説明

デバイス、方法、システム(電子デバイスの有効動作範囲を拡大するための過電圧および過電流補償の利用)

【課題】零入力漏れ電流を利用することによって高電力デバイスの温度を制御するための方法およびシステムを提供する。
【解決手段】熱制御&温度監視システム(HCTMS)は、コンポーネントの接合温度を感知するために温度センサを利用し、コンポーネントは、電力印加時に固有の零入力漏れ電流のために自己加熱状態になる。電力源の電圧レベルを増加させることによって、この零入力自己加熱特性は増強され、温度がコンポーネントの最低規定動作温度よりも高く上昇するまで、デバイスの予熱を加速する。システムは、その後、全システム電力を印加し、定義された初期化シーケンス/手順をトリガすることによって初期化される。コンポーネントが動作状態になった後も温度は、継続的な自己加熱、継続的な印加DC電圧の増加、または必要ならばその両方によって、最低動作閾値より高く維持される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、本出願と同時に出願され、同様に譲渡された、以下の同時係属中の出願の主題に関連する。関連出願の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
シリアル番号 11/776369(整理番号RPS920070097US1)、表題「System for Extending the Operating Temperature Range of High Power Devices」
【0003】
シリアル番号 11/776353(整理番号RPS920070098US1)、表題「Method for Pre−Heating High Power Devices to Enable Low Temperature Start−Up and Operation」
【技術分野】
【0004】
本発明は、一般に電子デバイスに関し、詳細には、電子デバイスにおける温度制御に関する。より詳細には、本発明は、電子デバイスにおける漏れ電流および温度制御に関する。
【背景技術】
【0005】
マイクロエレクトロニック・デバイスが、標準動作バイアス条件の限界内で動作させられる場合、信頼性の高いパフォーマンスは、しばしば限られた温度範囲に限定される。加えて、これらのデバイスは一般に、低い温度において不安定になり、低い温度は、信頼性の高いシステム起動の可能性を制限して、デバイスの誤った初期化および動作を引き起こす。テクノロジは、増大する複雑さおよびより速いスピードに向かって発展するので、これらのデバイスの増加する電力密度から生じる電力散逸は、管理するのがますます難しくなる。これらの複雑なデバイスによって散逸される大量の電力(熱)は、部分的には、これらのデバイスの設計に固有の並行電流路の多さおよび短さによって明らかな、高い零入力漏れ電流に起因する。過大な電力レベルは、損傷を与える高い温度をデバイス内に引き起こし、冷却システムが、温度が破壊的な限界に達するのを防止するために利用される。
【0006】
過大な電力散逸の問題をさらに緩和するため、動作電圧が、許容可能なパフォーマンスを保ち得る最低値まで引き下げられる。しかし、より高い電圧はしばしばより高い雑音余裕に起因する改善されたパフォーマンスを暗に示すので、より低い/最低動作電圧に向かうこの趨勢は逆説的に見える。したがって、機能およびパフォーマンスの有用な範囲は、温度および動作電圧の限界を制限することによる信頼性寿命とトレード・オフされる。増加する電力密度が原因の増加するデバイス電力散逸に対抗するために、動作電圧は引き下げられ続けるので、(動作電圧を引き下げ、電力密度を増加させる)これらの緩和プロセスが有限の限界に急速に収束することは明らかである。新しい設計は、信頼性の高い動作の最大化温度範囲にわたって、高められた機能性またはパフォーマンスあるいはその両方を達成するため、動作電圧の引き下げと電力密度の増加との間の微妙なバランスを管理する課題を課される。趨勢は続くので、バランスはますます克服しがたいものになり、それに比例して、信頼性の高い動作の範囲はより制限されたものになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明はかかる課題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
高電力デバイスの動作の動作温度範囲内にある局部的/接合温度の効率的達成を可能にするために、集積回路(IC)に固有な漏れ電流によって散逸される熱を誘導および制御するための方法およびシステムが開示される。特に、熱制御&温度監視システム(HCTMS:heat control & temperature monitoring system)は、非動作中のマイクロプロセッサまたは特定用途向け集積回路(ASIC)の接合温度を感知するために、アタッチまたは埋め込み温度センサを利用する。(起動初期化のための)電力源の適用時、デバイスは、デバイスに固有の零入力漏れ電流のために自己加熱状態になる。電力源の電圧レベルを増大させることによって、この零入力自己加熱特性は増強され、それは、局部的温度センサによって測定される温度がデバイスの最低規定動作温度よりも高く上昇するまで、デバイスの予熱および温度上昇を加速するのに役立つ。電力源の電圧レベルは、その後、標準動作レベルに戻される。デバイスは、その後、全システム電力を印加し、ハードウェア・リセットまたは定義された初期化シーケンス/手順をトリガすることによって、高い信頼性で初期化されることができる。デバイスが動作状態になった後も、デバイス温度を最低動作閾値以上に維持するため、自己加熱は継続する。極端な場合、デバイス接合温度を動作温度範囲内に保つため、増大電圧レベルが維持され、補助加熱器が利用され、または両方のメカニズムが同時に適用される。
【0009】
本発明の上記および追加の目的、特徴、および利点は、以下の詳細に記述された説明において明らかとなるであろう。
【0010】
本発明自体、ならびに本発明の好ましい使用法、さらなる目的、および利点は、例示的な実施形態についての以下の詳細な説明を参照し、それを添付の図面と併せて読むことによって、最も良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、高電力デバイスの動作の動作温度範囲内にある局部的/接合温度の効率的達成を可能にするために、集積回路(IC)に固有な漏れ電流によって散逸される熱を誘導および制御するための方法およびシステムを提供する。特に、熱制御&温度監視システム(HCTMS)は、非動作中のマイクロプロセッサまたはASIC(デバイス)の接合温度を感知するために、アタッチまたは埋め込み温度センサを利用する。(起動初期化のための)電力源の適用時、デバイスは、デバイスに固有の零入力漏れ電流のために自己加熱状態になる。電力源の電圧レベルを増大させることによって、この零入力自己加熱特性は増強され、それは、局部的温度センサによって測定される温度がデバイスの最低規定動作温度よりも高く上昇するまで、デバイスの予熱および温度上昇を加速するのに役立つ。電力源の電圧レベルは、その後、標準動作レベルに戻される。デバイスは、その後、全システム電力を印加し、ハードウェア・リセットまたは定義された初期化シーケンス/手順をトリガすることによって、高い信頼性で初期化されることができる。デバイスが動作状態になった後も、デバイス温度を最低動作閾値以上に維持するため、自己加熱は継続する。極端な場合、デバイス接合温度を動作温度範囲内に保つため、増大電圧レベルが維持され、補助加熱器が利用され、または両方のメカニズムが同時に適用される。
【0012】
本発明の例示的な実施形態についての以下の詳細な説明では、当業者が本発明を実施できるように、本発明が実施され得る特定の例示的な実施形態が十分な詳細さで説明されるが、その他の実施形態も利用され得ること、ならびに論理的、構成的、プログラム的、機械的、電気的、およびその他の変更が、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく施され得ることを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で捉えられるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ確定される。
【0013】
特定のパラメータ名の使用は、単に例のために過ぎず、本発明に対するいかなる限定も暗示する意図がないことも理解されよう。したがって、本発明は、上記のパラメータを示すために利用される異なる命名法/用語法を限定なく用いて実施されてもよい。
【0014】
ここで図を参照すると、図1は、本発明の特徴がその中で有利に実施され得るシステムを示している。システム100は、温度制御サブシステム102を含む。温度制御サブシステム102は、以下の要素、すなわち、(1)温度センサ105と、(2)冷却システム103と、(3)加熱器104とを含む。システム100は、高電力コンポーネント106によって示される、高レベルの電力散逸(107)を経験するコンポーネントも含む。システム100は、可変電力供給109も含む。システム100は、デバイスがオンにされたがアイドルのままである場合、または非動作状態である場合に零入力漏れ電流を経験する、1つまたは複数のデバイスをさらに含む。これらの1つまたは複数のデバイスは、デバイス自体はまだ「オフ」(非動作)モードにある場合でも、電力がデバイスの端子に印加された場合は常に、漏れ電流に起因する熱散逸を発生する特性を示すトランジスタまたはその他の集積回路コンポーネントを含むことができる。これらのデバイスは、高電力コンポーネント106のサブコンポーネントとすることができ、または全体システム100内の別個の非高電力コンポーネントとすることができ、あるいはその両方とすることができる。高電力コンポーネント106は、零入力自己加熱に責任をもち、それ(自己加熱)は、高電力散逸(107)の結果であり、部分的には高電力コンポーネント106の電子デバイスにおける漏れ電流のためとすることができる。
【0015】
例示的な実施形態によれば、温度制御サブシステム102は、システム100内のコンポーネントを使用して、(1)コンポーネント106の最低動作温度と対比して、コンポーネント106の温度および温度変化を監視すること、(2)増大されたレベルの零入力漏れ電流を誘導して、動作範囲内までの温度上昇を加速するために、増加/最大動作電圧をコンポーネント106またはコンポーネント106内のサブコンポーネントに印加すること、(3)特定の温度における零入力自己加熱がコンポーネント106の動作温度を効率的かつ単独で上昇させるのに十分かどうかを決定するために、温度監視結果を分析すること、(4)下側動作温度閾値よりも高く動作温度を維持するために、補助加熱源を活動化することなく、コンポーネント106の零入力自己加熱特性を利用すること、ならびに以下で説明され、図2〜図5によって示されるその他の特徴/機能を含む一連の機能プロセスを完了する。さらに説明されるように、温度制御サブシステム102は、マイクロコード108(または動作ロジック)も含むことができ、マイクロコードは、システム動作前および動作中に、上記の第2、第3、および第4の機能特徴を活動化する。この実施形態は、最低動作温度よりも高い接合温度までの加速、その接合温度の達成、またはそれの維持を支援するために関連代替実施形態内に組み込まれ得る補助加熱器(加熱器104)の使用を必要としないが、排除もしない。
【0016】
温度制御サブシステム102では、冷却コンポーネント/システム103は、基本的に温度センサ105に結合される。冷却システム103は、例えば、ヒート・シンクまたは冷却ファンあるいはその両方を含むことができる。温度センサ105も、デバイス100の高電力(散逸)コンポーネント106に動作可能に結合される。一実施形態では、温度センサ105は、下側動作温度閾値を基準にして(高電力コンポーネント106のうちの)特定のコンポーネントの温度を測定する、埋め込み熱ダイオードである。熱ダイオードによって検出される温度、すなわち接合温度は、温度に伴って線形に変化する、ダイオードの順方向バイアス電圧を測定することによって決定される。
【0017】
温度センサ105は、システム電力の印加前の安定(平均)システム周囲温度を正確に反映することが可能であるので、システム起動前、起動中、および起動後の信頼性の高い温度モニタとして機能する。加えて、温度センサ105は、システム内の高電力散逸デバイス(例えば高電力コンポーネント106)に対する近接性のため、最大システム動作温度の戦略的監視を提供する。例示的な実施形態は、デバイスの温度モニタ/センサの機能を提供する熱ダイオードを用いて説明されたが、サーミスタ(温度敏感抵抗)、バイメタル熱電対、またはサーモスタットなどを含むその他のタイプの多くのデバイスが、本明細書で説明される温度監視機能を提供するために利用されてよく、熱ダイオードの特定の使用/説明は、単に説明のために過ぎず、本発明を限定することは意図されていない。
【0018】
加熱器104は、デバイス100に示されるように、実質的に温度センサ105に隣接して配置される。加熱器104は、システム100内の高電力コンポーネント106の温度がコンポーネントの最低動作温度より低い場合に、初期化(起動)手順における自己加熱プロセスに対するバックアップ加熱源としてのみ利用される。したがって、加熱器104によって/加熱器104から発生する熱は、システム起動プロセスを加速するために、デバイスの零入力自己加熱プロセスによって発生する熱と時には組み合わされて、システム100(および特に高電力コンポーネント106)を(コンポーネントまたはシステムあるいはその両方の)最低動作温度まで予熱することができる。
【0019】
システム100が動作可能になる前に、コンポーネント106の温度は、動作温度レベルまで引き上げられる。ICに固有の漏れ電流から生じる自己加熱プロセスが、温度をコンポーネント106の動作レベルまで引き上げるために利用される。標準動作電圧を印加して達成される自己加熱の度合いと比べて、より大きな度合いの自己加熱を達成するため、可変電力供給109が、コンポーネント106の最大安全動作電圧として規定された限界まで高められる。コンポーネント106またはコンポーネント106内のサブコンポーネントに対する動作電圧を高めることは、増大されたレベルの零入力漏れ電流を誘導し、それが、動作範囲内までの接合温度の上昇を加速する。コンポーネント106が動作温度レベルを達成した後、システム電力が印加され、デバイスが動作状態になった時に完了する初期化手順が開始する。デバイスが動作可能になっても、自己加熱プロセスは継続し、デバイス温度を最低動作温度より高く維持するために単独で使用されることができる。
【0020】
上述のコンポーネントの実際の場所/位置は、互いに対して変化することができ、例示的な実施形態は、1つの可能な実施を説明するためにのみ提供され、説明される構成に本発明を限定することは意図されていない。
【0021】
図2は、本発明の例示的な一実施形態による、フィードバックを備えた高電力デバイスの熱制御&温度監視システム(HCTMS)を示している。システム200は、温度制御サブシステム(TCS:Temperature Control Subsystem)201を含み、温度制御サブシステムは、HCTMS制御ロジック208と、加熱器(H)204と、コンポーネント(C)206と、温度センサ(S)205(例えば熱ダイオード)とを含む。加熱器(H)204は、HCTMS制御ロジック208に接続され、それによって制御(オン/オフ)される補助加熱器である。HCTMS制御ロジック208は、可変電力供給209にも接続され、可変電力供給は、零入力自己熱を発生/放出するシステム内のデバイス/コンポーネントに印加される電圧出力のレベルを制御する。
【0022】
例示的な実施形態によれば、HCTMS制御ロジック208は、電圧/温度変換器210にも動作可能に結合され、電圧/温度変換器は、温度センサ205から受け取った電気的(電流または電圧)出力220を、コンポーネント206の対応する測定温度に変換する。変換器210は、その後、温度値をHCTMS制御ロジック208に提供し、HCTMS制御ロジックは、測定電圧を、コンポーネント206の最低温度閾値および最高温度閾値などの事前設定された温度閾値と比較する。一実施形態では、変換器210は、(変換器210をHCTMS制御ロジック208に組み入れる破線によって示されるように)HCTMS制御ロジック208内の内部ロジックとして提供される。別の実施形態では、変換器210は、別個のコンポーネントではなく、センサ205自体の内部のロジックとすることができる。さらに別の実施形態では、変換器は利用されず、HCTMS制御ロジック208が、温度センサ205から受け取った電圧/電流値(220)を使用して比較を実行する。
【0023】
温度センサ205は、コンポーネント206の接合温度を監視/検出し、接合温度を示す出力220を変換器210に提供する。一実施形態では、温度センサ205は、熱ダイオードであり、コンポーネント206の現在温度を表す電圧を発生する。温度センサ205によって生成される電圧値(または対応する電流)出力220は、変換器210に供給される。
【0024】
HCTMS制御ロジック208は、(1)(コンポーネント206の最低動作温度閾値に対応する)最低動作閾値温度(TMin)212、(2)(コンポーネント206の最高動作温度に対応する)最高動作温度閾値(TMax)213、(3)最低熱散逸を伴う動作中コンポーネント206の定常段階最低電圧レベル(VMin)214、および(4)(コンポーネント206または周囲デバイスから最大熱散逸が生じる電圧に対応する)コンポーネント206の端子間に印加されるべき最高動作電圧レベル(VMax)215を含む、複数のキャリブレーション入力を用いてプログラムされる(または複数のキャリブレーション入力を提供される)。
【0025】
最初の2つの温度値は、コンポーネント206の動作温度範囲を表す。これらの値は、コンポーネント206に、コンポーネント206の動作を開始する前に動作温度を達成させ、コンポーネント206が動作状態になった後はコンポーネント206の温度を動作範囲内に維持させるために、HCTMS制御ロジック208によって利用される。2つの電圧値は、コンポーネント206の動作電圧範囲を表し、第1の低いほうの値VMin(214)は、コンポーネント206の定常段階動作のための所望電圧を表す。高いほうの電圧値VMax(215)は、HCTMS制御ロジック208によって利用され、コンポーネント206の活動化/動作の前に最低動作温度閾値を達成するために、コンポーネント206の高度化された予熱を提供する。
【0026】
センサ205からの電圧(または温度)出力220が、コンポーネント206の測定接合温度がコンポーネント206の最低動作温度より低いことを示している場合、HCTMS制御ロジック208は、コンポーネント206に印加される電圧を増加させるために、可変電力供給209をトリガする。HCTMS制御ロジック208は、コンポーネント206の接合温度の増大された加熱またはより速い加熱あるいはその両方をもたらすために、印加電圧のVMaxまでの増加をトリガする。コンポーネント(またはコンポーネント内のデバイスもしくはコンポーネント近辺のデバイス)の両端により大きな電圧を印加することは、コンポーネント206(またはデバイス)の零入力漏れに起因するより大きな電力散逸を引き起こし、それが、より大きな熱散逸をもたらす。
【0027】
可変電力供給209は、コンポーネントの両端の電圧をVMaxまで任意の値だけ増加させるためにトリガされることができ、電圧増加量の実際の決定は、電圧増加がコンポーネント周辺の温度上昇に及ぼす影響の事前分析によって実行されることができる。HCTMS制御ロジック208は、その後、必要とされる/望まれる予熱量をもたらすのにちょうど十分な電圧増加を提供するようにキャリブレーションを施されることができる。一実施形態では、キャリブレーションは、印加電圧の測定された増加に応答したセンサ205からのフィードバックに基づいた、動的機能とすることができる。したがって、センサ205の可変出力220は、可変電力供給209によって供給される電圧を増加させることによって、コンポーネントの予熱を継続(または開始)するかどうかを決定するために利用される。出力信号220は、コンポーネント206が動作温度を達成したかどうかを、特にどれだけの温度レベルが達成されたかを示す。
【0028】
制御ロジック208は、コンポーネント206によって達成された温度に基づいて、可変電力供給209によって供給される電圧である、コンポーネント206に供給される動作電圧を増加させるかどうかを決定する。この決定は、周囲条件と、自己加熱がコンポーネント206の温度を有効に上昇させる割合とを含み得る要因に基づくことができる。例えば、きわめて低い温度は、可変電力供給が標準/通常の動作電圧レベルに低下する/戻る前に、中間範囲の動作電圧が達成されることを命じることができる。コンポーネントが動作温度を達成すると、システム電力がすべての主要コンポーネントに印加され、可変電力供給はVMinまで下げられる。実質的には、各主要コンポーネントの動作温度を維持するため、加熱器204からの追加加熱が要求されない限り、自己加熱が継続される。
【0029】
図3は、本発明の例示的な一実施形態による、閾値下漏れ電流の発生を説明する、N型電界効果トランジスタ(NFET)を示している。NFET300は、NFETおよびその他の半導体デバイスを集積回路(IC)構築ブロックとして利用する高電力デバイス(例えばコンポーネント106)における、漏れ電流の加熱影響の説明を容易にする。これらのICは、数100万個の半導体デバイスを含むことができる。
【0030】
NFET300は、ゲート301と、ソース303と、ドレーン302とを含む。対応するゲート電圧(Vg)が、ゲート301に印加/接続されることができる。ソース電圧(Vs)が、ソース303に印加/接続されることができ、ドレーン電圧(Vd)が、ドレーン302に印加/接続されることができる。NFET300のゲートに印加される電圧がハイ、すなわち、デジタル「1」を表す電圧レベルである場合、NFET300はオンにされ、動作状態になる。代わりに、NFET300のゲートに印加される電圧がロー、すなわち、「0」を表す電圧レベルである場合、NFET300はオフにされ、非動作状態になる。
【0031】
金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の小さな形状寸法のため、理想的には、高電力デバイスは、デバイスが高い信頼性で動作することを可能にする十分に小さな電圧をゲートで受け入れるように設計される。パフォーマンスを維持するため、理想的には、MOSFETの閾値電圧も同様に小さい。閾値電圧が引き下げられるので、トランジスタは、完全にオフにされることが不可能になり、すなわち、トランジスタは、ソースとドレーンの間に閾値下漏れまたは閾値下伝導を有する、弱い反転モードで動作する。したがって、NFET300はオフにされることができるが、漏れ電流、例えば漏れ電流304が依然として流れる。
【0032】
高電力ASICおよびマイクロプロセッサは、非機能状態であっても、設計に固有の漏れ経路に起因する相当な量の熱を散逸する。マイクロエレクトロニック設計が進歩するにつれて、回路形状寸法は縮小され、それに比例したASICおよびマイクロプロセッサ設計における回路密度の増加をもたらす。加えて、縮小された形状寸法、およびそれに追随する回路密度は、より短い漏れ経路を単位体積当たりより多く生じさせる。その結果、マイクロエレクトロニック設計が進歩を続けるに伴い、コンポーネント106(図1)などのデバイス内では、より高い電力密度が見出されるようになる。さらに、ASICおよびマイクロプロセッサなどのこれらの高回路密度デバイスは、デバイス内の高密度の漏れ経路に起因する大量の熱を散逸する。漏れ経路は、デバイスの機能またはパフォーマンスとは独立に存在する。漏れ電流のレベルまたは量は、ある程度までは、デバイスが零入力段階にある間にデバイスに印加される電圧の大きさに比例する(またはおおよそ相関することができる)。また、漏れ電流に起因する熱散逸の量は、漏れ電流の量に直接的に比例する。
【0033】
漏れ電流によって発生される熱は、デバイスを有効に加熱し、すなわち、零入力自己加熱が生じる。漏れ経路損失に起因する高電力散逸は、臨機の熱源として利用され、熱源として、デバイスの自己予熱の目的で適用される。この零入力自己予熱特徴は、それを利用しない場合には、デバイスを信頼性の高い動作温度範囲内に置く温度までデバイス内の接合温度を上昇させるために必要とされる、補助予熱源の必要性を緩和または低減する。
【0034】
図4は、本発明の例示的な一実施形態による、閾値下漏れ電流の発生を説明する、P型電界効果トランジスタ(PFET)を示している。PFET310は、ゲート311と、ソース312と、ドレーン313とを含む。対応するゲート電圧(Vg)が、ゲート311に印加/接続されることができる。ソース電圧(Vs)が、ソース312に印加/接続されることができ、ドレーン電圧(Vd)が、ドレーン313に印加/接続されることができる。これらの電圧の1つが、他の電圧より高いと、デバイスの両端に電圧降下をもたらし、デバイスが「オン」である場合には、それに追随する電流がデバイスを流れ、デバイスが零入力段階にある場合には、漏れ電流が流れる。PFET310のゲートに印加される電圧がロー、すなわち、デジタル「0」を表す電圧レベルである場合、PFET310はオンにされる。代わりに、PFET310のゲートに印加される電圧がハイ、すなわち、「1」を表す電圧レベルである場合、PFET310はオフにされる。デジタル・ハイ電圧レベルは、PFET310がそれより下で動作状態になる閾値電圧より大きい電圧を表す。したがって、NFET300とは異なり、PFET310は、デジタル1がソース312に印加された場合にオフにされる。しかし、NFET300と同様に、デバイスがオフにされた場合も、漏れ電流314がPFET310内を流れる。
【0035】
マイクロプロセッサおよび大規模特定用途向け集積回路(ASIC)は、数100万個の半導体デバイスを含み、それらは、与えられた設計における使い方のせいで、電力が印加された時にすべてがオフ状態にあるとは限らず、そのデバイスは、零入力またはアイドル状態にある。漏れ電流は、半導体デバイスがオン状態にあるが、動作状態にはない場合(すなわちアイドル状態である場合)の寄与のせいで、著しく増加し、増加する回路パッケージング密度と共に、電力散逸の非常な増加をもたらす。
【0036】
図5は、本発明の例示的な一実施形態による、動作温度範囲内にある温度レベルを達成する目的で、動作電圧を増加させて、(補助熱源を用いずに)零入力自己加熱メカニズムを増強するプロセスを示している。プロセスはブロック401で開始し、ブロック402に進み、そこで、デバイスの中核コンポーネントのいくつかについての活動化手順が開始される。活動化手順は、零入力漏れ電流による自己加熱を開始することにも責任を負う。一実施形態では、活動化手順は、例えば、システム起動ボタンを活動化することを含むことができる。代替として、事前プログラムされた機構が、デバイスの活動化手順を開始することができる。
【0037】
ブロック403において、高電力コンポーネント106に対応する接合温度が、埋め込み(またはアタッチ)温度センサ(例えば、図1の温度センサ105)を使用して監視される。コンポーネントの埋め込み(もしくはアタッチ)温度センサ(またはアタッチされたヒート・シンクに埋め込まれたセンサ)が熱ダイオードである例示的な実施形態では、ダイオードは、温度に伴って線形に変化する順方向バイアス電圧を生成する。ダイオードは独立であり、この間接的な温度測定値を提供するために、システムの動作を必要としない。コンポーネントの最低動作温度を表す順方向バイアス・ダイオード電圧は、システム設計または最終試験あるいはその両方の最中または以前に、キャラクタリゼーションまたはキャリブレーションあるいはその両方を通して決定される。高電力コンポーネントの温度がコンポーネントの最低動作温度を達成した場合または上回った場合にそのことを通知するために、比較器(閾値検出器)がその出力を切り替える。上述のように、比較器は、HCTMS制御ロジックの内部ロジックとすることができる。
【0038】
ブロック404において、印加される電力供給電圧は、過電圧(または過電流)を生成し、漏れ電流による増大された自己加熱を誘導するために、動的に増加される。過電圧または過電流の印加は、パラメトリック・ドリフト補償を実行するために使用されることができ、信頼性の高いデバイス動作温度を確立するために必要とされる場合に、温度を上昇させ、その上昇を加速するための臨機の自己熱源としても役立つことができる。自己加熱プロセスは、マイクロエレクトロニック・デバイスの使用可能な動作範囲を拡大するためにも使用されることができる。拡大された動作温度範囲は、補償を行わなければ典型的な従来の応用環境において信頼のおける動作を悪化させる、温度低下を伴う許容外のパラメトリック(電圧または電流あるいはその両方)シフトに対する推定補償に基づいて達成される。この方式で実現される温度増加は、デバイス自体の自己加熱に起因し、増加された電力供給電圧、したがって増加された入力電力の印加によって誘導および増強される。
【0039】
印加電圧は、持続的な信頼性の高い機能およびパフォーマンスのための条件が維持される限り、または規定もしくは動作限界内に接合温度を維持するためにその印加電圧が必要とされ、さもなければ信頼性の高い動作を保証するためにその印加電圧が命じられる場合、あるいはその両方である場合、通常/標準値より高く留まることができる。誘導および増大される自己加熱のプロセスは、零入力電力散逸を、したがってデバイス内の接合温度を、規定の通常/標準動作電圧および電流のみを印加して動作させた場合に生じる温度よりも高い温度まで比例的に増加させる。
【0040】
電力散逸は、近似的に印加動作電圧の増加量の2乗だけ増加し、安全動作限界が定義され、維持されている限り、印加電圧を増加させるプロセスは、臨機の熱源として役立つ。結果の零入力自己加熱は、デバイスの温度を比例的に増加させ、好ましくは、非常に低い温度での動作が望まれる場合に、内部動作接合温度を補償する。
【0041】
図に戻ると、ブロック405において、タイマが開始される。タイマは、零入力自己加熱プロセスの(温度上昇)影響から利益を得るために、十分な時間が、すなわち事前設定された量の時間が経過したかどうかを追跡するために使用される。漏れ電流が流れるので、ブロック406に示されるように、零入力自己予熱が、コンポーネントの接合温度を上昇させ始める/続ける。その後、ブロック407において、温度制御ロジックが、温度センサによって測定された接合温度がコンポーネントの最低動作閾値温度に少なくとも等しいかどうかを決定する。接合温度がデバイスの最低動作閾値温度より低い場合、プロセスはブロック408に移動し、温度制御システムが、(増加された電圧を印加することによって)コンポーネントを動作温度まで予熱するために許容された事前設定時間が経過したかどうかを決定する。ブロック408において、事前設定時間が経過した場合、ブロック409に示されるように、コンポーネントは、最低動作温度を達成するために、補助熱源(例えば、図1の加熱器104)を利用して予熱される。ブロック408において、事前設定時間が経過していない場合、ブロック406に示されるように、補助熱源を追加することなく、零入力自己加熱が継続する。
【0042】
ブロック407に戻ると、接合温度がデバイスの最低動作閾値温度以上である場合、ブロック410に示されるように、タイマが停止され、動作電力供給電圧が標準動作レベルまで戻される。その後、ブロック411に示されるように、全システム電力が印加され、デバイス(またはコンポーネント)が動作状態になって完了する初期化手順がそれに続く。
【0043】
一実施形態では、電力散逸に重点が置かれた特定の設計試験またはシステム試験あるいはその両方からの事前の結果は、ある周囲条件において指定のデバイス/コンポーネントの温度を上昇させるための零入力自己加熱の成功の可能性を決定するのに利用されることができる。零入力自己加熱の予想される程度/量は、経験/試験データから、またはデバイス製造業者によって実行された製品キャラクタリゼーションの結果から導き出されることができる。零入力自己加熱の影響は、デバイスに対して時間的/年齢的な相関をもつことがある。極端な周囲条件は、零入力自己加熱プロセスが温度を上昇させるのを相当長く待つ代わりに、補助熱源の即座の活動化をトリガすることがある。したがって、事前の試験からの結果は、適切かつタイムリな決定を行い、特定のアクションをトリガするために、HCTMS102によって利用されることができる。
【0044】
図5に戻ると、コンポーネントが動作状態になった後、ブロック412に示されるように、コンポーネントの温度を動作温度限界内に維持するため、システム内のコンポーネントの高電力散逸に起因する自己加熱が、補助熱源を用いずに継続する。コンポーネントの温度は、温度センサによって継続的に監視され、コンポーネントによる自己加熱は、コンポーネントが動作状態に留まる間、コンポーネントの温度が動作閾値より高く留まることを可能にする。電力供給電圧は、わずかにまたは最大安全動作電圧の限界まで増加されることができ、極端な場合、通常動作状態下のデバイスの自己加熱がデバイスを最低動作温度より高く維持するのに不十分であるときは、補助加熱器が活動化されることができる。プロセスはブロック413で終了する。
【0045】
したがって、上記の実施形態によれば、最低動作温度を有する温度範囲内で動作する少なくとも1つのコンポーネントを有するシステムが提供される。システムは、温度制御サブシステムも有し、温度制御サブシステムは、(a)少なくとも1つのコンポーネントの温度が最低動作温度より低い場合、そのことを検出するロジックと、(b)零入力漏れ電流によって熱散逸を発生し易いシステム内のデバイスにより高いレベルの活動化電力を印加することによって熱の散逸をトリガするロジックとを有する。より高いレベルの活動化電力は、システム電力を少なくとも1つのコンポーネントに印加して、その動作を開始する前に、電圧を通常動作電圧よりも増加させることによって印加される。より高いレベルの活動化電力は、その後、少なくとも1つのコンポーネントが、零入力漏れ電流に起因する熱散逸によって、最低動作温度以上に予熱されることを可能にし、温度制御サブシステムは、(c)増大された度合いの自己加熱を誘導するために、動作電圧を最大動作レベルまで増加させるロジックと、(d)通常動作状態下で動作するデバイスの自己加熱がデバイスを最低動作温度より高く維持するのに不十分である場合に、補助加熱器を使用可能にするロジックと、(e)少なくとも1つのコンポーネントで測定された温度が最低動作温度以上である場合にのみ、少なくとも1つのコンポーネントに通常システム電力が印加されることを可能にし、少なくとも1つのコンポーネントのその後の動作を可能にするロジックとを有する。
【0046】
一実施形態では、活動化電力が印加されるデバイスは、1つまたは複数のトランジスタを含むことができ、トランジスタは、通常システム電力の印加前は最初にオフ状態にあり、端子間に活動化電力を受け取り、デバイスおよび印加電圧レベルの機能特性として零入力漏れ電流を生じる。
【0047】
より具体的には、検出するロジックは、少なくとも1つのコンポーネントの温度を検出する1つまたは複数の温度センサを含み、1つまたは複数の温度センサは、最低動作温度よりも低い温度を含むコンポーネントの温度を検出し、その温度を表す出力を生成するように、キャリブレーションを施される。また、実施される実施形態に応じて、1つまたは複数の温度センサは、(a)温度に伴って線形に変化する順方向バイアス電圧を生成し、コンポーネントの近辺に配置される1つまたは複数の熱ダイオード、(b)1つまたは複数のサーミスタ、(c)1つまたは複数のバイメタル熱電対、および1つまたは複数のサーモスタットのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0048】
加えて、熱の散逸をトリガするロジックは、漏れ電流からの熱散逸および自己加熱が、測定温度を最低動作温度よりも高く上昇させ、または維持するのに十分でない場合に、少なくとも1つのコンポーネントの温度を増加させる熱を発生するために選択的に活動化される、少なくとも1つの加熱器をさらに含む。デバイスは、漏れ電流熱散逸によって発生された熱が、デバイスをオンにすることなくデバイスに電力を印加するシステム起動手順後の事前設定された期間内に、少なくとも1つのコンポーネントの温度を最低動作温度よりも高く上昇させない場合に、加熱器を活動化するロジックも含む。その後、検出された温度が最低動作温度閾値に少なくとも等しくなった場合、ロジックは、前記加熱器を非活動化して、動作中コンポーネントおよびデバイスの熱散逸による自己加熱に動作温度を維持させる。しかし、デバイスが動作状態にあり、自己加熱が動作温度を維持できない場合、ロジックは、動作温度を維持する自己加熱プロセスを支援するために、加熱器を自動的に活動化する。
【0049】
一実施形態では、温度制御サブシステムは、事前設定された基準に対して温度を評価するロジックと、複数の加熱モード、すなわち、(a)補助加熱器を使用せず、零入力漏れ電流を生じ易いデバイスに印加されるより高いレベルの電力を使用する自己加熱であって、デバイスおよびコンポーネントからの熱散逸が、動作温度を前記動作温度範囲内に維持するためのシステム動作中の単独の加熱源として使用され、補助加熱器を活動化しない自己加熱と、(b)自己加熱が少なくとも1つのコンポーネントの温度を最低動作温度よりも高く維持するのに十分でない場合に、補助加熱器を併用する自己加熱と、(c)少なくとも1つのコンポーネントの初期化を可能にし、初期化された後、少なくとも1つのコンポーネントの動作を維持し、システムを取り巻く通常の最低周囲温度よりも低く少なくとも1つのコンポーネントの動作温度範囲を拡大することを可能にするための、自己加熱と補助加熱器の使用とによる組合せ加熱のうち、選択された1つの活動化をトリガするロジックとをさらに含む。
【0050】
別の実施形態では、誘導および増大される自己熱発生プロセスのより大きな制御が必要とされる場合、動作電圧の増加が、以下の方法、すなわち、(1)動作電圧レベルの固定の事前設定された増加量を印加すること、および(2)デバイス内の接合温度が継続的に監視されながら、印加される動作電圧を適応的に調整することの一方により実行されることができる。
【0051】
最後に、一実施形態では、1つまたは複数のコンポーネントを有するデバイスを予熱するための方法が提供される。方法は、増加された零入力漏れ電流による予熱をトリガするために、増加されたシステム電力が印加された時に、タイマを開始するステップと、タイマの開始後の経過時間間隔を決定するステップと、事前定義された間隔内の検出温度の増加量に対する増加された零入力漏れ電流によって引き起こされた熱散逸の影響を監視するステップと、事前定義された間隔内で要求されるデバイス(またはコンポーネント)の事前設定されたレベルの増加温度よりも影響が小さい場合、検出温度が動作温度以上になるまで温度増加の割合を高めるために、埋め込み加熱器を活動化するステップとを含む。
【0052】
例示的な実施形態を参照して、本発明が詳細に示され、説明されたが、本発明の主旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって形態および細部に様々な変更が施され得ることが理解されよう。例えば、熱ダイオードの使用とは異なる周囲熱を検出するためのその他のメカニズムが、代替実施形態において提供されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の特徴がその中で有利に実施され得る高電力デバイスを示す図である。
【図2】本発明の例示的な一実施形態による、フィードバック・システム内の高電力デバイスの熱制御&温度監視システム(HCTMS)を示す図である。
【図3】本発明の例示的な一実施形態による、漏れ電流の発生を説明する、N型電界効果トランジスタ(NFET)を示す図である。
【図4】本発明の例示的な一実施形態による、漏れ電流の発生を説明する、P型電界効果トランジスタ(PFET)を示す図である。
【図5】本発明の例示的な一実施形態による、高電力デバイスの動作温度範囲内にある温度レベルの達成を加速するために、増加/最大動作電圧を印加して、(補助熱源を用いずに)零入力自己加熱メカニズムを増強するプロセスを示す図である。
【符号の説明】
【0054】
100 システム
102 温度制御サブシステム
103 冷却システム
104 加熱器
105 温度センサ
106 高電力コンポーネント
107 電力散逸
108 マイクロコード
109 可変電力供給
200 システム
201 温度制御サブシステム
204 加熱器
205 温度センサ
206 コンポーネント
208 HCTMS制御ロジック
209 可変電力供給
210 電圧/温度変換器
212 最低動作閾値温度
213 最高動作温度閾値
214 定常段階最低電圧レベル
215 最高動作電圧レベル
220 電気的出力
300 NFET
301 ゲート
302 ドレーン
303 ソース
304 漏れ電流
310 PFET
311 ゲート
312 ソース
313 ドレーン
314 漏れ電流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最低動作温度閾値を含む温度範囲内で動作する少なくとも1つのコンポーネントと、
温度制御サブシステムであって、
前記少なくとも1つのコンポーネントの温度が前記最低動作温度閾値よりも低い場合にそのことを検出し、
前記コンポーネントの動作を開始する前に、前記温度範囲内の温度までの前記少なくとも1つのコンポーネントのより進んだ予熱を開始するために、前記少なくとも1つのコンポーネントに印加される電力のレベルを自動的に増加する温度制御サブシステムと、を含み、
前記温度制御サブシステムが、
前記コンポーネントの動作を開始する前に、前記温度範囲内の温度までの前記少なくとも1つのコンポーネントの温度上昇を加速するために、前記少なくとも1つのコンポーネントの様々なレベルの予熱を誘導し、
自己熱の発生をもたらす零入力漏れ電流による熱散逸を増加させるために、前記少なくとも1つのコンポーネントの動作電力供給レベルを増加させ、
その後、前記少なくとも1つのコンポーネントが前記最低動作温度閾値を達成した場合、前記少なくとも1つのコンポーネントの動作にとって最適なレベルまで前記動作電力供給レベルを低下させる、ロジックを含む、デバイス。
【請求項2】
最低動作温度閾値を含む温度範囲内で動作する少なくとも1つのコンポーネントと、
温度制御サブシステムであって、
前記少なくとも1つのコンポーネントの温度が前記最低動作温度閾値よりも低い場合にそのことを検出し、
前記コンポーネントの動作を開始する前に、前記温度範囲内の温度までの前記少なくとも1つのコンポーネントのより進んだ予熱を開始するために、前記少なくとも1つのコンポーネントに印加される電力のレベルを自動的に増加する温度制御サブシステムと、を含み、
前記温度制御サブシステムが、
ヒート・シンクを含む冷却機構と、
前記少なくとも1つのコンポーネントが動作状態になった場合にそのことを検出するロジックと、
前記ヒート・シンクと前記少なくとも1つのコンポーネントからの熱散逸との組合せを使用して前記少なくとも1つのコンポーネントの前記温度を調整するロジックであって、前記熱散逸が、温度を前記最低動作温度閾値に少なくとも等しく、または前記最低動作温度閾値よりも高く維持するために利用される自己加熱を提供し、電力が前記少なくとも1つのコンポーネントに印加され、前記デバイスが動作状態になった後、前記動作温度を維持するために自己加熱が利用されるロジックと、
前記少なくとも1つのコンポーネントの前記温度が動作閾値温度よりも低く下がった場合にそのことを検出し、前記温度を前記最低動作温度閾値よりも高く維持するために自己加熱が十分でないことを通知するロジックと、
前記検出に応答して、前記最低動作温度閾値以上の動作温度の維持を支援するために、前記自己加熱とは独立の熱を発生する加熱器を活動化するロジックと、をさらに含む、デバイス。
【請求項3】
電子デバイスの1つまたは複数のコンポーネントの最低動作温度閾値と比べて前記1つまたは複数のコンポーネントの温度を監視するステップと、
零入力漏れ電流による熱散逸をもたらす漏れ特性を示す1つまたは複数のデバイスへの活動化電力の印加をトリガするステップであって、少なくとも1つの前記コンポーネントにシステム電力を印加し、前記少なくとも1つのコンポーネントの動作を開始する前に、前記少なくとも1つのコンポーネントの前記温度が、前記零入力漏れ電流熱散逸によって前記最低動作温度以上に加熱されるステップと、
前記デバイス内の接合温度が動作レベルよりも低い場合、自己熱散逸の割合を増加させるために、電力供給電圧レベルを最大動作レベルまたは前記最大動作レベルよりも事前設定オフセットだけ低いレベルまで増加させるステップと、
前記接合温度が前記動作温度閾値よりも高くなり、プロセッサ・デバイスが初期化された場合、前記電力供給電圧を最適動作レベルに戻すステップと、
前記少なくとも1つのコンポーネントの測定温度が前記最低動作温度以上になった場合にのみ、通常システム電力が前記少なくとも1つのコンポーネントに印加されることを可能にし、前記少なくとも1つのコンポーネントのその後の動作を可能にするステップと、を含む方法。
【請求項4】
前記監視するステップが、前記少なくとも1つのコンポーネントの前記温度を検出する1つまたは複数の温度センサによって遂行され、前記最低動作温度よりも低い温度を含む前記コンポーネントの前記温度を検出し、その温度を表す出力を生成するように、前記1つまたは複数の温度センサがキャリブレーションを施され、
前記1つまたは複数の温度センサが、
温度に伴って線形に変化する順方向バイアス電圧を生成し、前記少なくとも1つのコンポーネントの近辺に配置される1つまたは複数の熱ダイオード、
1つまたは複数のサーミスタ、
1つまたは複数のバイメタル熱電対、および
1つまたは複数のサーモスタットのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項5】
前記増加させるステップが、
発生される前記自己熱のより大きな制御が必要とされる場合、以下の一方、すなわち、
動作電圧レベルの固定の事前設定された増加量を印加するステップ、および
デバイス内の前記接合温度が継続的に監視されながら、前記印加される動作電圧を適応的に調整するステップの一方を実行するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
零入力漏れ電流熱散逸によって発生される熱と比べて加速および増大された加熱割合が必要とされる場合、前記デバイスをオンにすることなく前記デバイスに電力を印加するシステム起動手順後の事前設定された期間内に、前記少なくとも1つのコンポーネントの前記温度を前記最低動作温度よりも高く上昇させるために、補助加熱器の活動化をトリガするステップと、
検出温度が前記最低動作温度閾値に少なくとも等しくなり、補助加熱器が現在アクティブである場合、動作中コンポーネントおよびデバイスの熱散逸による自己加熱に動作温度を維持させるために、前記加熱器を非活動化するステップと、をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記トリガするステップが、
零入力漏れ電流による予熱をトリガするために活動化電力が印加された時に、タイマを開始するステップと、
前記タイマの開始後の経過時間間隔を決定するステップと、
事前定義された間隔内の検出温度の増加量に対する前記零入力漏れ電流によって引き起こされた熱散逸の影響を監視するステップと、
事前定義された間隔内で要望される1つまたは複数のコンポーネントの事前設定されたレベルの増加温度よりも影響が小さい場合、検出温度が前記動作温度以上になるまで温度増加の割合を高めるために、埋め込み加熱器を活動化するステップと、をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記可能にするステップが、
前記1つまたは複数のコンポーネントの前記温度が前記最低動作温度以上に達した場合にシステムが動作状態になる初期化手順を実行するステップと、
前記デバイスおよび1つまたは複数のコンポーネントの自己加熱と、前記システムの冷却機構による冷却とを利用して、前記1つまたは複数のコンポーネントの前記温度を動作温度限界内に維持するステップと、
前記1つまたは複数のコンポーネントの前記温度が前記最低動作温度の事前設定された範囲内まで下がった場合、前記デバイスの前記温度を動作温度範囲内に維持するために、埋め込み加熱源を選択的に活動化して、前記埋め込み加熱源から発生される熱を自己加熱によって発生される熱と組み合わせるステップと、をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
最低動作温度を有する温度範囲内で動作する少なくとも1つのコンポーネントと、
温度制御サブシステムであって、
前記少なくとも1つのコンポーネントの温度が前記最低動作温度よりも低い場合にそのことを検出するロジックと、
前記少なくとも1つのコンポーネントの動作を開始する前に、零入力漏れ電流による熱散逸を発生し易いシステム内のデバイスに活動化電力供給電圧を印加することによって、熱の散逸をトリガするロジックと、
前記コンポーネントの動作を開始する前に、前記温度範囲内の温度までの前記少なくとも1つのコンポーネントのより進んだ予熱を開始するために、前記少なくとも1つのコンポーネントに印加される電力のレベルを増加するロジックであって、前記少なくとも1つのコンポーネントの前記温度が、前記少なくとも1つのコンポーネントが動作状態にされる前に、前記零入力漏れ電流熱散逸によって前記最低動作温度以上に予熱されるロジックと、
前記少なくとも1つのコンポーネントの測定温度が前記最低動作温度以上になった場合にのみ、前記少なくとも1つのコンポーネントの動作を可能にするロジックと、を有する温度制御サブシステムと、を含むシステム。
【請求項10】
前記検出するロジックが、
前記少なくとも1つのコンポーネントの前記温度を検出する1つまたは複数の温度センサであって、前記最低動作温度よりも低い温度を含む前記コンポーネントの前記温度を検出し、その温度を表す出力を生成するようにキャリブレーションを施される1つまたは複数の温度センサと、
前記少なくとも1つのコンポーネントの前記温度を検出する1つまたは複数の温度センサであって、前記少なくとも1つのコンポーネントの前記温度を監視する目的で前記少なくとも1つのコンポーネントに印加される電力を必要としない1つまたは複数の温度センサと、を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記トリガするロジックが、
前記デバイス内の接合温度が動作レベルよりも低い場合、自己熱散逸の割合を増加させるために、前記電力供給電圧を最大動作レベルまたは前記最大動作レベルよりも事前設定オフセットだけ低いレベルまで増加させるロジックと、
前記接合温度が動作温度閾値よりも高くなり、プロセッサ・デバイスが初期化された場合、前記電力供給電圧を標準動作レベルに戻すロジックと、をさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記1つまたは複数の温度センサが、
温度に伴って線形に変化する順方向バイアス電圧を生成し、主要コンポーネントの近辺に配置される1つまたは複数の熱ダイオード、
1つまたは複数のサーミスタ、
1つまたは複数のバイメタル熱電対、および
1つまたは複数のサーモスタットのうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記温度制御サブシステムが、
事前設定された基準に対して温度を評価するロジックと、
複数の加熱モード、すなわち、(a)補助加熱器を使用しない自己加熱であって、前記デバイスおよびコンポーネントからの熱散逸が、動作温度を動作温度範囲内に維持するためのシステム動作中の単独の加熱源として使用され、補助加熱器を活動化しない自己加熱と、(b)自己加熱が前記少なくとも1つのコンポーネントの前記温度を前記最低動作温度よりも高く維持するのに十分でない場合に、補助加熱器を併用する自己加熱と、(c)前記システムの通常最低周囲温度よりも低く前記システムの前記動作温度範囲を拡大することを可能にするための、自己加熱と補助加熱器の使用とによる組合せ加熱のうち、選択された1つの活動化をトリガするロジックと、をさらに含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記デバイスが、前記少なくとも1つのコンポーネントの動作を可能にする通常システム電力の印加前は最初にオフ状態にあり、端子間に活動化電力を受け取り、前記デバイスの機能特性として漏れ電流を生じる、1つまたは複数のトランジスタを含む、請求項9に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−93591(P2013−93591A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−270286(P2012−270286)
【出願日】平成24年12月11日(2012.12.11)
【分割の表示】特願2008−173262(P2008−173262)の分割
【原出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】