説明

データコード読取装置及びその方法

【課題】データコードの画像データ中に白とび部分や暗い画像が生じたとしても正常にデータコードを読み取る。
【解決手段】データコード読取装置は、物体に添付された複数のデータブロックから成るQRコード(登録商標)をオペレータによって物体が撮影領域内を移動する間に繰り返し撮像して、QRコードの複数の画像データを取得する撮像装置14と、撮像装置14による取得される複数の画像データの複数のデータブロックのデコードを行うデコード部16と、デコード部16による複数の画像データの複数のデータブロックのデコード結果の可・不可を判定するデコード判定部17と、デコード判定部17によりデコード可と判定した複数のデータブロックのデコードデータを組み合わせて最終のデコード結果を取得するデコード組合せ部18とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば2次元の撮像装置の前方で移動される商品等の物体に添付され、かつ複数のデータブロックから成る少なくともデータコードを読み取るデータコード読取装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2次元のバーコードやQRコード、記号等のデータコードの読取や認識等を行うデータコード認識装置がある。このデータコード認識装置は、例えば撮像装置によって2次元のバーコードやQRコード、記号等のデータコードを撮像し、この撮像装置から出力される多値の濃淡レベルを有する画像信号を画像処理する。この画像処理では、多値の濃淡レベルを有する画像信号を2値化する前処理を行い、この2値化された2値化画像データに基づいてバーコードのデコードやパターン認識等の各種処理を行う。
【0003】
このようなデータコード認識装置では、2次元のバーコードやQRコード、記号等のデータコードを撮像装置により撮像する際、これらデータコードを精度高く認識するために照明が行われる。この照明を行う技術としては、例えば特許文献1がある。この特許文献1は、LED等の複数の照明光源から出力される光のうち拡散板の通過孔を通して直接光により基板マークを照明するとともに、拡散板から斜めに入射する拡散光により基板マークを照明することを開示し、又基板マークの反射特性に合わせて複数の照明光源を選択的に点灯することを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−304817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、2次元のバーコードやQRコード、記号等のデータコードを照明した状態で撮像装置によって撮像する場合、QRコードを印字してある印字面が鏡面反射の特性を有すると、LED等の複数の照明光源から出力され、QRコードの印字面で反射して撮像装置に入射する光のうち反射光量の大きい部分が生じる。これにより、撮像装置の撮像によって取得される画像データには、例えば図9に示すように複数のLED等の照明光源に対応してQRコード1中に反射光量が大きくなる部分、いわゆる白とび部分2が複数生じることがある。このため、QRコード1の正常な画像データを取得することができず、QRコード1のデコードができない。又、QRコード1を照明したとしても例えば図10に示すように照明ムラが生じ、QRコード1の隅部の濃淡レベルが他の部分と比較して低く暗い画像部分3が生じることがある。この場合でも、QRコード1の正常な画像データを取得することができず、QRコード1のデコードができない。
【0006】
本発明の目的は、データコードの画像データ中に白とび部分や暗い画像が生じたとしても正常にデータコードを読み取ることができるデータコード読取装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主要な局面に係るデータコード読取装置は、物体に添付された複数のデータブロックから成るQRコードをオペレータによって物体が撮影領域内を移動する間に繰り返し撮像して、QRコードの複数の画像データを取得する撮像装置と、撮像装置による取得される複数の画像データの複数のデータブロックのデコードを行うデコード部と、デコード部による複数の画像データの複数のデータブロックのデコード結果の可・不可を判定するデコード判定部と、デコード判定部によりデコード可と判定した複数のデータブロックのデコードデータを組み合わせて最終のデコード結果を取得するデコード組合せ部とを具備する。
【0008】
本発明の主要な他の局面に係るデータコード読取方法は、物体に添付された複数のデータブロックから成るQRコードをオペレータによって物体が撮影領域内を移動する間に繰り返し撮像して、QRコードの複数の画像データを取得し、撮像により取得される複数の画像データの複数のデータブロックのデコードを行い、デコードによる複数の画像データの複数のデータブロックのデコード結果の可・不可を判定し、この判定の結果、デコード可と判定した複数のデータブロックのデコードデータを組み合わせて最終のデコード結果を取得する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、データコードの画像データ中に白とび部分や暗い画像が生じたとしても正常にデータコードを読み取ることができるデータコード読取装置及びその方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るデータコード読取装置の一実施の形態を示す構成図。
【図2】同装置により読み取るQRコードにおける複数のデータブロックを示す模式図。
【図3】同装置におけるデータコード読取フローチャート。
【図4】同装置における撮像装置の1回目の撮像動作により取得された2値化画像データの摸式図。
【図5】同装置による1回目の撮像動作時におけるQRコード中の各データブロックのデコード結果を示す摸式図。
【図6】同装置における撮像装置の2回目の撮像動作により取得された2値化画像データの摸式図。
【図7】同装置による2回目の撮像動作時におけるQRコード中の各データブロックのデコード結果を示す摸式図。
【図8】同装置により取得されるQRコード中の各データブロックに対する最終のデコード結果を示す模式図。
【図9】QRコード中に白とび部分が生じた画像データを示す模式図。
【図10】QRコード中に照明ムラによって暗い画像部分が生じた画像データを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1はデータコード読取装置の構成図を示す。このデータコード読取装置は、例えば電子キャッシュレジスタに用いられる。このデータコード読取装置は、制御部本体としてCPU(Central Processing Unit)10を搭載している。このCPU10には、ROM(Read Only Memory)11と、RAM(Random Access Memory)12と、通信インタフェース(通信I/F)13と、撮像装置14とが接続されると共に、CPU10からの指令を受ける2値化処理部15と、デコード部16と、デコード判定部17と、デコード組合せ部18と、点灯部19とを有する。
【0012】
ROM12には、例えば電子キャッシュレジスタの業務を実行させるための業務プログラムやデータコード読取プログラムが予め格納されている。データコード読取プログラムは、撮像装置14によりデータコードとして例えば商品20に貼られたラベル上に印字されたQRコード1を含む領域を少なくとも2回繰り返して撮像させて少なくとも2つの多階調の画像データを取得させ、これら多階調の画像データのそれぞれに対してデコード部16により複数のデータブロック毎にデコードを行わさせ、これらデータブロック毎にそれぞれデコード結果の可・不可をデコード判定部17により判定させ、このデコード結果の判定によりデコード可と判定した各データブロックのデコードデータをデコード組合せ部18により組み合わせて最終のデコード結果を取得させる。
【0013】
RAM12は、各種データを一時記憶するためのエリアが形成され、例えば撮像装置14の撮像により取得された多階調の画像データを当該エリアに一時記憶したり、デコード部16によりデコードされたQRコード1に含む情報等を同エリアに一時記憶する。
通信I/F13には、図示しない伝送路を通して外部機器が接続されている。この通信I/F13は、伝送路を通して外部機器の間でデータ通信を行う。
撮像装置14は、商品20に貼られたラベル上のQRコード1を含む領域を撮像し、その多階調の画像信号を出力するもので、例えばCCD等により成るイメージセンサが用いられる。この撮像装置14は、所定周期毎に繰り返して撮像動作を行っている状態に、例えばオペレータの操作によって商品20が当該撮像装置14の撮像範囲内に1回横切って移動すると、この撮像装置14によるQRコード1に対する撮像動作は、少なくとも2回行われる。なお、撮像装置14の撮像範囲内に商品20が1回横切って移動中に行われる撮像動作の回数は、オペレータの操作によって移動する商品20の移動速度と撮像装置14による撮像動作の繰り返し周期とに基づいて決定され、例えば2回以上行われる場合もある。
【0014】
2値化処理部15は、撮像装置14から出力された多階調の画像信号に対してそれぞれしきい値を用いて2値化し、その2値化画像データを取得する。
デコード部16は、2値化処理部16により取得された2値化画像データからQRコード1中の複数のデータブロック毎にそれぞれデコードを行う。すなわち、QRコード1は、例えば図2の模式図に示すように複数のデータブロック、例えば各データブロックb〜bを有する。これにより、デコード部16は、QRコード1中の各データブロックb〜b毎にそれぞれデコードを行う。なお、QRコード1は、チェックを行うためのチェックサムを符号化した誤り訂正ブロックも有する。
【0015】
デコード判定部17は、デコード部16によるQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果の可・不可を判定する。このうちデコード結果が可であれば、QRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコードが正常に行われたことを示す。デコード結果が不可であれば、QRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコードが正常に行われず、デコードデータが欠落していることを示す。
【0016】
デコード組合せ部18は、デコード判定部17によりデコード可と判定した各データブロックb〜bの各デコードデータを組み合わせて最終のデコード結果を取得する。すなわち、QRコード1を含む多階調の画像データは、撮像装置14の撮像範囲内に商品20が1回横切って移動したときに少なくとも2枚取得される。そして、QRコード1中の各データブロックb〜b毎のデコードは、撮像装置14の撮像範囲内に商品20が1回横切って移動したときに取得される少なくとも2枚の多階調の画像データ毎に行われる。従って、デコード組合せ部18は、少なくとも2枚の多階調の画像データ毎に行われる各データブロックb〜b毎の各デコードの結果のうちデコード可と判定した各データブロックb〜bの各デコードデータを組み合わせて最終のデコード結果を取得する。
【0017】
具体的にデコード組合せ部18は、撮像装置14による1回目の撮像により取得された多諧調の画像データに対する各データブロックb〜b毎のデコードの結果、少なくとも1つのデータブロック、例えばデータブロックbにデコード不可の判定結果であれば、当該デコード不可のデータブロックbに欠落しているデコードデータを、撮像装置14による2回目以降の撮像により取得された多諧調の各画像データに対するデコード結果のうちデコード不可と判定されたデータブロックbと同一でかつデコード可と判定されたデータブロックbのデコードデータに書き換える。
【0018】
この場合、デコード組合せ部18は、撮像装置14による1回目の撮像により取得された多諧調の画像データに対する各データブロックb〜b毎のデコードの結果、少なくとも1つのデータブロックbにデコード不可の判定結果であれば、当該デコード不可のデータブロックbを含む各データブロックb〜bのデコードデータを例えばRAM12に保存する。そして、デコード組合せ部18は、撮像装置14による2回目の撮像以降に、RAM12に保存した各データブロックb〜bのデコードデータのうちデコード不可のデコードデータをデコード可と判定されたデータブロックbのデコードデータに書き換える。
【0019】
デコード組合せ部18は、撮像装置14による1回目の撮像により取得された多諧調の画像データに対してデコード部16により各データブロックb〜b毎にデコードを行った結果、全てのデータブロックb〜bがデコード可の判定結果であれば、当該各データブロックb〜bのデコードデータを最終のデコード結果とする。
【0020】
点灯部19は、複数の光源、例えばLED21−1〜21−nを点灯する。これらLED21−1〜21−nは、例えばオペレータの操作によって撮像装置14の撮像範囲内に移動させる商品20を照明する。
【0021】
次に、上記の如く構成された装置によるデータコードの読み取り動作について図3に示すデータコード読取フローチャートに従って説明する。
撮像装置14は、所定周期毎に撮像動作を行い、その多階調の画像信号を出力する。CPU10は、ステップ#1において、所定周期毎に撮像装置14から出力される多階調の画像信号を入力し、この多階調の画像信号を2値化処理部15に送る。この2値化処理部15は、撮像装置14の撮像により取得された多階調の画像信号に対してそれぞれしきい値を用いて2値化し、その2値化画像データを取得する。なお、撮像装置14の撮像動作時、点灯部19は、例えばLED21−1〜21−nを点灯する。
【0022】
次に、CPU10は、ステップ#2において、2値化処理部15により取得された2値化画像データに基づいてQRコード1を検出する。この検出の結果、QRコード1が検出されなければ、CPU10は、ステップ#1に戻る。
【0023】
一方、撮像装置14が所定周期毎に繰り返して撮像動作を行っている状態に例えばオペレータの操作によって商品20が当該撮像装置14の撮像範囲内に1回横切って移動されると、撮像装置14は、商品20に貼られたラベル上のQRコード1を含む領域を撮像し、その多階調の画像信号を出力する。このとき、商品20が撮像装置14の撮像範囲内に1回横切って移動中に行われるQRコード1に対する撮像装置14の撮像動作回数は、オペレータの操作によって移動する商品20の移動速度と撮像装置14による撮像動作の繰り返し周期とに基づいて決定され、例えば2回撮像動作が行われる。このときも点灯部19は、例えばLED21−1〜21−nを点灯する。これにより、オペレータの操作によって移動される商品20及びこの商品29に貼られているラベル上のQRコード1は、LED21−1〜21−nから出力される照明光により照明される。
【0024】
しかるに、1回目の撮像動作時に、CPU10は、ステップ#1において、撮像装置14から出力される多階調の画像信号を入力し、この多階調の画像信号を2値化処理部15に送る。この2値化処理部15は、撮像装置14の撮像により取得された多階調の画像信号に対してそれぞれしきい値を用いて2値化し、その2値化画像データDを取得する。図4は1回目の撮像動作により取得された2値化画像データDの摸式図を示す。この2値化画像データDは、QRコード1の像を示すと共に、実際には撮像されないがQRコード1と複数のLED21−1〜21−n例えば各LED21−1〜21−6との位置関係を分かり易く示すために各LED21−1〜21−6も示してある。
【0025】
次に、CPU10は、ステップ#2において、2値化処理部15により取得された2値化画像データDに基づいてQRコード1を検出する。次に、CPU10は、ステップ#4に移り、QRコード1中の各誤り訂正ブロック毎に記述されている各チェックを用いて誤りの検出、訂正の処理を行う。
【0026】
次に、デコード部16は、ステップ#5において、2値化処理部16により取得された2値化画像データDからQRコード1中の例えば図2に示す複数のデータブロックb〜b毎にそれぞれデコードを行う。図5は各データブロックb〜b毎のデコード結果を示す。このデコード結果は、例えば各データブロックb、b、b〜bについてデコード可(OK)であるが、各データブロックb、bについてデコード不可(NG)である。
【0027】
次に、デコード判定部17は、ステップ#6において、デコード部16による図5に示すようなQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果の可・不可を判定する。すなわち、デコード判定部17は、デコード結果が可であれば、QRコード1中の各データブロックb、b、b〜b毎の各デコードが正常に行われたと判定し、かつデコード結果が不可であれば、QRコード1中の各データブロックb、b毎の各デコードが正常に行われず、デコードデータが欠落していると判定する。しかるに、デコード判定部17は、全てのデータブロックb〜bの判定結果がデコード可でないので、この旨をCPU10に送る。このCPU10は、全てのデータブロックb〜bの判定結果がデコード可でない旨を受けると、ステップ#7に移り、図5に示すQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果を例えばRAM12に保存する。
【0028】
次に、CPU10は、ステップ#8において、RAM12に前回のデコード結果の保存があるか否かを判断する。この判断の結果、RAM12に前回のデコード結果の保存が無いので、CPU10は、再び、ステップ#1に戻る。
【0029】
次に、2回目の撮像動作時に、CPU10は、ステップ#1において、撮像装置14から出力された多階調の画像信号を2値化処理部15に送る。この2値化処理部15は、上記同様に、多階調の画像信号に対してそれぞれしきい値を用いて2値化し、例えば図6に示すような2値化画像データDを取得する。この2値化画像データD上でのQRコード1の位置は、2値化画像データD上のQRコード1の位置よりも左側に移動している。次に、CPU10は、ステップ#2において、2値化画像データDに基づいてQRコード1を検出し、ステップ#4において、QRコード1中の各誤り訂正ブロック毎に記述されている各チェックを用いて誤りの検出、訂正の処理を行う。
【0030】
次に、デコード部16は、ステップ#5において、2値化画像データDからQRコード1中の各データブロックb〜b毎にそれぞれデコードを行う。図7は各データブロックb〜b毎のデコード結果を示し、例えば各データブロックb、b、b〜bについてデコード可(OK)であるが、各データブロックbについてデコード不可(NG)である。
【0031】
次に、デコード判定部17は、ステップ#6において、図7に示すようなQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果の可・不可を判定し、QRコード1中の各データブロックb、b、b〜b毎の各デコードが正常に行われたと判定し、かつQRコード1中の各データブロックbのデコードが正常に行われず、デコードデータが欠落していると判定する。しかるに、デコード判定部17は、全てのデータブロックb〜bの判定結果がデコード可でないので、この旨をCPU10に送る。これにより、CPU10は、ステップ#7において、図7に示すQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果を例えばRAM12に保存する。
【0032】
なお、1回目の撮像動作時に取得された図5に示すQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果と2回目の撮像動作時に取得された図7に示すQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果とが相違するのは、例えばオペレータの操作によって商品20が撮像装置14の撮像範囲内に1回横切って移動されることにより図4及び図6に示すようにQRコード1と各LED21−1〜21−6との位置関係が変化し、この位置関係の変化によってQRコード1に対する照明位置及びその照明光量が変化することによる。これによって、例えば上記図9に示すようにQRコード1中に反射光量が大きくなる部分、いわゆる白とび部分2が複数生じたり、又、例えば上記図10に示すように照明ムラが生じ、QRコード1の隅部の濃淡レベルが他の部分と比較して低く暗い画像部分3が生じることがある。
【0033】
次に、CPU10は、ステップ#8において、RAM12に前回のデコード結果の保存があるか否かを判断し、この判断の結果、RAM12に前回のデコード結果である図5に示すQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果の保存があるので、デコード組合せ部18に対してデコード結果を組み合せる指令を発する。
【0034】
このデコード組合せ部18は、ステップ#9において、RAM12に保存されている1回目の撮像動作時の図5に示すQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果と、図7に示すQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果とを読み出す。
次に、デコード組合せ部18は、例えば図5に示すQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果のうちデコード不可となって欠落している各データブロックb、bのデコードデータを図7に示すQRコード1中の各データブロックb、bの各デコード結果から読み取る。
次に、デコード組合せ部18は、それぞれ読み取った図7に示すQRコード1中の各データブロックb、bの各デコードデータを図5に示すQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果のうちデコード不可となって欠落している各データブロックb、bに書き換える。この結果、デコード組合せ部18は、図8に示すようなQRコード1中の各データブロックb〜bに対する最終のデコード結果を取得する。この最終のデコード結果は、QRコード1中の全てのデータブロックb〜bのデコード結果がデコード可になっている。
【0035】
なお、デコード組合せ部18は、例えば図7に示すQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果のうちデコード不可となって欠落しているデータブロックbのデコードデータを図5に示すQRコード1中の各データブロックbのデコード結果から読み取り、この読み取った図5に示すQRコード1中のデータブロックbのデコードデータを図7に示すQRコード1中のデータブロックbに書き換えてもよい。
【0036】
次に、デコード判定部17は、再び、ステップ#6において、図8に示すQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果の可・不可を判定し、QRコード1中の全てのデータブロックb、b、b〜b毎の各デコードが正常に行われたと判定する。
しかるに、CPU10は、ステップ#10において、図8に示すQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果を例えば通信I/F13を通して例えばPOSシステム等の外部機器に送る。そして、CPU10は、ステップ#11において、RAM12に保存されている図5に示すQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果と、図7に示すQRコード1中の各データブロックb、bの各デコード結果とをクリアすると共に、図8に示すQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果もクリアする。
【0037】
なお、1回目の撮像動作時に、デコード判定部17は、ステップ#6において、図5に示すようなQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果の可・不可を判定するが、この判定の結果、全てのデータブロックb〜bがデコード可の判定結果であれば、デコード組合せ部18は、当該判定結果の各データブロックb〜bのデコードデータを最終のデコード結果とする。
【0038】
このように上記一実施の形態によれば、例えば1回目の撮像動作時の例えば図5に示すQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果のうちデコード不可となって欠落している各データブロックb、bのデコードデータを、例えば2回目の撮像動作時の図7に示すQRコード1中の各データブロックb、bの各デコード結果から読み取り、この読み取った各データブロックb、bの各デコードデータを図5に示すQRコード1中の各デコード結果のうちデコード不可となって欠落している各データブロックb、bに書き換える。これにより、図8に示すような全てのデータブロックb〜bのデコード結果がデコード可である最終のデコード結果を取得できる。
【0039】
従って、例えばオペレータの操作によって商品20が撮像装置14の撮像範囲内に1回横切って移動されることにより図4及び図6に示すようにQRコード1と各LED21−1〜21−6との位置関係の変化によってQRコード1に対する照明位置及びその照明光量が変化し、例えば上記図9に示すようにQRコード1中に反射光量が大きくなる部分、いわゆる白とび部分2が複数生じたり、又、例えば上記図10に示すように照明ムラが生じ、QRコード1の隅部の濃淡レベルが他の部分と比較して低く暗い画像部分3が生じたとしても、デコード不可となって欠落しているデータブロックのデコードデータをデコード可のデコードデータに書き換えることができる。この結果、例えばオペレータの操作によって商品20が撮像装置14の撮像範囲内に1回横切って移動するだけでも、全てのデータブロックb〜bのデコード結果がデコード可である最終のデコード結果を取得できる。これにより、QRコード1のデコードの成功率を向上できる。
【0040】
上記一実施の形態では、例えば2回の撮像動作によってそれぞれ取得されたQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果からデコード可のデコード結果を組み合わせて全てのデータブロックb〜bのデコード結果がデコード可である最終のデコード結果を取得しているが、これに限らず、商品20が撮像装置14の撮像範囲内に1回横切って移動するときに例えば3回以上の撮像動作が行われれば、これら3回以上の撮像動作によってそれぞれ取得されたQRコード1中の各データブロックb〜b毎の各デコード結果からデコード可のデコード結果を組み合わせて全てのデータブロックb〜bのデコード結果がデコード可である最終のデコード結果を取得してよい。
【0041】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
例えば、上記一実施の形態では、データコードとしてQRコード1の読み取りに適用した場合について説明したが、これに限らず、2次元のバーコードや記号等のデータコードを読み取る場合にも適用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1:QRコード、10:CPU、11:ROM、12:RAM、13:通信インタフェース(通信I/F)、14:撮像装置、15:2値化処理部、16:デコード部、17:デコード判定部、18:デコード組合せ部、19:点灯部、20:商品、21−1〜21−n:LED。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体に添付された複数のデータブロックから成るQRコードをオペレータによって前記物体が撮影領域内を移動する間に繰り返し撮像して、前記QRコードの複数の画像データを取得する撮像装置と、
前記撮像装置による取得される前記複数の画像データの前記複数のデータブロックのデコードを行うデコード部と、
前記デコード部による前記複数の画像データの前記複数のデータブロックのデコード結果の可・不可を判定するデコード判定部と、
前記デコード判定部により前記デコード可と判定した前記複数のデータブロックのデコードデータを組み合わせて最終のデコード結果を取得するデコード組合せ部と、
を具備することを特徴とするデータコード読取装置。
【請求項2】
前記デコード部は、前記撮像装置の前記撮像範囲内に前記物体が1回横切って移動したときに取得された少なくとも2つの前記画像データの前記各データブロックのデコードを行い、
前記デコード判定部は、前記デコード部による前記デコード結果の可・不可を判定し、
前記デコード組合せ部は、前記デコード判定部により前記デコード可と判定した前記複数のデータブロックの前記デコードデータを組み合わせて前記最終のデコード結果を取得する、
ことを特徴とする請求項1記載のデータコード読取装置。
【請求項3】
前記デコード組合せ部は、前記撮像装置による1回目の撮影により取得された前記画像データの前記複数のデータブロックに前記デコード判定部によってデコード不可の前記データブロックがあれば、前記1回目の撮影により取得された前記画像データの前記デコード可の判定結果となった前記データブロックと、前記デコード不可の判定結果となったデータブロックの代わりに、前記撮像装置による2回目以降の撮像により取得された前記画像データの前記複数のデータブロックのうち前記デコード可の判定結果となった前記データブロックとを組み合わせて前記最終のデコード結果を取得することを特徴とする請求項1記載のデータコード読取装置。
【請求項4】
物体に添付された複数のデータブロックから成るQRコードをオペレータの操作によって前記物体が撮影領域内を移動する間に繰り返し撮像して、前記QRコードの複数の画像データを取得し、
前記撮像により取得される前記複数の画像データの前記複数のデータブロックのデコードを行い、
前記デコードによる前記複数の画像データの前記複数のデータブロックのデコード結果の可・不可を判定し、
前記判定の結果、前記デコード可と判定した前記複数のデータブロックのデコードデータを組み合わせて最終のデコード結果を取得する、
ことを特徴とするデータコード読取方法。
【請求項5】
前記デコードでは、前記撮像範囲内に前記物体が1回横切って移動したときに取得された少なくとも2つの前記画像データの前記各データブロックのデコードを行い、
前記デコード結果の判定では、前記デコードによる前記デコード結果の可・不可を判定し、
前記デコードデータの組合せでは、前記デコード可と判定した前記複数のデータブロックの前記デコードデータを組み合わせて前記最終のデコード結果を取得する、
ことを特徴とする請求項4記載のデータコード読取方法。
【請求項6】
前記デコードデータの組合せでは、1回目の撮影により取得された前記画像データの前記複数のデータブロックに前記デコード不可の前記データブロックがあれば、前記1回目の撮影により取得された前記画像データの前記デコード可の判定結果となった前記データブロックと、前記デコード不可の判定結果となったデータブロックの代わりに、2回目以降の撮像により取得された前記画像データの前記複数のデータブロックのうち前記デコード可の判定結果となった前記データブロックとを組み合わせて前記最終のデコード結果を取得することを特徴とする請求項4記載のデータコード読取方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−9058(P2012−9058A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183983(P2011−183983)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【分割の表示】特願2007−298298(P2007−298298)の分割
【原出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】