説明

デング感染症の治療または予防のための抗ウイルス薬

特定の化合物を治療有効量で投与することによってウイルス感染症を治療するための化合物、方法および医薬組成物を開示する。化合物の調製方法、ならびに化合物およびその医薬組成物の使用方法も開示する。特に、フラビウイルス(すなわち、それだけに限らないが、デングウイルス、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、およびダニ媒介脳炎ウイルスが挙げられる)によってもたらされるものなどのウイルス感染症の治療および予防を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書中に組み込まれている2007年5月23日に出願された米国特許仮出願第60/924,628号の優先権および利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、デング熱、黄熱病、西ナイル、セントルイス脳炎、C型肝炎、マレー渓谷脳炎、および日本脳炎などのフラビウイルス科と関連するウイルス性疾患の治療または予防のための、ベンゼンスルホンアミド誘導体および類似体、ならびにそれらを含有する組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0003】
デング熱(DF)は、4つの密接な関係があるウイルス血清型(DEN-1、DEN-2、DEN-3、およびDEN-4)の1つによってもたらされる急性発熱疾患である。デング熱は、その臨床的特徴に基づいて、古典的デング熱、またはより重症な形態であるデング出血熱症候群(DHF)、およびデングショック症候群(DSS)に分類される。1つの血清型からの感染症からの回復は、その特定の血清型に対する生涯の免疫を生じさせるが、他の血清型のいずれに対しても短期間で限定された保護のみが得られる(37)。デングは、そのヒト病原体がまた数ある中でも西ナイルウイルス(WNV)、黄熱病ウイルス(YFV)、日本脳炎ウイルス(JEV)、およびダニ媒介脳炎ウイルス(TBEV)を含む、エンベロープを持つプラス鎖RNAウイルスであるフラビウイルス科(Flaviviridae)のメンバーである。デング感染は、世界中の熱帯および亜熱帯地方において見出される感染したネッタイシマカ(Aedes aegypti)の刺咬を介したものである。
【0004】
毎年、デングの地域的な流行は、入院および蚊の駆除の両方の観点から影響を受ける社会に対して、かなりの罹患率と死亡率、社会混乱および実質的な経済的負担をもたらす。デングは、毎年世界中で500,000症例のDHFおよび24,000件の死亡を含めた推定5000万症例のデング感染症を伴い、世界保健機構(WHO)によって最も重要な節足動物媒介ウイルス性疾患であると考えられている(37、38)。WHOは、世界の人口の40パーセント(25億人)がDF、DHF、およびDSSの危険に曝されていると推定する(37)。デングはまた、NIAIDのカテゴリーA病原体であり、生体防御の点から、海外の米軍に対してかなりの脅威となっている。デングは、キューバおよびベネズエラにおける大規模な流行、ならびにテキサスおよびハワイにおける集団発生を含めて、過去25年間において重症な疾患が劇的に上昇をし、北米に対して新興の脅威である(4)。蚊媒介動物駆除の失敗および長距離旅行の増加は、デング疾患の増加および伝播を助長してきた。ウイルス性出血性熱ウイルスとしてのデングの特徴(節足動物媒介、広範に蔓延、多量の細胞傷害を引き起こし、重症の出血、ショック、および死亡をもたらす場合がある免疫応答を誘発することができる)によって、このウイルスは世界中に配置される軍関係者への、および熱帯地方への旅行者への固有の脅威となっている。デングにより提起される生体防御および公衆衛生の課題の両方についての備えは、新規なワクチンおよび抗ウイルス治療の開発を必要とするであろう。
【0005】
デングは、いくつかの病気をもたらし、重症度の増加はウイルスの異なる血清型による従前の感染によって部分的に決定される。古典的デング熱(DF)は、感染した蚊の刺咬の3〜8日後に始まり、熱、頭痛、背痛、関節痛、麻疹様発疹、ならびに吐き気および嘔吐の突然発症によって特徴付けられる(21)。DFは、これらの症状によって「骨が折れるような」熱と称されることが多い。この疾患は2週間後に通常回復するが、脱力感および意気消沈を伴う長引く回復が通常である。この疾患のより重症な形態であるデング出血熱(DHF)は、デング熱と同様の発症および病気の初期相を有する。しかし発症の直後に、この疾患は、高熱、肝肥大、ならびに血管透過性による鼻、口、および内臓からの出血などの出血性現象によって特徴付けられる(38)。デングショック症候群(DSS)では、血漿漏出からもたらされる循環不全および血液量減少性ショックが起こり、血漿交換を行わない場合12〜24時間内に死亡に至る場合がある(38)。DHF/DSSの致死率は、治療をしなければ20%もの高さである場合がある。DHFは、毎年入院を必要とする推定500,000の症例および約5%の致死率を伴い、多くの国において子供の入院および死亡の主要原因となってきた(37)。
【0006】
DHF/DSSの病原はいまだ研究されているが、抗体依存性増強(ADE)と称される異型抗体によるマクロファージ中のウイルス複製の増強に一部よるものと考えられる(8)。デングウイルスの異なる血清型による二次感染の間、中和形態ウイルス-抗体複合体ではない交差反応性抗体は、単球およびランゲルハンス細胞(樹状細胞)に取り込まれ、感染細胞の数を増加させる(7)。これによって細胞傷害性リンパ球の活性化がもたらされ、これはDHFおよびDSSの特徴を示す血漿漏出および出血性の特徴をもたらす場合がある(21)。感染症のこの抗体依存性増強は、成功したワクチンの開発が困難であることが判明した理由の1つである。それほど多くはないが、DHF/DSSは一次感染の後で起こる場合があり(33)、そのためウイルスの毒性(16)および免疫活性化がまた、疾患の病原の一因となると考えられている(26)。
【0007】
デングは、アフリカ、アメリカ、地中海東岸、東南アジアおよび西太平洋における100を超える国において風土病である。流行の間、罹患率は感染しやすい人口の80〜90%もの高さとなる場合がある。ウイルスの4種の血清型すべてが世界中で出現し、疾患の症例数、および爆発的な集団発生の数が増加している。例えば2002年に、アメリカのみで1,015,420件の報告されたデング症例、14,374症例のDHFがあった(これは、1995年にアメリカで報告されたデング症例数の3倍以上である)(24)。
【0008】
長さ約11kbのデングゲノムは、単一の長いポリタンパク質として翻訳される直鎖状一本鎖の感染性プラス鎖RNAからなる((29)に概説されている)。ゲノムは、ヌクレオキャプシドタンパク質(C)、膜結合タンパク質(M)、およびエンベロープタンパク質(E)をコードする7種の非構造(NS)タンパク質遺伝子および3種の構造タンパク質遺伝子からなる。非構造タンパク質は、ウイルスRNA複製(35)、ウイルス構築、および疾患の炎症性成分(19)に関与する。構造タンパク質は、主としてウイルス粒子形成に関与している(22)。前駆体ポリタンパク質は、細胞プロテイナーゼによって切断され、構造タンパク質を分離し(18)、一方ウイルスがコードするプロテイナーゼは、ポリタンパク質の非構造領域を切断する(6)。ゲノムはキャップされ、3'末端でポリ(A)テールを有さないが、代わりにゲノムRNAの安定性および複製のために必要な安定的なステムループ構造を有する(3)。ウイルスは、細胞受容体にEタンパク質を介して結合し、受容体仲介エンドサイトーシス、続いてリソソーム中の低pHでの融合を受ける(20)。次いで、ウイルスゲノムは脱殻し、ウイルス前駆体ポリタンパク質に翻訳される。同時翻訳および翻訳後タンパク質分解プロセシングは、構造タンパク質および非構造タンパク質を分離する。RNA依存性RNAポリメラーゼは、補助因子と共に、子孫プラス鎖RNAの合成のための鋳型の役割を果たすマイナス鎖RNAを合成する(25)。ウイルス複製は、膜に関連する(1、34)。複製に続いて、ゲノムはキャプシド形成し、脂質エンベロープに囲まれた未成熟ウイルスは、内腔内に成長する(9)。エンベロープタンパク質はグリコシル化し、成熟ウイルスが細胞外に放出される。ウイルス生活環における重要な段階または過程は、抗ウイルス薬による阻害についての可能性のある標的の場合があり、Eタンパク質を介したウイルスの細胞への結合、ウイルスの細胞への取り込み、キャッピング機構、ウイルスプロテイナーゼ、ウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ、およびウイルスヘリカーゼが含まれる。
【0009】
デングウイルスに関連する疾患の現在の対応は、媒介動物の駆除にもっぱら頼っている。デングの治療または予防のための承認された抗ウイルス薬またはワクチンはない。リバビリン、グアノシン類似体は、一連のRNAウイルス感染症に対して有効であることが示されており、デング2'-O-メチルトランスフェラーゼNS5ドメインを阻害することによって組織培養においてデングに不利に作用する(2、10)。しかし、リバビリンは、マウスモデル(15)またはアカゲザルモデルにおいて(17)デングに対する保護を示さず、代わりに貧血および血小板増加を誘発した。現在利用可能な承認されたワクチンはないが、多価デングワクチンは、ヒトにおいていくつかの限定された潜在能力を示してきた(5、12、13、28)。しかし、ワクチン開発は、各々が疾患をもたらすウイルスの4つの異なる血清型の存在によって困難である。ワクチン開発はまた、ウイルスの異なる系統に対する一様でない保護が実際はより重篤な疾患のリスクを増加させることがありうるというADEの課題に直面する。したがって、デングの血清型のすべてをターゲットとする抗ウイルス薬が必要とされている。デング感染症の早期に投与されるウイルス複製を阻害する抗ウイルス薬は、DHFと関連する高ウイルス量を予防し、疾患の治療および予防において魅力的な戦略であろう。ウイルス複製を阻害する抗ウイルス薬は、デング流行地への旅行の前に投与して、疾患の罹患を予防することができ、またはデングに従前に曝された人にとっては、ウイルスの他の血清型による感染症を予防し、生命を危うくするDHFおよびDSSの確立を減少させることができる。抗ウイルス薬を持つということはまた、異なる血清型に対する一様でない免疫保護によって生じうる合併症を治療するための道具を手元に有することによって、ワクチン開発を助長するであろう。成功したワクチンは、有効な生体防御の決定的な成分である場合があるが、免疫の開始の典型的な遅延、潜在的副作用、価格、および脅威低リスク薬剤に対する大規模な一般市民のワクチン接種に関連する物流管理は、包括的な生体防御が別々の迅速な反応要素を含むことを示唆する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許仮出願第60/924,628号
【特許文献2】米国特許第3,773,919号
【特許文献3】EP133,988
【特許文献4】米国特許第5,023,252号
【特許文献5】米国特許第5,011,472号
【特許文献6】米国特許第4,235,871号
【特許文献7】米国特許第4,501,728号
【特許文献8】米国特許第4,837,028号
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Langerら、J.Biomed.Mater.Res.15:167〜277頁(1981)
【非特許文献2】Langer、Chem.Tech.12:98〜105頁(1982)
【非特許文献3】Sidmanら、Biopolymers22:547〜556頁、1983
【非特許文献4】Remington's Pharmaceutical Sciences、Mace Publishing Company、Philadelphia、PA、第17版(1985)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、フラビウイルス感染症を防御するための安全で有効な生成物を開発する緊急の必要性が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、薬学的に許容される担体と下記の一般式Iを有する化合物または薬学的に許容されるその塩とを含む医薬組成物を提供し、
【0014】
【化1】

【0015】
式中、R1およびR2は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、または置換されていないもしくは置換されているシクロアルキル、アリールアルキル、アリールであり、あるいはR1およびR2は、一緒になって、置換されているもしくは置換されていない環を形成することができ、その環中に1個または複数のヘテロ原子を含んでもよく、
Arは、置換されているもしくは置換されていないアリールまたはヘテロアリールであり、前記シクロアルキル、アリールアルキル、およびアリール基置換基は、直鎖または分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、ハロゲン、ポリフルオロアルキル、ポリフルオロアルコキシ、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、アミドアルキル、カルボキサミド、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、スルホンアミド、およびメルカプトからなる群から独立に選択される1種または複数の基(複数可)である。
【0016】
本発明はまた、ウイルス感染症またはそれと関連する疾患の治療または予防のための方法であって、それを必要としている哺乳動物に、下記の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を治療有効量で投与するステップを含む方法を提供し、
【0017】
【化2】

【0018】
式中、R1およびR2は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、または置換されていないもしくは置換されているシクロアルキル、アリールアルキル、アリールであり、あるいはR1およびR2は、一緒になって、置換されているもしくは置換されていない環を形成することができ、その環中に1個または複数のヘテロ原子を含んでもよく、
Arは、置換されているもしくは置換されていないアリールまたはヘテロアリールであり、前記シクロアルキル、アリールアルキル、およびアリール基置換基は、直鎖または分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、ハロゲン、ポリフルオロアルキル、ポリフルオロアルコキシ、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、アミドアルキル、カルボキサミド、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、スルホンアミド、およびメルカプトからなる群から独立に選択される1種または複数の基(複数可)である。
【0019】
本発明の他の目的および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の化合物は、下記の一般式Iのものであり、
【0021】
【化3】

【0022】
式中、R1およびR2は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、または置換されていないもしくは置換されているシクロアルキル、アリールアルキル、アリールであり、あるいはR1およびR2は、一緒になって、置換されているもしくは置換されていない環を形成することができ、その環中に1個または複数のヘテロ原子を含んでもよく、
Arは、置換されているもしくは置換されていないアリールまたはヘテロアリールであり、前記シクロアルキル、アリールアルキル、およびアリール基置換基は、直鎖または分岐鎖アルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、ハロゲン、ポリフルオロアルキル、ポリフルオロアルコキシ、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、アミドアルキル、カルボキサミド、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、スルホンアミド、およびメルカプトからなる群から独立に選択される1種または複数の基(複数可)である。
【0023】
好ましくは、R1およびR2の各々は、エチルである。また好ましくは、Arは、アミド-フェニルなどの一置換されているフェニルである。アミド-フェニルの例には、イソブチルアミドフェニル、p-[2-(4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセトアミド]-フェニルおよびp-[2-(4-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアジン-3-イル)-アセトアミド]-フェニルが挙げられる。また好ましくは、Arは、アミドとして1つの置換基およびメトキシとして他の置換基を有する二置換されているフェニルである。このタイプのフェニルの例には、m-フェニル-アセトアミド-p-メトキシ-フェニルおよびm-(3-メチル-ブチルアミド)-p-メトキシ-フェニルが挙げられる。
【0024】
最も好ましくは、式Iの化合物は、N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセトアミドである。本発明による例示的化合物を、下記の表1に示す。
【0025】
本発明の方法は、ウイルス感染症またはそれと関連する疾患の治療または予防のためであり、それを必要としている哺乳動物に、上記の式Iの化合物を治療有効量で投与するステップを含む。
【0026】
好ましくは、哺乳動物はヒトであり、ウイルス感染症はフラビウイルス感染症である。さらに好ましくは、フラビウイルスは、デングウイルス、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、およびダニ媒介脳炎ウイルスからなる群から選択される。最も好ましくは、フラビウイルスは、DEN-1、DEN-2、DEN-3、およびDEN-4からなる群から選択されるデングウイルスである。
【0027】
好ましくは、ウイルス感染症は、デング熱、黄熱病、西ナイル、セントルイス脳炎、C型肝炎、マレー渓谷脳炎、および日本脳炎からなる群から選択される状態と関連する。最も好ましくは、ウイルス感染症は、デング熱と関連し、前記デング熱は、古典的デング熱、デング出血熱症候群、およびデングショック症候群からなる群から選択される。
【0028】
本発明の方法はまた、a)リバビリンもしくはシドフォビルなどの他の抗ウイルス薬;b)ワクチン;および/またはc)インターフェロンもしくはペグ化インターフェロンを同時投与するステップを含みうる。
【0029】
定義
この詳細の説明に従って、下記の略語および定義を適用する。本明細書で使用する場合、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈によって明らかにそれ以外の指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。
【0030】
本明細書において議論されている公開資料は、もっぱらそれらの開示のために提供する。本明細書において、何物も公開資料の先行に関して承認したものと解釈されない。さらに、提供する公開資料の日付は、本当の公開資料の日付と異なる場合があり、別々に確認する必要がある場合がある。
【0031】
値の範囲が提供されている場合、各々のその間に挟まった値が包含されると理解される。これらのより小さな範囲の上限および下限は、独立に、定められた範囲中の任意の特に除外された限度を条件として、そのより小さな範囲に含めてもよい。定められた範囲が限度の一方または両方を含む場合、それらの含められた限度の一方または両方を除いた範囲もまた、本発明に含められる。引用された範囲内に入る任意の値もまた意図される。
【0032】
別に定義しない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと同様または同等の任意の方法および材料もまた、実施または試験において使用することができる。本明細書において言及するすべての公開資料は、それとの関連で公開資料が引用されている方法および/または材料を開示および記載するために参照により本明細書中に組み込まれている。
【0033】
「患者」または「対象」とは、任意の哺乳動物を含むことを意味する。治療の目的のために「哺乳動物」は、それだけに限らないが、ヒト、実験動物(ラット、マウス、およびモルモットを含めた)、家庭の動物および家畜、および動物園、スポーツ用、またはペット動物(イヌ、ウマ、ネコ、雌ウシなど)などが挙げられる哺乳動物として分類される任意の動物を意味する。
【0034】
「有効性」という用語は、本明細書で使用する場合、慢性的投与方式との関連で、特定の治療方式の有効性を意味する。有効性は、ある薬剤に応えた疾患の過程の変化に基づいて測定することができる。
【0035】
「成功」という用語は、本明細書で使用する場合、慢性的治療方式との関連で、特定の治療方式の有効性を意味する。これには、有効性、毒性(例えば、製剤または投与単位の副作用および患者の耐容性)、患者の薬剤服用順守などのバランスが含まれる。慢性的投与方式が「成功した」と考えられるためには、好ましい患者の転帰をもたらすために、患者の看護および有効性の異なる態様のバランスをとらなければならない。
【0036】
「治療する」、「治療」などという用語は、本明細書において、所望の薬理効果および生理学的効果を得ることを言及するために使用される。その効果は、疾患、症状、もしくはその状態を予防もしくは部分的に予防する観点から予防的でもよく、かつ/または疾患、状態、症状、もしくは疾患によって生じる有害作用の部分的もしくは完全な治癒の観点から治療的でもよい。「治療」という用語は、本明細書で使用する場合、ヒトなどの哺乳動物における疾患の任意の治療を包含し、(a)疾患に感染しやすい場合があるがその疾患を有しているとまだ診断されていない対象において、疾患が起こることを予防すること、すなわち、疾患に感染しやすい場合があるがその疾患の症状をまだ体験もしくは示していない対象において、疾患の臨床症状が発現させないようにすること;(b)疾患を阻害すること、すなわち、疾患またはその臨床症状の発現を抑制または減少させること;および(c)疾患を軽減すること、すなわち、疾患および/またはその症状または状態の退行をもたらすことを含む。病理学的炎症に関連する疾患を患っている患者を治療することが意図される。長期間にわたる病理学的炎症によって生じ、および/または長期間にわたる生物系中に存在する不適当な炎症への生理反応によってもたらされる有害な作用を予防、阻害、または軽減することもまた意図される。
【0037】
「アルケニル」とは、好ましくは2〜10個の炭素原子、さらに好ましくは2〜6個の炭素原子を有し、少なくとも1つの、好ましくは1〜2個のアルケニル不飽和部位を有するアルケニル基を意味する。
【0038】
「アルコキシ」とは、例示として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、1、2-ジメチルブトキシなどを含む「アルキル-O-」基を意味する。
【0039】
「アルキル」は、1〜10個の炭素原子、代わりに1〜6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基を意味する。この用語は、メチル、t-ブチル、n-ヘプチル、オクチルなどの基によって例示される。「アミノ」とは、-NH2基を意味する。
【0040】
「アリール」または「Ar」は、単一の環(例えば、フェニル)または複数の縮合環(例えば、ナフチルまたはアントリル)(この縮合環は、芳香族(例えば、2-ベンゾオキサゾリノン、2H-1,4-ベンゾオキサジン-3(4H)-オンなど)であっても、またはなくてもよく、ただし、結合点は芳香環原子を介する)を有する6〜14個の炭素原子の不飽和芳香族炭素環基を意味する。「置換されているアリール」とは、ヒドロキシ、アシル、アシルアミノ、チオカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノ、アミノアシル、アミノカルボニルオキシ、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、カルボキシル、カルボキシルアルキル、カルボキシル-置換アルキル、カルボキシル-シクロアルキル、カルボキシル-置換シクロアルキル、カルボキシルアリール、カルボキシル-置換アリール、カルボキシルヘテロアリール、カルボキシル-置換ヘテロアリール、カルボキシル複素環、カルボキシル-置換複素環、カルボキシルアミド、シアノ、チオール、チオアルキル、置換チオアルキル、チオアリール、置換チオアリール、チオヘテロアリール、置換チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、置換チオシクロアルキル、チオ複素環、置換チオ複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、グアニジノ、グアニジノスルホン、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、オキシカルボニルアミノ、オキシチオカルボニルアミノ、-S(O)2-アルキル、-S(O)2-置換アルキル、-S(O)2-シクロアルキル、-S(O)2-置換シクロアルキル、-S(O)2-アルケニル、-S(O)2-置換アルケニル、-S(O)2-アリール、-S(O)2-置換アリール、-S(O)2-ヘテロアリール、-S(O)2-
置換ヘテロアリール、-S(O)2-複素環、-S(O)2-置換複素環、-OS(O)2-アルキル、-OS(O)2-置換アルキル、-OS(O)2-アリール、-OS(O)2-置換アリール、-OS(O)2-ヘテロアリール、-OS(O)2-置換ヘテロアリール、-OS(O)2-複素環、-OS(O)2-置換複素環、-OS(O)2-NRR(式中、Rは水素、またはアルキルである)、-NRS(O)2-アルキル、-NRS(O)2-置換アルキル、-NRS(O)2-アリール、-NRS(O)2-置換アリール、-NRS(O)2-ヘテロアリール、-NRS(O)2-置換ヘテロアリール、-NRS(O)2-複素環、-NRS(O)2-置換複素環、-NRS(O)2-NR-アルキル、-NRS(O)2-NR-置換アルキル、-NRS(O)2-NR-アリール、-NRS(O)2-NR-置換アリール、-NRS(O)2-NR-ヘテロアリール、-NRS(O)2-NR-置換ヘテロアリール、-NRS(O)2-NR-複素環、-NRS(O)2-NR-置換複素環(式中、Rは水素、またはアルキルである)、モノおよびジアルキルアミノ、モノおよびジ(置換アルキル)アミノ、モノおよびジアリールアミノ、一置換および二置換されているアリールアミノ、モノおよびジヘテロアリールアミノ、一置換および二置換されているヘテロアリールアミノ、モノおよびジ複素環アミノ、一置換および二置換されている複素環アミノ、非対称の二置換されているアミン(アルキル、置換されているアルキル、アリール、置換されているアリール、ヘテロアリール、置換されているヘテロアリール、複素環、および置換されている複素環からなる群から独立に選択される異なる置換基を有する)、ならびに置換されているアリール上のアミノ基(Boc、Cbz、ホルミルなどの従来の封鎖基でブロックされている、または-SO2NRR(式中、Rは、水素またはアルキルである)で置換されている)からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されているアリール基を意味する。
【0041】
「シクロアルキル」とは、例示として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルなどを含めた、単一の環を有する3〜8個の炭素原子の環状アルキル基を意味する。この定義から除かれるものは、アダマンタニルなどの多環式アルキル基である。
【0042】
「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0043】
「ヘテロアリール」とは、環中の2〜10個の炭素原子、ならびに酸素、窒素および硫黄からなる群から選択される1〜4個のヘテロ原子の芳香族炭素環基、またはその酸化物を意味する。このようなヘテロアリール基は、単一の環(例えば、ピリジルまたはフリル)または複数の縮合環(例えば、インドリジニルまたはベンゾチエニル)(縮合環の1つまたは複数は、芳香族でもよく、または芳香族でなくてもよく、ただし結合点は、芳香環原子を介する)を有することができる。さらに、ヘテロアリール基のヘテロ原子は酸化される、すなわち、ピリジンN-オキシドまたは1,1-ジオキソ-1,2,5-チアジアゾールなどを形成する場合がある。さらに、環の炭素原子は、オキソ(=O)で置換されていてもよい。「ヘテロアリール環中に2個の窒素原子を有するヘテロアリール」という用語は、ヘテロアリール環中に2個、および2個のみの窒素原子を有し、ヘテロアリール環中に酸素または硫黄などの1個または2個の他のヘテロ原子を任意選択で含有するヘテロアリール基を意味する。
【0044】
「置換されているヘテロアリール」とは、ヒドロキシ、アシル、アシルアミノ、チオカルボニルアミノ、アシルオキシ、アルキル、置換アルキル、アルコキシ、置換アルコキシ、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、アミジノ、アルキルアミジノ、チオアミジノ、アミノ、アミノアシル、アミノカルボニルオキシ、アミノカルボニルアミノ、アミノチオカルボニルアミノ、アリール、置換アリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、カルボキシル、カルボキシルアルキル、カルボキシル-置換アルキル、カルボキシル-シクロアルキル、カルボキシル-置換シクロアルキル、カルボキシルアリール、カルボキシル-置換アリール、カルボキシルヘテロアリール、カルボキシル-置換ヘテロアリール、カルボキシル複素環、カルボキシル-置換複素環、カルボキシルアミド、シアノ、チオール、チオアルキル、置換チオアルキル、チオアリール、置換チオアリール、チオヘテロアリール、置換チオヘテロアリール、チオシクロアルキル、置換チオシクロアルキル、チオ複素環、置換チオ複素環、シクロアルキル、置換シクロアルキル、グアニジノ、グアニジノスルホン、ハロ、ニトロ、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、複素環、置換複素環、シクロアルコキシ、置換シクロアルコキシ、ヘテロアリールオキシ、置換ヘテロアリールオキシ、ヘテロシクリルオキシ、置換ヘテロシクリルオキシ、オキシカルボニルアミノ、オキシチオカルボニルアミノ、-S(O)2-アルキル、-S(O)2-置換アルキル、-S(O)2-シクロアルキル、-S(O)2-置換シクロアルキル、-S(O)2-アルケニル、-S(O)2-置換アルケニル、-S(O)2-アリール、-S(O)2-置換アリール、-S(O)2-ヘテロアリール、-S(O)2-置換ヘテロアリール、-S(O)2-複素環、-S(O)2-置換複素環、-OS(O)2-アルキル、-OS(O)2-置換アルキル、-OS(O)2-アリール、-OS(O)2-置換アリール、-OS(O)2-ヘテロアリール、-OS(O)2-置換ヘテロアリール、-OS(O)2-複素環、-OS(O)2-置換複素環、-OS(O)2-NRR(式中、Rは水素、またはアルキルである)、-NRS(O)2-アルキル、-NRS(O)2-置換アルキル、-NRS(O)2-アリール、-NRS(O)2-置換アリール、-NRS(O)2-ヘテロアリール、-NRS(O)2-置換ヘテロアリール、-NRS(O)2-複素環、-NRS(O)2-置換複素環、-NRS(O)2-NR-アルキル、-NRS(O)2-NR-置換アルキル、-NRS(O)2-NR-アリール、-NRS(O)2-NR-置換アリール、-NRS(O)2-NR-ヘテロアリール、-NRS(O)2-NR-置換ヘテロアリール、-NRS(O)2-NR-複素環、-NRS(O)2-NR-置換複素環(式中、Rは水素、またはアルキルである)、モノおよびジアルキルアミノ、モノおよびジ(置換アルキル)アミノ、モノおよびジアリールアミノ、一置換および二置換されているアリールアミノ、モノおよびジヘテロアリールアミノ、一置換および二置換されているヘテロアリールアミノ、モノおよびジ複素環アミノ、一置換および二置換されている複素環アミノ、非対称の二置換されているアミン(アルキル、置換されているアルキル、アリール、置換されているアリール、ヘテロアリール、置換されているヘテロアリール、複素環、および置換されている複素環からなる群から独立に選択される異なる置換基を有する)、ならびに置換されているアリール上のアミノ基(Boc、Cbz、ホルミルなどの従来の封鎖基でブロックされている、または-SO2NRR(式中、Rは、水素またはアルキルである)で置換されている)からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されているヘテロアリール基を意味する。
【0045】
「スルホニル」とは、-S(O)2R基(式中、Rは、水素、アルキル、置換されているアルキル、アルケニル、置換されているアルケニル、アルキニル、置換されているアルキニル、アリール、置換されているアリール、シクロアルキル、置換されているシクロアルキル、ヘテロアリール、置換されているヘテロアリール、複素環、置換されている複素環からなる群から選択され、アルキル、置換されているアルキル、アルケニル、置換されているアルケニル、アルキニル、置換されているアルキニル、シクロアルキル、置換されているシクロアルキル、アリール、置換されているアリール、ヘテロアリール、置換されているヘテロアリール、複素環、および置換されている複素環は、本明細書に記載されている通りである)を意味する。
【0046】
「薬学的に許容される担体」とは一般に、安全、無毒性で、生物学的にもそれ以外でも望ましくないことがない医薬組成物または製剤の調製に有用な担体を意味し、獣医学での使用およびヒト用の製薬学的用途のために許容できる担体を含む。薬学的に許容される担体または賦形剤には、このような担体の1つまたは複数の両方が含まれる。
【0047】
「薬学的に許容されるカチオン」とは、薬学的に許容される塩のカチオンを意味する。「薬学的に許容される塩」とは、生物学的にまたはそれ以外で望ましくないことがない化合物の生物学的有効性および特性を保持する塩を意味する。薬学的に許容される塩とは、その塩が当技術分野で周知の種々の有機および無機対イオンに由来し、ほんの一例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなどが挙げられる化合物の薬学的に許容される塩を意味し、分子が塩基性官能基を含有する場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの有機酸または無機酸の塩である。
【0048】
薬学的に許容される塩基付加塩は、無機および有機塩基から調製することができる。無機塩基由来の塩には、ほんの一例として、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウムおよびマグネシウム塩が挙げられる。有機塩基由来の塩には、それだけに限らないが、第一級、第二級および第三級アミンの塩(アルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン、置換されているアルキルアミン、ジ(置換アルキル)アミン、トリ(置換アルキル)アミン、アルケニルアミン、ジアルケニルアミン、トリアルケニルアミン、置換されているアルケニルアミン、ジ(置換アルケニル)アミン、トリ(置換アルケニル)アミン、シクロアルキルアミン、ジ(シクロアルキル)アミン、トリ(シクロアルキル)アミン、置換されているシクロアルキルアミン、二置換されているシクロアルキルアミン、三置換されているシクロアルキルアミン、シクロアルケニルアミン、ジ(シクロアルケニル)アミン、トリ(シクロアルケニル)アミン、置換されているシクロアルケニルアミン、二置換されているシクロアルケニルアミン、三置換されているシクロアルケニルアミン、アリールアミン、ジアリールアミン、トリアリールアミン、ヘテロアリールアミン、ジヘテロアリールアミン、トリヘテロアリールアミン、複素環式アミン、ジ複素環式アミン、トリ複素環式アミン、混合されたジおよびトリアミン(アミン上の置換基の少なくとも2個は異なり、アルキル、置換されているアルキル、アルケニル、置換されているアルケニル、シクロアルキル、置換されているシクロアルキル、シクロアルケニル、置換されているシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、複素環などからなる群から選択される)など)が挙げられる。2個または3個の置換基が、アミノ窒素と一緒になって、複素環またはヘテロアリール基を形成するアミンもまた含まれる。
【0049】
適切なアミンの例には、ほんの一例として、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエルチアミン、トリ(イソ-プロピル)アミン、トリ(n-プロピル)アミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、トロメタミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、N-アルキルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、N-エチルピペリジンなどが挙げられる。他のカルボン酸誘導体、例えば、カルボキサミド、低級アルキルカルボキサミド、ジアルキルカルボキサミドなどを含めたカルボン酸アミドは有用であることもまた理解すべきである。
【0050】
薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸および有機酸から調製しうる。無機酸由来の塩には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが挙げられる。有機酸由来の塩には、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、リンゴ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエン-スルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。
【0051】
化合物は、プロドラッグとして作用しうる。プロドラッグとは、このようなプロドラッグが哺乳動物対象に投与された場合、活性親薬剤をin vivoで放出する任意の化合物を意味する。プロドラッグは、修飾によってin vivoで切断されて親化合物を放出しうるような方法で存在する官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグは、ヒドロキシ、アミノ、またはスルフヒドリル基が、in vivoで切断されて、各々遊離ヒドロキシル、アミノ、またはスルフヒドリル基を再生しうる任意の基に結合している化合物を含む。プロドラッグの例には、それだけに限らないが、エステル(例えば、酢酸エステル、ギ酸エステル、および安息香酸エステル誘導体)、ヒドロキシ官能基のカルバメート(例えば、N,N-ジメチルアミノ-カルボニル)などが挙げられる。
【0052】
疾患を「治療する」または「治療」には、
(1)疾患を予防すること、すなわち疾患に曝されまたは疾患に感染しやすいが疾患の症状をまだ体験または示さない場合がある哺乳動物において、疾患の臨床症状を発現させないようにすること、
(2)疾患を阻害すること、すなわち、疾患またはその臨床症状の発現を抑制または減少させること、あるいは
(3)疾患を軽減すること、すなわち、疾患またはその臨床症状の退行をもたらすこと
が挙げられる。
【0053】
「治療有効量」とは、疾患を治療するために哺乳動物に投与される場合、疾患についてこのような治療をもたらすのに十分な化合物の量を意味する。「治療有効量」は、化合物、疾患、その重症度、および治療される哺乳動物年齢、体重などによって変わるであろう。
【0054】
化合物の医薬製剤
一般に、化合物は、これらの化合物についての受け入れられる投与方法のいずれかによって治療有効量で投与されるであろう。化合物は、それだけに限らないが、経口、非経口(例えば、皮下、硬膜下、静脈内、筋内、くも膜下腔内、腹腔内、脳内、動脈内、または病変内投与経路)、局所、鼻腔内、局在的(例えば、外科的用途または外科的坐薬)、直腸、および肺(例えば、エアゾール剤、吸入、または散剤)が挙げられる種々の経路によって投与することができる。したがって、これらの化合物は、注射用組成物および経口用組成物の両方として有効である。化合物は、注入またはボーラス注入によって連続投与することができる。化合物、すなわち、活性成分の実際の量は、疾患の重症度、すなわち、治療される状態または疾患、対象の年齢、および相対的健康、使用される化合物の効力、経路および投与形態、ならびに他の要因などのいくつかの要因によって決まるであろう。
【0055】
このような化合物の毒性および治療効力は、例えば、LD50(集団の50%に致死である用量)およびED50(集団の50%に治療的に有効である用量)を決定するために、細胞培養または実験動物において標準的な製薬手順によって決定することができる。毒性効果および治療効果の間の用量比は治療係数であり、比LD50/ED50として表現できる。
【0056】
細胞培養アッセイおよび動物研究から得たデータを、ヒトにおいて使用するための一連の投与量の製剤において使用することができる。このような化合物の投与量は、毒性が殆どないまたはまったくないED50を含めた循環濃度の範囲内にある。投与量は、用いる剤形および利用する投与経路によってこの範囲内で変化してもよい。使用される任意の化合物について、治療有効量は、最初に細胞培養アッセイから推定することができる。細胞培養において決定されるように、IC50(すなわち、症状の最大の半分の抑制を達成する試験化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するために、動物モデルにおいてある用量を製剤する。このような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。血漿におけるレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィーによって測定しうる。
【0057】
患者に投与される医薬組成物の量は、投与される物、予防または治療などの投与の目的、患者の状態、投与の方法などによって変化するであろう。治療への用途において、組成物は、疾患の症状およびその合併症を治癒または少なくとも部分的に抑制するのに十分な量で、すでに疾患を患っている患者に投与される。これを達成するのに適切な量は、「治療有効量」と定義される。この使用のために有効な量は、治療される疾患状態、ならびに炎症の重症度、患者の年齢、体重、および全身症状などの要因次第で担当の臨床医の判断によって決まるであろう。
【0058】
患者に投与される組成物は、上記に記載された24の医薬組成物の形態である。これらの組成物は、従来の滅菌法により滅菌してもよく、または滅菌濾過してもよい。このように得られた水溶液は、そのままで使用するためにパッケージングされ、または凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥された調製品は、投与の前に滅菌水性担体と合わせる。上記の賦形剤、担体、または安定剤のいくつかを使用することによって、医薬塩の形成がもたらされることが理解されるであろう。
【0059】
活性化合物は、広い投与量範囲にわたり有効であり、医薬有効量または治療有効量で一般に投与される。化合物の治療投与量は、例えば、治療が行われるための特定の使用、化合物の投与方法、患者の健康および状態、ならびに処方する医師の判断によって変化するであろう。例えば、静脈内投与のための用量は典型的には、体重1キログラム当たり約0.5mg〜約100mgの範囲である。有効用量は、in vitroまたは動物モデル試験系から得られた用量反応曲線から推定することができる。典型的には、臨床医は、所望の効果が達成される投与量に達するまで化合物を投与するであろう。
【0060】
医薬品として用いられる場合、化合物は、医薬組成物の形態で通常投与される。医薬組成物は、1種もしくは複数の薬学的に許容される担体または賦形剤と共に、活性成分として上記の化合物の1種もしくは複数を含有する。用いられる賦形剤は典型的には、ヒト対象または他の哺乳動物への投与に適したものである。組成物の作製において、活性成分は、通常賦形剤と混合され、賦形剤で希釈され、またはカプセル剤、サシェ剤、紙もしくは他の容器の形態の場合がある担体中に封入される。賦形剤が希釈剤としての機能を果たす場合、それは活性成分のためのビヒクル、担体、または媒体としての機能を果たす固体、半固体、または液体材料の場合がある。したがって、組成物は、錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、溶液剤、シロップ剤、エアゾール剤(固体としてまたは液体媒体中)、例えば10重量%までの活性化合物を含有する軟膏剤、軟質および硬質ゼラチンカプセル、坐薬、滅菌注射剤、ならびに滅菌パッケージ化された散剤の形態の場合がある。
【0061】
製剤の調製において、他の成分と合わせる前に適切な粒径を実現するために活性化合物を粉砕することが必要である場合がある。活性化合物が実質的に不溶性である場合、200メッシュ未満の粒径に通常粉砕される。活性化合物が実質的に水溶性である場合、粒径は通常、粉砕によって調製され(例えば、約40メッシュ)、製剤中に実質的に均一な分布が実現される。適切な賦形剤のいくつかの例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アラビアゴム、リン酸カルシウム、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、滅菌水、シロップ、およびメチルセルロースが挙げられる。製剤は、滑沢剤(タルク、ステアリン酸マグネシウム、および鉱油など)、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、保存料(メチルおよびプロピルヒドロキシ-ベンゾエートなど)、甘味剤、ならびに香味剤をさらに含むことができる。本発明の組成物は、当技術分野において公知の手順を用いることによって、患者に投与した後で活性成分の急速、持続、または遅延放出を実現するために製剤することができる。
【0062】
医薬組成物およびその単位剤形中の活性化合物の量は、特定の用途、態様または導入、特定化合物の効力、および所望の濃度次第で広範に変化または調節しうる。「単位剤形」という用語は、ヒト対象および他の哺乳動物のための単体の投与量として適した物理的に個別の単位を意味し、各単位は、適切な医薬賦形剤と共に、所望の治療効果を生じるように計算した所定の量の活物質を含有する。
【0063】
化合物は、滅菌生理食塩水などの適切な不活性担体中で、非経口投与のために製剤することができる。投与される用量は、投与経路によって決定されるであろう。
【0064】
静脈内製剤による治療剤の投与は、医薬品産業において周知である。静脈内製剤は、治療剤が可溶性である組成物であるのみだけでなく、特定の特性を有するべきである。例えば、製剤は活性成分(複数可)の全体的な安定性を助長するべきであり、また、製剤の製造は対費用効果が高くあるべきである。これらの要因のすべては、最終的に静脈内製剤の全体的な成功および有用性を決定する。
【0065】
医薬製剤および化合物に含みうる他の補助的添加剤は下記の通りである:溶媒:エタノール、グリセロール、プロピレングリコール;安定剤:EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、クエン酸;抗菌保存剤:ベンジルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン;緩衝剤:クエン酸/クエン酸ナトリウム、酒石酸水素カリウム、酒石酸水素ナトリウム、酢酸/酢酸ナトリウム、マレイン酸/マレイン酸ナトリウム、フタル酸水素ナトリウム、リン酸/リン酸二水素カリウム、リン酸/リン酸水素二ナトリウム;および張性調節剤:塩化ナトリウム、マンニトール、デキストロース。
【0066】
緩衝液の存在は、約4〜約8の範囲の水性pHを維持するために必要である。緩衝系は一般に、弱酸とその可溶性塩との混合物、例えば、クエン酸ナトリウム/クエン酸;または二塩基酸のモノカチオンもしくはジカチオン塩、例えば、酒石酸水素カリウム;酒石酸水素ナトリウム、リン酸/リン酸二水素カリウム、およびリン酸/リン酸水素二ナトリウムである。
【0067】
使用される緩衝系の量は、(1)所望のpH;および(2)薬物の量によって決まる。一般に、使用される緩衝液の量は、4〜8の範囲のpHを維持するための製剤の緩衝液:アレンドロネートの0.5:1〜50:1モル比(緩衝液のモルを、緩衝液成分、例えば、クエン酸ナトリウムおよびクエン酸の合わせたモルとして考えた場合)であり、一般に、存在する薬物に対して緩衝液(合わせた)の1:1〜10:1モル比が使用される。
【0068】
有用な緩衝液は、組成物の4〜6の水性pHを維持するのに十分な、クエン酸ナトリウム1ml当たり5〜50mgからクエン酸1ml当たり1〜15mg/mlの範囲のクエン酸ナトリウム/クエン酸である。
【0069】
緩衝剤はまた、溶解した金属イオン(例えば、Ca、Mg、Fe、Al、Baであり、ガラス容器またはゴム栓から浸出し、または通常の水道水中に存在しうる)との可溶性金属錯体の形成によって、薬物の沈殿を防止するために存在してもよい。緩衝剤は、薬物との競合的錯化剤として作用し、可溶性金属錯体を生じさせ、望ましくない微粒子の存在をもたらしうる。
【0070】
さらに、ヒト血液と同じ値に張性を調節するために、約1〜8mg/mlの量の薬剤、例えば、塩化ナトリウムが存在することは、赤血球の膨張または収縮(静脈内製剤の投与により悪心または下痢などの望ましくない副作用、および場合により関連する血液障害をもたらす)を防止するため必要でありうる。一般に、製剤の張性は、ヒト血液の張性と一致し、282〜288mOsm/kgの範囲であり、一般に285mOsm/kgであり、塩化ナトリウムの0.9%溶液に相当する浸透圧と同等である。
【0071】
静脈内製剤は、直接の静脈内注射、i.v.ボーラスによって投与することができ、または0.9%塩化ナトリウム注射液または他の適合性の輸液などの適切な輸液に加えることによって注入により投与することができる。
【0072】
組成物は、好ましくは単位剤形に製剤され、各投与量は、約5〜約100mg、さらに通常には約10〜約30mgの活性成分を含有する。「単位剤形」という用語は、ヒト対象および他の哺乳動物のための単体の投与量として適切な物理的に個別の単位を意味し、各単位は、適切な医薬賦形剤と共に、所望の治療効果を生じるように計算した所定の量の活物質を含有する。
【0073】
活性化合物は、広い投与量範囲にわたり有効であり、医薬有効量で一般に投与される。しかし、実際に投与される化合物の量は、治療される状態、選択した投与経路、投与する実際の化合物、個々の患者の年齢、体重、および反応、患者の症状の重症度などを含めた関連する状況を考慮して医師により決定されることは理解されるであろう。錠剤などの固体組成物を調製するために、主要な活性成分を医薬賦形剤と混合し、本発明の化合物の均一な混合物を含有する固体予備製剤組成物を形成させる。これらの予備製剤組成物が均質であると言及する場合、組成物を錠剤、丸剤およびカプセル剤などの同等に有効な単位剤形に容易にさらに分割しうるように、活性成分が組成物にわたって均等に分散していることを意味する。次いで、この固体予備製剤を、例えば、0.1〜約2000mgの活性成分を含有する上記のタイプの単位剤形にさらに分割する。
【0074】
錠剤または丸剤は、コーティングされ、またはそうでなければ配合され、持続性作用の利点が可能となる剤形を提供しうる。例えば、錠剤または丸剤は、内側の投与成分および外側の投与成分を含むことができ、後者は前者を覆うエンベロープの形態である。2つの成分は、胃内での崩壊に耐え、内側の成分が十二指腸にそのまま入るか、または放出が遅延するのを可能にする役割を果たす腸溶性層によって分離することができる。このような腸溶性層またはコーティングのために種々の材料を使用することができ、このような材料には、セラック、セチルアルコール、および酢酸セルロースなどのこのような材料と共にいくつかのポリマー酸およびポリマー酸の混合物が含まれる。
【0075】
経口または注射による投与のための新規な組成物を組み込みうる液体形態には、水溶液、適切に風味をつけたシロップ剤、水性または油性懸濁剤、および食用油(綿実油、ゴマ油、ヤシ油、または落花生油など)を有する風味をつけた乳剤、ならびにエリキシル剤、および同様の医薬ビヒクルが挙げられる。
【0076】
吸入または吹送のための組成物には、薬学的に許容される水性もしくは有機溶媒中の溶液剤および懸濁剤、またはその混合物、および散剤が挙げられる。液体または固体組成物は、上記のような適切な薬学的に許容される賦形剤を含有しうる。薬学的に許容される溶媒中の組成物を、不活性ガスを使用することによって噴霧してもよい。噴霧された溶液剤を、噴霧装置から直接呼吸してもよく、または噴霧装置をフェースマスク、テント、または断続的陽圧呼吸装置に装着してもよい。溶液剤、懸濁剤、または散剤組成物を、適切な態様で製剤を送達する装置から投与してもよい。
【0077】
化合物は、持続放出形態で投与することができる。持続放出調製品の適切な例には、化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが含まれ、そのマトリックスは、造形品の形態、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルである。持続放出マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、Langerら、J.Biomed.Mater.Res.15:167〜277頁(1981)およびLanger、Chem.Tech.12:98〜105頁(1982)によって記載されているようなポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L-グルタミン酸およびγエチル-L-グルタミン酸のコポリマー(Sidmanら、Biopolymers22:547〜556頁、1983)、非分解性エチレン-酢酸ビニル(Langerら、上記)、LUPRON DEPOT(商標)などの分解性乳酸-グリコール酸コポリマー(すなわち、乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドからなる注射可能なミクロスフィア)、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP133,988)が挙げられる。
【0078】
化合物は、活性成分の持続放出を可能にするような態様で製剤することができる持続放出形態、例えば蓄積注射、インプラント調製品、または浸透圧ポンプで投与することができる。持続放出製剤のためのインプラントは、当技術分野において周知である。インプラントは、生分解性または非生分解性ポリマーを有する、それだけに限らないが、ミクロスフィア、スラブなどとして製剤しうる。例えば、乳酸および/またはグリコール酸のポリマーは、宿主の耐容性が良好な侵食性ポリマーを形成する。
【0079】
経皮的な送達装置(「パッチ」)をまた使用してもよい。このような経皮パッチは、制御された量で化合物の持続または非持続注入を実現するために使用しうる。医薬品の送達のための経皮パッチの構成および使用は、当技術分野で周知である。例えば、参照により本明細書中に組み込まれている1991年6月11日に発行された米国特許第5,023,252号を参照されたい。このようなパッチは、医薬品の連続、拍動性、またはオンデマンド送達のために構成しうる。
【0080】
医薬組成物を脳に導入することが望ましいまたは必要な場合は、直接または間接の留置技術を使用してもよい。直接技術は通常、血液脳関門を迂回するための宿主の脳室系への薬物送達カテーテルの留置を伴う。体の特定の解剖学的領域への生物学的因子の輸送のために使用される1つのこのような植込み型送達系は、参照により本明細書中に組み込まれている米国特許第5,011,472号に記載されている。間接技術は通常、組成物を製剤し、親水性薬物の脂溶性薬物への変換によって薬物潜在化を実現することを伴う。潜在化は一般に、薬物上に存在するヒドロキシ、カルボニル、スルフェート、および第一級アミン基をブロックし、薬物をより脂溶性で、血液脳関門を越えて輸送されやすくすることにより達成される。代わりに、親水性薬物の送達は、過渡的に血液脳関門を開くことのできる高張溶液の動脈内注入によって増強しうる。
【0081】
血清半減期を高めるために、化合物は、カプセル化し、リポソームの内腔中に導入し、コロイドとして調製してもよく、または化合物の延長された血清半減期を実現する他の従来の技術を用いてもよい。例えば、Szokaら、米国特許第4,235,871号、同第4,501,728号および同第4,837,028号(これらの各々は参照により本明細書中に組み込まれている)に記載されているように、リポソームを調製するために種々の方法が利用可能である。
【0082】
医薬組成物は、種々の薬物送達システムにおける使用に適切である。本発明における使用に適切な製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences、Mace Publishing Company、Philadelphia、PA、第17版(1985)に見出される。
【0083】
提供する化合物および医薬組成物は、ウイルス感染症および関連する疾患の治療および予防に生物活性を示し、したがって、ヒトを含めた哺乳動物においてウイルス感染症および関連する疾患(出血熱ウイルスなど)の治療において有用性を有する。
【0084】
出血熱ウイルス(HFV)は、同様の臨床的特徴を有する種々の疾患の症候群をもたらすRNAウイルスである。潜在的な生物兵器として懸念されるHFVには、それだけに限らないが、アレナウイルス科(Arenaviridae)(フニン、マクポ、グアナリト、サビア、およびラッサ熱)、フィロウイルス科(Filoviridae)(エボラおよびマールブルグウイルス)、フラビウイルス科(黄熱病、オムスク出血熱およびキャサヌール森林病ウイルス)、ならびにブニヤウイルス科(Bunyaviridae)(リフトバレー熱およびクリミア-コンゴ出血性熱)が挙げられる。天然アレナウイルスおよび潜在的な人工的に作り出されたアレナウイルスは、大量の犠牲者についての最大の潜在力を有するそれらの媒介物の中にあるものとして疾病予防管理センターによるカテゴリーA病原体リストに含められる。
【0085】
危険因子には、アフリカまたはアジアへの旅行、動物の死体の処理、感染した動物もしくは人々との接触、および/または節足動物による刺咬が挙げられる。アレナウイルスは、感染した血液および/または分泌液と直接接触した後、感染性が高い。感染したげっ歯類との接触、感染した節足動物の刺咬、動物の死体との直接の接触、感染性のげっ歯類の排泄物の吸入および/またはげっ歯類の排泄物で汚染された食物の注入によって、ヒトは通常感染する。タカリベウイルスは、コウモリと関与してきた。出血熱の空気感染は、別の機序である。人対人の接触もまた、ある場合には起こりうる。
【0086】
出血熱のすべては、同様の臨床症状を示す。しかし一般に、臨床症状は、非特異的で変わりやすい。潜伏期は、約7〜14日である。発症は、熱および倦怠感、呼吸促迫、相対的徐脈、低血圧、循環性ショック、結膜感染症、咽頭炎、リンパ節症、脳炎、筋肉痛、背痛、頭痛およびめまい、ならびに皮膚の知覚過敏を伴い段階的である。幾人かの感染した患者は、出血性症状を発現しない場合がある。
【0087】
専門の実験室での診断方法には、抗原捕捉酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)による抗原検出、抗体捕捉酵素結合免疫吸着検定法によるIgM抗体検出、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、およびウイルス分離が挙げられる。(酵素結合免疫吸着検定法による)抗原検出および逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応は、緊急の臨床現場で最も有用な診断技術である。ウイルス分離は、生物学的安全性レベル4(BSL-4)の実験室を必要とするため価値は限定される。
【実施例1】
【0088】
本発明の化合物の抗デング-2活性の決定:
感受性で再現性のあるハイスループットスクリーニング(HTS)アッセイは、デングウイルスが誘発する細胞変性効果(CPE)を測定するために確立されてきた。完全なCPEを5日間で生じさせるのに必要なデングウイルスストックの量を決定するために、ベロ細胞単層を96ウェルプレート上に播種し、約0.001PFU/細胞〜0.1PFU/細胞の感染多重度(MOI)を表すデングウイルスストックの10倍段階希釈で感染させた。感染後5日で、培養物を5%グルタルアルデヒドで固定し、0.1%クリスタルバイオレットで染色した。ウイルスが誘発するCPEを、OD570にて分光測定で定量化した。この分析から、HTSアッセイにおいて使用するためデングウイルスストックの0.1PFU/細胞のMOIを選択した。96ウェルアッセイの信号雑音比(S/N)を確立し、ウェル毎およびアッセイ毎のばらつきを評価するために、5つの別個の実験を行った。ベロ細胞単層を、0.1PFU/細胞のデングウイルスストックで感染させた。各プレートは下記の対照を含み(4連のウイルス感染ウェル、4連の未感染細胞ウェル)、参照標準としてリバビリンについての500、250、125および62μMでの2連の用量反応曲線。感染後5日で、プレートを上記のように処理した。
【0089】
各ウェル中の最終濃度が5μM化合物および0.5%DMSOとなるように、化合物をDMSOに溶解し、媒体に希釈した。PerkinElmer MultiPROBE(登録商標)II HT PLUSロボットシステムを使用して、化合物を培地に機械的に加えた。化合物の添加に続いて、培養物をデングウイルス(DEN-2系統New Guinea C)で感染させた。5日間のインキュベーション後、プレートを処理し、PerkinElmer Envision IIプレートリーダーシステムでCPEを定量化した。
【0090】
これらの実験の結果は、96ウェルアッセイフォーマットがロバストで再現性のあることを示した。S/N比(細胞対照ウェル(信号)対ウイルス対照ウェル(雑音)の信号比)は、5.0±1.2であった。各々の個々のプレートについてウェル毎のばらつきを決定し、正の対照および負の対照ウェルの両方について10%未満の変異係数を有することが見出され、全体的アッセイ毎のばらつきは15%未満であった。このアッセイを使用して、リバビリンについてのEC50値を、各々125±25μMであると決定した。リバビリンのデングに対する有効性は使用する細胞型によって変化するが、得られた値はこの化合物についての公表された値の範囲内であった(2、14、32)。まとめると、これらの結果は、感受性の再現性のあるHTSアッセイが成功裏に開発され、デングウイルス複製の阻害剤のために、本発明者らの化合物ライブラリーが評価されることを示す。
【0091】
このアッセイは、デングウイルス阻害剤のためのハイスループットスクリーンの基礎であり、これに対して210,000種の化合物のライブラリーが試験された。デングウイルスが誘発するCPEを少なくとも50%阻害する化合物を、化学的な取り扱いやすさ、効力、および選択性についてさらに調査した。
【0092】
当初、化学的な取り扱いやすさについてヒット化合物の化学構造を調べた。化学的に取り扱いやすい化合物は、妥当な化学的方法論を使用して合成的に利用でき、化学的に安定した官能基および潜在的薬物様特性を有するものであると定義される。この医薬品化学のフィルターを通ったヒットを、それらの効力について評価した。広範囲の濃度にわたり阻害活性を評価することにより化合物の効力を決定した。非線形回帰を使用して、最適阻害曲線を作成し、50%有効濃度(EC50)を計算した。
【0093】
一次スクリーンにおいて活性であった化合物をまた、ウイルス収量アッセイにおける活性について試験した。下記の表1は、ウイルス収量アッセイにおいて一連の濃度でデング-2(New Guinea C系統)に対する活性について試験した化合物のいくつかを示す。12ウェルプレート中のベロ細胞を、上記のように、0.1の感染多重度(MOI)でデング-2ウイルスにより感染させ、化合物(または対照としてDMSO)で処理し、37℃でインキュベートし、感染48時間後に収集し、ベロ細胞上で滴定した。ExcelFitによりEC50を計算した。1μM未満の活性を有するそれらの化合物を「A」で示し、1〜10μMの活性を有するものを「B」で示し、10〜25μMの活性を有するものを「C」で示し、25μM超の活性を有するものを「D」で示す。
【0094】
【表1A】

【0095】
【表1B】

【0096】
【表1C】

【0097】
【表1D】

【0098】
【表1E】

【0099】
【表1F】

【0100】
【表1G】

【0101】
【表1H】

【0102】
【表1I】

【0103】
【表1J】

【0104】
【表1K】

【0105】
【表1L】

【0106】
【表1M】

【0107】
【表1N】

【0108】
【表1O】

【0109】
【表1P】

【0110】
【表1Q】

【0111】
【表1R】

【0112】
【表1S】

【0113】
[実施例2]
本発明の化合物の選択性または特異性の決定
上記の実施例1で同定されたように10μM未満の有効濃度でデング-2に対する活性を有するそれらの化合物を、ウイルス収量アッセイにおいてデングの各血清型に対する活性について試験し、EC50値を作成した(表2)。選ばれた化合物をまた、マウスのフラビウイルスであるモドック、およびペスチウイルスであるウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)を含めたフラビウイルス科の他のメンバーに対するより広範囲の活性について試験した。デングウイルスは、複数の細胞系において複製され、ベロ細胞において見出される活性が一貫性のあることを確実にすることができるため、選ばれた化合物をまた、ウイルス収量アッセイにおいてC6/36蚊細胞中でデング-2に対するそれらの有効濃度について試験した。
【0114】
【表2A】

【0115】
【表2B】

【0116】
本明細書において引用したすべての参照は、すべての目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0117】
本発明をその好ましい実施形態に関して記載してきたが、当業者は理解するであろうようにより広範に適用可能である。本発明の範囲は、下記の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0118】
[参考文献]






【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬学的に許容される担体と、下記の一般式Iを有する化合物または薬学的に許容されるその塩とを含む医薬組成物:
【化1】

[式中、R1およびR2は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、または置換されていないもしくは置換されているシクロアルキル、アリールアルキル、アリールであり、あるいはR1およびR2は、一緒になって、置換されているもしくは置換されていない環を形成することができ、前記環中に1個または複数のヘテロ原子を含んでもよく、
Arは、置換されているもしくは置換されていないアリールまたはヘテロアリールであり、前記シクロアルキル、アリールアルキル、およびアリール基置換基は、直鎖または分岐鎖のアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、ハロゲン、ポリフルオロアルキル、ポリフルオロアルコキシ、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、アミドアルキル、カルボキサミド、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、スルホンアミド、およびメルカプトからなる群から独立に選択される1種または複数の基(複数可)である]。
【請求項2】
R1が、エチルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
R2が、エチルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
Arが、一置換されているフェニルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記一置換されているフェニルが、アミド-フェニルである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記アミド-フェニルが、イソブチルアミドフェニル、p-[2-(4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセトアミド]-フェニルおよびp-[2-(4-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアジン-3-イル)-アセトアミド]-フェニルからなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
Arが、二置換されているフェニルである、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記二置換されているフェニルが、アミドとして1つの置換基およびメトキシとして他の置換基を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記二置換されているフェニルが、m-フェニル-アセトアミド-p-メトキシ-フェニルである、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
二置換されているフェニルが、m-(3-メチル-ブチルアミド)-p-メトキシ-フェニルである、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】
式Iの化合物が、N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセトアミド;N-(5-ジエチルスルファモイル-2-メトキシ-フェニル)-イソブチルアミド;N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(4-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアジン-3-イル)-アセトアミド;N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-プリン-7-イル)-アセトアミド;N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(4-オキソ-4H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-3-イル)-アセトアミド;2-(6-クロロ-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-N-[4-(イソプロピル-メチル-スルファモイル)-フェニル]-アセトアミド;2-(7-フルオロ-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-N-[4-(イソプロピル-メチル-スルファモイル)-フェニル]-アセトアミド;N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(1,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-フタラジン-2-イル)-アセトアミド;N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(1,3-ジオキソ-1H,3H-ベンゾ[de]イソキノリン-2-イル)-アセトアミド;N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(5,6-ジメチル-4-オキソ-4H-チエノ[2、3-d]ピリミジン-3-イル)-アセトアミド;N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(6-エチル-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-3-イル)-アセトアミド;N-(5-ジエチルスルファモイル-2-メチル-フェニル)-2-(7-ニトロ-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセトアミド;N-(5-ジエチルスルファモイル-2-メトキシ-フェニル)-2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-プリン-7-イル)-アセトアミド;N-(5-ジエチルスルファモイル-2-メトキシ-フェニル)-ブチルアミド;N-(5-ジエチルスルファモイル-2-メトキシ-フェニル)-3-メチル-ブチルアミド;N-(5-ジエチルスルファモイル-2-メトキシ-フェニル)-2-フェニル-アセトアミド;1-[2-(4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセチル]-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-スルホン酸ジエチルアミド;N-[4-(2,6-ジメチル-ピペリジン-1-スルホニル)-フェニル]-2-(4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセトアミド;N-[4-(3,5-ジメチル-ピペリジン-1-スルホニル)-フェニル]-2-(4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセトアミド;N-(5-ジエチルスルファモイル-2-メトキシ-フェニル)-2-(4-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアジン-3-イル)-アセトアミド;およびペンタン酸(5-ジエチルスルファモイル-2-メトキシ-フェニル)-アミドからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
式Iの化合物が、N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセトアミドである、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
ウイルス感染症またはそれと関連する疾患の治療または予防のための方法であって、それを必要としている哺乳動物に、下記の式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を治療有効量で投与するステップを含む方法:
【化2】

[式中、R1およびR2は、独立に、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、または置換されていないもしくは置換されているシクロアルキル、アリールアルキル、アリールであり、あるいはR1およびR2は、一緒になって、置換されているもしくは置換されていない環を形成することができ、前記環中に1個または複数のヘテロ原子を含んでもよく、
Arは、置換されているもしくは置換されていないアリールまたはヘテロアリールであり、前記シクロアルキル、アリールアルキル、およびアリール基置換基は、直鎖または分岐鎖のアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルコキシ、ハロゲン、ポリフルオロアルキル、ポリフルオロアルコキシ、カルボキシ、シアノ、ニトロ、アミド、アミドアルキル、カルボキサミド、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、スルホンアミド、およびメルカプトからなる群から独立に選択される1種または複数の基(複数可)である]。
【請求項14】
R1が、エチルである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
R2が、エチルである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
Arが、一置換されているフェニルである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記一置換されているフェニルが、アミド-フェニルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アミド-フェニルが、イソブチルアミドフェニル、p-[2-(4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセトアミド]-フェニルおよびp-[2-(4-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアジン-3-イル)-アセトアミド]-フェニルからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
Arが、二置換されているフェニルである、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記二置換されているフェニルが、アミドとして1つの置換基およびメトキシとして他の置換基を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記二置換されているフェニルが、m-フェニル-アセトアミド-p-メトキシ-フェニルである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
二置換されているフェニルが、m-(3-メチル-ブチルアミド)-p-メトキシ-フェニルである、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
式Iの化合物が、N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセトアミド;N-(5-ジエチルスルファモイル-2-メトキシ-フェニル)-イソブチルアミド;N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(4-オキソ-4H-ベンゾ[d][l,2,3]トリアジン-3-イル)-アセトアミド;N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-プリン-7-イル)-アセトアミド;N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(4-オキソ-4H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-3-イル)-アセトアミド;2-(6-クロロ-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-N-[4-(イソプロピル-メチル-スルファモイル)-フェニル]-アセトアミド;2-(7-フルオロ-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-N-[4-(イソプロピル-メチル-スルファモイル)-フェニル]-アセトアミド;N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(1,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロ-1H-フタラジン-2-イル)-アセトアミド;N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(1,3-ジオキソ-1H,3H-ベンゾ[de]イソキノリン-2-イル)-アセトアミド;N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(5,6-ジメチル-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-3-イル)-アセトアミド;N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(6-エチル-4-オキソ-4H-チエノ[2,3-d]ピリミジン-3-イル)-アセトアミド;N-(5-ジエチルスルファモイル-2-メチル-フェニル)-2-(7-ニトロ-4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセトアミド;N-(5-ジエチルスルファモイル-2-メトキシ-フェニル)-2-(1,3-ジメチル-2,6-ジオキソ-1,2,3,6-テトラヒドロ-プリン-7-イル)-アセトアミド;N-(5-ジエチルスルファモイル-2-メトキシ-フェニル)-ブチルアミド;N-(5-ジエチルスルファモイル-2-メトキシ-フェニル)-3-メチル-ブチルアミド;N-(5-ジエチルスルファモイル-2-メトキシ-フェニル)-2-フェニル-アセトアミド;1-[2-(4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセチル]-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-スルホン酸ジエチルアミド;N-[4-(2,6-ジメチル-ピペリジン-1-スルホニル)-フェニル]-2-(4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセトアミド;N-[4-(3,5-ジメチル-ピペリジン-1-スルホニル)-フェニル]-2-(4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセトアミド;N-(5-ジエチルスルファモイル-2-メトキシ-フェニル)-2-(4-オキソ-4H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアジン-3-イル)-アセトアミド;およびペンタン酸(5-ジエチルスルファモイル-2-メトキシ-フェニル)-アミドからなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
式Iの化合物が、N-(4-ジエチルスルファモイル-フェニル)-2-(4-オキソ-4H-キナゾリン-3-イル)-アセトアミドである、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
前記哺乳動物が、ヒトである、請求項13に記載の方法。
【請求項26】
前記ウイルス感染症が、フラビウイルス感染症である、請求項13に記載の方法。
【請求項27】
前記フラビウイルスが、デングウイルス、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス、日本脳炎ウイルス、およびダニ媒介脳炎ウイルスからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ウイルス感染症が、デング熱、黄熱病、西ナイル、セントルイス脳炎、C型肝炎、マレー渓谷脳炎、および日本脳炎からなる群から選択される疾患と関連する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ウイルスが、デングウイルスである、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記デングウイルスが、DEN-1、DEN-2、DEN-3、およびDEN-4からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記ウイルス感染症が、デング熱と関連する、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記デング熱が、古典的デング熱、デング出血熱症候群、およびデングショック症候群からなる群から選択される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
抗ウイルス剤、ワクチン、およびインターフェロンからなる群から選択される少なくとも1種の薬剤を同時投与するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項34】
前記抗ウイルス剤が、リバビリンである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記抗ウイルス剤が、シドフォビルである、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記インターフェロンが、ペグ化されている、請求項33に記載の方法。

【公表番号】特表2010−528051(P2010−528051A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−509565(P2010−509565)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2008/064662
【国際公開番号】WO2008/147962
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(509322904)シガ・テクノロジーズ・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】