デバイス及び装置
試料中の標的核酸を検出するアッセイ等の化学的又は生化学的反応を実施するための、及びその結果を検出するためのデバイスであり、
(i)内部の液相中で核酸増幅反応等の化学的又は生化学的反応が達成され得る第一のウェル、又はそのような第一のウェルの受取り手段;
(ii)前記第一のウェルから伸びる第一のチャンネル;
(iii)前記第一のチャンネルから液体内容物を受け取るように配置された側方流動アッセイデバイスであり、任意で、当該受取りが、第二のウェルを経由して、吸水性の膜に沿って行われ、当該膜が、標的核酸等の、前記化学的又は生化学的反応の産物を検出出来る、前記側方流動アッセイデバイス;
を備える、前記デバイス。そのようなデバイス及びそれらを使用するアッセイを実施するための装置も、記載及び主張される。
(i)内部の液相中で核酸増幅反応等の化学的又は生化学的反応が達成され得る第一のウェル、又はそのような第一のウェルの受取り手段;
(ii)前記第一のウェルから伸びる第一のチャンネル;
(iii)前記第一のチャンネルから液体内容物を受け取るように配置された側方流動アッセイデバイスであり、任意で、当該受取りが、第二のウェルを経由して、吸水性の膜に沿って行われ、当該膜が、標的核酸等の、前記化学的又は生化学的反応の産物を検出出来る、前記側方流動アッセイデバイス;
を備える、前記デバイス。そのようなデバイス及びそれらを使用するアッセイを実施するための装置も、記載及び主張される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体試料等の試料中の核酸の精製及び/又は検出等の化学的又は生化学的反応の実施及び反応産物の検出に使用される装置(apparatus)及び系、並びにデバイス又はデバイスの組合せ、特にそのような装置及び系に使用される使い捨てのユニット、並びに当該装置及びユニットを使用した核酸の精製及び/又は検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料、特に生体試料中の核酸の検出は、研究、診断、特に疾患及び遺伝的状態の診断、科学捜査及び微生物の検出、例えば衛生、環境モニタリング、又は軍事目的での、迅速な検出が必要な細菌等の潜在的に有害な微生物の検出等の分野において、周知である。
【0003】
側方流動デバイス(LFD)は、タンパク質、例えばホルモン、抗原、抗体等の標的分析物を検出するために、診断の分野で長く使用されている。これらのデバイスにおいて、解析物を含有する、又はその可能性がある液体試料を、膜に沿って流し、そこで当該試料は標識、標識された結合パートナー及び/又は免疫化された結合パートナーと接触し、続いて、試料中の解析物の存否に依存して、当該膜上で、検出可能な可視シグナルが発せられる。
【0004】
試料がLFDに沿って効率的に流れるのに必要な液体の体積は、一般に非常に重要である。LFDの基質として使用される膜は多孔質で、一般に大量の液体を吸収する。更に、当該液体の流れは、標識された部分が当該デバイス上の検出領域まで続くのに充分でなければならない。
【0005】
また、それらは、RNA又はDNA等の核酸を含有する解析物を検出するのに使用されてもよい。この場合、当該解析物の結合パートナーとして、特定の標的配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドや、例えば予備的な増幅反応の過程でRNA又はDNA中に埋め込まれた結合因子に対する結合パートナーが挙げられる。例えば、核酸増幅反応は、前記検出領域中への捕捉を促進するために、ビオチン等の結合因子を標的に埋め込むのに使用されてもよい。ビオチンが標的核酸中に埋め込まれている場合、LFD上の検出領域中のストレプトアビジン又は抗ビオチン抗体の存在は、当該捕捉領域中でのビオチン標識された標的核酸の捕捉をもたらす。
【0006】
ラベリングは、標的が検出領域中に不動化したときに可視シグナルを発するように、例えば標的配列にもハイブリダイズする標識されたプローブを使用して、又は標識されたプライマーを使用して内在的に標識された産物が生じるように、例えば増幅反応の過程で標的配列内に標識を組み込むことにより達成され、適切な標識は、当該技術分野で周知であり、例えば化学的又は生化学的標識、例えば蛍光標識、例えばフルオレセイン又はフルオレセイン誘導体、又はシアニン色素、又は酵素的に検出され得る標識、例えばジゴキシゲニン等が挙げられる。他の態様において、標識は、金、銀及びラテックスビーズ又は粒子等、直接可視シグナルを発する粒子標識を含んでもよい。これらは、検出領域中で標的核酸と相互作用するように配置され得る。これを達成するため、粒子自体が標識され、例えば標的核酸と相互作用する部分(例えば標的核酸とハイブリダイズする他の核酸)とコンジュゲートされ、又はそれらは、標的核酸配列中に組み込まれているビオチン等の結合パートナーと相互作用するストレプトアビジン等の結合因子とコンジュゲートされてもよい。
【0007】
実際に、殆どの場合、生体試料中の標的核酸の濃度は低く、LFD上で可視シグナルが直接発せられるレベルを確実に下回っている。故に、予備的段階として、核酸の増幅が一般的に必要となる。
【0008】
核酸増幅技術は当該技術分野の強力なツールである。多くの技術が存在し、幾つかは等温的に実施され、そして幾つかはポリメラーゼ連鎖反応等の温度サイクルを必要とし、試料中の非常に少量の標的核酸を検出可能なレベルまで増幅することが出来る。
【0009】
しかしながら、これらの技術の著しい検出感度は、コンタミネーション又はクロスコンタミネーションの生じる傾向を高める。非常に少量のコンタミネーションであっても、核酸はこれらの方法により増幅されて、擬陽性をもたらし得る。
【0010】
この問題に取り組む様々な試みがなされており、それらは主に、増幅プロセスから可能な限り隔離した環境で試料を処理するようにすることに焦点を当てている。故に、反応ベセルを開ける必要の無い均一な反応物中で増幅反応及び増幅産物の検出を実施する方法が開発された。
【0011】
しかしながら、増幅を進行するために、生体試料を幾つかの前処理工程に付して真核細胞若しくは原核細胞、又はウイルス等から核酸を放出させることがしばしば必要となる。そのような手順は、明らかに、コンタミネーションのリスクを最小化するように実施されるのが望ましい。
【0012】
例えば、米国特許第6,649,378号、米国特許公開第2004/0110167号、米国特許公開第2006/0160078号は、単一のデバイス中で核酸の伸長、増幅及び検出を統合する、自給式(self-contained)デバイスを記載している。
【0013】
しかしながら、一般に、そのようなデバイスは、その方法を達成するために、物理的操作を必要とする。例えば、米国特許第6,649,378号、米国特許公開第2004/0110167号は、DNA抽出が第一のデバイス中で行われ、その内容物がPCRチューブ等の増幅チューブに移され、そして最後に側方流動デバイス(result stick)がチューブに挿入される系を記載している。この種類の操作は、コンタミネーションの導入をもたらす可能性がある。
【0014】
米国特許公開第2006/0160078号は、抽出、増幅及び検出が1つのLFDの膜の上の様々な領域で実施され、当該各領域が最初は隔離されており、そして区切りのプラスチックシートの除去により、又はプランジャーを使用して1つの領域を次の領域の上に押し下げることにより連続的に繋げられる。しかしながら、この場合、各段階に存在する液体の体積は、ある程度、LFDの膜の要求に、又はこれがどの程度液体を吸収又は伝達するかに関連する。しかしながら、最適な増幅反応は、優先的に、体積の小さい「自由な」液体中の溶液中で実施され得るが、米国特許公開第2006/0160078号のような、LFDに沿った液体の流動に体積が必要であるような状況では不可能である。
【0015】
煩雑な手動操作を要さず、コンタミネーションのリスクを最小化し、そして効率を最大化しつつ、迅速な解析が可能な、統合された系の需要が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願は、使い捨てであってもよく、コンタミネーションのリスクが最小な、独立したユニット中で核酸分析等の化学的及び生化学的反応が実施可能な装置(apparatus)を開発した。
【0017】
特に、本願発明者は、デバイスであって、その内部で、外部環境に接触すること無く、適当な容積のウェル中の液相中で核酸増幅が実施され得て、その反応の産物が側方流動デバイスの膜に移される、前記デバイスを設計した。
【0018】
その結果、本発明は、試料中の標的核酸を検出するアッセイを実施するためのデバイスを提供し、当該デバイスは
(i)内部の液相中で前記標的核酸の核酸増幅反応が達成され得る第一のウェル;
(ii)前記第一のウェルから伸びる第一のチャンネル;
(iii)前記第一のチャンネルから試料を受け取り、その中の標的核酸を検出するように配置された側方流動アッセイデバイス;
を備える。
【0019】
使用される体積に依存して、前記第一のチャンネルに沿って通過する液体は、側方流動アッセイデバイスの試料受取り部分に直接送達されてもよい。これは、ウィッキングパッド(wicking pad)を備えていてもよい。しかしながら、特定の態様において、前記第一のチャンネルを通じて送達される量が著しい場合、前記第一のチャンネルから液体を受け取るように配置された第二のウェルを提供するのが便利であり得る。そのような場合、前記側方流動アッセイデバイスは、前記第二のウェルから試料を受け取る。例えば、前記側方流動アッセイデバイスの受取り部分は、前記第二のウェルに突き出ていてもよい。これは、送達される体積が側方流動デバイスの受取り部分により直接吸収され得る量よりも多い場合に便利であり得る。
【0020】
故に、特定の態様において、本発明は、試料中の標的核酸を検出するアッセイを実施するためのデバイスを提供し、当該デバイスは
(i)内部の液相中で前記標的核酸の核酸増幅反応が達成され得る第一のウェル;
(iia)第一のチャンネルにより前記第一のウェルと接続された第二のウェルであり、当該第一のチャンネルが、前記第一のウェルの液体内容物を第二のウェルに移すように配置されている;
(iii)前記第二のチャンネルから試料を受け取り、その中の標的核酸を検出するように配置された側方流動アッセイデバイス;
を備える。
【0021】
本発明の装置は、全ての要素(i)、(ii)及び(iii)並びに存在する場合(iia)を統合された単位又は一体(integral unit)として備える単一のデバイスであってもよい。例えば、前記デバイスの要素は、全て単一のハウジング内に収められてもよい。しかしながら、特定の態様において、前記デバイスはモジュールであってもよく、特に第一のウェル(i)は、使用の際にデバイスに取り付けられる分離されたユニットとして提供されてもよい。そのような場合、個々のモジュールは、その1つが上記で定義したデバイスであるが、最初のウェルに代えて最初のウェルを受け取る手段を有するもの、及び他の1つが、当該受取り手段に于受け取られるように調整された第一のウェルであり、これは本発明の更なる側面を形成する。そのようなモジュールの最初のウェルは、適切には自己支持形(self-supporting)であり、操作性を向上するための環状の輪縁(flange)又は唇、及び前記受取り手段への取付け部分を有する。
【0022】
本明細書中で使用されるとき、「側方流動アッセイデバイス」は、吸水性の膜に沿って液体が流動することにより動作する任意のアッセイデバイスを意味する。故に、この用語は、垂直に使用され得る公知の「ディップスティック」、及び膜が水平の位置に固定されており、流動が当該膜に沿って水平に又は横方向に起こるデバイスを含む。
【0023】
「チャンネル」という用語は、固体の物体中に形成される経路であり、これを通じて液体が自由に流動する。例えば、流動は圧力差及び/又は重力の影響下にあり、特に、必ずしも毛細管現象に依存しない。
【0024】
吸水性の流動(bibulous flow)により液体が移動する部分と通常の液体の流動が可能な部分とを同一のデバイス内で組み合わせることにより、本発明のデバイスは、アッセイの各段階(増幅及び検出)を好ましい条件下で実施出来る。故に、前記第一のウェル中の任意の増幅反応混合物の体積は、最適な増幅条件を提供するように選択され得る。しかしながら、その体積は変動し得て、特に、前記第二のウェルに移動する際に希釈剤の添加により増大し、その後、側方流動デバイスに通されることにより、側方流動アッセイデバイスにおける使用に好ましい体積が提供される。吸水性の流動の部分と通常の液体の流動の部分との間の液体の移動は、それらの部分が同一のデバイス内に配置されることにより促進される。更に、当該装置は、前記アッセイの自動又は半自動的操作用に改変され得る。
【0025】
特定の態様において、前記第二のウェルは密閉されている。第一のウェルと第二のウェルとを接続する第一のチャンネルは、適切には、例えば少なくとも第一のウェル及び第二のウェルを備えるハウジング中等の、デバイス内に封入されている。
【0026】
他の態様において、前記第一のウェルは密閉することが出来る。
【0027】
本明細書中で使用されるとき、「密閉された(closed)」は、ウェルが大気から隔離されていることを意味するが、それらのウェルは互いに連絡されていてもよい。同様に、「密閉されうる(closable)」は、例えば蓋(lid)、キャップ、栓またはシールにより大気から隔離され得るウェルを意味する。モジュール式のデバイスであり、第一のウェルが分離されているが当該デバイスの取付け式の要素として提供される場合、当該デバイス自体が、当該デバイスの蓋、キャップ、栓又はシールを提供し得る。例えば、前記デバイスは、前記第一のウェルの開口部にスナップ式、又はねじ式等により適合する、下向きに突き出た突出部又は栓(spigot)等の適切な受取り手段を有する。そのような場合、前記第一の、及び存在する場合第二のチャンネルに適合するように、取付け可能な第一のウェル中に、それがデバイス中に配置されたときにウェルの壁面によりチャンネルがブロックされないように経路(provision)を作らなければならない。例えば、前記第一の、及び存在する場合第二のチャンネルは、適切には、突出部又は栓を通過して、受取り手段上に配置されたときに第一のウェル内に開口するが、他の改変も想定され得る。
【0028】
前記第二のウェルが密閉され、前記第一のチャンネルも埋設されている場合、大気に接触すること無く、増幅反応が実行され、得られた増幅産物が検出用の側方流動デバイスに移動されることで、コンタミネーションのリスクを最小に出来る。
【0029】
特定の態様において、前記デバイスは、更に、
(iv)希釈剤を含有するのに適し、第二のチャンネルにより前記第一のウェルと接続された第三のウェルを備え、ここで第二のチャンネルは、前記第三のウェルからの希釈剤が前記第一のウェルに移動し得るように配置されている。この態様は、前記増幅反応が少量の液体中で実施出来ることを意味し、それが増幅反応にとって好ましく、又は最適ですらり、その後、増幅産物は、第二のウェルに入る前に、希釈剤を加えることにより、側方流動デバイスに沿って自由に流動できるように十分に希釈され得る。第三のウェルは、予め注入された希釈剤を含み、上記で定義したように密閉されてもよい。しかしながら、当該ウェルは第一及び第二のチャンネル、並びに水を含み得る側方流動デバイスの膜に対して開口しているため、当該装置は、最後の一瞬で希釈剤を添加出来るという点で有利である。これを統合されたキットとするために、特定の態様において、前記希釈剤は、密封された容器の中に納められ、希釈剤を使用するときにのみ第三のウェル内部に開口する。故に、例えば、希釈剤は、シールされた柔軟なパウチ、ブリスターパック又はアンプル内に納められてもよく、それらは、第三のウェル内に収容されてもよく、又は第三のウェル、及び当該ウェル内に配置されたパウチ又はアンプルを開口する手段、例えば針若しくはカッター等の貫通手段と接触してもよい。当該貫通手段は、希釈剤の容器又は当該貫通手段に圧力がかかったときにのみ当該容器を穿孔又は開口するように配置されている。例えば、当該貫通手段は前記第三のウェルの基部内にあり、希釈剤の容器は所望の時点でこれと接触して貫通される。これは、液体の希釈剤が希釈に使用される前に早まって側方流動デバイスの膜に接触することによりデバイスが劣化するのを防ぐ。
【0030】
前記第一のウェルは、その中で実施されるべき核酸増幅反応に特に適している。そのような反応は、一般に、相対的に小さい体積で実施されるので、第一のウェルの容積は、下記で述べるように、相対的に小さくなる。
【0031】
しかしながら、特に、前記第一のウェルは、適切には、一般に核酸増幅を行うのに必要な温度まで加熱することが出来るように調整されている。故に、当該ウェルは、適切には、典型的な核酸増幅反応に用いられる温度並びに/又は温度の上下及び変動に耐える材料で出来ている。
【0032】
特定の態様において、前記第一のウェルは、前記デバイスの突起部又は肢部(limb)上に配置されることにより、例えば外部加熱装置、適切にはサーマルサイクラーを用いての、核酸増幅を達成するための加熱及び/又は冷却を容易に行える。
【0033】
特定の態様において、前記第一のウェルの容積は、存在する場合、第二のウェル及び第三のウェルよりも小さい。例えば、前記第一のウェルの容積は10〜250μl、例えば15〜50μl、例えば約25μlであり、一方、第二のウェル及び第三のウェルの容積は、適切には、40〜4000μl、例えば40〜2500μlである。特定の態様において、前記第二及び第三のウェルの容積は約2500μlである。他の態様において、それらのウェルの容積は40〜1000μl、例えば50〜250μl、例えば約100μlである。例えば、前記第一のウェルの直径は2〜3mmの範囲内であり、深さは約4〜10mmの範囲であり、例えば約5mmであってもよく、一方、前記第二及び第三のウェルの直径は約7〜20mmの範囲内、例えば約10mmであり、深さは第一のウェルと同様であってもよい。
【0034】
この配置は、本デバイスが、それ自体が相対的に少ない体積の液体中で最適に達成される様々な化学的又は生化学的反応を実施するのに適していることを意味する。ここで当該少ない体積は、一般に、公知の側方流動デバイス上にシグナルを効果的に提供するのに必要な体積より小さい。故に、更なる態様において、本発明は、化学的又は生化学的反応を実施し、及びその産物を検出するデバイスを提供し、当該デバイスは
(i)内部の液相中で化学的又は生化学的反応が達成され得る第一のウェル;
(ii)前記第一のウェルから伸びる第一のチャンネル;
(iii)前記第一のチャンネルから液体内容物を受け取るように配置された側方流動アッセイデバイスであり、任意で、当該受取りが、第二のウェルを経由して、その上にある吸水性の膜に沿って行われ、当該膜が、前記化学的又は生化学的反応の産物を検出出来る、前記側方流動アッセイデバイス;及び
(iv)希釈剤を含み、第二のチャンネルにより前記第一のウェルと接続するように配置された第三のウェルであり、当該第二のチャンネルが当該第三のウェルから希釈剤が当該第一のウェルに移動するように配置されており、そして当該第二及び第三のウェルの容積が当該第一のウェルよりも顕著に大きい、前記第三のウェル;
を備える。
【0035】
そのようなデバイスの好ましい態様は、本明細書中に記載の態様と同様に働くが、側方流動デバイスの膜には、適切な検出試薬が充填されている。そのような化学的及び生化学的反応は、任意の形態の化学的又は生化学的反応を含み得る。
【0036】
適切には、前記側方流動アッセイデバイスは、前記デバイス内に完全に封入されており、例えば、前記デバイスのハウジング内に包み込まれていることにより、コンタミネーションのリスクが最小となる。この場合、デバイス又はハウジング中に観察窓が適切に設けられていることによりアッセイの結果を読み取れるようになっており、又はハウジング自体が透明な材料で構成されている。
【0037】
前記側方流動アッセイデバイスは、前記膜が第二のウェル中に突き出て、当該第二のウェルから試料を直接吸収するように配置されている。しかしながら、特定の態様において、液体流動要素(liquid flow element)、特にウィッキング要素(wicking element)が、第二のウェルから試料を受け取り、それを側方流動デバイスの膜の試料受取り部分に移動させるように配置されている。適切なウィッキング要素として、ウィッキング線維のパッド、例えばセルロース等の、高密度で親水性の繊維材料で構成されるものが挙げられる。当該ウィッキング要素は、少なくとも一端が第二のウェル中に突き出て、そしてもう一端で側方流動アッセイデバイスの膜の端部と接触していることにより、第二のウェルから膜への、許容される、かつ調整された液体流動が保証される。特定の態様において、前記ウィッキング要素は、第二のウェルの基部を裏打ちしていることにより、当該ウェル内に送達された液体はウィッキング要素に直接適用される。
【0038】
前記ウィッキング要素は、それ自体、側方流動アッセイデバイスにおいてシグナルを発生させるのに使用される試薬の貯留体として振舞ってもよい。例えば、上記のように適切に標識された精製標的核酸の結合パートナーが、ウィッキング要素内に保存されていてもよい。そしてこれらは、試料と共に、側方流動デバイスの膜に沿って、当該膜の適切な検出領域に移動する。
【0039】
前記デバイスは、適切には、一回の使用が意図される使い捨てのユニットである。当該デバイスの少なくとも一部分、及び好ましくはそのデバイス全体は、適切には、硬質プラスチック材料製が適するハウジング内に納められている。
【0040】
前記第一のウェルは、調整可能な方法で、加熱又は冷却できる。抵抗加熱要素等の加熱要素、若しくは冷却要素、又は温度測定要素及び温度調整若しくは温度測定要素、例えばサーミスタ若しくはサーモカップル等は、前記デバイス自体に含まれてもよく、特定の態様において、前記第一のウェルは、アッセイ目的で当該デバイス用に作製された装置内の、それらの要素の近傍にあり、接触し、又は包まれるように配置されている。当該デバイスは、適切には、当該装置内に適合するように設計されているため、第一のウェルは、適切には調整加熱である加熱に供されてもよい。
【0041】
故に、例えば、前記第一のウェルは、それが、ブロックヒーター等の前記装置の一部を任意で形成する加熱又はサーもサイクル要素内の対応するウェル内に適合するように、ハウジングの外側に、例えば上記のように突起の上にはみ出していてもよく、あるいは、当該突出したウェルは、強制空気ヒーター、サーマルサイクラー又はサーモスタット等の空気冷却又は加熱チャンバー内に適合するように配置されてもよい。
【0042】
あるいは、前記デバイスは、溝、チャンネル、又は他の刻み目を有してもよく、それらは、当該デバイスが前記装置内に置かれたとき、前記装置内の加熱又はサーモスタット要素がデバイス内の第一のウェルの周囲又は近傍に突き出て、第一のウェルの内容物が調整加熱されるように配置される。
【0043】
材料は、適切には、空気式、水圧式又は真空圧力系により調整される流動により、第一及び/又は第二のチャンネルを通って移動する。例えば、幾つかの態様において、前記ハウジングは、更に、前記第三のウェルと連結した、第一のポートを備える。当該ポートは、適切には、通常は密封されているが、アッセイを実施するために前記デバイスを装置内に導入する前に、又はこれと同時に開放されて、第三のウェルから第一のウェルに希釈剤を流動させることが出来る、空気式、水圧式又は真空等の動力源と接続される。第二のウェルと接続した抜け穴(vent port)が、当該ウェルとの間のチャンネルを通じて液体が流動するように提供されてもよい。
【0044】
前記動力源は、適切には、第三のウェルと接続しており、前記増幅反応の完了後に必要に応じて自動的に動作するポンプであるが、第三のウェルから第一のウェルに、その後第二のウェルに、水圧式に希釈剤を駆動させるように手動で操作され得る単純なプランジャーデバイスであってもよい。後者の場合、予備的な混合操作として、プランジャーを僅かに引いて第一のウェルの内容物を第三のウェル内に吸引し、その後、当該プランジャーを押し込んで、形成された混合物を第一のウェルを通じて第二のウェルに送達するのが好ましい場合がある。
【0045】
あるいは、前記希釈剤は、前記装置内で減圧又は真空が適用されることにより、第三のウェルから第一のウェルに引き込まれても良い。これは、第一又は第二のウェルのいずれかと連結した、当該デバイス内の同様の通常密封されたポートを使用して達成され得る。前記装置内で、当該密封されたポートは、前記デバイス中で所望の液体の流動を発生させるように、真空の発生源と接続させられる。
【0046】
所望の場合、前記デバイス内に希釈剤を含む1つ以上の追加のウェルを有することにより、第一のウェルの内容物と希釈剤とのより効果的な混合が達成され得る。これらは、適切には、個別の流路の希釈剤が第一のウェルの内容物と共に第二のウェルに送り込まれるように配置される。側方流動デバイスに適用される前に、適切には、前記流路は、第一のウェルの内容物と希釈剤との混合を促進する乱流を引き起こすように、第二のウェルに入る前に合流する。
【0047】
複数の希釈剤ウェルからの流入は、適切には、有利な混合を確保するように設計及び調整される。これは、空気式、水圧式又は真空圧力の調整系を使用して配置される。希釈剤が一連のプランジャーを使用して適用される場合、これらは適切には、例えばレバー又はカンチレバーデバイスを使用して相互に接続して、当該レバーに圧力かかかったときに、個々のウェルからの流れが自動で協調するように配置されている。
【0048】
前記チャンネルはそれ自体が必要な移動を促進するように配置されている。故に、例えば、第一のチャンネルは、駆動空気圧又は真空が適用されたときに、全ての材料が第一のウェルから移動できるように、第一のウェルの基部と接続していてもよい。当該第一のチャンネルは、第二のウェルの上部と接続している。同様に、第二のチャンネルは第三のウェルの基部と接続し、第一のウェルの上部と接続してもよい。
【0049】
前記第二のウェルの容積が第一のウェルよりも大きい場合、第一のウェルに吸引又は送達される希釈剤は、効果的に当該第一のウェルから溢れ、第二のウェルに流れ込む。しかしながら、第三のウェル中の希釈剤への空気圧の適用は、内容物が第一のウェルを通過して、第二のウェルに送達されるまで続けられても良い。あるいは、同様の通常密封された真空ポートが当該デバイス中に提供され、これが前記第二のウェルと接続されて、第三のウェルから液体が第一のウェルを経由して第二のウェルに引き込まれてもよい。故に、第一のウェル中の任意の増幅の産物は、希釈された状態で第二のウェルに送達されてもよい。
【0050】
一般に、LFDの膜の試料受取り部分を有する端部は、任意の増幅した核酸を含有する液体が当該膜に吸収され、その長辺に沿って染みていくように、第二のウェル内に位置している。中に標的部分に対する適切な結合パートナーが不動化されている1つ以上の検出又は調整部分は、公知の手段で、前記膜の端部の下流に提供されていることにより、標的核酸が当該部分に捕捉される(あるいは競合アッセイ方式の場合もある)。当該核酸は、適切には、増幅反応の過程で直接、又は増幅反応内に導入された、若しくは移動可能な形でLFDの上に位置する標識したプローブと接触させることにより標識される。故に、例えば上記粒子標識(例えばラテックスビーズ)と関連した標識された材料の検出領域中の蓄積は、LFD中の可視シグナルと生じる。そのようなデバイスは、例えばUS2004/0110167に例示されている。
【0051】
適切な膜は、セルロースベースの材料、例えばセルロース、ニトロセルロース、又はカルボキシメチルセルロース、親水性ポリマー、例えば合成親水性ポリマー、例えばポリエステル、ポリアミド、糖質ポリマー、疎水性ポリマー、例えばハロゲン化ポリマー、例えばポリテトラフルオロメチレン、ガラス繊維又は多孔質セラミックを含んでも良い。
【0052】
特に適切な膜として、セルロース膜、特に積層であってもよいニトロセルロース膜、例えばMilliporeから入手可能なものが挙げられる。これらは、プラスチック裏打ち膜、例えばポリエステル等(Mylar(登録商標))、等の、裏打ち材料で支持されてもよく、又はPET裏打ちセルロース膜であってもよい。そのような膜の裏打ちは、通常疎水性であるが、セルロース自体は親水性であるから、必要なウィッキング効果を引き起こす。しかしながら、この親水性は、これらが免疫アッセイの手順の中で使用されるときに問題を生じる。これらのデバイス中で使用される膜は、必要な場合、公知のブロッキング剤を使用してブロックされてもよい。ブロッキング剤は、試料中の任意のタンパク質と前記膜との間の非特異的な相互作用を減少してもよく、または試料のウィッキング率を増大させてもよい。それらは一般に不動化された結合剤の適用後に適用され、通常、タンパク質、界面活性剤及び合成ポリマーの3種類の薬剤から選択される。ブロッキング剤として使用され得るタンパク質の具体例として、ウシ血清アルブミン(BSA)又は脱脂粉乳成分、例えばカゼインが挙げられる。
【0053】
ブロッキング剤として使用され得る界面活性剤の例として、非イオン性界面活性剤、例えばTween(商標)20の製品名で販売されるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレエート、及び例えばDowがTriton X(商標)シリーズとして販売するオクチルフェノールエトキシレート、例えばTriton X-100が挙げられる。
【0054】
ブロッキング剤として使用される適切な合成ポリマーとして、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリオキシエチレン脂肪エステル、例えばラウリル、セチル、ステアリル、及びオレイルアルコール由来のもので、Brij(商標)の製品名で販売されているものが挙げられる。
【0055】
2つ以上の種類又はクラスのブロッキング剤の混合物が特に採用され得ることは一般に認識され、例えば上記界面活性剤及び合成ポリマーを含有する混合物が挙げられる。
【0056】
しかしながら、好ましい態様において、前記膜に対してブロッキング剤は使用されない。
【0057】
試料を受け取ってすぐに直接増幅が始まるように、増幅を実施する試薬、例えばプライマー、酵素、プローブ等は、第一のウェルに予め注入されていてもよい。特に、そのような試薬は、分解又は未熟な反応(premature reaction)を防ぐため、乾燥状態、特に凍結乾燥状態で存在してもよい。しかしながら、特定の態様において、そのような試薬は、適切には、表面に凍結乾燥した試薬が付着した、栓、管又はキャップの形態の、試薬注入具(reagent dispenser)を使用することにより、前記デバイス内に導入される。当該試薬注入具は、一旦試薬が添加された第一のウェルを閉じる役割も果たす。
【0058】
前記デバイス自体は様々なアッセイで一般に使用されてもよいのに対して、そのような試薬注入具は、特定の核酸アッセイに特異的なものであるから、前記デバイスと別個に供給されてもよい。しかしながら、それらは前記デバイスと組み合わせて供給されてもよく、そのため、本発明は、更に、上記デバイスと試薬注入具(又は栓、管又はキャップ)との組合せを提供する。当該試薬注入具、例えばプラグ、管又はキャップは、適切には密封された容器に入れて供給され、当該容器は、それらが水分に触れていないことを保証するように、デバイス等の前記組合せの他の要素と別個に包装される。
【0059】
他の場合、増幅緩衝剤等の増幅反応の液体成分は、増幅反応の開始時にのみ第一のウェルに導入されるのが好ましい。こうすることにより、コンタミネーションのリスクが最小となり、未熟な反応の発生も防止できる。
【0060】
これを達成するために、前記デバイスは、アッセイ緩衝剤等の液体試薬が予め注入された密閉された第四のウェルを有する。故に、この第四のウェルは、前記試薬の貯留体として振舞う。当該ウェルはチャンネルにより第一のウェルと連結しており、増幅反応の実施が必要なときにその内容物が第一のウェルに送達され得る。また、空気式、水圧式若しくは真空系の要素、例えば空気式又は真空ポートへのチャンネルも、第四のウェルの内容物が適切な時点で第一のウェルに駆動され、又は引き込まれるために提供される。これらの要素は、前記アッセイを実施するために前記デバイスと適合するように設計された装置中の対応する空気式又は真空要素と動作可能に接触するように配置される。
【0061】
同様に、前記装置は、上記のような、第一のウェル中で所望の増幅反応が可能なように、第一のウェルと接触するように適合された加熱手段を有し得る。一般に、前記実施される増幅反応は、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、転写介在増幅(TMA)、ループ介在等温増幅(Loop-Mediated Isothermal Amplification)(LAMP)、Q-ベータレプリカーゼ及びローリングサークル増幅、3SR、分岐増幅(ramification amplification)( Zhang et al, Molecular Diagnosis(2001)6 No 2, pl41-150参照)、レコンビナーゼポリメラーゼ増幅(TwistDxから入手可能)等の、当該技術分野で公知の多くの等温増幅反応の1つである。この反応は、ポリメラーゼ連鎖反応等の温度サイクル反応とは違い複雑な温度の配置を要しない。しかしながら、当該装置が温度サイクル手段を備える場合、温度サイクルを必要とする、ポリメラーゼ連鎖反応又はリガーゼ連鎖反応等の増幅反応を実施することも出来る。
【0062】
必要な場合、及び試料が適切な形態で入手出来る場合、当該試料は、前記第一のウェルに直接添加されてもよい。しかしながら、一般に、上記のように、試料、特に生体試料から、核酸を抽出及び精製する必要がある。
【0063】
本発明の好ましい側面において、前記デバイスは、核酸抽出及び/又は精製系を更に備える。試料から精製された核酸を抽出する手段は様々なものがあるが、特に好ましいのは、WO2007/104962(その内容は本明細書中に参照により援用される)に記載の吸水性の膜の使用である。液体試料が、LFDに関連して上記で述べた種類の吸水性の膜に沿って流動出来ることにより、核酸が当該膜の表面に結合して、試料中の他の材料から核酸を分離する手段が提供される。故に、特定の態様において、核酸精製及び抽出用の吸水性の膜は、当該デバイス内に埋め込まれる。
【0064】
前記膜は、適切には、コンタミネーションのリスクを最小にするため、前記デバイス内に完全に包み込まれる。それは、試料の保持又は受取りウェルとして振舞う第五のウェルと第一のウェルとの間に伸びるように配置されることにより、第五のウェル中の試料が当該ウェルに沿って第一のウェルに伝わっていく。適切には、前記膜は、少なくとも部分的には、第一のウェルの開口部を覆って伸びる。この配置において、前記栓、管又はキャップ上に提供されたカッター等を使用して、当該膜の小部分がそれから切り離され得る。この動作により、第一のウェル中に膜の部分が落ち、当該栓、管又はキャップ上の他の試薬と、及び前記代用のウェルからの緩衝剤と混合されて、増幅反応混合物が形成される。膜の切片に存在する全ての核酸が増幅される。
【0065】
幾つかの場合、前記第五のウェルは試料受取りウェルとして振舞っても良いが、一般に、好ましくは、試料は、幾つかの前処理、例えば、核酸を抽出する前に、試料中に存在する細胞又は微生物から細胞内容物を溶出させる処理に供される。この目的において、前記第五のウェルは上記のように密閉されてもよいが、当該デバイス中に提供された開いた第六のウェルと、適切なチャンネルにより接続している。この場合、第五のウェルおよび前記吸水性の膜の端部に移動させられる前に液体試料は予備的溶出工程として第六のウェルに添加される。この場合に、移動は、適切には、上記他の液体移動操作との関連で記載した水圧式又は空気式圧力源又は真空源等の動力源を使用して達成されるので、第五のウェルと第六のウェルには、前記装置の動力系と接続するための適切に配置されたポートが配される。空気式の系の場合、第五のウェルと連結した適切な抜け穴も必要である。
【0066】
細胞の溶解は、様々な方法により達成されてもよい。例えば、塩酸グアニジン又は洗剤等のカオトロピック剤が前記試料受取りウェルに添加されてもよく、又はそれが当該ウェルに予め注入されていてもよい。しかしながら、試料受取りウェル中で細胞の溶解が達成されるのに適した方法は、熱又はソニケーション等の本質的には物理的な手段、具体的には、試料受取りウェルを約100℃に加熱する方法である。故に、前記アッセイのために前記デバイスが配置された装置は、このプロセスが達成できる加熱手段、又はソニケーションデバイスを備える。
【0067】
前記試料受取りウェル(第五又は第六のウェル)は、適切には、例えば一旦試料を添加した後に、かつ当該デバイスがアッセイを達成するために装置内に設置される前又は後に、栓又はプラグにより密閉できる。
【0068】
液体試料を取得できる場合、これらは、溶解操作が実施される前に、前記試料受取りウェル(第五又は第六のウェル)に添加されてもよい。しかしながら、試料が綿棒検体等の固体の形態の場合、当該面棒は、試験材料を放出するために洗浄される。この場合、前記装置は、適切には密閉され、洗浄液が入った、第七のウェルを備える。当該第七のウェルは、前記試料受取りウェルに接続しており、当該第七のウェルの内容物が適切な時点で固体試料の洗浄のために試料受取りウェルに移動出来るように、前記装置の空気式、水圧式又は真空系と適切に接続している。
【0069】
故に、使用する際に、上記デバイスは、それを受け入れるように調整された装置内に設置される。一旦前記装置に設置されると、前記デバイス中に設けられた様々な空気式又は真空ポートが当該装置の空気式、水圧式又は真空系と接続される。加えて、当該装置中に設けられた調整可能な加熱要素が、第一のウェル中で核酸増幅反応を実施するために当該第一のウェルと接触し、また、任意で、必要に応じて、加熱による細胞の溶解を引き起こすように、試料受取りウェルも加熱要素と接触する。前記装置は、適切には、1つのウェルからもう1つのウェルに液体を移動させる工程、及び適切なウェルを自動で加熱する工程を含む様々な工程を連続で実行し、単一の操作で核酸が試料から抽出され、精製され、増幅され、及び検出されるプロセスを達成するようにプログラムされている。
【0070】
そのような装置は、上記デバイス及び装置を含み、任意で前記試薬注入器を含む系と同様に、本発明の更なる側面を形成する。
【0071】
故に、特定の態様において、本発明は、更に、化学的又は生化学的反応を実施し、及びその産物を検出する装置を提供する。特に、当該装置は、試料中の核酸の検出に使用され:
(i)上記デバイスを受け入れる手段、及び
(ii)前記第一のウェルを制御可能に加熱することにより、内部で核酸増幅反応が実施されるように配置された加熱手段
を備える。
【0072】
必要な場合、前記装置は、更に、(iii)前記デバイスと接続可能で、当該デバイス中のウェルの間での材料の移動を可能とする輸送系、具体的には空気式、水圧式又は真空系を備える。しかしながら、前記デバイスが上記の液体希釈剤の移動を達成するための1つ以上のプランジャーを備える場合、前記輸送系は、上記プランジャー又はレバーのアクチュエーターであってもよく、又は当該プランジャーは手動で操作されてもよい。
【0073】
前記装置は、適切には、更に、コンピューター調整システム等の調整システムを有し、当該システムにより輸送系が調整されることにより、前記デバイス内で所望のアッセイ手順が自動で達成され得る。
【0074】
適切な場合、及び前記デバイスが細胞溶解を行うことが意図されるウェル(即ち上記第六のウェル)を有する場合、前記装置は、更に、細胞溶解を達成するために前記ウェルを加熱する手段を有する。
【0075】
発明者らは、本出願が、上記のような複雑な生化学的反応を達成し、解析するために、空気式、水圧式又は真空調整液体流動と、吸水性又は毛細管流動とを組み合わせた、最初の報告であると信じている。
【0076】
更なる態様において、本発明は、試料中の核酸を検出するアッセイを実施するための系を提供し、当該系は、
増幅反応チャンバー、
試料から核酸を抽出し、それを当該増幅チャンバーに送達するように配置された第一の吸水性の膜、及び
当該チャンバー中で取得された増幅産物内の核酸を検出するための側方流動デバイスとして配置された第二の吸水性の膜;
並びに当該増幅チャンバー中で取得された産物を当該側方流動デバイスの試料受取り部分に送達する手段
を備える。
【0077】
本発明のデバイス、装置又は組合せは、核酸増幅及び検出の実施手段を容易に行うのに有用である。プロセスに必要な試薬はデバイス中の密封されたウェル内に保存され、また当該デバイスは使い捨てであるため、コンタミネーションのリスクは最小である。
【0078】
更なる側面において、本発明は、試料中の核酸を検出するアッセイを実施するための方法を提供し、当該方法は、
上記デバイスに試料を加える工程、
上記デバイスに上記試薬注入具を加える工程、
上記デバイスを上記装置に挿入する工程、及び
当該装置に核酸の増幅及び検出反応を実施させる工程
側方流動デバイスから結果を読み取る工程
を含む。
【0079】
本発明は、下記添付図面を参照した実施例により、具体的に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明の使い捨てデバイスの模式図であり、試料から核酸を抽出するために、及び抽出された核酸を増幅するために、及び増幅産物を検出するために配置されている。
【0081】
【図2】図2は、試料中の核酸を増幅及び検出するための本発明の使い捨てデバイスの代替的な形態の模式図である。
【0082】
【図3】図3は、本発明のデバイスの模式平面図である。
【0083】
【図4】図4は、図3のデバイスの模式側面図である。
【0084】
【図5】図5は、本発明のデバイスの代替的形態の模式平面図である。
【0085】
【図6】図6は、図5のデバイスの模式底面図である。
【0086】
【図7】図7は、本発明のデバイスの一部の模式底面図であるが、図5で示された第一のウェルの代替的配置変更がなされている。
【0087】
【図8】図8は、モデルアッセイにおいて使用された後の本発明のデバイスの模式図である。
【実施例】
【0088】
実施例1
図1のデバイスは、本質的に、上面カバープレート(3)及び下面ベースプレート(4)の間に挟まれた中央ブロック(2)からなる、プラスチックハウジング(1)を有する。当該中央ブロック(2)は、多くのウェル(5,6,7,8,9,10及び11)を有し、これらのウェルは、チャンネル(12,13,14,15及び11)で互いに連結されている。更なるチャンネル(17,18,19,20,21及び22)は、大部分のウェルと、ハウジング(1)の上面カバー(3)に設けられた空気式ポート(23,24,25,26,27及び28)とを連結する。カバー(3)は、更に、1つのウェル(6)と繋がった開口部(26)を有することにより、当該ウェルは試料受取りウェルとして振舞い、更に、もう1つのウェル(8)と繋がった開口部(30)を有することにより、当該ウェルは増幅チャンバーとして振舞う。しかしながら、残りの全てのウェルは、カバー(3)により効果的に密封される。
【0089】
吸水性の膜(31)は、本体(2)の水平の経路内に配置され、ウェル(7)及び増幅チャンバーであるウェル(8)の間に伸びる。当該膜(31)の両端にウェル(7)及び(8)が配置されることにより、ウェル(7)内の液体が当該膜に沿ってウェル(8)に移動する。適切には、前記膜(31)の少なくとも一部は、カバー(3)中の開口部(30)を跨いで伸びる。
【0090】
本体(2)内に同様の経路がウェル(16)から伸び、この経路中に側方流動デバイス(32)が収容される。
【0091】
ウェル(6)に試料を入れた後、当該ウェルを閉じるために栓(33)が提供される。もう一つのプラグ(34)は、増幅チャンバーウェル(8)を閉じるために提供される。しかしながら、適切には、当該プラグは、その表面に、凍結乾燥形態の増幅反応を達成するのに必要な少なくとも1つの試薬を担持する。また、当該プラグ(34)は、ウェル(8)内に押し込まれたとき、開口部(30)を跨いで伸びる膜(31)から試料を切り出すように適合したカッター(記載無し)を備える。切り出された試料は、ウェル(8)中に落ちて、増幅が開始される。
【0092】
前記伸長/増幅/検出プロセスで使用される試薬は、密閉されたウェルの幾つかに予め充填されている。特に、試料洗浄液がウェル(5)内に充填され、当該ウェルは試料洗浄貯留体として振舞う。同様に、増幅反応に使用される緩衝剤がウェル(9)に充填され、当該ウェルは、適切には、第一のウェル(8)と同様の寸法である。最後に、溶出希釈剤が、ウェル(10)に充填される。
【0093】
使用の前に、接着性のプラスチックテープ、フィルム又はシート等の使い捨てのカバーがカバー(3)に掛けられることにより、開口部(30,31)及びポート(23,24,25,26,27及び28)が密封される。その目的は、第一に、大気によるコンタミネーションを防止すること(そうすることにより、デバイス内のウェル及び適切にはそれらの内容物が清浄を保つ)、及び第二に、ポートを通って空気が流動するのを防止することにより、各ウェル中の液体を保持することにある。
【0094】
使用に際し、以下の手順が適用される。
【0095】
デバイス(1)を開封した使用者は、カバー(3)からテープを取り除き、空気式ポート(23,24,25,26,27及び28)並びに試料及び増幅ウェル(30,31)を露出させる。そして、デバイス(1)を、当該デバイスを収納するように適合した装置に挿入することにより、空気式ポート(23,24,25,26,27及び28)は、空気圧供給手段(pneumatic supply)と接続される。
【0096】
液体の試料を使用する場合、使用者はそれを試料ポートとして振舞うウェル(6)に充填し、試料栓を挿入する。
【0097】
綿棒で採取した試料を使用する場合、前記装置は、試料洗浄貯留体ウェル(5)から試料洗浄試薬をチャンネル(12)を通じて試料ウェル(6)に流し込み、使用者は前記面棒をその内容物でゆすぐ。そして、試料栓(33)が、試料ウェル(6)に挿入される。
【0098】
試料ウェル(6)は前記装置により加熱され(約100℃まで)、試料マトリックスからDNAが抽出される。
【0099】
続いて、前記装置は、(空気式ポート23又は24及びチャンネル17及び12又は18を介して)抽出産物をチャンネル(13)を通じて隣接するウェル(7)(チャンネル19及び空気式ポート25により通気している)に移動させて、膜31と接触させる。
【0100】
続いて、前記装置は、試料が毛細管現象により膜(31)に沿って移動するのに充分な時間休止する。
【0101】
外側の表面に増幅反応を実施1に必要な乾燥した増幅特異的プライマーや酵素等の試薬を担持するプラグ(34)は、増幅チャンバーとして振舞うウェル(8)に挿入される。プラグ(34)は、ウェル(8)に挿入されたときに(使用者により手動で、又は装置により自動で)、膜(31)の小片を切り出し、それがウェル(8)の底に落ちる。
【0102】
前記装置は、(空気式ポート26並びにチャンネル14及び20を介して)緩衝剤及び溶液等の液体アッセイ試薬をウェル(8)(チャンネル16及び22を通じてポート28に通気している)に移動させる。
【0103】
ウェル(8)は、核酸増幅反応を実施するのに適した条件で加熱される。例えば、ウェル(8)は、等温増幅を実施するのに適した温度で前記装置により加熱され、当該温度は、例えば、15〜85℃、より適切には20〜80℃、例えば約65℃である。
【0104】
増幅反応の終了後、前記装置は、ウェル(10)から希釈剤を(空気式ポート27並びにチャンネル21及び25を通じて)移動させ、それがウェル(8)を通って増幅産物を回収し、その混合物が隣接するウェル(11)(チャンネル16及び22を通じてポート22に通気している)に移動して、側方流動デバイス(32)の試料受取り部分と接触する。側方流動デバイス(32)は、試料中の標的核酸の存在又は不存在に応答して、視覚的な標的及び対照の線等の1つ以上の検出可能なシグナルを生じるように設計されている。
【0105】
前記装置は、使用者に対して側方流動デバイス(32)からの結果の読取り、及び当該装置からのデバイス(1)の回収を要求する前に時間を置く。
【0106】
以上のプロセスは、適切には自動化されており、圧力は関連する空気式のポートに適切な順序で加えられる。使用されないときは、前記装置中のバルブは、ポート(23,24,25,26,27及び28)を効果的に閉じていてもよい。
【0107】
実施例2
本発明に関する代替的な装置は、図2に示されている。この場合、ハウジング(40)は、第一のウェル(41)を備え、当該ウェルはキャップ(42)により密閉出来る。第一のウェル(41)は、チャンネル(44)を通じて第二のウェルと連結している。チャンネル(44)は、ウェル(43)の上部に連結している。チャンネル(44)及び第二のウェル(43)のいずれも、ハウジング(40)内に埋め込まれている。
【0108】
標的核酸の検出に必要な試薬を有する吸水性の膜を備える側方流動デバイス(45)は、ウェル(43)の下部に突き出ている。
【0109】
更なるチャンネル(46)は、同様にハウジング(40)内に配置されている、第一のウェル(41)の下部と希釈剤貯留体(47)との間に伸びる。希釈剤貯留体(47)には希釈剤が充填されており、プランジャー(49)により外部から隔離されている。
【0110】
使用に際し、標的核酸を含有する、又は含有すると予想される試料、及び増幅反応の実施に必要な試薬が、第一のウェル(41)に充填される。当該ウェルは、キャップ(42)で密閉され、そして当該デバイスは、ウェル(41)中に存在する任意の標的核酸配列が増幅される条件、及び当該増幅産物が側方流動デバイス上で検出されるのに必要な任意の結合剤又は標識が、例えば当該増幅産物にハイブリダイズすること等により、埋め込まれ、又は結合する条件、例えば温度条件に晒される。
【0111】
増幅反応の終了後、プランジャー(49)が、例えば手動で操作されるが、前記デバイスが適切な装置内に設置される場合、自動で実施され得るように配置されている。いくつかの場合、最初にプランジャー(49)を引いて、増幅産物を含むウェル(41)の内容物を、希釈剤と混合させる場所であるウェル(48)の方向に引き戻すのが好ましい。当該プランジャー(49)は、その後押し下げられる。このとき、希釈剤(48)は、貯留体(47)を出て、チャンネル(46)に沿って、ウェル(41)に溢れる。その結果、増幅反応産物を含有するウェル(41)の内容物は、チャンネル(44)を通じて第二のウェル(43)に移動させられる。ウェル(43)に到達した液体はウィッキングパッド(50)に出会い、そして当該パッド(50)に吸収される。当該ウィッキングパッド(50)のもう一端は、側方流動デバイス(45)の膜の試料受取り部分と接触している。従って、前記液体は、パッド(50)に沿って移動し、確実に、かつ調整されて側方流動デバイスに送達される。側方流動デバイス上に存在する試薬及び増幅反応における任意の結合又は標識試薬の含有物の結果、側方流動デバイス(45)上に、標的核酸試料の存在又は不存在を示すシグナルが発生する。
【0112】
故に、このデバイスは、コンタミネーションのリスクが最小限の、増幅及び検出反応を実施する、単純で、使用が容易で、確実な手段を提供する。
【0113】
実施例3
図3に示される態様において、内部で核酸増幅反応が実施できる第一のウェル(51)が、第二のウェル(53)及び希釈剤ウェル(54)と共にハウジング(52)中に配置され、それらは、上記態様と同様に、チャンネル(55,56)で連結されている。しかしながら、この場合、第一の希釈剤ウェル(52)に加えて、チャンネル(58)によりチャンネル(56)と接続する更なる希釈剤ウェル(57)が配置される。これらのチャンネル(56,58)は、第二のウェル(53)の上流に位置する丁字路で合流する。上記と同様に、第二のウェル(53)の液体内容物は、ウィッキング繊維(60)のパッドにより、LFD(59)に移動させられてもよい。
【0114】
試料が第一のウェル(51)中で核酸増幅反応に付された後、当該ウェル(51)にウェル(54)から希釈剤が流れ込む。適切には、各希釈剤ウェル(45,47)は、プランジャー(それぞれ62,3)により操作され、これらは図4に記載されているように、レバー(61)により連結されている。矢印で示した方向にレバー(61)を押し下げると、両方のウェル(52,57)から異なる速度で差動的だが調整された希釈剤の排出が引き起こされる。レバー(61)は、丁字路で所望の比率で混合が起こるように配置される。これは、第一のウェルからの内容物が第二のウェル(53)中に到達したときに希釈剤と良好に混合されることを保証する。
【0115】
その後、当該混合物は、ウィッキング繊維のパッド(60)に沿って、LFD(59)の試料受取り部分に移動する。増幅された標的核酸の存在又は不存在に依存して、シグナルが発生する。
【0116】
実施例4
本発明に関するデバイスの更なる態様が、図5に示される。この図において、デバイスは本体(70)を備える。製造上の便宜のため、本体(70)は、上部層と下部層(それぞれ70a、70b)を有し、それらの間に、内部に下記のような様々な構造が区切られたスペーサー(83)が配されている。本体(70)は、側方に突起(71)を有し、その中には、キャップ(73)により密閉できる第一の反応ウェル(72)が配置されている。
【0117】
本体(70)内に包み込まれたチャンネル(74)は、第一の反応ウェル(72)、及び第一のウェルよりも大きく、本体(70)中に包み込まれている第二のウェル(72)の間に伸びる。ウィッキングパッド(76)は第二のウェル(75)内に突き出している。ウェル(75)から離れたウィッキングパッド(76)の一端は側方流動アッセイ要素の長い吸水性の膜(77)と接触している。当該膜は、当該技術分野で公知なように不動化された、又は遊離した、特定の標的核酸に特異的な結合剤及び標識された結合剤を含む。これらは、標的核酸を含有する液体がウィッキングパッド(76)から膜の遠隔末端(remote end)に毛細管流動により移動し、当該液体中の標的の存在又は不存在に依存して視覚的なシグナルが発生するように配置されている。適切には、本体(70)は、任意のシグナルが見えるように透明である。しかしながら、必要に応じてシグナルの発生が見えるように、本体内部に覗き窓を有する場合もある。
【0118】
前記膜は、それが本体(77)内の開口部(78)を横断するように配置され、その全長が一連の支柱(79)で支持されており、これも本体(70)の構造中に包み込まれている。
【0119】
希釈用の第三のウェル(80)も本体(70)中に提供され、当該ウェルはプランジャー(81)により密閉できる。当該ウェル(80)も反応ウェル(72)よりも容積が大きく、第二のチャンネル(82)により反応ウェル(72)と連結している。
【0120】
使用に際し、核酸増幅反応混合物等の化学的又は生化学的反応混合物がウェル(72)に添加され、その内部で所望の反応が達成される温度等の適切な条件に付される。前記突起(71)は、これを達成するために、適切な加熱装置中にはめ込まれる。そうすることにより、反応ウェル(72)に適用される条件は、本デバイスの他の部分には適用されないため、かかる条件が膜(77)等にダメージを与え、又はそれらを劣化させるのが防げる。適用される条件は、達成されようとする具体的な反応に依存し、例えば等温核酸増幅反応の場合は相対的に一定の温度でのインキュベーション、又はポリメラーゼ連鎖反応等の公知の反応である場合は、一定の範囲の温度循環でのインキュベーションを含む。
【0121】
その後、例えば密封された容器から注入されて、ウェル(80)に希釈剤が流し込まれる。必要に応じて、当該密封された容器はウェル(80)に予め格納されており、当該ウェルが穿孔手段(記載無し)を備えることにより、プランジャー(81)を使用して当該容器を当該穿孔手段に押し付けることにより希釈液がウェル内に流れ込んでもよい。
【0122】
注入後、プランジャー(81)は更に押し込まれて、希釈剤がチャンネル(82)に沿ってウェル(72)に流れ込み、そこで希釈剤は反応混合物と混合され、そしてチャンネル(74)に溢れ、その後ウィッキングパッド(76)に到達する。当該パッドは流れてきた液体を吸収し、それを膜(77)の第一の末端部分に送る。当該液体は膜(77)の全長に沿って、吸水性又は毛細管現象により移動し、そのプロセスの間、標識試薬と混合され、標的要素、例えば標的核酸が、公知の側方流動アッセイと同様に、標的又は対照領域でシグナルの線等のシグナルを発生させる。これらのシグナルは、本体(70)を通じて読み取られてもよい。
【0123】
図5及び図6のデバイスは、使い捨てであってもよい。故に、本発明は、様々な目的で実施され得る単純なデバイスを提供する。当該デバイスは操作が単純で、試料のコンタミネーションにより不正確な結果が生じる機会を最小にする。
【0124】
このデバイスの改変された形態(図7)において、突起(71)は非中空(solid)であるが、下向きに突き出た突出(83)を有し、当該突出は、取り外し可能な第一のウェル(72)とかみ合う小室(snug)を形成できる。チャンネル(74及び82)はこの突出83を通ってその下面に開口する。前記別個の第一のウェル(72)は、適切には乾燥形態の増幅試薬が予め充填されており、操作の便宜のため、環状のフランジ(84)が設けられている。この態様において、別個にキャップ(73)を要しない。使用に際し、試料は第一のウェル(72)に適用され、突出(83)がウェル(72)の開口部にぴったり挿入されることにより密封される。その後、当該デバイスは、図5の態様に関して記載したのと同様に使用され得る。
【0125】
実施例5
実質的に図5及び6に示したデバイスは、試料中のウマ性病の存在を検出するために、LAMP等温アッセイにおいて使用された。水中で10分間煮沸して溶解した標的細菌のDNAを、タイロレラ・エキゲニタリス(Taylorella equigenitalis)の16SリボソームRNA遺伝子を検出するLAMPプライマーを使用して増幅した。この反応のループプライマーはビオチン又はフルオレセインのいずれかで標識されており、これらの部分を通じて、反応産物は、ラテックスビーズ又はLFD上の陽性反応領域と結合した。増幅は反応ウェル(72)中で実施され(全体積25μl)、反応物の希釈の前に、65℃で20分間インキュベーションされたGeneSys(Camberley, UK)のLAMPマスターミックスを使用し、適切な緩衝剤(225μlのPBS)中で、デバイスに充填された。当該緩衝剤はウェル(80)に充填され、プランジャー(81)を押し込むことにより反応ウェル(72)に流し込まれた。希釈された増幅産物は、希釈と同時にチャンネル(74)を通じた陽圧によりLFDウィッキング材料(76)にまで移動させられた。当該反応混合物は、毛細管現象により、LFDの全長に沿って、試験及び対照の線の両方の反応領域に蓄積している(それにより可視化された)ラテックスビーズと結合しながら移動した。線は試験(上側の線)及び対照(下側の線)の両方で陽性の反応が顕著であり、これは試験材料が増幅され、陽性であったことを示した。
【0126】
図8に示す結果は、本発明のデバイス及び方法が有効で、有用な結果を提供することを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体試料等の試料中の核酸の精製及び/又は検出等の化学的又は生化学的反応の実施及び反応産物の検出に使用される装置(apparatus)及び系、並びにデバイス又はデバイスの組合せ、特にそのような装置及び系に使用される使い捨てのユニット、並びに当該装置及びユニットを使用した核酸の精製及び/又は検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
試料、特に生体試料中の核酸の検出は、研究、診断、特に疾患及び遺伝的状態の診断、科学捜査及び微生物の検出、例えば衛生、環境モニタリング、又は軍事目的での、迅速な検出が必要な細菌等の潜在的に有害な微生物の検出等の分野において、周知である。
【0003】
側方流動デバイス(LFD)は、タンパク質、例えばホルモン、抗原、抗体等の標的分析物を検出するために、診断の分野で長く使用されている。これらのデバイスにおいて、解析物を含有する、又はその可能性がある液体試料を、膜に沿って流し、そこで当該試料は標識、標識された結合パートナー及び/又は免疫化された結合パートナーと接触し、続いて、試料中の解析物の存否に依存して、当該膜上で、検出可能な可視シグナルが発せられる。
【0004】
試料がLFDに沿って効率的に流れるのに必要な液体の体積は、一般に非常に重要である。LFDの基質として使用される膜は多孔質で、一般に大量の液体を吸収する。更に、当該液体の流れは、標識された部分が当該デバイス上の検出領域まで続くのに充分でなければならない。
【0005】
また、それらは、RNA又はDNA等の核酸を含有する解析物を検出するのに使用されてもよい。この場合、当該解析物の結合パートナーとして、特定の標的配列にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドや、例えば予備的な増幅反応の過程でRNA又はDNA中に埋め込まれた結合因子に対する結合パートナーが挙げられる。例えば、核酸増幅反応は、前記検出領域中への捕捉を促進するために、ビオチン等の結合因子を標的に埋め込むのに使用されてもよい。ビオチンが標的核酸中に埋め込まれている場合、LFD上の検出領域中のストレプトアビジン又は抗ビオチン抗体の存在は、当該捕捉領域中でのビオチン標識された標的核酸の捕捉をもたらす。
【0006】
ラベリングは、標的が検出領域中に不動化したときに可視シグナルを発するように、例えば標的配列にもハイブリダイズする標識されたプローブを使用して、又は標識されたプライマーを使用して内在的に標識された産物が生じるように、例えば増幅反応の過程で標的配列内に標識を組み込むことにより達成され、適切な標識は、当該技術分野で周知であり、例えば化学的又は生化学的標識、例えば蛍光標識、例えばフルオレセイン又はフルオレセイン誘導体、又はシアニン色素、又は酵素的に検出され得る標識、例えばジゴキシゲニン等が挙げられる。他の態様において、標識は、金、銀及びラテックスビーズ又は粒子等、直接可視シグナルを発する粒子標識を含んでもよい。これらは、検出領域中で標的核酸と相互作用するように配置され得る。これを達成するため、粒子自体が標識され、例えば標的核酸と相互作用する部分(例えば標的核酸とハイブリダイズする他の核酸)とコンジュゲートされ、又はそれらは、標的核酸配列中に組み込まれているビオチン等の結合パートナーと相互作用するストレプトアビジン等の結合因子とコンジュゲートされてもよい。
【0007】
実際に、殆どの場合、生体試料中の標的核酸の濃度は低く、LFD上で可視シグナルが直接発せられるレベルを確実に下回っている。故に、予備的段階として、核酸の増幅が一般的に必要となる。
【0008】
核酸増幅技術は当該技術分野の強力なツールである。多くの技術が存在し、幾つかは等温的に実施され、そして幾つかはポリメラーゼ連鎖反応等の温度サイクルを必要とし、試料中の非常に少量の標的核酸を検出可能なレベルまで増幅することが出来る。
【0009】
しかしながら、これらの技術の著しい検出感度は、コンタミネーション又はクロスコンタミネーションの生じる傾向を高める。非常に少量のコンタミネーションであっても、核酸はこれらの方法により増幅されて、擬陽性をもたらし得る。
【0010】
この問題に取り組む様々な試みがなされており、それらは主に、増幅プロセスから可能な限り隔離した環境で試料を処理するようにすることに焦点を当てている。故に、反応ベセルを開ける必要の無い均一な反応物中で増幅反応及び増幅産物の検出を実施する方法が開発された。
【0011】
しかしながら、増幅を進行するために、生体試料を幾つかの前処理工程に付して真核細胞若しくは原核細胞、又はウイルス等から核酸を放出させることがしばしば必要となる。そのような手順は、明らかに、コンタミネーションのリスクを最小化するように実施されるのが望ましい。
【0012】
例えば、米国特許第6,649,378号、米国特許公開第2004/0110167号、米国特許公開第2006/0160078号は、単一のデバイス中で核酸の伸長、増幅及び検出を統合する、自給式(self-contained)デバイスを記載している。
【0013】
しかしながら、一般に、そのようなデバイスは、その方法を達成するために、物理的操作を必要とする。例えば、米国特許第6,649,378号、米国特許公開第2004/0110167号は、DNA抽出が第一のデバイス中で行われ、その内容物がPCRチューブ等の増幅チューブに移され、そして最後に側方流動デバイス(result stick)がチューブに挿入される系を記載している。この種類の操作は、コンタミネーションの導入をもたらす可能性がある。
【0014】
米国特許公開第2006/0160078号は、抽出、増幅及び検出が1つのLFDの膜の上の様々な領域で実施され、当該各領域が最初は隔離されており、そして区切りのプラスチックシートの除去により、又はプランジャーを使用して1つの領域を次の領域の上に押し下げることにより連続的に繋げられる。しかしながら、この場合、各段階に存在する液体の体積は、ある程度、LFDの膜の要求に、又はこれがどの程度液体を吸収又は伝達するかに関連する。しかしながら、最適な増幅反応は、優先的に、体積の小さい「自由な」液体中の溶液中で実施され得るが、米国特許公開第2006/0160078号のような、LFDに沿った液体の流動に体積が必要であるような状況では不可能である。
【0015】
煩雑な手動操作を要さず、コンタミネーションのリスクを最小化し、そして効率を最大化しつつ、迅速な解析が可能な、統合された系の需要が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願は、使い捨てであってもよく、コンタミネーションのリスクが最小な、独立したユニット中で核酸分析等の化学的及び生化学的反応が実施可能な装置(apparatus)を開発した。
【0017】
特に、本願発明者は、デバイスであって、その内部で、外部環境に接触すること無く、適当な容積のウェル中の液相中で核酸増幅が実施され得て、その反応の産物が側方流動デバイスの膜に移される、前記デバイスを設計した。
【0018】
その結果、本発明は、試料中の標的核酸を検出するアッセイを実施するためのデバイスを提供し、当該デバイスは
(i)内部の液相中で前記標的核酸の核酸増幅反応が達成され得る第一のウェル;
(ii)前記第一のウェルから伸びる第一のチャンネル;
(iii)前記第一のチャンネルから試料を受け取り、その中の標的核酸を検出するように配置された側方流動アッセイデバイス;
を備える。
【0019】
使用される体積に依存して、前記第一のチャンネルに沿って通過する液体は、側方流動アッセイデバイスの試料受取り部分に直接送達されてもよい。これは、ウィッキングパッド(wicking pad)を備えていてもよい。しかしながら、特定の態様において、前記第一のチャンネルを通じて送達される量が著しい場合、前記第一のチャンネルから液体を受け取るように配置された第二のウェルを提供するのが便利であり得る。そのような場合、前記側方流動アッセイデバイスは、前記第二のウェルから試料を受け取る。例えば、前記側方流動アッセイデバイスの受取り部分は、前記第二のウェルに突き出ていてもよい。これは、送達される体積が側方流動デバイスの受取り部分により直接吸収され得る量よりも多い場合に便利であり得る。
【0020】
故に、特定の態様において、本発明は、試料中の標的核酸を検出するアッセイを実施するためのデバイスを提供し、当該デバイスは
(i)内部の液相中で前記標的核酸の核酸増幅反応が達成され得る第一のウェル;
(iia)第一のチャンネルにより前記第一のウェルと接続された第二のウェルであり、当該第一のチャンネルが、前記第一のウェルの液体内容物を第二のウェルに移すように配置されている;
(iii)前記第二のチャンネルから試料を受け取り、その中の標的核酸を検出するように配置された側方流動アッセイデバイス;
を備える。
【0021】
本発明の装置は、全ての要素(i)、(ii)及び(iii)並びに存在する場合(iia)を統合された単位又は一体(integral unit)として備える単一のデバイスであってもよい。例えば、前記デバイスの要素は、全て単一のハウジング内に収められてもよい。しかしながら、特定の態様において、前記デバイスはモジュールであってもよく、特に第一のウェル(i)は、使用の際にデバイスに取り付けられる分離されたユニットとして提供されてもよい。そのような場合、個々のモジュールは、その1つが上記で定義したデバイスであるが、最初のウェルに代えて最初のウェルを受け取る手段を有するもの、及び他の1つが、当該受取り手段に于受け取られるように調整された第一のウェルであり、これは本発明の更なる側面を形成する。そのようなモジュールの最初のウェルは、適切には自己支持形(self-supporting)であり、操作性を向上するための環状の輪縁(flange)又は唇、及び前記受取り手段への取付け部分を有する。
【0022】
本明細書中で使用されるとき、「側方流動アッセイデバイス」は、吸水性の膜に沿って液体が流動することにより動作する任意のアッセイデバイスを意味する。故に、この用語は、垂直に使用され得る公知の「ディップスティック」、及び膜が水平の位置に固定されており、流動が当該膜に沿って水平に又は横方向に起こるデバイスを含む。
【0023】
「チャンネル」という用語は、固体の物体中に形成される経路であり、これを通じて液体が自由に流動する。例えば、流動は圧力差及び/又は重力の影響下にあり、特に、必ずしも毛細管現象に依存しない。
【0024】
吸水性の流動(bibulous flow)により液体が移動する部分と通常の液体の流動が可能な部分とを同一のデバイス内で組み合わせることにより、本発明のデバイスは、アッセイの各段階(増幅及び検出)を好ましい条件下で実施出来る。故に、前記第一のウェル中の任意の増幅反応混合物の体積は、最適な増幅条件を提供するように選択され得る。しかしながら、その体積は変動し得て、特に、前記第二のウェルに移動する際に希釈剤の添加により増大し、その後、側方流動デバイスに通されることにより、側方流動アッセイデバイスにおける使用に好ましい体積が提供される。吸水性の流動の部分と通常の液体の流動の部分との間の液体の移動は、それらの部分が同一のデバイス内に配置されることにより促進される。更に、当該装置は、前記アッセイの自動又は半自動的操作用に改変され得る。
【0025】
特定の態様において、前記第二のウェルは密閉されている。第一のウェルと第二のウェルとを接続する第一のチャンネルは、適切には、例えば少なくとも第一のウェル及び第二のウェルを備えるハウジング中等の、デバイス内に封入されている。
【0026】
他の態様において、前記第一のウェルは密閉することが出来る。
【0027】
本明細書中で使用されるとき、「密閉された(closed)」は、ウェルが大気から隔離されていることを意味するが、それらのウェルは互いに連絡されていてもよい。同様に、「密閉されうる(closable)」は、例えば蓋(lid)、キャップ、栓またはシールにより大気から隔離され得るウェルを意味する。モジュール式のデバイスであり、第一のウェルが分離されているが当該デバイスの取付け式の要素として提供される場合、当該デバイス自体が、当該デバイスの蓋、キャップ、栓又はシールを提供し得る。例えば、前記デバイスは、前記第一のウェルの開口部にスナップ式、又はねじ式等により適合する、下向きに突き出た突出部又は栓(spigot)等の適切な受取り手段を有する。そのような場合、前記第一の、及び存在する場合第二のチャンネルに適合するように、取付け可能な第一のウェル中に、それがデバイス中に配置されたときにウェルの壁面によりチャンネルがブロックされないように経路(provision)を作らなければならない。例えば、前記第一の、及び存在する場合第二のチャンネルは、適切には、突出部又は栓を通過して、受取り手段上に配置されたときに第一のウェル内に開口するが、他の改変も想定され得る。
【0028】
前記第二のウェルが密閉され、前記第一のチャンネルも埋設されている場合、大気に接触すること無く、増幅反応が実行され、得られた増幅産物が検出用の側方流動デバイスに移動されることで、コンタミネーションのリスクを最小に出来る。
【0029】
特定の態様において、前記デバイスは、更に、
(iv)希釈剤を含有するのに適し、第二のチャンネルにより前記第一のウェルと接続された第三のウェルを備え、ここで第二のチャンネルは、前記第三のウェルからの希釈剤が前記第一のウェルに移動し得るように配置されている。この態様は、前記増幅反応が少量の液体中で実施出来ることを意味し、それが増幅反応にとって好ましく、又は最適ですらり、その後、増幅産物は、第二のウェルに入る前に、希釈剤を加えることにより、側方流動デバイスに沿って自由に流動できるように十分に希釈され得る。第三のウェルは、予め注入された希釈剤を含み、上記で定義したように密閉されてもよい。しかしながら、当該ウェルは第一及び第二のチャンネル、並びに水を含み得る側方流動デバイスの膜に対して開口しているため、当該装置は、最後の一瞬で希釈剤を添加出来るという点で有利である。これを統合されたキットとするために、特定の態様において、前記希釈剤は、密封された容器の中に納められ、希釈剤を使用するときにのみ第三のウェル内部に開口する。故に、例えば、希釈剤は、シールされた柔軟なパウチ、ブリスターパック又はアンプル内に納められてもよく、それらは、第三のウェル内に収容されてもよく、又は第三のウェル、及び当該ウェル内に配置されたパウチ又はアンプルを開口する手段、例えば針若しくはカッター等の貫通手段と接触してもよい。当該貫通手段は、希釈剤の容器又は当該貫通手段に圧力がかかったときにのみ当該容器を穿孔又は開口するように配置されている。例えば、当該貫通手段は前記第三のウェルの基部内にあり、希釈剤の容器は所望の時点でこれと接触して貫通される。これは、液体の希釈剤が希釈に使用される前に早まって側方流動デバイスの膜に接触することによりデバイスが劣化するのを防ぐ。
【0030】
前記第一のウェルは、その中で実施されるべき核酸増幅反応に特に適している。そのような反応は、一般に、相対的に小さい体積で実施されるので、第一のウェルの容積は、下記で述べるように、相対的に小さくなる。
【0031】
しかしながら、特に、前記第一のウェルは、適切には、一般に核酸増幅を行うのに必要な温度まで加熱することが出来るように調整されている。故に、当該ウェルは、適切には、典型的な核酸増幅反応に用いられる温度並びに/又は温度の上下及び変動に耐える材料で出来ている。
【0032】
特定の態様において、前記第一のウェルは、前記デバイスの突起部又は肢部(limb)上に配置されることにより、例えば外部加熱装置、適切にはサーマルサイクラーを用いての、核酸増幅を達成するための加熱及び/又は冷却を容易に行える。
【0033】
特定の態様において、前記第一のウェルの容積は、存在する場合、第二のウェル及び第三のウェルよりも小さい。例えば、前記第一のウェルの容積は10〜250μl、例えば15〜50μl、例えば約25μlであり、一方、第二のウェル及び第三のウェルの容積は、適切には、40〜4000μl、例えば40〜2500μlである。特定の態様において、前記第二及び第三のウェルの容積は約2500μlである。他の態様において、それらのウェルの容積は40〜1000μl、例えば50〜250μl、例えば約100μlである。例えば、前記第一のウェルの直径は2〜3mmの範囲内であり、深さは約4〜10mmの範囲であり、例えば約5mmであってもよく、一方、前記第二及び第三のウェルの直径は約7〜20mmの範囲内、例えば約10mmであり、深さは第一のウェルと同様であってもよい。
【0034】
この配置は、本デバイスが、それ自体が相対的に少ない体積の液体中で最適に達成される様々な化学的又は生化学的反応を実施するのに適していることを意味する。ここで当該少ない体積は、一般に、公知の側方流動デバイス上にシグナルを効果的に提供するのに必要な体積より小さい。故に、更なる態様において、本発明は、化学的又は生化学的反応を実施し、及びその産物を検出するデバイスを提供し、当該デバイスは
(i)内部の液相中で化学的又は生化学的反応が達成され得る第一のウェル;
(ii)前記第一のウェルから伸びる第一のチャンネル;
(iii)前記第一のチャンネルから液体内容物を受け取るように配置された側方流動アッセイデバイスであり、任意で、当該受取りが、第二のウェルを経由して、その上にある吸水性の膜に沿って行われ、当該膜が、前記化学的又は生化学的反応の産物を検出出来る、前記側方流動アッセイデバイス;及び
(iv)希釈剤を含み、第二のチャンネルにより前記第一のウェルと接続するように配置された第三のウェルであり、当該第二のチャンネルが当該第三のウェルから希釈剤が当該第一のウェルに移動するように配置されており、そして当該第二及び第三のウェルの容積が当該第一のウェルよりも顕著に大きい、前記第三のウェル;
を備える。
【0035】
そのようなデバイスの好ましい態様は、本明細書中に記載の態様と同様に働くが、側方流動デバイスの膜には、適切な検出試薬が充填されている。そのような化学的及び生化学的反応は、任意の形態の化学的又は生化学的反応を含み得る。
【0036】
適切には、前記側方流動アッセイデバイスは、前記デバイス内に完全に封入されており、例えば、前記デバイスのハウジング内に包み込まれていることにより、コンタミネーションのリスクが最小となる。この場合、デバイス又はハウジング中に観察窓が適切に設けられていることによりアッセイの結果を読み取れるようになっており、又はハウジング自体が透明な材料で構成されている。
【0037】
前記側方流動アッセイデバイスは、前記膜が第二のウェル中に突き出て、当該第二のウェルから試料を直接吸収するように配置されている。しかしながら、特定の態様において、液体流動要素(liquid flow element)、特にウィッキング要素(wicking element)が、第二のウェルから試料を受け取り、それを側方流動デバイスの膜の試料受取り部分に移動させるように配置されている。適切なウィッキング要素として、ウィッキング線維のパッド、例えばセルロース等の、高密度で親水性の繊維材料で構成されるものが挙げられる。当該ウィッキング要素は、少なくとも一端が第二のウェル中に突き出て、そしてもう一端で側方流動アッセイデバイスの膜の端部と接触していることにより、第二のウェルから膜への、許容される、かつ調整された液体流動が保証される。特定の態様において、前記ウィッキング要素は、第二のウェルの基部を裏打ちしていることにより、当該ウェル内に送達された液体はウィッキング要素に直接適用される。
【0038】
前記ウィッキング要素は、それ自体、側方流動アッセイデバイスにおいてシグナルを発生させるのに使用される試薬の貯留体として振舞ってもよい。例えば、上記のように適切に標識された精製標的核酸の結合パートナーが、ウィッキング要素内に保存されていてもよい。そしてこれらは、試料と共に、側方流動デバイスの膜に沿って、当該膜の適切な検出領域に移動する。
【0039】
前記デバイスは、適切には、一回の使用が意図される使い捨てのユニットである。当該デバイスの少なくとも一部分、及び好ましくはそのデバイス全体は、適切には、硬質プラスチック材料製が適するハウジング内に納められている。
【0040】
前記第一のウェルは、調整可能な方法で、加熱又は冷却できる。抵抗加熱要素等の加熱要素、若しくは冷却要素、又は温度測定要素及び温度調整若しくは温度測定要素、例えばサーミスタ若しくはサーモカップル等は、前記デバイス自体に含まれてもよく、特定の態様において、前記第一のウェルは、アッセイ目的で当該デバイス用に作製された装置内の、それらの要素の近傍にあり、接触し、又は包まれるように配置されている。当該デバイスは、適切には、当該装置内に適合するように設計されているため、第一のウェルは、適切には調整加熱である加熱に供されてもよい。
【0041】
故に、例えば、前記第一のウェルは、それが、ブロックヒーター等の前記装置の一部を任意で形成する加熱又はサーもサイクル要素内の対応するウェル内に適合するように、ハウジングの外側に、例えば上記のように突起の上にはみ出していてもよく、あるいは、当該突出したウェルは、強制空気ヒーター、サーマルサイクラー又はサーモスタット等の空気冷却又は加熱チャンバー内に適合するように配置されてもよい。
【0042】
あるいは、前記デバイスは、溝、チャンネル、又は他の刻み目を有してもよく、それらは、当該デバイスが前記装置内に置かれたとき、前記装置内の加熱又はサーモスタット要素がデバイス内の第一のウェルの周囲又は近傍に突き出て、第一のウェルの内容物が調整加熱されるように配置される。
【0043】
材料は、適切には、空気式、水圧式又は真空圧力系により調整される流動により、第一及び/又は第二のチャンネルを通って移動する。例えば、幾つかの態様において、前記ハウジングは、更に、前記第三のウェルと連結した、第一のポートを備える。当該ポートは、適切には、通常は密封されているが、アッセイを実施するために前記デバイスを装置内に導入する前に、又はこれと同時に開放されて、第三のウェルから第一のウェルに希釈剤を流動させることが出来る、空気式、水圧式又は真空等の動力源と接続される。第二のウェルと接続した抜け穴(vent port)が、当該ウェルとの間のチャンネルを通じて液体が流動するように提供されてもよい。
【0044】
前記動力源は、適切には、第三のウェルと接続しており、前記増幅反応の完了後に必要に応じて自動的に動作するポンプであるが、第三のウェルから第一のウェルに、その後第二のウェルに、水圧式に希釈剤を駆動させるように手動で操作され得る単純なプランジャーデバイスであってもよい。後者の場合、予備的な混合操作として、プランジャーを僅かに引いて第一のウェルの内容物を第三のウェル内に吸引し、その後、当該プランジャーを押し込んで、形成された混合物を第一のウェルを通じて第二のウェルに送達するのが好ましい場合がある。
【0045】
あるいは、前記希釈剤は、前記装置内で減圧又は真空が適用されることにより、第三のウェルから第一のウェルに引き込まれても良い。これは、第一又は第二のウェルのいずれかと連結した、当該デバイス内の同様の通常密封されたポートを使用して達成され得る。前記装置内で、当該密封されたポートは、前記デバイス中で所望の液体の流動を発生させるように、真空の発生源と接続させられる。
【0046】
所望の場合、前記デバイス内に希釈剤を含む1つ以上の追加のウェルを有することにより、第一のウェルの内容物と希釈剤とのより効果的な混合が達成され得る。これらは、適切には、個別の流路の希釈剤が第一のウェルの内容物と共に第二のウェルに送り込まれるように配置される。側方流動デバイスに適用される前に、適切には、前記流路は、第一のウェルの内容物と希釈剤との混合を促進する乱流を引き起こすように、第二のウェルに入る前に合流する。
【0047】
複数の希釈剤ウェルからの流入は、適切には、有利な混合を確保するように設計及び調整される。これは、空気式、水圧式又は真空圧力の調整系を使用して配置される。希釈剤が一連のプランジャーを使用して適用される場合、これらは適切には、例えばレバー又はカンチレバーデバイスを使用して相互に接続して、当該レバーに圧力かかかったときに、個々のウェルからの流れが自動で協調するように配置されている。
【0048】
前記チャンネルはそれ自体が必要な移動を促進するように配置されている。故に、例えば、第一のチャンネルは、駆動空気圧又は真空が適用されたときに、全ての材料が第一のウェルから移動できるように、第一のウェルの基部と接続していてもよい。当該第一のチャンネルは、第二のウェルの上部と接続している。同様に、第二のチャンネルは第三のウェルの基部と接続し、第一のウェルの上部と接続してもよい。
【0049】
前記第二のウェルの容積が第一のウェルよりも大きい場合、第一のウェルに吸引又は送達される希釈剤は、効果的に当該第一のウェルから溢れ、第二のウェルに流れ込む。しかしながら、第三のウェル中の希釈剤への空気圧の適用は、内容物が第一のウェルを通過して、第二のウェルに送達されるまで続けられても良い。あるいは、同様の通常密封された真空ポートが当該デバイス中に提供され、これが前記第二のウェルと接続されて、第三のウェルから液体が第一のウェルを経由して第二のウェルに引き込まれてもよい。故に、第一のウェル中の任意の増幅の産物は、希釈された状態で第二のウェルに送達されてもよい。
【0050】
一般に、LFDの膜の試料受取り部分を有する端部は、任意の増幅した核酸を含有する液体が当該膜に吸収され、その長辺に沿って染みていくように、第二のウェル内に位置している。中に標的部分に対する適切な結合パートナーが不動化されている1つ以上の検出又は調整部分は、公知の手段で、前記膜の端部の下流に提供されていることにより、標的核酸が当該部分に捕捉される(あるいは競合アッセイ方式の場合もある)。当該核酸は、適切には、増幅反応の過程で直接、又は増幅反応内に導入された、若しくは移動可能な形でLFDの上に位置する標識したプローブと接触させることにより標識される。故に、例えば上記粒子標識(例えばラテックスビーズ)と関連した標識された材料の検出領域中の蓄積は、LFD中の可視シグナルと生じる。そのようなデバイスは、例えばUS2004/0110167に例示されている。
【0051】
適切な膜は、セルロースベースの材料、例えばセルロース、ニトロセルロース、又はカルボキシメチルセルロース、親水性ポリマー、例えば合成親水性ポリマー、例えばポリエステル、ポリアミド、糖質ポリマー、疎水性ポリマー、例えばハロゲン化ポリマー、例えばポリテトラフルオロメチレン、ガラス繊維又は多孔質セラミックを含んでも良い。
【0052】
特に適切な膜として、セルロース膜、特に積層であってもよいニトロセルロース膜、例えばMilliporeから入手可能なものが挙げられる。これらは、プラスチック裏打ち膜、例えばポリエステル等(Mylar(登録商標))、等の、裏打ち材料で支持されてもよく、又はPET裏打ちセルロース膜であってもよい。そのような膜の裏打ちは、通常疎水性であるが、セルロース自体は親水性であるから、必要なウィッキング効果を引き起こす。しかしながら、この親水性は、これらが免疫アッセイの手順の中で使用されるときに問題を生じる。これらのデバイス中で使用される膜は、必要な場合、公知のブロッキング剤を使用してブロックされてもよい。ブロッキング剤は、試料中の任意のタンパク質と前記膜との間の非特異的な相互作用を減少してもよく、または試料のウィッキング率を増大させてもよい。それらは一般に不動化された結合剤の適用後に適用され、通常、タンパク質、界面活性剤及び合成ポリマーの3種類の薬剤から選択される。ブロッキング剤として使用され得るタンパク質の具体例として、ウシ血清アルブミン(BSA)又は脱脂粉乳成分、例えばカゼインが挙げられる。
【0053】
ブロッキング剤として使用され得る界面活性剤の例として、非イオン性界面活性剤、例えばTween(商標)20の製品名で販売されるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレエート、及び例えばDowがTriton X(商標)シリーズとして販売するオクチルフェノールエトキシレート、例えばTriton X-100が挙げられる。
【0054】
ブロッキング剤として使用される適切な合成ポリマーとして、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)及びポリオキシエチレン脂肪エステル、例えばラウリル、セチル、ステアリル、及びオレイルアルコール由来のもので、Brij(商標)の製品名で販売されているものが挙げられる。
【0055】
2つ以上の種類又はクラスのブロッキング剤の混合物が特に採用され得ることは一般に認識され、例えば上記界面活性剤及び合成ポリマーを含有する混合物が挙げられる。
【0056】
しかしながら、好ましい態様において、前記膜に対してブロッキング剤は使用されない。
【0057】
試料を受け取ってすぐに直接増幅が始まるように、増幅を実施する試薬、例えばプライマー、酵素、プローブ等は、第一のウェルに予め注入されていてもよい。特に、そのような試薬は、分解又は未熟な反応(premature reaction)を防ぐため、乾燥状態、特に凍結乾燥状態で存在してもよい。しかしながら、特定の態様において、そのような試薬は、適切には、表面に凍結乾燥した試薬が付着した、栓、管又はキャップの形態の、試薬注入具(reagent dispenser)を使用することにより、前記デバイス内に導入される。当該試薬注入具は、一旦試薬が添加された第一のウェルを閉じる役割も果たす。
【0058】
前記デバイス自体は様々なアッセイで一般に使用されてもよいのに対して、そのような試薬注入具は、特定の核酸アッセイに特異的なものであるから、前記デバイスと別個に供給されてもよい。しかしながら、それらは前記デバイスと組み合わせて供給されてもよく、そのため、本発明は、更に、上記デバイスと試薬注入具(又は栓、管又はキャップ)との組合せを提供する。当該試薬注入具、例えばプラグ、管又はキャップは、適切には密封された容器に入れて供給され、当該容器は、それらが水分に触れていないことを保証するように、デバイス等の前記組合せの他の要素と別個に包装される。
【0059】
他の場合、増幅緩衝剤等の増幅反応の液体成分は、増幅反応の開始時にのみ第一のウェルに導入されるのが好ましい。こうすることにより、コンタミネーションのリスクが最小となり、未熟な反応の発生も防止できる。
【0060】
これを達成するために、前記デバイスは、アッセイ緩衝剤等の液体試薬が予め注入された密閉された第四のウェルを有する。故に、この第四のウェルは、前記試薬の貯留体として振舞う。当該ウェルはチャンネルにより第一のウェルと連結しており、増幅反応の実施が必要なときにその内容物が第一のウェルに送達され得る。また、空気式、水圧式若しくは真空系の要素、例えば空気式又は真空ポートへのチャンネルも、第四のウェルの内容物が適切な時点で第一のウェルに駆動され、又は引き込まれるために提供される。これらの要素は、前記アッセイを実施するために前記デバイスと適合するように設計された装置中の対応する空気式又は真空要素と動作可能に接触するように配置される。
【0061】
同様に、前記装置は、上記のような、第一のウェル中で所望の増幅反応が可能なように、第一のウェルと接触するように適合された加熱手段を有し得る。一般に、前記実施される増幅反応は、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、転写介在増幅(TMA)、ループ介在等温増幅(Loop-Mediated Isothermal Amplification)(LAMP)、Q-ベータレプリカーゼ及びローリングサークル増幅、3SR、分岐増幅(ramification amplification)( Zhang et al, Molecular Diagnosis(2001)6 No 2, pl41-150参照)、レコンビナーゼポリメラーゼ増幅(TwistDxから入手可能)等の、当該技術分野で公知の多くの等温増幅反応の1つである。この反応は、ポリメラーゼ連鎖反応等の温度サイクル反応とは違い複雑な温度の配置を要しない。しかしながら、当該装置が温度サイクル手段を備える場合、温度サイクルを必要とする、ポリメラーゼ連鎖反応又はリガーゼ連鎖反応等の増幅反応を実施することも出来る。
【0062】
必要な場合、及び試料が適切な形態で入手出来る場合、当該試料は、前記第一のウェルに直接添加されてもよい。しかしながら、一般に、上記のように、試料、特に生体試料から、核酸を抽出及び精製する必要がある。
【0063】
本発明の好ましい側面において、前記デバイスは、核酸抽出及び/又は精製系を更に備える。試料から精製された核酸を抽出する手段は様々なものがあるが、特に好ましいのは、WO2007/104962(その内容は本明細書中に参照により援用される)に記載の吸水性の膜の使用である。液体試料が、LFDに関連して上記で述べた種類の吸水性の膜に沿って流動出来ることにより、核酸が当該膜の表面に結合して、試料中の他の材料から核酸を分離する手段が提供される。故に、特定の態様において、核酸精製及び抽出用の吸水性の膜は、当該デバイス内に埋め込まれる。
【0064】
前記膜は、適切には、コンタミネーションのリスクを最小にするため、前記デバイス内に完全に包み込まれる。それは、試料の保持又は受取りウェルとして振舞う第五のウェルと第一のウェルとの間に伸びるように配置されることにより、第五のウェル中の試料が当該ウェルに沿って第一のウェルに伝わっていく。適切には、前記膜は、少なくとも部分的には、第一のウェルの開口部を覆って伸びる。この配置において、前記栓、管又はキャップ上に提供されたカッター等を使用して、当該膜の小部分がそれから切り離され得る。この動作により、第一のウェル中に膜の部分が落ち、当該栓、管又はキャップ上の他の試薬と、及び前記代用のウェルからの緩衝剤と混合されて、増幅反応混合物が形成される。膜の切片に存在する全ての核酸が増幅される。
【0065】
幾つかの場合、前記第五のウェルは試料受取りウェルとして振舞っても良いが、一般に、好ましくは、試料は、幾つかの前処理、例えば、核酸を抽出する前に、試料中に存在する細胞又は微生物から細胞内容物を溶出させる処理に供される。この目的において、前記第五のウェルは上記のように密閉されてもよいが、当該デバイス中に提供された開いた第六のウェルと、適切なチャンネルにより接続している。この場合、第五のウェルおよび前記吸水性の膜の端部に移動させられる前に液体試料は予備的溶出工程として第六のウェルに添加される。この場合に、移動は、適切には、上記他の液体移動操作との関連で記載した水圧式又は空気式圧力源又は真空源等の動力源を使用して達成されるので、第五のウェルと第六のウェルには、前記装置の動力系と接続するための適切に配置されたポートが配される。空気式の系の場合、第五のウェルと連結した適切な抜け穴も必要である。
【0066】
細胞の溶解は、様々な方法により達成されてもよい。例えば、塩酸グアニジン又は洗剤等のカオトロピック剤が前記試料受取りウェルに添加されてもよく、又はそれが当該ウェルに予め注入されていてもよい。しかしながら、試料受取りウェル中で細胞の溶解が達成されるのに適した方法は、熱又はソニケーション等の本質的には物理的な手段、具体的には、試料受取りウェルを約100℃に加熱する方法である。故に、前記アッセイのために前記デバイスが配置された装置は、このプロセスが達成できる加熱手段、又はソニケーションデバイスを備える。
【0067】
前記試料受取りウェル(第五又は第六のウェル)は、適切には、例えば一旦試料を添加した後に、かつ当該デバイスがアッセイを達成するために装置内に設置される前又は後に、栓又はプラグにより密閉できる。
【0068】
液体試料を取得できる場合、これらは、溶解操作が実施される前に、前記試料受取りウェル(第五又は第六のウェル)に添加されてもよい。しかしながら、試料が綿棒検体等の固体の形態の場合、当該面棒は、試験材料を放出するために洗浄される。この場合、前記装置は、適切には密閉され、洗浄液が入った、第七のウェルを備える。当該第七のウェルは、前記試料受取りウェルに接続しており、当該第七のウェルの内容物が適切な時点で固体試料の洗浄のために試料受取りウェルに移動出来るように、前記装置の空気式、水圧式又は真空系と適切に接続している。
【0069】
故に、使用する際に、上記デバイスは、それを受け入れるように調整された装置内に設置される。一旦前記装置に設置されると、前記デバイス中に設けられた様々な空気式又は真空ポートが当該装置の空気式、水圧式又は真空系と接続される。加えて、当該装置中に設けられた調整可能な加熱要素が、第一のウェル中で核酸増幅反応を実施するために当該第一のウェルと接触し、また、任意で、必要に応じて、加熱による細胞の溶解を引き起こすように、試料受取りウェルも加熱要素と接触する。前記装置は、適切には、1つのウェルからもう1つのウェルに液体を移動させる工程、及び適切なウェルを自動で加熱する工程を含む様々な工程を連続で実行し、単一の操作で核酸が試料から抽出され、精製され、増幅され、及び検出されるプロセスを達成するようにプログラムされている。
【0070】
そのような装置は、上記デバイス及び装置を含み、任意で前記試薬注入器を含む系と同様に、本発明の更なる側面を形成する。
【0071】
故に、特定の態様において、本発明は、更に、化学的又は生化学的反応を実施し、及びその産物を検出する装置を提供する。特に、当該装置は、試料中の核酸の検出に使用され:
(i)上記デバイスを受け入れる手段、及び
(ii)前記第一のウェルを制御可能に加熱することにより、内部で核酸増幅反応が実施されるように配置された加熱手段
を備える。
【0072】
必要な場合、前記装置は、更に、(iii)前記デバイスと接続可能で、当該デバイス中のウェルの間での材料の移動を可能とする輸送系、具体的には空気式、水圧式又は真空系を備える。しかしながら、前記デバイスが上記の液体希釈剤の移動を達成するための1つ以上のプランジャーを備える場合、前記輸送系は、上記プランジャー又はレバーのアクチュエーターであってもよく、又は当該プランジャーは手動で操作されてもよい。
【0073】
前記装置は、適切には、更に、コンピューター調整システム等の調整システムを有し、当該システムにより輸送系が調整されることにより、前記デバイス内で所望のアッセイ手順が自動で達成され得る。
【0074】
適切な場合、及び前記デバイスが細胞溶解を行うことが意図されるウェル(即ち上記第六のウェル)を有する場合、前記装置は、更に、細胞溶解を達成するために前記ウェルを加熱する手段を有する。
【0075】
発明者らは、本出願が、上記のような複雑な生化学的反応を達成し、解析するために、空気式、水圧式又は真空調整液体流動と、吸水性又は毛細管流動とを組み合わせた、最初の報告であると信じている。
【0076】
更なる態様において、本発明は、試料中の核酸を検出するアッセイを実施するための系を提供し、当該系は、
増幅反応チャンバー、
試料から核酸を抽出し、それを当該増幅チャンバーに送達するように配置された第一の吸水性の膜、及び
当該チャンバー中で取得された増幅産物内の核酸を検出するための側方流動デバイスとして配置された第二の吸水性の膜;
並びに当該増幅チャンバー中で取得された産物を当該側方流動デバイスの試料受取り部分に送達する手段
を備える。
【0077】
本発明のデバイス、装置又は組合せは、核酸増幅及び検出の実施手段を容易に行うのに有用である。プロセスに必要な試薬はデバイス中の密封されたウェル内に保存され、また当該デバイスは使い捨てであるため、コンタミネーションのリスクは最小である。
【0078】
更なる側面において、本発明は、試料中の核酸を検出するアッセイを実施するための方法を提供し、当該方法は、
上記デバイスに試料を加える工程、
上記デバイスに上記試薬注入具を加える工程、
上記デバイスを上記装置に挿入する工程、及び
当該装置に核酸の増幅及び検出反応を実施させる工程
側方流動デバイスから結果を読み取る工程
を含む。
【0079】
本発明は、下記添付図面を参照した実施例により、具体的に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明の使い捨てデバイスの模式図であり、試料から核酸を抽出するために、及び抽出された核酸を増幅するために、及び増幅産物を検出するために配置されている。
【0081】
【図2】図2は、試料中の核酸を増幅及び検出するための本発明の使い捨てデバイスの代替的な形態の模式図である。
【0082】
【図3】図3は、本発明のデバイスの模式平面図である。
【0083】
【図4】図4は、図3のデバイスの模式側面図である。
【0084】
【図5】図5は、本発明のデバイスの代替的形態の模式平面図である。
【0085】
【図6】図6は、図5のデバイスの模式底面図である。
【0086】
【図7】図7は、本発明のデバイスの一部の模式底面図であるが、図5で示された第一のウェルの代替的配置変更がなされている。
【0087】
【図8】図8は、モデルアッセイにおいて使用された後の本発明のデバイスの模式図である。
【実施例】
【0088】
実施例1
図1のデバイスは、本質的に、上面カバープレート(3)及び下面ベースプレート(4)の間に挟まれた中央ブロック(2)からなる、プラスチックハウジング(1)を有する。当該中央ブロック(2)は、多くのウェル(5,6,7,8,9,10及び11)を有し、これらのウェルは、チャンネル(12,13,14,15及び11)で互いに連結されている。更なるチャンネル(17,18,19,20,21及び22)は、大部分のウェルと、ハウジング(1)の上面カバー(3)に設けられた空気式ポート(23,24,25,26,27及び28)とを連結する。カバー(3)は、更に、1つのウェル(6)と繋がった開口部(26)を有することにより、当該ウェルは試料受取りウェルとして振舞い、更に、もう1つのウェル(8)と繋がった開口部(30)を有することにより、当該ウェルは増幅チャンバーとして振舞う。しかしながら、残りの全てのウェルは、カバー(3)により効果的に密封される。
【0089】
吸水性の膜(31)は、本体(2)の水平の経路内に配置され、ウェル(7)及び増幅チャンバーであるウェル(8)の間に伸びる。当該膜(31)の両端にウェル(7)及び(8)が配置されることにより、ウェル(7)内の液体が当該膜に沿ってウェル(8)に移動する。適切には、前記膜(31)の少なくとも一部は、カバー(3)中の開口部(30)を跨いで伸びる。
【0090】
本体(2)内に同様の経路がウェル(16)から伸び、この経路中に側方流動デバイス(32)が収容される。
【0091】
ウェル(6)に試料を入れた後、当該ウェルを閉じるために栓(33)が提供される。もう一つのプラグ(34)は、増幅チャンバーウェル(8)を閉じるために提供される。しかしながら、適切には、当該プラグは、その表面に、凍結乾燥形態の増幅反応を達成するのに必要な少なくとも1つの試薬を担持する。また、当該プラグ(34)は、ウェル(8)内に押し込まれたとき、開口部(30)を跨いで伸びる膜(31)から試料を切り出すように適合したカッター(記載無し)を備える。切り出された試料は、ウェル(8)中に落ちて、増幅が開始される。
【0092】
前記伸長/増幅/検出プロセスで使用される試薬は、密閉されたウェルの幾つかに予め充填されている。特に、試料洗浄液がウェル(5)内に充填され、当該ウェルは試料洗浄貯留体として振舞う。同様に、増幅反応に使用される緩衝剤がウェル(9)に充填され、当該ウェルは、適切には、第一のウェル(8)と同様の寸法である。最後に、溶出希釈剤が、ウェル(10)に充填される。
【0093】
使用の前に、接着性のプラスチックテープ、フィルム又はシート等の使い捨てのカバーがカバー(3)に掛けられることにより、開口部(30,31)及びポート(23,24,25,26,27及び28)が密封される。その目的は、第一に、大気によるコンタミネーションを防止すること(そうすることにより、デバイス内のウェル及び適切にはそれらの内容物が清浄を保つ)、及び第二に、ポートを通って空気が流動するのを防止することにより、各ウェル中の液体を保持することにある。
【0094】
使用に際し、以下の手順が適用される。
【0095】
デバイス(1)を開封した使用者は、カバー(3)からテープを取り除き、空気式ポート(23,24,25,26,27及び28)並びに試料及び増幅ウェル(30,31)を露出させる。そして、デバイス(1)を、当該デバイスを収納するように適合した装置に挿入することにより、空気式ポート(23,24,25,26,27及び28)は、空気圧供給手段(pneumatic supply)と接続される。
【0096】
液体の試料を使用する場合、使用者はそれを試料ポートとして振舞うウェル(6)に充填し、試料栓を挿入する。
【0097】
綿棒で採取した試料を使用する場合、前記装置は、試料洗浄貯留体ウェル(5)から試料洗浄試薬をチャンネル(12)を通じて試料ウェル(6)に流し込み、使用者は前記面棒をその内容物でゆすぐ。そして、試料栓(33)が、試料ウェル(6)に挿入される。
【0098】
試料ウェル(6)は前記装置により加熱され(約100℃まで)、試料マトリックスからDNAが抽出される。
【0099】
続いて、前記装置は、(空気式ポート23又は24及びチャンネル17及び12又は18を介して)抽出産物をチャンネル(13)を通じて隣接するウェル(7)(チャンネル19及び空気式ポート25により通気している)に移動させて、膜31と接触させる。
【0100】
続いて、前記装置は、試料が毛細管現象により膜(31)に沿って移動するのに充分な時間休止する。
【0101】
外側の表面に増幅反応を実施1に必要な乾燥した増幅特異的プライマーや酵素等の試薬を担持するプラグ(34)は、増幅チャンバーとして振舞うウェル(8)に挿入される。プラグ(34)は、ウェル(8)に挿入されたときに(使用者により手動で、又は装置により自動で)、膜(31)の小片を切り出し、それがウェル(8)の底に落ちる。
【0102】
前記装置は、(空気式ポート26並びにチャンネル14及び20を介して)緩衝剤及び溶液等の液体アッセイ試薬をウェル(8)(チャンネル16及び22を通じてポート28に通気している)に移動させる。
【0103】
ウェル(8)は、核酸増幅反応を実施するのに適した条件で加熱される。例えば、ウェル(8)は、等温増幅を実施するのに適した温度で前記装置により加熱され、当該温度は、例えば、15〜85℃、より適切には20〜80℃、例えば約65℃である。
【0104】
増幅反応の終了後、前記装置は、ウェル(10)から希釈剤を(空気式ポート27並びにチャンネル21及び25を通じて)移動させ、それがウェル(8)を通って増幅産物を回収し、その混合物が隣接するウェル(11)(チャンネル16及び22を通じてポート22に通気している)に移動して、側方流動デバイス(32)の試料受取り部分と接触する。側方流動デバイス(32)は、試料中の標的核酸の存在又は不存在に応答して、視覚的な標的及び対照の線等の1つ以上の検出可能なシグナルを生じるように設計されている。
【0105】
前記装置は、使用者に対して側方流動デバイス(32)からの結果の読取り、及び当該装置からのデバイス(1)の回収を要求する前に時間を置く。
【0106】
以上のプロセスは、適切には自動化されており、圧力は関連する空気式のポートに適切な順序で加えられる。使用されないときは、前記装置中のバルブは、ポート(23,24,25,26,27及び28)を効果的に閉じていてもよい。
【0107】
実施例2
本発明に関する代替的な装置は、図2に示されている。この場合、ハウジング(40)は、第一のウェル(41)を備え、当該ウェルはキャップ(42)により密閉出来る。第一のウェル(41)は、チャンネル(44)を通じて第二のウェルと連結している。チャンネル(44)は、ウェル(43)の上部に連結している。チャンネル(44)及び第二のウェル(43)のいずれも、ハウジング(40)内に埋め込まれている。
【0108】
標的核酸の検出に必要な試薬を有する吸水性の膜を備える側方流動デバイス(45)は、ウェル(43)の下部に突き出ている。
【0109】
更なるチャンネル(46)は、同様にハウジング(40)内に配置されている、第一のウェル(41)の下部と希釈剤貯留体(47)との間に伸びる。希釈剤貯留体(47)には希釈剤が充填されており、プランジャー(49)により外部から隔離されている。
【0110】
使用に際し、標的核酸を含有する、又は含有すると予想される試料、及び増幅反応の実施に必要な試薬が、第一のウェル(41)に充填される。当該ウェルは、キャップ(42)で密閉され、そして当該デバイスは、ウェル(41)中に存在する任意の標的核酸配列が増幅される条件、及び当該増幅産物が側方流動デバイス上で検出されるのに必要な任意の結合剤又は標識が、例えば当該増幅産物にハイブリダイズすること等により、埋め込まれ、又は結合する条件、例えば温度条件に晒される。
【0111】
増幅反応の終了後、プランジャー(49)が、例えば手動で操作されるが、前記デバイスが適切な装置内に設置される場合、自動で実施され得るように配置されている。いくつかの場合、最初にプランジャー(49)を引いて、増幅産物を含むウェル(41)の内容物を、希釈剤と混合させる場所であるウェル(48)の方向に引き戻すのが好ましい。当該プランジャー(49)は、その後押し下げられる。このとき、希釈剤(48)は、貯留体(47)を出て、チャンネル(46)に沿って、ウェル(41)に溢れる。その結果、増幅反応産物を含有するウェル(41)の内容物は、チャンネル(44)を通じて第二のウェル(43)に移動させられる。ウェル(43)に到達した液体はウィッキングパッド(50)に出会い、そして当該パッド(50)に吸収される。当該ウィッキングパッド(50)のもう一端は、側方流動デバイス(45)の膜の試料受取り部分と接触している。従って、前記液体は、パッド(50)に沿って移動し、確実に、かつ調整されて側方流動デバイスに送達される。側方流動デバイス上に存在する試薬及び増幅反応における任意の結合又は標識試薬の含有物の結果、側方流動デバイス(45)上に、標的核酸試料の存在又は不存在を示すシグナルが発生する。
【0112】
故に、このデバイスは、コンタミネーションのリスクが最小限の、増幅及び検出反応を実施する、単純で、使用が容易で、確実な手段を提供する。
【0113】
実施例3
図3に示される態様において、内部で核酸増幅反応が実施できる第一のウェル(51)が、第二のウェル(53)及び希釈剤ウェル(54)と共にハウジング(52)中に配置され、それらは、上記態様と同様に、チャンネル(55,56)で連結されている。しかしながら、この場合、第一の希釈剤ウェル(52)に加えて、チャンネル(58)によりチャンネル(56)と接続する更なる希釈剤ウェル(57)が配置される。これらのチャンネル(56,58)は、第二のウェル(53)の上流に位置する丁字路で合流する。上記と同様に、第二のウェル(53)の液体内容物は、ウィッキング繊維(60)のパッドにより、LFD(59)に移動させられてもよい。
【0114】
試料が第一のウェル(51)中で核酸増幅反応に付された後、当該ウェル(51)にウェル(54)から希釈剤が流れ込む。適切には、各希釈剤ウェル(45,47)は、プランジャー(それぞれ62,3)により操作され、これらは図4に記載されているように、レバー(61)により連結されている。矢印で示した方向にレバー(61)を押し下げると、両方のウェル(52,57)から異なる速度で差動的だが調整された希釈剤の排出が引き起こされる。レバー(61)は、丁字路で所望の比率で混合が起こるように配置される。これは、第一のウェルからの内容物が第二のウェル(53)中に到達したときに希釈剤と良好に混合されることを保証する。
【0115】
その後、当該混合物は、ウィッキング繊維のパッド(60)に沿って、LFD(59)の試料受取り部分に移動する。増幅された標的核酸の存在又は不存在に依存して、シグナルが発生する。
【0116】
実施例4
本発明に関するデバイスの更なる態様が、図5に示される。この図において、デバイスは本体(70)を備える。製造上の便宜のため、本体(70)は、上部層と下部層(それぞれ70a、70b)を有し、それらの間に、内部に下記のような様々な構造が区切られたスペーサー(83)が配されている。本体(70)は、側方に突起(71)を有し、その中には、キャップ(73)により密閉できる第一の反応ウェル(72)が配置されている。
【0117】
本体(70)内に包み込まれたチャンネル(74)は、第一の反応ウェル(72)、及び第一のウェルよりも大きく、本体(70)中に包み込まれている第二のウェル(72)の間に伸びる。ウィッキングパッド(76)は第二のウェル(75)内に突き出している。ウェル(75)から離れたウィッキングパッド(76)の一端は側方流動アッセイ要素の長い吸水性の膜(77)と接触している。当該膜は、当該技術分野で公知なように不動化された、又は遊離した、特定の標的核酸に特異的な結合剤及び標識された結合剤を含む。これらは、標的核酸を含有する液体がウィッキングパッド(76)から膜の遠隔末端(remote end)に毛細管流動により移動し、当該液体中の標的の存在又は不存在に依存して視覚的なシグナルが発生するように配置されている。適切には、本体(70)は、任意のシグナルが見えるように透明である。しかしながら、必要に応じてシグナルの発生が見えるように、本体内部に覗き窓を有する場合もある。
【0118】
前記膜は、それが本体(77)内の開口部(78)を横断するように配置され、その全長が一連の支柱(79)で支持されており、これも本体(70)の構造中に包み込まれている。
【0119】
希釈用の第三のウェル(80)も本体(70)中に提供され、当該ウェルはプランジャー(81)により密閉できる。当該ウェル(80)も反応ウェル(72)よりも容積が大きく、第二のチャンネル(82)により反応ウェル(72)と連結している。
【0120】
使用に際し、核酸増幅反応混合物等の化学的又は生化学的反応混合物がウェル(72)に添加され、その内部で所望の反応が達成される温度等の適切な条件に付される。前記突起(71)は、これを達成するために、適切な加熱装置中にはめ込まれる。そうすることにより、反応ウェル(72)に適用される条件は、本デバイスの他の部分には適用されないため、かかる条件が膜(77)等にダメージを与え、又はそれらを劣化させるのが防げる。適用される条件は、達成されようとする具体的な反応に依存し、例えば等温核酸増幅反応の場合は相対的に一定の温度でのインキュベーション、又はポリメラーゼ連鎖反応等の公知の反応である場合は、一定の範囲の温度循環でのインキュベーションを含む。
【0121】
その後、例えば密封された容器から注入されて、ウェル(80)に希釈剤が流し込まれる。必要に応じて、当該密封された容器はウェル(80)に予め格納されており、当該ウェルが穿孔手段(記載無し)を備えることにより、プランジャー(81)を使用して当該容器を当該穿孔手段に押し付けることにより希釈液がウェル内に流れ込んでもよい。
【0122】
注入後、プランジャー(81)は更に押し込まれて、希釈剤がチャンネル(82)に沿ってウェル(72)に流れ込み、そこで希釈剤は反応混合物と混合され、そしてチャンネル(74)に溢れ、その後ウィッキングパッド(76)に到達する。当該パッドは流れてきた液体を吸収し、それを膜(77)の第一の末端部分に送る。当該液体は膜(77)の全長に沿って、吸水性又は毛細管現象により移動し、そのプロセスの間、標識試薬と混合され、標的要素、例えば標的核酸が、公知の側方流動アッセイと同様に、標的又は対照領域でシグナルの線等のシグナルを発生させる。これらのシグナルは、本体(70)を通じて読み取られてもよい。
【0123】
図5及び図6のデバイスは、使い捨てであってもよい。故に、本発明は、様々な目的で実施され得る単純なデバイスを提供する。当該デバイスは操作が単純で、試料のコンタミネーションにより不正確な結果が生じる機会を最小にする。
【0124】
このデバイスの改変された形態(図7)において、突起(71)は非中空(solid)であるが、下向きに突き出た突出(83)を有し、当該突出は、取り外し可能な第一のウェル(72)とかみ合う小室(snug)を形成できる。チャンネル(74及び82)はこの突出83を通ってその下面に開口する。前記別個の第一のウェル(72)は、適切には乾燥形態の増幅試薬が予め充填されており、操作の便宜のため、環状のフランジ(84)が設けられている。この態様において、別個にキャップ(73)を要しない。使用に際し、試料は第一のウェル(72)に適用され、突出(83)がウェル(72)の開口部にぴったり挿入されることにより密封される。その後、当該デバイスは、図5の態様に関して記載したのと同様に使用され得る。
【0125】
実施例5
実質的に図5及び6に示したデバイスは、試料中のウマ性病の存在を検出するために、LAMP等温アッセイにおいて使用された。水中で10分間煮沸して溶解した標的細菌のDNAを、タイロレラ・エキゲニタリス(Taylorella equigenitalis)の16SリボソームRNA遺伝子を検出するLAMPプライマーを使用して増幅した。この反応のループプライマーはビオチン又はフルオレセインのいずれかで標識されており、これらの部分を通じて、反応産物は、ラテックスビーズ又はLFD上の陽性反応領域と結合した。増幅は反応ウェル(72)中で実施され(全体積25μl)、反応物の希釈の前に、65℃で20分間インキュベーションされたGeneSys(Camberley, UK)のLAMPマスターミックスを使用し、適切な緩衝剤(225μlのPBS)中で、デバイスに充填された。当該緩衝剤はウェル(80)に充填され、プランジャー(81)を押し込むことにより反応ウェル(72)に流し込まれた。希釈された増幅産物は、希釈と同時にチャンネル(74)を通じた陽圧によりLFDウィッキング材料(76)にまで移動させられた。当該反応混合物は、毛細管現象により、LFDの全長に沿って、試験及び対照の線の両方の反応領域に蓄積している(それにより可視化された)ラテックスビーズと結合しながら移動した。線は試験(上側の線)及び対照(下側の線)の両方で陽性の反応が顕著であり、これは試験材料が増幅され、陽性であったことを示した。
【0126】
図8に示す結果は、本発明のデバイス及び方法が有効で、有用な結果を提供することを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の標的核酸を検出するアッセイを実施するためのデバイスであり、当該デバイスが
(i)内部で前記標的核酸の核酸増幅反応が達成され得る第一のウェル、又はそのような第一のウェルの受取り手段;
(ii)前記第一のウェルから伸びる第一のチャンネル;
(iii)前記第一のチャンネルから吸水性の膜により試料を受け取るように配置された側方流動アッセイデバイス;
を備え、ここで当該膜が、前記標的核酸を検出出来る要素を有する、前記デバイス。
【請求項2】
更に
(iia)第一のチャンネルにより前記第一のウェルと接続された第二のウェル;
を備え、当該第一のチャンネルが、前記第一のウェルの液体内容物を第二のウェルに移すように配置され、そして前記側方流動アッセイデバイスが、前記第二のウェルから前記吸水性の膜により液体内容物を受け取るように配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記要素(i)が受取り手段であり、更に、当該受取り手段と係合する第一のウェルを備える、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のデバイス。
【請求項4】
前記第一のウェルに、核酸増幅反応を実施するのに適した試薬が予め充填されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
更に
(iv)希釈剤を含有するように配置され、第二のチャンネルにより前記第一のウェルと接続された第三のウェル;
を備え、当該第二のチャンネルが、前記第三のウェルからの希釈剤を前記第一のウェルに移すように配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
更に、前記第三のウェルに希釈剤を注入するときに開口され得る容器内に封入された希釈剤を備える、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第一のウェルの容積が、第二及び/又は第三のウェルよりも小さい、請求項1〜6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第一のウェル、前記第二のウェル、前記チャンネル及び前記側方流動アッセイデバイスが、ハウジング内に備えられた、請求項1〜7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
複数以上のウェルを連結する1つ以上のポートが設けられていることにより、空気式、水圧式又は真空圧力系により、ウェル間での内容物の移動を可能とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
更に、液体の試薬が予め充填され、内容物が前記第一のウェル内に送達されるようにチャンネルにより第一のウェルと接続された、密閉された第四のウェルを備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第二のウェルと前記側方流動アッセイデバイスの試料受取り部分との間にウィッキング要素(wicking element)が設けられ、当該要素は、当該第二のウェルから当該試料受取り部分への液体の送達を可能とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
更に、核酸抽出及び/又は精製系を備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記核酸抽出及び/又は精製系が、吸水性の膜を備える、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記吸水性の膜が、前記デバイス中の第五のウェルと前記第一のウェルとの間に存在することにより、当該第五のウェル中の液体が、当該膜に沿って当該第一のウェルへ移動する、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記膜が前記第一のウェルの開口部を覆って伸びる、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第五のウェルが試料受取りウェルとして振舞い、キャップにより密閉出来る、請求項14又は15のいずれかに記載のデバイス。
【請求項17】
前記第五のウェルが密閉され、内部で細胞の溶解が起こり得る第六のウェルと接続される、請求項14又は請求項15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
更に、洗浄液を含む密閉された第七のウェルを備え、当該第七のウェルが前記第五又は第六のウェルと接続されて、その内容物が他のウェルに移動出来る、請求項14〜17のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項19】
化学的又は生化学的反応を実施し、及びその産物を検出するデバイスであり
(i)内部の液相中で化学的又は生化学的反応が達成され得る第一のウェル;
(ii)前記第一のウェルから伸びる第一のチャンネル;
(iii)前記第一のチャンネルから液体内容物を受け取るように配置された側方流動アッセイデバイスであり、任意で、当該受取りが、第二のウェルを経由して、吸水性の膜に沿って行われ、当該膜が、前記化学的又は生化学的反応の産物を検出出来る、前記側方流動アッセイデバイス;及び
(iv)希釈剤を含み、第二のチャンネルにより前記第一のウェルと接続するように配置された第三のウェルであり、当該第二のチャンネルが当該第三のウェルから希釈剤が当該第一のウェルに移動するように配置されており、そして当該第二及び第三のウェルの容積が当該第一のウェルよりも顕著に大きい、前記第三のウェル;
を備える、前記デバイス。
【請求項20】
栓、管(wand)又はキャップを備えた試薬注入具であり、請求項1〜19のいずれか1項のデバイスの第一のウェルに適合するように調整され、核酸増幅反応を実施するのに必要な複数以上の試薬を含む、前記試薬注入具。
【請求項21】
更に、前記第一のウェルの開口部を跨ぐ膜の試料を切り取って当該第一のウェル中に落とすように配置されたカッターを備える、請求項20に記載の試薬注入具。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれか1項に記載のデバイスと、請求項20又は請求項21のいずれかに記載の試薬注入具の組合せ。
【請求項23】
化学的又は生化学的反応を実施し、及びその産物を検出する装置(apparatus)であり
(i)請求項1〜9のいずれか1項に記載のデバイスの受取り手段、及び
(ii)前記第一のウェルを制御可能に加熱することにより、内部で化学的又は生化学的反応が実施されるように配置された加熱手段
を備える、前記装置。
【請求項24】
更に
(iii)前記デバイスと接続可能で、当該デバイス中のウェルの間での材料の移動を可能とする輸送系
を備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記輸送系が、空気式、水圧式又は真空圧力系である、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
請求項23〜25のいずれか1項に記載の装置であり、前記デバイスが、内部で細胞の溶解が起こることが意図されるウェルを備え、当該装置が、細胞の溶解を引き起こすために当該ウェルを加熱する手段を有する、前記装置。
【請求項27】
試料中の核酸を検出するアッセイを実施する系であり、請求項1〜18のいずれか1項に記載のデバイスと、請求項23〜26のいずれか1項に記載の装置との組合せを備える、前記系。
【請求項28】
更に、請求項20又は請求項21のいずれかに記載の試薬注入具を備える、請求項27に記載の系。
【請求項29】
試料中の核酸を検出するアッセイを実施する系であり、
増幅反応チャンバー、
試料から核酸を抽出し、それを当該増幅チャンバーに送達するように配置された第一の吸水性の膜、及び
当該チャンバー中で取得された増幅産物内の核酸を検出するための側方流動デバイスとして配置された第二の吸水性の膜;
並びに当該増幅チャンバー中で取得された産物を当該側方流動デバイスの試料受取り部分に送達する手段
を備える、前記系。
【請求項30】
試料中の核酸を検出するアッセイを実施するための方法であり、当該方法が、
請求項1〜18のいずれか1項に記載のデバイスに試料を加える工程、
当該デバイスを請求項23〜25のいずれか1項に記載の装置にセットする工程及び
当該装置に核酸の増幅及び検出反応を実施させる工程
側方流動デバイスから結果を読み取る工程
を含む、前記方法。
【請求項31】
前記核酸の増幅を実施するのに必要な試薬が、請求項20又は21のいずれかに記載の試薬注入具を使用して前記デバイス中に充填される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記核酸の増幅を実施するのに必要な試薬が、前記第一のウェル中に予め充填されており、適切には当該試薬が乾燥形態をとる、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
化学的又は生化学的反応を実施し、及び側方流動アッセイデバイスの膜上でその産物を検出する方法であり
請求項19に記載のデバイスの第一のウェルに試料を加える工程、
当該ウェルを前記化学的又は生化学的反応が起こる条件下に置く工程、その後
前記デバイスの第三のウェル中に存在する希釈剤を当該第一のウェルに移動させることにより、当該内容物を第一のチャンネルに沿って第二のウェルに流し、そしてその後前記側方流体アッセイデバイスの膜に通す工程、そしてその後
得られた結果を読み取る工程
を含む、前記方法。
【請求項34】
前記希釈剤が密閉された容器内に含まれ、使用前に前記第三のウェルに注入される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項1に記載のデバイスの受取り手段内に受け入れられるように適合された、モジュール式の第一のウェル。
【請求項36】
核酸増幅を実施するための試薬が予め充填された、請求項35に記載のウェル。
【請求項1】
試料中の標的核酸を検出するアッセイを実施するためのデバイスであり、当該デバイスが
(i)内部で前記標的核酸の核酸増幅反応が達成され得る第一のウェル、又はそのような第一のウェルの受取り手段;
(ii)前記第一のウェルから伸びる第一のチャンネル;
(iii)前記第一のチャンネルから吸水性の膜により試料を受け取るように配置された側方流動アッセイデバイス;
を備え、ここで当該膜が、前記標的核酸を検出出来る要素を有する、前記デバイス。
【請求項2】
更に
(iia)第一のチャンネルにより前記第一のウェルと接続された第二のウェル;
を備え、当該第一のチャンネルが、前記第一のウェルの液体内容物を第二のウェルに移すように配置され、そして前記側方流動アッセイデバイスが、前記第二のウェルから前記吸水性の膜により液体内容物を受け取るように配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記要素(i)が受取り手段であり、更に、当該受取り手段と係合する第一のウェルを備える、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のデバイス。
【請求項4】
前記第一のウェルに、核酸増幅反応を実施するのに適した試薬が予め充填されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
更に
(iv)希釈剤を含有するように配置され、第二のチャンネルにより前記第一のウェルと接続された第三のウェル;
を備え、当該第二のチャンネルが、前記第三のウェルからの希釈剤を前記第一のウェルに移すように配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
更に、前記第三のウェルに希釈剤を注入するときに開口され得る容器内に封入された希釈剤を備える、請求項5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第一のウェルの容積が、第二及び/又は第三のウェルよりも小さい、請求項1〜6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第一のウェル、前記第二のウェル、前記チャンネル及び前記側方流動アッセイデバイスが、ハウジング内に備えられた、請求項1〜7のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
複数以上のウェルを連結する1つ以上のポートが設けられていることにより、空気式、水圧式又は真空圧力系により、ウェル間での内容物の移動を可能とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項10】
更に、液体の試薬が予め充填され、内容物が前記第一のウェル内に送達されるようにチャンネルにより第一のウェルと接続された、密閉された第四のウェルを備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記第二のウェルと前記側方流動アッセイデバイスの試料受取り部分との間にウィッキング要素(wicking element)が設けられ、当該要素は、当該第二のウェルから当該試料受取り部分への液体の送達を可能とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項12】
更に、核酸抽出及び/又は精製系を備える、請求項1〜11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記核酸抽出及び/又は精製系が、吸水性の膜を備える、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記吸水性の膜が、前記デバイス中の第五のウェルと前記第一のウェルとの間に存在することにより、当該第五のウェル中の液体が、当該膜に沿って当該第一のウェルへ移動する、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記膜が前記第一のウェルの開口部を覆って伸びる、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記第五のウェルが試料受取りウェルとして振舞い、キャップにより密閉出来る、請求項14又は15のいずれかに記載のデバイス。
【請求項17】
前記第五のウェルが密閉され、内部で細胞の溶解が起こり得る第六のウェルと接続される、請求項14又は請求項15のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項18】
更に、洗浄液を含む密閉された第七のウェルを備え、当該第七のウェルが前記第五又は第六のウェルと接続されて、その内容物が他のウェルに移動出来る、請求項14〜17のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項19】
化学的又は生化学的反応を実施し、及びその産物を検出するデバイスであり
(i)内部の液相中で化学的又は生化学的反応が達成され得る第一のウェル;
(ii)前記第一のウェルから伸びる第一のチャンネル;
(iii)前記第一のチャンネルから液体内容物を受け取るように配置された側方流動アッセイデバイスであり、任意で、当該受取りが、第二のウェルを経由して、吸水性の膜に沿って行われ、当該膜が、前記化学的又は生化学的反応の産物を検出出来る、前記側方流動アッセイデバイス;及び
(iv)希釈剤を含み、第二のチャンネルにより前記第一のウェルと接続するように配置された第三のウェルであり、当該第二のチャンネルが当該第三のウェルから希釈剤が当該第一のウェルに移動するように配置されており、そして当該第二及び第三のウェルの容積が当該第一のウェルよりも顕著に大きい、前記第三のウェル;
を備える、前記デバイス。
【請求項20】
栓、管(wand)又はキャップを備えた試薬注入具であり、請求項1〜19のいずれか1項のデバイスの第一のウェルに適合するように調整され、核酸増幅反応を実施するのに必要な複数以上の試薬を含む、前記試薬注入具。
【請求項21】
更に、前記第一のウェルの開口部を跨ぐ膜の試料を切り取って当該第一のウェル中に落とすように配置されたカッターを備える、請求項20に記載の試薬注入具。
【請求項22】
請求項1〜19のいずれか1項に記載のデバイスと、請求項20又は請求項21のいずれかに記載の試薬注入具の組合せ。
【請求項23】
化学的又は生化学的反応を実施し、及びその産物を検出する装置(apparatus)であり
(i)請求項1〜9のいずれか1項に記載のデバイスの受取り手段、及び
(ii)前記第一のウェルを制御可能に加熱することにより、内部で化学的又は生化学的反応が実施されるように配置された加熱手段
を備える、前記装置。
【請求項24】
更に
(iii)前記デバイスと接続可能で、当該デバイス中のウェルの間での材料の移動を可能とする輸送系
を備える、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記輸送系が、空気式、水圧式又は真空圧力系である、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
請求項23〜25のいずれか1項に記載の装置であり、前記デバイスが、内部で細胞の溶解が起こることが意図されるウェルを備え、当該装置が、細胞の溶解を引き起こすために当該ウェルを加熱する手段を有する、前記装置。
【請求項27】
試料中の核酸を検出するアッセイを実施する系であり、請求項1〜18のいずれか1項に記載のデバイスと、請求項23〜26のいずれか1項に記載の装置との組合せを備える、前記系。
【請求項28】
更に、請求項20又は請求項21のいずれかに記載の試薬注入具を備える、請求項27に記載の系。
【請求項29】
試料中の核酸を検出するアッセイを実施する系であり、
増幅反応チャンバー、
試料から核酸を抽出し、それを当該増幅チャンバーに送達するように配置された第一の吸水性の膜、及び
当該チャンバー中で取得された増幅産物内の核酸を検出するための側方流動デバイスとして配置された第二の吸水性の膜;
並びに当該増幅チャンバー中で取得された産物を当該側方流動デバイスの試料受取り部分に送達する手段
を備える、前記系。
【請求項30】
試料中の核酸を検出するアッセイを実施するための方法であり、当該方法が、
請求項1〜18のいずれか1項に記載のデバイスに試料を加える工程、
当該デバイスを請求項23〜25のいずれか1項に記載の装置にセットする工程及び
当該装置に核酸の増幅及び検出反応を実施させる工程
側方流動デバイスから結果を読み取る工程
を含む、前記方法。
【請求項31】
前記核酸の増幅を実施するのに必要な試薬が、請求項20又は21のいずれかに記載の試薬注入具を使用して前記デバイス中に充填される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記核酸の増幅を実施するのに必要な試薬が、前記第一のウェル中に予め充填されており、適切には当該試薬が乾燥形態をとる、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
化学的又は生化学的反応を実施し、及び側方流動アッセイデバイスの膜上でその産物を検出する方法であり
請求項19に記載のデバイスの第一のウェルに試料を加える工程、
当該ウェルを前記化学的又は生化学的反応が起こる条件下に置く工程、その後
前記デバイスの第三のウェル中に存在する希釈剤を当該第一のウェルに移動させることにより、当該内容物を第一のチャンネルに沿って第二のウェルに流し、そしてその後前記側方流体アッセイデバイスの膜に通す工程、そしてその後
得られた結果を読み取る工程
を含む、前記方法。
【請求項34】
前記希釈剤が密閉された容器内に含まれ、使用前に前記第三のウェルに注入される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
請求項1に記載のデバイスの受取り手段内に受け入れられるように適合された、モジュール式の第一のウェル。
【請求項36】
核酸増幅を実施するための試薬が予め充填された、請求項35に記載のウェル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公表番号】特表2013−509173(P2013−509173A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535940(P2012−535940)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051832
【国際公開番号】WO2011/051735
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512112482)ザ セクレタリー オブ ステイト フォー エンバイロンメント,フード アンド ルーラル アフェアーズ アクティング スルー ザ アニマル ヘルス アンド ベテリナリー ラボラトリーズ エージェンシー (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051832
【国際公開番号】WO2011/051735
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(512112482)ザ セクレタリー オブ ステイト フォー エンバイロンメント,フード アンド ルーラル アフェアーズ アクティング スルー ザ アニマル ヘルス アンド ベテリナリー ラボラトリーズ エージェンシー (1)
【Fターム(参考)】
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