説明

データを符号化および復号する方法ならびに装置

【課題】利用可能なFECブロックサイズとCTBを適切に一致させる、ターボ符号化および復号のための方法ならびに装置を提供する。
【解決手段】動作中、長さXの連結トランスポートブロック(CTB)が受信され、Kmin〜Kmaxの利用可能な不連続なFECブロックサイズのグループから前方誤り訂正(FEC)ブロックサイズKが決定される。ここで、Kmin≦K<Kmaxである。これに加えてKI−1,KはXに基づく。長さXの連結トランスポートブロックは各々Kとほぼ等しいサイズのC個のセグメントへと区分される。FECブロックサイズKを用いてC個のセグメントの各々に対するFEC符号語が決定され、チャネルを通じてC個のFEC符号語が送信される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータの符号化および復号に関する。詳細には、本発明はデータをターボ符号化および復号する方法ならびに装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有線および無線リンクを通じるデジタルデータ伝送は、例えば、リンクもしくはチャネルにおけるノイズ、他の伝送からの干渉、または他の環境要因によって、損なわれることがある。チャネルによって導入される誤りに対処するため、多くの通信システムでは、通信を支援するための誤り訂正技術が用いられている。
【0003】
誤り訂正のために利用される1つの技術は、チャネルを通じて送信される前に情報ブロックをターボ符号化することである。非特許文献1は、ターボ符号化について記載されている。そのような技術を利用して、通信システムの送信機内の符号器は、長さKビットの入力ブロック[u](以下、ベクトルは[]を付けて表記する)をNビットの符号語ブロック[x]へと符号化する。次いで、この符号語ブロック[x]は、場合によってはさらなる処理(IEEE 802.16e仕様に定義されているチャネルインタリーブなど)の後、チャネルを通じて送信される。受信機では、ターボ復号器は受信した長さNの信号ベクトル[y]を入力として取得し、ベクトル[u]の推定
【0004】
【数1】

【0005】
(以下、[^u]と表記する)を生成する。
通常、ターボ符号器は2つの要素畳込み符号器からなる。第1の要素符号器は入力として入力ブロック[u]をその元の順序で取得し、第2の要素符号器は、ターボインタリーバπに[u]を通過させた後、入力ブロック[u]をそのインタリーブされた順序で取得する。ターボ符号器の出力[x]は、システマティックビット(入力ブロック[u]に等しい)と、第1の要素符号器からのパリティビットと、第2の要素符号器からのパリティビットとからなる。
【0006】
これに対応して、通信システムの受信機内のターボ復号器は、各要素符号に対して1つずつ、2つの要素畳込み復号器からなる。要素復号器はインタリーバπおよび相当するデインタリーバπ−1によって分離されている。要素復号器間では、対数尤度比(LLR)形式のメッセージが反復的に渡される。数回の反復後、決定[^u]が生成される。
【0007】
ターボ符号の設計において、ターボインタリーバπは重要な構成要素である。ターボインタリーバπは偽似ランダムに入力ブロック[u]をスクランブルする役割を担っているため、符号語[x]に良好な重み分布を、したがって良好な誤り訂正機能を提供する。復号機能に加え、ターボインタリーバπは受信機内のターボ復号器の実装にも相当な影響を与える。通常、インタリーバの長さが増大するにつれて、ターボ符号の性能は向上する。しかしながら、インタリーバのサイズの増大には収穫逓減が存在する。実際、ターボ符号の最大の前方誤り訂正(FEC)ブロックサイズ(すなわち、インタリーバのサイズ)は、複雑さや遅延のため、一定の値に制限される。したがって、入力ブロック(連結トランスポートブロック、すなわち、CTB)のサイズがターボ符号によってサポートされる最大のFECブロックサイズより大きい場合、CTBは(例えば、符号ブロック区分規則を用いて)数個の小さなセグメントへと区分される。各セグメントは、送信機のターボ符号器によって、またこれに対応して受信機のターボ復号器によって、個別に処理される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】3GPP TS 25.212 v6.4.0 (2005−03):「多重化およびチャネル符号化(Multiplexing and Channel Coding)(FDD) 第6リリース(Release 6)」、2005年3月。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一部のシステムでは、様々な理由(例えば、高速な復号、記憶域の低減など)から、ターボ符号が少数のFECブロックサイズしかサポートしないように設計されている場合がある。したがって、利用可能なFECブロックサイズとCTBを適切に一致させる、ターボ符号化および復号のための方法ならびに装置の必要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、送信機を動作させる方法であって、長さXの連結トランスポートブロックを受信するブロック受信工程と、不連続なFECブロックサイズのグループから利用可能なFECブロックサイズKを決定するブロックサイズ決定工程と、利用可能な不連続なFECブロックサイズはKminとKmaxとの間であることと、Kmin≦K<Kmaxであることと、これに加えてKはXに基づくことと、長さXの連結トランスポートブロックをKとほぼ等しいサイズのC個のセグメントへと区分するブロック区分工程と、FECブロックサイズKを用いてC個のセグメントの各々に対するFEC符号語を決定する符号語決定工程と、チャネルを通じてC個のFEC符号語を送信する符号語送信工程と、からなることを要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、C=X/Kmaxであることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、符号語決定工程は、セグメントに充填ビットを挿入し、FEC入力ブロックを形成する工程と、FEC入力ブロックをFEC符号化する工程と、充填ビットに関連するビットを破棄する工程と、を含むことを要旨とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、1つ以上の空間ストリーム上で送信される長さAの情報ビットを受信する工程と、トランスポートブロックとしてX’個のビットを指定する工程と、X’≦Aであることと、X’個のビットにCRCビットを付属させ、長さXの連結トランスポートブロックを形成する工程と、長さXの連結トランスポートブロックは第1のHARQチャネルに対しマッピングされることと、を含むことを要旨とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の方法において、情報ビットのうちのW’=A−X’個のビットを第2のトランスポートブロックとして指定する工程と、CRCビットを付属させ、第2の連結トランスポートブロックを形成する工程と、同連結トランスポートブロックは第2のHARQチャネルへマッピングされることと、を含むことを要旨とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の方法において、符号語決定工程は、連続する充填ビットのグループをセグメントに挿入し、FEC入力ブロックを形成する工程と、グループの長さは7の倍数であることと、FEC入力ブロックをFEC符号化する工程と、充填ビットに関連するビットを破棄する工程と、を含むことを要旨とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の方法において、充填ビットに相当するシステマティックビットのグループを破棄する工程と、要素符号器1の出力にて充填ビットのグループに相当するパリティビットを破棄する工程と、要素符号器はテイルバイティングターボ符号器においてインタリーブすることなくFEC入力ブロックを取得することと、を含むことを要旨とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、長さXの連結トランスポートブロックを受信する受信回路と、不連続なFECブロックサイズのグループから利用可能なFECブロックサイズKを決定する論理回路と、利用可能な不連続なFECブロックサイズはKminとKmaxとの間であることと、Kmin≦K<Kmaxであることと、これに加えてKはXに基づくことと、長さXの連結トランスポートブロックをKとほぼ等しいサイズのC個のセグメントへと区分する符号ブロック区分回路と、FECブロックサイズKを用いてC個のセグメントの各々に対するFEC符号語を決定する符号化回路と、チャネルを通じてC個のFEC符号語を送信する送信回路と、からなることを要旨とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の装置において、C=X/Kmaxであることを要旨とする。
請求項10に記載の発明は、請求項8に記載の装置において、1つ以上のセグメントに充填ビットを挿入し、FEC入力ブロックを形成する充填回路を含むことを要旨とする。
【0018】
代替の実施形態では、長さXの連結トランスポートブロック(CTB)が受信され、不連続なFECブロックサイズのグループから2つのFECブロックサイズKI−1,Kが決定される。ここで、利用可能な不連続なFECブロックサイズはKminとKmaxとの間であり、Kmin≦KI−1<Kmax,Kmin≦K≦Kmaxである。これに加えてKI−1,KはXに基づく。長さXの連結トランスポートブロックは、各々KI−1またはKとほぼ等しいサイズのC個のセグメントへと区分される。FECブロックサイズKまたはKI−1を用いてC個のセグメントの各々に対するFEC符号語が決定され、チャネルを通じてC個のFEC符号語が送信される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】送信機のブロック図。
【図2】受信機のブロック図。
【図3】図1のターボ符号器のブロック図。
【図4】送信機側のトランスポートブロック形成器のブロック図。
【図5】受信機側のトランスポートブロックアセンブラのブロック図。
【図6】図1の送信機の動作を示すフローチャート。
【図7】図2の受信機の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上述の方法の利点は、それらの方法によって、利用可能な不連続なFECブロックサイズによって許容される最小のセグメント数を用いながら、CTBを符号化するのに必要な充填ビットのパディングが低減されることである。特に、第2の方法では、利用可能な不連続なFECブロックサイズによって許容される最小のセグメント数を用いながら、2つの異なる(しかしながら、隣接する)FECブロックサイズを用いて充填ビット数が最少化される。さらに、2つの実施形態におけるセグメントサイズおよびセグメント数に対するFECブロックサイズは、単純な論理回路を用いて決定できる。
【0021】
データの符号化および復号について記載する前に、必要な背景を設定するため、次の定義を提供する:
・表記を容易にするため、「連結トランスポートブロック」は、1つ以上のトランスポートブロックに対しCRCビットなどのオーバヘッドを付加した後、各トランスポートブロックを連結した結果を表す。
・Xは、連結トランスポートブロックのサイズ(例えば、連結トランスポートブロックのビットでの長さ)を表す。
・Yは、連結トランスポートブロックに付加される充填ビットの総数を表す。
・Cは、連結トランスポートブロックが区分されるセグメント数を表す。
・CBSSは、連結トランスポートブロック(i=1,...,C)の第i番目のセグメントのサイズを表す。ここで、Cはセグメントサイズである。CBSSは符号ブロックセグメントサイズを表す。・KI−1およびKは、連結トランスポートブロックのセグメントをFEC符号化するために用いることのできるFECブロックサイズ(例えば、ターボ符号の内部インタリーバが定義されるサイズ)を表す。
・Ktableは、利用可能な不連続なFECブロックサイズ(ターボ符号の内部インタリーバが定義されるサイズ)のセットを表す。
・Kfillerは、セグメントに付加される充填ビットの数を表す。
・Rは、ターボ符号器の原符号レートを表す(例えば、3GPPターボ符号では、R=1/3)。
・R−1は、ターボ符号器の原符号レートの逆数を表す(例えば、3GPPターボ符号では、R−1=3)。
・Ntbは、FEC符号器の出力におけるFEC符号語のテイルビットの数である。特に、
テイルビットを備えた3GPPターボ符号ではNtb=12、
テイルバイティングを備えた3GPPターボ符号ではNtb=0。
・πはターボ符号の内部インタリーバを表す。
・床演算
【0022】
【数2】

【0023】
(以下、のように表記する)はx以下の最大の整数を表し、天井演算
【0024】
【数3】

【0025】
(以下、のように表記する)はx以上の最小の整数を表す。
ここで図面を参照する。図面では、同じ参照符号は同じ構成要素を表す。図1は、送信機100のブロック図である。示すように、送信機100は、符号ブロック区分回路102、充填回路103、ターボ符号器104、充填破棄回路105、送信機108、論理回路106、およびテーブル/記憶域107を備える。これに加えて、送信機100は、長さXの連結トランスポートブロックを受信する受信回路(図1には図示せず)を含む。論理回路106は、利用可能な不連続なFECブロックサイズのグループ107から利用可能なFECブロックサイズKを決定する。ここで、利用可能な不連続なFECブロックサイズはKminとKmaxとの間であり、Kmin≦K<Kmaxである。これに加えて、KはXに基づく。符号ブロック区分回路102は、長さXの連結トランスポートブロックをKとほぼ等しいサイズのC個のセグメントへと区分し、符号化回路104は、FECブロックサイズKを用いてC個のセグメントの各々に対するFEC符号語を決定する。最後に、送信回路108は、チャネルを通じてC個のFEC符号語を送信する。
【0026】
別の実施形態では、送信機100は、長さXの連結トランスポートブロックを受信する受信回路(図1には図示せず)と、利用可能な不連続なFECブロックサイズのグループ107から2つの利用可能なFECブロックサイズKI−1,Kを決定する論理回路106とを備える。ここで、利用可能な不連続なFECブロックサイズはKminとKmaxとの間であり、Kmin≦KI−1<Kmax,Kmin≦K≦Kmaxである。これに加えて、KI−1,KはXに基づく。送信機100は、長さXの連結トランスポートブロックをKI−1またはKとほぼ等しいサイズのC個のセグメントへと区分する符号ブロック区分回路102と、FECブロックサイズKI−1またはKを用いてC個のセグメントの各々に対するFEC符号語を決定する符号化回路104とを備える。最後に、送信機100は、チャネルを通じてC個のFEC符号語を送信する送信回路108を備える。
【0027】
符号化回路104より前に充填回路103が存在する。充填回路103はセグメントに充填ビットを挿入し、FEC入力ブロックを形成する。FEC符号器104はFEC入力ブロックを符号化し、充填破棄回路105は、充填ビットに関連するビットを破棄する。
【0028】
送信機100の動作中、回路102によって連結トランスポートブロックの形式のデータが受信される。回路102は、前方誤り訂正(FEC)符号化の前に、連結トランスポートブロックを準備する。
【0029】
一般に、CTBサイズ(すなわち、X)の範囲は、通信システムの物理層において基礎をなすFECスキームにサポートされたFECブロックサイズの範囲とは異なる場合がある。したがって、FECによって効率的に処理可能なセグメントへとCTBを分割する規則を定義する必要がある。特に、CTBサイズ(すなわち、X)はFEC符号器104の処理可能な最大のFECブロックサイズより充分に大きい場合が多い。したがって、CTBは回路102によって複数のより小さなサイズのセグメントへと区分される必要があり、各セグメントはFEC符号器104によって個別のFEC符号語へと符号化される必要がある。
【0030】
回路102は、基礎をなすFECによって良好な性能(すなわち、所与のCTBのセグメントの集合性能)を達成するように設計されている符号ブロック区分規則を用いる。これには、所与のCTBサイズにおいて、次の態様が含まれる:
・セグメント数Cの選択、
・各セグメントのサイズの選択、
・FECによるセグメントサイズの直接的な処理が不可能な場合、FEC符号化前の充填ビットの挿入およびFEC符号化後の充填ビットの削除。
【0031】
提案の区分規則は、EUTRA(Evolved−UMTS Terrestrial
Radio Access)システムにおいて特に有用である。EUTRAシステムでは、限られたFECブロックサイズ(インタリーバサイズ)のセットに対してしか、ターボ符号器が定義されない場合がある。3GPP第6リリースのターボ符号器では、40ビット〜5114ビットの各インタリーバサイズKに対して1つずつ、連続するサイズの5075のインタリーバを定義する。これと異なり、EUTRAターボ符号器では、限られた数のFECブロックサイズKtable(例えば、128ビット〜6144ビットに渡る不連続なサイズの40〜50のインタリーバ)しか定義せずに、多数のセグメントサイズ(例えば、6144−128+1=6017サイズ)をカバーすることができる。セグメントサイズと利用可能なFECブロックサイズとが等しい場合、セグメントをFEC入力ブロックとして直接的に取得可能である(したがって、充填ビットの挿入は不要である)。しかしながら、セグメントサイズと任意の利用可能なFECブロックサイズとが等しくない場合、充填ビットのパディングが適用され、Ktable107から選択される次に大きな利用可能なFECブロックサイズ(すなわち、インタリーバサイズ)が用いられる。
【0032】
セグメント数:
区分規則は、次のターボ符号化の特性を考慮に含める。
(a)ターボ符号性能はFECブロックサイズが増大するにつれ向上する。
(b)FECブロックサイズの増大によるターボ符号性能の向上には、数千ビットを越えると収穫逓減が存在する。
(c)セグメントが全て正確に受信される場合のみ、CTBは正確に受信される。
【0033】
特性(a)および(c)は、最悪の性能を有するセグメントによって全体的な性能が支配されるであろうことを示している。したがって、ほぼ等しいFECブロックサイズを用いてセグメントがFEC符号化される(したがって、FECの観点からほぼ等しい誤り保護が与えられる)ように、ほぼ等しいサイズのセグメントを有することが好適である。
【0034】
特性(b)は、テーブル(Ktable)に非常に大きなサイズに対するインタリーバを含む必要はないことを示唆している。しかしながら、Ktableに定義されるFECブロックサイズは、他の因子に依存する場合がある。例えば、i)低減された記憶域/複雑さにおいては、Ktableのインタリーバ数が小さいことが望ましい場合があり、ii)Ktableに定義される最大のインタリーバサイズがCTB毎のセグメント数を制限するように選択されるため、CTBの区分ペナルティを制限する場合がある。区分ペナルティとは、CTB全体を1つのFEC符号語へと符号化する代わりにCTBを幾つかのセグメントへと分割することによる、性能損失である。
【0035】
特性(c)は、区分ペナルティを低減するために最小のセグメント数を用いることを示唆している。
上述の全てを考慮すると、セグメント数はC=X/Kmaxとなる。ここで、KmaxはKtableに定義される最大のFECブロックサイズである。CBSSが連結トランスポートブロックの第i番目のセグメント(i=1,...,C)のセグメントサイズを表すと仮定すると、全セグメントの総計は、連結トランスポートブロックサイズXに等しい。すなわち、セグメントサイズは次式によって拘束される。
【0036】
【数4】

【0037】
次節では、C個のセグメントサイズの各々に対して1つずつ、FEC符号化に用いられるFECブロックサイズを決定することについて記載する。
FECブロックサイズ決定
長さXのCTBが符号ブロック区分関数に対する入力であるとすると、3GPP標準の第6リリースに記載のターボ符号器のためのFECブロックサイズ(インタリーバサイズ)を決定する規則は、次式のようになる。
【0038】
【数5】

【0039】
ここで、Kmax=5114は、第6リリースのターボ符号における最大のインタリーバサイズであり、Cはセグメント(または、符号ブロック)の数であり、Kはインタリーバサイズであり、YはサイズKのC個のFEC入力ブロックが用いられるときにサイズXのCTBに挿入される充填ビットの総数である。本質的には、サイズXのCTBは、ほぼ等しいサイズC個のセグメントへ区分され、各セグメントはKビットのインタリーバのターボ符号を用いて符号化される。Y>0の場合、符号化の前に第1のセグメントの始部までY個の既知のビットがパディングされる。3GPP第6リリースのターボ符号においては、Kmin=40〜Kmax=5114の全てのサイズに対してFECブロックサイズ(すなわち、インタリーバ)が定義されるので、充填ビット数は、符号ブロック区分に用いられるセグメント数であるCにより有界である。
【0040】
しかしながら、EUTRAにおいて考慮されるシステムなど他のシステムでは、FECブロックサイズ(インタリーバサイズ)は、不連続なサイズ(より粗いインタリーバサイズのセット)Ktableに対してしか定義されない場合がある。そのような場合、任意の利用可能なFECブロックサイズに等しくない(すなわち、Ktableには定義されていない)セグメントのサイズは、FEC符号化(および、所望の符号レートに到達するための符号化後のパンクチャリング)の前に、充填ビットを用いて処理される必要がある。
【0041】
次に、ターボ符号器がKmin以上Kmax以下に分配される限られた数のFECブロックサイズしかサポートしないと仮定して、Ktableを用いる長さXの連結トランスポートブロックの符号ブロック区分の2つの単純な方法について記載する。それらの方法では、可能な限り少ないセグメントしか用いずに、符号化に必要な充填ビット数を減少させる。
【0042】
1つのFECブロックサイズのみを許容
1つの方法は、式(1)を修正し、1つのインタリーバサイズKによって全セグメントを符号化することである。
【0043】
【数6】

【0044】
ここで、iは、1≦i≦Tであり、Ktableにおける利用可能な不連続なFECブロックサイズのグループへの指標である。Ktableでは、T個のサイズが昇順に並んでいると仮定する。本質的には、この方法は、X/C以上の最小のK、すなわち、KX/C+δを、Ktableから選択する。ここで、0≦δ<K−KI−1であり、KI−1X/Cである。なお、I=1のとき、KI−1=0とする。したがって、充填ビット数は次式によって与えられる。
【0045】
【数7】

【0046】
したがって、δが大きいとき、Yは大きい。次の例では、利用可能なFECブロックサイズの数(Ktable)がどのようにYに影響を与えるかを示す。
・KtableがZmin=40〜Zmax=5114の値を全て有する場合、充填ビットの最大数はC−1に等しい。
・KtableがZmin=40〜Zmax=5114の間に一様に分布したT=100個の値を有する場合、全てのセグメントにパディングされた充填ビットの総数は、最大で、ほぼ50×Cに等しい。
【0047】
したがって、充填ビット数は、KtableにおけるFECブロックサイズの粒度を変化させることによって制御可能である。また、次に記載の別のアプローチを用いても、充填ビット数を減少させることが可能である。しかしながら、次の方法について説明する前に、一般的な場合には、充填ビット数の増大の可能性を犠牲にして、FEC符号化のためにKtableから任意のK(≧X/C)を選択可能であることを述べておく。この場合、符号ブロック区分後に得られるセグメントサイズは、CBSS≦K(i=1,...,C)を満たす。この場合、論理回路106は、次の関係を用いてセグメント数を決定する。
【0048】
【数8】

【0049】
2つの隣接したFECブロックサイズのみを許容
所与のCTBの全セグメントを符号化するために1つのFECブロックサイズKを用いる代わりに、Ktableから2つの隣接したFECブロックサイズKI−1,K(KI−1<K,1≦I≦T)を選択することを提案する。なお、I=1のとき、KI−1=0とする。上述の場合と同様に、依然としてセグメント数Cおよび大きい方のFECブロックサイズKが選択される。すなわち、Cは依然として式(1)によって計算され、Kは依然として式(2)によって計算される。しかしながら、サイズKI−1,Kによって符号化されるセグメント数は、次のように決定される(理解を容易にするため、付随する計算全てを以下に繰り返す)。この場合、論理回路106は、次の演算を実行してセグメント数を求める。
【0050】
【数9】

【0051】
I−1,Cは、それぞれFECブロックサイズKI−1,Kを用いて符号化されるセグメント数である。ここで、KX/C以上の利用可能なFECブロックサイズのうちの最小のサイズであり、Dは、隣接したインタリーバサイズKI−1,Kの間の差を表す。
【0052】
なお、式(4)では、Yは2つの隣接したサイズを許容する場合に必要な充填ビット数を示すのではなく、C個のセグメント全てに対し1つのサイズKしか用いられない場合に必要な充填ビット数を示す。
【0053】
したがって、符号ブロック区分では、CI−1個のセグメントがFECブロックサイズKI−1によってFEC符号化される、C個のセグメントが形成される。なお、Y<Dのとき、式(4)はCI−1=0を与え、この方法は1つのFECブロックサイズKを用いるように縮退する(すなわち、サイズKI−1は許容されるが、実際には使用されない)。一方、Y≧Dのとき、この方法は、C個のセグメント全てを大きい方のFECブロックサイズKまでパディングするよりも少ない数の充填ビットしか必要としない。可能な限り最も少ないセグメントを用いながら、CTB毎に付加される充填ビット数Y”を最小とすることを保証するという点で、この方法は最適である。Y”は次式のように決定される。
【0054】
【数10】

【0055】
Cに関わらず、Y”はDによって束縛されることを証明可能である。
【0056】
【数11】

【0057】
この場合、一般性を失うことなく、最初のC個のセグメントがKによって符号化され、残りのセグメントがKI−1によって符号化されると仮定すると、符号ブロック区分後に得られるセグメントサイズには、次の拘束が存在する。
【0058】
【数12】

【0059】
再び図1を参照すると、上述のように、不連続なFECブロックサイズのテーブル107から、適切なFECブロックサイズを選択する必要がある。論理回路106は、上述のように、1つ以上の適切なFECブロックサイズを選択するタスクを実行する。テーブル107の一例を、テーブル1に示す。例えば、第1の場合には、論理回路106は、KminとKmaxとの間の利用可能な不連続なFECブロックサイズからFECブロックサイズを選択する。ここで、Kmin≦K≦Kmaxであり、これに加えて、KはXに基づく。詳細には、1つのFECブロックサイズKが用いられる場合、論理回路106は、X/C以上の最小のK、すなわち、KX/C+δを(Ktableから)選択する。ここで、δ≧0,KI−1X/Cである。しかしながら、2つのFECブロックサイズが用いられる場合、KI−1,Kは、FECブロックサイズKI−1,Kを用いて符号化されるセグメント数を与える式(4)によって決定される。
【0060】
【表1】

【0061】
基礎をなすFEC符号器104は、限られたFECブロックサイズ(すなわち、入力サイズ)のセットしかサポートしない。一般性を失うことなく、FEC符号器104はターボ符号器であり、ターボ符号器にサポートされるFECブロックサイズのセットは、ターボ符号内部インタリーバの定義されるインタリーバサイズのセットであると仮定される。しかしながら、当業者は、低密度パリティ検査(LDPC)符号、畳込み符号、ブロックターボ符号、リード・ソロモン符号などを含む他のFECスキームが、104において用いられてよいことを認めるであろう。
【0062】
セグメント数Cおよび各セグメントに対するFECブロックサイズが決定されると、この情報は符号ブロック区分回路102に渡される。符号ブロック区分回路102では、1つのFECブロックサイズしか許容されていない場合、CTB(Xビット)はFECブロックサイズKによって符号化されるC個のセグメントへと区分される。これに代えて、2つの隣接したFECブロックサイズが許容されている場合、符号ブロック区分回路102は、FECブロックサイズKによって符号化されるC個のセグメントと、FECブロックサイズKI−1によって符号化されるCI−1個のセグメントとを出力できる。
【0063】
充填ビット挿入
充填ビット(各セグメントにパディングされる)の数は、セグメントのFEC符号化に用いられているセグメントサイズおよびFECブロックサイズに基づいて決定できる。全ての充填ビットをC個のセグメントへ分配するには、少なくとも2つの手法が存在する。・集中充填。セグメントサイズを小さくし過ぎることなく、可能な限り少数のセグメントに充填ビットを充填する。一例では、全ての充填ビットが第1のセグメントの始部に出現する。この利点は、別個に処理する必要のあるセグメントが1つ(全ての充填ビットを含む)しかないことである。さらに、CTBに対し2つのFECブロックサイズが用いられるとき、小さい方のFECブロックサイズKI−1ではなく大きい方のFECブロックサイズKによって符号化されるセグメントに対し、充填ビットをパディングすることが可能である。符号化のために2つの隣接したFECブロックサイズが許容されるとき、この方法は特に好適である。
・分散充填。複数のセグメントへ充填ビットを(可能な限り)均一に分配する。C個のセグメント全てに充填ビットを分配することも可能である。
【0064】
送信機および受信機を効率的に実装するには、集中充填が好適である。好適な実施形態では、符号器への送信前に、FECブロックサイズKを用いるセグメントのうちの1つ(例えば、最初または最後のセグメント)の前面へ、Y”個の連続する充填ビット(2つの隣接したFECブロックサイズが許容される場合。1つのFECブロックサイズしか許容されない場合はY個)を付加する。性能の点では、これはFECブロックサイズKを有するセグメントの端部にY”個の連続する充填ビットを付加することと等価である。
【0065】
図1を参照すると、各セグメント(回路102によって生成される)について、FEC符号語は、セグメントに充填ビットを挿入し、FEC入力ブロックを形成する工程と、FEC入力ブロックをFEC符号化する工程と、充填ビットに関連するビットを破棄する工程とを用いて決定される。
【0066】
回路102によって生成される各セグメントは充填回路103に渡され、充填回路103にて充填ビット挿入が行われる。充填ビットが不要な場合、充填回路は透明である。すなわち、充填ビットは付加されない(Kfiller=0)。次いで、セグメント(および充填ビット)はターボ符号器104に渡され、ターボ符号器104にて、C個のセグメントのターボ符号化によってC個のFEC符号語が得られる。次いで、充填ビットは回路105によって破棄され、得られたC個の符号語は、伝送回路108によって適切に送信される。回路103によって充填ビットが付加されない場合、充填破棄回路105は透明である。すなわち、充填ビットは除去されない(Kfiller=0)。なお、回路105は充填ビットに相当するビットを破棄しなくてもよい。
【0067】
図2は受信機のブロック図である。動作中、受信される信号ベクトルは、符号ブロックデセグメンテーション回路202を通過する。符号ブロックデセグメンテーション回路202は、受信される信号ベクトルの各部分をその関連するセグメントにしたがって編成する。セグメントのサイズ、セグメント数、各セグメントをターボ復号するために用いられるFECブロックサイズ、充填ビット数は、符号器におけるのと同様にして、論理回路213および利用可能なFECブロックサイズテーブル215を用いて決定されてよい。充填処理回路204は、充填ビットの位置についての知識を用いて、例えば、充填ビットに相当するLLRを大きく設定することによって、ターボ復号器206に利益を与える。ターボ復号後、回路208は充填ビットを破棄し、セグメントの推定を取得する。符号ブロックアセンブラ211は、回路208から得られたセグメントの推定を適切に収集、配置することによって、推定されるトランスポートを組み立てる。
【0068】
要素符号器のパリティビットの除去
この節では、FEC符号語を決定する特定の手法を提供する。送信機にて充填ビット挿入についての知識を利用する方法を記載する。詳細には、この方法では、有意な性能劣化を伴わずに、あるいは無視できる性能劣化しか伴わずに、ターボ符号器の出力から破棄することの可能なビット(システマティックビット、パリティビットの両方)が決定される。一般に、充填ビットは既知であるため、充填ビットのシステマティックビット(既知のビットに等しい)は、伝送前に破棄することが可能である。しかしながら、パリティビットを破棄することが可能であるか否かは明らかでない。
【0069】
図3は、図1のターボ符号器104のブロック図である。動作中、長さKビットの入力ブロックが、インタリーバ301および要素符号器302の両方に入力される。インタリーバ301は、入力ブロックをインタリーブし、インタリーブした順序で入力ブロックを要素符号器303へ渡す。次いで、要素符号器303はインタリーブされた入力ブロックを符号化する。同様にして、要素符号器302は元の入力ブロックを符号化する。符号語ブロック[x]は、システマティックブロック(FEC入力ブロックに等しい)、要素符号器302の出力、および要素符号器303の出力からなる。次いで、符号語ブロック[x]は回路105へ送信される。
【0070】
例えば、テイルターボ符号など、従来のターボ符号器では、要素符号器の初期状態(シフトレジスタの内容)は全て0であると仮定される。そのような場合、Kfiller個の充填ビット(通常は複数の0)がターボ符号入力ブロックの始部に挿入されるとき、Kfiller個のビット位置に相当する要素符号器302のシステマティックビットおよびパリティビットは、全て0である。したがって、これらのビットは送信機にて破棄されてもよく、受信機はターボ復号の実行中にこの知識を利用することが可能である。しかしながら、要素符号器303では、ターボ符号インタリーバによりKfiller個のビットがスクランブルされる。したがって、充填ビットに相当する要素符号器303のパリティビットは既知でないため、単純に破棄することは不可能である。
【0071】
ターボ符号器がテイルバイティング要素符号器を有するとき、要素符号器の初期状態は必ずしも0ではない場合がある。テイルバイティング符号では、要素符号器の初期状態および最終状態は等しく、入力ブロックに依存している。したがって、Kfiller個の連続する充填ビット(すなわち、複数の0)がターボ符号入力ブロックの始部に挿入されるとき、Kfiller個のビット位置に相当する要素符号器302のパリティビットは、必ずしも0ではない。しかしながら、要素符号器302のこれらのKfiller個のパリティビットのほとんどが情報を持たないことを証明することが可能である。
【0072】
一般に、連続する充填ビットのグループがセグメントに挿入され、FEC入力ブロックを形成する。ここで、グループの長さは、2−1(3GPPターボ符号器内の要素畳込み符号の場合、=7)の倍数である。次いで、FEC入力ブロックはFEC符号化され、充填ビットに関連するパリティビットは破棄される。FEC符号器は単独で用いられるテイルバイティング畳込み符号であってもよく、ターボ符号器の要素符号として用いられるテイルバイティング畳込み符号であってもよい。
【0073】
詳細には、テイルバイティング要素符号と共にターボ符号に用いられるとき、充填ビットに相当するシステマティックビットのグループは破棄されてよく、要素符号器の出力にて充填ビットのグループに相当するパリティビットが破棄されてよい。ここで、要素符号器は、テイルバイティングターボ符号器においてインタリーブすることなく、FEC入力ブロックを取得する。これは、次のように示すことが可能である。
【0074】
ステップiにおける要素符号器302のシフトレジスタの状態をS(i)、シフトレジスタの要素数をmとし、gを0より大きな任意の整数とする。ステップi+1からステップi+(2−1)×gまで、(2−1)×g個のゼロが要素符号器へ入力されるとき、再帰的な畳込み符号器(3GPP第6リリースのターボ符号において用いられるものなど)の特性は次式である。
【0075】
【数13】

【0076】
なお、S(i)は定数でなくてもよい。加えて、中間の状態S(j)(i<j<i+(2−1)g)は定数でなくてもよく、状態S(i)に等しくなくてもよい。
したがって、ステップi+1〜ステップi+(2−1)×gの間で要素符号器の状態は不変である。したがって、これらの充填ビットはシフトレジスタ状態を変化させないため復号器に情報を提供しないので、それらのステップ中、送信機は要素符号器出力を破棄することによって式(7)を利用することが可能である。また、受信機内の復号器も、充填ビットの位置および値についての知識に基づき、同様に式(7)を利用することが可能である。次に、Kfiller個の充填ビット(複数の0)がテイルバイティングターボ符号の入力において連続する位置に挿入される一例を用いて、上述の方法について記載する。
【0077】
filler個の連続する充填ビット(複数の0)がターボ符号入力ブロックに挿入されるので、g=filler/(2−1)、したがって、要素符号器302のp×g×(2−1)個のパリティビットは破棄されてもよい。ここで、pは、FEC入力ブロックの各ビットに対し生成される要素符号器302の出力における数パリティビットである。したがって、要素符号器302の出力における充填ビットのグループに相当するパリティビットのみが破棄される。ここで、要素符号器302はテイルバイティングターボ符号器においてインタリーブすることなく、FEC入力ブロックを取得する。
【0078】
テイルバイティング3GPPターボ符号器では、要素符号器1においてはp=1であり、m=3である。したがって、Kfiller個の連続する充填ビットにおいて、7filler/(2−1)個のパリティビットが要素符号器302から破棄されることが可能である。m=3であるので、大抵の場合、要素符号器302の出力にて保持される必要のあるのは、要素符号器302のKfiller個の充填ビットに相当する6つのパリティビットのみである。
【0079】
要素符号器303では、ターボ符号インタリーバによって、Kfiller個の充填ビットが分散される場合がある。したがって、性能に影響を与えることなく要素符号器303からパリティビットを破棄することは不可能な場合がある。
【0080】
次の節では、例えば、ハイブリッド自動再送要求(HARQ)、MIMO(Multiple Input Multiple Output)などの符号ブロック区分規則を用いることのできる、幾つかの事例について記載する。
【0081】
トランスポートブロック(TB)形成器
上述の符号ブロック区分規則は、ハイブリッドARQ(HARQ)チャネル上の連結トランスポートブロック(CTB)に適用される。符号ブロック区分の前に、伝送時間間隔(TTI)内に基地局から1人のユーザへ送信される必要のある情報ビットが、1つ以上のトランスポートブロックへと分割されること、したがって1つ以上のHARQチャネルを通過することの必要な場合がある。例えば、図4には、2つのHARQチャネル(HARQ1,HARQ2に相当する)および2つのトランスポートブロックTB1,TB2を用いて情報ビットが送信される例を示す。動作中、長さAの情報ビットがTB形成回路402によって受信され、1つ以上の空間ストリーム上で送信される。回路402はトランスポートブロックTB1としてX’ビットを指定する。ここで、X’≦Aである。HARQ1プロセッサ404は、X’個のビットにCRCビットを付属させ、長さXの連結トランスポートブロックを形成する。長さXの連結トランスポートブロックは第1のHARQチャネルに対しマッピングされる。連結トランスポートブロックは、符号ブロック区分回路102へ送信される。
【0082】
回路402は、情報ビットのうちのW’=A−X’個のビットを第2のトランスポートブロックTB2として指定する。HARQ2プロセッサ406は、Y個のビットをCRCビットに付属させ、第2の連結トランスポートブロックを形成する。この連結トランスポートブロックは第2のHARQチャネルへマッピングされる。この連結トランスポートブロックは、符号ブロック区分回路102へ送信される。
【0083】
なお、回路404,406は、HARQ、追加の制御情報などに関連する他の機能など、追加の機能を実行してもよい。 2つのHARQチャネルを用いて図4の概念を示しているが、この概念を複数のHARQチャネルまで容易に拡張することが可能である。伝送時間間隔(TTI)内のユーザに対し1より多くのHARQチャネルがサポートされる場合、各TBに対し符号ブロック区分規則が適用されてよい。
【0084】
広帯域幅(例えば、20MHz)、高次変調(例えば、64QAM)、マルチストリームMIMOなどからなど、ユーザ毎のTTI毎に多過ぎるFEC符号語(またはセグメント)を有することによって、多重HARQチャネルの生じる場合がある、また、VoIPおよびベストエフォートデータなどQoSの異なるTBにおいて、多重HARQが用いられてもよい。
【0085】
MIMO符号語は、1つのMIMOストリーム上のTTIの内の1人のユーザへ送信されるビットを含む。したがって、MIMO符号語は1つ以上のFEC符号語を含む場合がある。MIMO符号語は、MIMOストリーム上のビットを参照するために用いられることがある。
【0086】
TBの生成のために規則が定義されてもよい。一実施形態では、TBはx(例えば、x=8)個以下のFEC符号語(EUTRAにおけるeNodeBスケジューラによって決定されるxの値)を含む。別の実施形態では、x個より多くのFEC符号語がTBに必要な場合、2つのTBが次のように生成される。パケットは、ほぼ同じサイズのFEC符号語をほぼ同じ数だけ各々有する2つのTBの間で、ほぼ均一に分割される。さらに別の実施形態では、2つのMIMOストリームへ送信されるFEC符号語は、各々、別個のTBに属する。さらに別の実施形態では、2つのHARQチャネルを同時に用いて3つのMIMOストリームへ送信されるFEC符号語において、第1のストリーム(平均的には、最良の品質のストリーム)は第1のTBに属し、第2、第3のストリームは、第2のTBに属する。さらに別の実施形態では、2つのHARQチャネルを用いて4つのMIMO符号語を送信する。幾つかの組み合わせが可能である。例えば、(a)TB1=1,2,TB2=3,4、(b)TB1=1,3,TB2=2,4、(c)TB1=1,2,TB2=2,3、(d)TB1=1,TB2=2,3,4である。ここで、TBiは第i番目のHARQチャネルのTBを表す。1〜4の番号は、MIMO符号語(またはストリーム)番号を示す。
【0087】
図5は、情報ビットが1つ以上のHARQチャネルを通じて受信されるときの受信機処理のブロック図である。符号ブロックアセンブラ211から受信されるビットは、適切なチャンネルプロセッサ504,506へ入力される。チャンネルプロセッサの出力は推定されたトランスポートブロックTB1,TB2であり、TBアセンブラ回路502へ入力される。TBアセンブラ回路502は、TBを組み合わせて、推定される情報ビットを出力する。
【0088】
図6は、図1の送信機の動作を示すフローチャートである。論理フローは工程601にて開始する。工程601にて、区分回路は長さXの連結トランスポートブロックを受信する。工程603にて、論理回路はテーブル107にアクセスし、適切なFECブロックサイズを選択する。上述のように、本発明の第1の実施形態では、FECブロックサイズKは、テーブル107にある不連続なFECブロックサイズのグループから決定される。ここで、テーブル107における利用可能な不連続なFECブロックサイズはKminとKmaxとの間であり、Kmin≦K<Kmaxである。上述のように、KはXに基づく。Xは連結トランスポートブロックから論理回路106によって決定される。Xが決定されると、KX/C+δおよびC=X/Kmaxが決定される。本発明の第2の実施形態では、FECブロックサイズK,KI−1が決定される。ここで、KX/C+δである。
【0089】
続いて、工程605にて、セグメント数CおよびFECブロックサイズは区分回路102に渡され、工程607にて、区分回路は、長さXの連結トランスポートブロックをK(あるいは、KおよびKI−1)とほぼ等しいサイズのC個のセグメントへと区分する。工程609にて回路103を介して充填ビットが付加され(必要な場合)、工程611にて、C個のセグメントの各々が符号化される(すなわち、C個のセグメントの各々に対しFEC符号語が決定される)。最後に、工程613にて、伝送回路108を介してFEC符号語が送信される。
【0090】
上述のように、FEC符号語を決定する工程は、セグメントに充填ビットを挿入し、FEC入力ブロックを形成する工程と、FEC入力ブロックをFEC符号化する工程と、充填ビットに関連するビットを破棄する工程とを含む。この工程は、連続する充填ビットのグループをセグメントに挿入し、FEC入力ブロックを形成する工程と、グループの長さは7の倍数であることと、FEC入力ブロックをFEC符号化する工程と、充填ビットに関連するビットを破棄する工程とを含んでもよい。充填ビットを破棄する工程は、充填ビットに相当するシステマティックビットのグループを破棄する工程と、要素符号器1の出力にて充填ビットのグループに相当するパリティビットを破棄する工程とを含む。ここで、要素符号器はテイルバイティングターボ符号器においてインタリーブすることなくFEC入力ブロックを取得する。
【0091】
図7は、図2の受信機の動作を示すフローチャートである。論理フローは工程701にて開始する。セグメントのサイズ、セグメント数、各セグメントをターボ復号するために用いられるFECブロックサイズ、および充填ビット数は、論理回路213およびテーブル215を用いて決定される。上述のように、本発明の第1の実施形態では、FECブロックサイズKは、テーブル215にある不連続なFECブロックサイズのグループから決定される。ここで、テーブル215における利用可能な不連続なFECブロックサイズはKminとKmaxとの間であり、Kmin≦K<Kmaxである。上述のように、KはXに基づく。Xは受信される信号ベクトルから論理回路213によって決定される。次いで、論理回路213は、KX/C+δおよびC=X/Kmaxを決定する。本発明の第2の実施形態では、FECブロックサイズK,KI−1が決定される。ここで、KX/C+δである。
【0092】
工程703にて、受信される信号ベクトルは、符号ブロックデセグメンテーション回路202を通過する。符号ブロックデセグメンテーション回路202は、受信される信号ベクトルの各部分を関連するC個のセグメントにしたがって編成する。工程705にて、充填処理回路204は、充填ビットの位置についての知識を用いて、例えば、充填ビットに相当するLLRを大きく設定することによって、ターボ復号器206に利益を与える。工程707にて、C個のセグメントの各々が復号される。ターボ復号後、回路208は充填ビットを破棄し、セグメントの推定を取得する(工程709)。符号ブロックアセンブラ211は、回路208から得られたセグメントの推定を適切に収集、配置することによって、推定されるトランスポートを組み立てる(工程711)。
【符号の説明】
【0093】
102…符号ブロック区分回路、103…充填回路、104…符号化回路、106,213…論理回路、108…送信回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機を動作させる方法であって、
長さXの連結トランスポートブロックを受信するブロック受信工程と、
利用可能な不連続なFECブロックサイズのグループから利用可能なFECブロックサイズKを決定するブロックサイズ決定工程と、利用可能な不連続なFECブロックサイズはKminとKmaxとの間であることと、Kmin≦K<Kmaxであることと、これに加えてKはXに基づくことと、
長さXの連結トランスポートブロックをKとほぼ等しいサイズのC個のセグメントへと区分するブロック区分工程と、
FECブロックサイズKを用いてC個のセグメントの各々に対するFEC符号語を決定する符号語決定工程と、
チャネルを通じてC個のFEC符号語を送信する符号語送信工程と、からなる方法。
【請求項2】
C=X/Kmaxである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
符号語決定工程は、
セグメントに充填ビットを挿入し、FEC入力ブロックを形成する工程と、
FEC入力ブロックをFEC符号化する工程と、
充填ビットに関連するビットを破棄する工程と、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1つ以上の空間ストリーム上で送信される長さAの情報ビットを受信する工程と、
トランスポートブロックとしてX’個のビットを指定する工程と、X’≦Aであることと、
X’個のビットにCRCビットを付属させ、長さXの連結トランスポートブロックを形成する工程と、
長さXの連結トランスポートブロックは第1のHARQチャネルに対しマッピングされることと、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
情報ビットのうちのW’=A−X’個のビットを第2のトランスポートブロックとして指定する工程と、
CRCビットを付属させ、第2の連結トランスポートブロックを形成する工程と、
同連結トランスポートブロックは第2のHARQチャネルへマッピングされることと、を含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
符号語決定工程は、
連続する充填ビットのグループをセグメントに挿入し、FEC入力ブロックを形成する工程と、グループの長さは7の倍数であることと、
FEC入力ブロックをFEC符号化する工程と、
充填ビットに関連するビットを破棄する工程と、を含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
充填ビットに相当するシステマティックビットのグループを破棄する工程と、
要素符号器1の出力にて充填ビットのグループに相当するパリティビットを破棄する工程と、要素符号器はテイルバイティングターボ符号器においてインタリーブすることなくFEC入力ブロックを取得することと、を含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
長さXの連結トランスポートブロックを受信する受信回路と、
利用可能な不連続なFECブロックサイズのグループから利用可能なFECブロックサイズKを決定する論理回路と、利用可能な不連続なFECブロックサイズはKminとKmaxとの間であることと、Kmin≦K<Kmaxであることと、これに加えてKはXに基づくことと、
長さXの連結トランスポートブロックをKとほぼ等しいサイズのC個のセグメントへと区分する符号ブロック区分回路と、
FECブロックサイズKを用いてC個のセグメントの各々に対するFEC符号語を決定する符号化回路と、
チャネルを通じてC個のFEC符号語を送信する送信回路と、からなる装置。
【請求項9】
C=X/Kmaxである請求項8に記載の装置。
【請求項10】
1つ以上のセグメントに充填ビットを挿入し、FEC入力ブロックを形成する充填回路を含む請求項8に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−66932(P2011−66932A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262461(P2010−262461)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【分割の表示】特願2007−252797(P2007−252797)の分割
【原出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(390009597)モトローラ・インコーポレイテッド (649)
【氏名又は名称原語表記】MOTOROLA INCORPORATED
【Fターム(参考)】