説明

デスク及び配線受け

【課題】配線受けを配線受け取付部に簡単かつ安定して取り付けることができるようにしたデスクを提供する。
【解決手段】デスク本体に所定の配線方向に沿って配線を導く配線受け4を配置するようにしたものにおいて、所定の配線方向に沿ってデスク本体に配線受け取付部6A、6Bを延在させ、対する配線受け4に、一部を弾性変形させた際の反発力を押付力として配線受け取付部6A、6Bに嵌り合う嵌合部4m、4nと、一部を弾性変形方向に変形させて押付力を解除する解除レバー46とを設け、配線受け4を配線方向に沿って配線受け取付部6A、6Bに位置自在に取り付け可能にするとともに、解除レバー46で押付力を解除した状態で嵌合部4m、4nを配線受け取付部6A、6Bから離脱させる操作を行い得るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等において好適に利用されるデスク及び配線受けに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィス等に配置するデスクとして、天板の下肢空間に配線受けを取り付ける機能を備えたものは、従来より種々に考えられている。
【0003】
例えば、特許文献1、2に示されるものは、幕板の内面に天板幅方向に沿って配線受けの取付部を設け、この取付部に引っ掛けるようにして、任意の位置に配線受けを取り付けることができるように構成されており、かつ配線受けは、取付部に引っ掛けたままで天板幅方向に沿ってスライド移動させることができるようにされている。
【0004】
特に、特許文献2のものは、配線受けの側端部に突片を設け、左右の配線受けの突片同士をビスにより連結することで、配線受け同士を接続して、配線支持面を拡張する機能も備わっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4480861号公報
【特許文献2】特許第4393373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このように配線受けが取付部に簡単に引っ掛けられる構造、取付部に沿って簡単にスライドできる構造であると、配線が引っ張られたり足が当たったりすることで配線受けが取付部から簡単に脱落するおそれがあり、一旦調節した配線受けの位置も移動し易く、その結果、配線が外れ易くなるだけでなく、バッテリやタップ等も落下し易い状態になり易いという難点がある。また、特許文献2のように配線受け同士をその都度ビスで連結し又は連結を解除する作業は手間であり、簡単且つ確実に配線受け同士を連続または分離させ、かつ各々の状態を維持できるものであることが望ましい。
【0007】
本発明は、このような新たな機能を備えたデスク及び配線受けを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明のデスクは、
【0010】
デスク本体に所定の配線方向に沿って配線を導く配線受けを配置するようにしたものにおいて、前記配線方向に沿ってデスク本体に配線受け取付部を延在させ、対する配線受けに、一部を弾性変形させた際の反発力を押付力として前記配線受け取付部に嵌り合う嵌合部と、前記一部を前記弾性変形方向に変形させて前記押付力を解除する解除レバーとを設け、前記配線受けを前記配線方向に沿って前記配線受け取付部に位置自在に取り付け可能にするとともに、解除レバーで押付力を解除した状態で嵌合部を配線受け取付部から離脱させる操作を行い得るようにしたことを特徴とする。
【0011】
このように、本発明は配線受けを配線受け取付部に単に引っ掛けるだけではなく、弾性押付力の下に配線受け取付部に嵌合させて取り付けるようにしているので、配線受けのグラつきや、うっかり配線受けが外れるといった事態を有効に防止することができ、配線受け取付部に対する配線受けの着脱操作も簡単に行うことが可能になる。
【0012】
配線方向に沿って配線受けの位置変更を容易にするためには、解除レバーで押付力を緩めた状態で、配線受け取付部に対する嵌合状態を維持したまま、配線方向に沿って配線受けをスライドさせる操作を行い得るようにしていることが好適である。
【0013】
配線受けの着脱容易性と確実な取付状態とを好適に両立させるための好ましい実施の一態様としては、嵌合部が、配線方向と直交する方向に沿って配線受けを配線受け取付部に近づけた際に一時的に弾性変形し配線受け取付部に嵌り合った位置で復元する可動片と、この可動片の一部に設けられて嵌合部の嵌合位置で配線受け取付部内に設定した係止部に係合する爪とを有するものであり、この爪は前記嵌合部を配線受け取付部から引き抜く方向の力が作用した際に前記配線受け取付部の係止部により強く係合し、解除レバーを操作することによって前記可動片を通じて前記係止部から退避するように構成されているものが挙げられる。
【0014】
配線受けの安定した操作を可能にするためには、配線方向に沿って配線受けの2箇所に解除レバーを設けていることが望ましい。
【0015】
簡単な取付構造であっても配線受けの支持強度を有効に高めるためには、配線受けに、前記嵌合部が配線受け取付部に嵌合した状態で当該嵌合部を下支えし且つ一部を幕板の立壁に当接させるリブを設けていることが好ましい。
【0016】
操作レバーの操作を平易にするためには、配線受けが下向き凸状嵌合部を具備し、この下向き凸状嵌合部が下から上に向けて配線受け取付部の一部に嵌り合うものであり、操作レバーがこの下向き凸状嵌合部の一部若しくは近傍から垂下していることが好都合である。
【0017】
コスト増とならずに配線受けの大きさを的確に変更できるようにするためには、配線受けを、天板の配線方向寸法の1/2よりも小さい長さ寸法のものにして、他の配線受けとの間で側端部同士が突き当たった拡張状態をとり得るようにしていることが好適である。
【0018】
特に、配線支持面の連続性を適切に担保するためには、配線受けの少なくとも一側端部から配線支持面に対して段落ちした突片を配線方向に延出させて設け、この突片を、隣接する配線受けの配線支持面の下面に厚み方向に重合させるようにしていることが好ましい。
【0019】
更に、上載荷重に対する強度を高めるためには、配線受けの両側端部に突片を有し、それらの突片は配線方向と交差する方向に位置がずれており、一対の配線受けの隣接する側端部からそれぞれ相手方の配線受けに向かって突片が延出し、各々の突片が対応する配線受けの側端部近傍の下面に厚み方向に重合するようにしていることが望ましい。
【0020】
また、配線受け自体として見た場合、配線支持面の両側端部より当該配線支持面に対して段落ちした突片を配線方向に延出させて設け、それらの突片は配線方向と交差する方向に位置がずれており、隣接する他の配線受けとの間でそれぞれ相手方の配線受けに向かって突片を延出させた場合に、各々の突片が対応する配線受けの側端部近傍の下面に厚み方向に重合するように配線受けを構成しても、拡張時に天板支持面の面一状態と、拡張した状態での安定性とを確保することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、以上説明した構成であるから、配線が引っ張られたり足が当たったりしても配線受けが取付部から簡単に脱落するおそれがなく、一旦調節した配線受けの位置を的確に維持して、配線を外れにくくし、バッテリやタップ等の不意の落下も適切に防止できるようにした、新規有用なデスクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係るデスクの後部上方斜視図。
【図2】同デスクを配線空間を露出させた状態で示す図1に対応した後部上方斜視図。
【図3】同デスクを構成する幕板の斜視図。
【図4】図2におけるIV−IV線断面図。
【図5】同デスクで用いる配線受けの後部上方斜視図。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図。
【図7】同配線受けの前部下方斜視図。
【図8】同デスクにおいて形成される配線ダクトの形態を示す部分断面図。
【図9】同デスクにおいて配線受けの取付状態を示す一部省略した後部上方斜視図。
【図10】同デスクを背合わせに突き合わせた際に形成される配線ダクトの形態を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0024】
この実施形態のデスクは、図1及び図2に示すように幕板1が上下位置に付け替え可能なものであって、左右の脚体2、2の上端部間に天板3を架設し、左右の脚体2、2の間を当該幕板1で連結することによってデスク本体Dを構成して、天板3の反使用端3aと幕板1との間に配線空間Sを形成するようにしたものである。そして、前記配線空間S内に所定の配線方向である天板幅方向(図2における矢印X方向)に沿って配線を導く配線受け4を必要な箇所に配置し、配線空間Sの上方を配線カバー5によって閉止し得るようにしている。
【0025】
具体的に説明すると、脚体2は、中空体状をなす脚側板21の下端部と上端部からそれぞれベース22とステー23を前方に向けて延出させたもので、脚側板21の対向面には幕板上取付部24と幕板下取付部25が設けてある。この実施形態の幕板上取付部24および幕板下取付部25は、図9にも示すように、それぞれ脚側板21の内面に開口する上下複数の幕板取付部24a、24b(25a、25b)から構成されている。幕板取付部24a、25aが対をなして幕板1を上方位置に取り付け、幕板取付部24b、25bが対をなして幕板1を下方位置に取り付ける。
【0026】
幕板1は、図1〜図3に示すように、板金素材を塑性変形加工することによって、立壁10の上縁、下縁および左右の側縁にそれぞれ折り曲げ補強部11、12、13、13を形成したもので、左右の幅寸法dは図1に示す左右の脚側板21、21の内面間の距離Lに対応しており、図3に示す幕板1の左右の側縁に近い部位には、前記幕板取付部24a、24b(25a、25b)と対になって幕板1を取り付けるための上取付窓14および下取付窓15が開口している。そして、幕板1を図1に示す上方位置または図2に示す下方位置の何れかに配置し、これに伴い幕板1の上取付窓14が脚側板21の幕板上取付部24a、24bの何れかに対応する部位に位置づけられ、幕板1の下取付窓15が脚側板21の幕板下取付部25a、25bの何れかに対応する部位に位置づけられた状態で、上取付具16を用いて上取付窓14と幕板上取付部24a(24b)の間を連結し、下取付具17を用いて下取付窓15と幕板下取付部25a(25b)の間を連結することによって、幕板1を上方位置または下方位置に付け替え可能としている。図示例では、脚側板21の内面に幕板取付部24a、24b、25a、25bとして矩形状の取付孔を開口させ、幕板1の左右の側縁に設けた折曲げ補強部13のうち脚側板21の内面に重合する位置に矩形状の上取付窓14および下取付窓15を開口させて、取付具16、17に、取付窓14、15と取付孔24a(24b)、25a(25b)とが重合した状態でこれらに弾性的に嵌め込まれる樹脂ファスナを採用したものを例示しているが、勿論これ以外にも、例えば幕板1の下折曲げ補強部12に下取付窓を開口させ、この下取付窓と幕板下取付部25a、25bとの間をバックル式の取付具によって連結するなど、連結構造には種々のものを採用することができる。取付部や取付窓の形状も矩形に限らない。
【0027】
一方、デスク本体Dを構成する幕板1の内面には、図3に示すように所定の配線方向である天板幅方向(X方向)に沿って上下方向に異なる位置に配線受け取付部6A、6Bを延在させ、これらの配線受け取付部6、7に、図9に示す配線受け4を着脱可能に取り付け得るようにしている。
【0028】
配線受け取付部6Aは、図3及び図4に示すように、上折曲げ補強部11を利用して構成されているもので、立壁10から前方に延びる水平片61と、その水平片61の先端より連続する垂下片62と、その垂下片62の下端から立壁10に向かう方向に延びる底片63と、その底片63の先端から立ち上がる起立片64とからなり、垂下片62と底片63と起立片64とによって下向き突条6mを形成し、立壁10と水平片61と起立片64との間に下向き溝6nを形成している。また、配線受け取付部6Bは、立壁10に取り付けた補強部材6xを利用して構成されているもので、前記配線受け取付部6Aと同様に水平片61、垂下片62、底片63および起立片64を有し、下向き突条6m、下向き溝6nを形成している。この補強部材6xの場合、水平片61の基端から上方に向けて取付片65が延びており、この取付片65が幕板1の立壁10に溶接等により取り付けられている。起立片64は垂下片62よりも上下寸法が短く、起立片64と水平片61の間には図4に示すように所定の隙間δが開口している。
【0029】
一方、配線受け4は、図5及び図6に示すように樹脂一体成型されたもので、取付状態で水平に配置される配線支持面41と、この配線支持面41の先端から部分的に高さを異ならせて起立する起立片42とをL型に連設するとともに、この配線支持面61の基端側に、垂下片43a、底片43b及び起立片43cから構成されて配線方向(X方向)に沿って連続する溝状の形態をなす上向き凹状嵌合部4mと、この上向き凹状嵌合部4mから更に基端側に隣接する位置において前記起立片43c、頂片43d、垂下片43eから構成されて配線方向(X方向)に沿って連続する突条の形態をなす上向き凸状嵌合部4nとを一体に設けている。そして、この配線受け4を上下何れかの配線受け取付部6A、6Bに対して配線方向と直交する方向、すなわちこの実施形態では図6に矢印で示すように下から上に向かって移動させることによって、前記配線受け4の上向き凸状嵌合部4nを前記配線受け取付部6A、6Bの下向き溝6nに嵌め合わせ、前記配線受け4の上向き凹状嵌合部4mを前記配線受け取付部6A、6Bの下向き突条6mに嵌め合わせ得るようにしている。
【0030】
この際、上向き凸状嵌合部4nと上向き凹状嵌合部4mとの境界に位置する起立片43cから上向き凸状嵌合部4nの頂片43dに亘る領域の一部に図5〜図7に示すように一対の縦スリット44、44を設けて、スリット44、44間に位置する起立片43cを厚み方向(前後方向)に変位可能な可動片45とし、かつこの可動片45の基端部を樹脂ヒンジ45aとして、この樹脂ヒンジ45aの変形とともに可動片45を図4に想像線で示すように厚み方向に回動するようにして弾性変形可能としており、更にこの可動片45を下方に延出させて本発明の解除レバー46を構成している。底片43bには解除レバー46との干渉を避ける逃げ43b1が設けてある。このような解除レバー46は、図5に示すように配線受け4の左右2箇所に設けられている。また、前記スリット44、44間に位置する可動片45のうち上向き凹状嵌合部4mに臨む面には、図5〜図7に示すように凹状嵌合部4mの中央に向かって突出する山形の爪4xが設けてあり、嵌合動作の始めにこの爪4xが配線受け取付部6A、6Bの起立片64と干渉して図4に想像線で示すように可動片45が一時的に垂下片43e側に押し込まれる方向に弾性変形し、所定の嵌合位置で可動片45が復元した際に図6に想像線で示すように配線受け取付部6A、6Bの起立片64と水平片61との隙間δに爪4xが入り込んで、起立片64の上端に設定した係止部6xに係合し、そのとき樹脂ヒンジ45aに残った弾性反発力が押付力となって嵌合部4m、4nを配線受け取付部6A、6Bの突条6mや下向き溝6nの内面に押し付けた状態で嵌り合うようになっている。この爪4xは、解除レバー46を再び図4に想像線で示すように垂下片43e側に倒すことによって前記隙間δから退避させ、係止部6xとの係合を解除することができる。この配線受け4の図6に想像線で示す嵌合位置で上載荷重や外力によって下方への力が作用すると、爪4xを介して可動片45が解除レバー46とともに解除方向と逆方向、すなわち係止部6xとの係合がより深くなる方向に押し付けられる作用を営み、いわゆる奥ヒンジを構成している。配線受け4には、図4、図5及び図7に示すように、前記嵌合部4m、4nを下支えし且つ当該配線受け部4が配線受け取付部6A、6Bに嵌合した状態で一部を幕板1の立壁10に当接させる位置に三角形状のリブ40が設けてある。
【0031】
すなわち、このデスクは、図1および図2に示したように幕板1が左右の脚体2、2の上下複数個所に設定した幕板取付部(24a、25a)と(24b、25b)との間で付け替え可能であるとともに、図3および図4に示すようにこの幕板1の高さ方向複数個所に設定した配線受け取付部6A、6Bの間で前記配線受け4を付け替え可能なものであり、その付け替えは天板幅方向(X方向)の異なる位置において各々の配線受け4、4、…ごとに独立して行うことが可能とされている。その際、幕板取付部24a、24b間のピッチP1(25a、25b間のピッチP1)と前記配線受け取付部6A、6B間のピッチP2とは同一ピッチに設定してあり、その配線受け取付部6A、6B間のピッチP2は、天板幅方向(X方向)の同じ位置若しくは重複する位置において図4に示すように上下に配線受け4、4を重ねて配置できるように、干渉部位である配線受け4の起立片42の高さ寸法h以上となるように設定されている。
【0032】
この実施形態の場合、幕板1に対する配線受け4の第1の取付位置(図8(b))では、配線受け4の起立片42の上端42aと幕板1の上縁11とが略同じ高さとなる位置に設定され、第2の取付位置(図8(a))では、配線支持面41と幕板1の上縁11とが略同じ高さとなる位置に設定されている。
【0033】
さらに、この配線受け4は、図9に示すように天板3の配線方向寸法Wの1/2よりも小さい長さ寸法のもの(更に言えば、天板3の配線方向寸法Wの1/4よりも小さい長さ寸法のもの)であり、配線受け4を配線方向(X方向)に沿って同図に示すように複数配列した状態で配線受け取付部6A、6Bに取り付けることができるのは勿論のこと、同図右側に示すように配線受け4,4同士を、側端部41m、41n同士が突き当たった状態で連続する拡張状態をもとり得るようにしている。そのために、図5〜図7、図9に示すように、配線受け4の両側端部41m、41nから配線支持面41に対して段落ちした突片40m、40nを配線方向外側に向けて延出させて設けている。左右の突片40m、40nは、配線方向と交差する方向である前後方向(図5における矢印Y方向)に位置をずらしてあり、図9に示すように配線受け4、4同士を隣接させることによって一対の配線受け4の隣接する側端部41m(41n)からそれぞれ相手方の配線受け4に向かって突片40m(40n)が延出し、これが対応する配線受け4の側端部41n(41m)近傍の下面に潜り込んで厚み方向に重合するようにしている。
【0034】
なお、図1及び図2に基づいて前述したように、上記配線空間Sの上方は配線カバー5によって閉止されるようにしている。そのために、左右の脚体2、2の後端部は天板3の反使用端3aよりも若干後方に延出した状態にあるように構成されていて、この位置に図9に示すようにカバー取付部7a、7aを設け、天板幅方向(X方向)の中央部にもカバー取付部7bを設けて、隣接するカバー取付部7a、7bの対向面に軸受け部70を構成し、この軸受け部70に図1に示す配線カバー5を着脱可能かつ回動動作によって配線空間Sを上方に向かって開閉可能な状態で支持させるようにしている。また、図4及び図8等に示すように、幕板1の後面は、前後方向に沿って天板3の反使用端3aよりも後方位置に配置される。
【0035】
次に、この実施形態における配線受けの利用の形態について説明する。
【0036】
この配線受け4は、図6等に基づいて前述したように、下から上に向かって配線方向(X方向)と直交する方向から配線受け取付部6A、6Bに近づけた際に、一時的に可動片45が弾性変形した後に復元して爪4xが配線受け取付部6A、6Bの係止部6xに係止されて、嵌合部4m、4nが配線受け取付部6A、6Bの下向き突条6mおよび下向き溝6nに嵌り合う。この状態では、当該嵌合部4m、4nを配線受け取付部6A、6Bの下向き突条6mおよび下向き溝6nから引き抜く方向の力が作用した際に配線受け取付部6A、6Bにより強く当接する爪4xを可動片45に設けているため、上載荷重その他の外力が下向きに作用しても配線受け4が外れることはない。一方、解除レバー46を操作して押付力を解除し、配線受け4を図6の矢印と逆方向に移動させると、前記嵌め合いが解除されて、配線受け4を配線受け取付部6A、6Bから離脱させることができる。さらに、解除レバー46で押付力を緩めた図4に想像線で示す状態にあっても、配線受け4の嵌合部4m、4nと配線受け取付部6A、6Bの下向き突条6mおよび下向き溝6nとの嵌合状態は維持されるため、配線方向(X方向)に沿って図9に矢印Tで示すように配線受け4をスライドさせる操作を行うことができる。
【0037】
一方、配線ダクトの形態としては、幕板1に対する配線受け4の第1の取付位置(図8(b))で幕板1と配線受け4の間に上方に開口するコ字状の配線ダクトS1を形成し、第2の取付位置(図8(a))で配線受け4によって上方及び後方に開放されたL字状の配線ダクトS2を形成することができる。したがって、これらの配線ダクトS1、S2に天板幅方向(X方向)に沿って配線を引き回し、必要な箇所で配線受け4の起立片42に配線を巻き付け、さらに必要な箇所から天板3上に配線を立ち上げ、或いは床に向かって配線を落とし込み、更には図8(a)の場合には配線カバー5を閉止した状態でも後方に向かって配線を引き出すことができる。
【0038】
さらに、このような構造を利用すれば、2台のデスクを背合わせに配置したときに、幕板1に対する配線受け4の第1の取付位置で図10(b)に示すように一対の天板3、3間に幕板1を中間仕切りとして上方に開口するE字形状の配線ダクトS3が形成されて、各々のデスクで配線ダクトS3を使い分けたり、電力線と通信線とを使い分けたりする態様が可能になり、また、幕板1に対する配線受け4の第2の取付位置で図10(a)に示すように一対の天板3、3間に上方に開口するコ字形状の大型配線ダクトS4が形成されて、対面配置されたデスク間での縦配線や共用配線の収納が容易になるほか、定電圧電源等の比較的大きな給電機器やハブ、ルータ等の比較的大きな通信機器も収容することが可能になる。
【0039】
以上のように、本実施形態のデスクは、デスク本体Dに所定の配線方向(X方向)に沿って配線を導く配線受け4を配置するようにしたものであり、前記所定の配線方向(X方向)に沿ってデスク本体Dに配線受け取付部6A、6Bを延在させ、対する配線受け4に、一部を弾性変形させた際の反発力を押付力として前記配線受け取付部6A、6Bに嵌り合う嵌合部4m、4nと、前記一部を前記弾性変形方向に変形させて押付力を解除する解除レバー46とを設けたものである。そして、配線受け4を配線方向(X方向)に沿って前記配線受け取付部6A、6Bに位置自在に取り付け可能にするとともに、解除レバー46で押付力を解除した状態で嵌合部4m、4nを配線受け取付部6A、6Bから離脱させる操作を行い得るようにしている。
【0040】
このように、配線受け4を配線受け取付部6A、6Bに単に引っ掛けるだけではなく、弾性押付力の下に配線受け取付部6A、6Bに嵌合させて取り付けるようにしているので、配線受け4のグラつきや、うっかり配線受けが外れるといった事態を有効に防止して、取付状態を安定、確実ならしめることができ、配線受け取付部に対する配線受け4の着脱操作も極めて簡単に行うことが可能になる。
【0041】
加えて、解除レバー46で押付力を緩めた状態で、配線受け取付部6A、6Bに対する嵌合状態を維持したまま、配線方向(X方向)に沿って配線受け4をスライドさせる操作を行い得るようにしているので、解除レバー46に対する操作の仕方次第で、配線受け4を配線受け取付部6A、6Bに沿ってガイドさせながら容易に位置変更することができ、変更後の位置においても操作レバー46に対する操作を終了するだけで再び配線受け4を確実に保持することが可能になる。
【0042】
そして、嵌合部4m、4nが、配線方向(X方向)と直交する方向に沿って配線受け4を配線受け取付部6A、6Bに近づけた際に一時的に弾性変形し配線受け取付部6A、6Bに嵌り合った位置で復元する可動片45と、この可動片45の一部に設けられて嵌合部4m、4nの嵌合位置で配線受け取付部6A、6B内に設定した係止部6xに係合する爪4xとを有するものであり、この爪4xは前記嵌合部4m、4nを配線受け取付部6A、6Bから引き抜く方向の力が作用した際に前記配線受け取付部6A、6Bの係止部6xにより強く係合し、解除レバー46を操作することによって前記可動片45を通じて前記係止部6xから退避するように構成しているので、着脱容易であっても、上載荷重や外力によって配線受け4が外れにくい構造を有効に実現することができる。
【0043】
その解除レバー46も、配線方向(X方向)に沿って配線受け4の2箇所に設けてあるので、配線受け4をある程度幅広に構成しても、解除レバー46を2箇所で摘んで安定した操作を行うことができる。
【0044】
また、配線受け4に、前記嵌合部4m、4nが配線受け取付部6A、6Bに嵌合した状態で当該嵌合部4m、4nを下支えし且つ一部を幕板1の立壁10に当接させるリブ40を有しているので、本実施形態のように配線受け4が配線受け取付部6A、6Bに片持ち的に取り付けられていても、荷重を幕板1に確実に支持させることができる。
【0045】
具体的には、配線受け4が下向き凸状嵌合部4mを具備し、この下向き凸状嵌合部4mが下から上に向けて配線受け取付部6A、6Bの一部に嵌り合うものであり、操作レバー46がこの下向き凸状嵌合部4mの一部から垂下した状態に設けられているので、下向き凸状嵌合部を指掛かりにして操作レバー46を平易に操作することができるようになる。
【0046】
さらに、配線受け4が、天板の配線方向寸法の1/2よりも小さい長さ寸法のものであり、配線受け4、4同士を、側端部41m、41n同士が突き当たった拡張状態をとり得るようにしているので、必要に応じて複数の配線受け4を適切な長さに連ねて用いることができ、しかも比較的大きな配線受け4を樹脂成型で作る場合に比べて大型の金型を不要にすることができる。しかも、配線受け4には嵌合位置で弾性による保持力が働くため、連ねた状態を無理なく確実に維持することが可能となる。
【0047】
その際、配線受け4の側端部41m(41n)から配線支持面41に対して段落ちした突片40m(40n)を配線方向に延出させて設け、この突片40m、40nを、隣接する配線受け4の配線支持面41の下面に厚み方向に重合させるようにしているので、配線支持面41の連続性を適切に担保することができる。しかも、前述したように配線受け4は嵌合位置で弾性により保持力が働くため、重なり合った部分を逐一ねじ等で固定することも不要にすることができる。
【0048】
とりわけ、この実施形態では突片40m、40nを配線受け4の両側端部41m、41nに有し、それらの突片40m、40nは配線方向と交差する方向に位置がずれており、一対の配線受け4の隣接する側端部41m(41n)からそれぞれ相手方の配線受け4に向かって突片40m、40nが延出し、各々の突片40m、40nが対応する配線受け4の側端部41n(41m)近傍の下面に厚み方向に重合するようにしているので、隣接する配線受け4の何れかに偏った上載荷重が作用しても、その荷重が突片40m、40nを介して隣接する配線受け4に分散され、全体としての支持強度を有効に高めることができる。
【0049】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0050】
例えば、幕板や配線受けの付け替えは上下方向の3箇所以上とすることができ、また、配線受けの変更ピッチと幕板の変更ピッチとは、一方が他方の整数倍の値となるようにしても構わない。
【0051】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…幕板
3…天板
4…配線受け
4m…嵌合部(下向き凸状嵌合部)
4n…嵌合部(下向き凹状嵌合部)
4x…爪
6A、6B…配線受け取付部
6x…係止部
10…立壁
40…リブ
40m、40n…突片
41…配線支持面
41m、41n…側端部
45…可動片
46…解除レバー
D…デスク本体
X…配線方向(天板幅方向)



【特許請求の範囲】
【請求項1】
デスク本体に所定の配線方向に沿って配線を導く配線受けを配置するようにしたものにおいて、
前記配線方向に沿ってデスク本体に配線受け取付部を延在させ、対する配線受けに、一部を弾性変形させた際の反発力を押付力として前記配線受け取付部に嵌り合う嵌合部と、前記一部を前記弾性変形方向に変形させて前記押付力を解除する解除レバーとを設け、
前記配線受けを前記配線方向に沿って前記配線受け取付部に位置自在に取り付け可能にするとともに、解除レバーで押付力を解除した状態で嵌合部を配線受け取付部から離脱させる操作を行い得るようにしたことを特徴とするデスク。
【請求項2】
解除レバーで押付力を緩めた状態で、配線受け取付部に対する嵌合状態を維持したまま、配線方向に沿って配線受けをスライドさせる操作を行い得るようにしている請求項1記載のデスク。
【請求項3】
嵌合部が、配線方向と直交する方向に沿って配線受けを配線受け取付部に近づけた際に一時的に弾性変形し配線受け取付部に嵌り合った位置で復元する可動片と、この可動片の一部に設けられて嵌合部の嵌合位置で配線受け取付部内に設定した係止部に係合する爪とを有するものであり、この爪は前記嵌合部を配線受け取付部から引き抜く方向の力が作用した際に前記配線受け取付部の係止部により強く係合し、解除レバーを操作することによって前記可動片を通じて前記係止部から退避するように構成されている請求項1又は2記載のデスク。
【請求項4】
配線方向に沿って配線受けの2箇所に解除レバーを設けている請求項1〜3何れかに記載のデスク。
【請求項5】
配線受けに、前記嵌合部が配線受け取付部に嵌合した状態で当該嵌合部を下支えし且つ一部を幕板の立壁に当接させるリブを設けている請求項1〜4の何れかに記載のデスク。
【請求項6】
配線受けが下向き凸状嵌合部を具備し、この下向き凸状嵌合部が下から上に向けて配線受け取付部の一部に嵌り合うものであり、操作レバーがこの下向き凸状嵌合部の一部若しくは近傍から垂下している請求項1〜5の何れかに記載のデスク。
【請求項7】
配線受けを、天板の配線方向寸法の1/2よりも小さい長さ寸法のものにして、他の配線受けとの間で側端部同士が突き当たった拡張状態をとり得るようにしている請求項1〜6の何れかに記載のデスク。
【請求項8】
配線受けの少なくとも一側端部から配線支持面に対して段落ちした突片を配線方向に延出させて設け、この突片を、隣接する配線受けの配線支持面の下面に厚み方向に重合させるようにしている請求項7記載のデスク。
【請求項9】
配線受けの両側端部に突片を有し、それらの突片は配線方向と交差する方向に位置がずれており、一対の配線受けの隣接する側端部からそれぞれ相手方の配線受けに向かって突片が延出し、各々の突片が対応する配線受けの側端部近傍の下面に厚み方向に重合するようにしている請求項8記載のデスク。
【請求項10】
請求項1〜9に記載のデスクに使用するものであって、配線支持面の両側端部より当該配線支持面に対して段落ちした突片を配線方向に延出させて設け、それらの突片は配線方向と交差する方向に位置がずれており、隣接する他の配線受けとの間でそれぞれ相手方の配線受けに向かって突片を延出させた場合に、各々の突片が対応する配線受けの側端部近傍の下面に厚み方向に重合するように構成されたことを特徴とする配線受け。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−449(P2013−449A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136338(P2011−136338)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】