データベース化された画像表示システム及びそのコンピュータプログラム
【課題】画像表示システムの日々の維持管理業務又は災害や事項が発生した時の効率的かつ効果的な維持管理を実現する。
【解決手段】所定のプラグインソフトを備えたWebブラウザがインストールされたクライアント端末と、該クライアント端末とネットワークを介して相互に通信可能に接続されたWebサーバとを備え、前記Webサーバは、管理対象物の画像データと、該画像上の所定の座標に関連付けて登録されたコメント及び/又はリンク情報を含む付加情報と、該リンク情報によってリンクされる付加情報関連データファイルとが格納されたデータベースとを備え、前記Webブラウザは、前記付加情報の表示、追加、編集、削除及び検索の実行を前記Webサーバに対して要求する機能を備えているとともに、前記Webサーバは、前記クライアントの前記Webブラウザを介した前記各機能の実行要求を受付、その処理を実行する制御プログラムを備える。
【解決手段】所定のプラグインソフトを備えたWebブラウザがインストールされたクライアント端末と、該クライアント端末とネットワークを介して相互に通信可能に接続されたWebサーバとを備え、前記Webサーバは、管理対象物の画像データと、該画像上の所定の座標に関連付けて登録されたコメント及び/又はリンク情報を含む付加情報と、該リンク情報によってリンクされる付加情報関連データファイルとが格納されたデータベースとを備え、前記Webブラウザは、前記付加情報の表示、追加、編集、削除及び検索の実行を前記Webサーバに対して要求する機能を備えているとともに、前記Webサーバは、前記クライアントの前記Webブラウザを介した前記各機能の実行要求を受付、その処理を実行する制御プログラムを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来の画像表示システムをデータベース化し、任意の画像座標の上に文字情報や詳細情報へのリンク等から成る付加情報をリアルタイムに追加・編集・削除・検索する機能を持たせたデータベース化された画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、国土交通省国土河川事務所が自分の管轄内の河川又は道路の日々の維持管理業務において、例えば下記特許文献1に開示された画像表示システムを用いてWebブラウザ上に管轄内の位置に合わせた航空写真画像と図面等をレイヤー構造に配置して、複数の画像を一画面に同時に表示・操作することにより、特に災害や事故が発生した時の問題のある箇所を画像と図面を同時に表示させることによって効果的な維持管理業務を行うことができる。
【0003】
しかし、日々の点検業務中に発生した事項を、画像上の点検箇所の上に注意書きやコメント等の文字情報として付加したり、又は点検記録、点検状況写真又は災害現場若しくは事故現場の詳細画像や記録等へのリンク情報を付加したりする機能は具備されておらず、また、かかる文字情報やリンク情報等の付加情報をリアルタイムに追加・編集することができないので、効率的な日々の維持管理業務が出来なかった。さらには、災害や事故が発生した時の検索機能も具備されていないので、目的とする災害現場又は事故現場の航空画像又は図面を見つけ出すのに時間がかかっていた。
【0004】
【特許文献1】特開2004−015163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述のような事情に鑑みなされたものであり、従来の画像表示システムをデータベース化し、任意の画像座標の上に文字情報や詳細情報へのリンク等から成る付加情報をリアルタイムに追加・編集・削除・検索機能を実装することによって、日々の維持管理業務又は災害や事項が発生した時の効率的かつ効果的な(例えば、河川、国土、海岸線、ダム、トンネル、下水道、線路等、しかしこれには限らない。)維持管理を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はデータベース化された画像表示システムに関し、本発明の上記目的は、所定のプラグインソフトを備えたWebブラウザがインストールされたクライアント端末と、該クライアント端末とネットワークを介して相互に通信可能に接続されたWebサーバとを含むデータベース化された画像表示システムであって、
前記Webサーバは、管理対象物の画像データと、該画像上の所定の座標に関連付けて登録されたコメント及び/又はリンク情報を含む付加情報と、該リンク情報によってリンクされる付加情報関連データファイルとが格納されたデータベースとを備え、前記Webブラウザは、前記付加情報の表示、追加、編集、削除及び検索の実行を前記Webサーバに対して要求する機能を備えているとともに、前記Webサーバは、前記クライアントの前記Webブラウザを介した前記各機能の実行要求を受付、その処理を実行する制御プログラムを備えたことを特徴とするデータベース化された画像表示システムによって達成される。
【0007】
また、本発明の上記目的は、前記プラグインをFlashプラグインとし、前記画像データをFlash形式で作成することによって効果的に達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るデータベース化された画像表示システムによれば、日々の点検業務中に発生した事項を、画像上の点検箇所の上に注意書きやコメント等の文字情報として付加したり、又は点検記録、点検状況写真又は災害現場若しくは事故現場の詳細画像や記録等へのリンク情報を付加したりすることができるので、効率的な日々の維持管理業務が出来るようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係るデータベース化された画像表示システム(以下、本システムという。)は、クライアント端末(以下、クライアントという。)の画像表示システムに、ネットワークに接続されたサーバに登録・管理されている災害画像や点検記録等の付加情報を、被災地を撮影した動画から変換した静止画と同時に表示するシステムであり、これによって、災害時の被災状況又は日々の維持管理業務を詳細かつ迅速に把握することを可能とするものである。
【0010】
本システムの概念図を図1に示す。
【0011】
図1に示すように、1又は複数のクライアント1と、Webサーバ2と、データベースサーバ3とがネットワーク4(例えばLAN又はWAN)を介して相互に通信可能に接続されている。
【0012】
クライアント1にはFlash(米国Adobe社が開発したWebコンテンツの作成ソフト)等のプラグインを備えたWebブラウザ(図示せず)がインストールされている。
【0013】
図2はクライアント1、Webサーバ2及びデータベースサーバ3の中身を示すものである。クライアント1は、本システムのクライアントとしての機能を果たすためのソフトウェアであるWebブラウザがインストールされており、閲覧モードにおいては、「画像表示・操作」、「座標表示」、「面積・距離算出」「印刷」に加えて、「付加情報の表示」「付加情報の検索」も行えるようになっている。また、管理モードにおいては、「付加情報の追加」、「付加情報の編集」、「付加情報の削除」、「付加情報の検索」が可能になっている。さらには、管理者のみが入れる管理者ページにおいては、「付加情報の表示」、「履歴情報の表示」、「Webページ・アップロード」、「物理的一括削除」を行うことができる。各機能の詳細については後述する。
【0014】
Webサーバ2には被災地を撮影した動画から変換した静止画などのFlashファイル等の画像ファイル、及びサーバ・スクリプトが格納されている。サーバ・スクリプトとは、サーバ側で動作するプログラムのことで、Perl、PHPやJava(登録商標)などのプログラム言語で作成されることが多い。また、このWebサーバには、後述の付加情報に関連するデータファイル、例えば、画像(写真等)ファイル、画像セットファイル、HTMLファイル、PDFファイル、EXCELファイル、WORDファイル等も格納されている。
【0015】
データベースサーバ3には、Webサーバ2にあるFlashファイル等の静止画像の上に付加される付加情報が格納されており、たとえば、システムID(管理対象物を識別するID)、エリアID(その管理対象物の中のエリアを識別するID)、世代ID(更新履歴を示すものであり、更新するごとに1増える。最初は「1」)、情報が付加される場所の座標、リンクタイプ(付加情報のタイプを意味するものであり、テキストからなるコメント、画像ファイル等のファイル、ホームページ等に分類される)、リンク内容(付加情報の内容を意味するものであり、コメントの内容を記したテキスト文)/リンク先(ファイルのパス、ホームページのURL等である)、検索キーワード等である。なお、Webサーバ2上にある付加情報関連データファイルを付加情報の本体と考えると、データベースサーバ3にある付加情報は、付加情報本体を特定するための付加情報識別情報と考えることもできる。
【0016】
クライアント1は従来の画像表示システムの機能に加えて、Webサーバ2に対して付加情報の表示、追加、編集、削除及び検索の要求を送信すると、Webサーバ2はそれに応じて該当する付加情報の提供、追加、更新、削除及び検索結果をクライアント1に返す。
【0017】
本システムのソフトウェア機能は下記の表1のような機能が含まれている。
【0018】
【表1】
・機能1−12は従来の画像表示システム(特許文献1参照)機能である。
・機能13−15は従来の画像表示システムに追加する機能である。
・機能16−25は本システムのWebサーバに実装した機能である。
【0019】
Webサーバ2の機能は、Webサーバ2に格納されたサーバ・スクリプトによって実行される。
【0020】
本システムではユーザに応じて「閲覧モード」と「管理モード」によってアクセスすることができる。「閲覧モード」はLANに接続されているクライアントPCであれば、誰でもアクセスできる。「管理モード」は本システム管理者権限が必要なので、登録されている管理者のみがLANに接続されているクライアントPCからでもアクセスできる。
【0021】
「閲覧モード」と「管理モード」の機能を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
本システムにおけるクライアント1の画面例を図3に示す。この実装例を基に本システムの動作を説明する。
<付加情報の表示>
本発明では画像表示システムを立ち上げる時に、Webサーバ2を経由してデータベースサーバ3に接続して、クライアント1に表示されている画像に付随する付加情報の文字情報及びリンク先をデータベースから取得して表示する。取得した付加情報の位置が画像座標上に○印のアイコンで表示され(これを付加情報ポインタという。)、この付加情報ポインタをマウスでクリックすると、付加情報の内容が表示されるか、若しくは付加情報のリンクページが表示される。この図3の場合は、マウスでクリックしたポインタが赤色に変わり、子ウインドウが表示されて「蛾眉橋」と表示される。すなわち、この場所が「蛾眉橋」であることを示している。
【0024】
<付加情報の検索>
本システムの実装例では図4に示す検索画面が具備されている。検索画面から検索キーワード(例えば、「右岸 村の内樋管」)を入力し、「検索」をクリックすると、Webサーバ2を介してデータベースサーバ3に接続して、検索キーワードに従って付加情報を検索する。該当する付加情報が見つかったら、その付加情報をクライアントに返して、クライアントは該当する付加情報を表示する。具体的には、例えば5件ヒットしたとすると、クライアントに、「5件見つかりました」というメッセージボックス(図示せず)を表示し、OKボタンがクリックされると、図5のような検索結果画面が表示される。この場合は、最後にヒット(5番目)した付加情報の内容が表示される。ここで、「Go」ボタンをクリックすると付加情報の内容が表示されるか、付加情報の存在するサイトに接続される。この場合は、リンクタイプがホームページであるので、リンク内容に表示されているURLのホームページに接続される。なお、該当する付加情報が複数ある場合は、「戻る」及び「進む」ボタンも表示されるので、必要に応じてこれらのボタンをクリックすることにより、該当する付加情報を選択することができる。
【0025】
一方、該当する付加情報がない場合は、「該当する付加情報がありませんでした」のメッセージボックスが表示されるとともに、検索画面のステータス欄(最下欄)にも表示される。
【0026】
<付加情報管理>
特定の管理者ページから本システムを起動すると、本システムが「管理モード」で動作して付加情報の追加、編集、削除等の付加情報管理が行える。
【0027】
以下、各処理について説明する。
【0028】
<付加情報の追加>
新たに付加情報を追加する場合は、図6に示す「座標ポインタ」(丸+印:デフォルトではほぼ中央にある)を追加したい位置にドラッグ&ドロップすると、図7のような「付加情報管理画面」が表示されるので、この画面にコメント等の文字情報を入力して、関連付けられるファイルがあれば、そのファイルを選択して、検索するためのキーワードを「キーワード」欄に入力して、「確定」ボタンをクリックすると、追加する付加情報がデータベースに登録される。データベース登録が成功すれば、追加した付加情報をクライアントに返し、クライアントはその付加情報を表示する。登録失敗の場合は、その旨のエラーメッセージをクライアントに返し、クライアントはそのエラーメッセージを表示する。
【0029】
具体的に説明すると、図7の画面において、「追加」ボタンをクリックするとリンク番号が自動的に振られ(この場合は「8」)、リンクタイプが表示される。指示に従ってリンクタイプを選択(ここでは「ファイル」を選択)すると、取消ボタンが表示される。「ファイル」を選択すると、「参照」ボタンが表示され、クライアントの中にある当該ファイルが格納されている箇所のファイルを選択すると、そのファイル名がフルパスで「リンク内容」に反映される。「リンク内容」に入力されると、検索キーワードが入力可能になり、「画像」というキーワードが入力されると、「確定」ボタンが表示される(図8参照)。内容に間違いがなければ「確定」ボタンを押すことにより、クライアントからWebサーバに画像ファイルがアップロードされ、Webサーバ2の付加情報関連データファイルに格納される。と同時に、Webサーバ2はリンクタイプを「ホームページ」に変更し、「リンク内容」はWebサーバのファイル格納場所のパスに変更され、そのパス情報はデータベースサーバに格納される。
【0030】
<付加情報の編集>
付加情報を編集する場合、「付加情報ポインタ」(図3参照)をクリックすると、その付加情報の内容が「付加情報管理画面」に表示される。図9は付加情報管理画面(編集モード)の一例である。「編集」ボタンをクリックすると、「リンク・タイプ」、「リンク内容」及び「キーワード」が編集可能になるので、編集したい項目を選んで編集する。本実施例(図10)では、キーワードを変更している。編集内容に間違いがなければ「確定」ボタンをクリックする。「確定」ボタンをクリックすると、データベースサーバ3に接続して、その付加情報の内容が更新される。データベース更新が成功すれば、編集した付加情報がクライアントに返され、クライアントはその付加情報を表示する。更新失敗の場合は、その旨のエラーメッセージをクライアントに返し、クライアントはそのエラーメッセージを表示する。
【0031】
<付加情報の削除>
付加情報を削除するには、「付加情報ポインタ」をクリックすると、その付加情報の内容が「付加情報管理画面」(図9参照)に表示される。ここで「削除」ボタンをクリックすると図11の削除確認画面が表示され、間違いがなければ「確認」ボタンをクリックすることにより、データベースサーバから付加情報(リンク内容)が削除される。データベースからの削除が成功すれば、削除したことをクライアントに返し、クライアントはその付加情報ポインタを削除する。削除失敗の場合は、その旨のエラーメッセージをクライアントに返し、クライアントはそのエラーメッセージを表示する。なお、削除されるのはリンク先の情報(URL)のみであり、関連する画像ファイルは削除されない。
【0032】
<付加情報履歴一覧表示>
本システムの付加情報は履歴管理されている。付加情報を新規作成する場合は、新規のリンクID(付加情報ごとに振られる識別番号)と世代IDを対応させる。ユーザが付加情報が編集する度に世代IDが一つずつ増えていく。「管理者ページ」から「付加情報履歴」をクリックすると、全システムの全付加情報の履歴、又は画像の属している付加情報の履歴が新規ウィンドウで一覧表示される。
【0033】
<物理的ファイル削除>
本発明では、付加情報に関連付けられる関連ファイルも履歴管理対象となる。付加情報(リンク情報又はコメント)を削除してもデータベースからは論理削除のみ行われただけで、実際の物理的ファイル(関連ファイル)はサーバから削除されない。不要と思われる関連ファイルを削除するには、「不要ファイル一括削除」をクリックする。
【0034】
具体的には、クライアントの管理者ページのメニューの「不要ファイル一括削除」をクリックし、表示された画面(図示せず)のシステムID入力欄に削除対象のシステムID(管理対象物のID)を入力し、[検索]ボタンをクリックすると、データベース内を検索して当該管理対象に関連するファイルが一括表示される。削除ボタンをクリックすることによってファイルが一括削除される。
【0035】
<圧縮ファイル展開>
付加情報ポインタに関連付けられるファイルが複数存在する場合、クライアント側で予め一つのフォルダに纏めて、一つのファイルとして圧縮(例えばZIP形式)して、Webサーバにアップロードする必要がある。サーバ側では、アップロードされたファイルの拡張子が予め決められた圧縮形式(例えばZIP形式)の拡張子である「.ZIP」又は「.zip」の場合のみ、それを自動的に展開(解凍)するとともに、付加情報関連データファイルの所定のフォルダに格納する。
【0036】
以上の説明は、Webサーバとデータベースサーバが独立して設けられている場合の例であるが、一つのサーバに統合した場合も同様にして説明できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るデータベース化された画像表示システムの構成を示す概念図である。
【図2】クライアント端末、Webサーバ及びデータベースサーバの中身を示す図である。
【図3】本システムにおけるクライアントの画面例(画像データ表示)を示す図である。
【図4】付加情報の検索画面の一例を示すものである。
【図5】付加情報の検索結果画面の一例を示すものである。
【図6】付加情報を追加する場合の操作画面の一例である。
【図7】「付加情報管理画面」の一例を示すものである。
【図8】付加情報追加の確認画面の一例を示すものである。
【図9】付加情報管理画面(編集モード)の一例を示すものである。
【図10】付加情報編集確認画面の一例を示すものである。
【図11】付加情報削除確認画面の一例を示すものである。
【符号の説明】
【0038】
1 クライアント端末
2 Webサーバ
3 データベースサーバ
4 ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来の画像表示システムをデータベース化し、任意の画像座標の上に文字情報や詳細情報へのリンク等から成る付加情報をリアルタイムに追加・編集・削除・検索する機能を持たせたデータベース化された画像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、国土交通省国土河川事務所が自分の管轄内の河川又は道路の日々の維持管理業務において、例えば下記特許文献1に開示された画像表示システムを用いてWebブラウザ上に管轄内の位置に合わせた航空写真画像と図面等をレイヤー構造に配置して、複数の画像を一画面に同時に表示・操作することにより、特に災害や事故が発生した時の問題のある箇所を画像と図面を同時に表示させることによって効果的な維持管理業務を行うことができる。
【0003】
しかし、日々の点検業務中に発生した事項を、画像上の点検箇所の上に注意書きやコメント等の文字情報として付加したり、又は点検記録、点検状況写真又は災害現場若しくは事故現場の詳細画像や記録等へのリンク情報を付加したりする機能は具備されておらず、また、かかる文字情報やリンク情報等の付加情報をリアルタイムに追加・編集することができないので、効率的な日々の維持管理業務が出来なかった。さらには、災害や事故が発生した時の検索機能も具備されていないので、目的とする災害現場又は事故現場の航空画像又は図面を見つけ出すのに時間がかかっていた。
【0004】
【特許文献1】特開2004−015163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述のような事情に鑑みなされたものであり、従来の画像表示システムをデータベース化し、任意の画像座標の上に文字情報や詳細情報へのリンク等から成る付加情報をリアルタイムに追加・編集・削除・検索機能を実装することによって、日々の維持管理業務又は災害や事項が発生した時の効率的かつ効果的な(例えば、河川、国土、海岸線、ダム、トンネル、下水道、線路等、しかしこれには限らない。)維持管理を実現することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明はデータベース化された画像表示システムに関し、本発明の上記目的は、所定のプラグインソフトを備えたWebブラウザがインストールされたクライアント端末と、該クライアント端末とネットワークを介して相互に通信可能に接続されたWebサーバとを含むデータベース化された画像表示システムであって、
前記Webサーバは、管理対象物の画像データと、該画像上の所定の座標に関連付けて登録されたコメント及び/又はリンク情報を含む付加情報と、該リンク情報によってリンクされる付加情報関連データファイルとが格納されたデータベースとを備え、前記Webブラウザは、前記付加情報の表示、追加、編集、削除及び検索の実行を前記Webサーバに対して要求する機能を備えているとともに、前記Webサーバは、前記クライアントの前記Webブラウザを介した前記各機能の実行要求を受付、その処理を実行する制御プログラムを備えたことを特徴とするデータベース化された画像表示システムによって達成される。
【0007】
また、本発明の上記目的は、前記プラグインをFlashプラグインとし、前記画像データをFlash形式で作成することによって効果的に達成される。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るデータベース化された画像表示システムによれば、日々の点検業務中に発生した事項を、画像上の点検箇所の上に注意書きやコメント等の文字情報として付加したり、又は点検記録、点検状況写真又は災害現場若しくは事故現場の詳細画像や記録等へのリンク情報を付加したりすることができるので、効率的な日々の維持管理業務が出来るようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係るデータベース化された画像表示システム(以下、本システムという。)は、クライアント端末(以下、クライアントという。)の画像表示システムに、ネットワークに接続されたサーバに登録・管理されている災害画像や点検記録等の付加情報を、被災地を撮影した動画から変換した静止画と同時に表示するシステムであり、これによって、災害時の被災状況又は日々の維持管理業務を詳細かつ迅速に把握することを可能とするものである。
【0010】
本システムの概念図を図1に示す。
【0011】
図1に示すように、1又は複数のクライアント1と、Webサーバ2と、データベースサーバ3とがネットワーク4(例えばLAN又はWAN)を介して相互に通信可能に接続されている。
【0012】
クライアント1にはFlash(米国Adobe社が開発したWebコンテンツの作成ソフト)等のプラグインを備えたWebブラウザ(図示せず)がインストールされている。
【0013】
図2はクライアント1、Webサーバ2及びデータベースサーバ3の中身を示すものである。クライアント1は、本システムのクライアントとしての機能を果たすためのソフトウェアであるWebブラウザがインストールされており、閲覧モードにおいては、「画像表示・操作」、「座標表示」、「面積・距離算出」「印刷」に加えて、「付加情報の表示」「付加情報の検索」も行えるようになっている。また、管理モードにおいては、「付加情報の追加」、「付加情報の編集」、「付加情報の削除」、「付加情報の検索」が可能になっている。さらには、管理者のみが入れる管理者ページにおいては、「付加情報の表示」、「履歴情報の表示」、「Webページ・アップロード」、「物理的一括削除」を行うことができる。各機能の詳細については後述する。
【0014】
Webサーバ2には被災地を撮影した動画から変換した静止画などのFlashファイル等の画像ファイル、及びサーバ・スクリプトが格納されている。サーバ・スクリプトとは、サーバ側で動作するプログラムのことで、Perl、PHPやJava(登録商標)などのプログラム言語で作成されることが多い。また、このWebサーバには、後述の付加情報に関連するデータファイル、例えば、画像(写真等)ファイル、画像セットファイル、HTMLファイル、PDFファイル、EXCELファイル、WORDファイル等も格納されている。
【0015】
データベースサーバ3には、Webサーバ2にあるFlashファイル等の静止画像の上に付加される付加情報が格納されており、たとえば、システムID(管理対象物を識別するID)、エリアID(その管理対象物の中のエリアを識別するID)、世代ID(更新履歴を示すものであり、更新するごとに1増える。最初は「1」)、情報が付加される場所の座標、リンクタイプ(付加情報のタイプを意味するものであり、テキストからなるコメント、画像ファイル等のファイル、ホームページ等に分類される)、リンク内容(付加情報の内容を意味するものであり、コメントの内容を記したテキスト文)/リンク先(ファイルのパス、ホームページのURL等である)、検索キーワード等である。なお、Webサーバ2上にある付加情報関連データファイルを付加情報の本体と考えると、データベースサーバ3にある付加情報は、付加情報本体を特定するための付加情報識別情報と考えることもできる。
【0016】
クライアント1は従来の画像表示システムの機能に加えて、Webサーバ2に対して付加情報の表示、追加、編集、削除及び検索の要求を送信すると、Webサーバ2はそれに応じて該当する付加情報の提供、追加、更新、削除及び検索結果をクライアント1に返す。
【0017】
本システムのソフトウェア機能は下記の表1のような機能が含まれている。
【0018】
【表1】
・機能1−12は従来の画像表示システム(特許文献1参照)機能である。
・機能13−15は従来の画像表示システムに追加する機能である。
・機能16−25は本システムのWebサーバに実装した機能である。
【0019】
Webサーバ2の機能は、Webサーバ2に格納されたサーバ・スクリプトによって実行される。
【0020】
本システムではユーザに応じて「閲覧モード」と「管理モード」によってアクセスすることができる。「閲覧モード」はLANに接続されているクライアントPCであれば、誰でもアクセスできる。「管理モード」は本システム管理者権限が必要なので、登録されている管理者のみがLANに接続されているクライアントPCからでもアクセスできる。
【0021】
「閲覧モード」と「管理モード」の機能を表2に示す。
【0022】
【表2】
【0023】
本システムにおけるクライアント1の画面例を図3に示す。この実装例を基に本システムの動作を説明する。
<付加情報の表示>
本発明では画像表示システムを立ち上げる時に、Webサーバ2を経由してデータベースサーバ3に接続して、クライアント1に表示されている画像に付随する付加情報の文字情報及びリンク先をデータベースから取得して表示する。取得した付加情報の位置が画像座標上に○印のアイコンで表示され(これを付加情報ポインタという。)、この付加情報ポインタをマウスでクリックすると、付加情報の内容が表示されるか、若しくは付加情報のリンクページが表示される。この図3の場合は、マウスでクリックしたポインタが赤色に変わり、子ウインドウが表示されて「蛾眉橋」と表示される。すなわち、この場所が「蛾眉橋」であることを示している。
【0024】
<付加情報の検索>
本システムの実装例では図4に示す検索画面が具備されている。検索画面から検索キーワード(例えば、「右岸 村の内樋管」)を入力し、「検索」をクリックすると、Webサーバ2を介してデータベースサーバ3に接続して、検索キーワードに従って付加情報を検索する。該当する付加情報が見つかったら、その付加情報をクライアントに返して、クライアントは該当する付加情報を表示する。具体的には、例えば5件ヒットしたとすると、クライアントに、「5件見つかりました」というメッセージボックス(図示せず)を表示し、OKボタンがクリックされると、図5のような検索結果画面が表示される。この場合は、最後にヒット(5番目)した付加情報の内容が表示される。ここで、「Go」ボタンをクリックすると付加情報の内容が表示されるか、付加情報の存在するサイトに接続される。この場合は、リンクタイプがホームページであるので、リンク内容に表示されているURLのホームページに接続される。なお、該当する付加情報が複数ある場合は、「戻る」及び「進む」ボタンも表示されるので、必要に応じてこれらのボタンをクリックすることにより、該当する付加情報を選択することができる。
【0025】
一方、該当する付加情報がない場合は、「該当する付加情報がありませんでした」のメッセージボックスが表示されるとともに、検索画面のステータス欄(最下欄)にも表示される。
【0026】
<付加情報管理>
特定の管理者ページから本システムを起動すると、本システムが「管理モード」で動作して付加情報の追加、編集、削除等の付加情報管理が行える。
【0027】
以下、各処理について説明する。
【0028】
<付加情報の追加>
新たに付加情報を追加する場合は、図6に示す「座標ポインタ」(丸+印:デフォルトではほぼ中央にある)を追加したい位置にドラッグ&ドロップすると、図7のような「付加情報管理画面」が表示されるので、この画面にコメント等の文字情報を入力して、関連付けられるファイルがあれば、そのファイルを選択して、検索するためのキーワードを「キーワード」欄に入力して、「確定」ボタンをクリックすると、追加する付加情報がデータベースに登録される。データベース登録が成功すれば、追加した付加情報をクライアントに返し、クライアントはその付加情報を表示する。登録失敗の場合は、その旨のエラーメッセージをクライアントに返し、クライアントはそのエラーメッセージを表示する。
【0029】
具体的に説明すると、図7の画面において、「追加」ボタンをクリックするとリンク番号が自動的に振られ(この場合は「8」)、リンクタイプが表示される。指示に従ってリンクタイプを選択(ここでは「ファイル」を選択)すると、取消ボタンが表示される。「ファイル」を選択すると、「参照」ボタンが表示され、クライアントの中にある当該ファイルが格納されている箇所のファイルを選択すると、そのファイル名がフルパスで「リンク内容」に反映される。「リンク内容」に入力されると、検索キーワードが入力可能になり、「画像」というキーワードが入力されると、「確定」ボタンが表示される(図8参照)。内容に間違いがなければ「確定」ボタンを押すことにより、クライアントからWebサーバに画像ファイルがアップロードされ、Webサーバ2の付加情報関連データファイルに格納される。と同時に、Webサーバ2はリンクタイプを「ホームページ」に変更し、「リンク内容」はWebサーバのファイル格納場所のパスに変更され、そのパス情報はデータベースサーバに格納される。
【0030】
<付加情報の編集>
付加情報を編集する場合、「付加情報ポインタ」(図3参照)をクリックすると、その付加情報の内容が「付加情報管理画面」に表示される。図9は付加情報管理画面(編集モード)の一例である。「編集」ボタンをクリックすると、「リンク・タイプ」、「リンク内容」及び「キーワード」が編集可能になるので、編集したい項目を選んで編集する。本実施例(図10)では、キーワードを変更している。編集内容に間違いがなければ「確定」ボタンをクリックする。「確定」ボタンをクリックすると、データベースサーバ3に接続して、その付加情報の内容が更新される。データベース更新が成功すれば、編集した付加情報がクライアントに返され、クライアントはその付加情報を表示する。更新失敗の場合は、その旨のエラーメッセージをクライアントに返し、クライアントはそのエラーメッセージを表示する。
【0031】
<付加情報の削除>
付加情報を削除するには、「付加情報ポインタ」をクリックすると、その付加情報の内容が「付加情報管理画面」(図9参照)に表示される。ここで「削除」ボタンをクリックすると図11の削除確認画面が表示され、間違いがなければ「確認」ボタンをクリックすることにより、データベースサーバから付加情報(リンク内容)が削除される。データベースからの削除が成功すれば、削除したことをクライアントに返し、クライアントはその付加情報ポインタを削除する。削除失敗の場合は、その旨のエラーメッセージをクライアントに返し、クライアントはそのエラーメッセージを表示する。なお、削除されるのはリンク先の情報(URL)のみであり、関連する画像ファイルは削除されない。
【0032】
<付加情報履歴一覧表示>
本システムの付加情報は履歴管理されている。付加情報を新規作成する場合は、新規のリンクID(付加情報ごとに振られる識別番号)と世代IDを対応させる。ユーザが付加情報が編集する度に世代IDが一つずつ増えていく。「管理者ページ」から「付加情報履歴」をクリックすると、全システムの全付加情報の履歴、又は画像の属している付加情報の履歴が新規ウィンドウで一覧表示される。
【0033】
<物理的ファイル削除>
本発明では、付加情報に関連付けられる関連ファイルも履歴管理対象となる。付加情報(リンク情報又はコメント)を削除してもデータベースからは論理削除のみ行われただけで、実際の物理的ファイル(関連ファイル)はサーバから削除されない。不要と思われる関連ファイルを削除するには、「不要ファイル一括削除」をクリックする。
【0034】
具体的には、クライアントの管理者ページのメニューの「不要ファイル一括削除」をクリックし、表示された画面(図示せず)のシステムID入力欄に削除対象のシステムID(管理対象物のID)を入力し、[検索]ボタンをクリックすると、データベース内を検索して当該管理対象に関連するファイルが一括表示される。削除ボタンをクリックすることによってファイルが一括削除される。
【0035】
<圧縮ファイル展開>
付加情報ポインタに関連付けられるファイルが複数存在する場合、クライアント側で予め一つのフォルダに纏めて、一つのファイルとして圧縮(例えばZIP形式)して、Webサーバにアップロードする必要がある。サーバ側では、アップロードされたファイルの拡張子が予め決められた圧縮形式(例えばZIP形式)の拡張子である「.ZIP」又は「.zip」の場合のみ、それを自動的に展開(解凍)するとともに、付加情報関連データファイルの所定のフォルダに格納する。
【0036】
以上の説明は、Webサーバとデータベースサーバが独立して設けられている場合の例であるが、一つのサーバに統合した場合も同様にして説明できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係るデータベース化された画像表示システムの構成を示す概念図である。
【図2】クライアント端末、Webサーバ及びデータベースサーバの中身を示す図である。
【図3】本システムにおけるクライアントの画面例(画像データ表示)を示す図である。
【図4】付加情報の検索画面の一例を示すものである。
【図5】付加情報の検索結果画面の一例を示すものである。
【図6】付加情報を追加する場合の操作画面の一例である。
【図7】「付加情報管理画面」の一例を示すものである。
【図8】付加情報追加の確認画面の一例を示すものである。
【図9】付加情報管理画面(編集モード)の一例を示すものである。
【図10】付加情報編集確認画面の一例を示すものである。
【図11】付加情報削除確認画面の一例を示すものである。
【符号の説明】
【0038】
1 クライアント端末
2 Webサーバ
3 データベースサーバ
4 ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のプラグインソフトを備えたWebブラウザがインストールされたクライアント端末と、該クライアント端末とネットワークを介して相互に通信可能に接続されたWebサーバとを含むデータベース化された画像表示システムであって、
前記Webサーバは、
管理対象物の画像データと、該画像上の所定の座標に関連付けて登録されたコメント及び/又はリンク情報を含む付加情報と、該リンク情報によってリンクされる付加情報関連データファイルとが格納されたデータベースとを備え、
前記Webブラウザは、前記付加情報の表示、追加、編集、削除及び検索の実行を前記Webサーバに対して要求する機能を備えているとともに、
前記Webサーバは、前記クライアントの前記Webブラウザを介した前記各機能の実行要求を受付、その処理を実行する制御プログラムを備えたことを特徴とするデータベース化された画像表示システム。
【請求項2】
前記プラグインがFlashプラグインであり、前記画像データがFlash形式で作成されたものである請求項1に記載のデータベース化された画像表示システム。
【請求項3】
前記付加情報が前記Webサーバに接続された外部のデータベースサーバに格納されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータベース化された画像表示システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のWebサーバに前記付加情報の表示、追加、編集、削除及び検索を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項1】
所定のプラグインソフトを備えたWebブラウザがインストールされたクライアント端末と、該クライアント端末とネットワークを介して相互に通信可能に接続されたWebサーバとを含むデータベース化された画像表示システムであって、
前記Webサーバは、
管理対象物の画像データと、該画像上の所定の座標に関連付けて登録されたコメント及び/又はリンク情報を含む付加情報と、該リンク情報によってリンクされる付加情報関連データファイルとが格納されたデータベースとを備え、
前記Webブラウザは、前記付加情報の表示、追加、編集、削除及び検索の実行を前記Webサーバに対して要求する機能を備えているとともに、
前記Webサーバは、前記クライアントの前記Webブラウザを介した前記各機能の実行要求を受付、その処理を実行する制御プログラムを備えたことを特徴とするデータベース化された画像表示システム。
【請求項2】
前記プラグインがFlashプラグインであり、前記画像データがFlash形式で作成されたものである請求項1に記載のデータベース化された画像表示システム。
【請求項3】
前記付加情報が前記Webサーバに接続された外部のデータベースサーバに格納されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータベース化された画像表示システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のWebサーバに前記付加情報の表示、追加、編集、削除及び検索を実行させるためのコンピュータプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−37469(P2009−37469A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201966(P2007−201966)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(501257196)株式会社 エマキ (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(501257196)株式会社 エマキ (3)
【Fターム(参考)】
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