説明

デンドリマーを結合させた基材

【課題】基材に結合された樹枝状材料を有する物品及びその物品を製造する方法を提供する。
【解決手段】アズラクトン官能性基材を提供する工程と、前記基材上のアズラクトン基と、ヒドロキシル基、第一アミノ基、及び/または第二アミノ基から選択された多求核性基を有する第1の求核性化合物とを反応させて、少なくとも1個の求核性末端基を有する基材−結合求核性化合物を形成させる工程と、前記基材−結合求核性化合物の求核性末端基と多アズラクトン基を有する第1のアズラクトン化合物とを反応させて、アズラクトン末端基を有する第1の樹枝状構造体を形成させる工程とを含む物品を製造する方法であって、前記第1の求核性化合物が少なくとも3個の求核性基を有するか、前記第1のアズラクトン化合物が少なくとも3個のアズラクトン基を有するか、またはその組み合わせであることを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
三次元球形状を有する樹枝状材料は当該技術分野で知られている。こうした材料は発散プロセスまたは収束プロセスを用いて調製することが可能である。発散プロセスでは、樹枝状材料は中心コアから構造を造ることにより調製される。収束プロセスでは、個々の分岐は一緒に接続されて樹枝状材料を形成させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
基材に共有結合された樹枝状材料の例は殆どない。これらの物品は、予め調製された樹枝状材料を基材に接着させることにより普通は調製される。
【課題を解決するための手段】
【0003】
樹枝状材料を結合させた基材を含む物品が提供される。得られた樹枝状材料は、例えば、イオン交換サイトまたは親和性捕捉サイトとして機能することができる反応性末端基を普通は有する。基材の表面から発散プロセスを用いて形成されるとともに延長され得る樹枝状構造体は、混合物からの1種以上の化合物の分離または精製のために用いることが可能である。
【0004】
第1の態様において、樹枝状構造体を有する物品を製造する方法が提供される。1つの方法において、物品は、アズラクトン官能性基材を提供する工程と、前記基材上のアズラクトン基と、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された多求核性基を有する第1の求核性化合物とを反応させて、少なくとも1個の求核性末端基を有する基材−結合求核性化合物を形成させる工程と、その後、基材−結合求核性化合物の求核性末端基と多アズラクトン基を有する第1のアズラクトン化合物とを反応させて、アズラクトン末端基を有する第1の樹枝状構造体を形成させる工程とによって調製される。樹枝状構造体を形成させるために、第1の求核性化合物は少なくとも3個の求核性基を有するか、第1のアズラクトン基は少なくとも3個のアズラクトン基を有するか、またはその組み合わせである。アズラクトン官能性基材は式IIIで表される。
【化1】

式IIIにおいて、pは0または1の整数であり、R1およびR2は独立してアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキルから選択されるか、またはR1およびR2は、R1およびR2が結合されている炭素原子と合一して炭素環を形成させる。説明を容易にするために、式IIIが基材に結合された1個だけのアズラクトン基を示しているけれども、典型的には、多アズラクトン基が基材に結合される。
【0005】
もう1つの方法において、物品は、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された求核性基を結合させた基材を提供する工程と、基材に結合された求核性基と多アズラクトン基を有する第1のアズラクトン化合物とを反応させて、少なくとも1個のアズラクトン末端基を有する基材−結合アズラクトン化合物を形成させる工程と、その後、基材−結合アズラクトン化合物のアズラクトン末端基と、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された多求核性基を有する第1の求核性化合物とを反応させて、求核性末端基を有する第1の樹枝状構造体を形成させる工程とによって調製される。樹枝状構造体を形成させるために、第1のアズラクトン化合物は少なくとも3個のアズラクトン基を有するか、第1の求核性化合物は少なくとも3個の求核性基を有するか、またはその組み合わせである。
【0006】
更にもう1つの方法において、物品は、式IIIによるアズラクトン官能性基材を提供する工程と、その後、前記基材に結合されたアズラクトン基と、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された求核性基を有する樹枝状材料とを反応させる工程とによって調製される。
【0007】
もう1つの態様は樹枝状構造体を有する物品を提供する。こうした物品は、基材と、延長基を有する樹枝状材料と、基材に樹枝状材料を結合させるための結合基とを含む。延長基は式XXVで表される。
【化2】

式XXVにおいて、nは少なくとも2の整数であり、pは0または1の整数であり、TはオキシまたはNRb(但し、Rbは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはアラルキルから選択される)であり、R1およびR2は独立してアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキルから選択されるか、またはR1およびR2は、R1およびR2が結合されている炭素原子と合一して炭素環を形成させ、Dはnに等しい原子価を有する連結基であって、少なくとも1個の炭素原子を含む連結基である。
【0008】
他の物品は、基材と、樹枝状材料と、基材に樹枝状材料を接続させる二価結合基とを含む。結合基は式IIで表される。
【化3】

式中、pは0または1の整数であり、R1およびR2は独立してアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキルから選択されるか、またはR1およびR2は、R1およびR2が結合されている炭素原子と合一して炭素環を形成させる。
【0009】
上の発明の概要は、本発明の開示された各実施形態もあらゆる実施も記載することを意図していない。以下に続く詳細な説明はこれらの実施形態をより詳しく例示している。
【発明を実施するための形態】
【0010】
物品および物品を製造する方法が提供される。物品は基材に結合された樹枝状材料を有する。樹枝状材料、基材に樹枝状材料を接続させる結合基または樹枝状材料と結合基の両方は、ヒドロキシル基、第一アミノ基または第二アミノ基などの求核性基によるアズラクトン基の開環反応によって形成させることが可能である。
【0011】
定義
本明細書で用いられる単数形(「a」、「an」および「the」)という用語は、記載されている要素の1つ以上を意味する「少なくとも1つ」と合わせて同義的に用いられる。
【0012】
本明細書で用いられる「結合基」という用語は、基材に樹枝状材料を連結させる二価基を意味する。
【0013】
本明細書で用いられる「樹枝状材料」という用語は、少なくとも1個の分岐基を有する三次元化学部分を意味する。
【0014】
本明細書で用いられる「樹枝状構造体」という用語は、基材と基材に結合された樹枝状材料とを含む物品を意味する。
【0015】
本明細書で用いられる「分岐基」という用語は、樹枝状材料または樹枝状構造体の中で分子鎖を少なくとも2つの分子鎖に分割する基を意味する。
【0016】
本明細書で用いられる「延長基」という用語は、樹枝状材料または樹枝状構造体の中の分子鎖を延長させる基を意味する。延長基は、例えば、1つの樹枝状材料または樹枝状構造体の末端基と分子鎖の長さを延長させる化合物とを反応させることにより形成される。幾つかの延長基は分岐基である(すなわち、分子鎖は延長と分岐の両方を受ける)。
【0017】
本明細書で用いられる「末端基」という用語は、樹枝状材料または樹枝状構造体の末端に位置する基を意味する。幾つかの実施形態において、末端基は更なる化学反応を受けることが可能である。適する末端基には、アズラクトン基、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基および酸基などが挙げられるが、それらに限定されない。
【0018】
本明細書で用いられる「アズラクトン基」または「Az」という用語は式Iの一価基を意味する。
【化4】

式中、pは0または1の整数であり、R1およびR2はそれぞれ独立して水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキルから選択されるか、またはR1およびR2は、R1およびR2が結合されている炭素原子と合一して炭素環を形成させる。
【0019】
本明細書で用いられる「ポリマー」という用語は、ホモポリマー(1種のモノマーの反応生成物である高分子材料)またはコポリマー(少なくとも2種の異なるモノマーの反応生成物である高分子材料)である高分子材料を意味する。
【0020】
本明細書で用いられる「アルキル」という用語は、飽和されているとともに1〜18個の炭素原子を有する一価炭化水素基を意味する。アルキル基は、直鎖、分岐または環式であることが可能である。幾つかの例において、アルキル基は直鎖または分岐であり、1〜12個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子または1〜4個の炭素原子を有する。他の例において、アルキルは環式であり、3〜12個の炭素原子を有する。幾つかの例示的なシクロアルキル基は、3〜10個、3〜6個または4〜6個の炭素原子を有する。
【0021】
本明細書で用いられる「ヘテロアルキル」という用語は、飽和されているとともに、O、SまたはNRb(但し、Rbは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはアラルキルである)から選択された少なくとも1個のカテナリーヘテロ原子によって分離された少なくとも2個の炭素原子を有する一価基を意味する。ヘテロアルキル基は、直鎖、分岐または環式であることが可能である。幾つかの例において、ヘテロアルキル基は、2〜18個の炭素原子と1〜6個のヘテロ原子、2〜12個の炭素原子と1〜5個のヘテロ原子、2〜10個の炭素原子と1〜4個のヘテロ原子、2〜8個の炭素原子と1〜3個のヘテロ原子または2〜6個の炭素原子と1〜2個のヘテロ原子を有する。
【0022】
本明細書で用いられる「アリール」という用語は、複素環式芳香族基と炭素環式芳香族基の両方を意味する。アリールは1個以上の連結環または縮合環を有することが可能である。幾つかの例示的なアリール基は、O、SまたはNRb(但し、Rbは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはアラルキルである)から選択された0〜3個のヘテロ原子を有する5員環構造〜12員環構造を有する。
【0023】
本明細書で用いられる「アラルキル」という用語は、アリール基で置換されているアルキル基を意味する。
【0024】
本明細書で用いられる「アズラクトン化合物」という用語は、少なくとも1個のアズラクトン基を有する化合物を意味する。幾つかのアズラクトン化合物は、2〜10個、3〜10個、2〜8個、3〜8個、2〜6個、3〜6個、2〜4個、または3個のアズラクトン基などの多アズラクトン基を有する。
【0025】
本明細書で用いられる「求核性基」という用語は、ヒドロキシル基、第一アミノ基または第二アミノ基を意味する。
【0026】
本明細書で用いられる「求核性化合物」という用語は、少なくとも1個の求核性基を有する化合物を意味する。幾つかの求核性化合物は、2〜10個、3〜10個、2〜8個、3〜8個、2〜6個、3〜6個、2〜4個、または3個の求核性基などの多求核性基を有する。
【0027】
本明細書で用いられる「ヒドロキシル」という用語は式−OHの一価基を意味する。
【0028】
本明細書で用いられる「オキシ」という用語は式−O−の二価基を意味する。
【0029】
本明細書で用いられる「第一アミノ基」という用語は式−NH2の一価基を意味する。
【0030】
本明細書で用いられる「第二アミノ基」という用語は式−NHRa(但し、Raはアルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはアラルキルである)の一価基を意味する。
【0031】
本明細書で用いられる「アズラクトン官能性基材」という用語は、求核性基と反応できるアズラクトン基を共有結合させた基材を意味する。
【0032】
本明細書で用いられる「Az1」という用語は、開環反応を受けたアズラクトン基を意味する。Az1基は式IIの二価基である。
【化5】

式中、pは0または1の整数であり、R1およびR2はそれぞれ独立して水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキルから選択されるか、またはR1およびR2は、R1およびR2が結合されている炭素原子と合一して炭素環を形成させる。
【0033】
物品を製造する方法
基材と、樹枝状材料と、基材に樹枝状材料を共有結合させる結合基とを含む物品を製造する方法が提供される。樹枝状材料、結合基またはその両方は、求核性基によるアズラクトン基の開環反応を用いて形成させることが可能である。
【0034】
第1の態様において、物品は、アズラクトン官能性基材上のアズラクトン基と多求核性基を有する第1の求核性化合物とを反応させて、少なくとも1個の求核性末端基を有する基材−結合求核性化合物を形成させる工程と、基材−結合求核性化合物の求核性末端基と多アズラクトン基を有する第1のアズラクトン化合物とを反応させて、アズラクトン末端基を有する第1の樹枝状構造体を形成させる工程とによって調製される。樹枝状構造体を形成させるために、第1のアズラクトン化合物または第1の求核性化合物の少なくとも一方は少なくとも3個の反応性基を有する。
【0035】
アズラクトン官能性基材は式IIIによって表すことが可能である。
【化6】

式中、pは0または1の整数であり、R1およびR2は独立してアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキルから選択されるか、またはR1およびR2は、R1およびR2が結合されている炭素原子と合一して炭素環を形成させる。式IIIは前記反応および以下の式において「基材−Az」として表すことが可能である。説明を容易にするために、式IIIが基材に結合された1個だけのアズラクトン基を示しているけれども、典型的には、多アズラクトン基が基材に結合される。
【0036】
式IIIの幾つかの実施形態において、アルキル基は、1〜18個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、3〜12個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、3〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、3〜6個の炭素原子または1〜4個の炭素原子を有し、ヘテロアルキル基は、2〜18個の炭素原子と1〜6個のヘテロ原子、2〜12個の炭素原子と1〜5個のヘテロ原子、2〜10個の炭素原子と1〜4個のヘテロ原子、2〜8個の炭素原子と1〜3個のヘテロ原子または2〜6個のヘテロ原子と1〜2個のヘテロ原子を有する。アリール基は、2〜12個の炭素原子と0〜3個のヘテロ原子、3〜12個の炭素原子と0〜2個のヘテロ原子または4〜12個の炭素原子と0〜1個のヘテロ原子を有する。アラルキル基は、3〜15個の炭素原子と0〜3個のヘテロ原子、4〜15個の炭素原子と0〜2個のヘテロ原子または5〜15個の炭素原子と0〜1個のヘテロ原子を有する。炭素環は、5〜12個の炭素原子、5〜10個の炭素原子または5〜8個の炭素原子を有する。適するヘテロ原子には、O、SまたはNRb(但し、Rbは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはアラルキルである)が挙げられる。
【0037】
式IIIによる幾つかの例示的なアズラクトン官能性基材において、pは0に等しく(すなわち、アズラクトン基は5員環である)、R1とR2の両方はアルキル基である。より特定の例において、pは0に等しく、R1とR2の両方はメチル基である。
【0038】
樹脂状材料をアズラクトン官能性基材(すなわち、反応機構Aにおける基材−Azまたは式III)に結合させるために、基材の表面上のアズラクトン基は第1の求核性化合物Q(TH)rと反応させることが可能である。式Q(TH)rにおいて、rは2以上の整数である。THはヒドロキシル基または式−NHRb(但し、Rbは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはアラルキルから選択される)のアミノ基から選択された求核性基である。Qはrに等しい原子価を有する第1の求核性化合物の残基である。Qは、求核性基ではないとともに少なくとも2個の炭素原子をしばしば含む第1の求核性化合物の当該部分である。第1の求核性化合物Q(TH)rの求核性基とアズラクトン官能性基材(すなわち基材−Az)との1つの反応は、反応機構Aで示したようにアズラクトン環の開環および基材−結合求核性化合物(すなわち、基材−Az1−T−Q(TH)r-1または式IV)の形成をもたらす。アズラクトン官能性基材が典型的には多結合アズラクトン基を有するけれども、説明を容易にするために、1個だけの基を以下の式において示している。
【化7】

【0039】
反応機構Aにおいて、Az1という用語は開環反応を受けたアズラクトン基を意味する。基材に結合されている式IVの二価基Az1は基材への第1の求核性化合物Q(TH)rの結合基として機能する。結合基は式IIの基である。
【化8】

基R1およびR2は独立してアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキルから選択されるか、またはR1およびR2は、R1およびR2が結合されている炭素原子と合一して炭素環を形成させる。pは0または1に等しい整数である。カルボニル基の1つは、普通は基材に結合され、他のカルボニル基は、オキシまたはNRb(但し、Rbは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはアラルキルである)などの二価基にしばしば結合される。
【0040】
式IVの基材−結合求核性化合物は、多アズラクトン基を有する第1のアズラクトン化合物と反応して、式Vの第1の樹枝状構造体を形成させることが可能である。第1のアズラクトン化合物は式D(Az)n(式中、nは少なくとも2に等しい整数である)の化合物である。樹枝状構造体を提供するために、第1の求核性化合物または第1のアズラクトン化合物の少なくとも一方は、少なくとも3個の反応性基を有する。すなわち、第1の求核性化合物が少なくとも3個の求核性基を有するか、第1のアズラクトン化合物が少なくとも3個のアズラクトン基を有するか、またはその組み合わせである。
【0041】
樹枝状構造体を形成するとともに延長させるために用いることが可能である求核性化合物は少なくとも2個の求核性基を有する。本明細書で用いられる式Q(TH)rは第1の求核性化合物のために用いられ、式Q1(TH)rは第2の求核性化合物のために用いられ、式Q2(TH)rは第3の求核性化合物のために用いられる。第1、第2、第3および他の求核性化合物は同じかまたは異なることが可能である。求核性化合物のためのこれらの式において、rは少なくとも2に等しい整数であり、基Q、Q1およびQ2は求核性基ではない求核性化合物の当該部分を表す。基Q、Q1およびQ2はrに等しい原子価を有し、しばしば少なくとも2個の炭素原子を有する。典型的には、求核性化合物は、2〜10個、2〜8個、2〜6個、2〜4個または3個の求核性基を有する。3個以上の求核性基を有する求核性化合物の使用は樹枝状構造体の中に分岐サイトの形成をもたらす。
【0042】
2個のアミノ基を有する、適する求核性化合物には、エチレンジアミン、N−メチルエチレンジアミン、ピペラジン、N−(2−アミノエチル)−ピペラジン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、ベンゼンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ヒドラジン(例えば、式中、Qは単結合である)およびヒドラジン誘導体(例えば、アジピンジヒドラジド)が挙げられるが、それらに限定されない。3個のアミノ基を有する、適する求核性化合物には、トリス(2−アミノエチル)アミン、ビス−(2−アミノエチル)アミン(ジエチレントリアミン)、トリス−N,N’,N”−(イソプロピル−2−アミノエチル)アミン、1,3,5−ベンゼントリアミンおよび1,3,5−シクロヘキサントリアミンが挙げられるが、それらに限定されない。3個を上回るアミノ基を含む求核性化合物には、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ペンタエチレンヘキサアミン、シクレン(1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン)、シクラム(1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン)およびヘキサシクレン(1,4,7,10,13,16−ヘキサアザシクロオクタデカン)が挙げられる。
【0043】
多ヒドロキシル基を有する、適する求核性化合物には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、2,2’−チオジエタノール、ビスフェノールA、トリエタノールアミンおよびテトラメチレンビスヒドロキサム酸が挙げられるが、それらに限定されない。
【0044】
アミノ基とヒドロキシル基の両方を含む求核性化合物には、2−ヒドロキシエチルアミン、3−ヒドロキシプロピルアミン、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン、1,2−ジヒドロキシ−3−アミノプロパン、1−ヒドロキシ−6−アミノヘキサン、ビス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、ジグリコールアミン、1−アミノ−3,5−ジヒドロキシシクロヘキサン、1−アミノ−3,5−ジヒドロキシベンゼン、N,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、N−ヒドロキシエチルピペラジン、2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、4−アミノブタノール、ヒドロキシルアミンおよび2−アミノ−2−メチル−2,3−プロパンジオールが挙げられるが、それらに限定されない。
【0045】
幾つかの求核性化合物は生体活性化合物である。本明細書で用いられる「生体活性化合物」という用語は、生体的、免疫的、生理的または薬剤的に活性である材料を意味する。生体活性化合物を求核性化合物として用いる時、樹枝状構造体は、典型的にはもう1つのアズラクトン化合物との反応によって更に延長されない。適する生体活性化合物には、抗体、抗原、酵素、補助因子、抑制因子、レクチン、ホルモン、レセプタ、凝固因子、蛋白質、ペプチド、DNA断片、RNA断片、ヒストン、ビタミン、薬剤および細胞表面マーカーなどが挙げられるが、それらに限定されない。
【0046】
樹枝状構造体を形成させるとともに延長させるために用いることが可能であるアズラクトン化合物には、少なくとも2個のアズラクトン基を有する化合物が挙げられる。本明細書で用いられる式D(Az)nは第1のアズラクトン化合物のために用いることが可能であり、式D1(Az)nは第2のアズラクトン化合物のために用いることが可能であり、式D2(Az)nは第3のアズラクトン化合物のために用いることが可能である。第1、第2、第3および他のアズラクトン化合物は同じかまたは異なることが可能である。アズラクトン化合物のためのこれらの式において、nは少なくとも2に等しい整数であり、基D、D1およびD2は、アズラクトン基ではないアズラクトン化合物の当該部分を表す。基D、D1およびD2は少なくとも1個の炭素原子およびnに等しい原子価を有する。しばしば、アズラクトン化合物は、2〜10個、2〜8個、2〜6個、2〜4個または3個のアズラクトン基を有する。3個以上のアズラクトン基を有するアズラクトン化合物の使用は樹枝状構造体の中に分岐サイトの形成をもたらす。
【0047】
多アズラクトン基を有する、適するアズラクトン化合物は、米国特許第4,485,236号明細書(ラスムセン(Rasmussen)ら)、同第5,268,473号明細書(モレン(Moren)ら)、同第5,149,806号明細書(モレン(Moren)ら)、同第5,081,197号明細書(ヘイルマン(Heilmann)ら)および同第5,292,514号明細書(カペッチ(Capecchi)ら)に更に記載されている。2個のアズラクトン基を有する例示的なアズラクトン化合物には、1,2−ビス[2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチルチオ]エタン、1,5−ビス[2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチルチオ]−3−オキサペンタン、1,10−ビス[2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチルチオ]−4,7−ジオキサデカン−3,8−ジオン、1,5−ビス[2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)−2−メチルエチルチオ]−3−オキサペンタン、1,5−ビス[2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチルチオ]−3−オキサペンタン、1,5−ビス[2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチルチオ]−3−チアペンタン、1,5−ビス[2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチル−N−メチルアミノ]−3−オキサペンタン、α,ω−ビス[5−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチルチオ]−3−アザ−3−(2−シアノエチル)−2−メチルペンチル)ポリ(オキシプロピレン)および1,8−ビス[2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチルチオ]−3,6−ジオキサオクタン−2,7−ジオンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0048】
3個のアズラクトン基を有する例示的なアズラクトン化合物には、1,3,5−トリス[2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチル]トリアジン−2,4,6−トリオンなどの
【化9】

トリス[[2−[N−2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチル−N−イソプロピル]−2−アミノ]エチル]アミンなどの
【化10】

N,N’,N”−トリス−2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチル−ビス−(N,N”−イソプロピル−2−アミノエチル)アミンなどの
【化11】

1,1,1−トリス[[2−[2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチルチオ]メチルカルボニルオキシメチル]]プロパンなどの
【化12】

1,1,1−トリス[[2−[2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチルチオ]エチルカルボニルオキシメチル]]プロパンなどの
【化13】

およびトリス−[2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチル]ニトロメタンなどの
【化14】

が挙げられるが、それらに限定されない。
【0049】
4個のアズラクトン基を有する例示的なアズラクトン化合物には、
テトラキス−[[2−[2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチルチオ]エチルカルボニルオキシメチル]]メタンなどの
【化15】

およびテトラキス−[[2−[2−(4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン−2−イル)エチルチオ]メチルカルボニルオキシメチル]]メタンなどの
【化16】

が挙げられるが、それらに限定されない。
【0050】
反応機構Aの結果として、基材に結合されたアズラクトン基の数(すなわち、式Vのアズラクトン末端基は基材に間接的に結合される)を増やすことが可能である。基材の表面上の1個のアズラクトン基から生じる式Vによる物品上のアズラクトン末端基の理論数は積(r−1)(n−1)に等しい。例えば、第1の求核性化合物が2個の求核性基(すなわちQ(TH)2)を有し、且つ第1のアズラクトン化合物が3個のアズラクトン基(すなわちD(Az)3)を有する場合、式Vの第1の樹枝状構造体は、基材の表面上の単一アズラクトン基から生じる2個のアズラクトン末端基を有することが可能である。こうした構造を式Xで概略的に示している。
【化17】

第1の求核性化合物が3個の求核性基(すなわちQ(TH)3)を有し、且つ第1のアズラクトン化合物が3個のアズラクトン基(すなわちD(Az)3)を有する場合、第1の樹枝状構造体は、基材の表面上の単一アズラクトン基から生じる4個のアズラクトン末端基を有することが可能である。こうした樹枝状構造体を式XIで概略的に示している。
【化18】

【0051】
アズラクトン末端基を有する第1の樹枝状構造体(例えば、式Xおよび式XI)は、多求核性基を有する第2の求核性化合物Q1(TH)rと反応して、求核性末端基を有する第2の樹枝状構造体を形成させることにより更に延長させることが可能である。例えば、結合基ごとに4個の求核性末端基(すなわち、基材の表面上の単一アズラクトン基から生じる4個の求核性末端基が存在する)を有する樹枝状構造体は、式XIの第1の樹枝状構造体と式Q1(TH)2の第2の求核性化合物との反応によって形成させることが可能である。こうした第2の樹枝状構造体を式XIIで示している。
【化19】

同様に、式Xの第1の樹枝状構造体と式Q1(TH)2の第2の求核性化合物との反応によって形成された第2の樹枝状構造体は、基材の表面上の単一アズラクトン基から生じる2個の求核性末端基を有することが可能である。
【0052】
アズラクトン末端基を有する樹枝状構造体と2個の求核性基を有する求核性化合物との反応は樹枝状構造体を延長させるが、樹枝状材料の分岐を増やさない。しかし、第1の樹枝状構造体が少なくとも3個の求核性基を有する求核性化合物との反応によって延長される場合、得られた第2の樹枝状構造体は第1の樹枝状構造体より高い分岐度を有する。
【0053】
結合基ごとに8個の求核性基を有する樹枝状構造体は、式XIの第1の樹枝状構造体と式Q1(TH)3の第2の求核性化合物との反応によって形成させることが可能である。こうした樹枝状構造体を式XIIIで示している。
【化20】

同様に、式Xの第1の樹枝状構造体と式Q1(TH)3の第2の求核性化合物との反応によって形成された第2の樹枝状構造体は、基材の表面上の単一アズラクトン基から生じる4個の求核性基を有することが可能である。第1の求核性化合物は第2の求核性化合物と同じかまたは異なることが可能である。
【0054】
あるいは、アズラクトン末端基を有する第1の樹枝状構造体(例えば、式Xおよび式XI)は、求核性基から選択された第1の官能基および酸性基を含む第2の官能基を有する多官能性化合物との反応によって更に延長させることが可能である。多官能性化合物は、式M(TH)x(Gy)(式中、Gは酸性基であり、THは、ヒドロキシル基、第一アミノ基または第二アミノ基から選択された求核性基であり、xは1以上の整数であり、yは1以上の整数であり、Mは多官能性化合物の残基(すなわち、求核性基でも酸性基でもない化合物の当該部分)を表す)によって表すことが可能である。基Mは少なくとも1個の炭素原子およびxとyの合計に等しい原子価を有する。適する酸末端基は、カルボン酸、ホスホン酸、スルホン酸またはそれらの塩から選択することが可能である。多官能性化合物の求核性基は第1の樹脂状構造のアズラクトン基と反応し、アズラクトン環の開環および酸性基を有する第2の樹枝状構造体をもたらす。例えば、式XIの第1の樹枝状構造体を1個の求核性基および1個の酸性基を有する多官能性化合物(すなわち、M(TH)(G))と反応させる場合、式XIVaは得られた第2の樹枝状構造体を表している。
【化21】

【0055】
式M(TH)x(Gy)の適する多官能性化合物には、グリシン、アラニン、リシン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、プロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、タウリン、2−アミノエチルホスホン酸、グルタミンなどのアミノ酸、ヒドロキシエタンスルホン酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、6−ヒドロキシヘキサン酸、グリセリン酸、グリコール酸およびN−ホスホノメチルグリシンなどヒドロキシ酸が挙げられる。
【0056】
もう1つの代替方法として、アズラクトン末端基を有する第2の樹枝状構造体(例えば、式XおよびXI)は、式J(TH)(式中、THは、ヒドロキシル基、第一アミノ基または第二アミノ基から選択された求核性基であり、Jは末端封止化合物の残基(すなわち、Jは、求核性基を除く末端封止化合物の当該部分である)である)の末端封止化合物と更に反応することが可能である。例えば、式XIの第1の樹枝状構造体をこうした末端封止化合物と反応させる場合、式XIVbは得られた第2の樹枝状構造体を表している。
【化22】

【0057】
末端封止化合物によるアズラクトン基の開環反応によって形成された式XIVbの樹枝状構造体は、もう1つのアズラクトン化合物との後続の反応によって普通は更に延長されない。末端封止基J(TH)の求核性基は、末端封止化合物を樹枝状構造体に共有結合させるために用いられ、残基Jは、しばしばもう1つの機能を提供する。例えば、式J(TH)の末端封止化合物は、染料、触媒または試薬であることが可能である。すなわち、得られた樹枝状構造体は、染料、触媒または試薬を結合させている。あるいは、結合された末端封止化合物は、クロマトグラフ分離のために有用な配位子であることが可能である。Jが第三アミノ基を含む場合、結合された末端封止化合物はアニオン交換分離のための配位子として機能することが可能である。Jがアルキル基またはアリール基を含む場合、結合された末端封止化合物は疎水性相互作用分離のための配位子を提供することが可能である。Jが生体高分子に関する親和性を有する基を含む場合、結合された末端封止化合物は親和性分離のための配位子を提供することが可能である。
【0058】
求核性末端基を有する第2の樹枝状構造体(例えば、式XIIまたはXIII)は、多アズラクトン基を有する第2のアズラクトン化合物D1(Az)nと反応させて、アズラクトン末端基を有する第3の樹枝状構造体を形成させることにより更に延長させることが可能である。例えば、式XIIの第2の樹枝状構造体を3個のアズラクトン基を有する第2のアズラクトン化合物D1(Az)3と反応させる場合、式XVに示した以下の第3の樹枝状構造体を形成することが可能である。
【化23】

すなわち、基材上の1個のアズラクトン基を用いて、8個のアズラクトン末端基を有する樹枝状構造体を調製することが可能である。第2のアズラクトン化合物は第1のアズラクトン化合物と同じかまたは異なることが可能である。
【0059】
アズラクトン末端基を有する第3の樹枝状構造体(例えば式XV)は、アズラクトン末端基と多求核性基を有する第3の求核性化合物Q2(TH)rとを反応させて、求核性末端基を有する第4の樹枝状構造体を形成させることにより更に延長させることが可能である。例えば、式XVの第3の樹枝状構造体は、2個の求核性基を有する求核性化合物Q2(TH)2と反応させて、求核性末端基を有する式XVIの第4の樹枝状構造体を形成させることが可能である。
【化24】

【0060】
求核性基を有する第4の樹枝状構造体(例えば式XVI)は、多アズラクトン基を有する第3のアズラクトン化合物D2(Az)nと反応させて、アズラクトン末端基を有する第5の樹枝状構造体を形成させることにより更に延長させることが可能である。第5の樹枝状構造体は、アズラクトン末端基と、多求核性基を有する第4の求核性化合物とを反応させて、求核性末端基を有する第6の樹枝状構造体を形成させることにより更に延長させることが可能である。追加の樹枝状構造体は、求核性末端基と、多アズラクトン基を有するアズラクトン化合物とを逐次反応させて、アズラクトン末端基を有する樹枝状構造体を形成させ、アズラクトン末端基と、多求核性基を有する求核性化合物とを反応させて、求核性末端基を有する樹枝状構造体を形成させ、それらの繰り返しによって調製することが可能である。
【0061】
あるいは、アズラクトン末端基を有する第3の樹枝状構造体(例えば式XV)は、アズラクトン末端基と上で定義された多官能性化合物M(TH)x(G)yとを反応させることにより更に延長させることが可能である。例えば、式XVの第3の樹枝状構造体を1個の求核性基と1個の酸性基Gを有する多官能性化合物M(TH)(G)と反応させる場合、得られた第4の樹枝状構造体は式XVIIaによって表すことが可能である。
【化25】

【0062】
もう1つの代替方法として、アズラクトン末端基を有する第3の樹枝状構造体(例えば式XV)は、アズラクトン末端基と上で定義された式J(TH)の末端封止化合物とを反応させることにより更に延長させることが可能である。例えば、式XVの第3の樹枝状構造体を式J(TH)の求核性材料と反応させる場合、得られた第4の樹枝状構造体は式XVIIbによって表すことが可能である。
【化26】

【0063】
アズラクトン末端基を有する樹脂状構造体(例えば式XまたはXIの第1の樹枝状構造体および式XVの第3の樹枝状構造体)のどれも、アズラクトン末端基と、求核性基を含む前に調製された樹枝状材料とを反応させることにより更に延長させることが可能である。
【0064】
第一アミノ末端基または第二アミノ末端基を有する例示的な樹枝状材料には、ポリアミドアミン(PAMAM)およびポリプロピレンイミンから形成された材料が挙げられるが、それらに限定されない。PAMAMから形成された樹枝状材料は、「スターブルスト(PAMAM)デンドリマー(STARBURST(PAMAM)DENDRIMER)」(例えば、4個の第一アミノ基を有するゼネレーション0、8個の第一アミノ基を有するゼネレーション1、16個の第一アミノ基を有するゼネレーション2、32個の第一アミノ基を有するゼネレーション3および64個の第一アミノ基を有するゼネレーション4)という商品名でウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical(Milwaukee,WI))から市販されている。ポリプロピレンイミンから形成された樹枝状材料は、「DAB−AM」という商品名でアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical)から市販されている。例えば、DAB−Am−4は、4個の第一アミノ基を有するゼネレーション1ポリプロピレンイミンテトラアミンデンドリマーであり、DAB−Am−8は、8個の第一アミノ基を有するゼネレーション2ポリプロピレンイミンオクタアミンデンドリマーであり、DAB−Am−16は、16個の第一アミノ基を有するゼネレーション3ポリプロピレンイミンヘキサデカアミンであり、DAB−Am−32は、32個の第一アミノ基を有するゼネレーション4ポリプロピレンイミンドトリアコンタアミンデンドリマーであり、DAB−Am−64は、64個の第一アミノ基を有するゼネレーション5ポリプロピレンイミンテトラヘキサコンタアミンデンドリマーである。
【0065】
しばしば、予め調製された樹枝状材料を基材に結合させることにより調製された物品は、基材表面から一連の段階的な反応によって調製された樹枝状材料を有する物品より少ない反応性末端基を有する。予め調製された樹枝状材料の基材に結合され得る数を制限する立体障害が存在し得る。
【0066】
反応機構Aの第1の工程は、基材の表面に共有結合されているアズラクトン基の開環反応である。表面上にアズラクトン基を有する基材(すなわち、アズラクトン官能性基材)は、固体支持体上のビーズ、メンブレン、フィルムおよび塗料などの形態を取ることが可能である。アズラクトン官能性基材およびこうした基材を製造する方法は、米国特許第5,336,742号明細書(ヘイルマン(Heilmann)ら)、米国特許第5,403,902号明細書(ヘイルマン(Heilmann)ら)、同第5,344,701号明細書(ガグノン(Gagnon)ら)、同第5,993,935号明細書(ラスムセン(Rasmussen)ら)、同第6,063,484号明細書(エクステッド(Exsted)ら)、同第5,292,514号明細書(カペッチ(Capecchi)ら)、同第6,548,607号明細書(ハルバーソン(Halverson)ら)、同第5,408,002号明細書(コールマン(Coleman)ら)、同第5,476,665号明細書(デニソン(Dennison))、同第5,510,421号明細書(デニソン(Dennison)ら)および同第6,794,458号明細書(ハダッド(Haddad)ら)に記載されている。
【0067】
適するアズラクトン官能性基材は、多様な方法を用いて調製することが可能である。幾つかの方法において、アズラクトン官能性基材は、懸濁媒体に懸濁された水滴の中で重合反応が行われる技術である逆相懸濁重合を用いて調製することが可能である。懸濁媒体は水不混和性であり、モノマーは水溶性である。
【0068】
1つの逆相重合プロセスにおいて、重合媒体は、水混和性共溶媒の中に少なくとも1種のアルケニルアズラクトンと少なくとも1種の架橋用モノマーとを含む。架橋の量は多孔度および溶媒中での膨潤度などの高分子特性に影響を及ぼす。適するアルケニルアズラクトンモノマーには、ニュージャージー州プリンストンのSNPE,Inc.から市販されている2−ビニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オン、2−イソプロペニル−4,4−ジメチル−2−オキサゾリン−5−オンおよび2−ビニル−4,4−ジメチル−1,3−オキサジン−6−オンが挙げられるが、それらに限定されない。適する架橋剤には、エチレンジアクリレート、エチレンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリメチロールプロパントリメタクリレートなどのエチレン系不飽和(α,β−不飽和)エステルならびにメチレンビス(アクリルアミド)、メチレンビス(メタクリルアミド)、N,N’−ジアクリロールイル−1,2−ジアミノエタンおよびN,N’−ジメタクリロールイル−1,2−ジアミノエタンなどのエチレン系不飽和アミドが挙げられるが、それらに限定されない。更に、重合媒体は、水溶性であるとともにラジカル付加重合反応を用いて重合され得る他のモノマーを含むことが可能である。適する任意のモノマーには、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびN−ビニルピロリドンが挙げられる。この重合プロセスは、米国特許第5,403,902号明細書(ヘイルマン(Heilmann)ら)および同第5,336,742号明細書(ヘイルマン(Heilmann)ら)に更に記載されている。
【0069】
もう1つの逆相重合プロセスにおいて、アズラクトン官能性基材を調製するために2工程重合が用いられる。第1の工程において、カルボキシル官能基を有する高分子材料が調製される。カルボキシル官能基は環化剤と後で反応してアズラクトン基を形成させる。重合媒体は、N−(メタ)アクリロイルアミノ酸の水溶性塩と、架橋用モノマーと、水不混和性懸濁媒体とを含む。更に、重合媒体は、水溶性であるとともにラジカル付加重合反応を用いて重合され得る他のモノマーを含むことが可能である。適する任意のモノマーには、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミドおよびN−ビニルピロリドンが挙げられる。適する環化剤には、例えば、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸およびアルキルクロロホルメートが挙げられる。この重合プロセスは、米国特許第5,403,902号明細書(ヘイルマン(Heilmann)ら)および同第5,336,742号明細書(ヘイルマン(Heilmann)ら)に更に記載されている。
【0070】
他の方法において、アズラクトン官能性基材は、モノマーを溶解させるが、ポリマーが生じるにつれてポリマーを沈殿させる分散媒体が選択される技術である分散重合を用いて調製することが可能である。ポリマー粒子の凝集を防ぐために種々の界面活性剤を添加することが可能である。例えば、アズラクトン官能性基材は、重合媒体がアルコールなどの有機溶媒の中で2−アルケニルアズラクトンモノマーと、架橋用モノマーと、少なくとも1種の界面活性剤とを含む分散重合プロセスを用いて調製することが可能である。このプロセスは、米国特許第5,403,902号明細書(ヘイルマン(Heilmann)ら)および同第5,336,742号明細書(ヘイルマン(Heilmann)ら)に更に記載されている。
【0071】
高分子アズラクトン官能性基材は、ゲル型高分子材料またはマクロ孔質高分子材料であることが可能である。本明細書で用いられる「ゲル型」という用語は、重合媒体の中のモノマーの重量を基準にして20重量%未満の架橋剤により調製される高分子材料を意味する。本明細書で用いられる「マクロ孔質」という用語は、重合媒体の中のモノマーの重量を基準にして少なくとも20重量%の架橋剤により調製される高分子材料を意味する。ゲル型材料は、マクロ孔質材料より膨潤する傾向があり、硬くない傾向がある。
【0072】
幾つかの実施形態において、基材はビーズ状である。ビーズは、球形状、規則的形状または不規則的形状を有することが可能である。ビーズは、逆相懸濁重合技術または分散重合技術のいずれかを用いて調製することが可能である。逆相懸濁重合技術を用いて調製されるビーズは分散重合技術を用いて調製されるビーズに比べて、より多孔質であり、より大きい表面積を有するとともに反応性基のより高い密度を有する傾向がある。分散重合技術を用いて調製されたビーズは、逆相懸濁重合技術を用いて調製されるビーズより一般にサイズが小さく、多孔質ではない(例えば、場合によって、ビーズは実質的に無孔質であり得る)。
【0073】
ビーズのサイズは、特定の用途に応じて異なることが可能である。ビーズの平均径は、一般に0.1マイクロメートル〜5ミリメートルの範囲内である。幾つかの例示的なビーズは、0.1〜1,000マイクロメートル、0.1〜500マイクロメートル、0.1〜100マイクロメートル、0.5〜100マイクロメートル、0.1〜50マイクロメートル、0.1〜20マイクロメートル、0.1〜3マイクロメートルまたは0.5〜3マイクロメートルの平均径を有する。
【0074】
アズラクトン官能性ビーズは、「エムフェーズ(EMPHAZE)」という商品名でミネソタ州セントポールのスリーエム・カンパニー(3M Company(St.Paul,MN))から市販されている。
【0075】
アズラクトン官能性基材を製造する幾つかの方法において、基材は、連続多孔質マトリックスに分散させたアズラクトン官能性粒子(例えばビーズ)を含む複合メンブレンの形態を取っている。こうした複合メンブレンは、米国特許第5,993,935号明細書(ラスムセン(Rasmussen)ら)に更に記載されている。複合メンブレンの中に含まれるアズラクトン官能性粒子は上で記載されたビーズであることが可能である。あるいは、メンブレンの中に含まれるアズラクトン官能性粒子はアズラクトン基を表面に与えるために塗料組成物で改質された無機粒子であることが可能である。無機粒子は金属または金属酸化物、アルミナ、シリカまたはジルコニアなどのセラミック材料、ガラス(例えばビーズまたはバブル)および制御された細孔ガラスなどを含むことが可能である。これらの粒子は、反応性アズラクトン官能基を含むポリマーで粒子を被覆することによるか、または粒子の表面上の基と反応性官能基を含む試薬(例えば、有機粒子の表面と反応するためのアルコキシシランを有するとともにアズラクトン基も含むカップリング剤)とを反応させることにより改質することが可能である。
【0076】
複合メンブレンのために有用な連続多孔質マトリックスには、織繊維ウェブおよび不織繊維ウェブまたは多孔質繊維が挙げられるが、それらに限定されない。例示的な繊維材料には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンおよびポリプロピレン)、ポリ塩化ビニル、ポリアミド(例えばナイロン)、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリブチレン、エチレン酢酸ビニル、ポリメチルメタクリレートなどのポリアクリレート、ポリカーボネート、セルロース(例えば酢酸セルロース)、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート)、ポリイミドおよびポリウレタン(例えばポリエーテルポリウレタン)ならびにそれらの組み合わせから二次加工された繊維材料が挙げられる。
【0077】
複合メンブレンを調製するもう1つの方法において、アズラクトン官能性粒子を液体に分散させて、コロイド懸濁液を形成させる。熱可塑性ポリマーは均質溶液を形成するのに十分な温度でコロイド懸濁液と溶融ブレンドされる。溶液は所望の形状になることが可能であり、その後、冷却して高分子材料からの液体の相分離を誘発させるとともに高分子材料を固化させることが可能である。液体の除去後、アズラクトン官能性粒子はマクロ孔質ポリマーマトリックスに分散される。この方法は米国特許第4,957,943号明細書(マクアリスター(McAllister)ら)に詳しく記載されている。
【0078】
複合メンブレンは、フィブリル化ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの多孔質フィブリル化ポリマーから調製することも可能である。アズラクトン官能性粒子をPTFE分散液とブレンドしてパテ様塊状物を得ることが可能である。その後、パテ様塊状物を5℃〜100℃の間の温度で混合してPTFEのフィブリル化を引き起こすことが可能であり、二軸にカレンダー加工してシートを形成させることが可能である。シートを乾燥させて一切の溶媒を除去することが可能である。メンブレンを製造するこうした方法は、米国特許第4,153,661号明細書(リー(Ree)ら)、同第4,565,663号明細書(エレデ(Errede)ら)、同第4,810,381号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)および同第4,971,736号明細書(ハーゲン(Hagen)ら)に更に記載されている。
【0079】
複合メンブレンを製造する更にもう1つの方法は、米国特許第4,539,256号明細書(シップマン(Shipman))に記載されている。アズラクトン官能性粒子は加熱および攪拌によってポリオレフィンに分散させることが可能である。得られた溶融混合物を熱板上にキャスティングし、圧力を受けさせ、その後、氷水内で冷却する。
【0080】
更に、複合メンブレンは、米国特許第5,476,665号明細書(デニソン(Dennison))に記載されたように溶媒相転換技術を用いて形成させることも可能である。アズラクトン官能性ポリマーおよび任意のブレンド用ポリマーは、ポリマーを溶解させることができる溶媒を含む容器に導入され、所望の形状に溶液をキャスティングし、溶媒と混和性であるが、ポリマーが沈殿する液体の凝固浴槽にキャスティングされた溶液を導入して、アズラクトン官能性メンブレンを形成させる。
【0081】
アズラクトン官能性基材は、米国特許第5,408,002号明細書(コールマン(Coleman)ら)および同第6,063,484号明細書(エクステッド(Exsted)ら)に記載されたようにポリマーブレンドから形成することも可能である。2−アルケニルアズラクトンから調製されたアズラクトン官能性ホモポリマーは熱可塑性ポリマーと溶融ブレンドさせることが可能である。適する熱可塑性樹脂には、ポリアミド(例えばナイロン6)、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリオレフィン、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリ(N−ビニルラクトン)(例えば、ポリビニルピロリドン)、ポリ酢酸ビニル、ポリオキシアルキレンオキシド、フルオロエラストマー、ポリカーボネートおよびポリエステルなどが挙げられる。
【0082】
アズラクトン官能性基材を調製するもう1つの方法は米国特許第6,063,484号明細書((エクステッド(Exsted)ら)に記載されている。ポリオレフィン樹脂はラジカル開始剤(例えば、過酸化物またはアゾ化合物)と混合され、その後、ラジカルを発生させるのに十分な温度で押出機内で加熱される。2−アルケニルアズラクトンは押出機に注入して、グラフト化アズラクトン熱可塑性組成物を形成させる。その後、この組成物はメンブレンに成形される。
【0083】
あるいは、アズラクトン官能性基材は、米国特許第5,510,421号明細書(デニソン(Dennison)ら)に記載されたようにアズラクトン官能性ポリマーの溶媒相転換を用いて形成させることが可能である。アズラクトン官能性組成物および任意にブレンド用ポリマーは、それらを溶解させることができる溶媒を含む容器内に入れられる。その後、溶液を適する形状にキャスティングし、その後、それを溶媒と混和性であるが、アズラクトン官能性メンブレンの沈殿を引き起こす液体の凝固浴槽に導入する。
【0084】
アズラクトン官能性基材は、固体支持体にコーティング組成物を被着させることにより調製することも可能である。幾つかの実施形態において、コーティング組成物はアズラクトン基を有する可溶性ポリマー(例えば、アルケニルアズラクトンモノマーのラジカル重合によって形成されたポリマー)と架橋剤とを含むことが可能である。コーティング組成物は、押出塗布、ダイ塗布、浸漬塗布、エアーナイフ塗布、グラビア塗布、カーテン塗布および噴霧塗布などの技術を用いて固体支持体に被着させることが可能である。このプロセスは米国特許第6,794,458号明細書(ハダッド(Haddad)ら)に更に記載されている。他の実施形態において、固体支持体の表面は、アズラクトン官能性モノマーと架橋用モノマーとを含むコーティング組成物で被覆される。コーティング組成物は重合して固体支持体上にアズラクトン官能性表面層を形成させる。この実施形態は米国特許第5,344,701号明細書(ガグノン(Gagnon)ら)に更に記載されている。
【0085】
例示的な固体支持体は、金属、金属酸化物または金属水酸化物、高分子材料、ガラス、セラミック材料またはそれらの組み合わせから調製することが可能である。固体支持体は所望のいかなる形状またはサイズも有することが可能である。例えば、支持体は、フィルム、粒子、繊維、織ウェブ、不織ウェブ、メンブレンおよび成形プラスチック品などであることが可能である。
【0086】
幾つかの例において、アズラクトン基を有する可溶性ポリマーを含むコーティング組成物の固体支持体の表面への粘着力は十分である。他の固体支持体では、粘着力は、固体支持体のプラズマ処理またはコロナ処理などの種々の前処理によって、または固体支持体とコーティング組成物との間でプライマ層を用いることにより強化することが可能である。
【0087】
アズラクトン官能性基材は、「エムポア・アフィニティ(EMPORE AFFINITY)」AZという商品名でミネソタ州セントポールのスリーエム・カンパニー(3M Company(St.Paul,MN))から市販されている。製品は、例えば、96ウェルのプレート、スピンカラムおよびメンブレンを含む。
【0088】
もう1つの方法において、物品は、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された求核性基を結合させた基材を提供する工程と、前記基材に結合された求核性基と多アズラクトン基を有する第1のアズラクトン化合物とを反応させて、少なくとも1個のアズラクトン末端基を有する基材−結合アズラクトン化合物を形成させる工程と、その後、前記基材−結合アズラクトン化合物の前記アズラクトン末端基と、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された多求核性基を有する第1の求核性化合物とを反応させて、求核性末端基を有する第1の樹枝状構造体を形成させる工程とによって調製される。樹枝状構造体を形成させるために、第1のアズラクトン化合物が少なくとも3個のアズラクトン基を有するか、第1の求核性化合物が少なくとも3個の求核性基を有するか、またはその組み合わせである。
【0089】
第一アミノ基または第二アミノ基を結合させた基材の例は、ポリペプチド(例えば、ポリ−L−リシン)、ポリアミン、ポリアミド、ポリメタクリレートのアミン置換エステル、ポリアクリレートのアミン置換エステル、ポリエチレンイミンまたはポリ(アリルアミン)が挙げられるが、それらに限定されない。
【0090】
第一アミノ基または第二アミノ基を結合させた基材の他の例は、カップリング剤を結合させた基材を含む。すなわち、カップリング剤は、基材と反応できる第1の官能基と第一アミノ基または第二アミノ基である第2の官能基とを有することが可能である。こうしたカップリング剤の例には、ハロシリル、アルコキシシリルまたはアシルオキシシリルから選択された第1の基と第一アミノ基または第二アミノ基である第2の基とを有する化合物が挙げられる。ハロシリル基、アルコキシシリル基またはアシルオキシシリル基は、例えば、ガラス含有基材、セラミック含有基材または金属酸化物含有基材と反応することが可能である。
【0091】
ヒドロキシル基を結合させた基材材料の例には、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレートのヒドロキシル置換エステル、ポリアクリレートのヒドロキシル置換エステル、コロナ処理されたポリエチレン、およびガラスまたは高分子フィルムなどの支持体材料上のポリビニルアルコール被膜が挙げられるが、それらに限定されない。
【0092】
本発明のこの態様において、樹枝状構造体は反応機構Bを用いて形成させることが可能である。
【化27】

式中、基材−TH(式XVIII)は、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された求核性基を結合させた基材を表し、D(Az)nは、n−1個のアズラクトン末端基を有する基材−結合アズラクトン化合物(すなわち式XIX)を形成させるために少なくとも2個(すなわち、nは2以上の整数である)のアズラクトン基を有する第1のアズラクトン化合物を表す。基T、Az、Az1およびDは上述したのと同じである。結合基は二価部分Tである。式XIXの基材−結合アズラクトン化合物は式Q(TH)rの第1の求核性化合物と反応して、式XXの第1の樹枝状構造体を形成させる。樹枝状構造体を提供するために、第1のアズラクトン化合物または第1の求核性化合物の少なくとも一方は少なくとも3個の反応性基を有する。
【0093】
式XXIは、求核性基を結合させた基材と、式D(Az)3のアズラクトン化合物およびその後、反応機構Bによる式Q(TH)3の求核性化合物とを反応させることにより調製された物品を表している。
【化28】

【0094】
アズラクトン末端基を有する第2の樹枝状構造体は、求核性末端基を有する第1の樹枝状構造体(例えば、式XXまたはXXI)と第2のアズラクトン化合物D1(Az)n(式中、nは2以上の整数である)との反応によって形成させることが可能である。求核性末端基を有する第3の樹枝状構造体は、アズラクトン末端基を有する第2の樹枝状構造体と第2の求核性化合物Q(TH)r(但し、rは2以上の整数である)との反応によって形成することが可能である。樹枝状構造体は、求核性末端基と多アズラクトン基を有するアズラクトン化合物との逐次反応および得られたアズラクトン末端基と多求核性基を有する求核性化合物との反応によって更に延長することが可能である。2個の反応性基を有する求核性化合物またはアズラクトン化合物の使用は樹枝状構造体を延長する一方で、少なくとも3個の反応性基を有する求核性化合物またはアズラクトン化合物の使用は、増加した長さおよび増加した分岐を有する樹枝状構造体をもたらす。
【0095】
あるいは、アズラクトン末端基を有する樹枝状構造体(すなわち、アズラクトン末端基を有する第2の樹枝状構造体または第4の樹枝状構造体)は、上で定義された式M(TH)x(G)yの多官能性化合物との反応によって延長させることが可能である。こうした延長された樹枝状構造体は少なくとも1個の酸性末端基を有する。
【0096】
もう1つの代替方法として、アズラクトン末端基を有する樹枝状構造体は、式J(TH)(但し、J(TH)は上述したのと同じである)の末端封止化合物と反応させることが可能である。末端封止化合物上の求核性基は樹枝状構造体のアズラクトン末端基と反応することが可能である。
【0097】
更にもう1つの態様において、物品は、アズラクトン官能性基材を提供する工程と、その後、基材上のアズラクトン基と少なくとも1個の求核性基を有する樹枝状材料とを反応させて、第1の樹枝状構造体を形成させる工程とによって調製される。アズラクトン官能性基材は式IIIで表される。
【0098】
求核性基を有するいかなる樹枝状材料も用いることが可能である。幾つかの実施形態において、樹枝状材料はポリアミドアミン(例えば、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical(Milwaukee,WI))製の「スターブルスト(PAMAM)デンドリマー(STARBURST(PAMAM)DENDRIMER)」)およびポリプロピレンイミン(例えば、アルドリッチ・ケミカル(Aldrich Chemical)製の「DAB−AM」)から調製されたものなどの第一アミノ末端基を有する。
【0099】
物品
上の式X〜XVII、XXおよびXXIによる樹枝状構造体によってその幾つかが例示される種々の物品が提供される。物品は、基材と、樹枝状材料と、基材に樹枝状材料を接続させる結合基とを含む。
【0100】
幾つかの物品において、樹枝状材料は式XXVの少なくとも1個の延長基を含む。
【化29】

式中、pは0または1の整数であり、nは少なくとも2の整数であり、R1およびR2は独立してアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキルから選択されるか、またはR1およびR2は、R1およびR2が結合されている炭素原子と合一して炭素環を形成させる。TはオキシまたはNRb(但し、Rbは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはアラルキルから選択される)であり、Dは少なくとも1個の炭素原子を含むnに等しい原子価を有する連結基である。
【0101】
式XXVの幾つかの実施形態において、アルキル基は、1〜18個の炭素原子、1〜12個の炭素原子、3〜12個の炭素原子、1〜10個の炭素原子、3〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、3〜6個の炭素原子または1〜4個の炭素原子を有する。ヘテロアルキル基は、2〜18個の炭素原子と1〜6個のヘテロ原子、2〜12個の炭素原子と1〜5個のヘテロ原子、2〜10個の炭素原子と1〜4個のヘテロ原子、2〜8個の炭素原子と1〜3個のヘテロ原子または2〜6個のヘテロ原子と1〜2個のヘテロ原子を有する。アリール基は、2〜12個の炭素原子と0〜3個のヘテロ原子、3〜12個の炭素原子と0〜2個のヘテロ原子または4〜12個の炭素原子と0〜1個のヘテロ原子を有する。アラルキル基は、3〜15個の炭素原子と0〜3個のヘテロ原子、4〜15個の炭素原子と0〜2個のヘテロ原子または5〜15個の炭素原子と0〜1個のヘテロ原子を有する。炭素環は、5〜12個の炭素原子、5〜10個の炭素原子または5〜8個の炭素原子を有する。適するヘテロ原子には、O、SまたはNRb(但し、Rbは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはアラルキルである)が挙げられる。
【0102】
式XXVによる幾つかの例示的な延長基において、pは0に等しく、R1とR2の両方はアルキル基である。より特定の例において、pは0に等しく、R1とR2の両方はメチル基である。なおより特定の幾つかの例において、pは0に等しく、nは2〜4の整数であり、R1とR2の両方はメチル基である。
【0103】
連結基Dは少なくとも1個の炭素原子を有し、nに等しい原子価を有する。幾つかの実施形態において、Dの原子価は、2〜6、2〜4、3または2である。延長基が分岐基でもある場合、nは少なくとも3に等しい。幾つかの実施形態において、連結基Dは、少なくとも2個、少なくとも4個または少なくとも6個の炭素原子を有する。適する三価連結基および四価連結基Dには、以下の構造が挙げられるが、それらに限定されない。
【化30】

【0104】
幾つかの樹枝状構造体において、末端基と結合基との間に式XXVの少なくとも2個の延長基、少なくとも3個の延長基または少なくとも4個の延長基が存在する。延長基の少なくとも幾つかは分岐基である。式XII〜XVII、XXおよびXXIは、式XXVによる少なくとも1個の延長基を有する。
【0105】
樹枝状構造体の末端基は、一般に、アズラクトン基、第一アミノ基、第二アミノ基、ヒドロキシ基または酸性基(例えば、−COOH、−SO3H、−(P=O)(OH)2)、酸性基の塩またはそれらの組み合わせである。
【0106】
もう1つの態様において、基材と、樹枝状材料と、式IIの結合基とを含む物品が提供される。
【化31】

式中、pは0または1の整数であり、R1およびR2は独立してアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキルから選択されるか、またはR1およびR2は、R1およびR2が結合されている炭素原子と合一して炭素環を形成させる。
【0107】
アズラクトン環と反応できる少なくとも1個の求核性基を有するいかなる樹枝状材料も式IIの結合基を通して基材に結合させることが可能である。すなわち、樹枝状材料上の求核性基とアズラクトン官能性基材との反応は、式IIによる結合基の形成をもたらすことが可能である。幾つかの実施形態において、樹枝状材料は式XXVで表されたものなどの延長基を有することが可能である。
【0108】
アミノ末端基または酸性末端基を有する樹枝状構造体はイオン交換反応のために用いることが可能である。例えば、物品(すなわち樹枝状構造体)は、アニオン交換樹脂またはカチオン交換樹脂として用いるために適するビーズの形を取ることが可能である。アニオン交換樹脂は正に帯電した基を有し、サンプルの中で負に帯電した材料(すなわちアニオン)と相互作用することが可能である。アミノ末端基を有する樹枝状材料を結合させたビーズはアニオン交換樹脂として用いることが可能である。カチオン交換樹脂は負に帯電した基を有し、サンプルの中で正に帯電した材料(すなわちカチオン)と相互作用することが可能である。酸末端基を有する樹枝状材料を結合させたビーズはカチオン交換樹脂として用いることが可能である。
【0109】
負に帯電した材料を含むサンプルは、アニオン交換樹脂が正に帯電した基を有するpH(例えば、2〜7のpH)でアニオン交換樹脂に接触させることが可能である。吸着された材料をアニオン交換樹脂から解放するために、pHを少なくとも8(例えば、pHは10〜12であることが可能である)に上げることが可能である。あるいは、帯電した材料が生体分子である時、約3〜10のpHまたは約6〜8のpHで低イオン強度緩衝剤(例えば、5〜20ミリモルの緩衝塩)の中でサンプルをアニオン交換樹脂に接触させることが可能である。吸着された生体分子を解放するために、高イオン強度緩衝剤をアニオン交換樹脂に接触させる。幾つかの実施形態において、高イオン強度緩衝剤は、材料を吸着させるために用いられるのと同じ緩衝剤組成+1モルの塩化ナトリウムを含む。吸着プロセスおよび解放プロセスは、典型的には室温に近い温度で行われる。
【0110】
正に帯電した材料を含むサンプルは、普通は、カチオン交換樹脂が負に帯電した基を有するpH(例えば、7〜12のpH)でカチオン交換樹脂に接触させる。吸着された材料をカチオン交換樹脂から解放するために、pHを少なくとも6(例えば、pHは2〜5であることが可能である)に下げることが可能である。あるいは、帯電した材料が生体分子である時、約3〜10のpHまたは約6〜8のpHで低イオン強度緩衝剤(例えば、5〜20ミリモルの緩衝塩)の中でサンプルをアニオン交換樹脂に接触させることが可能である。吸着された生体分子を解放するために、高イオン強度緩衝剤をカチオン交換樹脂に接触させる。幾つかの実施形態において、高イオン強度緩衝剤は、材料を吸着させるために用いられるのと同じ緩衝剤組成+1モルの塩化ナトリウムを含む。吸着プロセスおよび解放プロセスは、典型的には室温に近い温度で行われる。
【0111】
pHを制御するために有用な緩衝塩には、燐酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硼酸ナトリウム、酢酸ナトリウムおよびTRIS(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン)が挙げられるが、それらに限定されない。適する他の緩衝剤には、MOPS(3−モルホリノプロパンスルホン酸)、EPPS(4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−プロパンスルホン酸)、MES(2−モルホリノエタンスルホン酸)およびその他などの「Good’s」緩衝剤が挙げられる。
【0112】
幾つかのサンプルは生体分子または薬剤化合物を含む。生体分子は他のサンプル成分から分離することが可能であるか、または精製することが可能である。適する生体分子には、例えば、蛋白質、酵素、ワクチン、DNAおよびRNAが挙げられる。サンプルのpHを調節すると、幾つかの生体分子の電荷を変えることが可能である。
【0113】
アズラクトン末端基を有する樹枝状材料を結合させたビーズは親和性捕捉サイトとして用いることが可能である。例えば、配位子はアズラクトン末端基による求核性開環反応によって共有結合することが可能である。これらの配位子は、一般に生体活性化合物(すなわち、生体的、免疫化学的、生理的または薬剤的に活性である物質である)であり、したがって、配位子と相互作用する生体化合物を分離または精製するために用いることが可能である。生体活性物質の例には、蛋白質、ペプチド、ポリペプチド、抗体、抗原物質、酵素、補助因子、抑制因子、レクチン、ホルモン、レセプタ、凝固因子、アミノ酸、ヒストン、ビタミン、薬剤および細胞表面マーカーが挙げられる。特に有用な配位子は、蛋白質療法として用いるための抗体を分離し精製するために用いることができるプロテインAである。
【0114】
樹枝状材料を結合させたビーズをクロマトグラフカラムに入れることが可能である。適するカラムは当該技術分野で知られており、ガラス、高分子材料、ステンレススチール、チタンおよびその合金またはニッケルおよびその合金のような材料から製造することが可能である。クロマトグラフカラムは、液体クロマトグラフなどの分析計器の一部であることが可能である。イオン交換樹脂が充填された時、クロマトグラフカラムは、イオン材料を非イオン材料から分離するか、または1種のイオン材料を異なる電荷密度を有するもう1種のイオン材料から分離するために用いることが可能である。サンプルの中のイオン材料の量は決定することが可能である。
【0115】
クロマトグラフカラムは、化合物の混合物を含むサンプルの中の少なくとも1種の化合物を分離または精製するための分取液体クロマトグラフシステムの一部であることが可能である。分取液体クロマトグラフシステムは、実験室規模のシステム、パイロットプラント規模のシステムまたは工業規模のシステムであることが可能である。幾つかの液体クロマトグラフシステムはクロマトグラフカラムを通してサンプルを再循環して、カラムによって保持される材料の量を増やすことが可能である。
【0116】
樹枝状材料を結合させたビーズを濾過媒体の表面上に配置することが可能である。適する濾過媒体および濾過媒体を含むフィルターカートリッジを含む濾過システムは、例えば米国特許第5,468,847号明細書(ヘイルマン(Heilmann)ら)に記載されている。こうしたフィルターカートリッジは、例えば、生体分子を精製または分離するために用いることが可能である。
【0117】
濾過媒体は単一濾過層または多濾過層を有することが可能である。濾過媒体は、ガラス繊維または高分子繊維(例えば、ポリプロピレン繊維などのポリオレフィン繊維)から調製することが可能である。幾つかの実施形態において、濾過媒体は、粗いプレ濾過層と1層以上のより微細な濾過層とを含む。例えば、濾過媒体は、粗いプレ濾過層と、次に徐々により小さい平均孔径を有する一連の追加の濾過層とを含むことが可能である。イオン交換樹脂は、最小平均孔径を有する濾過媒体の層上に配置することが可能である。
【0118】
濾過媒体の孔径の選択はイオン交換樹脂のサイズに応じて決まる。典型的には、濾過媒体の孔径はイオン交換樹脂の平均径より小さいように選択される。しかし、イオン交換樹脂の一部は濾過媒体に浸透することが可能である。
【0119】
濾過媒体は、米国特許第3,058,594号明細書に記載されたものなどの垂直のプリーツフィルターの形を取ることが可能である。他の実施形態において、濾過媒体は、米国特許第4,842,739号明細書(タン(Tang)ら)に記載されたものなどの水平の複合放射状プリーツフィルターの形を取る。プリーツの水平配列は、濾過媒体を含むフィルターカートリッジを垂直方向で用いる用途において望ましいことがあり得る。こうした配列は、使用中および貯蔵中にフィルタエレメントからのイオン交換樹脂の損失を減らすことが可能である。
【0120】
アズラクトン末端基を有する樹枝状材料を結合させたビーズは試薬捕捉サイトとして用いることも可能である。例えば、このビーズは、アズラクトン末端基と反応できる求核性基を有する化合物を分離するために用いることが可能である。組み合わせ化学合成において、過剰の試薬は、収率および反応速度を上げるためにしばしば用いられる。過剰の第一アミン含有試薬または第二アミン含有試薬は、上のビーズを用いて反応混合物から除去することができよう。
【0121】
他の例示的な物品は連続多孔質マトリックスを含む複合材料の形態を取り、多孔質マトリックス内に予め導入される。ビーズは樹枝状材料を結合している。連続多孔質マトリックスは、典型的には、織繊維ウェブまたは不織繊維ウェブ、多孔質繊維、多孔質メンブレン、多孔質フィルム、中空繊維またはチューブである。こうした物品を製造する方法は上で記載されている。なお他の例示的な物品には、樹枝状材料を結合させたフィルムまたは樹枝状材料を結合させたコーティングが挙げられる。上述したビーズと同様に、これらの物品は、化合物の混合物から少なくとも1種の化合物の精製および/または分離のために用いることが可能である。
【0122】
前述したことは、現在予見されていない本発明の非実質的な変更が本発明の均等物となり得るにもかかわらず、権能付与的な記載が有効であった本発明者らによって予見された実施形態に関して本発明を記載している。
【実施例】
【0123】
これらの実施例はあくまで例示目的のためであり、添付した特許請求の範囲に関して限定することを意図していない。実施例および本明細書の残りの部分におけるすべての部、百分率、比などは、特に注記がない限り重量による。用いた溶媒および他の試薬は、特に注記がない限りウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company(Milwaukee,WI))から購入した。
【0124】
試験方法
アニオン交換容量
アニオン交換容量を決定するために以下の手順を用いた。0.8×4センチメートルのポリプロピレン使い捨てクロマトグラフカラム(「ポリプレップ・カラム(Poly−Prep Column)」、カリフォルニア州ハーキュレスのバイオ−ラドラボラトリーズ(Bio−Rad Laboratories(Hercules,CA)))にアミノ末端基を有する樹枝状構造体などの材料を結合させたビーズ1mLを充填した。10mLの装填緩衝剤、10mMのMOPS(4−モルホリノプロパンスルホン酸)/pH7.5で洗浄することによりカラム床を平衡させ、その後、10mLの蛋白質溶液(20mg/ml、ウシ血清アルブミンBSA、分画V、純度96〜99%、シグマ・ケミカル(Sigma Chemical Co.))を装填し、流動分画を収集した。未結合BSAを30mLのMOPS緩衝剤(3つの10mL部分)で洗い流した。最後に、結合蛋白質をMOPS緩衝剤の中で15mLの1M・NaClで溶出させた。「ヒューレットパッカード・ダイオードアレイ・スペクトロフォトメータ(Hewlett−Packard Diode Array Spectrophotometer)」モデル8452Aを用いて280nmでUV吸光度を測定することにより種々の分画の中に回収された蛋白質を決定し、純BSA(アルブミン標準、イリノイ州ロックフォードのピアス・ケミカル・カンパニー(Pierce Chemical Co.(Rockford,IL)))を用いて作成された標準曲線と比較した。NaCl溶出液の中に回収された蛋白質の量は支持体のためのアニオン交換容量に等しかった。
【0125】
【表1】

【0126】
比較例C1
0.1N・HCL中で1時間にわたり反応させることによりアズラクトン官能性ビーズを加水分解させた。アニオン交換容量を「試験方法」に記載された手順により測定した。データを表1に示している。
【0127】
調製実施例1
アズラクトン官能性ビーズの1グラムのサンプルを室温で30分にわたり脱イオン水中で20mlの1.0モルEDとスラリーとして反応させて、ゼネレーション0アミン官能性ビーズを形成させた。アニオン交換容量を「試験方法」に記載された手順により測定した。これらのデータを表1で提示している。
【0128】
調製実施例2
アズラクトン官能性ビーズの1グラムのサンプルを室温で30分にわたり脱イオン水中で20mlの1.0モルTRENとスラリーとして反応させて、ゼネレーション0アミン官能性ビーズを形成させた。アニオン交換容量を「試験方法」に記載された手順により測定した。これらのデータを表1で提示している。
【0129】
実施例1
調製実施例1のアズラクトン官能性ビーズのサンプルをTRIZ(イソプロパノール中の1.0モル溶液、30分、室温)と50/50(体積/体積)スラリーとして反応させた。反応後、ビーズを濾過し、3つの等体積のアセトンで洗浄し、真空下で乾燥させた。得られたアズラクトン官能性ビーズを室温で30分にわたり脱イオン水中で1.0モルEDと50/50(体積/体積)スラリーとして反応させて、ゼネレーション1アミン官能性ビーズを形成させた。アニオン交換容量を「試験方法」に記載された手順により測定した。これらのデータを表1で提示している。
【0130】
実施例2
調製実施例1のアミン官能性ビーズのサンプルを実施例1のようにTRIZと反応させた。得られたアズラクトン官能性ビーズを脱イオン水中で1.0モルTRENと50/50(体積/体積)スラリーとして反応させて、ゼネレーション1アミン官能性ビーズを形成させた。アニオン交換容量を「試験方法」に記載された手順により測定した。これらのデータを表1で提示している。
【0131】
実施例3
調製実施例2のアミン官能性ビーズのサンプルを実施例1のようにTRIZと反応させた。得られたアズラクトン官能性ビーズを脱イオン水中で1.0モルEDと50/50(体積/体積)スラリーとして反応させて、ゼネレーション1アミン官能性ビーズを形成させた。アニオン交換容量を「試験方法」に記載された手順により測定した。これらのデータを表1で提示している。
【0132】
実施例4
調製実施例2のアミン官能性ビーズのサンプルを実施例1のようにTRIZと反応させた。得られたアズラクトン官能性ビーズを脱イオン水中で1.0モルTRENと50/50(体積/体積)スラリーとして反応させて、ゼネレーション1アミン官能性ビーズを形成させた。アニオン交換容量を「試験方法」に記載された手順により測定した。これらのデータを表1で提示している。
【0133】
実施例5
実施例1のアミン官能性ビーズのサンプルを実施例1のようにTRIZと反応させた。得られたアズラクトン官能性ビーズを脱イオン水中で1.0モルEDと50/50(体積/体積)スラリーとして反応させて、ゼネレーション2アミン官能性ビーズを形成させた。アニオン交換容量を「試験方法」に記載された手順により測定した。これらのデータを表1で提示している。
【0134】
実施例6
実施例2で調製されたアミン官能性ビーズのサンプルを実施例1のようにTRIZと反応させた。得られたアズラクトン官能性ビーズを脱イオン水中で1.0モルEDと50/50(体積/体積)スラリーとして反応させて、ゼネレーション2アミン官能性ビーズを形成させた。アニオン交換容量を「試験方法」に記載された手順により測定した。これらのデータを表1で提示している。
【0135】
実施例7
実施例3で調製されたアミン官能性ビーズのサンプルを実施例1のようにTRIZと反応させた。得られたアズラクトン官能性ビーズを脱イオン水中で1.0モルTRENと50/50(体積/体積)スラリーとして反応させて、ゼネレーション2アミン官能性ビーズを形成させた。アニオン交換容量を「試験方法」に記載された手順により測定した。これらのデータを表1で提示している。
【0136】
実施例8
実施例4で調製されたアミン官能性ビーズのサンプルを実施例1のようにTRIZと反応させた。得られたアズラクトン官能性ビーズを脱イオン水中で1.0モルTRENと50/50(体積/体積)スラリーとして反応させて、ゼネレーション2アミン官能性ビーズを形成させた。アニオン交換容量を「試験方法」に記載された手順により測定した。これらのデータを表1で提示している。
【0137】
【表2】

【0138】
実施例9
アズラクトン官能性ビーズの0.1グラムのサンプルを室温で30分にわたり「パマム・スターブルスト・デンドリマー(PAMAM STARBURST Dendrimer)」ゼネレーション0のメタノール中の2mlの20%w/w溶液とスラリーとして反応させて、アミノ官能性ビーズを形成させた。アニオン交換容量を「試験方法」に記載された手順により測定した。これらのデータを表2で提示している。
【0139】
実施例10
アズラクトン官能性ビーズの0.1グラムのサンプルを実施例9のように「パマム・スターブルスト・デンドリマー(PAMAM STARBURST Dendrimer)」ゼネレーション1と反応させて、アミノ官能性ビーズを形成させた。アニオン交換容量を「試験方法」に記載された手順により測定した。これらのデータを表2で提示している。
【0140】
実施例11
アズラクトン官能性ビーズの0.1グラムのサンプルを実施例9のように「パマム・スターブルスト・デンドリマー(PAMAM STARBURST Dendrimer)」ゼネレーション2と反応させて、アミノ官能性ビーズを形成させた。アニオン交換容量を「試験方法」に記載された手順により測定した。これらのデータを表2で提示している。
【0141】
【表3】

【0142】
実施例12〜14
実施例1により調製されたゼネレーション1アズラクトン官能性ビーズをそれぞれ実施例9〜11に記載されたようにゼネレーション0、1または2「パマム・デンドリマー(PAMAM Dendrimer)」と反応させた。得られたアミン官能性ビーズのアニオン交換容量を「試験方法」に記載されたように評価した。これらのデータを表3で提示している。
【0143】
実施例15〜17
実施例3により調製されたゼネレーション2アズラクトン官能性ビーズをそれぞれ実施例9〜11に記載されたようにゼネレーション0、1または2「パマム・デンドリマー(PAMAM Dendrimer)」と反応させた。得られたアミン官能性ビーズのアニオン交換容量を「試験方法」に記載されたように評価した。これらのデータを表3で提示している。
【0144】
【表4】

【0145】
実施例18および比較例C2
実施例18に関しては、室温で5分にわたりDMF中のTRISの5%w/w溶液に浸漬し、DMFでリンスし、60℃で2時間にわたり乾燥させることによりアミン官能基を有する顕微鏡ガラススライド(「アミノシラン(AMINOSILANE)」スライドとしてウィスコンシン州ミドルトンのニューカマー・サプライ(Newcomer Supply(Middleton,WI))から市販されている)のサンプルをアズラクトン官能性にした。こうして調製されたゼネレーション0アズラクトン官能性スライドを1.0モル硫酸ナトリウム/9.5のpHを有する50ミルモルAMPSO中の蛍光カダベリン(オレゴン州ウジェーヌのモレキュラー・プローブズ(Molecular Probes(Eugene,OR))から市販されている。25μg/ml)の溶液で汚点を付け、放置して1時間にわたり反応させ、脱イオン水、緩衝溶液、1%SDS溶液および脱イオン水で洗浄した。
【0146】
比較例C2に関しては、顕微鏡ガラススライドをDMF中のDITCの溶液に浸漬したことを除き、同じ手順に従った。スライドを蛍光走査装置により評価して、汚点の平均蛍光強度(相対的な光単位RLUとして報告した)を測定した。これらのデータを表3に示している。
【0147】
実施例19
アミン官能基を有する顕微鏡ガラススライド(ウィスコンシン州ミドルトンのニューカマー・サプライ(Newcomer Supply(Middleton,WI))から市販されている)のサンプルを実施例18の手順によりアズラクトン官能性にした。こうして調製されたスライドを室温で5分にわたり脱イオン水中の1.0モルTRENの溶液に浸漬して、アミノ官能性スライドを形成させた。このスライドをDMF中のTRISの溶液に浸漬し、DMFでリンスし、前のように乾燥させることによりアズラクトン官能性にした。樹枝状ゼネレーション2アズラクトン官能性スライドを製造するために、TRENおよびTRISによる誘導の第2のラウンドを行った。こうして調製されたスライドを蛍光カダベリンの溶液で汚点を付け、実施例18のように評価した。これらのデータを表4で提示している。
【0148】
【表5】

【0149】
実施例20〜22
ウィスコンシン州ミドルトンのニューカマー・サプライ(Newcomer Supply(Middleton,WI))製の「ポリ−L−リシン(Poly−L−lysine)」被覆スライドを用いて実施例18および19の手順を繰返して、ゼネレーション0、1および2アズラクトン官能性スライドを製造した。これらのスライドを蛍光カダベリンの溶液で汚点を付け、実施例18のように評価した。これらのデータを表5で報告している。
【0150】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式III
【化1】

(式中、pは0または1の整数であり、
1およびR2は独立してアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキルから選択されるか、またはR1およびR2は、R1およびR2が結合されている炭素原子と合一して炭素環を形成させる)
のアズラクトン官能性基材を提供する工程と、
前記基材上のアズラクトン基と、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された多求核性基を有する第1の求核性化合物とを反応させて、少なくとも1個の求核性末端基を有する基材−結合求核性化合物を形成させる工程と、
前記基材−結合求核性化合物の求核性末端基と多アズラクトン基を有する第1のアズラクトン化合物とを反応させて、アズラクトン末端基を有する第1の樹枝状構造体を形成させる工程と
を含む物品を製造する方法であって、前記第1の求核性化合物が少なくとも3個の求核性基を有するか、前記第1のアズラクトン化合物が少なくとも3個のアズラクトン基を有するか、またはその組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1の樹枝状構造体のアズラクトン末端基と、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された多求核性基を有する第2の求核性化合物とを反応させて、求核性末端基を有する第2の樹枝状構造体を形成させる工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1個の酸性基と、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された少なくとも1個の求核性基とを有する多官能性化合物を提供する工程と、
前記第1の樹枝状構造体の前記アズラクトン末端基と前記多官能性化合物の前記求核性基とを反応させて、酸性末端基を有する第2の樹枝状構造体を形成させる工程とを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された求核性基を有する樹枝状材料を提供する工程と、
前記第1の樹枝状構造体の前記アズラクトン末端基と前記樹枝状材料の求核性基とを反応させる工程とを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の樹枝状構造体の前記求核性末端基と多アズラクトン基を有する第2のアズラクトン化合物とを反応させて、アズラクトン末端基を有する第3の樹枝状構造体を形成させる工程を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記アズラクトン末端基を有する第3の樹枝状構造体と、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された多求核性基を有する第3の求核性化合物とを反応させて、求核性末端基を有する第4の樹枝状構造体を形成させる工程を更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1個の酸性基と、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された少なくとも1個の求核性基とを有する多官能性化合物を提供する工程と、
前記第3の樹枝状構造体の前記アズラクトン末端基と前記多官能性化合物の前記求核性基とを反応させて、酸性末端基を有する第4の樹枝状構造体を形成させる工程とを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記基材が高分子ビーズの形態を取っている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基材がフィルム、メンブレンまたは固体支持体上のコーティングである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された求核性基を結合させた基材を提供する工程と、
前記基材に結合された求核性基と多アズラクトン基を有する第1のアズラクトン化合物とを反応させて、少なくとも1個のアズラクトン末端基を有する基材−結合アズラクトン化合物を形成させる工程と、
前記基材−結合アズラクトン化合物の前記アズラクトン末端基と多求核性基を有する第1の求核性化合物とを反応させて、求核性末端基を有する第1の樹枝状構造体を形成させる工程と
を含む物品を製造する方法であって、前記第1のアズラクトン化合物が少なくとも3個のアズラクトン基を有するか、前記第1の求核性化合物が少なくとも3個の求核性基を有するか、またはその組み合わせであることを特徴とする方法。
【請求項11】
前記第1の樹枝状構造体の前記求核性末端基と多アズラクトン基を有する第2のアズラクトン化合物とを反応させて、アズラクトン末端基を有する第2の樹枝状構造体を形成させる工程を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の樹枝状構造体の前記アズラクトン末端基と、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された多求核性基を有する第2の求核性化合物とを反応させて、求核性末端基を有する第3の樹枝状構造体を形成させる工程を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1個の酸性基と、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された少なくとも1個の求核性基とを有する多官能性化合物を提供する工程と、
前記第2の樹枝状構造体の前記アズラクトン末端基と前記多官能性化合物の前記求核性基とを反応させて、酸性末端基を有する第3の樹枝状構造体を形成させる工程とを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第3の樹枝状構造体の前記求核性末端基と多アズラクトン基を有する第3のアズラクトン化合物とを反応させて、アズラクトン末端基を有する第4の樹枝状構造体を形成させる工程を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記アズラクトン末端基を有する第4の樹枝状構造体と、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された多求核性基を有する第3の求核性化合物とを反応させて、求核性末端基を有する第5の樹枝状構造体を形成させる工程を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1個の酸性基と、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された少なくとも1個の求核性基とを有する多官能性化合物を提供する工程と、
前記第4の樹枝状構造体の前記アズラクトン末端基と前記多官能性化合物の前記求核性基とを反応させて、酸性末端基を有する第5の樹枝状構造体を形成させる工程とを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された求核性基を有する樹枝状材料を提供する工程と、
前記第2の樹枝状構造体の前記アズラクトン末端基と前記樹枝状材料の前記求核性基とを反応させる工程とを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記基材が高分子ビーズの形態を取っている、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記基材がフィルム、メンブレンまたは固体支持体上のコーティングである、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
物品を製造する方法であって、式III
【化2】

(式中、pは0または1の整数であり、
1およびR2は独立してアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキルから選択されるか、またはR1およびR2は、R1およびR2が結合されている炭素原子と合一して炭素環を形成させる)
のアズラクトン官能性基材を提供する工程と、
前記基材に結合されたアズラクトン基と、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された求核性基を有する樹枝状材料とを反応させる工程と
を含む方法。
【請求項21】
a)基材と、
b)前記基材に樹枝状材料を接続させる結合基と、
c)2〜6の整数に等しい原子価を有する延長基を含む前記樹枝状材料であって、前記延長基が式XXV
【化3】

(式中、
nは少なくとも2の整数であり、
pは0または1の整数であり、
TはオキシまたはNRbであり(但し、Rbは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはアラルキルから選択される)、
1およびR2は独立してアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキルから選択されるか、またはR1およびR2は、R1およびR2が結合されている炭素原子と合一して炭素環を形成させ、
Dはnに等しい原子価を有する連結基であって、少なくとも1個の炭素原子を含む連結基である)
の基である樹枝状材料と
を含む物品。
【請求項22】
pが0であり、nが3である、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
1とR2の両方が1〜4個の炭素原子を有するアルキル基である、請求項21に記載の物品。
【請求項24】
前記樹枝状構造体が、ヒドロキシル基、第一アミノ基、第二アミノ基またはそれらの組み合わせから選択された求核性末端基を有する、請求項21に記載の物品。
【請求項25】
前記樹枝状構造体がアズラクトン末端基を有する、請求項21に記載の物品。
【請求項26】
前記樹枝状構造体が酸性末端基を有する、請求項21に記載の物品。
【請求項27】
前記結合基が式II
【化4】

(式中、
pは0または1の整数であり、
1およびR2は独立してアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキルから選択されるか、またはR1およびR2は、R1およびR2が結合されている炭素原子と合一して炭素環を形成させる)
の二価基である、請求項21に記載の物品。
【請求項28】
前記結合基が基材に結合されている第1の基およびデンドリマーに共有結合されている第2の基を含み、前記第2の基がチオまたは−NRb−(但し、Rbは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはアラルキルから選択される)から選択される、請求項21に記載の物品。
【請求項29】
前記第1の基がハロシリル基、アルコキシシリル基またはアシルオキシシリル基と前記基材の反応生成物を含み、前記第2の基が−NRb−(但し、Rbは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはアラルキルである)である、請求項28に記載の物品。
【請求項30】
前記結合基がポリペプチド、ポリエチレンイミン、ポリ(アリイミン)、ポリビニルアルコール、ポリメタクリレートのヒドロキシル置換エステル、ポリアクリレートのヒドロキシル置換エステルまたはコロナ処理されたポリエチレンから形成される、請求項21に記載の物品。
【請求項31】
前記基材が高分子ビーズを含む、請求項21に記載の物品。
【請求項32】
前記基材がフィルム、メンブレンまたは固体支持体上のコーティングを含む、請求項21に記載の物品。
【請求項33】
前記樹枝状構造体が、アニオン交換分離のための配位子、疎水相互作用分離のための配位子または親和性分離のための配位子である末端封止化合物を結合させている、請求項21に記載の物品。
【請求項34】
a)基材と、
b)樹枝状材料と、
c)前記基材に前記樹枝状材料を接続させる二価結合基であって、式II
【化5】

(式中、
pは0または1の整数であり、
1およびR2は独立してアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキルから選択されるか、またはR1およびR2は、R1およびR2が結合されている炭素原子と合一して炭素環を形成させる)
の基である二価結合基と、
を含む物品。
【請求項35】
前記樹枝状材料がポリアミドアミンまたはポリプロピレンイミンを含む、請求項34に記載の物品。
【請求項36】
前記樹枝状材料が2〜6の整数に等しい原子価を有する延長基を含み、前記延長基が式XXV
【化6】

(式中、nは少なくとも2の整数であり、
pは0または1の整数であり、
TはオキシまたはNRb(但し、Rbは水素、アルキル、ヘテロアルキル、アリールまたはアラルキルから選択される)であり、
1およびR2は独立してアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アラルキルから選択されるか、またはR1およびR2は、R1およびR2が結合されている炭素原子と合一して炭素環を形成させ、
Dはnに等しい原子価を有する連結基であって、少なくとも1個の炭素原子を含む連結基である)
の基である、請求項34に記載の物品。

【公開番号】特開2011−127133(P2011−127133A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−42907(P2011−42907)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【分割の表示】特願2007−534613(P2007−534613)の分割
【原出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】