データコード読取装置及びその読取方法
【課題】1回の操作でそのデータコードの情報とラベルに表示された情報とを読取ることができる上、読取られたデータコードの情報とラベルに表示された情報とが同一商品のものであることを保障する。
【解決手段】商品に表示されたデータコードとその商品のデータコード表示面と同一面上に貼付された所定のラベルに表示されたシンボルとを同一画像に撮像する。そして、この撮像画像からデータコードを読取る。また、この撮像画像内のシンボルを認識する。
【解決手段】商品に表示されたデータコードとその商品のデータコード表示面と同一面上に貼付された所定のラベルに表示されたシンボルとを同一画像に撮像する。そして、この撮像画像からデータコードを読取る。また、この撮像画像内のシンボルを認識する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に表示されたバーコード等のデータコードを読取るデータコード読取装置に関し、特に、商品を値引する際に貼付される値引ラベル等のラベル情報を前記データコードとともに認識することができるデータコード読取装置及びその読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等の小売店では、生鮮品の廃棄ロスを削減するために、閉店時間が近づくと商品を値引して販売することがしばしば行われている。この場合、店側は、値引後の価格や割引率などを表示した所定のラベルまたはシール(以下、ラベルに統一する)を商品に貼付して、顧客に値引商品であることを明示していた。また、POS(Point of Sales)端末のオペレータは、客が買上げる商品に値引ラベルが貼付されていることを確認すると、POS端末で当該商品のバーコードをスキャニング入力するとともに、値引ラベルの情報に従い値引操作を行っていた。このため、オペレータが値引ラベルに気付かないで値引商品を通常の値段で販売してしまう可能性があった。
【0003】
このような不都合を回避するために、従来、CCDカメラを備えた値引ラベル検出装置をバーコードスキャナの近傍に取り付けたバーコード読取装置があった。値引ラベル検出装置は、CCDカメラで撮像した画像を処理し、値引ラベルが検出されると報知するようになっている。したがってオペレータは、客が買上げる商品に表示されたバーコードをバーコードスキャナで読取らせるとともに、その商品の画像をCCDカメラで撮像させる。このとき、商品に値引ラベルが貼付されていると報知されるので、オペレータは値引ラベルが貼付されていることに必ず気付くようになる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、値下げ前と値下げ後のコード情報が例えば2行ないし2段に分かれた二段バーコードが表示された値引商品専用のバーコードラベルを作成して、値引商品に貼付する技術もあった。この場合、バーコードスキャナにより上記二段バーコードが読取られると、値下げ前のコード情報と値下げ後のコード情報とから値引商品の値引後の価格が自動的に認識される(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】登録実用新案第304598号公報
【特許文献2】特開2002−358014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、値引ラベル検出装置を利用した従来の技術においては、バーコードはバーコードスキャナで読取り、値引ラベルは値引ラベル検出装置で検出していたので、バーコードスキャナでバーコードが読取られた商品と値引ラベル検出装置で値引ラベルが検出された商品とが同一商品であることを保障できないという問題があった。
【0006】
一方、二段バーコードを利用した従来の技術においては、上述したような問題はないものの、商品の値引販売が発生する毎に、専用のラベル発行装置に対して値引商品のバーコードを入力するとともに値引後の情報を入力して、二段バーコードラベルを発行しなければならないので、手間がかかる上、専用のラベル発行装置が必要でコスト高になるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、バーコード等のデータコードとともに値引ラベル等の所定のラベルが付与された商品について、1回の操作でそのデータコードの情報とラベルに表示された情報とを読取ることができる上、読取られたデータコードの情報とラベルに表示された情報とが同一商品のものであることを保障でき、しかも、専用のラベル発行装置が不要でコスト低減を図ることができるデータコード読取装置及びその読取方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のデータコード読取装置は、商品に表示されたデータコードとその商品のデータコード表示面と同一面上に貼付された特定ラベルに表示されたシンボルとを同一画像に撮像する撮像部と、撮像部で撮像された画像内のデータコードを読取るデータコード読取手段と、撮像部で撮像された画像内のシンボルを認識するシンボル認識手段とを備えたものである。
【0009】
本発明のデータコード読取方法は、データコード読取装置が、先ず、商品に表示されたデータコードとその商品のデータコード表示面と同一面上に貼付された所定のラベルに表示されたシンボルとを同一画像に撮像する。次に、この撮像画像からデータコードを読取るとともにデータコードの画面内の位置を特定する。次に、この特定されたデータコードの画面内の位置を基準としてこの基準位置より所定量ずれた画像領域を切り出す。次に、この切り出した領域内の画像と予め登録されたシンボル画像とを照合する。そして、この照合結果に基づいてシンボルを認識するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
かかる手段を講じた本発明によれば、バーコード等のデータコードとともに値引ラベル等の所定のラベルが付与された商品について、1回の操作でそのデータコードの情報とラベルに表示された情報とを読取ることができる上、読取られたデータコードの情報とラベルに表示された情報とが同一商品のものであることを保障できる。しかも、専用のラベル発行装置が不要であり、コスト低減を図ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実現するための最良の形態について図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態では、データコードをバーコードとし、シンボルを値引ラベル等の所定のラベルに表示された文字情報とする。
【0012】
図1は本実施の形態のデータコード読取装置を用いたチェックアウトレーンシステムの構成を概略的に示す斜視図である。同図において、符号1はチェックアウトレーンを仕切るサッカー台である。そして、このサッカー台1の略中央に、本発明に係るデータコード読取装置2が立設されている。サッカー台1の内側には、POS端末3が設置されている。データコード読取装置2とPOS端末3とは、図示しない伝送路によって相互通信可能に接続されている。
【0013】
POS端末3には、キーボード31、オペレータ用の表示器32、客用の表示器33、レシート印字等を行うプリンタ34、現金等を収容するためのドロワ35等が設けられている。キーボード31には、商品代金の決済に必要な締めキー等が配設されている。このようなPOS端末3は、この種のチェックアウトレーンシステムで標準的に使用されている。
【0014】
データコード読取装置2には、バーコードを読取るための撮像部21、バーコードで登録不能な商品の登録を行うための各種キー等が配設されたキーボード22、買物客に対して登録された商品の品名,価格等を表示するためのディスプレイ23等が設けられている。撮像部21には、CCD(Charge Coupled Device)カメラ21A(図2を参照)が内蔵されている。
【0015】
図2はデータコード読取装置2の要部構成を示すブロック図である。データコード読取装置2には、制御部本体としてCPU41が設けられている。また、CPU41の動作を制御する業務プログラム等の固定的データが予め格納されたROM42、各種データを一時的に格納するためのワークエリアが形成されるRAM43、伝送路を介して接続されたPOS端末3とのデータ通信を制御する通信インターフェイス44、ブザー45に駆動信号を出力する出力ポート46、前記キーボード22からキー信号を取り込むキーボードコントローラ47、前記ディスプレイ23に対するデータ表示を制御する表示コントローラ48、前記撮像部21に設けられたCCDカメラ21Aの撮像動作を制御するカメラコントローラ49及び各種のシンボル画像データを予め記憶してなる不揮発性のシンボル画像メモリ50などが設けられている。
【0016】
CPU41と、ROM42、RAM43、通信インターフェイス44、キーボードコントローラ47、表示コントローラ48、カメラコントローラ49及びシンボル画像メモリ50とは、アドレスバス,データバスなどのバスライン51で接続されている。
【0017】
シンボル画像メモリ50には、図3に示すように、一連の番号順に、値引ラベル,割引ラベル,ポイント割増ラベル等の所定のラベルのイメージデータ(シンボル画像)と、その所定ラベルに表示された文字が意味する情報に対応した英数値情報とが記憶されている。例えば、50円の値引を意味する値引ラベルL1のイメージデータに対しては、英数値情報「−50YEN」が記憶されている。10%の割引を意味する割引ラベルL2のイメージデータに対しては、英数値情報「−10%」が記憶されている。10ポイントのポイント割増を意味するポイント割増ラベルL3のイメージデータに対しては、英数値情報「+10P」が記憶されている。因みに、英数値情報とは、POS端末3で処理可能なようにデジタル化された情報である。
【0018】
かかる構成において、CPU41は、ROM42に記憶されたプログラムに基づいて、撮像部21で撮像された商品の画像からバーコードを読取るバーコード読取手段(データコード読取手段)52としての機能と、同画像から特定レベルに表示された文字情報を認識するシンボル認識手段53としての機能とを実現している。
【0019】
またCPU41は、シンボル認識手段53によりシンボルが認識されたか否かを判断する認識判断手段、及びこの認識判断手段によりシンボルが認識されないと判断された場合にはバーコード読取手段52により読取られたバーコードの情報を単独で出力し、シンボルが認識されたと判断された場合にはバーコード読取手段52により読取られたバーコードの情報に、シンボル認識手段53により認識されたシンボルが意味する情報を関連付けて出力する情報出力手段としての機能と、シンボル認識手段53によりシンボルが認識されたことを報知するシンボル報知手段としての機能を、さらに実現している。
以下、これらの機能について、図4〜図6に示される流れ図と、図7〜図10に示される具体例とを参照しながら説明する。
【0020】
データコード読取装置2のCPU41は、POS端末3からのコマンドにより業務起動が指令されると、図4の流れ図に示す処理を開始する。先ず、ST(ステップ)1としてカメラコントローラ49に撮影オン信号を出力する。これにより、撮像部21では、CCDカメラ21Aによる撮影動作が開始される。
【0021】
次に、CPU41は、ST2としてPOS端末3からのコマンドにより業務終了が指令されたか否かを判断する。業務終了が指令されていない場合には、ST3としてCCDカメラ21Aによって撮影された画像データを取り込む。そして、ST4として図5の流れ図で具体的に示すバーコード読取処理を開始する。
【0022】
すなわちCPU41は、ST21として画像ワークエリアに記憶された画像データを2値化する。そして、ST22としてその2値化画像を解析して、画像データ内にバーコードのデータ領域が存在するか否かを判断する。画像データ内にバーコードのデータ領域が存在しない場合には、CPU41は、このバーコード読取処理を終了する。
【0023】
その後、ST5としてバーコードデータの読取り無しと判断されるので、CPU41は、ST2の業務終了判断処理に戻る。そして、業務終了が指令されていないことが確認されると、CPU41は、再度CCDカメラ21Aによって撮影された画像データを取り込む。
【0024】
今、図7に示すように、バーコードラベル61と値引ラベルL1とが同一面上に貼付された商品60のそのバーコードラベル61及び値引ラベルL1の貼付面(一点差線の領域70)がCCDカメラ21Aによって撮像されたとする。因みに、バーコードラベル61には、当該商品60の販売データをPOS端末3で登録処理するのに必要な商品情報、例えば品番,値段等の情報が組み込まれたバーコード62が印刷によって表示されている。また、商品名63,値段64等も印刷によって表示されている。値引ラベルL1には、値引額を示す文字情報「50円引き」が印刷によって表示されている。本実施の形態では、この文字情報「50円引き」がシンボルとして認識される。
【0025】
この場合、図8に示すような画像データ70がカメラコントローラ49を介して取り込まれ(ST3)、RAM43の画像ワークエリアに記憶される。そして、バーコード読取処理が行われる(ST4)。
【0026】
これにより、CPU41は、画像データ70を2値化し(ST21)、その2値化画像を解析して、画像データ70内にバーコードのデータ領域が存在するか否かを判断する(ST22)。今度は、バーコード62のデータ領域71が存在するので(ST22のYES)、CPU41は、ST23として画像データ70からバーコード62のデータ領域71を切り出す。そして、ST24としてこの切り出したデータ領域71内のバーコード62をデコードしてバーコードデータ(数値)を取得する。その結果、バーコードデータを取得できたならば(ST25のYES)、CPU41は、ST26としてそのバーコードデータをRAM43のバーコードワークエリアに一時格納して、このバーコード読取処理を終了する(バーコード読取手段)。
【0027】
その後、ST5としてバーコードデータの読取り有りと判断されるので、CPU41は、ST6のシンボル認識処理を開始する。
【0028】
すなわちCPU41は、ST31としてデータ領域71内のバーコード62のうち、例えば図9に示すように、左端のバーの頂点81の座標を基準位置座標(x,y)として取得する。次に、ST32としてこの基準位置座標(x,y)に対して所定の場所に位置する注目領域82を切り出す。
【0029】
具体的には、基準位置座標(x,y)より−X軸方向にm、Y方向にnだけずれた第1の座標83と、この第1の座標83よりY軸方向にpだけずれた第2の座標84と、この第2の座標84よりX軸方向にqだけずれた第3の座標85と、この第3の座標85より−Y軸方向にpだけずれた第4の座標86を算出し、これら第1〜第4の座標83〜86を結ぶ長方形の領域を注目領域82として切り出す。ここで、pは所定ラベルの縦幅より充分に大きい値(例えば縦幅の2倍)とする。また、qは同じく所定ラベルの横幅より充分に大きい値(例えば横幅の2倍)とする。
【0030】
次に、CPU41は、ST33として注目領域82内の画像について輪郭強調処理を施す。そして、ST34としてこの輪郭強調処理が施された注目領域82内の画像データに、予め設定された所定ラベルのサイズに略等しい長方形のラベル輪郭が存在するか否かを判断する。
【0031】
ここで、図10に示すように、輪郭強調処理が施された注目領域82内の画像データから予め設定された所定ラベルのサイズに略等しい長方形のラベル輪郭91を検出できたならば(ST34のYES)、CPU41は、ST35としてこのラベル輪郭91内の画像データとシンボル画像メモリ50に予め記憶されている各シンボル画像のデータとを順次照合する。そして、ST36として照合度(一致度)が予め設定された基準値を上回るシンボル画像データが存在するか否かを判断する。
【0032】
その結果、照合度が予め設定された基準値を上回るシンボル画像データを検出したならば(ST36のYES)、CPU41は、ST37としてそのシンボル画像データに対応して設定されている英数値情報をシンボル画像メモリ50から取得する。そして、ST38としてこの英数値情報をシンボルデータとし、RAM43のシンボルワークエリアに一時格納して、このシンボル認識処理を終了する(シンボル認識手段)。
【0033】
なお、輪郭強調処理が施された注目領域82内の画像データからラベル輪郭91を検出できなかった場合(ST34のNO)、または照合度が予め設定された基準値を上回るシンボル画像データを検出できなかった場合には(ST36のNO)、RAM43のシンボルワークエリアにシンボルデータを格納することなく、シンボル認識処理を終了する。
【0034】
シンボル認識処理を終了すると、CPU41は、ST7としてシンボルデータがシンボルワークエリアに格納されたか否かを判断する(認識判断手段)。ここで、シンボルデータが格納されていない場合には(ST7のNO)、CPU41は、ST8としてRAM43のバーコードワークエリアに格納されているバーコードデータを、通信インターフェイス44を介してPOS端末3に伝送出力する(情報出力手段)。また、ST9としてブザー45を駆動して、バーコードのみが読取られたことを示す第1のブザー音(例えば“ピッ”)を鳴動させる。しかる後、ST2の業務終了判断処理に戻る。
【0035】
これに対し、シンボルデータが格納されている場合には(ST7のYES)、CPU41は、ST10としてRAM43のバーコードワークエリアに格納されているバーコードデータとシンボルワークエリアに格納されているシンボルデータとを関連付けて、通信インターフェイス44を介してPOS端末3に伝送出力する(情報出力手段)。また、ST11としてブザー45を駆動して、バーコードとシンボルとが読取られたことを示す第2のブザー音(例えば“ピッ,ピッ”)を鳴動させる(シンボル報知手段)。しかる後、ST2の業務終了判断処理に戻る。
【0036】
ST2にて業務終了が指令されていないと判断した場合には、CPU41は、再びCCDカメラ21Aによって撮影された画像データを取り込む(ST3)。そして、上記ST4〜ST11の各処理を実行する。
【0037】
ST2にて業務終了が指令されたと判断した場合には、CPU41は、ST12としてカメラコントローラ49に撮影オフ信号を出力する。これにより、CCDカメラ21Aによる撮影動作が終了する。
【0038】
このような構成のデータコード読取装置2が設けられたチェックアウトレーンシステムでは、キャッシャは、サッカー台1の内側に立つ。そして、データコード読取装置2を挟んでレーン上流側におかれた買い物カゴPから客が買上げる商品を1品ずつ取り出す。このとき、この取り出した商品にバーコード62が表示されていた場合には、そのバーコード62が表示されている商品の面を撮像部21で撮像させる。
【0039】
データコード読取装置2では、撮像部21で撮像された商品の画像70によりバーコード62が読取られる。そして、バーコード62が正しく読取られたならば、データコード読取装置2から読取終了を知らせるブザー音が鳴動する。そこでキャッシャは、ブザー音を確認したならば、商品をレーン下流側に置かれた買い物カゴQに移す。
【0040】
ところで、本実施の形態では、値引して販売される商品には、所定のサイズで値引額が表示された値引ラベルL1が貼付される。割引して販売される商品には、略同一サイズで割引率が表示された割引ラベルL2が貼付される。ポイントが割増される商品には、略同一サイズで割増ポイントが表示されたポイント割増ラベルL3が貼付される。
【0041】
ここで、各ラベルL1〜L3の貼付箇所は、バーコードラベル61の貼付面と同一面であり、かつその近傍の注目領域82内とする。そうすることにより、データコード読取装置2においては、画像データ70から読取られたバーコードデータに続いて、自動的に同一画像データ70からラベルL1〜L3に表示されている文字情報がシンボルデータとして認識され、このシンボルデータが英数値情報に変換される。
【0042】
例えば、50円引きの値引ラベルL1が貼付されていた場合には、当該ラベルL1のシンボルデータとして英数値情報「−50YEN」が得られる。そして、この英数値情報「−50YEN」が当該商品のバーコードデータと関連付けられて、POS端末3に伝送出力される。これにより、POS端末3においては、当該商品の販売価格が50円値引されて、売上登録処理される。
【0043】
このように本実施の形態によれば、商品のバーコードが表示されている面を撮像部21にかざすという1回の簡単な操作を行うだけで、そのバーコードの情報とともに、当該商品に貼付された所定ラベルに表示された情報を読取ることができる上、このバーコードの情報と所定ラベルに表示された情報とを関連付けてPOS端末3に伝送出力することができるので、読取られたバーコードの情報と所定ラベルに表示された情報とが同一商品のものであることを保障することができる。
【0044】
また、データコード読取装置2においては、バーコードデータに続いてシンボルデータが認識されると、バーコードとシンボルとが読取られたことを示す第2のブザー音が鳴動する。このブザー音は、バーコードのみが読取られたときに発せられる第1のブザー音と音の種類(回数,音色等)が異なる。したがってキャッシャは、ブザー音の違いにより、値引ラベルL1などの所定のラベルが貼り付けられた商品の登録か否かを容易に判別することができる。
【0045】
ところで、上記実施の形態では、値引ラベルL1等の所定のラベルの貼付位置を、商品のバーコードが表示されている位置を基準として、その近傍の注目領域82内に制限している。このため、注目領域82を外れて所定のラベルが貼り付けられていた場合には、そのラベルに表示されている文字情報は無視される。したがって、例えば客が他の商品に貼付されていた値引ラベルL1を剥がして自分が購入する商品に貼り付けるといった不正を行っても、その貼付位置が大きくずれていた場合にはこの不正を未然に防止できる効果を奏する。
【0046】
ところが、注目領域82内に貼り付けられた場合には、この種の不正を発見することができない。これを防止する一手段としては、注目領域82をラベルの面積に近づけるべく狭くする方法が考えられる。しかしその場合には、店員が正当にラベルを貼り付ける際の貼付位置が著しく限定されてしまうため、作業が煩雑となり実用的でなくなる。
【0047】
そこで次に、注目領域82内であっても基本の位置からずれて所定のラベルが貼り付けられていた場合には警告を発して、キャッシャに注意を喚起することができる第22の実施の形態について、図11〜図15を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と共通する部分には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0048】
図11は第2の実施の形態におけるデータコード読取装置2の要部構成を示すブロック図である。この第2の実施の形態のデータコード読取装置が前記第1の実施の形態と異なる点は、CPU41が、バーコード読取手段52により読取られたバーコードの画像内の位置情報とシンボル認識手段53により認識されたシンボルが表示されたラベルの画像内の位置情報とから、ラベルが所定の位置に貼り付けられているか否かを判定するラベル位置判定手段54としての機能と、このラベル位置判定手段54によりラベルが所定の位置に貼り付けられていないと判定されると警告を発するラベル位置警告手段としての機能とを有することにある。なお、これらの手段も、ROM42に記憶されたプログラムに基づいて実現される。
【0049】
以下、これらの機能について、図12に示される流れ図と、図13〜図15に示される具体例とを参照しながら説明する。
図12は第2の実施の形態におけるシンボル認識処理の要部処理手順を示す流れ図である。すなわちCPU41は、図4中ST5にてバーコードデータの読取り有りを判断すると、このシンボル認識処理を開始する。この処理において、ST41〜ST49の各処理は図6に示した第1の実施の形態のシンボル認識処理におけるST31〜ST38の各処理と同一である。
【0050】
CPU41は、先ず、データ領域71内におけるバーコード62の基準位置座標(x,y)を取得し(ST41)、この基準位置座標(x,y)に対して所定の場所に位置する注目領域82を切り出す(ST42)。次に、CPU41は、注目領域82内の画像について輪郭強調処理を施し(ST43)、所定ラベルのサイズに略等しい長方形のラベル輪郭91を検出できるか否かを判断する(ST44)。
【0051】
ラベル輪郭91を検出できた場合には、CPU41は、このラベル輪郭91内の画像データとシンボル画像メモリ50内の各シンボル画像データとを順次照合する(ST45)。そして、照合度が予め設定された基準値を上回るシンボル画像データを検出できたならば(ST46のYES)、CPU41は、そのシンボル画像データに対応して設定されている英数値情報をシンボル画像メモリ50から取得する(ST47)。そして、この英数値情報をシンボルデータとしてRAM43のシンボルワークエリアに一時格納する(ST48)。
【0052】
しかる後、CPU41は、ST49としてラベル輪郭91のラベル標準貼付位置からのずれ量δを算出する。今、図13に示すように、商品60に対する値引ラベルL1等の所定ラベルの標準貼付位置を、図中破線で囲われた領域100とする。この領域100は、注目領域82を切り出すために求めたバーコード62の基準位置座標(x,y)を基準として求めることができる。
【0053】
具体的には、図14に示すように、上記基準位置座標(x,y)を基準として求めた注目領域82の第1の座標83より、X軸方向にm1、Y軸方向にn1だけずれた第5の座標101と、この第5の座標101よりY軸方向にrだけずれた第6の座標102と、この第6の座標102よりX軸方向にsだけずれた第7の座標103と、この第7の座標103より−Y軸方向にrだけずれた第8の座標104を算出し、これら第5〜第8の座標101〜104を結ぶ長方形の領域を所定ラベルの標準貼付領域100として求める。ここで、rは所定ラベルの縦幅と略等しい値とし、qは同じく所定ラベルの横幅と略等しい値とする。
【0054】
次に、図15に示すように、このラベル標準貼付領域100の第5の座標101と、ラベル輪郭91の左下頂点の座標105との距離をずれ量δとして求める。なお、ラベル標準貼付領域100の第6の座標102と、ラベル輪郭91の左上頂点の座標との距離、ラベル標準貼付領域100の第7の座標103と、ラベル輪郭91の右上頂点の座標との距離、またはラベル標準貼付領域100の第8の座標104と、ラベル輪郭91の右下頂点の座標との距離をずれ量δとして求めてもよい。
【0055】
ST49にてずれ量δを算出したならば、CPU41は、ST50としてこのずれ量δが予め設定されているラベルずれ量の許容値以内なのか許容値を超えるのかを判断する(ラベル位置判定手段)。そして、ずれ量δが許容値以内である場合には、その時点でこのシンボル認識処理を終了する。
【0056】
これに対し、ずれ量δが許容値を越える場合には、ST51としてブザー45を駆動して、所定ラベルの貼付位置が標準の貼付位置よりずれていることを警告する第3のブザー音(例えば“ピッ,ピッ,ピッ”)を鳴動させて(ラベル位置警告手段)、このシンボル認識処理を終了する。
【0057】
このように構成された第2の実施の形態においては、値引ラベルL1等の所定ラベルが注目領域82内に貼り付けられている場合でも、ラベル標準貼付領域100からのずれ量δが予め設定されている許容値を越える場合には第3のブザー音が鳴動して警告が発せられる。したがって、ラベル標準貼付領域100を知らない客等が値引ラベルL1等を不正に貼り付けた場合でも、キャッシャが不正に気付く可能性を高めることができる。その結果、この種不正の抑制効果を奏し得る。
【0058】
ところで、前記実施の形態では、商品に貼付される所定ラベルの枚数を1枚として説明したが、1つの商品に複数枚のラベルが貼付される場合がある。例えば図17に示すように、値引対象でかつポイント割増対象の商品60のような場合である。
【0059】
そこで次に、1つの商品60に複数枚のラベルが貼付されている場合でも、各ラベルの文字情報をそれぞれシンボルデータとして認識し、各シンボルデータを当該商品60のバーコードデータと関連付けてPOS端末3に伝送出力する機能をデータコード読取装置2が有した第3の実施の形態について、図16〜図18を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と共通する部分には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0060】
図16は第3の実施の形態におけるデータコード読取装置2のCPU41が実行するシンボル認識処理の要部処理手順を示す流れ図である。すなわちCPU41は、図4中ST5にてバーコードデータの読取り有りを判断すると、このシンボル認識処理を開始する。この処理において、ST61〜ST64の各処理は図6に示した第1の実施の形態のシンボル認識処理におけるST31〜ST38の各処理と同一である。
【0061】
CPU41は、先ず、データ領域71内におけるバーコード62の基準位置座標(x,y)を取得し(ST61)、この基準位置座標(x,y)に対して所定の場所に位置する注目領域82を切り出す(ST62)。次に、CPU41は、注目領域82内の画像について輪郭強調処理を施し(ST63)、所定ラベルのサイズに略等しい長方形のラベル輪郭91を検出できるか否かを判断する(ST64)。
【0062】
ラベル輪郭91を検出できた場合には、CPU41は、ST65としてラベル輪郭91の数Nを計数し、この値Nをカウンタにセットする。次に、CPU41は、ST66として注目領域82内のラベル輪郭91を1つ選択する。そして、ST67としてこのラベル輪郭91内の画像データとシンボル画像メモリ50内の各シンボル画像データとを順次照合する。そして、ST68として照合度が予め設定された基準値を上回るシンボル画像データの有無を判断する。その結果、照合度が予め設定された基準値を上回るシンボル画像データを検出できたならば(ST68のYES)、CPU41は、ST69としてそのシンボル画像データに対応して設定されている英数値情報をシンボル画像メモリ50から取得する。そして、ST70としてこの英数値情報をシンボルデータとしてRAM43のシンボルワークエリアに格納する。
【0063】
次に、CPU41は、ST71として前記カウンタの値Nを“1”だけ減算する。そして、ST72としてこのカウント値Nが“0”になったか否かを判断する。カウント値Nが“0”より大きい場合には(ST72のYES)、まだ選択されていないラベル輪郭91が注目領域82内に存在するので、ST66の処理に戻る。そして、その選択されていないラベル輪郭91を選択したならば、ST67〜ST71の処理を実行する。
【0064】
これにより、注目領域82内の全てのラベル輪郭91毎に、その輪郭91内の画像データと照合度が基準値以上であるシンボル画像データが求められ、そのシンボル画像データに対応した英数値情報がRAM43のシンボルワークエリアに一括して格納される。
【0065】
しかして、前記カウンタの値Nが“0”になったならば(ST72のNO)、CPU41は、このシンボル認識処理を終了する。そして、RAM43のバーコードワークエリアに格納されているバーコードデータとシンボルワークエリアに格納されている全てのシンボルデータとを関連付けて、通信インターフェイス44を介してPOS端末3に伝送出力する。
【0066】
例えば今、図17に示すように、1つの商品60に対して、そのバーコード62が表示されている面と同一面上に値引ラベルL1とポイント割増ラベルL3の2種類のラベルが貼付されていたとする。図18に示すように、注目領域82からは値引ラベルL1のラベル輪郭91aとポイント割増ラベルL3のラベル輪郭91bとが検出される。そして、ラベル輪郭91a内の画像データは、50円引きの値引ラベルL1のシンボル画像データと略一致するので、英数値情報「−50YEN」がシンボルデータとして格納される。また、ラベル輪郭91b内の画像データは、10ポイント割増のポイント割増ラベルL3のシンボル画像データと略一致するので、英数値情報「+10P」がシンボルデータとして格納される。
【0067】
しかる後、この商品60のバーコードデータとともに上記英数値情報「−50YEN」及び「+10P」がPOS端末3に伝送出力される。その結果、POS端末3においては、当該商品の販売価格が50円値引されて、売上登録処理される。また、顧客に対して付与されるサービスポイントが10ポイント割増される。
【0068】
なお、この発明は前記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
例えば前記実施の形態では、データコード読取手段をバーコード読取手段52として説明したが、データコードは1次元のバーコードに限定されるものではなく、2次元のバーコードまたはデータコード等であってもよい。
【0069】
また、シンボル認識手段53は、所定ラベルに表示された文字情報をシンボルデータとして認識したが、これに限定されるものではなく、例えば所定ラベルに表示された記号または図形の色,大きさ,形状などを識別してシンボルデータとして認識するようにしてもよい。例えば、シンボルの色あるいは形状あるいは大きさに商品の賞味期限を割り当てることにより、賞味期限切れの商品を認識した場合にはキャッシャに警告を発するようにして、賞味期限切れの商品が販売されるのを未然に防ぐことも可能である。
【0070】
また、前記各実施の形態では、予めシンボル画像データをシンボル画像メモリ50に登録しておき、ラベル輪郭91内の画像と照合してシンボルデータを認識していたが、OCR(Optical Character Reader)の機能を利用してラベル輪郭91内の文字情報を認識し、この文字情報を英数値情報に変換して、POS端末3に出力するようにしてもよい。
【0071】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施の形態であるデータコード読取装置を用いたチェックアウトレーンシステムの構成を概略的に示す斜視図。
【図2】同実施の形態におけるデータコード読取装置の要部構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態においてデータコード読取装置のシンボル画像メモリに記憶されるデータの一例を示す模式図。
【図4】同実施の形態においてデータコード読取装置のCPUが実行する主要な処理手順和示す流れ図。
【図5】図4におけるバーコード読取処理の内容を具体的に示す流れ図。
【図6】図4におけるシンボル認識処理の内容を具体的に示す流れ図。
【図7】バーコードラベルと値引ラベルとが貼付された商品の一例を示す模式図。
【図8】図7における商品を撮影したときの画像データの一例を示す模式図。
【図9】図7における商品を撮影したときの画像データから注目領域を切り出す処理の説明に用いる模式図。
【図10】図9における注目領域について輪郭強調処理を施したときの画像データの一例を示す模式図。
【図11】本発明の第2の実施の形態におけるデータコード読取装置の要部構成を示すブロック図。
【図12】同第2の実施の形態においてデータコード読取装置のCPUが実行するシンボル認識処理の具体的手順を示す流れ図。
【図13】バーコードラベルと値引ラベルとが貼付された商品の他の例を示す模式図。
【図14】第2の実施の形態において必要なラベル標準貼付領域の説明に用いる模式図。
【図15】図13に示す商品を撮影したときの画像データから切り出した注目領域内のラベル輪郭画像とラベル標準貼付領域との関係の一例を示す模式図。
【図16】本発明の第3の実施の形態においてデータコード読取装置のCPUが実行するシンボル認識処理の具体的手順を示す流れ図。
【図17】バーコードラベルと複数枚の所定ラベルとが貼付された商品の例を示す模式図。
【図18】図13に示す商品を撮影したときの画像データから切り出した注目領域内のラベル輪郭画像の一例を示す模式図。
【符号の説明】
【0073】
2…データコード読取装置、3…POS端末、21…撮像部、21A…CCDカメラ、50…シンボル画像メモリ、52…バーコード読取手段、53…シンボル認識手段、54…ラベル位置判定手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に表示されたバーコード等のデータコードを読取るデータコード読取装置に関し、特に、商品を値引する際に貼付される値引ラベル等のラベル情報を前記データコードとともに認識することができるデータコード読取装置及びその読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等の小売店では、生鮮品の廃棄ロスを削減するために、閉店時間が近づくと商品を値引して販売することがしばしば行われている。この場合、店側は、値引後の価格や割引率などを表示した所定のラベルまたはシール(以下、ラベルに統一する)を商品に貼付して、顧客に値引商品であることを明示していた。また、POS(Point of Sales)端末のオペレータは、客が買上げる商品に値引ラベルが貼付されていることを確認すると、POS端末で当該商品のバーコードをスキャニング入力するとともに、値引ラベルの情報に従い値引操作を行っていた。このため、オペレータが値引ラベルに気付かないで値引商品を通常の値段で販売してしまう可能性があった。
【0003】
このような不都合を回避するために、従来、CCDカメラを備えた値引ラベル検出装置をバーコードスキャナの近傍に取り付けたバーコード読取装置があった。値引ラベル検出装置は、CCDカメラで撮像した画像を処理し、値引ラベルが検出されると報知するようになっている。したがってオペレータは、客が買上げる商品に表示されたバーコードをバーコードスキャナで読取らせるとともに、その商品の画像をCCDカメラで撮像させる。このとき、商品に値引ラベルが貼付されていると報知されるので、オペレータは値引ラベルが貼付されていることに必ず気付くようになる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、値下げ前と値下げ後のコード情報が例えば2行ないし2段に分かれた二段バーコードが表示された値引商品専用のバーコードラベルを作成して、値引商品に貼付する技術もあった。この場合、バーコードスキャナにより上記二段バーコードが読取られると、値下げ前のコード情報と値下げ後のコード情報とから値引商品の値引後の価格が自動的に認識される(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】登録実用新案第304598号公報
【特許文献2】特開2002−358014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、値引ラベル検出装置を利用した従来の技術においては、バーコードはバーコードスキャナで読取り、値引ラベルは値引ラベル検出装置で検出していたので、バーコードスキャナでバーコードが読取られた商品と値引ラベル検出装置で値引ラベルが検出された商品とが同一商品であることを保障できないという問題があった。
【0006】
一方、二段バーコードを利用した従来の技術においては、上述したような問題はないものの、商品の値引販売が発生する毎に、専用のラベル発行装置に対して値引商品のバーコードを入力するとともに値引後の情報を入力して、二段バーコードラベルを発行しなければならないので、手間がかかる上、専用のラベル発行装置が必要でコスト高になるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、バーコード等のデータコードとともに値引ラベル等の所定のラベルが付与された商品について、1回の操作でそのデータコードの情報とラベルに表示された情報とを読取ることができる上、読取られたデータコードの情報とラベルに表示された情報とが同一商品のものであることを保障でき、しかも、専用のラベル発行装置が不要でコスト低減を図ることができるデータコード読取装置及びその読取方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のデータコード読取装置は、商品に表示されたデータコードとその商品のデータコード表示面と同一面上に貼付された特定ラベルに表示されたシンボルとを同一画像に撮像する撮像部と、撮像部で撮像された画像内のデータコードを読取るデータコード読取手段と、撮像部で撮像された画像内のシンボルを認識するシンボル認識手段とを備えたものである。
【0009】
本発明のデータコード読取方法は、データコード読取装置が、先ず、商品に表示されたデータコードとその商品のデータコード表示面と同一面上に貼付された所定のラベルに表示されたシンボルとを同一画像に撮像する。次に、この撮像画像からデータコードを読取るとともにデータコードの画面内の位置を特定する。次に、この特定されたデータコードの画面内の位置を基準としてこの基準位置より所定量ずれた画像領域を切り出す。次に、この切り出した領域内の画像と予め登録されたシンボル画像とを照合する。そして、この照合結果に基づいてシンボルを認識するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
かかる手段を講じた本発明によれば、バーコード等のデータコードとともに値引ラベル等の所定のラベルが付与された商品について、1回の操作でそのデータコードの情報とラベルに表示された情報とを読取ることができる上、読取られたデータコードの情報とラベルに表示された情報とが同一商品のものであることを保障できる。しかも、専用のラベル発行装置が不要であり、コスト低減を図ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を実現するための最良の形態について図面を用いて説明する。
なお、この実施の形態では、データコードをバーコードとし、シンボルを値引ラベル等の所定のラベルに表示された文字情報とする。
【0012】
図1は本実施の形態のデータコード読取装置を用いたチェックアウトレーンシステムの構成を概略的に示す斜視図である。同図において、符号1はチェックアウトレーンを仕切るサッカー台である。そして、このサッカー台1の略中央に、本発明に係るデータコード読取装置2が立設されている。サッカー台1の内側には、POS端末3が設置されている。データコード読取装置2とPOS端末3とは、図示しない伝送路によって相互通信可能に接続されている。
【0013】
POS端末3には、キーボード31、オペレータ用の表示器32、客用の表示器33、レシート印字等を行うプリンタ34、現金等を収容するためのドロワ35等が設けられている。キーボード31には、商品代金の決済に必要な締めキー等が配設されている。このようなPOS端末3は、この種のチェックアウトレーンシステムで標準的に使用されている。
【0014】
データコード読取装置2には、バーコードを読取るための撮像部21、バーコードで登録不能な商品の登録を行うための各種キー等が配設されたキーボード22、買物客に対して登録された商品の品名,価格等を表示するためのディスプレイ23等が設けられている。撮像部21には、CCD(Charge Coupled Device)カメラ21A(図2を参照)が内蔵されている。
【0015】
図2はデータコード読取装置2の要部構成を示すブロック図である。データコード読取装置2には、制御部本体としてCPU41が設けられている。また、CPU41の動作を制御する業務プログラム等の固定的データが予め格納されたROM42、各種データを一時的に格納するためのワークエリアが形成されるRAM43、伝送路を介して接続されたPOS端末3とのデータ通信を制御する通信インターフェイス44、ブザー45に駆動信号を出力する出力ポート46、前記キーボード22からキー信号を取り込むキーボードコントローラ47、前記ディスプレイ23に対するデータ表示を制御する表示コントローラ48、前記撮像部21に設けられたCCDカメラ21Aの撮像動作を制御するカメラコントローラ49及び各種のシンボル画像データを予め記憶してなる不揮発性のシンボル画像メモリ50などが設けられている。
【0016】
CPU41と、ROM42、RAM43、通信インターフェイス44、キーボードコントローラ47、表示コントローラ48、カメラコントローラ49及びシンボル画像メモリ50とは、アドレスバス,データバスなどのバスライン51で接続されている。
【0017】
シンボル画像メモリ50には、図3に示すように、一連の番号順に、値引ラベル,割引ラベル,ポイント割増ラベル等の所定のラベルのイメージデータ(シンボル画像)と、その所定ラベルに表示された文字が意味する情報に対応した英数値情報とが記憶されている。例えば、50円の値引を意味する値引ラベルL1のイメージデータに対しては、英数値情報「−50YEN」が記憶されている。10%の割引を意味する割引ラベルL2のイメージデータに対しては、英数値情報「−10%」が記憶されている。10ポイントのポイント割増を意味するポイント割増ラベルL3のイメージデータに対しては、英数値情報「+10P」が記憶されている。因みに、英数値情報とは、POS端末3で処理可能なようにデジタル化された情報である。
【0018】
かかる構成において、CPU41は、ROM42に記憶されたプログラムに基づいて、撮像部21で撮像された商品の画像からバーコードを読取るバーコード読取手段(データコード読取手段)52としての機能と、同画像から特定レベルに表示された文字情報を認識するシンボル認識手段53としての機能とを実現している。
【0019】
またCPU41は、シンボル認識手段53によりシンボルが認識されたか否かを判断する認識判断手段、及びこの認識判断手段によりシンボルが認識されないと判断された場合にはバーコード読取手段52により読取られたバーコードの情報を単独で出力し、シンボルが認識されたと判断された場合にはバーコード読取手段52により読取られたバーコードの情報に、シンボル認識手段53により認識されたシンボルが意味する情報を関連付けて出力する情報出力手段としての機能と、シンボル認識手段53によりシンボルが認識されたことを報知するシンボル報知手段としての機能を、さらに実現している。
以下、これらの機能について、図4〜図6に示される流れ図と、図7〜図10に示される具体例とを参照しながら説明する。
【0020】
データコード読取装置2のCPU41は、POS端末3からのコマンドにより業務起動が指令されると、図4の流れ図に示す処理を開始する。先ず、ST(ステップ)1としてカメラコントローラ49に撮影オン信号を出力する。これにより、撮像部21では、CCDカメラ21Aによる撮影動作が開始される。
【0021】
次に、CPU41は、ST2としてPOS端末3からのコマンドにより業務終了が指令されたか否かを判断する。業務終了が指令されていない場合には、ST3としてCCDカメラ21Aによって撮影された画像データを取り込む。そして、ST4として図5の流れ図で具体的に示すバーコード読取処理を開始する。
【0022】
すなわちCPU41は、ST21として画像ワークエリアに記憶された画像データを2値化する。そして、ST22としてその2値化画像を解析して、画像データ内にバーコードのデータ領域が存在するか否かを判断する。画像データ内にバーコードのデータ領域が存在しない場合には、CPU41は、このバーコード読取処理を終了する。
【0023】
その後、ST5としてバーコードデータの読取り無しと判断されるので、CPU41は、ST2の業務終了判断処理に戻る。そして、業務終了が指令されていないことが確認されると、CPU41は、再度CCDカメラ21Aによって撮影された画像データを取り込む。
【0024】
今、図7に示すように、バーコードラベル61と値引ラベルL1とが同一面上に貼付された商品60のそのバーコードラベル61及び値引ラベルL1の貼付面(一点差線の領域70)がCCDカメラ21Aによって撮像されたとする。因みに、バーコードラベル61には、当該商品60の販売データをPOS端末3で登録処理するのに必要な商品情報、例えば品番,値段等の情報が組み込まれたバーコード62が印刷によって表示されている。また、商品名63,値段64等も印刷によって表示されている。値引ラベルL1には、値引額を示す文字情報「50円引き」が印刷によって表示されている。本実施の形態では、この文字情報「50円引き」がシンボルとして認識される。
【0025】
この場合、図8に示すような画像データ70がカメラコントローラ49を介して取り込まれ(ST3)、RAM43の画像ワークエリアに記憶される。そして、バーコード読取処理が行われる(ST4)。
【0026】
これにより、CPU41は、画像データ70を2値化し(ST21)、その2値化画像を解析して、画像データ70内にバーコードのデータ領域が存在するか否かを判断する(ST22)。今度は、バーコード62のデータ領域71が存在するので(ST22のYES)、CPU41は、ST23として画像データ70からバーコード62のデータ領域71を切り出す。そして、ST24としてこの切り出したデータ領域71内のバーコード62をデコードしてバーコードデータ(数値)を取得する。その結果、バーコードデータを取得できたならば(ST25のYES)、CPU41は、ST26としてそのバーコードデータをRAM43のバーコードワークエリアに一時格納して、このバーコード読取処理を終了する(バーコード読取手段)。
【0027】
その後、ST5としてバーコードデータの読取り有りと判断されるので、CPU41は、ST6のシンボル認識処理を開始する。
【0028】
すなわちCPU41は、ST31としてデータ領域71内のバーコード62のうち、例えば図9に示すように、左端のバーの頂点81の座標を基準位置座標(x,y)として取得する。次に、ST32としてこの基準位置座標(x,y)に対して所定の場所に位置する注目領域82を切り出す。
【0029】
具体的には、基準位置座標(x,y)より−X軸方向にm、Y方向にnだけずれた第1の座標83と、この第1の座標83よりY軸方向にpだけずれた第2の座標84と、この第2の座標84よりX軸方向にqだけずれた第3の座標85と、この第3の座標85より−Y軸方向にpだけずれた第4の座標86を算出し、これら第1〜第4の座標83〜86を結ぶ長方形の領域を注目領域82として切り出す。ここで、pは所定ラベルの縦幅より充分に大きい値(例えば縦幅の2倍)とする。また、qは同じく所定ラベルの横幅より充分に大きい値(例えば横幅の2倍)とする。
【0030】
次に、CPU41は、ST33として注目領域82内の画像について輪郭強調処理を施す。そして、ST34としてこの輪郭強調処理が施された注目領域82内の画像データに、予め設定された所定ラベルのサイズに略等しい長方形のラベル輪郭が存在するか否かを判断する。
【0031】
ここで、図10に示すように、輪郭強調処理が施された注目領域82内の画像データから予め設定された所定ラベルのサイズに略等しい長方形のラベル輪郭91を検出できたならば(ST34のYES)、CPU41は、ST35としてこのラベル輪郭91内の画像データとシンボル画像メモリ50に予め記憶されている各シンボル画像のデータとを順次照合する。そして、ST36として照合度(一致度)が予め設定された基準値を上回るシンボル画像データが存在するか否かを判断する。
【0032】
その結果、照合度が予め設定された基準値を上回るシンボル画像データを検出したならば(ST36のYES)、CPU41は、ST37としてそのシンボル画像データに対応して設定されている英数値情報をシンボル画像メモリ50から取得する。そして、ST38としてこの英数値情報をシンボルデータとし、RAM43のシンボルワークエリアに一時格納して、このシンボル認識処理を終了する(シンボル認識手段)。
【0033】
なお、輪郭強調処理が施された注目領域82内の画像データからラベル輪郭91を検出できなかった場合(ST34のNO)、または照合度が予め設定された基準値を上回るシンボル画像データを検出できなかった場合には(ST36のNO)、RAM43のシンボルワークエリアにシンボルデータを格納することなく、シンボル認識処理を終了する。
【0034】
シンボル認識処理を終了すると、CPU41は、ST7としてシンボルデータがシンボルワークエリアに格納されたか否かを判断する(認識判断手段)。ここで、シンボルデータが格納されていない場合には(ST7のNO)、CPU41は、ST8としてRAM43のバーコードワークエリアに格納されているバーコードデータを、通信インターフェイス44を介してPOS端末3に伝送出力する(情報出力手段)。また、ST9としてブザー45を駆動して、バーコードのみが読取られたことを示す第1のブザー音(例えば“ピッ”)を鳴動させる。しかる後、ST2の業務終了判断処理に戻る。
【0035】
これに対し、シンボルデータが格納されている場合には(ST7のYES)、CPU41は、ST10としてRAM43のバーコードワークエリアに格納されているバーコードデータとシンボルワークエリアに格納されているシンボルデータとを関連付けて、通信インターフェイス44を介してPOS端末3に伝送出力する(情報出力手段)。また、ST11としてブザー45を駆動して、バーコードとシンボルとが読取られたことを示す第2のブザー音(例えば“ピッ,ピッ”)を鳴動させる(シンボル報知手段)。しかる後、ST2の業務終了判断処理に戻る。
【0036】
ST2にて業務終了が指令されていないと判断した場合には、CPU41は、再びCCDカメラ21Aによって撮影された画像データを取り込む(ST3)。そして、上記ST4〜ST11の各処理を実行する。
【0037】
ST2にて業務終了が指令されたと判断した場合には、CPU41は、ST12としてカメラコントローラ49に撮影オフ信号を出力する。これにより、CCDカメラ21Aによる撮影動作が終了する。
【0038】
このような構成のデータコード読取装置2が設けられたチェックアウトレーンシステムでは、キャッシャは、サッカー台1の内側に立つ。そして、データコード読取装置2を挟んでレーン上流側におかれた買い物カゴPから客が買上げる商品を1品ずつ取り出す。このとき、この取り出した商品にバーコード62が表示されていた場合には、そのバーコード62が表示されている商品の面を撮像部21で撮像させる。
【0039】
データコード読取装置2では、撮像部21で撮像された商品の画像70によりバーコード62が読取られる。そして、バーコード62が正しく読取られたならば、データコード読取装置2から読取終了を知らせるブザー音が鳴動する。そこでキャッシャは、ブザー音を確認したならば、商品をレーン下流側に置かれた買い物カゴQに移す。
【0040】
ところで、本実施の形態では、値引して販売される商品には、所定のサイズで値引額が表示された値引ラベルL1が貼付される。割引して販売される商品には、略同一サイズで割引率が表示された割引ラベルL2が貼付される。ポイントが割増される商品には、略同一サイズで割増ポイントが表示されたポイント割増ラベルL3が貼付される。
【0041】
ここで、各ラベルL1〜L3の貼付箇所は、バーコードラベル61の貼付面と同一面であり、かつその近傍の注目領域82内とする。そうすることにより、データコード読取装置2においては、画像データ70から読取られたバーコードデータに続いて、自動的に同一画像データ70からラベルL1〜L3に表示されている文字情報がシンボルデータとして認識され、このシンボルデータが英数値情報に変換される。
【0042】
例えば、50円引きの値引ラベルL1が貼付されていた場合には、当該ラベルL1のシンボルデータとして英数値情報「−50YEN」が得られる。そして、この英数値情報「−50YEN」が当該商品のバーコードデータと関連付けられて、POS端末3に伝送出力される。これにより、POS端末3においては、当該商品の販売価格が50円値引されて、売上登録処理される。
【0043】
このように本実施の形態によれば、商品のバーコードが表示されている面を撮像部21にかざすという1回の簡単な操作を行うだけで、そのバーコードの情報とともに、当該商品に貼付された所定ラベルに表示された情報を読取ることができる上、このバーコードの情報と所定ラベルに表示された情報とを関連付けてPOS端末3に伝送出力することができるので、読取られたバーコードの情報と所定ラベルに表示された情報とが同一商品のものであることを保障することができる。
【0044】
また、データコード読取装置2においては、バーコードデータに続いてシンボルデータが認識されると、バーコードとシンボルとが読取られたことを示す第2のブザー音が鳴動する。このブザー音は、バーコードのみが読取られたときに発せられる第1のブザー音と音の種類(回数,音色等)が異なる。したがってキャッシャは、ブザー音の違いにより、値引ラベルL1などの所定のラベルが貼り付けられた商品の登録か否かを容易に判別することができる。
【0045】
ところで、上記実施の形態では、値引ラベルL1等の所定のラベルの貼付位置を、商品のバーコードが表示されている位置を基準として、その近傍の注目領域82内に制限している。このため、注目領域82を外れて所定のラベルが貼り付けられていた場合には、そのラベルに表示されている文字情報は無視される。したがって、例えば客が他の商品に貼付されていた値引ラベルL1を剥がして自分が購入する商品に貼り付けるといった不正を行っても、その貼付位置が大きくずれていた場合にはこの不正を未然に防止できる効果を奏する。
【0046】
ところが、注目領域82内に貼り付けられた場合には、この種の不正を発見することができない。これを防止する一手段としては、注目領域82をラベルの面積に近づけるべく狭くする方法が考えられる。しかしその場合には、店員が正当にラベルを貼り付ける際の貼付位置が著しく限定されてしまうため、作業が煩雑となり実用的でなくなる。
【0047】
そこで次に、注目領域82内であっても基本の位置からずれて所定のラベルが貼り付けられていた場合には警告を発して、キャッシャに注意を喚起することができる第22の実施の形態について、図11〜図15を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と共通する部分には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0048】
図11は第2の実施の形態におけるデータコード読取装置2の要部構成を示すブロック図である。この第2の実施の形態のデータコード読取装置が前記第1の実施の形態と異なる点は、CPU41が、バーコード読取手段52により読取られたバーコードの画像内の位置情報とシンボル認識手段53により認識されたシンボルが表示されたラベルの画像内の位置情報とから、ラベルが所定の位置に貼り付けられているか否かを判定するラベル位置判定手段54としての機能と、このラベル位置判定手段54によりラベルが所定の位置に貼り付けられていないと判定されると警告を発するラベル位置警告手段としての機能とを有することにある。なお、これらの手段も、ROM42に記憶されたプログラムに基づいて実現される。
【0049】
以下、これらの機能について、図12に示される流れ図と、図13〜図15に示される具体例とを参照しながら説明する。
図12は第2の実施の形態におけるシンボル認識処理の要部処理手順を示す流れ図である。すなわちCPU41は、図4中ST5にてバーコードデータの読取り有りを判断すると、このシンボル認識処理を開始する。この処理において、ST41〜ST49の各処理は図6に示した第1の実施の形態のシンボル認識処理におけるST31〜ST38の各処理と同一である。
【0050】
CPU41は、先ず、データ領域71内におけるバーコード62の基準位置座標(x,y)を取得し(ST41)、この基準位置座標(x,y)に対して所定の場所に位置する注目領域82を切り出す(ST42)。次に、CPU41は、注目領域82内の画像について輪郭強調処理を施し(ST43)、所定ラベルのサイズに略等しい長方形のラベル輪郭91を検出できるか否かを判断する(ST44)。
【0051】
ラベル輪郭91を検出できた場合には、CPU41は、このラベル輪郭91内の画像データとシンボル画像メモリ50内の各シンボル画像データとを順次照合する(ST45)。そして、照合度が予め設定された基準値を上回るシンボル画像データを検出できたならば(ST46のYES)、CPU41は、そのシンボル画像データに対応して設定されている英数値情報をシンボル画像メモリ50から取得する(ST47)。そして、この英数値情報をシンボルデータとしてRAM43のシンボルワークエリアに一時格納する(ST48)。
【0052】
しかる後、CPU41は、ST49としてラベル輪郭91のラベル標準貼付位置からのずれ量δを算出する。今、図13に示すように、商品60に対する値引ラベルL1等の所定ラベルの標準貼付位置を、図中破線で囲われた領域100とする。この領域100は、注目領域82を切り出すために求めたバーコード62の基準位置座標(x,y)を基準として求めることができる。
【0053】
具体的には、図14に示すように、上記基準位置座標(x,y)を基準として求めた注目領域82の第1の座標83より、X軸方向にm1、Y軸方向にn1だけずれた第5の座標101と、この第5の座標101よりY軸方向にrだけずれた第6の座標102と、この第6の座標102よりX軸方向にsだけずれた第7の座標103と、この第7の座標103より−Y軸方向にrだけずれた第8の座標104を算出し、これら第5〜第8の座標101〜104を結ぶ長方形の領域を所定ラベルの標準貼付領域100として求める。ここで、rは所定ラベルの縦幅と略等しい値とし、qは同じく所定ラベルの横幅と略等しい値とする。
【0054】
次に、図15に示すように、このラベル標準貼付領域100の第5の座標101と、ラベル輪郭91の左下頂点の座標105との距離をずれ量δとして求める。なお、ラベル標準貼付領域100の第6の座標102と、ラベル輪郭91の左上頂点の座標との距離、ラベル標準貼付領域100の第7の座標103と、ラベル輪郭91の右上頂点の座標との距離、またはラベル標準貼付領域100の第8の座標104と、ラベル輪郭91の右下頂点の座標との距離をずれ量δとして求めてもよい。
【0055】
ST49にてずれ量δを算出したならば、CPU41は、ST50としてこのずれ量δが予め設定されているラベルずれ量の許容値以内なのか許容値を超えるのかを判断する(ラベル位置判定手段)。そして、ずれ量δが許容値以内である場合には、その時点でこのシンボル認識処理を終了する。
【0056】
これに対し、ずれ量δが許容値を越える場合には、ST51としてブザー45を駆動して、所定ラベルの貼付位置が標準の貼付位置よりずれていることを警告する第3のブザー音(例えば“ピッ,ピッ,ピッ”)を鳴動させて(ラベル位置警告手段)、このシンボル認識処理を終了する。
【0057】
このように構成された第2の実施の形態においては、値引ラベルL1等の所定ラベルが注目領域82内に貼り付けられている場合でも、ラベル標準貼付領域100からのずれ量δが予め設定されている許容値を越える場合には第3のブザー音が鳴動して警告が発せられる。したがって、ラベル標準貼付領域100を知らない客等が値引ラベルL1等を不正に貼り付けた場合でも、キャッシャが不正に気付く可能性を高めることができる。その結果、この種不正の抑制効果を奏し得る。
【0058】
ところで、前記実施の形態では、商品に貼付される所定ラベルの枚数を1枚として説明したが、1つの商品に複数枚のラベルが貼付される場合がある。例えば図17に示すように、値引対象でかつポイント割増対象の商品60のような場合である。
【0059】
そこで次に、1つの商品60に複数枚のラベルが貼付されている場合でも、各ラベルの文字情報をそれぞれシンボルデータとして認識し、各シンボルデータを当該商品60のバーコードデータと関連付けてPOS端末3に伝送出力する機能をデータコード読取装置2が有した第3の実施の形態について、図16〜図18を用いて説明する。なお、第1の実施の形態と共通する部分には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0060】
図16は第3の実施の形態におけるデータコード読取装置2のCPU41が実行するシンボル認識処理の要部処理手順を示す流れ図である。すなわちCPU41は、図4中ST5にてバーコードデータの読取り有りを判断すると、このシンボル認識処理を開始する。この処理において、ST61〜ST64の各処理は図6に示した第1の実施の形態のシンボル認識処理におけるST31〜ST38の各処理と同一である。
【0061】
CPU41は、先ず、データ領域71内におけるバーコード62の基準位置座標(x,y)を取得し(ST61)、この基準位置座標(x,y)に対して所定の場所に位置する注目領域82を切り出す(ST62)。次に、CPU41は、注目領域82内の画像について輪郭強調処理を施し(ST63)、所定ラベルのサイズに略等しい長方形のラベル輪郭91を検出できるか否かを判断する(ST64)。
【0062】
ラベル輪郭91を検出できた場合には、CPU41は、ST65としてラベル輪郭91の数Nを計数し、この値Nをカウンタにセットする。次に、CPU41は、ST66として注目領域82内のラベル輪郭91を1つ選択する。そして、ST67としてこのラベル輪郭91内の画像データとシンボル画像メモリ50内の各シンボル画像データとを順次照合する。そして、ST68として照合度が予め設定された基準値を上回るシンボル画像データの有無を判断する。その結果、照合度が予め設定された基準値を上回るシンボル画像データを検出できたならば(ST68のYES)、CPU41は、ST69としてそのシンボル画像データに対応して設定されている英数値情報をシンボル画像メモリ50から取得する。そして、ST70としてこの英数値情報をシンボルデータとしてRAM43のシンボルワークエリアに格納する。
【0063】
次に、CPU41は、ST71として前記カウンタの値Nを“1”だけ減算する。そして、ST72としてこのカウント値Nが“0”になったか否かを判断する。カウント値Nが“0”より大きい場合には(ST72のYES)、まだ選択されていないラベル輪郭91が注目領域82内に存在するので、ST66の処理に戻る。そして、その選択されていないラベル輪郭91を選択したならば、ST67〜ST71の処理を実行する。
【0064】
これにより、注目領域82内の全てのラベル輪郭91毎に、その輪郭91内の画像データと照合度が基準値以上であるシンボル画像データが求められ、そのシンボル画像データに対応した英数値情報がRAM43のシンボルワークエリアに一括して格納される。
【0065】
しかして、前記カウンタの値Nが“0”になったならば(ST72のNO)、CPU41は、このシンボル認識処理を終了する。そして、RAM43のバーコードワークエリアに格納されているバーコードデータとシンボルワークエリアに格納されている全てのシンボルデータとを関連付けて、通信インターフェイス44を介してPOS端末3に伝送出力する。
【0066】
例えば今、図17に示すように、1つの商品60に対して、そのバーコード62が表示されている面と同一面上に値引ラベルL1とポイント割増ラベルL3の2種類のラベルが貼付されていたとする。図18に示すように、注目領域82からは値引ラベルL1のラベル輪郭91aとポイント割増ラベルL3のラベル輪郭91bとが検出される。そして、ラベル輪郭91a内の画像データは、50円引きの値引ラベルL1のシンボル画像データと略一致するので、英数値情報「−50YEN」がシンボルデータとして格納される。また、ラベル輪郭91b内の画像データは、10ポイント割増のポイント割増ラベルL3のシンボル画像データと略一致するので、英数値情報「+10P」がシンボルデータとして格納される。
【0067】
しかる後、この商品60のバーコードデータとともに上記英数値情報「−50YEN」及び「+10P」がPOS端末3に伝送出力される。その結果、POS端末3においては、当該商品の販売価格が50円値引されて、売上登録処理される。また、顧客に対して付与されるサービスポイントが10ポイント割増される。
【0068】
なお、この発明は前記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
例えば前記実施の形態では、データコード読取手段をバーコード読取手段52として説明したが、データコードは1次元のバーコードに限定されるものではなく、2次元のバーコードまたはデータコード等であってもよい。
【0069】
また、シンボル認識手段53は、所定ラベルに表示された文字情報をシンボルデータとして認識したが、これに限定されるものではなく、例えば所定ラベルに表示された記号または図形の色,大きさ,形状などを識別してシンボルデータとして認識するようにしてもよい。例えば、シンボルの色あるいは形状あるいは大きさに商品の賞味期限を割り当てることにより、賞味期限切れの商品を認識した場合にはキャッシャに警告を発するようにして、賞味期限切れの商品が販売されるのを未然に防ぐことも可能である。
【0070】
また、前記各実施の形態では、予めシンボル画像データをシンボル画像メモリ50に登録しておき、ラベル輪郭91内の画像と照合してシンボルデータを認識していたが、OCR(Optical Character Reader)の機能を利用してラベル輪郭91内の文字情報を認識し、この文字情報を英数値情報に変換して、POS端末3に出力するようにしてもよい。
【0071】
この他、前記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を組合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施の形態であるデータコード読取装置を用いたチェックアウトレーンシステムの構成を概略的に示す斜視図。
【図2】同実施の形態におけるデータコード読取装置の要部構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態においてデータコード読取装置のシンボル画像メモリに記憶されるデータの一例を示す模式図。
【図4】同実施の形態においてデータコード読取装置のCPUが実行する主要な処理手順和示す流れ図。
【図5】図4におけるバーコード読取処理の内容を具体的に示す流れ図。
【図6】図4におけるシンボル認識処理の内容を具体的に示す流れ図。
【図7】バーコードラベルと値引ラベルとが貼付された商品の一例を示す模式図。
【図8】図7における商品を撮影したときの画像データの一例を示す模式図。
【図9】図7における商品を撮影したときの画像データから注目領域を切り出す処理の説明に用いる模式図。
【図10】図9における注目領域について輪郭強調処理を施したときの画像データの一例を示す模式図。
【図11】本発明の第2の実施の形態におけるデータコード読取装置の要部構成を示すブロック図。
【図12】同第2の実施の形態においてデータコード読取装置のCPUが実行するシンボル認識処理の具体的手順を示す流れ図。
【図13】バーコードラベルと値引ラベルとが貼付された商品の他の例を示す模式図。
【図14】第2の実施の形態において必要なラベル標準貼付領域の説明に用いる模式図。
【図15】図13に示す商品を撮影したときの画像データから切り出した注目領域内のラベル輪郭画像とラベル標準貼付領域との関係の一例を示す模式図。
【図16】本発明の第3の実施の形態においてデータコード読取装置のCPUが実行するシンボル認識処理の具体的手順を示す流れ図。
【図17】バーコードラベルと複数枚の所定ラベルとが貼付された商品の例を示す模式図。
【図18】図13に示す商品を撮影したときの画像データから切り出した注目領域内のラベル輪郭画像の一例を示す模式図。
【符号の説明】
【0073】
2…データコード読取装置、3…POS端末、21…撮像部、21A…CCDカメラ、50…シンボル画像メモリ、52…バーコード読取手段、53…シンボル認識手段、54…ラベル位置判定手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品に表示されたデータコードとその商品の前記データコード表示面と同一面上に貼付された所定のラベルに表示されたシンボルとを同一画像に撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された画像内の前記データコードを読取るデータコード読取手段と、前記撮像部で撮像された画像内の前記シンボルを認識するシンボル認識手段と、を具備したことを特徴とするデータコード読取装置。
【請求項2】
前記シンボル認識手段により前記シンボルが認識されたか否かを判断する認識判断手段と、この認識判断手段により前記シンボルが認識されないと判断された場合には前記データコード読取手段により読取られた前記データコードの情報を単独で出力し、前記シンボルが認識されたと判断された場合には前記データコード読取手段により読取られた前記データコードの情報に、前記シンボル認識手段により認識された前記シンボルが意味する情報を関連付けて出力する情報出力手段と、をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のデータコード読取装置。
【請求項3】
前記シンボル認識手段により前記シンボルが認識されたことを報知するシンボル報知手段、をさらに具備したことを特徴とする請求項1または2記載のデータコード読取装置。
【請求項4】
前記データコード読取手段により読取られた前記データコードの前記画像内の位置情報と前記シンボル認識手段により認識されたシンボルが表示された前記ラベルの前記画像内の位置情報とから、前記ラベルが所定の位置に貼り付けられているか否かを判定するラベル位置判定手段と、このラベル位置判定手段により前記ラベルが所定の位置に貼り付けられていないと判定されると警告を発するラベル位置警告手段と、をさらに具備したことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項記載のデータコード読取装置。
【請求項5】
前記シンボル認識手段は、前記ラベルに表示された文字情報をシンボルとして認識し、この認識した文字情報を値引額,割引率等の英数値情報に変換することを特徴とする請求項1記載のデータコード読取装置。
【請求項6】
前記シンボル認識手段は、前記撮像部で撮像された画像内に含まれる複数枚のラベルにそれぞれ表示されたシンボルを認識可能であることを特徴とする請求項1記載のデータコード読取装置。
【請求項7】
商品に表示されたデータコードを読取るデータコード読取装置のデータコード読取方法であって、
前記データコード読取装置は、
前記商品に表示されたデータコードとその商品の前記データコード表示面と同一面上に貼付された所定のラベルに表示されたシンボルとを同一画像に撮像し、この撮像画像から前記データコードを読取るとともに前記データコードの前記画面内の位置を特定し、この特定された前記データコードの前記画面内の位置を基準としてこの基準位置より所定量ずれた画像領域を切り出し、この切り出した領域内の画像と予め登録されたシンボル画像とを照合し、この照合結果に基づいて前記シンボルを認識することを特徴とするデータコード読取方法。
【請求項1】
商品に表示されたデータコードとその商品の前記データコード表示面と同一面上に貼付された所定のラベルに表示されたシンボルとを同一画像に撮像する撮像部と、前記撮像部で撮像された画像内の前記データコードを読取るデータコード読取手段と、前記撮像部で撮像された画像内の前記シンボルを認識するシンボル認識手段と、を具備したことを特徴とするデータコード読取装置。
【請求項2】
前記シンボル認識手段により前記シンボルが認識されたか否かを判断する認識判断手段と、この認識判断手段により前記シンボルが認識されないと判断された場合には前記データコード読取手段により読取られた前記データコードの情報を単独で出力し、前記シンボルが認識されたと判断された場合には前記データコード読取手段により読取られた前記データコードの情報に、前記シンボル認識手段により認識された前記シンボルが意味する情報を関連付けて出力する情報出力手段と、をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のデータコード読取装置。
【請求項3】
前記シンボル認識手段により前記シンボルが認識されたことを報知するシンボル報知手段、をさらに具備したことを特徴とする請求項1または2記載のデータコード読取装置。
【請求項4】
前記データコード読取手段により読取られた前記データコードの前記画像内の位置情報と前記シンボル認識手段により認識されたシンボルが表示された前記ラベルの前記画像内の位置情報とから、前記ラベルが所定の位置に貼り付けられているか否かを判定するラベル位置判定手段と、このラベル位置判定手段により前記ラベルが所定の位置に貼り付けられていないと判定されると警告を発するラベル位置警告手段と、をさらに具備したことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項記載のデータコード読取装置。
【請求項5】
前記シンボル認識手段は、前記ラベルに表示された文字情報をシンボルとして認識し、この認識した文字情報を値引額,割引率等の英数値情報に変換することを特徴とする請求項1記載のデータコード読取装置。
【請求項6】
前記シンボル認識手段は、前記撮像部で撮像された画像内に含まれる複数枚のラベルにそれぞれ表示されたシンボルを認識可能であることを特徴とする請求項1記載のデータコード読取装置。
【請求項7】
商品に表示されたデータコードを読取るデータコード読取装置のデータコード読取方法であって、
前記データコード読取装置は、
前記商品に表示されたデータコードとその商品の前記データコード表示面と同一面上に貼付された所定のラベルに表示されたシンボルとを同一画像に撮像し、この撮像画像から前記データコードを読取るとともに前記データコードの前記画面内の位置を特定し、この特定された前記データコードの前記画面内の位置を基準としてこの基準位置より所定量ずれた画像領域を切り出し、この切り出した領域内の画像と予め登録されたシンボル画像とを照合し、この照合結果に基づいて前記シンボルを認識することを特徴とするデータコード読取方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−33640(P2008−33640A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−206504(P2006−206504)
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月28日(2006.7.28)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]