説明

デスクシステム

【課題】天板上で精度良く適切な力で固定することができ、形状の自由度が大きい配線蓋を有するデスクシステムを提供する。
【解決手段】天板要素21下の配線空間を開放するように天板要素21に形成された開口部21fと、開口部21fを閉止するように天板要素21上に配置されるとともに取外し自在に構成された配線蓋71、72とを備えるとともに、天板要素21の開口部21fと配線蓋71、72とに永久磁石71d〜74dを各々設け、それらの永久磁石71d〜74dを、開口部21fを閉止する位置に配線蓋71、72を配置した際に互いに対向する位置関係に設定するとともに、吸引力を生じるように対向磁極面71d1〜74d1を形成して構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板下の下肢空間を広く使用可能なデスクシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デスクシステムとして、矩形天板を直線状に連ねて大型矩形状テーブルを構成し、複数の者が着座して事務作業を行うことを可能にしたものが一般に良く知られており、その中に下記特許文献1に記載されているものがある。このものは、連結を行う天板の増減を可能に構成されるとともに、隣接する天板間に設けられる中間脚の接地巾を小さくし、かつ、奥行き方向にも小さくして反使用縁側で接地させることによって、天板下の下肢空間を広げて快適な作業空間を確保できるようにされている。
【0003】
また、様々な作業スタイルに対応できるように、様々な形状のデスクシステムも提案されており、例えば下記特許文献2に記載されているものがある。このものは、単体では扇形または長方形状の単板を有するテーブルを複数個連結することで、円形または楕円の多人数用の連結テーブルとして構成することが可能となっており、こうすることで周囲より内向きに複数の者が着座することができるようになっている。
【0004】
さらに、天板の下は電力供給用や信号伝達用のケーブルを通すための配線空間として利用されることが多く、これらのケーブルを天板上に取り出して作業を行うことを容易にするため、天板上にケーブルの取出口として開口部が設けられ、通常はこの開口部を塞いでおくために嵌め込み式の配線蓋を備えた構成が数多く提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−295853号公報
【特許文献2】実公昭54−36801号公報
【特許文献3】特開平05−285014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献3に記載されるような嵌め込み式の配線蓋を構成する場合には、その配線蓋を受ける部分が必要となるとともに、両者の間で係合部を構成して軽い力で外れないようにする必要があった。
【0007】
しかしながら、この係合部における係合強さは部品の製作精度によって大きく左右されるために、個体によっては配線蓋の開閉に強い力が必要となるとともに、所定の場所に位置合わせすることが困難となる場合があった。
【0008】
また、上記特許文献1および2に示されているように、近時ではさまざまな形状や構成を有するデスクシステムが必要とされており、こうしたデザインに合った配線蓋の登場も望まれている。すなわち、天板が曲線を主体とする形状を有するものである場合には、その天板形状に即した一体感を生じさせるため、配線用の開口部や配線蓋も同様の曲線を有するデザインとすることが望まれる。
【0009】
しかしながら、このような曲線を主体とした形状とする限り、上述の係合部を構成することはさらに困難となってしまう。
【0010】
本発明は、このような課題を有効に解決することを目的としており、具体的には、位置決め機能を失うことなく安定した力で開閉を行うことが可能であるとともに、配線蓋の形状の自由度が大きいデスクシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0012】
すなわち、本発明のデスクシステムは、天板下の配線空間を開放するように天板に形成された開口部と、当該開口部を閉止するように前記天板上に配置されるとともに取外し自在に構成された配線蓋とを備えるとともに、前記天板の開口部と前記配線蓋とに永久磁石を各々設け、それらの永久磁石を、前記開口部を閉止する位置に前記配線蓋を配置した際に互いに対向する位置関係に設定するとともに、吸引力を生じるように対向磁極面を形成したことを特徴とする。
【0013】
このように構成しているため、係合構成を採らなくても永久磁石の作用によって自動的に心出しがなされて配線蓋の位置決めを容易に行うことができる。さらに、配線蓋および開口部周辺の加工精度を低くすることができ、製作コストおよび組み立て工数を低減することが可能となる。
【0014】
また、前記天板の開口部と前記配線蓋とに各々設けた永久磁石の各対向磁極面を前記天板と略平行に形成するように構成しているため、磁気による吸引方向を天板に対する略垂直方向とすることができるため、閉止時の配線蓋の位置をより安定させることができる。
【0015】
また、前記永久磁石が、前記天板の開口部と前記配線蓋との間で対をなしつつ複数個ずつ各々設けられており、異なる対をなす永久磁石を離間させて配置させるように構成しているため、配線蓋によって開口部を閉止させた際に、互いの回転方向も規制されてより容易に位置決めを行うことが可能となる。
【0016】
また、前記天板の開口部に設ける複数個の永久磁石の対向磁極面同士および前記配線蓋に設ける複数個の永久磁石の対向磁極面同士をそれぞれほぼ同一となる平面上に配置するように構成しているため、均等に磁気吸引力を作用させて、閉止時の配線蓋の位置をより安定させるとともに、開口部に凹凸を生じさせずに構成することができるため、配線蓋の着脱を容易に行うことができるようになる。
【0017】
また、前記配線蓋が前記開口部の閉止時に当該開口部の内部に挿入されるガイド部と、前記開口部より大きな鍔部を備えているように構成しているため、閉止時の配線蓋の位置をより安定させることができるとともに、鍔部が天板上に常に露出するためにこの部分を持って容易に取外しを行うことができるようになる。
【0018】
また、前記開口部に設ける永久磁石を、当該開口部に取り付けられる枠体によって支持させるように構成しているため、開口部に設ける永久磁石をより位置精度良く簡単に取り付けることが可能となる。
【0019】
さらに、前記天板が扇形に形成されているとともに、前記開口部が前記天板の外周縁に沿った位置で扇形に形成されており、前記配線蓋が前記開口部に対応した扇形に形成されるように構成しているため、天板の形状と開口部の形状を類似させて美観を向上させるとともに、開口部と配線蓋との位置関係を良好に保つことができる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明した本発明によれば、配線用の開口部を塞ぐための配線蓋を精度良く位置決めするとともに、適切な力で安定して開閉を行うことができるとともに、配線蓋の形状の自由度が大きいデスクシステムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係るデスクシステムの斜視図。
【図2】同デスクシステムの平面図。
【図3】図2の一部を拡大した部分断面平面図。
【図4】同デスクシステムの一部を分解した分解斜視図。
【図5】同デスクシステムにおける支持脚と湾曲パネルとの連結方法を示す要部分解斜視図。
【図6】同デスクシステムにおける支持脚と湾曲パネルに対する扇形天板要素の連結方法を示す要部分解斜視図。
【図7】同デスクシステムにおける扇形天板要素同士の連結方法を示す裏面方向から見た要部分解斜視図。
【図8】同デスクシステムにおける扇形天板要素と支持脚と湾曲パネルに対する弾性パネルの連結方法を示す要部分解斜視図。
【図9】同デスクシステムにおける弾性パネルに対する下枠の取付方法を示す要部分解斜視図。
【図10】同デスクシステムにおける扇形天板要素より一部の配線蓋を取り外した状態を示す要部拡大斜視図。
【図11】同デスクシステムにおける扇形天板要素より配線蓋と配線蓋受けとを取り外した際の要部分解斜視図。
【図12】同デスクシステムにおける下枠の構成を変形した変形例を示す要部分解斜視図。
【図13】同デスクシステムにおける湾曲パネル要素および弾性パネル要素と扇形天板要素との連結構造を変形した変形例を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0023】
この実施形態のデスクシステムは、図1に示すように、9個の扇形天板要素21〜21を連結してC形に構成される天板としての部分環状天板2を備えており、この内周側を着座位置とすることができるようになっている。また、この部分環状天板2は2〜9個の範囲で連結させる扇形天板要素21〜21の個数を変更して構成することが可能となっている。
【0024】
部分環状天板2は一箇所に開口部2aが設けられており、この部分より人の出入りが可能に構成されている。そして、部分環状天板2を支持するための支持脚3として、端部支持脚31、31および中間脚32〜32が設けられている。このうち端部支持脚31、31は、開口部2aに隣接する扇形天板要素21、21の開口部2a側の側縁に設けられている。また、中間脚32〜32は各々扇形天板要素21〜21同士の連結部の下に設けられており、同時に2つの扇形天板要素21、21を支持するようにされている。このため、部品点数を少なく構成できて製作コストおよび組立工数を削減することを可能とするとともに、下肢空間を最大限に広げることができるようにしている。
【0025】
各扇形天板要素21〜21に対応して、その下側の下肢空間を設置面近傍までの範囲で外周側より隠蔽する幕板としての湾曲パネル要素41〜41と、上側の作業空間を外周側より隠蔽するパネル素材としての弾性パネル要素51〜51と、この弾性パネル要素51〜51を取り付けるための下枠61〜61とが各々設けられている。湾曲パネル要素41〜41および弾性パネル要素51〜51は、ともにパネル要素として構成されるとともに部分環状天板2の外周に沿って連続する非平面パネルを構成する。
【0026】
このデスクシステム1を上方より見た平面図を図2に示す。各扇形天板要素21〜21は全て同一形状で平面視扇形に構成しており、中心が略同一となるように配置して隣接するもの同士の側縁21a〜21aを突き合わせつつ連結するようにしている。また、図2および図3に示したように、各扇形天板要素21〜21の内周縁21c〜21cは連結されることで同一の曲率の一個の円弧として扇形天板要素21の内周縁2cを構成する。同様に、各扇形天板要素21〜21の外周縁21b〜21bも一個の円弧としての外周縁2bを構成する。
【0027】
図1を用いて上述したように、各扇形天板要素21〜21は支持脚3としての端部脚31または中間脚32によって支持されている。具体的には、端部脚31および中間脚32は図3に示す位置に配されており、各扇形天板要素21〜21の側縁21a〜21aの下側で、かつ外周縁21b〜21bよりに設けている。より具体的には、端部脚31は開口部2aに面する位置に設置されており、その接地部31bは長さLeとして平面視で扇形天板要素21の外周縁21bより奥行き方向中央を越える範囲に形成している。また、中間脚32は扇形天板要素21〜21の側縁21a、21aを突き合わせた連結部を跨がる位置に設置されており、その接地部32bは、長さLiとして扇形天板要素21の外周縁21bより奥行き方向中央までの間の範囲に形成している。すなわち、端部脚31の接地部31bの長さLeと中間脚32の接地部32bの長さLiとの間にはLe>Liの関係がある。さらに、接地部31a、31bは外周側と内側の二点、すなわち上記Le、Liを形成する両端部で少なくとも接地するように形成されていれば良く、こうすることで適切に扇形天板要素21を各々支持することができる。
【0028】
このように接地部31b、32bを構成することによって、開口部2a(図1参照)に隣接する扇形天板要素21、21は比較的広い範囲で設置領域を確保でき安定して支持することができるようになっている。また、これらの開口部2aに隣接する扇形天板要素21、21の間に挟まれた他の扇形天板要素21〜21は設置領域の形成される範囲が小さいものの、後述するように隣接する扇形天板要素21〜21との間で互いに支持し合うことによって安定して支持できるようになっている。
【0029】
以下、本実施形態のデスクシステム1の構成についてさらに詳細に説明を行う。
【0030】
開口縁2aに面する扇形天板要素21とこれに対応する部材を、図4に分解図として示す。この扇形天板要素21は端部脚31および中間脚32に連結されて、これらにより支持される。また、支持脚3である端部脚31および中間脚32には湾曲パネル要素41が連結されるとともに、その上部には弾性パネル要素51が下枠61とともに連結されるようになっている。後述するように、弾性パネル要素51は可撓性を有する平板状のパネル素材として形成しており、形状確定手段52の作用によって湾曲した形態とすることができるようになっている。また、下枠61はその湾曲形状を保持するための枠部材としても機能している。
【0031】
扇形天板要素21は上面21dを平面として形成されるとともに、使用縁となる内周縁21cにはエッジ部材22が設けられている。エッジ部材22を取り付けることにより、美観を高めるとともに触り心地のよい適度なR形状と弾性を付与することができる。外周縁21b側には、小さな扇形形状に切り欠かれて形成された配線蓋用開口部21f、21g、21gが、中央部および両端部付近にそれぞれ設けられている。なお、本図では配線蓋は省略して記載している。
【0032】
また、扇形天板要素21の下面21eには、隣接する扇形天板要素21との連結に用いるための連通溝21i〜21iが各側縁21a、21aに向かって形成されており、これらの連通溝21i〜21iと連続するように連結用凹部21h〜21hが形成されている。さらには、下面21eの側縁21a〜21a近傍には支持脚3、3と連結するためのネジ穴21p〜21pが設けられている。また、下面21eにおける外周縁21b近傍の位置には、ブラケット23、23と連結するためのネジ穴21q、21qが設けられており、ブラケット23、23を介して湾曲パネル要素41と連結することができるようになっている。また、上記ネジ穴21q、21qから側縁21a、21a寄りとなる位置には別のネジ穴21r、21rが設けられており、ブラケット24、24を介して下枠61と連結を行うことができるようになっている。
【0033】
端部脚31および中間脚32は、上部に平面状の天板受け部31a、32aを各々形成されており、それらの下側には所定の厚みを有する中空パネル状に構成された接地部31b、32bが各々設けられている。端部脚31においては天板受け部31aと接地部31bがほぼ同一の長さに形成されているため、外観上一体としてみることができる。これに対して、中間脚32の天板受け部32aは、端部脚31の天板受け部31aとほぼ同一の奥行き方向長さとしているが、上述したように接地部32bは端部脚31の天板受け部31bよりも短く形成されている。そのため、天板受け部32aは接地部32bよりも内側に向かって大きく張り出した形状になっている。
【0034】
なお、接地部31b、32bは、上述したように下面全体が設置面に対して接地することは必須ではなく、それぞれの下面の奥行き方向の両端近傍に高さ調整機構を有する足部材等を別に設けるなどしてもよい。
【0035】
湾曲パネル要素41は、扇形天板要素21の湾曲に沿った外側に凸となる湾曲形態で構成されており、扇形天板要素21の下方より接地面近傍までの範囲を外部より覆うことができるように構成している。この湾曲パネル要素41は、金属鋼板の板金加工およびネジ止めや溶接等による一体化によって所定の厚みを有する中空パネル状に構成している。なお、この内部は単なる中空に限らずペーパーハニカムなどを心材として配置するなど種々の形態にすることが可能である。
【0036】
なお、湾曲パネル要素41の下面を接地面に当接するようにして、支持脚3〜3と同様に扇形天板要素21〜21の重量を受けるための支持部としての機能を持たせることも可能である。
【0037】
湾曲パネル要素41の上部には弾性パネル要素51を取り付けるためのパネル取付構造5を備えている。また、弾性パネル要素51は可撓性を有する平板状のパネル素材によって形成されており、湾曲パネル要素41とほぼ同一曲率で湾曲させた状態とするための形状確定手段52を前記パネル取付構造5が備えるように構成している。
【0038】
弾性パネル要素51は湾曲して形成された下枠61と一体化された状態で湾曲パネル要素41の上部に取り付ける。また、第1端部枠66および第2端部枠67を重ね合わさせた状態で溶接して一体化した後、両者の間により長手方向に沿って形成される溝の内部に弾性パネル要素51の端部脚31側の側縁を嵌め込むようにして設けるとともに、中間脚32側の側縁に中間枠68を設けるようにしている。中間枠68は弾性パネル要素51と隣接する別の弾性パネル要素(図示省略)との間で共通して設けられることで、両者の間に隙間を設けることなく連結することができるように構成している。さらに、弾性パネル要素51の上縁には下枠とほぼ同一の曲率で湾曲して形成された上枠69が設けられている。
【0039】
上記パネル取付構造5とは、弾性パネル要素41に上記の下枠61、上枠69、第1端部枠66、第2端部枠67、中間枠68を含むとともに、これらを扇形天板要素21に対して連結するためのブラケット24、24を含むものである。また、上記形状確定手段52とは弾性パネル要素51の湾曲形状を規定するものであり、これを取り付けるための複数の取付部としてのブラケット24、24、支持脚3(31、32)、および下枠61を含むものとして構成している。
【0040】
以下、図5〜図9を基にして本デスクシステムの組立方法について詳細に説明する。
【0041】
なお、図5、図6および図8は、一例として開口部2a(図1参照)に面する位置の扇形天板要素21を中心とした部材間の組立方法を示すものとして記載しているが、開口部2aに面しないものであれば支持脚3が2個の中間脚32によって構成されることになる。
【0042】
まず、図5に示した支持脚3としての端部脚31および中間脚32は、上述したように各々天板受け部31a、32aとこれらを支持するパネル状に形成された接地部31b、32bとから構成されており、取り付ける湾曲パネル要素41の中心に向かって配置する。接地部31bの内側の側面には湾曲パネル要素41を取り付けるためのネジ穴31b1、31b1が上下に離間しつつ2箇所に設けられている。同様に、接地部32bの両側面には湾曲パネル要素41を取り付けるためのネジ穴32b1〜32b1が各々2箇所に設けられている。また、接地部32bの上部には、電気配線等を通すための連通孔32b2が両側面を貫通するようにして設けられている。
【0043】
湾曲パネル要素41には、上記端部脚31および中間脚32に設けられた上側のネジ穴31b1、32b1に対応する位置に連結部41a、41aが設けられているとともに、下側のネジ穴31b1、32b1に対応する位置に連結部41b、41bが設けられている。連結部41a〜41bは湾曲パネル要素41の両端部より内側方向に張り出すように形成されており、このうち連結部41a、41aは中心に丸孔を有する矩形状の板部として形成され、連結部41b、41bは上方より棒状物に引っ掛けることができるフック状の板部として形成されている。
【0044】
端部脚31および中間脚32に設けたネジ穴31b1〜32b1と、湾曲パネル要素41に設けた連結部41a〜41bとを図示しないネジを介して連結することによって、端部脚31および支持脚32と湾曲パネル要素41とを連結することができる。このような状態とすることで、端部脚31と支持脚32とは適切な位置関係で配置されて自立することが可能となる
【0045】
同様にして、必要な個数だけ中間脚32を湾曲パネル要素41とともに連結していき、最後には再び端部脚31を連結する。
【0046】
上記のように組み立てた支持脚3および湾曲パネル要素41に対して、図6のように扇形天板要素21を組み付けていく。
【0047】
この際、事前に扇形天板要素21の下面21eに2つのブラケット23、23を取り付けておく。ブラケット23、23は逆L字形に形成されているとともに、上面には扇形天板要素21への取付用の孔部23a、23aが各々形成されている。また、下側先端には、湾曲パネル要素41と連結するためのフック状の連結部23bが形成されている。他方、湾曲パネル要素41には、上記ブラケット23、23の連結部23b、23bと対応して、内周面の2箇所に縦向きのスリット状の開口部として連結部41c、41cを形成している。
【0048】
各ブラケット23、23は、上面の孔部23a、23aと扇形天板要素21の下面21eに設けたネジ穴21rとを図示しないネジによって締結することで、扇形天板要素21の下面21eに取り付けられる。そして、ブラケット23、23の下部先端の連結部23b、23bを、扇形天板要素21の内周面の連結部41c、41cに引っ掛けるようにして係合させる。このようにして、扇形天板要素21を支持脚3および湾曲パネル要素41に対して位置決めするとともに、扇形天板要素21の下面21eを支持脚3の天板受け部31a、32aによって支持させる。
【0049】
本図では省略して記載しているものの、上述したように、湾曲パネル要素41〜41を介して必要な数だけ中間脚32が連結され、開口部2a(図1参照)に面する反対側の端部には端部脚31が再び接続される。そして、それぞれの支持脚3の上部には各々扇形天板要素21が設けられる。また、1個の中間脚32の天板受け部32bによって、2個の扇形天板要素21(、21)の側縁21a(、21a)を同時に支持するように構成している。
【0050】
このようにした状態で、図7のように、各扇形天板要素21、21を円周方向に連結する。その連結手段として、各扇形天板要素21、21には、その下面21eの側縁21a、21aには連続する連通溝21i〜21iが形成されるとともに、これらを挟むようにして連結用凹部21h〜21hが設けられている。そして、これらの内部にボルト25a、角座金25bおよび角ナット25cからなる締結具25、25を各々挿入する。締結具25、25は、ボルト25a、25aを締め込むことによってボルト頭と角ナット25cとの距離を狭めることができ、こうすることで隣接する扇形天板要素21、21の側縁21a、21a同士を密着させて締結を行うことができるようにしている。このように各扇形天板要素21〜21は、支持脚3(図6参照)および湾曲パネル要素41によって位置決めを行わせた状態で円周方向に連結させていく。
【0051】
さらに、図6に戻って、扇形天板要素21の下面21eに設けたネジ穴21p〜21pに対して、天板受け部31a、32aに各々設けた孔部31a1〜32a1を介してネジ(図示せず)を螺着させる。こうすることで、扇形天板要素21は支持脚3および湾曲パネル要素41と完全に一体化される。
【0052】
次に、上述のように組み立てた支持脚3、湾曲パネル要素41および扇形天板要素21に対して、図8のように、パネル取付構造5を設けて、このパネル取付構造5の一部を構成する弾性パネル要素51とその下縁51dに配される下枠61とを一体化させつつ取り付けていく。
【0053】
ここで、図9を用いて、弾性パネル要素51の下縁51dに設ける下枠61の構成について説明する。
【0054】
弾性パネル要素51は弾性アクリルパネルを素材として用い、単体では平板状のパネル要素として形成されており、下枠61等を介して取り付けられることによって所定の湾曲形状をなすように構成している。また、このアクリル素材として、透明なものや、白濁で透光性を有するものを使用することができる。下枠61は、弾性パネル要素51の下縁51dの近傍を挟み込むように設けられ、内周面側と外周面側に各々位置する湾曲ビーム要素62と湾曲板要素61とから構成される。さらに、上記湾曲ビーム要素62は、第1湾曲ビーム要素63と第2湾曲ビーム要素64によって構成される。
【0055】
なお、上記の構成を機能的に見た場合、湾曲ビーム要素62とこれと略同一の湾曲形状を有する湾曲板要素65とを近接して配置することによって、両者の間で湾曲ビーム要素62に沿って上方に開口した溝部61aを形成し、この溝部61aによって弾性パネル要素51を挟持しつつ湾曲形状を形成するものといえる。
【0056】
第1湾曲ビーム要素63、第2湾曲ビーム要素64および湾曲板要素65は、各々金属製の板を切断した上で、ほぼ同一の曲率で湾曲させて形成されている。これらに対して、弾性パネル要素51は十分弾性に富んだ可撓性を有しており、第1湾曲ビーム要素63、第2湾曲ビーム要素64、湾曲板要素65によって挟みこまれることによって、これらの形状に沿って撓むことができるようになっている。
【0057】
第1湾曲ビーム要素63、第2湾曲ビーム要素64および湾曲板要素65の中でも、第1湾曲板要素63は長手方向に湾曲しているのみではなく、長手方向に直交する断面で見た場合に、その中心部が内周側に向かってコ字状に突出した形状に折り曲げられている。そのため、長手方向に直交する方向への曲げに対して十分な強度を備えている。また、第2湾曲ビーム要素64はその下部に5箇所の矩形状の突出部64c〜64cを形成されている。
【0058】
また、第1湾曲ビーム要素63は上述したようにコ字状に突出した面に、後述するように支持脚3(図8参照)と連結するための端部ネジ穴63a〜63a、および扇形天板要素21(図8参照)と連結するための中間部ネジ穴63b〜63bが設けられている。
【0059】
さらに、第1湾曲ビーム要素63には、長手方向の両端部近傍に2箇所ずつ端部連結孔63c〜63cが設けられるとともに、これらの間で、かつ長手方向に離間した2箇所の位置に各々2個ずつ中間部連結孔63d〜63dが設けられている。また、このように第1湾曲ビーム要素63に設けた端部連結孔63a〜63aおよび中間部連結孔63b〜63bに対応するように、第2湾曲ビーム要素64にも端部連結孔64a〜64aおよび中間連結孔64b〜64bが設けられている。さらには、これらの位置に対応するように湾曲板要素65には止着部としての端部連結部65a〜65aおよび中間連結部65b〜65bが円形の突出部が各々形成され、その中心は外周面に貫通しない範囲でネジ穴が形成されている。そして、これらと同様に、弾性パネル要素51にも端部連結穴51a〜51aおよび中間連結孔51b〜51bが設けられているものの、これらは弾性パネル要素51の湾曲を阻害しないように長手方向に延びる長孔として形成されている。
【0060】
これらを組み立てる際には、まず、弾性パネル要素51外周面側に湾曲板要素65を配して、弾性パネル要素51を湾曲させつつ端部連結孔51a〜51aおよび中間連結孔51b〜51bの内部に湾曲板要素65の端部連結部65a〜65aおよび中間連結部65b〜65bを遊嵌する。この際、端部連結部65a〜65aおよび中間連結部65b〜65bの先端は、弾性パネル要素51の厚み方向内に収まるように長さが設定している。
【0061】
次に、弾性パネル要素51の内周面側に湾曲ビーム要素62を構成する第2湾曲ビーム要素64と第1湾曲ビーム要素63とを配して、各々の端部連結孔64a〜64a、63c〜63cおよび中間部連結孔64b〜64b、63d〜63dを湾曲板要素65の端部連結部65a〜65aおよび中間部連結部65b〜65bと対応する位置に合わせて、図示しないネジを用いて螺着する。
【0062】
こうすることで、弾性パネル要素51は主として端部連結孔51a〜51aおよび中間連結孔51b〜51b周囲の領域51f〜51fを、湾曲ビーム要素62および湾曲板要素65の間で挟まれつつ、これらによって構成される下枠61の各固定領域CL〜CLで強固に位置を規制されることで、湾曲ビーム要素62および湾曲板要素65の湾曲に沿った形状に湾曲される。
【0063】
このようにして、弾性パネル要素51と下枠61とを一体化した状態で、図8のように支持脚3、天板3および湾曲パネル要素41に取付けを行う。
【0064】
まず、下枠61の下方に形成された5箇所の突出部64c〜64cを湾曲パネル要素41の上部に形成されている5箇所のスリット部41d〜41dに係合させて位置決めを行う。そして、下枠61の内周面の両端近傍に2個ずつ設けたネジ孔63a〜63aによって、支持脚3が備える天板受け部31a、32aの外周側に形成された孔部31a2〜32a2との間でネジ(図示せず)によって締結する。さらに、両端部間の中途の2箇所の位置で上下方向に離間して2個ずつ形成されたネジ孔63b〜63bを、L字形のブラケット24の孔部24b、24bとの間でネジ(図示せず)を用いて連結し、このブラケット24の上面に形成した孔部24aと扇形天板要素21の下面に設けたネジ穴21q、21qとの間でネジ(図示せず)によって連結する。
【0065】
上述したように、形状確定手段52とは弾性パネル要素51の湾曲形状を規定するものであり、ブラケット24、24、支持脚3(31、32)、および下枠61における固定領域CLという複数の取付部を含むものとして構成している。このうち、ブラケット24、24は、下枠61の固定領域CLを介して間接的に扇形天板要素21に対し弾性パネル要素51の中間の対応部位を規制するものとして機能し、支持脚3(31、32)も下枠61の固定領域CLを介して間接的に扇形天板要素21に対し弾性パネル要素51の側縁51e、51e近傍の対応部位を規制するものとして機能する。さらに、下枠61は扇形天板要素21の外周縁21bより持ち出された位置に設定されるとともに、内部に有する複数の固定領域CL〜CLの間で弾性パネル要素51に設定される固定領域51f〜51fの位置を直接的に規制する。このように下縁51dの位置を規制されつつ連結されることで、弾性パネル要素51はこれらの取付部間で撓み、弾性パネル要素51に比し十分に大きな剛性を持つ剛体として形成されている湾曲パネル要素41や扇形天板要素21の形状に沿って湾曲形状が形成される。
【0066】
また、下枠61の中では、取付部の一部とであるその固定領域CL〜CLが主に弾性パネル要素51の撓みを規制して湾曲形状を確定するが、こうした固定領域が長手方向に連続するように一体として構成されて下枠61が形成されている。そのため、各固定領域CL〜CLの間の中間位置も、弾性パネル要素51を挟み込んでいることから湾曲形状の確定に寄与しており、より微細な湾曲形状の形成に寄与している。
【0067】
上記の形状確定手段52を構成する各取付部は扇形天板要素21の外周縁21bより一体的に持ち出した位置になるように構成しているため、扇形天板要素21の外周縁21bに沿った形状に弾性パネル要素51が湾曲して、より隙間を少なくして外観上の一体感を高め、美観を高めることができる。
【0068】
さらに、弾性パネル要素51の上縁51cに上枠69を設ける。上枠69は弾性パネル要素51に比し十分な剛性を有する金属によって形成するとともに、湾曲ビーム要素62と同一の湾曲形状を有し、長手方向に沿って上縁51cを嵌め込むための溝部を備えるように構成している。そして、上側より弾性パネル要素51の上縁51cに嵌め込むことで、弾性パネル要素51の湾曲形状をより安定させたものとすることができる。
【0069】
また、端部脚31側の側縁51eは、溶接により一体化される断面L字形の第1端部枠66と第2端部枠67の間で形成される溝の内部に嵌め込み、これら第1端部枠66と第2端部枠67の下側に形成されているフック部66a、67aを重ね合わせた状態で、端部脚31における天板受け部31aの外周側に形成されているスリット部31a3に係合させる。こうすることで、弾性パネル要素51の端部位置の安定化するとともに、端部側の側縁51eの美観を高めることができるようになっている。
【0070】
さらに、中間脚32側の側縁51eには中間枠68を設ける。中間枠68は断面がH形に形成されており、長手方向に沿って2本の溝部を有するように形成されている。そして、互いに隣接する2つの弾性パネル要素51の側縁51eを上記溝部内に嵌め込むようにして取り付ける。こうすることで、弾性パネル要素51の側縁51eの位置の安定化を図るとともに、隙間を生じさせることなく扇形天板要素21の上方を外部より確実に隠蔽することができるようになっている。
【0071】
以上のように、図1における開口部2aに隣接する扇形天板要素21と、これを支持する支持脚3としての端部脚31および中間脚32と、これらに取り付ける湾曲パネル要素41と弾性パネル要素51とを1個の構成単位として例示しつつ説明を行ったが、同図で示すように扇形天板要素21等からなる構成単位をさらに8個連結して構成することができる。
【0072】
この際、開口部2aに隣接している、すなわち、連設方向の両端部に位置する扇形天板要素21、21は各々1個の端部脚31と1個の中間脚32によって支持される。このうち端部脚31の接地部31bは長く形成されているために、両端部における扇形天板要素21、21は安定して支持される。また、たとえ扇形天板要素21が支持脚3と一体となって倒れ込むようにして傾こうとする場合が生じたとしても、その倒れ込み方向は接地部31bを短く形成された中間脚31側になるため、隣接する扇形天板要素21の側縁21a(図2参照)によって支持されることで安定した支持状態を保つことができるようになっている。
【0073】
他方、両端部以外の扇形天板要素21〜21は中間脚32〜32のみによって各々支持されているために、単独で使用した場合には本来、端部のものと比べて安定性が低いものである。具体的には、中間脚32、32と一体となって内周側に倒れ込むようにして傾こうとする傾向にある。しかしながら、扇形天板要素21〜21は放射状に形成される側縁21a、21a(図2参照)同士が当接するようにして設けられているため、内周側に倒れ込もうとする過程で、この側縁21a、21a同士がくさびとしての効果を発揮して互いに支え合うことになる。
【0074】
さらには、扇形天板要素21〜21を支える支持脚3〜3は、湾曲パネル要素41〜41を介して相互に連結されることで全体として強度を増し、支持脚3〜3同士も互いに支持し合うようになっている。そのために、扇形天板要素21〜21の中心方向への倒れ込みもより一層防止することが可能となっている。同様に、支持脚3〜3は下枠61〜61によって相互に連結され、主に湾曲ビーム要素62を強度メンバとして全体としての強度が高められているため、支持脚3〜3間で相互に支持し合う効果も高められている。
【0075】
上記のように、部分環状天板2を構成する各扇形板要素21〜21は互いに支持し合うとともに、支持脚3〜3同士が湾曲パネル要素41〜41および湾曲ビーム要素62〜62によって連結され支持し合うことで、開口部2aを備えつつも安定した形状を維持することができるようになっている。
【0076】
さらに、上記のような扇形天板要素21〜21が支持脚と一体となって倒れ込む形態の位置ズレに加えて、支持脚3の変形によって扇形天板要素21〜21の内周縁(使用縁)の位置が下方向に下がるいわゆる前垂れが生じることも考えられる。こうした現象は、中間脚32を構成する天板受け部32aが接地部32bに対して片持ちに近い状態で張り出して設けられていることから、天板受け部32aの内周側先端が接地部32bに対して前垂れするように変形することで生じることが予想される。
【0077】
また、このようにして扇形天板要素21が前垂れすると、図2に示す外周縁21bは逆に持ち上がる方向に変位し、さらにはこの外周縁21bが円弧状に形成されていることから、外周縁21bの中でも側縁21aの近傍より中央部近傍がより持ち上がる方向に変位することになる。
【0078】
しかしながら、扇形天板要素21の外周縁21bは図4に示したように、両端部で支持脚3に連結されるとともに、これらの間の位置でブラケット24、24を介して下枠61に、さらにブラケット23を介して湾曲パネル要素41に接続されている。そのため、これらによって上下方向の変位を規制されることで、扇形天板要素21の前垂れは規制されることになる。
【0079】
さらには、扇形天板要素21の前垂れが生じる場合には、隣接する扇形天板要素21との間で側縁21a、21a同士が離間する方向に変位することになるが、図7を用いて説明したように側縁21a、21a同士を突き合わせて締結具25、25を用いて連結しているために、双方の側縁21a、21aが離間しないように互いに支持し合う力が作用して前垂れを抑制する効果も生じている。
【0080】
上記のように、部分環状天板2を構成する各扇形板要素21〜21は湾曲パネル要素41や下枠61によって支持され、さらには隣接するもの同士の連結力によって互いに支持されることによって前垂れを抑制され、安定した形状を維持することができるようにもなっている。また、中間脚32の接地部32bの長さを短くして、扇形天板要素21の外周縁21b近傍に設けることで、下肢空間を広げることが可能となっている。そのため、人の出入りのための開口部2aを形成しつつ、作業時に他人が目に入ることなく集中しやすい外向き着座型として好適に使用することができるとともに、扇形天板要素21〜21の連結部においても中間脚32に干渉することなく椅子やワゴンを自由に配置することができ、使用する形態の幅を広げて利便性や快適さを向上させることが可能となる。
【0081】
また、本実施形態のデスクシステム1では、上述したように扇形天板要素21〜21の数を変更して部分環状天板2の大きさを異ならせることも可能としており、1個の扇形天板要素21により部分環状天板2を構成する場合には支持脚3〜3として端部脚31、31のみを用い、2〜8個の扇形天板要素21〜21を連結させて部分環状天板2を構成する場合には支持脚3〜3として端部脚31、31と中間脚32〜32の双方を用いることで、安定して部分環状天板2を自立させることが可能である。このように、扇形天板要素21〜21の連結数を変更することによって、端部脚31、31間の距離および互いの向きは異なるが、各扇形天板要素21〜21は、上述したように端部脚31、31だけに頼って支持されているわけではないため、転倒を行う方向に力が作用しても、連結構造全体が捩れたり端部脚31、31に無理な力が掛かったりすることがなく安定状態を保つことが可能となっている。
【0082】
さらには、部分環状天板2をC形になるまで扇形天板要素21〜21を連結しなくても、180°以上の部分円環を形成する程度の個数で連結する場合には、支持脚3〜3として、端部脚31、31を用いることなく外周側近傍を支持する中間脚32〜32のみを用いて構成することで適切に自立させることも可能である。本デスクシステム1における部分環状天板2は、端部脚31、31だけによって支持されているだけではなく、幕板としての湾曲パネル要素41〜41や湾曲ビーム要素62〜62等とも組み合わされた連結構造全体で支持するものであり、部分環状天板2が180°以上であれば、湾曲パネル要素41〜41や湾曲ビーム要素62〜62と中間脚32〜32のみでも部分環状天板の重心を適切に支持して自立させることが可能である。極端な場合においては、上述したように湾曲パネル要素41〜41の下面が直接設置面に当接して接地部を構成するものとすれば、この湾曲パネル要素41〜41と180°以上に形成した部分環状天板2のみでも自立させることが可能となる。
【0083】
以下、図10および図11を基にして、各扇形天板要素21に設けられる配線蓋72周辺の構成について説明する。
【0084】
上述したように、扇形天板要素21の外周側には天板下の配線空間を開放するための開口部21f、21gが設けられている。また、扇形天板要素21の外周には、弾性パネル要素51との間に軟質樹脂製の配線カバー部材70を設けており、隙間を無くすように構成している。
【0085】
各開口部21f、21gは、扇形天板要素21との統一感を持たせるために小さな扇形として形成するとともに、中央に設けた開口部21fが端部に設けた開口部21gの二倍の大きさとなるようにしている。すなわち、扇形天板要素21を並べて配置した際には、端部の開口部21gは隣接する扇形天板要素21の端部に設けられた開口部21gと一体となって、中央部の開口部21fと同じ大きさになるようにしている。
【0086】
そして、開口部21f、21gを閉止するための樹脂製の配線蓋71、72を取り外し可能に設けている。さらに、この配線蓋71、72と対向するようにして、図11に示したように枠体としての配線蓋受け73、74を扇形天板要素21の下側より取り付けている。なお、図11は扇形天板要素21の中央に設ける開口部21f周辺のみを例として示したものであり、端部の開口部21g(図10参照)周辺は開口部21fの中央を境界とする半分の部材によって構成する。
【0087】
配線蓋71、72は左右対称の形状に構成されており、平板状に形成された鍔部71a、72aと、開口部21fの開口縁21f1に沿ってL字形に突出したガイド部71b、72bを備えている。鍔部71a、72aは双方を合わせることで開口部21fよりも大きな寸法に形成されている。配線蓋71、72は開口部21fに取り付けることで、鍔部71a、72aが扇形天板要素21の表面に当接しつつ、開口部21f全体を覆うことができるように形成されている。鍔部71a、72aは天板2上に常に露出するため、この部分を持ち手として配線蓋71、72は取外しを行うことができる。ガイド部71b、72bの側面には溝部71c、72cが鍔部71a、72aと平行になるようにそれぞれ形成されており、この各溝部71c、72cの内部に円筒形状の2つの永久磁石71d1〜72d1を設けている。
【0088】
配線蓋受け73、74はL字形の平板状に形成された鍔部73a、74aと、開口部21fの開口縁21f1に沿うL字形に突出させたガイド部73b、74bを備えており、これらのガイド部73b、74bを開口部21f内に挿入する。そして、各鍔部73a、74aに設けている孔部73e〜73e、74e〜74eを介して、ネジ(図示せず)により扇形天板要素21に対して固定するようにしている。配線蓋受け73、74のガイド部73b、74bにも、配線蓋71、72と同様、側面に溝部73c、74cが、鍔部73a、74aと平行になるように形成されており、その内部に円筒形状の2つの永久磁石73d〜74dを各々設けている。
【0089】
このように枠体としての配線蓋受け73、74を用いて、開口部21f、21gに永久磁石73d〜74dを設けているため、容易かつ強固に永久磁石73d〜74dを配置することが可能となっている。
【0090】
配線蓋71、72側に設けた永久磁石71d〜72dと、配線蓋受け73、74側に設けた永久磁石73d〜74dとは互いに対向する位置関係になるように設けており、対向する磁極面(対向磁極面)71d1〜74d1は互いに吸引力を生じる磁性となるように形成している。より具体的には、永久磁石71d〜74dは全て同一の円筒形状として軸方向に磁化されたものを用いるとともに、扇形天板要素21に取り付けた際に全ての磁極の向きが同一となるように配置している。
【0091】
また、それぞれの永久磁石71d〜74dを内部に保持する溝部71c〜74cは、それぞれ鍔部71a〜74aと平行に形成されており、天板2の一部を構成する扇形天板要素21に取り付けた際には天板2と略平行になるため、永久磁石71d〜74dが有する対向磁極面71d1〜74d1もそれぞれ天板2と略平行になる。そのため、磁気による吸引方向を天板2に対する略垂直方向として、閉止時の配線蓋71、72の位置を安定させることができる。また、同一の配線蓋71(72)内に設ける永久磁石71d、71d(72d、72d)の対向磁極面71d1、71d1(72d1、72d1)同士はほぼ同一の平面内に構成できるとともに、配線蓋受け71、72を用いて開口部21f、21gに設ける永久磁石73d〜74dの対向磁極面73d1〜74d1同士をほぼ同一の平面内に構成することができる。そのため、対向する対向磁極面71d1〜74d1間の隙間をほぼ同一として均等に磁気吸引力を作用させることができ、より閉止時の配線蓋71、72の位置をより安定化させることができるとともに、凹凸を無くして着脱を容易にすることが可能となる。
【0092】
また、この磁気吸引力は、対向する永久磁石71d〜74dによって生じさせているため、自動的に心出しが行われて左右に位置がずれることなく配線蓋71、72を所定の位置に適切に合わせることができるようになる。さらに、配線蓋71、72側の永久磁石71d〜72dと、開口部21f、21g側の永久磁石73d〜74dとは、対応するもの同士で対をなしており、各配線蓋71、72は離間して設けられている二対の対向する永久磁石71d・73d、71d・73d(72d・74d、72d・74d)によって位置決めされている。そのため各配線蓋71、72は水平面内での回転方向に対しても規制して、より容易に位置決めすることができる。
【0093】
さらに、配線蓋71、72は磁気吸引力によって天板2上で固定がなされるために、係合構成を用いる場合に比べて、部品の精度を低くすることが可能であるとともに、固定力に生じる個体差も少なくなる。
【0094】
以上のように、本実施形態におけるデスクシステム1は、天板2下の配線空間を開放するように天板2に形成された開口部21f、21gと、当該開口部21f、21gを閉止するように前記天板2上に配置されるとともに取外し自在に構成された配線蓋71、72とを備えるとともに、前記天板2の開口部21f、21gと前記配線蓋71、72とに永久磁石71d〜74dを各々設け、それらの永久磁石71d〜74dを、前記開口部21f、21gを閉止する位置に前記配線蓋71、72を配置した際に互いに対向する位置関係に設定するとともに、吸引力を生じるように対向磁極面71d1〜74d1を形成して構成したものである。
【0095】
このように構成しているため、係合構成を採らなくても、永久磁石71d〜74dによる吸引力によって自動的に心出しがなされて容易に位置決めを行うことができる。そのため、開口部21f、21g周辺の加工精度を低くすることができ、製作コストおよび組み立て工数を低減することが可能となる。
【0096】
また、前記天板2の開口部21f、21gと前記配線蓋71、72とに各々設けた永久磁石71d〜74dの各対向磁極面71d1〜74d1を前記天板2と略平行に形成するように構成しているため、互いの吸引方向を天板2に対する略垂直方向とすることができるため、閉止時の配線蓋71、72の位置をより安定させることができる。
【0097】
また、前記永久磁石71d〜74dが、前記天板2の開口部21f、21gと前記配線蓋71、72との間で対をなしつつ複数個ずつ各々設けられており、異なる対をなす永久磁石71d〜74dを離間させて配置させるように構成しているため、配線蓋71、72によって開口部21f、21gを閉止させた際に、互いの回転方向も規制されてより容易に位置決めを行うことが可能となる。
【0098】
また、前記天板2の開口部21f、21gに設ける複数個の永久磁石73d〜74dの対向磁極面73d1〜74d1同士および前記配線蓋71、72に設ける複数個の永久磁石71〜72の対向磁極面71d1〜72d1同士をそれぞれほぼ同一となる平面上に配置するように構成しているため、対向磁極面間71d1〜74d1で均等に磁気吸引力を作用させて、閉止時の配線蓋71、72の位置をより安定させるとともに、凹凸がないために着脱を容易に行うことができるようになる。
【0099】
また、前記配線蓋71、72が前記開口部21f、21gの閉止時に当該開口部21f、21gの内部に挿入されるガイド部71a、72aと、前記開口部21f、21gより大きな鍔部71a、71bを備えるように構成しているため、閉止時の配線蓋71、72の位置をより安定させることができるとともに、鍔部71a、71bが天板2上に常に露出するためにこの部分を持って容易に取外しを行うことができる。
【0100】
また、前記開口部21f、21gに設ける永久磁石73d〜74dを、当該開口部21f、21gに取り付ける配線蓋受け73、74によって支持させるように構成しているため、開口部21f、21gに設ける永久磁石73d〜74dを、より位置精度良く簡単に取り付けることが可能となる。
【0101】
また、前記天板2が扇形に形成されているとともに、前記開口部21f、21gが前記天板2の外周縁2bに沿った位置で扇形に形成されており、前記配線蓋71、72が前記開口部21f、21gに対応した扇形に形成されるように構成しているため、天板2の形状と開口部21f、21gの形状を類似させて美観を向上させるとともに、開口部21f、21gと配線蓋71、72との位置関係を良好に保つことができる。
【0102】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0103】
例えば、上述の実施形態においては、配線蓋受け73、74を用いて永久磁石73d〜74dを開口部21f、21gに設けるように構成していたが、開口部21f、21g内に位置精度良く設けることができる限り、開口部21f、21gの内縁に直接接着して設けるなど、他の構成を用いることも可能である。
【0104】
また、下枠61の一部を構成する湾曲ビーム要素62(図9参照)を、図12のように4つに分割して構成した第1湾曲ビーム要素163〜163と、これを取り付ける湾曲板状の第2湾曲ビーム要素164として、簡略化して構成することが可能となる。こうすると、第1湾曲ビーム要素163〜163の製作が容易になるとともに、軽量化を図ることができる。また、弾性パネル要素51は、第2湾曲ビーム要素164に形成した連結孔164c〜164dを利用して取り付けられることで、第2湾曲ビーム要素164の湾曲形状に沿わせることが可能となる。第1湾曲ビーム要素163〜163が分割されたことで曲げ剛性が必要以上に低下する場合には、第2湾曲ビーム要素164の厚みを増加させることで対処が可能である。
【0105】
また、図8に示した下枠61下方に形成した突出部64c〜64cと、湾曲パネル要素41の上方に形成したスリット部41d〜41dとの係合により、弾性パネル要素51の位置決めが十分に行うことができる場合には、ブラケット24、24を使用しない構成とすることも可能である。この場合には、さらにブラケット23、23(図4参照)の形状および取付方法を変更して、図13のように配線受けとしての機能を持たせるように構成することも可能である。この例では、3つのブラケット223〜223によって、扇型天板要素221と湾曲パネル要素241とを連結させる。このブラケット223は金属板によって形成されており、上方と下方を反対方向に90°に折り曲げることで上面と下面とがオフセットされた位置に平行して形成される。また、下面は上面に対して幅広に設定されており、当該部分が配線受けとして機能する。そして、上面および下面に形成した孔部223b〜223b、223a〜223aを用いて、扇形天板要素221下面のネジ孔221q〜221qおよび湾曲パネル要素241上面のネジ孔241c〜241cに取り付けられる。このようにして、扇形天板要素221に対して湾曲パネル要素241の位置決めがなされるとともに、扇形天板要素221の外周縁221bの下方に配線受けが形成される。ブラケット223、223に代えて、上方が開口された樋状部材を用いることも好適である。
【0106】
また、上述の実施形態では、天板2を部分環状天板として構成していたため、開口部21f、21gおよび配線蓋71、72を同様の扇形で形成していたが、本発明は扇形以外の様々な形状に対応することが可能である。例えば、円形や三角形、雲形など様々なデザインに合わせて用いることができ、上述したように部品精度の低い簡単な部材のみで構成しても適切に配線蓋の位置決めや固定力の設定を行うことができる。
【0107】
また、上述の実施形態では、各天板要素21の中央位置に設けられた1個の開口部21f、および各天板要素21の側縁近傍に設けられた開口部21gであって隣接するものとの間で協同して1個の開口部となるものの中に、それぞれ配線蓋71、72が隣接して配置される。部品点数を削減するためには、これらの隣接する配線蓋71、72を大きな扇形をなす一体の配線蓋として構成してもよく、上記と同様の効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0108】
1…デスクシステム
2…部分環状天板(天板)
2b…外周縁
21…扇形天板要素
21b…外周縁
21f、21g…開口部
71、72…配線蓋
71a、72a…鍔部
71c、72c…ガイド部
71d、72d…永久磁石
71d1、72d1…対向磁極面
73、74…配線蓋受け
73a、74a…鍔部
73c、74c…ガイド部
73d、74d…永久磁石
73d1、74d1…対向磁極面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板下の配線空間を開放するように天板に形成された開口部と、
当該開口部を閉止するように前記天板上に配置されるとともに取外し自在に構成された配線蓋とを備えるとともに、
前記天板の開口部と前記配線蓋とに永久磁石を各々設け、
それらの永久磁石を、前記開口部を閉止する位置に前記配線蓋を配置した際に互いに対向する位置関係に設定するとともに、吸引力を生じるように対向磁極面を形成したことを特徴とするデスクシステム。
【請求項2】
前記天板の開口部と前記配線蓋とに各々設けた永久磁石の各対向磁極面を前記天板と略平行に形成したことを特徴とする請求項1に記載のデスクシステム。
【請求項3】
前記永久磁石が、前記天板の開口部と前記配線蓋との間で対をなしつつ複数個ずつ各々設けられており、異なる対をなす永久磁石を離間させて配置させたことを特徴とする請求項2に記載のデスクシステム。
【請求項4】
前記天板の開口部に設ける複数個の永久磁石の対向磁極面同士および前記配線蓋に設ける複数個の永久磁石の対向磁極面同士をそれぞれほぼ同一となる平面上に配置したことを特徴とする請求項3に記載のデスクシステム。
【請求項5】
前記配線蓋が前記開口部の閉止時に当該開口部の内部に挿入されるガイド部と、前記開口部より大きな鍔部を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のデスクシステム。
【請求項6】
前記開口部に設ける永久磁石を、当該開口部に取り付ける枠体によって支持させていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のデスクシステム。
【請求項7】
前記天板が扇形に形成されているとともに、前記開口部が前記天板の外周縁に沿った位置で扇形に形成されており、前記配線蓋が前記開口部に対応した扇形に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のデスクシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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