説明

デッキシステム、デッキ部材、及びデッキ部材止着具

【課題】湿気による腐朽の恐れが少ないデッキシステム。さらに、合成木材からなるデッキ部材を使用する場合においても、デッキ材が競り上がる恐れの少ないデッキシステムの提供。
【解決手段】側面に凹部を有するデッキ部材4を、デッキ部材止着具20を用いて根太12に止着し、床面を形成するデッキシステムにおいて、デッキ部材4は、長手方向全体に亘って、両側面の中央に凹部41を有し、デッキ部材止着具20は、隣接配置されるデッキ部材双方を根太から浮かせて支持する支持部21と、支持されるデッキ部材双方の、凹部各々と係合する係入部22と、支持されるデッキ部材双方よりも低位置で根太に固定される固定部24と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の屋外や庭園等に設置されるテラス、バルコニーなどを、所定部材の組み合わせセットを用いて構築するデッキシステム及びそのデッキシステムに用いるデッキ部材、並びにデッキ部材止着具に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の屋外や庭園等にテラス、バルコニーなどを設置する際に必要となる部材を規格化してセットにする一方、それらの部材を設置現場の条件に合わせて切断することを可能にして寸法調整を容易化し、施工の簡便化が図られたデッキシステムが開発されている。
しかしながら、床面を形成するためのデッキ部材を通常の木材で構成する場合には、それら木材が湿気で腐朽しやすいため、耐久性、耐候性に難点があった。そこで、樹脂とセルロース系微粒粉、あるいは樹脂と木粉を主成分とする混合材を押出成形、又は射出成形することにより、中空の合成木材を製造し、その合成木材をデッキ部材にして床面を形成する技術が開示されている。
例えば、デッキ部材の、大引きとの交差位置ごとに凹部を設け、頭部をその凹部に係合させた固定具により、そのデッキ部材を大引きに固定する技術(特許文献特許文献1参照)、デッキ部材の両側面全長にわたり凹部を設け、固定具の左右の係合板とその凹部との係合深さを左右非対称にすることにより、隣接するデッキ部材を一定間隔離間させて敷設する技術が開示されている(特許文献2参照)。また、デッキ部材の凹部の下方部分を固定具の押さえ片で押さえてビス止めする一方、凹部の上方部分を、凹部の下方部分よりも突き出して、ビスなどが見えにくく構成し、見栄えをよくしたものがある(特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2001−317121号公報
【特許文献2】特開2002−47782号公報
【特許文献3】特許第3709528号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示された技術によれば、係合位置が固定されるため、設計の自由度が低下し、自由度を高めようとすれば、大引きにスリットを設ける必要があるなど、施工の簡便性が損なわれるという課題がある。また、特許文献2に開示された技術によれば、固定具の構造上、デッキ部材と根太とは殆ど接触した状態となるので、根太が木材で構成される場合には、腐朽対策を別途講ずる必要がある。一方、特許文献3においてデッキ部材として使用される合成木材は、耐久性や耐食性に優れる一方、金属に較べて線膨張係数が格段に大きいため、金属製の固定具で凹部下方部分が押さえつけられたデッキ部材が高温時に競り上がる恐れがある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑み、湿気による腐朽の恐れが少ないデッキシステムを構築することを目的とする。さらに、デッキ部材を合成木材で構成する場合においても、デッキ部材が温度伸縮によって競り上がる恐れの少ないデッキシステムを構築することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のデッキシステムは、根太上に隣接配置される、側面に凹部を有するデッキ部材を、該凹部と係合するデッキ部材止着具を用いて根太に止着し、床面を形成するデッキシステムにおいて、上記デッキ部材は、長手方向全体に亘って、両側面の中央に凹部を有するものであり、上記デッキ部材止着具は、隣接配置される上記デッキ部材双方を根太から浮かせて支持する支持部と、上記支持部に支持される上記デッキ部材双方の、対向する上記凹部各々と係合する係入部と、上記支持部を、該支持部に支持される上記デッキ部材双方よりも低位置で根太に固定する固定部と、を有することを特徴とする。
このように、根太上に隣接配置されるデッキ部材は、デッキ部材止着具により、根太から浮かせて止着されるので、その底面と根太との間には所定の隙間が生じ、根太が濡れて湿気たとしても、空気の流通によって早期に乾燥するので、木材で根太を構成しても腐朽の恐れが少ない。また、根太上に隣接配置されるデッキ部材双方は、対向する凹部各々にデッキ部材止着具の係入部が係合することによって根太に止着されるので、たとえデッキ部材が合成部材によって構成され、温度伸縮したとしても、デッキ部材が競りあがる恐れは少ない。さらに、デッキ部材の凹部は、両側面の長手方向全体に亘って中央に形成されているので、デッキ部材の何れの面を表側にしてもよく、さらに、根太に止着される位置も自由に設定することができる。
この場合、上記デッキ部材は、少なくとも一方の表面に複数の溝が形成されたものであってもよい。さらに、上記デッキ部材は、所定の木材に薬液が加圧注入されたものであっても、粉砕された木材及び樹脂が混練・成形された、内部に仕切壁で仕切られた中空部を有するものであってもよい。
【0006】
また、断面がコ字状をなし、角柱に嵌合される嵌合部と、該嵌合部から直角に折れ曲がり床面に螺設される平面部とを具備し、床面に角柱を止着する角柱止着具であって、該嵌合部の対向する面が、嵌合される角柱の幅の半分よりも狭幅の角柱止着具を備えたことも好ましい態様である。
このように、柱固定具のコ字状をなした嵌合部の、対向する面の幅が、嵌合される角柱の幅の半分よりも狭くなっていれば、一対の柱固定具を、角柱の対向位置に嵌合させたとき、それぞれの嵌合部を角柱に密着させ、床面にしっかりと固定することができるので、角柱がぐらつかない。
【0007】
さらに、上記支持部は、上記デッキ部材双方を載置する、底に溝が形成された、所定の高さのデッキ部材載置台からなることが好ましい。
そのようにすれば、デッキ部材を根太から浮かせて支持できる上、支持部と根太との間も空気の流通路が形成されるので、根太が湿気で腐朽する恐れがさらに減る。また、上記固定部は、上記デッキ部材載置台と一体成形され、根太に螺設される平面を有し、該平面はは、上記デッキ部材載置台に載置される上記デッキ部材双方の底面よりも、少なくとも螺子の頭分だけ高さが低いことが好ましい。
このようにすれば、デッキ部材の底面が螺子に当ることがないので、デッキ部材載置台によってデッキ部材を安定的に支持することが出来る。
また、上記デッキ部材止着具は、上記デッキ部材載置台に載置される上記デッキ部材双方を隔てる、所定の高さの隔離部を有し、上記係入部は、上記隔離部の上部から該隔離部で隔てられる上記デッキ部材双方の上記凹部各々に向けて水平に突き出した板状部材からなることが好ましく、さらに、上記板状部材の上記凹部各々と係合する縁辺は、鋸歯状の断面を有することも好ましい。
このようにすれば、デッキ部材の材質によって、凹部の幅を調整し、例えば薬液が加圧注入された木材の場合には、係合する板状部材と密着するようにもできるし、合成木材の場合には、板状部材の縁辺の断面を鋸歯状に構成し、温度伸縮による凹部の変形に応じて、鋸歯部分が凹部の壁面に食い込んだり、外れたりするようにして、デッキ部材の競り上がりを防止することもできる。
さらに、上記固定部に、上記デッキ部材載置台と同じ高さの縁部を設け、上記離隔部は、上記デッキ部材載置台に載置される上記デッキ部材双方を、該デッキ部材載置台の上記縁部寄りの位置で隔てることもできる。
このように構成すれば、デッキ部材載置台のサイズを小さくすることができる。
また、本発明のデッキ部材は、粉砕された木材及び樹脂が混練・成形された、内部に仕切壁で仕切られた中空部を有するデッキ部材であって、少なくとも一方の表面に複数の溝を有すると共に長手方向全体に亘って、両側面の中央に凹部を有することを特徴とする。
このような構造の合成木材をデッキ部材とすれば、所要の強度を確保しつつ、軽量化を図ることができる上、両面の何れかを用途に応じて選択することができる。
さらに、本発明のデッキ部材止着具は、根太上に隣接配置される、側面に凹部を有するデッキ部材双方を、根太に止着するデッキ部材止着具であって、前記デッキ部材双方を載置する、底に溝が形成された、所定の高さのデッキ部材載置台と、前記デッキ部材載置台と一体成形され、該デッキ部材載置台に載置される前記デッキ部材双方よりも低位置で根太に固定される固定部と、前記デッキ部材載置台に載置される前記デッキ部材双方を隔てる、所定の高さの隔離部と、前記隔離部の上部から前記デッキ部材双方の前記凹部各々に向けて水平に突き出し、該凹部各々と係合する係入部と、を有することを特徴とする。
このようなデッキ部材止着具を用いれば、根太から浮かせてデッキ部材が止着されるので、デッキ部材と根太との間には隙間が生じ、根太あるいはデッキ部材を木材で構成しても腐朽の恐れが少ない。また、デッキ部材が合成部材で構成しても温度伸縮によるデッキ部材の競りあがりを防止できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、デッキ部材止着具によって、デッキ部材が根太から浮かせて止着されるので、デッキ部材あるいは根太などに一般木材が使用される場合でも湿気による腐朽を予防することができる。また、デッキ部材に合成木材が使用される場合でも、デッキ部材の凹部に係合する係入部の断面を、例えば鋸歯状に構成することなどにより、温度伸縮分が吸収され、デッキ部材の競り上がりを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明のデッキシステム、デッキ部材、及びデッキ部材止着具を適用した第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態のデッキシステムを示す図である。
図1のデッキシステムは、大引きや根太などで形成されたデッキフレーム1と、そのデッキフレーム1に取り付けてコンクリート平板2上に置かれたデッキレッグ3と、デッキフレーム1上に隣接配置され、床面を形成する、本発明のデッキ部材4と、床面に設置された角柱5と、角柱5に取り付けたラテイスフェンス6と、地面と床面とをつなぐステップ7と、により構成されている。
デッキシステムの構成例としては、例えば、デッキ寸法が2100mm×2770mmのものは、長さが120mmのラテイスフェンスが2組、長さが90mmのラテイスフェンスが3組、床面を形成する長さが2100mmのデッキ部材が19本、デッキレッグが12本、大引きが4本、根太が6本、角柱が4本、ステップが1組、及びデッキ部材止着具、角柱止着具、デッキレッグと大引きとを接合するL字金具、手摺用金具などがパーツとしてセットされている。
デッキシステムの構成例としては、このほかにも、デッキ寸法が1350mm×2170mm、1350mm×2770mm、1350mm×3670mm、1350mm×4570mm、2100mm×2170mm、2100mm×2770mm、2100mm×3670mm、2100mm×4570mm、2400mm×2770mm、2400mm×3670mm、2400mm×4570mm、2700mm×2770mm、2700mm×3670mm、2700mm×4570mm、3600mm×3670mm、3600mm×570mmのものがある。
これらの構成例から必要な寸法のパーツがセットされたものを選択し、実際にデッキを設置する場所の条件に合わせて、デッキ部材や大引き、根太などを鋸で切断して寸法調整することができる。
デッキフレーム1はボルトナットで固定され、デッキレッグ3はL字金具によりデッキフレーム1に取り付けられている。また、デッキ部材4は、本発明のデッキ部材止着具により根太から浮かしてデッキフレーム1に止着されている。さらに、角柱5は角柱止着具により床面に設置され、その角柱5と手摺板とに、手摺金具を用いてラテイスフェンス6が取り付けられている。
【0010】
ここで、本実施形態におけるデッキレッグ、大引き、及び根太には、薬剤が加圧注入されたACQ木材が用いられている。
このACQ木材は、加工された木材を釜に入れて真空状態にした後、銅と第4アンモニウム塩を主成分とする薬剤を薬液タンクから釜内に投入する。そして、釜内に高圧をかけて木材に薬剤を加圧注入し、薬剤が加圧注入された木材を乾燥させることにより製造されたものである。
また、本実施形態におけるデッキ部材は、粉砕された木材及び樹脂を混練し、押出成形され、3つの仕切壁で仕切られた4つの中空部を有する合成木材が用いられている。
粉砕された木材としては、例えば建築廃材、製材屑などを粉状にしたものがあるが、必ずしも粉状にする必要はない。更に、必ずしも粉砕された木材である必要はなく、木、植物などの繊維等であってもよい。
樹脂としては、主として熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂により製品として成形され、その後廃品となったものや不良品、端材など、いわゆる廃材の粉砕された樹脂が使用されるが、必ずしも廃材である必要はない。
なお、使用樹脂の種類としては、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの熱可塑性汎用プラスチックや、フェノール樹脂(PF)、ポリウレタン(PU)などの熱硬化性樹脂がある。
本実施形態のデッキ部材には、合成木材が用いられているが、デッキ部材は必ずしも合成木材である必要はなく、例えばACQ木材を用いることもできる。
【0011】
図2は、第1の実施形態のデッキシステムにおける床面を示す図である。
図2に示す床面は、等間隔に配置された3本の大引き11と、大引き11に交差させて等間隔に配置された3本の根太12と、大引き11に平行に、3本の根太12上に一定の隙間を開けて並置された中空の合成木材からなる複数のデッキ部材4と、隣接するデッキ部材4双方を根太12に固定するデッキ部材止着具とにより構築されている。
図示してはいないが、本実施形態のデッキ部材4は、一方の表面には、長手方向に複数の溝が形成されているが、他方の表面は、滑らかになっている。また、デッキ部材4の側面の凹部は、両側面の中央に形成されている。したがって、屋外設置される場合などには、複数の溝が形成された表面を表側にして床面を構成すれば、床面が雨に濡れたときでも、水はけが良好である上、人が歩いたときでも滑りにくくすることができる。また、屋内設置される場合や、歩行性などの観点から表面が滑らかな側を表側にすることもできる。
【0012】
図3は、第1の実施形態に用いるデッキ部材の断面を示す図である。
図3に示すデッキ部材4は、両側面の長手方向全体に亘り、凹部41が形成され、その内部には、側面に平行な3つの仕切壁42で仕切られた4つの中空部43がある。
ここで、本実施形態のデッキ部材には、側面に平行な3つの仕切壁が設けられているが、仕切壁は、必ずしも3つである必要はない。また、仕切壁は、必ずしも側面に平行に設ける必要はなく、側面に垂直に設けてもよい。さらに、側面に平行な仕切壁と側面に垂直な仕切壁とを一緒に設けてもよい。
このデッキ部材4を用いて床面を構成するときは、大引き11と交差させて配置された根太12上に所定の隙間Gを開けて、複数のデッキ部材4を並べて配置する。隣接配置されたデッキ部材4双方は、デッキ部材止着具20に載置され、根太12から浮かせて、所定の高さHに支持される一方、対向する凹部41それぞれがデッキ部材止着具20に係合される。そして、デッキ部材止着具20は、螺子25で根太12に固定されるので、デッキ部材4双方は、根太12に止着され、移動が制限される。
ここで、隣接配置されたデッキ部材4双方の隙間Gは、デッキ部材4の温度伸縮を考慮して、常温で5mm前後に設定することが好ましい。
また、デッキ部材止着具20により根太から浮かせて支持される高さHは、少なくとも3mm、より好ましくは5mm以上に設定するとよい。さらに、デッキ部材止着具20の底に空気が流通する溝を設けることが望ましい。
本実施形態のデッキ部材4には、仕切壁42と中空部43とが設けられているので、重量を軽減しつつ、長手方向の所定の曲げ強度を確保することができる。また、両側面の中央に凹部41が設けられているので、選択によりデッキ部材の何れの面をも表側として床面を構成することができる。例えば、デッキ部材4の一方の表面には複数の溝(図には現れていない。)を設け、他方の表面は滑らかにしておけば、使用環境に合わせて両者の何れかを選択することができる。
また、デッキ部材4の長手方向全体に亘り凹部41が形成されているので、デッキ部材4の寸法を設置環境に合わせて切断することにより寸法調整を自在に行うことができる。
さらに、根太12から浮かせた状態でデッキ部材4が支持されるので、雨水などにより根太が湿気ても、空気の流通によって乾燥し易く、根太12が腐朽するおそれが少ない。なお、このことは、ACQ木材からなるデッキ部材により床面を構成する場合にも同様の効果がある。
【0013】
図4は、第1の実施形態に使用されるデッキ部材止着具を示す図である。
図4に示すデッキ部材止着具20は、デッキ部材を載置するデッキ部材載置台(本発明の支持部に相当する。)21と、デッキ部材載置台21に載置されるデッキ部材双方の、対向する凹部それぞれと係合する係入部22と、係入部22の、デッキ部材載置台21からの高さを一定に保持する離隔部23と、デッキ部材載置台21の底と水平な、螺孔24aが設けられた平面24cを有する固定部24と、が一体的に形成されている。
デッキ部材載置台21は、デッキ部材を載置する、高さがHの平面部21aを有し、底に3つの溝21bが形成されている。
係入部22は、離隔部23の上部から離隔部23の両側に突き出した板状部材からなり、その板状部材は、端面22aがデッキ部材側面の凹部の底面41aに当接し、断面が鋸歯状の縁辺22bが、デッキ部材4の伸縮による凹部41の変形に応じて、凹部の壁面41bに食い込んだり、外れたりする。
固定部24は、端に、デッキ部材載置台21の平面部21aと同じ高さの縁部24b有するので、この縁部24bにもデッキ部材4が載置可能である。
離隔部23は、平面部21a全体を仕切る一定の高さの仕切壁として形成されるので、平面部21aに載置されたデッキ部材4双方はその離隔部23のよって隔離される。
本実施形態では、固定部24の端に平面部21aと同じ高さの縁部24bを設けているが、縁部24bは、必ずしも必要ではない。ただし、平面部21aと同じ高さの縁部24bがあれば、デッキ部材載置台21に載置されるデッキ部材4の支持力を縁部24bにも分担させることができるので、離隔部23を、平面部21aの、縁部24b寄りの位置に形成することによりデッキ部材載置台21のサイズを小さくすることもできる。
また、デッキ部材載置台21の平面部21aの高さを、少なくとも3mm、好ましくは5mmにすれば、デッキ部材4は、根太から十分浮いた状態で支持されるので、根太が雨水などで湿気ても、乾燥し易く、根太が腐朽する恐れが少ない。さらに、デッキ部材載置台21の底に溝21bが設けられていれば、デッキ部材載置台21と根太との間にも空気が常時流通して、根太が腐朽する恐れをさらに軽減できる。
【0014】
図5は、第1の実施形態において隣接配置されるデッキ部材を示す図である。
図5に示すデッキ部材4は、両側面の長手方向全体に亘り、凹部41が形成され、その内部には、中空部43が形成されている。根太12上に隣接配置されたデッキ部材4a,4bは、隙間Gを開けた状態で、互いの凹部41を対向させ、共通のデッキ部材止着具20により根太12に止着される。
ここで、隣接配置されたデッキ部材4a,4b相互の隙間Gは、デッキ部材4の温度伸縮を考慮して、常温で5mm前後とすることが好ましい。
デッキ部材止着具20は、デッキ部材4a,4bを載置する、底に3つの溝21bが形成されたデッキ部材載置台21と、デッキ部材載置台21に載置されるデッキ部材4a,4bの、対向する凹部41それぞれに係合する係入部22と、係入部22の高さを一定に保持する離隔部23と、螺子25によって根太に固定される、デッキ部材載置台21の底と水平な平面24c、及びデッキ部材載置台21の平面部21aと高さが同じ縁部24bを具備した固定部24と、を有する。
このデッキ部材止着具20により床面を形成するときは、図の左方からデッキ部材4を順次根太12に止着する。図の左側のデッキ部材4aを、離隔部23で隔てられたデッキ部材止着具20の平面部21a左側に載置し、左側のデッキ部材4aの凹部の底面41aに、係入部22の端面22aを当接させる。
次に、固定部24の平面24cを螺子25により根太12に固定して、デッキ部材4aを根太12に止着する。
次に、図の右側のデッキ部材4bを、離隔部23で隔てられたデッキ部材載置台21の平面部21a右側及び固定部24の縁部24bに載置し、デッキ部材4bの凹部41の底面41aに、係入部22の端面22aを当接させる。以下、順次同様の動作を繰り返す。
図4に示したように、係入部22は、離隔部23の上部から両側に突き出した板状部材によって離隔部23の両側に形成された端面22aと断面が鋸歯状の縁辺22bとを有する。
端面22aは、デッキ部材4の凹部各々の底面41aに当接し、断面が鋸歯状の縁辺22bは、デッキ部材4の伸縮による凹部41各々の変形に応じて、凹部各々の壁面41bに食い込んだり、外れたりすることにより、凹部41各々としっかりと係合する。したがって、デッキ部材載置台21に載置されたデッキ部材4a,4bの、上下左右方向の移動を防止することができる。
ここでは、デッキ部材4に合成木材が使用されているので、その温度伸縮は、金属の数倍となる。このため、ACQ木材により構成されるデッキ部材4に較べて、側面に設ける凹部41の幅を広目にしてある。常温時には、係入部22の端面22aが凹部の底面41aに当接するものの、断面が鋸歯状の縁辺22bは、凹部の壁面41bからわずかに離間する状態で係合する。一方、高温時には、デッキ部材4が伸張し、凹部41の幅が小さくなるが、断面が鋸歯状の縁辺22bが凹部の壁面41bに食い込むことで凹部41の変形が吸収される。
ここで、本実施形態では、本発明の合成木材からなるデッキ部材4を使用しているが、ACQ木材からなるデッキ部材を使用することも可能であり、その場合には、凹部41の幅を少し狭くして、常温時においても、断面が鋸歯状の縁辺22bが凹部の壁面41bに接触するように構成してもよい。ただし、必ずしも縁辺の断面を鋸歯状にする必要はなく、平面状にしてもよい。
また、本実施形態における固定部24の平面24cには、螺孔24aが複数設けられている。このため、固定部24を根太12に螺止することにより、本発明の支持部に相当するデッキ部材載置台21も根太12にしっかりと固定される。また、固定部24の平面24cは、デッキ部材載置台21の平面部21aに載置されたデッキ部材4a,4b双方の底面よりも十分低位置にあり、デッキ部材4が螺子の頭部25aに当ることはない。
【0015】
次に、本発明のデッキシステムを適用した第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態のデッキシステムは、第1の実施形態のデッキシステムに較べて、床面に設置される角柱が、本発明の一対の角柱止着具によって止着される点が相違する。しかしながら、それ以外の点は共通するので、重複する説明は省略し、相違点について説明する。
【0016】
図6は、第2の実施形態のデッキシステムで使用される角柱止着具を示す図である。
図6に示す角柱止着具50は、断面がコ字状をなし、角柱に嵌合される嵌合部51と、その嵌合部50から直角に折れ曲がり床面に螺設される平面部52とからなる。
嵌合部の対向する面51a、51bは、嵌合される角柱の幅の半分よりも狭幅になっている。また、嵌合部50及び平面部52には、螺孔53が設けてある。
したがって、一対の角柱止着具50のうちの一方の角柱止着具50を角柱及び床面に螺子止めし、その後に他方の角柱止着具50を角柱の対向位置に嵌合させて、角柱及び床面に螺子止めすれば、角柱をしっかりと床面に固定することが出来る。
【0017】
図7は、第2の実施形態のデッキシステムの一部を示す図である。
図7に一部示すデッキシステムは、大引きや根太などで形成されたデッキフレーム1と、そのデッキフレーム1に取り付けてコンクリート平板上に置かれたデッキレッグ3と、デッキフレーム1上に隣接配置され、床面が形成されるデッキ部材4と、床面に設置された角柱5と、角柱5を床面に固定する一対の角柱止着具50と、を有する。
角柱止着具50の、コ字状断面を有する嵌合部51の対向する面51a、51bは、嵌合される角柱の面5aの幅Wよりも狭幅になっているので、角柱に嵌合された一対の角柱止着具50相互間には隙間ができる。したがって、一対の角柱止着具50を、床面に固定する角柱5の対向位置に、それぞれの嵌合部51を角柱5に嵌合させて、角柱5及び床面に螺子止めすれば、角柱は床面にしっかりと固定され、ぐらつかない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第1の実施形態のデッキシステムを示す図である。
【図2】第1の実施形態のデッキシステムにおける床面を示す図である。
【図3】第1の実施形態に用いるデッキ部材の断面を示す図である。
【図4】第1の実施形態に使用されるデッキ部材止着具を示す図である。
【図5】第1の実施形態において隣接配置されるデッキ部材を示す図である。
【図6】第2の実施形態のデッキシステムで使用される角柱止着具を示す図である。
【図7】第2の実施形態のデッキシステムの一部を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
1 デッキフレーム
2 コンクリート平板
3 デッキレッグ
4 デッキ部材 4a右側のデッキ部材 4b左側のデッキ部材
5 角柱 5a嵌合される角柱の面
6 ラテイスフェンス
7 ステップ
11 大引き
12 根太
20 デッキ部材止着具
21 デッキ部材載置台 21a平面部 21b溝
22 係入部 22a端面 22b断面が鋸歯状の縁辺
23 離隔部
24 固定部 24a螺孔 24b縁部 24c平面
25 螺子 25a螺子の頭部
41 凹部 41a底面 41b壁面
42 仕切壁
43 中空部
50 角柱止着部
51 嵌合部 51a、51b対向する面
52 平面部
53 螺孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
根太上に隣接配置される、側面に凹部を有するデッキ部材を、該凹部と係合するデッキ部材止着具を用いて根太に止着し、床面を形成するデッキシステムにおいて、
前記デッキ部材は、長手方向全体に亘って、両側面の中央に凹部を有するものであり、
前記デッキ部材止着具は、隣接配置される前記デッキ部材双方を根太から浮かせて支持する支持部と、前記支持部に支持される前記デッキ部材双方の、対向する前記凹部各々と係合する係入部と、前記支持部を、該支持部に支持される前記デッキ部材双方よりも低位置で根太に固定する固定部と、を有することを特徴とするデッキシステム。
【請求項2】
断面がコ字状をなし、角柱に嵌合される嵌合部と、該嵌合部から直角に折れ曲がり床面に螺設される平面部とを具備し、床面に角柱を止着する角柱止着具であって、該嵌合部の対向する面が、嵌合される角柱の幅の半分よりも狭幅の角柱止着具を備えたことを特徴とする請求項1記載のデッキシステム。
【請求項3】
前記デッキ部材は、少なくとも一方の表面に複数の溝が形成されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載のデッキシステム。
【請求項4】
前記デッキ部材は、所定の木材に薬液が加圧注入されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載のデッキシステム。
【請求項5】
前記デッキ部材は、粉砕された木材及び樹脂が混練・成形された、内部に仕切壁で仕切られた中空部を有するものであることを特徴とする請求項1又は2記載のデッキシステム。
【請求項6】
前記支持部は、前記デッキ部材双方を載置する、底に溝が形成された、所定の高さのデッキ部材載置台からなることを特徴とする請求項1又は2記載のデッキシステム。
【請求項7】
前記固定部は、前記デッキ部材載置台と一体成形された、根太に螺設される平面を有し、該平面は、前記デッキ部材載置台に載置される前記デッキ部材双方の底面よりも、少なくとも螺子の頭分だけ高さが低いことを特徴とする請求項6記載のデッキシステム。
【請求項8】
前記デッキ部材止着具は、前記デッキ部材載置台に載置される前記デッキ部材双方を隔てる、所定の高さの隔離部を有し、前記係入部は、前記隔離部の上部から該隔離部で隔てられる前記デッキ部材双方の前記凹部各々に向けて水平に突き出した板状部材からなることを特徴とする請求項6又は7記載のデッキシステム。
【請求項9】
前記板状部材の前記凹部各々と係合する縁辺は、鋸歯状の断面を有することを特徴とする請求項8記載のデッキシステム。
【請求項10】
前記固定部は、前記デッキ部材載置台と同じ高さの縁部を有するものであって、前記離隔部は、前記デッキ部材載置台に載置される前記デッキ部材双方を、該デッキ部材載置台の前記縁部寄りの位置で隔てることを特徴とする請求項9記載のデッキシステム。
【請求項11】
粉砕された木材及び樹脂が混練・成形された、内部に仕切壁で仕切られた中空部を有するデッキ部材であって、少なくとも一方の表面に複数の溝を有すると共に長手方向全体に亘って、両側面の中央に凹部を有することを特徴とするデッキ部材。
【請求項12】
根太上に隣接配置される、側面に凹部を有するデッキ部材双方を、根太に止着するデッキ部材止着具であって、前記デッキ部材双方を載置する、底に溝が形成された、所定の高さのデッキ部材載置台と、前記デッキ部材載置台と一体成形され、該デッキ部材載置台に載置される前記デッキ部材双方よりも低位置で根太に固定される固定部と、前記デッキ部材載置台に載置される前記デッキ部材双方を隔てる、所定の高さの隔離部と、前記隔離部の上部から前記デッキ部材双方の前記凹部各々に向けて水平に突き出し、該凹部各々と係合する係入部と、を有することを特徴とするデッキ部材止着具。
【請求項13】
前記固定部は、根太に螺設される平面を具備し、該平面は、前記デッキ部材載置台に載置される前記デッキ部材双方の底面よりも、少なくとも螺子の頭分だけ高さが低いことを特徴とする請求項12記載のデッキ部材止着具。
【請求項14】
前記固定部は、前記デッキ部材載置台と同じ高さの縁部を有するものであって、前記離隔部は、前記デッキ部材載置台に載置される前記デッキ部材双方を、該デッキ部材載置台の前記縁部寄りの位置で隔てることを特徴とする請求項13記載のデッキシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−277822(P2007−277822A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−101958(P2006−101958)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【出願人】(306004081)旭興進株式会社 (1)
【Fターム(参考)】