デッキプレート相互の接合構造及びその接合構造を備えた屋根構造
【課題】回転抵抗を高めたデッキプレート相互の接合構造及びその接合構造を備えた屋根構造を提供すること。
【解決手段】山部と谷部を備えた波形のデッキプレート相互の接合構造であって、横方向に隣り合う一方のデッキプレート1の継ぎ手と他方のデッキプレート1の継ぎ手外面とが、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材12を介して溶接により接合されている。梁に渡ってデッキプレート1が設置されていると共に、そのデッキプレートは、前記接合構造により一体化され、前記デッキプレート1の上に発泡樹脂製の断熱板が設置され、その断熱板の上に防水シートが設けられているデッキプレートを備えた屋根構造とする。
【解決手段】山部と谷部を備えた波形のデッキプレート相互の接合構造であって、横方向に隣り合う一方のデッキプレート1の継ぎ手と他方のデッキプレート1の継ぎ手外面とが、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材12を介して溶接により接合されている。梁に渡ってデッキプレート1が設置されていると共に、そのデッキプレートは、前記接合構造により一体化され、前記デッキプレート1の上に発泡樹脂製の断熱板が設置され、その断熱板の上に防水シートが設けられているデッキプレートを備えた屋根構造とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや工場等の建物の屋根構造等に用いられるデッキプレート相互の接合構造及びその接合構造を備えた屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、面内方向のせん断剛性、耐力を確保する観点から、例えば図10(a)(b)に示すようにブレース28を配置することによりこれを実現する方法が提案されている。図10(a)は、屋根構造の側面図であり、図10(b)はブレース28の平面図を表している。屋根構造は、この図10(a)に示すように天井29、野縁30上に配設されてなるとともに、屋根31を支持するための梁18が設置されているが、ブレース28は、この梁18により囲まれる空間32内に対して配置されていくことになる。
【0003】
しかしながら、この空間32は、空調や換気扇等を初めとした設備が設けられるのが一般的であるところ、ブレース28により上下2空間に分断されているこの空間32では、ブレース28の配設位置より下の空間のみしか、設備スペース27を活用することができず、空間全体をより有効に活用することができないという問題点があった。また、ブレース28を設置することにより施工労力やコストが増大してしまうという問題点もあった。
【0004】
また、従来、図6(a)(b)及び図7に示すように、デッキプレート等の折曲げ板25を断面角形鋼管等の支持部材26を介して梁18に接合することにより、折曲げ板25を支持することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
前記の図6,7に示す技術の場合は、支持部材26の高さは折曲げ板25の山高さよりも小さいため、折曲げ板25の下フランジは梁18の上フランジ19よりも下側に位置するようになる。このため、図6,7に示すように、折曲げ板25の下部の設備スペースを圧迫し、折曲げ板25の下部の設備スペース27が狭くなるという問題がある。
【0005】
前記のような設備スペース27が狭くなるという点を改善する技術として、本出願人によって出願され公開されている次のような技術がある。
【0006】
図8及び図9に示すように、水平な上フランジ3と下フランジ2がウェブ4を介して形成されているデッキプレート1であっても、前記下フランジ2の幅(2e)と上記上フランジ3の幅(f)の比率が、2e/f(=β)≧1を満足することで、前記デッキプレート1にブレースを用いることなく面内せん断剛性・耐力を確保することが可能なデッキプレートになり、そのようなデッキプレート1による屋根構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、特許文献2には、デッキプレート1の板厚(t)としたとき、2e/f=βとして、(2e/t)/((βt/(1+β))0.5≦437 の式を満たすことで、デッキプレート1の局部座屈を抑制して、面内せん断耐力が向上することも開示されている。
さらに、前記特許文献2には、デッキプレート1の下フランジにリブを有し、隣接するリブ間並びにリブとウェブの間の幅が、(2e/t)/((βt/(1+β))0.5≦437 の式を満たすことで、デッキプレート1の局部座屈を抑制して、面内せん断耐力が向上することも開示されている。
ブレースを用いる必要のない前記のようなデッキプレート1であると、図9に示すように、デッキプレート1の下側にブレースを配置する場合に比べてデッキプレート下側の設備スペース27を広くできる利点がある。
【0008】
また、隣り合う折板相互の継ぎ手嵌合部のズレ止め機構を備えた折板として、一側縁部に雌型嵌合継ぎ手を有すると共に、他側縁部に雄型嵌合継ぎ手を有する継ぎ手付き折板において、隣り合う継ぎ手付き折板相互の継ぎ手を嵌合させた場合に、継ぎ手嵌合部における嵌合部長手方向のせん断方向へのズレ抵抗を高めるために、雌型嵌合継ぎ手及び雄型嵌合継ぎ手の係合部にズレ止め機構を設けた継ぎ手付き折板がある。また、前記ズレ止め機構として、嵌合継ぎ手の係合面同士に、凸凹を設けたり、粗面あるいは接着材を設ける形態のズレ止め機構の技術もある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−121634号公報
【特許文献2】特開2008−2240号公報
【特許文献3】特開2007−231703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記従来の技術の場合には、支持構造が複雑になったり、デッキプレートの板厚を含む形状が特定の形状に限定されたり、デッキプレート裏面側の処理が必要になるので、コストが高くなるという問題がある。
図11に示すように、デッキプレート1に水平力Fが作用した場合に、横方向に隣り合うデッキプレートの継ぎ手嵌合部8には、継ぎ手長手方向のずれ力、すなわち、継ぎ手長手方向の面内せん断力が作用すると、個々のデッキプレート1が独立して挙動し、個々のデッキプレート1のほぼ中央(重心)を中心として回転するように変形する。この場合、デッキプレート1の対角方向の半径rとデッキプレート1の抵抗力pとの積で、個々のデッキプレート1は、回転に対して抵抗することになる。
これに対して、図4に示すように、複数の横方向に隣り合うデッキプレートの継ぎ手嵌合部8付近において確実に一体化されていると、一体化された複数のデッキプレート1によるデッキプレート群1a全体で抵抗するようになる。
したがって、デッキプレート群1a全体の対角方向の回転半径R(R1〜R3)が、個々のデッキプレート1の対角方向の回転半径r(r1〜r3)より大きいため、水平力Fに対する抵抗は、より大きいものになり、しかもデッキプレート群1a全体で抵抗するようになるから、個々のデッキプレートがそれぞれ単独で挙動する場合に比べて抵抗力が高くなる。
また、デッキプレート相互の接合を考えた場合、デッキプレート1は板厚が1mmあるいは1.2mm程度の薄い鋼板が用いられているために、隣り合うデッキプレート1の薄板相互を直接溶接により固定すると、薄板であるために、溶接時にデッキプレート1が損傷する恐れが高くなり、この点の問題の解消も望まれる。
本発明は、現場施工が容易にデッキプレートの上面側から確実に隣り合うデッキプレートを一体化して隣り合うデッキプレート相互間のズレに対する面内せん断剛性を大きくすることができて、水平力に対する回転抵抗を高めることができ、しかも、ブレースを用いることなくデッキプレート下面側に設備スペースを確保することができるデッキプレート相互の接合構造及びその接合構造を備えた屋根構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明のデッキプレート相互の接合構造では、山部と谷部を備えた波形のデッキプレート相互の接合構造であって、デッキプレート幅方向に隣り合う一方のデッキプレートと、他方のデッキプレートの継ぎ手面とが、接合部材を介して溶接により接合されていることを特徴とする。
第2発明では、第1発明のデッキプレート相互の接合構造において、前記接合部材は、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材であることを特徴とする。
第3発明では、第1発明のデッキプレート相互の接合構造において、山部と谷部を備えた波形のデッキプレート相互の接合構造であって、横方向に隣り合う一方のデッキプレートの側端部に上向きの雄継手が、他方のデッキプレートの端部の下向に開口した雌継ぎ手に嵌合されていると共に、一方のデッキプレートの雄継手と隣り合う谷部上面と他方のデッキプレートの前記雌継ぎ手面とが、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材を介して溶接により接合されていることを特徴とする。
第4発明では、第1発明〜第3発明のいずれかのデッキプレート相互の接合構造において、接合部材は、その上面が雌継ぎ手の上端の高さレベルよりも低い位置とされていることを特徴とする。
第5発明では、第1発明〜第4発明のいずれかのデッキプレート相互の接合構造において、前記接合部材が、丸鋼、鉄筋、棒鋼等の棒状鋼材からなることを特徴とする。
第6発明のデッキプレートを備えた屋根構造においては、梁に渡って複数のデッキプレートが設置されていると共に、その複数のデッキプレートは、請求項1〜5のいずれか1項に記載のデッキプレート相互の接合構造により一体化され、前記デッキプレートの上に断熱板及び/又は防火材料が設置され、前記断熱板及び/又は防火材料の上に防水シートが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、山部と谷部を備えた波形のデッキプレート相互の接合構造であって、デッキプレート幅方向に隣り合う一方のデッキプレートと、他方のデッキプレートの継ぎ手面とが、接合部材を介して溶接により接合されているので、接合部材を介在させる簡単な構造でデッキプレートを損傷させることなく隣り合うデッキプレート相互を溶接により一体化して、隣り合うデッキプレート相互の継ぎ手嵌合部のズレを防止して一体化できると共に、隣り合うデッキプレート相互の継ぎ手嵌合部の面内せん断剛性を高めることができ、隣り合うデッキプレートを一体化してデッキプレート群を形成することができ、梁間に渡って配置固定されて設置される一体化されたデッキプレート群全体で水平力が作用した場合の回転に対して抵抗するモーメントが大きい構造となり、個々のデッキプレートの回転に対する回転抵抗モーメントに比べて、回転抵抗モーメントが大きく、回転に対する面内剛性の高い接合構造とすることができる等の効果が得られる。
第2発明によると、前記接合部材は、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材であるので、単に継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材を配置して溶接により、横方向に隣り合うデッキプレート相互接合するだけで、隣り合うデッキプレートを確実に強固に一体化して、容易に簡単な構造で確実にデッキプレート群を形成することができ、しかも構造が簡単である等に効果が得られる。
第3発明によると、山部と谷部を備えた波形のデッキプレート相互の接合構造であって、幅方向に隣り合う一方のデッキプレートの側端部に上向きの雄継手が、他方のデッキプレートの端部の下向に開口した雌継ぎ手に嵌合されていると共に、一方のデッキプレートの雄継手と隣り合う谷部上面と他方のデッキプレートの前記雌継ぎ手面とが、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材を介して溶接により接合されているので、単に、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材を溶接により固定することにより、隣り合うデッキプレート相互を確実に接合することができ、現場溶接作業が上側からの溶接作業になるので、簡単に行うことができ、また、接合部材を介在させて、薄板のデッキプレートを部材厚の厚い接合部材に溶接することになるので、薄板のデッキプレート相互を隅肉溶接する場合に比べて、溶接が格段に容易になり、薄板のデッキプレートが損傷する恐れを排除することができる等の効果が得られる。
第4発明によると、接合部材は、その上端面が雌継ぎ手の上端の高さレベルよりも低い位置とされているので、接合部材の収まりがよいと共に溶接作業も容易になる等の効果が得られる。
第5発明によると、前記接合部材が、丸鋼、鉄筋、棒鋼等の棒状鋼材からなるので、安価な鋼材を使用してデッキプレート相互を確実に接合することができる。
第6発明によると、梁に渡って複数のデッキプレートが設置されていると共に、その複数のデッキプレートは、請求項1〜5のいずれか1項に記載のデッキプレート相互の接合構造により一体化され、前記デッキプレートの上に断熱板及び/又は防火材料が設置され、前記断熱板及び/又は防火材料の上に防水シートが設けられているので、横方向に隣り合うデッキプレート相互を簡単な構造で確実に一体化していると共に、ブレースを用いることなく面内せん断剛性、特に継ぎ手長手方向のズレ止め効果の大きいデッキプレート群を形成することができ、そのため、地震時等に水平力が作用した場合の回転に対して回転抵抗モーメントの大きいデッキプレートを備えた屋根構造とすることができ、また、デッキプレート下の設備スペースを大きくすることができる等の効果がえられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は隣り合うデッキプレートの継ぎ手嵌合部と接合部材を介した接合構造を示す縦断正面図、(b)は断面外径寸法の大きい丸鋼からなる接合部材を介してデッキプレート相互を接合した形態を示す縦断正面図である。
【図2】(a)は隣り合うデッキプレート相互の継ぎ手を嵌合した状態を示す斜視図、(b)はその一部を拡大して示す斜視図である。
【図3】図1の一部切欠平面図である。
【図4】(a)(b)は水平力が作用した場合に、個々のデッキプレートの回転抵抗モーメントによるデッキプレートの挙動を示す概略平面図である。
【図5】(a)はブレースを用いない本発明の形態のデッキプレートを屋根構造に用いた場合に、設備スペースが広くなることを示す説明図、(b)はその一部を拡大して示す図である。
【図6】(a)は特許文献1に記載された支持部材を介在させる形態の屋根構造を示す縦断正面図、(b)は(a)の側面図である。
【図7】図6に示す形態の場合に、デッキプレート下の設備スペースが狭くなることを示す説明図である。
【図8】デッキプレートにおける下部フランジの幅寸法と上部フランジの幅寸法とを比を所定の範囲に設定した形態を示す従来のデッキプレートの斜視図である。
【図9】ブレースを用いない形態のデッキプレートを屋根構造に用いた場合に、設備スペースが広くなることを示す説明図である。
【図10】従来の屋根構造を示すものであって、ブレースが必要になることにより設備スペースが小さくなる形態を示す図である。
【図11】(a)及び(b)は、水平力が作用した場合に、個々のデッキプレートの回転抵抗モーメントによる従来のデッキプレートの挙動を示す概略平面図である。
【図12】試験体に用いたデッキプレートの寸法を示すものであって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図13】試験に用いたデッキプレート試験体の一端部の取り付け形態を示すものであって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図14】連結部材を介して溶接により固定して一体化した本発明のデッキプレート相互の連結構造の場合と、継ぎ手相互を嵌合のみとした比較例の構造の場合の荷重―変形曲線を示す図である。
【図15】(a)及び(b)は、継ぎ手相互を嵌合した比較例の連結構造のデッキプレートに水平力が作用した場合に、各デッキプレートが継ぎ手長手方向にずれて、各デッキプレートがそれぞれ独立して個々に回転に対して抵抗する挙動を示す説明図、(c)は(a)(b)の場合のデッキプレート相互の継ぎ手嵌合部を示す図である。
【図16】(a)及び(b)は、継ぎ手相互を接合部材を介して接合した本発明の連結構造のデッキプレートに水平力が作用した場合に、デッキプレートが一体となって全体が回転に対して抵抗する挙動を示す説明図である。
【図17】梁に渡って架設されたデッキプレート上に断熱材と防水シートを順次設ける形態の屋根構造を示す図である。
【図18】曲げせん断試験装置に一対のデッキプレートをセットした上体を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
先ず、図1(a)及び図2並びに図3を参照して本発明において用いられる一形態の継ぎ手付き折板からなるデッキプレート1について説明する。なお、図1(a)と図1(b)の相違は、接合部材12の断面形態が異なるが、それ以外は同様である。図2に示す形態の継ぎ手付き折板からなるデッキプレート1は、帯状鋼板の幅方向に連続して折り曲げ加工が施されて、水平な下フランジ2と水平な上フランジ3とが傾斜したウェブ4により一体に屈曲連設されると共に、両側部に前記下フランジ2と同面上に平行なそれぞれアーム部5を備え、前記各アーム部5の側縁部に、嵌合継ぎ手を備えており、一方の嵌合継ぎ手は、下向きに開口した雌型嵌合継ぎ手6とされ、また他方の嵌合継ぎ手は、上向きに突出する雄型嵌合継ぎ手7とされた全体として断面台形角波形とされている。前記のアーム部5は、前記の下フランジ2の幅より狭くされているが、前記の下フランジ2と同様な作用をしている。
【0016】
図1(a)及び図2(b)に示すように、前記の雌型嵌合継ぎ手6は、アーム部5から立ち上がる内側面板6aと、これに一体に屈折連設されその先端部から折板本体から離反すると共に、前記アーム部5と平行な上面板6bと、これに一体に屈折連設されると共に、アーム部5に接近するように下向きに傾斜する傾斜側面板6cとを備えており、前記の内側面板6aと上面板6bと傾斜側面板6cとにより、下向きに開口した蟻溝10が形成されている。なお、前記の内側面板6aを折板本体側に接近するように傾斜して立ち上がるように設けてもよい。
【0017】
また、前記の雄型嵌合継ぎ手7は、アーム部5から折板本体側に接近するように傾斜して立ち上がる傾斜側面板7aと、これに一体に屈折連設され折板本体から離反すると共に、前記アーム部5と平行な上面板7bとを備えており、また、上面板7bの上端レベルは、前記雌型嵌合継ぎ手6における上面板6bの下面のレベルに概ね一致するか、または、若干高いレベル位置とされている。
【0018】
前記のような継ぎ手付き折板からなるデッキプレート1は、支持梁18(図5参照)に渡って設置され、一方の継ぎ手付き折板1が設置された状態で、一方の継ぎ手付き折板1における雄型嵌合継ぎ手7に上側から被せるように、他方の継ぎ手付き折板1における雌型嵌合継ぎ手6の蟻溝10が配置されて、一方の継ぎ手付き折板1における雄型嵌合継ぎ手7と、他方の継ぎ手付き折板1における雌型嵌合継ぎ手6とが嵌合するように係合されて、図1(a)に示すように、継ぎ手嵌合部8が形成される。
【0019】
そして、本発明においては、一方のデッキプレート1の前記の雌型嵌合継ぎ手6における前記傾斜側面板6cの傾斜側面9と、他方のデッキプレート1のアーム部5上面とにより形成されている溝11、すなわち、デッキプレート1の長手方向に連続する溝11に、接合部材12の一部又は全体を収納するように配置して、接合部材12と各デッキプレート1のアーム部5又は傾斜側面板6cを溶接Wにより固定することで、横方向に隣り合うデッキプレート1相互を、接合部材12を介して一体化している。
前記の接合部材12は、その上面が、図1(b)に示すように、雌型嵌合継ぎ手6の上面板6bの上面レベルまでに納まるような接合部材であるのが、接合部材12の小断面化及び溶接の容易性の観点から望ましい。接合部材12の大きさによって、アーム部5に溶接できない場合には、ウェブ4に溶接により固定することも考えられるが、溶接W間の距離は近い方が、応力伝達が確実に行われるので、アーム部5側に溶接するのが望ましい。
前記の接合部材12としては、図示の形態では、丸鋼からなる接合部材が用いられ、ほぼ前記丸鋼からなる接合部材12全体が前記溝11内にほぼ納まるように設けられている。
前記の接合部材12と各デッキプレート1のアーム部5及び傾斜側面板6cとの溶接Wは、デッキプレート1の長手方向に断続した(図示の場合)又は連続した隅肉溶接Wとされている。
断続して隅肉溶接Wをする場合には、例えば、20mm程度の連続した隅肉溶接区間Lと、500mm程度の非溶接区間Nとを、交互に繰り返すようにしてもよい。前期の隅肉溶接区間Lと非溶接区間Nの長さ寸法については、適宜設計により設定される。
前記の接合部材12としては、丸鋼以外にも、鉄筋、棒鋼等の棒状鋼材とすると、安価な鋼材を用いることができる。接合部材12の断面形態としては、特に限定されるものではなく、円形状断面、矩形状断面、台形状断面の棒状鋼材を用いてもよい。棒状部材からなる接合部材12は、中実断面であるのが望ましいが、肉厚が十分確保できる場合には、中空断面であってもよい。
【0020】
次に、2枚の隣り合うデッキプレート1相互を前記のように接合部材12により連結した本発明の接合構造により一体化した場合(図2a,bに示した)と、一体化しない場合(図15a,bに示した)について、図18に示すような曲げせん断試験装置22にセットして試験したので、その試験及び試験結果について説明する。
【0021】
試験に用いたデッキプレート1は、図12に示す寸法(mm)であり、主な寸法は、デッキプレート1の板厚は1.0mm、デッキプレート1の長さ寸法は3000mmであり、デッキプレート1と、曲げせん断試験装置22(図18参照)における取り付け部13とは、図13に示すように、下フランジ2及びアーム部5の部分に直列に2箇所、発射打ち込み鋲14により固定した。
前記の曲げせん断試験装置22は、固定側支持枠材15に間隔をおいて平行に一対の回動枠16の基端側を縦軸により回動可能に取り付け、前記各回動枠16の先端部に渡って可動枠17を配置すると共に縦軸により連結し、前記可動枠17の一端側にジャッキ(図示を省略した)により水平力Fが入力されるようにされている。
前記固定側支持枠材15にボルト等により固定された取り付け部13と、可動枠17にボルト等により固定された取り付け部13とに渡って、本発明の接合構造により接合した一対のデッキプレート1、又はそのような接合部材を用いない形態の一対のデッキプレート1を配置すると共に発射打ち込み鋲14により固定してセットし、図18に示すように各計測部位に変位計D1〜D5をセットした。D1〜D5は水平変位を計測している。変位計D2及びD3によって計測された平均値によって可動側の変位とし、変位計D4及びD5によって計測された平均値によって固定側の変位としている。
【0022】
また、デッキプレート1相互を接合している接合部材12は、直径6mmの丸鋼を用いた。前記の丸鋼からなる接合部材12を、隣り合うデッキプレート1によって形成されている溝11全長に渡って配置した。また、前記丸鋼からなる接合部材12を、各デッキプレート1に当接するように押し込んで配置した。前記連結部材と各デッキプレート1の溶接による一体化は、連続した長さ20mmの隅肉溶接区間Lと、500mmの非溶接区間Nとを交互に形成するようにした。図1,2及び図16に示すように2枚のデッキプレート1を一体化した本発明の場合と、接合部材12を用いないで各デッキプレート1の端部を発射打ち込み鋲14のみにより取り付け部13に固定した比較例の場合とについて、試験した。
【0023】
図14に、本発明の場合と、比較例の場合の荷重―変形曲線を示す。剛性に関して、比較例の場合は852N/mmであるのに対して、本発明の構造の場合は、1,232N/mmであり、45%剛性が向上した。これは、接合部材12により、デッキプレート1同士が一体化し、デッキプレート1の回転中心Cから曲げせん断試験装置22への接合部(取り付け部13)までの距離が、比較例のr1〜r3(図15参照)からR1〜R3(図16参照)にそれぞれより長くなったことで、接合部材12による隣り合うデッキプレート1の接合部及び前記の曲げせん断試験装置への接合部(取り付け部13)がより有効に働き、接合部材12による隣り合うデッキプレート1の接合部の回転剛性が向上したためである。
また、最大耐力(N)では、比較例の場合は14,231(N)であったのに対して、本発明の場合は25,466(N)であり、最大耐力が78%向上した。なお、剛性増加率は、1.45であった。
【0024】
【表1】
【0025】
前記のように、本発明の構造とすることで、剛性及び最大耐力が格段に向上することがわかる。
【0026】
次に、本発明のデッキプレート相互の連結構造を採用した屋根構造について説明すると、図5及び図17に示すように、前後方向に間隔をおいて設置された鋼製の梁18間に渡って、デッキプレート1が順次、左右方向に並列して架設させると共に、隣り合う一方のデッキプレート1における雄型嵌合継ぎ手7に、次に架設されるデッキプレート1における雌型嵌合継ぎ手6が嵌合された状態とされ、各デッキプレート1は、各梁18のフランジ19に対して、下フランジ2又はアーム部5が発射打ち込み鋲等の固定手段により固定され、また、一方のデッキプレート1における傾斜側面板6cの側面9と、他方のデッキプレート1におけるアーム部5とにより形成される溝11に、前記のように棒状部材からなる接合部材12を押し込むように配置する。また、必要に応じ、適宜、接合部材12が横方向に移動しないように鋼材等の仮保持部材(図示を省略した)を、接合部材12とこれに間隔をおいて対向するウェブ4とに当接するように、非溶接区間Nに設置して、接合部材12を保持し、この状態で、他方のデッキプレート1におけるアーム部5と接合部材12を溶接Wすると共に、一方のデッキプレート1における傾斜側面板6cと接合部材2とを溶接Wにより接合する。
【0027】
前記のように、デッキプレート相互を接合して一体化した後、前記デッキプレートの上に、硬質ウレタンフォームやポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、グラスウール、ロックウールなどからなる断熱板20(図17参照)が敷き並べられて適宜固定され、断熱板20相互は耐火粘着テープにより連結・設置され、その断熱板20の上に塩化ビニルシート等の防水シート21が設けられる。
前記の断熱板20に代えて防火材料を用いてもよく、その場合の防火材料として、不燃性を持つ材料(不燃性を持つ材料とは、加熱開始後少なくとも5分間は燃焼しない材料)であり、例えば、石製(粒又は塊状あるいは板状)、ガラス製、グラスウール板、コンクリート製、木片セメント板、石膏ボードなどの不燃性を持つ材料を用いてもよい。
デッキプレートの上に断熱材20又は不燃性を持つ材料のいずれか一方を敷設した後、他方を順次敷設し、その後、防水シートを敷設するようにしてもよい。
前記の防水シートによる防水工法に代えて、改質アスファルトシート、ゴム系シートなどによる防水工法等の公知の他の防水工法を採用するようにしてもよい。
図5及び図17に示す前記のような屋根構造とすると、横方向に隣り合うデッキプレート相互を簡単な構造で確実に一体化していると共に、ブレースを用いることなく面内せん断剛性、特に継ぎ手長手方向のズレ止め効果の大きいデッキプレート群を形成することができ、そのため、地震時等に水平力が作用した場合の回転に対して回転抵抗モーメントの大きいデッキプレートを備えた屋根構造とすることができ、また、耐火性能及び止水性能並びにデッキプレート1による遮熱・遮炎性能の高い屋根構造とすることができ、また、デッキプレート下の設備スペース27を大きくすることができる。
【0028】
なお、アーム部5と接合部材12の溶接Wと、傾斜側面板6cと接合部材12と溶接Wとは、接合部材12の長手方向の同じ位置で溶接してもよく、接合部材12の長手方向で異なる位置で溶接して、溶接箇所が接合部材12の長手方向で千鳥状となるようにしてもよい。
【0029】
図1〜図3或いは図5に示す前記実施形態の場合には、接合部材12が長尺の部材を用いたが、本発明を実施する場合に、短尺の接合部材12を間隔をおいて配置して、一方のデッキプレート1と他方のデッキプレート1とを、接合部材12を介して溶接により接合するようにしてもよい。
この場合の接合部材12としては、前記のような棒状部材で短尺の部材を用いるようにすればよい。
【符号の説明】
【0030】
1 デッキプレート
2 下フランジ
3 上フランジ
4 ウェブ
5 アーム部
6 雌型嵌合継ぎ手
6a 内側面板
6b 上面板
6c 傾斜側面板
7 雄型嵌合継ぎ手
7a 傾斜側面板
7b 上面板
8 継ぎ手嵌合部
9 傾斜側面
10 蟻溝
11 溝
12 接合部材
13 取り付け部
14 発射打ち込み鋲
15 固定側支持枠材
16 回動枠
17 可動枠
18 梁
19 フランジ
20 断熱板
21 防水シート
22曲げせん断試験装置
25 折曲げ板
26 支持部材
27 設備スペース
28 ブレース
29 天井
30 野縁
31 屋根
32 空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルや工場等の建物の屋根構造等に用いられるデッキプレート相互の接合構造及びその接合構造を備えた屋根構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、面内方向のせん断剛性、耐力を確保する観点から、例えば図10(a)(b)に示すようにブレース28を配置することによりこれを実現する方法が提案されている。図10(a)は、屋根構造の側面図であり、図10(b)はブレース28の平面図を表している。屋根構造は、この図10(a)に示すように天井29、野縁30上に配設されてなるとともに、屋根31を支持するための梁18が設置されているが、ブレース28は、この梁18により囲まれる空間32内に対して配置されていくことになる。
【0003】
しかしながら、この空間32は、空調や換気扇等を初めとした設備が設けられるのが一般的であるところ、ブレース28により上下2空間に分断されているこの空間32では、ブレース28の配設位置より下の空間のみしか、設備スペース27を活用することができず、空間全体をより有効に活用することができないという問題点があった。また、ブレース28を設置することにより施工労力やコストが増大してしまうという問題点もあった。
【0004】
また、従来、図6(a)(b)及び図7に示すように、デッキプレート等の折曲げ板25を断面角形鋼管等の支持部材26を介して梁18に接合することにより、折曲げ板25を支持することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
前記の図6,7に示す技術の場合は、支持部材26の高さは折曲げ板25の山高さよりも小さいため、折曲げ板25の下フランジは梁18の上フランジ19よりも下側に位置するようになる。このため、図6,7に示すように、折曲げ板25の下部の設備スペースを圧迫し、折曲げ板25の下部の設備スペース27が狭くなるという問題がある。
【0005】
前記のような設備スペース27が狭くなるという点を改善する技術として、本出願人によって出願され公開されている次のような技術がある。
【0006】
図8及び図9に示すように、水平な上フランジ3と下フランジ2がウェブ4を介して形成されているデッキプレート1であっても、前記下フランジ2の幅(2e)と上記上フランジ3の幅(f)の比率が、2e/f(=β)≧1を満足することで、前記デッキプレート1にブレースを用いることなく面内せん断剛性・耐力を確保することが可能なデッキプレートになり、そのようなデッキプレート1による屋根構造が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
また、特許文献2には、デッキプレート1の板厚(t)としたとき、2e/f=βとして、(2e/t)/((βt/(1+β))0.5≦437 の式を満たすことで、デッキプレート1の局部座屈を抑制して、面内せん断耐力が向上することも開示されている。
さらに、前記特許文献2には、デッキプレート1の下フランジにリブを有し、隣接するリブ間並びにリブとウェブの間の幅が、(2e/t)/((βt/(1+β))0.5≦437 の式を満たすことで、デッキプレート1の局部座屈を抑制して、面内せん断耐力が向上することも開示されている。
ブレースを用いる必要のない前記のようなデッキプレート1であると、図9に示すように、デッキプレート1の下側にブレースを配置する場合に比べてデッキプレート下側の設備スペース27を広くできる利点がある。
【0008】
また、隣り合う折板相互の継ぎ手嵌合部のズレ止め機構を備えた折板として、一側縁部に雌型嵌合継ぎ手を有すると共に、他側縁部に雄型嵌合継ぎ手を有する継ぎ手付き折板において、隣り合う継ぎ手付き折板相互の継ぎ手を嵌合させた場合に、継ぎ手嵌合部における嵌合部長手方向のせん断方向へのズレ抵抗を高めるために、雌型嵌合継ぎ手及び雄型嵌合継ぎ手の係合部にズレ止め機構を設けた継ぎ手付き折板がある。また、前記ズレ止め機構として、嵌合継ぎ手の係合面同士に、凸凹を設けたり、粗面あるいは接着材を設ける形態のズレ止め機構の技術もある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−121634号公報
【特許文献2】特開2008−2240号公報
【特許文献3】特開2007−231703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記従来の技術の場合には、支持構造が複雑になったり、デッキプレートの板厚を含む形状が特定の形状に限定されたり、デッキプレート裏面側の処理が必要になるので、コストが高くなるという問題がある。
図11に示すように、デッキプレート1に水平力Fが作用した場合に、横方向に隣り合うデッキプレートの継ぎ手嵌合部8には、継ぎ手長手方向のずれ力、すなわち、継ぎ手長手方向の面内せん断力が作用すると、個々のデッキプレート1が独立して挙動し、個々のデッキプレート1のほぼ中央(重心)を中心として回転するように変形する。この場合、デッキプレート1の対角方向の半径rとデッキプレート1の抵抗力pとの積で、個々のデッキプレート1は、回転に対して抵抗することになる。
これに対して、図4に示すように、複数の横方向に隣り合うデッキプレートの継ぎ手嵌合部8付近において確実に一体化されていると、一体化された複数のデッキプレート1によるデッキプレート群1a全体で抵抗するようになる。
したがって、デッキプレート群1a全体の対角方向の回転半径R(R1〜R3)が、個々のデッキプレート1の対角方向の回転半径r(r1〜r3)より大きいため、水平力Fに対する抵抗は、より大きいものになり、しかもデッキプレート群1a全体で抵抗するようになるから、個々のデッキプレートがそれぞれ単独で挙動する場合に比べて抵抗力が高くなる。
また、デッキプレート相互の接合を考えた場合、デッキプレート1は板厚が1mmあるいは1.2mm程度の薄い鋼板が用いられているために、隣り合うデッキプレート1の薄板相互を直接溶接により固定すると、薄板であるために、溶接時にデッキプレート1が損傷する恐れが高くなり、この点の問題の解消も望まれる。
本発明は、現場施工が容易にデッキプレートの上面側から確実に隣り合うデッキプレートを一体化して隣り合うデッキプレート相互間のズレに対する面内せん断剛性を大きくすることができて、水平力に対する回転抵抗を高めることができ、しかも、ブレースを用いることなくデッキプレート下面側に設備スペースを確保することができるデッキプレート相互の接合構造及びその接合構造を備えた屋根構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記の課題を有利に解決するために、第1発明のデッキプレート相互の接合構造では、山部と谷部を備えた波形のデッキプレート相互の接合構造であって、デッキプレート幅方向に隣り合う一方のデッキプレートと、他方のデッキプレートの継ぎ手面とが、接合部材を介して溶接により接合されていることを特徴とする。
第2発明では、第1発明のデッキプレート相互の接合構造において、前記接合部材は、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材であることを特徴とする。
第3発明では、第1発明のデッキプレート相互の接合構造において、山部と谷部を備えた波形のデッキプレート相互の接合構造であって、横方向に隣り合う一方のデッキプレートの側端部に上向きの雄継手が、他方のデッキプレートの端部の下向に開口した雌継ぎ手に嵌合されていると共に、一方のデッキプレートの雄継手と隣り合う谷部上面と他方のデッキプレートの前記雌継ぎ手面とが、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材を介して溶接により接合されていることを特徴とする。
第4発明では、第1発明〜第3発明のいずれかのデッキプレート相互の接合構造において、接合部材は、その上面が雌継ぎ手の上端の高さレベルよりも低い位置とされていることを特徴とする。
第5発明では、第1発明〜第4発明のいずれかのデッキプレート相互の接合構造において、前記接合部材が、丸鋼、鉄筋、棒鋼等の棒状鋼材からなることを特徴とする。
第6発明のデッキプレートを備えた屋根構造においては、梁に渡って複数のデッキプレートが設置されていると共に、その複数のデッキプレートは、請求項1〜5のいずれか1項に記載のデッキプレート相互の接合構造により一体化され、前記デッキプレートの上に断熱板及び/又は防火材料が設置され、前記断熱板及び/又は防火材料の上に防水シートが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、山部と谷部を備えた波形のデッキプレート相互の接合構造であって、デッキプレート幅方向に隣り合う一方のデッキプレートと、他方のデッキプレートの継ぎ手面とが、接合部材を介して溶接により接合されているので、接合部材を介在させる簡単な構造でデッキプレートを損傷させることなく隣り合うデッキプレート相互を溶接により一体化して、隣り合うデッキプレート相互の継ぎ手嵌合部のズレを防止して一体化できると共に、隣り合うデッキプレート相互の継ぎ手嵌合部の面内せん断剛性を高めることができ、隣り合うデッキプレートを一体化してデッキプレート群を形成することができ、梁間に渡って配置固定されて設置される一体化されたデッキプレート群全体で水平力が作用した場合の回転に対して抵抗するモーメントが大きい構造となり、個々のデッキプレートの回転に対する回転抵抗モーメントに比べて、回転抵抗モーメントが大きく、回転に対する面内剛性の高い接合構造とすることができる等の効果が得られる。
第2発明によると、前記接合部材は、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材であるので、単に継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材を配置して溶接により、横方向に隣り合うデッキプレート相互接合するだけで、隣り合うデッキプレートを確実に強固に一体化して、容易に簡単な構造で確実にデッキプレート群を形成することができ、しかも構造が簡単である等に効果が得られる。
第3発明によると、山部と谷部を備えた波形のデッキプレート相互の接合構造であって、幅方向に隣り合う一方のデッキプレートの側端部に上向きの雄継手が、他方のデッキプレートの端部の下向に開口した雌継ぎ手に嵌合されていると共に、一方のデッキプレートの雄継手と隣り合う谷部上面と他方のデッキプレートの前記雌継ぎ手面とが、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材を介して溶接により接合されているので、単に、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材を溶接により固定することにより、隣り合うデッキプレート相互を確実に接合することができ、現場溶接作業が上側からの溶接作業になるので、簡単に行うことができ、また、接合部材を介在させて、薄板のデッキプレートを部材厚の厚い接合部材に溶接することになるので、薄板のデッキプレート相互を隅肉溶接する場合に比べて、溶接が格段に容易になり、薄板のデッキプレートが損傷する恐れを排除することができる等の効果が得られる。
第4発明によると、接合部材は、その上端面が雌継ぎ手の上端の高さレベルよりも低い位置とされているので、接合部材の収まりがよいと共に溶接作業も容易になる等の効果が得られる。
第5発明によると、前記接合部材が、丸鋼、鉄筋、棒鋼等の棒状鋼材からなるので、安価な鋼材を使用してデッキプレート相互を確実に接合することができる。
第6発明によると、梁に渡って複数のデッキプレートが設置されていると共に、その複数のデッキプレートは、請求項1〜5のいずれか1項に記載のデッキプレート相互の接合構造により一体化され、前記デッキプレートの上に断熱板及び/又は防火材料が設置され、前記断熱板及び/又は防火材料の上に防水シートが設けられているので、横方向に隣り合うデッキプレート相互を簡単な構造で確実に一体化していると共に、ブレースを用いることなく面内せん断剛性、特に継ぎ手長手方向のズレ止め効果の大きいデッキプレート群を形成することができ、そのため、地震時等に水平力が作用した場合の回転に対して回転抵抗モーメントの大きいデッキプレートを備えた屋根構造とすることができ、また、デッキプレート下の設備スペースを大きくすることができる等の効果がえられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は隣り合うデッキプレートの継ぎ手嵌合部と接合部材を介した接合構造を示す縦断正面図、(b)は断面外径寸法の大きい丸鋼からなる接合部材を介してデッキプレート相互を接合した形態を示す縦断正面図である。
【図2】(a)は隣り合うデッキプレート相互の継ぎ手を嵌合した状態を示す斜視図、(b)はその一部を拡大して示す斜視図である。
【図3】図1の一部切欠平面図である。
【図4】(a)(b)は水平力が作用した場合に、個々のデッキプレートの回転抵抗モーメントによるデッキプレートの挙動を示す概略平面図である。
【図5】(a)はブレースを用いない本発明の形態のデッキプレートを屋根構造に用いた場合に、設備スペースが広くなることを示す説明図、(b)はその一部を拡大して示す図である。
【図6】(a)は特許文献1に記載された支持部材を介在させる形態の屋根構造を示す縦断正面図、(b)は(a)の側面図である。
【図7】図6に示す形態の場合に、デッキプレート下の設備スペースが狭くなることを示す説明図である。
【図8】デッキプレートにおける下部フランジの幅寸法と上部フランジの幅寸法とを比を所定の範囲に設定した形態を示す従来のデッキプレートの斜視図である。
【図9】ブレースを用いない形態のデッキプレートを屋根構造に用いた場合に、設備スペースが広くなることを示す説明図である。
【図10】従来の屋根構造を示すものであって、ブレースが必要になることにより設備スペースが小さくなる形態を示す図である。
【図11】(a)及び(b)は、水平力が作用した場合に、個々のデッキプレートの回転抵抗モーメントによる従来のデッキプレートの挙動を示す概略平面図である。
【図12】試験体に用いたデッキプレートの寸法を示すものであって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図13】試験に用いたデッキプレート試験体の一端部の取り付け形態を示すものであって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図14】連結部材を介して溶接により固定して一体化した本発明のデッキプレート相互の連結構造の場合と、継ぎ手相互を嵌合のみとした比較例の構造の場合の荷重―変形曲線を示す図である。
【図15】(a)及び(b)は、継ぎ手相互を嵌合した比較例の連結構造のデッキプレートに水平力が作用した場合に、各デッキプレートが継ぎ手長手方向にずれて、各デッキプレートがそれぞれ独立して個々に回転に対して抵抗する挙動を示す説明図、(c)は(a)(b)の場合のデッキプレート相互の継ぎ手嵌合部を示す図である。
【図16】(a)及び(b)は、継ぎ手相互を接合部材を介して接合した本発明の連結構造のデッキプレートに水平力が作用した場合に、デッキプレートが一体となって全体が回転に対して抵抗する挙動を示す説明図である。
【図17】梁に渡って架設されたデッキプレート上に断熱材と防水シートを順次設ける形態の屋根構造を示す図である。
【図18】曲げせん断試験装置に一対のデッキプレートをセットした上体を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を図示の実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0015】
先ず、図1(a)及び図2並びに図3を参照して本発明において用いられる一形態の継ぎ手付き折板からなるデッキプレート1について説明する。なお、図1(a)と図1(b)の相違は、接合部材12の断面形態が異なるが、それ以外は同様である。図2に示す形態の継ぎ手付き折板からなるデッキプレート1は、帯状鋼板の幅方向に連続して折り曲げ加工が施されて、水平な下フランジ2と水平な上フランジ3とが傾斜したウェブ4により一体に屈曲連設されると共に、両側部に前記下フランジ2と同面上に平行なそれぞれアーム部5を備え、前記各アーム部5の側縁部に、嵌合継ぎ手を備えており、一方の嵌合継ぎ手は、下向きに開口した雌型嵌合継ぎ手6とされ、また他方の嵌合継ぎ手は、上向きに突出する雄型嵌合継ぎ手7とされた全体として断面台形角波形とされている。前記のアーム部5は、前記の下フランジ2の幅より狭くされているが、前記の下フランジ2と同様な作用をしている。
【0016】
図1(a)及び図2(b)に示すように、前記の雌型嵌合継ぎ手6は、アーム部5から立ち上がる内側面板6aと、これに一体に屈折連設されその先端部から折板本体から離反すると共に、前記アーム部5と平行な上面板6bと、これに一体に屈折連設されると共に、アーム部5に接近するように下向きに傾斜する傾斜側面板6cとを備えており、前記の内側面板6aと上面板6bと傾斜側面板6cとにより、下向きに開口した蟻溝10が形成されている。なお、前記の内側面板6aを折板本体側に接近するように傾斜して立ち上がるように設けてもよい。
【0017】
また、前記の雄型嵌合継ぎ手7は、アーム部5から折板本体側に接近するように傾斜して立ち上がる傾斜側面板7aと、これに一体に屈折連設され折板本体から離反すると共に、前記アーム部5と平行な上面板7bとを備えており、また、上面板7bの上端レベルは、前記雌型嵌合継ぎ手6における上面板6bの下面のレベルに概ね一致するか、または、若干高いレベル位置とされている。
【0018】
前記のような継ぎ手付き折板からなるデッキプレート1は、支持梁18(図5参照)に渡って設置され、一方の継ぎ手付き折板1が設置された状態で、一方の継ぎ手付き折板1における雄型嵌合継ぎ手7に上側から被せるように、他方の継ぎ手付き折板1における雌型嵌合継ぎ手6の蟻溝10が配置されて、一方の継ぎ手付き折板1における雄型嵌合継ぎ手7と、他方の継ぎ手付き折板1における雌型嵌合継ぎ手6とが嵌合するように係合されて、図1(a)に示すように、継ぎ手嵌合部8が形成される。
【0019】
そして、本発明においては、一方のデッキプレート1の前記の雌型嵌合継ぎ手6における前記傾斜側面板6cの傾斜側面9と、他方のデッキプレート1のアーム部5上面とにより形成されている溝11、すなわち、デッキプレート1の長手方向に連続する溝11に、接合部材12の一部又は全体を収納するように配置して、接合部材12と各デッキプレート1のアーム部5又は傾斜側面板6cを溶接Wにより固定することで、横方向に隣り合うデッキプレート1相互を、接合部材12を介して一体化している。
前記の接合部材12は、その上面が、図1(b)に示すように、雌型嵌合継ぎ手6の上面板6bの上面レベルまでに納まるような接合部材であるのが、接合部材12の小断面化及び溶接の容易性の観点から望ましい。接合部材12の大きさによって、アーム部5に溶接できない場合には、ウェブ4に溶接により固定することも考えられるが、溶接W間の距離は近い方が、応力伝達が確実に行われるので、アーム部5側に溶接するのが望ましい。
前記の接合部材12としては、図示の形態では、丸鋼からなる接合部材が用いられ、ほぼ前記丸鋼からなる接合部材12全体が前記溝11内にほぼ納まるように設けられている。
前記の接合部材12と各デッキプレート1のアーム部5及び傾斜側面板6cとの溶接Wは、デッキプレート1の長手方向に断続した(図示の場合)又は連続した隅肉溶接Wとされている。
断続して隅肉溶接Wをする場合には、例えば、20mm程度の連続した隅肉溶接区間Lと、500mm程度の非溶接区間Nとを、交互に繰り返すようにしてもよい。前期の隅肉溶接区間Lと非溶接区間Nの長さ寸法については、適宜設計により設定される。
前記の接合部材12としては、丸鋼以外にも、鉄筋、棒鋼等の棒状鋼材とすると、安価な鋼材を用いることができる。接合部材12の断面形態としては、特に限定されるものではなく、円形状断面、矩形状断面、台形状断面の棒状鋼材を用いてもよい。棒状部材からなる接合部材12は、中実断面であるのが望ましいが、肉厚が十分確保できる場合には、中空断面であってもよい。
【0020】
次に、2枚の隣り合うデッキプレート1相互を前記のように接合部材12により連結した本発明の接合構造により一体化した場合(図2a,bに示した)と、一体化しない場合(図15a,bに示した)について、図18に示すような曲げせん断試験装置22にセットして試験したので、その試験及び試験結果について説明する。
【0021】
試験に用いたデッキプレート1は、図12に示す寸法(mm)であり、主な寸法は、デッキプレート1の板厚は1.0mm、デッキプレート1の長さ寸法は3000mmであり、デッキプレート1と、曲げせん断試験装置22(図18参照)における取り付け部13とは、図13に示すように、下フランジ2及びアーム部5の部分に直列に2箇所、発射打ち込み鋲14により固定した。
前記の曲げせん断試験装置22は、固定側支持枠材15に間隔をおいて平行に一対の回動枠16の基端側を縦軸により回動可能に取り付け、前記各回動枠16の先端部に渡って可動枠17を配置すると共に縦軸により連結し、前記可動枠17の一端側にジャッキ(図示を省略した)により水平力Fが入力されるようにされている。
前記固定側支持枠材15にボルト等により固定された取り付け部13と、可動枠17にボルト等により固定された取り付け部13とに渡って、本発明の接合構造により接合した一対のデッキプレート1、又はそのような接合部材を用いない形態の一対のデッキプレート1を配置すると共に発射打ち込み鋲14により固定してセットし、図18に示すように各計測部位に変位計D1〜D5をセットした。D1〜D5は水平変位を計測している。変位計D2及びD3によって計測された平均値によって可動側の変位とし、変位計D4及びD5によって計測された平均値によって固定側の変位としている。
【0022】
また、デッキプレート1相互を接合している接合部材12は、直径6mmの丸鋼を用いた。前記の丸鋼からなる接合部材12を、隣り合うデッキプレート1によって形成されている溝11全長に渡って配置した。また、前記丸鋼からなる接合部材12を、各デッキプレート1に当接するように押し込んで配置した。前記連結部材と各デッキプレート1の溶接による一体化は、連続した長さ20mmの隅肉溶接区間Lと、500mmの非溶接区間Nとを交互に形成するようにした。図1,2及び図16に示すように2枚のデッキプレート1を一体化した本発明の場合と、接合部材12を用いないで各デッキプレート1の端部を発射打ち込み鋲14のみにより取り付け部13に固定した比較例の場合とについて、試験した。
【0023】
図14に、本発明の場合と、比較例の場合の荷重―変形曲線を示す。剛性に関して、比較例の場合は852N/mmであるのに対して、本発明の構造の場合は、1,232N/mmであり、45%剛性が向上した。これは、接合部材12により、デッキプレート1同士が一体化し、デッキプレート1の回転中心Cから曲げせん断試験装置22への接合部(取り付け部13)までの距離が、比較例のr1〜r3(図15参照)からR1〜R3(図16参照)にそれぞれより長くなったことで、接合部材12による隣り合うデッキプレート1の接合部及び前記の曲げせん断試験装置への接合部(取り付け部13)がより有効に働き、接合部材12による隣り合うデッキプレート1の接合部の回転剛性が向上したためである。
また、最大耐力(N)では、比較例の場合は14,231(N)であったのに対して、本発明の場合は25,466(N)であり、最大耐力が78%向上した。なお、剛性増加率は、1.45であった。
【0024】
【表1】
【0025】
前記のように、本発明の構造とすることで、剛性及び最大耐力が格段に向上することがわかる。
【0026】
次に、本発明のデッキプレート相互の連結構造を採用した屋根構造について説明すると、図5及び図17に示すように、前後方向に間隔をおいて設置された鋼製の梁18間に渡って、デッキプレート1が順次、左右方向に並列して架設させると共に、隣り合う一方のデッキプレート1における雄型嵌合継ぎ手7に、次に架設されるデッキプレート1における雌型嵌合継ぎ手6が嵌合された状態とされ、各デッキプレート1は、各梁18のフランジ19に対して、下フランジ2又はアーム部5が発射打ち込み鋲等の固定手段により固定され、また、一方のデッキプレート1における傾斜側面板6cの側面9と、他方のデッキプレート1におけるアーム部5とにより形成される溝11に、前記のように棒状部材からなる接合部材12を押し込むように配置する。また、必要に応じ、適宜、接合部材12が横方向に移動しないように鋼材等の仮保持部材(図示を省略した)を、接合部材12とこれに間隔をおいて対向するウェブ4とに当接するように、非溶接区間Nに設置して、接合部材12を保持し、この状態で、他方のデッキプレート1におけるアーム部5と接合部材12を溶接Wすると共に、一方のデッキプレート1における傾斜側面板6cと接合部材2とを溶接Wにより接合する。
【0027】
前記のように、デッキプレート相互を接合して一体化した後、前記デッキプレートの上に、硬質ウレタンフォームやポリスチレンフォーム、ポリエチレンフォーム、グラスウール、ロックウールなどからなる断熱板20(図17参照)が敷き並べられて適宜固定され、断熱板20相互は耐火粘着テープにより連結・設置され、その断熱板20の上に塩化ビニルシート等の防水シート21が設けられる。
前記の断熱板20に代えて防火材料を用いてもよく、その場合の防火材料として、不燃性を持つ材料(不燃性を持つ材料とは、加熱開始後少なくとも5分間は燃焼しない材料)であり、例えば、石製(粒又は塊状あるいは板状)、ガラス製、グラスウール板、コンクリート製、木片セメント板、石膏ボードなどの不燃性を持つ材料を用いてもよい。
デッキプレートの上に断熱材20又は不燃性を持つ材料のいずれか一方を敷設した後、他方を順次敷設し、その後、防水シートを敷設するようにしてもよい。
前記の防水シートによる防水工法に代えて、改質アスファルトシート、ゴム系シートなどによる防水工法等の公知の他の防水工法を採用するようにしてもよい。
図5及び図17に示す前記のような屋根構造とすると、横方向に隣り合うデッキプレート相互を簡単な構造で確実に一体化していると共に、ブレースを用いることなく面内せん断剛性、特に継ぎ手長手方向のズレ止め効果の大きいデッキプレート群を形成することができ、そのため、地震時等に水平力が作用した場合の回転に対して回転抵抗モーメントの大きいデッキプレートを備えた屋根構造とすることができ、また、耐火性能及び止水性能並びにデッキプレート1による遮熱・遮炎性能の高い屋根構造とすることができ、また、デッキプレート下の設備スペース27を大きくすることができる。
【0028】
なお、アーム部5と接合部材12の溶接Wと、傾斜側面板6cと接合部材12と溶接Wとは、接合部材12の長手方向の同じ位置で溶接してもよく、接合部材12の長手方向で異なる位置で溶接して、溶接箇所が接合部材12の長手方向で千鳥状となるようにしてもよい。
【0029】
図1〜図3或いは図5に示す前記実施形態の場合には、接合部材12が長尺の部材を用いたが、本発明を実施する場合に、短尺の接合部材12を間隔をおいて配置して、一方のデッキプレート1と他方のデッキプレート1とを、接合部材12を介して溶接により接合するようにしてもよい。
この場合の接合部材12としては、前記のような棒状部材で短尺の部材を用いるようにすればよい。
【符号の説明】
【0030】
1 デッキプレート
2 下フランジ
3 上フランジ
4 ウェブ
5 アーム部
6 雌型嵌合継ぎ手
6a 内側面板
6b 上面板
6c 傾斜側面板
7 雄型嵌合継ぎ手
7a 傾斜側面板
7b 上面板
8 継ぎ手嵌合部
9 傾斜側面
10 蟻溝
11 溝
12 接合部材
13 取り付け部
14 発射打ち込み鋲
15 固定側支持枠材
16 回動枠
17 可動枠
18 梁
19 フランジ
20 断熱板
21 防水シート
22曲げせん断試験装置
25 折曲げ板
26 支持部材
27 設備スペース
28 ブレース
29 天井
30 野縁
31 屋根
32 空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
山部と谷部を備えた波形のデッキプレート相互の接合構造であって、デッキプレート幅方向に隣り合う一方のデッキプレートと、他方のデッキプレートの継ぎ手面とが、接合部材を介して溶接により接合されていることを特徴とするデッキプレート相互の接合構造。
【請求項2】
前記接合部材は、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材であることを特徴とする請求項1に記載のデッキプレート相互の接合構造。
【請求項3】
山部と谷部を備えた波形のデッキプレート相互の接合構造であって、幅方向に隣り合う一方のデッキプレートの側端部に上向きの雄継手が、他方のデッキプレートの端部の下向に開口した雌継ぎ手に嵌合されていると共に、一方のデッキプレートの雄継手と隣り合う谷部上面と他方のデッキプレートの前記雌継ぎ手面とが、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材を介して溶接により接合されていることを特徴とするデッキプレート相互の接合構造。
【請求項4】
接合部材は、その上面が雌継ぎ手の上端の高さレベルよりも低い位置とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のデッキプレート相互の接合構造。
【請求項5】
前記接合部材が、丸鋼、鉄筋、棒鋼等の棒状鋼材からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のデッキプレート相互の接合構造。
【請求項6】
梁に渡って複数のデッキプレートが設置されていると共に、その複数のデッキプレートは、請求項1〜5のいずれか1項に記載のデッキプレート相互の接合構造により一体化され、前記デッキプレートの上に断熱板及び/又は防火材料が設置され、前記断熱板及び/又は防火材料の上に防水シートが設けられていることを特徴とするデッキプレートを備えた屋根構造。
【請求項1】
山部と谷部を備えた波形のデッキプレート相互の接合構造であって、デッキプレート幅方向に隣り合う一方のデッキプレートと、他方のデッキプレートの継ぎ手面とが、接合部材を介して溶接により接合されていることを特徴とするデッキプレート相互の接合構造。
【請求項2】
前記接合部材は、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材であることを特徴とする請求項1に記載のデッキプレート相互の接合構造。
【請求項3】
山部と谷部を備えた波形のデッキプレート相互の接合構造であって、幅方向に隣り合う一方のデッキプレートの側端部に上向きの雄継手が、他方のデッキプレートの端部の下向に開口した雌継ぎ手に嵌合されていると共に、一方のデッキプレートの雄継手と隣り合う谷部上面と他方のデッキプレートの前記雌継ぎ手面とが、継ぎ手嵌合部の長手方向に伸びる接合部材を介して溶接により接合されていることを特徴とするデッキプレート相互の接合構造。
【請求項4】
接合部材は、その上面が雌継ぎ手の上端の高さレベルよりも低い位置とされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のデッキプレート相互の接合構造。
【請求項5】
前記接合部材が、丸鋼、鉄筋、棒鋼等の棒状鋼材からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のデッキプレート相互の接合構造。
【請求項6】
梁に渡って複数のデッキプレートが設置されていると共に、その複数のデッキプレートは、請求項1〜5のいずれか1項に記載のデッキプレート相互の接合構造により一体化され、前記デッキプレートの上に断熱板及び/又は防火材料が設置され、前記断熱板及び/又は防火材料の上に防水シートが設けられていることを特徴とするデッキプレートを備えた屋根構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−87484(P2012−87484A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233060(P2010−233060)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】
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