説明

デンプンと熱可塑性ポリマーからなる生分解性ポリマー組成物

【課題】老化と低湿度に対して優れた耐性を持つ生分解性ポリマー組成物を提供する。
【解決手段】熱可塑性デンプンおよびデンプンとは不相溶の熱可塑性ポリマーを含み、デンプンが分散相を構成し、熱可塑性ポリマーが連続相を構成するポリマー組成物であって、A)特定の界面剤を含有する組成物、B)熱可塑性ポリマーが特定のポリエステルである組成物、およびC)熱可塑性ポリマーが特定のポリマーから選択され、かつ特定の条件下での押出しによって得られる組成物、から選択されるポリマー組成物によって上記課題が解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性デンプンおよびデンプンとは不相溶の熱可塑性ポリマーからなり老化と低湿度に対して優れた耐性を持つ生分解性ポリマー組成物に関する。これらの組成物では、デンプンが分散相を構成し、熱可塑性ポリマーが連続相を構成する。
本発明は特に、低湿度条件下で高い引裂強さを保ちうる生分解性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性デンプンおよびデンプンとは不相溶の熱可塑性ポリマーを含んでなり、かつ、そのデンプンが分散相を構成している組成物から製造される製品(フィルム)の機械的性質(特に引裂強さ)は、デンプンが周囲湿度との平衡に達するまで水分を放出または吸収するため、かなり劣化することが知られている。
湿度が比較的低い(例えば湿度20%の)条件では、水分の損失によって分散相の可塑化が不十分となり、ガラス転移点が周囲温度より高くなるので、この素材は脆くなる傾向がある。
【0003】
これらの条件では、分散相を構成するデンプン粒子に圧力がかかると、それらは変形してその圧力を吸収することができず、硬質なままであるため、裂け始める。
水はデンプン相の極めて有効な可塑剤であるが、水は揮発性であり、またその濃度は周囲湿度との平衡を達成するために変動するという欠点がある。したがってグリセロール、ソルビトール、エーテル化またはエステル化ソルビトール、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびポリオールなどの高沸点可塑剤が好ましい。
【0004】
デンプンの可塑化処理中に存在する水の一部はデンプン自体から供給され、また一部は添加されうる。
各成分の可塑化と混合が完了したら、脱気によって水分を除去して、最終含有量を約1〜3重量%にする。
【0005】
水は高沸点可塑剤と同様にデンプン相の粘度を改良し、デンプン/ポリマー系の流体力学的特性に影響を及ぼすことにより、分散粒子のサイズを決定する一助となる。
最も有効な高沸点可塑剤(特にグリセロール)は、換気された雰囲気下での蒸発(とくに湿度が周期的に変化する場合)によって、またはセルロースなどの他の親水性材料と接触している場合は移動によって、失われる傾向にある。
どちらの場合も可塑剤の濃度はもはや分散相のTgを使用温度未満に保つには十分でなくなり、その素材は脆くなる。
【0006】
この問題を防ぐため、例えばソルビトール、ソルビトールモノエトキシレートおよびトリメチロールプロパンなどの移動せず蒸発しない可塑剤が使用されてきた。
しかしこれら可塑剤の有効性は極めて低く、材料の最終的な特性は(特に低湿度条件では)グリセロールなどのより有効な可塑剤を使用した場合よりも悪い。
【0007】
乾燥条件下で生じるこれらの問題を防ぐため、高沸点可塑剤の量を増やすことによって分散相のTgを使用温度未満の値に戻す試みも行われている。この場合は、最大性能を得るために材料を較正する際に通常用いられる相対湿度50%の条件において、その素材の「触感」が柔らかくなりすぎる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、熱可塑性デンプンおよびデンプンとは不相溶の熱可塑性ポリマーからなり、老化と低湿度に対して優れた耐性を持つ生分解性ポリマー組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに思いがけないことに、次に挙げるものから選択される組成物を使用することによって、熱可塑性デンプンおよびデンプンとは不相溶の熱可塑性ポリマーを含んでなる生分解性ヘテロ相組成物であって、デンプンが分散相を構成し、かつ、ポリマーが連続相を構成し、低い相対湿度条件でも高い機械的性質を維持しうる組成物を提供するという課題を解決できることがわかった:すなわち、
A)次に挙げるものからなる群より選択される界面剤の存在下に成分を押出すことによって製造される組成物:
a)8より高い親水性/親油性バランスインデックス値(HLB)を持つエステルであって、ポリオールと、4.5未満の解離定数pKを持つモノカルボン酸またはポリカルボン酸(ポリカルボン酸の場合、このpK値は第一カルボキシル基のpKに関する)から得られるエステル;
b)5.5〜8のHLB値を持つエステルであって、ポリオールと、4.5より高いpK値を持つ炭素原子数12未満のモノカルボン酸またはポリカルボン酸(ポリカルボン酸の場合、このpK値は第一カルボキシル基の解離のpKに関する)から得られるエステル;
c)ポリオールと炭素原子数12〜22の脂肪酸から得られるHLB値5.5未満のエステルであって、デンプンに対して10〜40重量%の量で使用されるエステル;
d)非イオン性の水溶性界面活性剤であって、上記デンプン/熱可塑性ポリマーヘテロ相組成物に加えたときに、それを含有する材料を周囲温度で100時間水に浸漬した後に、水中に移動する量がその濃度の30%以下である非イオン性の水溶性界面活性剤;
e)脂肪族または芳香族ジイソシアネートと、そのジイソシアネートと反応する末端基を含むポリマーとの反応生成物;
B)デンプンとは不相溶の熱可塑性ポリマーが、脂肪族ジカルボン酸および/または炭素原子数が2より多いヒドロキシ酸から誘導される反復単位を含んでなるポリエステルであって、ポリエステルの平均粘度法分子量とメルトインデックス(5kgの負荷をかけて180℃で測定)の比Rが25,000より大きい組成物;
C)デンプンとは不相溶の熱可塑性ポリマーが、脂肪族-芳香族コポリエステル、ポリエステル-アミド、ポリエステル-エーテル、ポリエステル-エーテル-アミド、ポリエステル-ウレア、およびポリエステル-ウレタンから選択されるコポリエステルである組成物であって、押出混合中の水分含有量が、コンディショニングに先立ち押出機の出口で測定して1〜5重量%に維持されるような条件下に各成分を押出すことによって得られる組成物。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
組成物A)のエステルa)〜c)のHLBインデックスは、その分子の親水性部分の分子量(Mh)と全分子量(M)の比の20倍によって与えられる[すなわち、HLB=20×(Mh/M)]。
モノグリセリドの場合、通常採用される実験式は次のとおりである:
【数1】

[式中、Sはそのエステルのけん化価であり、Aはその酸の酸価である]。
【0011】
エステルの親水性/親油性バランスは酸鎖の長さとエステル化後に遊離型のまま残っているヒドロキシル基の数によって制御される。
デンプン/ポリエステル系の場合、相溶性の惹起に関するエステルの効果は、そのエステルの遊離アルコール基とデンプンの遊離アルコール基の間の相互作用および相溶性を惹起するエステルのエステル基とポリエステル相の間の相互作用によるものである。
【0012】
種類a)のエステルは水に可溶であって、その有効性は酸のpK値に依存して変化し、一般にpK値が減少するにつれて増大する。
最良の結果はシュウ酸(pK=1.23)、マレイン酸(pK1=1.83)、マロン酸(pK1=2.83)、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸およびトリクロロ酢酸(pKはそれぞれ2.83、1.48および0.70)のエステルによって達成される。
【0013】
3個以上のアルコール基を含むポリオールのモノエステルおよびジエステルが好ましく、モノグリセリドとジグリセリド(特にシュウ酸の各グリセリド)がとりわけ好ましい。ソルビトール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよび類似するポリオールのモノエステルとジエステルも、有利に使用できる化合物の例である。
【0014】
一般に、ポリオールのヒドロキシル基のエステル化は、そのヒドロキシル基の10〜90%、好ましくは20〜70%、最も好ましくは25〜50%が関与する部分エステル化である。
この部分エステル化条件はエステルa)にもエステルb)およびc)にも適用される。
【0015】
エステルa)は一般にデンプンに対して1:30〜1:2.5の重量比で使用される。
エステルa)の使用量はデンプンに対して5〜40%、もしくは組成物全体に対して0.5〜20重量%であることが好ましい。しかし、組成物の全重量の1〜3%のレベルでも相溶性効果が現れはじめる。
エステルは一般に可塑剤の30〜35%に代えて使用できるが、可塑剤なしで使用することもできる。
【0016】
種類a)のモノグリセリド数種類のHLB値と対応する酸のpK1およびpK2を例示のため次に示す:
【表1】

【0017】
a)型のエステルが持つ相溶性惹起効果により、デンプンの微細構造は、相溶性惹起用のa)型剤の不在下に調製された組成物よりも(それが極めて好ましい流体力学的条件で調製された場合でも)、少なくとも一桁は小さい平均粒子サイズを持つほど細かくなる。
デンプン粒子の平均数値サイズは0.1〜0.5ミクロンであり、粒子の80%以上が1ミクロンより小さいサイズを持つ。
【0018】
成分混合操作中の組成物の水分含有量は1〜15重量%に維持することが好ましい。
しかし、予備乾燥および予備可塑化したデンプンから出発して、1重量%未満の含有量で作業することも可能である。
【0019】
デンプンの細かい微細構造は、可塑剤を除去するために水で洗浄した後でもなお良好な引張強さおよび引裂強さ特性を保つフィルムの製造を可能にする。これらのフィルムではデンプン粒子のサイズが小さいため、もはや裂けが始まり得ない。
【0020】
種類b)およびc)のエステルは水に不溶であり、それゆえ洗浄によって除去されない。
水に可溶で界面剤として作用しうると共にかなり良好な可塑化効果をも持つエステル類とは異なり、これらの不溶性エステルはその疎水性脂肪族成分のサイズゆえに主として界面剤として作用し、応力が加わっている間の表面の滑りを容易にすることにより、可塑剤損失の結果として硬質になってもはや変形できなくなった粒子の引裂を開始させる能力を最小にする。
【0021】
種類b)のエステルの例はカプロン酸(pK=4.85;HLB=7.3)、スベリン酸(pK1=4.52;HLB=6)およびアゼライン酸(pK1=4.55;HLB=5.8)の各モノグリセリドである。
カプロン酸のエステル、特にモノグリセリド(HLB=7.3)は、フィルムの高い引裂強さを、その品質を損なわずに維持することができるので好ましい。
一般にエステルb)はデンプンに対して1:30〜1:2.5の比率で、または組成物全体に対して0.5〜20重量%の量で使用される。
【0022】
種類c)のエステルの例は、ラウリン酸(HLB=5.4)とオレイン酸(HLB=4.2)の各モノグリセリドである。使用できるその他のモノグリセリドの例は、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エルカ酸およびリノレン酸の各モノグリセリドである。
種類c)のエステルは、このタイプの物質が界面剤として作用し潤滑剤としては作用しないことから、先行技術で使用される潤滑剤の濃度と比較して高濃度で、すなわち3〜10重量%、好ましくは5〜10重量%(これはデンプンに対して約10〜40重量%に相当する)の濃度で使用される。
【0023】
種類d)の非イオン界面活性剤の例は、10より高いHLBインデックスを持つアルコキシル化アルキルフェノール、例えばHLBが10より高くなるようにエトキシル化度が調節されたノニルフェノールエトキシレートである。
アルコキシル化アルキルフェノールは、一般的には組成物重量の3〜7%というかなり狭い範囲の濃度で使用される。この限界範囲外の濃度では効果がない。種類d)の界面活性剤のその他の例はソルビトール、デンプン、脂肪酸、ロジン酸(rosinic acid)、トールオイル、脂肪酸アミドおよびエタノールアミドのエトキシル化生成物である。
【0024】
エステルa)〜c)の製造に使用できる酸は、飽和および不飽和の直鎖状または分枝状脂肪族および芳香族モノないしポリカルボン酸からなり、これは例えばハロゲン原子、ヒドロキシル基、アルコキシル基、ニトロ基およびエステル基から選択される置換基を含んでもよい(例えばアセチルクエン酸)。
【0025】
代表的な酸を次に挙げる:
ギ酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、アミル酸(amylic acid)、イソアミル酸(isoamylic acid)、ピバル酸、カプロン酸、ラウリン酸からドコサン酸に至る脂肪酸;
シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸などのジカルボン酸;
グリコール酸、グリセリン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、安息香酸、置換安息香酸、サリチル酸などのヒドロキシ酸。
【0026】
種類e)の界面剤は、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネートとポリ-ε-カプロラクトンなどの脂肪族-芳香族ポリエステルとの反応によって得ることが好ましい。薬剤e)は組成物の1〜10重量%の量で使用される。
【0027】
エステルa)〜c)の製造に使用されるポリオールは3個以上の炭素原子と2個以上のアルコール基を含み、例えばグリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレンジグリコール、プロピレンジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ショ糖、1,3-プロパンジオール、1,2-、1,3-、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-、1,5-ヘキサンジオール、1,2,6-、1,3,5-ヘキサントリオール、ネオペンチルグリコール、およびポリビニルアルコールプレポリマーなどである。
これらのポリオールそのもの、または種類a)およびb)のエステルに使用されるもの以外の酸でエステル化されたこれらポリオールは、本発明組成物に使用できる有効な可塑剤の一群を構成する。
【0028】
上記の物質の他に、可塑剤として使用できるポリオールとしては、酢酸ポリオール、ポリオールエトキシレート、ポリオールプロポキシレート、具体的にはソルビトールエトキシレート、グリセロールエトキシレート、酢酸ソルビトール、および酢酸ペンタエリスリトールがある。
【0029】
これらのポリオールおよび使用しうるその他のポリオールは米国特許第5,292,782号に記述されている。
可塑化剤の使用量は一般にデンプンに対して1〜100重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0030】
本発明のA)型組成物に使用できる、デンプンとは不相溶の熱可塑性ポリマーは、次のポリマー群から選択されることが好ましい:
a)炭素原子数2以上のヒドロキシ酸もしくは対応するラクトンまたはラクチドの重縮合によって得られる脂肪族ポリエステル。これらポリエステルとその誘導体の例は米国特許第5,412,005号に記述されており、ポリカプロラクトン、ヒドロキシ酪酸とヒドロキシ吉草酸のポリマーおよびコポリマー、ポリアルキレンタートレート(polyalkylene tartrate)、グリコール酸と乳酸のポリマーおよびコポリマーが好ましい;
b)2〜10個の炭素原子を持つジオールの脂肪族ジカルボン酸との重縮合によって得られる脂肪族ポリエステル。ポリアルキレンスクシネート(polyalkylene succinate)、ポリアルキレンアジペート(polyalkylene adipate)が好ましい;
c)ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート、ポリエステルカーボネート、ポリアミドカーボネート、ポリエステルアミドカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネート;
【0031】
d)酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロースおよびそれらの混成エステルなどといったセルロースのエステル;
e)酢酸デンプン、プロピオン酸デンプン、酪酸デンプン、C18までの酸でエステル化されたデンプンなどといったデンプンのエステル。デンプンの置換度は0.5〜3である;
f)カルボキシメチルセルロース、多糖類、キチン、キトサン、アルギン酸、アルギナート、セルロースのアルキルエーテルおよびヒドロキシアルキルエーテル;
g)ポリ酢酸ビニル、最大50%まで加水分解されたポリ酢酸ビニル/ポリビニルアルコール、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリエチレンアクリル酸などといった、ビニルエステルおよびビニルコポリエステルそのもの、ならびに部分的に加水分解されたビニルエステルおよびビニルコポリエステル、およびポリマーa)〜g)の混合物。
【0032】
ポリエステル、特にヒドロキシ酸から得られるポリエステルは、そのポリエステル中に存在するカルボキシル基および/またはヒドロキシル基と反応しうるポリマーまたはコポリマーとブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーを形成するように修飾しうる。
上記のポリマーおよびコポリマーは、ジイソシアネート、ポリイソシアネート、ジエポキシド、ポリエポキシドなどの連鎖延長剤で、あるいはピロメリット酸、ピロメリット酸無水物などの多官能性化合物で改質しうる。
【0033】
ε-ヒドロキシ酸(特に6-ヒドロキシカプロン酸および対応するラクトン)のホモポリマーとコポリマーが好ましい。
これらポリエステルとその誘導体は一般に40〜175℃の融点と20000(好ましくは40000)より大きい分子量(重量平均)を持つ。
【0034】
これらポリエステルとその誘導体は、極性基(好ましくはヒドロキシル基およびカルボキシル基)を含有するエチレン型不飽和モノマーから得られる1種類以上のポリマーまたはコポリマー(例えばエチレン/酢酸ビニル、エチレン/ビニルアルコールおよびポリビニルアルコールコポリマー(後者はポリ酢酸ビニルとエチレン酢酸ビニルコポリマーを50〜100%の加水分解度で加水分解することによって得られる)、エチレン/アクリル酸コポリマーなど)との混合物として有利に使用できる。
【0035】
エチレン/ビニルアルコールコポリマーは10〜50重量%のエチレンを含有することが好ましい。
上記ポリマーのアルコール基はエーテル基、エステル基、アセタール基またはケタール基に変換できる。
好ましい混合物はポリ-ε-カプロラクトンとエチレン/ビニルアルコールコポリマーまたはエチレン/酢酸ビニルまたはポリビニルアルコールコポリマーとを含有する。
【0036】
ポリエステルとアルコール基を含有するポリマーまたはコポリマーの重量比は、好ましくは1:30〜30:1、より好ましくは1:15〜15:1、さらに好ましくは1:6〜6:1である。
熱可塑性デンプンとポリマーe)〜g)の重量比は一般に1:20〜20:1、好ましくは1:10〜10:1、より好ましくは1:4〜4:1であり、ポリエステルが連続相を構成し、デンプンが分散相を構成するように選択される。
【0037】
特に射出成形に使用される他の好ましい混合物は、1〜3の置換度を持つセルロースエステルまたはデンプンエステル(具体的には酢酸セルロースと酢酸デンプン)を含有する。
【0038】
本組成物中に存在する熱可塑性デンプンは、ジャガイモ、米、タピオカ、トウモロコシなどの植物から抽出される天然のデンプンおよび/または化学的または物理的に改質されたデンプンから得られる。
【0039】
本発明組成物は0.5〜20重量%の尿素またはアルカリ土類金属の水酸化物、0.1〜5%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の無機塩(具体的にはLiCl、NaCl、Na2SO4)ならびにホウ素を含有する化合物(具体的にはホウ酸)、タンパク質とタンパク質の塩(例えばカゼイン、グルテン、カゼイン塩など)、アビエチン酸とその誘導体、ロジン酸類および天然のガム類を含みうる。
【0040】
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどといった他の疎水性ポリマーや、抗酸化剤、潤滑剤、防火剤、殺真菌剤、除草剤、肥料および乳白剤などの添加剤、げっ歯類忌避効果を持つ化合物、ワックス、潤滑剤などが含まれていてもよい。
【0041】
本組成物は100〜220℃の温度に加熱した押出機で各成分を混合することによって製造されることが好ましい。
押出機の代わりに、熱可塑性デンプンの粘度およびデンプンとは不相溶のポリマーの粘度に適した温度およびせん断応力条件を確保できる任意の装置でも各成分を混合できる。
【0042】
デンプンは本組成物の他の成分と混合する前に、または本組成物の各成分の混合操作中に、熱可塑性になるように処理しうる。
どちらの場合も、約100〜220℃の操作温度で、可塑剤(および場合によって水)の存在下に既知の方法を使用する。
【0043】
押出機からの排出時(すなわちあらゆるコンディショニング処理の前)の水分含有量は5重量%未満であることが好ましい。
この含有量は押出中に脱気することによって、または低い水分含有量を持つ脱水デンプンを使用することによって調節される。
【0044】
本発明の組成物はとりわけフィルム、シート、繊維の製造、射出成形、熱成形、同時押出、および発泡材料の製造に使用できる。
特に興味深い使用分野は、おむつおよび生理用ナプキン、農業用(とくにマルチング用)フィルム、袋、セロファン包装(cellophaning)用フィルム、使い捨て商品、発泡梱包材料、養樹者(nurserymen)用製品の各分野である。
【0045】
それらフィルムはポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、脂肪族ポリカーボネート、芳香族/脂肪族ポリカーボネート、ポリビニルアルコールなどの可溶性ポリマーまたはその他のポリマーによって形成される層、紙、およびシリカやアルミニウムなどの無機材料の層などを使った積層品に使用できる。
本組成物には(好ましくは天然の)充填剤や、アビエチン酸などの天然樹脂または変性樹脂を添加してもよい。
【0046】
B)群の組成物は、特有の成分として25,000より大きいR比、好ましくは35,000より大きいR比、より好ましくは35,000〜110,000のR比を持つポリエステルを含有する。25,000より大きいR比を持つポリエステルは、25,000未満のR比を持つポリエステルを、溶融状態で、そのポリエステルの末端OHおよび/またはCOOH基と反応する基を持つ二官能性または多官能性化合物と改質反応させることによって得ることが好ましい。多官能性化合物の使用量は、少なくともポリエステルの反応性基の数に相当する。この反応はメルトインデックスの所期の低下が達成されるまで行われる。
【0047】
代表的な多官能性化合物はジイソシアネート、ポリイソシアネート、エポキシド、ポリエポキシド、およびテトラカルボン酸の二無水物である。
好ましい化合物はヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネート、芳香族テトラカルボン酸の二無水物、およびポリエポキシドである。
【0048】
ポリエステルの改質は、改質剤の存在下にポリエステルを押出すことによって達成しうる。
溶融物の粘度が高すぎない限り、所望のメルトインデックスおよび分子量特性を持つポリエステルを重縮合によって直接製造することも可能である。
【0049】
本発明組成物の製造に使用できるポリエステルは、脂肪族ジカルボン酸または炭素原子数が2より多いヒドロキシ酸から誘導される反復単位をその鎖中に含む脂肪族ポリエステルから得られる。
これらポリエステルは、A)型組成物に関する説明で挙げたa)およびb)のポリエステル群から選択されることが好ましい。
【0050】
ポリエステル、特にヒドロキシ酸から得られるものは、そのポリエステル中に存在するカルボキシル基および/またはヒドロキシル基と反応しうるポリマーまたはコポリマーとブロックコポリマーまたはグラフトコポリマーを形成するように修飾できる。
ε-ヒドロキシ酸(特に6-ヒドロキシカプロン酸および対応するラクトン)のホモポリマーとコポリマーが好ましい。このポリカプロラクトンは100,000より大きい平均粘度法分子量と好ましくは35,000〜110,000のR比を持つことが好ましい。
【0051】
これらポリエステルとその誘導体は一般に40〜175℃の融点と20,000(好ましくは40,000)より大きい分子量(粘度法平均)を持つ。
これらポリエステルとその誘導体は、極性基(好ましくはヒドロキシル基およびカルボキシル基)を含有するエチレン型不飽和モノマーから得られる1種類以上のポリマーまたはコポリマー(例えばエチレン/酢酸ビニル、エチレン/ビニルアルコールおよびポリビニルアルコールコポリマー(後者はポリ酢酸ビニルおよびエチレン酢酸ビニルコポリマーを50〜100%の加水分解度で加水分解することによって得られる)、エチレン/アクリル酸コポリマーなど)との混合物として有利に使用できる。
【0052】
エチレン/ビニルアルコールコポリマーは10〜50重量%のエチレンを含有することが好ましい。
上記ポリマーのアルコール基はエーテル基、エステル基、アセタール基またはケタール基に変換できる。
好ましい混合物はポリ-ε-カプロラクトンとエチレン/ビニルアルコールコポリマーまたはエチレン/酢酸ビニルコポリマーとを含有する。
【0053】
ポリエステルと、アルコール基を含有するポリマーまたはコポリマーとの重量比は、好ましくは1:6〜6:1、より好ましくは1:4〜4:1である。
熱可塑性デンプンとポリエステルの重量比は一般に1:10〜10:1であり、ポリエステルが連続相を構成し、デンプンが分散相を構成するように選択される。
【0054】
本発明組成物は、一般に、3個以上の炭素原子と2個以上のアルコール基むポリオール(例えばグリセロール、ジグリセロール、ポリグリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレンジグリコール、プロピレンジグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、トリメチルプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、ショ糖、1,3-プロパンジオール、1,2-、1,3-、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-、1,5-ヘキサンジオール、1,2,6-、1,3,5-ヘキサントリオール、ネオペンチルグリコールなど)から選択される可塑剤を含むことが好ましい。
【0055】
上記ポリオールは、酢酸ポリオール、ポリオールエトキシレート、ポリオールプロポキシレート(具体的にはソルビトールエトキシレート、グリセロールエトキシレート、酢酸ソルビトール、酢酸ペンタエリスリトール)などのエーテル化またはエステル化生成物の形で使用しうる。
可塑剤の使用量は、一般にデンプンに対して1〜100重量%、好ましくは10〜30重量%である。
このタイプの可塑剤の使用は米国特許第5,292,782号に記述されており、その明細は参考文献として本明細書の一部を構成する。
【0056】
本組成物は、A)組成物に関して記述した界面剤を含んでもよい。この場合、界面剤の使用により、本組成物の流体力学的特性はさらに改善される。
本組成物中に存在する熱可塑性デンプンは、ジャガイモ、米、タピオカ、トウモロコシなどの植物から抽出される天然のデンプンおよび/または化学的もしくは物理的に改質されたデンプンから得られる。
【0057】
本発明組成物は0.5〜20重量%の尿素またはアルカリ土類金属の水酸化物、0.1〜5%のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の無機塩(具体的にはLiCl、NaCl、Na2SO4)ならびにホウ素を含有する化合物(具体的にはホウ酸)、タンパク質(例えばカゼイン、グルテン)、タンパク質の塩、アビエチン酸とその誘導体、ロジン酸類および天然のガム類を含みうる。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどといった他の疎水性ポリマーや、抗酸化剤、潤滑剤、防火剤、殺真菌剤、除草剤、肥料および乳白剤などの添加剤、げっ歯類忌避効果を持つ化合物、ワックスなどが含まれていてもよい。
【0058】
本組成物は100〜220℃の温度に加熱した押出機で各成分を混合することによって製造されることが好ましい。
押出機の代わりに、熱可塑性デンプンの粘度およびデンプンとは不相溶のポリマーの粘度に対応する温度およびせん断応力条件を確保できる任意の装置でも各成分を混合できる。
【0059】
デンプンは本組成物の他の成分と混合する前に、または本組成物の各成分の混合操作中に、熱可塑性になるように処理しうる。
どちらの場合も、約100〜220℃の操作温度で、可塑剤(および場合によって水)の存在下に既知の方法を使用する。
【0060】
押出機からの排出時(すなわちあらゆるコンディショニング処理の前)の水分含有量は5重量%未満であることが好ましく、ほとんど0でもよい。
この含有量は押出中に脱気を行なうか、水分含有量が低い脱水デンプンを使用することによって調節される。
【0061】
上記の分子量およびメルトインデックス特性を持つポリエステルを使用することにより、あるいはそれらポリエステルを、界面効果を持ちA)組成物で使用されるa)およびe)型の薬剤と組み合せて使用することにより、粒子の80%以上が1ミクロン未満のサイズを持ち数値平均粒子サイズが0.1〜1ミクロンである細かい分散相微細構造を持つ組成物がもたらされる。
【0062】
B)組成物はA)組成物と同様、フィルム、シート、繊維の製造、射出成形、熱成形、同時押出、および発泡材料の製造に使用できる。
特に興味深い使用分野は、おむつおよび生理用ナプキン、農業用フィルム、袋、セロファン包装用フィルム、使い捨て商品、発泡梱包材料の各分野である。
【0063】
それらフィルムはポリエステル、ポリエステルアミド、ポリアミド、脂肪族ポリカーボネート、芳香族/脂肪族ポリカーボネート、ポリビニルアルコールなどの可溶性ポリマーまたはその他のポリマーによって形成される層、紙、およびシリカやアルミニウムなどの無機材料の層を使った積層品に使用できる。
本組成物には(好ましくは天然の)充填剤や、アビエチン酸などの天然樹脂または変性樹脂を添加してもよい。
【0064】
C)組成物は、脂肪族芳香族コポリエステル、ポリエステルアミド、ポリエステルエーテル、ポリエステルエーテルアミド、ポリエステルウレタンおよびポリエステルウレアからなる群より選択されるポリエステルを含むことと、各成分の混合操作中に水分含有量が1重量%より高く最高5重量%まで(押出機の出口で、すなわちあらゆるコンディショニング処理に先立って測定される含有量)に維持される条件下に押出すことによって得られることを特徴とする。
【0065】
当分野の技術水準から考えると、具体的にはWO93/07213(これにはデンプンと、テレフタル酸とアジピン酸またはグルタル酸の混合物および脂肪族ジオールから得られるコポリエステルとを含む組成物が記述されており、ここでは各成分が、混合前に1重量%未満の水分含有量になるよう正確に乾燥される)およびWO96/31561(これにはデンプンと、脂肪族-芳香族コポリエステル、ポリエステルアミドおよびポリエステルウレタンなどのコポリエステルとを含む組成物が記述されており、ここではデンプンが水分含有量1重量%未満に乾燥された可塑化製品であるか、コポリエステル-デンプン混合物が水分含有量1重量%未満に維持される条件下に押出機で混和される)から考えると、高温で1重量%より高いレベルの水分の存在下に溶融状態で上述したタイプのコポリエステルを混合すると、コポリエステルの著しい加水分解と減成が起こり、その結果、最終製品の特性が損なわれると予想された。
【0066】
この予想に反し、組成物C)の調製に使用される条件下で作業した場合、ポリエステルの分子量の低下は無視できる程度であることがわかった。
さらに、押出機による混合操作中の相溶化条件が1ミクロン未満(好ましくは0.5ミクロン未満)の平均サイズを持つ粒子状にデンプンを分散させうるほど良好な場合は、得られる組成物が、比較的低い湿度条件下でも実質上変化しない、ポリエチレンに似た特性を呈することもわかった。
【0067】
組成物C)の特徴であるもうひとつの側面は、この組成物を上述の湿度条件すなわち1〜5重量%の水分含有量で押出すことにより、ポリマー疎水性成分がその構造上完全に脂肪族型のポリエステルである組成物を他の条件はすべて同じにして押出すことによって得られるものよりも細かい微細構造を持つ生成物を得ることができるという点にある。
【0068】
組成物C)では、組成物A)について規定したような界面剤の使用と、組成物B)について述べたように改質された分子量およびメルトインデックスを持つポリマーの使用は、随意の条件である。
界面剤および/または改質ポリマーを使用すると、組成物の流体力学的特性がさらに改善される。
【0069】
この脂肪族-芳香族コポリエステルはランダム型であることが好ましい。ブロックコポリマーも使用できる。
これらのコポリエステルは、脂肪族ジカルボン酸(アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、アゼライン酸、グルタル酸など)および/または炭素原子数が2より多いヒドロキシ酸もしくは対応するラクトンと芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸など)の混合物を、炭素原子数1〜20のジオール(1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメチロールなど)と、既知の方法で重縮合することによって得られる。
【0070】
これらコポリエステルは一般に次の化学式を持つ:
【化1】

[ここに、Rの最大約40モル%は二価の非芳香族ラジカルC1-C12であり、Rの残りはp-フェニレンラジカルである。Gは最大30モル%が-(CH2)2-O-(CH2)2、-(CH2)-O-(CH2)2-O-(CH2)2から選択され、Gの残りは分子量が250より大きいエーテル-ポリアルキレンラジカルまたは(CH2)2-O-(CH2)4ラジカルである。Qは炭素原子数が2より多いヒドロキシ酸から誘導される。a)とb)はポリマーのモル比率であり、a)は0.6〜1、b)は0〜0.4の範囲にある]。
このタイプのコポリエステルはUS 5,446,079とWO93/07123に記述されており、これらは参考文献として本明細書の一部を構成する。
【0071】
ポリエステルアミドは一般に、30〜70重量%が芳香族エステルまたは脂肪族-芳香族エステルに由来し、70〜30%が脂肪族アミドに由来する構造を持つ。
ポリエステルアミドの例はポリ-ε-カプロラクトン-ε-カプロラクタム、ポリアルキレンアジペート-ε-カプロラクタムである。
使用できるポリエステルアミドの例はEP-A-641817、WO 96/21689、WO 96/21690、WO 96/21691およびWO 96/21692に記述されており、それらの明細は参考文献として本明細書の一部を構成する。
【0072】
ポリエステルエーテルコポリマーは、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸とポリアルキレンオキサイドから得ることができる。
ポリエステルウレタンコポリマーとポリエステルウレアコポリマーは既知の方法に従って(例えばポリエステルウレタンはテレフタル酸などのジカルボン酸と脂肪族ジイソシアネートから)得ることができる。
【0073】
組成物C)は20〜95重量%のデンプンと5〜80重量%のコポリエステルを含んでなる。デンプンの含有量は30〜75重量%であることが好ましい。
コポリエステルは、組成物A)およびB)について規定したような極性基を含有するポリマーおよびコポリマーとの混合物として使用できる。
コポリエステルと極性基を含有する(コ)ポリマーの重量比は、A)およびB)組成物について規定した重量比と同じである。
【0074】
本組成物中に存在する熱可塑性デンプンは、組成物B)について記述したような天然のデンプンまたは化学的もしくは物理的に改質されたデンプンから得られる。本組成物は組成物A)およびB)について規定したようなタイプの可塑剤をそこに開示した量で含有することが好ましい。
本組成物は組成物A)およびB)について記述したような添加剤を含有してもよい。
【0075】
本組成物は混合段階中の水分含有量が脱気によって1〜5重量%の値に維持されるような条件下にその成分を押出すことによって製造される。
天然のデンプンの水分含有量は1〜16重量%の範囲に含まれうる。
押出条件(100℃から220℃に及びうる温度とせん断応力)は、デンプンと不相溶性コポリエステルの間に良好な相溶化が起るように選択される。
【0076】
デンプンは既知の方法により(例えば可塑剤と水の存在下に作業することにより)、その組成物の各成分と混合する前に、またはその混合操作中に、熱可塑性になるように処理しうる。
本組成物は組成物A)およびB)について開示したものと同じ用途に有用である。
組成物C)に使用されるコポリエステルの融点はかなり高いので、これはとりわけ食品耐熱性が必要とされる用途に使用できる。
【実施例】
【0077】
下記の実施例1〜45(実施例1、42および44は比較例)は、本発明のA)組成物の非限定的な例であり、実施例1A〜6Aと比較例1A〜2Aは、B)組成物の、実施例1Bと2Bは、C)組成物の非限定的な例である。
【0078】
実施例1〜45で使用したエステル類は従来の方法で製造した。強いカルボン酸の場合、酸触媒を使用する必要はなく、反応によって生成する水を除去すれば十分であった。弱いカルボン酸、とくに脂肪酸の場合は、少量のトルエンスルホン酸を反応触媒とした。
【0079】
エステル化は(エステル官能基とアルコール官能基の両方が反応生成物中に同時に存在するように)ポリオールのヒドロキシル基のすべてに対して行なうのではなくヒドロキシル基の10〜90%、好ましくは20〜70%、より好ましくは25〜50%にしか行なわなかったので、酸が使い果たされるまで反応を続けることができた。未反応の酸は有機塩基または無機塩基(好ましくはトリエタノールアミン)で完全に中和できた。
【0080】
これら部分エステル化反応の生成物は主として所望のエステル化度を持つポリオールによって構成されており、二番目に大きな画分は非置換ポリオールによって構成され、残りの部分は置換度がより高いポリオール(ジカルボン酸の場合はオリゴマー体)によって構成されていた。
【0081】
実施例1A〜6Aに記載のインヘレント粘度(内部粘度)は次の等式で表される:
【数2】

[式中、
t°=既知体積の純溶媒が粘度計の毛管を通過するのに要した時間
t=同じ体積のポリマー含有溶液が毛管を通過するのに要した時間
c=溶液中のポリマー濃度(単位:g/dl)]。
測定に使用した装置はBischoff粘度計である。
測定は溶媒100mlに1gのポリマーを使用してテトラヒドロフラン中25℃で行なった。
【0082】
下記の実施例において「部」という用語は別段の表示がない限りすべて重量部を意味する。
【0083】
実施例1(比較)
PCL TONE 787(Union Carbide社からのポリ-ε-カプロラクトン)55部、Globeトウモロコシデンプン03401(Cerestar社)31部、エルクアミド(エルカ酸アミド)0.25部、グリセロール12部および水1.75部を含む組成物を、70rpmで80/180/150/130℃の作業温度プロフィールを持つOMC製一軸スクリュー押出機(D=20mm、L/D=30)で混合した。
次に、得られたペレットを、フィルム形成ヘッドが付いたHaake製一軸スクリュー押出機(D=19mm、L/D=20)に供給した。
吹込成形中の加熱プロフィールは30rpmで115/120/125/130℃であった。
得られたフィルムを比較材料とした。
【0084】
実施例2〜40
実施例1の方法を使用し、PCL、デンプン、水およびエルクアミドの各割合は同じであるが、グリセロールの全部または一部を次に示すエステルで置き換えて、次の表に示す組成物を混合し、フィルムに成形した。
【表2】

【0085】
(注)
グリセロールとソルビレン(sorbilene)は可塑剤として使用されるポリオールであり、ソルビレンはソルビトールモノエトキシレートである。
特に明示しない限り、上記エステルはCOOH官能基を1モルのグリセロールと反応させることによって得た。
1.5 カプロン酸エステルは、グリセロール1モルにつきカプロン酸1.5モルの反応によって得た。
S-オレイン酸エステルは、オレイン酸モノソルビタンである。
S-シュウ酸エステルは、シュウ酸1モルとソルビトール1モルから製造した。
TMP-シュウ酸エステルは、シュウ酸1モルとトリメチロールプロパン2モルから製造した。
EG-シュウ酸エステルは、シュウ酸1モルとエチレングリコール2モルから製造した。
ノニルフェノール10は、10モルのエチレンオキサイドを持つノニルフェノールエトキシレートである(HLB=13)。
ノニルフェノール19は、19モルのエチレンオキサイドを持つノニルフェノールエトキシレートである(HLB=16)。
【0086】
材料サンプルの評価
フィルムを20℃、15%RHで48時間コンディショニング(調湿)した後、予備的な引裂強さスクリーニングにかけた。評価は手で行ない、その評価結果は次の通りであった。
【表3】

【0087】
紙接触試験
予備スクリーニングで良または極めて良の応答を示した配合物について、対応するフィルムを純セルロース紙の間に50℃、RH<10%で2ヶ月おいた後、その引裂強さを試験した。
ここでは、再び手による予備スクリーニングを行なった。
紙がグリセロールなどの可塑剤をフィルムから吸収しうるので、これは極めて厳しい試験である。
【0088】
結果は次の通りであった。
【表4】

【0089】
フィルムを水中で洗浄した後の引裂強さ
これは、従来の可塑剤(この場合はグリセロールとソルビレン)と水溶性エステルが完全に除去されるため、最も厳しい試験である。
実際には、フィルムを蒸留水に24時間浸漬した後、それを周囲温度で25時間放置乾燥した。
紙接触試験で良または極めて良であったフィルムをこの試験にかけた。評価は再び手で行なった。
【0090】
【表5】

【0091】
機械的性質
水による洗浄にかけた数種類のフィルムの機械的性質を未処理のフィルムと比較して記載する。
【表6】

【0092】
実施例41
55部のPCL Tone 787、31部のGlobeトウモロコシデンプン03401(Cerestar社)、6部のシュウ酸モノグリセリド、3部のグリセロールおよび5部のソルビトールモノエトキシレートを含む組成物を実施例1のように押出機で混合した後、フィルムに成形した。次にそのフィルムを水洗浄試験にかけた。洗浄していない同じフィルムと比較した引張特性は次の通りであった。
【表7】

【0093】
実施例42(比較)
置換度DS=2.5の酢酸セルロース44部、ジアセチン(グリセロールのジ酢酸エステル)16部、トウモロコシデンプン32.8部、エルクアミド0.2部およびソルビレン8部を含む組成物を、2つのスクリューを持つ30mm APV-2030 XLT押出機(L/D=35+5)で混合した。加熱プロフィールは次の通り:60/100/180×14℃およびRPM=170。
押出した材料をペレット化し、190℃で加圧成形することにより厚さ2mmの試験片を得た。破面を調べるために、試験片の一つを常温で破壊した。
【0094】
実施例43
実施例42の方法を使用し、ソルビレンをシュウ酸モノグリセリドに変えて、類似する組成物を調製した。その材料を実施例42と同様に加圧成形した。
機械的性質を比較したところ、次の通りであった。
【表8】

【0095】
これからわかるように、上記エステルの使用により、MFIの点でもスパイラルの点でも組成物がかなり流動化され、一定の引張特性を示した。相溶性をもたらす効果は破面のSEM形状分析ではさらに明らかで、その比較によると、上記エステルを含有する材料の方が明らかに高い均質性を示した。
MFIは5kgの負荷をかけて170℃で測定した。
【0096】
実施例44(比較)
PCLを60:40のブチレンアジペート/ブチレンテレフタレートから得られる脂肪族-芳香族ランダムコポリエステルに代えた点以外は実施例1と全く同じ組成物を実施例1に記載の方法で調製した。
その材料をフィルムに成形し、その特性を決定した。
【0097】
実施例45
5部のマロン酸モノグリセリドを同量のグリセロールの代わりに使用して、実施例44を繰返した。
その材料をフィルムに成形し、その特性を決定した。
引張特性を比較したところ次の通りであった。
【表9】

【0098】
比較例1A
ε-カプロラクトン200g、オクタン酸スズ3.8mgおよび1,4-ブタンジオール186mgを300mlのガラス製反応器に入れ、窒素雰囲気下で撹拌しながら180℃に24時間加熱した。
得られたポリマーは次の特性を持つ。
【表10】

【0099】
実施例1A
1,4-ブタンジオールを186mgではなく105mgにして比較例1Aを繰返した。
得られたポリマーは次の特性を持っていた。
【表11】

【0100】
実施例2A
50℃で24時間減圧下に乾燥した253.3gのUnion Carbide製PCL Tone 787を800mlのガラス製反応器に入れ、撹拌(100RPM)しながら180℃に加熱した。
その温度に達したら、1.0mlの1,5-ヘキサメチレンジイソシアネートを加え、反応を2時間続けた。
出発PCLと反応生成物の特性は次の通りであった。
【表12】

【0101】
実施例3A
実施例2Aと同様に乾燥した99.8部のPCL Tone 787と0.4部の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートを、下記の条件で稼動しているOMC製二軸スクリュー押出機(L/D=36、D=60mm)に供給した。
・温度プロフィール:20/90/90/140/175/190×4/170/150℃
・流速:10kg/h
・RPM:150
押出してペレット化された材料は次の特性を持っていた。
【表13】

【0102】
実施例4A〜6A/比較例2A
次に挙げる組成物を、温度プロフィール80/180/150/130、70RPMで稼動しているOMC製一軸スクリュー押出機(L/D=30、D=20mm)で混合した:
【表14】

【0103】
次に得られたペレットを、フィルム形成ヘッドを持つHaake製一軸スクリュー押出機(L/D=20、D=19mm)に供給した。吹込成形中の温度プロフィールは115/120/125/130で、RPM=30であった。
得られたフィルム(厚さ約40ミクロン)をその引張特性と引裂強さの観点から特徴づけた。測定はRH50%および20%でコンディショニングした試験試料を用いて行なった。具体的に述べると、引裂強さについては、低速と高速の両方で測定を行なった。第一の場合はASTM D-1938に従ってインストロン材料試験機を250mm/分の速度で使用した。第二の場合はASTM-1922に従ってエルメンドルフ振子型試験機を使用した。
【0104】
【表15】

各実施例について、相対湿度50%および20%に関するデータを示す(最初の欄が50%のデータ)。
【0105】
実施例1B
54部のEastman Chemical社14766コポリエステル(テレフタル酸、アジピン酸およびブタンジオールに基くもの)、33.4部のトウモロコシデンプンCerestar社Globe 03401、5.8部のグリセロールおよび6.5部の水を、下記の条件で稼動しているツイン-シングルスクリュー押出機(twin-single screw extruder)APV製V30モデル2030に供給した。
・標準スクリュー(滞留時間80秒)
・スクリュー直径:30mm
・L/D:10
・RPM:1790
・熱プロフィール:60/100/180×14℃
・能動的脱気(active degassing)
【0106】
得られたペレットの水分含有量は1.18重量%であった。
5M HClでの可溶化によりデンプンを除去した後、分散したデンプン相の平均数値サイズをSEMで決定したところ、0.3〜0.5μmの範囲にあった。
CHCl3による抽出で回収されたポリエステルの固有粘度は、出発ポリマーの[η]=0.93dl/gに対して、30℃のCHCl3中で[η]=0.86dl/gであった。
そのペレットを、19mmの直径をもつHaake製一軸スクリュー押出機(L/D=20)で140℃にてインフレート法にかけることにより、厚さ約45μmのフィルムを得た。
【0107】
得られたフィルムの機械的性質を次の表に示す。
【表16】

【0108】
実施例2B
標準スクリューを、逆混合(逆転)部分を含むスクリューに置き換えることにより実施例1Bを繰返した。この場合、押出機中の滞留時間は130秒に増えた。
ペレットを実施例1Bに従って試験し、次の結果を得た。
・水分:1.76重量%
・粒子サイズは0.3〜0.4μmの範囲
・混和後のポリエステル粘度:[η]=0.83dl/g
【0109】

ペレットを実施例1Bに従ってインフレート法にかけた。
このフィルムの機械的性質は次の通りであった。
【表17】

【0110】
この洗浄したフィルムを23℃、20%RHでコンディショニングしたものは、1m/秒の速度で139KJ/m2の引裂強さをもった。
最終的に、フラットヘッドを持つ押出機でペレットを加工することにより、6000μmの厚さを持つシートを得た。このシートは熱成形に適していることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性デンプンおよびデンプンとは不相溶の熱可塑性ポリマーを含み、デンプンが分散相を構成し、熱可塑性ポリマーが連続相を構成している、老化と低湿度条件に対して良好な耐性を持つ生分解性ヘテロ相ポリマー組成物であって、次に挙げる組成物から選択される組成物:
A)次に挙げる種類の化合物から選択される界面剤を含有する組成物:
a)ポリオールと、4.5未満の解離定数pK値を持つモノカルボン酸またはポリカルボン酸(ポリカルボン酸の場合、このpK値は第一カルボキシル基のpKに関する)とのエステルであって、8より高い親水性/親油性バランスインデックス値(HLB)を持つことを特徴とするエステル;
b)ポリオールと、4.5より高いpK値を持つ炭素原子数12未満のモノカルボン酸またはポリカルボン酸とのエステルであって、かつ、5.5〜8のHLB値を持つエステル;
c)ポリオールとC12-C22脂肪酸とのエステルであって、5.5未満のHLB値を持つエステル(このエステルはデンプンの10〜40重量%の量で使用される);
d)非イオン性の水溶性界面活性剤であって、上記デンプン/熱可塑性ポリマー組成物に加えたときに、それを含有する材料を周囲温度で100時間水に浸漬した後に、水中に移動する量がその濃度の30重量%以下である非イオン性の水溶性界面活性剤;
e)脂肪族または芳香族ジイソシアネートと、そのジイソシアネートと反応する末端基を含むポリマーとの反応生成物;
B)デンプンとは不相溶の熱可塑性ポリマーが、炭素原子数が2より多いヒドロキシ酸および/または脂肪族ジカルボン酸から誘導される反復単位を含んでなるポリエステルであって、平均粘度法分子量とメルトインデックス(5kgの負荷をかけて180℃で測定)の比Rが25,000より大きい組成物;
C)デンプンとは不相溶の熱可塑性ポリマーが、脂肪族-芳香族コポリエステル、ポリエステル-アミド、ポリエステル-エーテル、ポリエステル-エーテル-アミド、ポリエステル-ウレタンおよびポリエステル-ウレアからなる群より選択される組成物であって、かつ、成分混合操作中の水分含有量が1〜5重量%(あらゆるコンディショニングに先立って押出機の出口で測定される含有量)に維持される条件下での押出によって得られる組成物。
【請求項2】
組成物がA)群の組成物から選択され、エステルが3個以上の炭素原子と2個以上のアルコール基を含むポリオールから得られる請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ポリオールがグリセロールである請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
エステルがモノグリセリドである請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
エステルa)がシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、グルタル酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、またはトリクロロ酢酸のエステルである請求項2〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
エステルa)が平均してモノグリセリドである請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
エステルb)がカプロン酸、スベリン酸、またはアゼライン酸から得られる請求項2〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
エステルが平均してモノグリセリドである請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
エステルc)が平均してラウリン酸またはオレイン酸のモノグリセリドである請求項2〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
界面活性剤d)が10より大きいHLB値を持つアルコキシル化置換アルキルフェノール類から選択される請求項2に記載の組成物。
【請求項11】
熱可塑性デンプンと、デンプンとは不相溶の熱可塑性ポリマーとの重量比が、デンプンが分散相を構成し、熱可塑性ポリマーが連続相を構成するような比である請求項2〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
使用されるエステルa)およびb)の量が組成物全体に対して0.5〜20重量%である請求項2〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
可塑剤を含む請求項2〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
可塑剤が、3個以上の炭素原子と2個以上のアルコール基を持つポリオールであって、エーテル化またはエステル化されていてもよいポリオールから選択される請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
ポリオールがグリセロール、ソルビトール、エーテル化またはエステル化されたソルビトール、エチレングリコール、およびトリメチロールプロパンから選択される請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
デンプンに対して1〜100重量%の量の可塑剤が使用される請求項12〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
エステルa)またはb)がデンプンに対して1:30〜1:2.5の重量比で使用される請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
熱可塑性ポリマーが、2個以上の炭素原子を持つヒドロキシ酸の重縮合によって、もしくは対応するラクトンまたはラクチドから、もしくは炭素原子数1〜12のジオールと脂肪族ジカルボン酸またはそれと芳香族ジカルボン酸の混合物との重縮合によって得られる脂肪族または脂肪族-芳香族ポリエステルから選択される請求項1〜17のいずれかに記載の組成物および材料。
【請求項19】
ポリマーがポリ-ε-カプロラクトンである請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
組成物がB)群の組成物から選択され、R比が40,000〜110,000である請求項1に記載の組成物。
【請求項21】
ポリエステルが脂肪族ジカルボン酸と2個以上の炭素原子を持つジオールの重縮合生成物、もしくは2個より多い炭素原子を持つ脂肪族ヒドロキシ酸またはそのラクトンもしくはラクチドの重縮合生成物である請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
ポリエステルが芳香族ジカルボン酸および/または脂肪族ジカルボン酸のまたはヒドロキシ酸の混合物から誘導される単位を含む請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
ポリエステルがポリ-ε-カプロラクトン、ポリ-ε-カプロラクトン/ε-カプロラクタム、ポリ-ε-カプロラクタム/ブチレンアジペートである請求項21または22に記載の組成物。
【請求項24】
ポリカプロラクトンが100000より大きい平均粘度法分子量と40,000〜110,000のR比を持つ請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
炭素原子数3以上のポリオールから選択される可塑剤を含む請求項21〜24のいずれかに記載の組成物。
【請求項26】
ポリオールがグリセロール、ソルビトール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールから選択される請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
使用されるポリオールの量がデンプンに対して10〜100%である請求項25または26に記載の組成物。
【請求項28】
組成物がC)群の組成物から選択され、デンプンがコポリエステルマトリックス中に1μm未満の平均数値サイズを持つ粒子の形態で分散している請求項1に記載の組成物。
【請求項29】
デンプン粒子が0.5μm未満の平均数値サイズを持ち、その粒子の70%以上が0.5μm未満のサイズを持つ請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
コポリエステルが、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の混合物と脂肪族C2〜C20ジオールとの重縮合によって得られる請求項28または29に記載の組成物。
【請求項31】
脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸、グルタル酸およびセバシン酸からなる群より選択され、芳香族酸がテレフタル酸である請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
コポリエステルが、脂肪族C2-C20ジオールと、炭素原子数が2より多いヒドロキシ酸または対応するラクトンとテレフタル酸の混合物との重縮合によって得られる請求項28〜30のいずれかに記載の組成物。
【請求項33】
コポリエステルがポリアルキレンアジペート-ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンアジペート-ポリアルキレンイソフタレートおよびポリアルキレンセバケート-ポリアルキレンテレフタレートからなる群より選択される請求項28〜32のいずれかに記載の組成物。
【請求項34】
脂肪族構造を持つ単位の含量が30〜70モル%である請求項28〜33のいずれかに記載の組成物。
【請求項35】
コポリエステル-アミドが、ポリ-ε-カプロラクトン-ε-カプロラクタム、ポリアルキレンアジペート-ε-カプロラクタムおよびポリアルキレンスクシネート-ε-カプロラクタムからなる群より選択される請求項28に記載の組成物。
【請求項36】
デンプンの含有量が5〜95重量%であり、コポリエステルの含有量が95〜5重量%である請求項26〜35のいずれかに記載の組成物。
【請求項37】
グリセロール、ソルビトール、ポリグリセロール、グリセロール、ソルビトールおよびポリグリセロールのエステルおよびエーテル、1,3-プロパンジオールおよびペンタエリスリトールからなる群より選択される可塑剤を含む請求項28〜36のいずれかに記載の組成物。
【請求項38】
脂肪族ポリエステル、酢酸セルロース、エチレン-ビニルアルコールコポリマー、エチレン-酢酸ビニルコポリマーおよびポリビニルアルコールから選択されるポリマーを、組成物の30重量%までの量で含む請求項28〜37のいずれかに記載の組成物。
【請求項39】
請求項28〜38のいずれかに記載の組成物の製造法であって、組成物の成分を、水分の含有量が成分の混合操作中に1〜5重量%に維持される条件下で押出すことからなる製造法。
【請求項40】
請求項28〜38のいずれかに記載の組成物から得られるフィルム。
【請求項41】
おむつ、生理用ナプキン、袋およびラミネート紙の製造における請求項40に記載のフィルムの使用。
【請求項42】
マルチングに応用するための農業分野における請求項40に記載のフィルムの使用。
【請求項43】
梱包に使用できる発泡成型製品および使い捨て製品を製造するための請求項28〜39のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項44】
請求項1の組成物A)およびB)または請求項2〜27のいずれかに記載の組成物から得られるフィルム。
【請求項45】
おむつ、生理用ナプキン、袋、ラミネート紙、積層品、およびシリカやアルミニウムなどの無機生成物で処理されるフィルムの製造における請求項44に記載のフィルムの使用。
【請求項46】
農業分野におけるおよびセロファン包装するための請求項44に記載のフィルムの使用。
【請求項47】
梱包に使用できる発泡材料および使い捨て製品を製造するための請求項1の組成物A)およびB)ならびに請求項2〜27のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項48】
熱可塑性デンプンおよびデンプンとは不相溶の熱可塑性ポリマーを含み、デンプンが分散相を構成し、熱可塑性ポリマーが連続相を構成し、粒子の少なくとも80%が1μmより小さいサイズを持つ分散相の微細構造を特徴とするヘテロ相組成物から製造される材料。
【請求項49】
平均数値粒子サイズが0.1〜0.5μmである請求項48に記載の材料。
【請求項50】
フィルム状の請求項48または49に記載の材料。

【公開番号】特開2012−36403(P2012−36403A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−228798(P2011−228798)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【分割の表示】特願2007−211032(P2007−211032)の分割
【原出願日】平成9年11月5日(1997.11.5)
【出願人】(592081988)ノバモント・ソシエタ・ペル・アチオニ (19)
【氏名又は名称原語表記】NOVAMONT SOCIETA PER AZIONI
【Fターム(参考)】