説明

デモ走行表示方法及びナビゲーション装置

【課題】 カメラ撮影による実写画像を用いてデモ走行表示を行うナビゲーション装置において、車両走行時の天候と実画像が大きく相違することによる違和感を無くし、また実写画像を天候に対応して処理することによるコストアップをなくす。
【解決手段】 背面ディスプレイ35と前面ディスプレイ36を備えた二重ディスプレイ34に対し、誘導経路記憶部5に記憶された誘導経路に沿ってデモ走行表示を行うとき、デモ走行案内地点に対応した実写画像を走行実写画像記録部6から取り込んで、これを背面ディスプレイ35に表示する。また案内地点の天候を予測して、その天候に対応した天候イメージを天候イメージデータ記録部26から選択して、前面ディスプレイ36に表示する。案内地点の天候は、走行開始時刻から経路上の各地点の到達時刻を予測し、各地点の到達時刻における天気予報を取り込んで利用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、演算された誘導経路がどのような道路をどのように走行するのかをデモ走行表示を行う機能を備えたナビゲーション装置に関し、特にデモ走行表示を、予めカメラで実写して保存しているデータを用いて実写表示を行うデモ走行表示方法と、その方法を実施するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載するナビゲーション装置においては、地図を描画するための地図データ及び施設等を検索するための施設情報データを記録したCD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の地図・情報データ記憶媒体と、この地図・情報データ記憶媒体のデータを取り込むデータ取込装置と、地図等を表示するモニタと、GPS受信機及び走行距離センサやジャイロ等を用いた自立航法装置を用い、車両の現在位置及び進行方向の方位を検出する車両位置検出装置を有し、車両の現在位置を含む地図データを地図・情報データ記憶媒体から取り込み、この地図データに基づいて車両位置の周囲の地図画像をモニタの画面に描画すると共に、車両位置マークをモニタ画面に重ね合わせて表示し、車両の移動に応じて地図画像をスクロール表示し、或いは地図画像を画面に固定し車両位置マークを移動させ、車両が現在どこを走行しているのかを一目で分かるようにしている。
【0003】
CD−ROMやDVD−ROM、或いはハードディスク等の地図・情報データ記憶媒体に記憶されている地図データは、各種の縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られており、道路等は経度及び緯度で表現されたノードの座標集合として記憶されている。道路は2以上のノードの連結からなり、地図データは、道路リスト、ノードテーブル及び交差点構成ノードリスト等からなる道路レイヤ、及び地図画面上に道路、建築物、施設、公園及び河川等を表示するための背景レイヤ等の地図データと、市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名及び施設の名前等の、文字や地図記号等を表示するための情報データなどから構成される。
【0004】
また、このナビゲーション装置においては、利用者が所望の目的地或いは経由地(以下「目的地」と称する)に向けて道路を間違うことなく容易に走行できるようにするための経路誘導機能を備えている。この経路誘導機能によれば、種々の手段により目的地を設定し、出発地から目的地まで、これらの地点を結ぶ経路の内各種の条件を加味して適切な経路を演算して提示するようになっている。また、利用者が選択した経路を誘導経路として記憶しておき、走行中、地図画像上に誘導経路を他の経路とは色を変えて太く描画して画面表示したり、車両が誘導経路上の進路を変更すべき交差点に一定距離以内に近づいたときに、交差点を拡大表示し、進路を変更すべき方向を示す矢印等を描画して画面表示したり、音声で右左折の誘導を行うことで、利用者を目的地まで案内することができるようにしている。
【0005】
上記のようなナビゲーション装置においては、目的地への誘導経路が演算されてその誘導経路が地図画面に重ねて表示されたとき、利用者はその誘導経路が本当に適切なものか確かめるため、或いは誘導経路を確定した後どのような経路をたどるのか予め頭に入れておきたいため、等の種々の目的のために、車両が出発する位置から目的地まで所定のスピードで自車位置を自動的に誘導経路に沿って進め、走行する道路、右左折交差点の状態、更には周辺の主要施設等を、実車走行時と同様に案内を行う、デモ走行機能を備えているものが多い。
【0006】
一方、近年の車両には車両前方を撮影するカメラを備え、前方車両との車間距離維持、車線認識、道路表示や道路標識認識、歩行者横断検出、業務用車両の安全運転管理等を行わせることが一部実施され、また研究開発が進められている。また、このような車両走行時における周辺を撮影した実写画像データを地図データと共に蓄積し、車両走行時のモニタ画面上に、地図画像の代わりに、或いは地図画像と並べてその実写画像を表示し、運転者等が現在走行している地点の状態を容易に理解できるようにすることも提案されている。
【0007】
特に近年のナビゲーション装置は、大容量のHDDを搭載する等によって莫大なデータを保存し、これを高速で処理して利用することができるようになっており、上記のようなカメラによる実写画像データを地図データと共にドライブレコーダとして蓄積することが容易に行われるようになっている。カメラによる実写画像としては、カメラ搭載の自車両が走行したときに撮影した画像を地図データと関連づけて蓄積するほか、情報センターから必要箇所の実写画像を携帯電話等でダウンロードすることも可能であり、更には近年開発が進められている車車間通信によるデータ取り込み機能によって、他車両が走行中に撮影した実写画像を記録しているドライブレコーダのデータを取り込むことによっても、自車両のドライブレコーダのデータ補充を行うことができる。
【0008】
近年のナビゲーション装置においては、このようにして記録されている実写画像を車両の走行と共に読み出して表示し、その映像にビルの名前や交差点の名前、ユーザーが入力した目的地までの進路方向などの情報を、重ねて表示する実写型ナビゲーションシステムが開発されている。
【0009】
したがって、上記のようなドライブレコーダに記録されている実写画像を用いて、誘導経路がどのような道路をどのように走行するかを確認する際等に利用するデモ走行表示機能の作動に際しても、上記のような実写画像を表示することが可能となっている。この実写画像によるデモ表示を行うと、運転者等はこれから走行する道路がどのようなものであるかを正確に把握することができ、実際の走行時には間違いなく安心して運転を行うことができるようにもなる。
【0010】
なお、ナビゲーション装置において風景映像を表示すること、また天候の状態に応じた風景映像を表示することは下記特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平11−211486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記のような、演算された誘導経路がどのような道路をどのように走行するのかをデモ走行表示を行うナビゲーション装置において、デモ走行表示を予めカメラで実写して保存している画像データを用いて実写画像表示を行う際には、これから走行する道路がどのようなものかを正確に把握することができるものであるが、このような実写デモ走行表示において、これから走行しようとする道路の確認のためにデモ走行を行わせるときに、現在かなりの雨が降っているときでも、表示される画像が晴天時の実写画像であるときには違和感を生じることとなる。また、このような晴天時の撮影画像による実写デモ走行表示によって確認した道路を実際に走行するとき、雨が降ってきた場合には、先に確認した実写画像と雰囲気が大きく異なり、せっかくの実写画像による確認があまり役に立たないことも考えられる。
【0012】
その対策として、これから走行する道路が雨降りであると判っているときには、実写デモ走行において表示する実写画像に処理を行い、雨降りの状態の画像と重ね合わせて画像表示することにより、いかにも雨降りの中を走行しているイメージとすることが考えられる。
【0013】
しかしながら、現在のナビゲーション装置の演算処理速度は高速になってきたものの、動画像出力に対して雨降り等の加工処理をして表示するには、更に処理速度を上げなければ適切な画像表示が行われず、高価なCPUが必要になる等、ナビゲーション装置全体が高価にならざるを得ない。
【0014】
したがって本発明は、カメラ撮影による実画像を用いてデモ走行表示を行う際に、車両走行時の天候と大きく相違することによる違和感を無くし、また画像を加工して任意の天候の状態の画像にして出力することによるコストアップをなくすことを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るデモ走行表示方法は、前面側と背面側にディスプレイを備えた多重ディスプレイを用い、誘導経路に沿ってデモ走行を行うとき、前面側に誘導経路に対応した天候イメージ画像を表示し、背面側に誘導経路の各地点に対応した実画像を表示することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る上記でも走行表示方法を実施するナビゲーション装置は、前面側と背面側にディスプレイを備えた多重ディスプレイと、カメラによる実写画像を地図データと対応して記録する実写画像記録手段と、天候のイメージ画像を記録する天候イメージデータ記録手段と、誘導経路を演算する誘導経路演算手段と、前記誘導経路演算手段によって演算された誘導経路に沿って、デモ走行案内地点を順に指示するデモ走行案内地点指示手段と、前記デモ走行案内地点指示手段により指示したデモ走行案内地点の実写画像を、前記実写画像記録手段から取り込む走行地点実写画像取込手段と、車両走行時の天候に対応した天候のイメージ画像を、前記天候イメージデータ記録手段から選択し出力する天候イメージ選択出力手段と、前記走行地点の実写画像を前記多重ディスプレイの背面側ディスプレイに表示する背面側ディスプレイ用画像表示手段と、前記走行地点の天候を前記多重ディスプレイの前面側ディスプレイに表示する前面側ディスプレイ用画像表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る他のナビゲーション装置は、前記ナビゲーション装置において、前記天候イメージ選択手段で選択する天候が、利用者が選択した天候であることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る他のナビゲーション装置は、前記ナビゲーション装置において、前記天候イメージ選択手段で選択する天候が、出発地点の天候であることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る他のナビゲーション装置は、前記ナビゲーション装置において、前記天候イメージ選択手段で選択する天候が、天気予報データにより得られた走行地点の天候であることを特徴とする。
【0020】
本発明に係る他のナビゲーション装置は、前記ナビゲーション装置において、前記天候のイメージ画像が動画像であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
カメラ撮影による実画像を用いてデモ走行表示を行う際に、車両走行時の天候と大きく相違することによる違和感を無くすことができ、また画像を加工して任意の天候の状態の画像にして出力することによるコストアップをなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明は上記課題を、前面側と背面側にディスプレイを備えた多重ディスプレイを用い、誘導経路に沿ってデモ走行を行うとき、前面側に誘導経路の各地点に対応した天候イメージ画像を表示し、背面側に誘導経路の各地点に対応した実画像を表示することにより解決した。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明によるナビゲーション装置における主要機能である、デモ走行表示処理機能部分を中心に示した機能ブロック図であり、ナビゲーション装置における前記機能に特に関連のない部分は省略して示している。同図において各機能を行う機能部はそれぞれ各機能を行う手段と言うこともできる。
【0024】
図1に示す実施例においては、従来のナビゲーション装置が備えているものと同様のGPS受信部1を備え、現在位置検出部2ではその受信信号を入力し、更に必要に応じて車速センサや角度センサによる走行距離・方位検出部からの車両の移動データを入力することによって、車両の現在位置を正確に検出している。また、目的地指示入力部3では、画面に表示されるカーソルの操作による地図のスクロールにより、或いは住所を入力することにより、更には電話番号を入力する等の種々の手法により設定された目的地を入力している。
【0025】
誘導経路演算部4においては、上記のようにして得られた現在地と目的地のデータによって、現在地と目的地との間の最短所要時間、最短距離、一般道路優先等の種々の条件において最適の誘導経路を、DVD、HDD等の地図データ記憶部4から必要部分のデータを読み出して演算し、ディスプレイに対して地図と共に提示する。提示した誘導経路を利用者が決定することにより確定され、それを誘導経路記憶部5に記憶する。
【0026】
このようにして得られた誘導経路が真に適切であるかどうかを確認したいとき、或いはこの誘導経路に沿ってこれから運転しようとするとき、予めその経路の状態うs周辺の施設を理解しておきたいと思うとき等に、地図画面上の自車位置を誘導経路に沿って所定速度で移動させ、地図画面をスクロールすると共に必要に応じて右左折の状態を案内するデモ走行表示を行わせることがある。その際に、より利用者に経路の状態をわかりやすく示すために、車両に搭載したカメラや各種手段によって取り込んで地図データと共に記録している実写画像を表示するための実写デモ走行表示処理が、実写デモ走行表示処理部12で行われる。
【0027】
実写デモ走行表示処理部12では、このナビゲーション装置が備えている走行実写画像記録部6の通称ドライブレコーダのデータを利用するものであり、この走行実写画像記録部6の実写画像は、ナビゲーション装置の通常の誘導経路案内時において、現在走行している地点の画像にビルの名前や交差点の名前、ユーザーが入力した目的までの進路方向などの情報を重ねて表示し案内を行う、実写型カーナビゲーションシステムとして利用される実写画像データを用いることができる。
【0028】
HDD等の走行実写画像記録部6に記録される実写画像は、予めナビゲーション装置の出荷時に記録しておいた実写画像データの他、自車両の車載カメラ7によって走行中に撮影した自車カメラ走行実写画像8を走行実写画像データとして地図データに関連して蓄積することができる。そのほか、周囲を走行する車両間で自動的にデータの授受を行う車車間通信部10を介して、他車両が撮影しドライブレコーダに対して地図データに関連して蓄積しているデータを取り込んで、車車間通信取り込みによる他車カメラ走行実写画像11として同様に記録し、蓄積しておくこともできる。
【0029】
実写デモ走行表示処理部12においては、前記のように誘導経路演算部4で演算を行い、誘導経路記憶部5に記憶している誘導経路について、利用者がデモ走行を行う旨の指示を行ったことをデモ走行指示入力部13で入力するとき、その信号によりデモ走行案内地点指示部14は、誘導経路記憶部5に記憶されている誘導経路について、現在位置から目的地に向けて所定の速度で順に走行案内地点を指示していく。
【0030】
走行地点実写画像取込部15はデモ走行案内地点の信号により、前記のようにして蓄積している走行実写画像記録部6における、指示された地点の実写画像を取り込み、その実写画像データをデモ走行実写画像出力部16を介して、後述するような二重ディスプレイ画像表示部31における背面ディスプレイ用画像表示部32に出力する。
【0031】
一方、デモ走行案内地点指示部14によるデモ走行案内地点の信号は天候イメージ選択出力部25でも入力し、後述するように案内地点の天候予測データに基づいて天候イメージデータ記録部26から対応する天候イメージを選択する。即ち、別途利用者により指示される走行開始時刻指示を走行開始時刻指示入力部20で入力した時刻に基づいて、誘導経路記憶部5に記憶されている誘導経路について、例えば10km毎等の間隔の地点を選択し、車両の通常の走行によって経路上のこれらの各地点に到達する時刻を走行地点到達時刻予測演算部21で予測演算し、演算データにより走行地点到達時刻天候予測部23は、車両搭載通信手段或いはナビゲーション装置に接続する携帯電話等によってインターネット等の通信手段を介して、誘導経路上の前記各地点を走行する予測時刻における天気予報データ22を取り込み、走行地点の天候予測データとする。
【0032】
走行地点到達時刻天候予測部23で予測した誘導経路上の各地点の天候データは、図示実施例では一旦走行地点天候予測記憶部24に記憶され、以降のデモ走行案内地点の進行に伴って、天候イメージ選択出力部25がこれを読み込んで、その天候に対応する天候イメージデータを天候イメージデータ記録部26から選択して読み込み、二重ディスプレイ画像表示部31における前面ディスプレイ用画像表示部33に出力している。
【0033】
本発明においては、ナビゲーション装置のモニタとして、多重ディスプレイの代表例としての二重ディスプレイ34を用いた例を示しており、この二重ディスプレイ34における背面ディスプレイ35には、背面ディスプレイ用画像表示部32によって表示制御されるデモ走行実写画像出力部16からの実写画像が表示される。また、前面ディスプレイ36には、前面ディスプレイ用画像表示部33によって表示制御される天候イメージ選択出力部25からの、天候イメージデータ記録部26に記録されている、晴れ27、曇り28、雨29、雪30等の天候イメージの画像が、必要に応じて適宜の処理がなされて表示される。
【0034】
上記のような二重ディスプレイ34に対する表示は、例えば図4及び図5に示されるようにしてなされる。即ち図4(a)には背面ディスプレイ35で表示される実写画像の例を示しており、同図(b)には前面ディスプレイ36に表示される雨降りの天候イメージ画像の例を示している。なお、同図(b)における雨降りの天候イメージにおいて、雨模様以外の背景部分は透明、或いは曇りの画像とする。これらの画像を二重ディスプレイ34に重ねて表示するときには、例えば図5に示すように表示され、実写画像がたとえ晴天のときに撮影した画像であっても、モニタ画面上は雨降りの中を走行している雰囲気で表示される。
【0035】
前面ディスプレイ36に表示する天候イメージとしては、例えば図6に示すような各天候に合わせた適宜の画像を予め作成し蓄積しておき、これらのいずれかを選択して用いる。そのデータの利用に際しては、例えば雨の水玉模様をそのまま表示する以外に、例えばフロントガラスに雨が当たって流れているような画像表示を行うこともできる。その際には、静止画を例えば前面ディスプレイ用画像表示部33で動画処理することができるが、それ以外に、図1の天候イメージデータ記録部26にそのような動画データを予め記録しておき、これをそのまま利用してもよい。又、自車の速度に応じて雨の流れる画像を可変させても良い。
【0036】
本発明においては、デモ走行表示に際して、上記のようにその地点を走行するときの天候状態に応じて、その雰囲気で実写画像が表示されるので、例えばこれから誘導経路に沿って走行しようとする際に、デモ走行表示によって確認しようとするとき、周囲が雨にもかかわらず晴天時の実写が表示されることによる違和感を無くすることができ、更にこれから走行しようとする地点について、そこでの天候状態を知ることができるばかりでなく、実写画像がその天候の雰囲気で表示されるため、走行予定地点の雰囲気を頭に入れておくことができ、実際のその地点の走行時には容易にその地点の様子を理解することができるようになる。
【0037】
前記のような機能ブロックからなり、天候イメージと重ね合わせた実写画像表示がなされる本発明によるナビゲーション装置においては、例えば図2及び図3に示す作動フローにより順に作動させ、所定の機能を行うことができる。図2に示すデモ走行表示処理の例においては、最初前記のように誘導経路の演算が行われ(ステップS1)、その誘導経路が記憶される(ステップS2)。その後、デモ走行の開始指示が利用者によりなされたとき(ステップS3)、図示実施例においては二重ディスプレイによる天候表示を行うか否かの判別を行う(ステップS4)。
【0038】
ステップS4で二重ディスプレイによる天候表示を行わないと判別したときには、従来と同様にデモ走行を開始し、所定速度でデモ走行地点を順に更新して(ステップS11)、通常のデモ走行の表示処理を行い(ステップS12)、デモ走行が目的地に到達したか否かを判別して(ステップS13)、未だ目的地に到達しないときにはステップS11に戻って同様の処理を繰り返し、目的地に到達したと判別したときにはステップS14に進んでこの処理を終了する。
【0039】
一方、前記ステップS4で二重ディスプレイによる天候表示を行うと判別したときには、図示実施例においては最初に走行開始時刻の入力を行う(ステップS5)。次いで前記のように記憶されている誘導経路上において、各走行地点の各到達予測時刻を演算し(ステップS6)、走行地点の到達予測時刻により各地点の天気予報を取り込んで記憶する(ステップS7)。これらの処理は、図1においては前記のように、走行開始時刻指示入力部20で入力した走行開始時刻に基づいて、誘導経路記憶部5に記憶されている誘導経路について、車両の通常の走行によって経路上の各地点に到達する時刻を走行地点到達時刻予測演算部21で演算し、走行地点到達時刻天候予測部23が天気予報データ22を取り込んで天候の予測を行い、これを走行地点天候予測記憶部24に記憶することによって行うことができる。
【0040】
次いでデモ走行を開始し、所定速度でデモ走行地点を更新する(ステップS8)。この走行地点の更新にしたがって、図3に示すデモ走行の二重ディスプレイ表示処理を行う(ステップS9)。図3に示すデモ走行の二重ディスプレイ表示処理に際しては、最初にデモ走行地点に対応する実写画像の読み出しを行う(ステップS21)。この処理は図1の走行地点実写画像取込部15がデモ走行案内地点指示部14で指示された地点の実写画像を、走行実写画像記録部6に記録されている実写画像を取り込むことによって行われる。
【0041】
その後背景ディスプレイに実写画像を表示するための出力を行う(ステップS22)。この処理は図1のデモ走行実写画像出力部16が、前記のようにして走行地点実写画像取込部15が取り込んだ指示地点の実写画像を、背面ディスプレイ用画像表示部32に出力し、その実写画像を二重ディスプレイ34における背面ディスプレイ35に表示することによって行われる。
【0042】
次いで表示地点の天候読み出しを行う(ステップS23)。これは図1における天候イメージ選択出力部25が、デモ走行案内地点指示部14で指示された地点の天候予測データを、走行地点天候予測記憶部24から読み出すことによって行われる。その後表示地点の天候に対応する天候イメージの読み込みを行う(ステップS24)。この処理は、図1の天候イメージ選択出力部25が、前記のようにして読み出した走行地点の天候予測データに従い、その天候に対応する天候イメージデータを、天候イメージデータ記録部26から選択して読み込むことによって行われる。
【0043】
その後前面ディスプレイに天候イメージを表示出力し(ステップS25)、この実写デモ走行二重ディスプレイ表示処理を終了して、図2のステップS10に進み、前記のようにデモ走行地点が目的地に到達するまでデモ走行地点の更新と、その地点の前記二重ディスプレイ表示処理を繰り返す。
【0044】
本発明による前記のような二重ディスプレイを用いた走行地点の天候に対応したデモ走行表示によると、その走行地点の天候に応じて実写画像の雰囲気が調整されるものであるが、その調整は実写画像に対する処理を行う必要が無く、単に二重ディスプレイの前面ディスプレイに天候の状態に合った画像を表示するのみで済むため、今後二重ディスプレイの広範な利用時には、安価な表示手段として用いることができる。特に雨の天候表示においては、車両が走行するときフロントガラスに雨が当たっている様子に表示され、利用者にとって車両走行時の雰囲気をリアルに表現することができる。
【0045】
前記実施例におけるディスプレイとして二重ディスプレイの例を示したが、今後更に開発が予定されている三重ディスプレイ等の多重ディスプレイにおいても、前面側のディスプレイに天候イメージを表示し、背面側のディスプレイに実写画像を表示することにより本発明を同様に実施することができる。
【0046】
また、前記実施例においては、走行時の天候イメージの選択に際して、走行地点の到達時刻を予測し、更にその走行地点における走行予測時刻における天気予報に基づいて天候イメージを選択して出力する例を示したが、より簡易的に表示する際には、例えば現在位置における現在の天候が雨の時は、車両走行時の走行地点の天候も雨と予測し、利用者がその天候を指示することにより誘導経路上の最初から最後まで雨の天候イメージ画像を表示しても良い。また、走行開始時刻がしばらく後のときには、走行開始時刻における現在位置の天気予報のみを取り込み、その天気予報により天候イメージを選択して、目的地までその天候イメージ画像を表示する等、簡易な天候イメージ表示も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は上記のような実施例のほか種々の態様で用いることができ、例えばナビゲーション装置は車両に直接搭載されているもののほか、車内に持ち込まれる各種ナビゲーション機能を備えた装置においても同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例の機能ブロック図である。
【図2】同実施例における実写デモ走行表示処理の作動フロー図である。
【図3】同作動フローにおける実写デモ走行の二重ディスプレイ表示処理の作動フロー図である。
【図4】本発明による二重ディスプレイの表示例を示し、(a)は背面ディスプレイの実写画像例を示し(b)は前面ディスプレイの天候イメージ画像例を示す図である。
【図5】本発明による二重ディスプレイにおける前記画像例において、背面ディスプレイの実写画像と、前面ディスプレイの天候イメージ画像を重ね合わせて表示したときの画像例を示す図である。
【図6】天候イメージの各種画像例を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
5 誘導経路記憶部
6 走行実写画像記録部
7 車載カメラ
8 自車カメラ走行実写画像
10 車車間通信部
11 他車カメラ走行実写画像
12 実写デモ走行表示処理部
13 デモ走行指示入力部
14 デモ走行案内地点指示部
15 走行地点実写画像取込部
16 デモ走行実写画像出力部
20 走行開始時刻指示入力部
21 走行地点到達時刻予測演算部
22 天気予報データ
23 走行地点到達時刻天候予測部
24 走行地点天候予測記憶部
25 天候イメージ選択出力部
26 天候イメージデータ記録部
31 二重ディスプレイ画像表示部
32 背面ディスプレイ画像表示部
33 前面ディスプレイ画像表示部
34 二重ディスプレイ
35 背面ディスプレイ
36 前面ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面側と背面側にディスプレイを備えた多重ディスプレイを用い、
誘導経路に沿ってデモ走行を行うとき、
前面側に誘導経路に対応した天候イメージ画像を表示し、
背面側に誘導経路の各地点に対応した実画像を表示することを特徴とするデモ走行表示方法。
【請求項2】
前面側と背面側にディスプレイを備えた多重ディスプレイと、
カメラによる実写画像を地図データと対応して記録する実写画像記録手段と、
天候のイメージ画像を記録する天候イメージデータ記録手段と、
誘導経路を演算する誘導経路演算手段と、
前記誘導経路演算手段によって演算された誘導経路に沿って、デモ走行案内地点を順に指示するデモ走行案内地点指示手段と、
前記デモ走行案内地点指示手段により指示したデモ走行案内地点の実写画像を、前記実写画像記録手段から取り込む走行地点実写画像取込手段と、
車両走行時の天候に対応した天候のイメージ画像を、前記天候イメージデータ記録手段から選択し出力する天候イメージ選択出力手段と、
前記走行地点の実写画像を前記多重ディスプレイの背面側ディスプレイに表示する背面側ディスプレイ用画像表示手段と、
前記走行地点の天候を前記多重ディスプレイの前面側ディスプレイに表示する前面側ディスプレイ用画像表示手段とを備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
前記天候イメージ選択手段で選択する天候は、利用者が選択した天候であることを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記天候イメージ選択手段で選択する天候は、出発地点の天候であることを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記天候イメージ選択手段で選択する天候は、天気予報データにより得られた走行地点の天候であることを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記天候のイメージ画像は動画像であることを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−300572(P2006−300572A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119119(P2005−119119)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】