説明

データを転送及び/又は受信することを可能にする方法及び装置、いずれの周波数帯域を用いなくてはならないかを求める方法、並びに集中化デバイス

【課題】無線セルラー通信ネットワークにおいて、通信デバイスによってサービングされる少なくとも1つの移動端末が複数の周波数帯域を通じてデータを転送及び/又は受信することを可能にする方法を提供する。
【解決手段】通信デバイスは、少なくとも1つの移動端末の少なくとも1つの移動端末キャリアアグリゲーション能力を取得し、該通信デバイスの協調キャリアアグリゲーション能力Cを求め、該協調キャリアアグリゲーション能力Cを集中化デバイスに転送し、少なくとも1つの近傍通信デバイスに関連する情報を、集中化デバイスに転送し、集中化デバイスから、該通信デバイスが移動端末との通信のために用いなくてはならない少なくとも1つの周波数帯域を示す情報を受信し、少なくとも1つの通信デバイスに、該通信デバイスが用いなくてはならない少なくとも1つの周波数帯域を通じて制御シグナリングを転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、無線セルラー通信ネットワークにおいて、少なくとも1つの移動端末が複数の周波数帯域を通じてデータを転送及び/又は受信することを可能にする方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線セルラー通信ネットワークは大規模に展開されているが、依然として、無線セルラー通信ネットワークの基地局によってカバーされていないいくつかのエリアがある。基地局は、所与の計画に従って事業者によって展開される。
【0003】
例えば、基地局及び/又は移動端末によって放射された信号が過度に減衰している場合、無線セルラー通信ネットワークへのアクセスは、可能でない場合もあれば、建物内に位置する移動端末のために、過度に高い送信電力又は過度に低いスペクトル効率、すなわち過度に多くのシステムリソースを必要とする場合もある。
【0004】
解決策が目下提案されている。必ずしも事業者によって展開されているわけでなく、このため所与の計画に従わない特定の基地局(フェムト基地局、ピコ基地局、又は中継器等であり、以下ではホーム基地局と呼ぶ)が、大規模に展開されており、建物内のカバレッジエリア及び基地局オフロードを提供することができる。中継器は、屋外カバレッジの拡張を提供することもできる。
【0005】
ホーム基地局は、限られた数の移動端末が、それぞれのリソースを通じて無線セルラー通信ネットワークにアクセスすることを可能にすることができる。ホーム基地局を通じてネットワークのリソースにアクセスすることを許可される移動端末は、ホーム基地局の所有者によって、ネットワークによって、又は双方の組み合わせによって、決定することができる。
【0006】
ここで、「所有者」は一般的な意味で理解されなくてはならない。すなわち、所有者は、単にホーム基地局の主ユーザー(the main user)とすることもできるし、ホーム基地局を貸している人物または借りている人物とすることもできるし、自身の家又は事務所にホーム基地局を収容している人物とすることもできる。
【0007】
例えば、ホーム基地局の所有者の移動端末及び所有者の家族の移動端末のみが、該ホーム基地局を通じて無線セルラー通信ネットワークにアクセスすることができる。これらの移動端末はホーム基地局に関連付けられる。
【0008】
ホーム基地局及び基地局は、以下で「通信デバイス」と呼ばれる。
【0009】
移動端末との通信のために通信デバイスに割り当てられるリソース(周波数帯域等)は、該通信デバイスによってカバーされるエリア内に位置する許可された移動端末が全くないか又は僅かしかない限り、或る特定の時間期間中、用いられないか又は部分的に用いられる場合がある。
【0010】
用いられないリソースが他の通信デバイス及び他の移動端末に有用である可能性がある限り、そのような状況によって、無線セルラー通信ネットワークの全体性能が低下する。
【0011】
ホーム基地局は、一般に、基地局と比較して限定された性能を有する。例えば、基地局は、複数の周波数帯域において信号を同時に転送又は受信する能力を有することができ、ホーム基地局は、限られた量の周波数帯域において信号を同時に転送又は受信する能力を有することができる。
【0012】
新世代の移動端末は、ある移動端末が、複数の周波数帯域上で信号を同時に転送又は受信することを可能する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、無線セルラー通信ネットワークの全体性能を増大させるために、通信デバイスに割り当てられたリソースの使用を増大させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
その目的のために、本発明は、
無線セルラー通信ネットワークにおいて、少なくとも1つの移動端末が複数の周波数帯域を通じてデータを転送及び/又は受信することを可能にする方法であって、
前記少なくとも1つの移動端末は、少なくとも1つの周波数帯域を通じてデータを転送及び/又は受信することができる通信デバイスによってサービングされる、方法において、
該方法は、前記通信デバイスによって実行される複数のステップとして、
‐前記少なくとも1つの移動端末の少なくとも1つの移動端末キャリアアグリゲーション能力を取得するステップと、
‐前記少なくとも1つの移動端末キャリアアグリゲーション能力から前記通信デバイスの協調キャリアアグリゲーション能力Cを求めるステップと、
‐前記協調キャリアアグリゲーション能力Cを前記無線セルラー通信ネットワークの集中化デバイスに転送するステップと、
‐少なくとも1つの近傍通信デバイスに関連する情報を、前記無線セルラー通信ネットワークの前記集中化デバイスに転送するステップと、
‐前記集中化デバイスから、前記通信デバイスが前記移動端末との通信のために用いなくてはならない少なくとも1つの周波数帯域を示す情報を受信するステップと、
‐前記少なくとも1つの通信デバイスに、前記通信デバイスが前記移動端末との通信のために用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域を通じて制御シグナリングを転送するステップと、
を含むことを特徴とする方法に関する。
【0015】
本発明はまた、
無線セルラー通信ネットワークにおいて、少なくとも1つの移動端末が複数の周波数帯域を通じてデータを転送及び/又は受信することを可能にする装置であって、
前記少なくとも1つの移動端末は、少なくとも1つの周波数帯域を通じてデータを転送及び/又は受信することができる通信デバイスによってサービングされる、装置において、
前記装置は、前記通信デバイスに含まれ、
前記装置は、
‐前記少なくとも1つの移動端末の少なくとも1つの移動端末キャリアアグリゲーション能力を取得する手段と、
‐前記少なくとも1つの移動端末キャリアアグリゲーション能力から前記通信デバイスの協調キャリアアグリゲーション能力Cを求める手段と、
‐前記協調キャリアアグリゲーション能力Cを前記無線セルラー通信ネットワークの集中化デバイスに転送する手段と、
‐少なくとも1つの近傍通信デバイスに関連する情報を、前記無線セルラー通信ネットワークの前記集中化デバイスに転送する手段と、
‐前記集中化デバイスから、前記通信デバイスが前記移動端末との通信のために用いなくてはならない少なくとも1つの周波数帯域を示す情報を受信する手段と、
‐前記少なくとも1つの通信デバイスに、前記通信デバイスが前記移動端末との通信のために用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域を通じて制御シグナリングを転送する手段と、
を備えることを特徴とする装置に関する。
【0016】
このため、ホーム基地局又は基地局又は中継器のような通信デバイスに割り当てられるリソースは、より効率的に用いられる。このとき、無線セルラー通信ネットワークの全体性能が改善する。
【0017】
特定の特徴によれば、前記制御シグナリングは、前記移動端末に関連するデータが転送されかつ前記通信デバイスに割り当てられない少なくとも1つの周波数帯域を示す。
【0018】
このため、移動端末をサービングしている通信デバイスが、移動端末キャリアアグリゲーション能力より低いキャリアアグリゲーション能力を有する場合であっても、移動端末は、データを様々な周波数帯域上で様々な通信デバイスに対し転送及び/又は受信することができるので、複数の周波数帯域を通じてデータを転送及び/又は受信することが可能であるという利益を得ることができる。サービング通信デバイスによって制御シグナリングが送信されるので、協調マルチポイント送信とも呼ばれるこのマルチポイント送信は、移動端末に対しトランスペアレントである。
【0019】
特定の特徴によれば、前記通信デバイスは、前記通信デバイスのキャリアアグリゲーション能力C’を前記集中化デバイスに更に転送する。
【0020】
このため、集中化デバイスは、C’個の周波数帯域を通信デバイスに割り当てることができ、通信デバイスは、近傍通信デバイスとともに協調マルチポイント送信を用いることなくセルスループットを改善するために、該通信デバイスのキャリアアグリゲーション能力の利益を得ることができる。
【0021】
特定の特徴によれば、前記協調キャリアアグリゲーション能力Cは、以下の項目、すなわち、
‐各前記取得された移動端末キャリアアグリゲーション能力のうちで最大の移動端末キャリアアグリゲーション能力、
‐各前記取得された移動端末キャリアアグリゲーション能力の一部分のうちで最大の移動端末キャリアアグリゲーション能力、
‐前記通信デバイスの通信デバイスキャリアアグリゲーション能力と、各前記取得された移動端末キャリアアグリゲーション能力のうちで最大の移動端末キャリアアグリゲーション能力とのうちの最大値、及び
‐前記通信デバイスの前記通信デバイスキャリアアグリゲーション能力と、各前記取得された移動端末キャリアアグリゲーション能力の一部分のうちで最大の移動端末キャリアアグリゲーション能力とのうちの最大値、
のうちの1つである。
【0022】
このため、協調キャリアアグリゲーション能力は、所与の移動端末に割り当てられる周波数帯域数の観点で、所与の通信デバイス及び該通信デバイスが通常サービングしている移動端末の要求を適切に反映する。この結果、近傍の通信デバイスに過度に多くの異なる周波数帯域を割り当てることが無用である場合、それを行わない。
【0023】
本発明はまた、
無線セルラー通信ネットワークにおいて、少なくとも1つの移動端末と通信するのにいずれの周波数帯域が用いられなくてはならないかを求める方法であって、
前記少なくとも1つの移動端末は、少なくとも1つの周波数帯域を通じて該少なくとも1つの移動端末と通信することができる通信デバイスによってサービングされる、方法において、
該方法は、前記無線セルラー通信ネットワークの集中化デバイスによって実行される複数のステップとして、
‐前記通信デバイスから、該通信デバイスの協調移動端末キャリアアグリゲーション能力Cを受信するステップと、
‐前記通信デバイスから、該通信デバイスの近傍通信デバイスの少なくとも1つに関連する情報を受信するステップと、
‐前記通信デバイス及び前記少なくとも1つの近傍通信デバイスについて、
・該通信デバイスが前記少なくとも1つの移動端末と通信するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域と、
・前記少なくとも1つの近傍通信デバイスが前記少なくとも1つの移動端末又は別の移動端末と通信するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域と
を求めるステップと、
‐前記通信デバイスに、該通信デバイスが前記少なくとも1つの移動端末と通信するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域を該通信デバイスに示す情報を転送するステップと、
を含むことを特徴とする、方法に関する。
【0024】
本発明はまた、
無線セルラー通信ネットワークにおいて、少なくとも1つの移動端末と通信するのにいずれの周波数帯域が用いられなくてはならないかを求める集中化デバイスであって、
前記少なくとも1つの移動端末は、少なくとも1つの周波数帯域を通じて該少なくとも1つの移動端末と通信することができる通信デバイスによってサービングされる、集中化デバイスにおいて、
該集中化デバイスは、
‐前記通信デバイスから、該通信デバイスの協調移動端末キャリアアグリゲーション能力Cを受信する手段と、
‐前記通信デバイスから、該通信デバイスの近傍通信デバイスの少なくとも1つに関連する情報を受信する手段と、
‐前記通信デバイス及び前記少なくとも1つの近傍通信デバイスについて、
・該通信デバイスが前記少なくとも1つの移動端末と通信するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域と、
・前記少なくとも1つの近傍通信デバイスが前記少なくとも1つの移動端末又は別の移動端末と通信するのに用いなくてはならない少なくとも1つの周波数帯域と
を求める手段と、
‐前記通信デバイスに、該通信デバイスが前記少なくとも1つの移動端末と通信するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域を該通信デバイスに示す情報を転送する手段と、
を備えることを特徴とする、集中化デバイスに関する。
【0025】
このため、ホーム基地局又は基地局又は中継器のような通信デバイスに割り当てられるリソースは、より効率的に用いられる。このとき、無線セルラー通信ネットワークの全体性能が改善する。
【0026】
移動端末をサービングしている通信デバイスが、移動端末キャリアアグリゲーション能力より低いキャリアアグリゲーション能力を有する場合であっても、移動端末は、複数の周波数帯域を通じてデータを転送及び/又は受信することが可能であるという利益を得ることができる。
【0027】
特定の特徴によれば、前記集中化デバイスは、前記通信デバイスに、前記少なくとも1つの近傍通信デバイスと、前記少なくとも1つの移動端末又は別の移動端末との間でデータを転送するのに用いられる前記少なくとも1つの周波数帯域を前記少なくとも1つの近傍通信デバイスに示す少なくとも1つの情報を更に転送する。
【0028】
このため、通信デバイスは、該通信デバイスがサービングしている移動端末からの報告に頼る必要なく、該通信デバイスが少なくとも1つの近傍デバイスとともに実行できる協調マルチポイント送信のタイプ(すなわち、いずれの周波数帯域においてマルチポイント送信を実行できるか)を通知される。
【0029】
特定の特徴によれば、前記集中化デバイスは、各前記通信デバイスのキャリアアグリゲーション能力C’を受信し、
‐前記通信デバイスが前記少なくとも1つの移動端末と通信するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域と、
‐前記少なくとも1つの近傍通信デバイスが該近傍通信デバイスと前記少なくとも1つの移動端末又は別の移動端末との間でデータを転送するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域と
は、各前記通信デバイスの前記協調キャリアアグリゲーション能力C及び各前記通信デバイスの前記キャリアアグリゲーション能力C’に従って求められる。
【0030】
このため、集中化デバイスは、1つの通信デバイスにC’個の周波数帯域を割り当てることができ、通信デバイスは、近傍通信デバイスとともに協調マルチポイント送信を用いることなくセルスループットを改善するために、該通信デバイスのキャリアアグリゲーション能力の利益を得ることができる。
【0031】
特定の特徴によれば、前記集中化デバイスは、前記通信デバイスについて近傍通信デバイスのグラフを求める。
【0032】
このため、グラフを通じて、集中化デバイスは通信デバイス間の接続の良好な大域的知識を有する。2つの通信デバイス間のリンク又は接続は、結果として、通信デバイスに周波数帯域を割り当てる際の制約となる。このため、適切なグラフを用いれば、集中化デバイスは、接続されていない2つの通信デバイスに周波数帯域を割り当てる際に制約が存在しないことを知る。
【0033】
特定の特徴によれば、前記集中化デバイスは、各通信デバイスについて少なくとも1つのクリークを求め、クリークは、前記通信デバイスと、該通信デバイスとの無線接続を有する前記近傍通信デバイスの少なくとも一部とを含み、各前記通信デバイスは無線接続によって、又は無線接続を有しない2つの通信デバイス間に作成された仮想無線接続によって互いにリンクされる。
【0034】
このため、あるクリークの異なる通信デバイスには異なる周波数帯域が割り当てられ、サイズXのクリークでは、各通信デバイスが単一の周波数帯域を割り当てられる場合、クリークに属する通信デバイスから同じ移動端末に対しX個の周波数帯域上でデータを送信及び/又は受信することが可能になる。クリークのいくつかの通信デバイスが2つ以上の周波数帯域を割り当てられている場合、クリークに属する通信デバイスから同じ移動端末に対しX個より多くの周波数帯域上でデータを送信及び/又は受信することが更に可能になる。
【0035】
特定の特徴によれば、通信デバイスのクリークは、最大で、該クリークの前記通信デバイスに割り当てられる周波数帯域の総数が前記協調キャリアアグリゲーション能力に等しくなるような数の通信デバイスを含む。
【0036】
このため、グラフ内の接続は、各通信デバイスにおいて実際に必要とされるものに限定され、システム内の周波数帯域数を最小にすることもできるし、協調マルチポイント送信の使用を所与の周波数帯域数について最適化することもできる。
【0037】
特定の特徴によれば、通信デバイスの前記キャリアアグリゲーション能力が1を上回っている場合、前記集中化デバイスは、近傍通信デバイスの前記グラフを求める前に前記通信デバイスを複製する。
【0038】
このため、複製後、通信デバイスへの周波数帯域の割り当ては、全ての通信デバイスが単一の周波数帯域上で送信及び受信しているものとみなすことができるので、単純化される。
【0039】
特定の特徴によれば、
‐前記通信デバイスが前記移動端末と通信するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域と、
‐前記少なくとも1つの近傍通信デバイスが、該近傍通信デバイスと前記移動端末又は前記別の移動端末との間でデータを転送するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域と
は、彩色アルゴリズムを用いて求められる。
【0040】
このため、1つの周波数帯域を1つの色によって表し、色数を最適化する彩色アルゴリズム用いることによって、必要な周波数帯域数が最小にされる。
【0041】
さらに、所与のグラフ接続について、すなわち、通信デバイス間の所与の無線接続構成については、周波数帯域数が最小にされ、より良好な周波数再利用が得られる。他方で、所与の利用可能な周波数帯域数については、より良好なグラフ接続が可能にされ、すなわち、通信デバイスはより多くの近傍通信デバイスを有し、協調マルチポイント送信が最適化される。
【0042】
更に別の態様によれば、本発明は、プログラマブルデバイス内に直接ロード可能とすることができるコンピュータープログラムであって、該コンピュータープログラムがプログラマブルデバイスで実行されると、本発明による方法の各ステップを実施するための命令又はコード部を含む、コンピュータープログラムに関する。
【0043】
本発明は、格納された情報がコンピューターによって読み取られ、プロセッサによって実行されると、上述した方法を、その様々な実施の形態のうちの任意のものにおいて実施するための、プロセッサによって実行することができる命令の組を含むコンピュータープログラムを格納する、情報格納手段にも関する。
【0044】
コンピュータープログラムに関する特徴及び利点は、本発明による方法及びデバイスに関連して上述したものと同じであるので、ここでは繰り返さないことにする。
【0045】
本発明の特徴は、以下2例の実施形態の説明を読むことによってより明らかになる。該説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明が実施される無線セルラー通信ネットワークを表す図である。
【図2】本発明が実施される通信デバイスのアーキテクチャを表す図である。
【図3】本発明が実施される基地局のアーキテクチャを表す図である。
【図4】本発明が実施されるサーバーのアーキテクチャを表す図である。
【図5】本発明に従って各通信デバイスによって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図6】本発明の第1の実現モードに従ってサーバー又は基地局によって実行される第1のアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図7】本発明の第2の実現モードに従ってサーバー又は基地局によって実行される第2のアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図8】本発明の第1の実現モード及び第2の実現モードに従ってサーバー又は基地局によって実行される第3のアルゴリズムの一例を開示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、本発明が実施される無線セルラー通信ネットワークを表している。
【0048】
図1では、無線セルラー通信ネットワークの5つの通信デバイスTd1、Td2、Td3、Td4、及びTd5が示されている。
【0049】
通信デバイスTd1、Td2、Td3、Td4、及びTd5は、ホーム基地局及び/又は基地局及び/又は中継器である。
【0050】
例えば、中継器は、無線セルラー通信ネットワークの、基地局BSとの無線リンクを介して該無線セルラー通信ネットワークに接続されたホーム基地局である。
【0051】
通信デバイスTd1〜Td5がホーム基地局である場合、それらのホーム基地局は、この場合、本発明によれば集中化デバイスとすることができる基地局BSのセル内に位置する。
【0052】
サーバーServは、通信デバイスTd1〜Td5を処理することができ、本発明によるアルゴリズムの一部を実行することができる。サーバーServは、本発明による集中化デバイスである。
【0053】
一変形形態によれば、サーバーServは1つの基地局BS内に含まれる。
【0054】
5つの通信デバイスTd1〜Td5及び1つの基地局BSのみが示されているが、無線セルラー通信ネットワーク内に、より多数又はより少数(a more or less important number)の通信デバイス及び/又は基地局BSが存在するときに本発明が機能することを理解することができる。
【0055】
各通信デバイスTd、サーバーServ、及び基地局BSを、バックボーンネットワークによってリンクすることができる。
【0056】
通信デバイスTdは、該通信デバイスTdのそれぞれのセル内に位置する移動端末MTをサービングする(サービスを提供する)。
【0057】
通信デバイスTd1は移動端末MT1をサービングする。
【0058】
移動端末MT1は、通信デバイスTd2及びTd3に近接している。移動端末MT1は、通信デバイスTd2及びTd3によって転送された信号を受信する。
【0059】
明確にするために、図1には1つの移動端末MT1のみが示されているが、より多数の移動端末が存在するときに本発明が機能することを理解することができる。
【0060】
通信デバイスTd(例えば通信デバイスTd1)がホーム基地局である場合、該通信デバイスTd1はホーム内に位置することができ、該通信デバイスTd1に関連付けられた各移動端末MTが無線セルラー通信ネットワークにアクセスすることを可能にすることができる。
【0061】
例えば、通信デバイスTd1及び移動端末MT1は、通信デバイスTd1が移動端末MT1の所有者のものであるとき、又は通信デバイスTd1が移動端末MT1の所有者の家族若しくは友人のものであるときに関連付けられる。
【0062】
ホーム基地局に関連付けられた移動端末は、ホーム基地局のクローズド加入者グループ(CSG)に属してもよい。
【0063】
移動端末MTが通信デバイスTdによってサービングされているとき、移動端末MTは、通信デバイスTdを通じて、リモートの通信デバイスとの通信を受信又は確立又は継続することができる。
【0064】
通信デバイスTd1は、通信デバイスTd1のエリア又はセル内に位置する移動端末MT1によって転送された信号を受信することができる。通信デバイスTd1は、移動端末MT1によって受信及び処理することができる信号を転送する。
【0065】
無線セルラー通信ネットワークにおいて、基地局展開及びホーム基地局を混合した異種展開は、無線ローカルエリアネットワークに匹敵する大きな地理的エリア内の移動性及び高データスループットの双方を保証する効果的な方法であると予見されている。
【0066】
協調マルチポイント送信(CoMP)は、異なる複数の通信デバイスTdと1つの同じ移動端末MTとの間の複数の信号送信を可能にすることによって、より良好なセルエッジスループットを保証する。
【0067】
また、キャリアアグリゲーションは、通信デバイスTdが、異なる中心キャリア周波数を有するいくつかの周波数帯域上でデータを送信及び/又は受信することを可能にすることによってスループット増大を保証する。キャリアアグリゲーションは、例えば40MHzの単一帯域幅の代わりに20MHzの2つの帯域幅を通信デバイスTd又は移動端末に割り当てることによって、フラグメント化されたスペクトルにおいて、より大きなセルスループットを有するための帯域幅の拡張を可能にする。
【0068】
周波数帯域は、例えば、複数の連続するキャリア周波数からなるグループである。例えば、OFDM(直交周波数分割多重)変調では、複数の連続するキャリア周波数からなるグループは、OFDMシンボルのサブキャリアからなるグループである。例えば、3GPP LTE(第3世代パートナーシッププロジェクトロングタームエボリューション)では、周波数帯域はコンポーネントキャリアと呼ばれ、1つのコンポーネントキャリアは、所与のキャリア周波数を中心とした1つのOFDMシンボルの送信帯域幅である。
【0069】
しかしながら、キャリアアグリゲーションは、通信デバイスに大きな複雑性の負担を課す。通信デバイスTdは、適切な無線周波数ハードウェアを有しなくてはならず、高データレートを処理することができなくてはならない。
【0070】
このため、例えばいくつかのホーム基地局又は中継器のようなローエンドの通信デバイスTdは、単一の周波数帯域又はいくつかの基地局BSと比較して低減された量の周波数帯域でしか送信/受信することができない場合がある。
【0071】
協調マルチポイント送信は、キャリアアグリゲーションを用いてデータを受信することができる少なくとも1つの移動端末MTについて、いくつかの通信デバイスTdによって処理することができる。協調マルチポイント送信は移動端末MTに対しトランスペアレントとすることができ、移動端末MTは、信号がいくつかの周波数帯域上で単一の通信デバイスTdから到来したかのように動作することができる。例えば、制御シグナリングは、単一の通信デバイス(例えば通信デバイスTd1等)から送信され、各周波数帯域上のデータは、通信デバイスTd1と近傍通信デバイス(neighbouring telecommunication devices)(通信デバイスTd2及びTd3等)に対し送信/受信される。
【0072】
1つの通信デバイスTdがデータを送信及び/又は受信することができる周波数帯域の数は、通信デバイスキャリアアグリゲーション能力と呼ばれる。同様に、移動端末MTも移動端末キャリアアグリゲーション能力を有し、すなわち、移動端末MTは、所与の数(該移動端末MTの技術的設計に従って変動することがある)の周波数帯域上でデータを受信及び/又は送信することができる。
【0073】
本発明によれば、各通信デバイスは、
−少なくとも1つの移動端末の少なくとも1つの移動端末キャリアアグリゲーション能力を取得し、
−少なくとも1つの移動端末キャリアアグリゲーション能力から通信デバイスの協調キャリアアグリゲーション能力Cを求め、
−協調キャリアアグリゲーション能力Cを無線セルラー通信ネットワークの集中化デバイスに転送し、
−少なくとも1つの近傍通信デバイスに関連する情報を、無線セルラー通信ネットワークの集中化デバイスに転送し、
−集中化デバイスから、通信デバイスが移動端末との通信のために用いなくてはならない少なくとも1つの周波数帯域を示す情報を受信し、
−少なくとも1つの通信デバイスに、通信デバイスが移動端末との通信のために用いなくてはならない少なくとも1つの周波数帯域を通じて制御シグナリングを転送する。
【0074】
本発明によれば、集中化デバイス、すなわち基地局BS又はサーバーServは、
−通信デバイスから、該通信デバイスの協調移動端末キャリアアグリゲーション能力Cを受信し、
−通信デバイスから、該通信デバイスの少なくとも1つの近傍通信デバイスに関連する情報を受信し、
−通信デバイス及び少なくとも1つの近傍通信デバイスについて、該通信デバイスが少なくとも1つの移動端末と通信するのに用いなくてはならない少なくとも1つの周波数帯域と、少なくとも1つの近傍通信デバイスが少なくとも1つの移動端末又は別の移動端末と通信するのに用いなくてはならない少なくとも1つの周波数帯域とを求め、
−通信デバイスに、該通信デバイスが少なくとも1つの移動端末と通信するのに用いなくてはならない少なくとも1つの周波数帯域を該通信デバイスに示す情報を転送する。
【0075】
図2は、本発明が実施される通信デバイスのアーキテクチャを表す図である。
【0076】
通信デバイスTdは、例えば、バス201によって互いに接続されたコンポーネントと、図5に開示するプログラムによって制御されるプロセッサ200とに基づくアーキテクチャを有する。
【0077】
バス201は、プロセッサ200を、読み出し専用メモリROM202、ランダムアクセスメモリRAM203、無線インターフェース205にリンクする。バス201は、プロセッサ200をネットワークインターフェース206にリンクすることができる。
【0078】
メモリ203は、変数を収容するように意図されたレジスタと、図5に開示するアルゴリズムに関連したプログラムの命令とを含む。
【0079】
プロセッサ200は、ネットワークインターフェース206の動作を制御し、無線インターフェース205の動作を制御する。
【0080】
読み出し専用メモリ202は、図5に開示するアルゴリズムに関連したプログラムの命令を含む。これらの命令は、通信デバイスTdに電源が投入されると、ランダムアクセスメモリ203へ転送される。
【0081】
通信デバイスTdは、ネットワークインターフェース206を通じてバックボーンネットワークに接続することができる。例えば、ネットワークインターフェース206は、デジタル加入者線(DSL)モデム又はサービス統合デジタル網(ISDN)インターフェース等である。
【0082】
通信デバイスTdは、無線インターフェース205又はネットワークインターフェース206を通じて、該通信デバイスTdが位置するセルの基地局BS又はサーバーServに対しメッセージを転送及び/又は受信する。
【0083】
無線インターフェース205は、サーバーServ又は基地局BSによって通信デバイスTdに割り当てられた少なくとも1つの周波数帯域上で信号を転送する手段を備える。
【0084】
無線インターフェース205は、通信デバイスTdによってサービングされている少なくとも1つの移動端末MTから測定報告を受信する手段を備えることができる。
【0085】
通信デバイスTdが中継器である場合、ネットワークインターフェース206の機能は、無線インターフェース205によって実行することができる。
【0086】
無線インターフェース205及びネットワークインターフェース206は、通信デバイスTdのリソースであり、このリソースは、移動端末MTが遠隔通信デバイスとの通信を確立又は受信するときに無線セルラー通信ネットワークにアクセスするために移動端末MTによって用いられる。
【0087】
図3は、本発明を実施することができる基地局のアーキテクチャを表す図である。
【0088】
基地局BSは、例えば、バス301によって互いに接続されたコンポーネントと、図5、図6、図7、及び図8に開示するプログラムによって制御されるプロセッサ300とに基づくアーキテクチャを有する。
【0089】
バス301は、プロセッサ300を、読み出し専用メモリROM302、ランダムアクセスメモリRAM303、無線インターフェース305、及びネットワークインターフェース306にリンクする。メモリ303は、変数を収容するように意図されたレジスタと、図5、図6、図7、及び図8に開示するアルゴリズムに関連したプログラムの命令とを含む。
【0090】
プロセッサ300は、ネットワークインターフェース306の動作を制御し、無線インターフェース305の動作を制御する。
【0091】
読み出し専用メモリ302は、図5、図6、図7、及び図8に開示するアルゴリズムに関連したプログラムの命令を含む。これらの命令は、基地局BSに電源が投入されると、ランダムアクセスメモリ303へ転送される。
【0092】
基地局BSは、ネットワークインターフェース306を通じてバックボーンネットワークに接続される。例えば、ネットワークインターフェース306は、DSLモデム又はISDNインターフェース等である。基地局BSは、ネットワークインターフェース306を通じて、基地局BSのセル内に位置する通信デバイスTdに対しメッセージを転送及び/又は受信することができる。
【0093】
無線インターフェース305は、基地局BSに割り当てられた少なくとも1つの周波数帯域上で信号を転送する手段を備える。
【0094】
無線インターフェース305は、基地局BSによってサービングされている少なくとも1つの移動端末MTから測定報告を受信する手段を備えることができる。
【0095】
無線インターフェース305及びネットワークインターフェース306は、基地局BSのリソースであり、このリソースは、移動端末MTが遠隔通信デバイスとの通信を確立又は受信するときに無線セルラー通信ネットワークにアクセスするために移動端末MTによって用いられる。
【0096】
図4は、本発明を実施することができるサーバーのアーキテクチャを表す図である。
【0097】
サーバーServは、例えば、バス401によって互いに接続されたコンポーネントと、図6、図7、及び図8に開示するプログラムによって制御されるプロセッサ400とに基づくアーキテクチャを有する。
【0098】
バス401は、プロセッサ400を、読み出し専用メモリROM402、ランダムアクセスメモリRAM403、及びネットワークインターフェース406にリンクする。
【0099】
ランダムアクセスメモリ403は、変数を収容するように意図されたレジスタと、図6、図7、及び図8に開示するアルゴリズムに関連したプログラムの命令とを含む。
【0100】
プロセッサ400は、ネットワークインターフェース406の動作を制御する。
【0101】
読み出し専用メモリ402は、図6、図7、及び図8に開示するアルゴリズムに関連したプログラムの命令を含む。これらの命令は、サーバーServに電源が投入されると、ランダムアクセスメモリ403へ転送される。
【0102】
サーバーServは、ネットワークインターフェース406を通じてバックボーンネットワークに接続される。例えば、ネットワークインターフェース406は、DSLモデム又はISDNインターフェース等である。サーバーServは、サーバーServが扱う通信デバイスTdに対し、ネットワークインターフェース406を通じてメッセージを転送及び/又は受信することができる。
【0103】
ここで、サーバーServを基地局BS内に含めることができることに留意しなければならない。
【0104】
図5及び/又は図6及び/又は図7及び/又は図8に関して以下で説明されるアルゴリズムの全てのステップは、プログラマブルコンピューティングマシン(PC(パーソナルコンピューター)、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)、またはマイクロコントローラー等)による命令の組またはプログラムの実行によってソフトウェアにおいて実施することができる。そうでなければ、機械または専用部品(FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)若しくはASIC(特定用途向け集積回路)等)によってハードウェアにおいて実施することができる。
【0105】
図5を参照して開示されるアルゴリズムは、新たな移動端末MTが通信デバイスTdによってサービングされるか若しくはこれ以上サービングされなくなるたびに1回実行することができ、又はアルゴリズムによって用いられる測定値が変化したときに実行することができる。
【0106】
図6、図7、及び図8を参照して開示されるアルゴリズムは、新たな移動端末MTが通信デバイスTdによってサービングされるか若しくはこれ以上サービングされなくなるたびに数回実行することができ、又はアルゴリズムによって用いられる測定値が変化したときに実行することができる。
【0107】
図5は、本発明に従って各通信デバイスによって実行されるアルゴリズムの一例を開示している。
【0108】
より正確には、本アルゴリズムは、基地局BSがサービングしている移動端末MTについて、各通信デバイスTdのプロセッサ200によって実行され、及び/又は、基地局BSによって実行される。
【0109】
本アルゴリズムは、本アルゴリズムが通信デバイスTdによって実行される一例において開示される。
【0110】
ステップS500において、プロセッサ200は、通信デバイスTdに関連付けられた少なくとも1つの移動端末の移動端末キャリアアグリゲーション能力を取得する。
【0111】
プロセッサ200は、通信デバイスTdに関連付けられた各移動端末の移動端末キャリアアグリゲーション能力を取得することもできる。または、プロセッサ200は、通信デバイスTdに関連付けられ、かつ通信デバイスTdによって所与の時点にサービングされている各移動端末(例えば通信デバイスTdによって現在サービングされている各移動端末)の移動端末キャリアアグリゲーション能力を取得することもできる。または、プロセッサ200は、通信デバイスTdによって所与の時点にサービングされている各移動端末の移動端末キャリアアグリゲーション能力を取得することもできる。
【0112】
少なくとも1つの取得された移動端末キャリアアグリゲーション能力から、プロセッサ200は、通信デバイスTdの協調キャリアアグリゲーション能力(coordinated carrier aggregation capability)Cを求める。
【0113】
協調キャリアアグリゲーション能力Cは、取得された各移動端末キャリアアグリゲーション能力のうちで最大の移動端末キャリアアグリゲーション能力とすることができる。
【0114】
協調キャリアアグリゲーション能力Cは、取得された各移動端末キャリアアグリゲーション能力の一部分のうちで最大の移動端末キャリアアグリゲーション能力とすることができる。
【0115】
協調キャリアアグリゲーション能力Cは、通信デバイスTdのキャリアアグリゲーション能力と、取得された各移動端末キャリアアグリゲーション能力のうちで最大の移動端末キャリアアグリゲーション能力とのうちの最大値とすることができる。
【0116】
協調キャリアアグリゲーション能力Cは、通信デバイスTdのキャリアアグリゲーション能力と、取得された各移動端末キャリアアグリゲーション能力の一部分のうちで最大の移動端末キャリアアグリゲーション能力とのうちの最大値とすることができる。
【0117】
例えば、取得された移動端末キャリアアグリゲーション能力の上記一部分は、全ての取得された移動端末キャリアアグリゲーション能力の中で最も低いほうの値(複数可)を有する、取得された各移動端末キャリアアグリゲーション能力の所定のパーセンテージである。例えば、この所定のパーセンテージは95%である。
【0118】
例えば、取得された移動端末キャリアアグリゲーション能力の上記一部分は、取得された各移動端末キャリアアグリゲーション能力に対応する各移動端末が通信デバイスTdによってサービングされる累積時間のうちの95%サービングされる、取得された移動端末キャリアアグリゲーション能力を表す。
【0119】
ここで、通信デバイスTdの協調キャリアアグリゲーション能力Cを求めるための様々な規則が、経時的に、例えば夜間と昼間とで変動することができることに留意されたい。協調キャリアアグリゲーション能力Cもまた、規則が同じままであっても、経時的に、例えば夜間と昼間とで変動することができる。
【0120】
次のステップS501において、プロセッサ200は、基地局BS又はサーバーServへの、通信デバイスTdの協調キャリアアグリゲーション能力Cの転送を命令する。この命令される転送は、ネットワークインターフェース206を通じたものであるか、又は、通信デバイスTdが中継器として動作する場合は無線インターフェース205を通じたものである。
【0121】
次のステップS502において、プロセッサ200は、基地局BS又はサーバーServへの、通信デバイスキャリアアグリゲーション能力C’の転送を命令する。この命令される転送は、ネットワークインターフェース206を通じたものであるか、又は、通信デバイスTdが中継器として動作する場合は無線インターフェース205を通じたものである。
【0122】
通信デバイスキャリアアグリゲーション能力C’は、例えば、通信デバイスTdのROMメモリ402又はRAMメモリ403内に格納される。
【0123】
ここで、通信デバイスキャリアアグリゲーション能力C’が、サーバーServによって管理されているエリア内又は基地局BSのセル内に位置する全ての通信デバイスTdについて同じである場合、プロセッサ200はステップS502を実行せず、ステップS501からステップS503に移ることに留意しなくてはならない。
【0124】
次のステップS503において、プロセッサ200は、協調マルチポイント送信を実行することができる(すなわち、その通信デバイスTdによってサービングされている少なくとも1つの移動端末に対するデータの送信及び/又は受信を共有することができる)各近傍通信デバイスTdを特定する。
【0125】
例えば、プロセッサ200は、通信デバイスTdによってサービングされている少なくとも1つの移動端末によって転送された少なくとも1つの測定報告から(又は、無線インターフェースが通信デバイスTdによって受信されたダウンリンク信号を測定する手段を備えるときは、無線インターフェース205によって実行された測定から)、少なくとも1つの移動端末MTによって所定のしきい値を上回る受信電力で受信できるような信号を送信できる近傍通信デバイスTdを特定する。
【0126】
例えば、プロセッサ200は、通信デバイスTdによって転送される信号の受信電力と比較して所定のしきい値よりも大きくは劣化していない受信電力で、少なくとも1つの移動端末MTによって受信される信号を転送する近傍通信デバイスTdを特定する。
【0127】
例えば、プロセッサ200は、所与の値を上回る信号対干渉雑音比で少なくとも1つの移動端末MTによって受信される信号を転送する近傍通信デバイスTdのリストを特定する。
【0128】
プロセッサ200は、近傍通信デバイスTdを特定するための上述した例を組み合わせることもできる。
【0129】
例えば、少なくとも1つの移動端末MTによって転送される信号について、プロセッサ200は、他の通信デバイスTdによって転送される少なくとも1つの測定報告から、所定のしきい値を上回る受信電力で少なくとも1つの移動端末MTによって転送された信号を受信することができる通信デバイスTdを特定する。及び/又は、プロセッサ200は、通信デバイスTdにおける受信電力と比較して所定のしきい値よりも大きくは劣化していない受信電力で少なくとも1つの移動端末MTによって転送される信号を受信することができる通信デバイスTdを特定する。及び/又は、プロセッサ200は、少なくとも1つの移動端末MTによって転送される信号を、所与の値を上回る信号対干渉雑音比(SINR)で受信することができる通信デバイスTdを特定する。
【0130】
例えば、プロセッサ200は、移動端末MTのハンドオーバー履歴から、各近傍通信デバイスTdを特定する。
【0131】
一般的な観点からは、近傍通信デバイスTdは、通信デバイスTdによってサービングされている少なくとも1つの移動端末MTと、他の通信デバイスTdとの間の経路利得が所与の値を上回るときの、この「他の通信デバイスTd」である。
【0132】
例えば、本アルゴリズムが通信デバイスTd1によって実行されるとき、通信デバイスTd2及びTd3は、近傍通信デバイスとして特定される。
【0133】
次のステップS504において、プロセッサ200は、近傍通信デバイスTdのリストの転送を命令する。近傍通信デバイスTdのリストは、ネットワークインターフェース206を通じて、又は通信デバイスTdが中継器として動作している場合は無線インターフェース205を通じて、基地局BS又はサーバーServに転送される。
【0134】
同時に、通信デバイスTdと各近傍通信デバイスTdとの間のリンク状態(すなわち、当該通信デバイスTdと各近傍通信デバイスTdとの間の信号の測定値、又は、当該通信デバイスTdによってサービングされている少なくとも1つの移動端末MTと、各近傍通信デバイスTdとの間の信号の測定値)も、基地局BS又はサーバーServに転送することができる。
【0135】
次のステップS505において、プロセッサ200は、ネットワークインターフェース206を通じて、又は通信デバイスTdが中継器として動作している場合は無線インターフェース205を通じて、通信デバイスTdに割り当てられた少なくとも1つの周波数帯域を示す情報の受信を検出する。
【0136】
同時に、プロセッサ200は、通信デバイスTdによってサービングされている移動端末MTに対し信号を転送及び/又は受信するための、少なくとも1つの近傍通信デバイスTdに割り当てられた少なくとも1つの周波数帯域の受信も検出することができる。
【0137】
次のステップS506において、プロセッサ200は、通信デバイスTdに割り当てられているC’個の周波数帯域の全て又はサブセット上で、移動端末への/からの制御シグナリング及びデータを、通信デバイスTdによってサービングされている各移動端末MTへ転送することを命令する。
【0138】
キャリアアグリゲーションを用いた協調マルチポイント送信は、通信デバイスTdに割り当てられているC’個の周波数帯域の一部でない周波数帯域を含むキャリアアグリゲーションをシグナリングすることによって、少なくとも1つの近傍通信デバイスTdとともに行われる。
【0139】
プロセッサ200は、通信デバイスTdによってサービングされていないが近傍通信デバイスTdによってサービングされている移動端末MTに対するデータの転送及び/又は受信を命令することができる。
【0140】
その後、プロセッサ200は本アルゴリズムを中断する。
【0141】
図6は、本発明の第1の実現モードに従ってサーバー又は基地局によって実行される第1のアルゴリズムの一例を開示している。
【0142】
より正確には、本アルゴリズムは、基地局BSのプロセッサ300又はサーバーServのプロセッサ400によって実行される。
【0143】
例えば、サーバーServのプロセッサ400によって実行されるときの本アルゴリズムを説明する。
【0144】
図6のステップS600において、プロセッサ400は、ネットワークインターフェース406を通じて、サーバーServによって管理されているエリア内に位置する少なくとも1つの通信デバイスTdの協調キャリアアグリゲーション能力Cの受信を検出する。
【0145】
次のステップS601において、プロセッサ400は、ネットワークインターフェース406を通じて、サーバーServによって管理されているエリア内に位置する少なくとも1つの通信デバイスTdの通信デバイスキャリアアグリゲーション能力C’の受信を検出する。
【0146】
次のステップS602において、プロセッサ400は、ネットワークインターフェース406を通じて、サーバーServによって管理されているエリア内に位置する少なくとも1つの通信デバイスTdについて、図5のアルゴリズムのステップS503において取得された近傍通信デバイスのリストの受信及び/又は測定値の受信を検出する。
【0147】
次のステップS603において、プロセッサ400は、サーバーServによって管理されているエリア内に位置する全ての通信デバイスTdについて、ステップS602において受信した近傍通信デバイスのリスト及び/又は測定値に従って、近傍通信デバイスTdのグラフを求める。
【0148】
グラフは、エッジによって接続されたノードの集合である。ノードは通信デバイスであり、近傍通信デバイスはエッジによって接続され、これらのエッジは「接続」とも呼ばれる。2つの近傍通信デバイス間に無線接続が存在するとき、それらの2つの近傍通信デバイスはエッジによって接続されている。無線接続は、互いに近傍として特定された2つの通信デバイスを関連付ける。
【0149】
次のステップS604において、プロセッサ400は、サーバーServが担当している各通信デバイスの中で第1の通信デバイスTdを検討する。
【0150】
次のステップS605において、プロセッサ400は、検討されている通信デバイスTdについて、近傍通信デバイスTdの周波数帯域数がC−C’(すなわち、CからC’を減算したもの)以下であるか否かを検査する。
【0151】
近傍通信デバイスTdの周波数帯域数がC−C’以下である場合、プロセッサ400はステップS606に移る。
【0152】
近傍ノードの周波数帯域数がC−C’を上回る場合、プロセッサ400はステップS607に移る。
【0153】
ステップS606において、プロセッサ400は、通信デバイスTdについて、最大でC個の周波数帯域に対応する、近傍通信デバイスTdの数に1を加えた数に等しいサイズのクリークを形成する。
【0154】
クリークは、開示されたように無線接続によって、又はステップS603後に無線接続を有していない2つの通信デバイス間で作成される仮想無線接続によって、互いにリンクされた通信デバイスを含む。換言すれば、ステップS603後に互いの近傍通信デバイスでない通信デバイスTd間のエッジ、すなわち接続が、適切なサイズのクリークを形成するために付加される。クリークのサイズはクリーク内の通信デバイスの数である。
【0155】
仮想無線接続はエッジである。
【0156】
例えば、ステップS603において、通信デバイスTd1及びTd2間の無線接続、並びに通信デバイスTd1及びTd3間の無線接続が確立されるが、通信デバイスTd2及びTd3間には無線接続が確立されない。
【0157】
例えば、通信デバイスTd1が「3」に等しい協調キャリアアグリゲーション能力Cを有し、通信デバイスTd1、Td2、及びTd3が「1」に等しい通信デバイスキャリアアグリゲーション能力C’を有する場合、プロセッサ400は、通信デバイスTd2及びTd3間の仮想無線接続を形成する。このため、プロセッサ400は、通信デバイスTd1、Td2、及びTd3を含むクリークを形成する。
【0158】
協調キャリアアグリゲーション能力Cを有する通信デバイスTdが、C個の周波数帯域に対応するX個の通信デバイスのクリークに属する。X個の通信デバイスTdからなるクリークは、全て互いに接続されたX個の通信デバイスの組である。
【0159】
その後、プロセッサ400はステップS608に移る。
【0160】
ステップS607において、プロセッサ400は、通信デバイスTdについて、C個の周波数帯域に対応するサイズの複数のクリークを形成する。
【0161】
例えば、通信デバイスTd1が「2」に等しい協調キャリアアグリゲーション能力Cを有し、通信デバイスTd1、Td2、及びTd3が「1」に等しい通信デバイスキャリアアグリゲーション能力C’を有する場合、プロセッサ400はサイズ2の2つのクリークを形成する。
【0162】
第1のクリークは通信デバイスTd1及びTd2を含み、第2のクリークは通信デバイスTd1及びTd3を含む。
【0163】
次のステップS608において、プロセッサ400は、形成された2以上のサイズのクリーク(複数の場合はそれぞれ)が有効であるか否かを、ステップS602において受信した測定値を用いて検査する。
【0164】
クリークは、以下の場合には有効ではない。
‐そのクリークの1つの通信デバイスと、通信デバイスTd1によってサービングされている少なくとも1つの移動端末MTのそれぞれとの間の経路利得が所与の値を上回らない場合、又は
‐そのクリークの全ての通信デバイスTdからの協調マルチポイント送信を実行することによってもたらされる信号対干渉雑音比の改善若しくはスループットの改善が、そのクリークのより少ない数の通信デバイスTdからの協調マルチポイント送信を実行することと比較して、通信デバイスTd1によってサービングされている全ての移動端末MTについて所与の値を上回るわけではない場合。
【0165】
有効でないクリークが少なくとも1つある場合、プロセッサ400はステップS609に移る。そうでない場合、プロセッサ400はステップS611に移る。
【0166】
ステップS609において、プロセッサ400は各無効クリークを抑制する。
【0167】
次のステップS610において、プロセッサ400は、無効クリークのそれぞれから、少なくとも2つのクリークを形成する。形成されるクリークは、それぞれ低減された数の通信デバイスTdを含む。
【0168】
その後、プロセッサ400はステップS608に戻る。
【0169】
ここで、ステップS608、S609、及びS610は任意選択であることに留意しなくてはならない。
【0170】
ステップS611において、プロセッサ400は、全ての通信デバイスTdが検討されたか否かを検査する。
【0171】
全ての通信デバイスTdが検討された場合、プロセッサ400は図8のアルゴリズムのステップS800に移る。そうでない場合、プロセッサ400はステップS612に移り、別の通信デバイスを検討し、ステップS605に戻る。
【0172】
図7は、本発明の第2の実現モードに従ってサーバー又は基地局によって実行される第2のアルゴリズムの例を開示している。
【0173】
より正確には、本アルゴリズム又は本アルゴリズムの少なくとも一部は、基地局BSのプロセッサ300又はサーバーServのプロセッサ400によって実行される。
【0174】
以下、本アルゴリズムを説明する。例えば、サーバーServのプロセッサ400によって実行されるときのものである。
【0175】
図7のステップS700において、プロセッサ400は、サーバーServによって管理されているエリア内に位置する少なくとも1つの通信デバイスTdの協調キャリアアグリゲーション能力Cの受信を、ネットワークインターフェース406を通じて検出する。
【0176】
次のステップS701において、プロセッサ400は、サーバーServによって管理されているエリア内に位置する少なくとも1つの通信デバイスTdの通信デバイスキャリアアグリゲーション能力C’の受信を、ネットワークインターフェース406を通じて検出する。
【0177】
次のステップS702において、プロセッサ400は、サーバーServによって管理されているエリア内に位置する少なくとも1つの通信デバイスTdについて、図5のアルゴリズムのステップS503において取得された近傍通信デバイスTdのリスト及び/又は測定値の受信を、ネットワークインターフェース406を通じて検出する。
【0178】
次のステップS703において、プロセッサ400は、サーバーServが担当している各通信デバイスTdの中で第1の通信デバイスTdを検討する。
【0179】
次のステップS704において、プロセッサ400は、検討されている通信デバイスTdについて、通信デバイスキャリアアグリゲーション能力C’が1を上回っているか否かを検査する。
【0180】
通信デバイスキャリアアグリゲーション能力C’が1を上回っている場合、プロセッサ400はステップS705に移る。そうでない場合、プロセッサ400はステップS706に移る。
【0181】
ステップS705において、プロセッサ400は、通信デバイスを、C’個の複製通信デバイスTdに複製し、これらによって、複製された通信デバイスTdを置き換える。複製通信デバイスTdは、互いに近傍の通信デバイスであるとみなされ、複製された通信デバイスTdの近傍の近傍である。
【0182】
この動作後、各通信デバイスキャリアアグリゲーション能力C’は1に設定される。
【0183】
その後、プロセッサ400はステップS706に移る。
【0184】
ステップS706において、プロセッサ400は、全ての通信デバイスTdが検討されたか否かを検査する。
【0185】
全ての通信デバイスTdが検討された場合、プロセッサ400はステップS708に移る。そうでない場合、プロセッサ400はステップS707に移り、別の通信デバイスを検討し、ステップS704に戻る。
【0186】
ステップS708において、プロセッサ400は、サーバーServによって管理されているエリア内に位置する全ての通信デバイスTdについて、ステップS702において受信した近傍通信デバイスのリスト及び/又は測定値に従って、近傍通信デバイスのグラフを求める。
【0187】
次のステップS709において、プロセッサ400は、サーバーServが担当している各通信デバイスTd及び各複製通信デバイスTdの中で第1の通信デバイスTdを検討する。
【0188】
次のステップS710において、プロセッサ400は、検討されている通信デバイスTdについて、近傍通信デバイスTdの数がC−1以下であるか否かを検査する。
【0189】
近傍ノードの数がC−1以下である場合、プロセッサ400はステップS711に移る。
【0190】
近傍ノードの数がC−1を上回っている場合、プロセッサ400はステップS714に移る。
【0191】
ステップS711において、プロセッサ400は、通信デバイスTdについて、近傍ノードの数に1を加えた数に等しいサイズのクリークを形成する。
【0192】
その後、プロセッサ400はステップS715に移る。
【0193】
ステップS714において、プロセッサ400は、通信デバイスTdについて、サイズCのクリークを複数形成する。
【0194】
次のステップS715において、プロセッサ400は、形成された2以上のサイズのクリーク(複数の場合はそれぞれ)が有効であるか否かを、ステップS702において受信した測定値を用いて検査する。
【0195】
有効でないクリークが少なくとも1つある場合、プロセッサ400はステップS718に移る。そうでない場合、プロセッサ400はステップS716に移る。
【0196】
ステップS718において、プロセッサ400は各無効クリークを抑制する。
【0197】
次のステップS719において、プロセッサ400は、無効クリークのそれぞれから、少なくとも2つのクリークを形成する。形成されるクリークは、それぞれ低減された数の通信デバイスを含む。
【0198】
ここで、ステップS715、S718、及びS719は任意選択であることに留意しなくてはならない。
【0199】
その後、プロセッサ400はステップS715に戻る。
【0200】
ステップS716において、プロセッサ400は、全ての通信デバイスTdが検討されたか否かを検査する。
【0201】
全ての通信デバイスTdが検討された場合、プロセッサ400は図8のアルゴリズムのステップS800に移る。そうでない場合、プロセッサ400はステップS717に移り、別の通信デバイスを検討し、ステップS710に戻る。
【0202】
図8は、本発明の第1の実現モード及び第2の実現モードに従ってサーバー又は基地局によって実行される第3のアルゴリズムの一例を開示している。
【0203】
ステップS800において、プロセッサ400は、各通信デバイスTdについて、いずれの周波数帯域(1つまたは複数)を通信デバイスTdに割り当てなくてはならないかを求める。これは、1つの周波数が、同じ通信デバイスTdに2回割り当てられないこと、及び/又は、同じクリークに属する2つの通信デバイスTd(すなわち、無線接続又は仮想無線接続によってリンクされた2つの通信デバイスTd)に対して割り当てられないことを保証して行われる。
【0204】
例えば、プロセッサ400はグラフ彩色アルゴリズムを実行する。
【0205】
グラフ彩色は、グラフラベリングの特殊なケースである。グラフ彩色は、特定の制約を受けるグラフの通信デバイスTdに対する、ラベル(従来、「色」と呼ばれている)の割当てである。プロセッサ400は、通信デバイス彩色を実行し、2つの隣接する通信デバイスTd(すなわち、エッジ又は無線接続又は仮想無線接続によって接続されたノード)が同じ色を共有しないように、各通信デバイスTdに1つ又は複数の色を割り当てる。
【0206】
本発明におけるグラフ彩色アルゴリズムは、2つの隣接する通信デバイスが、移動端末MTに対しデータを送信/受信するのに同じ周波数帯域を用いないように、与えられたグラフについて最小数の周波数帯域(色)を見つけるアルゴリズムである。
【0207】
貪欲彩色アルゴリズムは、グラフ彩色のための最も一般的でよく知られたアルゴリズムのうちの1つである。貪欲彩色法の原理は、特定の順序に従ってグラフの各通信デバイスTdを検討し、その通信デバイスTdに、各隣接通信デバイスTdと衝突しない最初に利用可能な色(すなわち周波数帯域)を割り当てることである。
【0208】
例えば、グラフ彩色アルゴリズムは、元のグラフをクリークのツリーに分解することによって開始するツリー分解グラフ彩色又はクリーク分解グラフ彩色とすることができ、次に所与の順序付けを用いて、クリークに対し貪欲彩色が実行される。
【0209】
異なる順序付けによって異なるグラフ彩色アルゴリズムが規定される。
【0210】
例えば、順序付けは最大先頭彩色(largest first colouring)として規定される。まず、グラフ内の最大次数を有する通信デバイスTdから開始して、通信デバイスTdに周波数帯域が割り当てられる。通信デバイスTdの次数は、その通信デバイスTdの接続の数である。
【0211】
例えば、順序付けはランダム彩色として規定される。まず、ランダム順序付けに従って各通信デバイスTdに周波数帯域が割り当てられる。
【0212】
例えば、順序付けは、辞書順彩色(lexicographical colouring)として規定される。まず、通信デバイスTdの位置(例えば基地局に対する位置)に基づく順序に従って、通信デバイスTdに周波数帯域が割り当てられる。
【0213】
例えば、順序付けは、再帰的に計算された順序付けを用いた最小末尾彩色(smallest last colouring)として規定される。開始時には、現在の順序付けは空である。第1のステップにおいて、最も低い次数を有する通信デバイスTdが特定され、現在の順序付けの最初の位置に入れられる。第2のステップにおいて、その通信デバイスTd及びその接続が取り除かれ、残りの通信デバイスTdの次数が再計算される。順序付けが完了するまで第1のステップ及び第2のステップが再実行される。
【0214】
例えば、通信デバイスTd1が協調キャリアアグリゲーション能力C=3を有し、通信デバイスTd1、Td2、及びTd3がキャリアアグリゲーション能力C’=1を有する場合、通信デバイスTd1は2つの近傍通信デバイスTd2及びTd3とクリークを形成する。
【0215】
通信デバイスTd1、Td2、及びTd3は、彩色後に異なる色(すなわち異なる周波数帯域)を得る。3つの周波数帯域のキャリアアグリゲーションは、3つの異なる周波数帯域において、3つの通信デバイスTd1〜Td3から同じ移動端末にデータを送信し、かつ/又は3つの通信デバイスTd1〜Td3において同じ移動端末からデータを受信することによって実行することができる。
【0216】
次のステップS801において、プロセッサ400は、クリークのために出力された色の総数が、利用可能な色の量(すなわち利用可能な周波数帯域数)を上回っているか否かを検査する。
【0217】
クリークのために出力された色の総数が、利用可能な色の量を上回っている場合、プロセッサ400はステップS802に移る。そうでない場合、プロセッサ400はステップS803に移る。
【0218】
ステップS802において、プロセッサ400は、近傍のグラフの少なくとも1つの通信デバイスについてCの値を低減する。
【0219】
例えば、プロセッサ400は、少なくとも1つの通信デバイスの協調キャリアアグリゲーション能力Cを任意に低減する。かつ/又は、プロセッサ400は、取得された移動端末キャリアアグリゲーション能力の一部分(協調キャリアアグリゲーション能力Cを求めるためにその最大値が取られるもの)を低減する。かつ/又は、プロセッサ400は、ステップS602若しくはS702において受信した測定値を用いて、弱い経路利得(weak path gain)に対応する或る無線接続及び/若しくは仮想無線接続を抑制する。かつ/又は、プロセッサ400は、或る仮想無線接続を抑制する。かつ/又は、プロセッサ400は、十分に良好な性能改善を保証しないマルチポイント送信に対応する或るクリークを抑制する。かつ/又は、プロセッサ400は、通信デバイスTd間の不良なバックホールリンク条件(すなわち低いスループット及び/若しくは高いレイテンシ)に対応する或る無線接続を抑制する。
【0220】
その後、プロセッサ400は、図6のステップS604若しくは図7のS709に戻るか、又はステップS800に戻る。
【0221】
ステップS803において、プロセッサ400は、クリークのために出力された色の総数が、利用可能な色の量(すなわち利用可能な周波数帯域数)に等しいか否かを検査する。
【0222】
クリークのために出力された色の総数が、利用可能な色の量に等しい場合、プロセッサ400はステップS804に移る。そうでない場合、プロセッサ400はステップS805に移る。
【0223】
ステップS804において、プロセッサ400は、各通信デバイスTdに割り当てられた少なくとも1つの周波数帯域を示す情報を、各通信デバイスTdに転送することを命令する。
【0224】
同時に、プロセッサ400は、通信デバイスTdによってサービングされている移動端末に対し信号を転送及び/又は受信するために、近傍通信デバイスに割り当てられた少なくとも1つの周波数帯域を転送することができる。
【0225】
同時に、プロセッサ400は、各通信デバイスに、そのクリーク(1つまたは複数)に属する通信デバイスの識別子を転送することを命令することができる。
【0226】
同時に、プロセッサ400は、各通信デバイスに、その変更された協調キャリアアグリゲーション能力を転送することを命令することができる。
【0227】
その後、プロセッサ400は本アルゴリズムを中断し、少なくとも1つの協調キャリアアグリゲーション能力Cの受信まで、及び/又は、少なくとも1つの通信デバイスキャリアアグリゲーション能力C’の受信まで、及び/又は、少なくとも1つの新たな近傍通信デバイスの受信まで、及び/又は、サーバーServが扱う少なくとも1つの通信デバイスTdの少なくとも1つの新たな報告の受信まで、待つ。
【0228】
ステップS805において、プロセッサ400は近傍のグラフの少なくとも1つの通信デバイスについてCの値を増大させる。
【0229】
例えば、プロセッサ400は、少なくとも1つの通信デバイスの協調キャリアアグリゲーション能力Cを任意に増大させる。かつ/又は、プロセッサ400は、取得された移動端末キャリアアグリゲーション能力の一部分(協調キャリアアグリゲーション能力Cを求めるためにその最大値が取られるもの)を増大させる。かつ/又は、プロセッサ400は、ステップS602若しくはS702において受信した測定値を用いて、強い経路利得(strong path gain)に対応する或る無線接続及び/若しくは仮想無線接続を付加する。かつ/又は、プロセッサ400は、或る仮想無線接続を付加する。かつ/又は、プロセッサ400は、十分に良好な性能改善を保証しないマルチポイント送信に対応する或るクリークを付加する。かつ/又は、プロセッサ400は、通信デバイスTd間の強力なバックホールリンク条件(すなわち高いスループット及び/若しくは低いレイテンシ)に対応する或る無線接続を付加する。
【0230】
その後、プロセッサ400は、図6のステップS604若しくは図7のS709に戻るか、又はステップS800に戻る。
【0231】
ここで、ステップS604〜S612又はS709〜S717は、Cの値が変更される通信デバイスTd(1つまたは複数)についてのみ実行することができることに留意しなくてはならない。
【0232】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上述した本発明の実施形態に対して多くの変更を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線セルラー通信ネットワークにおいて、少なくとも1つの移動端末が複数の周波数帯域を通じてデータを転送及び/又は受信することを可能にする方法であって、
前記少なくとも1つの移動端末は、少なくとも1つの周波数帯域を通じてデータを転送及び/又は受信することができる通信デバイスによってサービングされる、方法において、
該方法は、前記通信デバイスによって実行される複数のステップとして、
‐前記少なくとも1つの移動端末の少なくとも1つの移動端末キャリアアグリゲーション能力を取得するステップと、
‐前記少なくとも1つの移動端末キャリアアグリゲーション能力から前記通信デバイスの協調キャリアアグリゲーション能力Cを求めるステップと、
‐前記協調キャリアアグリゲーション能力Cを前記無線セルラー通信ネットワークの集中化デバイスに転送するステップと、
‐少なくとも1つの近傍通信デバイスに関連する情報を、前記無線セルラー通信ネットワークの前記集中化デバイスに転送するステップと、
‐前記集中化デバイスから、前記通信デバイスが前記移動端末との通信のために用いなくてはならない少なくとも1つの周波数帯域を示す情報を受信するステップと、
‐前記少なくとも1つの通信デバイスに、前記通信デバイスが前記移動端末との通信のために用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域を通じて制御シグナリングを転送するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記制御シグナリングは、前記移動端末に関連するデータが転送されかつ前記通信デバイスに割り当てられない少なくとも1つの周波数帯域を示すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記通信デバイスのキャリアアグリゲーション能力C’を前記集中化デバイスに転送する更なるステップを含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記協調キャリアアグリゲーション能力Cは、以下の項目、すなわち、
‐各前記取得された移動端末キャリアアグリゲーション能力のうちで最大の移動端末キャリアアグリゲーション能力、
‐各前記取得された移動端末キャリアアグリゲーション能力の一部分のうち最大の移動端末キャリアアグリゲーション能力、
‐前記通信デバイスの通信デバイスキャリアアグリゲーション能力と、各前記取得された移動端末キャリアアグリゲーション能力のうちで最大の移動端末キャリアアグリゲーション能力とのうちの最大値、及び
‐前記通信デバイスの前記通信デバイスキャリアアグリゲーション能力と、各前記取得された移動端末キャリアアグリゲーション能力の一部分のうちで最大の移動端末キャリアアグリゲーション能力とのうちの最大値、
のうちの1つであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
無線セルラー通信ネットワークにおいて、少なくとも1つの移動端末と通信するのにいずれの周波数帯域が用いられなくてはならないかを求める方法であって、
前記少なくとも1つの移動端末は、少なくとも1つの周波数帯域を通じて該少なくとも1つの移動端末と通信することができる通信デバイスによってサービングされる、方法において、
該方法は、前記無線セルラー通信ネットワークの集中化デバイスによって実行される複数のステップとして、
‐前記通信デバイスから、該通信デバイスの協調移動端末キャリアアグリゲーション能力Cを受信するステップと、
‐前記通信デバイスから、該通信デバイスの近傍通信デバイスの少なくとも1つに関連する情報を受信するステップと、
‐前記通信デバイス及び前記少なくとも1つの近傍通信デバイスについて、
・該通信デバイスが前記少なくとも1つの移動端末と通信するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域と、
・前記少なくとも1つの近傍通信デバイスが前記少なくとも1つの移動端末又は別の移動端末と通信するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域と
を求めるステップと、
‐前記通信デバイスに、該通信デバイスが前記少なくとも1つの移動端末と通信するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域を該通信デバイスに示す情報を転送するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項6】
前記集中化デバイスは、前記通信デバイスに、前記少なくとも1つの近傍通信デバイスと、前記少なくとも1つの移動端末又は別の移動端末との間でデータを転送するのに用いられる前記少なくとも1つの周波数帯域を前記少なくとも1つの近傍通信デバイスに示す少なくとも1つの情報を更に転送することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、前記集中化デバイスによって実行される、前記通信デバイスのキャリアアグリゲーション能力C’を受信する更なるステップを含むことを特徴とし、並びに、
前記方法において、
‐前記通信デバイスが前記少なくとも1つの移動端末と通信するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域、及び
‐前記少なくとも1つの近傍通信デバイスが該近傍通信デバイスと前記少なくとも1つの移動端末又は別の移動端末との間でデータを転送するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域
は、各前記通信デバイスの前記協調キャリアアグリゲーション能力C及び各前記通信デバイスの前記キャリアアグリゲーション能力C’に従って求められることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記方法は、前記集中化デバイスによって実行される、前記通信デバイスについて近傍通信デバイスのグラフを求める更なるステップを含むことを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方法は、前記集中化デバイスによって実行される、各通信デバイスについて少なくとも1つのクリークを求める更なるステップを含むことを特徴とし、
クリークは、前記通信デバイスと、その通信デバイスと無線接続を有する前記近傍通信デバイスの少なくとも一部とを含み、
各前記通信デバイスは、無線接続によって互いにリンクされるか、又は、無線接続を有しない2つの通信デバイス間に作成された仮想無線接続によって互いにリンクされる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
通信デバイスのクリークは、最大で、該クリークの前記通信デバイスに割り当てられる周波数帯域の総数が前記協調キャリアアグリゲーション能力に等しくなるような数の通信デバイスを含むことを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
通信デバイスの前記協調キャリアアグリゲーション能力が1を上回っている場合、前記方法は、前記集中化デバイスによって実行される、近傍通信デバイスの前記グラフを求める前に前記通信デバイスを複製する更なるステップを含むことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記通信デバイスが前記移動端末と通信するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域、及び、
前記少なくとも1つの近傍通信デバイスが、該近傍通信デバイスと前記移動端末又は前記別の移動端末との間でデータを転送するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域
は、彩色アルゴリズムを用いて求められることを特徴とする、請求項5〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
無線セルラー通信ネットワークにおいて、少なくとも1つの移動端末が複数の周波数帯域を通じてデータを転送及び/又は受信することを可能にする装置であって、
前記少なくとも1つの移動端末は、少なくとも1つの周波数帯域を通じてデータを転送及び/又は受信することができる通信デバイスによってサービングされる、装置において、
前記装置は、前記通信デバイスに含まれ、
前記装置は、
‐前記少なくとも1つの移動端末の少なくとも1つの移動端末キャリアアグリゲーション能力を取得する手段と、
‐前記少なくとも1つの移動端末キャリアアグリゲーション能力から前記通信デバイスの協調キャリアアグリゲーション能力Cを求める手段と、
‐前記協調キャリアアグリゲーション能力Cを前記無線セルラー通信ネットワークの集中化デバイスに転送する手段と、
‐少なくとも1つの近傍通信デバイスに関連する情報を、前記無線セルラー通信ネットワークの前記集中化デバイスに転送する手段と、
‐前記集中化デバイスから、前記通信デバイスが前記移動端末との通信のために用いなくてはならない少なくとも1つの周波数帯域を示す情報を受信する手段と、
‐前記少なくとも1つの通信デバイスに、前記通信デバイスが前記移動端末との通信のために用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域を通じて制御シグナリングを転送する手段と、
を備えることを特徴とする、装置。
【請求項14】
無線セルラー通信ネットワークにおいて、少なくとも1つの移動端末と通信するのにいずれの周波数帯域が用いられなくてはならないかを求める集中化デバイスであって、
前記少なくとも1つの移動端末は、少なくとも1つの周波数帯域を通じて該少なくとも1つの移動端末と通信することができる通信デバイスによってサービングされる、集中化デバイスにおいて、
該集中化デバイスは、
‐前記通信デバイスから、該通信デバイスの協調移動端末キャリアアグリゲーション能力Cを受信する手段と、
‐前記通信デバイスから、該通信デバイスの少なくとも1つの近傍通信デバイスに関連する情報を受信する手段と、
‐前記通信デバイス及び前記少なくとも1つの近傍通信デバイスについて、
・該通信デバイスが前記少なくとも1つの移動端末と通信するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域と、
・前記少なくとも1つの近傍通信デバイスが前記少なくとも1つの移動端末又は別の移動端末と通信するのに用いなくてはならない少なくとも1つの周波数帯域と
を求める手段と、
‐前記通信デバイスに、該通信デバイスが前記少なくとも1つの移動端末と通信するのに用いなくてはならない前記少なくとも1つの周波数帯域を該通信デバイスに示す情報を転送する手段と、
を備えることを特徴とする、集中化デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−199916(P2012−199916A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−55623(P2012−55623)
【出願日】平成24年3月13日(2012.3.13)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
【Fターム(参考)】