説明

デマンド監視装置の点検装置

【課題】簡単な操作でデマンド監視装置が正常に作動しているか否かの点検を行うことが可能な点検装置を提供する。
【解決手段】
電圧比、電流比、電力閾値に基づいて、施設内で使用される電力を測定するための電力計15より出力されるパルス信号を模擬したパルス信号が生成し、このパルス信号を出力する。そして、このパルス信号をデマンド監視装置で検出することにより、該デマンド監視装置が正常に作動しているか否かの点検を行う。従って、契約電力に近い電力を示すパルス信号を擬似的に発生させ、このときデマンド監視装置より警報信号が出力されるか否かを見ることにより、デマンド監視装置が正常の作動しているか否かの点検を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施設内で使用される電力を監視するデマンド監視装置が正常に作動しているか否かを点検する点検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、工場等の電力需要施設では、キュービクルに接続される電力供給用の高圧受電線に電力計が設置され、該電力計で検出される電力のピーク値を基準として契約電力が設定される。契約電力は高くなるほど電力コストも高くなるので、施設の管理者は契約電力をできるだけ低く抑えるために、デマンド監視装置(例えば、特許文献1参照)を設置して施設内での電力の使用量を監視している。
【0003】
即ち、デマンド監視装置は、電力計で検出される電力を監視し、施設内で使用される電力がピーク電力(契約電力)に接近することが検出された場合に(例えば、ピーク電力の90%に達した場合に)、施設内に設置した警報器に警報信号を送信することにより施設内の作業者に注意を喚起する。これにより、作業者は、例えば、エアコンが作動中であれば該エアコンを停止する等の対策を採ることにより、電力の使用量を低減させて、電力の使用量がピーク値に達する前に電力の使用量を低減させることができる。その結果、電力がピーク電力を超えることを未然に防止し、契約電力が高まることを抑えることができる。
【0004】
一方、上述したデマンド監視装置は、正常に動作しているか否かを定期的に検査する必要があり、従来より、デマンド監視装置内にて、ピーク電力を通常よりも低い値に設定することにより、意図的に施設内で使用される電力がピーク電力に接近するようにし、警報信号が出力されるか否かを検査する方式が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−45950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来におけるデマンド監視装置の点検方法では、デマンド監視装置を点検する際には、該デマンド監視装置内に設定されている設定値を変更する必要があり、また、点検作業が終了した場合には、設定値を元の状態に戻す必要があるので、点検作業に多くの手間がかかるという欠点がある。また、点検終了後にデマンド監視装置の設定値を元の状態に戻す操作を誤ると、デマンド監視装置が正常に作動しなくなり、誤警報が出力されるという問題が発生する。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、設定値の変更等の操作を不要とし、簡単な操作でデマンド監視装置の動作を点検することが可能なデマンド監視装置の点検装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、施設内に電力を供給する高圧受電線の電圧を所定の電圧比で変圧した電圧値、及び前記高圧受電線に流れる電流を所定の電流比で変流した電流値に基づいて、前記施設内で使用される電力を測定し、この電力に応じたパルス信号を出力する電力計(15)の出力パルスを検出し、このパルス信号に基づいて前記施設内で使用される電力を監視するデマンド監視装置(17,26)を点検する点検装置(21)において、前記電圧比、前記電流比、及び予め設定した電力閾値に基づいて、単位時間当たりの出力パルス数を算出するパルス数演算手段(例えば、パルス数設定部42)と、前記パルス数演算手段で求めたパルス信号を生成するパルス信号生成手段(例えば、パルス信号生成部43)と、前記パルス信号生成手段で生成されたパルス信号を出力するパルス信号出力手段(46)と、を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記パルス信号の振幅を設定する振幅設定手段(例えば、パルス電流設定部44)を更に備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、前記電圧比、前記電流比、前記電力閾値、及び前記振幅の設定値のうち、少なくとも1つを入力する入力手段(例えば、入力操作部33)を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、前記電圧比、前記電流比、前記電力閾値、及び前記振幅の設定値のうち、少なくとも1つを表示する表示手段(例えば、表示器32)を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、2つの出力端子、及び該2つの出力端子間を接続する接続ケーブル(51)を更に備え、前記パルス出力手段は、前記2つの端子間に前記パルス信号を発生させ、前記接続ケーブルは、前記2つの出力端子に接続するコネクタ(54)を有し、且つ、一端に棒状端子(53)が取り付けられ、他端にクリップ(52)が取り付けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るデマンド監視装置の点検装置では、外部より入力される電圧比、電流比、及び電力閾値に基づいて、施設内で使用される電力を測定するための電力計より出力されるパルス信号を模擬したパルス信号が生成され、このパルス信号を出力する。そして、このパルス信号をデマンド監視装置で検出することにより、該デマンド監視装置が正常に作動しているか否かの点検を行う。従って、例えば契約電力の90%となる電力を電力閾値に設定してパルス信号を発生させ、このパルス信号をデマンド監視装置で検出したときに警報信号が出力されれば該デマンド監視装置は正常に作動していると判断でき、警報信号が出力されない場合にはデマンド監視装置は異常であると判断することができる。その結果、極めて簡単な方法でデマンド監視装置を点検することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る点検装置、及び点検の対象となるデマンド監視装置が設置される施設の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る点検装置の電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る点検装置の外観を示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る点検装置に接続される接続ケーブルの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、一般的な電力需要施設27(以下、「施設27」と略す)に電力を供給する設備の構成を示す説明図である。図示のように、この電力供給設備には、施設27に隣接したキュービクル16が設けられ、更にその近傍には頂部に高圧交流負荷開閉器12(以下、「PAS12」という)が設けられた電柱11が設置されている。
【0016】
キュービクル16の内部には、トランス18が設けられており、PAS12から高圧受電線13を経由して送電される高電圧(例えば、6600V)が該トランス18に供給される。そして、このトランス18は、6600Vの電圧を例えば110Vの商用電源電圧に降圧し、低電圧配線24を経由して110Vの電圧を施設27に設けられるコンセント25に供給する。
【0017】
また、PAS12の内部には、該PAS12に供給される電圧(例えば、6600V)を所定の変圧比(例えば、変圧比60:1)で変圧する変圧器(図示省略)、及び高圧受電線13に流れる電流を所定の変流比(例えば、500:5)で変流する変流器(図示省略)が設けられており、上記変圧器で変圧された電圧、及び上記変流器で変流された電流は、電線14を経由して電力計15に出力される。
【0018】
電力計15は、変圧器、及び変流器より供給された電圧、電流に基づいて、施設27で使用される電力を求め、更に、求めた電力に対応するパルス信号を生成して出力する。また、該電力計15の出力部は、パルス検出用電線19を介してデマンド検出器17と接続されている。パルス検出用電線19の先端部には、リング状のパルス検出用変流器(図示省略)が設けられ、このパルス検出用変流器は電力計15のパルス出力部に挿通されており、従って、電力計15より出力されるパルス信号がパルス検出用電線19に重畳し、デマンド検出器17は電力計15より出力されるパルス信号を検出することができる。
【0019】
そして、デマンド検出器17では、検出したパルス信号に基づいて、電力計15で検出された電力を測定することができる。即ち、電力計15が出力する単位時間当たりのパルス数と、該電力計15で測定された電力との関係が決められているので、デマンド検出器17は、検出したパルス数に基づいて、施設27で使用されている電力をリアルタイムで測定することができる。
【0020】
また、施設27内には使用電力がピーク値に近づいていることをブザー音や警報ランプ等で管理者に報知するための警報器26が設けられている。そして、デマンド検出器17は、施設27での使用電力がピーク電力(契約電力)に達すると予想される場合(例えば、使用電力がピーク電力の90%に達した場合)には、信号重畳用変流器23を用いて警報信号を対地帰路線22に重畳する。その結果、警報器26ではこの警報信号を検出し、警報ブザーや警報ランプにより警報信号を発して、使用電力がピーク電力に近づいていることを周囲の人に報知する。ここで、図1に示すデマンド検出器17と警報器26とで本実施形態のデマンド監視装置が構成される。
【0021】
また、上記のデマンド検出器17、或いは警報器26に故障が発生している場合には、施設27内で使用する電力がピーク値に近づいていることを施設27内の管理者に報知することができなくなるので、任意の時期に点検装置21を用いてデマンド検出器17及び警報器26が正常に作動するか否かの点検作業を行う。
【0022】
図2は、点検装置21の詳細な構成を示すブロック図、図3は、点検装置21の外観図であり図3(a)は上面図、図3(b)は正面図を示している。以下、図2,図3を参照して、点検装置21の詳細な構成について説明する。
【0023】
図3に示すように、この点検装置21は、全体がモールドされた筐体構造をなしており、作業者が容易に携行できる大きさ、及び重量とされている。従って、本実施形態に係る点検装置21は、作業者が点検対象となる施設に持ち運びして、各施設に設けられたデマンド監視装置を点検することが可能である。
【0024】
図2に示すように、点検装置21は、各種のデータに基づいてパルス信号を生成し、生成したパルス信号を出力するコントローラ31と、各種のデータを表示する表示器32(32a〜32c)(表示手段)と、各種の設定データを入力する入力操作部33と、電源VB、及び端子部34を備えている。
【0025】
入力操作部33は、操作者による変圧比、変流比、電力閾値、及びパルス電流値の入力を受け付けるためのスイッチであり、図3(b)に示すように、電力閾値を設定するための電力閾値設定スイッチ33a(入力手段)と、電流比を設定するための変流比設定スイッチ33b(入力手段)と、パルス信号の電流値(パルス信号の振幅)を設定するためのパルス電流選択スイッチ33c(入力手段)、及びパルス定数を設定するためのパルス定数設定スイッチ33dを備えている。
【0026】
パルス定数とは、電力計15で検出される電力値と、該電力計が出力するパルス数との関係を示す定数であり、消費される電力が比較的大きい施設では、電力量1KWh当たりに2000パルスとなるパルス定数が設定され、消費される電力が比較的小さい施設では、電力量1KWh当たりに50000パルスとなるパルス定数が設定されている。よって、図3に示すパルス定数設定スイッチ33dでは、50000パルス、または2000パルスのいずれかを選択することが可能である。
【0027】
また、変圧比は、通常は「6600V/110V=60」であるので、初期的な設定のみとし、図3に示す例では変圧比設定用のスイッチを備えていない。勿論、所望の変圧比に設定するためのスイッチを設ける構成としても良い。
【0028】
コントローラ31は、入力操作部33より入力される変圧比、変流比、電力閾値、パルス電流値、及びパルス定数を取得する入力処理部41と、該入力処理部41で取得された変圧比、変流比、電力閾値、及びパルス定数に基づいてパルス信号の単位時間当たりの出力パルス数を設定するパルス数設定部42(パルス数演算手段)と、パルス数設定部42で設定されたパルス信号を生成するパルス信号生成部43(パルス信号生成手段)と、パルス信号生成部43で生成されたパルス信号の電流値(振幅)を任意の値に変更するパルス電流設定部44(振幅設定手段)と、を備えている。
【0029】
更に、パルス信号生成部43で生成され、且つ、パルス電流設定部44で電流値が変更されたパルス信号を端子部34を介して外部に出力する出力処理部46(パルス信号出力手段)と、入力処理部41にて取得された各種のデータを表示器32(32a〜32c)に送信して表示器32における表示を制御する表示制御部45を備えている。なお、コントローラ31は、CPU、RAM、ROM、ハードディスク装置等のハードウェア資源で構成することができる。
【0030】
パルス数設定部42は、入力操作部33より入力される変圧比(これをVtとする)、入力操作部33(図3の、変流比設定スイッチ33b)より入力される変流比(これをCTとする)、入力操作部33(電力閾値設定スイッチ33a)より入力される電力閾値、及び入力操作部33(パルス定数設定スイッチ33d)より入力されるパルス定数に基づいて、パルス信号の単位時間当たりのパルス数を決定する。例えば、施設27の電力契約が130KWである場合には、電力閾値をその約90%である120KWとし、変圧比Vt=60、変流比CT=100、パルス定数を5万パルスとした場合には、以下の(1)式に基づき、パルス数を1時間当たり1000パルスに設定する。
【0031】
(パルス定数)*(KW)/(変圧比Vt)*(変流比CT)
=(50000*120)/(60*100)=1000 …(1)
パルス信号生成部43は、パルス数設定部42で設定されたパルス数となるパルス信号を生成する処理を実行する。
【0032】
パルス電流設定部44は、パルス電流選択スイッチ33cにより設定された電流値に基づいて、パルス信号の電流値(振幅)を設定する。本実施形態では、例えば、5mA、9mA、10mA、12mA、14mA、20mA、25mAのいずれかに設定することが可能である。また、電流を出力せず、接点のオン、オフ信号を出力するオープンコレクタ方式による信号を出力することも可能である。
【0033】
表示制御部45は、電力閾値設定スイッチ33aで設定された電力閾値を表示器32aに表示し、変流比設定スイッチ33bで設定された変流比を表示器32bに表示し、パルス電流選択スイッチ33cで選択されたパルス電流値を表示器32cに表示する制御を行う。従って、操作者は各表示器32(32a〜32c)の表示を見ることにより、各種の設定データを認識することができる。
【0034】
端子部34は、図3(a)に示すように2つの出力端子を備え、該出力端子には後述する接続ケーブル51のコネクタ54が接続され、該接続ケーブル51にパルス信号が出力されるようになっている。
【0035】
次に、図3に示した点検装置21を、図1に示したデマンド検出器17に接続する方法について説明する。図4は、点検装置21とデマンド検出器17を接続する際に使用する接続ケーブルの外観図である。図4に示すように、この接続ケーブル51は、一方の端部にクリップ52が設けられ、他方の端部が棒状端子53とされている。また、接続ケーブル51の略中央部には、コネクタ54が取り付けられている。
【0036】
次に、本実施形態に係る点検装置21を用いて、図1に示すデマンド監視装置、即ち、デマンド検出器17及び警報器26が正常に作動しているか否かを点検する際の処理手順について説明する。
【0037】
デマンド監視装置の点検を実施する際には、まず、図1に示すパルス検出用電線19を電力計15から取り外す。そして、図4に示す接続ケーブル51のコネクタ54を、図3(a)に示した端子部34に接続し、更に、パルス検出用電線19の先端に取り付けられている変流器(図示省略)内に棒状端子53を挿通させ、更に、この棒状端子53にクリップ52を連結する。
【0038】
その後、操作者は、図3に示した電源スイッチ35をオンとし、更に、電力閾値設定スイッチ33aを操作して、電力閾値を設定する。この操作では、例えば、施設27での契約電力が130KWである場合には、その約90%である120KWとなるように設定する。その結果、表示器32aには、「012(×10KW)」と表示される。従って、操作者は、電力閾値が120KWに設定されていることを認識することができる。
【0039】
次に、操作者は、変流比設定スイッチ33bを操作して、変流比を設定する。この操作では、図1に示したPAS12に設けられる変流器の変流比を設定する。例えば、変流比が500:5である場合には、「500」を設定する。その結果、表示器32bには、「50(×10A)」と表示される。
【0040】
更に、操作者は、パルス電流選択スイッチ33cを操作して、パルス電流値を設定する。この操作では、5mA、9mA、10mA、12mA、14mA、20mA、25mA、或いはオープンコレクタ方式のうちのいずれかに設定することが可能である。そして、表示器32cには、設定された電流値に対応する番号(0〜7の番号)が表示される。
【0041】
次いで、操作者は、パルス定数設定スイッチ33dを操作して、パルス定数を設定する。この操作では、図1に示した電力計15の仕様が、50000パルス/KWhであるか、或いは2000パルス/KWhあるかに基づいて、いずれか一方を選択する。
【0042】
上記の操作により、パルス数設定部42では、上述した(1)式によりパルス数を演算し、更に、パルス信号生成部43によりこのパルス信号が生成される。その後、パルス電流設定部44で設定された電流値となるように、パルス信号の電流値が変更され、このパルス信号が出力処理部46より出力される。このパルス信号は、端子部34より接続ケーブル51に出力されることになる。
【0043】
従って、パルス検出用電線19の先端部に設けられるパルス検出用変流器により、このパルス信号が検出され、デマンド検出器17では、点検装置21より出力される疑似的なパルス信号が検出されることになる。そして、検出されるパルス信号は、施設27の契約電力の90%程度の電力を示すパルス信号に設定されているので、デマンド検出器17が正常に作動している場合には、ピーク電力に近づいているものと判断して警報信号を出力することになる。
【0044】
この警報信号は、対地路線を介して、施設27内に設置された警報器26にて受信され、該警報器26にて警報ブザーの鳴動、或いは警報ランプの点灯等により、施設27内での作業者に使用している電力がピーク電力に接近していることを報知する。
【0045】
また、仮にデマンド検出器17或いは警報器26のうちの少なくとも一方に故障が発生している場合には、警報器26にて警報信号が出力されないことになり、デマンド監視装置に異常が発生していることを検知することができる。こうして、デマンド監視装置が正常に作動しているか否かを簡単な操作で点検することができるのである。
【0046】
このようにして、本実施形態に係る点検装置21では、電力計15に接続される変流器の変流比(CT)、及び変圧器の変圧比(Vt)、電力閾値、及びパルス定数が入力されると、これらのデータに基づいてパルス信号が生成される。このパルス信号は、施設27内で使用される電力が電力閾値に達したときに、電力計15より出力されるパルス信号を模擬したパルス信号となり、端子部34より出力される。そして、このパルス信号は、デマンド検出器17にて検出されることになるので、デマンド検出器17と警報器26からなるデマンド監視装置が正常に作動している場合には、警報器26にて警報信号が出力され、デマンド監視装置が故障している場合には、警報器26より警報信号が出力されない。従って、警報器26の出力信号を見ることにより、デマンド監視装置が正常に作動しているか否かを点検することができる。
【0047】
従って、従来のように、デマンド検出器17の設定値を変更して点検作業を行い、点検作業の終了後に再度設定値を元に戻す等の作業が不要となり、設定値の変更ミスなどのトラブルの発生を防止することができる。
【0048】
また、本実施形態に係る点検装置21は、パルス電流(パルス信号の振幅)を所望するレベルに変更することができるので、パルス電流の変動に対する点検を行うことができる。換言すれば、デマンド検出器17で検出可能なパルス電流の範囲を測定することができる。
【0049】
更に、本実施形態の点検装置21は、作業者が携帯できる程度の大きさとされているので、点検対象となるデマンド監視装置の設置場所まで容易に持ち運ぶことができ、使い勝手が良い。
【0050】
以上、本発明のデマンド監視装置の点検装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、デマンド監視装置が正常に作動しているか否かを簡単な操作で点検する際に極めて有用である。
【符号の説明】
【0052】
11 電柱
12 高圧交流負荷開閉器(PAS)
13 高圧受電線
14 電線
15 電力計
16 キュービクル
17 デマンド検出器
18 トランス
19 パルス検出用電線
21 点検装置
22 対地帰路線
23 信号重畳用変流器
24 低電圧配線
25 コンセント
26 警報器
27 電力需要施設
31 コントローラ
32 表示器
33 入力操作部
33a 電力閾値設定スイッチ(入力手段)
33b 変流比設定スイッチ(入力手段)
33c パルス電流設定スイッチ(入力手段)
33d パルス定数設定スイッチ
34 端子部
35 電源スイッチ
41 入力処理部
42 パルス数設定部
43 パルス信号生成部
44 パルス電流設定部
45 表示制御部
46 出力処理部(出力手段)
51 接続ケーブル
52 クリップ
53 棒状端子
54 コネクタ
VB 電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設内に電力を供給する高圧受電線の電圧を所定の電圧比で変圧した電圧値、及び前記高圧受電線に流れる電流を所定の電流比で変流した電流値に基づいて、前記施設内で使用される電力を測定し、この電力に応じたパルス信号を出力する電力計の出力パルスを検出し、このパルス信号に基づいて前記施設内で使用される電力を監視するデマンド監視装置を点検する点検装置において、
前記電圧比、前記電流比、及び予め設定した電力閾値に基づいて、単位時間当たりの出力パルス数を算出するパルス数演算手段と、
前記パルス数演算手段で求めたパルス信号を生成するパルス信号生成手段と、
前記パルス信号生成手段で生成されたパルス信号を出力するパルス信号出力手段と、
を有することを特徴とするデマンド監視装置の点検装置。
【請求項2】
前記パルス信号の振幅を設定する振幅設定手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のデマンド監視装置の点検装置。
【請求項3】
前記電圧比、前記電流比、前記電力閾値、及び前記振幅の設定値のうち、少なくとも1つを入力する入力手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載のデマンド監視装置の点検装置。
【請求項4】
前記電圧比、前記電流比、前記電力閾値、及び前記振幅の設定値のうち、少なくとも1つを表示する表示手段を備えたことを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載のデマンド監視装置の点検装置。
【請求項5】
2つの出力端子、及び該2つの出力端子間を接続する接続ケーブルを更に備え、前記パルス出力手段は、前記2つの端子間に前記パルス信号を発生させ、
前記接続ケーブルは、前記2つの出力端子に接続するコネクタを有し、且つ、一端に棒状端子が取り付けられ、他端にクリップが取り付けられたことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のデマンド監視装置の点検装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−68204(P2012−68204A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215381(P2010−215381)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(398006556)財団法人北陸電気保安協会 (2)
【出願人】(391009372)ミドリ安全株式会社 (201)