説明

データコード読取装置及びその方法

【課題】商品のデータコードや携帯電話機端末の画面に表示されたクーポン券等のデータコードであっても安定して読み取ること。
【解決手段】通常制御モードに設定されていると、予め設定された撮像ブレを少なくするための撮像スピードで撮像装置を撮像制御すると共に照明部を点灯制御し、クーポン制御モードに切り替えられると、予め設定された撮像スピードよりも遅く、携帯電話機端末が透過型の液晶ディスプレイである場合、当該液晶ディスプレイに設けられているバックライトのバックライト光によって照明されている携帯電話機端末の画面上のデータコードの照度に応じて設定される撮像スピードで撮像装置を撮像制御すると共に照明部を消灯制御しかつ携帯電話機端末の画面に表示されるデータコードを撮像した後、再び、通常制御モードに戻る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば商品に表示されたバーコード等のデータコードや商品の値引き等を行うためのクーポン券等のデータコードを読み取るデータコード読取装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の販売店舗においては、商品の販売促進のために、金券であるクーポン券を発行している。このクーポン券は、精算時に回収され、POS(Point of Sales:販売時点管理)端末等において当該クーポン券に記載されている所定の金額を値引くのに使用される。このようなクーポン券は発行店舗や発行チェーンのみで使用できるものが多い。クーポン券の発行は、店舗やチェーンとしてみれば非常に有効な販売促進手法となっている。
一方、通信機能を有するPDA(Personal Digital Assistants)と称される個人用の携帯用情報端末や携帯電話機が急速に普及している。これら携帯用情報端末や携帯電話は、ブラウジング機能などのインターネットに対する操作のための特殊な機能を搭載し、無線又は有線によりインターネットへの接続が可能であり、さまざまなサービスの提供を受けることを可能にしている。
例えば、携帯電話機等に提供されるサービスとしては、例えば特許文献1がある。この特許文献1は、クーポン券を表すデータコード等の電子データを携帯電話機端末に配信して当該携帯電話機端末の画面に表示させて提示し、この携帯電話機端末の画面に表示されるクーポン券のデータコードをPOS端末に接続されているスキャナにより読み取り、この読み取ったクーポン券のデータコードによって販売商品の精算金額から値引き処理を行うことを開示する。
ところで、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の販売店舗における商品精算のコーナには、電子キャッシュレジスタ等のPOS端末を備えた商品販売データ処理システム(POSシステム)が設置されている。又、商品には、当該商品の価格等を示すバーコード等のデータコードが印字されたラベル等が貼り付けられている。POS端末には、商品に貼り付けられているラベル等に印刷されているデータコード(以下、商品のデータコードと省略する)を読み取るための撮像部が設けられている。
商品の精算業務を行うときには、商品精算のコーナに設けられているレーン上の上流側に買物かごが置かれる。この買物かご内には、買物客が購入しようとする例えば複数の商品が入れられている。キャッシャは、買物かご内から商品を一品ずつ取り出し、これら商品のデータコードをそれぞれ撮像部に向けて読み取らせ、商品毎に商品登録を行う。これら商品の登録が終了すると、キャッシャは、当該商品登録を行った商品を順次レーン上の下流側に置かれた別の買物かごに入れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−260100号公報(特許登録第3773167号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
商品のデータコードを撮像部に向けて読み取らせて商品登録を行うとき、キャッシャは、商品を買物かご内から取り出して撮像部に向け、商品のデータコードの読み取りを確認して別の買物かご内に入れるという動作を行うので、POS端末の撮像部は、当該撮像部の前方に移動する商品のデータコードを撮像するものとなる。このため、撮像部は、撮像ブレを少なくするために、シャッタースピードを例えば5000分の1秒程度のなるべく早い適正なシャッタースピードにすることが望ましい。
【0005】
しかしながら、撮像部のシャッタースピードを早くすると、取得される画像データの明るさが不足するので、これを補うために当該撮像部には、バックライト方式の照明装置が備えられる。この照明装置としては、例えばLED等を用いることが一般的になっている。しかるに、携帯電話機端末の画面に例えばクーポン券のデータコードを表示し、このクーポン券のデータコードを読み取って値引き処理を行う場合も、撮像部の照明装置により照明を行って撮像部によりクーポン券のデータコードを撮像する。
【0006】
しかしながら、携帯電話機端末の画面に表示されているクーポン券のデータコードを撮像するとき、上記商品のデータコードを読み取るのと同様に、LED等の照明装置により照明を行い、かつなるべく早い適正なシャッタースピードで撮像を行うと、例えば図6に示すように携帯電話機端末1の画面2上に点灯したLED等の照明装置の影3が映り、QRコード(登録商標)4等のデータコードを読み取ることができなくなる。
【0007】
携帯電話機端末1の画面2が例えば透過型の液晶ディスプレイである場合には、同液晶ディスプレイにバックライトが設けられている。液晶ディスプレイは、偏向フィルムとガラス基板とを有しているので、バックライト光は、偏向フィルム及びガラス基板を透過する。これにより、液晶ディスプレイ画面2上にQRコード4等のデータコードの画像が認識できるものとなる。一方、液晶ディスプレイに当たる外部光が明るすぎると、液晶ディスプレイのバックライトと外部光とが衝突し合って液晶ディスプレイ画面2上のデータコード4が視覚的に見えにくくなる。又、LED等の照明装置からの照明光が液晶ディスプレイのガラス基板で鏡面反射して液晶ディスプレイ画面2上のデータコード4が視覚的に見えにくくなる。
【0008】
本発明の目的は、商品のデータコードや携帯電話機端末の画面に表示されたクーポン券等のデータコードであっても安定して読み取ることができるデータコード読取装置及びその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主要な局面に係るデータコード読み取り装置は、少なくともデータコードを撮像してその画像データを取得する撮像装置と、撮像装置により取得された画像データからデータコードを解読するデコーダと、少なくともデータコードを照明する照明部と、商品に添付されるラベル上に印字されているデータコードを読み取るための通常制御モード、又は携帯電話機端末の画面に表示されるデータコードを読み取るためのクーポン制御モードに切り替えるもので、通常は通常制御モードに設定するモード切替部と、モード切替部により通常制御モードに設定されていると、予め設定された撮像ブレを少なくするための撮像スピードで撮像装置を撮像制御すると共に照明部を点灯制御し、クーポン制御モードに切り替えられると、予め設定された撮像スピードよりも遅く、携帯電話機端末が透過型の液晶ディスプレイである場合、当該液晶ディスプレイに設けられているバックライトのバックライト光によって照明されている携帯電話機端末の画面上のデータコードの照度に応じて設定される撮像スピードで撮像装置を撮像制御すると共に照明部を消灯制御しかつ携帯電話機端末の画面に表示されるデータコードを撮像した後、再び、通常制御モードに戻る制御部とを具備する。
【0010】
本発明の主要な局面に係るデータコード読み取り方法は、少なくともデータコードを照明し、当該照明されている少なくともデータコードを撮像してその画像データを取得し、この画像データからデータコードを解読するデータコード読み取り方法において、商品に添付されるラベル上に印字されているデータコードを読み取るための通常制御モード、又は携帯電話機端末の画面に表示されるデータコードを読み取るためのクーポン制御モードに切り替えられ、通常は通常制御モードに設定され、通常制御モードに設定されていると、予め設定された撮像ブレを少なくするための撮像スピードで撮像装置を撮像制御すると共に照明部を点灯制御し、クーポン制御モードに切り替えられると、予め設定された撮像スピードよりも遅く、携帯電話機端末が透過型の液晶ディスプレイである場合、当該液晶ディスプレイに設けられているバックライトのバックライト光によって照明されている携帯電話機端末の画面上のデータコードの照度に応じて設定される撮像スピードで撮像装置を撮像制御すると共に照明部を消灯制御しかつ携帯電話機端末の画面に表示されるデータコードを撮像した後、再び、通常制御モードに戻る。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、商品のデータコードや携帯電話機端末の画面に表示されたクーポン券等のデータコードであっても安定して読み取ることができるデータコード読取装置及びその方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るデータコード読取装置を用いたPOSシステムの一実施の形態の全体構成を示す斜視図。
【図2】同装置をPOS端末と一体化して示す構成図。
【図3】同装置のCCDイメージセンサにより撮像される商品のバーコードを示す図。
【図4】同装置のCCDイメージセンサにより撮像される携帯電話機端末の画面に表示されるQRコードを示す図。
【図5】同装置におけるPOSターミナル部の動作フローチャート。
【図6】携帯電話機端末の画面上に映ったLED等の照明装置の影を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1はデータコード読取装置を用いたPOSシステムの全体構成の斜視図を示す。サッカー台10上の中央部には、スキャナであるデータコード読取装置11が立設されている。又、サッカー台10の内側には、POSシステムを構成する電子キャッシュレジスタから成るPOS端末12が設置されている。これらデータコード読取装置11とPOS端末12とは、図示しない伝送路によって相互通信可能に接続されている。なお、データコード読取装置11とPOS端末12とによりPOSターミナル部を構成する。
【0014】
POS端末12には、キーボード13と、キャッシャ用の表示器14と、買物客用の表示器15と、レシート印字等を行うプリンタ16等とが設けられている。キーボード13には、商品代金の決済に必要な締めキー等が配設されている。このようなPOS端末12は、この種のチェックアウトレーンシステムで標準的に使用されている。
データコード読取装置11には、商品等に付されたバーコードやQRコード等のデータコードを読み取るための撮像装置17と、バーコードやQRコード等で登録不能な商品の登録を行うための各種キー等が配設されたキーボード18と、買物客に対して登録された商品の品名,価格等を表示するためのディスプレイ19等とが設けられている。このうち撮像装置17は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサを内蔵する。以下、CCDイメージセンサ17と称する。このCCDイメージセンサ17は、LED等から成る照明装置20を備える。この照明装置20は、CCDイメージセンサ17の撮像領域をカバーするように照明光を照射する。
【0015】
なお、サッカー台10上のデータコード読取装置11よりも上流側には、買物客が購入しようとする例えば複数の商品21が入れられた買物かご22が置かれる。又、サッカー台10上のデータコード読取装置11よりも下流側には、商品登録が行われた商品21を入れるための別の買物かご23が置かれている。
【0016】
POS端末12には、例えば店舗内のローカル・エリア・ネットワーク(LAN)24を介してPOS処理装置としてのPOSサーバ25が接続されている。このPOSサーバ25は、POS端末12との間で商品21の精算処理に関する情報の授受及び商品21の精算処理結果の記録を行う。このPOSサーバ25は、例えば店舗で販売する全ての商品21の価格や商品名等のデータ、さらには値引き等のクーポンのデータを予め格納する商品データベースを有する。このPOSサーバ25は、POS端末12からLAN24を介して送信されてくるデータコードを商品データベースに照会し、当該データコードに対応する商品21の価格や商品名等のデータを読み出し、全ての商品21の各価格を合計して精算額データを求め、この精算額データをLAN24を介してPOS端末12に返信する。又、POSサーバ25は、POS端末12からLAN24を介して送信されてくるクーポンのデータコードを商品データベースに照会し、当該クーポンのデータコードに対応する商品21の値引き値を読み出し、この値引き値を加味した処理を行って精算額データを求め、この精算額データをLAN24を介してPOS端末12に返信する。
【0017】
図2はデータコード読取装置11及びPOS端末12を一体化した構成図を示す。制御部30は、CPUやROM、RAM等から成る。この制御部30は、CPUがROMに格納されているプログラムを実行することによりデータコード読取装置11及びPOS端末12を動作制御する。この制御部30には、CCDイメージセンサ17と、照明装置20を点灯する照明駆動回路31と、モード切替部32と、インタフェース33とが接続されている。
【0018】
CCDイメージセンサ17の前面側には、レンズ34が設けられている。このCCDイメージセンサ17は、レンズ34を通して例えば図3に示すような商品21に貼り付けられているラベル35上に印字されているバーコード36、又は図4に示すような携帯電話機端末の画面2に表示されるQRコード4を撮像し、その画像データを出力する。なお、商品21に貼り付けられているラベル35上のバーコード36をデータコードの第1の表記形態とし、携帯電話機端末の画面2に表示されるQRコード4をデータコードの第2の表記形態とする。このうち商品21に貼り付けられているラベル35上のバーコード36は、例えば商品21の価格等の情報を含む。携帯電話機端末の画面2に表示されるQRコード4は、例えば商品21の値引き値等のクーポン券の情報を含む。
【0019】
デコーダ37は、CCDイメージセンサ17から出力される画像データを入力し、この画像データからバーコード36又はQRコード4を解読する。
照明装置20は、例えばLEDから成る。この照明装置20は、照明駆動回路31によって点灯又は消灯する。又、照明装置20は、照明駆動回路31によってLEDを点灯する強度を可変可能である。
インタフェース33には、LAN24を介してPOSサーバ25が接続されている。
【0020】
モード切替部32は、データコードの表記形態、すなわちデータコードが商品21に貼り付けられているラベル35上のバーコード36を読み取るための通常制御モード、又は携帯電話機端末の画面2に表示されるQRコード4を読み取るためのクーポン制御モードに切り替える。例えばモード切替部32は、通常、商品21のバーコード36を読み取るための通常制御モードに設定されており、この通常制御モードの設定状態で、キャッシャ等の手動操作を受けると、携帯電話機端末の画面2に表示されるQRコード4を読み取るクーポン制御モードに切り替える。このモード切替部32は、キャッシャ等の手動操作を受ける例えばモード切替スイッチ等を備える。
【0021】
制御部30は、例えばモード切替部32に設定されている通常制御モード又はクーポン制御モードに応じてCCDイメージセンサ17の撮像スピードと照明装置20の点灯・消灯とを動作制御する。具体的に制御部30は、通常制御モードであれば、商品21に貼り付けられているラベル35上のバーコード36を読み取るために、予め設定された撮像スピード、例えば撮像ブレを少なくするために例えば5000分の1秒程度のなるべく早い適正なシャッタースピードでCCDイメージセンサ17を撮像制御すると共に、照明装置20を点灯する。
【0022】
又、制御部30は、携帯電話機端末の画面2に表示されるQRコード4であれば、予め設定された撮像スピード例えば5000分の1秒よりも遅い撮像スピードでCCDイメージセンサ17を撮像制御すると共に、照明装置20を消灯する。このときのCCDイメージセンサ17の撮像スピードは、例えば、携帯電話機端末1の画面2が透過型の液晶ディスプレイである場合、同液晶ディスプレイにバックライトが設けられているので、このバックライト光によって照明されている携帯電話機端末の画面2上のQRコード4の照度に応じて設定される。
【0023】
又、制御部30は、モード切替部32によりクーポン制御モードに切り替えられると、CCDイメージセンサ17を予め設定された撮像スピードよりも遅い撮像スピードでCCDイメージセンサ17を撮像制御すると共に照明装置20を消灯制御し、このクーポン制御モードによるCCDイメージセンサ17と照明装置20とに対する制御が終了すると、再び、通常制御モードに戻る。
【0024】
次に、上記の如く構成されたPOSシステムの動作について図5に示すPOSターミナル部の動作フローチャートに従って説明する。
モード切替部32は、通常、商品21のバーコード36を読み取るための通常制御モードに設定されている。
制御部30は、ステップ#1において、モード切替部32が通常制御モード又はクーポン制御モードのいずれかに設定されているのかを判断する。モード切替部32は、通常、通常制御モードに設定されているので、制御部30は、ステップ#2に移り、商品21に貼り付けられているラベル35上のバーコード36を読み取るためスキャンを行う。すなわち、制御部30は、予め設定された撮像スピード、例えば撮像ブレを少なくするために例えば5000分の1秒程度のなるべく早い適正なシャッタースピードでCCDイメージセンサ17を撮像制御する。これと共に、制御部30は、照明装置20を点灯する。これにより、CCDイメージセンサ17は、照明装置20が点灯している状態で、例えば5000分の1秒程度のなるべく早い適正なシャッタースピードで撮像を行う。
【0025】
このとき、キャッシャは、図3に示すような商品21のバーコード36をCCDイメージセンサ17に向けて読み取らせて商品登録を行うために、商品21を買物かご22内から取り出してCCDイメージセンサ17に向け、商品21のバーコード36の読み取りを確認して別の買物かご23内に入れる。
しかるに、CCDイメージセンサ17は、レンズ34を通して例えば図3に示すような商品21のバーコード36を撮像し、その画像データを出力する。デコーダ37は、ステップ#3において、CCDイメージセンサ17から出力される画像データを入力し、この画像データからバーコード36を解読する。そして、制御部30は、ステップ#4において、デコーダ37によって解読された商品21のバーコード36の情報をインタフェース33からLAN24を介してPOSサーバ25に送信する。
【0026】
このPOSサーバ25は、POS端末12からLAN24を介して送信されてくる商品21のバーコード36の情報を商品データベースに照会し、当該データコードに対応する商品21の価格や商品名等のデータを読み出し、LAN24を介してPOS端末12に返信する。
【0027】
次に、制御部30は、ステップ#5において、POS端末12に返信された商品21の価格や商品名等のデータをインタフェース33を介して受け取って登録すると共に、商品21の価格や商品名等のデータをPOS端末12におけるキャッシャ用の表示器14と買物客用の表示器15とに表示する。
次に、制御部30は、ステップ#6において、POS端末12におけるキーボード13中の締めキーが押し操作されたか否かを判断する。この判断結果、締めキーが押し操作されていなければ、制御部30は、再び、ステップ#1に戻り、モード切替部32が通常制御モード又はクーポン制御モードのいずれかに設定されているのかを判断する。又、締めキーが押し操作されると、制御部30は、ステップ#7に移り、例えば登録した少なくとも1つの商品21の精算処理を行って商品21の買上げの合計金額等を求め、当該商品21の買上げの合計金額等をプリンタ16によってレシートに印字出力する。
【0028】
一方、買物客が例えば図4に示すような携帯電話機端末1の画面2に表示されるQRコード4を提示すると、キャッシャは、モード切替部32に備えられている例えばモード切替スイッチ等を手動操作し、通常制御モードからクーポン制御モードに切り替える。
制御部30は、上記ステップ#1において、モード切替部32がクーポン制御モードに切り替えられたことを判断するので、ステップ#8に移り、携帯電話機端末の画面2に表示されるQRコード4を読み取るためスキャンを行う。すなわち、制御部30は、予め設定された撮像スピード例えば5000分の1秒よりも遅い撮像スピードでCCDイメージセンサ17を撮像制御する。これと共に、制御部30は、照明装置20を消灯する。これにより、CCDイメージセンサ17は、照明装置20が消灯している状態で、例えば5000分の1秒よりも遅い撮像スピードで撮像を行う。
【0029】
このとき、例えば買物客は、例えば図4に示すような携帯電話機端末1の画面2に表示されるQRコード4をCCDイメージセンサ17に向ける。しかるに、CCDイメージセンサ17は、ステップ#9において、レンズ34を通して携帯電話機端末1の画面2に表示されるQRコード4を撮像し、その画像データを出力する。
次に、デコーダ37は、ステップ#10において、CCDイメージセンサ17から出力される画像データを入力し、この画像データからQRコード4を解読する。そして、制御部30は、ステップ#11において、デコーダ37によって解読されたQRコード4の情報をインタフェース33からLAN24を介してPOSサーバ25に送信する。
このPOSサーバ25は、POS端末12からLAN24を介して送信されてくるQRコード4の情報を商品データベースに照会し、当該データコードに対応する商品21の例えば値引き値のデータを読み出し、LAN24を介してPOS端末12に返信する。
【0030】
次に、制御部30は、ステップ#12において、POS端末12に返信された商品21の例えば値引き値のデータをインタフェース33を介して受け取り、次のステップ#13において、商品21の価格の値引き処理を行う。なお、商品21の価格の値引き処理は、当該携帯電話機端末1の画面2に表示されるQRコード4を読み取った直前に読み取った商品21のバーコード36に含まれる価格に対して行うように設定してもよいし、又は当該携帯電話機端末1の画面2に表示されるQRコード4を読み取った直後に読み取った商品21のバーコード36に含まれる価格に対して行うように設定してもよい。制御部30は、値引き処理を行った商品21の価格をPOS端末12におけるキャッシャ用の表示器14と買物客用の表示器15とに表示する。
【0031】
次に、制御部30は、商品21の値引き処理が終了すると、ステップ#14において、再び、通常制御モードに戻す。これにより、モード切替部32は、通常、商品21のバーコード36を読み取るための通常制御モードに戻る。なお、通常制御モードに戻るのは、照明装置20を消灯した状態で、CCDイメージセンサ17によりレンズ34を通して携帯電話機端末1の画面2に表示されるQRコード4を撮像した後であれば、如何なるタイミングでもよい。
【0032】
このように上記一実施の形態によれば、通常制御モードであれば、商品21のバーコード36を読み取るために予め設定された撮像スピード、例えば撮像ブレを少なくするために例えば5000分の1秒程度のなるべく早い適正なシャッタースピードでCCDイメージセンサ17を撮像制御すると共に、照明装置20を点灯し、かつ携帯電話機端末の画面2に表示されるクーポン券等のQRコード4であれば、予め設定された撮像スピード例えば5000分の1秒よりも遅い撮像スピードでCCDイメージセンサ17を撮像制御すると共に、照明装置20を消灯する。
【0033】
これにより、携帯電話機端末1の画面2が例えば透過型の液晶ディスプレイである場合、同液晶ディスプレイにバックライトが設けられているが、このバックライトと外部光とが衝突し合って液晶ディスプレイ画面2上のQRコード4が視覚的に見えにくくなるようなことが全くなくなる。すなわち、例えば図6に示すように携帯電話機端末1の画面2上に点灯したLED等の照明装置20の影3が映ることが全くなく、かつ最適な撮像スピードで携帯電話機端末1の画面2上に表示されているQRコード4等のデータコードを読み取ることができる。従って、商品21の価格等を含むバーコード36や携帯電話機端末1の画面2上に表示されたクーポン券等のQRコード4であっても安定して読み取ることができる。
【0034】
クーポン制御モードによるCCDイメージセンサ17と照明装置20とに対する制御が終了すると、再び、通常制御モードに自動的に戻るので、キャッシャに対して通常制御モードに戻す操作の手間を省け、操作を容易にできる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
上記一実施の形態では、商品21に貼り付けられているラベル35上のバーコード36をデータコードの第1の表記形態とし、携帯電話機端末の画面2に表示されるQRコード4をデータコードの第2の表記形態としているが、これに限らず、他の表示形態のデータコードを読み取るようにしてもよい。
【0035】
又、第2の表記形態は、QRコード4に限らず、バーコード36であってもよく、この場合、QRコード4又はバーコード36は、粗品等の贈呈や年齢制限での割り引きサービス、各種イベントのチケットの購入等の情報を含んでもよい。さらに、第2の表記形態は、携帯電話機端末の画面2に表示される情報に限らず、例えば携帯型のバックライト付きの液晶ディスプレイに表示される情報の読み取りであれば適用できる。
【符号の説明】
【0036】
1:携帯電話機端末、2:携帯電話機端末の画面、4:QRコード、10:サッカー台、11:データコード読取装置、12:POS端末、13:キーボード、14:キャッシャ用の表示器、15:買物客用の表示器、16:プリンタ、17:撮像装置(CCDイメージセンサ)、18:キーボード、19:ディスプレイ、20:照明装置、21:商品、22,23:買物かご、24:ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、25:POSサーバ、30:制御部、31:照明駆動回路、32:モード切替部、33:インタフェース、34:レンズ、35:ラベル、36:バーコード、37:デコーダ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともデータコードを撮像してその画像データを取得する撮像装置と、
前記撮像装置により取得された前記画像データから前記データコードを解読するデコーダと、
少なくとも前記データコードを照明する照明部と、
商品に添付されるラベル上に印字されている前記データコードを読み取るための通常制御モード、又は携帯電話機端末の画面に表示される前記データコードを読み取るためのクーポン制御モードに切り替えるもので、通常は前記通常制御モードに設定するモード切替部と、
前記モード切替部により前記通常制御モードに設定されていると、予め設定された撮像ブレを少なくするための撮像スピードで前記撮像装置を撮像制御すると共に前記照明部を点灯制御し、前記クーポン制御モードに切り替えられると、前記予め設定された撮像スピードよりも遅く、前記携帯電話機端末が透過型の液晶ディスプレイである場合、当該液晶ディスプレイに設けられているバックライトのバックライト光によって照明されている前記携帯電話機端末の画面上の前記データコードの照度に応じて設定される撮像スピードで前記撮像装置を撮像制御すると共に前記照明部を消灯制御しかつ前記携帯電話機端末の画面に表示される前記データコードを撮像した後、再び、前記通常制御モードに戻る制御部と、
を具備することを特徴とするデータコード読み取り装置。
【請求項2】
前記ラベル上に印字される前記データコードは、前記商品の少なくとも価格データを含み、
前記携帯電話機端末の画面に表示される前記データコードは、前記商品の少なくとも値引きを含むクーポンのデータを含む、
ことを特徴とする請求項1記載のデータコード読み取り装置。
【請求項3】
少なくとも前記データコードを照明し、当該照明されている少なくとも前記データコードを撮像してその画像データを取得し、この画像データから前記データコードを解読するデータコード読み取り方法において、
商品に添付されるラベル上に印字されている前記データコードを読み取るための通常制御モード、又は携帯電話機端末の画面に表示される前記データコードを読み取るためのクーポン制御モードに切り替えられ、通常は前記通常制御モードに設定され、
前記通常制御モードに設定されていると、予め設定された撮像ブレを少なくするための撮像スピードで前記撮像装置を撮像制御すると共に照明部を点灯制御し、前記クーポン制御モードに切り替えられると、前記予め設定された撮像スピードよりも遅く、前記携帯電話機端末が透過型の液晶ディスプレイである場合、当該液晶ディスプレイに設けられているバックライトのバックライト光によって照明されている前記携帯電話機端末の画面上の前記データコードの照度に応じて設定される撮像スピードで前記撮像装置を撮像制御すると共に前記照明部を消灯制御しかつ前記携帯電話機端末の画面に表示される前記データコードを撮像した後、再び、前記通常制御モードに戻る、
ことを特徴とするデータコード読み取り方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−99141(P2012−99141A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−7377(P2012−7377)
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【分割の表示】特願2007−304808(P2007−304808)の分割
【原出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】