。調整回路706は、例えば増幅およびフィルタリング等の任意の必要な機能を有していてもよい。誘導される衝撃電圧の信号レベルが非常に小さいことから、信号を有用なレベルに高めるためには、無論、ボイスコイルモータ装置の特定の構造および検出される衝撃レベルに応じて十分な増幅率が必要であることは言うまでもない。
【0105】
図9の回路の説明を続けると、コンパレータ708は、信号調整器395aの出力と、「sens」で示されるライン上に供給されるコンパレータの設定入力値とを比較する。前記ラインは、処理装置302の制御下であってもよい感度調整としての機能を果たす。また、処理装置は、様々な動作状況に基づいて感度調整を変えてもよい。また、感度は、工場での較正処理中に設定されてもよい。現在の感度設定を超える衝撃電圧がコンパレータに与えられる場合、コンパレータ708は、D型フリップフロップ710のクロック入力部によって受けられる方形波出力を形成する。フリップフロップ710のD入力は、高論理レベルまたは低論理レベルに設定される。図示の状態は後者である。コンパレータ708から入力エッジを受けると、フリップフロップ710は出力Qを切換させ、その後、出力Qは、ビット「s」としてレジスタ712にロードされる。前述したレジスタ610と同様に、レジスタ712は、記憶素子内で或いは処理装置302に近いホスト側でロードされてもよい。それを処理装置302によって読み取ることができる場合には、任意の記憶場所が適している。フリップフロップ710は、処理装置302によって制御されるラインに接続されたそのクリア入力部を使用してリセットされる。フリップフロップは、sビットを読み取った後直ちに、あるいは、継続中の処理動作の範囲内でリセットされてもよい。処理装置302は、sビットが設定されることを検知すると、後述するように、多くの他の方法で応答してもよい。
【0106】
前述したように、図2を参照すると、記憶素子の衝撃安全状態を入力するには、センサ/ヘッド装置344を待機位置に位置させるまたはアンロードすることが必要である。この点に関し、本発明は、記憶素子320の信頼性を確保するためには、ヘッド装置の位置を認識することが重要であると考えている。本発明のヘッド装置検出機能に関して幾つかの実施形態を説明したが、ここでは、この機能を多くの非常に有益な技術との関連で使用することに注目する。
【0107】
本発明の衝撃環境検出装置は、特に、ポータブルの用途で使用することを意図する記憶素子302等の装置において非常に有益であると考えられる。前述したように、本発明の衝撃監視機能により、処理装置は、記憶素子を使用してデータ記憶または検索を開始する前に、装置300の衝撃環境の大きさを測定することができる。この機能は、記憶素子の動作に対する衝撃の影響を緩和するため、前述した任意の他の手段と簡単に組み合わされる。また、ポータブル装置内に記憶素子を緩衝取付することによって生じる衝撃力の減衰を明らかにするため、衝撃環境は記憶素子自体内で検出される。また、衝撃を監視できることは、記憶素子の検査および開発中において非常に有益であり、また、ボイスコイルモータを使用するHDDを含む任意の形態の装置に簡単に適合する。
【0108】
まず、従来においては、ヘッド装置を待機位置に位置させるという特定の目的のために、多くのアルゴリズムが開発されてきた。そのようなアルゴリズムは、この意図する目的のため、様々な異なる方法で実施されてもよい。したがって、各アルゴリズムは、1または複数のパラメータを組み入れて動作してもよい。この場合、各パラメータは、ヘッド装置が実際に適切に待機位置に達する信頼性または可能性に影響を与える。そのようなパラメータとしては、例えば、待機位置への移動時にボイスコイルモータを駆動させるために使用される駆動電流の大きさ、待機位置への移動が開始されるヘッド装置の特定の位置、ヘッド装置の速度を挙げることができる。したがって、本発明は、パーキング(待機動作)の信頼性を向上させるため、特定のアルゴリズム内で使用される任意のパラメータの調整に絞って考える。すなわち、任意の1つのパラメータまたはパラメータの組み合わせを調整する効果は、ここで説明する教示内容によって認識できる。
【0109】
ここで、図10を参照すると、本発明にしたがって行なわれるパーキング較正方法が全体として参照符号800で示されている。較正方法800は、ステップ802で開始される。ステップ802では、適用される特定のパーキングシーケンスまたはアルゴリズム内でパラメータの初期値が設定される。したがって、初期値は、任意の適当な方法で作られた値を表わしてもよい。その後、パラメータの初期値を使用して実際にパーキングシーケンスを実行することにより、ステップ804が進行する。その後、ステップ806により、本発明のヘッド位置インジケータの読み取りが行なわれる。その後、ステップ808は、使用されるパラメータの特定の値に対してインデックスが付与されたこの特定のパーキングシーケンス実行の結果を保存する。ステップ808の後、ステップ810では現在のパーキングシーケンスの結果を検査する。このシーケンスが故障の(機能しない)場合、実行は、ステップ812に移行する。このステップ812では、要求の通りに、1または複数のパラメータが修正される。前述したように、1つの重要なパラメータは、ボイスコイルモータ装置を駆動させてヘッド装置を待機位置に移動させるために駆動信号として使用される信号の大きさまたは持続時間である。図では、便宜上、このボイスコイルモータ駆動信号を修正することに関してパラメータ変更が記載されてもよい。この技術は、実質的に任意のパラメータに対して同様に適用することができ、したがって、決してボイスコイルモータ駆動信号に限らないことは言うまでもない。
【0110】
ボイスコイルモータ駆動信号の場合、最初のパラメータ設定は、パーキングシーケンスの各連続する繰り返しに伴ってある所定のインクリメントにより変更される特定の大きさを使用してもよい。この場合、ボイスコイルモータ駆動を特定の大きさから増大および減少することにより、一般に、故障状態が起こることは言うまでもない。1つの例において、駆動電流を十分に増大させると、パーキング装置のヘッド装置跳ね返りが生じる。すなわち、ヘッド装置は、待機位置を2回通過する。他の例において、駆動電流を十分に減少させると、ヘッド装置の勢いが不十分となり、待機位置に完全に達することができない。
したがって、ボイスコイルモータ駆動電流は、上側故障値および下側故障値の両方、すなわち、閾値を表わすパラメータを例示する。すなわち、このパラメータは、最適な値を見出すために上下の調整が可能である。1つの特徴において、最適な値は、故障が生じる上側の大きさと下側の大きさとの間の大きさの約半分である値として選択されてもよい。この指針を依然として等しく適用できるように、他のパラメータも同様に上側故障値および下側故障値を表わす。上限故障値および下限故障値の両方を有するパラメータに関して較正シーケンスを行なう場合、上限故障値と下限故障値との間で規定される動作範囲からほぼ確実に外れるより高い大きさまたは低い大きさからパラメータを変えることが有益であるかもしれない。このようにすれば、較正処理は、上限値と下限値との間の動作範囲全体を通り抜ける又は通過し、これにより、パラメータの考えられる大きさの全範囲を1回通過するだけで、上限値および下限値の両方を見出すことができる。パラメータ修正の後、実行はステップ404に戻り、修正されたパラメータを用いてパーキングシーケンスが開始される。
【0111】
更に図10を参照すると、ステップ810がパーキングシーケンスの故障を検出しないと、ステップ814が始まる。このステップ814は、パラメータの特定の形態においてパーキングシーケンスが繰り返された総回数を監視する。パラメータ設定の現在の形態がN回繰り返されない場合には、実行がステップ804に戻る。パーキングシーケンスは、一般に、パラメータの各形態毎に、ここではNで示される統計的に十分な回数だけ繰り返され、これにより、その特定の形態においてヘッド装置が待機位置に達する可能性が定められる。例えば、N=100であってもよい。待機位置に到達させようと100回試みた際の1つの故障は、一般に、許容できないと見なされ、故障閾値を示す。
【0112】
一方、現在のパラメータの形態がN回うまく繰り返された場合には、ステップ816が開始される。ステップ816では異なる形態のパラメータ設定を用いてパーキングシーケンスを繰り返すか否かに関して決定が成される。異なる形態のパラメータ設定を用いてパーキングシーケンスを繰り返す場合には、ステップ812が実行され、これにより、パラメータが修正され、再びステップ804へと移行する。ステップ816の特定の実施がパーキングシーケンスによって使用される特定のアルゴリズムに依存していることは言うまでもない。したがって、パラメータ設定は、特定のアルゴリズムに適する方法で修正されてもよい。この場合、当業者であれば、この開示内容全体を考慮して、現在知られた或いは開発される任意の周知のアルゴリズムパラメータ設定を修正できると考えられる。1つの考えられる実施は、最初に最も重大であると見なされるパラメータのうちの1つを最適化する。その後、パラメータアルゴリズムによって規定されるパラメータ群内の他のパラメータが個別に修正されてもよい。更に他の修正としては、複数のパラメータに対して同時に成される変更を挙げることができる。
【0113】
製品開発の状態に応じて、様々な較正処理が使用されてもよい。例えば、最初の生産工程で製造される特定数のユニットで比較的多数のパラメータ形態を使用して、最適なパラメータのセットに関してかなり徹底的な検索を行なってもよい。最適なパラメータの最初のセットを見出すと、少数のパラメータ形態を使用して、パラメータ較正プロセスを若干緩和できる。
【0114】
実行対象の全てのパラメータ修正が完了したことをステップ816が判断すると、パラメータ形態で使用される全ての値を含む可能性セットを利用できる。ステップ818が行なわれ、これにより、可能性セットを使用して、動作目的で使用されるパラメータのセットが選択される。パラメータの最適なセットを選択する際に、多くの様々な対象が課されてもよい。前述したように、1つの考えられる選択は、「2値」パラメータの場合、上側故障値と下側故障値との間の中間を選択することにある。しかしながら、他の対象が考慮されてもよいことは言うまでもない。ボイスコイルモータ駆動電流パラメータの実施例においては、電源節約のため、下限故障値にやや近い大きさが選択されてもよい。この対象は、特に、バッテリ電源で動作するポータブル装置の場合に適用できる。
【0115】
1つの非常に有益な特徴において、ステップ820は、ヘッド装置を使用して、最適化されたパラメータを磁気媒体に保存する。記憶素子の動作中、これらのパラメータは、以下に適切な観点から説明するように、処理装置により検索されて使用される。したがって、製造される各ユニットおよび全てのユニットは、後述するように、パーキング較正および他の動作態様に関し、カスタマイズされたパラメータセットを用いて動作してもよい。
【0116】
ここで、図11を参照すると、非常に有益なパラメータトラッキング方法が全体として参照符号900で示されている。なお、このトラッキング方法は、後述するように、前述した較正処理に付随して行なわれてもよい。製造ラインが全体として参照符号902で示されている。この製造ラインは複数の記憶素子320を有しており、これらの記憶素子320は、製造ラインから外れて方法900へと導入される。まず、この方法は、記憶素子で生じる変化を追跡記録する際に有益であるが、少なくともこれらの変化が重大なレベルに達するまで、これらの変化が気付かれないままとなるかもしれないことは言うまでもない。記憶素子から成る様々な構成部品が様々な製造供給元から供給されると考えられるため、製造供給元が成り行きまかせの許容誤差または組成変化に気付かない場合には、これらの構成部品のうちの1つにおける十分な変化により、最終的に致命的な問題が動作中に生じる可能性がある。本発明は、そのヘッドセンサ位置表示装置を使用することにより、性能のある特徴的な態様に関して、トラッキング性能ドリフトをもくろんでいる。この技術全体を、以下、「傾向特徴付け」または「パラメータトラッキング」と称する。
【0117】
更に図11を参照すると、方法900は、ステップ904で最初に開始パラメータを定めることにより開始される。開始パラメータを設定することに関しては、幾つかの異なる手法を使用してもよいことは言うまでもない。1つの手法において、パラメータは、待機位置へ到達し損ねることが実質的に確保されるように設定されてもよい。この時、上限故障値および下限故障値の両方を有するパラメータの場合、パラメータは、動作値または動作値の範囲であると分かるものの方向で調整されてもよい。このようにして、要求通りに、各パラメータ、パラメータのサブセットおよびパラメータの全セットの少なくとも一方における故障閾値が定められてもよい。他の手法において、パラメータは、最適化された状態あるいは少なくとも動作状態であると考えられるもので初期化される。その後、パラメータは、故障閾値に向かって1方向または両方向で調整される。この場合も同様に、各パラメータの故障閾値を見出し且つパラメータのサブセットおよびパラメータの全収集物における対応する故障閾値を見出すために、各パラメータが調整されてもよい。故障閾値が存在するパラメータにおける値の任意のセットを故障形態と称してもよい。
【0118】
ステップ906は、開始パラメータの最初のセットを使用して、パーキングシーケンスを実行する。なお、この開示内容全体にわたるパーキングシーケンスの実行は、磁気媒体から読み取るためにヘッド装置が位置決めされると開始され、あるいは、パーキングシーケンスアルゴリズムが開始されるようになっている幾つかの所定の非待機位置から開始される。実際に、この開始位置は、パーキングシーケンスアルゴリズムのパラメータのうちの1つを含んでいてもよい。開始位置は、パーキング装置に最も近い下限故障値または閾値と、パーキング装置から更に若干離れる上限故障値とを規定してもよい。
【0119】
その後、ステップ908は、ヘッド装置が待機位置に達したか否かを定めるため、ヘッド位置を読み取る。ステップ910においては、その後の使用のために、ステップ908の結果が記録される。その後、ステップ912は、パーキングシーケンスが繰り返された回数を検査する。この場合、パーキングシーケンスは、パラメータの特定の設定において任意の回数繰り返され、これにより、この設定でパーキングの可能性を十分正確に判断できるようにしてもよい。1つの変形例として、このパーキングシーケンスの繰り返し中、1つの故障の発生により、処理をパーキングパラメータの修正へと移してもよい。
【0120】
特定のパラメータ設定においてパーキングシーケンスをN回繰り返したら、ステップ914は、ステップ910で記憶された結果を考慮して故障閾値が見出されたか否かを定める。故障閾値が見出されなかった場合、ステップ916は、使用されたパーキングアルゴリズムに一致する方法でパラメータ設定を修正する。その後、ステップ906が再びパーキングシーケンスを実行する。動作は、新たなパラメータ設定に関して故障閾値が見出されたか否かを定め続ける。パーキングパラメータの特定の形態に関して故障閾値が見出されると、ステップ918は、故障形態を保存して、異なるパラメータ、パラメータのサブセットまたはパラメータ群全体に対して方法が適用されるか否かを判断する。異なるパラメータに方法が適用される場合には、前述したプロセスが繰り返される。異なるパラメータに方法が適用されない場合、ステップ920は、対象のその全ての故障形態の形で検査されている当該特定のユニットにおける結果を記録する。その後、ステップ922は、検査される他のユニットをチェックする。したがって、各生産工程から任意の数のユニットが検査されてもよい。更に重要なことには、このプロセス全体は、長期間にわたって適用することができる。例えば、特定の型式番号を有して製造される記憶素子の数全体にわたって適用できる。その時々に、ステップ924が使用され、これにより、これらのユニットの全てにわたって、記録された故障形態と特定の値とが比較される。その後、ステップ925が使用され、連続するユニットの製造における故障値の傾向が定められる。すなわち、近い将来の問題を防ぐことができる。一例として、ランプ360(図3参照)を形成する組成の変化により摩擦係数が上昇する傾向がある場合、ヘッド装置を待機位置に位置させるために必要な駆動電流に関して記録された下側の故障閾値は、上昇傾向として観察される。この傾向情報を得たら、電流の所要の大きさの上昇を引き起こしているものを確かめる調査が開始されてもよい。このようにして、任意の数の発展中の問題が特定されてもよい。本出願人は、このプロセスを非常に有益であると考えている。なぜなら、確かめられた故障閾値とは別個に動作状態をうまく維持できるからである。
【0121】
図10および図11に示される方法800,900はそれぞれ簡単のために別個に記載されているが、この開示内容全体を考慮して、これらの方法を組み合わせることができることは言うまでもない。すなわち、任意の特定のパーキングアルゴリズムにおいてパラメータにおける故障形態によって包括的に捉えられる閾値が定められると、基本的に前述した較正および傾向トラッキング情報の全てを決定することができる。この場合、この教示内容が適用される限り、記載された方法のステップは、次々に変更され、かつ、任意の適当な方法で修正される、の少なくとも一方であってもよい。また、これらの方法は、殆どどのようなハードディスクドライブの製造にも適用できると考えられる。最適化されたパーキングアルゴリズムの利益は、ここに開示された教示内容を適用することにより、任意のハードディスクドライブの信頼性を著しく高める。
【0122】
較正および傾向トラッキングのために本発明のヘッド装置検出機能を使用することについて説明してきたが、ここでは、記憶素子の動作中、あるいは、無論、本発明のヘッド装置検出機能を有するように製造される任意のハードディスクドライブの動作中にこの機能を使用する特定の態様に注目する。前述したように、特にヘッド装置が待機位置にある場合、任意のハードディスクタイプの記憶装置の動作の信頼性を確保するには、ヘッド装置の位置を認識することが重要である。すなわち、例えば外的な衝撃力を受けることにより、ヘッド装置が誤ってその待機位置から離れると、そのトランスデューサは、磁気媒体ディスクと回転不能に接触する結果、磨滅する可能性が高い。本発明のヘッド装置検出機能は、まず第1に、ヘッド装置が待機位置またはアンロード位置に受けられたことを実際に確認できるため、非常に有益である。更に、ヘッド装置が待機位置に受けられたことを最初に確認するため、要望通りに、その状態を再度確認することができる。以下、本発明のヘッド装置検出機能を使用する1つの特定の用途について説明する。
【0123】
図12を参照すると、本発明にしたがって行なわれる高性能パーキング制御監視シーケンスが全体として参照符号1000で示されている。方法1000は、装置300内で処理装置302により行なわれる。しかしながら、任意の形式のハードディスクドライブ装置での使用に方法を簡単に適合できることは言うまでもない。方法1000はステップ1002で始まる。このステップ1002においては、パーキングシーケンスが開始される。使用されるパーキングシーケンスは、例えば前述した非常に有益な較正処理800を使用して特定され且つ選択された値を有するパラメータを使用してもよい。この場合も同様に、この方法の全体のコンテキスト内で任意の適当なパーキングアルゴリズムが使用されてもよい。ステップ1002の後のステップ1004で、処理装置は、ヘッド装置の位置状態を読み取る。その後、ステップ1006は、この読み取りに基づいて表示を生成する。表示は、多種多様な異なる方法で与えられてもよい。1つの特徴において、処理装置による受信のために、割り込みが形成されてもよい。他の非常に有益な特徴においては、表示が生成されてレジスタ内に記憶される。レジスタは、処理装置によるその後のアクセスのため、記憶素子自体の中に配置されていてもよい。また、処理装置がレジスタにアクセスする限り、レジスタは、装置全体内の適当な場所に配置されていてもよい。この読み取りは、任意の適当な方法で行なわれてもよい。例えば、処理装置は、ヘッド位置検出装置を直接に読み取ることができる。変形例として、図3に関して説明したレジスタ610が読み取られてもよい。例えば、レジスタ610のx,yビット毎の表示が適切に待機位置に位置されるヘッド装置を示す場合には、停止ステップ1008が実行される。
【0124】
一方、ヘッド装置が待機位置に位置されていないことをビットが表示する場合には、同じパラメータ設定を使用して更なるパーキングシーケンスが実行されるステップ1010が行なわれる。その後、ステップ1012がリカバリシーケンスカウンタ(図示せず)をインクリメントする。言うまでもなく、リカバリシーケンスカウンタは、パーキングシーケンスがその最初のパラメータ設定を使用して繰り返される回数を数える。その後、ステップ1014は、パーキングシーケンスが繰り返された回数を検査する。このシーケンスは、限界値に達するまで続く。限界値は、例えば、1から任意の有用な試み数までの範囲で設定されてもよい。
【0125】
限界値に達すると、ステップ1016は、方法の最初の部分で使用されるパーキングシーケンスとは異なる終了パーキングシーケンスを行なう。終了パーキングシーケンスは、多くの様々な検討材料を考慮して作られてもよい。例えば、終了パーキングシーケンスは、レジスタ610内のビット設定を考慮してパラメータ設定を変えてもよい。具体的には、前述したように、ビットの一方が設定され且つ他方のビットが設定されていない場合には、ヘッド装置は、パーキング装置に当って跳ね返る可能性が高い。したがって、終了パーキングシーケンスのために、ボイスコイルモータ駆動電流に対応するパラメータの大きさが減少する場合がある。一方、両方のビットが設定されていない場合には、ヘッド装置は、勢いを欠いているため、待機位置に達しない可能性が高い。したがって、終了パーキングシーケンスでの使用のため、ボイスコイルモータ駆動電流に対応するパラメータの大きさが増大する場合がある。ステップ1016の後、ステップ1018は、ヘッド装置の位置の状態を再び検査する。
【0126】
目的をはっきりさせるため及び説明を簡単にするため、ステップ1016およびステップ1018は、組み合わせた状態で、1つのパススルーとして終了パーキングシーケンスを示しているが、この終了パーキングシーケンスは、前述した方法400の較正処理とある関係を成す繰り返しプロセスを包含してもよいことは言うまでもない。すなわち、パラメータの大きさは、パーキングシーケンスの繰り返しに伴ってインクリメンタルステップで(段階的に増大する状態で)変化されてもよい。その場合は、各変化の結果を検査することを伴う。
【0127】
ステップ1020は、ヘッド装置の位置の最終チェックを行なう。待機位置表示(パーキング表示)が得られる場合、処理が停止ステップ1008で終了してもよい。ヘッド装置が待機位置に位置されていないことを表示が示し続ける場合、ステップ1022は、明らかに回復不能な問題が生じたことを装置のユーザに示す通知を形成する。通知は、例えば音声形式および視覚的形式の少なくとも一方などの任意の適当な形式で与えられてもよい。前述した処理は、任意の数の動作上の検討材料に適するように修正されてもよい。例えば、パーキングシーケンスがそのパラメータの任意の形態に伴って繰り返される回数は、少なくとも部分的には、装置の全動作にわたって課される時間的な制約により制御されてもよい。記憶素子またはそのような他のハードディスクドライブタイプの装置の寿命延長の可能性を高める目的で、プロセス全体に対して更に他のステップが加えられてもよい。例えば、ヘッド装置が待機位置に位置されるという表示を得るため、終了パーキングシーケンスの故障後、磁気媒体の外径の外側にヘッド装置のトランスデューサを保持しようとするレベルでボイスコイルモータ駆動信号が発行されてもよい。
【0128】
本発明のヘッド位置検出装置およびその非常に有益なプロセスにおける用途について説明してきたが、本発明が従来技術を超える大きな利点を与えることは言うまでもない。ここで説明した任意の方法と同様に、方法1000を構成する順序付けられた一連のステップおよび個々のステップの特定の設計およびこれらの組み合わせの少なくとも一方は、この開示内容を考慮して当業者によって変更されるように、本発明の範囲内に入ると考えられる。
【0129】
図2と共に図13を参照して、ここでは、全体として参照符号1100で示される非常に有益な検査/プログラミングボードに注目する。ボード1100は、プロセッサ1102と、コントローラ1104と、チャンネルプログラミングルーチン部1106と、製造プロセス中にフレキシブル回路330(部分的に示されている)の自由端を一時的に受け入れるように構成されたコネクタ1108とを有している。コネクタに対する取り付け・取り外しサイクルが繰り返し成される場合には、前述したコネクタ332がコネクタ1108として使用されてもよい。この場合、ボード1100は、チャンネルIC500をカスタマイズするために製造中に記憶素子320と一時的に係合するように物理的に構成される。この物理的な接続は、例えばプラスチッククリップを使用して成されてもよい。ボード1100および記憶素子320の物理的な構成は、当業者の能力の範囲内で限りない数の方法で達成することができるため、特定の物理的な構成は図示されていない。例えば、デジタル記憶装置とプログラミング装置とを着脱自在に電気的に接続するために、電気相互接続装置は、記憶素子の一方の部分を形成する第1の部分と、検査/プログラミングボードの他方の部分を形成する第2の部分とを有していてもよい。一実施形態において、前記相互接続装置の第1の部分および第2の部分の一方は、一組の弾性接点部材を有していても良く、第1の部分および第2の部分の他方は、チャンネルのプログラミング時の使用のために弾性接点部材に対して電気的に接続可能な一組の接点パッドを有していてもよい。
【0130】
チャンネルプログラミングルーチン部1106は、適当な形式のメモリー(例えばRAMと組み合わされるROM)を備えている。このメモリーには、ネイティブコード命令をコントローラ1104に発行するために処理装置1102によって実行されるプログラミングがロードされる。コントローラ1104は、従来のハードドライブコントローラと基本的に同じ形態で構成される。すなわち、コントローラ1100は、チャンネルIC320をカスタマイズするための要件として記憶素子320のネイティブコードを実行するように構成されている。ボード1100は、カスタマイゼーション機能および検査機能を自動で完了し、その後、表示部1110を使用してプロセッサ1104からの結果を与えるように構成されていることは言うまでもない。一例として、緑色光1112および赤色光1114が特定の記憶素子の状態に関して合格/不合格表示を与えることができる。例えば問題のある製造上の不安を一切絶つために、LCDディスプレイ(図示せず)を使用して、要求通りに、更に詳細な情報が与えられてもよい。
【0131】
更に図2および図13を参照して、検査ボード1100および記憶素子320を用いた検査ボード1100の一般的な使用法について説明してきたが、ここでは、多くの対応する利点および特徴について説明する。チャンネルIC500をカスタマイズするために必要な機能が装置300に必要ないことを十分理解することは重要である。カスタマイゼーションプロセスは、製造中に1回行なうだけで済む。これは、本発明において、カスタマイズされたチャンネルが記憶素子に残ったままであるからである。この特徴により、装置300に関連する製造コストを節約することができる。また、カスタマイゼーション・検査プロセスに向けられたコントローラ1104の任意の機能は、装置300には不要である。前述したように、装置300の処理装置320は、記憶素子のネイティブコードを実行する。基本的に、処理装置302は、コントローラ1104において必要とされる検査機能を必要とすることなく、1つの役割においては、コントローラ(制御装置)としての機能を果たす。この場合、チャンネルプログラミングを実行するためにエンド装置においてアップグレードされたプロセッサが必要になるような事態を回避できる。従来の装置と本発明の記憶素子との間の事前の互換性を本発明がもくろんでいることは言うまでもない。すなわち、前述したように、記憶素子の動作専用の処理能力は、特定の装置のアーキテクチャに既に存在するプロセッサの未使用の能力に意図的に制限されてもよい。同時に、本発明の教示内容は、未だ開発されない「アップグレードされた」装置で簡単に実行され、これにより、これらの装置における更なる性能向上が図られる。
【0132】
経費削減の検討材料に直接に適用できる検査ボード1100に関する他の利点は、任意の1つの製造プロセス全体のコンテキスト内で限られた数の検査ボードが必要とされることに基づいて見出される。すなわち、検査ボードの必要数は、任意の時点でチャンネルプログラミングに利用できる記憶素子の数によって制限される。このようにして、多数の記憶素子をチャンネルプログラミングして且つ検査するために、長い時間にわたって1つの検査ボードが使用されてもよい。このような構成が無いと、記憶素子320にコントローラを不要にしたことに伴う節約が相殺されることは言うまでもない。この場合、1回だけ、あるいは、非常に限られた数の機会だけ検査ボードを使用できた。
【0133】
従来の製造手順および検査手順とのその互換性により、更なる利点が本発明によって与えられる。特に、検査ボード1100が最初に記憶素子と物理的に接続され、その後、チャンネルプログラミングおよび検査を行なった後、記憶素子から検査ボードが取り外される製造プロセスにたった2つの殆ど重要でないステップのみが加えられる。この点に関し、コスト削減を図るために製造プロセスの十分に著しい改良が必要とされる場合には、最終的に使用するエンド装置で得られるコスト削減はかなり重要となり得る。
【0134】
記憶素子、記憶素子が使用される装置、ここに開示された対応する方法は、様々な異なる形態で与えられても良く、また、様々な異なる手段で方法が実行されてもよいため、本発明の思想または範囲から逸脱することなく、多くの他の特定の方法で本発明が具現化されてもよいことは言うまでもない。したがって、この実施例および方法は、例示的で且つ非制限的なものであると見なされるべきであり、本発明は、ここに与えられた詳細な内容に限定されず、添付の特許請求の範囲内で変更することができる。
【0135】
結論として、この開示内容では、デジタル記憶素子が開示されている。装置は、ネイティブ制御コードに応じてユーザによりアクセスできる記憶素子を含むように構成されている。処理装置は、装置全体を制御するための制御プログラムを実行するとともに、記憶素子とインタフェースをとるための前記制御プログラムの一部としてネイティブ制御コードの少なくとも一部を実行する。プログラミング装置は、記憶素子内の読取チャンネルをカスタマイズするための装置とは別個に設けられる。起こり得る衝撃作用を緩和するために、コマンド、ユーザやりとり、データ転送実行について説明されている。ヘッド位置および衝撃を含む記憶素子に関する状態表示が与えられる。ヘッド位置状態を使用するため、較正処理、検査処理、動作監視処理について説明されている。全体性能を追跡記録する際および設計検討の際に、故障形態監視が行なわれる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザインタラクションに応じるように構成されたデジタル装置であって、
第1のユーザインタラクションに規定された転送データよりも少ない容量を持つ電子メモリー装置と、
ユーザによる使用に向けて転送データの第1の部分が入手できる容量まで前記電子メモリー装置を満たすための前記転送データの第1の部分で前記電子メモリー装置をロードする処理装置であって、前記処理装置は、第1のユーザインタラクションの間に前記転送データの前記第1の部分によって前記電子メモリー装置のローディングを始動し、前記転送データの前記第1の部分は前記ユーザによる第1のユーザインタラクションの始動に応じて前記電子メモリー装置にロードされる処理装置とをそなえ、
前記処理装置は、さらに前記転送データの第2の部分を前記電子メモリー装置にロードして使用された前記転送データの前記第1の部分を置き換え、前記転送データの前記第1の部分および前記転送データの前記第1の部分の未使用部分が前記電子メモリー装置に同時に格納され、前記処理装置は前記第1ユーザインタラクションに続いて起きる第2ユーザインタラクションの間に前記転送データの第2の部分にローディングを始動するように構成され、ハードディスクを用いる全てのデータ転送処理がユーザインタラクションの間に始動されるデジタル装置において、
前記処理装置は、データ転送の目前であることを示す最も可能性のある指示を特定するように構成されたことを特徴とするデジタル装置。
【請求項2】
請求項1記載のデジタル装置において、
データ転送の目前であることを示すイベントが次のうちの一つであるデジタル装置。
ユーザが前記デジタル装置の選曲メニューを見るとき;
ユーザが前記デジタル装置の“プレイ”ボタンを押すとき;および
ユーザにより行われるメニュー駆動の選択処理中に装置動作がプレーヤ指向の動作に移行するとき。
【請求項3】
請求項1記載のデジタル装置において、
前記デジタル装置が、ユーザによりアクセスされた継続中のデータアクセスを見込んでハードディスクドライブを始動させることを特徴とするデジタル装置。
【請求項1】
ユーザインタラクションに応じるように構成されたデジタル装置であって、
第1のユーザインタラクションに規定された転送データよりも少ない容量を持つ電子メモリー装置と、
ユーザによる使用に向けて転送データの第1の部分が入手できる容量まで前記電子メモリー装置を満たすための前記転送データの第1の部分で前記電子メモリー装置をロードする処理装置であって、前記処理装置は、第1のユーザインタラクションの間に前記転送データの前記第1の部分によって前記電子メモリー装置のローディングを始動し、前記転送データの前記第1の部分は前記ユーザによる第1のユーザインタラクションの始動に応じて前記電子メモリー装置にロードされる処理装置とをそなえ、
前記処理装置は、さらに前記転送データの第2の部分を前記電子メモリー装置にロードして使用された前記転送データの前記第1の部分を置き換え、前記転送データの前記第1の部分および前記転送データの前記第1の部分の未使用部分が前記電子メモリー装置に同時に格納され、前記処理装置は前記第1ユーザインタラクションに続いて起きる第2ユーザインタラクションの間に前記転送データの第2の部分にローディングを始動するように構成され、ハードディスクを用いる全てのデータ転送処理がユーザインタラクションの間に始動されるデジタル装置において、
前記処理装置は、データ転送の目前であることを示す最も可能性のある指示を特定するように構成されたことを特徴とするデジタル装置。
【請求項2】
請求項1記載のデジタル装置において、
データ転送の目前であることを示すイベントが次のうちの一つであるデジタル装置。
ユーザが前記デジタル装置の選曲メニューを見るとき;
ユーザが前記デジタル装置の“プレイ”ボタンを押すとき;および
ユーザにより行われるメニュー駆動の選択処理中に装置動作がプレーヤ指向の動作に移行するとき。
【請求項3】
請求項1記載のデジタル装置において、
前記デジタル装置が、ユーザによりアクセスされた継続中のデータアクセスを見込んでハードディスクドライブを始動させることを特徴とするデジタル装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図5g】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図5f】
【図5g】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−44853(P2010−44853A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−227810(P2009−227810)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【分割の表示】特願2003−529465(P2003−529465)の分割
【原出願日】平成14年9月12日(2002.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(504101038)コーニス、インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CORNICE, INC.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【分割の表示】特願2003−529465(P2003−529465)の分割
【原出願日】平成14年9月12日(2002.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(504101038)コーニス、インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】CORNICE, INC.
【Fターム(参考)】
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