説明

デスク

【課題】幕板を上下させても配線受けを好ましい高さに適切に配置できるようにしたデスクを提供する。
【解決手段】左右の脚体間に幕板1を配置し、幕板1の立壁に配線受け4を取り付けるようにしたものにおいて、幕板1が左右の脚体の上下複数個所に設定した幕板取付部の間で付け替え可能であるとともに、この幕板1の高さ方向複数個所に設定した配線受け取付部の間で配線受け4を付け替え可能とし、コの字状の配線ダクトS1とL字状の配線ダクトS2を選択構成できるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等において好適に利用されるデスクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィス等に配置するデスクとして、天板下の配線空間に配線受けを取り付ける機能を備えたものは、従来より種々に考えられている。このうち、デスクの利用状況に応じて配線の引き回しの態様を変更できるようにしたものとして、例えば特許文献1に示すものが知られている。
【0003】
このものは、幕板を、天板との間に隙間が生じる下方位置と、天板との間の隙間を閉塞する上方位置とに付け替え可能とし、幕板を下方位置に取り付けた際には幕板に配線受けを支持させ、幕板を上方位置に取り付けた際にはデスク本体の脚間に架設した支持フレームに配線受けを支持させることで、対面使用時におけるデスク間の配線の渡り状態と、単独使用時における見栄えの確保とを実現できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4409254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような構造であると、幕板の上下動に伴って配線受けの高さが変化する。このため、配線受けが必要以上に天板に近づいたり、逆に遠ざかったりして、不便や不都合が生じる場合がある。同文献のものは、幕板を下方位置に取り付けた状態で、配線受けを、幕板が上方位置にあるときと同様にデスク本体の支持フレームに取り付けることも可能であるが、このようにすると引き込んだ配線よりも高い位置に配線受けが位置することになって、意味をなさなくなる。
【0006】
つまり、幕板を上下させても配線受けを好ましい高さに適切に調節できる機能があれば一層望ましい。更には、幕板や配線受けの上下位置の調節に応じて配線受けの形態を変化させ得る機能を付与すれば、目的・用途に応じたより一層使い勝手の良いものになると考えられる。
【0007】
本発明は、このような新たな機能を備えたデスクを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、かかる目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明のデスクは、左右の脚体の間に幕板を配置し、幕板の立壁に配線受けを取り付けるようにしたものにおいて、前記幕板が左右の脚体の上下複数個所に設定した幕板取付部の間で付け替え可能であるとともに、この幕板の高さ方向複数個所に設定した配線受け取付部の間で前記配線受けを付け替え可能としていることを特徴とする。
【0010】
すなわち、配線受けからデスク後方に配線を引き出す必要がある場合や無い場合があり、それに伴って幕板の高さ位置を調節したり、配線受けの高さは幕板の取付高さに影響を受けずに適切に調整したい場合もある。このような場合に、上記のように構成すれば、幕板の適切な高さ位置と配線受けの適切な高さ位置とを好適に両立させることができる。
【0011】
目的・用途に応じて適切な配線類の収納形態を実現するためには、配線受けと幕板との間に配線ダクトが形成され、この配線ダクトの形態が、幕板に対する配線受けの取り付け高さに応じて変化するように構成されていることが好ましい。
【0012】
配線受けの好ましい高さが天板幅方向で異なる場合には、天板幅方向の異なる位置において、複数の配線受けをそれぞれ幕板に対して高さ方向に独立に付け替え可能としていることが望ましい。
【0013】
天板から配線を落とし込む場合等に天板と配線受けとの距離を適切に保つためには、幕板取付部による幕板の取付高さの変更ピッチと配線受け取付部による配線受けの高さ方向の変更ピッチとを少なくとも同ピッチに調節可能としていることが好適である。
【0014】
天板幅方向に沿って上下に配線を分別する必要がある場合等には、前記複数の配線受け取付部のうち少なくとも一部の配線受け取付部間のピッチが、配線受けを上下に重なる位置に同時に取り付け可能な高さ寸法以上に設定されていることが好ましい。
【0015】
目的・用途に応じて配線ダクトの具体的な形態を選択可能とするためには、配線受けの一部が、配線方向と直交する断面をL型に設けられたものであり、幕板に対する配線受けの第1の取付位置で幕板と配線受けの間に上方に開口するコ字状の配線ダクトを形成し、第2の取付位置で配線受けによって上方及び後方に開放するL字状の配線ダクトを形成し得るようにしていることが望ましい。
【0016】
この場合、2台のデスクを背合わせに配置したときに更に異なる形態の配線ダクトに展開できるようにするためには、幕板の後面が、前後方向に沿って天板の反使用端と同じ位置もしくは当該天板の反使用端よりも後方位置に配置されていることが好都合である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上説明した構成であるから、幕板を上下させても配線受けを好ましい高さに適切に調節することができ、更には、幕板に対する配線受けの上下方向の取付位置に応じて、或いは幕板の取付との兼ね合いに応じて、配線受けの形態を変化させることも容易となる、使い勝手に優れたデスクを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係るデスクの後部上方斜視図。
【図2】同デスクを配線空間を露出させた状態で示す図1に対応した後部上方斜視図。
【図3】同デスクを構成する幕板の斜視図。
【図4】図2におけるIV−IV線断面図。
【図5】同デスクで用いる配線受けの後部上方斜視図。
【図6】図5におけるVI−VI線断面図。
【図7】同配線受けの前部下方斜視図。
【図8】同デスクにおいて形成される配線ダクトの形態を示す部分断面図。
【図9】同デスクにおいて配線受けの取付状態を示す一部省略した後部上方斜視図。
【図10】同デスクを背合わせに突き合わせた際に形成される配線ダクトの形態を示す部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0020】
この実施形態のデスクは、図1及び図2に示すように幕板1が上下位置に付け替え可能なものであって、左右の脚体2、2の上端部間に天板3を架設し、左右の脚体2、2の間を当該幕板1で連結することによってデスク本体Dを構成して、天板3の反使用端3aと幕板1との間に配線空間Sを形成するようにしたものである。そして、前記配線空間S内に所定の配線方向である天板幅方向(図2における矢印X方向)に沿って配線を導く配線受け4を必要な箇所に配置し、配線空間Sの上方を配線カバー5によって閉止し得るようにしている。
【0021】
具体的に説明すると、脚体2は、中空体状をなす脚側板21の下端部と上端部からそれぞれベース22とステー23を前方に向けて延出させたもので、脚側板21の対向面には幕板上取付部24と幕板下取付部25が設けてある。この実施形態の幕板上取付部24および幕板下取付部25は、図9にも示すように、それぞれ脚側板21の内面に開口する上下複数の幕板取付部24a、24b(25a、25b)から構成されている。幕板取付部24a、25aが対をなして幕板1を上方位置に取り付け、幕板取付部24b、25bが対をなして幕板1を下方位置に取り付ける。
【0022】
幕板1は、図1〜図3に示すように、板金素材を塑性変形加工することによって、立壁10の上縁、下縁および左右の側縁にそれぞれ折り曲げ補強部11、12、13、13を形成したもので、左右の幅寸法dは図1に示す左右の脚側板21、21の内面間の距離Lに対応しており、図3に示す幕板1の左右の側縁に近い部位には、前記幕板取付部24a、24b(25a、25b)と対になって幕板1を取り付けるための上取付窓14および下取付窓15が開口している。そして、幕板1を図1に示す上方位置または図2に示す下方位置の何れかに配置し、これに伴い幕板1の上取付窓14が脚側板21の幕板上取付部24a、24bの何れかに対応する部位に位置づけられ、幕板1の下取付窓15が脚側板21の幕板下取付部25a、25bの何れかに対応する部位に位置づけられた状態で、上取付具16を用いて上取付窓14と幕板上取付部24a(24b)の間を連結し、下取付具17を用いて下取付窓15と幕板下取付部25a(25b)の間を連結することによって、幕板1を上方位置または下方位置に付け替え可能としている。図示例では、脚側板21の内面に幕板取付部24a、24b、25a、25bとして矩形状の取付孔を開口させ、幕板1の左右の側縁に設けた折曲げ補強部13のうち脚側板21の内面に重合する位置に矩形状の上取付窓14および下取付窓15を開口させて、取付具16、17に、取付窓14、15と取付孔24a(24b)、25a(25b)とが重合した状態でこれらに弾性的に嵌め込まれる樹脂ファスナを採用したものを例示しているが、勿論これ以外にも、例えば幕板1の下折曲げ補強部12に下取付窓を開口させ、この下取付窓と幕板下取付部25a、25bとの間をバックル式の取付具によって連結するなど、連結構造には種々のものを採用することができる。取付部や取付窓の形状も矩形に限らない。
【0023】
一方、デスク本体Dを構成する幕板1の内面には、図3に示すように所定の配線方向である天板幅方向(X方向)に沿って上下方向に異なる位置に配線受け取付部6A、6Bを延在させ、これらの配線受け取付部6、7に、図9に示す配線受け4を着脱可能に取り付け得るようにしている。
【0024】
配線受け取付部6Aは、図3及び図4に示すように、上折曲げ補強部11を利用して構成されているもので、立壁10から前方に延びる水平片61と、その水平片61の先端より連続する垂下片62と、その垂下片62の下端から立壁10に向かう方向に延びる底片63と、その底片63の先端から立ち上がる起立片64とからなり、垂下片62と底片63と起立片64とによって下向き突条6mを形成し、立壁10と水平片61と起立片64との間に下向き溝6nを形成している。また、配線受け取付部6Bは、立壁10に取り付けた補強部材6xを利用して構成されているもので、前記配線受け取付部6Aと同様に水平片61、垂下片62、底片63および起立片64を有し、下向き突条6m、下向き溝6nを形成している。この補強部材6xの場合、水平片61の基端から上方に向けて取付片65が延びており、この取付片65が幕板1の立壁10に溶接等により取り付けられている。起立片64は垂下片62よりも上下寸法が短く、起立片64と水平片61の間には図4に示すように所定の隙間δが開口している。
【0025】
一方、配線受け4は、図5及び図6に示すように樹脂一体成型されたもので、取付状態で水平に配置される配線支持面41と、この配線支持面41の先端から部分的に高さを異ならせて起立する起立片42とをL型に連設するとともに、この配線支持面61の基端側に、垂下片43a、底片43b及び起立片43cから構成されて配線方向(X方向)に沿って連続する溝状の形態をなす上向き凹状嵌合部4mと、この上向き凹状嵌合部4mから更に基端側に隣接する位置において前記起立片43c、頂片43d、垂下片43eから構成されて配線方向(X方向)に沿って連続する突条の形態をなす上向き凸状嵌合部4nとを一体に設けている。そして、この配線受け4を上下何れかの配線受け取付部6A、6Bに対して配線方向と直交する方向、すなわちこの実施形態では図6に矢印で示すように下から上に向かって移動させることによって、前記配線受け4の上向き凸状嵌合部4nを前記配線受け取付部6A、6Bの下向き溝6nに嵌め合わせ、前記配線受け4の上向き凹状嵌合部4mを前記配線受け取付部6A、6Bの下向き突条6mに嵌め合わせ得るようにしている。
【0026】
この際、上向き凸状嵌合部4nと上向き凹状嵌合部4mとの境界に位置する起立片43cから上向き凸状嵌合部4nの頂片43dに亘る領域の一部に図5〜図7に示すように一対の縦スリット44、44を設けて、スリット44、44間に位置する起立片43cを厚み方向(前後方向)に変位可能な可動片45とし、かつこの可動片45の基端部を樹脂ヒンジ45aとして、この樹脂ヒンジ45aの変形とともに可動片45を図4に想像線で示すように厚み方向に回動するようにして弾性変形可能としており、更にこの可動片45を下方に延出させて本発明の解除レバー46を構成している。底片43bには解除レバー46との干渉を避ける逃げ43b1が設けてある。このような解除レバー46は、図5に示すように配線受け4の左右2箇所に設けられている。また、前記スリット44、44間に位置する可動片45のうち上向き凹状嵌合部4mに臨む面には、図5〜図7に示すように凹状嵌合部4mの中央に向かって突出する山形の爪4xが設けてあり、嵌合動作の始めにこの爪4xが配線受け取付部6A、6Bの起立片64と干渉して図4に想像線で示すように可動片45が一時的に垂下片43e側に押し込まれる方向に弾性変形し、所定の嵌合位置で可動片45が復元した際に図6に想像線で示すように配線受け取付部6A、6Bの起立片64と水平片61との隙間δに爪4xが入り込んで、起立片64の上端に設定した係止部6xに係合し、そのとき樹脂ヒンジ45aに残った弾性反発力が押付力となって嵌合部4m、4nを配線受け取付部6A、6Bの突条6mや下向き溝6nの内面に押し付けた状態で嵌り合うようになっている。この爪4xは、解除レバー46を再び図4に想像線で示すように垂下片43e側に倒すことによって前記隙間δから退避させ、係止部6xとの係合を解除することができる。この配線受け4の図6に想像線で示す嵌合位置で上載荷重や外力によって下方への力が作用すると、爪4xを介して可動片45が解除レバー46とともに解除方向と逆方向、すなわち係止部6xとの係合がより深くなる方向に押し付けられる作用を営み、いわゆる奥ヒンジを構成している。配線受け4には、図4、図5及び図7に示すように、前記嵌合部4m、4nを下支えし且つ当該配線受け部4が配線受け取付部6A、6Bに嵌合した状態で一部を幕板1の立壁10に当接させる位置に三角形状のリブ40が設けてある。
【0027】
すなわち、このデスクは、図1および図2に示したように幕板1が左右の脚体2、2の上下複数個所に設定した幕板取付部(24a、25a)と(24b、25b)との間で付け替え可能であるとともに、図3および図4に示すようにこの幕板1の高さ方向複数個所に設定した配線受け取付部6A、6Bの間で前記配線受け4を付け替え可能なものであり、その付け替えは天板幅方向(X方向)の異なる位置において各々の配線受け4、4、…ごとに独立して行うことが可能とされている。その際、幕板取付部24a、24b間のピッチP1(25a、25b間のピッチP1)と前記配線受け取付部6A、6B間のピッチP2とは同一ピッチに設定してあり、その配線受け取付部6A、6B間のピッチP2は、天板幅方向(X方向)の同じ位置若しくは重複する位置において図4に示すように上下に配線受け4、4を重ねて配置できるように、干渉部位である配線受け4の起立片42の高さ寸法h以上となるように設定されている。
【0028】
この実施形態の場合、幕板1に対する配線受け4の第1の取付位置(図8(b))では、配線受け4の起立片42の上端42aと幕板1の上縁11とが略同じ高さとなる位置に設定され、第2の取付位置(図8(a))では、配線支持面41と幕板1の上縁11とが略同じ高さとなる位置に設定されている。
【0029】
さらに、この配線受け4は、図9に示すように天板3の配線方向寸法Wの1/2よりも小さい長さ寸法のもの(更に言えば、天板3の配線方向寸法Wの1/4よりも小さい長さ寸法のもの)であり、配線受け4を配線方向(X方向)に沿って同図に示すように複数配列した状態で配線受け取付部6A、6Bに取り付けることができるのは勿論のこと、同図右側に示すように配線受け4,4同士を、側端部41m、41n同士が突き当たった状態で連続する拡張状態をもとり得るようにしている。そのために、図5〜図7、図9に示すように、配線受け4の両側端部41m、41nから配線支持面41に対して段落ちした突片40m、40nを配線方向外側に向けて延出させて設けている。左右の突片40m、40nは、配線方向と交差する方向である前後方向(図5における矢印Y方向)に位置をずらしてあり、図9に示すように配線受け4、4同士を隣接させることによって一対の配線受け4の隣接する側端部41m(41n)からそれぞれ相手方の配線受け4に向かって突片40m(40n)が延出し、これが対応する配線受け4の側端部41n(41m)近傍の下面に潜り込んで厚み方向に重合するようにしている。
【0030】
なお、図1及び図2に基づいて前述したように、上記配線空間Sの上方は配線カバー5によって閉止されるようにしている。そのために、左右の脚体2、2の後端部は天板3の反使用端3aよりも若干後方に延出した状態にあるように構成されていて、この位置に図9に示すようにカバー取付部7a、7aを設け、天板幅方向(X方向)の中央部にもカバー取付部7bを設けて、隣接するカバー取付部7a、7bの対向面に軸受け部70を構成し、この軸受け部70に図1に示す配線カバー5を着脱可能かつ回動動作によって配線空間Sを上方に向かって開閉可能な状態で支持させるようにしている。また、図4及び図8等に示すように、幕板1の後面は、前後方向に沿って天板3の反使用端3aよりも後方位置に配置される。
【0031】
次に、この実施形態における配線受けの利用の形態について説明する。
【0032】
この配線受け4は、図6等に基づいて前述したように、下から上に向かって配線方向(X方向)と直交する方向から配線受け取付部6A、6Bに近づけた際に、一時的に可動片45が弾性変形した後に復元して爪4xが配線受け取付部6A、6Bの係止部6xに係止されて、嵌合部4m、4nが配線受け取付部6A、6Bの下向き突条6mおよび下向き溝6nに嵌り合う。この状態では、当該嵌合部4m、4nを配線受け取付部6A、6Bの下向き突条6mおよび下向き溝6nから引き抜く方向の力が作用した際に配線受け取付部6A、6Bにより強く当接する爪4xを可動片45に設けているため、上載荷重その他の外力が下向きに作用しても配線受け4が外れることはない。一方、解除レバー46を操作して押付力を解除し、配線受け4を図6の矢印と逆方向に移動させると、前記嵌め合いが解除されて、配線受け4を配線受け取付部6A、6Bから離脱させることができる。さらに、解除レバー46で押付力を緩めた図4に想像線で示す状態にあっても、配線受け4の嵌合部4m、4nと配線受け取付部6A、6Bの下向き突条6mおよび下向き溝6nとの嵌合状態は維持されるため、配線方向(X方向)に沿って図9に矢印Tで示すように配線受け4をスライドさせる操作を行うことができる。
【0033】
一方、配線ダクトの形態としては、幕板1に対する配線受け4の第1の取付位置(図8(b))で幕板1と配線受け4の間に上方に開口するコ字状の配線ダクトS1を形成し、第2の取付位置(図8(a))で配線受け4によって上方及び後方に開放されたL字状の配線ダクトS2を形成することができる。したがって、これらの配線ダクトS1、S2に天板幅方向(X方向)に沿って配線を引き回し、必要な箇所で配線受け4の起立片42に配線を巻き付け、さらに必要な箇所から天板3上に配線を立ち上げ、或いは床に向かって配線を落とし込み、更には図8(a)の場合には配線カバー5を閉止した状態でも後方に向かって配線を引き出すことができる。
【0034】
さらに、このような構造を利用すれば、2台のデスクを背合わせに配置したときに、幕板1に対する配線受け4の第1の取付位置で図10(b)に示すように一対の天板3、3間に幕板1を中間仕切りとして上方に開口するE字形状の配線ダクトS3が形成されて、各々のデスクで配線ダクトS3を使い分けたり、電力線と通信線とを使い分けたりする態様が可能になり、また、幕板1に対する配線受け4の第2の取付位置で図10(a)に示すように一対の天板3、3間に上方に開口するコ字形状の大型配線ダクトS4が形成されて、対面配置されたデスク間での縦配線や共用配線の収納が容易になるほか、定電圧電源等の比較的大きな給電機器やハブ、ルータ等の比較的大きな通信機器も収容することが可能になる。
【0035】
以上のように、本実施形態のデスクは、左右の脚体2、2間に幕板1を配置し、幕板1の立壁10に配線受け4を取り付けるようにしたものであり、前記幕板1が左右の脚体2、2の上下複数個所に設定した幕板取付部24a、25a(24b、25b)の間で付け替え可能であるとともに、この幕板1の高さ方向複数個所に設定した配線受け取付部6A、6Bの間で前記配線受け4を付け替え可能としたものである。
【0036】
このようにすると、配線受け4からデスク後方に配線を引き出す形態と引き出さない形態、その他の必要な形態に応じて幕板1の高さを変更することができ、それに伴って配線受け4の高さ位置を調節することができる。したがって、幕板1の適切な高さ位置と配線受け4の適切な高さ位置とを好適に両立させることが可能となる。
【0037】
また、配線受け4と幕板1との間において、幕板1に対する配線受け4の取り付け高さに応じて異なる配線ダクトS1、S2が形成されるようにしているので、目的・用途に応じた適切な配線ダクトを選択して構成することが可能となる。
【0038】
さらに、天板幅方向(X方向)の異なる位置において、複数の配線受け4、4、…をそれぞれ幕板1に対して高さ方向に独立に付け替え可能としているので、配線受け4の好ましい高さ位置を天板幅方向の各位置で個別に追求することもできて便利である。
【0039】
特に、幕板取付部24a、25a(24b、25b)による幕板1の取付高さの変更ピッチP1と配線受け取付部6A、6Bによる配線受け4の高さ方向の変更ピッチとP2とを同ピッチにしているので、図10に示すように幕板1の取付高さを変えても、配線受け4の高さを一定に保つことができる。このため、天板3から配線を落とし込む場合等に、天板3と配線受け4との距離を適切に保つ上で有用なものとなる。
【0040】
また、配線受け取付部6A、6B間のピッチP2が、配線受け4、4を上下に重なる位置に同時に取り付けるために必要な高さ寸法h以上に設定されているので、天板幅方向(X方向)に沿って上下に配線を分別するなどの形態も容易に利用することが可能となる。
【0041】
そして、配線受け4の一部が、配線方向(X方向)と直交する断面をL型に設けられていて、幕板1に対する配線受け4の第1の取付位置で幕板1と配線受け4の間に上方に開口するコ字状の配線ダクトS1を形成し、第2の取付位置で配線受けによって上方及び後方に開放するL字状の配線ダクトS2を形成し得るようにしているので、幕板1に対する配線受け4の2位置間での付け替えだけで、配線ダクトの具体的な形態を簡単に選択することができるようになる。
【0042】
特に、幕板1の後面が、前後方向に沿って天板3の反使用端3aよりも後方位置に配置されているので、2台のデスクを背合わせに配置したときに、配線受け4の第1の取付位置で上方に開口するE字形状の配線ダクトS3が形成され、第2の取付位置で上方に開口するコ字形状の大型配線ダクトS4が形成できることになり、対面配置した際の配線引き回しの便もダクト構造の選択を通じてより一層有効に向上させることが可能となる。
【0043】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0044】
例えば、幕板や配線受けの付け替えは上下方向の3箇所以上とすることができ、また、配線受けの変更ピッチと幕板の変更ピッチとは、一方が他方の整数倍の値となるようにしても構わない。
【0045】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…幕板
2…脚体
3…天板
3a…反使用端
4…配線受け
6A、6B…配線受け取付部
10…立壁
24、24a、24b、25、25a、25b…幕板取付部
S1…コ字状の配線ダクト
S2…L字状の配線ダクト
S3…E字形状の配線ダクト
S4…コ字形状の配線ダクト
P1…幕板の取付高さの変更ピッチ
P2…配線受けの高さ方向の変更ピッチ
X…天板幅方向(配線方向)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の脚体の間に幕板を配置し、幕板の立壁に配線受けを取り付けるようにしたものにおいて、
前記幕板が左右の脚体の上下複数個所に設定した幕板取付部の間で付け替え可能であるとともに、この幕板の高さ方向複数個所に設定した配線受け取付部の間で前記配線受けを付け替え可能としていることを特徴とするデスク。
【請求項2】
配線受けと幕板との間に配線ダクトが形成され、この配線ダクトの形態が、幕板に対する配線受けの取り付け高さに応じて変化するように構成されている請求項1記載のデスク。
【請求項3】
天板幅方向の異なる位置において、複数の配線受けをそれぞれ幕板に対して高さ方向に独立に付け替え可能としている請求項1又は2記載のデスク。
【請求項4】
幕板取付部による幕板の取付高さの変更ピッチと配線受け取付部による配線受けの高さ方向の変更ピッチとを少なくとも同ピッチに調節可能としている請求項1〜3の何れかに記載のデスク。
【請求項5】
前記複数の配線受け取付部のうち少なくとも一部の配線受け取付部間のピッチが、配線受けを上下に重なる位置に同時に取り付け可能な高さ寸法以上に設定されている請求項1〜4の何れかに記載のデスク。
【請求項6】
配線受けの一部が、配線方向と直交する断面をL型に設けられたものであり、幕板に対する配線受けの第1の取付位置で幕板と配線受けの間に上方に開口するコ字状の配線ダクトを形成し、第2の取付位置で配線受けによって上方及び後方に開放するL字状の配線ダクトを形成し得るようにしている請求項1〜5の何れかに記載のデスク。
【請求項7】
幕板の後面が、前後方向に沿って天板の反使用端と同じ位置もしくは当該天板の反使用端よりも後方位置に配置されている請求項6記載のデスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−448(P2013−448A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136337(P2011−136337)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【Fターム(参考)】