説明

データネットワークにおけるコンテキスト伝搬

それが通信する相手ネットワークに関するコンテキスト情報を取得するための方法及び中間ネットワークエンティティ。コンテキスト情報は、サーバによって中間ネットワークエンティティを介してクライアントに送信されるメッセージの中に組み込まれ、中間ネットワークエンティティによってストリッピングされる。追加のコンテキスト情報は他のネットワークエンティティからのフィードバックから取得できる。このようにして取得されるコンテキスト情報は、中間コンテキスト情報を導出するために、フィルタリングされ、中間ネットワークエンティティ自体に関するコンテキスト情報と関連して使用されてよい。この情報は他のネットワークエンティティに提供できる。コンテキスト情報は、ユーザプロファイル、ハードウェア関連情報、他の計算リソースについての情報等を含む。このような情報は、クライアントによって直接的に、又はサポートインフラストラクチャを通して間接的に提供できる。通信網はアドホックネットワークであってよい。前記ネットワークのいくつかの要素は、コンテキストを選ばない可能性がある。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデータネットワークに関し、特にそのネットワークの要素間での情報の転送に関する。
【背景技術】
【0002】
クライアント又はサーバで入手可能な情報に制限される、アプリケーションに関連したパラメータのシグナリングのための複数のアプリケーションに特有のRTCPなどの解決策が存在する。サービスについての記述を交換するためのJINIなどのサービス発見方法も公知である。
【0003】
Jiniは、高い変化率、インターアクション(対話)の複雑さを有する大規模ネットワークにおいて使用することを目的としたネットワークアーキテクチャである。Jini技術はネットワークでサービスを供給するための、そして、自らのハードウェア又はソフトウェアのインプリメンテーションに関係なくこれらのサービスを使用するクライアント間での自然発生的な対話を生じさせるための、インフラストラクチャとなる。Jiniはネットワーク上でオブジェクトのリース、発見及び移動などの技法を利用する。Jiniは、ネットワーク内を動き回るオブジェクトを使用することにより機能する。クライアントとサービスがネットワーク上で互いを発見し、協力し合う方法が特定される。サービスプロバイダは、クライアントにそのサービスに対するアクセスを与えるJava(登録商標)技術をベースにした移植可能なオブジェクト(「Java(登録商標)オブジェクト」)をクライアントに与える。クライアントには前記サービスによって提供されるJava(登録商標)オブジェクトだけしか見えないため、このネットワーク対話は任意の種類のネットワーキング技術を使用できる。
【0004】
サービスは、Jini技術により利用可能にされているサービス及び/又はデバイスからなるネットワークに加わると、サービスAPIをインプリメントするJava(登録商標)オブジェクトを公開することによって自身を広告する。このオブジェクトのインプリメンテーションは、サービスが選ぶどのようなやり方でも機能できる。クライアントはAPIをサポートするオブジェクトを探すことによりサービスを発見する。クライアントがサービスの公開されたオブジェクトを取得すると、それは、サービスに話をするために必要とする何らかのコードをダウンロードし、それによりAPIを介して特定のサービスインプリメンテーションに話し掛ける方法を学習する。サービスを実現するプログラマは、RMI、CORBA、XML又はプライベートプロトコルを使用して、電話でAPI要求をビットに変換する方法を選ぶ。図12は、メッセージが多くのプロキシを介してサーバからクライアントに渡され、応答が前述されたようにサーバに戻されるJiniシステムの態様を示している。
【0005】
RTP(リアルタイムトランスポートプロトコル)制御プロトコル(RTCP)は、データトラフィックのためのものと同じ分散機構を使用して、ネットワーク内の全てのネットワークエンティティに対し制御パケットを周期的に送信することに依存している。第1のプロトコルがデータと制御パケットを多重化する。前記一次機能はデータ分散の質に関するフィードバックを与えることである。これはトランスポートプロトコルとしてのRTPの役割にとって必須であり、他のトランスポートプロトコルのフロー制御機能及び輻輳制御機能に関係している。フィードバックは適応符号化の制御にも使用できる。全ての関係者に対して受信フィードバックレポートを送信することにより、検出される問題が局所的であるのか、あるいは大局的であるのかを判断できる。IPマルチキャストのような分散機構を用いると、それ以外の場合セッションに関与しないネットワークサービスプロバイダなどのエンティティは、ネットワークの問題を診断するために第三者モニタとしての役割を果たすためにフィードバック情報を受信することもできる。全ての関係者がRTCPパケットを送信するため、RTPが多数の関係者に拡大するためにはレートは制御されなければならない。各関係者は他者全員に制御パケットを送信するので、それぞれが関係者数を独自に観察できる。ユーザインタフェースに表示される関係者識別などの最小セッション制御情報も送信できる。これは、関係者が会員資格の制御又はパラメータのネゴシエーションを行わずに出入りする「緩やかに管理された」セッションでは最も有用である。
【0006】
RTCPは、全ての関係者に到達するために便利なチャネルとして機能するが、あるアプリケーションの全ての制御通信要件をサポートするわけではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ネットワークの要素に関する情報の取得を改善し、アプリケーションの制御を改善することが、本発明の根底を成す課題である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のこの課題は、請求項1の特徴を有する方法により解決される。本発明に従って、中間ネットワークエンティティにおいて通信網の中のコンテキスト情報を取得する方法が提供される。この方法は、発信側ネットワークエンティティから発信側コンテキスト情報を受信することを含み、ここで、前記発信側コンテキスト情報は、前記発信側ネットワークエンティティからのメッセージと関連付けられ、前記発信側ネットワークエンティティでの運用条件を指定するものである。この方法は、発信側ネットワークエンティティから受信される発信側コンテキスト情報及び中間ネットワークエンティティにおける運用条件に基づいて、中間ネットワークエンティティにおいて中間コンテキスト情報を導出することを更に含み、あるメッセージと関連して中間コンテキスト情報を受信側ネットワークエンティティに送信することも含む。
【0009】
本発明の課題は、請求項17の特徴を有するネットワークエンティティによってさらに解決される。本発明に従って、通信網で使用するためのネットワークエンティティは、発信側ネットワークエンティティにおける運用条件を指定する発信側コンテキスト情報及び発信側ネットワークエンティティからのメッセージを受信するための第1の受信機を備え、前記発信側コンテキスト情報と前記メッセージは互いに関連付けられている。このネットワークエンティティはさらに、前記第1の受信機によって発信側ネットワークエンティティから受信される発信側コンテキスト情報と中間ネットワークエンティティにおける運用条件とに基づいて、中間ネットワークエンティティにおいて中間コンテキスト情報を導出するためのプロセッサを備える。前記ネットワークエンティティは、受信側ネットワークエンティティへのメッセージと関連して中間コンテキスト情報を送信できる送信機も備える。
【0010】
本発明の好ましい実施形態は添付の従属請求項に定められる。
【0011】
本発明をさらによく理解するために、及び本発明がどのように実行に移されるのかを示すために、ここで例示として添付図面を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施形態は、クライアントとサーバ間の経路に沿った通信網内の複数の位置で入手可能な、コンテキスト情報の収集を可能にする方法及びシステムに関する。
【0013】
コンテキスト情報は、観察又は計算の対象となりうるあらゆるものを含む。例としては、ユーザID、ユーザ許可、ユーザ優先順位、ユーザ動作等を含む、ユーザプロファイルなどのユーザ関連情報を含む。追加の例は、デバイスプロファイルなどのハードウェア関連情報、あるいはプロトコル機能又はネットワークステータス情報などのネットワーク関連情報である。サーバ又はサービスプロファイルなどの他の計算リソースについての情報、あるいは空間座標又は時間などの非計算現象についての情報が含まれていてもよい。このような情報は、クライアントによって直接的に、又はサポートインフラストラクチャを通して間接的に提供できる。コンテキスト情報は特に、ネットワークエンティティでの動作条件に関する情報関係を含んでよい。
【0014】
場合によっては、アプリケーションタイプ、ユーザ優先順位、又はコンテキスト情報の利用可能性などの他の情報に応じて、何らかの関連性のあるコンテキスト情報を取得することが望ましい。取得されたコンテキスト情報の量とそれを取得するための努力の妥協点は、取得された情報の関連性に基づいて選択される。
【0015】
サービスの受け入れが、追加のコンテキスト情報を考慮に入れるそれらの能力に依存するようになる場合がある。ここでは、課題の1つは関連性のあるコンテキスト情報の選択、蓄積及び伝搬である。
【0016】
コンテキスト認識性(context-awareness)は、アプリケーションの環境状態と特性といった、コンテキスト情報に対する配慮または検討、そしてコンテキスト情報に対する反応をいう。コンテキスト情報は、クライアント、サーバ、他のネットワークエンティティ又はネットワークインフラストラクチャ、サービスアプリケーションなどの何らかのネットワークエンティティによって収集、提供されうるものである。
【0017】
本発明の例示的な実施形態に従って、クライアントがサーバによって提供されるサービスを要求し、クライアントとサーバが通信網の中でのメッセージ交換を介して対話するシステムが提供される。交換されるメッセージは、ホームネットワーク、基地局、又は無線アクセス網のアクセスポイントのゲートウェイ、コアネットワークの中へ及びコアネットワークの中からのゲートウェイ、あるいはコアネットワーク又はパブリックインターネット内でのルータなどの、複数のシステム構成要素を横断できるものである。これらのシステム構成要素は、中間ネットワークエンティティ、あるいはプロキシと呼ぶことができる。
【0018】
サーバによって提供されるサービスは、補足的なコンテキスト情報の利用可能性から利益を得るか、あるいはそのような利用可能性を必要とすることもあることを意味するコンテキスト認識的(context-aware)であることが望ましいが、これは必要条件ではない。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。
【0020】
図1に示されるような本発明の第1の実施形態に従って、発信側ノード2と、中間ネットワークエンティティ3と、受信側ネットワークエンティティ4が設けられ、そのネットワークエンティティの全ては通信網を介して接続される。本発明に従って、この装置の中間ネットワークエンティティは通信網に関するコンテキスト情報を取得する方法を実行するように適応される。図1に示されるように、中間ネットワークエンティティ3は、メッセージ210に関連して発信側ネットワークエンティティ2から発信側コンテキスト情報240を受信する。この発信側コンテキスト情報240は、発信側ネットワークエンティティ221での運用条件を指定する情報を含む。中間ネットワークエンティティ321での運用条件に関する情報も、中間ネットワークエンティティ3で入手できる。発信側ネットワークエンティティ2によって提供される中間コンテキスト情報322は、導出ステップ32で、中間ネットワークエンティティ321での運用条件に関する情報と組み合わせて、中間コンテキスト情報322を導出するために使用される。この中間コンテキスト情報322は、次にメッセージ310とともに受信側ネットワークエンティティ4に送信される。
【0021】
本実施形態及び他の実施形態は、単一の中間ネットワークエンティティを含むが、本発明は任意の数の中間ネットワークエンティティを有する装置に等しく適用する。さらに、これらの追加のネットワークエンティティのいくつかがコンテキストを認識せず、単に発信側ネットワークエンティティ、中間ネットワークエンティティ、及び受信側ネットワークエンティティの間で中継器の役割を果たすだけでもよい。
【0022】
コンテキスト情報は、帯域内又は帯域外のどちらかで搬送できるであろう。さらに、メッセージのコンテキストでは、コンテキストは要求、応答、又は両方に追加できる。
【0023】
通信網、したがってネットワークエンティティ間のリンクは、有線、無線、光学又は他の通信技術、あるいはそれらの任意の組み合わせを備えることができる。ネットワークは例えばGSMを使用するセルラーネットワークであってよい。これらのネットワークリンク上の通信は、ATM、GPRS、IPスイッチングプロトコル、ISDN、PPB、TCIP、UNTS等によって、あるいは任意の他の通信プロトコルに従って、あるいは当業者が容易に思いつくようなこれらの技術の任意の組み合わせに従って行うことができる。通信網は、ネットワークエンティティが予測不可能な方法で追加、削除され、コンテキスト情報がネットワークに加わるネットワークエンティティがその機能にアクセスし、ネットワークエンティティがネットワークを離れるときに他のネットワークエンティティに警告できるようにしてよいアドホックネットワークであってよい。
【0024】
本発明のコンテキスト情報は、例えばハードウェアの詳細、ファームウェア、ソフトウェア、ステータス、時間、トラフィック、処理負荷、記憶負荷又は必要に応じて他の要因などの、ネットワーク環境の任意の態様に関してよい。これらの値は関係するネットワークエンティティで指定され、別のネットワークエンティティ又はネットワーク要素から入手され、あるいはネットワーク要素で入手可能な他のデータから導出されてよい。メッセージ210はネットワークによってサポートされる任意の種別のデータ伝送を備えてよく、ゼロという長さを有してよい。メッセージとコンテキスト情報の関連付けは、全て又は一方の一部を他方の中に組み込むこと、あるいは一方による他方の参照を備えてよく、あるいは共用される伝送時間、伝送経路、ネットワークリソースの使用等に関してよい。
【0025】
図2は、図1に関して説明されるように、本発明の第1の実施形態による中間ネットワークエンティティにより実行されるステップの流れ図である。この図に示されているように、中間ネットワークエンティティ3でコンテキスト情報を取得する方法は、発信側ネットワークエンティティ2から発信側コンテキスト情報240を受信するステップs1を含み、発信側コンテキスト情報240は発信側ネットワークエンティティ2からのメッセージ210と関連付けられ、発信側ネットワークエンティティ2での運用条件221を指定する。この方法に従って、発信側ネットワークエンティティ2から受信される発信側コンテキスト情報240及び中間ネットワークエンティティ3での運用条件321に基づいて、中間ネットワークエンティティ3で中間コンテキスト情報322を導出するステップs5が次に実行される。最後に、受信側ネットワークエンティティ4にメッセージ310と関連して中間コンテキスト情報322を送信するステップs6が実現される。
【0026】
これに対して、本発明はさらに、通信網で使用するためのネットワークエンティティに関する。このネットワークエンティティは、発信側ネットワークエンティティでの運用条件を指定する発信側コンテキスト情報、及び発信側ネットワークエンティティからのメッセージを受信できる第1の受信機を備え、前記発信側コンテキスト情報及び前記メッセージが互いに関連付けられているものである。ネットワークエンティティは、前記第1受信機によって発信側ネットワークエンティティから受信される発信側コンテキスト情報、及び中間ネットワークエンティティでの運用条件に基づいて、中間ネットワークエンティティで中間コンテキスト情報を導出することができるプロセッサをさらに備える。ネットワークエンティティは、受信側ネットワークエンティティに、メッセージと関連して前記中間コンテキスト情報を送信することができる送信機も備える。
【0027】
送信機、プロセッサ、及び受信機などの本発明のネットワークエンティティの機能上の要素は、それぞれ、例えばマイクロチップ又は複数のマイクロチップなどの専用ハードウェアの形を取るか、あるいは例えばEPROMなどにロードされるファームウェアからなるか、あるいはさらにランダムアクセスメモリ、ハードディスクドライブ、CDROM等の記憶装置に記憶されるソフトウェアルーチンのセットからなってよい。コンパイラ、プロセッサ及び操作装置は、前記形式の任意の組み合わせをさらに備えることができる。
【0028】
本出願では、受信機や、送信機、プロセッサという用語は、特にそれらが実行すると考えられるタスクだけを実行するように構成されている装置に関するものであり、類似する用語で一般的に参照することができる当技術分野において公知のデバイスに関するものとして必ずしも解釈されなくてよい。しかしながら当業者は、プログラミングされるとき、初期化されるとき、あるいは本発明を実施に移すとき、特定のこれらの機能が、例えば従来のハードウェアの形で公知の手法を使用して実行できることを認識するであろう。
【0029】
中間コンテキスト情報322を導出するプロセスは、中間エンティティでの運用条件に基づいて発信側コンテキスト情報240の修正を含むことができる。これに対して、本発明のネットワークエンティティのプロセッサは中間ネットワークエンティティでの運用条件に基づいて、発信側コンテキスト情報を修正することによって中間コンテキスト情報を導出できる。
【0030】
この修正プロセスは、発信側コンテキスト情報のいくつか又は全ての削除を含み得るものであり、発信側コンテキスト情報の全て又は一部の変換、又はオリジナルのコンテキスト情報に対する追加、あるいはこれらのプロセスの任意の組み合わせを含んでよい。発信側コンテキスト情報の変換は、コンテキスト情報内で個々の値を変更すること、前記情報の構造を変更すること、あるいはその並べ替えを必要としてよい。
【0031】
これに対して、本発明のネットワークエンティティのプロセッサは発信側コンテキスト情報の少なくとも一部を削除し、発信側コンテキスト情報の少なくとも一部を変換し、あるいはコンテキスト情報あるいはこれらの任意の組み合わせを追加することによって、中間コンテキスト情報を導出できる。
【0032】
図3は、本発明の第2の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。図3は図1に関して説明された全ての特徴を備える。さらに、本発明による本方法に従って、フィードバック情報431は受信側ネットワークエンティティから受信される。この情報は、中間コンテキスト情報322の導出において、中間運用条件321及び発信側コンテキスト情報240と組み合わせて使用される。この手段によって、中間ネットワークエンティティは、上流方向と下流方向の両方でネットワークエンティティから中間コンテキスト情報を導出することができる。これに対して、本発明の中間ネットワークエンティティは、受信側ネットワークエンティティからフィードバック情報を受信できる第2の受信機をさらに備えてよい。前記プロセッサは、それに基づいて中間コンテキスト情報を導出するようになっていてもよい。
【0033】
図4は、図3に関して説明されたような本発明の第2の実施形態による中間ネットワークエンティティにより実行されるステップの流れ図である。この図に示されるように、前記方法は、前述されたように受信側ネットワークエンティティからフィードバック情報431を受信する追加のステップs2を備える。
【0034】
コンテキスト情報は前述されたようにメッセージと関連付けて送信できるが、これは必ずしも必要ではない、つまり望ましいと言うことである。例えば他のネットワークエンティティに記憶されるコンテキスト情報を更新するために、コンテキスト情報をそのままで送信することが好ましい場合がある。言い換えると、中間ネットワークエンティティは追加の発信側コンテキスト情報を、つまりメッセージと関連付けられたコンテキスト情報を受信した後の時点で受信し、それに基づいた中間コンテキスト情報を導出してよい。これに対して、本発明の中間ネットワークエンティティは、追加の発信側コンテキスト情報を受信できる第3の受信機をさらに備えてよい。ネットワークエンティティのプロセッサは、この追加のコンテキスト情報に基づいて中間コンテキスト情報を導出することが更にできるものであり得る。
【0035】
このプロセスは、伝送経路に沿って使用可能なコンテキスト情報を更新するために使用されてよい。ネットワークエンティティの内の1つにおける関連性のある運用条件が変化すると、対応するコンテキスト情報要素は前記伝送経路に沿って伝搬でき、各ネットワークエンティティは、例えば上述されるように、1つのコンテキスト情報を交換する、コンテキスト情報を修正する等によって、コンテキスト情報要素及びネットワークエンティティでの運用条件に基づいてそのコンテキスト情報を適切に更新できる。
【0036】
図5は、本発明の第3の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。図5は実質的には図3に一致し、発信側ネットワークエンティティ2から受信される発信側コンテキスト情報240をフィルタリングする追加プロセス35を提供する。このフィルタリングプロセスは、例えば発信側ネットワークエンティティ、中間ネットワークエンティティ、又は受信側ネットワークエンティティでの、あるいはさらに言えば同じネットワークシステムの任意の他のネットワークエンティティでの動作条件、あるいはこれらの運用条件の集合の任意の組み合わせに基づいた、一式の選択規則を必要とする場合がある。したがって、これらの規則は発信側ネットワークエンティティからコンテキスト情報をフィルタリングするために使用される。
【0037】
コンテキスト情報は観察可能又は計算可能なものなら何であってもよいので、サービスとの関連での関連性のある情報の実際の量は通常最小であり、その情報を収集し、記憶し、伝搬するための追加の努力を正当化するほどのものでない可能性がある。取り扱う情報量を最小に抑えるために、選択機構には、入手可能な場合、クライアント、サーバ及びプロキシの要素についてのプロファイル情報、又はクライアント、サーバ及びプロキシの要素からのプロファイル情報が備えられるであろう。
【0038】
コンテキスト選択をさらに進めるために、サーバはすでに受信された、あるいは追加で提供されることになるその関心を詳説するフィードバック情報を提供できる。
【0039】
プロキシは、その知識に基づいて、それらが関連性のない情報を削除する、より関連性のある情報を追加する、あるいは入手可能な日付をさらに関連性のある事実に変換するように、他のプロキシを介して受信されるコンテキスト情報を修正してもよい。
【0040】
したがって、本発明のネットワークエンティティは、これに対して、中間ネットワークエンティティ及び受信側ネットワークエンティティが実現してよい発信側ネットワークエンティティでの運用条件の内の少なくとも1つに基づいて選択規則を定め、前記選択規則に基づいて発信側コンテキスト情報をフィルタリングするための選択手段をさらに備えることができる。この選択手段は、好ましくはプロセッサの機能として一体化することができる。
【0041】
図6は、図5に関して説明されるような本発明の第3の実施形態による中間ネットワークエンティティによって実行されるステップの流れ図である。この図に示されているように、本発明は発信側ネットワークエンティティでの運用条件の少なくとも1つに基づいて選択規則を定める追加のステップs3、及びこれらの選択規則に基づいてステップs1で受信される発信側コンテキスト情報をフィルタリングするステップs4を備える。
【0042】
図7は、本発明の第4の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。
【0043】
前述されたように、運用条件は、それぞれ静的プロファイル又は動的状態などの、静的な情報又は動的な情報を指定してよい。静的プロファイル情報は、例えばある特定のネットワークエンティティがそれから構成されるハードウェア、及びソフトウェア、ファームウェアあるいはハードウェアの両方でのその構成に関するものである。この情報は、ネットワークエンティティと関連付けられるユーザ、及びそれに接続される他の補助的なハードウェアにも関係し得るものである。それは、例えばプリンタ、カメラ又は他のデバイスの存在など、ネットワークエンティティで使用可能な機能性に関し得る。情報は、その最大データ容量など、ネットワークに対するネットワークエンティティの接続の静的な特徴に関するものであってもよい。
【0044】
他方、動的状態情報は、ネットワークエンティティに接続されるユーザの活動に関してよく、前記活動及びプロセスはネットワークエンティティ上で実行し、データトラフィックはネットワークエンティティを通過する。当業者は、動的及び静的両方の性質の多くの他の種類のデータを容易に思いつくであろう。
【0045】
さらに、運用条件は、事前に指定され、ネットワークエンティティと通信しているデバイスから入手されてよいか、あるいはネットワークエンティティで入手可能な情報から導出されてよい。事前に指定された運用条件の例は、既定の目的に入手可能なメモリ量、又は特定のプロセスに対するアクセス権の情報を含みうる。ネットワークエンティティと通信しているデバイスから入手される情報は、例えばプリンタなどのデバイスのステータスに関してよく、入手される情報は、例えば、プリンタ待ち行列内で未済のジョブの数、トナータンクのレベルに関するものである。
【0046】
最後に、ネットワークエンティティで入手可能な導出情報は、トラフィックの量、精度、データのタイプ等の前記ネットワークエンティティを通るデータトラフィックに関する統計情報を含んでよい。導出情報は、例えばロードバランシング、及びエラー回避に関する情報などの、他のネットワークエンティティ及びネットワークを通る他の経路のステータスにも関してよい。明らかに、情報の既定の1つは、一方で静的と動的の任意の組み合わせに該当してよく、他方では事前に指定され、デバイスから入手され、導出されてよく、その結果、運用条件のさまざまなクラスの表が想定されてよい。
【0047】
このようにして考慮された結果、6つのクラスの運用条件情報がある。第1に、トラフィックデータから導出されるようなネットワーク上の瞬間的なユーザ数などの派生的な動的情報、時刻によって変化する手数料などの事前に指定される動的情報、及びリモートプリンタ内に残るインク量などの入手された動的情報。第2に、例えば過去の要求に対するその応答から導出された特定のネットワークエンティティにより提供されたサービスの詳細、ローカルノードのIPアドレス等の事前に指定された静的情報、及び入手された静的情報からなってよい導出静的情報は、リモートノードのIPアドレスであり得る。
【0048】
本発明の運用条件は、これらの組み合わせのいずれか、及び事実上このような組み合わせのグループに関してよい。さらに、前記6つのカテゴリのいずれかに必ずしも無理なく該当しない他のクラスの情報がさらに、本発明の範囲に含まれるとして想定されてよい。
【0049】
これに対して、本発明のネットワークエンティティは所定の運用条件を記憶するように適応されるメモリ、ネットワークエンティティと通信しているデバイスから運用条件を入手するように適応される通信機構、及びネットワークエンティティで入手可能な情報から運用条件を導出するように適応される追加のプロセッサ手段の内の1つ、あるいはこれらの要素の任意の組み合わせをさらに備えてよい。
【0050】
メモリ3は、ランダムアクセスメモリ、ハードディスクドライブ等の任意の従来のデータ記憶装置の形を取ってよい。コンパイラ201、プロセッサ202及び動作装置203が、デスクトップパーソナルコンピュータなどのコンピュータシステム内に収容される場合、メモリもそのコンピュータシステム内に収容されてよい。
【0051】
代わりに、メモリは、例えば別個のサーバコンピュータ内、あるいは仮想ジュークボックスなどのスタンドアロン式データ記憶装置内など、何らかの他の場所に設けられてよい。これが当てはまる場合、少なくとも動作装置からメモリへのデータ転送を可能にする手段を提供することが必要であろう。これはローカルエリアネットワーク又はワールドワイドウェブなどの何らかの他のネットワーク装置を備えてよい。
【0052】
前述されたように、発信側コンテンツ情報は、発信側ネットワークエンティティからのメッセージと関連付けられてよい。本発明に従って、この関連は、発信側コンテンツ情報が実際に発信側ネットワークエンティティからメッセージの一部分を構成することを意味してよい。これが、例えば、発信側コンテキスト情報が事実上発信側ネットワークエンティティによって生成されるのではなく、単にそれと関連付けられたサーバアプリケーションから発信側ネットワークエンティティによって転送されるケースである場合がある。発信側ネットワークエンティティは、このようにしてコンテンツを選ばないと考えられてよい。つまり、サービスアプリケーション又はネットワークエンティティは、例えばレガシーアプリケーション又はシステム構成要素などのコンテキスト情報を取り扱うことができない。それにも関わらず、残りのコンテンツを認識する構成要素はコンテキスト情報を利用できる。コンテキストを認識する構成要素、サービス又はアプリケーションは追加の情報を利用する。このような情報は、クライアントによって直接的に、又はサポートインフラストラクチャを通して間接的に提供できる。前者のケースでは、クライアントは自らコンテキストを認識する必要があるが、後者のケースはクライアントをコンテキストを選ばないものとすることができる。
【0053】
コンテンツを選ばないクライアントは、初期のサービス配備後、おそらく時間的に後で、コンテキストを認識するサービスのクライアントと無関係な導入を可能にし、システムの進化を可能にする。
【0054】
本発明では、中間ネットワークエンティティで、前述されたような中間コンテキスト情報、選択規則、発信側コンテキスト情報、受信側コンテキスト情報、及びフィードバック情報などの特定の情報をキャッシュに入れることが望ましいことがある。この手段によって、ネットワークについてのコンテキスト情報を、絶え間なくリフレッシュすることなしに中間ネットワークエンティティで維持し、それにより全体的なネットワークトラフィックを削減できるが、情報が変化するケースでは容易に更新できる。したがって、この情報をキャッシュに入れることは、経時的に変化するデータに特に適している。発信側ネットワークエンティティでの動作条件、中間ネットワークエンティティでの運用条件及び受信側ネットワークエンティティでの運用条件は、全てキャッシュに入れるのに適したデータのセットである。
【0055】
不必要な計算及び通信を回避するために、プロファイル、選択戦略及び関連性のあるコンテキスト情報は、クライアントとサーバ間で交換される開始メッセージを超える追加の処理に使用できるようにキャッシュに入れられる。失効したキャッシュを回避するために、情報を最新に保つために適所にリースなどの清掃機構を設ける。
【0056】
これに対して本発明のネットワークエンティティは、前記中間コンテキスト情報を記憶するように適応される中間コンテキスト情報キャッシュをさらに備えてよい。同様に本発明のネットワークエンティティは、前記選択規則を記憶するように適応される選択規則キャッシュをさらに備えてよい。同様に本発明のネットワークエンティティは、前記第1の受信機によって受信される発信側コンテキスト情報を記憶するように適応される発信側コンテキスト情報キャッシュをさらに備えてよい。同様に本発明のネットワークエンティティは、第2の受信機により受信される前記コンテキスト情報を記憶するために受信されたコンテキスト情報キャッシュをさらに備えてよい。同様に本発明のネットワークエンティティは、発信側ネットワークエンティティでの運用条件、中間ネットワークエンティティでの運用条件及び受信側ネットワークエンティティでの運用条件を記憶するための、フィードバック情報キャッシュをさらに備えてよい。
【0057】
図8は本発明の第5の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。図8は、図7に関して説明されるような本発明の追加の進展を示す。この追加の進展に従って、中間コンテキスト情報322は、この中間コンテキスト情報322に基づいて受信側コンテキスト情報422の導出を達成するために受信側ネットワークエンティティ4に送信される。この受信側コンテキスト情報422は、次に受信側ネットワークエンティティ4でサービスアプリケーション5に提供される。
【0058】
図9は、本発明の第6の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。図9に示されるように、サービスアプリケーション5は、受信側ネットワークエンティティ自体で実行する任意のプロセス、又は受信側ネットワークエンティティに接続されるプロセッサを備えてよい。
【0059】
これに対して、本発明のネットワークエンティティは、少なくともサービスアプリケーションからのデータに基づいて導出される、受信側ネットワークエンティティからフィードバック情報を受信するように適応される第4の受信機をさらに備えてよい。
【0060】
発信側ネットワークエンティティ及び受信側ネットワークエンティティはそれぞれ、クライアント、サーバ、又は別の中間ネットワークエンティティの内の1つであってよいが、中間ネットワークエンティティはネットワーク内にプロキシ装置を備えてよい。
【0061】
クライアントとサーバという用語は、必ずしも端末側又はネットワーク側のアプリケーションに結び付けられるのではなく、サービスを要求し、提供するエンティティによって決定される(例えば、サーバからのサービスを要求し、それによってクライアントとしての役割を果たすアプリケーションは、同時に別のクライアントによって要求されるサービスを達成し、それによってサーバとしての役割を果たすことができる)。
【0062】
プロキシ、クライアント及びサーバから入手できる関心のある情報があると仮定されてよい。このような情報は、データスループット、呼び出し時間、ネットワーク可用性、使用パターン、又は性能特性を含んでよいが、これらに限定されない。
【0063】
本発明は、このようにして通信網内の複数の場所で入手可能であるコンテキスト情報の収集を可能にしてよい。これらの場所は、クライアントとサーバ間のサポート信号だけではなく、サービスに特有の対話によっても横断されてよい。コンテキスト選択はプロファイル情報に基づいてよく、フィードバック評価によってさらに改良できる。複数の通信経路の存在下では、プロファイル、選択戦略、キャッシュに入れられたコンテキストは、関与するネットワークエンティティ間で伝搬できる。
【0064】
本発明は、コンテキストを認識するサービスの配備をよりよくサポートするために、サービス提供環境で有益である場合がある。
【0065】
本発明は、通信網の中の複数の場所で入手可能であるコンテキスト情報の収集を可能にする。これらの場所は、クライアントとサーバ間のサポートシグナリングだけではなくサービスに特有の対話によっても横断される。コンテキスト選択はプロファイル情報に基づき、フィードバック評価によってさらに改良できる。複数の通信経路の存在下では、プロファイル、選択戦略、及びキャッシュに入れられたコンテキスト情報は関与するネットワークエンティティ間で伝搬できる。
【0066】
通信経路は、通信メッセージが1つ又は複数の中間プロキシ又は実際のサーバのどちらかによって受信されると、コンテキスト情報をメッセージに追加し、サーバに提供できるという属性を有する。
【0067】
関連性のあるコンテキストを提供するために、コンテキスト選択はクライアント、サーバ及びプロキシプロファイルに基づいてよく、さらにフィードバック情報を通して適応される。適切なキャッシング戦略によって、キャッシュに入れられた情報が失効するのを防ぐ。
【0068】
本発明の一実施形態に従って、発信側ネットワークエンティティと受信側ネットワークエンティティは、事実上同じネットワークエンティティであってよい。
【0069】
クライアントとサーバ間の複数の通信経路の可能性は、類似したコンテキスト情報を複数回計算させ、それによって通信インフラストラクチャとサービス自体の性能特性に不必要に影響を及ぼすことがある。このような否定的な性能影響を回避するために、代替経路にあるネットワークエンティティを同期させるために、有効なキャッシュに入れられた情報を伝搬するための機構がある。
【0070】
図10は、本発明の第7の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。
【0071】
このネットワークは、複数の発信側ネットワークエンティティ2a、2b、及び2c、及び複数の受信側ネットワークエンティティ4aと4b、及び複数の中間ネットワークエンティティ3a、3b、及び3cを備える。これらのネットワークエンティティは接続のネットワークによってまとめて接続され、その結果発信側ネットワークエンティティ2と受信側ネットワークエンティティ4の任意の既定の組の間に代替経路が存在する。例えば、発信側エンティティ2aと受信側ネットワークエンティティ4aの間に、つまりネットワークエンティティ3a又はネットワークエンティティ3bのどちらかを介して、2つの経路が存在する。本発明に従って、情報は、発信側ネットワークエンティティ2と受信側ネットワークエンティティ4の間の代替経路内の、追加の中間ネットワークエンティティに送信できる。例えば、中間ネットワークエンティティ3bは、中間ネットワークエンティティ3aにこのような追加情報を送信してよい。このデータは、中間ネットワークエンティティがそこから情報を受信したネットワークエンティティのいずれかにおける運用条件のいずれかを備えるか、あるいは前述されたように中間ネットワークエンティティ自体で導出される中間コンテキスト情報を備えてよい。この手段によって、中間ネットワークエンティティ3aは、本発明のステップ、つまり周囲のネットワークエンティティからコンテキスト情報を受信するステップと、この情報をフィルタリングするステップと、及び独自の中間コンテキスト情報を導出するために情報の他のセットと組み合わせてそれを使用するステップとを別々に実行する必要なく、ネットワークエンティティ3bで入手可能な余分なコンテキスト情報から恩恵を受ける。代わりに、本発明、つまり本発明のステップを実行することに加えて、中間コンテキスト情報を導出するステップは、他の中間ノートによって提供される情報をさらに考慮にいれてよい。
【0072】
コンテキスト情報又は選択戦略が、特定のクライアント又は特定のサービスのどちらかから独立している場合、それらは前者のケースでは複数のサーバによって、または後者では複数のクライアントによって再利用できる。
【0073】
したがって、通信の不必要な計算を回避するために、プロファイル、選択戦略及びコンテキスト情報自体が、元の組に限定されない追加のクライアントサーバ対話のためにキャッシュに入れられる。
【0074】
複数の通信経路が考えられる場合には、キャッシュに入れられた有効な情報が伝搬され、同期される。
【0075】
これに対して、本発明のネットワークエンティティの送信機は、運用条件と中間コンテキスト情報の少なくとも1つを、発信側ネットワークエンティティと受信側ネットワークエンティティの間の代替経路内の少なくとも1つの追加の中間ネットワークエンティティに送信するものとすることができる。
【0076】
図11は、本発明の第8の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。
【0077】
本実施形態に従って、それぞれが対応するステップを実行し、隣接するネットワークエンティティと通信している複数のネットワークエンティティが提供される。特に、発信側ネットワークエンティティ2、中間ネットワークエンティティ3、及び受信側ネットワークエンティティ4が提供される。ネットワークエンティティのそれぞれは進行中のネットワークエンティティ140、240、340から情報を受信し、フィルタリングステップ25、35及び45でその関連性のあるパーツを除去できる。各ネットワークエンティティは、後のネットワークエンティティからフィードバック情報231、331、431を受信し、運用条件221、321、421に関する情報を局所的に記憶することもできる。それぞれのケースでは、この運用条件はプロファイル情報とコンテキスト情報を含んでよい。進行中のネットワークエンティティ240、340から到着する情報からフィルタリングされる情報、運用条件221、321、421に関する情報、及び後のネットワークエンティティ231、321、431からのフィードバック情報は、全て導出ステップ22、32、42で使用することができ、そこで新しいコンテキスト情報222、322、422が導出される。次にこの新しいコンテキスト情報は、次の動作ネットワークエンティティ240、340、440に順方向に送信されるコンテキスト情報に組み込むことができる。このようにして、本発明の本実施形態に従って、ネットワーク内のあらゆるネットワークエンティティが、その上流と下流両方のネットワークエンティティから情報を受信する。図6に関して説明される装置と組み合わせて、これはネットワーク内の全てのネットワークエンティティに関するコンテキスト情報がネットワーク全体で分散でき、その結果、ネットワーク全体で高度の最適化が可能であることを意味している。この最適化は、例えばネットワークの要素全体での処理タスクの分散、適切な機能性を有するネットワークエンティティへのさまざまな活動の帰属、ネットワークトラフィックの改善された分散、及びボトルネック削減等に見られるものである。
【0078】
このようにして、図11は、実施形態によるクライアントとサーバの間のサンプルシグナリング又は通信経路を描く。ここでは、プロキシつまり中間ネットワークエンティティ3は、要求メッセージ/応答メッセージによって横断される。プロキシはコンテキスト情報をクライアントによって開始される要求に追加する。コンテキスト情報は、クライアント、サーバ又はプロキシのプロファイルのために選択される。各プロキシは以前にアクセス又は伝搬されたことがあるプロファイル情報のあるキャッシュを維持する。それに加えて、キャッシュはすでに入手又は導出されたコンテキスト情報だけではなく、絶え間なく調整されるコンテキスト選択戦略も含む。
【0079】
フィードバックが応答メッセージで送信され、プロキシによって評価されることも示される。
【0080】
追加の実施形態によると、適応コンテキスト蓄積がクライアントとサーバ間で実行される。これはクライアントとサーバ間のシグナリング及びデータ経路に沿って入手可能である、コンテキスト情報の集合体を必要とする。コンテキスト選択戦略は関連性のある情報を選択するために適用され、それによりデータの既定のセットの関連性はプロファイル情報、フィードバック等に基づいてよい。
【0081】
さまざまな種類のコンテキスト情報は、ユーザプロファイル、サービスプロファイル、ネットワーク機能、ネットワークステータス、計算リソース、又は時間あるいは場所などの非計算情報を含んでよい。
【0082】
コンテキスト情報の収集をクライアントとサーバ間の経路に沿って実現する際には、関連するコンテキスト情報の取得、コンテキスト異種性、及びコンテキストオーバフローなどの問題点、及びコンテキスト情報を取得するための努力と情報関連性の妥協点が考慮されなければならない。
【0083】
コンテキスト情報は、このようにして、シグナリングメッセージ、サービス特有の対話又はコンテンツによって横断されるアプリケーションのクライアントとサーバ間で、ネットワークエンティティから収集できるものであってよい。アプリケーションは、コンテキスト認識性のものであってよく、それにより入手可能な情報から利益を得てよい。
【0084】
プロキシであってよい通信経路上のネットワークエンティティは、メッセージにコンテキスト情報を追加できる。
【0085】
取り扱われる情報量を最小限に抑えるように適応される戦略を採用することが望ましいことがある。これは、クライアント、サーバによって提供される、あるいは中間ネットワークエンティティに位置するプロファイルに基づいた選択を必要とする場合がある。
【0086】
中間ネットワークエンティティを介してサーバからクライアントに伝搬されるフィードバック。中間ネットワークエンティティは、他の中間ネットワークエンティティにより追加される情報などの関連性のない情報を削除できる。
【0087】
選択戦略、プロファイル、フィードバック、関連するコンテキストのキャッシングが望ましいことがある。中間ネットワークエンティティにおけるキャッシングにより、追加処理のために情報を入手できるようになるであろう。これが実現される場合、失効したキャッシュを回避するためにクリーンアップ機構が設けられてよい。
【0088】
コンテキスト情報は、アクティブなクライアントとサーバの関与なしに提供することができる。クライアント又はサーバは、プロファイルとフィードバックを提供できる。アプリケーションプロバイダは、説明されたインフラストラクチャベースの機構を使用することにより、コンテキスト認識アプリケーションを導入できる。複数の通信経路が、キャッシュに入れられた情報の伝搬によりアドレス指定できる。
【0089】
[クライアントとサーバの間の適応コンテキスト蓄積]
追加の実施形態に従って、発信側コンテキスト情報に基づいて発信側ネットワークエンティティでプロファイル情報を生成するステップと、受信側コンテキスト情報に基づいて受信側ネットワークエンティティでプロファイル情報を生成するステップが実行されてよい。
【0090】
データ処理装置又はデータ処理装置のネットワークに前記実施形態の要素を実現させ、前記動作の少なくとも1つの方法を実行させるための命令を含む、1つ又は複数のコンピュータプログラムも提供されることに留意されたい。
【0091】
また、このようなプログラムが、コンピュータ又はデータ処理装置のシステムに前述された例の特徴及び要素の機能又は動作を実行させることを目的とする場合、具体化されたプログラムを納めたコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよい。コンピュータ読み取り可能媒体は、プログラムがその上で記録される磁気又は光学媒体又は他の有形の媒体である場合があるが、例えばアナログ又はデジタル、磁気又は光学の信号である場合もあり、ここでプログラムは伝送を目的として具体化されたものとなろう。さらに、データ処理手段に前記動作を実行させるための命令を含む、データ構造又はデータストリームが設けられてよい。コンピュータ読み取り可能媒体は、データストリーム又はデータ構造によって構成されていてもよい。さらに、コンピュータ読み取り可能な媒体を備えるコンピュータプログラム製品が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。
【図2】図1に関して説明されるような、本発明の第1の実施形態による中間ネットワークエンティティにより実行されるステップの流れ図である。
【図3】本発明の第2の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。
【図4】図3に関して説明されるような、本発明の第2の実施形態による中間ネットワークエンティティによって実行されるステップの流れ図である。
【図5】本発明の第3の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。
【図6】図5に関して説明されるような、本発明の第3の実施形態による中間ネットワークエンティティによって実行されるステップの流れ図である。
【図7】本発明の第4の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。
【図8】本発明の第5の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。
【図9】本発明の第6の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。
【図10】本発明の第7の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。
【図11】本発明の第8の実施形態によるネットワーク内でコンテキスト情報を取得するための装置を示す。
【図12】メッセージが多くのプロキシを介してサーバからクライアントに渡され、応答が前述されたようにサーバに返される、Jiniシステムの態様を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある通信網におけるコンテキスト情報を中間ネットワークエンティティ(3)が取得する方法であって、
発信側ネットワークエンティティ(2)から発信側コンテキスト情報(240)を受信するステップと、ここで、前記発信側コンテキスト情報(240)は、前記発信側ネットワークエンティティ(2)からのメッセージ(210)と関連付けられており、前記発信側ネットワークエンティティ(2)における運用条件(221)を特定するものであって、
前記発信側ネットワークエンティティ(2)から受信される前記発信側コンテキスト情報(240)と前記中間ネットワークエンティティ(3)における運用条件(321)とに基づいて、前記中間ネットワークエンティティ(3)において中間コンテキスト情報(322)を導出することと、
受信側ネットワークエンティティ(4)へと、メッセージ(310)と関連して前記中間コンテキスト情報(322)を送信することと
を含む方法。
【請求項2】
前記中間コンテキスト情報(322)を導出することが、前記中間ネットワークエンティティ(321)における運用条件に基づいて前記発信側コンテキスト情報(240)を修正することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記修正するステップは、前記発信側コンテキスト情報(240)の少なくとも一部を削除することと、前記発信側コンテキスト情報(240)の少なくとも一部を変換することと、コンテキスト情報を追加することとの内の少なくとも1つを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記受信側ネットワークエンティティからフィードバック情報(431)を受信し、それに基づいて前記中間コンテキスト情報(322)を導出する(4)ことを含む、前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項5】
追加の発信側コンテキスト情報を受信することと、それに基づいて前記中間コンテキスト情報を導出することとを含む、前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項6】
前記発信側ネットワークエンティティ(2)と、前記中間ネットワークエンティティ(3)と、前記受信側ネットワークエンティティ(4)における前記運用条件(221、321、421)との内の少なくとも1つに基づいて選択規則を定めることと、前記選択規則に基づいて前記発信側コンテキスト情報(221、321、421)をフィルタリングすることを含む、前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項7】
前記運用条件(221、321、421)は、ネットワークエンティティ(2、3、4)で静的情報及び動的情報の少なくとも1つを指定する、前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項8】
前記運用条件(221、321、421)は、事前に指定され、ネットワークエンティティ(2、3、4)と通信するデバイスから得られ、ネットワークエンティティ(2、3、4)で入手可能な情報から導出されるものの内の1つであってよい、前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項9】
前記発信側コンテキスト情報は、前記発信側ネットワークエンティティ(コンテンツを選ばないクライアント)からのメッセージの一部を構成する、前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項10】
中間コンテキスト情報と、
選択規則と、
発信側コンテキスト情報と、
受信側コンテキスト情報と、
フィードバック情報と、
前記発信側ネットワークエンティティにおける運用条件と、
前記中間ネットワークエンティティにおける運用条件と、
前記受信側ネットワークエンティティにおける運用条件と
の内の少なくとも1つをキャッシュに入れることを含む、前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項11】
前記中間コンテキスト情報(322)に基づいて受信側コンテキスト情報(422)を導出することと、前記受信側ネットワークエンティティ(4)でのサービスアプリケーション(5)に前記受信側コンテキスト情報(422)を提供することとを達成するために、前記受信側ネットワークエンティティ(4)に前記中間コンテキスト情報(322)を送信することを含む、前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくともサービスアプリケーション(5)からのデータに基づいて導出される、前記受信側ネットワークエンティティ(4)からフィードバック情報(431)を受信することを含む、前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項13】
前記中間ネットワークエンティティ(3)がプロキシ装置である、前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項14】
前記発信側ネットワークエンティティ(2)と前記受信側ネットワークエンティティ(4)が、それぞれクライアント、サーバ及び別の中間ネットワークエンティティの1つである、前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項15】
前記発信側ネットワーク装置(2)と前記受信側ネットワークエンティティ(4)が同じネットワークエンティティ(4)である、前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項16】
運用条件(221、321、421)及び中間コンテキスト情報(322)の内の少なくとも1つを、前記発信側ネットワークエンティティ(2)と受信側ネットワークエンティティ(4)の間の代替経路内の、少なくとも1つの追加中間ネットワークエンティティに送信することを含む、前記請求項の少なくとも一項に記載の方法。
【請求項17】
通信網の中で使用するためのネットワークエンティティであって、
発信側ネットワークエンティティでの運用条件を指定する発信側コンテキスト情報と、前記発信側ネットワークエンティティからのメッセージを受信できる第1の受信機であって、前記発信側コンテキスト情報及び前記メッセージが互いに関連付けられている第1の受信機と、
前記第1の受信機によって前記発信側ネットワークエンティティから受信された前記発信側コンテキスト情報と前記中間ネットワークエンティティにおける運用条件とに基づいて、前記中間ネットワークエンティティにおいて中間コンテキスト情報を導出するためのプロセッサと、
受信側ネットワークエンティティへのメッセージに関連して前記中間コンテキスト情報を送信できる送信機と
を備える、ネットワークエンティティ。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記中間ネットワークエンティティでの前記運用条件に基づいて前記発信側コンテキスト情報を修正することにより、前記中間コンテキスト情報を導出することができる、請求項17に記載のネットワークエンティティ。
【請求項19】
前記プロセッサは、前記発信側コンテキスト情報の少なくとも一部を削除する、前記発信側コンテキスト情報の少なくとも一部を変換する、あるいはコンテキスト情報を追加することによって、前記中間コンテキスト情報を導出できる、請求項18に記載のネットワークエンティティ。
【請求項20】
前記受信側ネットワークエンティティからフィードバック情報を受信できる第2の受信機をさらに備え、前記プロセッサがそれに基づいて前記中間コンテキスト情報を導出することが更にできる、請求項17から19のいずれか一項に記載の中間ネットワークエンティティ。
【請求項21】
追加の発信側コンテキスト情報を受信できる第3の受信機をさらに備え、前記プロセッサがそれに基づいて前記中間コンテキスト情報を導出できる、請求項17から20のいずれか一項に記載の中間ネットワークエンティティ。
【請求項22】
前記発信側ネットワークエンティティ、前記中間ネットワークエンティティ、及び前記受信側ネットワークエンティティ実装での前記運用条件の少なくとも1つに基づいて選択規則を定め、前記選択規則に基づいて前記発信側コンテキスト情報をフィルタリングするできる選択手段をさらに備える、請求項17から21のいずれか一項に記載のネットワークエンティティ。
【請求項23】
前記運用条件は、ネットワークエンティティでの静的情報と動的情報の少なくとも1つを指定する、請求項17から22のいずれか一項に記載のネットワークエンティティ。
【請求項24】
所定の運用条件を記憶できるメモリと、ネットワークエンティティと通信しているデバイスから運用条件を入手できる通信機構と、ネットワークエンティティで入手可能な情報から運用条件を導出できる追加のプロセッサ手段との内の1つをさらに備える、請求項17から23のいずれか一項に記載のネットワークエンティティ。
【請求項25】
前記発信側コンテキスト情報は、前記発信側ネットワークエンティティからのメッセージの一部を構成する、請求項17から24のいずれか一項に記載のネットワークエンティティ。
【請求項26】
前記中間コンテキスト情報を記憶できる中間コンテキスト情報キャッシュと、前記選択規則を記憶できる選択規則キャッシュと、前記第1の受信機により受信される前記発信側コンテキスト情報を記憶できる発信側コンテキスト情報キャッシュと、前記第2の受信機により受信される前記コンテキスト情報を記憶するための受信済みコンテキスト情報キャッシュと、フィードバック情報キャッシュと、前記発信側ネットワークエンティティでの運用条件と、前記中間ネットワークエンティティでの運用条件と前記受信側ネットワークエンティティでの運用条件とをさらに備える、請求項17から25のいずれか一項に記載のネットワークエンティティ。
【請求項27】
少なくともサービスアプリケーションからのデータに基づいて導出される前記受信側ネットワークエンティティからフィードバック情報を受信できる第4の受信機をさらに備える、請求項17から26のいずれか一項に記載のネットワークエンティティ。
【請求項28】
前記ネットワークエンティティはプロキシ装置である、請求項17から27のいずれか一項に記載のネットワークエンティティ。
【請求項29】
前記発信側ネットワークエンティティ及び前記受信側ネットワークエンティティは、それぞれクライアント、サーバ及び中間ネットワークエンティティの1つである、請求項17から28のいずれか一項に記載のネットワークエンティティ。
【請求項30】
前記発信側ネットワークエンティティ及び前記受信側ネットワークエンティティは、同じネットワークエンティティである、請求項17から29のいずれか一項に記載のネットワークエンティティ。
【請求項31】
前記送信機は、前記発信側ネットワークエンティティと受信側ネットワークエンティティの間の代替経路内の少なくとも1つの追加の中間ネットワークエンティティに対して、運用条件と中間コンテキスト情報との少なくとも1つを送信することが更にできる、請求項17から30のいずれか一項に記載のネットワークエンティティ。
【請求項32】
請求項1から16のいずれか一項に記載の方法を実行するための命令を有するプログラム。
【請求項33】
プログラムが具現化され、前記プログラムが請求項1から16のいずれか一項に記載の前記方法をデータ処理装置に実行させることを目的とする、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項34】
請求項16に記載の前記コンピュータ読み取り可能媒体を備える、コンピュータプログラム製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2007−515690(P2007−515690A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507493(P2005−507493)
【出願日】平成15年7月18日(2003.7.18)
【国際出願番号】PCT/EP2003/007879
【国際公開番号】WO2005/015869
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)